特許第6654214号(P6654214)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6654214スパッタ計数方法、コンピュータプログラム及びスパッタ計数装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6654214
(24)【登録日】2020年1月31日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】スパッタ計数方法、コンピュータプログラム及びスパッタ計数装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/095 20060101AFI20200217BHJP
   B23K 9/32 20060101ALI20200217BHJP
   B23K 31/00 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   B23K9/095 515A
   B23K9/32 E
   B23K31/00 K
【請求項の数】18
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-81895(P2018-81895)
(22)【出願日】2018年4月20日
(65)【公開番号】特開2019-188421(P2019-188421A)
(43)【公開日】2019年10月31日
【審査請求日】2019年2月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231235
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智章
(72)【発明者】
【氏名】和田 勝則
(72)【発明者】
【氏名】七尾 優作
【審査官】 岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−028775(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/024904(WO,A1)
【文献】 特開2017−060968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/095
B23K 9/32
B23K 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影装置を備える持ち運び可能な端末装置が行うスパッタ計数方法であって、
溶接時に発生するスパッタを撮影可能な領域を動画像で撮影する撮影ステップと、
前記撮影ステップにおいて撮影された前記動画像を構成する静止画像毎に、前記静止画像に撮影されているスパッタの数をカウントするカウントステップと、
前記動画像を二値化処理する画像処理ステップと、
前記動画像と、前記カウントステップにおいてカウントされた前記静止画像毎のスパッタの数とを対応付けて表示部に表示させる表示制御ステップと、
を有し、
前記カウントステップにおいて、二値化処理後の前記動画像を構成する静止画像毎に、白黒諧調が第1の閾値以上であって、かつ、隣接している白黒諧調が第1の閾値以上である画素で構成される領域の大きさが第2の閾値以下である領域を前記スパッタとしてカウントするスパッタ計数方法。
【請求項2】
前記動画像の撮影時間のうち前記スパッタの数をカウントする対象となる時間帯を設定する設定ステップをさらに有し、
前記画像処理ステップにおいて、前記設定ステップで設定された前記時間帯分の前記動画像を構成する静止画像毎に、前記静止画像に撮影されているスパッタの数をカウントする、請求項1に記載のスパッタ計数方法。
【請求項3】
前記撮影ステップにおいて前記領域を撮影する前記撮影装置のシャッタースピードが、1/400〜1/800である、請求項1又は2に記載のスパッタ計数方法。
【請求項4】
前記撮影ステップにおいて前記領域を撮影する前記撮影装置のISO感度が、前記静止画像に撮影されているスパッタを浮かび上がらせることが可能な値である、請求項1から3のいずれか一項に記載のスパッタ計数方法。
【請求項5】
前記表示制御ステップにおいて、前記静止画像毎のスパッタの数をグラフ化して前記表示部に表示させるとともに、前記スパッタの数の統計値をさらに表示させる、請求項1から4のいずれか一項に記載のスパッタ計数方法。
【請求項6】
前記カウントステップにおいてカウントされた前記スパッタの数を前記静止画像毎に所定のファイル形式のファイルとして出力する出力ステップと、
出力された前記ファイルを他の装置に送信する通信ステップと、
をさらに有する、請求項1からのいずれか一項に記載のスパッタ計数方法。
【請求項7】
撮影装置を備える持ち運び可能な端末装置として機能するコンピュータに、
溶接時に発生するスパッタを撮影可能な領域を動画像で撮影する撮影ステップと、
前記撮影ステップにおいて撮影された前記動画像を構成する静止画像毎に、前記静止画像に撮影されているスパッタの数をカウントするカウントステップと、
前記動画像を二値化処理する画像処理ステップと、
前記動画像と、前記カウントステップにおいてカウントされた前記静止画像毎のスパッタの数とを対応付けて表示部に表示させる表示制御ステップと、
を実行させ、
前記カウントステップにおいて、二値化処理後の前記動画像を構成する静止画像毎に、白黒諧調が第1の閾値以上であって、かつ、隣接している白黒諧調が第1の閾値以上である画素で構成される領域の大きさが第2の閾値以下である領域を前記スパッタとしてカウントするためのコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記動画像の撮影時間のうち前記スパッタの数をカウントする対象となる時間帯を設定する設定ステップをさらに実行させ、
前記画像処理ステップにおいて、前記設定ステップで設定された前記時間帯分の前記動画像を構成する静止画像毎に、前記静止画像に撮影されているスパッタの数をカウントする、請求項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記撮影ステップにおいて前記領域を撮影する前記撮影装置のシャッタースピードが、1/400〜1/800である、請求項又はに記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記撮影ステップにおいて前記領域を撮影する前記撮影装置のISO感度が、前記静止画像に撮影されているスパッタを浮かび上がらせることが可能な値である、請求項からのいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記表示制御ステップにおいて、前記静止画像毎のスパッタの数をグラフ化して前記表示部に表示させるとともに、前記スパッタの数の統計値をさらに表示させる、請求項7から10のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記カウントステップにおいてカウントされた前記スパッタの数を前記静止画像毎に所定のファイル形式のファイルとして出力する出力ステップと、
出力された前記ファイルを他の装置に送信する通信ステップと、
をさらに実行させる、請求項から11のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
持ち運び可能な端末装置であって、
溶接時に発生するスパッタを撮影可能な領域を動画像で撮影する撮影装置と、
前記撮影装置で撮影された前記動画像を構成する静止画像毎に、前記静止画像に撮影されているスパッタの数をカウントするカウント部と、
前記動画像を二値化処理する画像処理部と、
前記動画像と、前記カウント部によってカウントされた前記静止画像毎のスパッタの数とを対応付けて表示部に表示させる表示制御部と、
を備え、
前記カウント部は、二値化処理後の前記動画像を構成する静止画像毎に、白黒諧調が第1の閾値以上であって、かつ、隣接している白黒諧調が第1の閾値以上である画素で構成される領域の大きさが第2の閾値以下である領域を前記スパッタとしてカウントするスパッタ計数装置。
【請求項14】
前記動画像の撮影時間のうち前記スパッタの数をカウントする対象となる時間帯を設定する設定部をさらに備え、
前記画像処理部は、前記設定部で設定された前記時間帯分の前記動画像を構成する静止画像毎に、前記静止画像に撮影されているスパッタの数をカウントする、請求項13に記載のスパッタ計数装置。
【請求項15】
前記領域を撮影する前記撮影装置のシャッタースピードが、1/400〜1/800である、請求項13又は14に記載のスパッタ計数装置。
【請求項16】
前記領域を撮影する前記撮影装置のISO感度が、前記静止画像に撮影されているスパッタを浮かび上がらせることが可能な値である、請求項13から15のいずれか一項に記載のスパッタ計数装置。
【請求項17】
前記表示制御部は、前記静止画像毎のスパッタの数をグラフ化して前記表示部に表示させるとともに、前記スパッタの数の統計値をさらに表示させる、請求項13から16のいずれか一項に記載のスパッタ計数装置。
【請求項18】
前記カウント部によってカウントされた前記スパッタの数を前記静止画像毎に所定のファイル形式のファイルとして出力する出力部と、
出力された前記ファイルを他の装置に送信する通信部と、
をさらに備える、請求項13から17のいずれか一項に記載のスパッタ計数装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタ計数方法、コンピュータプログラム及びスパッタ計数装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等のボディパネルを溶接する工程においては、炭酸ガス又は炭酸ガスとアルゴンとの混合ガス等の酸化性シールドガス雰囲気下で溶接を行うMAG(Metal Active Gas)溶接が行われる。このMAG溶接は、溶接ワイヤを用いて行う半自動アーク溶接の一種であり、一般の溶接と同様に溶接作業中にアーク発生位置から周囲に溶融金属粒(スパッタ)が飛散する場合がある。スパッタは、周囲の環境を汚染するばかりではなく、溶接品質の低下等の問題を招くおそれがあり、その発生量を抑えることが望ましい。
【0003】
従来、画像処理の手段を用いることにより、スパッタの発生量及びその挙動を正確に測定することができるスパッタの認識方法及びスパッタ認識装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。ところが、特許文献1に開示されている方法では、1万フレーム/秒(FPS(Frames Per Second))の撮影速度を有する高速度カメラを必要とし、この高速度カメラには移動手段まで搭載されている。さらに、時間毎のフレーム画像内のスパッタを特定し、それぞれのフレームから連続性を判断し、個々のスパッタを認識するため演算処理も大掛かりとなっている。
【0004】
ここで、高速度カメラ(ハイスピードカメラ)とは通常のビデオレート(30フレーム毎秒:FPS)を超える撮影速度を持つカメラのことを指しており、特に近年では、高速度カメラとは100FPSを超える撮影装置を指すことが多くなっている。
【0005】
その他にも、レーザ溶接による溶接部の良否判定のみならず剪断強度予測や破断モード予測をインプロセスで行うことができ、その結果、高速で且つ高精度なレーザ溶接に対応した品質管理を行うことが可能であるレーザ溶接良否判定方法及び良否判定装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、特許文献2に開示されている方法においても、大掛かりで高度な設備が必要となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−126274号公報
【特許文献2】国際公開第2011/024904号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、従来の技術では、大掛かりで高額な装置が必要となってしまい、コスト的に困難である。さらに、例えば、狭い隙間を溶接する際には、手を伸ばしたり、のけぞったりしながらでも測定できたり、いつも溶接している施設以外で、とっさの場合でも、持ち運び測定できるような測定装置が有用である。すなわち、コストを抑えつつ、簡易な方法でスパッタを計数できる技術が望まれている。
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、コストを抑えつつ、簡便な方法でスパッタを計数することができる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、撮影装置を備える持ち運び可能な端末装置が行うスパッタ計数方法であって、溶接時に発生するスパッタを撮影可能な領域を動画像で撮影する撮影ステップと、前記撮影ステップにおいて撮影された前記動画像を構成する静止画像毎に、前記静止画像に撮影されているスパッタの数をカウントするカウントステップと、前記動画像を二値化処理する画像処理ステップと、前記動画像と、前記カウントステップにおいてカウントされた前記静止画像毎のスパッタの数とを対応付けて表示部に表示させる表示制御ステップと、を有し、前記カウントステップにおいて、二値化処理後の前記動画像を構成する静止画像毎に、白黒諧調が第1の閾値以上であって、かつ、隣接している白黒諧調が第1の閾値以上である画素で構成される領域の大きさが第2の閾値以下である領域を前記スパッタとしてカウントするスパッタ計数方法である。
【0011】
本発明の一態様は、上記のスパッタ計数方法であって、前記動画像の撮影時間のうち前記スパッタの数をカウントする対象となる時間帯を設定する設定ステップをさらに有し、前記画像処理ステップにおいて、前記設定ステップで設定された前記時間帯分の前記動画像を構成する静止画像毎に、前記静止画像に撮影されているスパッタの数をカウントする。
【0012】
本発明の一態様は、上記のスパッタ計数方法であって、前記撮影ステップにおいて前記領域を撮影する前記撮影装置のシャッタースピードが、1/400〜1/800である。
【0013】
本発明の一態様は、上記のスパッタ計数方法であって、前記撮影ステップにおいて前記領域を撮影する前記撮影装置のISO感度が、前記静止画像に撮影されているスパッタを浮かび上がらせることが可能な値である。
【0015】
本発明の一態様は、上記のスパッタ計数方法であって、前記表示制御ステップにおいて、前記静止画像毎のスパッタの数をグラフ化して前記表示部に表示させるとともに、前記スパッタの数の統計値をさらに表示させる。
【0016】
本発明の一態様は、上記のスパッタ計数方法であって、前記カウントステップにおいてカウントされた前記スパッタの数を前記静止画像毎に所定のファイル形式のファイルとして出力する出力ステップと、出力された前記ファイルを他の装置に送信する通信ステップと、をさらに有する。
【0017】
本発明の一態様は、撮影装置を備える持ち運び可能な端末装置として機能するコンピュータに、溶接時に発生するスパッタを撮影可能な領域を動画像で撮影する撮影ステップと、前記撮影ステップにおいて撮影された前記動画像を構成する静止画像毎に、前記静止画像に撮影されているスパッタの数をカウントするカウントステップと、前記動画像を二値化処理する画像処理ステップと、前記動画像と、前記カウントステップにおいてカウントされた前記静止画像毎のスパッタの数とを対応付けて表示部に表示させる表示制御ステップと、を実行させ、前記カウントステップにおいて、二値化処理後の前記動画像を構成する静止画像毎に、白黒諧調が第1の閾値以上であって、かつ、隣接している白黒諧調が第1の閾値以上である画素で構成される領域の大きさが第2の閾値以下である領域を前記スパッタとしてカウントするためのコンピュータプログラムである。
【0019】
本発明の一態様は、上記のコンピュータプログラムであって、前記動画像の撮影時間のうち前記スパッタの数をカウントする対象となる時間帯を設定する設定ステップをさらに実行させ、前記画像処理ステップにおいて、前記設定ステップで設定された前記時間帯分の前記動画像を構成する静止画像毎に、前記静止画像に撮影されているスパッタの数をカウントする。
【0020】
本発明の一態様は、上記のコンピュータプログラムであって、前記撮影ステップにおいて前記領域を撮影する前記撮影装置のシャッタースピードが、1/400〜1/800である。
【0021】
本発明の一態様は、上記のコンピュータプログラムであって、前記撮影ステップにおいて前記領域を撮影する前記撮影装置のISO感度が、前記静止画像に撮影されているスパッタを浮かび上がらせることが可能な値である。
【0023】
本発明の一態様は、上記のコンピュータプログラムであって、前記表示制御ステップにおいて、前記静止画像毎のスパッタの数をグラフ化して前記表示部に表示させるとともに、前記スパッタの数の統計値をさらに表示させる。
【0024】
本発明の一態様は、上記のコンピュータプログラムであって、前記カウントステップにおいてカウントされた前記スパッタの数を前記静止画像毎に所定のファイル形式のファイルとして出力する出力ステップと、出力された前記ファイルを他の装置に送信する通信ステップと、をさらに実行させる。
【0025】
本発明の一態様は、持ち運び可能な端末装置であって、溶接時に発生するスパッタを撮影可能な領域を動画像で撮影する撮影装置と、前記撮影装置で撮影された前記動画像を構成する静止画像毎に、前記静止画像に撮影されているスパッタの数をカウントするカウント部と、前記動画像を二値化処理する画像処理部と、前記動画像と、前記カウント部によってカウントされた前記静止画像毎のスパッタの数とを対応付けて表示部に表示させる表示制御部と、を備え、前記カウント部は、二値化処理後の前記動画像を構成する静止画像毎に、白黒諧調が第1の閾値以上であって、かつ、隣接している白黒諧調が第1の閾値以上である画素で構成される領域の大きさが第2の閾値以下である領域を前記スパッタとしてカウントするスパッタ計数装置である。
【0027】
本発明の一態様は、上記のスパッタ計数装置であって、前記動画像の撮影時間のうち前記スパッタの数をカウントする対象となる時間帯を設定する設定部をさらに備え、前記画像処理部は、前記設定部で設定された前記時間帯分の前記動画像を構成する静止画像毎に、前記静止画像に撮影されているスパッタの数をカウントする。
【0028】
本発明の一態様は、上記のスパッタ計数装置であって、前記領域を撮影する前記撮影装置のシャッタースピードが、1/400〜1/800である。
【0029】
本発明の一態様は、上記のスパッタ計数装置であって、前記領域を撮影する前記撮影装置のISO感度が、前記静止画像に撮影されているスパッタを浮かび上がらせることが可能な値である。
【0031】
本発明の一態様は、上記のスパッタ計数装置であって、前記表示制御部は、前記静止画像毎のスパッタの数をグラフ化して前記表示部に表示させるとともに、前記スパッタの数の統計値をさらに表示させる。
【0032】
本発明の一態様は、上記のスパッタ計数装置であって、前記カウント部によってカウントされた前記スパッタの数を前記静止画像毎に所定のファイル形式のファイルとして出力する出力部と、出力された前記ファイルを他の装置に送信する通信部と、をさらに備える。
【発明の効果】
【0033】
本発明により、コストを抑えつつ、簡便な方法でスパッタを計数することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】スパッタ計数装置の機能構成を表す概略ブロック図である。
図2】シャッタースピードの違いによる撮影対象となる領域撮影時の画像を表す図である。
図3】記憶部に記憶される算出結果の一例を示す図である。
図4】本実施形態におけるスパッタ計数装置における撮影開始前の処理の流れを示すフローチャートである。
図5】本実施形態におけるスパッタ計数装置におけるスパッタの計数処理の流れを示すフローチャートである。
図6】表示部が表示する画面の一例を示す図である。
図7】異なる溶接条件においてスパッタ数をカウントした結果を示す図である。
図8】実験結果の示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、スパッタ計数装置10の機能構成を表す概略ブロック図である。
スパッタ計数装置10は、溶接時に発生するアークを中心とした周辺の領域に飛散するスパッタを計数する装置である。スパッタ計数装置10は、撮影装置を備えるスマートフォンやタブレット端末等の持ち運び可能な端末装置を用いて構成される。スパッタ計数装置10は、撮影対象となる領域を動画像で撮影し、撮影した動画像を構成する静止画像毎に、静止画像に撮影されているスパッタ数をカウントする。ここで、スパッタ数をカウントするとは、スパッタを計数することを意味する。本実施形態において撮影対象となる領域とは、溶接時においてスパッタを撮影可能な領域であり、例えば溶接時に発生するアークを中心とした周辺の領域である。
【0036】
スパッタ計数装置10は、撮影部11、操作部12、表示部13、記憶部14及び制御部15を備える。
撮影部11は、撮影対象となる領域を動画像で撮影する撮影装置(例えば、カメラ)である。例えば、撮影部11は、制御部15により設定される撮影パラメータで、撮影対象となる領域を動画像で撮影する。撮影パラメータは、撮影部11の撮影時における設定に関するパラメータであり、例えばフレームレート、シャッタースピード及びISO感度である。
【0037】
フレームレートは、動画像の表示の滑らかさを表す指標の一つであり、1秒間に撮影部11で撮影する枚数(1秒当たりのコマ数)を表す。フレームレートは、大きくするほど滑らかな画像となる。しかしながら、動画像データとしては、データサイズが大きくなる。フレームレートは、好ましくは10〜30FPSである。
【0038】
シャッタースピードは、撮影部11のシャッターが開いている時間、すなわち撮像素子がレンズを通した光にさらされる時間である。シャッタースピードが短いほど、鮮明な画像が撮影できる。一方、シャッタースピードが長いほど、光量が確保できる。シャッタースピードは、好ましくは1/400〜1/800である。
【0039】
図2は、シャッタースピードの違いによる撮影対象となる領域撮影時の画像を表す図である。図2(A)はシャッタースピードを1/1000として撮影対象となる領域を撮影した図であり、図2(B)はシャッタースピードを1/30として撮影対象となる領域を撮影した図である。
シャッタースピードを短めに設定することでスパッタ20を点として捕らえることが可能となるが、シャッタースピードが短くしすぎると、図2(A)に示すように、光量が確保できないため小さいスパッタ20を計数できなくなる。一方、図2(B)に示すように、シャッタースピードを長めに設定するとスパッタ20が線として撮影されてしまうため、スパッタ20の重なりが多く発生し、計数が困難になる。
【0040】
ISO感度は、撮影部11に取り込まれる光の増幅度である。ISO感度を小さくすると暗い画像となり、大きくすると明るい画像となる。しかしながら、ISO感度は大きくしすぎると、ノイズの原因となる。スパッタは、非常に明るいものであるため、ISO感度を静止画像に撮影されているスパッタを浮かび上がらせることが可能な値まで小さくすることで、画像に撮影されている周囲(例えば、背景やスパッタ以外のもの)の映像を暗くし、スパッタのみ取り込むことができ、より正確な計数を可能とすることができる。ISO感度は、好ましくは50である。
【0041】
操作部12は、タッチパネル、ボタン等の既存の入力装置を用いて構成される。操作部12は、ユーザの指示をスパッタ計数装置10に入力する際にユーザによって操作される。操作部12は、撮影パラメータ、画像解析パラメータ及びスパッタ計数対象時間の設定指示を受け付ける。また、操作部12は、入力装置をスパッタ計数装置10に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、操作部12は、入力装置においてユーザの入力に応じて生成された入力信号をスパッタ計数装置10に入力する。
【0042】
画像解析パラメータは、スパッタを計数するために用いられるパラメータであり、例えば検出サイズ及び光検出精度である。検出サイズは、スパッタとして認識するサイズ(画素数)の閾値である。スパッタは小さいサイズであるため、検出サイズが大きいと電球やアークなどもスパッタとして誤検知されてしまう可能性がある。また、検出サイズを小さくしすぎると、スパッタの計数を取りこぼすことになる。検出サイズとしては、好ましくは5〜8ピクセルであり、より好ましくは6ピクセルである。
【0043】
光検出精度は、二値化処理後の画像の白さ、黒さの度合いを表す閾値である。光検出精度は、二値化により0〜255諧調で白黒度合いを表したものである。0が黒で、白が255となる。光検出精度は、好ましくは165〜225のいずれかである。
また、スパッタ計数対象時間は、動画像の撮影時間のうちスパッタ数をカウントする対象となる時間帯を指定するための時間である。
【0044】
表示部13は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置である。表示部13は、スパッタの計数結果を表示する。表示部13は、画像表示装置をスパッタ計数装置10に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、表示部13は、スパッタ計数装置10を表示するための映像信号を生成し、自身に接続されている画像表示装置に映像信号を出力する。
【0045】
記憶部14は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部14は、動画像データ141及び算出結果142を記憶する。動画像データ141は、撮影部11によって撮影された動画像のデータである。算出結果142は、制御部15によるスパッタの計数結果に基づいて得られるスパッタの統計値等の算出結果である。
【0046】
図3は、記憶部14に記憶される算出結果142の一例を示す図である。
図3に示すように、算出結果142として、動画像ID、動画像データ、静止画像ID静止画像データ、スパッタ数及び統計値の各値が対応付けられている。動画像IDの値は、動画像を識別するための識別情報である。動画像データの値は、動画像IDで識別される動画像のデータである。静止画像IDの値は、動画像を構成する静止画像を識別するための識別情報である。静止画像データの値は、静止画像IDで識別される静止画像のデータである。スパッタ数の値は、静止画像に撮影されているスパッタの数である。スパッタ数の値は、静止画像毎に得られる。
【0047】
統計値の値は、動画像IDで識別される動画像データにおいてカウントされたスパッタの統計値である。図3では、統計値として、最大値、最小値、累計値及び平均値が示されている。最大値は、1枚の静止画像でカウントされたスパッタの最大数である。最小値は、1枚の静止画像でカウントされたスパッタの最小数である。累積値は、1つの動画像データ全体でカウントされたスパッタの総数である。平均値は、1つの動画像データ全体でカウントされたスパッタの平均数である。平均値は、1つの動画像データを構成する静止画像の数で累積値を除算することによって算出される。
【0048】
図1に戻って説明を続ける。
制御部15は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサやメモリを用いて構成される。制御部15は、プログラムを実行することによって、設定部151、画像処理部152、カウント部153、算出部154及び表示制御部155として機能する。
【0049】
設定部151は、操作部12を介して入力された撮影パラメータ、画像解析パラメータ及びスパッタ計数対象時間を設定する。例えば、設定部151は、撮影パラメータを撮影部11に設定する。また、例えば、設定部151は、スパッタ計数対象時間を画像処理部152に設定する。また、例えば、設定部151は、画像解析パラメータをカウント部153に設定する。
【0050】
画像処理部152は、記憶部14に記憶されている動画像データ141に対して画像処理を行う。具体的には、まず画像処理部152は、記憶部14に記憶されている動画像データ141から1つの動画像データを読み出す。例えば、画像処理部152は、ユーザによって指定された動画像データを読み出す。次に、画像処理部152は、読み出した動画像データのうち、操作部12を介して入力されたスパッタ計数対象時間で示される時間分の動画像データを抽出する。その後、画像処理部152は、抽出した動画像データに対して伸縮処理、膨張処理を行った後、二値化処理により白黒の動画像データに変換する。
【0051】
カウント部153は、画像処理部152により画像処理が施された動画像データと、設定部151によって設定された画像解析パラメータとに基づいて、画像処理が施された動画像データに撮影されているスパッタ数をカウントする。具体的には、カウント部153は、画像解析パラメータで示される条件を満たす領域をスパッタとしてカウントし、画像処理が施された動画像データを構成している静止画像毎にスパッタ数をカウントする。1つの静止画像を例に説明する。まずカウント部153は、静止画像内において白黒諧調が、設定された閾値以上の画素を探索する。次に、カウント部153は、隣接する閾値以上の画素で構成される領域のサイズと、検出サイズとを比較する。そして、カウント部153は、隣接する閾値以上の画素で構成される領域のサイズが、設定された検出サイズ以下である場合に、当該領域を画像解析パラメータで示される条件を満たす領域と判定し、スパッタとしてカウントする。
【0052】
算出部154は、カウント部153によってカウントされた結果に基づいて、動画像データ141におけるスパッタ数に関する統計値を算出する。スパッタ数に関する統計値とは、最大値、最小値、平均値及び累計値である。算出部154は、統計値の算出結果を動画像データに対応付けて算出結果142として記憶部14に記憶する。
【0053】
表示制御部155は、表示部13の表示を制御する。例えば、表示制御部155は、動画像データと、カウントされた静止画像毎のスパッタの数とを対応付けて表示部13に表示させる。また、例えば、表示制御部155は、静止画像毎のスパッタの数をグラフ化して表示部13に表示させるとともに、スパッタの数の統計値をさらに表示させる。
【0054】
図4は、本実施形態におけるスパッタ計数装置10における撮影開始前の処理の流れを示すフローチャートである。
ユーザは、操作部12を介してスパッタ計数装置10に対してフレームレートを入力する。設定部151は、操作部12を介して入力されたフレームレートとなるように撮影部11に設定する(ステップS101)。ユーザは、操作部12を介してスパッタ計数装置10に対してシャッタースピードを入力する。設定部151は、操作部12を介して入力されたてシャッタースピードとなるように撮影部11に設定する(ステップS102)。ユーザは、操作部12を介してスパッタ計数装置10に対してISO感度を入力する。設定部151は、操作部12を介して入力されたてISO感度となるように撮影部11に設定する(ステップS103)。ステップS101からステップS103までの処理により、撮影部11に対して撮影パラメータが設定される。その後、撮影部11は、ユーザの操作に応じて、撮影対象となる領域を動画像で撮影する(ステップS104)。
【0055】
図5は、本実施形態におけるスパッタ計数装置10におけるスパッタの計数処理の流れを示すフローチャートである。
表示制御部155は、ユーザの操作に応じて、記憶部14に記憶されている動画像データ141の一覧を表示部13に表示してユーザから動画像の選択を受け付ける(ステップS201)。操作部12は、動画像の選択指示がなされると、選択された動画像に関する情報(例えば、動画像ID)を画像処理部152に出力する。次に、操作部12は、スパッタ計数対象時間の入力を受け付ける(ステップS202)。操作部12は、スパッタ計数対象時間(開始時刻及び終了時刻)の入力がなされると、入力されたスパッタ計数対象時間を画像処理部152に出力する。
【0056】
画像処理部152は、出力された動画像IDで識別される動画像データを動画像データ141から取得する。そして、画像処理部152は、取得した動画像データに対して前処理を行う(ステップS203)。具体的には、まず画像処理部152は、読み出した動画像データのうち、操作部12を介して入力されたスパッタ計数対象時間で示される時間分の動画像データを抽出する。その後、画像処理部152は、抽出した動画像データに対して伸縮処理、膨張処理を行った後、二値化処理により白黒の動画像データに変換する。画像処理部152は、画像処理後の動画像データをカウント部153に出力する。
【0057】
カウント部153は、画像処理部152から出力された動画像データを構成する静止画像のうち1枚の静止画像を選択する(ステップS204)。例えば、カウント部153は、動画像データを構成する静止画像のうち先頭の静止画像を選択する。カウント部153は、選択した静止画像と、設定部151によって設定された画像解析パラメータとに基づいて、選択した静止画像に撮影されているスパッタ数をカウントする(ステップS205)。具体的には、カウント部153は、静止画像において、白黒諧調が第1の閾値以上であって、かつ、隣接している白黒諧調が第1の閾値以上である画素で構成される領域の大きさが第2の閾値以下である領域をスパッタと判断して、スパッタの数をカウントする。
【0058】
その後、カウント部153は、全ての静止画像でスパッタ数をカウントしたか否かを判定する(ステップS206)。全ての静止画像でスパッタ数をカウントした場合(ステップS206−YES)、カウント部153は各静止画像に、カウントしたスパッタ数の情報を対応付けて算出部154に出力する。算出部154は、カウント部153から出力された情報に基づいて統計値を算出する(ステップS207)。具体的には、算出部154は、カウント部153から出力された情報(例えば、スパッタ数)に応じて、最大値、最小値、平均値及び累積値を算出する。算出部154は、算出した結果を算出結果142として記憶部14に記憶する。また、算出部154は、算出した結果を、表示制御部155に出力する。
【0059】
表示制御部155は、算出部154から出力された結果を表示部13に表示させる。具体的には、表示制御部155は、記憶部14に記憶されている算出結果142を用いて、図6に示す画面を表示させるための画像データを生成して、生成した画面データを表示部13に表示させる。図6は、表示部13が表示する画面の一例を示す図である。図6に示すように、表示部13には、動画像30と、グラフ40と、統計値(図6における“最大”、“最小”、“平均”及び“累計”)と、指示入力部41とが表示されている。
【0060】
動画像30は、ユーザによって選択された動画像データである。グラフ40は、ユーザによって選択された動画像データを構成する静止画像毎のスパッタ数を時系列順にグラフ化した結果である。指示入力部41は、動画像30の再生、停止、早送り、早戻し等の指示を入力する際に利用される入力部である。表示制御部155は、各時刻における静止画像と、静止画像においてカウントされたスパッタ数とを対応付けておく。そして、表示制御部155は、動画像30の再生に同期して、動画像30の再生時刻に対応する静止画像においてカウントされたスパッタ数を瞬時値42として表示させる。例えば、図6に示す例では、動画像30の再生時刻が“5分20秒”であり、“5分20秒”における静止画像においてカウントされたスパッタ数“742”であることが示されている。表示部13は、表示制御部155の制御に従って算出部154から出力された結果を表示する(ステップS208)。
【0061】
また、ステップS206の処理において全ての静止画像でスパッタ数をカウントしていない場合(ステップS206−YES)、カウント部153は他の静止画像を選択する(ステップS209)。例えば、カウント部153は、スパッタの数をカウントしていない静止画像を選択する。その後、カウント部153は、ステップS205以降の処理を実行する。
【0062】
次に、実験による本発明の精度について説明する。
図7は、異なる溶接条件においてスパッタ数をカウントした結果を示す図である。
図7(A)はスパッタが多くなる溶接条件下でスパッタ数をカウントした結果を示す図であり、図7(B)はスパッタが少なくなる溶接条件下でスパッタ数をカウントした結果を示す図である。図7を参照すると、明らかな差を確認することができる。
【0063】
また、本発明の精度を向上させるため、様々なパラメータによりスパッタ数をカウントし、本発明の結果と、静止画像による目視計測の結果とを比較した。ここで、本発明における撮影パラメータ及び画像解析パラメータを下記の条件として実験を行った。
・撮影パラメータ
フレームレート:静止画像における計数結果に影響を及ぼさないため10FPSで固定
ISO感度:50
シャッタースピード:1/1000と1/400とのそれぞれで固定。シャッタースピードを1/400以上長くすると、スパッタが線状で撮像されてしまうため、正確にスパッタ数をカウントすることができなくなる。
・画像解析パラメータ
検出サイズ:5,6,8ピクセルを閾値とした。
光検出精度:165〜225の間のいずれかの値(例えば、165、185、210)を閾値とした。
【0064】
図8は、実験結果示す図である。
図8に示すように、検出サイズが5,6,8ピクセルのうち6とした場合に最も精度よく検出できることがわかる。また、光検出精度は185が目視計測と比べ最もばらつきが少ない結果となった。
【0065】
以上のように構成されたスパッタ計数装置10によれば、撮影部11を備える持ち運び可能な端末装置で、スパッタを撮影可能な領域を撮影し、同一の筐体において、撮影された動画像からスパッタ数をカウントする。これにより、1つの筐体でスパッタの撮影と、スパッタ数のカウントとを行うことができる。また、持ち運び可能な端末装置であるため、装置も大掛かりにならず、コストも削減することができる。そのため、コストを抑えつつ、簡便な方法でスパッタ数を計数することが可能になる。
【0066】
また、スパッタ計数装置10は、二値化処理後の動画像を構成する静止画像毎に、白黒諧調が第1の閾値以上であって、かつ、隣接している白黒諧調が第1の閾値以上である画素で構成される領域の大きさが第2の閾値以下である領域をスパッタとしてカウントする。スパッタは白く撮影されるため、スパッタ計数装置10は、白黒諧調が第1の閾値(白寄りの値)以上の画素を探索し、隣接している白黒諧調が第1の閾値の画素で構成される領域の大きさを求める。また、スパッタは小さいものであるため、スパッタ計数装置10は求めた領域の大きさが第2の閾値以下の領域をスパッタとしてカウントし、電球やアーク等のスパッタよりも大きな対象をスパッタとしてカウントしないようにする。このような処理により、より精度よくスパッタ数をカウントすることができる。
【0067】
また、スパッタ計数装置10は、動画像の撮影時間のうちスパッタ数をカウントする対象となる時間帯を設定し、設定した時間帯分の動画像データのみを抽出してスパッタ数のカウントを行うことによって、動画像データの容量を小さくすると共に、スパッタ数の平均値の計算をより正確なものに近づけることができる。そのため、より精度よくスパッタ数をカウントすることができる。
【0068】
撮影部11のシャッタースピードを、1/400〜1/800の範囲とすることで撮影されるスパッタを点として撮影することができるとともに、動画像データの容量を抑えることができる。
撮影部11のISO感度を、静止画像に撮影されているスパッタを浮かび上がらせることが可能な値とすることによって、スパッタをより制御よく検出することができる。
【0069】
また、スパッタ計数装置10は、動画像と、動画像を構成する静止画像毎のスパッタ数をグラフ化して表示部13に表示させるとともに、スパッタ数の統計値を表示させることによって、ユーザに対してスパッタの計数結果をより分かりやすい状態で提示することができる。
また、スパッタ計数装置10は、スマートフォンやタブレット端末のように持ち運び可能な端末装置であるため、溶接時においてユーザはマスクをしながらであっても容易に撮影が可能となる。そのため、利便性を向上させることができる。
【0070】
<変形例>
スパッタ計数装置10は、算出結果142をcsvファイル形式のファイルとして出力するように構成されてもよい。そして、スパッタ計数装置10は、出力したファイルを他の装置に送信してもよい。このように構成される場合、スパッタ計数装置10は、出力部及び通信部を備える。出力部は、算出結果142をcsvファイル形式のファイルとして出力する。通信部は、出力されたファイルを他の装置(例えば、メール等の通信手段でパーソナルコンピュータ)に送信する。
このように構成されることによって、データの幅広い活用が可能となる。
また、スパッタ計数装置10は、出力されたファイルを印刷して出力するように構成されてもよい。
【0071】
上述した実施形態におけるスパッタ計数装置10をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0072】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0073】
10…スパッタ計数装置, 11…撮影部, 12…操作部, 13…表示部, 14…記憶部, 15…制御部, 151…設定部, 152…画像処理部, 153…カウント部, 154…算出部, 155…表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8