(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今の情報処理技術の進歩に伴い記録文書や報告文書等は主としてキーボード入力によるテキストデータの集合体として生成されている。テキストデータは追加、変更、削除を簡単に跡形もなく処理できる。つまり真実でない情報も真実の情報として存在し流通してるかも知れない。益々進展する情報化社会にあって信頼できる真実の情報を生成し流通させることが重要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
テキストデータをベースとして対処するには適切な手段がない。そこで、古い手法であるが紙媒体に筆記具で記録することにより記録原本を取得する方式を採用する。しかしこの記録原本だけでは書き換えや紛失のリスクが伴うため本発明につながった。
【0007】
本発明は、感圧センサー上の載置部に記録するための紙媒体を載置し、筆記具(ボールペン、シャープペンシルなど)にて記録することにより、物理的な紙媒体記録と同一内容を包含する時間サイクル基準の
筆跡デジタル記録が取得できる。
【0008】
筆跡デジタル記録は、感圧センサーからの一筆ごとの筆跡ポイント(座標値・筆圧値を含む)を時系列的に取り込むことにより筆跡情報となる。
【0009】
同期サイクルでGPSから受信した時刻情報及び位置情報をGPS情報として筆跡情報に添付する。
【0010】
筆跡情報とGPS情報を一体化して筆跡記録情報としてデータベース化し、随時時刻情報、位置情報及び筆跡画像をキーにして検索することにより「いつ」「どこで」「だれが」この記録文書を作成したかを正確に再現することができる。
【発明の効果】
【0011】
多くの情報が満溢している社会にあって、安心して信頼できる真実の情報を少しでも多く流通させ得ることにより情報の浄化に役立つ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1に示すように、情報記録装置1は、通常の筆記具(ボールペン、シャープペンシル等)2を使用して感圧センサーボード3上の載置部4に載置した紙媒体50に記録すれば、その筆圧を感知する機能を備えている。
【0015】
情報記録装置1は、平面視で上下方向に長い薄型の直方体状の形状を備えている。
【0016】
上方部中程には載置された紙媒体50をバネの開閉で固定化するクリップ5を備えている。
【0017】
クリップ5の左内側には紙媒体50の有無を検知する紙媒体載置センサー6が備えられ常時一定の領域を走査する仕組を持っている。
【0018】
情報記録装置1の右側上部に電源スイッチ7があり、記録者が記録を開始するときに押下すれば電源ON(青色)の状態になり、記録を終了または中断する時にはもう一度押下すればOFF(赤色)状態になる。
【0019】
また、紙媒体載置センサー6が新しい紙媒体50の載置を検知した時は自動的に電源スイッチ7はON状態になり、逆に紙媒体載置センサー6が載置されていた紙媒体50の徐去を検知した時は電源スイッチ7は自動的にOFF状態になる。
【0020】
電源スイッチ7の下部に出力送信ボタン8があり、記憶装置102に保存されている記録情報を頁単位に外部機器(パーソナルコンピュータ702、サーバー703、スマートホン704など)に無線送信する機能を有している。
【0021】
出力送信ボタン8の左側にモード切り替えボタン20があり押下するごとに手書きモードとテキストモードに交互に切り変わる。通常は手書きモードに設定しておく。
【0022】
モード切り替えボタン20の附近にディスプレイ30とディスプレイ表示項目選択ボタン31、選択決定ボタン32及びディスプレイ表示スクロールノブ(回転式)とがある。ディスプレイ30はテキストコード文字30字×3行分が表示される容量。
【0023】
情報記録装置1の左最上部には、受信シグナル210があり、GPS衛星701からの電波の受信状態を表示している。受信状態が良好であれば青色が不可であれば赤色が点灯する。
【0024】
情報記録装置1の平面面積で上部約15%が機構部で電子基盤とバッテリーなどが収納されている。下部約85%が感圧センサーボード3(載置部4とほぼ同じ面積)となっている。
【0025】
感圧センサーボード3は、載置部4の上に紙媒体50を載置し、筆記具2により記録をした場合、筆圧を感知し、XY座標値と筆圧値を取得するものである。ここで採用している感圧方式は公知の技術である抵抗膜センサーによる原理を応用し、特に有機導電膜の技術を参考にしている。(特開2008−108161)
【0026】
図2は、情報記録装置1と外部機器であるGPS衛星701、パーソナルコンピュータ(PC)702、サーバー703及びスマートホン704を初めとする携帯用電子機器との連携を示す図である。
【0027】
情報記録装置1は、GPS衛星から送られてくるGPS電波をGPS受信器200で受信し時刻情報及び位置情報を取得する。
【0028】
GPS電波は、受信地域の環境により受信内容の精度がよくない場合があり、この受信精度を向上させるため無線LANの一種であるWi
−Fiと組み合わせる。
Wi−FiはIEEE802.11標準に準拠する製品である。
【0029】
GPS電波を受信するアンテナ機能と計算処理する回路と一体化したモジュール(GNSS受信モジュール、GN87F古野電気製など)を使うことにより、高効率化、高性能化を実現できる。
【0030】
GPS受信器200から取得した時刻情報と位置情報は感圧センサーボード3から取得した筆跡情報と共に処理装置100において時間サイクルを同期化して筆跡記録情報と筆跡画像情報を生成する。
【0031】
筆跡記録情報と筆跡画像情報は記憶装置102に記憶される。
【0032】
これら2種類の情報は、相互に連携を保ちながら頁単位に保存管理されている。
【0033】
記録者は、随時あるいは一定量の情報が蓄積された段階で特定の情報あるいはすべての情報を指定する外部機器(パーソナルコンピュータ702、サーバー703、スマートホン704など)に無線送信する。
【0034】
情報記録装置1から外部機器へ無線送信する事例の一つを説明する。
【0035】
情報記録装置1からスマートホン704へ手書きメッセージを送信するケースでは、まず載置部4に紙媒体50を載置し、筆記具2でメッセージを記録する。ディスプレイ30には年月日と頁数が表示されている。この年月日と頁数を控えておき、次に手書きモードからテキストモードに切り替え、ディスプレイ表示項目選定ボタン31を押下し「メールアドレス」を選定する。次に選択決定ボタン32を押下することによりディスプレイ30がクリアされメールアドレスの入力待ちの状態となる。載置部4に文字マップシートを載置し筆記具2でメールアドレス文字順に文字マップシート上の印刷文字をタッチすることによりテキスト文字入力が実行されディスプレイ30に入力されたメールアドレスが表示される。確認後、選択決定ボタン32を押下することによりアドレスは登録される。次に続いて先程手書きしたメッセージ作成年月日と頁数を文字マップシートを使って入力し、ディスプレイ30に表示された内容を確認後出力送信ボタン8を押下することによりメッセージはメールアドレス先へ添付ファイルの画像として届く。
【0036】
図3は、情報記録装置1の処理装置を中心に連携する装置との機能関係を表わすものである。
【0037】
GPS受信器200は衛星電波を受信するアンテナを担当するGPS受信部201と受信した電波を計算処理するGPS処理部202とから構成されている。電波の受信状態を常に監視しており状況を受信シグナル210に表示する。また計算処理されたGPS情報は処理装置100に送る。
【0038】
処理装置100は、制御回路101、記憶装置102、処理回路103から構成されている。
【0039】
感圧センサーボード3は筆跡情報を制御回路101から発振される時間サイクルに合わせて取得し処理装置100に伝送する。
【0040】
処理装置100の構成要素はCPU、ROM、RAM、I/Oポートなどである。
【0041】
紙媒体載置センサー6、電源スイッチ7、出力送信ボタン8、モード切り替えボタン20、は制御回路101のI/Oポートを経由して本体の始動、取得情報の出力、稼働終了を指示する装置である。
【0042】
ディスプレイ30、ディスプレイ表示項目選定ボタン31、選択決定ボタン32ディスプレイ表示スクロールノブ(回転式)33は、本体の稼働状況を確認したり、次の行動を指示する装置である。
【0043】
無線送受信器300及びUSBポート400は、外部機器との情報交換に使用する装置である。特に無線送受信器は、自己のメールアドレスを設定しておけば、他の外部機器からのメッセージをテキスト形式でディスプレイ30に受信表示することができる。
【0044】
図4及び
図5により筆跡情報の詳細を説明する。
【0045】
情報記録装置1の載置部4上に紙媒体50を載置し、筆記具2を用いてカタカナの「ア」を手書きした場合を例に取り上げる。
【0046】
情報記録装置1の載置部4とほぼ同じ範囲に感圧センサーボード3が設置されている。左上隅がXY座標値0.0の原点となっている。
【0047】
感圧センサーボード3上の紙媒体50に筆記具2の先端が接触し感圧センサーボード3が筆圧を感知した時点から第一筆目の筆跡ポイント情報の取得がスタートする。例で示せばP
1(Pはポイントの略称)であり筆跡が継続している場合は制御回路から発信される時間サイクルごとに筆跡の移動位置をXY座標値で連続的に取得する。筆圧の感知がとだえた時点で第一筆目が終了する。例で示せばP
1〜P
7である。(
図4)
【0048】
続いて第二筆目の筆跡ポイントは、P
8〜P
11である。「ア」の文字は二筆で完結する。
【0049】
筆跡ポイントにはXY座標値以外に筆跡の状態がS=スタート、C=連続、E=終了の3段階で表示されている。さらに筆圧のレベルも数値化して付与されている。
【0050】
感圧センサーボード3からは、XY座標値、筆跡状態及び筆圧レベルの3種類の感圧センサー情報が時間サイクルを基準とした筆跡ポイントごとに取得ができる。
【0051】
一方、GPS受信器200からは、時刻情報と位置情報を取得する。時刻情報は極めて正確ではあるが秒単位となっているため処理装置100で100分の1秒単位に変更し情報記録装置1内における時間サイクルとした。位置情報は取得通りに使用する。
【0052】
感圧センサーボード3から取得した筆跡ポイントごとのXY座標値、筆跡状態及び筆圧レベルは総じて感圧センサー情報とし、時刻情報及び位置情報は総じてGPS情報とする。
【0053】
感圧センサー情報とGPS情報を時間サイクルを基準として同期化し、筆跡ポイント単位に統合生成した情報が
図5に示す表でありこの内容の情報が筆跡記録情報である。
この筆跡記録情報は情報量が厖大になるため変化のない部分を省略することにより圧縮を行っている。
【0054】
図6は、記録者が記録を開始する段階から筆跡記録情報が生成される過程を示すフローチャート図である。
【0055】
次に、筆跡情報処理に係る別の実施例につき図7により説明する。
記録者が過去に情報記録装置1を使用して記録文書を作成したがその文書が見当たらない場合、記録内容の一部が判明しておればその文字や図形を手懸りに対象の文書を見付け出そうという試みである。
【0056】
ここでは、パターン認識の手法を使って実施しており、検索キー画像の作成に情報記録装置1を使用しているところに特徴がある。
【0057】
別の利用方法として、パターン認識手法を使用してある特定の共通した内容をもつ筆跡画像情報を複数頁分検索・抽出し、それらの筆跡画像情報の必要な筆跡画像部分を切り出して編集・合成することにより別の新しい筆跡画像情報を生成することができる。
【0058】
更に別の利用方法として、情報記録装置を使用する業務において予め使用する紙媒体(帳票類)にその種類を識別する識別記番号を設定し、各帳票の一定場所(帳票ごとに場所が異なる)に記入枠と共に設定された識別記番号を印刷しておき、一方連係するパーソナルコンピュータにも同一内容の情報が組み込まれている作業環境を用意する。
その状況のもとで、情報記録装置の載置部に使用帳票を載置して書き込みをする際、先ず識別記番号が印刷されている枠内を筆記具でタッチすることにより使用帳票の種類が識別され、印刷された記入枠に必要とする文字や図形を書き込めば筆跡記録情報と筆跡画像情報の状態で外部機器であるパーソナルコンピュータに送信される。これらの情報を受信したパーソナルコンピュータ側では、受信した帳票識別記番号に基づき所定の情報処理が行なわれる。
つまり、簡単に使える手書き入力機としての用途がある。