【実施例】
【0035】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
<調製例1:クルイベロミセス・サーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)による黒糖発酵液の調製>
(前培養)
クルイベロミセス・サーモトレランス MA KT(NITE BP-1420)をYPD培地(pH6.0)を用いて液体培養を行った。前記液体培養液を1白金耳とり、YM培地(固体培地)に植菌し、2日間、25℃で前培養を行った。なお、YPD(Yeast Extract-Peptone-Dextrose)培地及びYM(Yeast Mold)培地は、DifcoTM&BBLTM Manual,2nd Editionに記載されている内容に従って作成したものである。Kluyveromyces thermotoleransMA KT(NITE BP-1420)菌株は、原産国:日本/分離源:樹液で採取され、形態観察及び細菌学的性質からLachancea (Kluyveromyces) thermotoleransと分類され、MA KT菌株と命名されたものである。当該菌株は、寄託先:〒292−0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NPMD)に、丸善製薬株式会社の中村喜孝によって2012年9月13日に寄託されているものである。
【0036】
(黒糖水溶液の調製)
黒糖25質量部に純水500質量部を添加し、5質量%黒糖水溶液とした。前記5質量%黒糖水溶液を、通気攪拌型発酵槽とともに殺菌後、適温に調節した。なお、黒糖としては、サトウキビ茎の絞り汁を加熱し、濃縮して製造された市販品を使用した。
【0037】
(発酵工程)
前記クルイベロミセス・サーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)の前培養により得られたコロニーを生理的食塩水で懸濁して、1.0×109CFU/mL〜1.0×1010CFU/mLとなるよう調製した懸濁液を、前記5質量%黒糖水溶液に、前記5質量%黒糖水溶液の全量の1質量%を添加し、30℃で2日間、振とう培養(振とう条件:100rpm)を行った。振とう培養後の培養液をオートクレーブ(条件:121℃、15分)で滅菌した後、ろ過により不純物や残渣物などを除去した。その後、精製水とフェノキシエタノールを添加し、固形分濃度0.1質量%の、クルイベロミセス・サーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)の黒糖発酵液を調製した。エタノール含量は0.01%であった。
【0038】
実施例1〜4及び比較例1〜7:保湿クリーム(水中油型クリーム状)
表1に示す組成及び下記製造方法にて調製し、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1に示した。
【0039】
【表1】
【0040】
(製造方法)
A:成分(1)、(11)〜(20)を70℃で均一に混合する。
B:成分(2)〜(10)を70℃で均一に混合する。
C:AにBを加え乳化し、その後35℃まで冷却し、保湿クリーム(水中油型クリーム状)を得た。
【0041】
<評価方法1 みずみずしさ>
実施例及び比較例の保湿クリームを用いて、専門パネル20名による使用テストを行い、肌に塗りのばす際のみずみずしさ(使用感)について、パネル各人が下記絶対評価にて6段階に評価し評点を付け、試料ごとにパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
【0042】
(評価基準)
(評点):(評価)
6点:非常にみずみずしい
5点:みずみずしい
4点:ややみずみずしい
3点:どちらでもない
2点:あまりみずみずしくない
1点:全くみずみずしくない
【0043】
(判定基準)
(判定):(評点の平均点)
◎ :4.75点以上
○ :3.5点以上 4.75点未満
△ :2.25点以上 3.5点未満
× :2.25点未満
【0044】
<評価方法2 保湿効果および保湿効果の持続性>
実施例及び比較例の保湿クリームについて、専門パネル5名に対し、以下の評価を行った。前腕内側部を洗浄後、測定部位(2cm×2cm)をマーキングした。気温20℃、湿度50%下にて20分馴化し、Skicon200(I.B.S Co.Ltd.)にて水分量を測定し、この値を塗布前の値とした。2cm×2cmのティッシュペーパーに試料100μLを含浸させてから、測定部位にのせ、5分間静置した後、ティッシュペーパーを剥がして、指で試料を皮膚に塗布した。塗布完了から1時間後及び12時間後にSkicon200(I.B.S Co.Ltd.)にて水分量を測定した。それぞれの値を1時間後の値、12時間後の値として、パネル毎に以下の値を算出し、その平均値を下記の評価基準を用いて判定した。
保湿効果 = 1時間後の値/塗布前の値
保湿効果の持続性 = 12時間後の値/1時間後の値
【0045】
(保湿効果の評価基準)
(判定):(変化率)
◎ :3以上
○ :2以上 3未満
△ :1以上 2未満
× :1未満
【0046】
(保湿効果の持続性の評価基準)
(判定):(変化率)
◎ :0.500以上
○ :0.250以上 0.5未満
△ :0.125以上 0.25未満
× :0.125未満
【0047】
表1の結果からも明らかなように、本発明に係わる本発明品1〜4は、みずみずしさ、保湿効果、保湿効果の持続性に優れる水中油型乳化組成物であった。これに対して、成分(a)を含有しない比較例1は、保湿効果及び保湿効果の持続性に劣るものであった。成分(b)を含有しない比較品2〜4は、みずみずしさ及び保湿効果の持続性に劣るものであった。成分(c)を含有しない比較品5〜7は、水が弾けでるようなみずみずしさはなく、使用感が劣るものであった。
以上の検討結果から、成分(a)〜(c)の全てを含有することにより、高い保湿効果を有しながらも、べたつきや油っぽさがなく、みずみずしい使用感であるとともに、保湿効果の持続性にも優れる水中油型乳化組成物が得られた。
【0048】
実施例5 マッサージクリーム(水中油型クリーム状)
(成分) (%)
1.調製例1の黒糖発酵液(固形分濃度0.1質量%) 40.0
2.部分架橋型メチルフェニルポリシロキサンと
フェニルトリメチコンの混合物(※2) 3.0
3.ジメチコン(10cs) 6.0
4.スクワラン 2.0
5.トリエチルヘキサノイン 4.0
6.ポリソルベート80 2.0
7.PEG−40水添ヒマシ油 1.0
8.セラミド2 0.1
9.PEG−240/デシルテトラデセス−20/
ヘキサメチルジイソシアネートコポリマー(※5) 2.0
10.カルボマー 1.0
11.水酸化ナトリウム 0.3
12.グリセリン 10.0
13.1,3ーブチレングリコール 10.0
14.精製水 残 量
15.エタノール 1.0
16.香料 0.05
17.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
【0049】
(製造方法)
A:成分(1)、(9)〜(14)を70℃で均一に混合する。
B:成分(2)〜(8)を70℃で均一に混合する。
C:AにBを加え、乳化し、その後35℃まで冷却し、成分(15)〜(17)を加え、均一に混合し、マッサージクリーム(水中油型クリーム状)を得た。
(結果)
実施例5のマッサージクリーム(水中油型クリーム状)は、みずみずしさ、保湿効果、保湿効果の持続性に優れるものであった。
【0050】
実施例6 美白乳液(水中油型乳液状)
(成分) (%)
1.調製例1の黒糖発酵液(固形分濃度0.1質量%) 20.0
2.部分架橋型メチルポリシロキサンと
ジメチルポリシロキサンの混合物(※1) 1.5
3.部分架橋型メチルフェニルポリシオキサンと
フェニルトリメチコンの混合物(※2) 1.5
4.ホホバ油 2.0
5.流動パラフィン 4.0
6.ベヘネスー30 2.0
7.ステアロイルメチルタウリンNa 1.0
8.PEG−240/デシルテトラデセス−20/
ヘキサメチルジイソシアネートコポリマー(※5) 2.0
9.カルボマー 1.0
10.水酸化ナトリウム 0.6
11.グリセリン 2.0
12.1,3ーブチレングリコール 10.0
13.PEG−8 1.0
14.PEG−150 1.0
15.アスコルビルグルコシド 2.0
16.精製水 残 量
17.エタノール 1.0
18.香料 0.05
19.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
20.フェノキシエタノール 0.3
【0051】
(製造方法)
A:成分(1)、(8)〜(16)を70℃で均一に混合する。
B:成分(2)〜(7)を70℃で均一に混合する。
C:AにBを加え、乳化し、その後35℃まで冷却し、成分(17)〜(20)を加え、均一に混合し、美白乳液(水中油乳化型乳液状)を得た。
(結果)
実施例6の美白乳液(水中油型乳液状)は、みずみずしさ、保湿効果、保湿効果の持続性に優れるものであった。
【0052】
実施例7 リキッドファンデーション(水中油型クリーム状)
(成分) (%)
1.1,3ブチレングリコール 5.0
2.水素添加大豆リン脂質 0.5
3.酸化チタン 5.0
4.ベンガラ 0.1
5.黄酸化鉄 1.0
6.黒酸化鉄 0.05
7.部分架橋型アルキル・ポリエーテル変性シリコーンと
流動パラフィンの混合物(※4) 3.0
8.マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 1.0
9.セトステアリルアルコール 3.0
10.水添ナタネ油脂肪酸グリセリズ 1.0
11.イソノナン酸イソトリデシル 2.0
12.メドウフォーム油 2.0
13.水素添加大豆リン脂質 1.0
14.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
15.フェノキシエタノール 0.1
16.セラミド2 0.1
17.セラミド3 0.03
18.モノステアリン酸グリセリン 0.3
19.モノオレイン酸POE(20モル)ソルビタン 0.1
20.トリオレイン酸POE(20モル)ソルビタン 0.1
21.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 2.0
22.イソデカン 1.0
23.トコフェノール 0.01
24.調製例1の黒糖発酵液(固形分濃度0.1質量%) 10.0
25.PPG−38ブテス−37 2.0
26.精製水 残 量
27.グリセリン 5.0
28.エタノール 1.0
29.香料 0.02
【0053】
(製造方法)
A:成分(1)〜(6)を分散する。
B:成分(7)〜(23)を70℃で均一に混合する。
C:成分(24)〜(27)を70℃で均一に混合する。
D:CにBを加えて75℃にて乳化し、35℃まで冷却する。
E:DにA、成分(28)〜(29)を加え、リキッドファンデーション(水中油型クリーム状)を得た。
(結果)
実施例7のリキッドファンデーション(水中油型クリーム状)は、みずみずしさ、保湿効果、保湿持続効果に優れるものであった。
【0054】
実施例8 パック化粧料(水中油型乳液状)
(成分) (%)
1.調製例1の黒糖発酵液(固形分濃度0.1質量%) 20.0
2.部分架橋型メチルポリシロキサンと
ジメチルポリシロキサンの混合物(※1) 3.0
3.ジメチコン(6cs) 6.0
4.スクワラン 2.0
5.トリエチルヘキサノイン 4.0
6.PEG−11メチルエーテルジメチコン 2.0
7.PEG−40水添ヒマシ油 1.0
8.セラミド2 0.1
9.(アクリル酸アルキル/メタクリル酸ステアレス−20)
コポリマー(※8) 2.0
10.カルボマー 1.0
11.水酸化ナトリウム 0.3
12.グリセリン 10.0
13.1,3−ブチレングリコール 10.0
14.精製水 残 量
15.エタノール 1.0
16.香料 0.05
17.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
18.ソルビトール 0.1
19.ピロリドンカルボン酸ナトリウム 1.0
20.エタノール 1.0
21.香料 0.05
(※8)アキュリン22(ROHM社製)
【0055】
(製造方法)
A:成分(1)、(9)〜(18)を70℃で均一に混合する。
B:成分(2)〜(8)を70℃で均一に混合する。
C:AにBを加え、乳化し、その後35℃まで冷却し、成分(19)〜(21)を加え、均一に混合し、パック化粧料(水中油型乳液状)を得た。
(結果)
実施例8のパック化粧料(水中油型乳液状)は、みずみずしさ、保湿効果、保湿持続効果に優れるものであった。
【0056】
実施例9 アイクリーム(水中油型クリーム状)
(成分) (%)
1.調製例1の黒糖発酵液(固形分濃度0.1質量%) 40.0
2.部分架橋型アルキル変性シリコーンと
トリエチルヘキサノインの混合物(※9) 5.0
3.ジメチコン(10cs) 1.0
4.スクワラン 5.0
5.トリエチルヘキサノイン 4.0
6.流動パラフィン 4.0
7.ポリソルベート80 1.0
8.PEG−40水添ヒマシ油 0.5
9.(PPG−12/SMDI)コポリマー(※10) 3.0
10.カルボマー 1.0
11.水酸化ナトリウム 0.3
12.グリセリン 10.0
13.1,3ーブチレングリコール 10.0
14.精製水 残 量
15.エタノール 1.0
16.香料 0.05
17.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(※9)KSG−43((信越化学工業社製)
(※10)EXPERT GEL EG 412(POLYMEREXPERT社製)
【0057】
(製造方法)
A:成分(1)、(9)〜(14)を70℃で均一に混合する。
B:成分(2)〜(8)を70℃で均一に混合する。
C:AにBを加え、乳化し、その後35℃まで冷却し、成分(15)〜(17)を加え、均一に混合し、マッサージクリーム(水中油型クリーム状)を得た。
(結果)
実施例9のアイクリーム(水中油型クリーム状)は、みずみずしさ、保湿効果、保湿効果の持続性に優れるものであった。
【0058】
実施例10 保湿日焼け止めジェル(水中油型クリーム状)
(成分) (%)
1.調製例1の黒糖発酵液(固形分濃度0.1質量%) 20.0
2.部分架橋型メチルポリシロキサンと
ジメチルポリシロキサンの混合物(※1) 2.0
3.部分架橋型メチルフェニルポリシオキサンと
フェニルトリメチコンの混合物(※2) 2.0
4.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル(※11) 10.0
5.ビスエチルヘキシルオキシフェノール
メトキシフェニルトリアジン (※12) 1.0
6.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル
安息香酸ヘキシル (※13) 2.0
7.ジカプリン酸プロピレングリコール(※14) 15.0
8.ポリオキシエチレンフィトステロール 2.0
9.セトステアリルアルコール 1.0
10.PEG−240/デシルテトラデセス−20/
ヘキサメチルジイソシアネートコポリマー(※5) 1.5
11.カルボマー 0.4
12.水酸化ナトリウム 0.1
13.グリセリン 2.0
14.1,3ーブチレングリコール 5.0
15.精製水 残 量
16.エタノール 1.0
17.香料 0.05
18.パラオキシ安息香酸メチル 0.1
19.フェノキシエタノール 0.3
(※11)UVINUL MC80(BASF社製)
(※12)TINOSORB S(BASF社製)
(※13)UVINUL A PLUS GRANULAR(BASF社製)
(※14)NIKKOL PDD(日本サーファクタント工業社製)
【0059】
(製造方法)
A:成分(1)、(10)〜(15)を70℃で均一に混合する。
B:成分(2)〜(9)を70℃で均一に混合する。
C:AにBを加え、乳化し、その後35℃まで冷却し、成分(16)〜(19)を加え、均一に混合し、保湿日焼け止めジェル(水中油型クリーム状)を得た。
(結果)
実施例10の保湿日焼け止めジェル(水中油型クリーム状)は、みずみずしさ、保湿効果、保湿効果の持続性に優れるものであった。
【0060】
実施例11 ネッククリーム(水中油型クリーム状)
(成分) (%)
1.調製例1の黒糖発酵液(固形分濃度0.1質量%) 40.0
2.部分架橋型アルキル変性シリコーンと
トリエチルヘキサノインの混合物(※9) 5.0
3.スクワラン 5.0
4.トリエチルヘキサノイン 4.0
5.流動パラフィン 4.0
6.セトステアリルアルコール 2.0
7.ベヘニルアルコール 2.0
8.ポリソルベート80 1.0
9.PEG−40水添ヒマシ油 0.5
10.(PEG−8/SMDI)コポリマー(※15) 1.5
11.ビスメトキシPEG−13(PEG−438/
PPG−110/SMDI)コポリマー(※16) 1.5
12.カルボマー 1.0
13.水酸化ナトリウム 0.3
14.グリセリン 10.0
15.1,3ーブチレングリコール 10.0
16.精製水 残 量
17.エタノール 1.0
18.香料 0.05
19.ポリビニルピロリドン(※17) 0.3
(※15)POLYOL PREPOLYMER−15(ベルテックファーマシューティ
カル社製)
(※16)EXPERT GEL EG 56(POLYMEREXPERT社製)
(※17)LUVISKOL K30 (バディッシュ社製)
【0061】
(製造方法)
A:成分(1)、(10)〜(16)を70℃で均一に混合する。
B:成分(2)〜(9)を70℃で均一に混合する。
C:AにBを加え、乳化し、その後35℃まで冷却し、成分(17)〜(19)を加え、均一に混合し、ネッククリーム(水中油型クリーム状)を得た。
(結果)
実施例11のネッククリーム(水中油型クリーム状)は、みずみずしさ、保湿効果、保湿効果の持続性に優れるものであった。