(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ある発電事業者Aが保有若しくは運営する第1の種類の再生可能エネルギー発電設備であって、商用電力系統に連系供給できる連系供給容量の枠内で、自らの発電電力を商用電力系統に連系供給する第1の種類の再生可能エネルギー発電設備と、
前記発電事業者Aが保有若しくは運営する前記第1の種類とは異なる第2の種類の再生可能エネルギー発電設備であって、商用電力系統に連系供給できる連系供給容量の枠内で、自らの発電電力を商用電力系統に連系供給する第2の種類の再生可能エネルギー発電設備と、
前記第1及び/又は第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からの各発電電力を商用電力系統に連系供給するとき、前記発電事業者Aが保有する前記第1及び/又は第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からの各発電電力を合計した合計発電電力を求める合計発電電力取得部と、
前記発電事業者Aが保有若しくは運営する第1及び/又は第2の種類の各再生可能エネルギー発電設備に対してそれぞれ認められた各連系供給容量枠(「前記第1の種類及び第2の種類の各再生可能エネルギー発電設備のいずれか一方に対して認められた連系供給容量枠」はゼロであってもよい)を合計した合計連系供給容量枠に、他の発電事業者B側の発電設備に対して認められた連系供給容量枠中の当該他の発電事業者B側が使用する予定のない時間帯の連系空き枠であって前記発電事業者A側が連系空き枠のマッチング取引事業者の仲介又は連系空き枠の取引を行う取引所での取引を介して他の発電事業者B側から取得した連系空き枠を付加して得られる付加連系供給容量枠を取得する付加連系供給容量枠取得部と、
前記合計発電電力取得部が取得した合計発電電力と前記付加連系供給容量枠取得部が取得した付加連系供給容量枠とを比較して、前記合計発電電力が前記付加連系供給容量枠を超過しないときは、前記発電事業者A側の第1及び/又は第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からの各発電電力の商用電力系統への連系供給を許容し、前記合計発電電力が前記付加連系供給容量枠を超過するときは、前記発電事業者A側の第1及び/又は第2の種類の再生可能エネルギー発電設備から商用電力系統に連系供給する発電電力量を抑制する連系供給電力調整部と
を備えたことを特徴とするハイブリッド系統接続システム。
複数の各発電事業者間における前記連系空き枠の取引を促すため、前記マッチング部により得られたマッチング結果を複数の各発電事業者側に提供するマッチング結果提供部をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の連系空き枠マッチングシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、風力、地熱、バイオマス、及び太陽光などの複数種類の再生可能エネルギーによる発電設備を運営している発電事業者は、事前に商用電力系統を運営する電力会社から認められた連系供給容量枠の範囲内でのみ、前記複数種類の再生可能エネルギーによる発電設備からの発電電力を商用電力系統に連系供給(連系出力・逆潮流)することができた。
【0005】
しかしながら、既存の再生可能エネルギー発電設備を現に運営している発電事業者が、又は再生可能エネルギー発電設備を過去に運営していなかった発電事業者が、新規に再生可能エネルギー発電設備を設置してその発電電力を商用電力系統に連系供給したいと希望する場合、商用電力系統を運営する電力会社から商用電力系統への連系供給容量枠を認めてもらうためには、手続等に関して多大な費用、手間及び時間が必要となるのが現状であり、そのことが新規の再生可能エネルギー発電設備の設置、運営の普及を妨げる主要因の一つとなっていた(なお、既に再生可能エネルギー発電設備を運営している発電事業者が自ら新規の他の再生可能エネルギー発電設備を設置する場合は、その新規の再生可能エネルギー発電設備からの発電電力についても、既に認められた連系供給容量枠の範囲内でならば、商用電力系統に連系供給することが可能ではあるが、その既に認められている連系供給容量枠だけでは不十分な場合に新規に連系供給容量枠を認めてもらうためには、やはり多大な費用、手間及び時間が必要となっていた)。
【0006】
本発明はこのような従来技術の問題点に着目して為されたものであって、既存の再生可能エネルギー発電設備を現に運営している発電事業者が、又は再生可能エネルギー発電設備を過去に運営していなった発電事業者が、新規に再生可能エネルギー発電設備を設置してその発電電力を商用電力系統に連系供給(連系出力・逆潮流)するときに、(i)自らが保有・運営している既存の再生可能エネルギー発電設備に関して認められている連系供給容量枠(系統連系枠)及び/又は(ii)他の発電事業者が保有・運営している既存の再生可能エネルギー発電設備に関して認められている連系供給容量枠、若しくはその中の使用する予定のない時間帯における連系空き枠を活用して、新規に設置した再生可能エネルギー発電設備からの発電電力を商用電力系統に連系供給することを可能にした、ハイブリッド系統接続システム、及びこれを実現するのに適した連系空き枠マッチングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような課題を解決するための本発明によるハイブリッド系統接続システムは、商用電力系統に連系供給できる連系供給容量の枠内で、自らの発電電力を商用電力系統に連系供給する風力発電設備と、商用電力系統に連系供給できる連系供給容量の枠内で、自らの発電電力を商用電力系統に連系供給する地熱発電設備と、前記風力発電設備及び/又は前記地熱発電設備からの発電電力を商用電力系統に連系供給するとき、前記風力発電設備からの発電電力と前記地熱発電設備からの発電電力とを合計した合計発電電力を求める合計発電電力取得部と、前記合計発電電力が、前記風力発電設備に対して認められた連系供給容量枠と前記地熱発電設備に対して認められた連系供給容量枠(この「前記地熱発電設備に対して認められた連系供給容量枠」はゼロであってもよい)とを合計した合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記風力発電設備及び/又は前記地熱発電設備から前記商用電力系統に連系供給される発電電力量を調整する連系供給電力調整部とを備えたものである。
【0008】
また、本発明によるハイブリッド系統接続システムは、商用電力系統に連系供給できる連系供給容量の枠内で、自らの発電電力を商用電力系統に連系供給する風力発電設備と、商用電力系統に連系供給できる連系供給容量の枠内で、自らの発電電力を商用電力系統に連系供給するバイオマス発電設備と、前記風力発電設備及び/又は前記バイオマス発電設備からの発電電力を商用電力系統に連系供給するとき、前記風力発電設備からの発電電力と前記バイオマス発電設備からの発電電力とを合計した合計発電電力を求める合計発電電力取得部と、前記合計発電電力が、前記風力発電設備に対して認められた連系供給容量枠と前記バイオマス発電設備に対して認められた連系供給容量枠(この「前記バイオマス発電設備に対して認められた連系供給容量枠」はゼロであってもよい)とを合計した合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記風力発電設備及び/又は前記バイオマス発電設備から前記商用電力系統に連系供給される発電電力量を調整する連系供給電力調整部とを備えたものである。
【0009】
また、本発明によるハイブリッド系統接続システムは、商用電力系統に連系供給できる連系供給容量の枠内で、自らの発電電力を商用電力系統に連系供給する風力発電設備と、商用電力系統に連系供給できる連系供給容量の枠内で、自らの発電電力を商用電力系統に連系供給する太陽光発電設備と、前記風力発電設備及び/又は前記太陽光発電設備からの発電電力を商用電力系統に連系供給するとき、前記風力発電設備からの発電電力と前記太陽光発電設備からの発電電力とを合計した合計発電電力を求める合計発電電力取得部と、前記合計発電電力が、前記風力発電設備に対して認められた連系供給容量枠と前記太陽光発電設備に対して認められた連系供給容量枠(この「前記太陽光発電設備に対して認められた連系供給容量枠」はゼロであってもよい)とを合計した合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記風力発電設備及び/又は前記太陽光発電設備から前記商用電力系統に連系供給される発電電力量を調整する連系供給電力調整部とを備えたものである。
【0010】
また、本発明によるハイブリッド系統接続システムは、商用電力系統に連系供給できる連系供給容量の枠内で、自らの発電電力を商用電力系統に連系供給する第1の種類の再生可能エネルギー発電設備と、商用電力系統に連系供給できる連系供給容量の枠内で、自らの発電電力を商用電力系統に連系供給する、前記第1の種類とは異なる第2の種類の再生可能エネルギー発電設備と、前記第1及び/又は前記第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からの発電電力を商用電力系統に連系供給するとき、前記第1の種類の再生可能エネルギー発電設備からの発電電力と前記第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からの発電電力とを合計した合計発電電力を求める合計発電電力取得部と、前記合計発電電力が、前記第1の種類の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠と前記第2の種類の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠(この「前記第2の種類の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠」はゼロであってもよい)とを合計した合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記第1の種類の再生可能エネルギー発電設備及び/又は前記第2の種類の再生可能エネルギー発電設備から前記商用電力系統に連系供給される発電電力量を調整する連系供給電力調整部と、前記連系供給電力調整部に含まれ、又は前記連系供給電力調整部からの制御により若しくはこれと連携して作動する蓄電池制御部であって、前記超過する又はその可能性のある発電電力分を蓄電池に充電する蓄電池制御部とを備えたものである。
【0011】
また、本発明によるハイブリッド系統接続システムにおいては、前記連系供給電力調整部に含まれ、又は前記連系供給電力調整部からの制御により若しくはこれと連携して作動する蒸気量調整部であって、前記合計発電電力が、前記風力発電設備及び前記地熱発電設備の合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記合計発電電力量を抑制するために、前記地熱発電設備内において発電タービンに供給される蒸気量を調整する蒸気量調整部を備えていてもよい。
【0012】
また、本発明によるハイブリッド系統接続システムにおいては、前記連系供給電力調整部に含まれ、又は前記連系供給電力調整部からの制御により若しくはこれと連携して作動する燃料供給量調整部であって、前記合計発電電力が、前記風力発電設備及び前記バイオマス発電設備の合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記合計発電電力量を抑制するために、前記バイオマス発電設備内の燃焼部への燃料の供給量を調整する燃料供給量調整部を備えていてもよい。
【0013】
また、本発明によるハイブリッド系統接続システムは、ある発電事業者Aが保有若しくは運営する第1の種類の再生可能エネルギー発電設備であって、商用電力系統に連系供給できる連系供給容量の枠内で、自らの発電電力を商用電力系統に連系供給する第1の種類の再生可能エネルギー発電設備と、前記発電事業者Aとは別の他の発電事業者Bが保有若しくは運営する前記第1の種類とは異なる第2の種類の再生可能エネルギー発電設備であって、商用電力系統に連系供給できる連系供給容量の枠内で、自らの発電電力を商用電力系統に連系供給する第2の種類の再生可能エネルギー発電設備と、前記第1及び/又は前記第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からの各発電電力を商用電力系統に連系供給するとき、前記発電事業者Aが保有若しくは運営する第1の種類の再生可能エネルギー発電設備からの発電電力と、前記他の発電事業者Bが保有若しくは運営する第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からの発電電力とを合計した合計発電電力を求める合計発電電力取得部と、前記第1及び/又は前記第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からの各発電電力を商用電力系統に連系供給するとき、前記発電事業者Aが保有若しくは運営する第1の種類の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠と、前記他の発電事業者Bが保有若しくは運営する第2の種類の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠(この「前記他の発電事業者Bが保有若しくは運営する第2の種類の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠」はゼロであってもよい。以下同じ)とを合計した合計連系供給容量枠を求める合計連系供給容量枠取得部と、ある発電事業者Aが保有若しくは運営する第1の種類の再生可能エネルギー発電設備からの発電電力と、他の発電事業者Bが保有若しくは運営する第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からの発電電力とが、それぞれ、それらを合計した合計発電電力が、前記発電事業者Aの発電設備に対して認められた連系供給容量枠と前記他の発電事業者Bの発電設備に対して認められた連系供給容量枠とを合計した合計連系供給容量枠の範囲内であることを条件として、商用電力系統に連系供給することが認められている場合において、前記合計発電電力が前記合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記第1及び/又は前記第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からそれぞれ商用電力系統に連系供給される発電電力量を調整する連系供給電力調整部とを備えたものである。
【0014】
また、本発明によるハイブリッド系統接続システムは、ある発電事業者Aが保有若しくは運営する第1の種類の再生可能エネルギー発電設備であって、商用電力系統に連系供給できる連系供給容量の枠内で、自らの発電電力を商用電力系統に連系供給する第1の種類の再生可能エネルギー発電設備と、前記発電事業者A又は他の発電事業者Bが保有若しくは運営する前記第1の種類とは異なる第2の種類の再生可能エネルギー発電設備であって、商用電力系統に連系供給できる連系供給容量の枠内で、自らの発電電力を商用電力系統に連系供給する第2の種類の再生可能エネルギー発電設備と、前記第1及び/又は前記第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からの各発電電力を商用電力系統に連系供給するとき、前記発電事業者Aが保有する前記第1及び前記第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からの各発電電力を合計した合計発電電力を求める合計発電電力取得部と、前記第1及び/又は前記第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からの各発電電力を商用電力系統に連系供給するとき、前記発電事業者Aが、他の電力事業者が保有する連系供給容量中の空き枠であって当該他の電力事業者が使用する予定のない時間帯に対応する空き枠を、空き枠取引のマッチング取引事業者の仲介により又は空き枠取引のための取引所での取引により取得した場合における、(a)前記発電事業者Aが保有若しくは運営する第1の種類の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠と、(b)前記発電事業者A又は他の発電事業者Bが保有若しくは運営する第2の種類の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠(この「前記発電事業者A又は他の発電事業者Bが保有若しくは運営する第2の種類の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠」はゼロであってもよい)と、(c)前記発電事業者Aが、空き枠の取引のためのマッチング取引事業者の仲介により又は前記空き枠取引のための取引所での取引により取得した空き枠と、を合計した付加連系供給容量枠を取得する付加連系供給容量枠取得部と、前記合計発電電力が、前記付加連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記第1の種類の再生可能エネルギー発電設備及び/又は前記第2の種類の再生可能エネルギー発電設備から前記商用電力系統に連系供給される発電電力量を調整する連系供給電力調整部とを備えたものである。
【0015】
さらに、本発明による前記ハイブリッド系統接続システムの実現に際して使用されるのに適した連系空き枠マッチングシステムは、複数の発電事業者が保有する各再生可能エネルギー発電設備の稼動状況を予測する稼動状況予測部と、前記各再生可能エネルギー発電設備の稼動状況の予測(前記稼動状況予測部からの出力)に基づいて予測される連系容量枠の空き枠情報を出力する連系空き枠情報出力部と、複数の発電事業者からの空き枠の購入希望と売却希望をマッチングさせるマッチング部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明においては、風力発電設備及び地熱発電設備からの発電電力を商用電力系統に連系供給する場合において、前記風力発電設備からの発電電力と前記地熱発電設備からの発電電力とを合計した合計発電電力が、前記風力発電設備に対して認められた連系供給容量枠(系統連系枠)と前記地熱発電設備に対して認められた連系供給容量枠(系統連系枠)とを合計した合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記連系供給電力調整部が、前記風力発電設備及び前記地熱発電設備から前記商用電力系統に連系供給される発電電力量を調整するようにしたので、既存の再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営している発電事業者が、又は再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営していない発電事業者が、新規に再生可能エネルギー発電設備を設置してその発電電力を商用電力系統に連系供給(連系出力・逆潮流)するときに、自らが保有若しくは運営する又は他の発電事業者が保有若しくは運営する既存の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠を活用して、新規に設置した再生可能エネルギー発電設備からの発電電力を商用電力系統に連系供給することが可能になる。
【0017】
また本発明においては、風力発電設備及びバイオマス発電設備からの発電電力を商用電力系統に連系供給する場合において、前記風力発電設備からの発電電力と前記バイオマス発電設備からの発電電力とを合計した合計発電電力が、前記風力発電設備に対して認められた連系供給容量枠(系統連系枠)と前記バイオマス発電設備に対して認められた連系供給容量枠(系統連系枠)とを合計した合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記連系供給電力調整部が、前記風力発電設備及び前記バイオマス発電設備から前記商用電力系統に連系供給される発電電力量を調整するようにしたので、既存の再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営している発電事業者が、又は再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営していない発電事業者が、新規に再生可能エネルギー発電設備を設置してその発電電力を商用電力系統に連系供給(連系出力・逆潮流)するときに、自らが保有若しくは運営する又は他の発電事業者が保有若しくは運営する既存の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠を活用して、新規に設置した再生可能エネルギー発電設備からの発電電力を商用電力系統に連系供給することが可能になる。
【0018】
また本発明においては、風力発電設備及び太陽光発電設備からの発電電力を商用電力系統に連系供給する場合において、前記風力発電設備からの発電電力と前記太陽光発電設備からの発電電力とを合計した合計発電電力が、前記風力発電設備に対して認められた連系供給容量枠(系統連系枠)と前記太陽光発電設備に対して認められた連系供給容量枠(系統連系枠)とを合計した合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記連系供給電力調整部が、前記風力発電設備及び前記太陽光発電設備から前記商用電力系統に連系供給される発電電力量を調整するようにしたので、既存の再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営している発電事業者が、又は再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営していない発電事業者が、新規に再生可能エネルギー発電設備を設置してその発電電力を商用電力系統に連系供給(連系出力・逆潮流)するときに、自らが保有若しくは運営する又は他の発電事業者が保有若しくは運営する既存の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠を活用して、新規に設置した再生可能エネルギー発電設備からの発電電力を商用電力系統に連系供給することが可能になる。
【0019】
また、本発明においては、第1の種類の再生可能エネルギー発電設備からの発電電力と第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からの発電電力とを合計した合計発電電力が、前記第1の種類の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠と前記第2の種類の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠とを合計した合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記連系供給電力調整部からの制御に基づいて、前記蓄電池制御部が、前記超過する又はその可能性のある発電電力分を蓄電池に充電するようにした。よって、本発明によれば、前記超過する又はその可能性のある発電電力分を蓄電池に蓄電することにより後で活用できるようにしながら、既存の再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営している発電事業者が、又は再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営していない発電事業者が、新規に再生可能エネルギー発電設備を設置してその発電電力を商用電力系統に連系供給(連系出力・逆潮流)するときに、自らが保有若しくは運営する又は他の発電事業者が保有若しくは運営する既存の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠を活用して、自らが新規に設置した再生可能エネルギー発電設備からの発電電力を商用電力系統に連系供給することが可能になる。
【0020】
また、本発明おいては、前記風力発電設備からの発電電力と前記地熱発電設備からの発電電力との合計発電電力が、前記風力発電設備及び前記地熱発電設備の合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記連系供給電力調整部からの制御に基づいて、前記蒸気量調整部が、前記合計発電電力量を抑制するため、前記地熱発電設備において発電タービンに供給される蒸気量を調整するようにしたので、発電タービンに供給される蒸気量を調整するという極めて簡単(容易)で且つ地熱発電設備に負担を掛けない方法を採るだけで、既存の再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営している発電事業者が、又は再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営していない発電事業者が、新規に再生可能エネルギー発電設備を設置してその発電電力を商用電力系統に連系供給(連系出力・逆潮流)するときに、自らが保有若しくは運営する又は他の発電事業者が保有若しくは運営する既存の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠を活用して、自らが新規に設置した再生可能エネルギー発電設備からの発電電力を商用電力系統に連系供給することが可能になる。
【0021】
また、本発明においては、前記風力発電設備からの発電電力と前記バイオマス発電設備からの発電電力との合計発電電力が、前記風力発電設備及び前記バイオマス発電設備の合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記連系供給電力調整部からの制御に基づいて、前記燃料供給量調整部が、前記合計発電電力量を抑制するために、前記バイオマス発電設備内の燃焼部への燃料の供給量を調整するようにしたので、前記燃焼部への燃料の供給量を調整するという極めて簡単(容易)で且つバイオマス発電設備に負担を掛けない方法を採るだけで、既存の再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営している発電事業者が、又は再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営していない発電事業者が、新規に再生可能エネルギー発電設備を設置してその発電電力を商用電力系統に連系供給(連系出力・逆潮流)するときに、自らが保有若しくは運営する又は他の発電事業者が保有若しくは運営する既存の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠を活用して、自らが新規に設置した再生可能エネルギー発電設備からの発電電力を商用電力系統に連系供給することが可能になる。
【0022】
また、本発明においては、ある発電事業者Aが保有若しくは運営する第1の種類の再生可能エネルギー発電設備からの発電電力と、他の発電事業者Bが保有若しくは運営する第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からの発電電力とが、それぞれ、それらを合計した合計発電電力が、前記発電事業者Aの発電設備に対して認められた連系供給容量枠と前記他の発電事業者Bの発電設備に対して認められた連系供給容量枠とを合計した合計連系供給容量枠の範囲内であることを条件として、商用電力系統に連系供給することが認められている場合(電力会社がそのような扱いを認めた場合)において、前記合計発電電力が前記合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記連系供給電力調整部が、前記第1及び前記第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からそれぞれ前記商用電力系統に連系供給される合計発電電力量を調整するようにしたので、既存の再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営している発電事業者Aが、又は再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営していない発電事業者Aが、新規に再生可能エネルギー発電設備を設置してその発電電力を商用電力系統に連系供給(連系出力・逆潮流)するときに、前記発電事業者Aが保有若しくは運営する既存の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠と、他の発電事業者Bが保有若しくは運営する既存の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠との両者を活用して、前記発電事業者Aが新規に設置した再生可能エネルギー発電設備からの発電電力を商用電力系統に連系供給することが可能になる。
【0023】
また、本発明によるハイブリッド系統接続システムは、ある発電事業者Aが保有若しくは運営する第1の種類の再生可能エネルギー発電設備であって、商用電力系統に連系供給できる連系供給容量の枠内で、自らの発電電力を商用電力系統に連系供給する第1の種類の再生可能エネルギー発電設備と、前記発電事業者Aが保有若しくは運営する前記第1の種類とは異なる第2の種類の再生可能エネルギー発電設備であって、商用電力系統に連系供給できる連系供給容量の枠内で、自らの発電電力を商用電力系統に連系供給する第2の種類の再生可能エネルギー発電設備と、前記第1及び/又は第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からの各発電電力を商用電力系統に連系供給するとき、前記発電事業者Aが保有する前記第1及び/又は第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からの各発電電力を合計した合計発電電力を求める合計発電電力取得部と、前記発電事業者Aが保有若しくは運営する第1及び/又は第2の種類の各再生可能エネルギー発電設備に対してそれぞれ認められた各連系供給容量枠(「前記第1の種類及び第2の種類の各再生可能エネルギー発電設備のいずれか一方に対して認められた連系供給容量枠」はゼロであってもよい)を合計した合計連系供給容量枠に、他の発電事業者B側の発電設備に対して認められた連系供給容量枠中の当該他の発電事業者B側が使用する予定のない時間帯の連系空き枠であって前記発電事業者A側が連系空き枠のマッチング取引事業者の仲介又は連系空き枠の取引を行う取引所での取引を介して他の発電事業者B側から取得した連系空き枠を付加して得られる付加連系供給容量枠を取得する付加連系供給容量枠取得部と、前記合計発電電力取得部が取得した合計発電電力と前記付加連系供給容量枠取得部が取得した付加連系供給容量枠とを比較して、前記合計発電電力が前記付加連系供給容量枠を超過しないときは、前記発電事業者A側の第1及び/又は第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からの各発電電力の商用電力系統への連系供給を許容し、前記合計発電電力が前記付加連系供給容量枠を超過するときは、前記発電事業者A側の第1及び/又は第2の種類の再生可能エネルギー発電設備から商用電力系統に連系供給する発電電力量を抑制する連系供給電力調整部とを備えたことを特徴とするものである。
【0024】
さらに、本発明によるハイブリッド系統接続システムの運用に際して使用されるのに適した連系空き枠マッチングシステムは、複数の発電事業者が保有する各再生可能エネルギー発電設備の稼動状況を、それぞれ予測する稼動状況予測部と、前記稼動状況予測部からの出力に基づいて、複数の各再生可能エネルギー発電設備の稼動状況の予測に応じて求められる、前記各再生可能エネルギー発電設備に対して認められた商用電力系統に連系供給できる連系供給容量枠中の、当該発電事業者が使用する予定のない時間帯の連系空き枠に関する情報を、それぞれ算出又は出力する連系空き枠情報出力部と、前記連系空き枠情報出力部により算出又は出力された連系空き枠情報に基づいて、複数の各発電事業者からの前記各連系空き枠の購入希望と同売却希望とを互いにマッチングさせるマッチング部とを備えたことを特徴とするものである。なお、この連系空き枠マッチングシステムにおいては、複数の各発電事業者間における前記連系空き枠の取引を促すため、前記マッチング部により得られたマッチング結果を複数の各発電事業者側に提供するマッチング結果提供部をさらに備えるようにしてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の実施形態に係るハイブリッド系統接続システムの構成の一例を示す概念ブロック図である。本実施形態に係るハイブリッド系統接続システムの主要な目的の一つは、例えば既存の風力発電所を介して、新規の地熱発電設備、新規のバイオマス発電設備、又は新規の太陽光発電設備などの新規の再生可能エネルギー発電設備を、商用電力系統に自営線などで接続し、既存の風力発電設備が有する系統容量枠(及び/又は他の発電事業者から購入等した系統容量枠中の空き枠をプラスした系統容量枠)を超えない範囲内で制御することにより、新規の再生可能エネルギー等の売電(逆潮流)を可能とすることである。このようなハイブリッド系統接続システムは、(1)系統逼迫エリアにおける再生可能エネルギーの導入促進、(2)系統線利用率の向上、及び(3)広域系統の安定化(例えば風力発電設備に地熱発電設備及びバイオマス発電設備を接続する場合)などの効果を有するものである。
【0027】
本実施形態は、発電事業者が、例えば直径が数〜数十kmの比較的近い距離のエリア内に、互いに異なる複数種類の再生可能エネルギー、例えば風力、地熱、バイオマス、及び太陽光などの再生可能エネルギーによる発電設備を設置、保有し、それらの複数種類の再生可能エネルギー発電設備によりそれぞれ発電された各発電電力を商用電力系統に連系供給(連系出力・逆潮流)するために使用することを想定して構成されたシステムである。
【0028】
図1において、1は風力発電設備、2は太陽光発電設備、3は地熱発電設備、4はバイオマス発電設備、3aは前記地熱発電設備3内において地熱により発生した蒸気の発電タービンへの供給量を例えば供給弁の開度を変更することなどにより調整する蒸気量調整部、4aは前記バイオマス発電設備4内の燃焼部への木質チップなどの燃料の供給量を例えば燃料の供給速度を変更することなどにより調整する燃料供給量調整部である。
【0029】
また、
図1において、5及び6は、それぞれ、前記風力発電設備1及び太陽光発電設備2からの各発電電力を商用電力系統10に連系供給(連系出力・逆潮流)できるように、前記各発電設備1,2からの発電電力を電力会社が要求する電圧及び周波数などを満たす交流電力に変換、調整するためのDC/DCコンバータ、インバーターなどを含むパワーコンディショナーである。前記各パワーコンディショナー5,6で変換等された発電電力は、受変電設備16及び連系点9を介して商用電力系統10に連系供給(連系出力・逆潮流)される。
【0030】
また、
図1において、21は充放電等制御部22及び蓄電池23などを含む蓄電装置である。前記充放電等制御部22は前記蓄電池23の充放電などをパワーコンディショナー25を介して制御するものである。前記パワーコンディショナー25から延出された各配線は、前記各発電設備1〜4と前記受変電設備16とを結ぶ各配線に、それぞれ接続されている。
【0031】
前記各発電設備1〜4からの発電電力の一部は、後述の連系供給電力調整部(符号34)からの信号を受けた前記充放電等制御部22の制御により、前記蓄電池23に充電される。また、前記蓄電池23からの直流電力も、後述の連系供給電力調整部(符号34)からの信号を受けた前記充放電等制御部22の制御により、前記パワーコンディショナー25で所定の電圧の交流電力に変換されて、前記受変電設備16を介して、街灯及び非常用の負荷17に供給されるか又は商用電力系統10に連系供給される。また、商用電力系統10からの商用電力も、前記受変電設備16を介して前記負荷17に供給される。また、前記各発電設備1〜4からの各発電電力も前記受変電設備16を介して前記負荷17に供給される。
【0032】
また、
図1において、11,12は前記各パワーコンディショナー5,6と前記受変電設備16との間の各配線にそれぞれ備えられた電力計、13,14は前記地熱発電設備3及び前記バイオマス発電設備4と前記受変電設備16との間の各配線にそれぞれ備えられた電力計、15は前記受変電設備16と前記連系点9との間に備えられた電力計、31は前記各発電設備1〜4からの各発電電力が前記連系点9から前記商用電力系統10に連系出力されるときの前記各発電電力の合計値(合計発電電力)を算出(取得)する合計発電電力取得部である。すなわち、前記各電力計11〜15でそれぞれ計測された各電力値は、合計発電電力取得部31に送られる。前記合計発電電力取得部31は、前記各電力計11〜15からの出力に基づいて、前記各発電設備1〜4からの各発電電力を合わせた合計発電電力(前記連系点9から前記商用電力系統10に連系出力される発電電力の合計値)を算出する。前記合計発電電力取得部31は、所定の時間間隔で、すなわち所定の時間帯毎に、前記合計発電電力を算出して当該算出した合計発電電力を判定部32に送信する。
【0033】
また、
図1において、33は、前記各発電設備1〜4に対してそれぞれ電力会社が認めた各連系供給容量枠などの情報を取得して記録すると共に、それらの合計を算出して取得した合計連系供給容量枠を記録しておく合計連系供給容量枠取得記録部である。前記各発電設備1〜4に対して電力会社が認めた連系供給容量枠などの情報は、例えば、前記各発電設備1〜4の設置・保有者が、前記合計連系供給容量枠取得記録部33に入力して記録する。なお、本実施形態では、前記合計連系供給容量枠取得記録部33に取得、記録される「前記各発電設備1〜4に対して電力会社から認められた連系供給容量枠」の中には、前記各発電設備1〜4中の一部の発電設備(1つ又は複数の発電設備)を「他の発電事業者」が設置・保有している場合において、その「他の発電事業者」が設置・保有した発電設備に対して電力会社が認めた連系供給容量枠をも含めるように、扱われている(このような扱いは、電力会社が認めれば当然に可能である)。
【0034】
前記合計連系供給容量枠取得記録部33は、所定の時間間隔で、すなわち所定の時間帯毎に、前記各発電設備1〜4についてそれぞれ電力会社が認めた各連系供給容量枠などの情報(後述の個々の取引で取得する「連系空き枠」に関する情報をも含む)を取得し、それらの合計を算出して合計連系供給容量枠を取得し記録する。
【0035】
前記合計連系供給容量枠取得記録部33が算出して記録する合計連系供給容量枠の中には、他の発電事業者が保有する連系供給容量枠の中の空き枠、すなわち、他の発電事業者が保有する連系供給容量枠の中で「使用する予定がない、所定の時間帯毎に区分された、連系供給容量枠中の空き枠」(以下「連系空き枠」という)であって、前記各発電設備1〜4を保有又は運用する発電事業者が「連系空き枠の売買等を仲介するマッチング取引事業者(後述する)、又は連系空き枠の取引所」を介して取得した連系空き枠も、含まれる。
【0036】
前記合計連系供給容量枠取得記録部33は、連系空き枠取得部(
図1の符号35。後述する)が、前記「連系空き枠の売買等を仲介するマッチング取引事業者(後述する)、又は連系空き枠の取引所」を介して取得した連系空き枠の情報を、取得空き枠情報出力部36から受信することにより取得する。すなわち、前記取得空き枠情報出力部36は、前記各発電設備1〜4を保有又は運用する発電事業者が前記「連系空き枠の売買等を仲介するマッチング取引事業者(後述する)、又は連系空き枠の取引所」を介して「他の発電事業者」から取得した連系空き枠の情報を、連系空き枠取得部35(後述する)から取得する。
【0037】
前述したように、前記合計発電電力取得部31は、所定の時間間隔(例えば5分間とか10分間などの時間間隔)で、すなわち所定の時間帯毎に、算出した合計発電電力を前記判定部32に出力する。前記判定部32は、前記合計発電電力取得部31からの合計発電電力を受信したとき、前記合計連系供給容量枠取得記録部33にアクセスして、前記合計連系供給容量枠取得記録部33に記録されているその時点(時間帯)における合計連系供給容量枠を、取得する。そして、前記判定部32は、前記合計発電電力取得部31からの当該時間帯(所定の時間間隔)の合計発電電力と前記合計連系供給容量枠取得記録部33からの同じ時間帯(所定の時間間隔)の合計連系供給容量枠とを比較し、もし当該時間帯(所定の時間間隔)において前記合計発電電力が前記合計連系供給容量枠を超える場合(又は当該時間帯(所定の時間間隔)において超える可能性が高いと予測する場合)は、そのこと及びその超える発電電力量(又は当該時間帯(所定の時間間隔)において超える可能性が高いと予測される発電電力値)を、連系供給電力調整部34に出力する。
【0038】
前記連系供給電力調整部34は、前記判定部32から、当該時間帯(所定の時間間隔)において前記合計発電電力が前記合計連系供給容量枠を超えること(又は当該時間帯(所定の時間間隔)においてその可能性が高いこと)及びその超える発電電力量(又は当該時間帯(所定の時間間隔)において超える可能性が高いと予測される発電電力量)を受信すると、前記合計発電電力が前記合計連系供給容量枠を超えることがないように、前記各発電設備1〜4からの各発電電力の全部又は一部を抑制するように調整する。
【0039】
前記連系供給電力調整部34は、例えば、その時々の天候及び地域性などを含む電力関連状況に応じて、次のような複数の方法の全部又は一部を行って、前記合計発電電力が前記合計連系供給容量枠を超えることがないように、前記各発電設備1〜4からの各発電電力の全部又は一部を抑制するように調整する。
【0040】
まず、前記連系供給電力調整部34は、前記充放電等制御部22に制御信号を送信して、前記各発電設備1〜4からの発電電力の一部を前記蓄電池23に蓄電させ、これにより、前記各発電設備1〜4から前記受変電設備16に供給される各発電電力量を抑制する。このように、前記超過する発電電力を前記蓄電池23に蓄電する場合は、前記各発電設備1〜4の発電電力の抑制(例えば後述のパワーコンディショナーによるピークカット、地熱発電設備内での蒸気の発電タービンへの供給量の抑制、バイオマス発電設備内での燃料の供給量の抑制など)を行う必要は、原則としてない。
【0041】
また、前記連系供給電力調整部34は、例えば、前記パワーコンディショナー5,6に制御信号を送信して、前記パワーコンディショナー5,6において前記風力発電設備1又は前記太陽光発電設備2からの各発電電力の最大値をカットさせ(例えばサージ制御などの手法によりピークカットさせ)、これにより前記風力発電設備1及び前記太陽光発電設備2からの各発電電力量を抑制する。また、前記連系供給電力調整部34は、例えば、前記蒸気量調整部3aに制御信号を送信して、前記蒸気量調整部3aにより前記地熱発電設備3内において発電タービンを回転するために供給される蒸気の量を抑制させ、これにより前記地熱発電設備3からの発電電力量を抑制、調整する。また、前記連系供給電力調整部34は、例えば、前記燃料供給量調整部4aに制御信号を送信して、前記燃料供給量調整部4aにより前記バイオマス発電設備4内の燃焼部への木質チップなどの燃料の供給量を抑制させ、これにより前記バイオマス発電設備4からの発電電力量を抑制、調整する。
【0042】
次に、前記各発電設備1〜4を保有又は運用する発電事業者が、前記連系空き枠取得部35により、「他の発電事業者」が保有している連系空き枠(「他の発電事業者」が保有する連系供給容量枠の中で「使用する予定がない、所定の時間帯毎に区分された、連系供給容量枠中の空き枠」)を、「連系空き枠の売買等を仲介するマッチング取引事業者、又は連系空き枠の取引所」を介して取得するときの動作及びそのための構成の一例を、
図2を参照して説明する。
【0043】
図2において、41はインターネット、42は前記各発電設備(再生可能エネルギー発電設備)1〜4を設置・保有している発電事業者A側の端末、43は他の再生可能エネルギー発電設備を設置・保有している他の発電事業者B側の端末、44は前記連系空き枠の売買等を仲介するマッチング取引事業者が運営するサーバーにより構成されている連系空き枠マッチングシステム(ハイブリッド系統取引システム。同様の機能を有する空き枠取引所システムでもよい)である。
【0044】
前記連系空き枠マッチングシステム44により運営されるマッチング取引事業には、再生可能エネルギー発電設備を設置・保有する多数の発電事業者が参加(加入)している。
図2の前記マッチングシステム44中において、45はこのシステムに参加している多数の発電事業者が設置・保有する各再生可能エネルギー発電設備の稼動状況に関する例えば当該設置された発電設備の内容、当該設置された地域の人口や世帯数などの地域性、当該地域の天候などの情報を記録しておく稼動状況関連データベース、46はこのシステムに参加している多数の発電事業者が設置・保有する各再生可能エネルギー発電設備に対してそれぞれ電力会社が認めている各連系供給容量枠を記録しておく連系供給容量枠データベース、47は前記稼動状況関連データベース45からの情報に基づいて前記多数の発電事業者が設置・保有する各再生可能エネルギー発電設備毎の稼動状況を所定の時間帯毎に予測する稼動状況予測部、48は前記稼動状況予測部47からの出力と前記連系供給容量枠データベース46からの情報とに基づいて前記多数の発電事業者が設置・保有する各再生可能エネルギー発電設備毎の所定の各時間帯毎の連系空き枠を算出(取得)して出力する空き枠出力部、49は前記多数の発電事業者からの各時間帯毎の連系空き枠の売り注文と買い注文をそれぞれ受信し、それらを互いにマッチングする(そして指値又は成り行きで取引を成立させる)マッチング部である。
【0045】
次に
図2に関して前記マッチングシステム(ハイブリッド系統取引システム)44の動作を説明する。前記空き枠出力部48は、既存の再生可能エネルギーの送電出力データ(365日、24時間)、太陽光なら日射量、風力なら風況データ、バイオマスならバイオマス供給量といった発電に必要となるデータ(前記稼動状況関連データベース45に記録されたデータ)、及び取引に参加している多数の発電事業者が保有する各発電設備毎に認められている各連系供給容量枠(前記連系供給容量枠データベース46に記録されたデータ)などに基づいて、通常運転時における連系空き枠(系統空き枠)を一定の時間帯毎に算出して出力する。すなわち、前記空き枠出力部48は、多数の発電事業者がそれぞれ保有若しくは運営する各発電設備に対して認められている連系供給容量枠中の「当該事業者が使用する予定がない時間帯に対応する空き枠」を求めて出力する。
【0046】
前記マッチング部49は、既存の再生可能エネルギーの立地場所の日射量、風況予測データ、バイオマス賦存量、水系データ(各都道府県)、地熱ポテンシャルデータをインプットデータとして、前記各連系供給容量の空き枠の売り注文と買い注文との最適な組み合わせをシミュレーションする。そして、前記マッチング部49は、このシミュレーション結果を、太陽光、風力、バイオマス、地熱、及び水力などの各再生可能エネルギー発電設備を保有する各発電事業者に提供し、自分が保有する連系供給容量枠中の連系空き枠の購入・売却等の検討を促す。以上の一連の動作に関するデータは、インターネットのホームページ上で公開し、特に新規の再生可能エネルギー発電事業者に対してマッチング取引を実現させる。
【0047】
このようなマッチングシステム(ハイブリッド系統取引システム)44により、(1)広域系統を運営する発電事業者にとっては、系統利用率の向上、再生可能エネルギー発電の普及拡大、及び広域系統の安定化などの効果が見込まれる。また、(2)既存の再生可能エネルギー発電事業者にとっては、保有する発電設備の設備利用率の向上、及び連系空き枠の転売による収益増加(利回り向上)などの効果が期待できる。さらに、(3)新規の再生可能エネルギー発電事業者にとっては、連系空き枠の購入による、系統負担金の減少、系統接続工程の短縮、及び投資金額の抑制などの効果が見込まれる。
【0048】
このように、前記マッチングシステム(ハイブリッド系統取引システム)44は、既存の太陽光発電、風力発電、バイオマス発電、水力発電、又は地熱発電(以下、既存の再生可能エネルギー)の連系空き枠を活用して、系統接続を希望する新規の再生可能エネルギー発電設備の容易な系統接続(連系供給)を可能とするものである。そして、前記マッチングシステム(ハイブリッド系統取引システム)44によるハイブリッド系統接続方式を採用するときは、広域系統に負荷をかけないため、募集プロセス等の手続きが不要となり、既存の再生可能エネルギーと新規の再生可能エネルギーとの接続が容易になり、既存の再生可能エネルギー発電設備の連系空き枠と新規の再生可能エネルギーの接続希望者との取引を容易に成立させることが可能になる。
【0049】
次に、
図1に関して前述したハイブリッド系統接続システムの動作等について、本実施形態のハイブリッド系統接続システムにおける制御方法などに基づいて、次に説明する。
【0050】
〔風力側の風力発電量予測システムを基に新規再生可能エネルギーの抑制を行うシステムを採用した場合〕
このようなシステムの場合は、対象となる既存風力発電所周辺の風況及び実績データに基づき風況予測を行い、データを既存風力発電所又は新規再生可能エネルギー発電所(抑制先)に信号で送り、風力発電量と接続電源発電量の合計が連系供給容量枠(系統枠)を超過する場合は抑制先電源が出力抑制を行う。
【0051】
1.風力発電設備に地熱発電設備を接続する場合の抑制方法
(1)風力発電を非抑制運転としつつ地熱発電を抑制する方法による場合は、
図3に示すように、風力発電量Bは抑制しないまま、地熱発電量Aのピークを抑制する。この場合における地熱発電量Aのピークの抑制方法は、例えば、
図1の前記連系供給電力調整部34が前記蒸気量調整部3aを制御して地熱発電設備3内の発電タービンに供給する蒸気の量を調整することなどにより行われる。すなわち、この場合は、出力抑制が必要と想定される時間のみ、地熱発電設備3側の主蒸気調整バルブで蒸気流量を調節して負荷制御(抑制運転)を行い、必要な発電量となるように制御する。
図3は風力系統枠8500kWに対し、地熱送電量2000kWの場合における合計発電電力が合計連系供給容量枠を超えないように、
図1の前記連系供給電力調整部34が前記合計発電電力を抑制する場合のイメージを示す図である。出力抑制幅が地熱発電設備3の総出力の1/10未満の場合は、地熱側OPSにて負荷抑制運転を行う。
(2)地熱発電を非抑制運転としつつ風力発電を抑制する方法による場合は、
図4に示すように、地熱発電量Cは原則として抑制しないまま、風力発電量Dのピークを抑制する。すなわち、この場合は、予め地熱発電設備3側の発電量はそのままとしつつ風力発電設備1の発電電力の相当部分をピークカットする。例えば、風力発電設備1からの発電電力の最大発電量と地熱発電設備3からの発電電力の発電量を合計し、その合計が系統連系供給枠を超えない最大発電量となるように、パワーコンディショナーで、風力発電電力の最大値を、例えば
図4に示すように風力電力量のピークが6500KW(ピークカットライン)以下となるように、抑制する。
(3)風力発電と地熱発電を共に抑制する方法による場合は、
図5に示すように、風力発電量Fのピークを
図4と同様のピークカットの方法で抑制しながら、この風力側のピークカットを行ってもなお合計発電電力の抑制が必要な場合は、地熱発電量Eの抑制を行う。この場合の地熱発電量Eの抑制方法は、
図3と同様の方法で行ってもよいが、パワーコンディショナーによるピークカットの方法によってもよい。
【0052】
2.風力発電設備にバイオマス発電設備を接続する場合の抑制方法
(1)風力発電を非抑制運転としつつバイオマス発電を抑制する方法による場合は、バイオマス発電の燃料を
図1の燃料供給量調整部4aにより部分的にカットして、負荷を制御し出力を落とすようにする。
(2)バイオマス発電を非抑制運転にしつつ風力発電を抑制する方法による場合は、風力側の発電をピークカットする。例えば、風力発電側の最大発電量と地熱発電量を合計し、連系供給容量枠(系統連系供給枠)を超えない最大発電量となるようにパワーコンディショナーで抑制する。
(3)風力発電及びバイオマス発電を共に抑制する方法による場合は、風力発電側のピークカットを行い、それでもなお更なる抑制が必要な場合は、バイオマス発電側で上記(1)で述べた抑制を行う。
【0053】
3.風力発電設備に太陽光発電設備を接続する場合の抑制方法
(1)風力発電を非抑制運転にしつつ太陽光発電を抑制する方法による場合は、パワーコンディショナーで出力を抑制する。
(2)太陽光発電を非抑制運転としつつ風力発電を抑制する方法による場合は、風力発電側の発電電力をピークカットする。例えば、風力発電側の最大発電量と地熱発電側の発電量を合計し、その合計発電電力が系統連系供給枠を超えない最大発電量となるようにパワーコンディショナーで抑制する。
(3)風力発電及びバイオマス発電を共に抑制する方法による場合は、風力発電側のピークカットを行い、それでも更なる抑制が必要な場合は、太陽光発電側で上記(1)の抑制を行う。
【0054】
〔既存の風力発電及び新規再生可能エネルギー発電を抑制しないシステムを採用した場合〕
この場合のシステムは、
図1の蓄電池23を設置し、この蓄電池23に前記合計発電電力が連系供給容量枠を超過したときの超過した発電電力分を一時的に蓄電しておき、前記合計発電電力が連系供給容量枠を超過しないとき(非超過時)に、前記蓄電池23に蓄電した電力の商用電力系統10への連系供給を行う。
図6は、本実施形態がこのような動作を行うときの地熱発電量Gと風力発電量Hの推移を示すグラフである。この
図6に示す動作では、地熱発電設備3からの発電電力のピーク部分が蓄電池23に蓄電されている。
【0055】
〔既存の風力発電設備に制限を掛けない自営線監視システムを採用した場合〕
このようなシステムを採用した場合は、既存の風力発電設備及び新規の再生可能エネルギー発電設備又は自営線で不具合が発生したとき、新規の再生可能エネルギー発電側を転送遮断させるシステム、及び既存の風力発電側の一次側に遮断器を設置し不具合が生じたとしても既存の風力発電設備を過負荷状態にさせないシステムを具備するようにする。
【0056】
以上のように、本実施形態によれば、風力発電設備1及び地熱発電設備3からの発電電力を商用電力系統10に連系供給(連系出力・逆潮流)する場合において、前記風力発電設備1からの発電電力と前記地熱発電設備3からの発電電力とを合計した合計発電電力が、前記風力発電設備1の連系供給容量枠(系統連系枠)と前記地熱発電設備3の連系供給容量枠(系統連系枠)とを合計した合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記連系供給電力調整部34が、前記風力発電設備1及び前記地熱発電設備3から前記商用電力系統10に連系供給される発電電力量を調整するようにしている。よって、本実施形態によれば、既存の再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営している発電事業者が、又は再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営していない発電事業者が、新規に再生可能エネルギー発電設備を設置してその発電電力を商用電力系統10に連系供給(連系出力・逆潮流)するときに、既存の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠を活用して、新規に設置した再生可能エネルギー発電設備からの発電電力を商用電力系統10に連系供給することが可能になる。
【0057】
また本実施形態においては、風力発電設備1及びバイオマス発電設備4からの発電電力を商用電力系統10に連系供給する場合において、前記風力発電設備1からの発電電力と前記バイオマス発電設備4からの発電電力とを合計した合計発電電力が、前記風力発電設備1の連系供給容量枠(系統連系枠)と前記バイオマス発電設備4の連系供給容量枠(系統連系枠)とを合計した合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記連系供給電力調整部34が、前記風力発電設備1及び前記バイオマス発電設備4から前記商用電力系統10に連系供給される発電電力量を調整するようにしている。よって、本実施形態によれば、既存の再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営している発電事業者が、又は再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営していない発電事業者が、新規に再生可能エネルギー発電設備を設置してその発電電力を商用電力系統に連系供給(連系出力・逆潮流)するときに、既存の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠を活用して、新規に設置した再生可能エネルギー発電設備からの発電電力を商用電力系統10に連系供給することが可能になる。
【0058】
また本実施形態においては、風力発電設備1及び太陽光発電設備2からの発電電力を商用電力系統10に連系供給する場合において、前記風力発電設備1からの発電電力と前記太陽光発電設備2からの発電電力とを合計した合計発電電力が、前記風力発電設備1の連系供給容量枠(系統連系枠)と前記太陽光発電設備2の連系供給容量枠(系統連系枠)とを合計した合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記連系供給電力調整部34が、前記風力発電設備1及び前記太陽光発電設備2から前記商用電力系統10に連系供給される発電電力量を調整するようにしている。よって、本実施形態によれば、既存の再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営している発電事業者が、又は再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営していない発電事業者が、新規に再生可能エネルギー発電設備を設置してその発電電力を商用電力系統に連系供給(連系出力・逆潮流)するときに、既存の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠を活用して、新規に設置した再生可能エネルギー発電設備からの発電電力を商用電力系統10に連系供給することが可能になる。
【0059】
また、本発明においては、前記各発電設備1〜4からの各発電電力を合計した合計発電電力が、前記各発電設備1〜4に対して認められた各連系供給容量枠を合計した合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記連系供給電力調整部34からの制御に基づいて、前記充放電等制御部22が、前記超過する又はその可能性のある発電電力分を前記蓄電池23に充電するようにした。よって、本実施形態によれば、前記超過する又はその可能性のある発電電力分を前記蓄電池23に蓄電することにより後で活用できるようにしながら、既存の再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営している発電事業者が、又は再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営していない発電事業者が、新規に再生可能エネルギー発電設備を設置してその発電電力を商用電力系統に連系供給(連系出力・逆潮流)するときに、自らが保有若しくは運営する又は他の発電事業者が保有若しくは運営する既存の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠を活用して、新規に設置した再生可能エネルギー発電設備からの発電電力を商用電力系統10に連系供給することが可能になる。
【0060】
また、本発明おいては、前記風力発電設備1からの発電電力と前記地熱発電設備3からの発電電力との合計発電電力が、前記風力発電設備1及び前記地熱発電設備3の合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記連系供給電力調整部34からの制御に基づいて、前記蒸気量調整部3aが、前記超過する又はその可能性のある合計発電電力量を抑制するために、前記地熱発電設備3において発電タービンに供給される蒸気量を調整するようにしている。よって、本実施形態によれば、地熱発電設備内の発電タービンに供給される蒸気量を調整するという極めて簡単(容易)で且つ地熱発電設備に負担を掛けない方法を採るだけで、既存の再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営している発電事業者が、又は再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営していない発電事業者が、新規に再生可能エネルギー発電設備を設置してその発電電力を商用電力系統10に連系供給(連系出力・逆潮流)するときに、既存の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠を活用して、新規に設置した再生可能エネルギー発電設備からの発電電力を商用電力系統に連系供給することが可能になる。
【0061】
また、本実施形態においては、前記風力発電設備1からの発電電力と前記バイオマス発電設備4からの発電電力との合計発電電力が、前記風力発電設備1及び前記バイオマス発電設備4の合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記連系供給電力調整部34からの制御に基づいて、前記燃料供給量調整部4aが、前記超過する又はその可能性のある合計発電電力量を抑制するために、前記バイオマス発電設備4内の燃焼部への燃料の供給量を調整するようにしている。よって、本実施形態によれば、前記バイオマス発電設備内の燃焼部への燃料の供給量を調整するという極めて簡単(容易)で且つバイオマス発電設備に負担を掛けない方法を採るだけで、既存の再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営している発電事業者が、又は再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営していない発電事業者が、新規に再生可能エネルギー発電設備を設置してその発電電力を商用電力系統10に連系供給(連系出力・逆潮流)するときに、既存の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠を活用して、新規に設置した再生可能エネルギー発電設備からの発電電力を商用電力系統に連系供給することが可能になる。
【0062】
また、本実施形態においては、前述したように、前記合計連系供給容量枠取得記録部33に取得、記録される「前記各発電設備1〜4に対して電力会社から認められた連系供給容量枠」の中には、前記各発電設備1〜4中の一部の発電設備(1つ又は複数の発電設備)を「他の発電事業者」が設置・保有している場合において、その「他の発電事業者」が設置・保有した発電設備に対して電力会社が認めた連系供給容量枠をも含めるように、扱われている(このような扱いは、電力会社が認めれば当然に可能である)。よって、本実施形態においては、ある発電事業者Aが保有若しくは運営する第1の種類の再生可能エネルギー発電設備からの発電電力と、他の発電事業者Bが保有若しくは運営する第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からの発電電力とが、それぞれ、それらを合計した合計発電電力が、前記発電事業者Aの発電設備に対して認められた連系供給容量枠と前記他の発電事業者Bの発電設備に対して認められた連系供給容量枠とを合計した合計連系供給容量枠の範囲内であることを条件として、商用電力系統10に連系供給することが認められている場合(電力会社がそのような扱いを認めた場合)において、前記合計発電電力が前記合計連系供給容量枠を超過するか又はその可能性があるとき、前記連系供給電力調整部34が、前記第1及び前記第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からそれぞれ前記商用電力系統10に連系供給される合計発電電力量を調整するようにしたので、既存の再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営している発電事業者Aが、又は再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営していない発電事業者Aが、新規に再生可能エネルギー発電設備を設置してその発電電力を商用電力系統に連系供給(連系出力・逆潮流)するときに、前記発電事業者Aが保有若しくは運営する既存の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠と、他の発電事業者Bが保有若しくは運営する既存の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠との両者を活用して、前記発電事業者Aが新規に設置した再生可能エネルギー発電設備からの発電電力を商用電力系統10に連系供給することが可能になる。
【0063】
また、本実施形態においては、ある発電事業者Aが保有若しくは運営する第1の種類の再生可能エネルギー発電設備からの発電電力と、前記発電事業者A又は他の発電事業者Bが保有若しくは運営する前記第1の種類とは異なる第2の種類の再生可能エネルギー発電設備からの発電電力との合計発電電力が、「前記発電事業者Aが、他の電力事業者が保有する連系供給容量中の空き枠であって当該他の電力事業者が使用する予定のない時間帯に対応する空き枠を、空き枠取引のマッチング取引事業者の仲介により又は空き枠取引のための取引所での取引により取得した場合における、(a)前記発電事業者Aが保有若しくは運営する第1の種類の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠と、(b)前記発電事業者A又は他の発電事業者Bが保有若しくは運営する第2の種類の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠と、(c)前記発電事業者Aが、空き枠の取引のためのマッチング取引事業者の仲介により又は前記空き枠取引のための取引所での取引により取得した空き枠と、を合計した付加連系供給容量枠」を超過するか又はその可能性があるとき、前記連系供給電力調整部34が、前記第1及び前記第2の種類の再生可能エネルギー発電設備1〜4からそれぞれ商用電力系統に連系供給される発電電力量を調整するようにしている。よって、本実施形態によれば、既存の再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営している発電事業者Aが、又は再生可能エネルギー発電設備を保有若しくは運営していない発電事業者Aが、新規に再生可能エネルギー発電設備を設置してその発電電力を商用電力系統10に連系供給(連系出力・逆潮流)するときに、前記発電事業者A及び/又は他の発電事業者Bが保有若しくは運営する既存の再生可能エネルギー発電設備に対して認められた連系供給容量枠と、前記発電事業者Aが他の発電事業者から取得した連系空き枠とを活用して、前記発電事業者Aが新規に設置した再生可能エネルギー発電設備からの発電電力を商用電力系統に連系供給することが可能になる。
【0064】
さらに、本実施形態に係るハイブリッド系統接続システムを実現するのに適した連系空き枠マッチングシステム(
図2のマッチングシステム44参照)においては、前記稼動状況予測部47により多数の発電事業者が保有する各再生可能エネルギー発電設備の稼動状況を予測し、前記空き枠出力部48により前記各再生可能エネルギー発電設備の稼動状況の予測(前記稼動状況予測部47からの出力)に基づいて予測される、多数の発電事業者がそれぞれ保有若しくは運営する各発電設備に対して認められている連系供給容量枠中の当該事業者が使用する予定がない時間帯に対応する空き枠を求めて出力し、前記マッチング部49により多数の発電事業者からの空き枠の購入希望と売却希望を互いにマッチングさせるようにしている。よって、本実施形態によれば、発電事業者Aは、多数の発電事業者が保有若しくは運営する各再生可能エネルギー発電設備に対して認められた各連系供給容量枠中の空き枠を、前記マッチングシステム44を介して取得し、その取得した空き枠をも活用しながら、自らが新規に設置した再生可能エネルギー発電設備からの発電電力を商用電力系統10に連系供給することを、より容易に実現できるようになる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態として述べたものに限定されるものではなく、様々な修正及び変更が可能であることはもちろんである。