(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明異物除去装置を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0026】
尚、以下には、本発明異物除去装置を車載カメラに付着される異物を除去する装置に適用した例を示す。但し、本発明異物除去装置の適用は車載カメラに付着される異物を除去する装置に限られることはなく、各種の構造物に付着される異物を除去する装置として、特に、車輌用灯具、窓、ミラー、衝突防止用のセンサー等の車輌に設けられる構造体に付着される異物を除去する異物除去装置として広く適用することが可能である。
【0027】
以下に示す異物除去装置はシリンダーとピストンとノズルを有し、ピストンがシリンダーに対して移動されることにより高圧空気をノズルから噴射する。
【0028】
以下の説明にあっては、ピストンが移動される方向を前後方向として前後上下左右の方向を示すものとする。尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0029】
<異物除去装置の構成>
異物除去装置1は、例えば、車輌の後方を確認する車載カメラ100を洗浄する機能を有し、図示しない車体の後端側の部分に取り付けられている。
【0030】
異物除去装置1はノズルユニット2と配管3と高圧空気発生ユニット4を有している(
図1参照)。
【0031】
ノズルユニット2は取付ブラケット5とノズル6を有している。取付ブラケット5は車体の後端部に取り付けられる。ノズル6は前後方向に延びる円筒状の流動部6aと流動部6aの後端に連続する噴射部6bとを有し、取付ブラケット5と一体に形成されている。
【0032】
ノズルユニット2は車載カメラ100と一体に形成されている。車載カメラ100は撮像部を有し、撮像部の後端部がレンズ部101とされている。従って、車載カメラ100はレンズ部101を介して被写体の像を撮影する。
【0033】
上記のように、異物除去装置1にあっては、ノズル6が車載カメラ100と一体に形成されているため、ノズル6と車載カメラ100が車体に一度の作業で同時に組み付けられ、車体への組付作業を容易かつ迅速に行うことができ、作業性の向上を図ることができる。
【0034】
配管3は、例えば、樹脂製やゴム製のホースであり、前端部が高圧空気発生ユニット4の後述するシリンダーの一端部に連結され後端部がノズル6における流動部6aの前端部に連結されている。
【0035】
高圧空気発生ユニット4はケース体7とケース体7の内部に配置された移動機構8とを有している(
図2参照)。高圧空気発生ユニット4は車輌の内部において車体の一部に取り付けられている。
【0036】
ケース体7は内部が配置空間9として形成され、配置空間9はモーター配置部9aとウォーム配置部9bとギヤ配置部9cを有している。モーター配置部9aとウォーム配置部9bは前後において連通された状態で位置され、ウォーム配置部9bとギヤ配置部9cは上下において連通された状態で位置されている。ケース体7の後端部には前後に貫通された挿通孔9dが形成されている。挿通孔9dはケース体7の外部とギヤ配置部9cに連通されている。
【0037】
ケース体7には側方に突出された支持軸部7aが設けられ、支持軸部7aはギヤ配置部9cに位置されている。
【0038】
移動機構8はモーター10とウォーム11とウォームホイール12を有している。
【0039】
モーター10は本体部10aとモーター軸10bを有し、本体部10aがモーター配置部9aに配置されている(
図2参照)。
【0040】
ウォーム11はモーター軸10bに連結されて固定され、ウォーム配置部9bに配置されている。ウォーム11は主動ギヤとして機能する。
【0041】
ウォームホイール12は従動ギヤとして機能し、ハス歯ギヤ13とハス歯ギヤ13の中心部から側方に突出して設けられたピニオン14とが一体に形成されて成る(
図2及び
図3参照)。ウォームホイール12はギヤ配置部9cに配置され、中心部がケース体7の支持軸部7aにベアリング15を介して支持されている。
【0042】
ハス歯ギヤ13はウォーム11と噛合されている。
【0043】
ピニオン14はハス歯ギヤ13と同軸にされ、ベアリング15に外嵌状に支持された環状部16と環状部16の外周側に設けられたギヤ部17、17、17とを有している。ギヤ部17、17、17は周方向に等間隔に離隔して設けられている。
【0044】
ピニオン14は歯先円の直径がハス歯ギヤ13の歯底円の直径より小さくされている。従って、ハス歯ギヤ13にはピニオン14が位置された側にピニオン14の外周側に位置する側面13aが形成されている。ピニオン14におけるギヤ部17、17、17間の部分はそれぞれ欠歯部14a、14a、14aとして形成されている。欠歯部14aは周方向に等間隔に離隔して、例えば、三つが形成されている。
【0045】
上記したように、ウォームホイール12はハス歯ギヤ13とピニオン14が一体に形成されて成る。従って、部品点数の削減を図ることができると共にモーター10からハス歯ギヤ13に伝達される駆動力をピニオン14に効率的に伝達することが可能になりモーター10の小型化を図ることができる。
【0046】
ケース体7の後端部にはシリンダー18が結合されている。シリンダー18はケース体7から後方に突出した状態で結合されている。シリンダー18はピストン支持部19とピストン支持部19から、例えば、下方に突出された連結突部20とが一体に形成されて成り、ピストン支持部19の径が連結突部20の径より大きくされている。
【0047】
ピストン支持部19は前後に延びる略円筒状の筒状部21と筒状部21の後側の開口を閉塞する閉塞部22とを有している。閉塞部22の内面は閉塞面22aとして形成されている。
【0048】
ピストン支持部19の内部空間23は後側略半分の部分が第1の空間24とされ前側略半分の部分が第2の空間25とされている。
【0049】
ピストン支持部19には第2の空間25に前後方向に延びる空気流入溝19a、19aが周方向に離隔して形成されている(
図4乃至
図6参照)。空気流入溝19a、19aは、例えば、180°反対側に位置されている。尚、空気流入溝19aの数は任意であり、空気流入溝19aが複数形成される場合には周方向において等間隔に形成されることが望ましい。
【0050】
ピストン支持部19の第2の空間25に空気流入溝19a、19aが形成されることにより、第2の空間25における空気流入溝19a、19aが形成された部分の径は第1の空間24の径より稍大きくされている。第2の空間25における空気流入溝19a、19aが形成されていない部分の径は第1の空間24の径と同じにされている。ピストン支持部19には第2の空間25において、第1の空間24と空気流入溝19a、19aの境界部分にそれぞれ段差面25a、25aが形成されている(
図4及び
図5参照)。
【0051】
ピストン支持部19の筒状部21には図示しない空気流入孔が形成され、空気流入孔から空気流入溝19a、19aに外気が流入される。
【0052】
連結突部20は内部の空間が高圧空気をノズル6へ向けて送り出す送出路20aとして形成されている。連結突部20には配管3の前端部が連結されている。
【0053】
連結突部20は筒状部21に連続して設けられ、閉塞部22の閉塞面22aより前側に位置されている(
図4及び
図5参照)。従って、閉塞面22aと送出路20aの後端との間には一定の間隔が形成されており、ピストン支持部19の閉塞面22aと連結突部20の送出路20aとの間には内部空間23の一部として貯留部24aが形成される。
【0054】
シリンダー18のピストン支持部19にはピストン27が移動自在に支持されている。ピストン27は前後の厚みが薄い略円柱状に形成された作動部28と作動部28の中央部から略前方に突出された連結部29とを有し、作動部28には外方に開口された円環状の配置溝28a、28aが前後に離隔して形成されている。作動部28の外径はピストン支持部19における第1の空間24の径より僅かに小さくされている。従って、作動部28の外周面と第1の空間24におけるピストン支持部19の内周面との間には隙間26が形成されている。
【0055】
配置溝28a、28aにはそれぞれシール部30、30が配置されている。シール部30は弾性変形可能な、例えば、ゴム又は樹脂によって形成され、外周部が作動部28の外周面から外方に突出されている。
【0056】
ピストン27はシリンダー18に対して上死点と下死点の間で前後方向へ往復運動される。上死点においては作動部28の全体が第1の空間24に位置され(
図4参照)、下死点においてはシール部30、30の全体が第2の空間25に位置され作動部28の後端部が第1の空間24に位置される(
図5参照)。
【0057】
ピストン27は、シール部30、30が第1の空間24においてシリンダー18の内周面に摺動され(
図4参照)、シール部30、30が第2の空間25においてシリンダー18の空気流入溝19a、19a以外の部分の内周面に摺動され空気流入溝19a、19aが形成された部分でシリンダー18におけるピストン支持部19の内周面から離隔される(
図5参照)。従って、ピストン27が下死点に位置された状態においては、第2の空間25に流入された空気(外気)が段差面25a、25aに沿い隙間26を通って第1の空間24へ向けて流動される。
【0058】
ピストン27の連結部29には前後に延びるラック31が連結されている。ラック31は、例えば、ピストン27と一体に形成されている。
【0059】
ラック31には前端寄りの位置にラック部32が形成されている。ラック31はケース体7に形成された挿通孔9dを挿通され、ラック部32がウォームホイール12におけるピニオン14のギヤ部17に噛合可能とされている。
【0060】
ピストン27の作動部28とケース体7の外面との間にはシリンダー18におけるピストン支持部19の内部において付勢バネ33が支持されている。付勢バネ33は、例えば、圧縮コイルバネであり、付勢バネ33によってピストン27とラック31が後方へ付勢されている。
【0061】
尚、ピストン27の移動方向は空気を送り出す方向である後方が送出方向とされ、送出方向と反対方向である前方が溜力方向とされている。溜力方向はピストン27が付勢バネ33の付勢力に反して移動される方向であり、ピストン27が溜力方向へ移動されるに従って付勢バネ33の付勢力によってピストン27に付与される送出方向への移動力が大きくなっていく。
【0062】
<異物除去装置の動作>
以下に、異物除去装置1の動作について説明する(
図7乃至
図10参照)。
【0063】
先ず、高圧空気が送り出される前の初期状態について説明する(
図7参照)。
【0064】
初期状態においては、ピストン27が移動方向における後方側に位置され、ラック31はラック部32がピニオン14のギヤ部17、17、17に噛合可能な状態で位置されている。
【0065】
初期状態においてモーター10の駆動が開始され、モーター10の駆動力がウォーム11を介してウォームホイール12に伝達されると、ピニオン14のギヤ部17がラック31のラック部32に噛合される(
図8参照)。従って、ラック31はピニオン14の回転に伴って付勢バネ33の付勢力に反して溜力方向へ移動されていく。
【0066】
ラック31がピニオン14の回転に伴って溜力方向へ移動されていくと、所定の位置でギヤ部17とラック部32の噛合が解除される(
図9参照)。ギヤ部17とラック部32の噛合が解除された位置はピストン27の下死点とされる。ピストン27が下死点に位置された状態においては、上記したように、第2の空間25に流入された空気(外気)が段差面25a、25aに沿い隙間26を通って第1の空間24へ向けて流動される。
【0067】
ピストン27が下死点まで移動されると、ギヤ部17とラック部32の噛合が解除され、ピストン27が付勢バネ33の付勢力によって溜力方向への移動速度より高速で送出方向へ移動され(
図10参照)、第2の空間25から第1の空間24に流動された空気が第1の空間24から連結突部20の送出路20aを通ってノズルユニット2のノズル6へ向けて送出される。このとき、シリンダー18は連結突部20の径がピストン支持部19の径より小さくされているため、第1の空間24から送出路20aを通って送出される空気が圧縮されて高圧空気となって配管3からノズル6へ向けて送出され、ノズル6から高圧空気が噴射されて車載カメラ100における撮像部のレンズ部101に吹き付けられる。
【0068】
上記した付勢バネ33の付勢力によるピストン27の送出方向への移動時には、高圧空気が連結突部20からノズル6へ向けて送出されると共にピストン27のシール部30、30によって連結突部20の送出路20aが閉塞される。シール部30、30によって送出路20aが閉塞されると、ピストン27の作動部28によって押圧された内部空間23に存在している一部の空気が貯留部24aに閉じ込められる。閉じ込められた空気は作動部28によって押圧され圧縮空気が生成される。
【0069】
このようにピストン27が送出方向へ移動されたときには貯留部24aに閉じ込められた空気が圧縮空気とされるため、圧縮空気が空気バネとして機能し、ピストン27の送出方向への移動が規制される。従って、ピストン27は圧縮空気によって作動部28が閉塞面22aに接触する手前の位置で停止され、この停止位置がピストン27の上死点とされる。
【0070】
尚、ピストン27が付勢バネ33の付勢力によって送出方向へ移動されて停止された状態においては閉塞面22aに近い後側のシール部30が送出路20aの後端より後側に位置される可能性があるが、ピストン27には前後に離隔して二つのシール部30、30が設けられているため、後側のシール部30が送出路20aの後端より後側に位置された場合においても、前側のシール部30の前端が送出路20aの前端より前側に位置される。
【0071】
従って、シール部30、30によって送出路20aが閉塞され、内部空間23に流入された空気の送出路20aからの不必要な流出を防止することができる。
【0072】
ノズル6から噴射された高圧空気はレンズ部101に吹き付けられ、レンズ部101に付着されている塵埃、泥、水滴等の異物が吹き飛ばされてレンズ部101が洗浄され汚染が解消される。
【0073】
上記したように、異物除去装置1にあっては、シリンダー18において第2の空間25の少なくとも一部の径が第1の空間24の径より大きくされ、ピストン27が下死点に移動されたときにシール部30、30の全体が第2の空間25に位置され第2の空間25に流入される空気が第2の空間25から第1の空間24へ向けて流動される。
【0074】
従って、ノズル6に塵埃や泥等の異物が侵入し異物によってノズル6の噴射口が詰まっている場合においても、シリンダー18の第1の空間24に確実に空気が流入され、第1の空間24に流入されピストン27によって送出される高圧空気によってノズル6に詰まっている異物が吹き飛ばされるため、ノズル6における異物の詰まりを解消してノズル6からの高圧空気の良好な噴射状態を確保することができる。
【0075】
上記したピストン27の上死点と下死点の間の往復運動は、ピニオン14のギヤ部17とラック31のラック部32との噛合及びその解除を1サイクルとして行われ、ピニオン14の欠歯部14aの存在によってピストン27の送出方向への移動が行われる。
【0076】
従って、欠歯部14aの存在によってピストン27が送出方向へ移動されるため、ピストン27を送出方向へ移動させる専用の機構を設ける必要がなく、異物除去装置1の機構の簡素化による小型化を図ることができる。
【0077】
また、異物除去装置1にはピニオン14の周方向に離隔して三箇所にギヤ部17、17、17が設けられ三つの欠歯部14a、14a、14aが形成されているため、ピニオン14の1回転においてピストン27の上死点と下死点の間の往復運動が3回(3サイクル)行われる。
【0078】
従って、ピニオン14の1回転に対するノズル6からの高圧空気の噴射回数が多く、異物除去装置1における噴射効率の向上を図ることができる。
【0079】
<まとめ>
以上に記載した通り、異物除去装置1にあっては、シリンダー18にピストン27を支持するピストン支持部19と高圧空気を送り出す送出路20aを有する連結突部20とが設けられ、連結突部20がピストン支持部19の閉塞面22aより溜力方向側に位置されている。
【0080】
また、ピストン27が送出方向へ移動されたときに、シリンダー18の内部に存在する空気の一部が圧縮されて圧縮空気が生成されると共に圧縮空気がシリンダー18の内部における送出方向側の端部である貯留部24aに貯留されるように構成されている。
【0081】
従って、ピストン27が送出方向へ移動されたときにピストン27とシリンダー18における送出方向側の端部との間に圧縮空気が介在されるため、ピストン27とシリンダー18における送出方向側の端部との接触を回避して異音の発生やピストン27とシリンダー18の破損や故障を防止することができる。
【0082】
また、モーター10の駆動力がウォーム11とウォームホイール12を介してピストン27に伝達されるため、ウォーム11とウォームホイール12を用いることにより少ない部品点数で簡素な機構によって大きな減速比を得る減速機構が構成され、モーター10の駆動力に対するピストン27の移動力の高い変換効率を簡素な機構によって確保することができる。
【0083】
さらに、主動ギヤとしてウォーム11が用いられ、従動ギヤとしてウォームホイール12が用いられているため、簡素な機構によって大きな減速比を得る減速機構が構成され、モーター10の駆動力に対するピストン27の移動力の高い変換効率をより一層簡素な機構によって確保することができる。
【0084】
<移動機構の変形例>
以下に、移動機構の各変形例について説明する(
図11乃至
図13参照)。尚、変形例に係る移動機構が配置されるケース体7A、7B、7Cは、それぞれ移動機構の各構造に応じてケース体7に対して形状や大きさが変更され、内部に各構造に応じた配置空間9A、9B、9Cが形成されている。
【0085】
先ず、第1の変形例に係る移動機構8Aについて説明する(
図11参照)。
【0086】
移動機構8Aはモーター10Aとピニオン14Aを有している。
【0087】
モーター10Aは本体部10aとモーター軸10bを有し、モーター軸10bがラック31の移動方向に対して直交する方向に延びる向きで配置されている。
【0088】
ピニオン14Aはモーター軸10bに連結されて固定され、主動ギヤとして機能する。ピニオン14Aはピニオン14と同様の構成にされており、環状部16とギヤ部17、17、17を有し、ギヤ部17、17、17間の部分がそれぞれ欠歯部14a、14a、14aとして形成されている。
【0089】
ラック31のラック部32は従動ギヤとして形成され、ラック部32がピニオン14Aのギヤ部17に噛合可能とされている。
【0090】
移動機構8Aが設けられた構成において、モーター10Aの駆動が開始されると、ピニオン14Aのギヤ部17がラック31のラック部32に噛合され、ラック31が付勢バネ33の付勢力に反して溜力方向へ移動されていく。
【0091】
所定の位置でギヤ部17とラック部32の噛合が解除されると、ピストン27が付勢バネ33の付勢力によって溜力方向への移動速度より高速で送出方向へ移動され、第1の空間24に存在する空気がノズル6から高圧空気として噴射される。
【0092】
移動機構8Aにあっては、モーター10Aの駆動力がモーター軸10bに連結されたピニオン14Aからラック31に伝達されるため、構造が簡素であり、異物除去装置1の部品点数の削減及び小型化を図ることができる。
【0093】
次に、第2の変形例に係る移動機構8Bについて説明する(
図12参照)。
【0094】
移動機構8Bはモーター10Bと伝達ギヤ34と作動ギヤ35を有している。
【0095】
モーター10Bは本体部10aとモーター軸10bを有し、モーター軸10bがラック31の移動方向に対して直交する方向に延びる向きで配置されている。
【0096】
伝達ギヤ34は平歯車であり、モーター軸10bに連結されて固定され、主動ギヤとして機能する。
【0097】
作動ギヤ35は従動ギヤとして機能し、平ギヤ36と平ギヤ36の中心部から側方に突出して設けられたピニオン14Bとが一体に形成されて成る。作動ギヤ35は中心部がケース体7Bの支持軸部7aにベアリング15を介して支持されている。
【0098】
平ギヤ36は伝達ギヤ34と噛合されている。
【0099】
ピニオン14Bは平ギヤ36と同軸にされ、ピニオン14と同様の構成にされている。
【0100】
ラック31はラック部32がピニオン14Bのギヤ部17に噛合可能とされている。
【0101】
移動機構8Bが設けられた構成において、モーター10Bの駆動が開始されると、モーター10Bの駆動力が伝達ギヤ34を介して作動ギヤ35に伝達され、ピニオン14Bのギヤ部17がラック31のラック部32に噛合され、ラック31が付勢バネ33の付勢力に反して溜力方向へ移動されていく。
【0102】
所定の位置でギヤ部17とラック部32の噛合が解除されると、ピストン27が付勢バネ33の付勢力によって溜力方向への移動速度より高速で送出方向へ移動され、第1の空間24に存在する空気がノズル6から高圧空気として噴射される。
【0103】
移動機構8Bにあっては、モーター10Bの駆動力が平歯車である伝達ギヤ34と平ギヤ36を有する作動ギヤ35を介してラック31に伝達されるため、伝達ギヤ34と作動ギヤ35の回転軸方向が同じ方向にされている。
【0104】
従って、移動機構8Bの配置スペースが少なくて済むと共に構造が簡素であり、異物除去装置1の部品点数の削減及び小型化を図ることができる。
【0105】
次いで、第3の変形例に係る移動機構8Cについて説明する(
図13参照)。
【0106】
移動機構8Cはソレノイド37によって構成されている。
【0107】
ソレノイド37は前後に延びる駆動軸38と駆動軸38が内側に挿入されたコイル39とを有している。駆動軸38は、例えば、鉄心である。
【0108】
移動機構8Cが設けられた構成においては、ラック31が設けられておらず、ピストン27の連結部29に駆動軸38が連結されている。
【0109】
移動機構8Cが設けられた構成において、コイル39に通電が行われソレノイド37の駆動が開始されると、駆動軸38とピストン27が一体になって付勢バネ33の付勢力に反して溜力方向へ移動されていく。
【0110】
所定の位置でコイル39に対する通電が停止されると、駆動軸38とピストン27が付勢バネ33の付勢力によって溜力方向への移動速度より高速で送出方向へ移動され、第1の空間24に存在する空気がノズル6から高圧空気として噴射される。
【0111】
移動機構8Cにあっては、ソレノイド37の駆動軸38がピストン27に連結されてピストン27に駆動力が伝達されるため、構造が簡素であり、異物除去装置1の部品点数の削減及び小型化を図ることができる。
【0112】
<除去駆動装置の第1の実施の形態>
以下、実施の形態の除去駆動装置について図面を参照しながら説明する。
まず、上述の異物除去装置1を駆動する除去駆動装置としての第1の実施の形態を
図14,
図15,
図16で説明する。
図14は除去駆動装置50のブロック図である。この除去駆動装置50は、上述のモーター10に対して駆動電流を供給する装置とされる。
【0113】
除去駆動装置50は、装置外部との接続端子として4つの端子T1,T2,T3,T4を備える。
端子T1は電源ライン61に接続されている。電源ライン61はスイッチ90を介して電源電圧V1が供給されるラインである。スイッチ90は、車輌内の特定の電源系のオン/オフスイッチである。例えば電源電圧=12Vとされ、スイッチ90には車輌のギアポジションがリバースレンジとなったことに応じた信号S1によりオンとされるものとする。具体的には電源ライン61はバックランプ電源系のラインとされている。従ってこの例の除去駆動装置50には、車輌がリバースレンジとされてバックランプが点灯される際に、12Vの電源電圧V1が端子T1に供給される構成となる。
【0114】
端子T2はグランドライン62によりグランド(例えば車体グランド)に接続される。 端子T3はモーター10の正極、端子T4はモーター10の負極に接続される。即ち除去駆動装置50が端子T3,T4間に駆動電流を流すことで、異物除去装置1のモーター10が動作し、上述の異物除去動作が実行される。
【0115】
除去駆動装置50には、電源フィルタ51、動作設定部52、モータードライバ53が設けられている。
電源フィルタ51は、除去駆動装置50内の回路を電気サージ、ノイズから保護し、誤動作を防止するために設けられる。
モータードライバ53は、異物除去装置1のモーター10に駆動電流を供給し、異物除去装置1に異物除去動作を実行させる。この例の場合、端子T1と端子T3は接続されており、従ってリバースレンジの際には電源ライン61からの電源電圧V1がモーター10の正極に印加される。モータードライバ53は端子T4(モーター10の負極)をグランド(端子T2)に接続することで駆動電流を発生させる。
モータードライバ53はこのような駆動電流を、動作設定部52からの信号Smとして指示される期間に発生させる。
【0116】
動作設定部52は、信号Smによりモータードライバ53が駆動電流を発生させる期間を制御する。
具体的には、動作設定部52は、車輌がリバースレンジとなってスイッチ90がオンとされ、端子T1に電源電圧V1が印加されることに応じて、第1の所定時間、モーター10に対してモータードライバ53によって駆動電流の供給が行われるように制御する。つまり電源電圧V1の印加に応じて、第1の所定時間だけ、異物除去装置1での異物除去動作が行われるようにする。
また動作設定部52は、電源電圧V1の印加直後に異物除去動作を実行させるのではなく、端子T1への電源電圧V1の印加が開始されてから第2の所定時間は、モーター10への駆動電流の供給を実行させないようにモータードライバ53を制御する。
【0117】
図15で駆動動作を説明する。
図15Aに示すように、ある時点で端子T1の端子電圧が電源電圧V1となったとする。動作設定部52は、この端子T1の電圧変化に応じて即座にモータードライバ53によって駆動電流供給を行わせるようにはしない。具体的には第2の所定時間tm(例えば0.2秒程度)は、信号Smを立ち上げない。そして第2の所定時間tmを経過後に、第1の所定時間td(例えば1.8秒程度)、信号SmをHレベルとし、その期間、モータードライバ53が端子T3,T4間に駆動電流を発生させるようにする。従って第1の所定時間tdの間、モーター10が動作し異物除去動作が実行される。即ち例えば1.8秒程度の間、モーター10がウォーム11を回転させることで、
図2〜
図5の説明から理解されるように多数回、ピストン27の往復動作が行われ、高圧空気の吹きつけが多数回実行される。
【0118】
一方、瞬間的に端子T1に電源電圧V1が印加される場合がある。例えば運転者がシフトレバーを、リバースレンジを通過するように操作した場合である。瞬間的にリバースレンジとなってスイッチ90がオンとされることで、一時的に電源電圧V1が端子T1に印加される。この様子を
図15Bに示している。
しかし、端子T1が電源電圧V1となる期間が第2の所定時間tmより短い期間であれば、動作設定部52は信号Smを立ち上げない。このためモータードライバ53が駆動電流をモーター10に供給することは行われない。
【0119】
このような動作を実現するための、除去駆動装置50の具体的な回路例を
図16に示す。
除去駆動装置50内では、端子T1は逆流保護用のダイオードD1を介して端子T3に接続されている。これにより電源電圧V1は端子T3からモーター10の正極側に印加される。従って、モーター10の負極側(端子T4)がグランド接続されることで、モーター10に駆動電流が流れる。
なお、この
図16(及び
図14、
図17、
図19)において、除去駆動装置50内のグランド記号は、全て除去駆動装置50内部で端子T2に接続されており、端子T2が配線等により車体グランドに接続されるものである。
【0120】
電源フィルタ51は、コンデンサC1,C2、ダイオードD2により構成されている。端子T1−グランド間に直列接続されたコンデンサC1,C2によりサージ保護が行われる。
【0121】
モータードライバ53は、モータードライバICにより構成され、信号Smの入力に応じて端子T4をグランド(端子T2)に接続する回路とされている。
モータードライバ53はNチャネルのMOS−FET53aと、抵抗R7によって信号Smに応じたモーター駆動動作を行う。
MOS−FET53aはドレインが端子T4に接続され、ソースがグランド(端子T2)に接続されている。MOS−FET53aのゲートには抵抗R7を介して信号Smが供給される。MOS−FET53aのドレイン−ゲート間にはダイオードD4,ツェナーダイオードZD2によるクランプ回路が挿入されている。
このモータードライバ53は、動作設定部52からの信号SmによってMOS−FET53aがオン/オフされる。MOS−FET53aがオンとなることでモーター10に駆動電流が流れる。即ちMOS−FET53aはモータ10の駆動スイッチとして機能する。
【0122】
動作設定部52は、抵抗R1〜R6、コンデンサC3〜C8、ダイオードD3、ツェナーダイオードZD1、コンパレータ(オペアンプ)A1,A2が図のように接続されて構成される。この動作設定部52の動作は次のようになる。
【0123】
まず抵抗R1、R2、R3,コンデンサC3、コンパレータA1により、上述の第1の所定時間tdを規定する。なお、この回路例の場合は実際にはコンパレータA1の出力で(td+tm)を規定し、第2の所定時間tmの期間が後段のコンパレータA2でマスクされる構成としている。
【0124】
ダイオードD2のカソード側がコンパレータA1,A2の電源ライン65となる。この電源ライン65とグランド(端子T2)間に抵抗R1,コンデンサC3が直列接続される。従って端子T1への電源電圧V1の供給が開始される時点からコンデンサC3が充電されていく。このコンデンサC3の充電量に応じた電圧がコンパレータA1の−端子に入力される。
また電源ライン65とグランド間に抵抗R2,R3が直列接続され、抵抗R2,R3で分圧された電圧が、基準電圧としてコンパレータA1の+端子に入力される。
従って電源電圧V1が端子T1に印加された時点から、充電量に応じたコンデンサC3の端子電圧が所定値、即ち抵抗R2,R3による分圧電圧に達するまでの期間は、コンパレータA1の出力はHレベルとなり、コンデンサC3の端子電圧が抵抗R2,R3による分圧電圧を越えることでコンパレータA1の出力はLレベルとなる。このLレベルに落ちるタイミングが
図15の第1,第2の所定時間(tm+td)を経過したタイミングとなるように、各素子の定数が設定されている。
【0125】
次に、抵抗R4,コンデンサC6、コンパレータA2により上述の第2の所定時間tmを設定する。抵抗R4,コンデンサC6による時定数回路の出力がコンパレータA2の+端子の入力となる。また抵抗R2,R3で分圧された電圧が、基準電圧としてコンパレータA1の−端子に入力される。
この場合、コンパレータA1の出力は、時定数回路を介してコンパレータA2に供給されるため、電源電圧V1が端子T1に印加された時点で、コンパレータA1の出力がHレベルとなっても、コンパレータA2の+端子の入力電圧は、直ぐには基準電圧に達しない。従って電源電圧V1が端子T1に印加された時点直後はコンパレータA2の出力はLレベルとなる。その後、コンパレータA2の+端子の入力電圧が上昇し、基準電圧を超えた時点でコンパレータA2の出力はHレベルとなる。ここまでの期間が、
図15の第2の所定時間tmとなるように、基準電圧及び時定数が設定されている。
【0126】
コンパレータA2の出力は、コンデンサC8により安定化され、またツェナーダイオードZD1により電圧クリップされる。そして抵抗R6の一端で得られる電圧値がモータードライバ53への信号Smとなる。
モータードライバ53では、信号SmのHレベル期間、MOS−FET53aがオンとなることで、端子T4を端子T2(グランド)に接続する。
【0127】
従って
図15Aに示したように、端子T1に電源電圧V1が供給されることに応じて、第2の所定時間tmを経過後、第1の所定時間tdの間、信号SmがHレベルとなり、この期間、モーター10に駆動電流が供給され、異物除去装置1での異物除去動作が行われる。
また
図15Bに示したように、第2の所定時間tmに達しない期間だけ電源電圧V1が印加された場合、コンパレータA2の出力(信号Sm)がHレベルとはならないことになるため、モーター10への駆動電流の供給は行われない。
【0128】
以上のように実施の形態の除去駆動装置50は、車輌内の電源ラインに接続される端子T1と、車輌内のグランドラインに接続される端子T2と、異物除去装置1のモーター10に駆動電流を供給し、異物除去装置1に異物除去動作を実行させるモータードライバ53と、端子T2がグランドに接続された状態で、端子T1に電源電圧V1が印加されることに応じて、第1の所定時間tdだけ、前記モータードライバ53に対しモーター10への駆動電流の供給を指示する動作設定部52とを備える。
即ち端子T1,T2間に電源電圧V1−グランド間の電圧が印加されることをトリガとして動作設定部52が異物除去駆動時間(第1の所定時間Td)を設定する構成としている。これにより、制御専用線等の入力系を設けず、電源ラインとグランドラインの接続のみという最小限の配線構成において、車載カメラ100の撮像面(レンズ部101)等の異物除去が適切な期間、実行されるようにすることができる。
また第1の所定期間Tdだけ異物除去動作が行われるようにすることで、過剰に異物除去動作を行うこともなく、効率的な動作となる。そして、このような動作制御が、電源、グランド配線のみで可能となるという利点もある。
また制御専用線が不要であることで、搭載車種や配線の自由度も向上する。
【0129】
また一例として、端子T1には、車輌がリバースレンジとされることで電源電圧が供給される電源ライン61に接続されると述べた。異物除去装置1が車輌のバックカメラ(車載カメラ100)を異物除去対象とする場合、バックカメラが動作開始する際に異物除去が行われることが望ましい。端子T1が、リバースレンジの際に電源電圧V1が供給される電源ライン61に接続されているようにすることで、車輌のバック開始時、即ちバックカメラとしての車載カメラ100の動作開始時のタイミングで異物除去動作を開始させるようにすることができる。
なお、一般に車載カメラ100(バックカメラ)及びその撮像映像を表示するモニター画面は、運転者がシフトレバーをリバースレンジへ入れてから2秒程度で起動し、画像表示を開始する。上述のように、第2の所定期間tm=0.2秒、第1の所定期間Td=1.8秒とすると、リバースレンジとなってモニタ画面表示が開始されるまでに、異物除去を終えることになる。これによりバックカメラの撮像面の異物除去という意味では、撮像・モニタリングを行う直前という最適なタイミングで異物除去動作が行われることにもなる。
また換言すれば、あまり必要のない時点での異物除去は実行されないということでもあり、異物除去動作のタイミングの最適化、異物除去動作の効率化を実現しているともいえる。
【0130】
また動作設定部52は、端子T2がグランドに接続された状態で端子T1への電源電圧の印加が開始されてから第2の所定時間Tmは、モーター10への駆動電流供給を実行させないようにモータードライバ53を制御する。
これにより、例えば運転者のシフトレバー操作が、リバースレンジを通過した場合、或いは何らかのトリガにより一瞬だけ端子T1に電源電圧V1の供給がなされる場合などに、無用な異物除去駆動が行われないようにすることができる。
【0131】
<除去駆動装置の第2の実施の形態>
第2の実施の形態の除去駆動装置50の構成を
図17に示す。なお
図14と同一部分は同一符号を付し、説明を省略する。
この例では、端子T1と電源フィルタ51(又は端子T3)の間に、電圧変換部54が設けられている。電圧変換部54は、例えば公知の昇降圧型のDC/DCコンバータ等で構成され、端子T1に印加される電圧に応じて電圧変換を行う。
【0132】
この図では端子T1が接続される電源ライン61には、スイッチ90を介して電源電圧V1が供給されるものとしている。
なお電源電圧V1としては、例えば24V電源であったり、6V電源であったり、第1の実施の形態のように12V電源であったりすることが想定される。例えば車輌がトラックであって24Vバッテリ電源ラインが除去駆動装置50に接続される場合、電源電圧V1=24Vとなる。また車載カメラ100と除去駆動装置50で電源が共用される場合に、車載カメラ100が6V電源を使用しているとすると、電源電圧V1=6Vとなる。
スイッチ90をオン/オフする信号S1は、接続される電源系に応じた信号となり、例えば車載カメラ100用の電源系の場合、車載カメラ100がオンとされるタイミングでスイッチ90をオンとする信号となる。これ以外に、第1の実施の形態の場合と同様にリバースレンジとなることに応じてスイッチ90をオンとする信号であったり、或いはイグニッションオンによりスイッチ90をオンとする信号とされる場合もある。
【0133】
これらのように除去駆動装置50が搭載される車種や配線仕様の都合が様々であることから、除去駆動装置50が各種電源ラインへの接続に対応することができると好適である。そこで
図17のように電圧変換部54を設ける。
除去駆動装置50が12V電源を用いる構成であるとした場合、電圧変換部54は次のように動作する。
端子T1への電源電圧V1=24Vの場合は、24V入力電圧を12Vに降圧して出力する。
端子T1への電源電圧V1=12Vの場合は、入力電圧をそのまま変換せずに出力する。
端子T1への電源電圧V1=6Vの場合は、6V入力電圧を12Vに昇圧して出力する。
【0134】
端子T1に印加された電源電圧V1の電圧値に応じて、このように電圧変換部54が動作する。そして電圧変換部54の出力電圧(例えば12V)が、端子T3に供給されてモーター10への駆動電流供給のための駆動電圧となり、また動作設定部52の動作のための電源電圧となる。
【0135】
このように端子T1に供給される電源電圧V1を昇圧又は降圧してモーター10の駆動電圧を生成する電圧変換部54を備えることで、モーター10についての駆動電圧や、動作設定部52の駆動時間制御のための構成を例えば12Vという特定の電源電圧に合わせて設計していても、多様な電源系に対応できる。
従って、除去駆動装置50の搭載車種や、接続する電源ラインの自由度を拡張できる。
【0136】
<除去駆動装置の第3の実施の形態>
上記第1,第2の実施の形態では、電源ライン61に対してスイッチ90を設け、電源電圧V1の端子T1への供給開始に応じて、モーター10を駆動させるように動作するものとした。この様子を
図18Aに示す。
端子T1への電圧V1の印加はスイッチ90により制御されるとともに、端子T2は常時グランドに接続されている。そして端子T1への電圧印加に応じて、第2の所定時間tm経過後、第1の所定時間tdだけ、信号SmがHレベルとなり、この期間、モーター10の動作が行われる。
【0137】
これに対し、端子T1に常時電圧印加を行い、端子T2のグランド接続を制御して、モーター駆動動作を行うようにしてもよい。
図19に第3の実施の形態の構成例を示す。
図19における除去駆動装置50の構成は第1の実施の形態(
図14)と同様である。或いは第2の実施の形態のように電圧変換部54を備えても良い(
図17)。この
図19の場合、端子T1,T2に対する接続状態が異なる。
端子T1は、電源電圧V1の電源ライン61に接続されている。
図14のようなスイッチ90は介していない。例えば電源ライン61が、イグニッションオンでバッテリー電源電圧が供給されるイグニッション系電源ラインであるとすると、端子T1の電圧は常時(車輌がイグニッションオン状態である場合)、電源電圧V1の状態となる。
図18BではT1電圧が常時電源電圧V1の状態であることを示している。
【0138】
一方、端子T2は直接グランドに接続されておらず、ライン62Aを介して例えば車輌のECU91の端子T91に接続されている。
ECU91内では、例えば電源電圧V2とグランド間に抵抗R100と、スイッチ素子Q1としてのバイポーラトランジスタのコレクタ−エミッタが直列接続され、その接続点が端子T91に接続されている。スイッチ素子Q1としてのバイポーラトランジスタのベースにはオン/オフ制御のための信号S3が、ECU91の制御処理に基づいて供給される。なお、例えば電源電圧V2=V1とする。
【0139】
この場合、スイッチ素子Q1がオフであるときは、端子T2の電圧は所定電圧(=V2)となるが、スイッチ素子Q1がオンとなると、端子T2はグランド電位となる。
図18Bでは、信号S3によりスイッチ素子Q1がオン/オフされることにより、端子T2の電圧が変化する様子を示している。即ち端子T2は所定電圧点とグランドに選択的に接続される構成となっている。
【0140】
動作設定部52は、
図18Bに示すように信号Smを生成し、モータードライバ53を制御する。動作設定部52の具体回路例は
図16で説明したとおりである。
図16の回路の場合、端子T1,T2間に、電源電圧V1−グランド間の電圧が印加されることをトリガとして動作設定部52が異物除去駆動時間(第1の所定時間Td)や開始タイミング(第2の所定時間Tm後)を設定する構成となっている。つまり端子T1,T2間に、電源電圧V1−グランド間の電圧が印加されることでコンパレータA1,A2及びその周辺回路が上述の動作を行う。
【0141】
従って、上述の第1の実施の形態のように、端子T2がグランドに接続された状態で端子T1に電源電圧V1が印加されることに応じて、モータードライバによる駆動電流の供給が行われるわけであるが、
図19のように端子T1に電源電圧V1が印加されている状態で、端子T2が所定電圧点の電位からグランド電位となることに応じても、同様に動作する。即ち端子T2がグランド電位となってから第2の所定時間tm経過後、第1の所定時間tdだけ、信号SmがHレベルとなり、この期間、モータードライバ53によってモーター10への駆動電流の供給が行われる(
図18Bの信号Sm参照)。
【0142】
この第3の実施の形態のように、端子T1は電源電圧V1が供給される電源ライン61に直接接続されており、端子T2は、所定電圧点とグランドに選択的に接続される場合がある。この場合、動作設定部52は、端子T1に電源電圧V1が印加されている状態で、端子T2が所定電圧点の電位からグランド電位となることに応じて、モーター10への駆動電流の供給を実行するようにモータドライバ53を制御する。
即ちグランドライン側の制御でも除去駆動装置50の動作が実行可能とする構成とすることで、端子T1への電源ライン配線の自由度の向上を図ることができる。
例えばイグニッションオンなどの所定条件下で端子T1に常時電源電圧V1が印加されるように配線を行ったとしても、端子T2が所定電圧点とグランドを選択的に接続されるようにすることで、適切なタイミング及び期間に異物除去動作が行われるようにすることができる。
【0143】
<変形例>
発明の構成や接続態様は上記の実施の形態に限られず、各種の変形例が想定される。
例えば第1の実施の形態では、一例として車輌がリバースレンジとなった際に、電源電圧V1が端子T1に供給されるものとしたが、これ以外の条件でスイッチ90がオンとされて電源電圧V1が端子T1に供給される場合も考えられる。
例えば車載カメラ100のレンズ部101の汚れを検知したら異物除去を行うようにすることも考えられる。例えば車輌に搭載されたECU91や画像処理ユニットが、車載カメラ100の撮像画像を適時解析する。例えば画像上のエッジ成分の分布、量、コントラスト等から水滴や汚れが付着している状態を推定できる。そこで画像解析により汚れ状態と判断した場合に、例えば
図14のスイッチ90をオンにする(又は
図19のスイッチ素子Q1をオンにする)制御が行われるようにして、異物除去を実行させることも考えられる。
もちろん、運転者の操作に応じてスイッチ90(スイッチ素子Q1)がオンとされるような構成が加えられても良い。
【0144】
また、異物除去装置1を車載カメラ100の異物除去装置1として適用した例を挙げたが、異物除去装置1は、車輌用灯具、窓、ミラー、衝突防止用のセンサー等の車輌に設けられる被異物除去物となる各部の異物を除去する装置として広く適用することが可能である。従って本発明の除去駆動装置50としては、各種の異物除去装置1を駆動する装置として適用できる。また異物除去タイミングとしては、適用される被異物除去箇所に応じて設定することができる。
更に、本発明を適用する対象は、屋外で使用される装置であれば種類を問わない。例えば航空機、鉄道、ロボット、屋外設置物、建物等の外部に向けて露出した状態になるように取り付けられたカメラその他の装置を含むことができる。