特許第6653614号(P6653614)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6653614
(24)【登録日】2020年1月30日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】アウトリガ装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/815 20060101AFI20200217BHJP
【FI】
   E02F3/815 L
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-75826(P2016-75826)
(22)【出願日】2016年4月5日
(65)【公開番号】特開2017-186782(P2017-186782A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2019年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】505236469
【氏名又は名称】キャタピラー エス エー アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100202692
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 吉文
(72)【発明者】
【氏名】安藤 博昭
(72)【発明者】
【氏名】山田 晃廉
【審査官】 富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−019408(JP,A)
【文献】 実開平02−120553(JP,U)
【文献】 実開平05−040355(JP,U)
【文献】 実開平06−001065(JP,U)
【文献】 国際公開第2013/051694(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0318818(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F3/627−3/815
3/88−3/96
9/00−9/18
9/24−9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に間隔をおいて前後方向に延びる一対のトラックフレームを備える建設機械に装着されるアウトリガ装置であって、
前記一対のトラックフレームのそれぞれに前後方向に間隔をおいて固定されたシリンダピン、リンクピン及び本体ピンと、基端が前記シリンダピンに回動自在に連結されたアウトリガシリンダと、第1部分及び前記第1部分の先端から前記第1部分に対して傾斜して延びる第2部分を有し、かつ前記第1部分と前記第2部分との境界部位が前記リンクピンに回動自在に連結されたリンクと、中間部位が前記本体ピンに回動自在に連結されたアウトリガ本体とを含み、
前記リンクの前記第1部分の自由端には第1連結ピンが固定され、前記アウトリガシリンダの先端が前記第1連結ピンに回動自在に連結され、
前記リンクの前記第2部分の自由端には第2連結ピンが固定され、前記アウトリガ本体の基端に形成された弧状長穴に前記第2連結ピンが挿入され、
前記アウトリガシリンダが作動すると、前記リンクピンを中心として前記リンクが所定方向に回動して前記第2連結ピンが前記弧状長穴に沿って移動すると共に、前記本体ピンを中心として前記アウトリガ本体が前記所定方向と逆方向に回動し、
前記アウトリガ本体の回動範囲の片側領域に前記アウトリガ本体が位置する状態において、前記本体ピン及び前記第2連結ピンを結ぶ線分が、前記第2連結ピン及び前記リンクピンを結ぶ線分に対して傾斜しているアウトリガ装置。
【請求項2】
前記アウトリガ本体の回動範囲の他側領域に前記アウトリガ本体が位置する状態において、前記本体ピン及び前記第2連結ピンを結ぶ線分が、前記第2連結ピン及び前記リンクピンを結ぶ線分に対して傾斜している、請求項1記載のアウトリガ装置。
【請求項3】
前記第2部分は前記第1部分に対して垂直に延びている、請求項1記載のアウトリガ装置。
【請求項4】
前記アウトリガ本体は、基端から延びる腕部と、前記腕部の先端に回動自在に連結された転輪とを有する、請求項1記載のアウトリガ装置。
【請求項5】
前記シリンダピン、前記リンクピン及び前記本体ピンは、前記一対のトラックフレームのそれぞれの幅方向外面に固定されている、請求項1記載のアウトリガ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業時に接地して機体を安定させるためのアウトリガ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の代表例である油圧ショベルには、削土や押土、整地等の作業を行うためのブレード装置が装着される場合がある。ブレード装置は、機体の前後方向片端部に回動自在に連結された基端から前後方向に延びる一対のアームと、各アームの先端に固定され、かつ幅方向に延びるブレードと、各アーム及びブレードを機体に対して上下方向に回動させる油圧作動式のブレードシリンダとを有する(たとえば特許文献1参照。)。ブレード装置は、削土や押土、整地等の作業のほか、バケットによる掘削作業を行う場合にブレードを接地させることにより機体を安定させるためのアウトリガとして用いられるときがある。ブレードが接地した状態で掘削作業が行われると、掘削作業に伴う地面からの反力が機体に作用して機体が傾くことがブレード装置によって抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−19408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブレード装置がアウトリガとして用いられると、地面からの反力がブレードを介してブレードシリンダに伝達される。このため、ブレードシリンダの径は、反力に対応可能な比較的大きいサイズであることを要する。また、整地等の作業のためにブレードの下端は機体の幅方向に真直に延びているので、機体の幅方向において平坦でない地面でブレード装置がアウトリガとして用いられる場合は、ブレードの下端全体が接地されず、機体の安定性が十分に確保されないおそれがある。
【0005】
上記事実に鑑みてなされた本発明の課題は、シリンダに伝達される反力が低減されると共に、機体の幅方向において地面が平坦でない場合でも機体の安定性が十分に確保されるアウトリガ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明が提供するのは、以下のアウトリガ装置である。すなわち、幅方向に間隔をおいて前後方向に延びる一対のトラックフレームを備える建設機械に装着されるアウトリガ装置であって、前記一対のトラックフレームのそれぞれに前後方向に間隔をおいて固定されたシリンダピン、リンクピン及び本体ピンと、基端が前記シリンダピンに回動自在に連結されたアウトリガシリンダと、第1部分及び前記第1部分の先端から前記第1部分に対して傾斜して延びる第2部分を有し、かつ前記第1部分と前記第2部分との境界部位が前記リンクピンに回動自在に連結されたリンクと、中間部位が前記本体ピンに回動自在に連結されたアウトリガ本体とを含み、前記リンクの前記第1部分の自由端には第1連結ピンが固定され、前記アウトリガシリンダの先端が前記第1連結ピンに回動自在に連結され、前記リンクの前記第2部分の自由端には第2連結ピンが固定され、前記アウトリガ本体の基端に形成された弧状長穴に前記第2連結ピンが挿入され、前記アウトリガシリンダが作動すると、前記リンクピンを中心として前記リンクが所定方向に回動して前記第2連結ピンが前記弧状長穴に沿って移動すると共に、前記本体ピンを中心として前記アウトリガ本体が前記所定方向と逆方向に回動し、前記アウトリガ本体の回動範囲の片側領域に前記アウトリガ本体が位置する状態において、前記本体ピン及び前記第2連結ピンを結ぶ線分が、前記第2連結ピン及び前記リンクピンを結ぶ線分に対して傾斜しているアウトリガ装置である。
【0007】
好ましくは、前記アウトリガ本体の回動範囲の他側領域に前記アウトリガ本体が位置する状態において、前記本体ピン及び前記第2連結ピンを結ぶ線分が、前記第2連結ピン及び前記リンクピンを結ぶ線分に対して傾斜している。前記第2部分は前記第1部分に対して垂直に延びているのが好適である。前記アウトリガ本体は、基端から延びる腕部と、前記腕部の先端に回動自在に連結された転輪とを有するのが好都合である。前記シリンダピン、前記リンクピン及び前記本体ピンは、前記一対のトラックフレームのそれぞれの幅方向外面に固定されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明が提供するアウトリガ装置では、アウトリガシリンダが作動すると、リンクピンを中心としてリンクが所定方向に回動して第2連結ピンが弧状長穴に沿って移動すると共に、本体ピンを中心としてアウトリガ本体が前記所定方向と逆方向に回動する。すなわち、リンクの第2部分の自由端が下方から上方に向かって移動すると、アウトリガ本体の先端が上方から下方に向かって移動する。アウトリガ本体の先端が下方に移動して接地した状態において、アウトリガ本体に地面からの反力が作用すると、アウトリガ本体には本体ピンを支点とする回転モーメントが作用する。そうすると第2連結ピンには、本体ピン及び第2連結ピンを結ぶ線分に垂直な方向にアウトリガ本体の回転モーメントに係る力が作用する。本発明のアウトリガ装置では、アウトリガ本体の回動範囲の片側領域にアウトリガ本体が位置する状態において、本体ピン及び第2連結ピンを結ぶ線分が、第2連結ピン及びリンクピンを結ぶ線分に対して傾斜しているので、アウトリガ本体の回転モーメントに係る第2連結ピンに作用する力は、リンクにおいては、第2連結ピン及びリンクピンを結ぶ線分に垂直な方向の力と、第2連結ピン及びリンクピンを結ぶ線分に平行な方向の力とに分解される。第2連結ピン及びリンクピンを結ぶ線分に垂直な方向の力は、リンクピンを支点とする回転モーメントに係る力としてリンクに作用する。このため、リンクの回転モーメントに係る力がアウトリガシリンダに伝達される。一方、第2連結ピン及びリンクピンを結ぶ線分に平行な方向の力は、リンクに圧縮応力を生じさせる力であって、リンクが受ける力であるため、アウトリガシリンダには伝達されない。したがって本発明のアウトリガ装置では、アウトリガシリンダに伝達される反力が低減される。この結果、アウトリガシリンダは反力に対応可能なサイズであることを要せず、リンク及びアウトリガ本体を作動可能な比較的小さいサイズでよい。また本発明のアウトリガ装置では、機体の幅方向において地面が平坦でない場合でも、各アウトリガ本体が接地されることで、機体の安定性が十分に確保される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に従って構成されたアウトリガ装置を備える油圧ショベルの側面図。
図2図1に示すアウトリガ装置の拡大斜視図。
図3図1に示すアウトリガ本体の先端が上方に位置する状態を示す側面図。
図4図3に示す状態からアウトリガ本体の先端が下方に移動した状態を示す側面図。
図5図4に示す状態からアウトリガ本体の先端が更に下方に移動した状態を示す側面図。
図6図5に示す状態からアウトリガ本体の先端が更に下方に移動した状態を示す側面図。
図7図6に示す状態からアウトリガ本体の先端が更に下方に移動し、斜面に接地した状態を示す側面図。
図8図7に示す状態でのリンク周辺の拡大図。
図9図3に示す状態でのリンク周辺の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に従って構成されたアウトリガ装置の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
図1において全体を符号2で示す油圧ショベルは、機体4と、機体4に装着された作業腕装置6とを備える。機体4は、下部走行体8と、下部走行体8に搭載された上部旋回体10とから構成されている。下部走行体8は、幅方向に間隔をおいて前後方向に延びる一対のトラックフレーム12を有する。各トラックフレーム12には、前後方向片端部に駆動輪14、前後方向他端部に遊動輪16がそれぞれ装着されている。駆動輪14及び遊動輪16には無端状の履帯18が巻き掛けられている。図示の実施形態では図2に示すとおり、各トラックフレーム12の外面には、前後方向に間隔をおいて幅方向外方に延びる円柱状のシリンダピン20、リンクピン22及び本体ピン24が固定されている。なお、本明細書では、トラックフレーム12の長手方向を前後方向、各トラックフレーム12を結ぶ方向を幅方向(左右方向)として説明する。
【0012】
図1を参照して説明を続けると、上部旋回体10は、キャブ26と、エンジンや油圧ポンプを収容する機器収容室28と、カウンタウエイト30とを含む。作業腕装置6は、ブーム32、アーム34及びバケット36を含む。ブーム32の基端は上部旋回体10に、アーム34の基端はブーム32の先端に、バケット36はアーム34の先端にそれぞれ回動自在に連結されている。作業腕装置6は、ブーム32を回動させるブームシリンダ38と、アーム34を回動させるアームシリンダ40と、バケット36を回動させるバケットシリンダ42とを更に含む。
【0013】
本発明に従って構成されたアウトリガ装置44は、下部走行体8に装着されており、一対の油圧作動式のアウトリガシリンダ46と、一対のリンク48と、一対のアウトリガ本体50とを含む。図示の実施形態では、片側のアウトリガシリンダ46、片側のリンク48及び片側のアウトリガ本体50は、それぞれ片側のトラックフレーム12の幅方向外方に位置し、他側のアウトリガシリンダ46、他側のリンク48及び他側のアウトリガ本体50は、それぞれ他側のトラックフレーム12の幅方向外方に位置する。片側のアウトリガシリンダ46、片側のリンク48及び片側のアウトリガ本体50と、他側のアウトリガシリンダ46、他側のリンク48及び他側のアウトリガ本体50とはそれぞれ同じ構成でよいため、以下、片側のアウトリガシリンダ46、片側のリンク48及び片側のアウトリガ本体50について説明する。
【0014】
図2及び図3を参照して説明する。アウトリガシリンダ46の基端は、シリンダピン20に回動自在に連結されている。L字状のリンク48は、真直な第1部分52と、第1部分52の先端から第1部分52に対して傾斜して延びる真直な第2部分54とを有する。第2部分54は第1部分52に対して垂直に延びているのが好適である。リンク48は、第1部分52と第2部分54との境界部位において、リンクピン22に回動自在に連結されている。また、第1部分52の自由端には円柱状の第1連結ピン56が固定され、第2部分54の自由端には円柱状の第2連結ピン58が固定されている。そしてアウトリガシリンダ46の先端は、第1連結ピン56に回動自在に連結されている。
【0015】
アウトリガ本体50は、中間部位において本体ピン24に回動自在に連結されている。アウトリガ本体50の基端には弧状長穴60が形成され、弧状長穴60には第2連結ピン58が移動自在に挿入されている。また、図3に示すとおり、アウトリガ本体50は、弧状長穴60が形成された基端から延びる腕部62と、腕部62の先端に回動自在に連結された転輪64とを有するのが好都合である。
【0016】
図3ないし図7を参照して、アウトリガ装置44の動作について説明する。図3には、アウトリガシリンダ46が最も縮み、リンク48の回動範囲の片側限界にリンク48が位置する状態が示されている。この状態では、第2連結ピン58が弧状長穴60の片側端部に位置し、アウトリガ本体50の回動範囲の片側限界にアウトリガ本体50が位置する。図3に示す状態からアウトリガシリンダ46が伸びると、図4に示すとおり、リンクピン22を中心としてリンク48が時計回り(CW)に回動して第2連結ピン58が弧状長穴60の中間部に移動すると共に、本体ピン24を中心としてアウトリガ本体50が反時計回り(CCW)に回動する。
【0017】
図4に示す状態から更にアウトリガシリンダ46が伸びると、図5に示すとおり、リンク48が時計回り(CW)に更に回動して第2連結ピン58が弧状長穴60の他側端部に移動すると共に、アウトリガ本体50が反時計回り(CCW)に更に回動する。図5に示す状態から更にアウトリガシリンダ46が伸びると、図6に示すとおり、リンク48が時計回り(CW)に更に回動して第2連結ピン58が弧状長穴60の中間部に移動すると共に、アウトリガ本体50が反時計回り(CCW)に更に回動する。図6に示す状態から更にアウトリガシリンダ46が伸びると、図7に示すとおり、リンク48が時計回り(CW)に更に回動して第2連結ピン58が弧状長穴60の片側端部に移動すると共に、アウトリガ本体50が反時計回り(CCW)に更に回動する。図示の実施形態では図7に示す状態において、アウトリガシリンダ46が最も伸び、リンク48の回動範囲の他側限界にリンク48が位置し、アウトリガ本体50の回動範囲の他側限界にアウトリガ本体50が位置すると共に、転輪64が斜面に接地している。
【0018】
図7に示す状態においてアウトリガ本体50に地面からの反力が作用すると、図8に示すとおり、アウトリガ本体50には本体ピン24を支点とする時計回り(CW)の回転モーメントが作用する。そうすると第2連結ピン58には、本体ピン24の径方向中心及び第2連結ピン58の径方向中心を結ぶ線分L1に垂直な方向にアウトリガ本体50の回転モーメントに係る力F1が作用する。図7及び図8に示す状態(すなわち、アウトリガ本体50の回動範囲の片側領域(下側領域)にアウトリガ本体50が位置する状態)において、第2連結ピン58の径方向中心及びリンクピン22の径方向中心を結ぶ線分L2に対して線分L1が傾斜しているので、アウトリガ本体50の回転モーメントに係る第2連結ピン58に作用する力F1は、リンク48においては、線分L2に垂直な方向の力F1と、線分L2に平行な方向の力F1とに分解される。力F1は、リンクピン22を支点とする反時計回り(CCW)の回転モーメントに係る力としてリンク48に作用する。このため、リンク48の回転モーメントに係る力がアウトリガシリンダ46に伝達される。一方、力F1は、リンク48に圧縮応力を生じさせる力であって、リンク48が受ける力であるため、アウトリガシリンダ46には伝達されない。したがってアウトリガ装置44では、アウトリガ本体50からアウトリガシリンダ46に伝達される反力が低減される。この結果、アウトリガシリンダ46は、反力に対応可能なサイズであることを要せず、リンク48及びアウトリガ本体50を作動可能な比較的小さいサイズでよい。またアウトリガ装置44では、機体4の幅方向において地面が平坦でない場合でも、各アウトリガ本体50が接地されることで、機体4の安定性が十分に確保される。
【0019】
図示の実施形態では図3及び図9に示すとおり、アウトリガ本体50の回動範囲の他側領域(上側領域)にアウトリガ本体50が位置する状態においても、線分L1が線分L2に対して傾斜している。このため、本体ピン24を支点とする反時計回り(CCW)の回転モーメントが重力によってアウトリガ本体50に作用し、この回転モーメントに係る力F2が第2連結ピン58に作用する場合も、リンク48において力F2は、線分L2に垂直な方向の力F2と、線分L2に平行な方向の力F2とに分解される。力F2は、リンクピン22を支点とする時計回り(CW)の回転モーメントに係る力としてリンク48に作用する。このため、リンク48の回転モーメントに係る力がアウトリガシリンダ46に伝達される。一方、力F2は、リンク48に圧縮応力を生じさせる力であって、リンク48が受ける力であるため、アウトリガシリンダ46には伝達されない。したがってアウトリガ装置44では、アウトリガ本体50からアウトリガシリンダ46に伝達される力が低減される。
【0020】
図示の実施形態のとおり、アウトリガ本体50が腕部62及び転輪64を有する場合には、転輪64が接地していても油圧ショベル2の走行時におけるアウトリガ本体50と地面との間に生じる摩擦力が低減されるから、転輪64が接地した状態で油圧ショベル2の走行が可能となる。転輪64が接地した状態で走行することにより、地面の凹凸による油圧ショベル2の転倒が防止される。なお、転輪64が接地した状態で油圧ショベル2が走行する場合には、地面の凹凸に応じて転輪64が自由に上下動する浮き状態にすることが好ましい。また、掘削作業が行われる際に転輪64を接地させる際は、適宜のロック手段により転輪64の回動をロックしてもよい。
【0021】
上記のとおりアウトリガ装置44は、トラックフレーム12にシリンダピン20、リンクピン22及び本体ピン24が固定されることにより下部走行体8に装着され得る。このため、工場から出荷された時にはアウトリガ装置44が装着されていなかった油圧ショベル2等の建設機械に後からアウトリガ装置44を装着することが容易である。
【0022】
なお、図示の実施形態では、シリンダピン20、リンクピン22及び本体ピン24については、各トラックフレーム12の外面に固定されている例を説明したが、各トラックフレーム12の内面に固定されていてもよい。すなわち、アウトリガシリンダ46、リンク48及びアウトリガ本体50が各トラックフレーム12の幅方向内方に位置してもよい。また、アウトリガ装置44は、キャブ26内の操作手段を運転員が操作することによって作動するようにしてもよく、あるいは運転員がキャブ26に搭乗しない非搭乗型の建設機械において無線通信機を運転員が操作することによって作動するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0023】
2:油圧ショベル(建設機械)
12:トラックフレーム
20:シリンダピン
22:リンクピン
24:本体ピン
44:アウトリガ装置
46:アウトリガシリンダ
48:リンク
50:アウトリガ本体
52:リンクの第1部分
54:リンクの第2部分
56:第1連結ピン
58:第2連結ピン
60:弧状長穴
62:腕部
64:転輪
L1:本体ピン及び第2連結ピンを結ぶ線分
L2:第2連結ピン及びリンクピンを結ぶ線分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9