(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の工程では、第1の溶接機構を前記第1の仮想直線に沿って移動させつつ前記第1の溶接機構による溶接処理の実行及び停止を切り替えて前記第1の溶接部を形成し、
前記第3の工程では、第2の溶接機構を前記第2の仮想直線に沿って移動させつつ前記第2の溶接機構による溶接処理の実行及び停止を切り替えて前記第2の溶接部を形成する、請求項8に記載の製造方法。
前記第2及び第3の工程では、溶接機構を移動させつつ前記溶接機構による溶接処理の実行及び停止を切り替えて前記第1及び第2の溶接部をそれぞれ形成する、請求項8に記載の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の固定子積層鉄心のように、積層方向において固定子積層鉄心の一端面から他端面まで延びる線溶接部が外周面全体に設けられていると、線溶接部内に渦電流が発生しやすく、発熱が加速する。特に、固定子積層鉄心にカシメが存在する場合には、循環電流が、カシメ内だけでなく、カシメ内及び線溶接部内にも流れ、渦電流損がより増加する。
【0005】
一方、特許文献1に記載の固定子積層鉄心のように、固定子積層鉄心の外周面に線溶接部が設けられていると、線溶接部の近傍において電磁鋼板が収縮し変形する。特に、固定子積層鉄心の一端面から他端面まで線溶接部が延びている場合には、変形が顕著である。このような変形の結果、固定子積層鉄心のうち線溶接部の近傍では電磁鋼板が磁化し難くなる。従って、ヒステリシス損が増加する。
【0006】
このように、特許文献1の固定子積層鉄心では、損失の増加に伴うエネルギー効率の低下が生ずることにより、モータ特性の低下が懸念される。
【0007】
そこで、本開示は、エネルギー効率の向上を図ることが可能な固定子積層鉄心及びその製造方法を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一つの観点に係る固定子積層鉄心は、複数の金属板が積層された積層体であって、環状を呈する本体部と、本体部の外周面から本体部の径方向外側に向けて突出する耳金部とを有する積層体と、耳金部の外周面に形成された少なくとも一つの第1の溶接部と、耳金部の外周面に形成された少なくとも一つの第2の溶接部とを備え、第1の溶接部は、複数の金属板の積層方向に沿う第1の仮想直線上に部分的に位置すると共に、積層方向において複数の金属板のうち少なくとも二つを接合しており、第2の溶接部は、積層方向に沿い且つ第1の仮想直線とは異なる第2の仮想直線上に部分的に位置すると共に、積層方向において複数の金属板のうち少なくとも二つを接合している。
【0009】
本開示の一つの観点に係る固定子積層鉄心では、少なくとも一つの第1の溶接部と少なくとも一つの第2の溶接部とが耳金部の外周面に形成されている。本体部の外周面から本体部の径方向外側に向けて突出する耳金部には磁束が流れ難いので、耳金部に第1及び第2の溶接部を形成して複数の金属板同士が接合されたとしても、渦電流は生じない。そのため、渦電流損が比較的小さくなる。また、本開示の一つの観点に係る固定子積層鉄心では、第1の溶接部が、複数の金属板の積層方向に沿う第1の仮想直線上に部分的に位置すると共に、積層方向において複数の金属板のうち少なくとも二つを接合しており、第2の溶接部が、積層方向に沿い且つ第1の仮想直線とは異なる第2の仮想直線上に部分的に位置すると共に、積層方向において複数の金属板のうち少なくとも二つを接合している。そのため、固定子積層鉄心の一端面から他端面まで溶接部が延びている場合と比較して、金属板の収縮が抑制されるので、金属板の変形が少ない。従って、ヒステリシス損が比較的小さくなる。以上より、本開示の一つの観点に係る固定子積層鉄心によれば、エネルギー効率の向上を図ることが可能となる。
【0010】
さらに、本開示の一つの観点に係る固定子積層鉄心では、金属板の変形が少なくなるので、第1及び第2の溶接部の形成後において固定子積層鉄心に生ずる残留応力が比較的小さくなる。そのため、第1及び第2の溶接部の割れ(いわゆる、溶接割れ)の発生を抑制することが可能となると共に、極めて高い平面度、平行度及び直角度を有する固定子積層鉄心を得ることが可能となる。
【0011】
第1の溶接部と第2の溶接部とは積層方向において略交互に並んでいてもよい。この場合、複数の第1の溶接部が第1の仮想直線上にある場合に、第1の溶接部同士が一つの第2の溶接部の長さ程度離間する。そのため、第1の仮想直線上において、各第1の溶接部による金属板の変形が相互に影響し難い。同様に、複数の第2の溶接部が第2の仮想直線上にある場合に、第2の溶接部同士が一つの第1の溶接部の長さ程度離間する。そのため、第2の仮想直線上において、各第2の溶接部による金属板の変形が相互に影響し難い。さらに、各第1の溶接部による金属板の変形と各第2の溶接部による金属板の変形とも、相互に影響し難い。従って、エネルギー効率の更なる向上を図ることが可能となる。また、溶接割れの発生をより抑制することが可能となると共に、いっそう高い平面度、平行度及び直角度を有する固定子積層鉄心を得ることが可能となる。
【0012】
耳金部には、積層方向において耳金部を貫通する貫通孔が設けられており、第1の溶接部と第2の溶接部とは、貫通孔を間に置くように位置していてもよい。この場合、第1の溶接部による金属板の変形と第2の溶接部による金属板の変形とが、貫通孔の両側において均等に生じやすい。そのため、貫通孔に歪みが生じ難くなるので、貫通孔が積層方向に沿って直線状に延びやすい。従って、固定子積層鉄心をハウジングに固定するためのボルトの挿通孔として貫通孔を利用する際に、ボルトをスムーズに貫通孔に挿通することが可能となると共に、固定子積層鉄心のハウジングに対するボルトによる固定力をより高めることが可能となる。
【0013】
耳金部は、耳金部の外周面から本体部の径方向外側に向けて突出すると共に積層方向に直線状に延びる第1及び第2の突出部を含み、第1の溶接部は第1の突出部の外表面に形成されており、第2の溶接部は第2の突出部の外表面に形成されていてもよい。第1及び第2の溶接部を例えばアーク溶接で形成する場合、第1及び第2の突出部にアークが到達しやすい。そのため、第1及び第2の溶接部をより確実に耳金部の外周面に形成することが可能となる。
【0014】
耳金部は、耳金部の外周面から本体部の径方向外側に向けて突出すると共に積層方向に直線状に延びる突出部を含み、突出部の先端部は、本体部の周方向において階段状を呈しており、第1の溶接部は突出部の一の段に形成されており、第2の溶接部は突出部の他の段に形成されていてもよい。第1及び第2の溶接部を例えばアーク溶接で形成する場合、突出部の各段にアークが到達しやすい。そのため、第1及び第2の溶接部をより確実に耳金部の外周面に形成することが可能となる。
【0015】
耳金部は、耳金部の外周面から本体部の径方向外側に向けて突出すると共に積層方向に直線状に延びる突出部を含み、突出部は、本体部の周方向に沿って拡がる幅広形状を呈しており、第1の溶接部は突出部の一方の角部近傍に形成されており、第2の溶接部は突出部の他方の角部近傍に形成されていてもよい。第1及び第2の溶接部を例えばアーク溶接で形成する場合、突出部の各角部にアークが到達しやすい。そのため、第1及び第2の溶接部をより確実に耳金部の外周面に形成することが可能となる。
【0016】
積層体は、複数の金属板が積層方向においてカシメにより結合された複数の積層ブロックを有し、第1の溶接部は、複数の積層ブロックのうち積層方向において隣り合う少なくとも二つを接合しており、第2の溶接部は、複数の積層ブロックのうち積層方向において隣り合う少なくとも二つを接合していてもよい。この場合、積層ブロックの金属板はカシメで結合されているので、少なくとも各積層ブロック同士が隣り合う部分が溶接されればよい。そのため、第1及び第2の溶接部の長さが比較的短くなる。従って、溶接作業を比較的短時間で完了することが可能となる。
【0017】
本開示の他の観点に係る固定子積層鉄心の製造方法は、複数の金属板を積層し、環状を呈する本体部と、本体部の外周面から本体部の径方向外側に向けて突出する耳金部とを有する積層体を得る第1の工程と、耳金部の外周面に少なくとも一つの第1の溶接部を形成する第2の工程と、耳金部の外周面に少なくとも一つの第2の溶接部を形成する第3の工程とを含み、第1の溶接部は、複数の金属板の積層方向に沿う第1の仮想直線上に部分的に位置すると共に、積層方向において複数の金属板のうち少なくとも二つを接合しており、第2の溶接部は、積層方向に沿い且つ第1の仮想直線とは異なる第2の仮想直線上に部分的に位置すると共に、積層方向において複数の金属板のうち少なくとも二つを接合している。
【0018】
本開示の他の観点に係る固定子積層鉄心の製造方法では、第2の工程において少なくとも一つの第1の溶接部を耳金部の外周面に形成し、第3の工程において少なくとも一つの第2の溶接部を耳金部の外周面に形成している。本体部の外周面から本体部の径方向外側に向けて突出する耳金部には磁束が流れ難いので、耳金部に第1及び第2の溶接部を形成して複数の金属板同士が接合されたとしても、渦電流は生じない。そのため、渦電流損が比較的小さくなる。また、本開示の他の観点に係る固定子積層鉄心の製造方法では、第1の溶接部が、複数の金属板の積層方向に沿う第1の仮想直線上に部分的に位置すると共に、積層方向において複数の金属板のうち少なくとも二つを接合しており、第2の溶接部が、積層方向に沿い且つ第1の仮想直線とは異なる第2の仮想直線上に部分的に位置すると共に、積層方向において複数の金属板のうち少なくとも二つを接合している。そのため、固定子積層鉄心の一端面から他端面まで溶接部が延びている場合と比較して、金属板の収縮が抑制されるので、金属板の変形が少ない。従って、ヒステリシス損が比較的小さくなる。以上より、本開示の他の観点に係る固定子積層鉄心の製造方法によれば、エネルギー効率の向上を図ることが可能となる。
【0019】
さらに、本開示の他の観点に係る固定子積層鉄心の製造方法では、金属板の変形が少なくなるので、第1及び第2の溶接部の形成後において固定子積層鉄心に生ずる残留応力が比較的小さくなる。そのため、第1及び第2の溶接部の割れ(いわゆる、溶接割れ)の発生を抑制することが可能となると共に、極めて高い平面度、平行度及び直角度を有する固定子積層鉄心を得ることが可能となる。
【0020】
第2の工程では、第1の溶接機構を第1の仮想直線に沿って移動させつつ第1の溶接機構による溶接処理の実行及び停止を切り替えて第1の溶接部を形成し、第3の工程では、第2の溶接機構を第2の仮想直線に沿って移動させつつ第2の溶接機構による溶接処理の実行及び停止を切り替えて第2の溶接部を形成してもよい。この場合、第1の溶接部及び第2の溶接部を形成するにあたり、各溶接機構をそれぞれ各仮想直線に沿って直線的に移動させるだけでよい。そのため、溶接機構を駆動させるための駆動機構を極めて簡便に構成することが可能となる。
【0021】
第2及び第3の工程では、第1及び第2の溶接機構による溶接処理の実行及び停止を略交互に切り替えてもよい。この場合、第1及び第2の溶接機構による溶接処理の実行及び停止(ON/OFF)という極めて簡便な制御により、積層方向において略交互に並ぶ第1の溶接部及び第2の溶接部を形成することが可能となる。このようにして形成される複数の第1の溶接部が第1の仮想直線上にある場合、第1の溶接部同士が一つの第2の溶接部の長さ程度離間する。そのため、第1の仮想直線上において、各第1の溶接部による金属板の変形が相互に影響し難い。同様に、複数の第2の溶接部が第2の仮想直線上にある場合、第2の溶接部同士が一つの第1の溶接部の長さ程度離間する。そのため、第2の仮想直線上において、各第2の溶接部による金属板の変形が相互に影響し難い。さらに、各第1の溶接部による金属板の変形と各第2の溶接部による金属板の変形とも、相互に影響し難い。従って、エネルギー効率の更なる向上を図ることが可能となる。また、溶接割れの発生をより抑制することが可能となると共に、いっそう高い平面度、平行度及び直角度を有する固定子積層鉄心を得ることが可能となる。
【0022】
第2及び第3の工程では、溶接機構を移動させつつ溶接機構による溶接処理の実行及び停止を切り替えて第1及び第2の溶接部をそれぞれ形成してもよい。この場合、二つの溶接機構を用いることができない狭隘な箇所に対しても溶接処理を行うことが可能となる。また、この場合、一つの溶接機構を制御することにより、第1の溶接部及び第2の溶接部が形成される。そのため、必要とする溶接機構の数が少なくなるので、固定子積層鉄心の製造コストを低減することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本開示に係る固定子積層鉄心及びその製造方法によれば、エネルギー効率の向上を図ることが可能なとなる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に説明される本開示に係る実施形態は本発明を説明するための例示であるので、本発明は以下の内容に限定されるべきではない。以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0026】
まず、
図1を参照して、固定子積層鉄心1の構成について説明する。固定子積層鉄心1(ステータ)は、円筒形状を呈している。すなわち、固定子積層鉄心1の中央部分には、中心軸線Axに沿って延びる貫通孔1aが設けられている。貫通孔1a内には、図示しない回転子鉄心(ロータ)が配置可能である。固定子積層鉄心1は、回転子鉄心と共に電動機(モータ)を構成する。固定子積層鉄心1は、積層体10と、溶接群20と、溶接群30とを備える。
【0027】
積層体10は、ヨーク部11(本体部)と、複数のティース部12と、複数の耳金部13とを有する。ヨーク部11は、円環状を呈しており、中心軸線Axを囲むように延びている。ヨーク部11の径方向における幅、内径、外径及び厚さはそれぞれ、モータの用途及び性能に応じて種々の大きさに設定しうる。
【0028】
各ティース部12は、ヨーク部11の内縁から中心軸線Ax側に向かうようにヨーク部11の径方向に沿って延びている。すなわち、各ティース部12は、ヨーク部11の内縁から中心軸線Ax側に向けて突出している。
図1に示される積層体10においては、12個のティース部12がヨーク部11に一体的に形成されている。各ティース部12は、ヨーク部11の周方向において、略等間隔で並んでいる。
【0029】
固定子積層鉄心1がモータとして構成される場合には、各ティース部12には、巻線(図示せず)が所定回数巻回される。隣り合うティース部12の間には、巻線を配置するための空間であるスロット14が画定されている。
【0030】
各耳金部13は、中心軸線Axから離れるように、ヨーク部11の外縁からヨーク部11の径方向に沿って延びている。すなわち、各耳金部13は、ヨーク部11の外縁からヨーク部11の径方向外側に向けて突出している。
図1に示される積層体10においては、3個の耳金部13がヨーク部11に一体的に形成されている。各耳金部13は、ヨーク部11の周方向において、略等間隔で並んでいる。各耳金部13は、中心軸線Ax方向において、積層体10の一端面から他端面にかけて直線状に延びている。
【0031】
各耳金部13は、主突部13aと、一対の副突部13b,13cとを含む。主突部13aは、中心軸線Ax方向から三角形状を呈し、ヨーク部11の外縁に設けられている。主突部13aには、中心軸線Axの延在方向において主突部13a(耳金部13)を貫通する貫通孔15が設けられている。貫通孔15は、固定子積層鉄心1を電動機のハウジング(図示せず)に固定するためのボルトの挿通孔として機能する。
【0032】
一対の副突部13b,13cは共に、中心軸線Ax方向から見て三角形状を呈し、主突部13aの外縁に設けられている。一対の副突部13b,13cは、貫通孔15を間に置くように位置している。副突部13b(第1の突出部)は、主突部13aの外周面上において、中心軸線Axに平行な仮想直線L1(第1の仮想直線)に沿って直線状に延びている。副突部13c(第2の突出部)は、主突部13aの外周面上において、中心軸線Axに平行な仮想直線L2(第2の仮想直線)に沿って直線状に延びている。
【0033】
積層体10は、
図2に示される複数の加工体100によって構成されている。具体的には、積層体10は、複数の加工体100を積み重ね、これらを締結することによって得られる。複数の加工体100の積層方向は、中心軸線Axの延在方向である。加工体100の厚さは、モータの用途及び性能に応じて種々の大きさに設定しうるが、例えば、0.1mm〜0.5mm程度であってもよい。
【0034】
積層体10は、いわゆる転積によって構成されていてもよい。「転積」とは、複数の加工体100を積層させて積層体10を得るに際し、加工体100同士の角度を相対的にずらすことをいい、加工体100を回転させつつ積層することを含む。転積は、主に加工体100の板厚偏差を相殺することを目的に実施される。積層体10を得るにあたり、加工体100を1枚ごとに転積してもよいし、加工体100が所定枚数積層された単位ブロックごとに転積してもよい。転積の角度は、加工体100が有する耳金部103(詳しくは後述する)同士が重なれば、任意の大きさに設定してもよい。例えば、本実施形態では、加工体100が3つの耳金部103を有しているので、転積の角度が120°に設定されていてもよい。また、単位ブロック同士を転積する場合には、積層する単位ブロックの数を加工体100の耳金部103の数のn倍(ただし、nは1以上の自然数)としてもよい。この場合、得られる積層体10の平面度、平行度及び直角度の向上を図ることが可能となる。
【0035】
複数の加工体100を締結するために、種々の公知の方法を採用してもよい。例えば、接着剤又は樹脂材料を用いた接合、カシメ、溶接等によって、複数の加工体100を締結してもよい。このうち、低コスト及び作業効率性の観点から、カシメ又は溶接によって複数の加工体100を締結してもよい。一方、モータにおける高トルクの発現及び低鉄損の観点から、接着剤又は樹脂材料を用いた接合によって複数の加工体100を締結してもよい。また、仮カシメが形成された仮カシメ板(図示せず)を加工体100に設け、仮カシメ板の仮カシメを介して複数の加工体100を締結して中間体を得た後、仮カシメ板が積層された仮カシメブロックを中間体から除去することによって、積層体10を得てもよい。なお、「仮カシメ」とは、複数の加工体100を一時的に一体化させるのに使用されるカシメを意味する。
【0036】
加工体100は、例えば、電磁鋼板(金属板)である被加工板が加工(例えば、打ち抜き加工、切り曲げ加工等)されることにより得られる。加工体100に仮カシメが設けられていない場合、中心軸線Ax方向から見た加工体100の形状は、中心軸線Ax方向から見た積層体10の形状と略同一である(
図1及び
図2参照)。そのため、加工体100も、
図2に示されるように、中心軸線Ax方向から見て円環状を呈している。加工体100の中央部分には、貫通孔100aが設けられている。
【0037】
加工体100は、ヨーク部101と、複数のティース部102と、複数の耳金部103とを有する。ヨーク部101、ティース部102及び耳金部103の形状はそれぞれ、積層体10のヨーク部11、ティース部12及び耳金部13と同一形状である。そのため、隣り合うティース部102の間には、巻線を配置するための空間であるスロット104が画定されている。また、耳金部103は、主突部103aと、一対の副突部103b,103cとを含んでいる。主突部103aには、中心軸線Ax方向において主突部103a(耳金部103)を貫通する貫通孔105が設けられている。
【0038】
図1に戻って、溶接群20は、複数の溶接部21(第1の溶接部)を有する。複数の溶接部21はそれぞれ、副突部13bの外周面に形成されている。
図1に示される溶接群20においては、二つの溶接部21が副突部13bに形成されている。そのため、各溶接部21は、仮想直線L1上に部分的に位置している。換言すれば、各溶接部21は、副突部13bの外周面のうち積層体10の一端面から他端面にかけて全体的に延びているのではなく、副突部13bの外周面において互いに離間しながら中心軸線Ax方向に並んでいる。各溶接部21は、中心軸線Ax方向において複数の加工体100のうち少なくとも二つを接合している。各溶接部21の長さは、いずれも同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0039】
溶接群30は、複数の溶接部31(第2の溶接部)を有する。複数の溶接部31はそれぞれ、副突部13cの外周面に形成されている。
図1に示される溶接群30においては、二つの溶接部31が副突部13cに形成されている。そのため、各溶接部31は、仮想直線L2上に部分的に位置している。換言すれば、各溶接部31は、副突部13cの外周面のうち積層体10の一端面から他端面にかけて全体的に延びているのではなく、副突部13cの外周面において互いに離間しながら中心軸線Ax方向に並んでいる。各溶接部31は、中心軸線Ax方向において複数の加工体100のうち少なくとも二つを接合している。各溶接部31の長さは、いずれも同じであってもよく、互いに異なっていてもよい。各溶接部31の長さは、各溶接部21の長さと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0040】
一対の副突部13b,13cは貫通孔15を間に置くように位置しているので、各副突部13b,13cに形成されている溶接部21と溶接部31とも、貫通孔15を間に置くように位置している。溶接部21と溶接部31とは、中心軸線Ax方向において略交互に並んでいる(千鳥状に配列されている)。中心軸線Ax方向において隣り合う溶接部21と溶接部31との端部同士は、ヨーク部11(積層体10)の周方向において重なり合っていてもよいし、重なり合っていなくてもよい。ヨーク部11(積層体10)の周方向において当該端部同士が重なり合う場合には、重なり合う長さが、例えば、1mm〜10mm程度であってもよい。
【0041】
続いて、
図3を参照して、積層体10(耳金部13)に対して溶接部21,31を形成する方法について説明する。まず、複数の加工体100を積層して積層体10を得る(第1の工程)。次に、副突部13b,13cのそれぞれに対して溶接部21,31を形成する(第2及び第3の工程)。溶接部21,31を形成するにあたり、本実施形態では、溶接機200を用いる。
【0042】
溶接機200は、溶接トーチ201(第1の溶接機構)と、溶接トーチ202(第2の溶接機構)と、供給機構203と、駆動機構204と、揺動機構205と、コントローラ206(制御部)とを備える。溶接トーチ201,202は、例えば、アーク溶接用のトーチである。供給機構203は、コントローラ206からの指示に基づいて、各溶接トーチ201,202を介してワイヤを自動的に母材(副突部13b,13c)に対して供給可能に構成されている。なお、溶接トーチ201,202は必ずしもワイヤを用いなくてもよい。また、溶接機200は、アーク溶接に限らず、レーザ溶接等の他の溶接処理を行えるように構成されていてもよい。
【0043】
駆動機構204は、コントローラ206からの指示に基づいて、各溶接トーチ201,202を中心軸線Ax方向に沿って移動可能に構成されている。揺動機構205は、コントローラ206からの指示に基づいて、各溶接トーチ201,202を中心軸線Axに交差する平面に沿って揺動可能に構成されている。駆動機構204及び揺動機構205は、例えばエアシリンダ、サーボモータ等であってもよい。コントローラ206は、例えば、記録媒体(図示せず)に記録されているプログラム又はオペレータからの操作入力等に基づいて供給機構203、駆動機構204及び揺動機構205をそれぞれ動作させるための指示信号を生成し、当該指示信号を各機構203〜205に送信する。
【0044】
副突部13b,13cのそれぞれに対する溶接部21,31の形成処理(溶接処理)について具体的に説明する。複数の加工体100が積層された積層体10が溶接機200にセットされると、溶接トーチ201の先端が副突部13bの外周面のうち積層体10の一端面寄りに対面すると共に、溶接トーチ202の先端が副突部13cの外周面のうち積層体10の一端面寄りに対面する。
【0045】
次に、コントローラ206が駆動機構204に指示して、溶接トーチ201,202の先端がそれぞれ副突部13b,13cに対面した状態を保持したまま、溶接トーチ201,202を副突部13b,13cの外周面のうち積層体10の他端面に向けて移動させる(
図3の矢印Ar1参照)。このとき、中心軸線Ax方向において溶接部21の形成予定個所22に溶接トーチ201,202が位置しているときには、コントローラ206が供給機構203に指示して、ワイヤを溶接トーチ201に供給させるが溶接トーチ202に供給させない。一方、中心軸線Ax方向において溶接部31の形成予定個所32に溶接トーチ201,202が位置しているときには、コントローラ206が供給機構203に指示して、ワイヤを溶接トーチ202に供給するが溶接トーチ201に供給しない。
【0046】
従って、溶接部21の形成の際には、溶接トーチ201が仮想直線L1に沿って移動しつつ、溶接トーチ201による溶接処理の実行及び停止(ON/OFF)が切り替えられる。溶接部31の形成の際には、溶接トーチ202が仮想直線L1に沿って移動しつつ、溶接トーチ202による溶接処理の実行及び停止(ON/OFF)が切り替えられる。特に、本実施形態では、溶接トーチ201,202による溶接処理の実行及び停止が略交互に切り替えられる。
【0047】
こうして、副突部13b,13cにそれぞれ溶接部21,31が形成されると、溶接処理が完了する。
【0048】
以上のような本実施形態では、溶接部21と溶接部31とが耳金部13の外周面に形成されている。ヨーク部11の外周面からヨーク部11の径方向外側に向けて突出する耳金部13には磁束が流れ難いので、耳金部13に溶接部21,31を形成して複数の加工体100同士が接合されたとしても、渦電流は生じない。そのため、渦電流損が比較的小さくなる。また、本実施形態では、溶接部21が、中心軸線Ax方向(複数の加工体100の積層方向)に沿う仮想直線L1上に部分的に位置すると共に、中心軸線Ax方向において複数の加工体100のうち少なくとも二つを接合している。同様に、溶接部31が、中心軸線Ax方向に沿い且つ仮想直線L1とは異なる仮想直線L2上に部分的に位置すると共に、中心軸線Ax方向において複数の加工体100のうち少なくとも二つを接合している。そのため、積層体10の一端面から他端面まで溶接部21,31が延びている場合と比較して、加工体100の収縮が抑制されるので、加工体100の変形が少ない。従って、ヒステリシス損が比較的小さくなる。以上より、本実施形態によれば、エネルギー効率の向上を図ることが可能となる。
【0049】
本実施形態では、加工体100の変形が少なくなるので、溶接部21,31の形成後において固定子積層鉄心1に生ずる残留応力が比較的小さくなる。そのため、溶接部21,31の割れ(いわゆる、溶接割れ)の発生を抑制することが可能となると共に、極めて高い平面度、平行度及び直角度を有する固定子積層鉄心1を得ることが可能となる。
【0050】
本実施形態では、溶接部21と溶接部31とは中心軸線Ax方向において略交互に並んでいる。そのため、溶接部21同士が一つの溶接部31の長さ程度離間する。従って、仮想直線L1上において、各溶接部21による加工体100の変形が相互に影響し難い。同様に、溶接部31同士が一つの溶接部21の長さ程度離間する。したがって、仮想直線L2上において、各溶接部31による加工体100の変形が相互に影響し難い。さらに、各溶接部21による加工体100の変形と各溶接部31による加工体100の変形とも、相互に影響し難い。以上よりエネルギー効率の更なる向上を図ることが可能となる。また、溶接割れの発生をより抑制することが可能となると共に、いっそう高い平面度、平行度及び直角度を有する固定子積層鉄心1を得ることが可能となる。
【0051】
本実施形態では、溶接部21と溶接部31とは、貫通孔15を間に置くように位置している。そのため、溶接部21による加工体100の変形と溶接部31による加工体100の変形とが、貫通孔15の両側において均等に生じやすい。そのため、貫通孔15に歪みが生じ難くなるので、貫通孔15が積層方向に沿って直線状に延びやすい。従って、固定子積層鉄心1をハウジングに固定するためのボルトの挿通孔として貫通孔15を利用する際に、ボルトをスムーズに貫通孔15に挿通することが可能となると共に、固定子積層鉄心1のハウジングに対するボルトによる固定力をより高めることが可能となる。
【0052】
本実施形態では、溶接部21が副突部13bの外表面に形成されており、溶接部31は副突部13cの外表面に形成されている。副突部13b,13cは主突部13aからさらに外方に向けて突出しているので、溶接部21,31を例えばアーク溶接で形成する場合、副突部13b,13cにアークが到達しやすい。そのため、溶接部21,31をより確実に副突部13b,13cの外周面に形成することが可能となる。
【0053】
本実施形態では、溶接トーチ201を仮想直線L1に沿って移動させつつ溶接トーチ201による溶接処理の実行及び停止を切り替えて溶接部21を形成すると共に、溶接トーチ202を仮想直線L2に沿って移動させつつ溶接トーチ202による溶接処理の実行及び停止を切り替えて溶接部31を形成している。そのため、溶接部21,31を形成するにあたり、各溶接トーチ201,202をそれぞれ各仮想直線L1,L2に沿って直線的に移動させるだけでよい。従って、各溶接トーチ201,202を駆動させるための駆動機構204を極めて簡便に構成することが可能となる。
【0054】
本実施形態では、溶接部21,31の形成にあたり、溶接トーチ201,202による溶接処理の実行及び停止(ON/OFF)を略交互に切り替えている。そのため、極めて簡便な制御により、中心軸線Ax方向において略交互に並ぶ溶接部21,31を形成することが可能となる。
【0055】
以上、本開示に係る実施形態について詳細に説明したが、本発明の要旨の範囲内で種々の変形を上記の実施形態に加えてもよい。例えば、
図4(a)に示されるように、主突部13aに一つの副突部13dが設けられていてもよい。副突部13dは、ヨーク部11の周方向において(平面視において)階段状を呈しており、二つの段差部13d
1,13d
2を含む。段差部13d
1,13d
2はそれぞれ、仮想直線L1,L2に沿って延びている。溶接部21,31はそれぞれ、段差部13d
1,13d
2上に形成されている。この場合も、段差部13d
1,13d
2が主突部13aからさらに外方に向けて突出しているので、溶接部21,31を例えばアーク溶接で形成する場合、段差部13d
1,13d
2にアークが到達しやすい。そのため、溶接部21,31をより確実に段差部13d
1,13d
2の外周面に形成することが可能となる。
【0056】
図4(b)に示されるように、主突部13aに一つの副突部13eが設けられていてもよい。副突部13eは、ヨーク部11の周方向に沿って拡がる幅広形状を呈しており、二つの角部13e
1,13e
2を含む。段差部13e
1,13e
2はそれぞれ、仮想直線L1,L2に沿って延びている。溶接部21,31はそれぞれ、角部13e
1,13e
2上に形成されている。この場合も、角部13e
1,13e
2が主突部13aからさらに外方に向けて突出しているので、溶接部21,31を例えばアーク溶接で形成する場合、角部13e
1,13e
2にアークが到達しやすい。そのため、溶接部21,31をより確実に角部13e
1,13e
2の外周面に形成することが可能となる。
【0057】
図4(c)に示されるように、主突部13aに副突部が設けられていなくてもよい。この場合、溶接部21,31は主突部13a(耳金部13)の外周面に直接形成される。
【0058】
溶接群20は、少なくとも一つの溶接部21を有していてもよい。溶接群30は、少なくとも一つの溶接部31を有していてもよい。溶接部21,31のバリエーションを
図5に例示する。なお、
図5では、主突部13aに副突部が設けられていない耳金部13を図示しているが、
図5に示される各種の溶接部21,31の形態は、主突部13aに副突部が設けられている耳金部13に対しても適用可能である。
【0059】
図5(a)に示されるように、仮想直線L1に沿って延びる一つの溶接部21と仮想直線L2に沿って延びる一つの溶接部31とが耳金部13の外周面に形成されていてもよい。
図5(b)に示されるように、耳金部13の外周面のうち貫通孔15に対して一方寄りに溶接部21,31が形成されていてもよい。換言すれば、溶接部21と貫通孔15とが溶接部31を間に置くように位置していてもよい。
【0060】
図5(c)に示されるように、溶接部21と溶接部31とが中心軸線Ax方向において交互に並んでいなくてもよい。すなわち、仮想直線L1に沿って隣り合うように並ぶ複数の溶接部21を含む溶接群20と、仮想直線L2に沿って隣り合うように並ぶ複数の溶接部31を含む溶接群30とが、中心軸線Ax方向において並んでいてもよい。
【0061】
図5(d)に示されるように、仮想直線L1に沿って延びる少なくとも一つの溶接部21を含む溶接群20、及び、仮想直線L2に沿って延びる少なくとも一つの溶接部31を含む溶接群30に加え、仮想直線L3に沿って延びる少なくとも一つの溶接部41を含む溶接群40、仮想直線L4に沿って延びる少なくとも一つの溶接部51を含む溶接群50等が耳金部13の外周面に形成されていてもよい。仮想直線L1〜L4はいずれも、中心軸線Ax方向に沿って延びており、互いに異なる直線である。
【0062】
主突部13a、副突部13b,13c、段差部13d
1,13d
2、角部13e
1,13e
2、仮想直線L1〜L4等は、中心軸線Ax方向(加工体100の積層方向)に沿って延びていればよく、中心軸線Ax方向に対して所定角度傾いていてもよい。
【0063】
図6及び
図7に示されるように、積層体10は、複数の加工体100が積層方向においてカシメCによって結合された複数の積層ブロック300を有していてもよい。積層ブロック300は、中心軸線Ax方向にさらに積層され、積層体10を構成している。加工体100をカシメCで締結する場合、最外部に位置する一つの加工体100には、隣り合う加工体100のカシメCに対応する位置に、当該カシメCと嵌合可能な貫通孔が形成されていてもよい。
【0064】
溶接部21は、複数の積層ブロック300のうち積層方向において隣り合う少なくとも二つを接合していてもよい。溶接部31は、複数の積層ブロック300のうち積層方向において隣り合う少なくとも二つを接合していてもよい。この場合も、溶接部21と溶接部31とは、中心軸線Ax方向において交互に並んでいてもよいし、
図5(c)に示されるように交互に並んでいなくてもよい。この場合の溶接部21,31の長さは、積層ブロック300の厚さの1/2程度であってもよい。隣り合う二つの積層ブロック300を跨ぐように形成された溶接部21,31のうち一方の積層ブロック300上に位置する部分は、積層ブロック300の厚さの1/4程度であってもよい。
【0065】
上記の実施形態では、溶接処理に際して、溶接トーチ201,202を共に同じ方向(
図3の矢印Ar1参照)に移動させたが、溶接トーチ201,202を互いに逆方向に移動させてもよい。すなわち、溶接トーチ201の先端が副突部13bの外周面のうち積層体10の一端面寄りに対面した状態から、溶接トーチ201が副突部13bの外周面のうち積層体10の他端面側に向けて移動すると共に、溶接トーチ202の先端が副突部13cの外周面のうち積層体10の他端面寄りに対面した状態から、溶接トーチ202が副突部13cの外周面のうち積層体10の一端面側に向けて移動してもよい。
【0066】
積層体10が複数の耳金部13を有する場合には、二つ以上の耳金部13を同時に溶接処理してもよいし、各耳金部13を一つずつ溶接処理してもよい。積層体10が複数の耳金部13を有する場合には、溶接部21,31を形成するタイミングを双方の耳金部13において同期させてもよいし、一方の耳金部13において副突部13bに溶接部21を形成している際には他方の耳金部13において副突部13cに溶接部31を形成してもよい。
【0067】
一つの溶接トーチ201を用いて耳金部13の外周面に溶接部21,31を形成してもよい。具体的には、
図8に示されるように、コントローラ206が駆動機構204及び揺動機構205に指示して、溶接トーチ201を中心軸線Ax方向に移動させつつ、溶接トーチ201の先端が副突部13b,13cにそれぞれ向かうように溶接トーチ201を揺動させてもよい。この場合、二つの溶接トーチを用いることができない狭隘な箇所に対しても溶接処理を行うことが可能となる。また、この場合、一つの溶接トーチ201を制御することにより、溶接部21,31が形成される。そのため、必要とする溶接トーチの数が少なくなるので、固定子積層鉄心1の製造コストを低減することが可能となる。一つの溶接トーチ201を用いる場合、副突部13b,13cに交互に溶接部21,31を形成してもよいし、まず副突部13bに少なくとも一つの溶接部21を形成し、その後に少なくとも一つの副突部13cに溶接部31を形成してもよい。
【0068】
なお、以上の溶接処理の各例に関し、主突部13aに副突部13b〜13eが設けられている場合も設けられていない場合も、同様に適用可能である。ここで、耳金部13の外周面のうち貫通孔15に対して一方寄りに副突部(
図4(a)の副突部13d、
図4(b)の副突部13e等)が形成されている場合の溶接処理について、副突部13dを例にとって説明する。例えば、まず段差部13d
1に対して溶接トーチ201により溶接部21を形成し(
図9(a)参照)、溶接トーチ201を副突部13dから退避させた後、溶接トーチ201を副突部13dに近接させ、段差部13d
2に対して溶接トーチ202により溶接部31を形成してもよい(
図9(b)参照)。溶接トーチ201が段差部13d
1に対向すると共に溶接トーチ202が段差部13d
2に対向するように溶接トーチ201,202を設置した状態で、段差部13d
1,13d
2に対してそれぞれ溶接トーチ201,202により溶接処理を行ってもよい(
図10(a)参照)。一つの溶接トーチ201を用いて段差部13d
1,13d
2に対してそれぞれ溶接処理を行ってもよい(
図10(b)参照)。
図9に示される処理方法によれば、一の副突部13dの近傍に位置する溶接トーチ201,202同士の干渉、及び、一の副突部13dの近傍に位置する溶接トーチと当該一の副突部13dと隣り合う副突部13dの近傍に位置する溶接トーチとの干渉を避けるよう、溶接トーチ201,202を動作させる。一方、
図10(a),(b)に例示される処理方法によれば、
図9に示される処理方法と比較して、上記のような干渉が生じ難いので、溶接トーチ201,202の駆動機構204及び揺動機構205を簡素化することが可能となる。
【0069】
溶接処理に際して、溶接トーチ201,202を移動させずに積層体10を移動させてもよいし、溶接トーチ201,202及び積層体10の双方を移動させてもよい。