(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
[1.第1の実施形態]
[1−1.構成]
(ミシンの全体構成)
図1は、本実施形態のミシンを示す斜視図である。
図1(a)は、ミシンに布地を載置していない状態を示す。
図1(b)は、ミシンに布地を載置した状態を示す。ミシン1は、布地100を縫製する家庭用、工業用の装置である。ミシン1は、
図1(a)(b)に示すように、針板2に被縫製物となる布地100を載置する。針板2の針3が落ちる場所には、
針穴が設けられている。ミシン1は、針棒を降下することで布地100に針3を貫通させ、上糸200と下糸300を交絡させた縫い目を成形する。上糸200は、糸コマに巻かれており、針3に対して供給される。下糸300は、ボビンに巻かれている。
【0017】
このミシン1は、複数の縫い目を布地100に形成することで模様を縫製する。模様は縫製方向、及び針の振幅方向に大きさを有する。模様を縫製する場合には、布地100を縫製方向、及び針の振幅方向に移動させる。ミシン1は、布地100を一方向に移動させるために、送り歯2aを有する。送り歯2aは、布地100を連れ動かして、布地100に落とす針3の位置を前後に変更させる。この送り歯2aによって布送りされる方向を縫製方向、または模様の長さ方向と呼ぶ。また、ミシン1は、針3を取り付ける針棒を備える。ミシン1は、振幅モータ24(
図4参照)を動力源として針棒を左右方向に一定の幅で振幅させる。振幅させる方向は、縫製方向に直交する方向である。これにより、ミシン1は布地100に落とす針3の位置を一定の範囲内で左右に変更させる。この振幅モータを動力源として、振幅する針の振幅方向を模様の幅方向と呼ぶ。
【0018】
ミシン1は、布地100を幅方向に移動させる際の基準となる布ガイド14を備える。ミシン1は、布ガイド14を幅方向にスライドさせる。スライドした布ガイド14に、布地100を把持させ連れ動かすことにより、布地100に貫通させる針3の位置が幅方向において左右に変更する。
【0019】
このようなミシン1は、
図4に示すように操作手段8を備え、ユーザの操作手段8の操作に従って駆動する。操作手段8は、ユーザからの入力を受け付ける入力インターフェースである。ユーザは、操作手段8を操作することで、縫製の開始や終了の指示をしたり、布ガイド14を移動させたり、縫製する模様の選択をする。縫製の開始や終了の指示を行う操作手段8としては、タクトスイッチ81、フットコントローラーがある。タクトスイッチ81は、縫製の開始や終了を指示する。フットコントローラーは、載せた足によりフットコントローラーを踏み込むことで縫製を開始し、フットコントローラーより足を離すことで縫製を終了させる。布ガイド14を移動させる操作手段8としては、布ガイド移動キー40(
図10参照)がある。布ガイド移動キー40は、操作手段8と表示手段9と兼ねるタッチパネル91に表示される。また、タッチパネル91には、縫製する模様の候補の模様を表示し、ユーザが候補の模様から縫製する模様の選択を行う。
【0020】
(キャリッジの構成)
次に、布ガイド14についてさらに詳細に説明する。
図1に示すように、布ガイド14は、このミシン1が備えるキャリッジ10によって、模様の幅方向にスライドする。キャリッジ10は、略長方形の箱型であり、奥行きと高さに対して横幅の長さが長い。このキャリッジ10は、ミシン1の背面に着脱可能に固定され、横幅方向をミシン1に沿わせる。
【0021】
キャリッジ10は、横幅方向に伸縮可能となっている。布ガイド14は、キャリッジ10の伸縮に伴って、模様の幅方向に所定距離移動する。キャリッジ10の移動距離は、後述する模様全体を構成する模様列の並び幅に応じて適宜変更する。所定距離は、縫製を行う模様の種類により変更することができる。所定距離の変更は、模様を縫う際の使用する縫いデータに従って行っても良いし、模様列の縫製が1列終了した後ユーザが次の模様列までの並び幅を入力しても良い。これにより、模様列を1列した後、所定距離布ガイド14を移動させることにより、布地の移動を正確に行うことができる。この模様列の縫製と布ガイド14の所定距離の移動を繰り返すことにより、複数の模様列を並べて大きな1つの模様の縫製を行う。
図2は、キャリッジ10の全体を示す斜視図である。
図2(a)は、収縮状態を示し、
図2(b)は、伸延状態を示す。キャリッジ10は、台座部13と稼動部11とから成る。稼動部11は、台座部13に上側から被せられており、キャリッジ10は台座部13と稼動部11の2重筒構造となっている。台座部13は、ミシン1の背面に固定されている。台座部13には、キャリッジモータ23が内蔵される。稼動部11は、このキャリッジモータ23の駆動力により台座部13に対してスライドし、キャリッジ10全体が伸縮する。
【0022】
台座部13の内部には、レールが延設される。このレール上には、稼動部11との接続部が摺設される。接続部は、台座部13内で横幅方向に延びた無端ベルトの1点に固定される。無端ベルトはキャリッジモータ23によって走行する。キャリッジモータ23の駆動により無端ベルトが走行し、接続部がレール上を移動すると共に、接続部に取り付けられた稼動部11も台座部13に対して模様の横幅方向
(キャリッジ10の横幅方向)にスライドすることとなる。
【0023】
稼動部11には、布ガイド14を固定する固定部12a、bが設けられる。固定部12aは、固定部12aに固定した布ガイド14が、針棒3aの左方となる位置に設けられる。キャリッジ10をミシン1に固定した場合、稼動部11は、ミシン1に対して相対位置を変化させる。固定部12aは、キャリッジ10の伸縮状態において常に、布ガイド14が針棒3aの左方となる位置に設けられる。一方、固定部12bは、固定部12
bに固定した布ガイド14が、針棒3aの右方となる位置に設けられる。固定部12bも固定部12a同様に、キャリッジ10の伸縮状態において常に、布ガイド14が針棒3aの右方となる位置に設けられる。固定部12
a、bは、例えばネジ穴である。固定部12
a、bがネジ穴である場合には、布ガイド14をビス15により固定する。これにより、キャリッジ10の伸縮に応じて布ガイド14が模様の幅方向と平行に移動する。
【0024】
図3は、布ガイド14の全体を示す平面
図3(a)と正面
図3(b)である。
図3(a)に示すように、布ガイド14は、布地100を模様の幅方向に送る際の基準となるガイド部16と、布地100を把持する把持部17を備える。つまり、布ガイド14は、布地100と当接し縫製方向の布送りをガイドすると共に、布地100を把持する。
【0025】
図3(b)に示すように、布ガイド14の一部の断面は、ガイド部16に沿い置かれる布地100に対して上下から臨む2つの辺18a,18bと、2つの辺18a,18bを繋ぐ辺19を有する構成となっている。辺19は、辺18a,18bに対し垂直となる。辺19の垂直な面が、ガイド部16となる。ガイド部16は一方向に延在する。布ガイド14をキャリッジ10に装着した場合に、ガイド部16は縫製方向に延在する。把持部17に、布地100を保持させた場合には、ガイド部16となった垂直な面が、布地100に対する衝立となる。布地100は、縫製時に絶えず端面をガイド部16に沿わせるように把持される。
【0026】
把持部17は、布地100に対して上下から臨む2つの辺18a,18bと、2つの辺18a,18bを繋ぐ辺19と、上辺18aに設けられる押圧ローラー20から構成される。すなわち、押圧ローラー20の回転軸は、送り歯2aの送り方向に直交し、送り歯2aの送り方向に回転する。下辺
18bと押圧ローラー20との間隔は、布地100の厚さより狭くする。押圧ローラー20が、布地100を押圧することで、布地100を確実に把持することができる。すなわち、下辺
18bと押圧ローラー20とが、布地100を挟み込む。また、押圧ローラー20の軸を上下動可能とし、弾性部材により布地100に与える押圧力を調整可能な構成としても良い。把持部17は、布地100を連れ動かし、手動による布地100の
移動を不要にする。
【0027】
(制御部の構成)
布ガイド14を動かすキャリッジ10の制御は、ミシン1が備えるコンピュータ22によって達成される。
図4は、ミシン1の制御構成を示すブロック図である。ミシン1は、制御部となるコンピュータ22と、キャリッジ10の動力源となるキャリッジモータ23、針棒3aを上下動させるための動力源や釜5の動力源となるミシンモータ6、針棒3aを左右に振幅させるための動力源となる振幅モータ24、送り歯2aによる布送り量を調節するカムを駆動させるための動力源となる布送り量調節モータ68、各モータのモータドライバー25、ユーザからの入力を受け付ける入力インターフェースとなる操作手段8とからなる。
【0028】
コンピュータ22は、CPU26、ROM27、RAM28から構成される。ROM27には、実行によりミシン1に縫製を行わせる縫製プログラム、縫いデータ21が記憶されている。縫いデータ21は、模様データ29、及び並び幅データ30を含む。
【0029】
模様データ29は、模様を縫製するために必要な針落ち座標及び針数を含むデータである。模様が、複数の模様列から形成される場合には、それぞれの模様列毎の針落ち座標が記憶される。この模様列は、縫製方向に延びる。並び幅データ30は、各模様列の間隔を示すデータである。並び幅データ30は、模様列と模様列との間隔ごとに設定される。各模様列間の並び幅は、全て等しくしても良い。また、模様列の並び幅を、それぞれ異なるものとしても良い。
図5は、本実施形態のミシン1が縫製する模様の例を示す図である。
図5の模様は、模様列を9列集めて構成される。各模様列L1〜L9間の並び幅は距離D1であり、各模様列L1〜L9は距離D1の間隔で並んでいる。
図5に示すような模様の場合、模様データ29は、模様列L1〜L9までの模様列を縫うために必要な針落ち座標を含む。また、並び幅データ30は、各模様列L1〜L9間の並び幅として、一律に設定された距離D1を含む。
【0030】
CPU26は、ROM27に記憶された縫製プログラムの実行により、縫製制御部31、キャリッジ制御部32を実現する。縫製制御部31は、模様データ29に含まれる針落ち座標を読み込んで、ミシンモータ6、布送り量調節モータ68、及び振幅モータの制御量を算出する。縫製制御部31は、算出した制御量を含む制御指令を、各モータドライバー25に出力する。各モータドライバー25では、制御指令を基に各モータを駆動させる。また、縫製制御部31は、各模様列の縫製の終了時には、布地100を押さえる押さえ足
62を上昇させる。縫製制御部31は、縫製終了の信号をキャリッジ制御部32に対して出力する。
【0031】
キャリッジ制御部32は、並び幅データ30を読み込んで、キャリッジモータ23の制御量を算出する。制御量は、並び幅データ30が示す模様列間の並び幅だけ、布ガイド14を動かすためのモータの回転量等である。キャリッジ制御部32は、算出したキャリッジモータ23の制御量を含む制御指令を、モータドライバー25に出力する。モータドライバー25は、制御指令を基にキャリッジモータ23を駆動させる。キャリッジ制御部32は、縫製制御部31が出力する縫製終了の信号を受け付ける。また、キャリッジ制御部32は、布ガイド移動キーからの信号を受け付ける。布ガイド移動キーは、タッチパネル91に表示されるボタンである。キャリッジ制御部32は、布ガイド移動キーからの信号を受信すると、予め設定された制御量を含む制御指令を、モータドライバー25に出力する。つまり、キャリッジ制御部32は、2つの制御信号によりキャリッジモータ23を制御する。
【0032】
(キャリッジの制御例)
(a)並び幅データ30に基づく布ガイドの移動例
図6は、キャリッジ10の制御動作を示すフローチャートである。初めに、1列目の模様列の縫製が行われる(S101)。1列目の模様列の縫製が終了し、模様が完成した場合には、模様の縫製は終了する(S102のYES)。一方、模様が未完の場合には(S102のNO)、キャリッジ制御部32は、並び幅データ30を読み込んで、キャリッジモータ23の制御量を算出する。ここで読み込む並び幅データ30は、1列目と2列目の模様列の並び幅であり、距離D1とする(S103)。そして、キャリッジ制御部32は、キャリッジモータ23を制御してキャリッジ10を針の振幅方向に、距離D1分だけ伸縮させる
(S104)。キャリッジ10の移動は、縫製制御部31からの縫製終了信号を受け付けて行う。
【0033】
その後、2列目の模様列の縫製が行われる。2列目の模様列の縫製後、3列目の模様列の縫製を行う場合には、改めて2列目と3列目の模様列間の並び幅データ30を読み込んでキャリッジモータ23の制御量を算出する。そして、次の3列目の模様列の縫製を行う。これを模様の完成まで繰り返す。尚、各模様列間の並び幅が等しい場合には、改めて制御量を算出する必要がない。
【0034】
(b)ユーザからの入力に従った布ガイド14の移動
ユーザは、布地100の位置を調節するための布ガイド移動キーを操作する。キャリッジ制御部32は、布ガイド移動キーの押圧による信号に基づいて、キャリッジモータ23のモータドライバー25に制御信号を出力する。モータドライバー25では、制御指令を基にキャリッジモータ23を駆動させる。これにより、キャリッジモータ23と連動して、布地100が移動する。
【0035】
[1−2.作用]
以下では、本実施形態のミシン1で模様の刺繍を行う際の手順を説明する。説明のため、完成模様は、
図5に示す模様とする。この模様を布地100の左端側に縫製する。縫製は、左側の模様列から、右側の模様列へと順々に縫製する。
図5の模様は、9列の模様列が等しい距離D1で縫製されている。ミシン1は、布ガイド14を距離D1ずつスライドさせて、各模様列の縫製を行う。
図7は、
図5の模様の縫製手順を示す図である。
【0036】
初めに、模様の縫製の準備段階として、キャリッジ10に布ガイド14を固定する。模様を布地100の左端側に縫製する場合には、固定部12aに布ガイド14を固定する。布ガイド14のガイド部16が、模様の縫製方向と平行になるように固定される。
【0037】
ユーザは、このガイド部16に布地100の左端部が沿うように、布ガイド14に布地100を配置する。布地100は、押圧ローラー20により押圧され、布ガイド14に対して固定される。そのため、布ガイド14が針の振幅方向にスライドしても、布ガイド14と布地100の相対的な位置は変化しない。布ガイド14のスライド時には、布地100は、布ガイド14に対して針の振幅方向に対してズレることが無く、布地100は左端部がガイド部16に沿った状態を維持する。そして、ユーザは、タッチパネル91を操作し、縫製する模様を選択する。これで、模様の縫製の準備が完了する(
図7(1))。
【0038】
模様の縫製は、ユーザが縫製を開始するためのタクトスイッチ81を操作することで開始される。タクトスイッチ81からの信号を受けて、縫製制御部31は、1列目の模様列の模様データ29に基づいて、ミシンモータ6と布送り量調節モータ68、及び振幅モータ24を駆動させる。これにより、送り歯2aによる縫製方向への布送りと、針3と
釜による縫い目の形成が開始される。
【0039】
ミシンモータ6の駆動力により送り歯2aが動作する。この送り歯2aの動作より、布地100全体は縫製方向に布送りされる。その際、布ガイド14付近の布地100も、送り歯2aの動作により縫製方向に布送りされる。布ガイド14では、押圧ローラー20が布地100の縫製方向の移動に伴って回転する。その為、押圧ローラー20が布地100を押圧する力が、縫製方向への布送りの大きな抵抗となることはない。また、縫製方向への布送りの際には、ユーザが布送りを補助しても良い。例えば、布地100の右端部にユーザの
右手を添えておく。そして、送り歯2aによる縫製方向への布地100の布送りの速さに合わせて、
右手を動かしても良い。このようにすることで、布地100を縫製方向に正確に布送りすることが可能となる(
図7(2))。
【0040】
縫い目の形成が模様データ29に記憶された針数まで到達したら、縫製制御部31は、送り歯2a、針棒3a及び
釜を動作させるモータを停止させる。送り歯2aの回転が停止するため布地100の縫製方向への布送りも停止する。これにより、1列目の模様列の縫製が終了する。その後、縫製制御部31は、押さえ足
62を上昇させる。押さえ足
62を上昇させると、布地100を把持する部材は、把持部17のみとなる(
図7(3))。
【0041】
次に、布地100を所定の距離D1分だけ針の振幅方向に布送りする。1列目の模様列の縫製が終了すると、縫製制御部31は、縫製が終了したことを示す信号をキャリッジ制御部32に対して出力する。この信号を受信したキャリッジ制御部32は、並び幅データ30から1列目と2列目の模様列の間の並び幅を読み出す。そして、その並び幅よりキャリッジモータ23の制御量の算出を行う。算出される制御量は、キャリッジ10を、距離D1分、左方向に移動をさせる値である。そして、キャリッジ制御部32は、算出した制御量に基づいてキャリッジモータ23を回転させる。この場合のキャリッジモータ23の回転方向は、キャリッジ10を延伸する方向させる方向である。このキャリッジモータ23の駆動力により、キャリッジ10は所定距離D1分だけ延伸する。このキャリッジ10の延伸に伴い布ガイド14は左方向に所定距離D1分だけ正確にスライドする。これにより、布ガイド14も、針落ち点から離れる方向である左側に、所定距離D1分だけ正確にスライドする。
【0042】
また、布ガイド14の移動に合わせて、ガイド部16も左側に所定距離D1分だけ移動する。布地100は、ガイド部16に移動に連れ動き、左側に所定距離D1分だけ移動する。これにより、布地100に対する針落ち点も、針の振幅方向に所定距離D1分ずれる。この時、布地100は、左端部を布ガイド14の把持部17に把持されながら左側へ移動する。布地100は、布ガイド14により引っ張られるように移動するため、布地100に、横方向の布送りによるシワができ難い(
図7(4))。
【0043】
そして、布地100の縫製方向に布送りし、2列目の模様列の縫製位置の調整を行う。ユーザは、布地100の左端面をガイド部16に沿わせながら、目視で布地100を縫製方向に移動させる。布地100を移動させる距離は、1列目の模様列の縫製時に、縫製方向に布送りされた距離と等しい距離である。これにより、布地100を正確に2列目の模様列の縫製位置へ移動させることが可能となる(
図7(5))。
【0044】
その後、2列目の模様列の縫製を開始する。2列目の模様列の縫製は、1列目の模様列の縫製と同様に行う。即ち、縫製が開始すると、縫製制御部31は、2列目の模様列の模様データ29を読み出して各モータの制御を行う(
図7(6)〜(7))。そして、縫い目の形成が模様データ29に記憶された針数まで到達したら、2列目の模様列の縫製が終了する。
【0045】
2列目の模様列の縫製が終了すると、キャリッジ制御部32は、2列目と3列目の模様列の間の並び幅を呼出して、キャリッジモータ23の制御量の算出を行う。そして、キャリッジ制御部32は、算出した制御量にもとづいて、キャリッジモータ23を制御する。キャリッジモータ23は、キャリッジ10を所定距離分だけ延伸させ、布ガイド14を所定距離分だけ正確にスライドさせる。スライドした布ガイド14のガイド部16には、布地100が沿ったまま把持されている。そのため、布地100に対する針落点も正確にD1ずれる(
図7(8))。以下、これを繰り返すことで、模様を縫製する。
【0046】
[1−3.効果]
以上の様な、縫いデータ
21に従って縫製方向及び針の振幅方向に大きさを有する模様を布地に縫製するミシン1では、送り歯2aにより、布地100を縫製方向に布送りしつつ模様の縫製を行う。ミシン1は布ガイド14を備える。この布ガイド14は、縫製方向に延在する一直線のガイド部16を有し、前記針の振幅方向の布送りの基準となる。そして、キャリッジ10は、布ガイド14を針の振幅方向に所定距離ずつスライドさせる。これにより、ガイド部16が、次の模様列を縫製するために布地100が位置すべき位置の指標となる。そのため、布地100を次の模様列の縫製の為に、精度良く位置決めできるので、高品質な模様の作成が可能となる。
【0047】
本実施形態では、布ガイド14に把持部17を備えるようにし、布ガイド14のスライドにあわせて、布地100も連れ動くようにしたが、布ガイド14にガイド部16のみを備えるようにしても良い。この場合、布ガイド14が、次の模様列の縫製のために所定距離スライドすると、ユーザは、ガイド部16に布地100が沿うように、手作業にて布地100を移動させる。これによっても、ガイド部16が、次の模様列を縫製するために布地100が位置すべき位置の指標となるため、布地100を次の模様列の縫製の為に、精度良く位置決めでき、高品質な模様の作成が可能となる。
【0048】
本実施形態の布ガイド14は、ガイド部16に当接した布地100を把持する把持部17を備え、布地100を把持しつつ前記所定距離ずつスライドする。これにより、自動に布地100を、針の振幅方向にスライドさせる際のユーザの手作業を排除している。そのため、更に精度の良く、位置決めでき、高品質な模様の作成が可能となる。
【0049】
本実施形態の把持部17は、布地100を押圧し、縫製方向に対して回転する押圧ローラー20を含む。これにより、縫製方向への布送りの際の布地100の抵抗が低減する。そのため、縫製方向にも精度良く布送りすることができ、高品質な模様の作成が可能となる。
【0050】
本実施形態では、縫いデータ21に含まれる並び幅データ30として、各模様列間の間隔を一律に距離D1とした。この縫いデータ21を基にキャリッジを制御することで、布ガイドを所定距離D1ずつスライド可能な構成とした。これにより模様列の並び幅が等しい模様を高品質に作成することができる。また、本実施形態では、並び幅データ30として、各模様列の間隔を一律に距離D1としたが、各模様列の間隔をそれぞれ異なる値にしても良い。模様列間の距離をそれぞれ異なる距離とすることで、様々な並び幅で並ぶ模様列からなる模様の縫製が可能となる。
【0051】
本実施形態では、模様データ29に模様完成までの針数を含めた。これにより、予定された針数に到達した場合には、ミシン1が自動的に模様列の縫製を終了させる。そのため、必要以上の針数を超えて模様の縫製が行われることがなく、高品質な模様の作成が可能となる。一方、模様データ29に針数のデータを含めなくとも良い。この場合、1列目の模様列の縫製を、ユーザが任意の針数で終了させ、この針数を保持しておく。2列目の模様列の縫製の際には、保持した針数まで縫製を行うようにしても良い。これにより、模様の長さを予め決めておかなくても縫製をすることができる。これによっても、2列目以降
の模様列の縫製においては、1列目で保持した針数に達した場合に自動で縫製が終了するため、高品質な模様の作成が可能となる。
【0052】
本実施形態では、模様列を直線のみの模様で形成した。それだけでなく、模様列を複数のオブジェクト模様で形成しても良い。ガイド部16が、次の模様列を縫製するために布地100が位置すべき位置の指標とすることで、模様列を構成する模様に関係なく、高品質な模様の作成が可能となる。
【0053】
本実施形態の押圧ローラー20は、布地100の縫製方向の移動に伴って回転した。それだけでなく、布地100の布送り量に合わせて押圧ローラー20を能動的に回転させても良い。
【0054】
[2.第2の実施形態]
本実施形態のミシン1で縫製する模様の模様列は、オブジェクト模様で形成する。各模様列の並び幅は、オブジェクト模様の幅と等しい。ミシン1は、オブジェクト模様の幅と、各模様列の並び幅が等しい模様の縫いデータの作成を行う。ミシン1では、縫いデータ21に基づいて布ガイド14をスライドさせる所定距離を、オブジェクト模様の幅と等しくする。
【0055】
図8は、本実施形態のミシンが縫製する模様の例を示す図である。
図8の模様は、10列の模様列から構成される。各列の模様列は、4つのオブジェクト模様から構成される。このオブジェクト模様の幅は距離D2であり、各模様列の並び幅は距離D2である。また、距離D2は、針3の最大振幅A
max以下である。ここで、オブジェクト模様は、ミシン1における針3の振幅以下の幅を有し、且つ縫製の際に、開始から終了まで糸きりや、ユーザの手で布地100を針の振幅方向に移動させる必要が無い。模様列がオブジェクト模様からなる場合、その模様列の並び幅は、模様列を構成するオブジェクト模様の中心線L
1間を基準として算出する。オブジェクト模様の中心線L
1は、模様の縫製方向に延びる線であり、針の振幅方向においてオブジェクト模様の中央を通る。つまり、中心線L
1は、オブジェクト模様を、針の振幅方向により2等分する。
【0056】
図8では、オブジェクト模様の幅と、模様列の並び幅が共にD2であり等しい。そのため、隣り合う模様列のオブジェクト模様は、互いに接している。このような模様では、1つでもオブジェクト模様の位置がずれると、見栄えに影響する。故に、布ガイド14を基準とした針の振幅方向への布送りの精度が要求される。
【0057】
[2−1.構成]
図9は、本実施形態のミシンの制御構成を示すブロック図である。本実施形態では、第1の実施形態のミシン1の構成に、模様列を構成するオブジェクト模様の幅と各模様列の並び幅が等しい縫いデータ21を作成するために必要な構成を追加した。尚、第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0058】
(制御部の構成)
縫いデータ21を作製するための制御は、ミシン1が備えるコンピュータによって達成される。
図9に示すように、コンピュータ22のROM27には、縫製プログラム、縫いデータ21に加えて、縫いデータ21を作成するための縫いデータ作成プログラム、オブジェクト模様データ33が記憶される。
【0059】
オブジェクト模様データ33には、複数種類のオブジェクト模様のデータが記憶される。記憶されるデータは、各オブジェクト模様を縫製するために必要な針落ち座標及び針数を含むデータ、及び縫製した各オブジェクト模様の幅のデータである。オブジェクト模様の幅は、針3の最大振幅A
max以下である。それに加えてオブジェクト模様データ33は、表示手段9に表示するオブジェクト模様の縫い上がりを示す画像データを含む。
【0060】
CPU26は、ROM27に記憶された縫いデータ作成プログラムの実行により、縫いデータ作成部34を実現する。縫いデータ作成部34は、タッチパネルに縫いデータ作成用のダイアログを表示する。そして、ユーザに対して模様列の数、模様の種類の選択を促す。また、縫いデータ作成部34は、縫いデータ作成用のダイアログを表示したタッチパネル91からの信号を受信する。そして、その信号に基づき縫いデータ21を作成する。言い換えると、縫いデータ作成部34は、ユーザが選択した、模様列の数で、選択した種類のオブジェクト模様を、選択したオブジェクト模様の幅と等しい並び幅で並べた模様の縫いデータ21を作成する。縫いデータ作成部34が、作成した縫いデータは、ROM27に記憶される。
【0061】
縫いデータ作成部34は、以下の項目についてユーザからの選択を受け付ける。
(I) 1つの模様を構成する模様列の数
(II) 模様列を構成するオブジェクト模様
(III) 縫製する際、基準となる模様列の模様をシフト反転させて縫製を行う模様列の番号
(IV) 模様列の並び幅
縫いデータ作成部34は、ユーザから受け付けた(I)〜(IV)をRAM28に記憶し、縫いデータ21を作成する。縫いデータ作成部34は、模様列選択部35、模様選択部36、シフト反転部37及び並び幅選択部38を備える。縫いデータ作成部34の各部は、タッチパネル91と接続され、タッチパネルからの信号が入力する。
【0062】
模様列選択部35は、1つの模様を構成する模様列の数について、ユーザからの選択を受け付ける。模様列選択部35が受け付けた数の模様列により、1つの模様が構成される。模様列選択部35が受け付けた模様列の数は、RAM28に一時的に記憶される。
【0063】
模様選択部36は、模様列を構成するオブジェクト模様についてユーザの選択を受け付ける。ユーザは、オブジェクト模様データ33に記憶された幅が等しいオブジェクト模様の中から、任意のオブジェクト模様を選択する。模様列を構成するオブジェクト模様としては、1つのオブジェクト模様を選択しても、複数のオブジェクト模様を選択しても良い。そして、模様選択部36は、選択を受け付けたオブジェクト模様データを、オブジェクト模様データ33より読み出す。読み出された模様列のオブジェクト模様データは、何列目のオブジェクト模様の模様データであるかを示すデータと関連付けて、RAM28に一時的に記憶される。
【0064】
シフト反転部37は、縫製する際、基準となる模様列の模様をシフト反転させて縫製を行う模様列の番号について、ユーザの選択を受け付ける。ここで、基準となる模様列とは、模様を構成する模様列の中の1つの模様列であり、この模様列はユーザが任意に設定する。例えば、模様全体の右または左端に配置される模様列とする。模様列を右から左に並べて、1つの模様を作製する場合には、右側から数えて1列目の模様列を基準としても良い。逆に、模様列を左から右に並べて、1つの模様を作製する場合には、左側から数えて1列目の模様列を基準としても良い。シフト反転部37は、ユーザから、ある模様列の模様を、基準となる模様列の模様のシフト反転させた模様として縫製を行うと選択が有った場合には、シフト反転を行う模様列の列番号をRAM28に一時的に記憶する。
【0065】
並び幅選択部38は、模様選択部36で選択したオブジェクト模様の幅を、模様列の並び幅としてもよいし、模様列間ごとに並び幅を受け付けても良い。オブジェクト模様の幅を模様列の並び幅とする場合、並び幅選択部38は、模様選択部36が模様列を構成するオブジェクト模様の選択を受け付けた場合、選択されたオブジェクト模様の幅をオブジェクト模様データ33より読み出す。そして、模様列の並び幅としてRAM28に一時的に記憶する。
【0066】
(ダイアログの表示例)
図10は、縫いデータ作成部34が、タッチパネル91に表示させる縫いデータ作成用のダイアログの一例を示す図である。ユーザは、ダイアログに表示された各種のキーを操作することで、模様を構成する模様列の数、模様列の模様、模様列の並び幅の選択をする。選択した結果は、完成予想図としてエディットボックス45に表示される。縫いデータ作成用のダイアログには、布ガイド移動キー40、模様列数選択キー41、模様選択キー42、シフト反転キー43、及びエディットボックス45、縫いデータ作成キー44が配置される。
【0067】
模様列数選択キー41は、1つの模様にオブジェクト模様が何列で構成されるかについて、ユーザの選択を受け付けるキーである。模様選択キー42は、模様列を構成するオブジェクト模様の候補を選択するためのキーである。模様選択キー42は、
図10のように、3×4=12の候補を同時に表示しても良い。シフト反転キー43は、ある模様列の模様の選択中に押すと、その模様列の模様を基準となる模様列の左右対称な模様とするボタンである。エディットボックス45は、模様選択キー42で選択した模様が表示される領域である。また、シフト反転キー43により選択した模様が反転された結果を示す。縫いデータ作成キー44は、縫いデータ作成部34に対してエディットボックス45に表示された模様を基に縫いデータ21を作成させるためのボタンである。
【0068】
(キャリッジの制御例)
以下では、模様の縫製の際に、キャリッジ10をオブジェクト模様の幅に合わせて、移動させる制御動作について、説明する。
図11は、キャリッジ10の制御動作を示すフローチャートである。
【0069】
初めに、1列目の模様列の縫製を行い
(S201)、模様が未完の場合には(S202のNO)、キャリッジ制御部32は、1列目と2列目の模様列の並び幅D2を読み込んで、キャリッジモータ23の制御量を算出する(S203)。算出した制御量は記憶しておく。そして、この制御量に基づいて、キャリッジ制御部32は、キャリッジモータ23を制御してキャリッジ10を針の振幅方向に、距離D2の分だけ伸縮させる(S204)。キャリッジ10の移動は、縫製制御部31からの縫製終了信号を受け付けて行う。
【0070】
その後、2列目の模様列の縫製が行われる。さらに、3列目の模様列の縫製を行う場合には、予め記憶しておいた制御量に基づいて、キャリッジ制御部32は、キャリッジモータ23を制御してキャリッジ10を針の振幅方向に、距離D2の分だけ伸縮させる。そして、次の模様列の縫製を行い、これを模様の完成まで繰り返す。
【0071】
[2−2.作用]
以下では、本実施形態のミシンで模様の刺繍を行う際の手順を説明する。説明のため、完成模様は、
図8の模様とする。この模様を布地100の左端側に縫製する。縫製は、左側のオブジェクト模様から、右側の模様列へと順々に縫製する。
図8の模様は、10列の模様列が、並び幅D2で縫製されている。ミシン1は、布ガイド14を距離D2ずつスライドさせて、各模様列の縫製を行う。
図12は、
図9の模様の縫製手順を示す図である。
【0072】
初めに、模様の縫製の準備段階として、キャリッジ10に布ガイド14を固定する。ユーザは、布ガイド14のガイド部16に布地100の左端部が沿うように、布ガイド14に布地100を配置する。そして、タクトスイッチ81を操作することで縫製が開始される。縫い目の形成が模様データ29に記憶された針数まで到達したら、1列目の模様列の縫製が終了する(
図12(1)〜(3))。
【0073】
縫製が終了すると
、キャリッジ制御部32は、並び幅データ30から1列目と2列目の模様列の間の並び幅D2を読み出す。そして、その並び幅よりキャリッジモータ23の制御量の算出を行う。算出される制御量は、キャリッジ10を、距離D2分、左方向に移動をさせる値である。キャリッジモータ23の駆動力により、キャリッジ10は所定距離D2分だけ延伸し、キャリッジ10の延伸に伴い布ガイド14は
左方向に所定距離D2分だけ正確にスライドする。そして、布ガイド14の移動に合わせて、ガイド部16も左側に所定距離D2分だけ移動する。布地100は、ガイド部16に移動に連れ動き、左側に所定距離D2分だけ移動する。これにより、布地100に対する針落ち点も、針の振幅方向に所定距離D2分ずれる。(
図12(4))
【0074】
そして、布地100の縫製方向に布送りし、2列目の模様列の縫製位置の調整を行い、2列目の模様列の縫製を行う(
図12(5)〜(7))。2列目の模様列の縫製が終了すると、キャリッジ制御部32は、算出した制御量にもとづいて、キャリッジモータ23を制御する。これにより、布ガイド14を所定距離D2分だけ正確にスライドさせ、布地100を所定距離D2移動させる(
図12(8))。以下、これを繰り返すことで、模様を縫製する。
【0075】
[2−3.効果]
以上の様な本実施形態では、模様が針3の最大振幅A
max以下の幅を有するオブジェクト模様の集まりの場合に、所定距離D2をオブジェクト模様の幅と等しくした。これにより、縫製される模様において、オブジェクト模様同士が隣り合う。このような模様でも、次の模様列の縫製の為に布地100を、精度良く位置決めできるので、高品質な模様の作成が可能となる。
【0076】
また、
図5の様な模様列が直線のみで形成される模様も、模様列がオブジェクト模様からなる模様として扱うことができる。例えば、
図13(a)は、
図5の模様を構成する模様列がオブジェクト模様で形成される場合の、オブジェクト模様を示す図である。
図13(a)に示すオブジェクト模様は、縫製方向に延びる縫い目と、その縫い目の左右の余白からオブジェクト模様を構成している。この場合、オブジェクト模様の幅は、左右の余白と縫い目の幅を合わせた幅となる。このような模様でも、次の模様列の縫製の為に布地100を、精度良く位置決めできるので、高品質な模様の作成が可能となる。また、一方向に延びる直線だけで、オブジェクト模様を構成しなくとも良い。例えば、
図13(b)のように、屈折する複数の直線により、1つのオブジェクト模様を構成しても良い。
【0077】
本実施形態のミシン1は、複数の模様列から縫いデータ21を作成する縫いデータ作成部34を備える。この縫いデータ作成部34は、幅が等しいオブジェクト模様の中から任意のオブジェクト模様を、模様列を構成するオブジェクト模様とする選択を受け付ける模様選択部36と、選択されたオブジェクト模様の幅を、模様列の並び幅とする並び幅選択部38と、を備える。これにより、模様列を構成するオブジェクト模様の幅と各模様列の並び幅が等しい縫いデータ21の作成を容易にする。この縫いデータを使用した場合にでも、次の模様列の縫製の為に布地100を、精度良く位置決めできるので、高品質な模様の作成が可能となる。
【0078】
更に、縫いデータ作成部34は、オブジェクト模様が選択された模様列の左右対称なオブジェクト模様を、他の模様列を構成するオブジェクト模様とするシフト反転部37を更に備える。これにより、同一のオブジェクト模様、及びそのオブジェクト模様の左右対称なオブジェクト模様からなる模様の縫いデータ21の作成を容易にする。
【0079】
また、本実施形態では、模様選択部36は、それぞれの模様列毎に、ユーザの選択を受け付けたがこれに限らない。例えば、同じ模様の模様列で1つの模様を構成する場合には、基準となる模様列を構成する模様についてだけ、模様の選択を受け付けても良い。その場合、シフト反転部37は、偶数列の模様列の模様を、基準となる模様列の左右対称な模様とするかに否かについて、ユーザの選択を受け付ける。
図14(a)は、端の基準となる模様列の模様として4つのオブジェクト模様の選択を受け付けた場合のエディットボックス45に表示される模様の完成予想図である。この状態で、ユーザからの信号がシフト反転部37に入力すると、
図14(b)に示すように、シフト反転部37は、偶数列の模様列の模様を、基準となる模様列の左右対称な模様とする。これにより、ユーザの入力の手間を減らし、縫い模様データを作成することが可能となる。
【0080】
また、縫いデータ作成部34は、エディットボックス45に表示された模様を構成する全ての針落ち座標及び針数を含むデータと、模様全体を構成する模様列の数、各模様列の間の幅についてのデータを含む縫いデータ21を作成しても良いが、これに限らない。例えば、基準となる模様列として1列分の模様列分の針落ち座標及び針数を含むデータと、模様全体を構成する模様列の数、各模様列の間の幅についてのデータと、シフト反転を行う模様列の番号を含む縫いデータとしても良い。この場合には、模様全体を縫いデータとする場合と比較して、データの容量を抑えることが可能となる。
【0081】
さらに、本実施形態では、シフト反転部37において基準となる模様列を模様全体の右または左端に配置される模様列とした。つまり、基準となる模様列は1つとしたが、その数は1つに限らず、複数の基準となる模様列を設定しても良い。例えば、12列の模様列からなる模様の場合、右側から数えて1列目の模様列と、7列目の模様列を基準となる模様列を設定する。1列目の模様列の模様をパターンA、7列目の模様列の模様をパターンBとする。この場合、3、5列目は、1列目の模様と同一のパターンAの模様であり、2、4、6列目は、パターンAの模様をシフト反転した模様となる。また、9、11列目は、7列目の模様と同一のパターンBの模様であり、8、10、12列目は、パターンBの模様をシフト反転した模様となる。これにより、複数のパターンの模様列で模様が構成される場合にも、これにより、ユーザの入力の手間を減らし、縫い模様データを作成することが可能となる。
【0082】
本実施形態では、模様が針3の最大振幅A
max以下の幅を有するオブジェクト模様の集まりの場合に、所定距離D2をオブジェクト模様の幅と等しくしたが、所定距離D2はこれに限らない。例えば、所定距離D2をオブジェクト模様の幅より短くすることにより、隣り合う模様列を重ねて縫製することが可能となる。また、隣り合う模様列の幅をそれぞれ調整することにより、ぼかし模様の縫製を行うことも可能となる。
【0083】
[3.第3の実施形態]
第2の実施形態では、模様列を構成するオブジェクト模様の幅D2分だけキャリッジ10を移動した。本実施形態では、ミシン1に取付けられた針3の最大振幅A
max以下の幅を有するオブジェクト模様を、針3の振幅方向に組み合わせて模様を縫製するに関する。針3の最大振幅A
maxはミシンが本来的に有するものである。一方、オブジェクト模様の幅については、ユーザが任意に決めるものである。そのため、例えば、針3の最大振幅A
maxの1/2以下の幅を有するオブジェクト模様から1つの模様列が形成され、さらにその模様列の隣に同じ幅の模様列があり、それぞれの模様列が接している場合には、キャリッジ10を移動せずとも針3の振幅だけで2列分の模様列の縫製を行うことが可能となる。本実施形態のミシン1では、オブジェクト模様の幅と針の最大振幅A
maxとの関係から、キャリッジの移動を少なくして、品質を高めた縫製を行う。
【0084】
図15は、本実施形態のミシンが縫製する模様の例を示す図である。
図15の模様は、10列の模様列が並び幅D3で縫製される。各列の模様列は、6つのオブジェクト模様から構成される。このオブジェクト模様の幅は距離D3であり、各模様列の並び幅は距離D3である。すなわち、隣り合う模様列のオブジェクト模様は、互いに接している。また、本実施形態においては、針3の最大振幅A
maxを距離D3の2倍以上とする。言い換えれば、模様列2列分の並び幅は距離D3の2倍の距離D4であり、距離D4が針3の最大振幅A
max以下である。このような場合には、キャリッジを動かさずに1列目・2列目を縫製し、その後、キャリッジをD4分スライドさせる。
【0085】
[3−1.構成]
図16は、本実施形態のミシン1の構成を示すブロック図である。
図16に示す様に、本実施形態のミシン1は、第1の実施形態のミシン1の構成に加えて、CPU26に算出部46を新たに設ける。また、ROM27内に針の最大振幅A
maxのデータ51を記憶する。尚、第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0086】
算出部46は、キャリッジ10を移動せずに、針3の振幅だけで何列の模様列の縫製が可能かどうかの算出を行う。また、算出部46は、針3の振幅だけで2列以上の模様列の縫製が可能な場合には、どのタイミングでキャリッジ10を移動させるかについての選択をユーザから受け付ける。算出部46は、比較部47、結果提示部48、選択受付部49、制御指示部50を備える。
【0087】
比較部47は、針3の最大振幅A
maxとオブジェクト模様幅の距離D3とを比較する。比較部47における比較は、針3の最大振幅A
maxをオブジェクト模様幅の距離D3で割ることで算出する。例えば、針3の最大振幅A
maxが10mmであり、オブジェクト模様幅の距離D3が4mmである場合には、算出結果として、キャリッジ10を移動せずに、針3の振幅だけで2列の模様列の縫製が可能との結果が算出される。
【0088】
結果提示部48は、表示手段9を制御して比較部47における算出結果をユーザに提示すると共に、縫製の際にキャリッジ10を移動せずに、針3の振幅だけで何列縫うかの選択肢も同時に提示する。ここで提示する列の数は、比較部47で算出したキャリッジ10を移動せずに、針3の振幅だけで縫製可能な模様列の数以下である。比較部47において、縫製可能な模様列が3列と算出された場合には、提示する列数は1列〜3列となる。
【0089】
選択受付部49は、縫製の際にキャリッジ10を移動せずに、針3の振幅だけで何列縫うかについてユーザの選択を受け付ける。ユーザは操作手段8を操作して、表示手段9に表示されたキャリッジ10を移動せずに針3の振幅だけで縫製可能な模様列の数の中から希望の列数を入力する。
【0090】
制御指示部50は、キャリッジ制御部に対して、受け付けたユーザが選択した希望の列数を伝送する。これにより、キャリッジ制御部では、模様データから読み込んだ模様列の数、並び幅データ30から読み込んだ各模様列の並び幅、及び、ユーザが選択したキャリッジ10を移動せずに針3の振幅だけで縫製する模様列の列数とから算出した、キャリッジモータ23の制御量を含む制御指令を、モータドライバー25に出力する。モータドライバー25は、制御指令を基にキャリッジモータ23を駆動させる。
【0091】
(キャリッジの制御例)
以下では、模様の縫製の際に、キャリッジ10を2列分の模様列の並び幅D4に合わせて、移動させる制御動作について、説明する。
図17は、キャリッジ10の制御動作を示すフローチャートである。
【0092】
針の最大振幅A
maxとオブジェクト模様幅の距離
D3とを比較する(S301)。比較結果をユーザに提示し、キャリッジ10を移動せずに針3の振幅だけで縫製を行う模様列の数についての選択を受け付ける(S302)。ここでは、ユーザは、キャリッジ10を移動せずに針3の振幅だけで2列の模様列を縫製すると選択したとする。
【0093】
キャリッジ10の位置はその場で不変のまま、ユーザが選択した数の模様列の縫製を行う(S303)。ユーザがS302において、2列の模様列の縫製を行うとした場合には、模様列を2列縫製するまでは、キャリッジは伸縮させない。つまり、ユーザは、1列目の縫製を行い、その後、ユーザは布地を送り方向について2列目の模様列の縫い開始位置に移動させる。そのため、布地100は、針の振幅方向に移動せずに、縫製方向のみ移動する。そして、2列目の模様列の縫製を行う。模様が未完の場合には(S304のNO)、キャリッジ制御部32は、1列目と3列目の模様列の並び幅D4を読み込んで、キャリッジモータ23の制御量を算出する(S305)。算出した制御量は記憶しておく。そして、この制御量に基づいて、キャリッジ制御部32は、キャリッジモータ23を制御してキャリッジ10を針の振幅方向に、距離D4分だけ伸縮させる(S306)。キャリッジ10の移動は、縫製制御部31からの縫製終了信号を受け付けて行う。
【0094】
その後、3列目以降の縫製も1列目と2列目の模様列の縫製と同様に行われる。すなわち、針の最大振幅A
maxとオブジェクト模様幅の距離D3との比較、比較結果のユーザの提示、ユーザの選択の受付、キャリッジの位置の不変のまま選択列数の模様列の縫製を繰り返す。また、本実施形態のように、オブジェクト
模様が距離D3の等間隔で並んでいる模様の場合には、1列目と2列目の模様列の縫製の際と同様に、3列目と5列目の模様列の並び幅D4を読み込んで、キャリッジモータ23の制御量を算出しても良いが、予め記憶しておいた制御量に基づいて、キャリッジ制御部32は、キャリッジモータ23を制御してキャリッジ10を針の振幅方向に、距離D4分だけ伸縮させる。これを模様の完成まで繰り返す。
【0095】
[3−2.作用]
以下では、本実施形態のミシンで模様の刺繍を行う際の手順を説明する。説明のため、完成模様は、
図15の模様とする。
図15の
模様は、第2の実施形態に記載の方法で作成した縫いデータに基づいて縫製しても、予め記憶されていた縫いデータを元に縫製することもできる。
【0096】
ミシン1は、この模様を布地100の左端側に縫製する。縫製は、左側のオブジェクト模様から、右側の模様列へと順々に縫製する。
図15の模様は、10列の模様列が、並び幅D3で縫製されている。ミシン1は、布ガイド14を距離D3の2倍の距離D4ずつスライドさせて、各模様列の縫製を行う。
図18は、
図15の模様の縫製手順を示す図である。
【0097】
初めに、模様の縫製の準備段階として、キャリッジ10に布ガイド14を固定する。ユーザは、布ガイド14のガイド部16に布地100の左端部が沿うように、布ガイド14に布地100を配置する。そして、1列目の模様列の縫製を行う。(
図18(1)〜(3))。1列目の模様列の縫製が終了すると、縫製制御部31は押さえ足を上昇させる。そして、2列目の模様列の縫製位置の調整を行い、2列目の模様列の縫製を行う(
図18(4)〜(6))。2列目の模様は、1列目の模様が左右反転した模様である。縫いデータ21が模様全体を構成する模様列の数、各模様列の間の幅についてのデータを含む縫いデータの場合には、縫いデータ21に従って縫製を行う。一方、縫いデータ21が、基準となる模様列として1列分の模様列分の針落ち座標及び針数を含むデータと、模様全体を構成する模様列の数、各模様列の間の幅についてのデータと、シフト反転を行う模様列の番号を含む縫いデータとを含むデータの場合には、基準となる1列目の模様列の模様データを呼出す。そして、2列目がシフト反転を行う列であるデータに基づいて、1列目の模様列の模様データを、コピーし、左右反転させて、2列目の模様データとする。
【0098】
そして、2列目の縫製が終了すると
、キャリッジ制御部32は、並び幅データ30から1列目と3列目の模様列の間の並び幅D4を読み出す。そして、その並び幅よりキャリッジモータ23の制御量の算出を行う。算出される制御量は、キャリッジ10を、距離D4分、左方向に移動をさせる値である。キャリッジモータ23の駆動力により、布ガイド14は左方向に所定距離D4分だけ正確にスライドする。そして、布ガイド14の移動に合わせて、ガイド部16も左側に所定距離D4分だけ移動する。布地100は、ガイド部16に移動に連れ動き、左側に所定距離D4分だけ移動する。これにより、布地100に対する針落ち点も、針の振幅方向に所定距離D4分ずれる。以下、これを繰り返すことで、模様を縫製する。
【0099】
[3−3.効果]
以上の様な本実施形態では、模様が針3の最大振幅以下の幅を有するオブジェクト模様の集まりの場合に、キャリッジ10を移動させる距離を、前記オブジェクト模様の幅の正の整数倍のうち何倍とするかについてユーザが選択しても良い。これにより、ユーザが選択した整数までは、オブジェクト模様の列の縫製が終了する毎に縫製方向の位置を調整して、キャリッジを移動させずに針を振幅中心からずらした状態での縫製を含めて縫製することが可能となる。これにより、模様列を1列縫製する度に布送りする場合と比較して、針の振幅方向への布送りの頻度が減少する。そのため、更に精度の良く、高品質な模様の作成が可能となる。
【0100】
本実施形態では、ユーザがキャリッジを動かさずに2列の模様列を縫製するとしたが、キャリッジ10を移動させる距離を、前記オブジェクト模様の幅の正の整数倍のうち、針3の最大振幅以下に収まる最大値としても良い。例えば、オブジェクト模様の幅が3mmで、針3の最大振幅が10mmの場合には、3mmの正の整数倍である3mm、6mm、9mm、12mm・・・の中で、針3の最大振幅以下に収まる最大値である9mmをキャリッジ10を移動させる距離とする。これにより、針の振幅方向への布送りの頻度を最小限にすることができる。一方、オブジェクト模様の幅が針の振幅に対して極端に小さい場合は、キャリッジ10を移動させる距離をオブジェクト模様の幅の最大の正の整数倍とすると、針を大きく振幅させた状態で模様列の縫製を行うことになる。針3の振幅量により、縫製される模様の品質に差ができるミシンの場合には、敢て最大整数倍としなくても良い。オブジェクト模様の幅の2倍以上の正の整数倍の中から、模様の縫製を行うミシンの性能に合わせて、キャリッジ10を移動させる距離を適宜選択することで、針の振幅方向への布送りの頻度を抑えながら、高品質な模様を縫製することが可能となる。
【0101】
[4.第4の実施形態]
前記各実施形態のミシンでは、各列の模様列を縫製する場合に、布地100を一方向に送りながら縫製した。本実施形態は、奇数列の模様の縫製時は布地100を一方向に布送りしつつ縫製し、偶数列の模様の縫製時は布地100を他方向に布送りしつつ縫製をするミシン1に関する。尚、第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0102】
[4−1.構成]
(キャリッジの制御例)
以下では、奇数列と偶数列で布送り方向が異なる場合のキャリッジ10の制御動作について、説明する。
図19は、キャリッジ10の制御動作を示すフローチャートである。
【0103】
模様列の縫製が開始されると、縫製制御部31は、縫いデータ21を呼び出す。そして、縫いデータ21に含まれる完成までに必要な模様列の数を参照し、その模様列の数を
変数Mに代入する。この
変数Mは、縫製を行う模様毎に変わる
変数である。例えば、模様全体が5列の模様列で形成される場合には
変数Mは5であり、模様全体が6列の模様列で形成される場合には
変数Mは6である。また、縫製制御部31は、縫製を行った模様列の数を示す変数Nを、初期化しN=1とする(S401)。
【0104】
そして、模様列の縫製を開始する(S402)。縫製が開始されると、縫製する模様列が奇数列であるか、偶数列であるかの判定を行う。奇数列であるか、偶数列であるかの判定は、変数Nを2で割り、余りが発生するか否かで判定する(S403)。余りが1であり、奇数列と判定した場合(S403のYES)は、縫製制御部31は、縫製対象の模様列の模様データを読み出す。模様データには、送り歯2aを順方向に送りながら縫製する場合の針落ち座標が含まれる。縫製制御部31は、この模様データに基づいて、送り歯2aを順方向に駆動させ、模様列の縫製を行う(S404)。一方、余りが0であり、偶数列と判定した場合(S403のNO)は、縫製制御部31は、縫製対象の模様列の模様データを読み出す。そして、読み出した模様データに基づいて、模様を逆から縫う模様データを作成する。模様を逆から縫う模様データでは、模様データでは、一番最後に形成する縫い目を一番最初に縫製するように、針落ち座標を入れ替える。そのため、模様列の縫製時に、縫製制御部31が、逆さから縫う模様データに基づいて送り歯を駆動させると、送り歯は、模様データの場合とは異なる方向に動作する(S405)。
【0105】
模様列の縫製が終了すると、縫製制御部31は、全ての模様列の縫製が終了したかの判定を行う(S406)。この判定は、変数Nと変数Mとの比較により行う。変数Nが変数M未満である場合(S406のYES)には、次の模様列の縫製の準備を行う。すなわち、縫製制御部31は、変数Nをインクリメントさせる(S407)。そして、キャリッジ制御部32は、キャリッジ10を針の振幅方向に、所定距離分だけ伸縮させ、布地100を、次の模様列の縫製位置に移動させる(S408)。これを、全ての模様列の縫製が終了するまで繰り返す。そして、変数Nが変数Mと等しい場合(S406のNO)には、全ての模様列の縫製が終了と判定し、模様の縫製を終了する。
【0106】
[4−2.作用]
以下では、本実施形態のミシンで模様の刺繍を行う際の手順を説明する。説明のため、完成模様は、
図8の模様とする。この模様を布地100の左端側に縫製する。縫製は、左側のオブジェクト模様から、右側の模様列へと順々に縫製する。ミシン1は、布ガイド14を距離D2ずつスライドさせて、各模様列の縫製を行う。
図20は、
図8の模様の縫製手順を示す図である。
【0107】
初めに、模様の縫製の準備段階として、キャリッジ10に布ガイド14を固定する。ユーザは、布ガイド14のガイド部16に布地100の左端部が沿うように、布ガイド14に布地100を配置する。そして、タクトスイッチ81を操作することで縫製が開始される。1列目の縫製は、布地100を順方向に送りながら行う。縫い目の形成が模様データ29に記憶された針数まで到達したら、1列目の模様列の縫製が終了する(
図20(1)〜(3))
【0108】
1列目の模様列の縫製が終了すると
、キャリッジ制御部32は、並び幅データ30から1列目と2列目の模様列の間の並び幅D2を読み出す。そして、その並び幅D2よりキャリッジモータ23の制御量を算出する。キャリッジモータ23は、キャリッジ10は所定距離D2分だけ延伸し、布ガイド14を
左方向に所定距離D2分だけ正確にスライドさせる。布地100は、布ガイド14のガイド部16に移動に連れ動き、左側に所定距離D2分だけ移動する。これにより、布地100に対する針落ち点も、針の振幅方向に所定距離D2分ずれる。(
図20(4))
【0109】
そして、2列目の模様列の縫製を行う(
図20(5)〜(7))。2列目の模様列の縫製は、布地100を逆方向に送りながら行う。2列目の模様列の縫製が終了すると、キャリッジ制御部32は、算出した制御量に基づいて、キャリッジモータ23を制御する。これにより、布ガイド14を所定距離分だけ正確にスライドさせ、布地100を所定距離D2移動させる(
図20(8))以下、これを繰り返すことで、模様を縫製する。
【0110】
[4−3.効果]
以上の様な本実施形態のミシンにおいては、オブジェクト模様の奇数列目を縫製する場合には、送り歯2aにより布地を一方向に送る。そして、オブジェクト模様の偶数列目を縫製する場合には、送り歯2aにより布地を他方向に送る。これにより、次の模様列の開始位置へ布地100を移動させる際のユーザの手作業を排除している。そのため、更に精度の良く、位置決めでき、高品質な模様の作成が可能となる。
【0111】
[5.他の実施形態]
以上のように本発明の実施形態を説明したが、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。そして、この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。