特許第6653982号(P6653982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6653982段付きの内部パイプ径を有するシートベルトテンショナ
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  • 特許6653982-段付きの内部パイプ径を有するシートベルトテンショナ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6653982
(24)【登録日】2020年1月31日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】段付きの内部パイプ径を有するシートベルトテンショナ
(51)【国際特許分類】
   B60R 22/46 20060101AFI20200217BHJP
【FI】
   B60R22/46 142
【請求項の数】3
【外国語出願】
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2019-15(P2019-15)
(22)【出願日】2019年1月3日
(65)【公開番号】特開2019-142483(P2019-142483A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2019年1月3日
(31)【優先権主張番号】10 2018 100 605.5
(32)【優先日】2018年1月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503358097
【氏名又は名称】オートリブ ディベロップメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】マーカス ファーチャート
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102009049576(DE,A1)
【文献】 特開平07−251709(JP,A)
【文献】 特開2010−058686(JP,A)
【文献】 特開2012−116296(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0006925(US,A1)
【文献】 特開2017−043127(JP,A)
【文献】 特開2012−035748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 22/00−22/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートベルトリトラクタ用のシートベルトテンショナであって、
テンショナ駆動輪を有するパイプ(1)を有し、
前記パイプ(1)内に、点火式ガスジェネレータ(10)と、ピストン(3)と、少なくとも1つの質量体(4)とが配置され、
前記少なくとも1つの質量体(4)が、前記ガスジェネレータ(10)によって発生されたガスの圧力によって駆動可能であり、前記ガスジェネレータ(10)と前記質量体(4)との間に配置された前記ピストン(3)に作用し、前記パイプ(1)を出るときに、力を伝達させる方法で前記テンショナ駆動輪に噛み合わされこれによって、シートベルトに巻きつくテンショニング方向に前記シートベルトリトラクタのベルトシャフトを駆動させ、
前記パイプ(1)が第1内径(2)を有する受容セクション(5)を有し、初期状態にある前記ピストン(3)は前記ガスジェネレータ(10)の点火前には初期状態の外径(8)で配置され、
前記パイプ(1)が、前記受容セクション(5)に隣接し、前記ピストン(3)が前記ガスジェネレータ(10)の点火後に駆動されることによって第2内径(7)を有するガイドセクション(6)を有し
前記第2内径(7)が、前記第1内径(2)より小さく、前記ピストン(3)の前記初期状態の外径(8)より小さい、シートベルトテンショナ。
【請求項2】
助走スロープ(9)が、前記受容セクション(5)と前記ガイドセクション(6)との間の前記パイプ(1)の内側に形成される、請求項1に記載のシートベルトテンショナ。
【請求項3】
前記パイプ(1)内にはばね(11)が配置され、
初期状態にある前記ピストン(3)がばね(11)に当接する、請求項1または2に記載のシートベルトテンショナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートベルトリトラクタ用のシートベルトテンショナに関し、シートベルトテンショナは、テンショナ駆動輪を有するパイプを有し、そのパイプ内に点火式ガスジェネレータと、ピストンと、少なくとも1つの質量体とが配置され、少なくとも1つの質量体は、ガスジェネレータによって発生可能な圧力によって駆動可能であり、ガスジェネレータと質量体との間に配置されたピストンに作用し、パイプを出るとき、力を伝達させる方法でテンショナ駆動輪に噛み合わされ得、そして安全ベルトに巻きつくテンショニング方向にシートベルトリトラクタのベルトシャフトを駆動させ、パイプは、第1内径を有する受容セクションを有し、初期状態にあるピストンがガスジェネレータの点火前の初期状態径で配置される。
【背景技術】
【0002】
上述の特徴を有するシートベルトテンショナは、DE 10 2009 049 576 A1から周知である。ピストンをパイプの内面に対して密封するために、ピストンは、パイプ内での取り付け前は、パイプの受容セクションの第1内径よりも大きい外径を有する。取り付け中は、ピストンはパイプの受容セクション内に押され、したがって、ピストンを径方向に弾性且つ塑性変形させる。テンショニングプロセス中の、質量体のテンショナ駆動輪への力伝達は、シートベルトテンショナが長時間後および温度変動後に始動されるときには特に、一時的に、全体的に均等ではないことが明らかにされてきた。
【0003】
そのため、本発明によって解決する問題は、先行技術に関して記載された不利点をなくすことであり、取り付け後長時間経っても、質量体のテンショナ駆動輪への力伝達がより均等であるシートベルトテンショナを提供することである。
【0004】
本問題は、独立クレームの特徴を有するシートベルトテンショナによって解決される。シートベルトテンショナの有利な発展が、独立クレームと本説明において開示され、有利な発展の個々の特徴は、技術的に意味のある方法で、可能な任意の方法で組み合わせ可能である。
【0005】
本問題は特に、初めに記載した特徴を有するシートベルトテンショナによって解決され、パイプは、受容セクションに隣接し、ピストンがガスジェネレータの点火後に駆動されることによって第2内径を有するガイドセクションを有し、第2内径は第1内径より小さく、且つ、ピストンの初期状態の外径より小さい。
【0006】
その基本原則として、本発明はさらに、受容セクションを有するパイプが、取り付け後にはピストンが塑性変形しないか、またはほんのわずかだけ塑性変形する範囲を有することと、ピストンが、始動されると、加圧ガスによってパイプのガイドセクション内に移動し、そのピストンは、第2内径が初期状態の第1外径に対してより小さいため、比較的高い径方向力でパイプの内面に密封当接することと、をもたらす。ピストンは、取り付け後は塑性変形しないため、ピストンはガイドセクション内でパイプの内壁に対してより確実に当接する。結果として、ピストンがガイドセクションによって駆動されるときに加圧ガスがピストンに沿って逃げるのを防止する。さらに、ピストンとパイプとの間の密封、さらにテンショナ駆動輪への力伝達も、均等化される。
【0007】
ある実施形態では、第1内径は、取り付け前にピストンの外周径よりも大きくてもよい。ただし、第1内径は、まだ取り付けられていないピストンの外周径と同一サイズであることが好ましい。ただし、第1内径が0.4mm(ミリメートル)未満であり、0.2mm未満であることが好ましく、取り付け前のピストンの外径よりも小さい、とされてもよい。そのような事例では、取り付け後のピストンは、そうであったとしても最小限までのみ、主に弾性および塑性変形する。
【0008】
第2内径は特に少なくとも2%、好ましくは少なくとも3%、第1内径より小さい。絶対値では、第2内径は、少なくとも0.2mm、好ましくは少なくとも0.4mm、特に好ましくは少なくとも0.6mm、第1内径より小さい。
【0009】
受容セクションからガイドセクションへ移動中のピストンが、パイプの内側に対して均等に当接することを確実にするため、助走スロープ(run−up slope)が受容セクションとガイドセクションとの間のパイプの内側に形成され、パイプの内径は、パイプの拡張方向に沿って均等に減少する。この移行範囲は、特に10mm未満の長さ、好ましくは5mm未満の長さを有する。
【0010】
ピストンは容易に移動可能な方法で受容セクション内に配置されるため、シートベルトテンショナのガタつき防止がより容易に実現され得る。その目的のため、初期状態にあるピストンは、特にガスジェネレータとピストンとの間に配置されたばねに当接し、ピストンを予め質量体の方向に引っ張る。さらに、はめ込む力もまた、低減される。
【0011】
その、質量体から離れて対向している後ろ側では特に、ピストンはパイプの内側に当接する、径方向に突出した密封リップを有する。そのようなピストンは、例えば、DE 10 2009 049 576 A1から周知である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下では、本発明および本技術環境は、図面を使用して、例として説明される。
【0013】
図1図1は、シートベルトテンショナの一部を図式化して示す。
図2図2は、シートベルトテンショナのパイプを通しての横断面図を図式化して示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面は、シートベルトテンショナのパイプ1の一部を示す。パイプ1は、第1内径2を有する受容セクション5と、第2径7を有する隣接ガイドセクション6とを備える。助走スロープ9は、受容セクション5とガイドセクション6との間に形成される。
【0015】
図面の左に示される端部では、ガスジェネレータ10がパイプ1に配置される。初期状態では、ピストン3は、初期状態の外径8を有し、受容セクション5に配置される。ピストン3は、ガスジェネレータ10の方向に、ばね11によって支持される。ガスジェネレータ10の反対に位置するピストン3の側面には、質量体4が配置される。始動させると、ピストン3は、ガスジェネレータ10によって発生される加圧ガスによって駆動され、結果として、質量体4がパイプ1を通って移動する。
【0016】
第1内径2は基本的に、それが受容セクション5に取り付けられる前はピストン3の外径に一致する。したがって、その初期状態では、ピストン3は、径方向には塑性変形しない。第2内径7は第1内径2より小さく、且つ、ピストン3の初期状態の外径8より小さいため、ガイドセクション6を通って進入し、ガイドセクション6を通過するとき、ピストン3は、確実に密閉できる方法でガイドセクション6の内側に当接し、よって、パイプ1を出る質量体4からテンショナ駆動輪へ均等な力伝達がもたらされる。
【符号の説明】
【0017】
1 パイプ
2 第1内径
3 ピストン
4 質量体
5 受容セクション
6 ガイドセクション
7 第2内径
8 初期状態の外径
9 助走スロープ
10 ガスジェネレータ
11 ばね
図1
図2