(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記化学療法薬は、ドキソルビシン(doxorubicin)、テモゾロマイド(temozolomide)、ゲムシタビン(gemcitabine)又はカルボプラチン(carboplatin)である請求項13に記載のがん治療用の医薬組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、キメラ抗原受容体、単離された核酸、キメラ抗原受容体発現プラスミド、キメラ抗原受容体発現細胞、その使用及びがん治療用の医薬組成物を提供することを目的とする。キメラ抗原受容体は、優れた腫瘍細胞に対する特異的結合の能力を有する。前記核酸は、前記キメラ抗原受容体をコードする。キメラ抗原受容体発現プラスミドは、前記核酸を含む。前記キメラ抗原受容体発現細胞は、前記キメラ抗原受容体発現プラスミドを含み、前記キメラ抗原受容体を発現して、特異的に腫瘍細胞を標的として、オフターゲット効果を避けて、更に腫瘍細胞を効果的に殺すことができるため、哺乳類動物の腫瘍細胞の死亡誘導用薬物を調製することができる。前記がん治療用の医薬組成物は、前記キメラ抗原受容体発現細胞を含み、腫瘍細胞を効果的に殺して更に癌を治療することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による一実施形態は、ヒト白血球抗原G(human leukocyte antigen G;HLA−G)に特異的に結合されるキメラ抗原受容体であって、N端からC端まで順次に配列する配列識別番号1に示す抗HLA−G抗体、配列識別番号2に示すHLA−G受容体、及び配列識別番号3に示す共刺激ドメインを含むキメラ抗原受容体を提供する。
【0007】
前記キメラ抗原受容体によれば、前記共刺激ドメインのC端に連結される配列識別番号4に示す自殺タンパク質を更に含んでよい。
【0008】
前記キメラ抗原受容体によれば、前記HLA−G受容体及び前記共刺激ドメインを直列連結する2Aペプチドを更に含んでよい。
【0009】
本発明の一態様による他の実施形態は、前記に記載のキメラ抗原受容体をコードする単離された核酸であって、順次に配列する配列識別番号11に示すコードされた抗HLA−G抗体断片、配列識別番号12に示すコードされたHLA−G受容体断片及び配列識別番号13に示すコードされた共刺激ドメイン断片を含む単離された核酸を提供する。
【0010】
前記の単離された核酸によれば、前記コードされた共刺激ドメイン断片の3’末端に連結される配列識別番号14に示す自殺遺伝子を更に含んでよい。
【0011】
前記の単離された核酸によれば、前記コードされたHLA−G受容体断片及び前記コードされた共刺激ドメイン断片を直列連結するコードされた2Aペプチド配列を更に含んでよい。
【0012】
本発明の一態様による更なる一実施形態は、順次に排列する配列識別番号15に示すプロモーター及び前記に記載の前記の核酸を含むキメラ抗原受容体発現プラスミドを提供する。
【0013】
前記キメラ抗原受容体発現プラスミドによれば、前記核酸の3’末端に連結される配列識別番号14に示す自殺遺伝子を更に含んでよい。
【0014】
本発明の一態様の別の実施形態は、免疫細胞と、前記に記載のキメラ抗原受容体発現プラスミドと、を含むキメラ抗原受容体発現細胞を提供する。
【0015】
前記のキメラ抗原受容体発現細胞によれば、前記免疫細胞は、T細胞又はナチュラルキラー細胞であってよい。好ましくは、前記ナチュラルキラー細胞は、NK−92細胞株又は第1世代ナチュラルキラー細胞であってよい。
【0016】
本発明の一態様の他の実施形態は、前記に記載のキメラ抗原受容体発現細胞と、薬学的に許容される担体と、を含むがん治療用の医薬組成物を提供する。
【0017】
前記のがん治療用の医薬組成物によれば、化学療法薬を更に含んでよい。好ましくは、前記化学療法薬は、ドキソルビシン(doxorubicin)、テモゾロマイド(temozolomide)、ゲムシタビン(gemcitabine)又はカルボプラチン(carboplatin)であってよい。
【0018】
本発明の他の態様の一実施形態は、哺乳類動物の腫瘍細胞の死亡誘導用薬物を調製するための前記に記載のキメラ抗原受容体発現細胞の使用を提供する。
【0019】
前記のキメラ抗原受容体発現細胞の使用によれば、前記腫瘍細胞は、乳癌細胞、多形性膠芽腫の腫瘍細胞、膵臓癌細胞及び卵巣癌細胞であってよい。
【0020】
上記の発明内容は、読者に本開示内容を基本的に理解させるように、本開示内容の簡単な概要を提供することを主旨とする。この発明内容は、本開示内容の完全な概要ではなく、且つ本発明の実施例の重要/主要な素子を指摘するか又は本発明の範囲を限定することを意味しない。
下記の添付図面の説明は、本発明の上記及び他の目的、特徴、メリット及び実施例をより分かりやすくするためのものである。また、添付ファイル1〜8(
図9A〜Hに対応)は、本明細書とは別に、物件提出書にて提出される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書の開示内容は、キメラ抗原受容体、前記キメラ抗原受容体をコードする核酸、前記核酸を含むキメラ抗原受容体発現プラスミド、前記キメラ抗原受容体発現プラスミドを含むキメラ抗原受容体発現細胞、その使用、及びキメラ抗原受容体発現細胞を含むがん治療用の医薬組成物を提案する。腫瘍細胞の細胞でテストをし、本発明のキメラ抗原受容体が優れた腫瘍細胞に対する特異的結合の能力を有し、特に腫瘍細胞の細胞膜上で発現されたヒト白血球抗原Gに特異的に結合される能力を有することが証明されるので、本発明のキメラ抗原受容体を発現するキメラ抗原受容体発現細胞が特異的に腫瘍細胞を標的として、オフターゲット効果を避けて、更に腫瘍細胞を効果的に殺すことで、哺乳類動物の腫瘍細胞の死亡誘導用薬物を調製することに用いることができる。前記本発明のがん治療用の医薬組成物は、本発明のキメラ抗原受容体発現細胞を含み、且つ化学療法薬を更に含んでよく、腫瘍細胞を効果的に殺して更に癌を治療することができる。
【0023】
本明細書に記載の「ヒト白血球抗原G(human leukocyte antigen G;HLA−G)」は、HLA−G遺伝子によりコードされ、非定型ファーストクラス主要組織適合複合体(major histocompatibility complex;MHC)であり、重鎖が約45kDaである。HLA−Gは、胎児由来の胎盤細胞で発現され、免疫応答の負の調節に非常に活発であり、その作用が主に細胞毒性を抑制して細胞を免疫することにある。
【0024】
以下、具体的な試験例によって本発明を模式的に説明し、当業者が過度に解釈せずに本発明を完全に活用して実施することに用いられる。これらの試験例は、本発明の範囲を制限するものと見なされるべきではないが、本発明の材料や方法を如何に実施するかを説明ためのものである。
【0025】
[試験例]
一、本発明のキメラ抗原受容体、単離された核酸及びキメラ抗原受容体発現プラスミド
本発明のキメラ抗原受容体は、ヒト白血球抗原Gに特異的に結合され、N端からC端まで順次に配列する配列識別番号1に示す抗HLA−G抗体、配列識別番号2に示すHLA−G受容体、及び配列識別番号3に示す共刺激ドメインを含む。好ましくは、共刺激ドメインのC端に配列識別番号4に示す自殺タンパク質が更に連結されてよく、また前記HLA−G受容体及び前記共刺激ドメインを直列連結する配列識別番号10に示す2Aペプチドを更に含んでよい。詳しくは、配列識別番号1に示す抗HLA−G抗体に、重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列及び軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が含まれる。重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列は、配列識別番号5に示すCDRH1、配列識別番号6に示すCDRH2及び配列識別番号7に示すCDRH3である。軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列は、配列識別番号8に示すCDRL2及び配列識別番号9に示すCDRL3である。
図1を参照されたい。
図1は、本発明の抗HLA−G抗体のタンパク質の構造を示す模式図であり、散布点の環状領域が本発明の抗HLA−G抗体における可変ドメインを示す。配列識別番号2に示すHLA−G受容体は、キラー細胞免疫球蛋白樣受容体2DS4(killercell immunoglobulin−like receptor 2DS4;KIR2DS4)である。配列識別番号3に示す共刺激ドメインは、DNAX活性化タンパク質12(DNAX activating protein 12;DAP12)である。配列識別番号4に示す自殺タンパク質は、iCas9蛋白である。
【0026】
本発明の単離された核酸は、本発明のキメラ抗原受容体をコードする。前記核酸は、順次に配列する配列識別番号11に示すコードされた抗HLA−G抗体断片、配列識別番号12に示すコードされたHLA−G受容体断片及び配列識別番号13に示すコードされた共刺激ドメイン断片を含む。好ましくは、共刺激ドメイン断片の3’末端に、配列識別番号14に示す自殺遺伝子が更に連結されてよい。また、前記コードされたHLA−G受容体断片及び前記コードされた共刺激ドメイン断片を直列連結する配列識別番号15に示すコードされた2Aペプチド配列を更に含んでよい。配列識別番号11に示すコードされた抗HLA−G抗体断片は、配列識別番号1に示す抗HLA−G抗体をコードし、配列識別番号12に示すコードされたHLA−G受容体断片は配列識別番号2に示すHLA−G受容体をコードする。配列識別番号13に示すコードされた共刺激ドメイン断片は、配列識別番号3に示す共刺激ドメインをコードする。配列識別番号14に示す自殺遺伝子は、配列識別番号4に示す自殺タンパク質をコードする。配列識別番号15に示すコードされた2Aペプチド配列は、配列識別番号10に示す2Aペプチドをコードする。
【0027】
本発明のキメラ抗原受容体発現プラスミドの構築を示す模式図である
図2を参照されたい。詳しくは、本試験例に示す実施例において、キメラ抗原受容体発現プラスミドは、Lenti−EF1a−CAR−100517−S1Aプラスミドであり、そのインサート(insert)断片が順次に配列するプロモーター、コードされた抗HLA−G抗体断片、コードされたHLA−G受容体断片及びコードされた共刺激ドメイン断片を含む。プロモーターは、配列識別番号16に示すEF−1 alphaプロモーターである。コードされた抗HLA−G抗体断片の配列は、配列識別番号11に示す。コードされたHLA−G受容体断片の配列は、配列識別番号12に示す。コードされた共刺激ドメイン断片の配列は、配列識別番号13に示す。なお、インサートに配列識別番号17に示すコードされたメッセージペプチド断片、配列識別番号14に示す自殺遺伝子及び配列識別番号15に示すコードされた2Aペプチド配列が更に含まれる。コードされたメッセージペプチド断片がコードされた抗HLA−G抗体断片の5’末端に連結され、自殺遺伝子が共刺激ドメイン断片の3’末端に連結され、コードされた2Aペプチド配列が前記コードされたHLA−G受容体断片及び前記コードされた共刺激ドメイン断片を直列連結する。更に、Lenti−EF1a−CAR−100517−S1Aプラスミドを取得するために、インサート断片をCreative Biolabsキャリア(Creative Biolabs;NY;USA)に構築する。使用されたキャリアは、レンチウイルス(lentivirus)キャリアシステムであるため、構築されたキメラ抗原受容体発現プラスミドを発現細胞にトランスフェクトして、レンチウイルスを生産することができ、後でレンチウイルスによってキメラ抗原受容体を免疫細胞に形質導入することができる。
【0028】
二、本発明のキメラ抗原受容体発現細胞、その使用及びがん治療用の医薬組成物
本発明のキメラ抗原受容体発現細胞は、本発明のキメラ抗原受容体をレンチウイルスによって免疫細胞に形質導入することで得られる。好ましくは、前記免疫細胞は、T細胞又はナチュラルキラー細胞であってよい。より好ましくは、前記ナチュラルキラー細胞は、NK−92細胞株又は第1世代ナチュラルキラー細胞であってよい。詳しくは、構築されたLenti−EF1a−CAR−100517−S1Aプラスミドを、まずlipofectamine 3000(Invitrogen)によって293T細胞株にトランスフェクトして本発明のキメラ抗原受容体付きのレンチウイルスを調製し、更に、調製されたレンチウイルスを含む上清液及び8μg/mlのポリブレン(polybrene;Sigma−Aldrich)のOpti−MEM(Invitrogen)に対して第1世代T細胞を3日間培養して、本発明のキメラ抗原受容体を第1世代T細胞に形質導入する。調製されたレンチウイルスの上清液及び50μg/mlのプロタミン(Protamine sulfate;Sigma−Aldrich)のOpti−MEM(Invitrogen)に対して第1世代ナチュラルキラー細胞又はNK−92細胞株を7日間培養して、本発明のキメラ抗原受容体を第1世代ナチュラルキラー細胞又はNK−92細胞株に形質導入し、本発明のキメラ抗原受容体発現細胞を取得することができる。得られたキメラ抗原受容体発現細胞は、哺乳類動物の腫瘍細胞の死亡を誘導する効果を有し、哺乳類動物の腫瘍細胞の死亡誘導用薬物を調製することに用いることができる。好ましくは、腫瘍細胞は、乳癌細胞、多形性膠芽腫の腫瘍細胞、膵臓癌細胞又は卵巣癌細胞であってよい。
【0029】
本発明のがん治療用の医薬組成物は、本発明のキメラ抗原受容体発現細胞及び薬学的に許容される担体を含む。好ましくは、前記がん治療用の医薬組成物は、化学療法薬を更に含んでよい。より好ましくは、前記化学療法薬は、ドキソルビシン(doxorubicin)、テモゾロマイド(temozolomide)、ゲムシタビン(gemcitabine)又はカルボプラチン(carboplatin)であってよい。
【0030】
以下の試験例では、本発明のキメラ抗原受容体発現細胞及び本発明のキメラ抗原受容体発現細胞を含むがん治療用の医薬組成物の何れも多種の哺乳類動物の腫瘍細胞に対して良好な死亡誘導効果を有することを、データによって証明する。試験に使用された腫瘍細胞は、それぞれヒト乳癌細胞株MDA−MB−231、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRG−05MG(以下でDBTRGと略称する)、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1及びヒト卵巣癌細胞株SKOV3である。使用された腫瘍細胞株の何れもアメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection;ATCC)から購入される。ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231細胞株は、トリプルネガティブ乳癌細胞株であり、即ちホルモン受容体(ER、PR)及びHER−2受容体は陰性であり、10%ウシ胎仔血清(FBS)含有のRPMI培養液に培養される。ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGは、10%ウシ胎仔血清含有のDMEM培養液に培養される。ヒト膵臓癌細胞株AsPC1は、10%ウシ胎仔血清含有のRPMI培養液に培養される。ヒト卵巣癌細胞株SKOV3は、10%ウシ胎仔血清含有のMcCoy’s 5A培養液に培養される。
【0031】
2.1.実施例1
本試験例において、本発明のキメラ抗原受容体をNK−92細胞株に形質導入することで、本発明の実施例1のキメラ抗原受容体発現細胞を取得することができ、更に得られた実施例1のキメラ抗原受容体発現細胞をフローサイトメトリーでそのキメラ抗原受容体の発現量を分析した。
図3を参照されたい。
図3は、本発明の実施例1におけるキメラ抗原受容体発現細胞のキメラ抗原受容体の発現量分析図である。
図3では、それぞれ本発明のキメラ抗原受容体の形質導入されていない親代NK−92細胞株のキメラ抗原受容体の発現量分析図であり、及び実施例1におけるキメラ抗原受容体発現細胞の形質導入後の3日目及び7日目のキメラ抗原受容体の発現量分析図である。
図3のデータから分かるように、親代NK−92細胞株の平均蛍光強度(mean fluorescence intensity;MFI)が9.98%だけであり、実施例1におけるキメラ抗原受容体発現細胞の形質導入後の3日目及び7日目の平均蛍光強度がそれぞれ20.11%及び65.07%に達することができるので、実施例1におけるキメラ抗原受容体発現細胞は、本発明のキメラ抗原受容体を安定に発現することができることが示された。
【0032】
本発明の実施例1におけるキメラ抗原受容体発現細胞及び本発明の実施例1におけるキメラ抗原受容体発現細胞を含むがん治療用の医薬組成物の乳癌細胞、多形性膠芽腫の腫瘍細胞、膵臓癌細胞及び卵巣癌細胞の死亡に対する誘導効果を更に試験した。
【0033】
まず、それぞれヒト乳癌細胞株MDA−MB−231、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRG、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1及びヒト卵巣癌細胞株SKOV3を1×105cells/wellの密度で12ウェルプレートに植え、更に48時間培養した後で試験した。試験上で、各種の腫瘍細胞を、それぞれ処理されていない制御群、化学療法薬で処理されたテスト群1、親代NK−92細胞株で処理されたテスト群2、親代NK−92細胞株及び化学療法薬で処理されたテスト群3、実施例1におけるキメラ抗原受容体発現細胞で処理されたテスト群4及び実施例1におけるキメラ抗原受容体発現細胞及び化学療法薬で処理されたテスト群5という6つの群に分けた。化学療法薬として、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の群でドキソルビシン(200nM)を、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの群でテモゾロマイド(80μg/ml)を、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1の群でゲムシタビン(20μM)を、ヒト卵巣癌細胞株SKOV3の群でカルボプラチン(20μM)を使用した。テスト群4及びテスト群5で処理された実施例1におけるキメラ抗原受容体発現細胞の細胞数は1×105cellsであり、テスト群2及びテスト群3で処理された親代NK−92細胞株の細胞数も1×105cellsであった。更に処理された各組の細胞をAnnexin V−FITC及び核酸染料propidium iodide(PI)で細胞染色し、且つフローサイトメーターでアポトーシス及び死亡の状況を検出し、且つAnnexin V−FITC及び/又はPIに染まった細胞の百分率(つまり、二変量フローサイトメーター散布図における第1象限、第2象限及び第3象限での細胞百分率)の合計を算出することで細胞殺傷作用を取得した。各群に対して独立した試験を3回繰り返した後で、細胞殺傷作用の結果を統計した。
【0034】
本発明の実施例1におけるキメラ抗原受容体発現細胞が腫瘍細胞死亡を誘導する分析結果図である
図4A、
図4B、
図4C、
図4D、
図4E及び
図4Fを参照されたい。
図4Aは、実施例1のキメラ抗原受容体発現細胞がヒト乳癌細胞株MDA−MB−231死亡を誘導する分析結果図である。
図4Bは、
図4Aの試験を3回繰り返した後の統計図である。
図4Cは、実施例1のキメラ抗原受容体発現細胞がヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRG死亡を誘導する分析結果図である。
図4Dは、
図4Cの試験を3回繰り返した後の統計図である。
図4Eは、実施例1のキメラ抗原受容体発現細胞がヒト膵臓癌細胞株AsPC1死亡を誘導する分析結果図である。
図4Fは、
図4Eの試験を3回繰り返した後の統計図である。
図4Gは、実施例1のキメラ抗原受容体発現細胞がヒト卵巣癌細胞株SKOV3死亡を誘導する分析結果図である。
図4Hは、
図4Gの試験を3回繰り返した後の統計図である。
図4Iは、
図4A、
図4C、
図4E及び
図4Gの試験を3回繰り返した後の統計図である。図面において、Pは親代NK−92細胞株を示し、Hは実施例1のキメラ抗原受容体発現細胞を示し、Hはドキソルビシンを示し、Tはテモゾロマイドを示し、Gはゲムシタビンを示し、Cはカルボプラチンを示す。
【0035】
図4A及び
図4Bの結果から分かるように、処理されていない制御群で、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の約10%のみが死亡したことが見られ、ドキソルビシンで処理されたテスト群1及び親代NK−92細胞株で処理されたテスト群2で、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の死亡率が増加したが、統計的な差はなかった。親代NK−92細胞株及びドキソルビシンで処理されたテスト群3は、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の死亡率が40%まで向上することができ、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.05)があった。実施例1のキメラ抗原受容体発現細胞で処理されたテスト群4により誘導されたヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の死亡率が約60%に達することができ、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.001)があった。なお、実施例1のキメラ抗原受容体発現細胞及びドキソルビシンで処理されたテスト群5により誘導されたヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の死亡率が更に約80%に高く達することができ、テスト群4と比べて統計的な差(p<0.05)があり、テスト群3と比べて統計的な差(p<0.01)もあった。
【0036】
図4C及び
図4Dの結果から分かるように、処理されていない制御群で、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの10%未満のみが死亡したことが見られ、テモゾロマイドで処理されたテスト群1及び親代NK−92細胞株で処理されたテスト群2で、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの死亡率が増加したが、統計的な差はなかった。親代NK−92細胞株及びテモゾロマイドで処理されたテスト群3は、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの死亡率が40%まで向上することができ、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.05)があった。実施例1のキメラ抗原受容体発現細胞で処理されたテスト群4により誘導されたヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの死亡率は60%を超えることができ、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.001)があった。なお、実施例1のキメラ抗原受容体発現細胞及びテモゾロマイドで処理されたテスト群5により誘導されたヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの死亡率が更に80%を超えることができ、テスト群4と比べて統計的な差(p<0.05)があり、テスト群3と比べて統計的な差(p<0.001)もあった。
【0037】
図4E及び
図4Fの結果から分かるように、処理されていない制御群で、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1の10%未満のみが死亡したことが見られ、ゲムシタビンで処理されたテスト群1及び親代NK−92細胞株で処理されたテスト群2で、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1の死亡率が増加したが、統計的な差はなかった。親代NK−92細胞株及びゲムシタビンを処理するテスト群3は、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1の死亡率が約30%まで向上することができるが、依然として統計的な差はなかった。実施例1のキメラ抗原受容体発現細胞で処理されたテスト群4により誘導されたヒト膵臓癌細胞株AsPC1の死亡率が40%に近くすることができ、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.01)があった。なお、実施例1のキメラ抗原受容体発現細胞及びゲムシタビンで処理されたテスト群5により誘導されたヒト膵臓癌細胞株AsPC1の死亡率が約60%に更に達し、テスト群4と比べて統計的な差(p<0.001)があり、テスト群3と比べて統計的な差(p<0.001)もあった。
【0038】
図4G及び
図4Hの結果から分かるように、処理されていない制御群で、ヒト卵巣癌細胞株SKOV3の10%未満のみが死亡したことが見られ、カルボプラチンで処理されたテスト群1及び親代NK−92細胞株で処理されたテスト群2で、ヒト卵巣癌細胞株SKOV3の死亡率が増加したが、統計的な差はなかった。親代NK−92細胞株及びカルボプラチンで処理されたテスト群3は、ヒト卵巣癌細胞株SKOV3の死亡率が約30%まで向上することができ、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.05)があった。実施例1のキメラ抗原受容体発現細胞で処理されたテスト群4により誘導されたヒト卵巣癌細胞株SKOV3の死亡率が40%に近くすることができ、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.01)があった。なお、実施例1のキメラ抗原受容体発現細胞及びカルボプラチンで処理されたテスト群5により誘導されたヒト卵巣癌細胞株SKOV3の死亡率が約60%に更に達し、テスト群4と比べて統計的な差(p<0.05)があり、テスト群3と比べて統計的な差(p<0.01)もあった。
【0039】
図4Iの結果から分かるように、実施例1で処理されたキメラ抗原受容体発現細胞は、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRG、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1及びヒト卵巣癌細胞株SKOV3の何れに対しても優れた殺傷作用を果たすため、本発明のキメラ抗原受容体発現細胞は、哺乳類動物の腫瘍細胞の死亡誘導用薬物を調製することに用いることができる。好ましくは、前記腫瘍細胞は、乳癌細胞、多形性膠芽腫の腫瘍細胞、膵臓癌細胞又は卵巣癌細胞であってよい。なお、実施例1のキメラ抗原受容体発現細胞及び化学療法薬を同時に処理すれば、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRG、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1及びヒト卵巣癌細胞株SKOV3に対する殺傷作用がより顕著であり、本発明におけるがん治療用の医薬組成物は、腫瘍細胞を効果的に殺して更に癌を治療することができることが示された。好ましくは、本発明におけるがん治療用の医薬組成物は、化学療法薬を更に含んでよい。前記化学療法薬は、ドキソルビシン、テモゾロマイド、ゲムシタビン及びカルボプラチンを含んでよいが、それらに制限されない。
【0040】
2.2.実施例2
本試験例では、本発明のキメラ抗原受容体を第1世代ナチュラルキラー細胞に形質導入することで、本発明の実施例2におけるキメラ抗原受容体発現細胞を取得することができ、更に得られた実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞をフローサイトメトリーでそのキメラ抗原受容体の発現量を分析した。本発明の実施例2におけるキメラ抗原受容体発現細胞のキメラ抗原受容体の発現量分析図である
図5を参照されたい。
図5では、それぞれ本発明のキメラ抗原受容体の形質導入されていない親代第1世代ナチュラルキラー細胞のキメラ抗原受容体の発現量分析図であり、及び実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞の形質導入後の3日目及び7日目のキメラ抗原受容体の発現量分析図である。
図5のデータから分かるように、親代第1世代ナチュラルキラー細胞の平均蛍光強度は22.09%であり、実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞の形質導入後の3日目及び7日目の平均蛍光強度がそれぞれ29.02%及び50.21%に達することができるので、実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞は、確実に本発明のキメラ抗原受容体を安定に発現することができることが示された。
【0041】
本発明の実施例2におけるキメラ抗原受容体発現細胞及び本発明の実施例2におけるキメラ抗原受容体発現細胞を含むがん治療用の医薬組成物の乳癌細胞、多形性膠芽腫の腫瘍細胞、膵臓癌細胞及び卵巣癌細胞の死亡に対する誘導効果を更にテストした。
【0042】
まず、それぞれヒト乳癌細胞株MDA−MB−231、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRG、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1及びヒト卵巣癌細胞株SKOV3を1×105cells/wellの密度で12ウェルプレートに植え、更に48時間培養した後で試験した。試験上で、各種の腫瘍細胞を、それぞれ処理されていない制御群、化学療法薬で処理されたテスト群1、親代第1世代ナチュラルキラー細胞で処理されたテスト群2、親代第1世代ナチュラルキラー細胞及び化学療法薬で処理されたテスト群3、実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞で処理されたテスト群4及び実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞及び化学療法薬で処理されたテスト群5という6つの群に分けた。化学療法薬として、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の群でドキソルビシン(200nM)を、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの群でテモゾロマイド(80μg/ml)を、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1の群でゲムシタビン(20μM)を、ヒト卵巣癌細胞株SKOV3の群でカルボプラチン(20μM)を使用した。テスト群4及びテスト群5で、処理された実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞の細胞数は1×105cellsであり、テスト群2及びテスト群3で処理された親代第1世代ナチュラルキラー細胞の細胞数も1×105cellsであった。更に処理された各組の細胞をAnnexin V−FITC及びPIで細胞染色し、且つAnnexin V−FITC及び/又はPIに染まった細胞の百分率の合計を算出することで細胞殺傷作用を取得した。各群に対して独立した試験を3回繰り返した後で、細胞殺傷作用の結果を統計した。
【0043】
本発明の実施例2におけるキメラ抗原受容体発現細胞が腫瘍細胞死亡を誘導する分析結果図である
図6A、
図6B、
図6C、
図6D、
図6E、
図6F、
図6G、
図6H及び
図6Iを参照されたい。
図6Aは、実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞がヒト乳癌細胞株MDA−MB−231死亡を誘導する分析結果図である。
図6Bは、
図6Aの試験を3回繰り返した後の統計図である。
図6Cは、実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞がヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRG死亡を誘導する分析結果図である。
図6Dは、
図6Cの試験を3回繰り返した後の統計図である。
図6Eは、実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞がヒト膵臓癌細胞株AsPC1死亡を誘導する分析結果図である。
図6Fは、
図6Eの試験を3回繰り返した後の統計図である。
図6Gは、実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞がヒト卵巣癌細胞株SKOV3死亡を誘導する分析結果図である。
図6Hは、
図6Gの試験を3回繰り返した後の統計図である。
図6Hは、
図6Gの統計図である。
図6Iは、
図6A、
図6C、
図6E及び
図6Gの試験を3回繰り返した後の統計図である。図面において、Pは親代第1世代ナチュラルキラー細胞を示し、Hは実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞を示し、Hはドキソルビシンを示し、Tはテモゾロマイドを示し、Gはゲムシタビンを示し、Cはカルボプラチンを示す。
【0044】
図6A及び
図6Bの結果から分かるように、処理されていない制御群で、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の約10%のみが死亡したことが見られ、ドキソルビシンで処理されたテスト群1及び親代第1世代ナチュラルキラー細胞で処理されたテスト群2で、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の死亡率が増加したが、統計的な差はなかった。親代第1世代ナチュラルキラー細胞及びドキソルビシンで処理されたテスト群3で、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の死亡率が約30%まで向上することができ、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.05)があった。実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞で処理されたテスト群4により誘導されたヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の死亡率が50%を超え、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.01)があった。なお、実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞及びドキソルビシンで処理されたテスト群5により誘導されたヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の死亡率は更に約80%に達することができ、テスト群4と比べて統計的な差(p<0.05)があり、テスト群3と比べて統計的な差(p<0.01)もあった。
【0045】
図6C及び
図6Dの結果から分かるように、処理されていない制御群で、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの10%未満のみが死亡したことが見られ、テモゾロマイドで処理されたテスト群1及び親代第1世代ナチュラルキラー細胞で処理されたテスト群2で、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの死亡率が増加したが、統計的な差はなかった。親代第1世代ナチュラルキラー細胞及びテモゾロマイドで処理されたテスト群3で、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの死亡率がほぼ30%に向上されることができる。実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞で処理されたテスト群4により誘導されたヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの死亡率が20%を超えることができ、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.05)があった。なお、実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞及びテモゾロマイドで処理されたテスト群5により誘導されたヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの死亡率が60%に近くすることができ、テスト群4と比べて統計的な差(p<0.01)があり、テスト群3と比べて統計的な差(p<0.05)もあった。
【0046】
図6E及び
図6Fの結果から分かるように、処理されていない制御群で、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1の10%未満のみが死亡したことが見られ、ゲムシタビンで処理されたテスト群1及び親代第1世代ナチュラルキラー細胞で処理されたテスト群2で、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1の死亡率が増加したが、統計的な差はなかった。親代第1世代ナチュラルキラー細胞及びゲムシタビンで処理されたテスト群3で、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1の死亡率が約30%まで向上することができ、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.05)があった。実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞で処理されたテスト群4により誘導されたヒト膵臓癌細胞株AsPC1の死亡率が約20%であり、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.01)があった。なお、実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞及びゲムシタビンで処理されたテスト群5により誘導されたヒト膵臓癌細胞株AsPC1は、死亡率が更に約50%に達し、テスト群4と比べて統計的な差(p<0.01)があり、テスト群3と比べて統計的な差(p<0.05)もあった。
【0047】
図6G及び
図6Hの結果から分かるように、処理されていない制御群で、ヒト卵巣癌細胞株SKOV3の10%未満のみが死亡したことが見られ、カルボプラチンで処理されたテスト群1で、ヒト卵巣癌細胞株SKOV3の死亡率が増加したが、統計的な差はなかった。親代第1世代ナチュラルキラー細胞で処理されたテスト群2の細胞殺傷作用は、制御群と相当であった。親代第1世代ナチュラルキラー細胞及びカルボプラチンで処理されたテスト群3で、ヒト卵巣癌細胞株SKOV3の死亡率が20%を超えることができ、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.05)があった。実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞で処理されたテスト群4により誘導されたヒト卵巣癌細胞株SKOV3の死亡率が約20%であり、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.05)があった。なお、実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞及びカルボプラチンで処理されたテスト群5により誘導されたヒト卵巣癌細胞株SKOV3の死亡率が更にほぼ50%に達することができ、テスト群4と比べて統計的な差(p<0.01)があり、テスト群3と比べて統計的な差(p<0.05)もあった。
【0048】
図6Iの結果から分かるように、実施例2で処理されたキメラ抗原受容体発現細胞が乳癌細胞、多形性膠芽腫の腫瘍細胞、膵臓癌細胞又は卵巣癌細胞に対して優れた殺傷作用を果たすため、本発明のキメラ抗原受容体発現細胞は、哺乳類動物の腫瘍細胞の死亡誘導用薬物を調製することに用いることができる。なお、実施例2のキメラ抗原受容体発現細胞及び化学療法薬を同時に処理すれば、乳癌細胞、多形性膠芽腫の腫瘍細胞、膵臓癌細胞又は卵巣癌細胞に対する殺傷作用がより顕著であり、本発明におけるがん治療用の医薬組成物は、好ましくは化学療法薬を含んでよく、腫瘍細胞を効果的に殺して更に癌を治療することができることが示された。
【0049】
2.3.実施例3
本試験例では、本発明のキメラ抗原受容体を第1世代T細胞に形質導入することで、本発明の実施例3におけるキメラ抗原受容体発現細胞を取得することができ、更に得られた実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞のキメラ抗原受容体の発現量をフローサイトメトリーで分析した。本発明の実施例3におけるキメラ抗原受容体発現細胞のキメラ抗原受容体の発現量分析図である
図7を参照されたい。
図7ではそれぞれ本発明のキメラ抗原受容体を形質導入しない第1世代T細胞のキメラ抗原受容体の発現量分析図であり、及び実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞の形質導入後の3日目及び7日目のキメラ抗原受容体の発現量分析図である。
図7のデータから分かるように、第1世代T細胞の平均蛍光強度は9.36%だけであり、実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞が形質導入後の3日目及び7日目の平均蛍光強度がそれぞれ34.1%及び88.64%に達することができるので、実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞は、確実に本発明のキメラ抗原受容体を安定に発現することができることが示された。
【0050】
本発明の実施例3におけるキメラ抗原受容体発現細胞及び本発明の実施例3におけるキメラ抗原受容体発現細胞を含むがん治療用の医薬組成物の乳癌細胞、多形性膠芽腫の腫瘍細胞、膵臓癌細胞及び卵巣癌細胞の死亡に対する誘導効果を更にテストした。
【0051】
まず、それぞれヒト乳癌細胞株MDA−MB−231、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRG、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1及びヒト卵巣癌細胞株SKOV3を1×105cells/wellの密度で12ウェルプレートに植え、更に48時間培養した後でテストした。試験上で、各種の腫瘍細胞を、それぞれ処理されていない制御群、化学療法薬で処理されたテスト群1、第1世代T細胞で処理されたテスト群2、第1世代T細胞及び化学療法薬で処理されたテスト群3、実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞で処理されたテスト群4及び実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞及び化学療法薬で処理されたテスト群5という6つの群に分けた。化学療法薬として、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の群でドキソルビシン(200nM)を、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの群でテモゾロマイド(80μg/ml)を、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1の群でゲムシタビン(20μM)を、ヒト卵巣癌細胞株SKOV3の群でカルボプラチン(20μM)を使用した。テスト群4及びテスト群5で、処理された実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞の細胞数は1×105cellsであり、テスト群2及びテスト群3で処理された第1世代T細胞の細胞数も1×105cellsであった。更に処理された各組の細胞をAnnexin V−FITC及びPIで細胞染色し、且つフローサイトメーターでアポトーシス及び死亡の状況を検出し、且つAnnexin V−FITC及び/又はPIに染まった細胞の百分率の合計を算出することで細胞殺傷作用を取得した。各群に対して独立した試験を3回繰り返した後で、細胞殺傷作用の結果を統計した。
【0052】
本発明の実施例3におけるキメラ抗原受容体発現細胞が腫瘍細胞の死亡を誘導する分析結果図である
図8A、
図8B、
図8C、
図8D、
図8E、
図8F、
図8G、
図8H及び
図8Iを参照されたい。
図8Aは、実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞がヒト乳癌細胞株MDA−MB−231死亡を誘導する分析結果図である。
図8Bは、
図8Aの試験を3回繰り返した後の統計図である。
図8Cは、実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞がヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRG死亡を誘導する分析結果図である。
図8Dは、
図8Cの試験を3回繰り返した後の統計図である。
図8Eは、実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞がヒト膵臓癌細胞株AsPC1死亡を誘導する分析結果図である。
図8Fは、
図8Eの試験を3回繰り返した後の統計図である。
図8Gは、実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞がヒト卵巣癌細胞株SKOV3死亡を誘導する分析結果図である。
図8Hは、
図8Gの統計図である。
図8Hは、
図8Gの統計図である。
図8Iは、
図8A、
図8C、
図8E及び
図8Gの試験を3回繰り返した後の統計図である。図面において、Pは親代第1世代T細胞を示し、Hは実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞を示し、Hはドキソルビシンを示し、Tはテモゾロマイドを示し、Gはゲムシタビンを示し、Cはカルボプラチンを示す。
【0053】
図8A及び
図8Bの結果から分かるように、処理されていない制御群で、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の約10%のみが死亡したことが見られ、ドキソルビシンで処理されたテスト群1及び親代第1世代T細胞で処理されたテスト群2で、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の死亡率が増加したが、統計的な差はなかった。親代第1世代T細胞及びドキソルビシンで処理されたテスト群3で、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の死亡率が約20%まで向上することができ、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.01)があった。実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞で処理されたテスト群4により誘導されたヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の死亡率が30%を超え、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.001)があった。なお、実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞及びドキソルビシンで処理されたテスト群5により誘導されたヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の死亡率が更にほぼ50%に達することができ、テスト群4と比べて統計的な差(p<0.05)があり、テスト群3と比べて統計的な差(p<0.001)もあった。
【0054】
図8C及び
図8Dの結果から分かるように、処理されていない制御群で、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの20%未満のみが死亡したことが見られ、テモゾロマイドで処理されたテスト群1及び親代第1世代T細胞で処理されたテスト群2で、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの死亡率が増加したが、統計的な差はなかった。親代第1世代T細胞及びテモゾロマイドで処理されたテスト群3で、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの死亡率が30%まで向上することができるが、依然として統計的な差はなかった。実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞で処理されたテスト群4により誘導されたヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの死亡率が50%を超えることができ、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.001)があった。なお、実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞及びテモゾロマイドで処理されたテスト群5により誘導されたヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの死亡率が更にほぼ80%に近くすることができ、テスト群4と比べて統計的な差(p<0.05)があり、テスト群3と比べて統計的な差(p<0.001)もあった。
【0055】
図8E及び
図8Fの結果から分かるように、処理されていない制御群で、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1の20%未満のみが死亡したことが見られ、ゲムシタビンで処理されたテスト群1でヒト膵臓癌細胞株AsPC1の死亡率が増加したが、統計的な差はなかった。親代第1世代T細胞で処理されたテスト群2で、その細胞殺傷作用は制御群に相当する。親代第1世代T細胞及びゲムシタビンで処理されたテスト群3で、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1の死亡率が30%以上まで向上することができ、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.05)があった。実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞で処理されたテスト群4により誘導されたヒト膵臓癌細胞株AsPC1の死亡率が50%以上まで向上することができ、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.001)があった。なお、実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞及びゲムシタビンで処理されたテスト群5により誘導されたヒト膵臓癌細胞株AsPC1の死亡率が約60%に更に達し、テスト群4と比べて統計的な差(p<0.01)があり、テスト群3と比べて統計的な差(p<0.01)もあった。
【0056】
図8G及び
図8Hの結果から分かるように、処理されていない制御群で、ヒト卵巣癌細胞株SKOV3の10%未満のみが死亡したことが見られ、カルボプラチンで処理されたテスト群1及び親代第1世代T細胞で処理されたテスト群2で、ヒト卵巣癌細胞株SKOV3の死亡率が増加したが、統計的な差はなかった。親代第1世代ナチュラルキラー細胞及びカルボプラチンで処理されたテスト群3で、ヒト卵巣癌細胞株SKOV3の死亡率が約30%に達することができ、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.05)があった。実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞で処理されたテスト群4により誘導されたヒト卵巣癌細胞株SKOV3の死亡率がほぼ60%に達することができ、テスト群2と比べて統計的な差(p<0.001)があった。なお、実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞及びカルボプラチンで処理されたテスト群5により誘導されたヒト卵巣癌細胞株SKOV3の死亡率が60%以上に達することができ、テスト群4と比べて統計的な差(p<0.05)があり、テスト群3と比べて統計的な差(p<0.001)もあった。
【0057】
図8Iの結果から分かるように、実施例3で処理されたキメラ抗原受容体発現細胞が乳癌細胞、多形性膠芽腫の腫瘍細胞、膵臓癌細胞又は卵巣癌細胞に対して優れた殺傷作用を果たすため、本発明のキメラ抗原受容体発現細胞哺は、乳類動物の腫瘍細胞の死亡誘導用薬物を調製することに用いることができる。なお、実施例3のキメラ抗原受容体発現細胞及び化学療法薬を同時に処理すれば、乳癌細胞、多形性膠芽腫の腫瘍細胞、膵臓癌細胞又は卵巣癌細胞に対する殺傷作用がより顕著であり、本発明におけるがん治療用の医薬組成物は、好ましくは化学療法薬を含んでよく、腫瘍細胞を効果的に殺して更に癌を治療することができることが示された。
【0058】
2.4.化学療法薬の処理による、腫瘍細胞の細胞膜でのヒト白血球抗原Gの発現の増加
本試験例では、本発明におけるキメラ抗原受容体発現細胞及び化学療法薬を同時に処理する群がより優れた腫瘍細胞の殺傷効果を有する原因を更に検討した。
【0059】
まず、それぞれヒト乳癌細胞株MDA−MB−231、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRG、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1及びヒト卵巣癌細胞株SKOV3を2×105cells/wellの密度で6ウェルプレートに植え、更に次の日まで培養して細胞付着の後でテストした。試験上で、各種の腫瘍細胞は、それぞれ処理されていない制御群及び化学療法薬で48時間処理したテスト群である2つの群に分かれた。化学療法薬として、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の群でドキソルビシン(200nM)を、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの群でテモゾロマイド(80μg/ml)を、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1の群でゲムシタビン(20μM)を、ヒト卵巣癌細胞株SKOV3の群でカルボプラチン(20μM)を使用した。更に処理された各組の腫瘍細胞を免疫蛍光染色法及びフローサイトメーターで腫瘍細胞の細胞表面でのヒト白血球抗原Gの発現を検出した。
【0060】
腫瘍細胞化学療法を受けたHLA−G発現量を分析する免疫蛍光染色結果図である
図9A、
図9B、
図9C、
図9D、
図9E、
図9F、
図9G、
図9H及び添付ファイル1〜8を参照されたい。添付ファイル1は、
図9Aのカラー図面である。添付ファイル2は、
図9Bのカラー図面である。添付ファイル3は、
図9Cのカラー図面である。添付ファイル4は、
図9Dのカラー図面である。添付ファイル5は、
図9Eのカラー図面である。添付ファイル6は、
図9Fのカラー図面である。添付ファイル7は、
図9Gのカラー図面である。添付ファイル8は、
図9Hのカラー図面である。
図9Aは、制御群のヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の免疫蛍光染色結果図である。
図9Bは、ドキソルビシンで処理されたヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の免疫蛍光染色結果図である。
図9Cは、制御群のヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの免疫蛍光染色結果図である。
図9Dは、テモゾロマイドで処理されたヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの免疫蛍光染色結果図である。
図9Eは、制御群のヒト膵臓癌細胞株AsPC1の免疫蛍光染色結果図である。
図9Fは、ゲムシタビンで処理されたヒト膵臓癌細胞株AsPC1の免疫蛍光染色結果図である。
図9Gは、制御群のヒト卵巣癌細胞株SKOV3の免疫蛍光染色結果図である。
図9Hは、カルボプラチンで処理されたヒト卵巣癌細胞株SKOV3の免疫蛍光染色結果図である。Pan−cadherinは上皮間葉系細胞形質転換関連タンパク質であり、細胞膜の位置を示すことができ、細胞核の位置をDAPIの染色結果で示す(青色の蛍光箇所)。
【0061】
図9A、
図9Bの結果から分かるように、ドキソルビシンの処理は、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の細胞膜上でヒト白血球抗原Gの発現を増加することができる。
図9C及び
図9Dの結果から分かるように、テモゾロマイドの処理は、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの細胞膜上でヒト白血球抗原Gの発現を増加することができる。
図9E及び
図9Fの結果から分かるように、ゲムシタビンの処理は、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1の細胞膜上でヒト白血球抗原Gの発現を増加することができる。
図9G及び
図9Hの結果から分かるように、カルボプラチンの処理は、ヒト卵巣癌細胞株SKOV3の細胞膜上でヒト白血球抗原Gの発現を増加することができる。
【0062】
腫瘍細胞化学療法を受けたHLA−G発現量のフローサイトメトリーの分析結果図である
図10A、
図10B、
図10C、
図10D及び
図10Eを更に参照されたい。
図10Aは、ヒト乳癌細胞株MDA−MB−231のフローサイトメトリー分析結果図である。
図10Bは、ヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGのフローサイトメトリー分析結果図である。
図10Cは、ヒト膵臓癌細胞株AsPC1のフローサイトメトリー分析結果図である。
図10Dは、ヒト卵巣癌細胞株SKOV3のフローサイトメトリー分析結果図である。
図10Eは、
図10A〜
図10Dの統計図である。
【0063】
図10A〜
図10Eの結果から分かるように、制御群のヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の平均蛍光強度が12.27%だけであり、テスト群のヒト乳癌細胞株MDA−MB−231の平均蛍光強度が64.45%まで増加し、統計的な差(p<0.001)があった。制御群のヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの平均蛍光強度が14.01%だけであり、テスト群のヒト悪性脳腫瘍細胞株DBTRGの平均蛍光強度が22.33%であり、統計的な差(p<0.001)があった。制御群のヒト膵臓癌細胞株AsPC1の平均蛍光強度が13.18%だけであり、テスト群のヒト膵臓癌細胞株AsPC1の平均蛍光強度が41.44%まで増加することができ、統計的な差(p<0.01)があった。制御群のヒト卵巣癌細胞株SKOV3の平均蛍光強度が14.69%だけであり、テスト群のヒト卵巣癌細胞株SKOV3の平均蛍光強度が38.58%であり、統計的な差(p<0.01)があった。
【0064】
図9A〜
図10Eの結果から分かるように、化学療法薬の処理が腫瘍細胞の細胞膜上でのヒト白血球抗原Gの発現を増加することができ、本発明のキメラ抗原受容体発現細胞の発現されたキメラ抗原受容体がヒト白血球抗原Gに特異的に結合されることができるため、化学療法薬を処理した後で更に本発明のキメラ抗原受容体発現細胞を処理し、又は本発明のキメラ抗原受容体発現細胞及び化学療法薬を同時に処理すれば、より優れた腫瘍細胞の殺傷効果を有する。
【0065】
本発明のキメラ抗原受容体が本発明のキメラ抗原受容体発現細胞質膜内での理論構造及び作用機序模式図である
図11を参照されたい。本発明のキメラ抗原受容体発現細胞は、遺伝子プロセスで修飾されたナチュラルキラー細胞又はT細胞であり、本発明のキメラ抗原受容体を発現するが、本発明のキメラ抗原受容体は、抗HLA−G抗体(scFv)、HLA−G受容体(KIR)及び共刺激ドメイン(DAP12)からなる腫瘍標的受容体複合体であり、好ましくは、自殺タンパク質−iCas9を更に含んでよい。本発明のキメラ抗原受容体発現細胞は、腫瘍細胞膜上でのヒト白血球抗原Gを特異的に認識して、更に腫瘍細胞を殺傷する作用を奏することができる。好ましくは、腫瘍細胞に化学療法薬を処理する時に、腫瘍細胞質膜上でのヒト白血球抗原Gの発現を正に調節することができ、本発明のキメラ抗原受容体発現細胞と腫瘍細胞表面に特異的に識別したヒト白血球抗原Gを結合した後でシグナル伝達をトリガーし、シグナルカスケードを生成して本発明のキメラ抗原受容体発現細胞の活性化及び増殖を引き起こし、更に溶解した粒子のエキソサイトーシスを誘発して且つ標的とする腫瘍細胞を殺す。
【0066】
以上のように、本発明のキメラ抗原受容体は、優れた腫瘍細胞に対する特異的結合の能力を有し、特に、腫瘍細胞の細胞膜上で発現されたヒト白血球抗原Gに対する特異的結合の能力を有するので、本発明のキメラ抗原受容体を発現するキメラ抗原受容体発現細胞が特異的に腫瘍細胞を標的として、オフターゲット効果を避けて、更に腫瘍細胞を効果的に殺すため、哺乳類動物の腫瘍細胞の死亡誘導用薬物を調製することに用いることができる。本発明におけるがん治療用の医薬組成物は、本発明のキメラ抗原受容体発現細胞を含み、腫瘍細胞を効果的に殺して更に癌を治療することができる。化学療法薬を更に含むがん治療用の医薬組成物は、更に腫瘍細胞の細胞膜がヒト白血球抗原Gを大量に発現することを誘導することができるため、キメラ抗原受容体発現細胞の腫瘍細胞に対する殺傷作用を強化することができるため、より優れた腫瘍細胞に対する殺傷作用を有する。
【0067】
本発明の実施形態を前述の通りに開示したが、これは、本発明を限定するものではなく、当業者なら誰でも、本発明の精神と範囲から逸脱しない限り、多様の変更や修正を加えることができるので、本発明の保護範囲は、下記添付の特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【課題】キメラ抗原受容体、単離された核酸、キメラ抗原受容体発現プラスミド、キメラ抗原受容体発現細胞、がん治療用の医薬組成物及びキメラ抗原受容体発現細胞の使用を提供する。
【解決手段】キメラ抗原受容体は、ヒト白血球抗原Gに特異的に結合される。核酸は、前記キメラ抗原受容体をコードする。キメラ抗原受容体発現プラスミドは、前記キメラ抗原受容体を発現することができる。キメラ抗原受容体発現細胞は、キメラ抗原受容体を免疫細胞に形質導入することで得られる。がん治療用の医薬組成物は、キメラ抗原受容体発現細胞及び薬学的に許容される担体を含む。これによって、キメラ抗原受容体発現細胞は、哺乳類動物の腫瘍細胞の死亡を誘導することに用いることができる。