【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様では、本発明は、制御ユニットと、コントローラに機能的に接続されるグラフィカルユーザインタフェース(GUI:graphical user interface)とを有する輸液ポンプであって、制御ユニットは、以下のセンサの群、すなわちカセット存在センサ、扉センサ、圧力センサ、空気存在センサ、モータセンサ、流量センサの群からの少なくとも2つのセンサ信号を受信するように設計され、制御ユニットは、少なくとも2つの供給されたセンサ信号の分析に基づいて障害状態を検出するように設計され、制御ユニットは、供給されたセンサ信号の処理に基づいて少なくとも2つの重大度のうちの重大度を関連付けるように設計され、制御ユニットは、表示されるべきグラフィカルユーザインタフェースのディスプレイの色を制御するように設計され、異なる色が各重大度及び無障害状態に関連付けられる、輸液ポンプに関する。
【0010】
好ましい実施形態では、ディスプレイの色に加えて、ディスプレイの光強度及び/又は照明周波数が制御ユニットによって制御されてもよく、異なる色、光強度及び/又は照明周波数が各重大度並びに無障害状態に関連付けられてもよい。
【0011】
好ましい実施形態では、ポンプは、更なるディスプレイ、インジケータ、又はステータスLEDなどのステータスライトを全く有しない。それゆえ、前記ディスプレイを備えるグラフィカルユーザインタフェースは、輸液ポンプのディスプレイ及び障害インジケータのみを呈する。
【0012】
本発明によれば、輸液ポンプのグラフィックディスプレイが、ポンプの動作状況に関する、改良され、容易化されたフィードバック情報をユーザに提供するために用いられる。これにより、ポンプにおいて追加のステータスライトが設けられることがなくなるため、ポンプハウジングのコンパクトな構成が得られる。更に、異なる色で発色させたディスプレイによって、未熟なユーザ又は未熟な医療関係者にとってさえ、ポンプ状況の容易な理解が可能になる。
【0013】
輸液ポンプは、経腸輸液ポンプ又は非経口輸液ポンプであってもよい。好ましい実施形態では、輸液ポンプは、経腸栄養の間に患者へ送出される栄養及び/又は薬剤の量及びタイミングを制御するようになっている経腸栄養ポンプである。
【0014】
ポンプは好ましくは、フレキシブルチューブであって、その内部を通って栄養及び/又は薬剤を患者に投与することができる、フレキシブルチューブ、又はフレキシブルチューブを保持するカセットに接続されるように設計される。チューブは好ましくは、液体栄養及び/又は薬剤が入ったバッグ又はリザーバに接続可能である。ポンプは好ましくは、チューブと相互作用するようになっており、チューブを通して液体を運搬するように設計される、蠕動ポンプなどのポンピング機構を含む。したがって、ポンプは、供給バッグ又はリザーバの内容物を、制御された正確な仕方で患者へ輸注するように設計される。
【0015】
ポンプは好ましくは、ポンプに関連付けられたチューブ内を流れる連続流及び/又は間欠流を提供し、及び/又は投薬体積、投薬速度、ポンプのポンピング機構が動作させられる時間及び/又は給送間隔を制御するように設計される。
【0016】
ポンプは好ましくは、特に、カセット存在センサ、扉センサ、圧力センサ、空気存在センサ、モータセンサ、流量センサ、並びに上流の及び下流の閉塞センサなどの、複数のセンサを備える。センサは、少なくとも、ポンプの制御ユニットに接続される。センサは、センサ信号及び情報をポンプの制御ユニットに発するように設計される。
【0017】
カセット存在センサは好ましくは、フレキシブルチューブをポンプのハウジングの専用開口部又は凹部内に保持するカセットの存在に関する情報をポンプの制御ユニットに提供するように設計される。
【0018】
扉センサは好ましくは、内部にカセットが提供されるべきハウジングの開口部又は凹部を閉じ込める、ポンプの扉の開放又は閉鎖状態に関する情報を提供するように設計される。
【0019】
圧力センサは好ましくは、チューブ及び/若しくは供給リザーバ内に存在する流体圧力に関する情報を提供し、並びに/又はチューブに対するポンピング機構の加圧力に関する情報を提供するように設計される。
【0020】
空気存在センサは好ましくは、フレキシブルチューブ内に存在する空気に関する情報を提供するように設計される。
【0021】
モータセンサは好ましくは、ポンプのモータ、別には、蠕動ポンプなどのポンピング機構のモータの回転速度及び適切な機能に関する情報を提供するように設計される。
【0022】
流量センサは好ましくは、ポンピング機構の動作中にフレキシブルチューブ内を流れる液体栄養及び/又は薬剤などの液体の流量に関する情報を提供するように設計される。
【0023】
上流の閉塞センサ及び下流の閉塞センサは好ましくは、ポンプのポンピング機構がチューブと相互作用するチューブの部分の上流又は下流においてフレキシブルチューブが閉塞された場合に、情報を提供するように設計される。
【0024】
ポンプのグラフィックユーザインタフェースは好ましくは、ポンプの操作のための、関連付けられたボタンを有するディスプレイ、及び/又はタッチスクリーンを含む。ディスプレイは好ましくは、テキスト、及び/又はアイコンなどのグラフィックコンテンツを表示するために好適である。ディスプレイの色は好ましくは、少なくとも緑色黄色、赤色及び白色に変更可能である。
【0025】
好ましい実施形態では、ディスプレイは、その背景色を変更するように設計される。したがって、グラフィカルユーザインタフェースは、色が変更可能である、ディスプレイの照明のためのバックライトを備えてもよい。好ましい実施形態では、グラフィカルユーザインタフェースのディスプレイは、少なくとも緑色、黄色、赤色及び白色の色でディスプレイを照明するように設計されたLEDバックライトモジュールを備える。更に、ディスプレイの光強度及び/又は照明周波数は好ましくは調節可能である。
【0026】
グラフィックユーザインタフェースのディスプレイは好ましくは、警報状況が生じた場合に、それぞれの障害状態を図式的に表示するために又はテキストメッセージとして表示するように設計される。ディスプレイによって提示されるテキストの色は好ましくは黒色である。その結果、ディスプレイの背景色にかかわりなく、ユーザは、示された文字又はテキストを具合良く読むことができる。
【0027】
グラフィックユーザインタフェースのディスプレイは好ましくは、高さ20mm及び幅30mmの最小サイズを含む。グラフィックユーザインタフェース又はグラフィカルユーザインタフェースのディスプレイは全体として、好ましくは、ポンプのハウジングの、ディスプレイが配置される側面の表面積の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、最も好ましくは少なくとも75%を占有するサイズ、別には、表面積を含む。その結果、ポンプのステータスのフィードバック情報を、容易化され、改良された仕方でユーザに与えるための比較的大きな空間が提供される。
【0028】
ポンプの制御ユニットは、ポンプのセンサによって発せられたそれぞれのセンサ信号を分析し、発せられたセンサ信号に基づいて障害状態を検出するように設計される。これに関して、制御ユニットは、例えば、それぞれのセンサ信号のための既定の値又は範囲が記憶される情報又はデータ記憶手段を含んでもよい。これらの既定の範囲又は値は、ソフトウェア更新、及び/又はグラフィックユーザインタフェースを介した手入力のユーザによって変更されてもよい。それゆえ、制御ユニットは好ましくは、正常状態、別には、障害状態を検出するべく、実際のセンサ信号を、記憶又は入力された既定の値又は範囲と比較するように設計される。
【0029】
制御ユニットは、センサ信号、及び/又はそれぞれのセンサの検出された状態に基づいて、少なくとも2つの重大度を関連付けるように更に設計される。少なくとも2つの重大度は好ましくは、少なくとも、高優先度及び低優先度の警報状況を含む。特定の好ましい実施形態では、制御ユニットによって関連付けられる重大度は、高優先度、中優先度及び低優先度の警報状況、並びに正常若しくは無障害警報状況である。
【0030】
制御ユニットは好ましくは、センサ信号を発する特定の種類のセンサに応じて、並びに/又はセンサ信号の既定の臨界範囲及び/若しくは臨界値に応じて、それぞれの重大度を関連付けるように設計される。
【0031】
制御ユニットは好ましくは、高優先度の警報状況を、少なくとも、ポンプの空気存在センサ又は上流の若しくは下流の閉塞センサによって発せられた臨界センサ信号又は障害状態に関連付ける。このようにするのは、特に、フレキシブル給送チューブ内における空気の存在、別には、ポンピング機構の上流又は下流におけるチューブの閉塞によって、患者に対する高い危険性が生じ得るためである。
【0032】
制御ユニットはまた、それぞれの臨界センサ信号が発せられる既定の期間に応じて、それぞれの重大度を関連付けるように設計されてもよい。
【0033】
本発明の更なるモードでは、制御ユニットは、バッテリモード、ポンプが主電源に接続されているときのモード、及び/又は簡易操作モード若しくは高度操作モードなどの、ポンプの動作モードに応じて、それぞれの重大度を関連付けるように設計されてもよい。ポンプのそれぞれのモードは以下においてより詳細に説明されることになる。
【0034】
関連付けられた警報状況が高優先度の警報状況である場合には、表示色は好ましくは赤色に設定される。低又は中優先度の警報状況の場合には、表示色は好ましくは黄色又はオレンジ色に設定される。低優先度の警報状況の場合には、表示色は黄色又は緑色に設定されてもよい。無障害状態の場合には、表示色は好ましくは白色に設定される。正常動作中、別には、ポンプの無障害状態においては、白色によるディスプレイ照明は好ましくは、ユーザインタフェースのボタンが押された場合に、既定の時間の間のみ作動される。関連付けられた低、中又は高優先度の警報状況においては、特定の既定色によるディスプレイ照明は、好ましくは、警報状況の検出後、1秒以内に、すぐに作動される。その後、ディスプレイは、それぞれの警報状況が克服されるまで、別には、もはや存在しなくなるまで照明される。
【0035】
制御ユニットは、関連付けられた重大度、又は無障害状態に応じて、それぞれの色によるディスプレイの光強度及び/又は照明周波数を調節するように設計される。発色させたディスプレイの強度は好ましくは、低、中、高及びオフに調節可能である。これに関して、ディスプレイの光強度及び/又は照明周波数はまた、ポンプがバッテリ方式で動作されているのか、それとも主電源に接続されているときであるのかに応じて設定されてもよい。ポンプがバッテリモードで動作されている場合には、発色させたディスプレイの光強度は好ましくは、オフ、低又は中になるようにのみ調整可能である。ディスプレイの光強度及び/又は照明周波数は好ましくは、ポンプがバッテリモードで動作されているときには、例えば、制御ユニットによって、ポンプが主電源に接続されているときよりもそれぞれ低い状態、例えば、低い光強度及び/又は低い照明周波数になるように調整される。これに関して、ポンプは主電源に接続されているのか、それともポンプはバッテリモードで動作されているのかに関する情報を提供する専用のセンサが制御ユニットに接続されてもよい。
【0036】
特に、ポンプの障害状態においては、ディスプレイの色、光強度及び/又は照明周波数は、検出された障害の関連付けられた重大度に応じて、並びにポンプがバッテリモードで動作されているのか、それともポンプが主電源に接続されているのかに応じて、設定されてもよい。
【0037】
この構成によって、無障害状態だけでなく、ポンプの障害状態においても、ポンプは主電源に接続されているのか否かに応じた、グラフィカルユーザインタフェースのディスプレイの特定の出力の設定が可能になる。その結果、たとえ、障害状態が検出された場合でも、バッテリモードにおけるポンプの延長動作が確実にされ、その一方で同時に、ポンプのユーザに対する改良されたステータス情報が保証される。
【0038】
特定の好ましい実施形態では、制御ユニットは、ディスプレイの光強度及び/又は照明周波数を、関連付けられた重大度が高いほど、それぞれ、より高くなるよう制御するように設計される。それに対応して、発色させたディスプレイの光強度及び/又は発光周波数は、それぞれの関連付けられた重大度が低いほど、より低くなるよう制御されてもよい。ポンプがそのバッテリモードで動作されている場合にも、このとおりであってよい。これに関して、ポンプのバッテリモードにおける最大光強度及び/又は最大照明周波数は好ましくは、ポンプが主電源に接続されているときのそれぞれの最大強度又は周波数を下回る。
【0039】
好ましい実施形態では、ポンプは、周囲光の強度を検出するように設計される周囲光センサを備える。これに関して、ポンプの制御ユニットは好ましくは、周囲光センサによって発せられた情報に応じて、障害状態及び/又は無障害状態におけるディスプレイの色、光強度及び/又は照明周波数を設定するように設計される。好ましくは、ポンプの障害状態においては、ディスプレイの色、光強度及び/又は照明周波数は、検出された障害の関連付けられた重大度に応じて、並びに周囲光センサの情報に応じて設定される。これに関して、色、光強度及び/又は照明周波数は、周囲光がより明るい場合には、より暗い周囲光と比べたときより高く設定されてもよい。
【0040】
好ましい実施形態では、グラフィカルユーザインタフェースは、簡易操作モード及び高度操作モードをサポートするように設計される。これに関して、簡易操作モードでは、好ましくは、高度モードと比べて、ポンプ操作の限定されたセットのみがポンプのユーザに提供される。
【0041】
好ましくは、ディスプレイの表示色、光強度及び/又は照明周波数は、簡易操作モード及び高度操作モードにおいて、ポンプのそれぞれの障害状態のために異なる程度に関連付けられ、別には、制御される。例えば、同じ障害状態のために、ポンプの簡易操作モードにおいては、ポンプの高度操作と比べて、それぞれのより高い重大度が関連付けられてもよい。
【0042】
輸液ポンプはまた、制御ユニットに接続され、制御ユニットによって関連付けられた重大度に応じて、例えば、一連の発信音及び休止などの可聴警報信号を出力及び調節するように設計される音声デバイスを備えてもよい。これに関して、音声警報信号の周波数及び/又は強度及び/又は継続時間は好ましくは、重大度に応じて制御される。好ましい実施形態では、音声警報信号の周波数及び/又は強度は、それぞれのより高い重大度についてはより高く、それぞれのより低い重大度についてはより低く設定される。
【0043】
制御ユニットは好ましくは、検出された障害に応じて、及び/又は警報状況の重大度に応じて、輸液ポンプのモータを選択的に停止させるように又はモータの始動を無効にするように設計される。好ましい実施形態では、制御ユニットは、中又は高優先度の警報を検出すると、輸液ポンプのモータを停止させるように又はモータの始動を無効にするように設計される。低優先度の警報状況の検出時には、ポンプは好ましくは、任意の作動中の給送プログラムを途切れずに継続するように設計される。
【0044】
ポンプ、及び/又はポンプの制御ユニットは好ましくは、専用の障害信号を障害の種類の指示とともに遠隔コンピュータへ出力するようになっている。これに関して、遠隔コンピュータは、任意の好適な有線又は無線接続を用いてポンプに接続されてもよい。
【0045】
輸液ポンプは好ましくは、制御ユニットによって関連付けられた重大度に応じて外部ネットワーク又はデバイスと対話するように設計されるナースコールインタフェース及び/又は患者データ管理システムインタフェース(PDMS:patient data management system)を備える。これに関して、制御ユニットは好ましくは、ポンプの関連付けられた重大度が高又は中優先度の警報状況である場合には、ナースコールインタフェース又はPDMSを介して専用の障害信号を出力するように設計される。
【0046】
本発明の実施形態の以下の詳細な説明を添付の図面の図と併せて読めば、本発明の更なる特徴、利点及び目的が当業者に明らかになるであろう。