(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
シャーレーは、ペトリ皿ともいわれ、微生物の培養実験で用いられるガラス製の平皿である。
【0003】
シャーレーは、入れ子になるようにわずかに口径の異なる、ごく浅い円筒形の容器が2枚で一組となっている。最近は、四角形あるいは他の形状をしたシャーレーが販売される。
【0004】
上皿となる蓋は、やや大きくて浅く、下皿の底側皿は、やや小さくて深くなっている。上皿、下皿のふちは底面と並行になるように切断加工されているので、静置したときに自重で上皿と下皿とが密着し適度にシールされるようになっている。
【0005】
シャーレーの大きさは様々であるが、現在では直径10cm程度のものがよく用いられている。背高は、1cm−2cm程度のものが標準とされているが、数cm以上の背の高いものもあり、腰高シャーレーと呼ばれている。
【0006】
シャーレーは、元来ガラス製であるが、微生物の培養に際しては、滅菌の必要があり、熱に強い素材が用いられている。最近では、プラスチック製で、製造過程で滅菌済みのものがガラス製のものより安価に市販されている。
【0007】
下皿は、内部の深部に培養槽となる寒天培地を備える。寒天培地を下皿に流し込んで薄い固形培地を作り、そこで微生物を培養する。微生物を培養するに際して、外部からの微生物混入、いわゆるコンタミネーションを避ける配慮が求められる。一連の操作を行うときに、雑菌の混入を防ぎながら、それでいて扱い易い形状にシャーレーは設計されている。
【0008】
シャーレーは、使用法との関係で、非常に多数を同時に使用することが多い。このために、シャーレーの上皿の表面、すなわち上面あるいは側面に培養する微生物の見分け、あるいは培養実験方法の見分けのためにマーキングが施される。すなわち、培養内容についての菌種別や希釈濃度、管理上の属性などの使用者の管理情報がマーキングの種別で区分けされる。
【0009】
特許文献1には、培地入りのシャーレーのシャーレー本体底面に、蛍光インクによって印字してマーキングを施すことが記載される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
シャーレーを見分けるために、シャーレーにマーキングを施すことが求められる。このために、シャーレーの上皿の外表面あるいは上述したようにシャーレー本体の底部にマーキングが施されてきた。実験の都合で、上皿と下皿とを切り離すことがある。このような場合に、上皿へのマーキングのみでは、誤認の恐れがある。シャーレー本体の底部へのマーキングでは、確認のためにシャーレー本体を持ち上げる操作が必要とされる。
【0012】
本発明は、かかる点に鑑み、培養菌の培養の際に、外部からの微生物混入、いわゆるコンタミネーションを避ける配慮をしながら、容易に視認し見分けられる大きさのマーキングを施すことを可能とすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
図1は、シャーレー100の構成を示す図である。
【0014】
シャーレー100は、本例の場合、円筒形の透明容器が2枚で一組になっていて、一方が下皿1で底面皿となり、深部底部に底面3、上部に上端4、側面に外側面5を有し、底部の上深部底部の底面に培地が形成される。
【0015】
他方が上皿2となる蓋で上部に上面6、側面に外側面7、下部に下端8を有し、上部の深部底部の底面(上面6の裏側)が下皿1の上端に密着しシールして、下皿1に被せることが可能とされた培養容器である。培地を備えた下皿1は、シャーレー本体と呼ばれる場合がある。培地を備えた下皿1は、培養容器部と称呼される場合がある。
【0016】
図1(a)は、上皿2が下皿1に密着し、シールして被されたときに、上皿2の下端8が下皿1の下端3から上方に位置するように形成された培養菌培養用のシャーレー100を示す。
図1(b)は、上皿2が下皿1に密着し、シールして被されたときに、上皿2の下端8が下皿1の下端3に一致するように形成された培養菌培養用のシャーレー100を示す。
【0017】
シャーレー100は、通常
図1(a)に示される形状をしており、以下、
図1(a)に示されるシャーレーを例に採って説明する。
【0018】
図1(a)において、下皿1の上端4から上深部底部の底面上の下端までの幅をH
1、上皿2の深部底部の底面から下端8までの幅をH
2とすると、H
2<H
1となる。
図1(b)の例では、H
2=H
1となる。
【0019】
図2は、
図1(a)の例の場合に、下皿1の外側面5にマーキングを施す操作を行うときに派生する問題を説明する図である。h
0=H
1-H
2となる。下皿1の外側面5にマーキングを施す操作を行う場合、このh
0の幅内で行わなければならない。h
0の幅は、極めて狭く、施されたマーキングは極めて小さいものとなって、判別できないか、判別することが困難である。
図2(b)の例では、h
0の幅が、極めて狭いために、上皿2が障害となってマーキングを施すことができない。
【0020】
このように、従来、マーキングを上皿にのみ持つシャーレーが用いられてきた。
【0021】
図3は、課題を解決するための手段を示す図である。
【0022】
図3において、培養菌培養用のマーキングされたシャーレー100が、下皿1の外側面5の背高さ方向の幅をH
1、上皿2の深部底部に底面3から下端8までの深部深さをH
2としたときに、双方の差H
1-H
2=h
0(h
0はゼロを含む)となり、当該上皿が当該下皿に対して、ラップ幅hを残してのずらし移動状態で、非ラップ幅(H
2-h)がH
1-(h
0+h)で表される。
【0023】
ここで、下皿の外表面5について、ずらし移動前の非ラップ幅部分を5A、ラップ幅部分を5B、ずらし移動後の非ラップ幅部分を5a、ラップ幅部分を5bとすると、5A+5B=5a+5b、5a>5A,5b<5Bである。なお、
図1(b)の場合、5Aはゼロとなる。
【0024】
もって、本発明は、シャーレー100が上皿2の表面に施されたマーキングを持つ上皿2と、非ラップ幅H
1-(h
0+h)の外表面を持ち、当該外表面に視認可能に施されたマーキングを持つ下皿1と、からなることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、下皿の培地に雑菌によるコンタミが防止された状態で、従来上皿に施されるマーキング1種類であったものが、上述された2種類のマーキングが形成されることで、上部の外表面又は/及び外側面に施されたマーキングを持つ上皿と、培養菌を内蔵した、外表面にマーキングを持つ下皿と、からなるシャーレー100が提供される。
【0026】
非ラップ幅H
1-(h
0+h)は、外表面5の大部分を占め、表面に施されたマーキングを持つ上皿と、培養菌を内蔵した、前記上皿の施されたマーキングと同一になる部分を持つマーキングを外表面に施された下皿と、からなることを特徴とする培養菌培養用のマーキングされたシャーレー100が提供される。
【0027】
図4は、本発明を実施する方法について説明する図である。
【0028】
シャーレーの材質と形には、種々あり、それら種々のシャーレーに合わせて、最適のマーキング方法が採用される。このためにマーキング装置110が準備され、シャーレーにマーキングが施される。
【0029】
図4(a)は、マーキング装置110に、レーザー方式を採用したマーキング方法が採用される。既存のレーザー方式マーキング装置111が準備される。レーザー方式マーキング装置111は、レーザー発振器121を持ち、レーザビーム122を用いて表面処理して表面を剥離させたり、材料自体を削りこんだり、材料の組成を変化させ発色させたりして、マーキングを施す。
【0030】
図4(b)は、マーキング装置110に、インクジェット方式を採用したマーキング方法が採用される。既存のインクジェット方式マーキング装置112が準備される。インクジェット方式マーキング装置112は、超音波ヘッド123、偏向器124を持ち、インク滴125を用いて表面に印字処理してマーキングを施す。
【0031】
図4(c)は、マーキング装置110に、貼付方式を採用したマーキング方法が採用される。既存の貼付方式マーキング装置113が準備される。貼付方式マーキング装置113は、シール材保持手段126を持ち、シールを外表面5に貼付してマーキングを施す。
【0032】
これらのレーザー方式マーキング装置111、インクジェット方式マーキング装置112及び貼付方式マーキング装置113を一つの装置として、種々のシャーレーに合わせて選択操作して、マーキングを施すようにしてもよい。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、皿が当該下皿に対して、ラップ幅hを残してのずらし移動状態で、非ラップ幅H
1-(h
0+h)の外表面を持つ当該外表面に視認可能なマーキングを持つ下皿1を構成することができる。
【0034】
これによれば、培養菌培養の際に、外部からの雑菌混入、いわゆる微生物混入コンタミネーションを避ける配慮をしながら、容易に視認し見分けられる大きさのマーキングを施すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の実施例の構成を説明する前に、本実施例で使用される用語について説明する。
<シャーレー> シャーレーについては、背景技術の項で説明したので、ここに援用される。
<シャ−レー材質> デイスポタイプ(使い捨て)のプラスチック製(ポリスチレン製)、ガラス製、金属製、アルミ製、ステンレス製がある。プラスチック製あるいはガラス製の透明容器で形成されることが推奨される。
<シャーレーの形> 円形、四角形、浅皿、深皿がある。
<上皿の表面> 上皿の上部の上面あるいは上皿の外表面がある。双方であってもよい。
<形成されたラップ> 上皿を下皿に対して相対的に上方に引き上げ、移動することで、移動後に上皿と下皿との間に重複した幅部分をいう。上方に引き上げ、移動する前にも上皿と下皿との間に重複した幅部分が存在するが、ここでは形成されたラップするとは言わない。重複した幅部分が互いに接触していることを要さず、双方の間に間隙を有していて、側方から見たときに重複していることをいう。
【0037】
<非ラップ状態の拡大面積表面> 上方に引き上げ、移動する前に上皿と下皿との間の重複しない幅部分と上方に引き上げ、移動することで、移動後に上皿と下皿との間に形成された重複しない幅部分との和で表される面積。
<マーキング> マーキング方法に3種類がある。レーザーによるマーキング、印字方式によるマーキング及びシール貼付によるマーキング方法。マーキングには、通常白黒マーキングが採用されるが、カラーマーキングが採用される場合がある。
<深部深さ> 上皿及び下皿は底部のある皿状のカップ状形態を呈しており、内部に空間部を備えており、空間部の底面から各皿の開端までの幅をいう。
<ずらし移動> 上皿を下皿に対して、あるいは下皿を上皿に対して相対的に移動させるに際して、ずらして移動させ、上皿が下皿に被されたラップ状態を解消させることなく、ラップ状態を残留させること
<マーキングと同一の部分を持つマーキング> 双方のマーキングがマーキングを形成する文字、図形の主要部に同一部分を持ち、あるいは双方が全く同一であること
図5は、本発明の実施例の構成を示す図である。
【0038】
本例では、
図4(a)の示されるマーキング装置110に、レーザー方式を採用したマーキング方法が実行される。マーキング装置110は、レーザーマーカヘッド11、上下動板材12、板材保持手段13及び
モータ14を備える。レーザーマーカヘッド11は、レーザー発振器によって制御されたレーザーを照射する、fθレンズを持つ下方向きのfθレンズ装置11A及びfθレンズを持つ横方向きのfθレンズ装置11Bを備える。板材保持手段13は、上下動板材12を上下動させ、上移動のとき、上皿2を下皿1に対してずらし移動させる。モータ14は、下皿1を回転動作させる。
【0039】
下方向きのfθレンズ装置11Aによって、上皿2の上面6にマーキング21がなされる。横方向きのfθレンズ装置11Bは、上皿2の外側面7にマーキング22(
図6参照)を施すことができる。
【0040】
非ラップ状態の拡大面積表面である非ラップ幅部分5aが形成される。
【0041】
この非ラップ幅部分5aに、横方向きのfθレンズ装置11Bによってこの非ラップ幅部分5aにマーキング23が施こされる。
【0042】
下皿1の回転動作は、マーキング23を外表面5に形成された非ラップ幅部分5aに広範囲に亘って施す時になされ、マーキング22を小範囲に亘って施す時にはなされない。
【0043】
図6は、3種類のマーキングが施された状態を示す図である。上皿2の上面6にマーキング21がなされ、上皿2の外側面7にマーキング22がなされ、非ラップ幅部分5aにマーキング23がなされる。
【0044】
図7は、本発明の他の実施例の構成を示す図である。
【0045】
本例では、
図4(b)の示されるマーキング装置110に、インクジェット方式を採用したマーキング方法が実行される。マーキング装置110は、インクジェットヘッド31、上下動板材32、板材保持手段33及びモータ34を備える。インクジェットヘッド31は、下方向きのインク滴投射装置31A及び横方向きのインク滴照射装置31Bを備え、インクジェット発振器によって制御されたインク滴を投射する。板材保持手段33は、上下動板材32を上下動させ、上移動のとき、上皿2を下皿1に対してずらし移動させる。モータ34は、下皿1を回転動作させる。
【0046】
下方向きのインク滴照射装置31Aのよって、上皿2の上面6にマーキング41がなされる。横方向きのインク滴照射装置31Bは、上皿2の外側面7にマーキング42(
図6のマーキング22に相当)を施すことができる。
【0047】
非ラップ状態の拡大面積表面である非ラップ幅部分5aが形成される。
【0048】
この非ラップ幅部分5aに、横方向きのインク滴照射装置31Bによってこのラップ幅部分5aにマーキング43が施こされる。
【0049】
下皿1の回転動作は、マーキング43を外表面5に形成された非ラップ幅部分5aに周方向に広範囲に亘って施す時になされ、マーキング43を小範囲に亘って施す時にはなされない。
【0050】
図7に示される例にあっても、
図6に示されると同様に、3種類のマーキングが施される。マーキング21をマーキング41に、マーキング22をマーキング42に、そしてマーキング23をマーキング43に読み替える。
【0051】
図8は、本発明の他の実施例の構成を示す図である。
【0052】
本例では、
図4(c)の示されるマーキング装置110に、貼付方式を採用したマーキング方法が実行される。マーキング装置110は、貼付装置51、上下動板材52、板材保持手段53及びモータ54を備える。
【0053】
貼付装置51は、上面貼付装置51A及び横面貼付装置51Bからなる。
【0054】
上面貼付装置51Aは、シール取りヘッド51AA及びシール51ABを備え、シール取りヘッド51AAは、横方向に及び上下方向に往復駆動する往復駆動装置(図示せず)によって往復動操作がなされる。この往復動操作になる貼付動作を行うことで、シール取りヘッド51AAによって、シール51ABを上皿の上面6に押し付けることができる。
【0055】
横面貼付装置51Bは、シール取りヘッド51BA、シール51BB及びシール取りヘッド回動装置51BCを備える。シール取りヘッド51BAは、シール取りヘッド回動装置51BCに連結され、横方向に往復駆動する往復駆動装置(図示せず)によって往復動操作がなされ、シール取りヘッド回動装置51BCは、回動駆動装置(図示せず)によって回動動作され、シール取りヘッド51BAを水平位置まで回転させる。シール取りヘッド51BAによって、シール51BBを上皿の外側面7及び下皿の外側面5にシール51BBを押し付けることができる。
【0056】
上面貼付装置51Aによって、上皿2の上面6にマーキング61がなされる。横面貼付装置51Bは、上皿2の外側面7にマーキング62(
図6のマーキング22に相当)を施すことができる。
【0057】
非ラップ状態の拡大面積表面である非ラップ幅部分5aが形成される。
【0058】
この非ラップ幅部分5aに、横面貼付装置51Bによって、この非ラップ幅部分5aにマーキング63が施こされる。
【0059】
モータ54は、シール貼付時に使用される。
【0060】
図8に示される例にあっても、
図6に示されると同様に、3種類のマーキングが施される。マーキング21をマーキング61に、マーキング22をマーキング62に、そしてマーキング23をマーキング63に読み替える。
【0061】
図9は、本発明の実施例であるシャーレーにマーキングを施すシャーレーマ
−キング方法を示す図である。
【0062】
図9において、シャーレー100にマーキングを施すシャーレーマ
ーキング方法は、工程S1からS7によって構成され得る。
【0063】
円筒形の透明容器が2枚で一組になっていて、一方が下皿となり底面を有し、他方が上皿となる蓋で、下皿の深部底面上に培地が形成された培養容器であり、当該上皿が当該下皿に密着しシールして、被せることが可能とされ、当該上皿が当該下皿に密着し、シールして被されたときに、当該上の下端が当該下皿の下端に一致あるいは当該下端から上方に位置するように形成された培養菌培養用のシャーレー100が準備される(S1)。
【0064】
上皿2の表面上にマーキング21、41又は61が施される。
上皿2の表面には、上部の上面6と外側面7とがあり、どちらか又は双方が選択される。両方が選択されてもよい。上部の上表面6が選択された場合、上表面にマーキング21、41又は61が施される(S2)。外側面7が選択された場合、外側面7にマーキング22、42又は62が施される(S3)。
【0065】
上皿2が下皿1に密着しシールして、被せられる。(S4)。
【0066】
上皿2を外力70、すなわち上下動板材12、32又は52及び板材保持手段13、33又は53によって上皿2を、上方にずらし移動させて、上皿2の下端端が下皿1の上端部にラップする状態が形成される。
【0067】
ずらし移動の形成に伴って下皿1の外側面に、非ラップ状態の拡大面積表面である非ラップ幅部分5aが形成される(S5)。
【0068】
ずらし移動の際、雑菌の混入によるコンタミを防止するに十分な幅を持つラップ幅部分5bが形成される。
【0069】
上皿が下皿に密着シールしたときに、上皿2の下端が下皿1の下端に下端から上方に位置して、密着シール時の当該下皿の側面の面積表面が、上皿2を外力によって上方にずらし移動させて、相対的に下皿1を下方にずらし移動させ、ずらし移動前のラップ幅部分5Bから縮小大面積表面であるラップ幅部分5b、ずらし移動前の非ラップ幅部分5Aから拡大面積表面である非ラップ幅部分5aを形成する。
【0070】
下皿1を外力によって下方にずらし移動させて、相対的に上皿2を上方にずらし移動させ、拡大面積表面である非ラップ幅部分5aを形成するようにしてもよい。
【0071】
外力付与による操作は、上下動板材12、32又は52及び板材保持手段13、33又は53に限定されず、他の適切な外力操作手段を採用可能である。
【0072】
シャーレー100は、材質と形が種々あるので、それら種々のシャーレーに合わせて、雑菌でコンタミが生じないようにずらすと共に、最適のパワーで印字できるようにする。
【0073】
拡大面積表面である非ラップ幅部分5aにマーキング23、43、63が施こされる(S6)。
【0074】
マーキング方法には、レーザーによるマーキング方法、印刷方式によるマーキング方法及びシール貼付法によるマーキング方法があるが、いずれの方法であってもよい。
【0075】
図9では、ステップS2あるいはステップS3がステップ1に次に記載されているが、これらのステップをステップ6のマーキング23、43、63を施しての後に実行するようにしてもよい。
【0076】
マーキングがなされる(S6)と、上皿2は、下皿1の上にずらし移動で戻され、マーキング前の状態に復帰される(S7)。下皿1が透明材料で作成されている場合には、外方からマーキングを容易に視認し見分けられる。
【0077】
このように、シャーレー100にマーキングを施すシャーレーマ
ーキング方法が、完了する。
【0078】
シャーレーマキング方法が、上皿2の上部の表面の上面6又は/及び外側面7にマーキング21、41又は61、又は22、42、62を施すこと、
上皿2を下皿1に密着シールした後に、すなわち静置した後に、上皿2を外力70によって上皿2を、上方にずらし移動させて、移動後に当該上皿の下端端が当該下皿の上方でのみラップする状態形成させること、すなわちラップ幅部分5bを形成すること、
上方でのみラップする状態の形成に伴って下皿1の外側面5に、非ラップ状態の拡大面積表面である非ラップ幅部分5aを形成し、非ラップ幅部分5aにマーキング23,43又は63を施すことで形成される。
【0079】
上部の外表面6又は/及び外側面7に施されたマーキング21、41又は61、又は/及びマーキング22、42又は62を持つ上皿2と、ずらし移動前の非ラップ幅部分を5A,ラップ幅部分を5B、ずらし移動後の非ラップ幅部分を5a,ラップ幅部分を5bとすると、5A+5B=5a+5b、5a>5A,5b<5Bである、非ラップ幅部分5aに、マーキング23、43又は63を持つ下皿1と、からなるシャーレー100が提供される。
【0080】
本実施例によれば、下皿の培地に雑菌によるコンタミが防止された状態で、従来上皿に施されるマーキング1種類であったものが、上述された2種類のマーキングが形成されることで、上部の外表面6又は/及び外側面7に施されたマーキング21、41又は61を持つ上皿2と、培養菌を内蔵した、外表面5にマーキング23、43又は63を持つ下皿1と、からなるシャーレー100が提供される。
【0081】
本実施例によれば、下皿の培地に雑菌によるコンタミが防止された状態で、従来上皿に施されるマーキング1種類であったものが、上述された2種類のマーキングが形成されることで、培養内容についての管理情報が上皿及び下皿の方法に容易に視認し見分けられるようにしてマーキングされ、培養内容についての管理をスムーズに進行させ、培養実験に当たって培養菌確認に齟齬を生じさせない。
【0082】
図10は、シャーレーが多段に積み重ねられた状態を示す図である。
【0083】
マーキングの施されたシャーレー100は、通常、多段に重ねられて培養実験に供される。
図10に、シャーレー100が5段に積み重ねられた例を示す。
【0084】
シャーレー100は、上部の外表面6又は/及び外側面7に施されたマーキング21、41又は61を持つ上皿2と、培養菌を内蔵した、外表面5にマーキング23、43又は63を持つ下皿1と、からなる。
【0085】
図10において、個々のシャーレー100が、前述した2種類のマーキングが円周方向の横側に施された、円周方向直角に色彩帯からなる色彩マーキングを有する。
【0086】
シャーレー100が複数個、多段重ねが可能とされ、多段重ねられたときに、個々の色彩マーキングが円周方向直角方向に一列に整列される。本例の場合、最上段から最下段に向けて、赤、赤、赤、青、青の色彩帯81〜85が形成された。
【0087】
この例によれば、多段に重ねられたときに、マーキング23,43、63の配置位置を容易に確認することができる。
【0088】
図10は、下皿1が透明材でできている例である。この場合、色彩帯81〜85は、外部から容易に視認され得る。
【0089】
培養菌の危険度、培養菌のグループ分け及び使用者の管理識別を含む認識標識に対応して、マーキングの形態が種別され得る。色彩マーキングが複数の色で色分けされ、マーキングの種別に対応して、色別認識標識が形成され得る。
【0090】
本実施例によれば、
円筒形の容器が2枚で一組になっていて、一方が上皿となる蓋で、他方が、底面を有し、底面上に培地が形成された下皿であり、当該上が当該下皿に密着しシールして、被せることが可能とされ、当該上皿が当該下皿にシールして被されたときに、当該上皿の下端が当該下皿の下端に一致あるいは当該下端から上方に位置するように形成された培養菌培養用のマーキングされたシャーレー100を用いた培養菌培養の管理方法が提供される。
【0091】
このシャーレーを用いた培養菌培養の管理方法は、下皿の背高さをH
1、上皿の深部深さをH
2としたときに、双方の差H
1-H
2=h
0(h
0はゼロを含む)となり、当該上皿が当該下皿に対して、ラップ幅hを残してのずらし移動状態で、非ラップ幅(H
2-h)がH
1-(h
0+h)で表され、前記上皿の表面に施されたマーキングと、非ラップ幅H
1-(h
0+h)の外表面を持つ当該外表面に視認可能なマーキングから使用者に有益な管理情報を形成することを特徴とする。
【0092】
このシャーレーを用いた培養菌培養の管理方法は、前記管理データが、表面に施されたマーキング及び前記上皿の施されたマーキングと同一になる部分を持つマーキングとからなるマーキングであることを特徴とする。
【課題】生物の培養の際に、外部からの微生物混入、いわゆるコンタミネーションを避ける配慮をしながら、容易に視認し見分けられる大きさのマーキングを施すことを可能とする。
【解決手段】上皿の表面にマーキングを施し、上皿を下皿に密着シールし、上皿を外力によって上皿を、上方にずらし移動させて、上皿の下端端が当該下皿の上方にラップする状態を残留させおき、このラップする状態の形成に伴って下皿の側面に、非ラップ状態の拡大面積表面を形成し、当該拡大面積表面にマーキングを施す。