特許第6653610号(P6653610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6653610ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体、並びに、それらの製造方法及び用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6653610
(24)【登録日】2020年1月30日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体、並びに、それらの製造方法及び用途
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/16 20060101AFI20200217BHJP
   C08J 9/232 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   C08J9/16CEQ
   C08J9/232CET
【請求項の数】9
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2016-69381(P2016-69381)
(22)【出願日】2016年3月30日
(65)【公開番号】特開2017-179138(P2017-179138A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年8月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100130443
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 真治
(72)【発明者】
【氏名】平井 賢治
【審査官】 飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−178373(JP,A)
【文献】 特開平11−147970(JP,A)
【文献】 特開平11−279368(JP,A)
【文献】 特開平09−040800(JP,A)
【文献】 特開平08−053590(JP,A)
【文献】 特開2000−053791(JP,A)
【文献】 米国特許第04972024(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00−9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリスチレン系樹脂を含む連続相と、前記連続相中に分散したジエン系重合体ゴムとを含むゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡粒子であって、
前記ジエン系重合体ゴムが、1,4シス構造を70%以上含み、
前記ゴム変性ポリスチレン系樹脂における前記ジエン系重合体ゴムの含有率は9〜15質量%であり、
前記ジエン系重合体ゴムには、ポリスチレン系樹脂がグラフト結合しており、グラフト率は137〜160%であり、
平均径が100〜300μmである気泡を含み、
前記ジエン系重合体ゴムのゲル膨潤度が13〜20であることを特徴とする、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡粒子。
【請求項2】
扁平度が0.6〜0.8である、請求項に記載のゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡粒子。
【請求項3】
袋体と、
前記袋体内に充填された請求項1又は2に記載のゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡粒子と
を含むことを特徴とする、クッション体。
【請求項4】
ポリスチレン系樹脂を含む連続相と、前記連続相中に分散したジエン系重合体ゴムとを含むゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡成形体であって、
前記ジエン系重合体ゴムが、1,4シス構造を70%以上含み、
前記ゴム変性ポリスチレン系樹脂における前記ジエン系重合体ゴムの含有率は9〜15質量%であり、
前記ジエン系重合体ゴムには、ポリスチレン系樹脂がグラフト結合しており、グラフト率は137〜160%であり、
平均径が100〜300μmである気泡を含み、
前記ジエン系重合体ゴムのゲル膨潤度が13〜20であることを特徴とする、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡成形体。
【請求項5】
輸送用容器の形態である、請求項に記載のゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡成形体。
【請求項6】
ポリスチレン系樹脂を含む連続相と、前記連続相中に分散したジエン系重合体ゴムとを含むゴム変性ポリスチレン系樹脂と、
発泡剤と
を含む、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡性粒子であって、
前記ジエン系重合体ゴムが、1,4シス構造を70%以上含み、
前記ゴム変性ポリスチレン系樹脂における前記ジエン系重合体ゴムの含有率は9〜15質量%であり、
前記ジエン系重合体ゴムには、ポリスチレン系樹脂がグラフト結合しており、グラフト率は137〜160%であり、
前記ジエン系重合体ゴムは、2〜8μmの平均粒子径の粒子を形成しており、
前記ジエン系重合体ゴムのゲル膨潤度が13〜20であることを特徴とする、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡性粒子。
【請求項7】
請求項に記載のゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡性粒子の製造方法であって、
押出機内において、溶融された前記ゴム変性ポリスチレン系樹脂と前記発泡剤とを混練して、樹脂発泡剤混合溶融物を形成する、混合溶融工程と、
前記樹脂発泡剤混合溶融物を前記押出機から冷却用液体中に押出して冷却する、押出工程と
を含む方法。
【請求項8】
請求項に記載のゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡性粒子を発泡させる発泡工程
を含む、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡粒子の製造方法。
【請求項9】
請求項に記載のゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡性粒子を発泡させる発泡工程と、
前記発泡工程により得られたゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡粒子を型内成形する成形工程と
を含む、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐衝撃性、耐油性が求められる用途に適した樹脂の発泡成形体、並びに、それを製造するための発泡性粒子及び発泡粒子に関する。本発明はまた、それらの製造方法に関する。本発明はまた前記発泡成形体及び前記発泡粒子の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリスチレン系樹脂からなる発泡成形体は、優れた緩衝性、断熱性を有し、成形も容易であるため、包装材、断熱材として多く用いられている。しかし、耐衝撃性や柔軟性が不十分であるため割れや欠けが発生しやすく、例えば精密機器製品の包装などには適さないという問題がある。また、機械油、食用油等が付着するような環境下であると発泡体が侵されてしまう問題がある。
【0003】
一方、ポリプロピレン系樹脂からなる発泡成形体は耐衝撃性や柔軟性に優れているが、発泡成形体の成形時に大がかりな設備を必要とする。また、樹脂の性質上、発泡粒子の形態で製造業者から成形加工業者に輸送しなければならない。そのため、製造コストが上昇するという問題があった。
【0004】
近年,成形が容易で,ポリスチレン系発泡体よりも耐衝撃性及び柔軟性を改良したものとして、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡成形体が開発されている。ゴム変性ポリスチレン系樹脂の代表例は、ポリスチレン樹脂をブタジエンゴムで改質したハイインパクトポリスチレン樹脂(HIPS樹脂とも呼ばれる)が挙げられる。しかしHIPS樹脂の耐衝撃性は必ずしも十分なものではなく、種々の改良技術が開発されている。
【0005】
例えば特許文献1には、基本樹脂粒子が、高シスポリブタジエンとスチレン系単量体とのグラフト重合で得ることができるスチレン系樹脂粒子であり、発泡剤がn−ペンタンを主成分として含有し、発泡後の成形体が0.015〜0.040g/cmの密度、60〜300μmの平均気泡径、50%以上の独立気泡率を有することを特徴とするスチレン系樹脂発泡成形体が開示されている。特許文献1によれば、この構成により、熟成完了後の予備発泡粒子の気泡微細化現象が改善され、優れた弾性と耐衝撃性を有する高度に発泡した発泡成形体が得られるとされている。
【0006】
特許文献2には、スチレン系樹脂の連続相中にジエン系重合体のゴム粒子が分散してなるゴム変性スチレン系樹脂85〜99重量%と沸点が80℃以下の揮発性発泡剤1重量%〜15重量%とよりなり、上記連続相の重量平均分子量は150,000〜300,000であり、ジエン系重合体へのスチレン系樹脂のグラフト率は70%〜135%であり、かつ、25℃トルエン中における上記ジエン系重合体のゲル分の膨潤度は12〜25であることを特徴とする発泡性ゴム変性スチレン系樹脂組成物が開示されている。特許文献2によれば、この構成を備える発泡性樹脂組成物を用いることにより、発泡倍率が高く、耐衝撃性や柔軟性に優れ、外観の良好な発泡成形体を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−90105公報
【特許文献2】特開平11−147970公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、耐衝撃性を改善したゴム変性ポリスチレン系樹脂発泡成形体がこれまでにも提案されている。しかし、従来の発泡成形体での耐衝撃性の改良の程度は満足できるものではない。
【0009】
また特許文献1及び2には、発泡成形体の耐油性を向上させるための技術は一切言及されていない。
【0010】
本発明は、好ましい耐衝撃性及び耐油性を備えたゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡粒子及び発泡成形体、並びに、それを製造するための発泡性樹脂粒子を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための手段として、本発明者らは以下の発明を提供する。
本発明は第一の態様は、
ポリスチレン系樹脂を含む連続相と、前記連続相中に分散したジエン系重合体ゴムとを含むゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡粒子であって、
前記ジエン系重合体ゴムが、1,4シス構造を70%以上含み、
前記ゴム変性ポリスチレン系樹脂における前記ジエン系重合体ゴムの含有率は9〜15質量%であり、
前記ジエン系重合体ゴムには、ポリスチレン系樹脂がグラフト結合しており、グラフト率は137〜160%であり、
平均径が100〜300μmである気泡を含むことを特徴とする、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡粒子に関する。
【0012】
本発明の発泡粒子は、耐衝撃性及び耐油性に優れているため、これらの特性が求められる樹脂発泡成形体の製造に好適に用いることができる。また、本発明の発泡粒子はクッション体におけるクッション材としても有用である。
【0013】
本発明は第二の態様は、
袋体と、前記袋体内に充填された前記ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡粒子と
を含むことを特徴とする、クッション体に関する。
【0014】
本発明のクッション体は、耐衝撃性に優れる本発明の発泡粒子をクッション材とするため変形し難い。
【0015】
本発明は第三の態様は、
ポリスチレン系樹脂を含む連続相と、前記連続相中に分散したジエン系重合体ゴムとを含むゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡成形体であって、
前記ジエン系重合体ゴムが、1,4シス構造を70%以上含み、
前記ゴム変性ポリスチレン系樹脂における前記ジエン系重合体ゴムの含有率は9〜15質量%であり、
前記ジエン系重合体ゴムには、ポリスチレン系樹脂がグラフト結合しており、グラフト率は137〜160%であり、
平均径が100〜300μmである気泡を含むことを特徴とする、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡成形体に関する。
【0016】
本発明の発泡成形体は耐衝撃性及び耐油性に優れている。このため本発明の発泡成形体は、耐衝撃性及び耐油性が求められる用途、例えば、通い箱等の輸送用容器の用途に有用である。
【0017】
本発明は第四の態様は、
ポリスチレン系樹脂を含む連続相と、前記連続相中に分散したジエン系重合体ゴムとを含むゴム変性ポリスチレン系樹脂と、
発泡剤と
を含む、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡性粒子であって、
前記ジエン系重合体ゴムが、1,4シス構造を70%以上含み、
前記ゴム変性ポリスチレン系樹脂における前記ジエン系重合体ゴムの含有率は9〜15質量%であり、
前記ジエン系重合体ゴムには、ポリスチレン系樹脂がグラフト結合しており、グラフト率は137〜160%であり、
前記ジエン系重合体ゴムは、2〜8μmの平均粒子径の粒子を形成していることを特徴とする、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡性粒子に関する。
【0018】
本発明の発泡性粒子は、耐衝撃性及び耐油性に優れた発泡粒子及び発泡成形体の製造に用いることができる。
【0019】
本発明は第五の態様は、
前記の、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡性粒子の製造方法であって、
押出機内において、溶融された前記ゴム変性ポリスチレン系樹脂と前記発泡剤とを混練して、樹脂発泡剤混合溶融物を形成する、混合溶融工程と、
前記樹脂発泡剤混合溶融物を前記押出機から冷却用液体中に押出して冷却する、押出工程と
を含む方法に関する。
【0020】
本発明のこの方法によれば、発泡時に比較的大きな気泡(好ましくは平均気泡径100〜300μm)が形成され易い態様で発泡剤が含浸された前記発泡性粒子を形成することができる。
【0021】
本発明は第六の態様は、
前記の、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡性粒子を発泡させる発泡工程
を含む、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡粒子の製造方法に関する。
【0022】
本発明のこの方法によれば、耐衝撃性及び耐油性に優れたゴム変性ポリスチレン系樹脂発泡粒子を製造することができる。
【0023】
本発明は第七の態様は、
前記の、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡性粒子を発泡させる発泡工程と、
前記発泡工程により得られたゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡粒子を型内成形する成形工程と
を含む、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡成形体の製造方法に関する。
【0024】
本発明のこの方法によれば、耐衝撃性及び耐油性に優れたゴム変性ポリスチレン系樹脂発泡成形体を製造することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、好ましい耐衝撃性及び耐油性を備えたゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡粒子及び発泡成形体、並びに、それを製造するための発泡性樹脂粒子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明による発泡樹脂成形容器の一例を示す斜視図。
図2図1のa−a線に断面図。
図3】発泡樹脂成形容器で用いられる補強材の一例を示す図であり、図3aは全体の斜視図、図3bは図3aのb−b線に沿う断面図。
図4】本発明による発泡樹脂成形容器を多段に積み上げた状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<ゴム変性ポリスチレン系樹脂>
本発明においてポリスチレン系樹脂は、スチレン系単量体が重合されたポリマーを含む樹脂であり、スチレン系単量体と他の単量体とが共重合されたポリマーを含む樹脂であってもよい。スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、t−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体、もしくは、これらの単量体の混合物が挙げられる。スチレン系単量体は好ましくはスチレンのみである。
【0028】
他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸(アクリル酸又はメタクリル酸を指す。以下同じ)、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸セチル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート等のアルキルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレート等のアルキルフマレート、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。
【0029】
ポリスチレン系樹脂は、更に架橋剤に由来する成分を含む、架橋されたポリマーであってもよい。架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ビス(ビニルフェニル)メタン、ビス(ビニルフェニル)エタン、ビス(ビニルフェニル)プロパン、ビス(ビニルフェニル)ブタン、ジビニルナフタレン、ジビニルアントラセン、ジビニルビフェニル等の多官能のベンゼン環に直接ビニル基が結合した化合物、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物ジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0030】
ジエン系重合体ゴムとは、1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)等のジエン系単量体が重合して形成されるゴムである。ジエン系重合体ゴムは1,4シス構造を70%以上含む高シスジエン系重合体ゴムであり、1,4シス構造をより好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上含有する。1,4シス構造の割合がこの範囲である場合に加熱による分子の架橋反応が起こり難く、柔軟な発泡粒子及び発泡成形体が得られる。1,4シス構造を70%以上含む高シスジエン系重合体ゴムは、公知の製造法により製造される。例えば、有機アルミニウム化合物とコバルト又はニッケルとを含む触媒とを用いて、ジエン系単量体を重合して製造することができる。
【0031】
本発明で用いるゴム変性ポリスチレン系樹脂は、ポリスチレン系樹脂を含む連続相と、前記連続相中に分散したジエン系重合体ゴムとを含む。このようなゴム変性ポリスチレン系樹脂は、ジエン系重合体ゴムの存在下で、ポリスチレン系樹脂を構成する前記単量体(スチレン系単量体及び必要に応じて上記の他の単量体)をグラフト重合することで製造することができる。具体的には特公昭61−11965公報に記載の方法が挙げられる。この方法は、ジエン系重合体ゴムの存在下に、ポリスチレン系樹脂を構成する前記単量体を、塊状重合法又は塊状−懸濁二段重合法により重合する方法であり、ジエン系重合体ゴムとポリスチレン系樹脂とのグラフト重合体を形成する。この方法の好ましい実施形態を以下に例示する。
【0032】
まず、前記ジエン系重合体ゴムと、ポリスチレン系樹脂を構成する前記単量体とを混合し、60〜80℃に加熱溶融し、更に加熱し90〜120℃で撹拌しながら前記単量体の重合率が10〜40%になるまで塊状重合を行う。この工程は予備重合工程と呼ばれ、この工程中に前記ジエン系重合体ゴムは撹拌の作用により粒子状に分散される。
【0033】
後述する、ゴム変性ポリスチレン系樹脂中での、前記ジエン系重合体ゴムが形成する粒子の平均粒子径は、この予備重合工程の撹拌条件を適切に調節することにより達成できる。
【0034】
予備重合工程終了後は、更に塊状重合を続けてもよいし、あるいは第3リン酸カルシウム等の懸濁剤を含む水相に懸濁し、粒状重合を行ってもよい。重合は通常重合率100%近くまで行うが、低重合率例えば重合率50〜80%まで重合を行い、未反応の前記単量体を留去する等の操作により回収してもよい。この、予備重合工程後の重合工程を主重合工程という。
【0035】
必要に応じて、主重合工程後に回収工程を行う。
必要に応じて、主重合工程又は回収工程に続き、実質的に単量体の存在しない状態で加熱を続ける後加熱工程を行ってもよい。後加熱工程は、必要に応じて有機過酸化物の存在下で行ってもよい。有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、ジターシャリブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5(ジブチルターシャリブチルパーオキシ)ヘキサン等が例示でき、その使用量は、前記ジエン系重合体ゴムと前記単量体との全重量を100部とするとき0.01〜0.50部とすることができる。
【0036】
本発明で規定する、前記ジエン系重合体ゴムのポリスチレン系樹脂によるグラフト率、前記ジエン系重合体ゴムのゲル膨潤度等の、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の各特性は、主重合工程の重合速度、到達重合率、後加熱工程の処理温度、処理時間、後加熱工程で分解させせる有機過酸化物の量等を適宜調節することにより制御することができる。
【0037】
上記のように得られたゴム変性ポリスチレン系樹脂は、全工程を塊状重合で行う場合は、上記処理後に引き続き押出し工程を行いペレット化することができる。主重合工程以降を懸濁重合で行う場合は、スラリーを脱水し、ビーズを分取し乾燥させる。ビーズはそのまま使用してもよいし、押出機で押出してペレット化してもよい。
【0038】
なお、本発明で用いるゴム変性ポリスチレン系樹脂は、改質のために更なるゴム状物質を、本発明の目的を妨げない範囲で、ゴム変性ポリスチレン系樹脂100重量部に対して10重量部以下の範囲で、溶融、混合して添加してもよい。かかる更なるゴム状物質としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンランダム共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンランダム共重合体、低シスポリブタジエンおよびこれらの水素添加された共重合体等が挙げられる。
【0039】
本発明で規定する特性を有するゴム変性ポリスチレン系樹脂は、市販品を購入して使用してもよい。
本発明で用いるゴム変性ポリスチレン系樹脂におけるスチレン系樹脂の分子量は特に限定されないが、典型的には、ゴム変性ポリスチレン系樹脂をクロロホルムに溶解し濾過することによりゴム分を取り除き、溶液中に含まれる樹脂(連続相を形成するスチレン系樹脂であると考えられる)のZ+1平均分子量を測定すると、400,000以上、800,000以下であり、好ましくは400,000以上、700,000以下である。スチレン系樹脂がこの分子量であるとき、成形時の加熱による気泡膜の破れを防止することができ、緩衝性、耐薬品性に優れた発泡成形体が得られる。
【0040】
本発明で用いるゴム変性ポリスチレン系樹脂におけるジエン系重合体ゴムの含有率は9〜15質量%であることが好ましい。ジエン系重合体ゴムの含有率は、実施例に記載のように、ゴム変性ポリスチレン系樹脂をクロロホルムに溶解させ、一定量の一塩化ヨウ素/四塩化炭素溶液を加え暗所に所定時間放置後、ヨウ化カリウム溶液を加え、過剰の一塩化ヨウ素を既知濃度のチオ硫酸ナトリウム/エタノール水溶液で滴定し、付加した一塩化ヨウ素量を求め、前記一塩化ヨウ素量からゴム質量を算出し、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の質量に対するゴム質量を、ゴム含有率(質量%)として求める。ジエン系重合体ゴムの含有率が9質量%以上であるとき、ジエン系重合体ゴムによる耐衝撃性及び耐油性の向上作用が十分に発揮される。ゴム分に含まれる二重結合は変色や劣化の原因、すなわち耐候性の悪化原因、になるが、ジエン系重合体ゴムの含有率が15質量%以下であれば、ゴム変性ポリスチレン系樹脂に含まれる二重結合は十分に少なく、ゴム分に含まれる二重結合に起因して耐候性が悪化することは回避できる。
【0041】
本発明で用いるゴム変性ポリスチレン系樹脂においてジエン系重合体ゴムは、粒子を形成していることが好ましい。このジエン系重合体ゴムの粒子は、オクルージョン構造であってもよいし、サラミ構造であってよい。オクルージョン構造とはジエン系重合体ゴム粒子の内部にポリスチレン系樹脂の粒子が単独で存在する構造であり、サラミ構造とは、ジエン系重合体ゴムの粒子の内部に複数のポリスチレン系樹脂の小粒子が複数内包された構造を指す。
【0042】
より好ましい実施形態では、本発明で用いるゴム変性ポリスチレン系樹脂においてジエン系重合体ゴムは2〜8μmの平均粒子径の粒子を形成している。ゴム変性ポリスチレン系樹脂中のジエン系重合体ゴムの粒子は、樹脂の発泡粒子又は発泡成形体を形成した時に、気泡の間の隔壁を構成する樹脂の膜の内部で膜面方向に薄く広がり、発泡粒子又は発泡成形体に耐衝撃性、柔軟性、耐油性を付与すると考えられる。ゴム変性ポリスチレン系樹脂においてジエン系重合体ゴムの粒子の平均粒子径がこの範囲であるとき、該樹脂の発泡粒子又は発泡成形体に十分な耐衝撃性、柔軟性、耐油性が付与されるため好ましい。ジエン系重合体ゴムの粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)でのモルフォロジー観察から算出する。具体的には実施例に記載の手順により平均粒子径を求めることができる。
【0043】
前記ジエン系重合体ゴムの、ポリスチレン系樹脂によるグラフト率は137〜160%であることが好ましい。グラフト率が大きい場合、前記ジエン系重合体ゴムのスチレン系樹脂との親和性が高く、発泡時に前記ジエン系重合体ゴムが伸び広がり易くなるが、一方で、グラフト率が大き過ぎると、ゴムの二重結合が不足するため、前記ジエン系重合体ゴムの伸縮性と柔軟性が悪化する傾向がある。グラフト率が137〜160%とすることにより、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡粒子又は発泡成形体を形成したときに、前記ジエン系重合体ゴムが気泡の間の隔壁を構成する樹脂の膜の内部で膜面方向に薄く広がり易く、発泡粒子又は発泡成形体に耐衝撃性、柔軟性、耐油性が付与さると考えられる。グラフト率は、下記の計算式により算出する。
グラフト率(%)=100×(ゲル含有率−ゴム含有率)/ゴム含有率
ゴム含有率の算出方法は既述の通りである。
【0044】
ゲル含有率は、実施例に記載の手順により求めることが出来る。具体的には、ゴム変性ポリスチレン系樹脂を精秤し(W)、容量比で50%メチルエチルケトン/50%アセトン混合溶液を加えて溶解し、その溶液を遠心分離して不溶分を沈降せしめ、デカンテーションにより上澄み液を除去して不溶分を得、不溶分を乾燥させ、乾燥した不溶分の質量Gを測定して次式によりゲル含有率を求めることができる。
ゲル含有率(質量%)=(G/W)×100
【0045】
本発明で用いるゴム変性ポリスチレン系樹脂においてジエン系重合体ゴムのゲル膨潤度は13〜20であることが好ましい。ゲル膨潤度はジエン系重合体ゴムのトルエンによる膨潤のし易さを意味し、ジエン系重合体ゴムの柔軟性の高さ、及び、ゴム中の二重結合の少なさを反映する。ゲル膨潤度が高いほどジエン系重合体ゴムの柔軟性が高いため、前記ジエン系重合体ゴムが気泡の間の隔壁を構成する樹脂の膜の内部で膜面方向に薄く広がり易く、発泡粒子又は発泡成形体に耐衝撃性、柔軟性、耐油性が付与されると考えられる。一方で、ゲル膨潤度が高すぎるとジエン系重合体ゴムの二重結合が多すぎることを意味しており、耐候性の悪化の原因となる。ゴム変性ポリスチレン系樹脂におけるジエン系重合体ゴムのゲル膨潤度が13〜20であることにより、該樹脂を用いて形成された発泡粒子又は発泡成形体は耐衝撃性、柔軟性、耐油性が十分に高く、且つ、十分な耐候性を有すると考えられる。ゲル膨潤度は、室温25℃でのトルエンによるゲル分の膨潤率である。ゲル膨潤度は、実施例に記載の方法に従い求めることができる。すなわち、ゴム変性ポリスチレン系樹脂を精秤し、十分量のトルエン(25℃)を加えて溶解し、その溶液を遠心分離して不溶分を沈降せしめ、デカンテーションにより上澄み液を除去して、トルエンで膨潤した不溶分の質量Sを測定する。ここまでの操作は25℃において行う。続いて25℃のトルエンで膨潤した不溶分を乾燥した後、不溶分の乾燥質量Dを測定して次のように求めることができる。
膨潤度SI=S/D
【0046】
本発明で用いるゴム変性ポリスチレン系樹脂は好ましくは残存単量体が1000ppm以下であることが好ましく、500ppm以下であることがより好ましい。残存単量体がこの範囲であると発泡成形体の耐熱性がより向上し、成形時の気泡膜破れを防止でき、耐衝撃性に優れた発泡成形体が得られる。
【0047】
本発明で用いるゴム変性ポリスチレン系樹脂のメルトインデックス(MI)は2以上、5以下であることが好ましく、3以上、4以下であることがより好ましい。MIがこの範囲であると発泡成形体を低密度化しても、収縮等が発生しない良好な発泡成形体が得られる。MIは、ゴム変性ポリスチレン系樹脂を200℃で溶解し、荷重5kg重を掛けた際に2.09mmのオリフィス径から10分間に流動する重量(g/10分)である。
【0048】
本発明で用いるゴム変性ポリスチレン系樹脂のビカット軟化点は95℃以下であることが好ましく、90℃以下であることがより好ましい。ビカット軟化点がこの範囲であると成形時の収縮を防止できる。
【0049】
<ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡性粒子>
本発明の、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡性粒子は、上述の、ポリスチレン系樹脂を含む連続相と前記連続相中に分散したジエン系重合体ゴムとを含むゴム変性ポリスチレン系樹脂と、発泡剤とを含む。本発明に係るこの発泡性粒子は、発泡させることにより、耐衝撃性及び耐油性を備えた発泡樹脂粒子及び発泡樹脂成形体を製造することが可能である。
【0050】
本発明の発泡性粒子の粒子径については特に限定されるものではないが、平均粒子径が0.2mm以上、4mm以下が好ましく、0.5mm以上、2.5mm以下がさらに好ましい。前記平均粒子径についてはJISZ8801−1標準篩目開きの篩を用いて分級を行い、累積重量分布曲線を基にして、累積質量が50%となる粒子径を平均粒子径としたものである。
【0051】
本発明において発泡剤は特に限定されず、公知のものをいずれも使用できる。発泡剤としては物理発泡剤又は化学発泡剤を用いることができ、2種以上の物理発泡剤及び/又は化学発泡剤を併用してもよい。特に好ましい発泡剤は、物理発泡剤を少なくとも含む発泡剤であり、化学発泡剤を更に含んでもよい。
【0052】
物理発泡剤としては、特に、沸点がスチレン系樹脂の軟化点以下であり、常圧でガス状又は液状の有機化合物が適している。例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン、n−ヘキサン、石油エーテル等の炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン含有炭化水素、炭酸ガス、窒素、アンモニア等の無機ガス等が挙げられる。これらの物理発泡剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。この内、炭化水素を使用するのが、オゾン層の破壊を防止する観点、及び空気と速く置換し、発泡成形体の経時変化を抑制する観点で好ましい。炭化水素の内、沸点が−45〜+40℃の炭化水素がより好ましく、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン等が更に好ましい。特に好ましい物理発泡剤は、n−ペンタン又はイソペンタンであり、n−ペンタンとイソペンタンとの混合物であってもよい。その混合質量比は特に限定されない。
【0053】
物理発泡剤の含有量は発泡性粒子の全体に対して3〜15質量%の範囲であることが好ましい。3質量%以上であれば、発泡性粒子から所望の密度の発泡成形体を容易に得ることが出来る。加えて、型内発泡成形時の二次発泡力を高める効果が十分であり、発泡成形体の外観が良好となり易い。15質量%以下であれば、発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が十分に短く生産性が良い。より好ましい含有量は4〜12質量%であり、更に好ましい含有量は4〜10質量%である。
【0054】
前記化学発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ヒドラゾイルジカルボンアミド、重炭酸ナトリウム、重曹クエン酸誘導体などが挙げられる。
【0055】
発泡助剤を発泡剤と併用してもよい。発泡助剤としてはアジピン酸ジイソブチル、スチレン、トルエン、シクロヘキサン、エチルベンゼン等が挙げられる。
【0056】
発泡性粒子には必要に応じて、他の添加剤が含まれていてもよい。他の添加剤としては、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、展着剤、気泡調整剤、赤外線減衰剤、充填剤、着色剤、耐候剤、老化防止剤、滑剤、防曇剤、香料、染料、顔料等が挙げられる。
【0057】
可塑剤としては、スチレン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素等、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート等のグリセリン脂肪酸エステル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソブチル等のフタル酸エステル、流動パラフィン、ホワイトオイル等の高沸点化合物が挙げられる。
【0058】
難燃剤としてはテトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリスジブロモプロピルホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)等が挙げられる。
【0059】
難燃助剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、ジクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドの有機過酸化物、ビスクミル等が挙げられる。
【0060】
帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ステアリン酸モノグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール等が挙げられる。
【0061】
展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、グリセリン、シリコンオイル、プロピレングリコール等が挙げられる。
【0062】
気泡調整剤としては、タルク、マイカ、シリカ、珪藻土、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸バリウム、ガラスビーズ、ポリテトラフルオロエチレン、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等のビスアミド化合物、ステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のアミド化合物、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド等の脂肪酸グリセリド等が挙げられる。
【0063】
滑剤としてはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド等のビスアミド化合物、ステアリン酸アミド、12−ヒドロキシステアリン酸アミド等のアミド化合物、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド等の脂肪酸グリセリド、ポリエチレンワックス、流動パラフィン、ホワイトオイル等が挙げられる。
【0064】
赤外線減衰剤としては、赤外線反射物質もしくは赤外線吸収物質、又はこの両者であってもよく、本発明の目的を妨げない範囲であれば添加することができる。例としては、アルミニウム、銅、銀、及び金のような金属粉、グラファイト、グラフェン、活性炭、及びカーボンブラックのような炭素物質、酸化チタン及び酸化スズのような金属酸化物、あるいはシリカ、鱗片状マイカ等が挙げられる。
【0065】
発泡性粒子の製造方法としては、溶融押出法、懸濁法等が挙げられる。
(1)溶融押出法
溶融押出法は、
押出機内において、溶融されたゴム変性ポリスチレン系樹脂と発泡剤とを混練して、樹脂発泡剤混合溶融物を形成する、混合溶融工程と、
前記樹脂発泡剤混合溶融物を前記押出機から冷却用液体中に押出して冷却する、押出工程とを少なくとも含む。
【0066】
本発明者らは驚くべきことに、溶融押出法により製造された発泡性粒子は、発泡時に比較的大きな気泡が形成され易い傾向があることを見出した。
【0067】
混合溶融工程では、好ましくは、押出機内において、溶融されたゴム変性ポリスチレン系樹脂に発泡剤を圧入し、混練して、樹脂発泡剤混合溶融物を形成する。
【0068】
溶融押出法は、より具体的には、前記混合溶融工程として、ゴム変性ポリスチレン系樹脂を押出機に供給し、押出機内で溶融された前記樹脂に発泡剤を圧入・混練し、引き続いて前記押出工程として、発泡剤を含有した溶融樹脂を押出機先端に付設されたダイの小孔から冷却用液体中に押し出し冷却固化して、発泡性粒子を得る。
【0069】
前記押出工程において、ダイの小孔から冷却用液体中に直接押し出し、押し出した直後に押出物を回転刃で切断し、切断された粒子を冷却用液体中で冷却する方法はホットカット法と呼ばれる。ホットカット法によれば、ほぼ球状の発泡性粒子が得られるという利点がある。
冷却用液体としては典型的には水が挙げられる。
【0070】
ホットカット法では、例えば、次のような製造装置を使用し得る。即ち、押出機と、押出機の先端に取り付けられた多数の小孔を有するダイと、押出機内に原料を投入する原料供給ホッパーと、押出機内の溶融樹脂に発泡剤供給口を通して発泡剤を圧入する高圧ポンプと、ダイの小孔が穿設された樹脂吐出面に冷却用液体を接触させるように設けられ、室内に冷却用液体が循環供給されるカッティング室と、ダイの小孔から押し出された樹脂を切断できるようにカッティング室内に回転可能に設けられたカッター(高速回転刃)と、カッティング室から冷却用液体の流れに同伴して運ばれる発泡性粒子を冷却用液体と分離すると共に乾燥して発泡性粒子を得る固液分離機能付き乾燥機と、固液分離機能付き乾燥機にて分離された冷却用液体を溜める槽と、この槽内の冷却用液体をカッティング室に送る高圧ポンプと、固液分離機能付き乾燥機にて乾燥された発泡性粒子を貯留する貯留容器とを備えた製造装置が挙げられる。
【0071】
上記製造装置を使用した発泡性粒子の製造手順の一例を説明する。まず、原料のゴム変性ポリスチレン系樹脂を原料供給ホッパーから押出機内に投入する。原料のゴム変性ポリスチレン系樹脂は、ペレット状や顆粒状にして事前に良く混合してから1つの原料供給ホッパーから投入してもよいし、あるいは例えば複数のロットを用いる場合は各ロット毎に供給量を調整した複数の原料供給ホッパーから投入し、押出機内でそれらを混合してもよい。また、複数のロットのリサイクル原料を組み合わせて使用する場合には、複数のロットの原料を事前に良く混合し、磁気選別や篩分け、比重選別、送風選別等の適当な選別手段により異物を除去しておくことが好ましい。
【0072】
押出機内に原料を供給後、ゴム変性ポリスチレン系樹脂を加熱溶融し、その溶融樹脂をダイ側に移送しながら、発泡剤供給口から高圧ポンプによって発泡剤を圧入して溶融樹脂に発泡剤を混合し、押出機内に必要に応じて設けられる異物除去用のスクリーンを通して、溶融物を更に混練しながら先端側に移動させ、発泡剤を添加した溶融物を押出機の先端に付設したダイの小孔から押し出す。
【0073】
ダイの小孔が穿設された樹脂吐出面は、室内に冷却用液体が循環供給されるカッティング室内に配置され、かつカッティング室内には、ダイの小孔から押し出された樹脂を切断できるようにカッターが回転可能に設けられている。発泡剤添加済みの溶融物を押出機の先端に付設したダイの小孔から押し出すと、溶融物は粒状に切断され、同時に冷却用液体と接触して急冷され、発泡が抑えられたまま固化して発泡性粒子となる。
【0074】
なお、発泡性粒子に他の添加剤を添加する場合、添加時期は特に限定されないが、好ましくは原料と共に押出機に添加される。
【0075】
(2)懸濁法
懸濁法によるゴム変性ポリスチレン系樹脂への発泡剤を含浸は、耐圧密閉容器内で、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の重合途中或いは重合終了後に水性媒体中に懸濁させた状態で、発泡剤を圧入する方法である。
【0076】
懸濁法において水性媒体を用いて行う発泡剤の含浸は、通常は100℃〜150℃、好ましくは110℃〜130℃の温度で行われる。
【0077】
懸濁法において、発泡剤の含浸時間は、原料のゴム変性ポリスチレン系樹脂の大きさ(体積)により変動し、特に限定されない。例えば、粒子の体積が1.0mm3 程度の粒子の場合、4時間以上、好ましくは6時間以上である。含浸時間が短いと樹脂粒子の中心部分に芯とよばれる未含浸部分ができ、発泡粒子とした際に、一つの該発泡粒子内に発泡部分と未発泡部分が混在し、該発泡粒子から得られた発泡成形体が所望の物性を備えない場合がある。
【0078】
懸濁法において上記水性媒体中に必要に応じて上述の他の添加剤を含めることにより発泡性粒子中に添加することができる。
【0079】
水性媒体中には単量体の小滴及び種粒子の分散を安定させるために懸濁安定剤が含まれていてもよい。懸濁安定剤としては、従来から単量体の懸濁重合に用いられているものであれば、特に限定されない。
【0080】
<ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡粒子>
本発明の発泡粒子は、
ポリスチレン系樹脂を含む連続相と、前記連続相中に分散したジエン系重合体ゴムとを含むゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡粒子であって、
前記ジエン系重合体ゴムが、1,4シス構造を70%以上含み、
前記ゴム変性ポリスチレン系樹脂における前記ジエン系重合体ゴムの含有率は9〜15質量%であり、
前記ジエン系重合体ゴムには、ポリスチレン系樹脂がグラフト結合しており、グラフト率は137〜160%であり、
平均径が100〜300μmである気泡を含むことを特徴とする。
【0081】
本発明の発泡粒子は、上記の本発明の発泡性粒子を発泡(予備発泡)させることにより製造することができる。本発明の発泡粒子は、後述する、本発明の発泡成形体を製造するための予備発泡粒子として用いることができるだけでなく、本発明のクッション体のクッション材として用いることができる。
【0082】
本発明の発泡粒子に含まれるゴム変性ポリスチレン系樹脂は、上記の本発明の発泡性粒子におけるゴム変性ポリスチレン系樹脂と同様のものであることができる。ただし、ゴム変性ポリスチレン系樹脂中におけるジエン系重合体ゴムの形状は、発泡の前後で異なる。発泡前の状態、すなわち、上記の本発明の発泡性粒子中のゴム変性ポリスチレン系樹脂において上記のような粒子形状のジエン系重合体ゴムが含まれる場合、この発泡性粒子を発泡させて得られる発泡粒子では、ジエン系重合体ゴムは引き伸ばされ薄いシート状に広がる。この結果、気泡の間の隔壁を構成する樹脂の膜の内部にはシート状のジエン系重合体ゴムが膜面方向に広がり、発泡粒子又は発泡成形体に耐衝撃性、柔軟性、耐油性を付与すると考えられる。
【0083】
本発明の発泡粒子は、平均径が100〜300μmである気泡を含むことを特徴とする。発泡粒子の大きさ及び発泡倍率が同一であるとすると、発泡粒子中の気泡径が小さいほど気泡間の隔壁は薄く、耐衝撃性や耐油性が劣る傾向がある。本発明の発泡粒子では、気泡の平均径(以下「平均気泡径」と呼ぶ場合がある)が100μm以上であることにより、気泡間の隔壁は十分に厚く、耐衝撃性や耐油性が優れる。一方、気泡径が大きすぎても気泡の耐衝撃性は劣る傾向がある。本発明の発泡粒子では、平均気泡径が300μm以下であることにより十分な耐衝撃性を有する。平均気泡径はより好ましくは110〜300μmであり、より好ましくは130〜300μmであり、より好ましくは170〜300μmである。
【0084】
ここで平均気泡径はASTM D3576−77の試験方法に準拠して測定することができる。
具体的には、発泡粒子の任意の部分を、剃刀刃を用いて発泡粒子断面を得る。この切断面を走査型電子顕微鏡(日本電気社製JSM−6360LV)を用いて、拡大(例えば30倍に拡大)した画像を作成する。
【0085】
次に、切断面の画像上にある発泡粒子断面における任意の位置で60mmの直線を描く。直線上にある気泡の個数を数え、次式によりこの気泡の平均弦長(t)を算出する。
平均弦長t(mm)=60/(気泡数×画像の拡大倍数)
【0086】
なお、直線を描くにあたっては、できるだけ直線が気泡に点接触することなく貫通した状態となるようにする。又、一部の気泡が直線に点接触してしまう場合には、この気泡も気泡数に含め、更に、直線の両端部が気泡を貫通することなく、気泡内に位置した状態となる場合には、直線の両端部が位置している気泡も気泡数に含める。
【0087】
次の式により、この気泡の平均気泡径(D)を算出する。
平均気泡径D(mm)=t/0.616
以上の作業をN数5以上で行い、平均値を平均気泡径とする。
【0088】
本発明の発泡粒子はそれ自体が耐衝撃性と耐油性性が高い。また、本発明の発泡粒子を成形して得られる発泡成形体も耐衝撃性と耐油性が高い。本発明の発泡粒子のこれらの有利な特性は、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の特性による既述の効果と、平均気泡径の範囲による既述の効果とが組み合わされたことにより生じる。
【0089】
上記の本発明の発泡性粒子を発泡させて発泡粒子を製造する方法は特に限定されないが、典型的には、本発明の発泡性粒子を予備発泡装置内に収容し、該装置内に水蒸気を圧入することによって行うことができる。
【0090】
水蒸気の圧力は、例えば0.03〜0.07MPaが好ましく、より好ましくは0.04〜0.06MPaである。なお、本発明において、圧力は、ゲージ圧を意味する。加熱時間は、60〜180秒間が好ましく、より好ましくは90〜120秒間である。
水蒸気の圧力及び加熱時間を適宜調節することで、上記の平均気泡径を達成することができる。
【0091】
本発明の発泡粒子の粒子径については特に限定されるものではないが、平均粒子径が0.5mm以上、15mm以下が好ましく、2mm以上、10mm以下がさらに好ましい。前記平均粒子径についてはJISZ8801−1標準篩目開きの篩を用いて分級を行い、累積重量分布曲線を基にして、累積質量が50%となる粒子径を平均粒子径としたものである。
【0092】
本発明の発泡粒子は好ましくは扁平度が0.6〜0.8である。ここで扁平度とは発泡粒子の短径と長径から下記の方法で算出される。
扁平度=発泡粒子の平均短径/発泡粒子の平均長径
【0093】
発泡粒子の平均短径及び平均長径は、適当な数(例えば50個以上)の発泡粒子について短径及び長径を測定し、それぞれの平均値として算出することができる。
【0094】
扁平度が前記範囲である場合、成形時の金型への発泡粒子充填性を良好に維持しながら、クッション芯材として使用した場合に対象物の固定化に優れる。
【0095】
また、本発明の発泡粒子の嵩密度は、0.010〜0.100g/cmの範囲内が好ましく、0.012〜0.050g/cmの範囲内がより好ましく、0.014〜0.025g/cmの範囲内がさらに好ましい。
本発明の発泡粒子の嵩発泡倍数は、10〜100倍が好ましく、20〜80倍がより好ましく、40〜70倍がさらに好ましい。
【0096】
なお、本発明において、発泡粒子の嵩密度とは、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定されたものをいう。例えば以下のようにして測定できる。
【0097】
発泡粒子の嵩密度の測定方法:
発泡粒子の質量(W)gを、小数点以下の第2位まで秤量する。次に、メスシリンダー内に秤量した発泡粒子を自然落下により充填し、メスシリンダー内に落下させた発泡粒子の体積(V)cmを、JIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定する。そして、下式に基づいて発泡粒子の嵩密度を求める。
嵩密度(g/cm)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
【0098】
発泡粒子の嵩発泡倍数は、下式により算出される数値である。
嵩発泡倍数=1/嵩密度(g/cm
【0099】
<ゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡成形体>
本発明の発泡成形体は、
ポリスチレン系樹脂を含む連続相と、前記連続相中に分散したジエン系重合体ゴムとを含むゴム変性ポリスチレン系樹脂の発泡成形体であって、
前記ジエン系重合体ゴムが、1,4シス構造を70%以上含み、
前記ゴム変性ポリスチレン系樹脂における前記ジエン系重合体ゴムの含有率は9〜15質量%であり、
前記ジエン系重合体ゴムには、ポリスチレン系樹脂がグラフト結合しており、グラフト率は137〜160%であり、
平均径が100〜300μmである気泡を含むことを特徴とする。
【0100】
本発明の発泡成形体は、上記の本発明の発泡粒子を型内成形する成形工程により製造することができる。該成形工程は、具体的には、上記の本発明の発泡粒子を多数の小孔を有する閉鎖金型内に充填し、熱媒体(例えば、加圧水蒸気等)で加熱発泡させ、発泡粒子間の空隙を埋めると共に、発泡粒子を相互に融着させることにより一体化させる工程である。その際、発泡成形体の密度は、例えば、金型内への発泡粒子の充填量を調整する等して調製できる。
【0101】
加熱発泡は、例えば、110〜150℃の熱媒体で5〜50秒加熱することにより行うことができる。この条件であれば、発泡粒子相互の良好な融着性を確保できる。より好ましくは、加熱発泡成形は、成形蒸気圧(ゲージ圧)0.06〜0.08MPa、90〜120℃の熱媒体(例えば、水蒸気)で、10〜50秒加熱することにより行うことができる。
【0102】
本発明の発泡粒子に含まれるゴム変性ポリスチレン系樹脂は、上記の本発明の発泡性粒子におけるゴム変性ポリスチレン系樹脂と同様のものであることができる。ただし、ゴム変性ポリスチレン系樹脂中におけるジエン系重合体ゴムの形状は、発泡の前後で異なる。発泡前の状態、すなわち、上記の本発明の発泡性粒子中のゴム変性ポリスチレン系樹脂において上記のような粒子形状のジエン系重合体ゴムが含まれる場合、この発泡性粒子を発泡させ型内成形して得られる発泡成形体では、ジエン系重合体ゴムは引き伸ばされ薄いシート状に広がる。この結果、気泡の間の隔壁を構成する樹脂の膜の内部にはシート状のジエン系重合体ゴムが膜面方向に広がり、発泡成形体に耐衝撃性、柔軟性、耐油性を付与すると考えられる。
【0103】
本発明の発泡成形体において平均気泡径は100〜300μmである。発泡成形体の大きさ及び発泡倍率が同一であるとすると、発泡成形体中の気泡径が小さいほど気泡間の隔壁は薄く、耐衝撃性や耐油性が劣る傾向がある。本発明の発泡成形体では、平均気泡径が100μm以上であることにより、気泡間の隔壁は十分に厚く、耐衝撃性や耐油性が優れる。一方、気泡径が大きすぎても気泡の耐衝撃性は劣る傾向がある。本発明の発泡成形体では、平均気泡径が300μm以下であることにより十分な耐衝撃性を有する。平均気泡径はより好ましくは130〜300μmであり、より好ましくは150〜300μmであり、より好ましくは200〜300μmである。
【0104】
ここで平均気泡径はASTM D3576−77の試験方法に準拠して測定することができる。具体的には、発泡成形体の任意の部分を、剃刀刃を用いて発泡成形体断面を得る。この切断面を走査型電子顕微鏡(日本電気社製JSM−6360LV)を用いて、拡大(例えば30倍に拡大)した画像を作成する。この画像に用いて、発泡粒子の平均気泡径に関して説明したのと同様の手順に従い、平均弦長と平均気泡径を求める。N数5以上で行い、平均値を平均気泡径とする。
【0105】
本発明の発泡成形体は耐衝撃性と耐油性が高い。本発明の発泡成形体のこれらの有利な特性は、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の特性による既述の効果と、平均気泡径の範囲による既述の効果とが組み合わされたことにより生じる。
【0106】
本発明の発泡成形体の密度は、0.010〜0.100g/cmの範囲内が好ましく、0.012〜0.050g/cmの範囲内がより好ましく、0.014〜0.025g/cmの範囲内がさらに好ましい。
【0107】
本発明の発泡成形体の発泡倍数は、10〜100倍が好ましく、20〜80倍がより好ましく、40〜70倍がさらに好ましい。
【0108】
<発泡成形体の密度>
本発明において発泡成形体の密度とは、JIS K7122:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」記載の方法で測定した密度のことであり、具体的には以下の方法で測定することができる。
【0109】
50cm以上(半硬質および軟質材料の場合は100cm以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量を測定し、次式により算出した。
密度(g/cm)=試験片質量(g)/試験片体積(cm
【0110】
試験片状態調節、測定用試験片は、成形後72時間以上経過した試料から切り取り、23℃±2℃×50%±5%または27℃±2℃×65%±5%の雰囲気条件に16時間以上放置したものである。
【0111】
<発泡倍数>
発泡成形体の「発泡倍数」は次式により算出される数値である。
発泡倍数=1/密度(g/cm
【0112】
本発明の発泡成形体が、熱融着した発泡粒子からなるものである実施形態では、発泡粒子間の融着率は好ましくは90%以上である。融着率とは、発泡成形体を折り曲げて破断したときに断面上に現れる、発泡粒子の総数のうち、粒子の内部で破断している前記発泡粒子の数の割合を百分率で表したものである。前記融着率の測定は具体的には次の手順で行うことができる。400mm×300mm×50mmの直方体の発泡成形体のサンプルを用意し、400mm×300mmの面の1つのうち一対の長辺の中心同士を結ぶ線に沿ってカッターナイフで深さ約5mmの切り込み線を入れる。この後、この切り込み線に沿って発泡成形体を手で二分割する。その破断面における発泡粒子について、100〜150個の任意の範囲について全粒子の数(A)と、粒子内で破断している粒子の数(B)とを数える。結果を、式[(B)/(A)]×100に代入して得られた値を融着率(%)とする。
【0113】
<クッション体>
本発明の更なる実施形態は、
袋体と、
前記袋体内に充填された本発明の発泡粒子と
を含むことを特徴とするクッション体に関する。
【0114】
本発明の発泡粒子は上記の通り耐衝撃性に優れているため、それをクッション材として含む本発明のクッション体は、長期間使用しても変形しにくいという効果を有する。この効果を有する本発明のクッション体は、ベッド、マットレス、枕、クッション、椅子等のようにクッション体に荷重をかける態様で使用する場合に特に有用である。
【0115】
クッション体に充填する本発明の発泡粒子は、好ましくは、流動を促進するための滑剤を含有する。滑剤の具体例は、発泡性粒子に関して説明した通りである。この滑剤は、発泡粒子が流動する際に擦れて生じる異音を抑制する働きをする。滑剤の含有量としては、本発明の発泡粒子100重量部あたり0.4〜1.5重量部が例示できる。
【0116】
前記袋体は伸縮性を有していてもよいし有していなくてもよいが、好ましくは伸縮性を有する。伸縮性を有する袋体としては、30〜300%の伸縮性を有する袋体が挙げられる。この伸縮性を有する素材としては、弾性を有する例えばスパンデックス(ポリウレタン弾性糸)等が最も好ましい。伸縮性は次の方法で求めることができる。
【0117】
引張間隔10cm×幅2.5cmの試験片をテンシロン万能試験機UCT−10T(ORIENTEC CORPORATION社製)を用いて30cm/分の速度で伸張し、9.8N荷重時の伸度を測定する。この測定を試験片の縦方向と横方向について行い、伸度の平均値を伸縮性とする。
伸度(%)={9.8N荷重時の試験片長さ(cm)−10}÷10×100
【0118】
上記袋体を使用すれば、以下の効果を奏する。すなわち、袋体に伸縮性の素材を使用することで、クッション体の一部が圧縮された際に、充填された粒子が圧縮部位から他の部位に移動し、移動した粒子の容積を他の部位に位置する袋体が伸びて変形することで許容できるので、粒子の移動の許容範囲をより大きくすることができる。本発明の発泡粒子と袋体のこれら効果の相乗により、より好感触のクッション体を提供することができる。
【0119】
本発明のクッション体においては、発泡粒子が、伸縮性を有する袋体の内容積の1.1〜3.5倍の体積になるように封入されていることが好ましい。伸張性を有する素材で作られた袋体に、その内容積以上の体積の発泡粒子を充填材として封入することで、座り心地とクッションの変形防止の効果をより向上させることができる。ここで、発泡粒子が袋体の内容積より1.1倍未満の場合、着座時に底着き感が発生するので好ましくなく、3.5倍より大きい場合、座り心地が悪くなるので好ましくない。より好ましい範囲は、1.3〜2.5倍である。ここで充填倍率は、袋体の内容積を1としたときの、充填される発泡粒子の嵩容積の倍数を指す。袋体の内容積は、クッション体の袋体と同サイズの袋体をヤマジックス社製の厚さ0.05mmのポリエチレン製袋を切り取り作製し、このポリエチレン製袋に空気を内圧0.01MPaになるまで充填し、その後袋体の中の空気を水に沈めたメスシリンダー中に入れ、空気の量を袋体の内容積とすることができる。
【0120】
また、異音の発生を抑え、好適な感触を発現させ、かつ恒久的なクッション性を充足させるために、袋体からこれらの充填材が漏れ出さないように開閉可能なファスナーを二重に設けた構造とすることがより好ましい態様である。また、袋体自体を二重構造とすることも有効である。
【0121】
更に、1つの大きな袋体中に、本発明の発泡粒子が封入された袋体を複数個入れた構成とすることも可能である。この場合、複数個の袋体中の充填材は、それぞれ異なる触感を有するものを使用してもよい。
【0122】
<輸送用容器>
本発明の発泡成形体は、耐衝撃性及び耐油性に優れていることから、衝撃を受ける可能性、及び、食用油又は機械油と接触する可能性がある輸送用容器として用いるのに適している。すなわち本発明の発泡成形体は、好ましくは、輸送用容器の形態である。輸送用容器の形態である本発明の発泡成形体を、以下の説明では「本発明の輸送用容器」という場合がある。
【0123】
本発明の輸送用容器は、耐衝撃性及び耐油性に優れていることから、長期にわたり繰り返し使用される通い箱としての用途に特に適する。
【0124】
本発明の好ましい実施形態の輸送用容器は、より好ましくは、周壁の外側面に取手としての段差部が形成されている本発明の発泡成形体の容器であって、段差部の少なくとも上端領域部分は、その形状に予め成形された補強材により被覆されており、該補強材の被覆面に連続する部分は周壁内に埋入した状態とされている。
【0125】
前記段差部の上端面は周壁の外側面から内側に向けて外側面が低位となる傾斜面とされていることがより好ましい。
前記補強材は成形型への係止部となる凸部または凹部を備えていることが好ましい。
【0126】
前記補強材は、本発明の発泡成形体の容器の段差部の上端領域部分を被覆する表面領域部分と、表面領域部分から容器の周壁内に入り込む周面部分と、周面部分の端部から広がるスカート部分とを有しており、該周面部分とスカート部分とが周壁内に埋入した状態とされていることが好ましい。
【0127】
本発明の発泡成形体の樹脂種と前記補強材の樹脂種とが同じゴム変性ポリスチレン系樹脂であることが好ましい。
本発明の輸送用容器のこの好適な実施形態を、図面を参照してより具体的に説明する。
【0128】
以下、図面を参照しながら本発明の輸送用容器の好ましい実施の形態を説明する。図1は本発明の輸送用容器の一例を示す斜視図であり、図2図1のa−a線に断面図である。図3は本発明の輸送用容器で用いられる補強材の一例を示す。図4は本発明の好ましい実施形態による輸送用容器を段積みした状態を示している。
【0129】
この例において、輸送用容器1は、既述の本発明の発泡成形体である、容器本体2と蓋3とで構成される。容器本体2は、周壁(側周壁)を構成する対向する2つの側壁21の外側面に、取手としての段差部22を有する(なお、図1では一方の側壁21に形成した段差部22のみが示される)。段差部22は、上端面23と、それに続く左右の側壁部24、25と、底壁部26とからなり、段差部22の容器底面27側は下方に開放している。また、容器本体2の底面の4周囲は切り欠き28とされている。
【0130】
そして、容器本体2における前記段差部22の上端領域部分、すなわち、段差部22の上端面23と、それに続く左右の側壁部24、25と底壁部26の上端面23近傍、および側壁21のその周辺部分は、本発明でいう補強材4で被覆されている。
【0131】
この例において、補強材4はポリスチレン系樹脂の非発泡シートを予め成形したものであり、厚さは0.3mm程度である。図3に示すように、補強材4は、容器本体2に形成した段差部22における前記上端領域部分に沿う形状とされた表面領域部分41と、その周囲から後方に入り込む周面部分42と、周面部分42の後端から表面領域部分41とほぼ同じ方向に広がるスカート部分43とで構成される。
【0132】
図3において、41aの部分は前記表面領域部分41における上端面23を被覆する部分、41bは左右の側壁部24、25を被覆する部分、41cは底壁部26を被覆する部分、および、41dは側壁21のその周辺部分を被覆する部分である。また、この例において、41aの部分には凹孔41eが形成されていて、後記するように、成形型内に仮止めするのに利用される。そして、図2に示すように、表面領域部分41を除く他の部分、すなわち、表面領域部分41の周囲から後方に入り込む周面部分42とそれに続くスカート部分43は、容器本体2の側壁21内に埋入した状態で、補強材4は容器本体2に一体化されている。
【0133】
蓋3は、裏面に容器本体2に内嵌合する凸部(図では示されない)と、容器本体2の底面の切り欠き28に対応する周囲の土手部31を有し、かつ、周壁(側周壁)を構成する対向する2つの側壁32の外側面に、取手としての段差部33が形成されている。この例では、段差部33には特別の被覆が施されていないが、容器本体2の段差部22と同様にして補強材を配設するようにしてもよい。
【0134】
本発明の好ましい実施形態による輸送用容器1は、その取手となる段差部分が補強材4で被覆されているので、図4に示すように、多段に段積みするとき、あるいは段積みされた輸送用容器1を個々に分離するときなどに、作業者が段差部分、特にその上端領域部分に掌や指をかけても、その部分に破壊や破損が生じることは効果的に回避できる。そして、補強材4は、周面部分42とそれに続くスカート部分43が容器本体2の側壁21内に埋入した状態となっているので、多少乱暴に容器本体2を取り扱っても、補強材4に剥離が生じるようなことはない。そのために、通い箱などとしての長期にわたる繰り返し使用を安定した状態で行うことができる。
【実施例】
【0135】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下に説明する各操作は特に規定しない限り23℃の室温において行った。
<実施例1>
(発泡性ゴム変性ポリスチレン系樹脂粒子の製造)
基材樹脂として、ジエン系ゴム粒子が1,4シス構造の割合が93%のハイシス構造であり、ゴム含有率12質量%、ゴム粒子の平均粒子径5μm、スチレンのグラフト率140%、ゲル膨潤度が16であるゴム変性ポリスチレン系樹脂を用いた。このゴム変性ポリスチレン系樹脂100質量部と、化学発泡剤としてポリスレンES405 0.5質量部(永和化成社製)との混合物を、口径90mmの単軸押出機に、時間当たり150kgで連続供給した。押出機内温度としては、最高温度210℃に設定し、樹脂を溶融させた後、発泡剤として樹脂100質量部に対して6質量部のペンタン(イソペンタン:ノルマルペンタン=20:80(質量比))を押出機の途中から圧入した。押出機内で樹脂と発泡剤を混練するとともに冷却し、押出機先端部での樹脂温度を180℃、ダイの樹脂導入部の圧力を15MPaに保持して、直径0.6mmでランド長さが3.0mmの小孔が200個配置されたダイより、このダイの吐出側に連結され40℃の水が循環するカッティング室内に、発泡剤含有溶融樹脂を押し出すと同時に、円周方向に10枚の刃を有する高速回転カッターにて押出物を切断した。切断した粒子を循環水で冷却しながら、粒子分離器に搬送し、粒子を循環水と分離した。さらに、捕集した粒子を脱水・乾燥して発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。得られた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、変形、ヒゲ等の発生もなく、ほぼ略球状で平均粒径は約1.1mmの発泡性ゴム変性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
【0136】
得られた発泡性ゴム変性ポリスチレン系樹脂粒子を測定したところ、1,4シス構造の割合が93%のハイシス構造であり、ゴム含有率12質量%、スチレンのグラフト率140%、ゲル膨潤度16であった。
【0137】
上記発泡性ゴム変性ポリスチレン系樹脂粒子10kgにステアリン酸亜鉛5g、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド5g、ステアリン酸モノグリセライド5g、ポリエチレングリコール5gを被覆した。続いて、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を円筒型バッチ式予備発泡機に供給して、吹込み圧0.05MPaの水蒸気により加熱し、発泡粒子を得た。得られた発泡粒子は、嵩密度0.020g/cm(嵩発泡倍数50倍)、平均気泡径202μm、扁平度は0.66であった。
【0138】
得られた発泡粒子を測定したところ、1,4シス構造の割合が93%のハイシス構造であり、ゴム含有率12質量%、スチレンのグラフト率140%、ゲル膨潤度16であった。
【0139】
続いて、得られた発泡粒子を室温雰囲気下、24時間に亘って放置した後、縦400mm×横300mm×高さ50mmの長方形状のキャビティを有する成形型内に発泡粒子を充填し、成形スチーム圧0.07MPa(ゲージ圧力)、金型加熱5秒、一方加熱10秒、両面加熱10秒、水冷10秒、設定取出面圧−0.02MPaの条件で成形を行った。得られた発泡性形体は密度0.020g/cm(発泡倍数50倍) 、平均気泡径230μmであった。
【0140】
得られた発泡成形体を測定したところ、1,4シス構造の割合が93%のハイシス構造であり、ゴム含有率12質量%、スチレンのグラフト率140%、ゲル膨潤度16であった。
【0141】
(ゴム含有率)
発泡粒子又は発泡成形体を70℃の恒温槽中にて24時間静置して発泡粒子又は発泡成形体中に含有されている発泡剤を除去した後、ゴム変性ポリスチレン系樹脂試料とした。
【0142】
ゴム変性ポリスチレン系樹脂をクロロホルムに溶解させ、一定量の一塩化ヨウ素/四塩化炭素溶液を加え暗所に約1時間放置後、ヨウ化カリウム溶液を加え、過剰の一塩化ヨウ素を0.1Nチオ硫酸ナトリウム/エタノール水溶液で滴定し、付加した一塩化ヨウ素量を求める。前記一塩化ヨウ素量からゴム質量を算出し、ゴム変性ポリスチレン系樹脂の質量に対するゴムの質量を、ゴム含有率(質量%)として求めた。
【0143】
(1,4シス構造割合)
発泡粒子又は発泡成形体を70℃の恒温槽中にて24時間静置して発泡粒子又は発泡成形体中に含有されている発泡剤を除去した後、ゴム変性ポリスチレン系樹脂試料とした。
【0144】
ゴム変性ポリスチレン系樹脂約0.1gをトルエン約20mLに溶解し、ホットプレート上でフィルムを作成後、赤外線分析を行った。得られたチャートよりピーク高さを求め、検量線からゴム変性ポリスチレン系樹脂の質量に対する1,4トランス構造の割合(質量%)を算出した。
装置:Thermo社 フーリエ変換赤外分光光度計
分解能:4cm−1
スキャン回数:32
検出器:DTGS KBr
【0145】
1,4シス構造の割合(%)は次式により算出した。
1,4シス構造の割合(%)=[〔ゴム含有率(質量%)〕−〔1,4トランス構造の割合(質量%)〕]/〔ゴム含有率(質量%)〕×100
【0146】
(ゴム粒子径)
本発明におけるブタジエンゴムの分散粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡写真において、ゴム粒子100〜200個の粒子径(各粒子の最長幅)を測定し、次式により計算した値である。
平均粒子径=ΣN/ΣN
(尚、Nはゴム粒子の個数、Dはゴム粒子の粒子径である。)
【0147】
(ゲル含有率)
発泡粒子又は発泡成形体を70℃の恒温槽中にて24時間静置して発泡粒子又は発泡成形体中に含有されている発泡剤を除去した後、ゴム変性ポリスチレン系樹脂試料とした。
【0148】
質量1.00gのゴム変性ポリスチレン系樹脂を精秤し(W)、容量比で50%メチルエチルケトン/50%アセトン混合溶液35ミリリットルを加え溶解し、その溶液を遠心分離機(コクサン社製H−2000B(ローター:H))にて、10000rpmで30分間遠心分離して不溶分を沈降せしめ、デカンテーションにより上澄み液を除去して不溶分を得、セーフティーオーブンにて90℃で2時間予備乾燥し、更に真空乾燥機にて120℃で1時間減圧乾燥し、20分間デシケーター中で冷却した後、乾燥した不溶分の質量Gを測定して次のように求めることができる。
ゲル含有率(質量%)=(G/W)×100
【0149】
(グラフト率)
発泡粒子又は発泡成形体を70℃の恒温槽中にて24時間静置して発泡粒子又は発泡成形体中に含有されている発泡剤を除去した後、ゴム変性ポリスチレン系樹脂試料とした。
【0150】
ゴム変性ポリスチレン系樹脂のゴム状分散粒子のグラフト率は、ゴム変性ポリスチレン系樹脂中のゲル含有率(質量%)とゴム変性ポリスチレン系樹脂中のゴム含有率(質量%)から次のように求めることができる。
グラフト率=100×(ゲル含有率−ゴム含有率)/ゴム含有率
【0151】
(ゲル膨潤度)
発泡粒子又は発泡成形体を70℃の恒温槽中にて24時間静置して発泡粒子又は発泡成形体中に含有されている発泡剤を除去した後、ゴム変性ポリスチレン系樹脂試料とした。
【0152】
ゴム変性ポリスチレン系樹脂1.00gを精秤し、25℃のトルエン30ミリリットルを加えて溶解し、その溶液を遠心分離機(コクサン社製H−2000B(ローター:H))にて、10000rpmで30分間遠心分離して不溶分を沈降せしめ、デカンテーションにより上澄み液を除去して、トルエンで膨潤した不溶分の質量Sを測定した。ここまでの操作は25℃において行った。続いて25℃のトルエンで膨潤した不溶分をセーフティーオーブンにて90℃で2時間予備乾燥し、更に真空乾燥機にて120℃で1時間減圧乾燥し、20分間デシケーター中で乾燥した後、不溶分の乾燥質量Dを測定して次のように求めることができる。
膨潤度SI=S/D
【0153】
(融着率の評価)
縦400mm×横300mm×高さ50mmの成形品に一対の長辺の中心同士を結ぶ直線に沿ってカッターナイフで深さ約5mmの切り込み線を入れた後、この切り込み線に沿って発泡成形体を手で二分割し、その破断面における発泡粒子について、100〜150個を含む任意の範囲について、全粒子数(A)と粒子内で破断している粒子数(B)を計数し、以下の式により融着率(%)を算出した。
融着率=(B)×100/(A)
次の評価基準: 90%以上を○、90%未満を不良(×)として評価した。
【0154】
(平均気泡径の評価)
測定装置として走査電子顕微鏡JOEL社製 商品名「JSM−6360LV」)を用い、ASTM D3576−77の試験方法に準拠して測定を行った。具体的には、発泡成形体の任意の箇所を通る平面で剃刀歯で切断し、切断面を走査型電子顕微鏡(JOEL社製 商品名「JSM−6360LV」)を用いて30倍に拡大して撮影する。
【0155】
次に、撮影した画像をA4用紙上に印刷し、発泡成形体断面における任意の箇所に長さ60mmの直線を一本描き、この直線上に存在する気泡数から気泡の平均弦長(t)を下記式により算出する。
平均弦長t(mm)=60/(気泡数×写真の倍率)
【0156】
なお、直線を描くにあたっては、できるだけ直線が気泡に点接触することなく貫通した状態となるようにする。又、一部の気泡が直線に点接触してしまう場合には、この気泡も気泡数に含め、更に、直線の両端部が気泡を貫通することなく、気泡内に位置した状態となる場合には、直線の両端部が位置している気泡も気泡数に含める。
【0157】
算出された平均弦長tに基づいて次式により平均気泡径(D)を算出することができる。
平均気泡径D(mm)=t/0.616
【0158】
更に、撮影した画像の任意の5箇所において上述と同様の要領で平均気泡径を算出し、これらの平均気泡径の相加平均値を発泡成形体の平均気泡径とする。
発泡粒子の平均気泡径も同様の手順で求めた。
【0159】
(50%破壊高さ)
JISK-7211に準拠し、発泡成形体を縦200mm、横40mm、厚さ25mmの大きさに調整した試料に255gの鋼球を落下させて50%破壊高さ(cm)を求めた。
45cm以上を○、45cm未満を×として評価した。
【0160】
(耐溶剤性)
サラダ油を発泡粒子又は発泡成形体表面に塗布し、室温で1時間放置した後に、外観を目視評価した。
変化がないものを○、とけ、陥没等の変化があるものを×とした。
【0161】
(発泡粒子の扁平度)
任意の発泡粒子100個の短径と長径を測定し、その平均値から下記の式にて算出した。
扁平度 = 発泡粒子の平均短径/発泡粒子の平均長径
各実施例、比較例を上記の手法により評価した。
【0162】
<実施例2>
基材樹脂として、ジエン系ゴム粒子が1,4シス構造の割合が93%のハイシス構造であり、ゴム含有率12質量%、ゴム粒子の平均粒子径3μm、スチレンのグラフト率144%、ゲル膨潤度が15であるゴム変性ポリスチレン系樹脂を使用した他は実施例1と同様にして発泡粒子と発泡成形体を得た。
【0163】
得られた発泡粒子は、嵩密度0.020g/cm(嵩発泡倍数50倍)、平均気泡径219μm、扁平度は0.72、1,4シス構造の割合93%のハイシス構造、ゴム含有率12質量%、スチレンのグラフト率144%、ゲル膨潤度15であった。
【0164】
得られた発泡成形体は、密度0.020g/cm(発泡倍数50倍)、平均気泡径250μm、1,4シス構造の割合93%のハイシス構造、ゴム含有率12質量%、スチレンのグラフト率144%、ゲル膨潤度15であった。
【0165】
<実施例3>
基材樹脂として、ジエン系ゴム粒子が1,4シス構造の割合が93%のハイシス構造であり、ゴム含有率12質量%、ゴム粒子の平均粒子径7μm、スチレンのグラフト率155%、ゲル膨潤度が16であるゴム変性ポリスチレン系樹脂を使用した他は実施例1と同様にして発泡粒子と発泡成形体を得た。
【0166】
得られた発泡粒子は、嵩密度0.020g/cm(嵩発泡倍数50倍)、平均気泡径215μm、扁平度は0.71、1,4シス構造の割合93%のハイシス構造、ゴム含有率12質量%、スチレンのグラフト率155%、ゲル膨潤度16であった。
【0167】
得られた発泡成形体は、密度0.020g/cm(発泡倍数50倍)、平均気泡径245μm、1,4シス構造の割合93%のハイシス構造、ゴム含有率12質量%、スチレンのグラフト率155%、ゲル膨潤度16であった。
【0168】
<実施例4>
基材樹脂として、ジエン系ゴム粒子が1,4シス構造の割合が93%のハイシス構造であり、ゴム含有率12質量%、ゴム粒子の平均粒子径7μm、スチレンのグラフト率155%、ゲル膨潤度が16であるゴム変性ポリスチレン系樹脂を使用し、且つポリスレンES405 1.0質量部を使用した他は、実施例1と同様にして発泡粒子と発泡成形体を得た。
【0169】
得られた発泡粒子は、嵩密度0.020g/cm(嵩発泡倍数50倍)、平均気泡径114μm、扁平度は0.78、1,4シス構造の割合93%のハイシス構造、ゴム含有率12質量%、スチレンのグラフト率155%、ゲル膨潤度16であった。
【0170】
得られた発泡成形体は、密度0.020g/cm(発泡倍数50倍)、平均気泡径130μm、1,4シス構造の割合93%のハイシス構造、ゴム含有率12質量%、スチレンのグラフト率155%、ゲル膨潤度16であった。
得られた平均気泡径は130μmと小さくなった。
【0171】
<比較例1>
基材樹脂として、ジエン系ゴム粒子が1,4シス構造の割合が60%のローシス構造であり、ゴム含有率6質量%、ゴム粒子の平均粒子径0.1μm、スチレンのグラフト率120%、ゲル膨潤度が15であるゴム変性ポリスチレン系樹脂を使用した他は実施例1と同様にして発泡粒子と発泡成形体を得た。
【0172】
得られた発泡粒子は、嵩密度0.020g/cm(嵩発泡倍数50倍)、平均気泡径79μm、扁平度は0.54、1,4シス構造の割合60%のローシス構造、ゴム含有率6質量%、スチレンのグラフト率120%、ゲル膨潤度15であった。
【0173】
得られた発泡成形体は、密度0.020g/cm(発泡倍数50倍)、平均気泡径90μm、1,4シス構造の割合60%のローシス構造、ゴム含有率6質量%、スチレンのグラフト率120%、ゲル膨潤度15であった。
得られた発泡体は平均気泡径が小さく、50%破壊高さ、及び耐溶剤性に劣るものであった。
【0174】
<比較例2>
基材樹脂として、ジエン系ゴム粒子が1,4シス構造の割合が85%のハイシス構造であり、ゴム含有率10質量%、ゴム粒子の平均粒子径3μm、スチレンのグラフト率133%、ゲル膨潤度が9であるゴム変性ポリスチレン系樹脂を使用した他は実施例1と同様にして発泡粒子と発泡成形体を得た。
【0175】
得られた発泡粒子は、嵩密度0.020g/cm(嵩発泡倍数50倍)、平均気泡径82μm、扁平度は0.85、1,4シス構造の割合85%のハイシス構造、ゴム含有率10質量%、スチレンのグラフト率133%、ゲル膨潤度9であった。
【0176】
得られた発泡成形体は、密度0.020g/cm(発泡倍数50倍)、平均気泡径94μm、1,4シス構造の割合85%のハイシス構造、ゴム含有率10質量%、スチレンのグラフト率133%、ゲル膨潤度9であった。
得られた発泡体は平均気泡径が小さく、50%破壊高さ、及び耐溶剤性に劣るものであった。
【0177】
<比較例3>
基材樹脂として、ジエン系ゴム粒子が1,4シス構造の割合が80%のハイシス構造であり、ゴム含有率10質量%、ゴム粒子の平均粒子径1μm、スチレンのグラフト率167%、ゲル膨潤度が12であるゴム変性ポリスチレン系樹脂を使用した他は実施例1と同様にして発泡粒子と発泡成形体を得た。
【0178】
得られた発泡粒子は、嵩密度0.020g/cm(嵩発泡倍数50倍)、平均気泡径75μm、扁平度は0.56、1,4シス構造の割合80%のハイシス構造、ゴム含有率10質量%、スチレンのグラフト率167%、ゲル膨潤度12であった。
【0179】
得られた発泡成形体は、密度0.020g/cm(発泡倍数50倍)、平均気泡径85μm、1,4シス構造の割合80%のハイシス構造、ゴム含有率10質量%、スチレンのグラフト率167%、ゲル膨潤度12であった。
得られた発泡体は平均気泡径が小さく、融着率、50%破壊高さ、及び耐溶剤性に劣るものであった。
【0180】
<比較例4>
基材樹脂として、ジエン系ゴム粒子が1,4シス構造の割合が93%のハイシス構造であり、ゴム含有率12質量%、ゴム粒子の平均粒子径3μm、スチレンのグラフト率144%、ゲル膨潤度が15であるゴム変性ポリスチレン系樹脂を使用し、ポリスレンES405を使用しなかった他は実施例1と同様にして発泡粒子と発泡成形体を得た。
【0181】
得られた発泡粒子は、嵩密度0.020g/cm(嵩発泡倍数50倍)、平均気泡径307μm、扁平度は0.53、1,4シス構造の割合93%のハイシス構造、ゴム含有率12質量%、スチレンのグラフト率144%、ゲル膨潤度15であった。
【0182】
得られた発泡成形体は、密度0.020g/cm(発泡倍数50倍)、平均気泡径350μm、1,4シス構造の割合93%のハイシス構造、ゴム含有率12質量%、スチレンのグラフト率144%、ゲル膨潤度15であった。
得られた発泡体は平均気泡径が350μmと大きく、50%破壊高さに劣るものであった。
【0183】
<結果>
上記の実施例1〜4及び比較例1〜4の評価結果を下記表にまとめる。
【0184】
【表1】
【0185】
【表2】
図1
図2
図3
図4