特許第6653589号(P6653589)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6653589
(24)【登録日】2020年1月30日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】車軸検知システム
(51)【国際特許分類】
   G01M 17/08 20060101AFI20200217BHJP
   B61L 1/16 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   G01M17/08
   B61L1/16
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-23537(P2016-23537)
(22)【出願日】2016年2月10日
(65)【公開番号】特開2017-142159(P2017-142159A)
(43)【公開日】2017年8月17日
【審査請求日】2018年12月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194146
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(72)【発明者】
【氏名】池田 圭吾
【審査官】 今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−014537(JP,A)
【文献】 特開2000−006808(JP,A)
【文献】 特開2007−263938(JP,A)
【文献】 特開2009−286299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1周波数の信号を出力する第1送信コイルと第1受信コイルとを有する第1検知器と、第2周波数の信号を出力する第2送信コイルと第2受信コイルとを有する第2検知器とをレールの進行方向に所定距離離間させて配置した車軸検知システムであって、
前記第1検知器は、
前記第1受信コイルが受信した信号から前記第1周波数の信号を取得し健全性を照査する第1の第1周波数信号健全性照査部と、
前記第1受信コイルが受信した信号から前記第2周波数の信号を取得し健全性を照査する第1の第2周波数信号健全性照査部と、
を有し、
前記第2検知器は、
前記第2受信コイルが受信した信号から前記第1周波数の信号を取得し健全性を照査する第2の第1周波数信号健全性照査部と、
前記第2受信コイルが受信した信号から前記第2周波数の信号を取得し健全性を照査する第2の第2周波数信号健全性照査部と、
を備えることを特徴とする車軸検知システム。
【請求項2】
前記第1検知器は、前記第1の第1周波数信号健全性照査部、前記第1の第2周波数信号健全性照査部、及び前記第2の第1周波数信号健全性照査部の各照査結果をもとに健全性を判断する第1判断部を備え、
前記第2検知器は、前記第1の第2周波数信号健全性照査部、前記第2の第1周波数信号健全性照査部、及び前記第2の第2周波数信号健全性照査部の各照査結果をもとに健全性を判断する第2判断部を備えることを特徴とする請求項1に記載の車軸検知システム。
【請求項3】
前記第1の第1周波数信号健全性照査部、前記第1の第2周波数信号健全性照査部、前記第2の第1周波数信号健全性照査部、及び前記第2の第2周波数信号健全性照査部の照査と故障箇所との関連を記した故障判定テーブルと、
前記故障判定テーブルと、前記第1の第1周波数信号健全性照査部、前記第1の第2周波数信号健全性照査部、前記第2の第1周波数信号健全性照査部、及び前記第2の第2周波数信号健全性照査部の照査結果とを参照し、前記第1検知器の送信系又は受信系、または前記第2検知器の送信系又は受信系の何れに故障が発生しているか否かを判断する故障箇所特定部を備えることを特徴とする請求項1に記載の車軸検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車軸検知システムに係り、例えば、送信コイル及び受信コイルを用いて軌道上の車輪を検知する車軸検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道において列車の通過検知や位置検知の装置としては、軌道回路が閉塞状態となっているか否かを判断する軌道回路方式や送信コイル及び受信コイルを用いて車輪の有無を検出する車軸カウンタ方式が知られている。
【0003】
車軸カウンタ方式の技術は、車軸センサ(送信コイル及び受信コイル)を用いて電磁遮蔽効果を利用して車軸(車輪)を検出する技術であり、各種の技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
図1及び図2を参照して、一般的な車軸カウンタ方式の技術について説明する。図1は、2つの検知器111、112を用いる車軸検知システム110の概念図である。2つの検知器111、112は、軌道199に沿って近接して配置されている。図2は、一方の検知器111の構成を示すブロック図である。他方の検知器112も同様の構成となっている。
【0005】
各検知器111、112には、それぞれ軌道199を挟んで送信コイル121、151及び受信コイル122、152が配置される。軌道外側の送信コイル121、151には、例えば、音声帯域の所定の第1及び第2周波数f1、f2の正弦波信号が流れる。軌道内側の受信コイル122、152は、送信コイル121、151から信号を受信する。図3は、車輪190の位置と受信コイル122の信号振幅(電圧)との関係を示した図である。図3(a)は車輪190と受信コイル122の位置関係を示しており、図3(b)はそのときの信号振幅との関係を示している。
【0006】
まず、1組の検知器111(送信コイル121、受信コイル122)の動作例を説明する。車輪190(車軸195)がない場合は、送信コイル121→レール199→受信コイル122の間で、電磁誘導により所定振幅の信号が流れる。車輪190(車軸195)がコイル間を通過すると、通過に伴い磁力線が影響され、受信信号の大きさ(電圧)が変化する。この変化を受信回路132が受信し増幅し、さらに車輪検知部133が車輪190(車軸195)の有無を判断する。
【0007】
次に2組の検知器111、112を用いた移動方向判別について説明する。独立した回路構成の2組の検知器111、112を数10cm程度離して設置していることから、方向を判別することができる。一般には、相互の干渉を回避するために、異なる第1及び第2周波数f1、f2の送信信号が用いられる。
【0008】
一方、検知器111(他方の検知器112も同様)の健全性を照査するため、健全性照査部134が受信信号の振幅を監視し、一定の範囲にあることで送信回路131、送信ケーブル123、送信コイル121、受信コイル122、受信ケーブル124、及び受信回路132の動作が正常であると判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−263938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、車輪190が検知器111、112の位置を通過するとき、図3で示したように、振幅が変化する。そして、例えば、所定の距離離れた位置A、Bでは、振幅が非常に小さくなる。これらの位置A、Bで車輪190が停止すると、故障等が無い場合であっても、健全性を照査する条件で故障と判断されてしまうと言う課題があった。
【0011】
本発明は、このような状況に鑑みなされたものであって、上記課題を解決する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1周波数の信号を出力する第1送信コイルと第1受信コイルとを有する第1検知器と、第2周波数の信号を出力する第2送信コイルと第2受信コイルとを有する第2検知器とをレールの進行方向に所定距離離間させて配置した車軸検知システムであって、前記第1検知器は、前記第1受信コイルが受信した信号から前記第1周波数の信号を取得し健全性を照査する第1の第1周波数信号健全性照査部と、前記第1受信コイルが受信した信号から前記第2周波数の信号を取得し健全性を照査する第1の第2周波数信号健全性照査部と、を有し、前記第2検知器は、前記第2受信コイルが受信した信号から前記第1周波数の信号を取得し健全性を照査する第2の第1周波数信号健全性照査部と、前記第2受信コイルが受信した信号から前記第2周波数の信号を取得し健全性を照査する第2の第2周波数信号健全性照査部と、を備える。
また、前記第1検知器は、前記第1の第1周波数信号健全性照査部、前記第1の第2周波数信号健全性照査部、及び前記第2の第1周波数信号健全性照査部の各照査結果をもとに健全性を判断する第1判断部を備え、前記第2検知器は、前記第1の第2周波数信号健全性照査部、前記第2の第1周波数信号健全性照査部、及び前記第2の第2周波数信号健全性照査部の各照査結果をもとに健全性を判断する第2判断部を備えてもよい。
また、前記第1の第1周波数信号健全性照査部、前記第1の第2周波数信号健全性照査部、前記第2の第1周波数信号健全性照査部、及び前記第2の第2周波数信号健全性照査部の照査と故障箇所との関連を記した故障判定テーブルと、前記故障判定テーブルと、前記第1の第1周波数信号健全性照査部、前記第1の第2周波数信号健全性照査部、前記第2の第1周波数信号健全性照査部、及び前記第2の第2周波数信号健全性照査部の照査結果とを参照し、前記第1検知器の送信系又は受信系、または前記第2検知器の送信系又は受信系の何れに故障が発生しているか否かを判断する故障箇所特定部を備えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、送信コイル及び受信コイルを用いた車輪検知器の健全性照査の精度を向上させる技術を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】背景技術に係る、2つの検知器を用いる車軸検知システムの概念図である。
図2】背景技術に係る、検知器の構成を示すブロック図である。
図3】背景技術に係る、車輪の位置と受信コイルの信号振幅との関係を示した図である。
図4】本実施形態に係る、車軸検知システムの概念図である。
図5】本実施形態に係る、車輪の位置と受信コイルの信号振幅との関係を示した図である。
図6】本実施形態に係る、車軸検知システムの機能ブロック図である。
図7】本実施形態に係る、故障判定論理表を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態(以下、単に「実施形態」という)を、図面を参照して具体的に説明する。
【0016】
図4は、車軸検知システム10の車軸検知による列車方向判別レール設置のイメージ図である。車軸検知システム10は、軌道99(レール)の長手方向に所定距離離れて配置された2組の検知子(第1検知器11、第2検知器12)と、監視部85とを備える。第1検知器11と第2検知器12との距離は、例えば数10cm程度である。第1検知器11及び第2検知器12における検知結果が監視部85に通知される。監視部85は、検知結果に基づいて、列車運行等の管理を行う。なお、第1検知器11と第2検知器12の基本的な動作原理は、図1で示した動作原理と同様である。
【0017】
第1検知器11は、軌道99の外側に第1送信コイル21を、軌道99の内側に第1受信コイル22を、軌道99を挟むように備える。同様に、第2検知器12は、軌道99の外側に第2送信コイル51、軌道99の内側に第2受信コイル52を、軌道99を挟むように備える。
【0018】
第1送信コイル21には、第1周波数f1の正弦波信号が流れる。第2送信コイル51には、第1周波数f1とは異なる第2周波数f2の正弦波信号が流れる。第1周波数f1と第2周波数f2は、後述するバンドパスフィルタ(BPF34、35、64、65(図6参照))で適切に分離可能な周波数に設定される。
【0019】
第1受信コイル22は、第1送信コイル21からの信号を受信する。第2受信コイル52は、第2送信コイル51からの信号を受信する。
【0020】
図5は、車軸95(車輪90)の位置と各信号の振幅の関係を示した図である。一般に、第1受信コイル22は、第1送信コイル21からの信号(第1周波数f1)のみでなく第2送信コイル51からの信号(第2周波数f2)も受信する。同様に、第2受信コイル52は、第2送信コイル51からの信号(第2周波数f2)のみでなく第1送信コイル21からの信号(第1周波数f1)も受信する。
【0021】
第1検知器11の受信振幅が0となる点で車輪90が停止した場合、ここでは、図中のA点またはB点に停止した場合を考える。このとき、第2検知器12の信号(第2周波数f2)を第1検知器11の第1受信コイル22で受信することができる。
【0022】
また、振幅0になる位置が第1送信コイル21と第1受信コイル22との位置関係、第2送信コイル51と第2受信コイル52との位置関係により異なる。このため、図中のA点、B点で車輪90が停止した場合でも、第1受信コイル22が検知する第2検知器12の信号(第2周波数f2)は、一定の振幅となる。この振幅が一定値以上であることを照査すれば、第1検知器11の第1受信コイル22、受信ケーブル24及び第1受信回路32の健全性が第2周波数f2の信号の大きさを見ることで検知できる。
【0023】
さらにまた、この車輪90の位置で第1検知器11が送信する信号(第1周波数f1)を第2検知器12の第2受信コイル52で受信できる。この信号の上記と同様の監視により、第1検知器11の第1送信コイル21、送信ケーブル23、第1送信回路31の健全性を確認できる。
【0024】
第1検知器11が検知する第2検知器12の信号(第2周波数f2)についても、車輪90の移動に伴い振幅が0になる車輪位置が存在する。しかし、このときは、本来の信号(第1周波数f1)が受信できるので、すなわち振幅が0でないので、その信号(第1周波数f1)で健全性を照査する。
【0025】
第2検知器12に関しても、第1検知器11からの信号(第1周波数f1)も併せて監視することで同様の健全性を確認することができる。すなわち、第1検知器11及び第2検知器12の信号を、第1検知器11及び第2検知器12が互いに監視することで、車輪90の位置に関わりなく健全性を確認できる。
【0026】
図6は、車軸検知システム10の車軸検知システムの機能ブロック図であって、上述の機能を組み込んだ具体的な構成概念を示している。
【0027】
車軸検知システム10は、上述の様に、第1検知器11と、第2検知器12と、監視部85とを備える。
【0028】
第1検知器11は、第1周波数f1の信号を送信するための第1送信回路31と第1送信コイル21とを備える。第1送信コイル21と第1送信回路31とは送信ケーブル23で接続されている。
【0029】
第1周波数f1の信号を受信するために、第1受信コイル22と第1受信回路32とを備える。第1受信コイル22と第1受信回路32は、上述のように、近接する第2検知器12が出力する第2周波数f2の信号も併せて受信する。第1受信コイル22と第1受信回路32とは受信ケーブル24で接続されている。
【0030】
第1受信回路32で受信した信号は、第1車輪検知部33、第1f1健全性照査部41及び第1f2健全性照査部42に送られる。第1車輪検知部33は、車輪90の有無を判断する。
【0031】
第1f1健全性照査部41は、前段に備わるBPF34を介して第1周波数f1の信号を取得し、その信号に基づき健全性を照査する。照査結果、すなわち、第1周波数f1の信号の受信レベルが正常であるか否かが、第1論理部49に出力される。
【0032】
第1f2健全性照査部42は、前段に備わるBPF35を介して第2周波数f2の信号を取得し、その信号に基づき健全性を照査する。照査結果、すなわち、第2周波数f2の信号の受信レベルが正常であるか否かが、第1論理部49に出力されるとともに、後述の第2検知器12の第2論理部79へ出力される。
【0033】
第1論理部49は、第1f1健全性照査部41の照査結果、第1f2健全性照査部42の照査結果および第2検知器12の第2論理部79(第2f1健全性照査部71)から出力される照査結果をもとに、第1検知器11の健全性を判断する。判断結果は、監視部85へ通知される。ここでは、照査結果は、正常が「1」、異常ありが「0」とする。
【0034】
第1論理部49は、ORゲート43と、INVゲート44と、2つのANDゲート45、46とを備える。
【0035】
第1f1健全性照査部41からの照査結果は、ORゲート43に出力されるとともに、INVゲート44を経由し論理が反転して下流側のANDゲート46に出力される。
に出力される。
【0036】
第1f2健全性照査部42からの照査結果と第2検知器12の第2f1健全性照査部71からの照査結果は、上流側のANDゲート45に取り込まれる。上流側のANDゲート45の論理結果は下流側のANDゲート46へ出力される。すなわち、両方の照査結果が正常つまり「1」である場合に限り、正常を示す「1」がANDゲート46に出力され、他は「0」が出力される。
【0037】
下流側のANDゲート46は、上流側のANDゲート45の出力と第1f1健全性照査部41の出力(INVゲート44で論理反転)とが両方「1」である場合に限り、ORゲート43へ「1」を出力する。
【0038】
そして、ORゲート43は、第1f1健全性照査部41からの出力または下流側のANDゲート46からの出力の何れかが「1」であれば監視部85へ「1」すなわち、第1検知器11が正常である旨を通知する。
【0039】
第2検知器12は、第2周波数f2の信号を送信するための第2送信コイル51と第2送信回路61とを備える。第2送信コイル51と第2送信回路61とは送信ケーブル53で接続されている。
【0040】
第2周波数f2の信号を受信するために、第2受信コイル52と第2受信回路62とを備える。第2受信コイル52と第2受信回路62は、上述のように、近接する第1検知器11が出力する第1周波数f1の信号も併せて受信する。第2受信コイル52と第2受信回路62とは受信ケーブル54で接続されている。
【0041】
第2受信回路62で受信した信号は、第2車輪検知部63、第2f1健全性照査部71及び第2f2健全性照査部72に送られる。第2車輪検知部63は、車輪90の有無を判断する。
【0042】
第2f1健全性照査部71は、前段に備わるBPF64を介して第1周波数f1の信号を取得し、その信号に基づき健全性を照査する。照査結果、すなわち、第1周波数f1の信号の受信レベルが正常であるか否かが、第2論理部79に出力されるとともに、第1検知器11の第1論理部49(上流側のANDゲート45)に出力される。
【0043】
第2f2健全性照査部72は、前段に備わるBPF65を介して第2周波数f2の信号を取得し、その信号に基づき健全性を照査する。照査結果、すなわち、第2周波数f2の信号の受信レベルが正常であるか否かが、第2論理部79に出力される。
【0044】
第2論理部79は、第2f1健全性照査部71の照査結果、第2f2健全性照査部72の照査結果および第1検知器11の第1論理部49(第1f2健全性照査部42)から出力される照査結果をもとに、第2検知器12の健全性を判断する。判断結果は、監視部85へ通知される。
【0045】
第2論理部79は、ORゲート73と、INVゲート74と、2つのANDゲート75、76とを備える。
【0046】
第2f2健全性照査部72からの照査結果は、ORゲート73に出力されるとともに、INVゲート74を経由し論理が反転して下流側のANDゲート76に出力される。
【0047】
第2f1健全性照査部71からの照査結果と第1検知器11の第1f2健全性照査部42からの照査結果は、上流側のANDゲート75に取り込まれる。上流側のANDゲート75の論理結果は下流側のANDゲート76へ出力される。すなわち、両方の照査結果が正常つまり「1」である場合に限り、正常を示す「1」がANDゲート76に出力され、他は「0」が出力される。
【0048】
下流側のANDゲート76は、上流側のANDゲート75の出力と第2f2健全性照査部72の出力(INVゲート74で論理反転)とが両方「1」である場合に限り、ORゲート73へ「1」を出力し、他の場合は「0」を出力する。
【0049】
そして、ORゲート73は、第2f2健全性照査部72からの出力または下流側のANDゲート76からの出力の何れかが「1」であれば監視部85へ「1」すなわち、第2検知器12が正常である旨を通知する。
【0050】
以上、本実施形態によると、2組の検知器(第1検知器11及び第2検知器12)の信号を、互いに監視することで、車輪90の位置に関わりなく健全性を確認できる。
【0051】
ところで、図6の構成では、第1検知器11の故障か第2検知器12の故障かを判断し出力している。しかし、第1検知器11及び第2検知器12の信号を、第1検知器11及び第2検知器12が互いに監視することで、図5により説明したように、上記故障が発生したと判断された場合に、送信系の故障か受信系の故障かを判別することができる。
【0052】
図7は、故障判定論理表(故障判定テーブル)を示す図であって、送信系の故障か受信系の故障かを判別する論理を示している。この故障判定論理表を用いて判断する場合は、第1f1健全性照査部41、第1f2健全性照査部42、第2f1健全性照査部71及び第2f2健全性照査部72の出力を見て判断する。したがって、その場合は、第1論理部49や第2論理部79は不要となり、かわりに、例えば、監視部85が故障判定論理表を保持したうえで、故障箇所特定機能を実行する。すなち、監視部85が、第1f1健全性照査部41、第1f2健全性照査部42、第2f1健全性照査部71及び第2f2健全性照査部72の出力と、故障判定論理表を比較し、故障有無を判断する。
【0053】
ここで、第1検知器送信系とは、第1送信コイル21、第1送信回路31及びそれらを接続する送信ケーブル23を指す。第1検知器受信系とは、第1受信コイル22、第1受信回路32及びそれらを接続する受信ケーブル24を指す。第2検知器送信系とは、第2送信コイル51、第2送信回路61及びそれらを接続する送信ケーブル53を指す。第2検知器受信系とは、第2受信コイル52、第2受信回路62及びそれらを接続する受信ケーブル54を指す。
【0054】
故障判定論理表において、上段の受信レベル低下の欄において「Y」で示す2つの項目に対応して、下段の具体的な故障箇所が「X」で示されている。例えば、第1検知器11のf1受信レベル低下(第1f1健全性照査部41で論理「0」)かつ第2検知器12のf1受信レベル低下(第2f1健全性照査部71で論理「0」)の場合、第1検知器送信系が故障していると判断される。また、第1検知器11のf2受信レベル低下(第1f2健全性照査部42で論理「0」)かつ第2検知器12のf2受信レベル低下(第2f2健全性照査部72で論理「0」)の場合、第2検知器12の送信系が故障していると判断される。
【0055】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、また、そうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0056】
10 車軸検知システム
11 第1検知器
12 第2検知器
21 第1送信コイル
22 第1受信コイル
23 送信ケーブル
24 受信ケーブル
31 第1送信回路
32 第1受信回路
33 第1車輪検知部
34、35 BPF
41 第1f1健全性照査部
42 第1f2健全性照査部
43 ORゲート
44 INVゲート
45、46 ANDゲート
49 第1論理部(第1判断部)
51 第2送信コイル
52 第2受信コイル
53 送信ケーブル
54 受信ケーブル
61 第2送信回路
62 第2受信回路
63 第2車輪検知部
64、65 BPF
71 第2f1健全性照査部
72 第2f2健全性照査部
73 ORゲート
74 INVゲート
75、76 ANDゲート
79 第2論理部(第2判断部)
85 監視部
90 車輪
95 車軸
99 軌道
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7