(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガス充填入口は、前記ガス充填入口の軸方向ガス充填方向が前記チャンバーの内壁の内表面にほぼ相接するとともに、前記ガス充填入口の軸方向ガス充填方向が前記サンプル出口側へ傾斜するように配置されている、ことを特徴とする請求項2に記載の検出デバイス。
前記サンプリング装置は、前記チャンバーの第2の端に設けられた混合チャンバー部分をさらに含み、サンプルが前記混合チャンバー部分に送入されて前記サンプル導入口を介して検出システムに送入され、
前記混合チャンバー部分は半透膜により前記チャンバーのその他の部分から仕切られており、
前記混合チャンバー部分には、キャリアガスを前記混合チャンバー部分に注入することでサンプルと混合するようにキャリアガス通路が設けられている、ことを特徴とする請求項2に記載の検出デバイス。
前記ピストンチャンバーのそれぞれに1つの冷却エアポートが設けられており、前記冷却エアポートには入口バルブが設けられており、前記ピストンレバーには冷却チャンバーが設けられており、前記冷却チャンバーは前記冷却エアポートに連通可能であり、かつ、前記ピストンレバーの側壁には、前記冷却チャンバーに接続されている通風孔が設けられており、前記通風孔は前記吸気ポンプエアポートに連通可能である、ことを特徴とする請求項8に記載の検出デバイス。
前記サンプル導入装置の温度制御システムは、前記集束キャピラリーカラムを囲む金属円形カバーに直接接触するように配置されている熱伝導体と、前記熱伝導体内に嵌め込んだ少なくとも1つのヒータ及び少なくとも1つのセンサとを含む、ことを特徴とする請求項10に記載の検出デバイス。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は各種の変更及び取替え可能な形式を許容するが、その具体的な実施例は図面において例示され、かつ、本文において詳しく記載されている。しかしながら、添付の図面及び詳しい記載は開示した具体的形式で本発明を制限するためのものではなく、逆に、添付の請求項で限定された本発明の精神及び範囲に入るすべての変更、均等形式及び取替え形式を覆うためのものである。図面はあくまでも模式的なものであり、比例にして描かれたものではない。
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明による複数の実施例を説明する。
図1に示すように、本発明の一実施例によれば、検出すべきサンプルをサンプリングするためのサンプリング装置100と、サンプリング装置からのサンプルを前処理するためのサンプル前処理装置200、300と、サンプル前処理装置200、300からの前処理されたサンプルを分離させて、分離後のサンプルを分析するためのサンプル分析装置400とを含む検出デバイスを提供する。サンプリング装置100、サンプル前処理装置200、300及びサンプル分析装置400は例えば蛇腹管によって接続されて連通してもよい。
図1に示す検出デバイスの各部分の配置は制限するためのものではなく模式的なものである。
【0009】
以下、検出デバイスの複数の部分についてそれぞれ詳しく紹介する。
図2は本発明にかかる検出デバイスの一実施例のサンプリング装置100の縦断面模式図である。本発明の実施例によるサイクロン式のサンプリング装置はガスキャリア物質に対して拡大した收集機能を有し、リアルタイムにサンプリングすることができる。サンプリング装置100は、孔を有するエンドキャップ101と、エンドキャップ101に配置される押えリング102とを有し、押えリング102は、大顆粒物質がサンプリング装置100内部に入るのを阻止するように、粗大ストレーナ103及び微細ストレーナ104をエンドキャップ101の開孔の上面に取り付ける。粗大ストレーナは大顆粒をろ過できるだけではなく、強い剛性を有し、外部環境からの圧力及び大顆粒からのぶつかりを阻止することができる。微細ストレーナは、微細な固体微粒子または微顆粒をろ過するのに用いられる。選択的には、一体化したエンドキャップ101を使用してもよく、一体化したエンドキャップは開口(サンプル入口とも呼ばれる)を有し、かつ、サンプル入口には、大顆粒物質がこのエンドキャップ101を通過するのを阻止するために多孔質素子103又は104が配置されている。
【0010】
本発明によるサンプリング装置100は、ガスカーテンガイド105をさらに含み、エンドキャップ101は、ガスカーテンガイド105の上環面を封止するように、O型シールリング108を介して回転式のガスカーテンガイド105の上面をカバーすることができる。回転式ガスカーテンガイド105は円筒式外側壁を有するとともに、図示のように、断面が漏斗形となる内側壁を有してもよい。つまり、ガスカーテンガイド105は、1つの円筒とその中にある1つの漏斗式内側壁との組合せであってもよい。選択的には、ガスカーテンガイド105は一体形成された単品であってもよい。漏斗式内側壁と円筒式外側壁とのなす角は20°〜30°間であってもよいが、他のなす角も選択可能である。ガスカーテンガイド105の漏斗式内側壁の下端面の直径は少なくとも上端面の直径の2倍である。つまり、漏斗式内側壁で形成された下開口の直径は少なくとも上開口の直径の2倍である。このような漏斗形の設計はサイクロンの形成をシミュレーションするためである。ガスカーテンガイド105の漏斗式内側壁の内側面は内部空間、即ち、
図2に示す断面図において、図示のように2つの内側壁の間にある内部空間を限定する。
【0011】
図3はガスカーテンガイド105の側壁のA−Aに沿う横断面模式図を示す。
図3に示すように、ガスカーテンガイド105の漏斗式内側壁の上端には複数の旋回流孔106が均一に配置され、これら旋回流孔106の軸方向は漏斗の内側壁にほぼ相接し、旋回流孔106の軸線と縦方向とのなす角は45°〜90°の間にある。これにより、旋回流孔がガスカーテンガイド105の漏斗式内側壁に相接しながら下に向ける(
図2に示す矢印方向)方向に沿うので、ガスは旋回流孔から流出し、漏斗式内側壁に相接する方向に沿って下方へ流れる。
【0012】
ガスカーテンガイド105の円筒式外側壁にはガス充填入口107を有する。回転式ガスカーテンガイド105の円筒式外側壁、漏斗式内側壁及びエンドキャップ101で一つの環状空間を囲んでいる。ガスがガス充填入口107から環状空間に入り、その後、環状空間の空気が漏斗式内側壁の旋回流孔106に沿ってガスカーテンガイド105の漏斗形内部空間内に吹き込まれ、旋回流ガスカーテン130を形成する。
【0013】
本実施例では、サンプルが上端から吸入され、下端から排出され、充填されたガスの気流が上方から下方へ螺旋状に流れることを示している。しかしながら、これは一例に過ぎず、サンプリング装置100が被検物に対向するように水平に配置されているとき、例えばサンプル入口が、サンプリング装置100の左側にある被検物に対向するとき、ガスカーテンガイド105の小口側は左側被検物に対向し、このときの漏斗形内壁は横置きの配置形式であり、サンプルは左から右へと進む。
【0014】
本発明の実施例によれば、ガスカーテンガイド105はガス充填管路118を含んでもよい。
図2は、ガス充填管路118の一方の端がガス充填入口107に連通され、他方の端がガス充填用のエアポンプ128に連通されている配置方式を示している。ガス充填用のエアポンプ128は空気風をガス充填管路118に沿ってガス充填入口107を経由して環状空間に送入し、環状空間の空気風は漏斗式内側壁の旋回流孔106に沿って漏斗形内部空間内に吹き込まれて旋回流ガスカーテン130を形成する。
【0015】
サンプリング装置100は、円柱形内壁を有する導気チャンバー109をさらに含む。導気チャンバー109はO型シールリングを介してガスカーテンガイド105の下面に嵌められる。導気チャンバー109とガスカーテンガイド105は、導気チャンバーにおいてサイクロン式気流の形成に影響さえしなければ、他の形によって接合されてもよい。サイクロン式気流は当業者に知られるものであり、すなわち、気流の外周ガスが高速又は少なくとも迅速に螺旋回転することであり、すなわち、横断面(本実施例では導気チャンバーの断面)において回転運動しながら、縦方向において前方へ向けて(本実施例におけるサンプル入口の一端からサンプル出口の一端まで)運動する速度を有する。同時に、気流中心又は軸心におけるガスは縦方向に沿って前方へ向けて吸引される。導気チャンバー109はサイクロン式旋回流を維持してサイクロン式軸心に吸引されたガスキャリア物質を後続の検出デバイスに入らせるように案内する。
図2に示すように、旋回流ガスカーテン130は下に向けて推進され、導気チャンバー109に入って旋回流131を形成する。サイクロン式旋回流132は導気チャンバー109に沿って流れ、導気チャンバー109下端の側壁の旋風出口110を経て排気ポンプ接続口123及び排気口127から排出される。エアポンプ接続口123それ自体が排気口であり、排気速度を大きくするために底端面に複数個の排気口を設けることができ、
図4は排気口127を模式的に示し、排気口127は、旋回流131の外周排出気流134に対向する任意の位置に設けられてもよく、123に対応してもよく、一つであっても複数であってもよく、この排気口127は
図2に示されていない。
【0016】
サンプリング装置100は、O型シールリング108を介して導気チャンバー109の下端面口をカバーする漏斗形底蓋113をさらに含む。底蓋113と導気チャンバー109の下端面口との間には半透膜111が設けられ、半透膜111は、ガスキャリア物質中の水分子、アンモニア分子及び他の不純物汚染物が吸入されて後端のクロマトグラフカラム又は移動管を汚染するのを阻止できる。また、半透膜111はさらにクラスタの形成を制限し、計器の解像度を高める。
【0017】
本発明の実施例によれば、半透膜111を挟んで保護して、気流の衝撃から半透膜111を保護するために、網状金属112を2枚設置することができる。
【0018】
漏斗形底蓋113はキャリアガスとサンプルの混合領域又は混合チャンバーとされてもよい。漏斗形底蓋113は、キャリアガスを注入するためのキャリアガス通路121を含んでもよく、入ったキャリアガスは漏斗中にサンプルと十分に混合される。漏斗形底蓋113はサンプル導入口120をさらに含んでもよく、サンプリングしたサンプルとキャリアガスは、例えば、混合予熱された後にサンプル導入口120を介して排出され、次段階の分析装置に入る。幾つかの場合、サンプルとキャリアガスは直接に混合して、加熱されずに排出されてもよい。
【0019】
サンプリング装置100は導気チャンバー109に設けられている保温カバー114と、導気チャンバー109内に設けられている加熱棒116及び温度センサ117とをさらに含んでもよく、それらが温度制御システムを構成し、導気チャンバー109に対して温度制御、例えば加熱昇温を行うことができる。温度制御システムはチャンバー内の温度を50℃〜250℃に制御することができ、高温は、高沸点のガスキャリア物質が迅速に気化して半透膜を順調に通過するのに有利であるとともに、ガス化したサンプルと漏斗式側壁のキャリアガス通路121から入ったキャリアガスとが漏斗中に十分に混合するのに有利であり、計器の高沸点物質に対する検出限界を効果的に向上させることができる。サンプリングしたサンプルはキャリアガスと混合して予熱された後、キャリアガスに携帯されてサンプル導入口120に入る。回転式ガスカーテンガイド105、導気チャンバー109、及び底蓋113としては、熱特性のよい金属材料が用いられてもよく、その外部保温カバー114としては、厚み〜10mmのエーロゲル又はガラス又はセラミックウールが用いられてもよい。選択的には、ポリテトラフルオロエチレンハウジング115で保温層114外をカバーすることができる。
【0020】
図4に示すように、ハウジング115の底端面は、ガス充填ポンプ接続口122、排気ポンプ接続口123、GCカラム・イオン移動管接続口124、加熱棒引出線125、温度センサ引出線126、排気口127及びキャリアガス管接続口136を含むように設置されてもよい。そのうち、サンプリング装置100の内部にサイクロン式気流を形成するようにガス圧力を継続的に提供するために、ガス充填ポンプ接続口122と排気ポンプ接続口123にはそれぞれ1つのエアポンプ128が接続されてもよい。排気ポンプ接続口123は、ガス抵抗ができるだけ小さくなるように配置されることが好ましいため、気流が排気ポンプ接続口に容易に流入するように、排気ポンプ接続口の導気チャンバー内にある開口は気流に向ける方向であることが望ましい。排気ポンプ接続口123はエアポンプ128に接続せずに直接に排気口とされてもよい。サイクロン式に吸引拡大された気流を排出するために、幾つかの排気口127を増設してもよい。GCカラム・イオン移動管接続口124には前処理装置200や300を接続してもよいし、GCカラムを接続してもよく、さらに直接にイオン移動管を接続してもよい。キャリアガス管接続口136にはキャリアガスを浄化するように分子篩135が接続されている。
【0021】
図示のように、エアポンプ128のパワーは必要に応じて調整可能である。サイクロン式はガス収集拡大機能を有するため、排気ポンプの流速はガス充填ポンプの10倍以上となっている。
【0022】
ガス充填ポンプ128から充填される空気流により、サンプリング目標133から吸引された目標成分が妨害されるのを避けるために、ガス充填ポンプのサンプリングする空気源をサンプリング目標133からできるだけ遠く離れ、例えば伸縮転向可能なホースを用いてエアポンプをサンプリング端孔から遠く離れることができ、一方、ガス充填ポンプに入った空気をろ過して浄化し、ガスのクロス汚染を避け、サンプリング計器の位置決め・サンプリングの感度を高めることができる。
【0023】
以下、本発明による実施例の、ガスに対して拡大收集機能を有するサイクロン式サンプリング装置100のサンプリング、サンプル導入過程を説明する。
【0024】
本発明のサンプリング装置100の前端孔を5〜10cmの箇所においてサンプリング目標133に照準しながら、ガス充填及び排気エアポンプ128をオンにする。ガス充填気流129はガス充填管に沿ってガス充填入口107を経てガスカーテンガイド105の環状空間内に充填され、エアポンプ128の持続的な風圧により環状空間内でガス圧力を発生させ、気圧の作用で、空気はガスカーテンガイド105の旋回流孔106に沿って漏斗内部空間内に吹き込まれ、旋回流孔106の特定な構造により、空気は特定方向に沿って内部空間に吹き込まれ、これにより、漏斗形回転ガスカーテン130を形成する。エアポンプ128から空気が絶えずに吹き込まれる場合、絶えず形成する回転ガスカーテン130は導気チャンバー109の内壁に沿って移動し、即ち、導気チャンバー109の中心軸線132回りに迅速に回転しながら下方へ移動し、サイクロン式気流131を形成する。回転によって形成された遠心力の作用により、サイクロン式気流の中心気圧は著しく低下し、例えば、中心軸線132の気圧は周囲気圧よりも約10倍低いため、導気チャンバー109の中心軸線において非常に大きい吸引力が発生する。吸引力により、サンプリングされる目標133近傍のガスキャリア物質が導気チャンバー109の前端孔周囲から導気チャンバー109の風軸中心近傍まで吸入され、かつサンプル気柱を形成し、サイクロン式気流の中心軸線132に沿って下方へ移動し、最後に、サンプルはサンプル導入半透膜111まで到達する。この過程は、自然界のサイクロン式の「龍取水」の現象に類似する。
【0025】
一方、サンプリングされたサンプルは半透膜111を介して底蓋113の漏斗形のチャンバー内に入り、予熱されて迅速に気化し、底蓋113の側壁のキャリアガス通路121から入ったキャリアガス気流137と十分に混合し、その後、キャリアガスがサンプルを携帯してサンプル導入接続口120に入る。
【0026】
一方、サイクロン式気流131の回転中心の外周のガスは、サイクロン式気流131の外周に旋回流を形成して導気チャンバー109側壁に沿って運動し、導気チャンバー底部にある場合、外周旋回流のガスが出口110に入り、この部分のガスが旋風出気流134を形成して排気口127を介して排出される。出口110は旋回流の気流方向に向けて設置され、
図2に示す方位において、出口110は斜めに上方に向けることができ、かつ出口は、出口の開口方向がより近接的に気流の出口における速度方向に向けるように、チャンバー中心に向けるのではなく内壁の接線方向へ偏ってもよい。つまり、出口110の開口方向は気流の出口における速度方向と逆になるように厳しくしてはいないが、出口110の開口方向は、ガスが出口110に容易に入って排出されるように、気流の出口における速度方向とほぼ逆方向としている。
【0027】
この過程により、サンプリング装置100はサンプル分子を持続的に吸引することで、ガスキャリア物質に対する拡大収集を実現した。
【0028】
ここでは贅言しないが、このようなガス拡大収集機能を有するサイクロン式リアルタイムサンプリング装置100は、そのままIMS、GC、MS、GC−IMS、GC−MS等の分析機器のサンプル導入器として用いられてもよい。
【0029】
以下、本発明によるサンプリング装置のもう1つの実施例を説明する。本実施例は前述した実施例に類似するため、以下、その異なる部分のみを説明する。
【0030】
本発明にかかる実施例において、サンプリング装置100は、第1の端と、第1の端に対向する第2の端とを含む。サンプリング装置100はチャンバー109を含み、チャンバーの一部105は漏斗形又は円錐台形である。具体的には、チャンバーは第1の端の近傍に位置するサンプル吸入用サンプル入口と、第2の端の近傍に位置するサンプル排出用サンプル出口120とを含む。チャンバー109のサンプル入口は円錐台形の内壁109のより小径の円形端部近傍に位置し、かつ、円錐台形の内壁のより大径の円形端部の方はサンプル出口に近い。
【0031】
つまり、漏斗形内壁109の小径端はサンプルに向けるが、大口径端はサンプル排出用サンプル出口に向かう。なお、図示のチャンバーの方位として、サンプル入口を上方、サンプル排出用のサンプル出口を下方にしているため、漏斗形内壁109は上下逆さまにした漏斗配置形式である。しかしながら、これは一例に過ぎず、サンプリング装置100が被検物に対向するように水平に配置されている場合、例えばサンプル入口がサンプリング装置100の左側の被検物に対向する場合、漏斗形内壁109の小径側は左側の被検物に対向し、このとき、漏斗形内壁109は横置となる配置形式である。
【0032】
チャンバーにはガス充填入口106がさらに設けられ、ガス充填入口106は、チャンバー内にサイクロン式気流を発生させるためにチャンバー内に気流を吹き込むように配置されている。チャンバーには排気口110がさらに設けられ、排気口は、ガス充填入口106とともにチャンバー内においてサイクロン式気流を形成するためにガスを排出するように配置されている。具体的には、
図3に模式的に示されている
図2におけるA−A線に沿う横断面のように、ガス充填入口106は、ガス充填入口106の軸方向ガス充填方向がチャンバー内壁の内面にほぼ相接し、かつガス充填入口106の軸方向ガス充填方向がサンプル出口に向けて傾斜するように配置されている。
【0033】
本実施例では、ガスカーテンガイド105を個別に設置しなくてもよいが、チャンバー内壁のサンプル入口近傍側に前述のガス充填入口106と、相応する吸気通路とを設置することにより、上記ガスカーテンガイド105に類似する効果を実現することもできる。さらに、上記実施例に説明しているガスカーテンガイドの環状空間をチャンバー内部に形成することができ、環状空間は、環状空間内に気圧を形成するためにガスを収容するように配置され、ガス充填入口を介してサンプリング装置100の内部空間にガスを充填する。
【0034】
排気口110はチャンバーの壁内にあり、その設置形式は本発明の前述した実施例における排気口に類似してもよく、排気口110はガス充填入口106からのサイクロン式の螺旋前進気流に対向し、気流をできるだけ小さい抵抗力で排気口110に入らせる。排気口110はチャンバー内に形成されたサイクロン式気流の外周ガスを排出する。外周ガスは空気に限らず、少量のサンプルを含む可能性もある。排気口の開口方向は排気口における気流の速度方向の逆方向に近接する。
【0035】
サンプリング装置100はサンプル入口側の第1の端に位置するストレーナをさらに含んでもよく、ストレーナは大顆粒物質がサンプル入口に入るのを阻止し、前記ストレーナは、剛性を有し大顆粒をろ過する粗大ストレーナと、微細顆粒をろ過する微細ストレーナとを含む。
【0036】
サンプリング装置100はチャンバー内の温度を制御するための温度制御システムをさらに含んでもよく、チャンバーの壁内に設置されている昇温用のヒータ及び温度測定用の温度センサを含む。サンプリング装置100はチャンバーの壁を囲む保温層をさらに含んでもよい。本実施例においてチャンバーは一体形成されたものであってもよく、例えば溶接、かしめ等の方式によって複数の部品を接合して形成されたものであってもよく、本発明の技術案において、これら形成方式はチャンバー内部の気流に実質的な影響を与えることはない。
【0037】
本実施例におけるチャンバーは、上記実施例と同じように、例えばエンドキャップ101、ストレーナ103、104、ガス充填及び排気エアポンプ128、サンプル導入半透膜111、温度制御システム、保温層等を設置してもよい。本実施例におけるチャンバーは、キャリアガスとサンプルとを混合するための混合領域をさらに含んでもよい。即ち、チャンバーの下部において、チャンバーは混合領域を有し、混合領域はチャンバーのサイクロン式気流を形成するための部分と仕切られ、例えば半透膜111を用いて仕切ることができる。本発明の実施例によれば、半透膜111を挟んで保護して、気流により半透膜111が突き破るのを保護するために、網状金属112を2枚設置してもよい。チャンバーの下部113は、キャリアガスを注入するためのキャリアガス通路121を含んでもよく、入ったキャリアガスが漏斗中にサンプルと十分に混合される。チャンバーの下部113はサンプル導入口120をさらに含んでもよく、サンプリングしたサンプルとキャリアガスは例えば混合して予熱された後にサンプル導入口120を介して排出される。類似的には、
図4に示すように、チャンバーの底端面は本発明の前述した実施例と同じであってもよい。チャンバーの底端面は、ガス充填ポンプ接続口122、排気ポンプ接続口123、GCカラム・イオン移動管接続口124、加熱棒引出線125、温度センサ引出線126、排気口127及びキャリアガス管接続口136を含む。ガス充填ポンプ接続口122と排気ポンプ接続口123は、ガス圧力を継続的に提供してサンプリング装置100の内部にサイクロン式気流を形成するために、それぞれ1つのエアポンプ128、例えばガス充填ポンプ及び排気ポンプに接続されてもよく、排気ポンプの流速はガス充填ポンプの10倍以上である。排気ポンプ接続口123は、ガス抵抗ができるだけ小さくなるように配置されることが望ましいため、排気ポンプ接続口の導気チャンバー内にある開口は気流を排気ポンプ接続口に容易に流入させるように、気流に向ける方向であることが好ましい。排気ポンプ接続口123はエアポンプ128に接続せずに直接に排気口とされてもよい。サイクロン式に吸引拡大された気流を排出させるために、幾つかの排気口127を増設してもよい。GCカラム・イオン移動管接続口124がGCカラムに接続されてもよく、イオン移動管に直接に接続されてもよい。キャリアガス管接続口136にはキャリアガスを浄化させるように分子篩135が接続されている。
【0038】
また、本発明のサンプリング装置のもう1つの実施例によれば、本発明におけるチャンバーの一部の円錐台形内壁は厳しく円錐台形にしなくてもよく、球形の一部であってもよい。つまり、チャンバーの一部の内壁は弧面であり、サンプルが進入する側のチャンバー内壁が小径であり、サンプルを排出する側のチャンバー内壁が大径であり、チャンバー内部にサイクロン式気流を形成すればよい。
【0039】
本発明の検出デバイスのもう1つの実施例によれば、検出デバイスのサンプル前処理装置の一実施例は
図5においてより詳しく模式的に示される。
【0040】
図5に示すように、サンプル前処理装置は主にピストン式吸着器202、ピストンシリンダ203、熱解析チャンバー204及びポンプ205を含む。以下、各部品の構造及び操作について詳しく説明する。
【0041】
サンプリング装置100は接続管を介してピストンシリンダ203に接続されて連通する。
【0042】
接続管内に乾燥剤を配置してもよく、乾燥剤はサンプリング過程においてサンプリングされるサンプルに混在する水分、湿気などを吸収することができ、分析機器のクロマトグラフカラム、移動管を保護する作用を奏することができる。乾燥剤は乾燥剤バッグに包まれてもよく、接続管内には、乾燥剤又は乾燥剤バッグがポンプの吸引作用で移動するのを防止するように、乾燥剤または乾燥剤バッグを固定するための構造、例えば凸起を設置することができる。
【0043】
接続管の少なくとも一部、例えば乾燥剤の後の部分は伸縮可能なホース又は蛇腹管から構成されてもよく、サンプリング時にこのような伸縮可能なホース又は蛇腹管に対して引張り及び/又は回転を行うことで、サンプル導入口の方向を調整することができ、ユーザのサンプリングを大いに便利にした。接続管の末端は封止されて着脱可能にピストンシリンダ203に接続するように構成される。
【0044】
図6は本発明の一実施例によるサンプル前処理装置のピストン式吸着器の一例示を模式的に示している。図示のように、ピストン式吸着器202は全体としてピストンシリンダ203内を往復運動できる柱形ピストン形式であり、主にピストンレバー221と、ピストンレバー221の末端に接続される吸着チャンバー222とを含む。ピストンレバー221は化学的性質が安定な耐熱性材料(例えばポリテトラフルオロエチレン)から作製されてもよい。
【0045】
一例示において、吸着チャンバー222は、吸着剤223が内部に充填されている網状構造を含んでもよく、すなわち、チャンバー壁に網状小穴が開口されており、チャンバー内部には吸着剤が配置されている。吸着剤材料の吸着特性は、異なる検出要求に応じて選択的に添加されてもよく、このように必要に応じて選択する方式は、検出するサンプルに対する選択的吸着をある程度で強化している。なお、充填される吸着剤の直径は網状構造の網孔孔径より大きいはずである。
図6に示すように、吸着チャンバー222は一部中空の形式であってもよく、すなわち、L形又は杖形であってもよい吸着通路226を含んでもよく、チャンバー壁には開口を有する。以降に説明するように、この吸着通路はサンプリング時に、接続管を介して吸入されたサンプルを受け取るように、サンプリング構造に連通されている。このように、サンプルが吸着剤に入ることが便利になるとともに、サンプルと吸着剤との接触面積を大きくすることができ、サンプル吸着に有利である。
【0046】
一例示において、ピストンレバー221は、冷却通路227と、ピストンレバーの下部に形成された複数の貫通孔228とを含んでもよい。以降に説明するように、冷却通路227は、ピストン式吸着器がサンプリング位置に位置するとき、環境ガスに直接に連通し、ピストン式吸着器がサンプル解析位置に位置するとき、ピストンシリンダに形成された冷却孔を介して環境ガスに連通するように構成されている。冷却通路227はL形又は杖形であってもよく、環境ガスに連通する開口を有する。貫通孔228は、冷却通路227とピストンシリンダ203の内部に連通可能であるように構成されている。このような中空のピストンレバーは、ピストン式吸着器の質量を小さくし、吸着器の迅速な昇温・降温に有利である一方、サンプル解析時に、ポンプ205とピストンシリンダ203の上部の冷却ガス入口235(
図5、
図7参照)とを連通させることができ、ポンプによってエア抜きすることで吸着器上部を風冷することができ、ピストン式吸着器上部の降温速度を速め、ピストン式吸着器下半部の吸着チャンバー及びチャンバー内の吸着剤の迅速降温に有利であり、さらにサンプルの吸着に有利である。
【0047】
本発明の一実施例によれば、ピストン式吸着器202は、吸着チャンバー222のピストンレバー221から遠く離れる一端に着脱可能に接続されている断熱パッド224を含んでもよく、すなわち、吸着チャンバー222はピストンレバー221と断熱パッド224との間に位置している。例示的には、ピストン式吸着器を抜き出し、又はピストンシリンダを捩り下ろし、吸着器底部にある断熱パッドを開く又は除去することで、吸着チャンバー内の吸着剤を交換することができる。断熱パッドはポリテトラフルオロエチレン材料から作製されてもよく、断熱パッドを設けることで、熱解析チャンバーから吸着チャンバーまでの熱伝導を減少することができ、ピストン式吸着器がサンプリング・濃化を行うとき、吸着チャンバーと吸着剤が低温、例えばほぼ室温に保持されるのを効果的に保証でき、サンプル吸着・濃化に有利である。
【0048】
一実施例において、複数のシールリング225は、ピストン式吸着器202がピストンシリンダ203内に封止的に収容されるように、ピストン式吸着器202、例えばピストン式吸着器202の外面にセットされている。
図5及び
図7に示すように、好ましくは、シールリング225の配置により、ピストン式吸着器202がピストンシリンダ203内の最高位置(例えばサンプリング位置)と最低位置(例えばサンプル解析位置)との間を往復移動する時に、ピストン式吸着器202はシールリング225を介してピストンシリンダ203の内壁と密接できる。
図6に示すように、例示的には、吸着通路226の開口上下の位置、及び冷却通路227の開口の上下位置のいずれにもシールリング225が設けられている。
【0049】
ピストン式吸着器202のピストンレバー221の末端には、押引ハンドル229がさらに設けられ、押引ハンドル229は、ピストン式吸着器202がピストンシリンダ203内を往復移動するようにユーザにより押し引きされるためである。
【0050】
図5と
図7に示すように、ピストンシリンダ203は主に、シリンダ体231と、ピストン式吸着器202を収容して吸着チャンバー222に連通されるピストンチャンバー232とを含む。シリンダ体231は、強度が大きく、耐熱性がよく、化学性質が安定的であるポリテトラフルオロ材料から作製されてもよく、かつピストンチャンバー232の少なくとも一部を形成する。シリンダ体231は熱解析チャンバー204の上に取り付けられ、シリンダ体231には、ピストンチャンバー232に連通するサンプル接続エアノズル233が設けられている。上述の通り、サンプリング装置100の接続管末端は、サンプル接続エアノズル233に封止可能で着脱可能に装着又は挿入されてもよく、これにより、サンプリング装置100内部のサンプル通路とピストンチャンバー232との連通を実現する。サンプル接続エアノズル233にこのような連通を制御する開閉弁を設けることができる。
【0051】
シリンダ体231には、ポンプ接続エアノズル234がさらに設けられてもよく、ポンプ205は、サンプリング、濃化又は予濃縮のとき、ポンプ205、パイプ251、ポンプ接続エアノズル234、ピストンチャンバー232、サンプル接続エアノズル233、及び接続管サンプル導入口で連通通路を構成するように、パイプ251を介してエアノズル234に接続されてピストンチャンバー232に連通され、ポンプ205をオンにすると環境ガス中のサンプリングすべきサンプル(例えば揮発性、半揮発性物質又は表面付着物質)を吸着チャンバー222に吸入し、吸着チャンバー222によって吸着及び予濃縮を行うことができる。サンプリング期間において、ポンプ205は常に作動し、吸着チャンバー内にサンプルを濃化又は予濃縮することができる。サンプリング過程において、ピストン式吸着器全体は室温にある。
【0052】
ピストンシリンダ203は、熱解析チャンバー204内に設けられて熱解析チャンバー204内で運動するようにピストン式吸着器202を案内するガイドレイル236をさらに含んでもよく、それがピストン式吸着器202のガタツキを効果的に防止し、堅牢程度を強化することができる。ガイドレイル236はシリンダ体231に接続され、ピストンチャンバー232の一部を形成する。
【0053】
図5と
図7に示すように、熱解析チャンバー204は主に、チャンバー241と、チャンバー241で形成されてサンプルを熱解析するための内部空間とを含む。チャンバー241には、キャリアガス入口242と、分流及び/又はスイープ排気口243と、クロマトグラフカラム又はIMSのような分析機器を接続するための接続口244とが設けられている。
【0054】
熱解析チャンバー204のチャンバー内に、化学的性質が安定的なライナーチューブ245を封止的に埋入することができ、サンプルが熱解析チャンバーの金属壁と直接接触するのを効果的に避けることができる。ライナーチューブ245は定期的に交換可能であり、熱解析チャンバーがサンプルにより直接に汚染されるのを防止し、サンプル歪み率を低下させ、サンプル検出精度及び信頼性を向上している。熱解析チャンバー204のチャンバー外壁には、熱解析チャンバー204を加熱するための加熱構造や加熱膜が被覆されていてもよい。熱解析チャンバー204には、例えばそのチャンバー外面に、熱解析チャンバー内の温度をリアルタイムに検出及びモニターリングするための温度センサが設けられてもよい。また、熱解析チャンバー204のチャンバー外壁には、エネルギーを節約するように熱解析チャンバーを保温するための保温棉が被覆されていてもよい。加熱構造、温度センサ、及び/又は保温棉は熱解析温度制御システムの部品を構成し、熱解析チャンバーの温度をコントローラの制御で一定の高温、例えば80℃〜300℃に維持するためである。熱解析チャンバーではプログラム昇温モードを採用することができ、パワー消耗を低減することができる。
【0055】
熱解析チャンバー204とピストンシリンダ203との間には、多孔質セラミック断熱プレートのような断熱構造が設置又は挿入されてもよく、これにより、サンプル解析期間に熱解析チャンバーとピストン式吸着器の上半部(例えばピストンレバー)との間の熱交換を効果的に遮断し、サンプリング期間において熱解析チャンバーとピストン式吸着器との熱交換を効果的に遮断し、さらに熱解析チャンバーとピストンシリンダの上半部との熱交換を効果的に遮断することができ、サンプリング過程においてピストン式吸着器全体が室温にあることを確保し、サンプリングに有利である。
【0056】
サンプルに対して導入と熱解析を行う必要があるとき、まず熱解析温度制御システムを起動させて熱解析チャンバーの温度を適切な一定の高温(80℃〜300℃)に維持し、サンプルが吸着されたピストン式吸着器を高温の熱解析チャンバー内に迅速に押し込み、熱解析チャンバーに押し込まれた吸着剤は迅速に加熱され、吸着チャンバー内に吸着されたサンプルは高温下において一瞬に析出し、析出したサンプルを、熱解析チャンバーのキャリアガス入口から導入された予熱後のキャリアガスと混合し、最後に、キャリアガスによって検出器又は分析機器に持ち込まれて検出又は分析される。
【0057】
前述のとおり、吸着チャンバーが熱解析チャンバー内に押し込まれると同時に、ポンプ205、ピストンチャンバー232、ピストンレバーに形成されている複数の貫通孔228、冷却通路227、及びピストンシリンダ203の冷却ガス入口235が連通通路を形成するため、ポンプ205でエア抜きすることにより、熱解析チャンバーの外に残すピストン式吸着器の上半部(ピストンレバーを含む)に対して風冷を行うことができ、次回のサンプル吸着、濃化又は予濃縮に有利である。
【0058】
このような濃化、予濃縮機能を有するサンプル前処理装置は、ここでは贅言しないが、IMSスペクトロメータ又はGCとして直接用いられてもよいし、IMS−GC、GC−MS等の痕跡量化学物質分析スペクトロメータのサンプル導入装置として用いられてもよい。
【0059】
以降、
図5及び
図7を参照しながら上記サンプル前処理装置の操作を説明する。まず、
図5に示すサンプリング位置に位置決めするようピストン式吸着器202を引くことで、吸着チャンバー222とサンプリング装置100とを連通させ、このとき、ポンプ205、パイプ251、ポンプ接続エアノズル234、ピストンチャンバー232の一部(吸着チャンバーを囲む部分を含む)、サンプル接続エアノズル233、接続管及びサンプル導入口124は、シールリング225を介して連通通路を構成し、その後、ポンプ205を作動させ、環境ガス中のサンプリングすべきサンプル(例えば揮発性、半揮発性物質又は表面付着物質)を吸着チャンバー222に吸い込み、吸着チャンバー222によって吸着/予濃縮する。サンプリング期間において、ポンプ205は、吸着チャンバー内においてサンプルを濃化又は予濃縮するように常に作動可能である。サンプリング過程において、ピストン式吸着器全体が室温にある。
【0060】
次いで、熱解析温度制御システムを起動させて熱解析チャンバー204の温度を一定の高温に維持し、その後、ピストン式吸着器202を迅速に移動させて
図7に示すサンプル解析位置に位置決めすることで、吸着チャンバー222を熱解析チャンバー204内に位置決めする。吸着チャンバー222はシールリング225によってピストンチャンバー232の下部に封止され、さらに熱解析チャンバー204内に封止されてもよい。このとき、熱解析チャンバー204に押し込まれた吸着剤が迅速に加熱され、吸着チャンバー222内に吸着されたサンプルが高温下で一瞬に析出し、析出したサンプルを、熱解析チャンバー204のキャリアガス入口242から導入された予熱後のキャリアガスと混合し、最後に、キャリアガスによって検出器又は分析機器(図示せず)中に持ち込まれて検出又は分析される。
【0061】
サンプルが熱解析チャンバー内で解析される期間において、ポンプ205、パイプ251、ポンプ接続エアノズル234、ピストンチャンバー232の一部(即ち熱解析チャンバー204の外にある部分)、ピストンレバー221に形成されている複数の貫通孔228、冷却通路227、及びピストンシリンダ203の冷却ガス入口235は、環境ガスに連通する通路又は空間を形成する。そのため、ポンプ205でエア抜きすることにより、熱解析チャンバー204の外に残すピストン式吸着器202の上半部(ピストンレバーを含む)に対して風冷を行うことで、熱解析チャンバーの外に位置決めされたピストン式吸着器の部分を室温に保持することができ、次回のサンプル吸着、濃化又は予濃縮に有利である。
【0062】
図8は、本発明の検出デバイスのもう1つの実施例によるサンプル前処理装置300を示している。サンプル前処理装置300は、吸気ポンプ320、吸着器330、ピストンシリンダ体340及び解析シリンダ体350を含む。解析シリンダ体350は解析チャンバー356を有し、解析シリンダ体350には、解析チャンバー356に連通する分析機器接続口352、キャリアガス入口351及びキャリアガス分流/スイーポート353が設けられ、解析シリンダ体350の外壁には、加熱膜及び温度センサ(図示せず)が設けられている。分析機器接続口は、クロマトグラフカラム、IMS、MSまたはDMS等に接続するためのものである。キャリアガス入口はキャリアガス供給装置に接続され、キャリアガスを受け取るためである。加熱膜は解析チャンバー356を加熱するためのものであり、温度センサは、解析チャンバー温度をリアルタイムに読み取り、外部温度制御回路に接続されて温度制御を実現するためである。ピストンシリンダ体340には2つのピストンチャンバー341が設けられ、ピストンチャンバー341のそれぞれには1つの吸着器330が取り付けられている。ピストンシリンダ体340は解析シリンダ体350に取り付けられ、且つ、2つのピストンチャンバー341のいずれもが解析チャンバー356に連通されている。ピストンシリンダ体340の下部は解析チャンバー356に突き込み、ピストンチャンバー341の前部は開口であり、解析チャンバー356に連通されている。ピストンシリンダ体340には、2つのピストンチャンバー341のいずれにも連通されているサンプルガス充填入口342及び吸気ポンプエアポート343が設けられ、サンプルガス充填入口342とサンプリング装置100とは蛇腹管312によって接続され、吸気ポンプエアポート343は吸気ポンプ320に接続されている。吸着器330は、互いに接続している吸着篩筒332及びピストンレバー331を含む。吸着篩筒332は、一方側の壁に微細孔が設けられている円筒であり、吸着篩筒332は吸着剤を格納するためである。吸着器330の全体的構造は往復動可能な円筒形ピストンとなっている。ピストンレバー331はピストンチャンバー341に摺動可能に取り付けられ、吸着篩筒332をピストンチャンバー341に沿って摺動して解析チャンバー356に突き込むように連動させ、かつ吸着篩筒332はサンプルガス充填入口342と吸気ポンプエアポート343に同時に連通することができる。ピストンレバー331の押し引きを容易にするために、ピストンレバーの後端に1つのピストンハンドル371が設けられている。
【0063】
使用するとき、吸着篩筒332に吸着剤を配置し、まず、吸着器330を引き上げて吸着篩筒332をサンプリング装置100及び吸気ポンプ320に連通させ、吸気ポンプ320が吸気し、サンプリング装置100がサンプルガスを吸収し、サンプルガスが吸着篩筒332を流れ、サンプルガス中のサンプルが吸着剤に吸収され、吸着剤上のサンプル量が濃化した後、吸着器330を予め加熱された解析チャンバー356に押し込んでサンプル析出を行い、析出したサンプルを解析チャンバー356の中に、キャリアガス入口351から解析チャンバー内に流入した予熱後のキャリアガスと均一に混合させてから、分析機器接続口352からGC−IMS、IMS、GC−MS、GC−DMS又はほかの分析機器に入らせ、検出を行う。本発明の2つの吸着器330は交替に使用可能であり、即ち一方が引き上げられてサンプリングするとき(次の被検サンプル)、他方が押し込まれてサンプル解析及び検出を行い(前の被検サンプル)、サンプル導入装置がフルタイムで迅速にサンプルを吸収可能にし、特に複数の被検サンプルを処理するときに優れた検出優位性を示している。吸着器はサンプルを濃縮することができ、分析機器の検出精度を向上している。
【0064】
一実施例によれば、吸着篩筒332には1つの吸着篩口372が設けられ、吸着篩口372がサンプルガス充填入口342に連通でき、サンプルガスが入るとき、吸着篩口372から吸着篩筒に迅速に入り、372のような構造を用いると、単位時間あたりの吸着面積を効果的に増大し、サンプル濃化の速度を向上させた。好ましくは、サンプルガス充填入口342と吸気ポンプエアポート343はピストンチャンバー341の軸方向に沿って設けられ、サンプルガス充填入口342と吸気ポンプエアポート343との距離は、吸着篩口372がちょうどサンプルガス充填入口342に対向して連通されるように吸着篩筒332の長さより少し小さくされている。同時に、吸着器のトップ端にある断熱パッド333を回し開けることで吸着篩筒332の吸着剤を交換することができ、吸着剤の種類が検出の必要に応じて選択可能である。
【0065】
一実施例によれば、解析シリンダ体350の外壁には、温度センサ(図示せず)と保温層354がさらに設けられている。温度センサは解析シリンダ体の温度を検出するためであり、それとともに、温度センサは一つのコントローラに接続され、コントローラによってプログラム昇温の形で解析チャンバー356の温度を制御し、パワー消耗を効果的に低減することができる。保温層351としては保温棉が用いられ、解析シリンダ体を保温してエネルギー消耗を低下させるためである。解析シリンダ体350には1つのキャリアガス分流/スイーポート353がさらに設けられ、キャリアガス分流口353は解析チャンバー356に連通され、分析機器接続口352が混合サンプルガスの全部を受けることができない場合、混合サンプルガスをキャリアガス分流/スイープ口から排出する。ピストンシリンダ体340と解析シリンダ体350との間には断熱プレート360が設けられ、解析シリンダ体350及びピストンシリンダ体340の熱伝導を効果的に遮断することができる。ピストンシリンダ体340及び解析シリンダ体350と断熱プレート360とがねじによって封止接続されている。断熱プレート360は多孔質セラミック材料から作製される。
【0066】
乾燥のサンプルガスを取得するために、蛇腹管312に乾燥材バッグ313が設けられ、混合ガスの水蒸気を除去してクロマトグラフカラム及び検出器を保護する作用を果たす。乾燥剤バッグ313は、蛇腹管312に設置されている係合溝314によって固定実装されている。サンプリング装置310は、ホーン吸気ヘッド311を有し、ホーン吸気ヘッド311にはマイクロ孔ストレーナ315が設けられている。マイクロ孔ストレーナ315を設けることで、大顆粒物質の進入による管路詰まりを防止することができる。
【0067】
一実施例によれば、ピストンチャンバー341のそれぞれに1つの冷却エアポート344が設けられ、冷却エアポート344には入口バルブ374が設けられている。ピストンレバー331には冷却チャンバー334が設けられ、冷却チャンバー334は冷却エアポート344に連通され、かつ、ピストンレバー331の側壁には冷却チャンバー334に接続されている複数の通風孔373が設けられ、少なくとも一部の通風孔373が吸気ポンプエアポートに連通可能である。吸着器330を冷却する必要がある場合、吸着器330を引き上げ、冷却チャンバー334と冷却エアポート344とを接続させ、入口バルブ374を開き、吸気ポンプの作用により、冷却気が冷却エアポート344から流入し、ピストンレバー331と吸着篩筒332を冷却する。
【0068】
一実施例によれば、吸着器330とピストンチャンバー341との間に複数のO型シールリング335が設けられている。
【0069】
一実施例によれば、解析シリンダ体350の内壁にはライナーチューブ355が設けられている。解析シリンダ体350が、ステンレス鋼から作製されてもよく、解析シリンダ体350に、化学性質が安定的なポリテトラフルオロエチレン材料から作製されたライナーチューブ355が封止して嵌められ、ライナーチューブ355が定期的に交換可能であり、サンプルガスと金属材料とが接触や反応することによる検出サンプルの歪みと検出信号の歪みを防止する一方、大顆粒物質がクロマトグラフカラムに落ちてクロマトグラフカラムを詰まるのを阻止することができる。
【0070】
好ましくは、吸着篩筒332の底部には、解析チャンバー356の熱を遮断して解析チャンバー356の熱が吸着篩筒332へ伝導するのを避けるするために、1つの断熱パッド333が設けられている。好ましくは、吸着篩筒332の底部が開放口であり、断熱パッド333と吸着篩筒332とがねじによって接続されている。吸着器330を抜き出す又はピストンシリンダ体340を捩り下ろすとともに、吸着器330底部に位置する断熱パッドを回し開けることで、吸着剤を交換することができる。ユーザは、吸着剤の種類(充填される吸着剤の直径を吸着篩筒332の網状孔径より大きくすべきである)を異なる検出目的に応じて選択することができ、計器の柔軟性を大いに向上させている。断熱パッドとしては遮熱性のよいポリテトラフルオロ材料が用いられ、断熱パッドは、吸着器330のサンプリング濃化時に吸着篩筒332と吸着剤がほぼ室温にあることを効果的に保証でき、サンプルの吸着及び濃化に有利である。
【0071】
好ましくは、本発明における吸着器330のピストンレバー331及び吸着篩筒332が一体形成され、かつ、化学性質が安定的な耐熱性材料、例えばポリテトラフルオロから作製される。ピストンシリンダ体340が、強度が高く、耐熱性がよく、化学性質が安定的なポリテトラフルオロ材料から作製されてもよい。吸着器330がピストンチャンバー341に沿って安定的に移動可能にするために、ピストンチャンバー341には、サンプリング、濃化、風冷、熱解析サンプル導入のために支持及び管路封止を提供するガイドレールが封止して設けられている。
【0072】
図8に示すように、説明上の便宜のため、2つの吸着器のうち、図中の左側にある吸着器を第1の吸着器とし、図中の右側にある吸着器を第2の吸着器とする。被検物をサンプリングする必要がある場合、まず、解析シリンダ体外壁の加熱膜を開き、温度を設定しておき、温度が安定した後、まず2つの吸着器を共に解析チャンバー内に押し込んで吸着剤浄化を行い、その後、2つの吸着器を引き上げ、そのうちの第1の吸着器を
図8に示す左側吸着器の位置まで引き上げ、第2の吸着器を吸着篩筒上部がピストンシリンダ体上部のサンプルガス充填入口より少々低い位置まで引き上げ(エア抜き通路を形成せず、同時に、吸着器の冷却及び後のサンプル吸着に有利)、サンプリング吸気ポンプの電源をオンにし、サンプリング装置のホーンサンプリングヘッドを近距離で被検物にアライメントし、吸気ポンプの作用により、被検物揮発性ガスを収集し、3〜5分間持続して、サンプルの濃化を実現し、サンプルが濃化した後、第1の吸着器に位置する吸着篩筒を全て解析チャンバーに押し込んでサンプル析出を行い、それと同時に、第2の吸着器を、サンプルガス充填入口、吸着篩筒及び吸気ポンプエアポートが連通エア通路を形成する位置まで再度引き上げて、このように循環して操作することで複数の被検物がある場合でのフルタイムで迅速なサンプリング及び濃化解析を実現している。析出された被検出サンプルは、キャリアガス入口から入ったキャリアガスと迅速で均一に混合した後、サンプル排出口に入り、サンプルの解析導入を実現し、サンプル排出口は検出デバイス又は分離デバイスに接続されている。
【0073】
図9は、本発明の検出デバイスのサンプル分析装置400の一実施例の全体的な構造模式図である。サンプル分析装置400は、概ね、サンプル導入装置部分及びイオン移動度スペクトル分析装置部分を含む。
【0074】
サンプル導入装置は、集束キャピラリーカラム401を含み、集束キャピラリーカラム401が複数のキャピラリーカラムを含む。1つの実施例において、集束キャピラリーカラム401は、複数本の独立した1本のキャピラリーカラムを平行に1つに集束することで構成されてもよい。1つの実施例において、集束キャピラリーカラム401は、1本のカラムに複数の平行するキャピラリー孔を形成することで構成されてもよい。1つの実施例において、集束キャピラリーカラム401は非金属材料から形成されている。例えば、通常の場合、キャピラリーカラムはガラス材料から形成されてもよい。キャピラリーカラムが他の材料から形成されてもよい。集束キャピラリーカラム401は、ほぼ面一の入口端及び出口端を有するように配置されている。1本の集束キャピラリーは、数百から数千の平行するキャピラリーカラムから構成され、例えば、500〜5000本の平行するキャピラリーカラムが1つの横断面が正六角形状のガラスカラム内に集束し、1本ずつのキャピラリーカラムの内径が20〜100μmであり、一般的には〜40μmである。1本ずつのキャピラリーカラムの内面には固定相を1層塗布してもよく、固定相は必要に応じて選択してもよい。集束キャピラリーカラム401の強い分離能力により、通常、サイズの短い筆形カラム(40〜250mm)とすることで分離機能が実現できる。サイズの長いカラムを円盤形となるように巻き取ることができる。混合サンプル成分は、キャピラリー固定相との相互作用により、保留時間の異なりに応じて物質の分離を実現する。キャピラリーカラムの保留時間は秒〜分間オーダーである(一般的には、数十秒〜数分間であり、最小ピーク幅が数秒である)。
【0075】
集束キャピラリーカラム401の構造は、1)数千本のキャピラリーカラムを集束して、集束キャピラリーカラム401の容量を大きくし、より高い感度を得るために用いられ、2)集束キャピラリーカラム401のキャピラリーカラムがより細くて、例えば、キャピラリーカラムは内径20〜100μmを有してもよいが、典型的なキャピラリーカラムの内径が0.25〜0.53mm間にあるため、集束キャピラリーカラム401のキャピラリーカラムがより優れた分離効果を有し、比較的に短いサイズで良好な分離を実現でき、3)筆形の集束キャピラリーカラム401(40〜250mm)の通過可能な圧力勾配が一般のキャピラリーカラム(一般的には30m)よりも小さいので、集束キャピラリーカラム401内の流速が典型的なキャピラリーカラムの流速の2〜3つオーダーであり、また、より高い流量範囲(20〜150ml/min)を有するので、集束キャピラリーカラム401は、迅速分離を許容するだけではなく、等温分離も許容する、という利点を有する。これらの利点に基づき、集束キャピラリーカラム401−イオン移動度スペクトル用接続スペクトロメータのリアルタイム分離検出に近似する能力を実現できる一方、集束キャピラリーの短いサイズにより、携帯型の集束キャピラリーカラム−イオン移動度計の実現にも寄与する。
【0076】
ガラスカラムの保護を強化して、集束キャピラリーカラム全体の強度を向上させ、不意の破砕を防止するために、サンプル導入装置は、集束キャピラリーカラム401を囲んで保護するように配置されている金属円形カバー420をさらに含む。本発明の
図9は、正六角形ガラスカラムの外周に1つの金属円形カバー420が結合される態様を示しており、つまり、筆形ガラス集束キャピラリーカラム401の横断面が正六角形である。集束キャピラリーカラム401の断面はその他の形状、例えば円形であってもよい。
【0077】
サンプル導入装置は、さらに温度制御システムを含み、温度制御システムと集束キャピラリーカラム401との組み合わせは集束キャピラリーカラム401内の温度を制御するためである。
【0078】
具体的に、サンプル導入装置の温度制御システムは、熱伝導体402を含み、熱伝導体402は、集束キャピラリーカラム401を囲む金属円形カバー420に直接接触するように配置されている。温度制御システムは、熱伝導体402内に嵌め込んだ少なくとも1つのヒータ404及び少なくとも1つのセンサ405をさらに含む。少なくとも1つのヒータ404と少なくとも1つのセンサ405の組み合わせにより、熱伝導体402への温度制御を実現することができる。ヒータとしては複数種の形式が選択可能である。例えば、熱伝導体402に複数本の加熱棒404を嵌め込んでもよく、例えば、1本又は複数本の加熱棒404、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10本以上の加熱棒404を嵌め込んでもよい。複数本の加熱棒404は、熱伝導体402の温度をより迅速で均一に昇温するように熱伝導体402に均一に分布されてもよい。
図9は、熱伝導棒が1本である態様を示している。熱伝導体402に熱糸を嵌め込んでもよく、熱糸の配置も均一な加熱に有利であり、例えば、熱伝導体402自体が昇温可能な加熱体に類似するものになることができる。
【0079】
1つの実施例において、センサ405は、センサ405によって測定される温度がよりキャピラリーカラム内の温度に近いように、金属円形カバー420近傍に設置されてもよい。複数のセンサ405は熱伝導体402の金属円形カバー420に近い周囲に均一に分布されてもよい。
【0080】
1つの実施例において、熱伝導体402は、熱伝導体402の外周にある複数の凸起430を含み、熱伝導体402の外周にある複数の凸起430間に空間403を形成する。これら空間が、
図10に示すように、トレンチ403と見なされてもよいし、流体が通過する通路403と見なされてもよい。
【0081】
それぞれの凸起430のサイズが同じであっても異なっていてもよい。個別の凸起430間の距離が同じであっても異なっていてもよい。例えば、一部の凸起430のサイズが大きく、その他の凸起430のサイズが小さい。例えば、2列の凸起430を1グループにして、それぞれのグループの凸起430間の距離は、グループ内の2つの凸起間の距離よりも大きい。凸起430の配置が均一でなくてもよい。当業者であればわかるように、凸起430の他のサイズ及び距離を含む凸起430の配置であってもよい。
【0082】
つまり、熱伝導体402は2つの部分と見なされてもよく、一部が熱伝導体402の基部であり、もう一部が熱伝導体402の凸起430である。1つの実施例において、基部の径方向厚さが小さくてもよく、凸起430の高さが大きくてもよい。熱伝導体402の複数の凸起430は、流体が430間を流動して熱伝導体402との熱交換に有利である。1つの実施例において、例えば、ガスの導入によってガスが複数の凸起430間を流れ、熱伝導体402の複数の凸起430と、導入されるガスとの熱交換を加速することができ、この場合、複数の凸起430は放熱フィンとして用いられてもよい。1つの実施例において、複数の凸起430間には管路を巻き付けてもよく、管路内を流体が流れることができ、高温流体又は低温流体により、流体の管路と熱伝導体402との間の熱交換を実現でき、これにより、熱伝導体402の温度を制御する。
【0083】
1つの実施例において、熱伝導体402の基部の厚さが薄く、複数の凸起430間に加熱膜を配置することにより、熱伝導体402の昇温を実現することができる。同時に、複数の凸起430間に熱媒流体の管路を配置することで熱伝導を介した降温を実現した。このような配置により、センサ405を組み合わせて熱伝導体402の温度を迅速に制御することができる。
【0084】
複数の凸起430の設置により、熱伝導体402が、流動する熱媒流体又は熱媒流体管路を収容して温度伝導するためのトレンチを有するとみなされてもよい。具体的に、
図12は、流体管路が複数の凸起430間に巻き付けられる態様を示している。熱媒流体管路は、複数の凸起430を蛇行して通過してもよく、又は熱媒流体管路が熱伝導体402の複数の凸起430間を螺旋的に囲んでもよく、これにより、熱媒流体管路と熱伝導体402との間で熱伝導する。なお、任意の方式で流体管路を複数の凸起430から構成される管路又はトレンチに配置することができ、凸起430は、この時に熱媒管路と熱交換するだけではなく、さらに管路を支持する作用を果たす。
【0085】
1つの実施例において、複数の凸起430が有利であり、複数の凸起430が、流体の直接放熱に用いる放熱凸起430と見なされてもよい。複数の凸起430は、流体通路の配置を限定するために用いられ、流体通路を複数の凸起間に巻き付けることにより、流体通路の位置を固定することができる。
【0086】
本発明のもう1つの実施例において、サンプル導入装置は、ハウジング406をさらに含んでもよく、ハウジング406は温度制御システムを囲んでいる。1つの実施例において、サンプル導入装置は保温層408をさらに含んでもよく、保温層408はハウジング406と熱伝導体402との間に設けられている。1つの実施例において、ハウジング406は、封止の形式で熱伝導体402の外側面を囲んでもよい。保温層408とハウジング406が熱伝導体402を囲んでいる場合、熱伝導体402の複数の凸起は、保温層408とハウジング406とを支持するために用いられる。
図9に示すように、複数の凸起と保温層408との間にはたくさんの通路が形成されている。熱媒流体の管路は、熱伝導を十分に行うために、これら通路又は上述したトレンチを貫通して熱伝導体402の外周に配置されてもよい。
【0087】
1つの実施例において、エアーポンプ418を設けてもよく、管路417を介して上記トレンチ403内に貫通し、エアーポンプ418から導入された加圧ガスが複数の凸起430間のトレンチ403に入り、熱伝導体402の冷却又は昇温を補助する。1つの実施例において、液体を複数の凸起430から形成されたトレンチに直接に流入させて熱交換を実現することができる。
【0088】
1つの実施例において、集束キャピラリーカラム401の入口端がサンプル導入装置のハウジング406の外に伸びる。金属円形カバー420の一部も集束キャピラリーカラム401につれてハウジング406の外に伸びてもよい。
【0089】
集束キャピラリーカラム401内のサンプルの流速が一般のガスクロマトグラフィーカラムよりも速いので、サンプル導入装置とイオン移動度スペクトル分析装置との接続口が特に重要である。サンプル導入装置とイオン移動度スペクトル分析装置との接続口の作用は、集束キャピラリーカラム401により迅速に分離されたサンプルを損傷なく、平穏にイオン移動度スペクトル分析装置の反応領域内に導くことである。
【0090】
1つの実施例において、サンプル分析装置400は、サンプル導入装置とイオン移動度スペクトル分析装置との間にサンプル導入装置及びイオン移動度スペクトル分析装置を接続できるように配置されているとともに、サンプル導入装置とイオン移動度スペクトル分析装置との間の熱伝導を遮断することで、サンプル導入装置及びイオン移動度スペクトル分析装置を別々に独立して温度制御するための断熱位置決め装置411をさらに含む。
【0091】
1つの実施例において、断熱位置決め装置411はサンプル導入装置の出口端に接続される第1の接続端と、イオン移動度スペクトル分析装置のサンプル導入口に接続する第2の接続端とを含む。具体的に、第1の接続端が集束キャピラリーカラム401の一方の端部に接続して封止され、第2の接続端の形状とイオン移動度分析装置のキャビテイの開口の形状とが相補である。断熱位置決め装置411の形状は
図9及び
図11の断面図に示されている。断熱位置決め装置411は階段状の形状を有し、
図11はB−B及びC−C線に沿う断面図をそれぞれ示している。1つの実施例において、断熱位置決め装置411の一部の外面にはワッシャを設けてもよい。ワッシャ413は封止作用を果たし、サンプル導入装置がイオン移動度スペクトル分析装置に挿入されるとき、断熱位置決め装置411が両者の間に接続され、反応領域414内の粒子の漏れ又は外界ガスが反応領域414へ入ることにより測定の精度が影響されるのを避けるように、良好な封止が必要である。
【0092】
断熱位置決め装置411はプラスチック材料から形成されてもよく、例えばPEEK、ポリテトラフルオロエチレンから形成されてもよい。断熱位置決め装置411はその他の耐高温又は断熱性非金属材料から形成されてもよい。例えば、耐火性材料及び石綿などの材料から形成されてもよい。断熱位置決め装置411により、非金属材料から形成された集束キャピラリーカラム401の出口端は、イオン移動度スペクトル分析装置のサンプル導入口を介してイオン移動度スペクトル分析装置のチャンバー内、すなわち、イオン移動度スペクトル分析装置の反応領域414内に直接挿入され、それとともに、金属円形カバー420がイオン移動度スペクトル分析装置のイオン領域に近寄るのを避けることにより、イオン移動度スペクトル分析装置の精度が金属円形カバー420により干渉されるのを避ける。具体的に、金属円形カバー420がイオン移動度スペクトル分析装置のサンプル導入口に進入しない。好ましくは、金属円形カバー420がイオン移動度スペクトル分析装置のサンプル導入口から遠く離れる。
【0093】
このような配置により、サンプルをイオン移動度スペクトル分析装置の反応領域414内に直接に送入することができ、従来技術においてガス物質が電離領域415内に導入されて(例えば)高エネルギー線によりイオンフラグメントに破砕される問題を避けた。同時に、ガス物質はキャピラリーカラムにより分離可能であり、分析の要求を満たし、直接に反応領域414に送入されて分析される。
【0094】
1つの実施例において、断熱位置決め装置411はサンプル導入装置と1つの全体に形成することができ、これが実際の使用時にも有利である。この場合、
図9に示すように、断熱位置決め装置411はサンプル導入装置の一方の端を封止することができ、サンプル導入装置の出口端が断熱位置決め装置411から突き出す。この時、断熱位置決め装置411を含むサンプル導入装置の出口端が
図9に示すとおり、すなわち、断熱位置決め装置411の端部により集束キャピラリーカラム401が包まれ、キャピラリーカラムの部分が断熱位置決め装置411の非金属材料により直接に包まれている。
【0095】
断熱位置決め装置411の設置により、サンプル導入装置がイオン移動度スペクトル分析装置のチャンバー、すなわち、反応領域414内に便利に直接に挿入することを実現できる。これは、ガスサンプルを迅速に分析する必要がある場合には特に重要である。サンプル導入装置は、単独に温度制御を行うことができ、予備時間内にサンプル導入装置の温度を単独に制御することができ、サンプル導入装置が所望の温度条件を有する条件下、サンプル導入装置をイオン移動度スペクトル分析装置に挿入し、断熱位置決め装置411によって接続してサンプル導入装置とイオン移動度スペクトル分析装置との間の相対位置が特定される。断熱位置決め装置411の熱絶縁性質及び剛性により、サンプル導入装置の温度がイオン移動度スペクトル分析装置の測定精度に影響を与えることなく、かつ、サンプル導入装置とイオン移動度スペクトル分析装置との間の位置関係が特定可能である。このような配置により、サンプル導入装置とイオン移動度スペクトル分析装置の接続及び分離を容易に行うことができ、これは、実際の検査過程において積極的な意味を有し、異なるサンプルの検査を大いに便利にし、かつ、搬送に便利し、検査システム全体の体積を小さくすることができる。例えば、異なるサンプルの検査を便利にして、検査の速度及び精度を向上するように、複数のサンプル導入装置を配置することができる。
【0096】
1つの実施例において、集束キャピラリーカラム401の金属円形カバー420の長さは、集束キャピラリーカラム401がイオン移動度スペクトル分析装置のチャンバー414内に挿入されるとき、金属円形カバー420がイオン移動度スペクトル分析装置の電離領域415に入らないように配置されている。金属円形カバー420の端部が断熱位置決め装置411の中で終止し、例えば、
図9に示している位置である。しかしながら、金属円形カバー420の位置は、金属円形カバー420がイオンを含む反応領域414に接近しない限り、他の態様であってもよい。例えば、金属円形カバー420が、イオン移動度スペクトル分析装置のサンプル導入口に入らず、又は離れる。
【0097】
1つの実施例において、サンプル分析装置400は、サンプル導入装置から導入されたサンプルを分析するためのイオン移動度スペクトル分析装置を含む。イオン移動度スペクトル分析装置はガス反応用のチャンバー414を含む。チャンバー414は、分析すべきサンプルを導入するためのサンプル導入口を含む。イオン移動度スペクトル分析装置はさらに電離領域415を含む。
【0098】
図9に示すように、サンプル導入装置はイオン移動度スペクトル分析装置の上側に位置し、電離領域415の位置がその下側にある。本発明の1つの実施例によれば、サンプル導入装置がイオン移動度スペクトル分析装置の電離領域415と対向して配置されることは有利である。サンプルを電離領域415に導入して電離する従来技術の技術構想とは異なり、本発明のサンプル導入装置は、分析すべきサンプルを電離領域415から避け、分析すべきサンプルを反応領域414に直接に導入するように配置されており、これで、分子イオンフラグメントの発生を避けるのに有利であり、サンプルを電離領域415に導入することによってサンプルがフラグメントに破砕するなどのような従来技術におけるその他の問題、例えば、非リニア性ガス通路による乱流などを避けることができる。すなわち、サンプルを迅速に分離しながらサンプルを平穏的にイオン移動度スペクトル分析装置に導入することを実現した。
【0099】
本発明の1つの実施例において、
図9に示す配置のように、イオン移動度スペクトル分析装置412が正422、負423デュアルモード移動管であり、反応領域414が正モード管422と負モード管423との間にあり、電離領域415と反応領域414とが分けて配置され、かつ、開閉可能な開口によって接続されている。例えば、電離領域415が反応領域414の一方側の近傍にある。
【0100】
本発明の設計構想によれば、1つの実施例において、例えば空気のキャリアガス416が電離領域415内に導入され、キャリアガスが電離領域415で電離化され、帯電キャリアガス、例えばH
+(H
2O)
n及びO
2−(H
2O)
nを生成する。帯電のキャリアガスが反応領域に送入され、ここで、帯電のキャリアガスがサンプルと結合して反応し、これにより、サンプル分子に正の電気又は負の電気を帯電させる。これは、サンプルガスとキャリアガスとを混合して一緒に電離化する従来技術と異なっている。例えば、生物大分子は、分子フラグメントに電離されるのではなく、水和プロトン又は水和酸素イオンと結合して正の電気又は負の電気を帯電する分子を形成する。正モード移動管422及び負モード移動管423はいずれもイオンドア424、移動領域、規制ゲート427及びファラデーディスク428を含んでいる。移動領域は、一連のステンレス鋼保護リング425とセラミック絶縁リング426とを直列してなってもよい。正の電気を帯電するサンプル粒子は、正モード移動管で検出され、負の電気を帯電するサンプル粒子が負モード移動管で検出される。
【0101】
具体的に、イオン移動度スペクトル分析装置のキャリアガス416は、電離領域415で電離されて反応性イオンを生成し、反応性イオンはイオン移動度スペクトル分析装置のキャリアガス416のスイープにより、電離領域415のキャリアガス入口から反応領域414に入り、反応領域414において集束キャピラリーカラム401により分離されたサンプルと合流し、電気親和性吸着反応を発生し、サンプル分子に反応性イオンを吸着させて帯電させ、正、負の帯電イオンが移動管の正、負電界の作用によりそれぞれ正、負移動管422、423に入って分離され、両端のファラデーディスク428により検出される。イオン移動度スペクトル分析装置412の幾つかの他の設計及び原理は、出願番号第200810119974.6号を参考にすることができ、この特許出願の内容はここで参考にして組み合わせた。
【0102】
以降、本発明による検出デバイスの操作過程を簡単に説明する。
検出デバイスを、空港、港、地下鉄の駅などの場所に配置し、サンプリング装置のサンプル入口を検査すべき対象に照準することができる。サンプリング装置においてシミュレーションしたサイクロン式気流が負圧を発生し、気相物質又は顆粒物質を導気チャンバー109に吸入し、半透膜111を介して、サンプルとキャリアガスが混合領域又は混合キャビテイで混合され、サンプル導入口120によって排出される。サンプルがサンプル前処理装置に入る前に、サンプル前処理装置の熱解析チャンバーの温度を適切な一定高温(例えば、80℃〜300℃)に維持し、サンプルが吸着されているピストン式吸着器を、高温を有する熱解析チャンバー内に迅速に押し込み、熱解析チャンバーに押し込まれた吸着剤が迅速に加熱され、吸着キャビテイ内に吸着されているサンプルは高温下で一瞬に析出し、析出したサンプルは、熱解析チャンバーのキャリアガス入口から導入された予熱後のキャリアガスと混合し、最後にキャリアガスによりサンプル分析装置に持ち込まれる。サンプル分析装置のキャピラリーカラム束は、サンプルを分離させ、その後、イオン移動度スペクトル分析装置に直接に送入する。
【0103】
本発明の全体的な構想による幾つかの実施例が明示及び説明されているが、当業者であれば理解できるように、本発明の全体的な構想の原則及び精神を逸脱しない限り、これら実施例を変更することができ、本発明の範囲は請求項及びそれらの同等物により限定される。