特許第6653669号(P6653669)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIGHTzの特許一覧

特許6653669情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法及びプログラム
<>
  • 特許6653669-情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法及びプログラム 図000002
  • 特許6653669-情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法及びプログラム 図000003
  • 特許6653669-情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法及びプログラム 図000004
  • 特許6653669-情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法及びプログラム 図000005
  • 特許6653669-情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法及びプログラム 図000006
  • 特許6653669-情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法及びプログラム 図000007
  • 特許6653669-情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法及びプログラム 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6653669
(24)【登録日】2020年1月30日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/953 20190101AFI20200217BHJP
   G06F 16/33 20190101ALI20200217BHJP
【FI】
   G06F16/953
   G06F16/33
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-5867(P2017-5867)
(22)【出願日】2017年1月17日
(65)【公開番号】特開2018-116396(P2018-116396A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2018年10月22日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 集会名:「次世代リーダーへのプロローグ」セミナー、開催日:平成28年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】517017975
【氏名又は名称】株式会社LIGHTz
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100169753
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 幸子
(74)【代理人】
【識別番号】100174067
【弁理士】
【氏名又は名称】湯浅 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】乙部 信吾
(72)【発明者】
【氏名】浅野 克久
(72)【発明者】
【氏名】有吉 直紀
(72)【発明者】
【氏名】國井 佳奈子
(72)【発明者】
【氏名】武善 茂知
【審査官】 甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−044525(JP,A)
【文献】 特開2016−126567(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/106642(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00−16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の言語要素と、前記言語要素間の依存関係を表す接続の有無を示す接続情報と、前記言語要素間の接続の強度を示す接続強度情報と、からなるネットワーク化された言語要素群を記憶する記憶部と、
ユーザが入力したキーワードを取得するキーワード取得部と、
前記キーワード取得部が取得した前記キーワードを前記記憶部に記憶されている前記言語要素群から探索し、前記キーワードと同じ又は類似する選択言語要素及び前記選択言語要素と接続され且つ前記接続の強度が高い接続言語要素を抽出し出力する言語要素出力部と、
前記言語要素出力部が出力した前記選択言語要素及び前記接続言語要素を用いて検索して得られた情報を出力する情報出力部と、を備え
前記言語要素出力部が出力する前記接続言語要素は、前記選択言語要素と直接的に接続される前記接続言語要素と、他の前記接続言語要素と接続されることにより前記選択言語要素と間接的に接続される前記接続言語要素と、を含む、
情報提供装置。
【請求項2】
前記記憶部に記憶する前記言語要素群は、前記複数の言語要素同士の依存関係からなるマトリクス状の情報に基づいて生成されるネットワーク化された言語要素群である、
請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記記憶部に記憶する前記言語要素群は、対象物の名称、仕様、構造、不具合事象、コストを含む種類のうち少なくとも2以上の種類に分類された前記言語要素からなる、
請求項1又は2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記記憶部に記憶する前記言語要素群は、前記情報出力部が出力する検索結果に基づいて更新される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記言語要素出力部が出力した前記選択言語要素及び前記接続言語要素を用いて検索対象データの検索を実行する検索実行部を更に備え、
前記検索対象データは、予め、当該言語要素に係る分野における重要度を含む情報により数値化したデータ評価値を付されており、
前記検索実行部は、前記検索対象データのうち、前記データ評価値の高い情報を検索し、
前記情報出力部は、前記検索実行部が検索して得た情報を出力する、
請求項1からのいずれか1項に記載の情報提供装置。
【請求項6】
複数の言語要素と、前記言語要素間の依存関係を表す接続の有無を示す接続情報と、前記言語要素間の接続の強度を示す接続強度情報と、からなるネットワーク化された言語要素群を記憶する記憶部、
ユーザが入力したキーワードを取得するキーワード取得部、
前記キーワード取得部が取得した前記キーワードを前記記憶部に記憶されている前記言語要素群から探索し、前記キーワードと同じ又は類似する選択言語要素及び前記選択言語要素と接続され且つ前記接続の強度が高い接続言語要素を抽出し出力する言語要素出力部、並びに、
前記言語要素出力部が出力した前記選択言語要素及び前記接続言語要素を送信する通信部、からなる情報端末と、
前記情報端末から受信した前記選択言語要素及び前記接続言語要素を用いて検索を実行し、検索結果を前記情報端末に送信する検索エンジンと、を備え
前記情報端末の前記言語要素出力部が出力する前記接続言語要素は、前記選択言語要素と直接的に接続される前記接続言語要素と、他の前記接続言語要素と接続されることにより前記選択言語要素と間接的に接続される前記接続言語要素と、を含む、
情報提供システム。
【請求項7】
複数の言語要素と、前記言語要素間の依存関係を表す接続の有無を示す接続情報と、前記言語要素間の接続の強度を示す接続強度情報と、からなるネットワーク化された言語要素群を記憶する記憶ステップと、
ユーザが入力したキーワードを取得するキーワード取得ステップと、
前記キーワード取得ステップで取得した前記キーワードを前記記憶ステップで記憶した前記言語要素群から探索し、前記キーワードと同じ又は類似する選択言語要素及び前記選択言語要素と接続され且つ前記接続の強度が高い接続言語要素を抽出し出力する言語要素出力ステップと、
前記言語要素出力ステップで出力した前記選択言語要素及び前記接続言語要素を用いて検索して得られた情報を出力する情報出力ステップと、を有し、
前記言語要素出力ステップで出力する前記接続言語要素は、前記選択言語要素と直接的に接続される前記接続言語要素と、他の前記接続言語要素と接続されることにより前記選択言語要素と間接的に接続される前記接続言語要素と、を含む、
情報提供方法。
【請求項8】
コンピュータを、
複数の言語要素と、前記言語要素間の依存関係を表す接続の有無を示す接続情報と、前記言語要素間の接続の強度を示す接続強度情報と、からなるネットワーク化された言語要素群を記憶する記憶部、
ユーザが入力したキーワードを取得するキーワード取得部、
前記キーワード取得部が取得した前記キーワードを前記記憶部に記憶されている前記言語要素群から探索し、前記キーワードと同じ又は類似する選択言語要素及び前記選択言語要素と接続され且つ前記接続の強度が高い接続言語要素を抽出し出力する言語要素出力部、
前記言語要素出力部が出力した前記選択言語要素及び前記接続言語要素を用いて検索して得られた情報を出力する情報出力部、
として機能させるプログラムであって、
前記言語要素出力部が出力する前記接続言語要素は、前記選択言語要素と直接的に接続される前記接続言語要素と、他の前記接続言語要素と接続されることにより前記選択言語要素と間接的に接続される前記接続言語要素と、を含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、情報提供システム、情報提供方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビジネスで使用する多くの情報はコンピュータでデータ化されサーバ等に格納されている。このような情報は、イントラネット又はインターネットを介して取得可能であるが、膨大な量の情報が存在しているために自己のビジネスに有用な情報を選択するのは困難である。
【0003】
通常の情報検索は、検索エンジンを用いて、検索キーワードを入力することにより実行するが、より重要度の高い文書を効果的に取得するためにデータ分析を実行するデータ分析システムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1に記載のデータ分析システムは、予め、所定の事案に関連するデータと、所定の事案に関連しないデータとを受け付けて、それぞれから、それぞれを構成するデータ要素を抽出し、そのデータ要素の重み値を算出して記憶する。そして、新たなデータを受け付けたときに、データ要素を抽出し、記憶されている当該データ要素の重み値を特定し、データの評価値を算出する。これにより、受け付けた新たなデータを分析する際の処理負荷を軽減することができると説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−162114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のデータ分析システムを備えた検索エンジンは、適切なキーワードを入力して検索することにより、重要度の高い文書を取得することができる。しかし、キーワードの選択は人によって異なり、特に検索に関連する分野において経験の浅い者は適切なキーワードを入れることができない。
【0007】
また、経験の浅い者は周辺知識が不足しているために、経験豊富なものであれば想到できる関連事象のキーワードまで想到することができず、十分な情報を得ることができないという問題があった。また、データの作成元である企業によって、使用する文言、言い回しが異なることがあり、検索で十分なデータを取得することができないという問題もあった。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、検索キーワードを入力する人の思考又は経験によらず適切な情報を取得することのできる情報提供装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る情報提供装置は、
複数の言語要素と、前記言語要素間の依存関係を表す接続の有無を示す接続情報と、前記言語要素間の接続の強度を示す接続強度情報と、からなるネットワーク化された言語要素群を記憶する記憶部と、
ユーザが入力したキーワードを取得するキーワード取得部と、
前記キーワード取得部が取得した前記キーワードを前記記憶部に記憶されている前記言語要素群から探索し、前記キーワードと同じ又は類似する選択言語要素及び前記選択言語要素と接続され且つ前記接続の強度が高い接続言語要素を抽出し出力する言語要素出力部と、
前記言語要素出力部が出力した前記選択言語要素及び前記接続言語要素を用いて検索して得られた情報を出力する情報出力部と、を備え
前記言語要素出力部が出力する前記接続言語要素は、前記選択言語要素と直接的に接続される前記接続言語要素と、他の前記接続言語要素と接続されることにより前記選択言語要素と間接的に接続される前記接続言語要素と、を含むことを特徴とする。
【0010】
前記記憶部に記憶する前記言語要素群は、前記複数の言語要素同士の依存関係からなるマトリクス状の情報に基づいて生成されるネットワーク化された言語要素群であってもよい。
【0011】
前記記憶部に記憶する前記言語要素群は、対象物の名称、仕様、構造、不具合事象、コストを含む種類のうち少なくとも2以上の種類に分類された前記言語要素からなるようにしてもよい。
【0012】
前記記憶部に記憶する前記言語要素群は、前記情報出力部が出力する検索結果に基づいて更新してもよい。
【0014】
前記言語要素出力部が出力した前記選択言語要素及び前記接続言語要素を用いて検索対象データの検索を実行する検索実行部を更に備え、
前記検索対象データは、予め、当該言語要素に係る分野における重要度を含む情報により数値化したデータ評価値を付されており、
前記検索実行部は、前記検索対象データのうち、前記データ評価値の高い情報を検索し、
前記情報出力部は、前記検索実行部が検索して得た情報を出力するようにしてもよい。
【0015】
また、本発明の第2の観点に係る情報提供システムは、
複数の言語要素と、前記言語要素間の依存関係を表す接続の有無を示す接続情報と、前記言語要素間の接続の強度を示す接続強度情報と、からなるネットワーク化された言語要素群を記憶する記憶部、
ユーザが入力したキーワードを取得するキーワード取得部、
前記キーワード取得部が取得した前記キーワードを前記記憶部に記憶されている前記言語要素群から探索し、前記キーワードと同じ又は類似する選択言語要素及び前記選択言語要素と接続され且つ前記接続の強度が高い接続言語要素を抽出し出力する言語要素出力部、並びに、
前記言語要素出力部が出力した前記選択言語要素及び前記接続言語要素を送信する通信部、からなる情報端末と、
前記情報端末から受信した前記選択言語要素及び前記接続言語要素を用いて検索を実行し、検索結果を前記情報端末に送信する検索エンジンと、を備え
前記情報端末の前記言語要素出力部が出力する前記接続言語要素は、前記選択言語要素と直接的に接続される前記接続言語要素と、他の前記接続言語要素と接続されることにより前記選択言語要素と間接的に接続される前記接続言語要素と、を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の第3の観点に係る情報提供方法は、
複数の言語要素と、前記言語要素間の依存関係を表す接続の有無を示す接続情報と、前記言語要素間の接続の強度を示す接続強度情報と、からなるネットワーク化された言語要素群を記憶する記憶ステップと、
ユーザが入力したキーワードを取得するキーワード取得ステップと、
前記キーワード取得ステップで取得した前記キーワードを前記記憶ステップで記憶した前記言語要素群から探索し、前記キーワードと同じ又は類似する選択言語要素及び前記選択言語要素と接続され且つ前記接続の強度が高い接続言語要素を抽出し出力する言語要素出力ステップと、
前記言語要素出力ステップで出力した前記選択言語要素及び前記接続言語要素を用いて検索して得られた情報を出力する情報出力ステップと、を有し、
前記言語要素出力ステップで出力する前記接続言語要素は、前記選択言語要素と直接的に接続される前記接続言語要素と、他の前記接続言語要素と接続されることにより前記選択言語要素と間接的に接続される前記接続言語要素と、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の第4の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
複数の言語要素と、前記言語要素間の依存関係を表す接続の有無を示す接続情報と、前記言語要素間の接続の強度を示す接続強度情報と、からなるネットワーク化された言語要素群を記憶する記憶部、
ユーザが入力したキーワードを取得するキーワード取得部、
前記キーワード取得部が取得した前記キーワードを前記記憶部に記憶されている前記言語要素群から探索し、前記キーワードと同じ又は類似する選択言語要素及び前記選択言語要素と接続され且つ前記接続の強度が高い接続言語要素を抽出し出力する言語要素出力部、
前記言語要素出力部が出力した前記選択言語要素及び前記接続言語要素を用いて検索して得られた情報を出力する情報出力部、
として機能させるプログラムであって、
前記言語要素出力部が出力する前記接続言語要素は、前記選択言語要素と直接的に接続される前記接続言語要素と、他の前記接続言語要素と接続されることにより前記選択言語要素と間接的に接続される前記接続言語要素と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、検索キーワードを入力する人の思考又は経験によらず適切な情報を取得することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る情報提供装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図2】情報提供装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】基礎情報を示す図である。
図4】言語要素群を示す図である。
図5】言語要素出力処理のフローチャートである。
図6】他の実施形態の情報提供装置の機能構成を示すブロック図である。
図7】情報提供システムの機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態)
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る情報提供装置10のハードウェア構成を示すブロック図であり、図2は、情報提供装置10の機能構成を示すブロック図である。情報提供装置10は、入力されたキーワードに基づいて、有用性の高いデータ文書を出力する情報処理装置である。
【0021】
情報提供装置10は、検索処理のプログラム及び検索処理で用いる言語要素を出力する言語要素出力処理のプログラムがインストールされたサーバ、パソコン、スマートフォン、タブレット型端末等の任意の情報処理端末から構成される。
【0022】
図1に示すように、情報提供装置10は、制御部11と、記憶部12と、入力部13と、表示部14と、通信部15と、バス16と、を備える。
【0023】
制御部11は、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、CPU(Central Processing Unit)と、を備える。ROMは、各種初期設定、ハードウェアの検査、プログラムのロード等を行うための初期プログラム等を記憶する。RAMは、CPUが実行する各種ソフトウェアプログラム、これらのソフトウェアプログラムの実行に必要なデータ等を一時的に記憶するワークエリアとして機能する。CPUは、様々な処理及び演算を実行する中央演算処理部である。
【0024】
記憶部12は、例えばハードディスクドライブ又はフラッシュメモリ等のような不揮発性メモリを備える。記憶部12は、検索に使用する言語要素群121のデータ、検索対象データ122、並びに、検索処理のプログラム、検索処理で用いる言語要素を出力する言語要素出力処理のプログラム、及び、言語要素群121を生成する言語要素群生成処理のプログラム等の各種プログラムを記憶する。言語要素群121は、複数の言語要素と、言語要素間の接続の有無を示す接続情報と、言語要素間の接続の強度を示す接続強度情報と、からなるネットワーク化されたデータである。
【0025】
入力部13は、画面上の位置を指定するポインティングデバイス、及び、文字及び数字を入力する文字入力デバイスからなり、入力部13に対するユーザの操作に基づく操作信号を制御部11に出力する。入力部13はタッチパネルで構成し、タッチ操作により、画面上の位置を指定し、文字及び数字を入力するようにしてもよい。
【0026】
表示部14は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスを備える。表示部14は、制御部11から画像信号等を取得して表示デバイスの画面に画像を出力する。
【0027】
通信部15は、任意の通信方式で外部機器とデータ信号を送受信する。通信方式は、有線でも無線でもよい。通信部15は、イントラネット又はインターネット等の任意のネットワーク上の情報端末とデータの送受信を行う。
【0028】
バス16は、制御部11と、記憶部12と、入力部13と、表示部14と、通信部15と、を互いに接続する。
【0029】
情報提供装置10の制御部11は、記憶部12に記憶している検索処理のプログラム、言語要素出力処理のプログラム、及び、言語要素群生成処理のプログラムを実行することにより、図2に示すように、言語要素群生成部111、キーワード取得部112、言語要素出力部113、検索実行部114、情報出力部115として機能する。
【0030】
言語要素群生成部111は、入力部13より、複数の言語要素同士の依存関係からなるマトリクス状の基礎情報を取得する。そして、取得したマトリクス状の基礎情報に基づいて、ネットワーク化された言語要素群121のデータを生成する。
【0031】
入力部13から入力されるマトリクス状の基礎情報は、図3に示すように、縦横の項目欄に記載された対象物の名称、仕様、構造、不具合事象、コスト等の種類に分類された言語要素が互いに依存関係があるか否かを示した情報である。この基礎情報は、例えば、企業において、基礎情報に係る業務の主担当者、又は、基礎情報に係る事業分野に一定の年数以上属する者等、経験や知識を十分に備えた者が入力して作成したものである。
【0032】
図3に示す基礎情報は、縦と横の項目欄に互いに同じ項目が羅列されており、縦の項目と横の項目が依存関係にあるマスに、依存関係が存在することを示す黒丸が入力されている。例えば、基礎情報に係る業務の主担当者が、業務において、仕様(製品)に関する項目「樹脂材料」が不具合事象「ヒケ」「変形」に依存した経験を有している場合に、横の項目「樹脂材料」と、縦の項目「ヒケ」「変形」とが交差するマスに黒丸を入力する。これにより樹脂材料を使用していることに起因して「ヒケ」「変形」という不具合が生じることが基礎情報に含まれることとなる。
【0033】
言語要素群生成部111は、このようなマトリクス状の基礎情報に基づいて、ネットワーク化された言語要素群121のデータを生成する。言語要素群121のデータ生成方法は、従来の任意の方法でよい。例えば、デザイン・ストラクチャー・マトリクス(DSM)法と呼ばれる方法を用いてもよい。
【0034】
図4は、図3に示した基礎情報に基づいてDSM法を用いて生成した、言語要素群121を示したものである。対象物の名称、仕様、構造、不具合事象、コスト等の種類に分類された言語要素を円の中に記載している。円の直径は他の項目に与える影響の大きさ等重要度を示しており、直径が大きい円は重要度が高いことを表している。
【0035】
また、円と円とを接続している直線は、それらの円の項目同士が依存関係にあることを示しており、直線の横に記載した数字は接続の強度、つまり依存性の高さを示している。また、図4は、円を黒色で描いているが、円を他の色で示してもよく、例えば、対象物の名称、仕様、構造、不具合事象、コスト等の種類毎に色を変えてもよい。
【0036】
言語要素群生成部111により生成された言語要素群121のデータは、記憶部12に記憶される。
【0037】
言語要素出力部113は、キーワード取得部112が取得したキーワードについて記憶部12に記憶されている言語要素群121を探索し、キーワードと同じ又は類似する選択言語要素を抽出する。そして、抽出した選択言語要素と接続され且つ接続の強度が高い接続言語要素を抽出する。更に、抽出した接続言語要素と接続され且つ接続の強度が高い接続言語要素を抽出する。
【0038】
このようにして、言語要素出力部113は、言語要素群121からキーワードと同じ又は類似する選択言語要素と直接的又は間接的に接続された接続言語要素を、予め定めた数を超えない範囲内で抽出し出力する。
【0039】
検索実行部114は、言語要素出力部113が出力した、選択言語要素及び接続言語要素を複数の検索ワードとして、検索対象データ122を検索する。検索対象データ122は、検索対象の文書の保存場所とその文書のテキストデータの少なくとも一部とを互いに対応付けた情報データである。検索実行部114は、複数の検索ワードのうち少なくとも1ワードを含むテキストデータを検索結果として出力する。
【0040】
検索実行部114は、従来の任意の検索方法で検索を実行する。例えば、特許文献1に記載のデータ分析機能を備えた検索エンジンを用いて検索を実行してもよい。特許文献1に記載のデータ分析機能により、選択言語要素又は接続言語要素に係る分野における重要度を含む情報により数値化したデータの評価値を用いて、よりデータの評価値の高いと判断された文書の中で検索を実行する。そして、検索ワードを含み、且つ、よりデータの評価値の高い文書の情報を出力するようにしてもよい。これにより処理負荷を上げずに、重要度の高い文書を検出することが可能となる。
【0041】
また、検索実行部114は、過去の情報取得履歴等を学習することにより、評価値の高い文書を出力する人工知能(AI;Artificial Intelligence)を備えたものであってもよい。
【0042】
情報出力部115は、検索実行部114で実行した検索の結果を、表示部14に表示する形態に変換して出力する。
【0043】
以上のように構成された情報提供装置10の動作について詳細に説明する。ここでは、金型メーカーが樹脂材料を成形するための金型についての見積りを行う際に見積りに必要となる情報を取得するための情報提供装置10の動作を例に挙げて説明する。
【0044】
まず、図3に示すようなマトリクス状の基礎情報を入力部13に入力する。入力者は、例えば、金型メーカーにおいて金型設計に係る業務の主担当者、又は、金型設計に係る事業分野に一定の年数以上属する者等、金型設計の経験や知識を十分に備えた者、あるいは、それらの者から知得した者である。基礎情報は、図3に示すように、縦横の項目欄に記載された対象物の名称、仕様、構造、不具合事象、コスト等の複数の種類に分類された言語要素が互いに依存関係があるか否かを示した情報である。
【0045】
入力者は、縦と横の項目欄に互いに同じ項目が羅列された表に対して、縦の項目と横の項目が依存関係にあるマスに、依存関係が存在することを示す入力をすることにより基礎情報を作成する。経験や知識を十分に備えた多くの者、あるいは、それらの者から知得した者が多くの基礎情報を作成することで、基礎情報のうち、重要度や依存関係の強さを示す情報の信頼性を高めることができる。多くの者が特定の項目について入力を行うことで、当該項目の重要度が高いと判断することができる。また、特定の項目間について同じように依存関係があることを示す入力をした場合はこの特定の項目間の接続強度が高いと判断することができる。
【0046】
このように入力部13から基礎情報が入力されると、言語要素群生成部111は、基礎情報に基づいてネットワーク化された言語要素群121のデータを生成する。生成した言語要素群121は、図4に示すように対象物の名称、仕様、構造、不具合事象、コスト等の種類に分類された言語要素を円の中に示したものである。
【0047】
円の直径は他の項目に与える影響の大きさ等重要度を示しており、直径が大きい円は重要度が高いことを示している。つまり基礎情報の特定の項目への入力が多かった場合はその項目の重要度が高いとして直径の大きい円でその項目が表される。
【0048】
また、円と円とを接続した直線は、それらの円の項目同士が依存関係にあることを示しており、直線の横に記載した数字は依存性の高さを示す接続強度情報である。特定の項目間について依存関係があることを示す入力が多かった場合はこの特定の項目間の依存性が高いとして直線の横に記載した数字が大きくなる。また、図4は、円を黒で描いているが、円を他の色で示してもよく、例えば、対象物の名称、仕様、構造、不具合事象、コスト等の種類毎に色を変えてもよい。
【0049】
言語要素群生成部111により生成された言語要素群121のデータは、基礎情報が入力される度に記憶部12に蓄積される。
【0050】
言語要素群121が記憶部12に蓄積されている状態において、制御部11の言語要素出力部113は言語要素出力処理を実行する。図5は、言語要素出力処理のフローチャートである。以下、言語要素出力部113が実行する言語要素出力処理について、図5のフローチャートに沿って説明する。
【0051】
まず、言語要素群121が記憶部12に蓄積されている状態において、入力部13にユーザが取得したい情報に係るキーワードを入力すると、キーワード取得部112は入力部13よりキーワードを取得し(ステップS11)、言語要素出力部113に出力する。ここでは、樹脂材料を成形するための金型の見積りに係る情報を取得したいため、例えば「樹脂材料」をキーワードとして入力部13に入力される。
【0052】
言語要素出力部113は、キーワード取得部112より入力されたキーワードと同じ又は類似する言語要素を言語要素群121から抽出する(ステップS12)。抽出した言語要素を選択言語要素とする。ここでは「樹脂材料」が選択言語要素となる。
【0053】
次に選択言語要素と接続され、接続強度が最大の言語要素を抽出する(ステップS13)。抽出した言語要素を接続言語要素とする。そして、抽出した接続言語要素に接続し、接続強度が最大の接続言語要素を抽出する(ステップS14)。その後、抽出した接続言語要素数が予め定めた数に満たない場合は(ステップS15;No)、ステップS14に戻って、接続言語要素に接続し、接続強度が最大の他の接続言語要素を抽出する。ここでは「樹脂材料」に接続され接続強度が最大の「サイクルタイム」が接続強度要素として抽出される。更に「サイクルタイム」に接続され接続強度が最大の「バランス」が接続言語要素として抽出される。
【0054】
ステップS15で、抽出した接続言語要素数が予め定めた数以上となったとき(ステップS15;Yes)、言語要素出力部113はステップS12〜15の処理により抽出した選択言語要素と接続言語要素を出力する(ステップS16)。ここでは「樹脂材料」「サイクルタイム」「バランス」を含む予め定めた個数の言語要素が出力される。
【0055】
以上のような言語要素出力処理により言語要素出力部113が出力した選択言語要素と接続言語要素を検索ワードとして用いて、検索実行部114は検索対象データ122を検索する。検索対象データ122は、検索対象の文書の保存場所とその文書のテキストデータの少なくとも一部とを互いに対応付けた情報データである。検索実行部114は、複数の検索ワードのうち少なくとも1ワードを含むテキストデータを検索し、検索結果を出力する。
【0056】
その後、情報出力部115が、検索実行部114で実行した検索の結果を、表示部14に表示する形態に変換して出力する。表示部14は、情報出力部115の出力に基づいて検索の結果を表示する。ユーザは表示部14に表示された検索結果に示された情報をインターネット又はイントラネットを経由して取得する。この情報提供装置10を用いて取得した情報は、過去の実績が反映された言語要素群121から選択した検索ワードを用いて検索を実行しているため、キーワードを入力する人の思考又は経験によらず、過去の実績から有用と判断される適切な情報と言える。
【0057】
以上説明したように、本実施形態においては、マトリクス状の基礎情報に基づいて言語要素群生成部111がネットワーク化された言語要素群121のデータを生成し、キーワード取得部112が入力部13より取得したキーワードと同じ又は類似する選択言語要素と、選択言語要素と接続された接続言語要素とを、言語要素出力部113が言語要素群121から抽出し出力する。言語要素出力部113が抽出した選択言語要素と接続言語要素を検索ワードとして検索実行部114が検索対象データ122を検索し、情報出力部115が検索結果を出力し、ユーザは検索結果を用いて情報を取得することとした。これにより、ユーザはキーワードを入力するのみで過去の実績から有用と判断される適切な情報を取得することができる。
【0058】
このように本発明は、複数の言語要素と、言語要素間の接続の有無を示す接続情報と、接続の強度を示す接続強度情報と、からなるネットワーク化された言語要素群を記憶部に記憶しておき、ユーザが入力したキーワードを取得したとき、取得したキーワードを記憶部に記憶されている言語要素群から探索し、キーワードと同じ又は類似する選択言語要素及び選択言語要素と接続され且つ接続の強度が高い接続言語要素を抽出して出力し、出力した言語要素を用いて検索を実行した結果得られた情報を出力することとした。これにより、検索キーワードを入力する人の思考又は経験によらず適切な情報を取得することができる。
【0059】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更は勿論可能である。
【0060】
例えば、上記実施形態において、言語要素群生成部111は、入力部13より取得したマトリクス状の基礎情報に基づいて、ネットワーク化された言語要素群121のデータを生成するとしたが、図6に示すように、入力部13からの情報に加えて、情報出力部115から出力される過去の検索結果、又は検索結果からユーザが選択した情報に基づいて言語要素群121のデータを更新するようにしてもよい。また、マトリクス状の基礎情報は、通信部15及び任意のネットワークを介して取得するようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態において、情報提供装置10は、内部に備えた検索実行部114が言語要素群から抽出した言語要素を検索ワードとして検索を実行するとしたが、検索実行部114が実行する検索処理を外部接続した検索エンジンが実行するようにしてもよい。この場合、図7に示すように情報提供装置20の検索要求出力部116が、言語要素出力部113が出力する選択言語要素と接続言語要素を検索ワードとする検索要求を、通信部15を介して出力する。
【0062】
情報提供装置20の通信部15はインターネット又はイントラネット等任意のネットワーク30に接続されており、同じネットワーク30に検索エンジン40が接続されている。検索エンジン40は、従来の任意の検索機能を有したものでよく、特許文献1に記載のデータ分析機能を備えてもよい。また、検索エンジン40は、過去の情報取得履歴等を学習することにより、評価値の高い文書のデータを出力する人工知能(AI;Artificial Intelligence)を備えたものであってもよい。
【0063】
検索エンジン40は、情報提供装置20の通信部15から送信された検索要求を受信し、検索要求に含まれる検索ワードを用いて検索対象データを検索し、検索結果を情報提供装置20に送信する。そして、情報提供装置20の通信部15で受信した検索結果を情報出力部115が、表示部14に表示する形態に変換して出力する。表示部14は情報出力部115の出力に基づいて検索の結果を表示する。ユーザは表示部14に表示される検索結果に示された情報を、ネットワーク30を経由して取得する。
【0064】
このように外部接続された検索エンジン40を用いる場合も、検索エンジン40が過去に実行し情報出力部115から出力される検索結果、又は検索結果からユーザが選択した情報に基づいて言語要素群121のデータを更新するようにしてもよい。
【0065】
また、上記実施形態において、言語要素出力部113が、選択言語要素と接続され且つ接続強度が最大の言語要素を接続言語要素として抽出するとしたが、接続強度が最大のものに限られず、接続強度が予め定めた値以上の言語要素を抽出してもよい。また、ステップS15で抽出した接続言語要素数が一定値未満であっても、接続強度が予め定めた値以上の言語要素がない場合は、抽出を終了してもよい。
【0066】
また、上記実施形態において、制御部11が実行した処理のプログラムを、既存のコンピュータ等の情報端末で実行させることにより、当該情報端末を本発明に係る情報提供装置10として機能させることも可能である。
【0067】
このようなプログラムの配布方法は任意であり、例えば、CD−ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、メモリカード等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布してもよいし、インターネット等の通信ネットワークを介して配布してもよい。
【符号の説明】
【0068】
10、20…情報提供装置
11…制御部
12…記憶部
13…入力部
14…表示部
15…通信部
30…ネットワーク
40…検索エンジン
111…言語要素群生成部
112…キーワード取得部
113…言語要素出力部
114…検索実行部
115…情報出力部
116…検索要求出力部
121…言語要素群
122…検索対象データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7