(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下、本発明に係る遊技用装置と、遊技用装置を備える遊技場システム、及び遊技情報算出方法の好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0006】
[遊技場システム及び遊技用装置]
本実施形態に係る遊技場システム1は、
図1に示すように、遊技機10、台間機20、台コンピュータ30、島コンピュータ40、持玉管理装置50、ホールコンピュータ60を備えている。
これらの装置は、所定のネットワーク(例えば、ローカル・エリア・ネットワーク)を介して接続され、遊技機10や台間機20から出力された遊技に関する信号が、台コンピュータ30等を介してホールコンピュータ60又は持玉管理装置50へ送信されるようになっている。
以下、遊技場システム1を構成する各装置について詳述する。
【0007】
遊技機10は、スロットマシン10a、パチンコ機10b、パロット、アレンジボール、雀球等、メダルや遊技球等の遊技媒体を使用して所定の遊技を実行する各種の遊技機が挙げられる。
【0008】
この遊技機10が実行可能な遊技の状態には、遊技媒体を所定の割合で費やす通常遊技状態と、この通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な遊技状態である特定遊技状態とがある。
遊技機10がスロットマシン10aの場合、このスロットマシン10aが実行可能な特定遊技状態には、例えば、レギュラーボーナスゲーム(RB)、ビッグボーナスゲーム(BB)、アシストタイム(AT)、リプレイタイム(RT)、アシストリプレイタイム(ART)などがある。
レギュラーボーナスゲーム(RB)とは、内部抽選の結果、RBに当選すると、そのゲーム又は次回以降のゲームで所定条件が成立することで、出玉の上限値で規定されたボーナスゲームと呼ばれる特定遊技状態が開始し、そのボーナスゲーム中は、少量の払出のある小役に高確率で当選するようになっており、例えば百枚以上の遊技媒体が払い出される遊技状態をいう。
ビッグボーナスゲーム(BB)とは、内部抽選の結果、BBに当選すると、そのゲーム又は次回以降のゲームで所定条件が成立することでボーナスゲーム(特定遊技状態)が開始し、このボーナスゲーム中は、少量の払出のある小役に高確率で当選するようになっており、例えば数百枚の大量の遊技媒体が払い出されるようにゲームが制御される遊技状態をいう。
【0009】
アシストタイム(AT)とは、リールの停止順や当選した小役に対応する図柄の組合せを遊技者に報知することで、その停止順で停止ボタンが押された場合等に所定の入賞配列が揃う遊技状態をいう。
リプレイタイム(RT)とは、メダルの投入なしで次回のゲームが行えるリプレイ役(再遊技)が高確率で揃う遊技状態をいう。
アシストリプレイタイム(ART)とは、再遊技が高確率で発生するとともに、液晶表示器やランプなどによって、当選した小役に対応する図柄の組合せやリールの停止順が報知(アシスト)される遊技状態をいう。
このように、スロットマシン10aは、一又は複数種類の特定遊技状態を実行可能となっている。
【0010】
また、遊技機10がパチンコ機10bの場合、このパチンコ機10bが実行可能な特定遊技状態には、特別遊技状態と、確変状態と、時短状態がある。
特別遊技状態とは、盤面に配設された始動口に入賞した遊技球を検出することで抽選を行い、この抽選の結果、大当りになると移行する遊技状態であって、盤面に配設され扉状に形成された大入賞口が所定時間及び所定回数開放されて、遊技球の入賞率が高まる遊技状態をいう。
【0011】
確変状態とは、パチンコ機10bの大当り抽選確率が上昇した状態をいう。
時短状態とは、盤面中央の図柄表示手段の図柄が特定の組合せで停止すると、通常の大当り状態が発生するとともに、次回の大当りが発生するまでの間又は所定の回数、図柄表示手段の図柄の変動時間が短縮されるというもので、通常より多くの図柄抽選が行われることによって、次回の大当りを発生し易くするものをいう。
このように、パチンコ機10bは、一又は複数種類の特定遊技状態を実行可能となっている。
【0012】
さらに、遊技機10は、稼動に伴って生成する遊技信号を出力可能に構成されており、例えば、遊技機10がスロットマシン10aの場合には、例えば、遊技媒体であるメダルの投入数を示すメダル投入信号、メダルの払出数を示すメダル払出信号、ビッグボーナスゲームであることを示すBB信号、レギュラーボーナスゲームであることを示すRB信号、ARTであることを示すART信号などを、遊技信号として出力する。
【0013】
また、遊技機10がパチンコ機10bの場合には、このパチンコ機10bに投入された遊技球の数を示す投入信号であるアウト信号、パチンコ機10bから払出された遊技球の数を示す払出信号であるセーフ信号、所定の大当り状態を示す特賞信号、確変状態を示す確変信号、時短状態を示す時短信号、所定の可変表示装置の変動・停止ごとに出力されるスタート信号などを、遊技信号として出力する。
なお、アウト信号は、通常、遊技機10に取り付けられたアウトタンク(図示せず)から出力されるが、本実施形態においては、「遊技機10からアウト信号を出力する(又は、送信する)」という表現の中に、アウトタンクからのアウト信号の出力(又は、送信)が含まれるものとする。
【0014】
台間機20は、遊技機10ごとに設置された装置であって、プリペイドカード、会員カード(獲得した遊技媒体を預け入れ又は引き出し可能な貯玉会員カード)、ビジター用カード(遊技場に会員登録していない遊技者が使用可能なカード)などの挿入や現金の投入に基づいて所定数の遊技媒体を遊技者に貸し出す遊技媒体の貸出装置である。
台間機20は、投入された紙幣や硬貨などの現金を検知すると、その現金の金額を識別し、この金額を示す現金投入信号を、台コンピュータ30等を介して、持玉管理装置50やホールコンピュータ60へ送信する。
また、台間機20は、挿入されたカード(プリペイドカード、会員カード、ビジター用カードを含む)を検知すると、このカードからカードIDを読み取り、このカードIDを示すID信号を、持玉管理装置50やホールコンピュータ60へ送信する。
さらに、台間機20は、遊技媒体を貸し出すと、貸し出した遊技媒体の数量に対応した金額を示す売上信号を、持玉管理装置50やホールコンピュータ60へ送信する。
そして、台間機20は、カードの排出を検知すると、カード排出信号を、持玉管理装置50やホールコンピュータ60へ送信する。
【0015】
なお、
図1においては、スロットマシン10aに対応する台間機20がノズルを備えた構成となっているが、ノズルがない台間機20であってもよい。この場合、遊技媒体の貸出数を示す信号を台間機20から遊技機10へ出力し、その信号の示す貸出数の遊技媒体を遊技機10から払い出す構成とすることができる。
また、
図1においては、台間機20と台コンピュータ30とが直接接続されており、台間機20から出力された信号が台コンピュータ30に入力されるようになっているが、台間機20から出力された信号は、遊技機10を通して、台コンピュータ30へ送る構成とすることができる。さらに、遊技機10から出力された信号は、台間機20を通して、台コンピュータ30へ送る構成とすることもできる。
【0016】
また、台間機20に代えて各台計数機を備えることもできる。
各台計数機は、特に図示しないが、遊技機10の下皿から投下される遊技媒体を受け入れる投入口、遊技媒体を計数する計数部、計数結果を表示する表示部、計数結果をチケットや磁気カード又はICカード等に記録して発行する発行部等を備えている。
そして、各台計数機には、投入口から投入された遊技媒体をカウントする図示しないセンサが内蔵されており、このセンサにおける検出によって出力される計数信号を集計することで、計数値が算出され、この計数値がホールコンピュータ60や持玉管理装置50へ送信される。
また、各台計数機は、台間機20と同様、現金やカードを受け付けて遊技媒体を貸し出す機能を備えている。
【0017】
台コンピュータ30は、遊技機10ごとに設けられる情報処理装置であって、遊技機10や台間機20から入力される信号を島コンピュータ40に中継する中継装置として機能する。
島コンピュータ40は、複数の台コンピュータ30と接続される上位の情報処理装置であって、台コンピュータ30から入力される信号をホールコンピュータ60に中継する中継装置として機能する。
【0018】
持玉管理装置50は、複数の島コンピュータ40と接続される上位の情報処理装置であって、遊技者が遊技により獲得した遊技媒体の数量である持玉数などを管理する、いわゆる持玉サーバである。
ホールコンピュータ60は、複数の島コンピュータ40と接続される上位の情報処理装置であって、島コンピュータ40から入力される信号にもとづいて遊技に関する所定の情報を算出し、算出した所定の情報を遊技情報として集計管理する。
【0019】
これら遊技機10等は、遊技場に導入され、所定の通信ネットワークを介して接続されて、遊技場システム1として構成される。
遊技場には、
図1に示す各装置の他に、例えば、遊技媒体を遊技者に貸出すための遊技媒体貸出機、遊技媒体の数量を計数するための遊技媒体計数機、景品交換に関する情報を集計管理するPOS端末、遊技機や会員に関する情報を閲覧可能に表示する遊技情報表示装置、遊技に関するデータを表示するとともに点灯演出などを行う呼出ランプなど、遊技に関する各種装置を設置することができる。
これら各種装置と、
図1に示す装置や機器、具体的には、遊技機10、台間機20、台コンピュータ30、島コンピュータ40、持玉管理装置50、ホールコンピュータ60、その他遊技場システム1に接続可能な装置や機器を、総称して「遊技用装置」というものとする。
【0020】
そして、本実施形態の遊技用装置においては、遊技機10にて特定遊技状態が開始した時刻を開始時刻とし、特定遊技状態で遊技をしていた遊技者が当該遊技機10における遊技を終了した時刻を終了時刻としたときに、開始時刻から終了時刻までの時間を所要時間として算出し、遊技者が遊技により獲得した遊技媒体の数量を持玉数とし、終了時刻における遊技者の持玉数を算出し、所要時間と持玉数との関係をグラフ化して分析するようになっている。
これにより、遊技者が取得した持玉が、どの機種で何時間の遊技にて取得されたものであるかといった分析を的確に行うことができる。そして、遊技者の持玉数とこの持玉数を獲得するまでの所要時間を分析することで、どのような特性の機種が遊技者に支持されているかを把握できる。さらには、遊技場にて遊技者に好まれている遊技の特性を見つけ出して、適正な遊技機10の機種と台数を割り出すことができるようになっている。
以下、このような特徴的な機能を発揮する遊技用装置の例として、持玉管理装置50とホールコンピュータ60の構成について説明する。
【0021】
[持玉管理装置]
持玉管理装置50は、
図1、
図2に示すように、他の装置との間で所定の情報を送受信する通信部51と、所定のプログラムやデータを記憶可能な記憶手段(例えば、不揮発性ROMなど)である記憶部52と、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータとして動作する制御部53とを有している。
【0022】
通信部51は、他の装置、例えば遊技機10又は台間機20から出力された所定の信号を受信する。また、通信部51は、ホールコンピュータ60との間で所定の情報を送受信する。
【0023】
記憶部52は、遊技者が行った遊技に関する情報をまとめた遊技者遊技履歴データベースを記憶する。
遊技者遊技履歴データベースは、
図3に示すように、「日時」と、「台番号」と、「カードID」と、「残金」と、「持玉」と、「操作」と、「会員」とを項目として構成されている。
「日時」は、遊技者によるカードの挿入又は排出、現金の投入などの「操作」が行われた日付及び時刻を示す。
「台番号」は、「操作」が行われた遊技機10又は台間機20に付されている番号を示す。
「カードID」は、台間機20に挿入されたカードに付されている番号であって、当該カードを一意に特定する番号を示す。この「カードID」は、台間機20がカードから読み取った情報であり、台間機20から出力されて持玉管理装置50に送られてきた情報である。
【0024】
「残金」は、遊技者が台間機20に投入した現金の金額のうち、遊技媒体の貸出に用いられずに残っている金額である。
「持玉」は、遊技者が遊技により獲得した遊技媒体の数量である。この「持玉」は、遊技場が当該遊技者に貸し出した遊技媒体の数量に、当該遊技者による遊技により遊技機10が払い出した遊技媒体の数量を加算し、当該遊技者が遊技において遊技機10に投入した遊技媒体の数量を減算して得られた遊技媒体の数量とすることができる。
「操作」は、遊技者が遊技機10又は台間機20に対して行った行為である。具体的に、「操作」には、例えば、カードが挿入されたことを示す「挿入」、カードが排出されたことを示す「排出」、現金が投入されたことを示す「入金」などがある。
「会員」は、当該遊技者が会員であるか否かを示す。例えば、「○」は、当該遊技者が会員であることを示す。また、「×」は、当該遊技者が会員でないこと、つまり、ビジターであることを示す。ただし、会員が台間機20に会員カードを挿入することなく現金を投入して遊技を行った場合、「会員」には「×」が記録される。
なお、遊技者が遊技場の会員である場合には、「操作」には、会員カードが挿入されたことを示す「挿入」が記録されることになる。また、遊技者がビジターである場合には、「操作」には、現金が投入されたことを示す「入金」が記録されることになる。
【0025】
制御部53は、台間機20から送信されてきた現金投入信号を通信部51が受信すると、この現金投入信号が示す現金の金額を、遊技者遊技履歴データベースの「残金」に記録する(例えば、
図3に示した遊技者遊技履歴データベースにおいて「操作」が「入金」の欄を参照)。このとき、制御部53は、遊技者遊技履歴データベースの「操作」に「入金」を記録し、「日時」には、通信部51が現金投入信号を受信した日時を記録し、「台番号」には、その現金投入信号を送信してきた台間機20に対応する遊技機10の台番号を記録し、「持玉」には、「0」を記録し、「会員」には、「×」を記録し、「カードID」には、台間機20の中で待機しているカードのIDを記録する。
また、制御部53は、台間機20から送信されてきたID信号を通信部51が受信すると、このID信号が示すカードIDを、遊技者遊技履歴データベースの「カードID」に記録する(例えば、
図3に示した遊技者遊技履歴データベースにおいて「操作」が「挿入」の欄を参照)。このとき、制御部53は、遊技者遊技履歴データベースの「操作」に「挿入」を記録し、「日時」には、通信部51がID信号を受信した日時を記録し、「台番号」には、そのID信号を送信してきた台間機20に対応する遊技機10の台番号を記録し、「残金」と「持玉」には、それぞれ「0」を記録し、「会員」には、「○」(ただし、台間機20に挿入されたカードがビジター用カードの場合には「×」)を記録する。
【0026】
さらに、制御部53は、台間機20から送信されてきた売上信号を通信部51が受信すると、この売上信号が示す金額に相当する遊技媒体の貸出数を、遊技者遊技履歴データベースに記録する(
図3に示した遊技者遊技履歴データベースには図示せず)。このとき、制御部53は、遊技者遊技履歴データベースの「操作」に「貸出」を記録し、「日時」には、通信部51が売上信号を受信した日時を記録し、「台番号」には、その売上信号を送信してきた台間機20に対応する遊技機10の台番号を記録し、「カードID」には、その台間機20に挿入されているカードのカードIDを記録し、「残金」には、その時点での残金を記録する。
そして、制御部53は、台間機20から送信されてきたカード排出信号を通信部51が受信すると、カードが排出されたことを、遊技者遊技履歴データベースの「操作」に記録する(例えば、
図3に示した遊技者遊技履歴データベースにおいて「操作」が「排出」の欄を参照)。このとき、制御部53は、遊技者遊技履歴データベースの「操作」に「排出」を記録し、「日時」には、通信部51がカード排出信号を受信した日時を記録し、「台番号」には、そのカード排出信号を送信してきた台間機20に対応する遊技機10の台番号を記録し、「カードID」には、排出されたカードのカードIDを記録し、「残金」と「持玉」には、その時点での残金と持玉数とをそれぞれ記録し、「会員」には、「○」(ただし、台間機20から排出されたカードがビジター用カードの場合には「×」)を記録する。
【0027】
制御部53は、ホールコンピュータ60から所定の情報の送信を要求する送信要求信号を受けると、記憶部52に記憶されている遊技者遊技履歴データベースを参照し、所定の情報を取り出し、通信部51を介して、ホールコンピュータ60へ送信する。
【0028】
[ホールコンピュータ]
ホールコンピュータ60は、
図4に示すように、島コンピュータ40から出力された遊技情報を受信する受信手段である通信部61と、所定のプログラムやデータを記憶可能な記憶手段(例えば、不揮発性ROM、ハードディスク等)である記憶部62と、所定の情報や命令などを入力するためのキーボードやマウスなどの入力操作手段である入力操作部63と、所定の情報を画面表示する液晶ディスプレイなどの表示手段と所定の情報を所定の用紙に印字出力するプリンターなどの印刷手段とを出力手段として有する出力表示部64と、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータとして動作する制御部65とを有している。
【0029】
ここで、記憶部62は、遊技機10で実行された遊技に関する情報をまとめた遊技情報データベースを記憶する。
遊技情報データベースは、
図5に示すように、「日時」、「特賞」、「台番号」、「機種名」、「特賞出玉」などを項目として構成されている。
「日時」は、所定の日付及び時刻を示す。
図5においては、特定遊技状態に入賞(大当り)した日付及び時刻を、「日時」に記録している。
「特賞」は、遊技機10において特定遊技状態が入賞したこと、すなわち大当りが発生したことを示す。
「台番号」は、特定遊技状態に入賞した遊技機10に付されている番号を示す。
「機種名」は、「台番号」の欄に台番号が示された遊技機10の機種名を示す。
「特賞出玉」は、特定遊技状態による遊技が行われている間に当該遊技機10から払い出された遊技媒体の数量を示す。
【0030】
また、記憶部62は、累計データベースを記憶する。
累計データベースは、遊技機10ごとに、アウト数の累計とセーフ数の累計とをリアルタイムに記録したデータベースである。
この累計データベースは、
図6に示すように、「日時」と、「累計アウト」と、「累計セーフ」とを項目として構成されている。
「日時」は、アウト数の累計やセーフ数の累計を算出した日時を示す。
「累計アウト」は、「日時」で示された時刻における累計のアウト数を示す。
「累計セーフ」は、「日時」で示された時刻における累計のセーフ数を示す。
この累計データベースに記録されている「累計アウト」は、遊技機10(又は遊技機10に取り付けられたアウトタンク(図示せず))から送信され通信部61で受信されたアウト信号の示すアウト数を、制御部65がリアルタイムで累計したものである。また、この累計データベースに記録されている「累計セーフ」は、遊技機10から送信され通信部61で受信されたセーフ信号の示すセーフ数を、制御部65がリアルタイムで累計したものである。
このように、累計データベースは、遊技機10における遊技の進行に伴って出力されたアウト信号とセーフ信号にもとづいてホールコンピュータ60の制御部65がリアルタイムに算出したアウト数の累計とセーフ数の累計とを蓄積したものとなっている。
【0031】
制御部65は、ROMに記憶された制御プログラムやデータに基づいてホールコンピュータ60の構成各部からの入力を監視しながらこれら構成各部を制御することにより、通信部61で受信された遊技情報にもとづいて所定の遊技情報を算出、集計し、記憶部62に記憶させる。
例えば、遊技機10から出力されて通信部61で受信されたメダル投入信号やメダル払出信号(あるいは、アウト信号やセーフ信号)にもとづいて、遊技機10ごと又は機種ごとの遊技媒体の投入数や払出数(アウトやセーフ)を算出し、記憶部62に記憶させる。また、通信部61で受信されたBB信号、RB信号、ART信号(あるいは、特賞信号、確変信号、時短信号、スタート信号)にもとづいて、遊技機10ごとに、特定遊技状態に入賞した時刻や回数等を、記憶部62に記憶させる。
【0032】
また、制御部65は、上記のような基本的な動作を行いつつ、以下のような特徴的な動作を行う。
具体的には、制御部65は、所定のタイミング、例えば、閉店時に、持玉管理装置50に対して送信要求信号を送信し、遊技者遊技履歴データベースに記録されている所定の情報のうちの全部又は一部を、その持玉管理装置50から受信する。
受信する情報には、少なくとも、「日時」、「台番号」、「操作」を示す情報が含まれる。
【0033】
制御部65は、遊技場に設置されている遊技機10の機種(あるいは、ホールコンピュータ60が遊技に関する情報を管理している遊技機10の機種)の中から、遊技特性の分析(
図9〜
図11に示したグラフや集計表を用いた遊技特性の分析)を行う機種を、分析対象機種として選択する。
例えば、遊技場に設置されている遊技機10の機種として、機種A、機種B、機種Cの三機種がある場合、制御部65は、分析対象機種として、機種Aを選択することができる。
なお、分析対象機種として選択する機種の数は、一つであってもよく、あるいは、複数であってもよい。
【0034】
また、制御部65は、分析を行う期間を分析対象期間として設定する。
分析対象期間は、例えば、一営業日、三営業日、一週間、一か月間などを設定することができる。
【0035】
制御部65は、設定した分析対象期間内に、選択した分析対象機種に属する遊技機10で遊技を行った遊技者ごとに、遊技時間を特定する。
遊技時間は、遊技者が遊技を開始した時刻である遊技開始時刻から、当該遊技者が遊技を終了した時刻である遊技終了時刻までの時間である。
例えば、
図7に示すように、遊技者が遊技媒体の貸し出しを受けた時刻を遊技開始時刻とし(貸玉)、この遊技者がカードを排出した時刻を遊技終了時刻とし、これら遊技開始時刻から遊技終了時刻までの間を、遊技時間とすることができる。
具体的に、例えば、遊技時間の遊技開始時刻は、遊技者が台間機20に現金を投入して遊技媒体の貸し出しを受けた時刻、遊技者が台間機20にプリペイドカードを挿入して遊技媒体の貸し出しを受けた時刻、遊技者が台間機20に貯玉会員カードを挿入して再プレイ用の貯玉を引き落とした時刻、台間機20に付設された各台計数機(図示せず)において計数された遊技媒体を払い出したときの時刻などを用いることができる。
【0036】
また、遊技時間の遊技終了時刻は、特定遊技状態で遊技をしていた遊技者が当該遊技機10において遊技を終了したことを識別可能な動作を当該遊技機10に対応した台間機20が行った時刻を用いることができる。
例えば、遊技者によるカードの排出の操作が行われたことにより、台間機20がカードを排出した時刻を遊技時間の遊技終了時刻とすることができる。この遊技者によるカードの排出の操作は、当該遊技者が遊技機10において遊技を終了するときに行う操作である。そして、カードの排出は、台間機20が行う動作であって、遊技者が当該遊技機10において遊技を終了したことを識別可能な動作となっている。
具体的には、遊技者遊技履歴データベース(
図3参照)において「排出」の「操作」が行われたときの「日時」を、遊技時間の遊技終了時刻として用いることができる。
【0037】
さらに、制御部65は、記憶部62に記憶されている遊技情報データベースを参照し、当該遊技者が遊技を行った遊技機10が、当該遊技者の遊技時間内に、特定遊技状態に入賞したか否かを判断する。
そして、その遊技機10が当該遊技者の遊技時間内に特定遊技状態に入賞していたときは、この入賞した時刻を遊技情報データベースから抽出する。
なお、その遊技機10が当該遊技者の遊技時間内に特定遊技状態に複数回入賞していたときは、制御部65は、これら複数回の入賞のうち最初に入賞した時刻を遊技情報データベースから抽出する。
【0038】
制御部65は、
図7に示すように、抽出した入賞時刻を開始時刻とし、遊技終了時刻を終了時刻とし、これら開始時刻と終了時刻との間を大当り後遊技時間として特定する。
例えば、
図7に示すように、当該遊技者の遊技時間内に遊技機10が特定遊技状態に入賞した時刻を開始時刻とし(大当り発生)、この遊技者がカードを排出した時刻である遊技終了時刻を終了時刻とし、これら開始時刻から終了時刻までの間を、大当り後遊技時間とすることができる。
【0039】
なお、遊技者が遊技機10から離席した後、同一の遊技機10にて遊技を再開したときは、制御部65は、再開後に遊技者が遊技を終了した時刻を、遊技終了時刻(終了時刻)とすることができる。
例えば、
図8に示すように、遊技者が遊技媒体の貸し出しを受けて(貸玉)、遊技を開始し、特定遊技状態に入賞し(大当り発生)、その後に台間機20(遊技機10)からカードを排出したが、しばらくしてから、同一の遊技者が同一のカードを同一の台間機20(遊技機10)に挿入して遊技を再開し、その後に当該カードを排出したとする。
この場合の遊技者の行動は、トイレ等のために一時的に離席し、その後に遊技を再開したものであると考えられる。このため、一回目のカードの排出より以前の遊技と、そのカードを挿入して再開した後の遊技は、同一の遊技者により継続的に行われた遊技であるものとみなすことができる。
【0040】
そこで、制御部65は、
図8に示すような場合には、遊技媒体の貸し出しから二回目のカードの排出までの間を当該遊技者の遊技時間とし、特定遊技状態の入賞から二回目のカードの排出までの間を当該遊技者の大当り後遊技時間として特定することができる。
なお、このような特定を行うときの条件としては、例えば、一回目のカードの排出の時刻から次のカードの挿入までの時間が所定時間内であること、一回目に排出されたカードのカードIDと次に挿入されたカードのカードIDが同一であること、一回目のカードの排出が行われた台間機20に対応する遊技機10の台番号と次にカードが挿入された台間機20に対応する遊技機10の台番号が同一であることなどが挙げられる。
【0041】
制御部65は、本発明の所要時間算出手段及び持玉数算出手段として機能し、大当り後遊技時間を特定すると、この大当り後遊技時間の所要時間と、この大当り後遊技時間の終了時刻における遊技者の持玉数とを算出する。
【0042】
大当り後遊技時間の所要時間は、この大当り後遊技時間の開始時刻と終了時刻との時間的な差分として算出することができる。
具体的に、
図3に示す遊技者遊技履歴データベースと
図5に示す遊技情報データベースとを参照して、この大当り後遊技時間の所要時間について説明する。
まず、
図3に示した遊技者遊技履歴データベースでは、「台番号」が「10」の遊技機10において、一人の遊技者が、「20XX.YY.ZZ 13:00」の「日時」にカードを「挿入」して遊技を開始し、この遊技者が、「20XX.YY.ZZ 13:45」の「日時」にカードを「排出」して遊技を終了している。この場合、この遊技者の遊技時間は、遊技開始時刻が「20XX.YY.ZZ 13:00」であり、遊技終了時刻が「20XX.YY.ZZ 13:45」となる。なお、ここでは、
図3に示す遊技者遊技履歴データベースを参照しているが、実際には、制御部65が、記憶部62に記憶されているデータベース(持玉管理装置50の遊技者遊技履歴データベースに関するデータであって持玉管理装置50から受信したデータを記録したデータベース)を参照して、遊技者の遊技時間の遊技開始時刻と遊技終了時刻とを特定する。
この遊技者の遊技時間中に特定遊技状態が発生したかどうかについては、
図5に示した遊技情報データベースを参照する。この遊技情報データベースには、「20XX.YY.ZZ 13:30」に発生した特定遊技状態と、「20XX.YY.ZZ 13:37」に発生した特定遊技状態が記録されているが、これら二回の特定遊技状態は、いずれも当該遊技者の遊技時間である「20XX.YY.ZZ 13:00」の遊技開始時刻と、「20XX.YY.ZZ 13:45」の遊技終了時刻との間で発生している。
このように、遊技者の遊技時間中に特定遊技状態が複数回発生しているときは、最初に特定遊技状態が発生した時刻を大当り後遊技時間の開始時刻とする。ここでは、「20XX.YY.ZZ 13:30」が、大当り後遊技時間の開始時刻となる。
【0043】
次に、大当り後遊技時間の終了時刻は、遊技者によるカードの排出の操作により台間機20がカードを「排出」した時刻を用いる。
具体的に、
図3に示した遊技者遊技履歴データベースでは、遊技者によるカードの排出の操作により、台間機20が、「20XX.YY.ZZ 13:45」の「日時」にカードを「排出」して、遊技が終了している。この場合、この「20XX.YY.ZZ 13:45」が、大当り後遊技時間の終了時刻となる。
【0044】
そして、制御部65は、大当り後遊技時間の開始時刻と終了時刻との時間的な差分を算出し、これを大当り後遊技時間の所要時間とする。
具体的に、上記の例では、大当り後遊技時間の開始時刻が「20XX.YY.ZZ 13:30」となっており、当該大当り後遊技時間の終了時刻が「20XX.YY.ZZ 13:45」となっている。
この場合、これら開始時刻と終了時刻との時間的な差分は、
「13:45」−「13:30」=15分
となり、この「15分」が大当り後遊技時間の所要時間となる。
【0045】
次いで、制御部65は、大当り後遊技時間の終了時刻における遊技者の持玉数を算出する。
遊技者の持玉数は、本実施形態においては、当該遊技者が遊技により獲得した遊技媒体の数量をいう。そして、大当り後遊技時間の終了時刻における遊技者の持玉数は、例えば、特定遊技状態の入賞を契機とし、その後に遊技者が獲得した遊技媒体の数量とすることができる。
【0046】
この大当り後遊技時間の終了時刻における遊技者の持玉数は、例えば、大当り後遊技時間の開始時刻における「累計セーフ」と、当該大当り後遊技時間の終了時刻における「累計セーフ」との差分として算出することができる。
具体的に、制御部65は、記憶部62に記憶されている累計データベースを参照し、大当り後遊技時間の開始時刻における「累計セーフ」と当該大当り後遊技時間の終了時刻における「累計セーフ」とを抽出する。
【0047】
例えば、
図6に示した累計データベースにおいては、大当り後遊技時間の開始時刻である「20XX.YY.ZZ 13:30」における「累計セーフ」が「2,500」となっており、当該大当り後遊技時間の終了時刻である「20XX.YY.ZZ 13:45」における「累計セーフ」が「5,010」となっている。
この場合、これら開始時刻における「累計セーフ」と終了時刻における「累計セーフ」との差分は、
「5,010」−「2,500」=2,510玉
となり、この「2,510玉」が大当り後遊技時間の終了時刻における遊技者の持玉数となる。
【0048】
なお、ここでは、大当り後遊技時間の開始時刻における「累計セーフ」と当該大当り後遊技時間の終了時刻における「累計セーフ」との差を、大当り後遊技時間の終了時刻における遊技者の持玉数として算出している。
ただし、持玉数は、この方法により算出した数量に限るものではなく、例えば、大当り後遊技時間の所要時間内に遊技機10から払い出された遊技媒体の数量に、当該大当り後遊技時間の所要時間内に当該遊技者が遊技機10に投入した遊技媒体の数量を減算して得られた遊技媒体の数量を、持玉数とすることもできる。また、この数量に、遊技者が遊技場から貸し出しを受けた遊技媒体の数量を加算して得られた遊技媒体の数量を、持玉数とすることもできる。さらに、遊技機10ごとに各台計数機が設置されている場合には、この各台計数機で計数された遊技媒体の数量であってカードが排出された時点での遊技媒体の数量を、持玉数としてもよい。
【0049】
制御部65は、大当り後遊技時間の所要時間と、この大当り後遊技時間の終了時刻における遊技者の持玉数とを算出すると、これら所要時間と持玉数とを関連付け、関連データとして、記憶部62に記憶させる。
つまり、制御部65は、大当り後遊技時間を特定し、この大当り後遊技時間について算出した一の所要時間と、その大当り後遊技時間について算出した一の持玉数(一の所要時間における一の持玉数)とを関連付け、一の関連データとして、記憶部62に記憶させる。
【0050】
制御部65は、これら遊技時間の特定、大当り後遊技時間の特定、所要時間の算出、持玉数の算出、関連データの設定を、遊技者ごと、すなわち、分析対象機種に属する遊技機10において分析対象期間内に遊技を行った遊技者ごとに行う。
【0051】
制御部65は、本発明のグラフ作成手段として機能し、所要時間と持玉数との関係を示すグラフを作成する。
グラフは、例えば、散布図を用いることができる。
制御部65は、グラフ(散布図)の横軸又は縦軸のうちの一方を、持玉数を示す数量軸とし、他方を、所要時間を示す時間軸として、持玉数と所要時間との関係を当該グラフに表す。
具体的には、横軸を、持玉数を示す数量軸とし、縦軸を、所要時間を示す時間軸とすることができる(
図9、
図10参照)。
制御部65は、このグラフにおいてデータが分布するエリアであるプロットエリア上に、所要時間と持玉数との関係を示す関連データを分布させる。
【0052】
作成したグラフの例を、
図9、
図10に示す。
図9に示すグラフは、一つの機種(CR.AAA)について算出した所要時間と持玉数との関係を示す散布図である。
図10に示すグラフは、三つの機種(機種A、機種B、機種C)について算出した所要時間と持玉数との関係を示す散布図である。
なお、
図9に示すグラフと
図10に示すグラフは、それぞれ異なる機種について算出した所要時間及び持玉数をグラフ化したものである。このため、
図9に示すグラフと
図10に示すグラフとの間には、データ上の関連性はない。
【0053】
また、制御部65は、本発明の分布集計手段として機能し、所要時間と持玉数とを関連付けた関連データにもとづいて、集計表を作成する。
集計表は、関連データに関する情報をまとめた表である。
集計表は、
図11に示すように、「機種名」、「総台数」、「総件数」、「総累計稼動」、「台あたり平均稼動」、「ブロック特性」などを項目として構成することができる。
「機種名」は、関連データの抽出を行った機種である分析対象機種の名称である。
「総台数」は、分析対象機種に属する遊技機10の台数である。
「総件数」は、関連データの数である。
「総累計稼動」は、分析対象機種におけるアウトの累計である。なお、
図11に示している集計表の「総累計稼動」は、分析対象期間である2014年5月3日から5月5日までの3日間におけるアウトの累計となっている。
「台あたり平均稼動」は、一台の遊技機10あたりの平均の累計アウトである。この「台あたり平均稼動」は、「総累計稼動」を「総台数」で除算し、さらに分析対象期間の日数(
図11においては3日)で除算した商として算出できる。
【0054】
「ブロック特性」は、グラフにおいて関連データが分布するエリアであるプロットエリアを複数のブロックに区分したときに、これら複数のブロックに分布した関連データに関する特性である。
制御部65は、次の手順で、「ブロック特性」を作成する。
まず、ブロックを設定する。ブロックは、グラフのプロットエリアを格子状に区分けしたときの一区分である。
制御部65は、所定の時間長さを設定し、この所定の時間長さを複数の時間区分に区分けする。例えば、
図10に示すグラフにおいては、所定の時間長さとして12時間を設定し、時間区分として3時間を設定し、12時間を3時間で区分けしてある。この区分けした時間区分の名称を区分1〜区分4とする。
【0055】
次いで、制御部65は、所定の遊技媒体数の範囲を設定し、この所定の遊技媒体数の範囲を複数の数量区分に区分けする。例えば、
図10に示すグラフにおいては、所定の遊技媒体数の範囲として8000玉を設定し、数量区分として2000玉を設定して、8000玉を2000玉で区分けしてある。この区分けした数量区分の名称を区分A〜区分Dとする。
続いて、制御部65は、グラフのプロットエリアを、時間区分と数量区分にしたがって格子状に区分けする。そして、このようにしてプロットエリアを区分けしたときの区分エリアのそれぞれをブロックとする。
【0056】
次に、制御部65は、ブロックごとに、属する関連データの数を集計する。すなわち、一の所要時間が一の時間区分に属するとともに一の持玉数が一の数量区分に属する関連データの数を、時間区分及び数量区分ごとに集計する。
例えば、所要時間が1:50であり持玉数が480玉である関連データがあるとする。この関連データは、
図10に示すグラフにおいては、所要時間が0:00〜3:00の時間区分(区分1)に属し、持玉数が0〜2000玉の数量区分(区分A)に属する。つまり、この関連データは、区分A1のブロックに属している。
このようにして、制御部65は、関連データを構成する所要時間と時間軸上の時間区分とを比較し、関連データを構成する持玉数と数量軸上の数量区分とを比較して、関連データの所要時間と持玉数とがいずれも属するブロックを特定していく。
【0057】
制御部65は、時間区分及び数量区分ごと、すなわち、ブロックごとに、関連データの数を集計する。
例えば、
図10に示すグラフにおいては、区分A1のブロックに、機種Aの関連データが四つ属しており、機種Bの関連データが一つ属しているが、機種Cの関連データは、一つも属していない。また、区分B1のブロックには、機種Aの関連データが五つ属しており、機種Bの関連データが二つ属しており、機種Cの関連データが四つ属している。
【0058】
そして、制御部65は、分析対象機種の機種ごとに、関連データが属する数の多い順に、ブロックの区分名を、集計表の「ブロック特性」に記録する。
例えば、機種Aについては、区分C2のブロックに属する関連データの数が八つで最も多く、次いで、区分B1のブロックに属する関連データの数が五つであり、続いて、区分A1のブロックに属する関連データの数が四つとなっている。
このような手順で、制御部65は、「ブロック特性」を作成することができる。
【0059】
制御部65は、作成したグラフ又は集計表の内容にもとづいて、遊技機10の機種別に、遊技の特性を分析し、評価する。
例えば、
図10に示した散布図と
図11に示した集計表からは、次のことが言える。
機種Aの関連データを示す点(□に網掛け)は、
図10に示した散布図のプロットエリアにおいて広く分布しているものの、区分C2のブロックに比較的多く集まっている。このような分布は、機種Aが、遊技時間の経過に伴って多くの出玉を獲得できる機種であることを示している。このため、機種Aは、遊技者にとって遊びやすい台であり、このために稼動率も高いと言える。
また、機種Bの関連データを示す点(△)は、
図10に示した散布図において、区分A3と区分B3のブロックに多く集まっている。このような分布は、機種Bが、機種Aよりも持玉数が少なく、出玉が少ないものの、持玉を得ることが容易であり、多くの遊技者が長時間遊んでいる機種であることを示している。このため、機種Bは、遊技者にとっては、遊べる台であり、甘タイプであると言える。
【0060】
さらに、機種Cの関連データを示す点(●)の点は、
図10に示した散布図において、区分B1や区分D1のブロックに多く集まっている。このような分布は、機種Cが、比較的短い時間で多くの出玉を獲得できる機種であることを示している。このため、機種Cは、ギャンブル性が高く、瞬発力の高い台であると言える。ただし、このような機種は、遊技者にとっては大当りしたら直ぐに止めてしまう傾向があるため、遊技場としては、減台してもよいと判断することができる。
また、図示していないが、区分A1のブロックに多く集まっている機種があるとする。このような機種は、獲得玉数が少ない状態で、すぐに景品交換されてしまう機種であると言える。このため、この機種は、稼働率が低く、人気のない台であると言える。
【0061】
このように、制御部65は、作成したグラフ又は集計表の内容にもとづいて、遊技機10の機種別に、遊技の特性を分析し、評価することができる。また、遊技者が取得した持玉が、どの機種で何時間の遊技にて取得されたものであるかといった分析を的確に行うことができる。さらに、遊技者の持玉数とこの持玉数を獲得するまでの所要時間を分析することで、どのような特性の機種が遊技者に支持されているかを把握できる。しかも、遊技場にて遊技者に好まれている遊技の特性を見つけ出して、適正な遊技機10の機種と台数を割り出すことができるようになる。
【0062】
そして、こうした分析や評価の結果は、遊技場における台入替の際の指標として使用することができる。
例えば、
図10に示した散布図において、機種Bは、所要時間が「6:00」以上のエリアに多く分布していることから、一人の遊技者が長時間遊技をしている機種であると言える。つまり、機種Bは、遊技者に飽きられにくく、稼働率が高い機種であると言える。このため、機種Bは、遊技場に対して貢献度が高い機種であり、この機種Bの特性は、遊技者に好まれていると言えることから、台入替の際には、増台してもよいと判断できる。
これに対し、遊技時間が短くかつ持玉数が少ない機種は、遊技者に飽きられやすく、稼働率が低い機種であると言える。このため、このような機種は、遊技場に対して貢献度が低い機種であり、台入替の際に回収の対象とするのが望ましいと判断できる。
また、入替後に、導入した機種の特性が、遊技者に好まれる特性と違った場合には、この機種を回収台とすることもできる。
【0063】
このように、ホールコンピュータ60は、大当り後遊技時間の所要時間と持玉数とを算出し、これらを分析対象機種ごとに集計してグラフ化し、グラフ上の分布を分析することにより、分析対象機種の遊技特性や稼働率の高低などを的確に把握することができる。
また、本実施形態においては、遊技者が一の遊技機において遊技を開始してから終了するまでの時間を所要時間とするのではなく、特定遊技状態の開始時点を開始時刻とし、台間機にてカードが排出されるなどして遊技者が遊技を終了した時刻を終了時刻とする、大当り後遊技時間を特定している。これにより、特定遊技状態に一度も入賞せずに遊技を終了した遊技者の情報については、分析対象機種の分析に加味しないようになっている。
つまり、本実施形態においては、特定遊技状態での遊技を行い獲得玉を景品交換した遊技者のデータやその獲得玉をもって台移動した遊技者のデータのみによって分析対象機種の分析を行うものであり、大当り後に持玉が無くなった遊技者のデータは加味されないようになっている。これにより、この分析対象機種における特定遊技状態の特性をより正確に分析することができる。
また、本実施形態においては、大当り後遊技時間の開始時刻として特定遊技状態の開始時刻を用いているので、一度入賞した遊技者が、同じ遊技機10で、その後どれくらいの時間遊技を行うか、といった当該遊技者の動向を把握することができる。
【0064】
なお、
図9、
図10に示した散布図や、
図11に示した集計表、及びこれらに関係する情報は、遊技場の店員がホールコンピュータ60の入力操作部63を操作することにより、当該ホールコンピュータ60の出力表示部64である液晶ディスプレイに画面表示させたり、出力表示部64であるプリンターにて所定の用紙に印字出力させたりすることができる。
また、ホールコンピュータ60は、機種ごとの遊技特性の分析や評価を、自動的に行うことができる。例えば、
図10に示す散布図を用いて分析や評価を行う場合、ブロックごとに分析内容や評価内容を予め設定しておき、これらブロックごとにプロットされた関連データの数をカウントし、機種ごとに、関連データのプロット数が最も多いブロックを特定し、この特定したブロックに設定されている分析内容や評価内容を当該機種の分析結果や評価結果として抽出し、出力表示部64である液晶ディスプレイに画面表示させることができる。
【0065】
以下、ホールコンピュータ60が実行する動作の工程を、「遊技情報算出方法」として、
図12に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0066】
[遊技情報算出方法]
ホールコンピュータ60の制御部65は、遊技機10又は台間機20から送信されてきた信号にもとづいて所定の遊技情報を算出し、記憶部62に記憶されている遊技情報データベースに記録する(S10)。
制御部65は、所定のタイミング、例えば、閉店時に、持玉管理装置50から、遊技者遊技履歴データベースに記録されている情報のうちの全部又は一部を受信する。この受信する情報には、少なくとも、台間機20へのカードの挿入や台間機20からのカードの排出に関する情報である「操作」、この「操作」が行われた「日時」、「操作」が行われた遊技機10の「台番号」が含まれる(S11)。
【0067】
制御部65は、遊技特性の分析を行う分析対象機種を選択する。
また、制御部65は、分析を行う期間を分析対象期間として設定する。
さらに、制御部65は、設定した分析対象期間内に、選択した分析対象機種に属する遊技機10で遊技を行った遊技者ごとに、遊技時間を特定する(S12)。
この遊技時間の特定は、持玉管理装置50から取得した情報を用いて行うことができる。例えば、「操作」の「挿入」や「入金」に関連付けられた「日時」を遊技時間の開始時刻とすることができる。また、「操作」の「排出」に関連付けられた「日時」を遊技時間の終了時刻とすることができる。
【0068】
次いで、制御部65は、遊技時間中に、当該遊技者が遊技をしていた遊技機10にて特定遊技状態に入賞していたか否かを判断する(S13)。
遊技時間中に当該遊技者が遊技していた遊技機10にて特定遊技状態に入賞していたときは(S13−Yes)、制御部65は、大当り後遊技時間を特定する(S14)。
例えば、特定遊技状態に入賞した時刻、すなわち、遊技情報データベースにおける「特賞」の「大当り」に関連付けられた「日時」を、大当り後遊技時間の開始時刻として特定する。また、「操作」の「排出」に関連付けられた「日時」を、大当り後遊技時間の終了時刻として特定する。
【0069】
続いて、制御部65は、大当り後遊技時間の所要時間を算出する(S15)。
また、制御部65は、大当り後遊技時間の終了時刻における持玉数を算出する(S16)。
そして、制御部65は、算出した大当り後遊技時間の所要時間と持玉数とを関連付けて、一つの関連データとし、記憶部62に記憶させる。
なお、S13の判断において、遊技時間中に、当該遊技者が遊技していた遊技機10にて特定遊技状態に入賞していないときは(S13−No)、制御部65は、S14〜S16の処理を実行せず、次のS17以降の処理を行う。
【0070】
次いで、制御部65は、遊技時間の特定を行っていない遊技者がいるか否かを判断する(S17)。
遊技時間の特定を行っていない遊技者がいるときは(S17−Yes)、制御部65は、この遊技者についてS12以降の処理を実行する。
一方、遊技時間の特定を行っていない遊技者がいないときは(S17−No)、制御部65は、所要時間等の算出を行った一又は二以上の遊技者について、算出した関連データをグラフ化する(S18)。
また、制御部65は、このグラフにおける関連データの分布にもとづいて、各エリアごとの関連データの数を算出し、集計表を作成する(S19)。
そして、制御部65は、作成したグラフ及び集計表にもとづいて、分析対象機種の遊技特性等を分析し、当該機種を評価する(S20)。
【0071】
以上説明したように、本発明の遊技用装置及び遊技情報算出方法によれば、特定遊技状態の開始時点を開始時刻とし、当該遊技機における遊技者の遊技の終了時点を終了時刻とする、大当り後遊技時間を特定し、この大当り後遊技時間の所要時間と持玉数とを機種ごと及び遊技者ごとに算出し、グラフ化して集計するので、当該機種の遊技特性を的確に分析することができる。
【0072】
以上、本発明の遊技用装置及び遊技情報算出方法の好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る遊技用装置及び遊技情報算出方法は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態においては、遊技機が、遊技媒体を実際に払い出す遊技機としたが、これに限るものではなく、払い出す遊技媒体の数量を数値データとして記憶する封入式の遊技機(封入式のパチンコ機、スロットマシンなど)であってもよい。
【0073】
また、上述した実施形態においては、スロットマシンにおける特定遊技状態として、レギュラーボーナスゲーム(RB)、ビッグボーナスゲーム(BB)、アシストタイム(AT)、リプレイタイム(RT)、アシストリプレイタイム(ART)を挙げたが、例えば、短期間にメダルが増加する状態ではなく、遊技回数が多くなるにつれて段々とメダルが増加する状態を特定遊技状態として定義することもできる。
【0074】
さらに、上述した実施形態においては、遊技情報算出方法を実行する装置としてホールコンピュータを挙げたが、その遊技情報算出方法を実行する装置は、ホールコンピュータに限るものではなく、遊技場に導入された遊技場システムに接続可能な装置を遊技用装置として遊技情報算出方法を実行させることができる。この遊技用装置の具体例としては、例えば、台コンピュータ、島コンピュータ、遊技に関するデータを表示するとともに点灯演出などを行う呼出ランプ、遊技媒体の数量を計数する遊技媒体計数機、景品交換に関する情報を管理する景品交換装置、所定の遊技情報を表示する遊技情報表示装置などを挙げることができる。
【0075】
また、上述した実施形態においては、遊技場システムが持玉管理装置を備えた構成としたが、持玉管理装置を備えない構成とすることができる。この場合、遊技場システムは、
図13に示すように、台間機と台コンピュータとの間に液晶表示機(70)を備えた構成とすることができる。
液晶表示機は、遊技に関する所定の情報を液晶画面に表示する機能と、台間機から出力された信号を受信して台コンピュータへ送信する機能とを有している。
この液晶表示機は、台間機から出力された信号、例えば、カードが挿入されたことを示す信号、カードが排出されたことを示す信号などを、リアルタイムに受信して、台コンピュータへ送信する。これにより、ホールコンピュータは、それら信号を受信して遊技者遊技履歴データベースを構築し、分析対象機種の遊技特性を分析することができる。
【0076】
さらに、上述した実施形態においては、大当り後遊技時間の終了時刻を、遊技者が遊技機にて遊技を終了した時刻としたが、例えば、特定遊技状態が終了した時刻を大当り後遊技時間の終了時刻とすることもできる。
【0077】
また、上述した実施形態においては、ホールコンピュータが大当り後遊技時間と持玉数とをリアルタイムで算出して表示することを想定しているが、これに限るものではなく、例えば、営業日ごとに大当り後遊技時間と持玉数とを算出して記憶部に記憶しておき、その後、任意のタイミングで、遊技場の店員がホールコンピュータの入力操作部を操作して分析対象期間と分析対象機種とを選択したときに、制御部がそれら選択された分析対象期間及び分析対象機種に関する大当り後遊技時間と持玉数とをグラフ化し、出力表示部の表示画面に表示させるようにすることもできる。
さらに、遊技者の遊技時間中に特定遊技状態が発生する回数は、一回の場合もあれば、複数回発生する場合もある。遊技者の遊技時間中に特定遊技状態が複数回発生した場合には、最初に発生した特定遊技状態の開始時刻を大当り後遊技時間の開始時刻とすることができる。