特許第6653691号(P6653691)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ KDDI株式会社の特許一覧

特許6653691学習装置、学習システム、判定装置及び判定方法
<>
  • 特許6653691-学習装置、学習システム、判定装置及び判定方法 図000002
  • 特許6653691-学習装置、学習システム、判定装置及び判定方法 図000003
  • 特許6653691-学習装置、学習システム、判定装置及び判定方法 図000004
  • 特許6653691-学習装置、学習システム、判定装置及び判定方法 図000005
  • 特許6653691-学習装置、学習システム、判定装置及び判定方法 図000006
  • 特許6653691-学習装置、学習システム、判定装置及び判定方法 図000007
  • 特許6653691-学習装置、学習システム、判定装置及び判定方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6653691
(24)【登録日】2020年1月30日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】学習装置、学習システム、判定装置及び判定方法
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20200217BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20200217BHJP
   G08C 15/00 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   H04Q9/00 311Q
   H04Q9/00 301A
   H02J13/00 301C
   G08C15/00 D
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-185046(P2017-185046)
(22)【出願日】2017年9月26日
(65)【公開番号】特開2019-62375(P2019-62375A)
(43)【公開日】2019年4月18日
【審査請求日】2019年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】高橋 知彦
【審査官】 石田 紀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−140031(JP,A)
【文献】 特開2014−183430(JP,A)
【文献】 特開2014−199621(JP,A)
【文献】 特開2014−132732(JP,A)
【文献】 特開2008−283298(JP,A)
【文献】 特開2002−186068(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0164875(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 13/00−25/04
H02J 13/00
H03J 9/00− 9/06
H04Q 9/00− 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作対象装置のいずれかへの電源を投入又は遮断するための制御情報を送信する送信部と、
前記制御情報の送信時を含む所定時間における前記複数の操作対象装置に供給する電力の合計量を含む電力供給量の測定データを取得する電力取得部と、
前記操作対象装置への電源の投入又は遮断を検出するための検出センサからの検出信号に基づいて、前記操作対象装置への電源が投入又は遮断されたか否かを判定する判定部と、
前記電力取得部が取得した前記電力供給量の測定データと、前記判定部の判定結果とを対応付ける学習部と、
を備える学習装置。
【請求項2】
前記学習部は、前記電力取得部が取得した前記電力供給量の測定データと、前記判定部の判定結果とを対応付けて学習することにより、前記電力取得部が取得した前記電力供給量の測定データを入力とし、前記操作対象装置への電源の投入又は遮断がなされたか否かを出力とする学習モデルを生成する、
請求項1に記載の学習装置。
【請求項3】
前記学習部は、前記電力取得部が取得した前記電力供給量の測定データに季節又は屋外の温度を更に対応付ける、
請求項1又は2に記載の学習装置。
【請求項4】
複数の操作対象装置のいずれかへの電源を投入又は遮断するための遠隔操作命令を出力する操作装置と、前記操作対象装置への電源の投入又は遮断を検出するための検出センサと、電力測定装置と、学習装置とを備える学習システムであって、
前記学習装置は、
前記遠隔操作命令を受信し、前記遠隔操作命令に対応する制御情報を操作対象装置へ送信する通信部と、
前記制御情報の送信時を含む所定時間における前記複数の操作対象装置に供給する電力の合計量を含む電力供給量の測定データを取得する電力取得部と、
前記検出センサからの検出信号に基づいて、前記操作対象装置への電源が投入又は遮断されたか否かを判定する判定部と、
前記電力取得部が取得した前記電力供給量の測定データと、前記判定部の判定結果とを対応付ける学習部と、
を備え、
前記電力測定装置は、
前記電力供給量の測定データを測定する電力測定部と、
前記電力測定部が測定した電力供給量の測定データを前記学習装置に通知する通知部と、
を備え、
前記電力取得部は、前記通知部が通知した電力供給量の測定データを取得する、
学習システム。
【請求項5】
前記検出センサは、マイクロホン又は照度センサである、請求項4に記載の学習システム。
【請求項6】
複数の操作対象装置のいずれかへの電源を投入又は遮断するための制御情報を送信する送信部と、
前記制御情報の送信時を含む所定時間における前記複数の操作対象装置に供給する電力の合計量を含む電力供給量の測定データを取得する電力取得部と、
前記操作対象装置への電源の投入又は遮断を検出するための検出センサからの検出信号に基づいて、前記操作対象装置への電源が投入又は遮断されたか否かを判定する判定部と、
前記電力取得部が取得した前記電力供給量の測定データと、前記判定部の判定結果とを対応付ける学習部と、
前記判定部は、前記電力取得部が取得した電力供給量の測定データと、前記操作対象装置への電源が投入又は遮断されたと前記判定部が判定した判定結果に対応付けられた過去の電力供給量の測定データとの比較結果に基づいて、前記操作対象装置への電源の投入又は遮断がなされたか否かを判定する、
判定装置。
【請求項7】
請求項2に記載の学習装置により生成された学習モデルを用いて、複数の操作対象装置のいずれかへの電源の投入又は遮断がなされたか否かを判定する判定装置であって、
前記複数の操作対象装置に供給する電力の合計量を含む電力供給量の測定データを取得する電力取得部と、
前記測定データを前記学習モデルに入力することにより、前記操作対象装置への電源の投入又は遮断がなされたか否かを判定する判定部と、
を有する判定装置。
【請求項8】
複数の操作対象装置のいずれかへの電源を投入又は遮断するための制御情報を送信するステップと、
前記制御情報の送信時を含む所定時間における前記複数の操作対象装置に供給する電力の合計量を含む電力供給量の測定データを取得するステップと、
前記操作対象装置への電源の投入又は遮断を検出するための検出センサからの検出信号に基づいて、前記操作対象装置への電源が投入又は遮断されたか否かを判定するステップと、
取得した前記電力供給量の測定データと、前記判定するステップにおける判定結果とを対応付けるステップと、
前記判定するステップでは、取得した電力供給量の測定データと、前記操作対象装置への電源が投入又は遮断されたと判定した前記判定するステップにおける判定結果に対応付けられた過去の電力供給量の測定データとの比較結果に基づいて、前記操作対象装置への電源の投入又は遮断がなされたか否かを判定する、
判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作対象装置への電源の投入又は遮断がなされたか否かを判定するための学習装置、学習システム、判定装置及び判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン等の操作装置を用いて、家電製品等の操作対象装置を屋外から遠隔操作する技術が開発されている。ユーザは、操作対象装置を屋外から遠隔操作する場合、操作対象装置がユーザの指示どおりに作動しているか否かを把握することができないという問題がある。そこで、例えば、特許文献1には、操作対象装置がリモコン制御を受けた際の電源ラインの電流値の変化を検出することにより、操作対象装置のリモコン制御状況をユーザに通知することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−118885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された方法では、操作対象装置の電源ラインごとに電流値の変化を検出している。しかしながら、特許文献1に記載された方法では、操作対象装置ごとに電流値の測定装置が必要になるため、設置が煩雑になるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、操作対象装置が作動しているか否かの検出を簡略化することができる学習装置、学習システム、判定装置及び判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の学習装置は、複数の操作対象装置のいずれかへの電源を投入又は遮断するための制御情報を送信する送信部と、前記制御情報の送信時を含む所定時間における前記複数の操作対象装置に供給する電力の合計量を含む電力供給量の測定データを取得する電力取得部と、前記操作対象装置への電源の投入又は遮断を検出するための検出センサからの検出信号に基づいて、前記操作対象装置への電源が投入又は遮断されたか否かを判定する判定部と、前記電力取得部が取得した前記電力供給量の測定データと、前記判定部の判定結果とを対応付ける学習部と、を備える。
【0007】
前記学習部は、前記電力取得部が取得した前記電力供給量の測定データと、前記判定部の判定結果とを対応付けて学習することにより、前記電力取得部が取得した前記電力供給量の測定データを入力とし、前記操作対象装置への電源の投入又は遮断がなされたか否かを出力とする学習モデルを生成してもよい。前記学習部は、前記電力取得部が取得した前記電力供給量の測定データに季節又は屋外の温度を更に対応付けてもよい。
【0008】
本発明の第2の態様の学習システムは、複数の操作対象装置のいずれかへの電源を投入又は遮断するための遠隔操作命令を出力する操作装置と、前記操作対象装置への電源の投入又は遮断を検出するための検出センサと、電力測定装置と、学習装置とを備える学習システムであって、前記学習装置は、前記遠隔操作命令を受信し、前記遠隔操作命令に対応する制御情報を操作対象装置へ送信する通信部と、前記制御情報の送信時を含む所定時間における前記複数の操作対象装置に供給する電力の合計量を含む電力供給量の測定データを取得する電力取得部と、前記検出センサからの検出信号に基づいて、前記操作対象装置への電源が投入又は遮断されたか否かを判定する判定部と、前記電力取得部が取得した前記電力供給量の測定データと、前記判定部の判定結果とを対応付ける学習部と、を備え、前記電力測定装置は、前記電力供給量の測定データを測定する電力測定部と、前記電力測定部が測定した電力供給量の測定データを前記学習装置に通知する通知部と、を備え、前記電力取得部は、前記通知部が通知した電力供給量の測定データを取得する。前記検出センサは、マイクロホン又は照度センサであってもよい。
【0009】
本発明の第3の態様の判定装置は、複数の操作対象装置のいずれかへの電源を投入又は遮断するための制御情報を送信する送信部と、前記制御情報の送信時を含む所定時間における前記複数の操作対象装置に供給する電力の合計量を含む電力供給量の測定データを取得する電力取得部と、前記操作対象装置への電源の投入又は遮断を検出するための検出センサからの検出信号に基づいて、前記操作対象装置への電源が投入又は遮断されたか否かを判定する判定部と、前記電力取得部が取得した前記電力供給量の測定データと、前記判定部の判定結果とを対応付ける学習部と、前記判定部は、前記電力取得部が取得した電力供給量の測定データと、前記操作対象装置への電源が投入又は遮断されたと前記判定部が判定した判定結果に対応付けられた過去の電力供給量の測定データとの比較結果に基づいて、前記操作対象装置への電源の投入又は遮断がなされたか否かを判定する。
【0010】
本発明の第4の態様の判定装置は、前記学習装置により生成された学習モデルを用いて、複数の操作対象装置のいずれかへの電源の投入又は遮断がなされたか否かを判定する判定装置であって、前記複数の操作対象装置に供給する電力の合計量を含む電力供給量の測定データを取得する電力取得部と、前記測定データを前記学習モデルに入力することにより、前記操作対象装置への電源の投入又は遮断がなされたか否かを判定する判定部と、を有する。
【0011】
本発明の第5の態様の判定方法は、複数の操作対象装置のいずれかへの電源を投入又は遮断するための制御情報を送信するステップと、前記制御情報の送信時を含む所定時間における前記複数の操作対象装置に供給する電力の合計量を含む電力供給量の測定データを取得するステップと、前記操作対象装置への電源の投入又は遮断を検出するための検出センサからの検出信号に基づいて、前記操作対象装置への電源が投入又は遮断されたか否かを判定するステップと、取得した前記電力供給量の測定データと、前記判定するステップにおける判定結果とを対応付けるステップと、前記判定するステップでは、取得した電力供給量の測定データと、前記操作対象装置への電源が投入又は遮断されたと判定した前記判定するステップにおける判定結果に対応付けられた過去の電力供給量の測定データとの比較結果に基づいて、前記操作対象装置への電源の投入又は遮断がなされたか否かを判定する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作対象装置が作動しているか否かの検出を簡略化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る管理システムの概要について説明するための図である。
図2】操作装置の動作の例について説明する。
図3】電力測定装置の構成を示す図である。
図4】制御装置の構成を示す図である。
図5】学習部による学習の結果の運用段階における動作を示すフローチャートである。
図6】学習部による学習モデルの生成について説明するための図である。
図7】制御装置の学習後の運用段階における動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[管理システムSの概要]
図1は、本発明の実施形態に係る管理システムSの概要について説明するための図である。管理システムSは、ユーザの遠隔操作命令により操作対象装置400a及び400bを操作するためのシステムである。管理システムSは、操作装置100、制御装置200、マルチリモコン300、操作対象装置400a、操作対象装置400b、電力測定装置500、検出センサ600を備える。図1の例では、マルチリモコン300、操作対象装置400a、操作対象装置400b、電力測定装置500及び検出センサ600は、屋内Nに設置されている。
【0015】
操作装置100は、操作対象装置400a及び400bを操作するための装置である。操作装置100は、例えば、スマートフォンである。操作装置100は、LTE又はWi−Fi(登録商標)等の無線通信回線を介して、制御装置200に接続されている。操作装置100は、操作対象装置400a又は400bを操作するための遠隔操作命令を制御装置200に送信する。例えば、操作装置100は、操作対象装置400a及び400bを操作するためのアプリを起動することにより、操作対象装置400a及び400bを操作するためのユーザの操作入力を受け付ける。操作装置100は、受け付けた操作入力に応じて、操作する操作対象装置を指定する装置指定情報と、操作内容を指示する遠隔操作命令とを制御装置200に送信する。
【0016】
図2を参照して、操作装置100の動作の例について説明する。図2は、操作対象装置400a及び400bを操作するためのアプリ画面を示す。図2(a)は、操作装置100により操作する操作対象装置を指定する画面を示し、図2(b)は、操作内容を指示するための画面を示す。
【0017】
図2(a)に示す画面では、操作装置100は、操作する操作対象装置を指定する操作を受け付ける。左側のアイコンは、操作装置100により操作する操作対象装置として操作対象装置400aを指定するためのアイコンであり、右側のアイコンは、操作装置100により操作する操作対象装置として操作対象装置400bを指定するためのアイコンである。
【0018】
操作装置100は、図2(a)に示す画面において左側のアイコンを選択する操作を受け付けたときに図2(b)に示す画面を表示する。図2(b)は、操作対象装置400aの各種の機能に対応するアイコンが表示されている。例えば、操作装置100は、「ON」アイコンを選択する操作を受け付けた場合に、操作内容として電源投入操作を指示する遠隔操作命令を生成する。このとき、操作装置100は、生成した遠隔操作命令と、操作対象装置として操作対象装置400aを指定する装置指定情報とを制御装置200に送信する。
【0019】
本実施の形態の例では、操作装置100は、屋内N以外の場所から遠隔操作命令を送信するが、操作装置100は、操作対象装置400a及び400bと同じ屋内Nから遠隔操作命令を送信してもよい。操作装置100は、操作対象装置400a及び400bと同じ屋内Nから遠隔操作命令を送信する場合、音声アシスタント機能及び無線通信機能を有する屋内設置用のスマートスピーカであってもよい。
【0020】
操作対象装置400a及び400bは、マルチリモコン300が出力する信号により制御可能な装置である。例えば、操作対象装置400a及び400bは、マルチリモコン300が赤外線式である場合には、赤外線信号により制御可能な装置である。図1の例では、操作対象装置400aはエアコンであり、操作対象装置400bはテレビである。
【0021】
制御装置200は、操作装置100が受け付けた操作に基づいて、操作対象装置400a及び400bの動作を制御する装置である。制御装置200は、電源投入又は遮断が確認された所定時間内の電力供給量の測定データを対象装置の電源投入又は遮断として学習する学習段階と、この学習の結果を用いて、操作対象装置400a又は400bへの電源の投入が行われたか否かを判定する判定段階とを実行する。本実施の形態の例では、測定データは、電力供給量の変化量である。制御装置200は、学習段階では学習装置として機能し、学習後の運用段階では、判定段階を実行する判定装置として機能する。
【0022】
制御装置200は、操作装置100、マルチリモコン300、電力測定装置500及び検出センサ600と通信する。制御装置200は、操作装置100から遠隔操作命令を受信する。また、制御装置200は、操作対象装置400a又は400bを操作するための制御情報をマルチリモコン300に送信する。
【0023】
制御装置200は、操作装置100から受信した装置指定情報により指定された操作対象装置と、操作装置100から受信した遠隔操作命令により指示された操作内容とをマルチリモコン300に指示する制御情報を生成し、生成した制御情報をマルチリモコン300へ送信する。制御装置200は、生成した制御情報をマルチリモコン300へ送信する所定期間前に、操作対象装置400a又は400bを操作することを電力測定装置500に通知する。所定期間は、スタンバイ状態になっている電力測定装置500の起動に要する時間であり、例えば、数秒である。
【0024】
電力測定装置500は、屋内Nへ供給される電力供給量を監視しており、複数の操作対象装置400a及び400bへ供給される電力の合計量を含む電力供給量を測定する。電力供給量は、例えば、ワット数で示される。また、操作対象装置400a及び400bを流れる電流の大きさにより電力供給量を求めてもよい。
【0025】
マルチリモコン300は、操作対象装置400a又は400bを操作するための信号をそれぞれ操作対象装置400a又は400bへ出力する。マルチリモコン300は、例えば、赤外線式のリモートコントローラである。マルチリモコン300は、操作対象装置400a及び400bを操作するための信号パターンの信号を出力する。信号パターンは、例えば、点灯時間及び消灯時間の組み合わせからなる赤外線の点滅パターンである。なお、屋内Nに複数のマルチリモコン300が設置されていてもよい。
【0026】
マルチリモコン300は、操作対象装置400a及び400bを操作するための各種の信号パターンを記憶している。マルチリモコン300は、制御情報を制御装置200から受信する。マルチリモコン300は、受信した制御情報により指定された操作対象装置を操作するための信号パターンのうち、受信した制御情報により指示された操作内容に対応する信号パターンを読み出し、読み出した信号パターンの信号を操作対象装置400a及び400bに出力する。例えば、マルチリモコン300は、受信した制御情報が操作対象装置400aを指定し、且つ電源投入操作を指示するものである場合には、操作対象装置400aを操作するための信号パターンのうち、電源投入操作に対応する信号パターンを読み出し、読み出した信号パターンの信号を出力する。
【0027】
ユーザは、操作対象装置を操作するための通信事業者のサービスに加入するとき又はマルチリモコン300等を購入するときに、屋内Nに設置されている操作対象装置の型番を通信事業者に通知する。通信事業者は、通知された型番の操作対象装置を操作するための信号パターンを装置指定情報及び遠隔操作命令に関連付けてマルチリモコン300に記憶させる。また、ユーザは、操作装置100のアプリケーションソフトウェアにおいて、屋内Nに設置されている操作対象装置の型番を入力してもよい。この場合、操作装置100が制御装置200へ型番を通知し、制御装置200が、通知された型番の操作対象装置を操作するための信号パターンを遠隔操作命令に関連付けてマルチリモコン300に記憶させてもよい。
【0028】
検出センサ600は、制御装置200による学習のために、操作対象装置400a又は400bへの電源の投入又は遮断を検出する。検出センサ600は、例えば、マイクロホンであり、操作対象装置400aに電源が投入又は遮断されたときの作動音を検出する。検出センサ600は、制御装置200による学習段階に用いられ、この学習の結果の運用段階には用いられない。
【0029】
また、検出センサ600は、操作対象装置400a又は400bの電源状態を示すライトが点灯しているか否かを検出するためのカメラであってもよい。また、検出センサ600は、操作対象装置400bのディスプレイの照度を検出するための照度センサであってもよい。
【0030】
[電力測定装置500の構成]
図3は、電力測定装置500の構成を示す図である。電力測定装置500は、変換部51、通信部52、記憶部53及び制御部54を備える。変換部51は、屋内Nへ供給された交流電流の電流及び電圧を電子回路において測定可能な範囲の電流及び電圧にそれぞれ変換する。変換部51は、変換後の電流及び電圧をそれぞれデジタル変換する。
【0031】
通信部52は、制御装置200と通信するための通信インターフェースである。記憶部53は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。記憶部53は、制御部54が実行するプログラムを記憶している。制御部54は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部54は、記憶部53に記憶されたプログラムを実行することにより、電力測定部541及び通知部542として機能する。
【0032】
電力測定部541は、屋内Nへ供給される電力供給量を測定する。電力供給量は、例えば、屋内Nの機器へ供給される電力の大きさの合計値である。電力測定部541は、変換部51によるデジタル変換後の電流とデジタル変換後の電圧とを乗算することにより、屋内Nへ供給される電力を測定する。なお、電力供給量は、屋内Nの機器を流れる電流の大きさの合計値であってもよい。
【0033】
また、電力測定部541は、制御装置200による制御情報の送信時を含む所定時間における屋内Nの電力供給量の測定データを測定する。電力測定部541は、操作対象装置400a又は400bを操作することを制御装置200から通知された場合に、測定データを制御装置200による制御情報の送信時を含む所定時間において測定する。例えば、電力測定部541は、操作対象装置400a又は400bを操作することを制御装置200から通知されたときに、屋内Nの電力供給量の測定データの測定を開始する。所定時間は、マルチリモコン300による信号の出力の前後の電力供給量の変化量を測定データとして測定することを担保するための時間であり、例えば数秒である。通知部542は、電力測定部541が測定した電力供給量の測定データを制御装置200に通信部52により通知する。
【0034】
[制御装置200の構成]
図4は、制御装置200の構成を示す図である。制御装置200は、通信部21、記憶部22及び制御部23を備える。通信部21は、操作装置100、マルチリモコン300、電力測定装置500及び検出センサ600と通信するための通信インターフェースである。記憶部22は、ROM及びRAM等の記憶媒体である。記憶部22は、制御部23が実行するプログラムを記憶している。制御部23は、例えばCPUである。制御部23は、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、操作管理部231、電力取得部232、判定部233及び学習部234として機能する。
【0035】
操作管理部231は、操作装置100、マルチリモコン300及び電力測定装置500と通信部21により通信する。操作管理部231は、装置指定情報及び遠隔操作命令を取得する。操作管理部231は、取得した装置指定情報により指定された操作対象装置と、取得した遠隔操作命令により指示された操作内容とをマルチリモコン300に指示する制御情報を生成する。操作管理部231は、生成した制御情報をマルチリモコン300へ送信する。
【0036】
操作管理部231は、生成した制御情報をマルチリモコン300へ送信する所定期間前に、操作対象装置400a又は400bを操作することを電力測定装置500に通知する。所定期間は、スタンバイ状態になっている電力測定装置500の起動に要する時間であり、例えば、数秒である。電力取得部232は、操作管理部231による制御情報の送信時を含む所定時間における屋内Nの電力供給量の測定データを、通信部21を介して取得する。電力取得部232は、学習部234による学習段階では、取得した測定データを学習部234に通知する。電力取得部232は、学習部234による学習の結果の運用段階では、取得した測定データを判定部233に通知する。
【0037】
判定部233は、学習段階において、検出センサ600からの検出信号に基づいて、操作対象装置400a又は400bへの電源が投入又は遮断されたか否かを判定する。例えば、判定部233は、検出センサ600がマイクロホンである場合に、操作対象装置400aに電源が投入又は遮断されたときの作動音の有無を判定することにより、操作対象装置400aへ電源が投入又は遮断されたか否かを判定する。また、判定部233は、検出センサ600は、操作対象装置400bのスピーカから音が出力される状態と、操作対象装置400bのスピーカから音が出力されない状態とのいずれの状態であるかを特定し、2つの状態の間における遷移の有無を判定することにより、操作対象装置400bへの電源の投入又は遮断されたか否かを判定する。
【0038】
また、判定部233は、検出センサ600がカメラである場合には、操作対象装置400a又は400bの電源状態を示すライトが点灯の有無を判定することにより、操作対象装置400aへ電源が投入又は遮断されたか否かを判定する。判定部233は、検出センサ600が照度センサである場合には、操作対象装置400bのディスプレイに表示画像が表示されている状態と、操作対象装置400bのディスプレイに表示画像が表示されていない状態とのいずれの状態であるかをディスプレイの照度により特定し、2つの状態の間における遷移の有無を判定することにより、操作対象装置400bへ電源が投入又は遮断されたか否かを判定する。
【0039】
屋内Nに形成されたローカルネットワークに接続された操作装置100からの遠隔操作命令により操作対象装置400a又は400bを操作した結果は目視で確認可能である。このため、この操作装置100からの遠隔操作命令により所定時間内に一度だけ操作対象装置400a又は400bに電源を投入又は遮断する信号をマルチリモコン300が出力した場合には、操作対象装置400a又は400bに電源を投入又は遮断することに成功したとみなすことができる。
【0040】
そこで、判定部233は、屋内Nに形成されたローカルネットワークに接続された操作装置100からの遠隔操作命令により、所定時間内に1度だけ操作対象装置に電源を投入又は遮断する信号をマルチリモコン300が出力した場合、その操作が成功したものと判定してもよい。所定時間は、ユーザが操作に失敗したことに気付いて操作をやり直すのにかかる時間であり、例えば、30秒である。
【0041】
続いて、学習部234による学習について説明する。学習部234は、電力測定装置500が測定した屋内Nへの電力供給量の測定データを取得する。また、学習部234は、操作対象装置400a又は400bに電源が投入又は遮断されたか否かの判定部233の判定結果と、電力測定装置500が測定した屋内Nへの電力供給量の測定データとを対応付けて記憶部22に記憶させる。
【0042】
判定部233は、制御情報の送信時を含む所定時間における屋内Nの電力供給量の測定データを電力取得部232から取得し、記憶部22に記憶されている電力供給量の測定データと比較する。例えば、判定部233は、制御情報の送信時を含む所定時間における屋内Nの電力供給量の測定データと、操作対象装置400a又は400bに電源が投入又は遮断されたと判定する判定結果に記憶部22において対応付けられた電力供給量の測定データとを比較する。
【0043】
判定部233は、2つの測定データの間の誤差が所定値以内である場合に、操作対象装置へ電源が投入又は遮断されたと判定する。所定値は、操作対象装置に電源が投入又は遮断されたときの電力供給量の測定データを他の操作対象装置に起因する電力供給量の測定データと識別するために適宜設定される。一方、判定部233は、2つの測定データの間の誤差が所定値を超える場合に、操作対象装置へ電源が投入又は遮断されていないと判定する。
【0044】
例えば、判定部233は、2つの測定データの間の誤差が、操作対象装置400a又は400bに電源が投入されたと判定する判定結果に記憶部22において対応付けられた電力供給量の測定データである変化量の10%以内である場合には、操作対象装置へ電源が投入されたと判定する。判定部233は、操作対象装置400a又は400bへの電源の投入又は遮断がなされたと判定した場合に、この判定結果を操作装置100に通信部21を介して通知する。
【0045】
一方、判定部233は、操作対象装置400a又は400bへの電源の投入又は遮断がなされていないと判定した場合、操作管理部231にこの判定結果を通知する。操作管理部231は、操作対象装置400a又は400bへの電源の投入又は遮断がなされていないと判定部233が判定した場合に、マルチリモコン300へ制御情報を再送信し、マルチリモコン300に信号を再出力させる。また、操作管理部231は、操作対象装置400a又は400bへの電源の投入又は遮断がなされていないと判定部233が判定した場合に、操作対象装置400a又は400bへの電源の投入又は遮断がなされていないことを示すメッセージを操作装置100に通信部21を介して送信し、このメッセージを操作装置100のディスプレイに表示させてもよい。
【0046】
判定部233は、制御情報の送信時を含む所定時間における屋内Nの電力供給量の測定データと、記憶部22に記憶されている電力供給量の複数の測定データの統計量とを比較してもよい。例えば、判定部233は、制御情報の送信時を含む所定時間における屋内Nの電力供給量の測定データと、操作対象装置400a又は400bに電源が投入又は遮断されたと判定する判定結果に対応付けられて記憶部22に記憶されている電力供給量の複数の測定データの平均値とを比較してもよい。
【0047】
操作装置100が遠隔操作命令を送信することにより操作対象装置400a及び400bを操作する場合に、操作装置をユーザが屋外にて操作すること等に起因して操作対象装置の作動をユーザが確認できないことがある。本実施の形態では、判定部233は、制御情報の送信時を含む所定時間における屋内Nの電力供給量の測定データと、操作対象装置400a又は400bに電源が投入又は遮断されたと判定する判定結果に対応付けられた電力供給量の測定データとを比較する。判定部233は、この比較結果に基づいて、操作対象装置400a又は400bに電源が投入又は遮断されたか否かを判定し、操作対象装置400a又は400bへの電源の投入又は遮断がなされたと判定した場合に、この判定結果を操作装置100に通信部21を介して通知する。
【0048】
このため、ユーザは、屋外においても操作対象装置の作動を確認することができる。また、判定部233は、宅内Nに複数の操作対象装置が設置されている場合であっても、操作対象装置400a又は400bに電源が投入又は遮断されたか否かを精度よく判定することができる。
【0049】
[制御装置200の運用段階の動作]
図5は、制御装置200の学習後の運用段階における動作を示すフローチャートである。この処理手順は、操作装置100が装置指定情報及び遠隔操作命令を制御装置200に送信したときに開始する。
【0050】
まず、操作管理部231は、通信部21を介して装置指定情報及び遠隔操作命令を取得する(S101)。操作管理部231は、通信部21を介して、操作対象装置400a又は400bを操作することを電力測定装置500に通知する(S102)。電力測定装置500の電力測定部541は、操作対象装置400a又は400bを操作することを制御装置200から通知されたときに、屋内Nの電力供給量の測定を開始する。
【0051】
操作管理部231は、取得した装置指定情報により指定された操作対象装置と、遠隔操作命令により指示された操作内容とをマルチリモコンに指示する制御情報を生成し、生成した制御情報をマルチリモコン300へ送信する。マルチリモコン300は、受信した制御情報により指定された操作対象装置を操作するための信号パターンのうち、受信した制御情報により指示された操作内容に対応する信号パターンを読み出し、読み出した信号パターンの信号を操作対象装置400a及び400bに出力する(S103)。電力取得部232は、操作管理部231が制御情報をマルチリモコン300へ送信したときを含む所定時間における屋内Nの電力供給量の測定データを取得する(S104)。所定時間は、マルチリモコン300による信号の出力(S103)の前後の電力供給量を測定することを担保するための時間である。
【0052】
判定部233は、制御情報の送信時を含む所定時間における屋内Nの電力供給量の測定データと、操作対象装置400a又は400bに電源が投入又は遮断されたと判定する判定結果に記憶部22において対応付けられた電力供給量の測定データとを比較する(S105)。判定部233は、2つの測定データの間の誤差が所定値以内である場合に(S105のYES)、操作対象装置へ電源が投入又は遮断されたと判定する。判定部233は、この判定結果を操作装置100に通知し(S106)、処理を終了する。
【0053】
判定部233は、2つの測定データの間の誤差が所定値を超える場合に(S105のNO)、操作対象装置へ電源が投入又は遮断されていないと判定する。この場合、操作管理部231は、マルチリモコン300へ制御情報を再送信する。マルチリモコン300は、制御情報を再度受信すると、信号を再出力し(S107)、ステップS105の判定に戻る。
【0054】
[本発明による効果]
操作対象装置400a又は400bへの電源の投入又は遮断がなされたか否かを検出センサ600により判定する場合、例えば、検出センサ600が照度センサであれば、外光の影響を受けやすいため、日中には夜間に比べて精度が低下するという問題がある。また、検出センサ600が音センサであれば、周囲の音の影響を受けやすいため、電源の投入又は遮断を検出したい装置以外の家電製品からの音の出力を抑制する必要がある。
【0055】
これに対し、本実施の形態によれば、学習部234は、電力取得部232が取得した電力供給量の測定データと、判定部233の判定結果とを対応付ける。このため、判定部233の判定結果に対応付けられた電力供給量の測定データを操作対象装置400a又は400bへの電源の投入又は遮断がなされたか否かを判定するための判定基準として用いることができる。したがって、より多くの操作対象装置において電源の投入又は遮断がなされたか否かを判定することができる。
【0056】
なお、本実施の形態では、学習部234が電力取得部232において取得した電力供給量の測定データと、判定部233の判定結果とを対応付ける場合の例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、学習部234は、電力取得部232において取得した電力供給量の測定データに季節又は屋外の温度を更に対応付けてもよい。
【0057】
判定部233は、制御情報の送信時を含む所定時間における屋内Nの電力供給量の測定データと、制御情報の送信時の季節又は屋外の温度と、操作対象装置400a又は400bに電源が投入又は遮断されたと判定する判定結果に記憶部22において対応付けられた電力供給量の測定データとを比較する。判定部233は、2つの測定データの間の誤差が所定値以内である場合に、操作対象装置へ電源が投入又は遮断されたと判定する。一方、判定部233は、2つの測定データの間の誤差が所定値を超える場合に、操作対象装置へ電源が投入又は遮断されていないと判定する。
【0058】
この様な構成を採用することにより、季節又は屋外の温度の影響を含めて、操作対象装置400a又は400bへの電源の投入又は遮断がなされたか否かを判定することができる。
【0059】
[変形例1]
本実施の形態では、学習部234が電源投入又は遮断が確認された所定時間内の電力供給量の変化量を対象装置の電源投入又は遮断として学習する場合の例について説明した。しかしながら、本発明は、これに限定されない。例えば、学習部234が、屋内Nの電力供給量の単位時間ごとの値を示す時系列データを用いて、操作対象装置400a又は400bへの電源の投入が行われたか否かを判定するための学習モデルを生成してもよい。
【0060】
操作対象装置400a又は400bの消費電力が小さい場合には、これらの消費電力を屋内Nの他の家電製品の消費電力と識別することができないため、操作対象装置400a又は400bへの電源の投入又は遮断がなされたか否かを判定することができないという問題があった。
【0061】
そこで、学習部234は、電力取得部232が取得した電力供給量の測定データに、判定部233の判定結果をラベルとして対応付けた訓練データを学習する。この変形例では、測定データは、制御情報の送信時を含む所定時間における屋内Nの電力供給量の時系列データである。所定時間は、マルチリモコン300による信号の出力の前後の電力供給量の挙動のパターンを測定することを担保するための時間であり、例えば数秒である。時系列データは、屋内Nの電力供給量の単位時間ごとの値を示す。単位時間は、10μS以下であることが好ましく、例えば、0.1μSである。
【0062】
学習部234は、この訓練データの学習により、電力取得部232が取得した電力供給量の測定データを入力として与えられたときに、操作対象装置への電源の投入又は遮断がなされたか否かを出力として判定する学習モデルを生成する。図6を参照して学習部234による学習モデルの生成について説明する。
【0063】
図6は、左側に学習部234に学習させる訓練データを示し、右側に学習部234を構成するニューラルネットワークを示す。学習部234における各丸印は、学習部234を構成するニューロンをそれぞれ示す。訓練データでは、電力測定部541により測定された所定時間における屋内Nの電力供給量の測定データに、操作対象装置400aへの電源が投入されたか否かの判定部233による判定結果が対応付けられている。
【0064】
操作対象装置400aへの電源投入に成功したと判定する判定結果が対応付けられた電力供給量の測定データには、操作対象装置400aへの電源投入直後の電力の変化が含まれている。図6の例では、操作対象装置400aへの電源投入に成功したと判定する判定結果が対応付けられた電力供給量の測定データでは、操作対象装置400aへの電源投入前の状態が左側に示され、操作対象装置400bへの電源投入後の状態が右側に示されている。
【0065】
操作対象装置400aへの電源投入の成功時の電力波形のピークは、操作対象装置400aへの電源投入時の一時的な電力供給量の増加を示している。一方、操作対象装置400aへの電源投入に失敗したと判定する判定結果が対応付けられた電力供給量の測定データには、操作対象装置400aへの電源投入時の電力の変化は含まれていない。この測定データにおける電力波形のピークは、操作対象装置400a以外の家電装置へ供給された電力に起因するノイズを示している。
【0066】
このため、学習部234は、操作対象装置400aへの電源投入に成功したと判定する判定結果が対応付けられた電力供給量の測定データと、操作対象装置400aへの電源投入に失敗したと判定する判定結果が対応付けられた電力供給量の測定データとを比較及び分析することにより、操作対象装置400aへの電源投入直後の電力の変化の特徴を抽出することができる。したがって、判定部233は、学習部234が生成した学習モデルに電力供給量の測定データを入力することにより、操作対象装置400aに電源が投入されたか否かを判定することができる。
【0067】
学習部234には、入力層A1と、出力層A2と、入力層A1及び出力層A2の間に挟まれた隠れ層が形成され、入力層A1、出力層A2及び隠れ層には、それぞれ複数のニューロンが配置される。データは、入力層、隠れ層、出力層の順に流れる。ニューロンは、前の層の全てのニューロンの出力を取得し、取得した出力にそれぞれ異なる重み値を乗算した合計値を求める。ニューロンは、求めた合計値を活性化関数に入力し、この活性化関数の出力をこのニューロンの出力とする。活性化関数の出力は、入力の合計値に対して単調増加する。活性化関数は、例えば、シグモイド関数、tanh関数、softmax関数又はReLU関数である。
【0068】
学習部234による学習では、出力がラベルに示す結果を示すように、ニューロンの重み値を逐次的に更新させる。学習部234による学習には、例えば、現在の出力と正しい値との誤差を重み値で偏微分することにより重み値を更新させる誤差伝播法が用いられる。制御装置200の学習に必要な訓練データの量を低減させるため、例えば、マルチリモコン300、電力測定装置500及び検出センサ600を屋内Nに設置するより前に、制御装置200に予備的な学習を行わせておくことが望ましい。
【0069】
判定部233は、学習部234による学習後の運用段階には、電力取得部232が取得した電力供給量の測定データを学習部234が生成した学習モデルに入力することにより、操作対象装置への電源の投入又は遮断がなされたか否かを判定する判定装置として機能する。判定部233は、操作対象装置400a又は400bへの電源の投入又は遮断がなされたと判定した場合に、この判定結果を操作装置100に通信部21を介して通知する。
【0070】
一方、判定部233は、操作対象装置400a又は400bへの電源の投入又は遮断がなされていないと判定した場合、操作管理部231にこの判定結果を通知する。操作管理部231は、操作対象装置400a又は400bへの電源の投入又は遮断がなされていないと判定部233が判定した場合に、マルチリモコン300へ制御情報を再送信し、マルチリモコン300に信号を再出力させる。操作管理部231は、操作対象装置400a又は400bへの電源の投入又は遮断がなされていないと判定部233が判定した場合に、操作対象装置400a又は400bへの電源の投入又は遮断がなされていないことを示すメッセージを操作装置100に通信部21を介して送信し、このメッセージを操作装置100のディスプレイに表示させてもよい。
【0071】
[制御装置200の運用段階の動作]
図7は、制御装置200の学習後の運用段階における動作を示すフローチャートである。この処理手順は、操作装置100が装置指定情報及び遠隔操作命令を制御装置200に送信したときに開始する。ステップS101からS103までの処理手順については、図5のステップS101からS103までと同一であるため、説明を省略する。
【0072】
電力取得部232は、操作管理部231が制御情報をマルチリモコン300へ送信したときを含む所定時間における屋内Nの電力供給量の測定データを取得する(S104)。判定部233は、制御情報の送信時を含む所定時間における屋内Nの電力供給量の測定データを学習モデルに入力することにより、操作対象装置に電源が投入又は遮断されたか否かを判定する(S201)。判定部233は、操作対象装置400a又は400bへの電源の投入又は遮断がなされたと判定した場合に(S201のYES)、この判定結果を操作装置100に通知し(S106)、処理を終了する。
【0073】
操作管理部231は、学習部234が操作対象装置400a又は400bへの電源の投入又は遮断がなされていないと判定した場合に(S201のNO)、マルチリモコン300へ制御情報を再送信する。マルチリモコン300は、制御情報を再度受信すると、信号を再出力し(S107)、ステップS201の判定に戻る。
【0074】
[変形例1による効果]
本実施の形態によれば、電力取得部232が取得した電力供給量の測定データを入力とし、操作対象装置400a又は400bへの電源の投入又は遮断がなされたか否かを出力とする学習モデルを生成することができる。このため、判定部233は、学習部234による学習モデルの生成後には、屋内Nへの電力供給量を測定すれば、外光及び他の家電製品からの音の影響を受けることなく、操作対象装置400a又は400bへの電源の投入又は遮断がなされたか否かを判定することができる。
【0075】
また、学習部234による学習モデルの生成後には、複数の操作対象装置の電源ラインごとに電流値の変化を検出する必要がなく、且つ検出センサ600も不要になる。このため、操作対象装置が作動しているか否かの検出を簡略化することができる。
【0076】
[変形例2]
本実施の形態では、電力取得部232が取得した電力供給量の測定データに、判定部233の判定結果をラベルとして対応付けた訓練データを学習する場合の例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、学習部234は、電力取得部232が取得した電力供給量の測定データと屋外の温度との組み合わせに判定部233の判定結果をラベルとして対応付けた訓練データを学習してもよい。学習部234にこの訓練データを学習させることにより、この測定データ及び屋外の温度が入力として与えられた場合に、操作対象装置400aへの電源の投入又は遮断がなされたか否かを出力として判定する学習モデルを生成してもよい。
【0077】
エアコン等の操作対象装置400aの消費電力は、屋外の温度によって大きく異なる。このため、学習段階と学習後の学習モデルの運用段階とで屋外の温度が異なれば、操作対象装置400aへの電源の投入又は遮断がなされたか否かを学習モデルにより判定部233が判定する精度が低下することがある。そこで、学習部234が、電力取得部232が取得した電力供給量の測定データと屋外の温度との組み合わせに判定部233の判定結果をラベルとして対応付けた訓練データを学習することにより、屋外の温度変化に起因する学習モデルの判定精度の低下を抑制することができる。また、学習部234は、電力供給量の測定データと屋外の温度との組み合わせの代わりに、電力供給量の測定データと季節を示す情報との組み合わせに判定部233の判定結果をラベルとして対応付けた訓練データを学習してもよい。季節を示す情報は、例えば、測定日時を含む。
【0078】
[変形例3]
なお、本実施の形態では、制御装置200が一のサーバからなる例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。例えば、制御装置200がクラウドベースのサーバであってもよい。また、上記の説明では、制御装置200が、学習段階を実行する学習装置の機能と、学習後の運用段階で判定段階を実行する判定装置の機能とを有する場合を例示したが、制御装置200は、物理的に別体の学習装置及び判定装置により構成されていてもよい。
【0079】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。特に、装置の分散・統合の具体的な実施形態は以上に図示するものに限られず、その全部又は一部について、種々の付加等に応じて、又は、機能負荷に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0080】
21 通信部
22 記憶部
23 制御部
51 変換部
52 通信部
53 記憶部
54 制御部
100 操作装置
200 制御装置
231 操作管理部
232 電力取得部
233 判定部
234 学習部
300 マルチリモコン
400a 操作対象装置
400b 操作対象装置
500 電力測定装置
541 電力測定部
542 通知部
600 検出センサ
A1 入力層
A2 出力層
S 管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7