(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態における寸法、材料、その他具体的な数値等は発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。
【0010】
図1に本発明を消防用の飛行体、いわゆる消防用ドローンに適用した実施例を示す。
【0011】
本実施例における消防用ドローン1は、
図1に示すように、本体ユニット10を備え、この本体ユニット10の外周側面に4基の揚力発生ユニット20が設けられる。なお、揚力発生ユニット20の設置数は、4基以上であれば特に限定されるものではなく、消防用ドローンの仕様に応じて種々の設置数を採用することができる。
【0012】
4基の揚力発生ユニット20は、
図2に示すように互いに所定の間隔(たとえば、本実施例では90度)をおいて本体ユニット10の外周側面に接続されている。また、本体ユニット10の下部にはキャリアユニット30が設けられる。キャリアユニット30には各種ノズルやホースが接続可能となっており、図示せぬ取付部31により本体ユニットの底面部に着脱自在に固定される。
【0013】
本体ユニット10は、略円盤状の本体部101の内部に中央処理装置であるCPUや、RAM/ROM等の各種記憶装置を少なくとも備えた電子制御部102や、所定の操作信号や電波を送受信可能な送受信部103、電源供給用のバッテリー104等を内蔵している。電子制御部102は、送受信部から受信した所定の操作信号等に応じて揚力発生ユニット20やキャリアユニット30の動作を制御可能に構成される。
【0014】
揚力発生ユニット20は、
図3、
図4に示すように、送風装置200、支持体220、第1円筒体240、第2円筒体260を有する。
【0015】
送風装置200は、
図4に示すように、送風ケース201と、この送風ケース201に収納され、電子制御部102によって回転動作可能に制御される回転機構部202とを備える。
【0016】
送風ケース201は、
図4に示すように、内部に収納空間を有する中空の円筒体であり、第2円筒体260は、
図4に示すように、略円筒形状の筒体である。そして、第2円筒体260には、内周面に沿って長溝環状に形成され送風ケース201の収納空間と連通し、当該収納空間内に空気を吸い込む第1吸気口203が設けられている。また、送風ケース201には、第1吸気口203から吸い込まれた空気を送り出す第1排気口204が設けられている。
【0017】
回転機構部202は、
図4に示すように、複数の羽根を持つ2つのプロペラ体205、206が互いの回転軸が同軸上になるように配置され、正逆いずれの方向へも回転可能に構成されている。この回転機構部202は、送風ケース201内において、第1吸気口203と第1排気口204との間に位置した状態で収納されている。
【0018】
また、プロペラ体205、206は、電子制御部102によって、それぞれのプロペラ体205、206の回転量(回転速度)が独立的かつ可変的に制御可能に構成されている。この際、プロペラ体205、206が互いに異なる方向に回転するように制御すると、それぞれのプロペラ体205、206の回転によって生じるねじれが打ち消されるため、安定した風量を供給可能となり好適である。
【0019】
このように構成された送風装置200によれば2つのプロペラ体205、206が電子制御部102によって回転駆動されると、上記第1吸気口203から空気が吸い込まれ第1排気口204へと向かって送り出される(送風される)こととなる。
【0020】
なお、プロペラ体の数は2つに限らず、1つのプロペラ体を単独で用いても良いし、3つ以上にしても良い。また、上述のような回転機構部202に代えて電動コンプレッサ等を用いて、圧縮した空気を送り出すように構成してもよい。
【0021】
支持体220は、
図3、
図4に示すように、一端が送風ケース201に接続され、他端が第1円筒体240に接続される支持ケース221と、支持ケース221に設けられ、電子制御部102によって制御される可動アーム部222とを備える。
【0022】
支持ケース221は、
図4に示すように、その内部に空気の流路となる送風通路223が設けられており、送風ケース201の第1排気口204と第1円筒体240の第2吸気口245とを接続するように構成される。そのため、第1排気口204から送り出された空気は支持ケース221の送風通路223を通って第2吸気口245へと送り出される。
【0023】
可動アーム部222は、
図5に示すように、直線状のアーム体224と可動式ジョイント部225とを備える。アーム体224の一端側は可動式ジョイント部225を介して本体部101に連結され、他端側が揚力発生ユニット20に固定されている。
【0024】
可動式ジョイント部225は、電子制御部102に制御される図示せぬ駆動機構を備えており、電子制御部102の制御に応じてアーム体224を回転させたり、上下左右に角度を変更させたりする可変制御が可能となっている(
図5参照)。ここで、アーム体224の他端側は揚力発生ユニット20に固定されている為、電子制御部102によってアーム体224が可変制御されると、揚力発生ユニット20も可変することとなる。つまり、アーム体224を可変制御することによって揚力方向を変化させることが可能となっている。
【0025】
第1円筒体240は、一端側(
図4中右側)に第1開口部241を備え、他端側(
図4中左側)が第2円筒体260に接続された略円筒形状で構成されている。
【0026】
第1円筒体240の内方には、空気の流路となる第1送風流路242が貫通形成されている。第1送風流路242の一端側(
図4中右側)は第1開口部241と連通し、他端側(
図4中左側)は第3吸気口267と連通するように構成される。また、第1円筒体240の内部は中空構造となっており、第1円筒体240の周方向に沿って環状の第1中空領域243が形成されている。
【0027】
第1中空領域243は、
図4に示すように、一端側(
図4中右側)の領域が広く、他端側(
図4中左側)に向かって徐々に狭くなるような、断面略涙滴形状の環状空間となるように画定されている。また、これに対応して第1送風流路242は、
図4に示すように、一端側(
図4中右側)が狭く、他端側(
図4中左側)に向かって末広がりとなるように緩やかに拡径したテーパー形状となっている。
【0028】
第1中空領域243の一端側(
図4中右側)には、第1中空領域243と第1送風流路242とを連通する第2排気口244が設けられ、他端側には送風通路223と連通する第2吸気口245が設けられる。
【0029】
第2排気口244は第1中空領域243の延在方向に沿って環状にスリット形成された第1ノズル246を有している。第1ノズル246は、第2排気口244から排出される空気を第1送風流路242の内周壁面に沿って他端側に排出させるような形状となっている。そのため、第2吸気口245を通過した空気は第1中空領域243内を還流した後、第2排気口244から排出され、第1ノズル246によって第1送風流路242の内周壁面に沿って他端側の第3吸気口267へと排出されることとなる。
【0030】
第2円筒体260は、一端側(
図4中上側)に第2開口部261を備え、他端側(
図4中下側)に送風口262が設けられるとともに、第1円筒体240よりも大きい径寸法を有する略円筒形状の筒体となっている。
【0031】
第2円筒体260の内方には、空気の流路となる第2送風流路263が貫通形成されている。第2送風流路263の一端側(
図4中上側)は第2開口部261と連通し、他端側(
図4中下側)は送風口262と連通するように構成される。また、第2円筒体260の内部は中空構造となっており、第2円筒体260の周方向に沿って環状の第2中空領域264が形成されている。
【0032】
第2中空領域264は、
図4に示すように、一端側(
図4中上側)の領域が広く、他端側(
図4中下側)に向かって徐々に狭くなるような、断面略涙滴形状の環状空間となるように画定されている。また、これに対応して第2送風流路263は、
図4に示すように、一端側(
図4中上側)が狭く、他端側(
図4中下側)に向かって末広がりとなるように緩やかに拡径したテーパー形状となっている。
【0033】
また、送風口262の縁部には第2円筒体260の外周方向に向かって鍔状に張り出した環状リブ265が形成されている。
【0034】
第2中空領域264の一端側(
図4中上側)には、第2中空領域264と第2送風流路263とを連通する第3排気口266が設けられ、他端側(
図4中下側)には、第2中空領域264と第1送風流路242とを連通する第3吸気口267が設けられる。
【0035】
第3排気口266は第2中空領域264の延在方向に沿って環状にスリット形成された第2ノズル268を有している。第2ノズル268は、第3排気口266から排出される空気を第2送風流路263の内周壁面に沿って他端側(
図4中下側)に噴出させるような形状となっている。そのため、第3吸気口267を通過した空気は第2中空領域264内を還流した後、第3排気口266から排出され、第2ノズル268によって第2送風流路263の内周壁面に沿って送風口262へと送り出されることとなる。
【0036】
この送風口262から下方に向かって噴出される空気流によって揚力が発生し、消防用ドローン1は飛行することが可能となっている。
【0037】
このように構成された揚力発生ユニット20においては、第1円筒体240の第1送風流路242を流れる空気流量および第2送風流路263を流れる空気流量は、いわゆるコアンダ効果によって第2排気口244から排出される空気流量および第3排気口266から噴出される空気流量よりも多くなっている。以下、
図6を用いて説明する。
【0038】
まず、電子制御部102によってプロペラ体205、206が回転制御されると第1吸気口203より空気が吸入され、第1排気口204から送風通路223へと送り出される。送風通路223に流入した空気は第2吸気口245から吸入され第1中空領域243を還流しつつ、第2排気口244から排出される。この第2排気口244から排出された空気は第1ノズル246によって第1送風流路242の内周壁面に向かって排出される。
【0039】
このとき、コアンダ効果によって第1送風流路242の内周壁面に沿う空気の流れが発生し、空気の巻き込み(吸引)が生じ、第1開口部241から吸引された空気の一端側(
図4中右側)から他端側(
図4中左側)へと向かう空気流が生じる。これにより第1ノズル246から排出される空気流に、この空気流によって第1開口部241から巻き込まれた空気の空気流が加わるため、第1送風流路242を流れる空気流量が増幅される。
【0040】
この第1円筒体240によって増幅された空気は第2円筒体260の第3吸気口267から吸入され第2中空領域264を還流して第3排気口266から排出される。ここで、第3排気口から排出された空気は第2ノズル268によって第2送風流路263の内周壁面に向かって排出される。
【0041】
このとき、第1送風流路242と同様、コアンダ効果によって第2送風流路263の内周壁面に沿う空気の流れが発生し、空気の巻き込み(吸引)が生じ、第2開口部261から吸引された空気の一端側(
図4中上側)から他端側(
図4中下側)に向かう空気流が生じる。これにより第2ノズル268から排出される空気流に、この空気流によって第2開口部261から巻き込まれた空気の空気流が加わるため、第2送風流路263を流れる空気流量は増幅されて送風口262から排出される。
【0042】
ここで、第2ノズル268から排出される空気流は第1送風流路242によって増幅された空気流となっているため、より多くの巻き込みが生じ得る。また、第1吸気口203が送風口262の近傍、すなわち、第2送風流路263の下流側に設けられていることにより、第1吸気口203から空気を吸引すればするほど、第1吸気口203の周辺に負圧を発生させることが可能となる。風は圧力の低い方向に流れるため、第1吸気口203周辺、つまり、送風口262から流れ出る空気流をより加速させることができ、これによっても第2送風流路263を流れる空気流量をより増幅させることが可能となっている。
【0043】
また、送風口262の縁部に設けた環状リブ265も、いわゆる風レンズ効果によって送風口262近傍に負圧を発生させることで、第2送風流路263を流れる空気流量をより増幅させることを可能としている。
【0044】
キャリアユニット30は、フレーム300と、フレーム300に取り付けられる減衰装置340と、放水ノズル360とホース部380とを有する。
フレーム300は、
図7および
図8に示すように、前フレーム301と後フレーム302とを備える。
【0045】
前フレーム301は、
図8(a)及び(b)に示すように、本体ユニット10の底面から鉛直下方側に向かって延長された一対の前脚部303、303と、これら一対の前脚部303、303同士を繋ぐ前板部304と、それぞれの前脚部303、303及び前板部304から延設されたノズル支持部305とを含む。
【0046】
一対の前脚部303、303の基端側には、左右方向(
図7における左右方向)に伸びる軸部306,306を有し、遊端側には前板取付部307が設けられる。一対の前脚部303、303は、軸部306,306を介して、本体ユニット10の底面に並列配置された一対の基端側軸受部308に軸支され、前後方向(
図7における上下方向)に傾動自在に構成されている。
【0047】
前板部304は、
図8(b)に示すように、略横長形状の板状体で、その長手方向の左右端部に対して一対の前脚部303、303の各前板取付部307が取り付けられる。そのため、一対の前脚部303、303の一方もしくは他方の前脚部が前後に傾動するのに同期して他方もしくは一方の前脚部も前後に傾動するように構成されている。
【0048】
また、前板部304の長手方向中央付近には前後に貫通した取付開口309が設けられている。また、前板部304の後面(
図7における下方向側)には基端側に設けられた軸部306,306と平行な方向に開口したねじ孔310を有するダンパー取付部311が設けられ、前板部304の左右端部の底面に接地用の足部312、312が設けられている。
【0049】
ノズル支持部305は円形状に前後に開口した筒状のノズルホルダ313と、ノズルホルダ313を支持する支持脚314とを備える。支持脚314のそれぞれの一端側は、一対の前脚部303、303のそれぞれの基端側近傍及び前板部304の左右端に固定され、他端側は、一対の前脚部303、303よりも前方に位置するノズルホルダ313の外周面に固定される。
【0050】
後フレーム302は、
図8(a)に示すように、本体ユニット10の底面から鉛直下方側に向かって延長された一対の後脚部315、315と、これら一対の後脚部315、315同士を繋ぐ後板部316とを有する。
【0051】
一対の後脚部315、315には、基端側に左右方向(
図7における左右方向)に伸びる軸部317、317を有し、遊端側にもこの基端側の軸部317、317の軸線と平行な軸部317、317が設けられている。一対の後脚部315、315は、基端側に設けられた軸部317、317を介して本体ユニット10の底面に並列配置された一対の基端側軸受部318に軸支され、一対の前脚部303、303と同様、前後方向(
図7における上下方向)に傾動自在に構成されている。また、一対の後脚部315、315は伸縮自在な構造となっており、電子制御部102に制御される図示せぬ駆動機構によってその長さを伸縮させることが可能となっている。なお、一対の後脚部315、315を伸縮させる際は、それぞれの後脚部315、315の長さが同じ長さとなるように伸縮制御される。
【0052】
後板部316は、
図8(b)に示すように、略横長形状の板状体で、その長手方向の左右端部の天面側には遊端側軸受部319が設けられており、一対の後脚部315、315の遊端側に設けられた軸部317、317を回動自在に軸支している。また、一対の後脚部315、315についても、一対の前脚部303、303と同様、一対の後脚部315、315のそれぞれが同期して前後に傾動するように構成されている。
【0053】
また、後板部316の長手方向中央付近には前後に貫通した取付開口320が設けられている。また、後板部316の前面(前板部304と対向する面。
図7における上方向側)には、遊端側に設けられた軸部317、317と平行な方向に開口したねじ孔321を有するダンパー取付部322が設けられ、後板部316の左右端部の底面には接地用の足部323が設けられている。
【0054】
減衰装置340はダンパー341と、コイルスプリング342とを有する。ダンパー341は内部にオイルとガスが充填された単筒式のシリンダ343と、このシリンダ343内を摺動自在に挿入されたピストンロッド344とを備える。コイルスプリング342はダンパー341の外周を覆うように巻回されている。コイルスプリング342の一端はシリンダ343に設けられたスプリング受け部345に接合され、コイルスプリング342の他端はピストンロッド344に設けられたスプリング受け部345に接合されている。また、それぞれのスプリング受け部345の先端には前板部304および後板部316に設けられたダンパー取付部311、322のねじ孔310、321に対応した図示せぬ開口部346が設けられている。減衰装置340は、これらのねじ孔310、321および図示せぬ開口部346を介してボルト等によって回動自在に取り付けられることにより、前板部304および後板部316との間に傾動自在に取り付けられている。
【0055】
なお、
図8(a)に示す減衰装置340の状態は、軸方向に一番伸長した無負荷状態であり、ピストンロッド344のストローク長が一番長い状態である。常態においてはこの無負荷状態の最大ストローク長(
図8(a)中のX線分)を維持した状態となっている。
また、減衰措置340として単筒式のダンパー341に代えて複筒式のダンパーを用いてもよいし、ゴム等の弾性体によるものを用いてもよい。
【0056】
放水ノズル360は、内部に流水路364が貫通形成された円筒状のノズル本体361と、ノズル側ジョイント362とを有する。
【0057】
ノズル本体361は、
図8に示すように、放出口363に向かって先細り形状となるように形成されており、内部に形成された図示せぬ流水路364も放出口363に向かうにつれ狭くなるように構成される。また、ノズル本体361には電子制御部102によって制御される図示せぬ放水状態切替機構365が設けられており、少なくとも、直線状に放水する棒状放水状態、放射状に放水する広角放水状態、噴霧状に放水を行う噴霧放水状態の3つの放水状態および放水を行わない放水停止状態とのそれぞれに切り替え可能に構成されている。
ノズル側ジョイント362は、
図8に示すように、外周面にネジ溝が切られたオス側ジョイントとして機能し、ホース部380に設けられたメス側ジョイント384と螺合し連結可能に構成されている。
【0058】
ホース部380は、中間ホース381と、送水ホース382とを有する。中間ホース381および送水ホース382は、綿、合成繊維等の糸を円織り機や平織り機等で筒状に織った織物の内面にゴムや合成樹脂等によってライニング加工を施して流路を形成した消防用のジャケットホースと同様の構造となっており、送水ポンプ車や各種消火栓から送られてくる加圧水の圧力に耐えうる強度を有している。なお、ホース部380に用いるホースは消防用のジャケットホース以外のホース、例えば、消防用の保形ホースや濡れホース等を用いてもよい。また、消防用以外のホース、例えば、土木用や工業用、園芸用のホースを用いてもよい。
【0059】
中間ホース381は、その両端部が前板部304および後板部316の取付開口309、320のそれぞれに固定されておりアタッチメント383として機能する。また、中間ホース381の両端部のそれぞれには結合用ジョイントとしてメス側ジョイント384が設けられている(
図9参照)。メス側ジョイント384はねじ式の結合金具のメス側として機能し、オス側のジョイントとなるノズル側ジョイント362および送水ホース側ジョイント385を挿入後、所定方向に回転させることでオス側・メス側のそれぞれのジョイントが強固に螺合し連結されるように構成される(
図8(a)参照)。
【0060】
中間ホース381の長さは、常態における前板部304と後板部316との長さXよりも若干長くなるように構成されている。つまり、中間ホース381は、
図8、
図9に示すように、若干撓んだ状態で取り付けられている。このような撓みをもたすことにより、放水開始時や放水停止時に生じる急激な加圧や減圧による膨張や収縮のショックを緩和することができ、飛行時の安定性の向上が見込めることとなり好適となる。
【0061】
送水ホース382の一端側にはオス側の結合用ジョイントとなる送水ホース側ジョイント385が設けられている。送水ホース側ジョイント385は、外周面にネジ溝が切られたオス側ジョイントとして機能し、中間ホース381に設けられたメス側ジョイント384と螺合し連結されるように構成される(
図8(a)参照)。送水ホース382の他端側には送水ポンプ車や各種消火栓等と連結可能な図示せぬ所定の結合用ジョイントが設けられている。
【0062】
なお、放水ノズル360および各ホースの結合金具はねじ式の結合金具に限らず、取り外し等の利便性に優れる差込式(町野式)の結合金具を用いてもよい。また、各ホースに取り付けられるオス側ジョイントおよびメス側ジョイントは相互に入れ替えて設けてもよい。また、それぞれの結合用ジョイントはそれぞれ共通の型式、例えば、所定の認定機関や団体等において予め定められた汎用的な型式で揃えられていることが望ましい。同一の型式であれば、ホース間の組み合わせ等が容易になり好適となるからである。
【0063】
以上のように、本実施形態におけるキャリアユニット30には減衰装置340が設けられ、この減衰装置340は前板部304および後板部316との間を連結するとともに、その取付角度が変異可能となるよう傾動自在に取り付けられている。そのため、常態においては
図9(a)に示すように略水平方向を維持した状態となるが、一対の後脚部315、315が短縮駆動された場合においては、
図9(b)に示すように、最大ストローク長を維持したまま前方側(
図9中左側)に向かって下傾した状態となる。
【0064】
また、この減衰装置340の下傾動作に伴い、連結されている前板部304が後方(
図9中右側)に引っ張られ、一対の前脚部303、303の軸部306、306を中心に後方(
図9中右側)に向かって傾動する。そして、前板部304の傾動に伴い前板部304に取り付けられた放水ノズル360も下方(
図9中下側)に傾動し、放出口363が下向きに変化することになる。これにより、消防用ドローン1のホバリング状態を維持したまま、放水方向を調整することが可能となる。なお、放出口363を上向きにする場合には、上述とは逆に、
図9(a)に示す略水平方向を維持した状態から一対の後脚部315、315を伸長駆動させればよい。また、減衰装置340の最大ストローク長を維持したまま放出口363の向きを変更可能としているので、いずれの向きにおいても減衰装置340における減衰力を最大限発揮することが可能となる。
【0065】
本実施形態における揚力発生ユニット20およびキャリアユニット30を搭載した消防用ドローン1の活用例を、
図10を用いて説明する。
【0066】
図10においては、家40に火災が発生した状況を想定している。このような状況において、まず消防用ドローン1の中間ホース381に放水ノズル360と送水ホース382を装着する。次に、送水ポンプ車60と送水ホース382とを接続し、送水ホース382および中間ホース381に水を充填させる。なお、飛行前に水を充填させておく方が飛行中に水を充填させるよりも消防用ドローン1の飛行動作に与える影響が少なくなるため好ましい。
【0067】
そして、消防用ドローン1を離陸させ、対象となる家40よりも高い位置まで飛行させる。所望の位置まで飛行したらその場でホバリング状態とさせ、放水停止状態から放水状態へと切り替え、送水ポンプ車60から送られてくる加圧水を対象に向けて放出する。このとき、放水開始による反作用として放水反力が前板部304を介して消防用ドローン1に作用するものと考えられるが、この反作用は減衰装置340によって吸収もしくは減衰される。このように減衰装置340は、消防用ドローン1への影響を低減し、放水の開始や停止、放水タイプの切り替え等による飛行への影響を低減させている。
【0068】
また、図示せぬ障害物等により、飛行高度が制限される場合など、消防用ドローン1の高度を変更することで放水位置を調整できないような場合には、一対の後脚部315、315を伸縮制御することによって放水方向を調整すればよい。また、重点的に放水を行いたい場合には棒状放水、広範囲に放水を行いたい場合には広角放水にするなど適宜状況に応じて放水態様を切り替えながら消火活動を行えばよい。
【0069】
また、窓401から家40内に消防用ドローン1を突入させ、内部から消火活動を行うことも可能である。このような場合には消防用ドローン1に図示せぬカメラ等を搭載し、送受信部103を介して外部に設けられた表示装置等に画像をリアルタイムで送信するようにすればよい。また、消防用ドローン1に図示せぬマイクやスピーカ等を搭載し、所定の操作者と被災者との間で音声通信が可能となるようにしてもよい。また、この場合、所定の操作者の操作に応じて消防用ドローン1を制御することが望ましい。このような構成とすることで表示装置等を介して消火活動を行うことが可能となり消防士等が内部に突入することなく、安全かつ的確に消火活動を行うことができる。
【0070】
以上のように、本実施例における消防用ドローン1は、キャリアユニット30を備え、このキャリアユニット30に設けられた中間ホース381に放水ノズル360、送水ホース382を接続可能に構成している。これにより消防用ドローン1に放水ノズル360、中間ホース、送水ホース382を連結させたまま飛行可能となり、地上の障害物等の影響をあまり受けることなく直線距離にて対象の現場まで移動することが可能となっている。
【0071】
また、キャリアユニット30を構成する後脚部315、315の伸縮動作に応じて、放水ノズルの向きが可変となるため、消防用ドローン1の高度を維持したまま放水位置を調整することができる。また、キャリアユニット30には、減衰装置340が設けられており、放水動作時における放水反力を吸収もしくは緩和させることができ、消防用ドローン1に及ぼす影響を減少させることが可能となる。
【0072】
また、キャリアユニット30は取付部31により本体ユニット10に着脱自在に取り付けられているため、消防用ドローン1が故障した場合等にはキャリアユニット30を取り外して他のドローンに組付けることが可能となる。また、キャリアユニット30を外して持ち運ぶことができ、消防用ドローン1の運搬時等の利便性が向上する。なお、取付部31をワンタッチ形式で本体ユニット10に取り付け可能とすると更に利便性が向上する。
【0073】
以上、本発明を適用した実施形態について説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜の変更が可能であることはいうまでもない。
【0074】
例えば、上記実施形態においては、第1吸気口242を第2送風流路263内に設ける例を挙げているが、第1吸気口242を設ける位置はこれに限らない。例えば、
図11に示すように送風ケース201の底面側に第1吸気口242を設けてもよい。このように構成しても送風ケース201の底面側に負圧が発生することにより、送風口262から流れ出る空気を巻き込むため、結果として、送風口262から流れ出る空気流をより加速させることができる。つまり、送風口262の下流側に負圧を発生させることができる位置であればよい。
また、上記のような位置に設けた第1吸気口242に加えて、送風ケース201における第2円筒体260と反対側の側面に他の吸気口を設けてもよい。このように構成した場合には、第1吸気口242からの空気の取り込みにより送風口262の下流側に負圧を発生させつつ、他の吸気口からの空気の取り込みにより第2送風流路263へ取り込まれる空気量を増加させることができる。
【0075】
また、上記実施形態においては、消防用ドローン1のみで消火活動を行う例を挙げた。しかし、実際の現場において、より多くの放水量を確保したい場合や、より長尺のホースを用いたい場合等においては、消防用ドローン1のみでは足りないことも想定される。そのような場合には、
図12に示すように、消防用ドローン1の他にもう一機の中継用ドローン2を用いた複数のドローンの連携によって消火活動を行ってもよい。
【0076】
この中継用ドローン2は、主に放水ノズル360およびノズル支持部305を備えていない以外は本発明の消防用ドローン1と同様の構成を備えている。この中継用ドローン2と消防用ドローン1とは中継用ホース386で連結される。この中継用ホースは本実施形態の消防用ドローン1に用いられる連結金具と同様の型式のものであり、互いに連結可能となっている。また、中継用ドローン2の数は1機に限られず2機以上の複数であってもよい。
【0077】
また、上記実施形態においては、揚力発生ユニット20のそれぞれに回転機構部202を有する例を挙げたが、これに限らない。例えば、本体ユニット内に回転機構部202を設け、それぞれの揚力発生ユニット20に送風する機構としてもよい。
【0078】
また、
図13に示すように、本実施形態における揚力発生ユニット20に代えて複数の回転翼80の回転流によって揚力を発生させるようにしてもよい。
【解決手段】流体流れを発生させる回転翼機構と、回転翼機構と接続された円筒体であって、流体流れを内周面に沿って上流側の一端部から下流側の他端部に向かって流れるように案内させ、上流側の一端部に設けられた第1開口部から流体を巻き込むことによって流体流れを増幅させる第1コアンダ機構を有する第1円筒体、第1円筒体の他端部と接続された円筒体であって、第1円筒体の第1コアンダ機構によって増幅された流体流れを内周面に沿って上流側の一端部から下流側の他端部に向かって流れるように案内させ、上流側の一端部に設けられた第2開口部から流体を巻き込むことによって増幅された流体流れを更に増幅させる第2コアンダ機構を有する第2円筒体を設ける。