特許第6653577号(P6653577)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6653577プラスマエンハンスト原子層エッチングの方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6653577
(24)【登録日】2020年1月30日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】プラスマエンハンスト原子層エッチングの方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20200217BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   H01L21/302 105A
   H05H1/46 M
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-1928(P2016-1928)
(22)【出願日】2016年1月7日
(65)【公開番号】特開2016-134623(P2016-134623A)
(43)【公開日】2016年7月25日
【審査請求日】2018年9月27日
(31)【優先権主張番号】14/598,532
(32)【優先日】2015年1月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512144771
【氏名又は名称】エーエスエム アイピー ホールディング ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(72)【発明者】
【氏名】深澤 篤毅
【審査官】 鈴木 聡一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−529777(JP,A)
【文献】 特開2008−198629(JP,A)
【文献】 特開2010−245518(JP,A)
【文献】 特開2012−195513(JP,A)
【文献】 特開2013−235912(JP,A)
【文献】 特表2004−502318(JP,A)
【文献】 特表2011−521452(JP,A)
【文献】 特表2014−522104(JP,A)
【文献】 S. Athavale et al.,Realization of atomic layer etching of silicon,J. Vac. Sci. Technol. B,米国,1996年11月,14巻6号,3702-3705
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H05H 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応空間内の電極間に配置された基板上の層を、少なくとも1つのエッチングサイクルを含む原子層エッチング(ALE)処理によってエッチングする方法であって、前記エッチングサイクルは、
少なくともエッチングガスのためのキャリアガスとして不活性ガス流を前記反応空間に連続的に提供する工程と、
前記反応空間の上流の連続的な前記不活性ガス流にエッチングガスのパルスを提供し、前記反応空間内の前記基板の表面に前記エッチングガスを非励起状態で化学吸着する工程と、
前記反応空間内に不活性ガスの反応種を生成し、かつ前記エッチングガスが化学吸着された前記基板の表面を前記反応種と接触させるために、前記電極間にRFパワー放電のパルスを提供し、前記基板上の層をエッチングする工程と、
を備える方法。
【請求項2】
前記エッチングガスは、ハロゲン含有ガス及び/又は炭化水素ガスである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャリアガスは、前記反応空間内の前記基板の表面に前記エッチングガスを非励起状態で化学吸着する工程において前記エッチングガスを前記基板の表面に化学吸着させるとともに、前記基板上の層をエッチングする工程において前記エッチングガスが化学吸着された層をプラズマ反応によってエッチングする反応ガスとしても機能する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記キャリアガス以外の、前記反応空間内の前記基板の表面に前記エッチングガスを非励起状態で化学吸着する工程において前記エッチングガスを前記基板の表面に化学吸着させるとともに、前記基板上の層をエッチングする工程において前記エッチングガスが化学吸着された層をプラズマ反応によってエッチングする反応ガスを前記反応空間に提供する工程を更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記反応ガスは、ALE処理時に連続的に前記反応空間内に連続的に流れる、前記エッチングガスを前記基板の表面に化学吸着させるとともに、前記エッチングガスが化学吸着された層をプラズマ反応によってエッチングする不活性ガスを含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記キャリアガスは、マスフローコントローラを通じて流れ、その後、前記反応空間の上流に配置されるガスマニホールドを通じて流れ、前記エッチングガスは、マスフローコントローラを通じて流れ、前記キャリアガス用のマスフローコントローラの下流かつ前記ガスマニホールドの上流で前記キャリアガス流と合流され、各反応ガスは、マスフローコントローラを通じて流れ、その後、前記ガスマニホールドにおいて前記キャリアガスと共に前記エッチングガスと合流される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記不活性ガスは、希ガス及び窒素ガスからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記反応ガスは、酸化ガス及び還元ガスからなる群から選択される少なくとも1つのガスを含む請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記ALE処理は、0℃から200℃の温度で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記エッチングガスのパルス及び前記RFパワー放電のパルスは、重複しない請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記反応空間から余剰なエッチングガスを除去するために、前記エッチングガスのパルスと前記RFパワー放電のパルスとの間にパージ期間が取られ、前記反応空間から余剰な反応生成物を除去するために、前記RFパワー放電のパルスの後にパージ期間が取られる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ALE処理を通じて、前記エッチングガスとしてハロゲン含有ガス以外のガスが流れない請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記基板の層は、凹部パターンを有する請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記不活性ガスは、希ガスであり、前記基板の層は、前記反応空間に前記不活性ガスを供給することにより異方性エッチングされる請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ALE処理時に、(i)前記不活性ガスの流量が3000sccm以上である、(ii)RFパワーが250W以上である、(iii)圧力が300Pa以上である、の条件の少なくとも1つを採用する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記エッチングサイクルは、複数回繰り返される請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記反応空間は、膜形成又はドライエッチング用の反応チャンバ内に形成される請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記基板の層は、シリコン含有誘電層であり、エッチング速度は、0.01nm/min以上である請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子層エッチング(atomic layer etching(ALE))の方法に関するものであり、特に、プラスマエンハンスト原子層エッチング(plasma−enhanced ALE(PEALE))に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの超小型化及び複雑な構造を伴う各種の処理に対処するために、処理の精度は、ダブルパターニングのような新しい技術によって際立って改善されてきている。しかし、励起反応種を用いた連続的なエッチングのような従来のエッチング技術は、微細な、狭い凹凸パターンを形成することが困難であり、形状欠陥を生じる場合がある。よって、原子層レベルのエッチングを行うことができ、例えばダブルパターニング処理に適したエッチング技術の開発は重要となっている。しかし、低いエッチング速度、エッチングの方向性に亘る低い制御性能などは、改善される必要がある。
【0003】
関連する分野に含まれる課題及び解決手段の説明は、単に本発明の文脈を提供する目的で本開示に含まれているものであり、説明のいずれか又は全てが、本発明がなされたときに既知であることを認めるものとして受け取られるべきではない。
【発明の概要】
【0004】
一部の実施形態は、以下の構成の1以上によって特徴付けられる原子層レベルのエッチング(原子層エッチング(atomic layer etching)、ALEともいう)の方法を提供する:(a)エッチングガスは、不活性ガスと共にマスフローコントローラを通じて反応空間に供給され、エッチングガス及び不活性ガスは、マスフローコントローラの下流で合流し、不活性ガスは、連続的に供給されるが、エッチングガスは、パルス状で供給され、これにより、パージの効率が向上する、(b)エッチングにプラズマが用いられ、不活性ガス又は窒素ガスは、プラズマを生成するために反応空間に実質的な反応ガスとして供給され、エッチング速度は、追加の反応ガスとして酸素ガスのような酸化ガス又は水素ガスのような還元ガスを選択的に加えることにより制御される、(c)処理温度は、0℃から250℃で制御される、(d)エッチングの方向性は、反応ガスの種類及びエッチング条件を選択することにより異方性エッチング又は等方性エッチングのいずれかを行うように制御される。
【0005】
一部の実施形態では、ALEは、化学気相成長(CVD)、原子層堆積(ALD)などによる膜の堆積用の反応チャンバとしても使用される反応チャンバ内、又はドライエッチング用の反応チャンバとしても使用される反応チャンバ内で行われることができ、エッチングを行うために別途のチャンバを必要としない。それに代えて、ALEは、クラスタ装置に搭載された複数のチャンバのうちの1つとしてウェーハハンドリングチャンバに取り付けられた反応チャンバで行われることができる。一部の実施形態では、ALEは、Oアッシング、異方性エッチングなどの任意の組み合わせに用いられる同一のチャンバでもある同一の反応チャンバ内で行われる異方性又は等方性ALEのいずれかである。一部の実施形態では、ALEは、クラスタ装置の複数の反応チャンバの1つで行われる異方性又は等方性ALEのいずれかであり、クラスタ装置の他の反応チャンバは、Oアッシング、異方性エッチングなどの任意の組み合わせのためのものである。
【0006】
一部の実施形態では、ALE用のプラズマは、導電結合された電極、リモートプラズマユニット又はこれらの組み合わせを用いて生成される。
【0007】
一部の実施形態では、ALE用のエッチングガスは、フッ化炭素、他のハロゲン含有ガス、及び炭化水素ガスからなる群から選択される1以上のガスである。
【0008】
一部の実施形態では、不活性ガスは、キャリアガスラインを通じて流れるキャリアガス、反応ガスラインを通じて流れる反応ガス、又はキャリアガス及び反応ガスの両方として連続的に供給される。不活性ガスが連続的に流れるため、不活性ガスは、パージガスとして機能することができる。
【0009】
本発明の態様及び関連分野に対して達成された利点を要約する目的のために、本発明の特定の目的及び利点が本開示に記載されている。もちろん、全てのこのような目的又は利点は本発明の任意の特定の実施形態に従って達成され得ることを必ずしも必要としないことは理解される。したがって、例えば、当業者は、本明細書に教示又は示唆され得るような他の目的又は利点を必ずしも達成しなくても、本明細書に教示されている1つの利点又は1群の利点を達成又は最適化するように本発明が具現化され得るか又は実施され得ることを認識するであろう。
【0010】
本発明のさらなる態様、特徴及び利点は以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明のこれら及び他の特徴を好ましい実施形態の図面を参照して記載するが、それらは本発明を例示するためであり、本発明を限定するものではない。図面は、説明の都合上、非常に簡略化されており、必ずしも縮尺通りではない。
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態で使用可能な半導体基板をエッチングするためのPEALE(plasma−enhanced atomic layer etching)装置の概略図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る1つのサイクルにおけるPEALEの概略的な処理シーケンスを示し、一つの段で示されるステップは、ON状態を表す一方で、段で示されないステップは、OFF状態を表し、各段の幅は、各処理の期間を示すものではない。
図3図3は、比較のための実施形態に係る非サイクルのエッチング処理の概略的な処理シーケンスを示し、一つの段で示されるステップは、ON状態を表す一方で、段で示されないステップは、OFF状態を表し、各段の幅は、各処理の期間を示すものではない。
図4図4は、本発明の実施形態に係る、サイクル当たりのエッチング速度(etching rate per cycle(EPC))(nm/cycle)と、サイクル当たりのエッチングガス供給時間(秒)との関係を示すグラフである。
図5図5は、本発明の実施形態に係る、サイクル当たりのエッチング速度(etching rate per cycle(EPC))(nm/cycle)と、サイクル当たりのパージガス時間(秒)との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示において、「ガス」は、蒸発した固体及び/又は液体を含んでもよく、単一のガス又はガスの混合物により構成されてもよい。本開示では、シャワーヘッドを通じて反応チャンバへ導入されるプロセスガスは、エッチングガス及び添加ガスを含むか、実質的にエッチングガス及び添加ガスからなるか、又はエッチングガス及び添加ガスからなってもよい。添加ガスは、典型的には、RFパワーが反応ガスに加えられるときに、エッチングガスト反応するための反応ガスを含む。反応ガスは、混合ガスとして反応ガスと共に、又は反応ガスとは別に反応チャンバに導入される希釈ガスで希釈されてもよい。エッチングガスは、希ガスのようなキャリアガスと共に導入されうる。また、処理ガス以外のガス、つまり、シャワーヘッドを通過せずに導入されるガスは、例えば、希ガスのようなシールガスを含む、反応空間のシールのために用いられてもよい。一部の実施形態では、用語「エッチングガス」は、一般的には、基板上の層をエッチングするエッチング反応に関与する少なくとも1つのガス状又は気体状化合物を指し、特に、非励起状態で層に化学吸着し、活性化されたときに層をエッチングする少なくとも1つの化合物を指し、用語「反応ガス」は、エッチングガスの活性化に寄与する、又はエッチングガスによるエッチング反応に触媒作用を及ぼす少なくとも1つのガス状又は気体状化合物を指す。用語「エッチングガス」は、文脈に応じて、キャリアガスではない活性ガス、又は活性ガスとキャリアガスとの混合物を指す。同様に、用語「反応ガス」は、文脈に応じて、希釈ガスではない反応ガス、又は希釈ガスで希釈される反応ガスを指す。用語「キャリアガス」は、エッチングガスを混合状態で反応空間へ運び、エッチングガスを含む混合ガスとして反応空間に入る非励起状態の不活性又は非反応性ガスを指す。不活性ガス及びエッチングガスは、反応空間の上流のいずれかで混合ガスとして合流されることができ、例えば、(a)エッチングガスラインに設けられるマスフローコントローラの上流のエッチングガスライン、ここで、不活性ガスは、エッチングガスラインを通じて流れるキャリアガス又は不活性ガスとして提供される、(b)エッチングガスラインに設けられるマスフローコントローラの下流であるが、全ての又は主な処理ガスが合流するガスマニホールドの上流のエッチングガスライン、ここで、不活性ガスは、エッチングガスの一部として(キャリアガス又はパージガスとして)提供される、及び/又は(c)全ての又は主要な処理ガスが合流するガスマニホールド、ここで、不活性ガスは、ガスマニホールドの下流で反応ガス又はパージガスとして反応ガスラインに流れる、のいずれかで混合ガスとして合流されることができる。上記では、典型的には、(a)は稀である。よって、不活性ガスは、(エッチングガスの一部としての)キャリアガス及び/又は反応ガスの少なくとも一部として機能することができ、上記のガスは、パージガスとしても機能することができる。
【0014】
一部の実施形態では、「膜」は、ターゲットとなる表面もしくは対象となる表面全体を覆うためにピンホールを有さずに実質的に厚さ方向に垂直な方向に連続して延びる層、又はターゲットとなる表面もしくは対象となる表面を単に覆う層を指す。一部の実施形態では、「層」は、表面上に形成される特定の厚さを有する構造又は膜の同義語又は非膜構造を指す。膜又は層は、特定の性質を有する別個の単一の膜もしくは層又は複数の膜もしくは層により構成されてもよく、隣接する膜又は層の間の境界は明確であってもよく、又は明確でなくてもよく、物理的、化学的及び/もしくは任意の他の特性、形成プロセスもしくは順序、ならびに/又は隣接する膜もしくは層の機能もしくは目的に基づいて規定されてもよい。
【0015】
更に、本開示において、任意の2つの数の変数は、その変数の実行可能な範囲を構成でき、実行可能な範囲は通常作業に基づいて決定でき、示された任意の範囲はエンドポイントを含んでいてもよく、又は除外していてもよい。更に、示された変数の任意の値(それらが「約」と共に示されているか否かに関わらず)は、正確な値又はおおよその値を指し、同値を含んでもよく、一部の実施形態において、平均値、中央値、代表値、多数値などを指してもよい。また、用語「構成される」及び「有する」は、独立して、一部の実施形態における「典型的に又は広義に備える」、「備える」、「実質的に〜からなる」、又は「からなる」を指す。更に、「一つ」の物品は、一つの種類又は複数の種類を含む属を指す。本開示において、任意の定義された意味は、一部の実施形態において、通常及び慣例の意味を必ずしも除外しているわけではない。
【0016】
条件及び/又は構造が特定されていない本開示において、当業者は、通常の実験として、本開示を考慮してそのような条件及び/又は構造を容易に得ることができる。開示された実施形態の全てにおいて、一実施形態において使用されている任意の要素は、意図される目的のために本明細書に明確、必然的又は本質的に開示されている要素を含む、要素と等価の任意の要素と置き換えられてもよい。更に、本発明は装置及び方法に同様に適用されてもよい。
【0017】
実施形態は、好ましい実施形態に対して説明される。しかし、本発明は、好ましい実施形態に限定されない。
【0018】
前述された課題の少なくとも1つを解決する一部の実施形態は、少なくとも1つのエッチングサイクルを備える原子層エッチング(atomic layer etching(ALE))により反応空間内の電極間に配置される基板上の層をエッチングするための方法を提供し、エッチングサイクルは、(i)少なくともエッチングガスのためのキャリアガスとして不活性ガス流を前記反応空間に連続的に提供する工程と、(ii)前記反応空間の上流の連続的な前記不活性ガス流にエッチングガスのパルスを提供し、前記反応空間内の前記基板の表面に前記エッチングガスを非励起状態で化学吸着する工程と、(iii)前記反応空間内に前記不活性ガスの反応種を生成し、かつ前記エッチングガスが化学吸着された前記基板の表面を前記反応種と接触させるために、前記電極間にRFパワー放電のパルスを提供し、前記基板上の層をエッチングする工程と、を備える。上記では、用語「連続的に」は、実施形態に応じて、空間を遮断しない(例えば、基板に亘る供給を遮断しない)、流れを遮断しない(例えば、流入を遮断しない)、及び/又は一定の速度で、ということを指す(当該用語は、前記の全てを同時に満たす必要はない)。一部の実施形態では、「連続的な」流れは、一定の流量を有する(それに代えて、流れが「連続的」であったとしても、その流量は時間と共に変化してもよい)。本開示では、「化学吸着」は、化学飽和吸着を指す。化学吸着が自己制限反応処理であるため、堆積されるエッチングガス分子の量は、反応表面サイトの数によって決定され、飽和後の前駆体露出とは別であり、エッチングガスの供給は、反応表面サイトがサイクルごとに飽和されてなされる。
【0019】
一部の実施形態では、キャリアガスは、反応ガスとしても機能する(例えば、ALEのために用いられる不活性ガスは、キャリアガスからなる)。一部の実施形態では、本方法は、キャリアガスとは別の反応ガスを反応空間へ提供する工程を更に備え、一部の実施形態では、反応ガスは、ALE処理時に連続的に、反応空間に連続的に流れる不活性ガスを含む。
【0020】
一部の実施形態では、エッチングガスのパルス及びRFパワー放電のパルスは、重複しない。一部の実施形態では、反応空間から余剰なエッチングガスを除去するために、エッチングガスのパルスとRFパワー放電のパルスとの間にパージ期間が取られ、反応空間から余剰な反応生成物を除去するために、RFパワー放電のパルスの後にパージ期間が取られる。
【0021】
一部の実施形態では、エッチングサイクルは、エッチングされる目標厚さに応じて複数回(例えば、50回から5000回、典型的には200回から2000回)繰り返され、ここで、層は、層の表面上の原子層として吸着されたエッチングガスがALEサイクルごとにエッチングできる程度にエッチングされる。一部の実施形態では、基板の層が、シリコン酸化膜のようなシリコン含有誘電体層であるとき、サイクル当たりのエッチング速度(EPC)は、少なくとも0.003nm/cycle(典型的には、0.005nmから0.05nm/cycle)であり、分あたりのエッチング速度は、上層又はブランケット層がエッチングされたときに測定すると、少なくとも0.01nm/min(典型的には、0.15nm/minから1.5nm/min)である。
【0022】
一部の実施形態では、エッチングガスは、C、C、C、Cのような1以上のハロゲン含有ガス及びヘキサンのような1以上の炭化水素ガスである。一部の実施形態では、ALE処理を通じて流れるエッチングガスとしてハロゲン含有ガス以外のガスは流れない。
【0023】
一部の実施形態では、不活性ガスは、ALE処理時に連続的に反応空間にキャリアガスとして流れる。それに代えて又はそれに加えて、不活性ガスは、ALE処理時に連続的に反応空間に反応ガスとして流れる。不活性ガスがキャリアガスとしても構成及び機能し、かつ反応ガスが不活性ガスを含む場合、反応ガス中の不活性ガスは、パルス状で反応空間に流れることができる。不活性ガス以外の反応ガスは、パルス状で反応空間に流れてもよい。キャリアガス、反応ガス、又は反応空間の上流(例えば、シャワーヘッドの上流又はシャワーヘッドの上流に配置されて複数のガスが合流するガスマニホールド)でエッチングガスと混合される任意の他の連続的に流れるガスは、混合された状態でエッチングガスと共にガスが反応空間に入るため、広義にキャリアガスと呼ばれてもよく、また、連続的な流れが反応空間及び基板表面から不要なエッチングガスをパージすることができるため、パージガスとも呼ばれる。
【0024】
一部の実施形態では、不活性ガスは、希ガス(例えば、He、Ne、Ar、Kr及び/又はXe、好ましくはAr及び/又はHe)、窒素ガス又は希ガスと窒素ガスとの混合物からなる群から選択される。
【0025】
一部の実施形態では、エッチングガスは、不活性ガス、又は不活性ガス及び1以上の追加ガスからなり、1以上の追加ガスは、酸化ガス(例えば、Oガス)及び還元ガス(例えば、Hガス)からなる群から選択される。一部の実施形態では、ALE処理に用いられる不活性ガスは、キャリアガスラインを通じて流れるキャリアガスからなる、又はキャリアガスラインを通じて連続的に流れるキャリアガス及びキャリアガスとは別の反応ガスラインを通じて連続的に流れる反応ガスの少なくとも一部からなる。
【0026】
一部の実施形態では、基板の層は、凹部パターンを有する。原子層堆積(atomic layer deposition(ALD))と同様に、エッチングのコンフォーマリティ(conformality)又は方向性(directionality)は、ALE処理では一般的に非常に高い。しかし、一部の実施形態では、基板の層は、1000sccm超の流量(例えば、2000sccm、3000sccm、4000sccm、5000sccm、6000sccm、7000sccm又はそれらの値の間の任意の値)で不活性ガスを反応空間に供給することにより異方性エッチングされ、キャリアガスの流量は、特定のRFパワー、圧力などを用いる条件で、500sccm超(例えば、1000sccm、1500sccm、2000sccm又はそれらの値の間の任意の値)である。側壁のエッチング厚さを、上面のエッチング厚さで割ることによって算出されるパーセンテージである、エッチング後の表面のコンフォーマリティが30%以下のときに、エッチングは、「異方性」である。コンフォーマリティが20%以下、10%以下又は5%以下である場合、エッチングは、異方性が高い。一部の実施形態では、エッチングのコンフォーマリティ又は方向性は、反応ガスに窒素含有ガス、酸化ガス及び/又は還元ガスを含むことにより調整されうる。一部の実施形態では、ALE処理は、0℃から200℃、好ましくは約50℃から約100℃の温度で行われる。
【0027】
一部の実施形態では、反応空間は、膜形成用又はドライエッチング用の反応チャンバ内に形成される。ALE処理は、膜形成用又はドライエッチング用に用いられる同一の反応チャンバを用いて行われることができ、デバイスの製造は、連続的かつ効率的に行われうる。それに代えて、ALE処理は、クラスタ装置の共通ウェーハハンドリングチャンバに取り付けられたチャンバ内で行われうる。
【0028】
エッチングされる誘電体膜は、SiO、SiC、SiCN、SiNなどで構成されるシリコン含有絶縁膜、Al、Tiなどで構成される金属含有酸化膜、窒化膜又は金属膜からなるlow−k膜を含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、誘電体膜は、プラズマエンハンストCVD、熱CVD、循環CVD、プラズマエンハンストALD、熱ALD、ラジカルエンハンストALD又は任意の他の薄膜堆積方法によって、側壁及び底面及び/又は平坦面を含むトレンチ又はビアに形成される。典型的には、誘電体膜の厚さは、約50nmから約500nmの範囲内にある(所望の膜厚は、膜の用途及び目的に応じて適切に選択されうる)。誘電体膜は、ダブルパターニングに用いられてもよい。
【0029】
図1は、本発明の一部の実施形態で使用可能な、望ましくは以下に説明されるようなシーケンスを行うようにプログラムされた制御装置と共に、PEALE装置の概略図である。本装置は、ALD又はCVDにより膜の堆積にも使用されうる。この図では、反応チャンバ3の内部に2つの電極が互いに平行かつ対向している一対の導電性平板電極4を設け、HRFパワー(13.56MHz又は27MHz)5及び5MHz以下(400kHz〜500kHz)のLRFパワー50を一方の電極に印加し、他方の電極を電気的なグランド12に接続することにより、プラズマは、2つの電極間で励起される。温度レギュレータが下部ステージ2(下部電極)に設けられ、下部ステージ2に配置される基板1の温度は、所与の温度で一定に維持される。下部電極2は、サセプタとして機能し、上部電極4は、サセプタ2に配置される基板1の表面全体に亘って均一にガスを供給するシャワーヘッドとしても機能する。
【0030】
エッチングガス及びパージガスは、マスフローコントローラ23、パルスフローコントロールバルブ31、ガスマニホールド30及びシャワープレート4を通じて反応チャンバ3に導入される。マスフローコントローラ23が設けられるガスラインは、エッチングガスラインであり、マスフローコントローラ21が設けられるガスラインは、窒素ガスラインであり、マスフローコントローラ22が設けられるガスラインは、希ガスラインであり、エッチングガスライン、窒素ガスライン及び希ガスラインは、全体としてエッチングガスラインとも呼ばれる。希ガスは、マスフローコントローラ22と共に希ガスラインを通じて流れ、マスフローコントローラ23の下流であるが、ガスマニホールド30の上流でエッチングガスと混合された不活性キャリアガスとして機能する。それに代えて又は追加して、窒素ガスは、マスフローコントローラ21と共に窒素ガスラインを通じて流れ、不活性キャリアガスとしてエッチングガスに加えられる。反応ガスは、マスフローコントローラ25が設けられる窒素ガスラインを通じて流れる窒素ガス、マスフローコントローラ26が設けられる希ガスラインを通じて流れる希ガス、マスフローコントローラ27が設けられる酸化ガスラインを通じて流れる酸化ガス、及び/又はマスフローコントローラ28が設けられる水素ガスラインを通じて流れる水素ガスによって構成され、窒素ガスライン、希ガスライン、酸素ガスライン及び水素ガスラインは、全体として反応ガスラインとも呼ばれる。マスフローコントローラ26が設けられる希ガスラインを通じて流れる希ガス、及び/又はマスフローコントローラ25が設けられる窒素ガスラインを通じて流れる窒素ガスは、不活性反応ガスとして機能し、不活性反応ガスは、シャワープレート4の上流のガスマニホールド30でエッチングガスと混合される。上述された不活性ガスが反応空間に連続的に流れるため、これらは、パージガスとしても機能することができる。連続的に不活性ガスが流れるため、不活性キャリアガス流は、不活性反応ガス流よりも効果的であり、よって、一部の実施形態では、不活性反応ガス流は、省略されることができる。
【0031】
また、反応チャンバ3では、排気管6が設けられ、反応チャンバ3の内部11のガスが排出される。また、反応チャンバ3には、反応チャンバ3の内部11にシールガスを導入するためにシールガスフローコントローラ24が設けられる(反応チャンバの内部において反応ゾーンと搬送ゾーンとを隔てるためのセパレーションプレートがこの図からは省略されている)。
【0032】
当業者は、前記装置が、本明細書の他の箇所で説明される堆積処理及びエッチング処理を行わせるようにプログラム又は構成される1以上のコントローラ(図示せず)を含むことを理解するであろう。当業者によって理解されるように、コントローラは、リアクタの各種電源、加熱システム、ポンプ、ロボット及びガスフローコントローラ又はバルブと接続される。
【0033】
一部の実施形態では、処理シーケンスは、図2に示されるように設定されてもよい。図2は、本発明の実施形態に係る1つのサイクルにおけるPEALEの概略的な処理シーケンスを示し、一つの段で示されるステップは、ON状態を表す一方で、段で示されないステップは、OFF状態を表し、各段の幅は、各処理の期間を示すものではない。この実施形態では、PEALEの1つのサイクルは、エッチングガスが、反応空間へRFパワーを印加せずにエッチングガスを運ぶキャリアガスを介して反応空間へ供給され、また、反応ガスが反応空間へ供給されることにより、エッチングガスを自己制限吸着によって基板の表面に化学吸着する「供給」と、エッチングガスが反応空間へ供給されない一方で、RFパワーを印加せずにキャリアガス及び反応ガスが反応空間へ連続的に供給されることにより、基板の表面から化学吸着されなかったエッチングガス及び余剰なガスを除去する「パージ1」と、RFパワーが反応空間に供給される一方で、エッチングガスを供給せずに、キャリアガス及び反応ガスが反応空間へ連続的に供給されることにより、エッチングガスが化学吸着される層を、反応ガスとのプラズマ反応によってエッチングする「RF」と、エッチングガスを供給せず、反応空間にRFパワーを印加せずに、キャリアガス及び反応ガスが反応空間に連続的に供給されることにより、反応生成物及び余剰なガスを基板の表面から除去する「パージ2」と、からなる。キャリアガスは、反応ガスによって構成されうる。反応空間にキャリアガスの連続的な流れを、エッチングガスが間欠的に又はパルス状に注入される一定の流れとして注入することによって、パージは、層の表面から迅速に余剰なガス及び反応生成物を効率良く除去するために行われることができ、それにより、複数のALEサイクルを効率良く継続することができる。この実施形態では、供給ステップ、パージ1ステップ及びパージ2ステップの期間は、0.3秒、1秒、1秒及び0.2秒であり、よって、1つのサイクルの総期間は、2.5秒である。
【0034】
図3は、比較のための実施形態に係る非サイクルのエッチング処理の概略的な処理シーケンスを示し、一つの段で示されるステップは、ON状態を表す一方で、段で示されないステップは、OFF状態を表し、各段の幅は、各処理の期間を示すものではない。比較のための実施形態では、非サイクルのエッチング処理は、「ガスを設定」、「安定化」、「エッチング」及び「オフ」からなる。図3に示されるシーケンスは、原子層エッチングではない。すなわち、エッチングは、活性種を用いて行われ、活性種は、層の表面に到達する前に反応空間内で生成され、その後、層の表面に到達し、それにより、表面をエッチングする。よって、エッチングステップでは、エッチングガスは、RFパワーが印加される間に供給され、非サイクルのエッチングは、エッチングステップがALE処理と比べて長く(例えば、10から30秒)行われる。活性種が層の表面に落ちるため、非サイクルのエッチング処理のエッチング速度は、非常に早くなり、基板に形成されるパターンの凹部の側壁は、それほどエッチングされない、つまり、エッチングは、典型的な異方性であり、微細な狭いパターンを形成することが困難である。
【0035】
一部の実施形態では、PEALEは、以下の表1に示される条件で行われてもよい。
【0036】
【表1】
【0037】
ALE処理では、一度に一つのエッチングガス層を用いてエッチングが行われるため、エッチング速度は、低くなり、エッチングガスが、通常、方向性を有さずに化学吸着されるため、コンフォーマリティは、一般的に高くなる。しかし、(i)窒素ガスではなく、不活性ガスとして特に希ガスを反応空間に供給すること、(ii)増加した流量(例えば、3000sccm以上、ここで、キャリアガスの流量は500sccm超)、(iii)特定のRFパワー(例えば、250W以上)の条件、(iv)特定の圧力(例えば、300Pa以上)、条件(i)及び条件(ii)から(iv)の少なくとも1つが採用され、基板の層は、効果的に異方性エッチングされることができる。コンフォーマルエッチングから異方性エッチングへの変更が、上述された条件で決定的に生じることは驚くべきことである。理論に制限されるものではないが、前述された条件では、プラズマが強化され、かつ励起種が長距離を移動することにより、凹部の側壁よりも水平表面での反応性を増大させ、異方性エッチングを効果的に行っている。
【0038】
本発明は、以下の実施例を参照して更に説明される。しかし、実施例は、本発明を限定するものではない。条件及び/又は構造が特定されていない実施例では、当業者は、通常の実験として、本開示を考慮して、このような条件及び/又は構造を明示的に提供することができる。また、特定の実施例に適用される数値は、一部の実施形態では、少なくとも±50%の範囲で変更されることができ、数値はおおよそである。
【実施例】
【0039】
実施例1−12及び比較例1−3
シリコン酸化膜は、約2のアスペクト比及び約50nmの開口幅を有するパターニングされた表面を有する300mm基板上にPEALDによって形成された。実施例1−12及び比較例1−3では、PEALEは、図1に示されたPEALE装置を用いて以下の表2に示される条件でシリコン酸化膜上にエッチングガスとしてC又はCを用いて行われた。PEALEの各サイクルにおいて使用されたシーケンスは、図2及び以下の表3に示される。Arガスは、エッチングガスラインのマスフローコントローラ22を通じて流れ、反応ガスとしても機能するキャリアガスとしてのみ供給された。窒素ガス、酸素ガス及び水素ガスは、反応ガスラインのマスフローコントローラ25、27及び28をそれぞれ通じて流れる反応ガスとして供給され、窒素ガスは、キャリアガスとして供給された。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
比較例1及び2では、非サイクルエッチングは、図1に示されるPEALE装置を用いて以下に示される条件でシリコン酸化膜上で行われた。非サイクルエッチングで使用されるシーケンスは、図3及び以下の表4に示される。
【0043】
【表4】
【0044】
結果は、以下の表5に示される。エッチングされた表面のコンフォーマリティは、側壁又は底部のエッチングされた厚さを上面のエッチングされた厚さで割ることによりパーセンテージで算出される。
【0045】
【表5】
【0046】
表5に示されるように、他のガスが用いられず、Arがキャリアガス及び反応ガスとして用いられたとき(実施例1、11及び12)、エッチング速度は、最も高くなり(それぞれ、EPC=0.04、0.03及び0.05)、他のガスが用いられず、Nがキャリアガス及び反応ガスとして用いられたとき(実施例5及び9)、エッチング速度は、反応ガスとして他のガスが用いられたときよりも高くなった(それぞれ、EPC=0.03及び0.03)。O及びHがキャリアガスに加えられたとき(実施例2、3及び4)、エッチング速度は、低くなる(EPC=0.02)が、ArであるキャリアガスにHが加えられたとき(実施例4)、エッチングコンフォーマリティは、底部及び側壁で層をよりエッチングするように変化された(コンフォーマリティ=105/115)。他のガスが用いられず、キャリアガスとしてNが用いられ、温度が100℃及び200℃(実施例9及び10)のときに、同様の現象が観察された(それぞれ、コンフォーマリティ=105/115及び100/119)。
【0047】
エッチング温度は、エッチング速度に大きく影響を与えた。温度が50℃(実施例2)、100℃(実施例6)、200℃(実施例7)及び250℃(実施例8)であり、キャリアガスがArであり、反応ガスがOであるときに、エッチング速度(EPC)は、それぞれ、0.02、0.03、0.02及び0.01であり、温度が250℃のときに、エッチング速度が非常に低くなることを示している。更に、温度が260℃(比較例3)のとき、ALEが生じなかった、すなわち、エッチング速度がゼロであった。同様に、温度が50℃(実施例5)、100℃(実施例9)及び200℃(実施例10)であり、キャリアガスがNであり、他のガスがないときに、エッチング速度(EPC)は、それぞれ、0.03、0.03及び0.005であり、エッチング温度が200℃のときに、エッチング速度が非常に低くなることを示している。エッチング温度が高いとき、エッチングガスの吸着は、十分に進まず、温度が250℃を超えると、ALE処理が行われなくなる。
【0048】
非サイクルエッチングが行われるとき(比較例1及び2)、エッチングコンフォーマリティは、ゼロであり、エッチングが明確に異方性になったことを示している。更に、エッチングが周期的に行われないため、エッチング厚さの正確な調整を行うことが非常に困難になる。一方、ALE処理は、一般的には、コンフォーマルなエッチング(等方性エッチング、コンフォーマリティが80%未満にならない)を行い、エッチング厚さの正確な調整を実現することができ、ALE処理が高い精度でのマイクロパターンの形成に適していることを示している。しかし、ALE処理が行われるが、エッチングコンフォーマリティは、特定の条件によって調整されることができ、キャリアガスが高い流量で供給されるとき(実施例11の6slm)、RFパワーが高いとき(実施例13の500W)、圧力が高いとき(実施例14の500Pa)、及びRFパワー及び圧力の両方が高いとき(実施例15の500W及び400Pa)、異方性エッチングは、非常に効率良く行われた(コンフォーマリティ:実施例11の3/120、実施例13の9/98、実施例14の8/95、及び実施例15の10/105)。
【0049】
実施例13
エッチングガスの供給時間が変更された点以外は、上記の実施例5に基づいてALE処理を行った。図4は、本発明の実施形態に係る、サイクル当たりのエッチング速度(EPC)(nm/cycle)と、サイクル当たりのエッチングガス供給時間(秒)との関係を示すグラフである。図4に示されるように、供給時間が0.2秒に到達した後に、EPCは変化せず、自己制限吸着反応処理が行われた。
【0050】
実施例14
エッチングガスの供給時のパージ時間が変更された点以外は、上記の実施例5に基づいてALE処理を行った。図5は、本発明の実施形態に係る、サイクル当たりのエッチング速度(EPC)(nm/cycle)と、サイクル当たりのパージガス時間(秒)との関係を示すグラフである。図5に示されるように、パージガスが0.5秒に到達した後に、EPCは変化せず、エッチングガスの吸着が行われたことを示している。
【0051】
多数かつ様々な変更が本発明の趣旨から逸脱しない範囲でなされることが当業者によって理解されるであろう。よって、本発明の形態は、例示的なものであり、本発明の範囲を制限することを意図するものではないことが明確に理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5