特許第6653968号(P6653968)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6653968
(24)【登録日】2020年1月31日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】水中電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 13/08 20060101AFI20200217BHJP
   F04D 29/046 20060101ALI20200217BHJP
   F04D 29/70 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   F04D13/08 B
   F04D29/046 A
   F04D29/046 D
   F04D29/70 F
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-136604(P2016-136604)
(22)【出願日】2016年7月11日
(65)【公開番号】特開2018-9455(P2018-9455A)
(43)【公開日】2018年1月18日
【審査請求日】2019年1月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000150844
【氏名又は名称】株式会社鶴見製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】安田 将和
(72)【発明者】
【氏名】堀内 秀紀
【審査官】 田中 尋
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭56−113092(JP,A)
【文献】 特開2004−066014(JP,A)
【文献】 米国特許第02320708(US,A)
【文献】 特開2006−097645(JP,A)
【文献】 特開2004−068599(JP,A)
【文献】 特開2012−154472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/00−13/16、17/00−19/02、21/00−25/16、29/00−35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子および回転子と、前記固定子および前記回転子を配置するモータ室とを含むモータと、
前記モータにより駆動される羽根車が配置されたポンプ室と、
前記モータと前記ポンプ室との間に配置され、摺動部を有するメカニカルシールが設けられたオイル室と、
前記オイル室に配置され、前記オイル室に浸入した水を検知する浸水検知部と、
前記モータの回転軸に沿った位置において、前記モータと前記オイル室との間に配置された流体貯留部と、
前記流体貯留部に配置され、前記流体貯留部に浸入した流体を検知する流体検知部と、
前記流体貯留部の流体を外部に排出するための第1排出路とを備える、水中電動ポンプ。
【請求項2】
前記流体検知部は、フロートスイッチで構成されている、請求項1に記載の水中電動ポンプ。
【請求項3】
前記回転軸の軸方向から見て、前記回転軸に対して前記第1排出路と同じ側に配置され、前記オイル室の流体を外部に排出するための第2排出路をさらに備える、請求項1または2に記載の水中電動ポンプ。
【請求項4】
前記オイル室は、前記流体貯留部を取り囲むように設けられ、
前記流体検知部は、前記浸水検知部よりも前記回転軸の近くに配置されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
【請求項5】
前記オイル室は、前記メカニカルシールが配置され、前記回転軸を取り囲む環状部分と、前記環状部分の外側端部から前記モータ側に突出するとともに、前記流体貯留部を取り囲む突出部分とを含み、前記回転軸に沿った断面において略U字形状に形成され、
前記第1排出路は、高さ位置において、前記突出部分と重なる位置に配置されている、請求項4に記載の水中電動ポンプ。
【請求項6】
前記突出部分は、前記第1排出路を内側に配置するリブ部を有している、請求項5に記載の水中電動ポンプ。
【請求項7】
前記モータと前記流体貯留部との間に配置され、前記回転軸を支持する軸受と、
前記軸受と前記流体貯留部との間に配置され、前記軸受から落ちるグリスを受けるグリス受け部と、
前記回転軸の軸方向から見て、前記回転軸に対して前記第1排出路と同じ側に配置され、前記グリス受け部のグリスを外部に排出するための第3排出路とをさらに備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
【請求項8】
外部から前記軸受にグリスを注入するためのグリス注入路をさらに備え、
前記第3排出路と前記グリス注入路とは、前記回転軸に対して互いに反対側に配置されている、請求項7に記載の水中電動ポンプ。
【請求項9】
外部から前記オイル室にオイルを注入するためのオイル注入路をさらに備え、
前記第1排出路と前記オイル注入路とは、前記回転軸に対して互いに反対側に配置されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水中電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来、メカニカルシールを備える水中電動ポンプが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【背景技術】
【0002】
上記特許文献1には、モータと、ポンプ室と、モータとポンプ室との間に配置され、メカニカルシールが設けられたオイル室と、オイル室に配置され、オイル室に浸入した水を検知する浸水検知部とを備えた水中電動ポンプが開示されている。この特許文献1の水中電動ポンプは、浸水検知部により浸水を検知した場合に、運転を停止するように構成されている。この際、水中電動ポンプは、モータに水が及ぶことがないように、分解してメカニカルシールを交換するメンテナンスが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−310091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の水中電動ポンプでは、浸水検知部によりオイル室への浸水を検知した場合に、水中電動ポンプの運転が自動的に停止され、必ず、水中電動ポンプを分解してメンテナンスを行わなければならないように構成されている。そのため、モータ側へ浸水が生じておらず、しばらくの間は水中電動ポンプの運転が継続可能であると考えられるにも関わらず、水中電動ポンプの運転が自動的に停止され、その度にメンテナンスを行うことが必要であったので、メンテナンス作業の手間が掛かり、かつメンテナンス作業の回数も増えるという不都合がある。このため、維持管理が非効率であるという問題点がある。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、維持管理を効率的に行うことが可能な水中電動ポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一の局面による水中電動ポンプは、固定子および回転子と、固定子および回転子を配置するモータ室とを含むモータと、モータにより駆動される羽根車が配置されたポンプ室と、モータとポンプ室との間に配置され、摺動部を有するメカニカルシールが設けられたオイル室と、オイル室に配置され、オイル室に浸入した水を検知する浸水検知部と、モータの回転軸に沿った位置において、モータとオイル室との間に配置された流体貯留部と、流体貯留部に配置され、流体貯留部に浸入した流体を検知する流体検知部と、流体貯留部の流体を外部に排出するための第1排出路とを備える。
【0007】
この発明の一の局面による水中電動ポンプでは、上記のように、オイル室に配置され、オイル室に浸入した水を検知する浸水検知部と、モータの回転軸に沿った位置において、モータとオイル室との間に配置された流体貯留部と、流体貯留部に配置され、流体貯留部に浸入した流体を検知する流体検知部と、流体貯留部の流体を外部に排出するための第1排出路とを設ける。これにより、浸水検知部と流体検知部とにより、ポンプ室からモータ側への浸水を異なる2つの浸水レベルで検知(把握)することができるので、浸水の程度(レベル)に応じたメンテナンスを行うことができるようになり、維持管理を効率的に行うことができる。たとえば、浸水検知部により浸水が検知され、流体貯留部への流体の浸入が検知されていない場合には、メンテナンスを行った方が好ましいが、しばらくは水中電動ポンプの継続使用可能と判断できる。一方、流体貯留部への浸水が把握された場合(流体検知部による流体の検知後に、第1排出路を介して水の浸入が確認された場合)には、モータ近傍の流体貯留部にまで浸水していると判断できるので、水中電動ポンプの継続使用不可と判断できる。このように、浸水を異なる2つの浸水レベルで検知(把握)することにより、浸水レベルに応じて必要なタイミングでメンテナンスを行うことができ、維持管理を効率的に行うことができる。また、第1排出路により、流体貯留部内の流体を確認することができるので、流体貯留部に浸入した流体に水が含まれているのか否かを判断することができる。また、第1排出路により、流体検知部に浸入した流体を排出することができるので、浸水がモータ側まで進むのを抑制することができる。この点でも、維持管理を効率的に行うことができる。
【0008】
上記一の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、流体検知部は、フロートスイッチで構成されている。このように構成すれば、流体検知部により、絶縁体であるオイルでも検知可能となるため、オイル室から流体貯留部へのオイル昇りも検知することができ、また、フロートスイッチが作用するタイミングで、水中電動ポンプのメンテナンスを実施することが望ましいタイミングを知ることができる。
【0009】
上記一の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、回転軸の軸方向から見て、回転軸に対して第1排出路と同じ側に配置され、オイル室の流体を外部に排出するための第2排出路をさらに備える。このように構成すれば、第2排出路を介してオイル室の流体を外部に排出して流体を確認することができるので、オイル室への浸水レベルをより正確に把握することができる。その結果、メンテナンスが必要なタイミングをより正確に判断することができるようになるので、維持管理をより効率的に行うことができる。また、浸水検知部によって検出されない比較的少ない浸水レベルであっても、オイル室内の流体を確認することにより、浸水を把握することができる。また、第1排出路と第2排出路とが回転軸に対して同じ側に配置されるので、第1排出路と第2排出路とが下を向くように水中電動ポンプを横向きに配置することができる。その結果、横向きに配置した後に、水中電動ポンプを回動させる(向きを変える)ことなく、第1排出路と第2排出路とから流体を排出することができる。
【0010】
上記一の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、オイル室は、流体貯留部を取り囲むように設けられ、流体検知部は、浸水検知部よりも回転軸の近くに配置されている。このように構成すれば、流体検知部が浸水検知部よりも回転軸の近くに配置されるので、回転軸に沿って、流体貯留部に浸入した流体を迅速に検知することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、オイル室は、メカニカルシールが配置され、回転軸を取り囲む環状部分と、環状部分の外側端部からモータ側に突出するとともに、流体貯留部を取り囲む突出部分とを含み、回転軸に沿った断面において略U字形状に形成され、第1排出路は、高さ位置において、突出部分と重なる位置に配置されている。このように構成すれば、高さ位置において、オイル室の突出部分と流体貯留部とがオーバーラップするので、水中電動ポンプの高さ方向の大きさが大きくなるのを抑制することができる。また、突出部分が設けられるので、オイル室の容量を大きくすることができる。さらに、流体貯留部を取り囲む突出部分と同じ高さ位置に第1排出路を設けることにより、容易に流体貯留部に第1排出路を接続することができる。
【0012】
上記オイル室が環状部分と突出部分とを含む構成において、好ましくは、突出部分は、第1排出路を内側に配置するリブ部を有している。このように構成すれば、突出部分に流体を流出させることなく、突出部分のリブ部の内側に配置された第1排出路により、流体貯留部と外部とを接続することができる。
【0013】
上記一の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、モータと流体貯留部との間に配置され、回転軸を支持する軸受と、軸受と流体貯留部との間に配置され、軸受から落ちるグリスを受けるグリス受け部と、回転軸の軸方向から見て、回転軸に対して第1排出路と同じ側に配置され、グリス受け部のグリスを外部に排出するための第3排出路とをさらに備える。このように構成すれば、水中電動ポンプを回動させる(向きを変える)ことなく、同じ配置の向きでオイルの排出とグリスの排出とを行うことができる。
【0014】
この場合、好ましくは、外部から軸受にグリスを注入するためのグリス注入路をさらに備え、第3排出路とグリス注入路とは、回転軸に対して互いに反対側に配置されている。このように構成すれば、第3排出路とグリス注入路とが、回転軸に対して互いに反対側に配置されるので、グリス注入路からグリスを圧入するだけで、軸受けに新しいグリスが供給されるととともに、元々軸受けに供給されていたグリスが押し出されて第3排出路から排出されるように構成できるので、グリス交換を容易に行うことができる。また、水中電動ポンプを分解(オーバーホール)しなくても、グリスを交換することができるので、効率的にメンテナンスを行うことができる。
【0015】
上記一の局面による水中電動ポンプにおいて、好ましくは、外部からオイル室にオイルを注入するためのオイル注入路をさらに備え、第1排出路とオイル注入路とは、回転軸に対して互いに反対側に配置されている。このように構成すれば、第1排出路とオイル注入路とが、回転軸に対して互いに反対側に配置されるので、第1排出路からの流体の排出と、オイル注入路からのオイルの注入を同じ姿勢で容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記のように、維持管理を効率的に行うことが可能な水中電動ポンプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による水中電動ポンプを示した概略図である。
図2】本発明の一実施形態による水中電動ポンプの下側部分の拡大図である。
図3図2に示す200-200線に沿った模式的な断面図である。
図4図2に示す300-300線に沿った模式的な断面図である
図5図3に示す500-500線に沿った模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(水中電動ポンプの構成)
図1図4を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本実施形態による水中電動ポンプ100は、図1に示すように、モータ1と、回転軸2と、羽根車3と、ポンプ室4と、オイル室5と、浸水検知部5aと、摺動部6aおよび6bを有するメカニカルシール6と、流体貯留部7と、流体検知部7aと、軸受8と、グリス受け部9とを備えている。また、水中電動ポンプ100は、流体貯留部7の流体を外部に排出するための第1排出路7bと、オイル室5の流体を外部に排出するための第2排出路5bと、グリス受け部9のグリスを外部に排出するための第3排出路9aとを備えている。また、水中電動ポンプ100は、外部からオイル室5にオイルを注入するためのオイル注入路5cと、外部からグリス受け部9にグリスを注入するためのグリス注入路9bとを備えている。なお、第1排出路7bと、第2排出路5bと、第3排出路9aと、オイル注入路5cと、グリス注入路9bとは、水中電動ポンプ100の使用時において栓部材(図示せず)により封止されている。また、水中電動ポンプ100は、回転軸2が上下方向に延びる円柱形状の縦型の水中電動ポンプである。
【0020】
第1排出路7bと、第2排出路5bと、第3排出路9aと、オイル注入路5cと、グリス注入路9bとは、共に、回転軸2(水中電動ポンプ100)の半径方向に延びている。なお、図1において破線で示される第1排出路7bと、第2排出路5bと、第3排出路9aと、オイル注入路5cと、グリス注入路9bとは、共に、図1に示す断面上に存在しないが、説明の便宜上、図1に示す断面上に存在するように破線にて図示している。また、第1排出路7bを除く、第2排出路5bと、第3排出路9aと、オイル注入路5cと、グリス注入路9bとは、共に、回転軸2に沿った同一の断面D(図3および図4参照)上に設けられている。
【0021】
以下では、回転軸2の延びる方向を、軸方向(A方向)とする。また、軸方向(A方向)に直交する円柱形状の水中電動ポンプ100の半径方向を、単に半径方向とする。
【0022】
モータ1は、固定子11と、回転子12とを含んでいる。モータ1は、外部からの水が浸入しないように、密閉されている。また、モータ1は、羽根車3(回転軸2)を回転駆動させるように構成されている。
【0023】
固定子11は、コイルを有する。また、固定子11は、モータ1の外周部に配置されている。また、ケーブル13より固定子11のコイルに電力が供給されることにより、磁界を発生させるように構成されている。回転子12は、固定子11と対向するようにモータ1の内側に配置されている。また、回転子12は、回転軸2に取り付けられている。また、回転子12は、固定子11からの磁界により回転するように構成されている。
【0024】
回転軸2は、モータ1の駆動により回転するように構成されている。また、回転軸2は、モータ1の駆動を羽根車3に伝達するように構成されている。また、回転軸2は、平面視において(上方から見た場合に)、時計回り(右回り)に回転するように構成されている。また、回転軸2は、軸受21により回転可能に支持されている。軸受21は、モータ1の反負荷側(ポンプ室4に対して反対側)に設けられている。また、回転軸2は、モータ1からオイル室5を貫通してポンプ室4まで延びるように配置されている。また、回転軸2のポンプ室4側端部には、羽根車3が取り付けられている。
【0025】
羽根車3は、ポンプ室4内に配置されている。また、羽根車3は、回転駆動することにより、水に速度エネルギーを与える。そして、ポンプ室4内にて水の速度エネルギーが圧力エネルギーに変換されることによって、水に圧力が作用されて送られるように構成されている。水中電動ポンプ100の下方端部および上方端部には、それぞれ、吸水口41および吐出口42が設けられている。また、水中電動ポンプ100には、モータ1において、半径方向の外側に上下方向に延びる複数の水路43が設けられている。水中電動ポンプ100は、羽根車3の回転駆動により、ポンプ室4の吸水口41から水を吸い上げて、水路43を介して水を上方に移動させるとともに、吐出口42から水を吐出するように構成されている。なお、水路43は、第1排出路7b、第2排出路5bおよび第3排出路9aが設けられた所定の高さ範囲の近傍において、上方に向かうにつれて徐々に広がる(回転軸2を中心とする周方向の長さが大きくなる)ように構成されている。これにより、水に対して与える圧力損失を小さくして、吐出口42へ水を送り出すことができる。また、水路43は、第1排出路7b、第2排出路5b、第3排出路9a、オイル注入路5cおよびグリス注入路9bと干渉しないように設けられている。つまり、水路43は、第1排出路7b、第2排出路5bおよび第3排出路9aが設けられた所定の高さ範囲の近傍において、上方に向かうにつれて徐々に広がるように構成されているが、第1排出路7b、第2排出路5bおよび第3排出路9a近傍においては、これらとつながらない広がり形状となっている。
【0026】
オイル室5は、モータ1およびポンプ室4の間に配置されており、オイル室5には、オイルが充填されている。また、オイル室5の回転軸2の周りには、オイルリフター51が設けられている。また、オイル室5内には、摺動部6aおよび6bを有するメカニカルシール6が設けられており、オイル室5に充填されたオイルによって摺動部6aおよび6bが潤滑されるとともに、摺動部6aおよび6bが焼きつかないように冷却されるように構成されている。具体的には、メカニカルシール6の負荷側(ポンプ室4側)の摺動部6aは、オイル室5のポンプ室4側に設けられている。つまり、メカニカルシール6の負荷側(ポンプ室4側)の摺動部6aは、ポンプ室4の圧力水がオイル室5に入らないように設けられている。また、メカニカルシール6の反負荷側(ポンプ室4に対して反対側)の摺動部6bは、オイル室5のモータ1側に設けられている。つまり、メカニカルシール6の反負荷側(ポンプ室4に対して反対側)の摺動部6bは、オイル室5のオイルを含む流体がモータ1側に入らないように設けられている。
【0027】
オイル室5は、図2に示すように、流体貯留部7を取り囲むように設けられている。詳細には、オイル室5は、環状部分52(2点鎖線で囲われた部分)と、突出部分53(1点鎖線で囲われた部分)とを含んでいる。環状部分52は、メカニカルシール6が配置され、回転軸2を取り囲むとともに、回転軸2の半径方向に延びるように構成されている。すなわち、環状部分52は、水平方向に延びる円盤状の空間部分である。突出部分53は、環状部分52の外側端部(水路43側の端部)からモータ1側に突出するとともに、流体貯留部7を取り囲むように構成されている。
【0028】
突出部分53は、高さ位置(軸方向(A方向)の位置)において、第1排出路7bと重なる位置に配置されている。このため、第1排出路7bが突出部分53(オイル室5)を貫通しないように(第1排出路7bから突出部分53に流体が流出しないように)、突出部分53は、図3および図4に示すように、第1排出路7bを内側に配置するリブ部53aを有している。リブ部53aは、図5に示すように、上方に突出する逆U字形状に形成されている。なお、図1および図2においては、リブ部53aの図示を省略している。また、グリス注入路9bおよび第3排出路9aも同様の逆U字形形状のリブ部を有している。
【0029】
図1に示すように、浸水検知部5aは、オイル室5の突出部分53に配置され、オイル室5に浸入した水を検知可能に構成されている。詳細には、浸水検知部5aは、導電性の材料により構成され、水中電動ポンプ100のケーシングとは絶縁された状態で配置されており、水中電動ポンプ100のケーシングと、浸水検知部5aと、オイル室5に浸入した水との導通を取ることによって、オイル室5に水が浸入したことを検出することができる。また、オイル室5に浸水が生じた場合、浸水検知部5aは、水中電動ポンプ100のケーシングと導通状態となり、ケーブル13に接続された制御盤(図示せず)において、その導通状態が認識されることにより浸水状態が検知されるように構成されている。そして、制御盤は、制御盤の報知ランプを点灯させたり、水中電動ポンプ100を停止させるなどの各種制御を行なうことが可能に構成されている。
【0030】
オイルリフター51は、回転軸2の周りに筒状に設けられている。オイルリフター51は、回転軸2の回転に伴い移動するオイルを上方向に持ち上げるように構成されている。つまり、オイルリフター51は、摺動部6bにオイルを供給するように構成されている。オイルリフター51の下部には、貫通孔51aが設けられている。貫通孔51aからオイルリフター51の内周側にオイルが導かれるように構成されている。
【0031】
メカニカルシール6は、固定部材61と、回転部材62と、バネ63とを含んでいる。固定部材61は、摺動面611を有している。回転部材62は、摺動面621を有している。固定部材61は、オイル室5のハウジングに固定されている。また、固定部材61は、回転軸2を囲むように円環状に形成されている。回転部材62は、回転軸2に取り付けられている。つまり、回転部材62は、回転軸2とともに回転するように構成されている。また、回転部材62は、回転軸2を囲むように円環状に形成されている。また、回転部材62は、バネ63により、固定部材61側に付勢されている。
【0032】
固定部材61および回転部材62は、回転軸2の軸方向(A方向)に対向するように配置されている。摺動部6aおよび6bでは、固定部材61の摺動面611と、回転部材62の摺動面621とが、互いに摺動するように構成されている。また、摺動面611および621の間には、オイル室5内のオイルがわずかに入るように構成されている。これにより、摺動面611および621が潤滑されるとともに、摺動面611および621が焼きつかないようにオイルにより冷却され、摺動部6aおよび6b(オイル室5)がシールされるように構成されている。
【0033】
流体貯留部7は、モータ1の回転軸2に沿った位置において、モータ1とオイル室5との間に配置されている。
【0034】
流体検知部7aは、流体貯留部7に配置されている。また、流体検知部7aは、浸水検知部5aよりも回転軸2の近くに配置されている。つまり、流体検知部7aは、浸水検知部5a(突出部分53)の半径方向の内側に配置されている。また、流体検知部7aは、浸水検知部5aと略同じ高さ位置に配置されている。また、流体検知部7aは、流体貯留部7に浸入した流体を検知可能に構成されている。たとえば、流体検知部7aは、フロートスイッチで構成されており、流体検知部7aに浸入した流体により磁石が内蔵されたフロートが上方に移動し、フロートスイッチの軸に内蔵されたリードスイッチから離れて、リードスイッチを開くことにより、フロートスイッチの導通状態が解除され、その導通状態の解除が、ケーブル13に接続された制御盤(図示せず)にて認識されることで浸水を検知することができる。そして、制御盤は、制御盤の報知ランプを点灯させたり、水中電動ポンプ100を停止させるなどの各種制御を行なうことが可能に構成されている。また、流体貯留部7には、回転軸2に沿って、流体貯留部7とモータ1側(グリス受け部9)とをシールするシール部材71が設けられている。
【0035】
軸受8は、モータ1と流体貯留部7との間に配置され、回転軸2を支持している。また、軸受8は、上下に互いに隣接するように2つ設けられている。
【0036】
グリス受け部9は、軸受8と流体貯留部7との間に配置されている。つまり、グリス受け部9は、軸受8の下側に設けられている。また、グリス受け部9は、軸受8から落ちたグリスを受けることが可能に構成されている。
【0037】
図3に示すように、第2排出路5bは、回転軸2の軸方向(A方向)から見て、回転軸2に対して第1排出路7bと同じ側に配置されている。詳細には、第2排出路5bは、回転軸2の軸方向(A方向)から見て、第1排出路7bに垂直で、かつ、回転軸2を通る面に対して、第1排出路7bと同じ側に配置されている。つまり、第2排出路5bは、回転軸2の軸方向(A2方向)から見て、グリス注入路9bおよびオイル注入路5cよりも第1排出路7bに近い位置に配置されている。
【0038】
図4に示すように、第3排出路9aは、回転軸2の軸方向(A方向)から見て、回転軸2に対して第1排出路7bと同じ側に配置されている。詳細には、第3排出路9aは、回転軸2の軸方向(A方向)から見て、第1排出路7bに垂直で、かつ、回転軸2を通る面に対して、第1排出路7bとは同じ側に配置されている。また、第3排出路9aと第2排出路5bとは、図3に示すように、回転軸2の軸方向(A1方向)から見て、互いに重なる位置に配置されている。すなわち、第3排出路9aと第2排出路5bとは、円柱形状の水中電動ポンプ100の周方向において同位相の位置に配置されている。
【0039】
オイル注入路5cと第1排出路7bとは、回転軸2に対して互いに反対側に配置されている。詳細には、オイル注入路5cは、回転軸2の軸方向(A方向)から見て、第1排出路7bに垂直で、かつ、回転軸2を通る面に対して、第1排出路7bとは反対側に配置されおり、オイル注入路5cと第2排出路5bとは、円柱形状の水中電動ポンプ100の周方向において、互いに180度位相が異なる位置に配置されている。
【0040】
図4に示すように、第3排出路9aとグリス注入路9bとは、回転軸2に対して互いに反対側に配置されている。詳細には、グリス注入路9bは、回転軸2の軸方向(A方向)から見て、第3排出路9aに垂直で、かつ、回転軸2を通る面に対して、第3排出路9aとは反対側に配置されおり、第3排出路9aとグリス注入路9bとは、円柱形状の水中電動ポンプ100の周方向において、互いに180度位相が異なる位置に配置されている。
【0041】
(水中電動ポンプのメンテナンス)
次に、図2を参照して、水中電動ポンプ100のメンテナンスの一例について説明する。
【0042】
まず、オイル室5の浸水検知部5aが浸水を検知し、かつ、流体貯留部7の流体検知部7aが流体を検知していない場合について説明する。この場合、少なくとも、オイル室5には水が浸入していると判断することが可能である。したがって、メカニカルシール6の負荷側(ポンプ室4側)部分などが劣化していると考えられ、水中電動ポンプ100を分解して、メカニカルシールなど(浸水の原因となる部品)を交換することが望ましい。また、メンテナンスを行う際には、第2排出路5bからオイル室5のオイルを排出し、オイル注入路5cからオイルを注入することでオイル室5内のオイルの交換も行う事が望ましい。なお、流体検知部7aが流体を検知するまでは、メンテナンスを行わずに水中電動ポンプ100の使用を継続することも可能である。なお、流体貯留部7に浸水した場合には、水中電動ポンプ100を分解してメンテナンスを行うことが望ましい。
【0043】
次に、流体貯留部7の流体検知部7aが流体を検知した場合について説明する。この場合、流体貯留部7には、水およびオイルが浸入している、または、オイルのみが浸入していると判断することが可能である。このため、第1排出路7bを介して流体貯留部7内の流体を排出し、流体の確認が行なわれる。この際、第1排出路7bを介して排出される流体がオイルのみならば、少なくともメカニカルシール6の反負荷側(ポンプ室4に対して反対側)は正常に機能していると考えられるので、第1排出路7bからオイルを排出した後に、しばらくは水中電動ポンプ100の継続使用可能と判断することができ、水中電動ポンプ100の使用を継続することができる。また、第1排出路7bを介して排出される流体に水が含まれているならば、メカニカルシール6などが劣化していると考えられ、水中電動ポンプ100を分解して、メカニカルシールなど(浸水の原因となる部品)を交換することが望ましい。なお、流体貯留部7にオイルのみが浸入する場合とは、メカニカルシール6が正常に機能しており、メカニカルシール6の潤滑に伴い摺動面に入り込んだオイルが流体貯留部7側に流れ出た場合である。
【0044】
また、軸受8のグリス交換を行う場合について説明する。この場合、たとえば、グリス注入路9bからグリスガンを用いて軸受8に対してグリスを圧入する。新しいグリスが圧入された結果、元々軸受8に供給されていたグリスが押し出されて、グリス受け部9に落ちて、そのまま第3排出路9aより水中電動ポンプ100の外部へ排出されることとなる。
【0045】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0046】
本実施形態では、上記のように、オイル室5に配置され、オイル室5に浸入した水を検知する浸水検知部5aと、モータ1の回転軸2に沿った位置において、モータ1とオイル室5との間に配置された流体貯留部7と、流体貯留部7に配置され、流体貯留部7に浸入した流体を検知する流体検知部7aと、流体貯留部7の流体を外部に排出するための第1排出路7bとを設ける。これにより、浸水検知部5aと流体検知部7aとにより、ポンプ室4からモータ1側への浸水を異なる2つの浸水レベルで検知(把握)することができるので、浸水の程度(レベル)に応じたメンテナンスを行うことができるようになり、維持管理を効率的に行うことができる。たとえば、浸水検知部5aにより浸水が検知され、流体貯留部7への流体の浸入が検知されていない場合には、メンテナンスを行った方が好ましいが、しばらくは水中電動ポンプ100の継続使用可能と判断できる。一方、流体貯留部7への浸水が把握された場合(流体検知部7aによる流体の検知後に、第1排出路7bを介して水の浸入が確認された場合)には、モータ1近傍の流体貯留部7にまで浸水していると判断できるので、水中電動ポンプ100の継続使用不可と判断できる。このように、浸水を異なる2つの浸水レベルで検知(把握)することにより、浸水レベルに応じて必要なタイミングでメンテナンスを行うことができ、維持管理を効率的に行うことができる。また、第1排出路7bにより、流体貯留部7内の流体を確認することができるので、流体貯留部7に浸入した流体に水が含まれているのか否かを判断することができる。また、第1排出路7bにより、流体貯留部7に浸入した流体を排出することができるので、浸水がモータ1側まで進むのを抑制することができる。この点でも、維持管理を効率的に行うことができる。
【0047】
また、本実施形態では、流体検知部7aをフロートスイッチで構成する。これにより、流体検知部7aにより、絶縁体であるオイルでも検知可能となるため、オイル室5から流体貯留部7へのオイル昇りも検知することができる。また、フロートスイッチが作用するタイミングで、水中電動ポンプ100のメンテナンスを実施することが望ましいタイミングを知ることができる。
【0048】
また、本実施形態では、上記のように、回転軸2の軸方向から見て、回転軸2に対して第1排出路7bと同じ側に配置され、オイル室5の流体を外部に排出するための第2排出路5bを設ける。これにより、第2排出路5bを介してオイル室5の流体を外部に排出して流体を確認することができるので、オイル室5への浸水程度をより正確に把握することができる。その結果、メンテナンスが必要なタイミングをより正確に判断することができるようになるので、維持管理をより効率的に行うことができる。また、浸水検知部5aの設置位置によっては検出されない比較的少ない浸水レベルであっても、オイル室5内の流体を確認することにより、浸水を把握することができる。また、第1排出路7bと第2排出路5bとが回転軸2に対して同じ側に配置されるので、第1排出路7bと第2排出路5bとが下を向くように水中電動ポンプ100を横向きに配置することができる。その結果、横向きに配置した後に、水中電動ポンプ100を回動させる(向きを変える)ことなく、第1排出路7bと第2排出路5bとから流体を排出することができる。
【0049】
また、本実施形態では、上記のように、オイル室5を、流体貯留部7を取り囲むように設け、流体検知部7aを、浸水検知部5aよりも回転軸2の近くに配置する。これにより、流体検知部7aが浸水検知部5aよりも回転軸2の近くに配置されるので、回転軸2に沿って、流体貯留部7に浸入した流体を迅速に検知することができる。
【0050】
また、本実施形態では、上記のように、オイル室5に、メカニカルシール6が配置され、回転軸2を取り囲む環状部分52と、環状部分52の外側端部からモータ1側に突出するとともに流体貯留部7を取り囲む突出部分53とを設け、オイル室5を、回転軸2に沿った断面において略U字形状に形成し、第1排出路7bを、高さ位置において、突出部分53と重なる位置に配置する。これにより、高さ位置において、オイル室5の突出部分53と流体貯留部7とがオーバーラップするので、水中電動ポンプ100の高さ方向の大きさが大きくなるのを抑制することができる。また、突出部分53が設けられるので、オイル室5の容量を大きくすることができる。さらに、流体貯留部7を取り囲む突出部分53と同じ高さ位置に第1排出路7bを設けることにより、容易に流体貯留部7に第1排出路7bを接続することができる。
【0051】
また、本実施形態では、上記のように、突出部分53に、第1排出路7bを内側に配置するリブ部53aを設ける。これにより、突出部分53に流体を流出させることなく、突出部分53のリブ部53aの内側に配置された第1排出路7bにより、流体貯留部7と外部とを接続することができる。
【0052】
また、本実施形態では、上記のように、モータ1と流体貯留部7との間に配置され、回転軸2を支持する軸受8と、軸受8と流体貯留部7との間に配置され、軸受8から落ちるグリスを受けるグリス受け部9と、回転軸2の軸方向から見て、回転軸2に対して第1排出路7bと同じ側に配置され、グリス受け部9のグリスを外部に排出するための第3排出路9aとを設ける。これにより、水中電動ポンプ100を回動させる(向きを変える)ことなく、同じ配置の向きでオイルの排出とグリスの排出とを行うことができる。
【0053】
また、本実施形態では、上記のように、外部からグリス受け部9にグリスを注入するためのグリス注入路9bを設け、第3排出路9aとグリス注入路9bとを、回転軸2に対して互いに反対側に配置する。これにより、第3排出路9aとグリス注入路9bとが、回転軸2に対して互いに反対側に配置されるので、グリス注入路9bからグリスを圧入するだけで、軸受8に新しいグリスが供給されるとともに、元々軸受8に供給されていたグリスが押し出されて第3排出路9aから排出されるように構成できるので、グリス交換を容易に行うことができる。また、水中電動ポンプ100を分解(オーバーホール)しなくても、グリスを交換することができるので、効率的にメンテナンスを行うことができる。
【0054】
また、本実施形態では、上記のように、外部からオイル室5にオイルを注入するためのオイル注入路5cを設け、第1排出路7bとオイル注入路5cとを、回転軸2に対して互いに反対側に配置する。これにより、第1排出路7bとオイル注入路5cとが、回転軸2に対して互いに反対側に配置されるので、第1排出路7bからの流体の排出と、オイル注入路5cからのオイルの注入を同じ姿勢で容易に行うことができる。
【0055】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0056】
たとえば、上記一実施形態では、水中電動ポンプにオイル室から流体を排出する第2排出路を設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプに第2排出路を設けなくてもよい。
【0057】
また、上記一実施形態では、水中電動ポンプにグリス受け部からグリスを排出する第3排出路を設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプに第3排出路を設けなくてもよい。
【0058】
また、上記一実施形態では、オイル室の断面がU字形状になるように形成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえば、オイル室の断面が矩形状になるように形成してもよい。
【0059】
また、上記一実施形態では、水中電動ポンプにグリス受け部を設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプにグリス受け部を設けなくてもよい。
【0060】
また、上記一実施形態では、水中電動ポンプに浸水検知部を1つ設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプに浸水検知部を複数設けてもよい。
【0061】
また、上記一実施形態では、水中電動ポンプに流体検知部を1つ設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、水中電動ポンプに流体検知部を複数設けてもよい。
【0062】
また、上記一実施形態では、流体貯留部とモータ側(グリス受け部)との間にシール部材を設け、シール部材によりシールした例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、流体貯留部とモータ側(グリス受け部)との間にシール部材を設けずに、流体貯留部とモータ側(グリス受け部)とを連通させてもよい。このように構成すると、流体貯留部で、グリス受け部からのグリスとオイル室からの流体とを混合させることができるので、グリスと流体とが混ざり合った流体を、1つの排出路(第1排出路)を介して外部に排出することが可能である。
【0063】
また、上記一実施形態では、水中電動ポンプにオイルリフターを設けた例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえば、水中電動ポンプにオイルリフターを設けずに、メカニカルシールの上側摺動部にオイルが供給されるよう、オイル室内のオイルの液位を調整してもよい。
【0064】
また、上記一実施形態では、流体検知部をフロートスイッチで構成した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、流体貯留部への流体(オイルおよび水)の浸入を検知可能であれば流体検知部をフロートスイッチ以外で構成してもよい。
【0065】
また、上記一実施形態では、流体検知部を浸水検知部と略同じ高さ位置に配置した例を示したが、本発明はこれに限らない。本発明では、たとえば、浸水検知部をポンプ室側の方向に長く形成するなどにより、流体検知部と浸水検知部とを互いに異なる高さ位置に配置してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 モータ
2 回転軸
3 羽根車
4 ポンプ室
5 オイル室
5a 浸水検知部
5b 第2排出路
5c オイル注入路
6 メカニカルシール
6a、6b 摺動部
7 流体貯留部
7a 流体検知部
7b 第1排出路
8 軸受
9 グリス受け部
9a 第3排出路
9b グリス注入路
52 環状部分
53 突出部分
53a リブ部
100 水中電動ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5