(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6654310
(24)【登録日】2020年2月3日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】導電素材および積層体
(51)【国際特許分類】
C08L 27/12 20060101AFI20200217BHJP
C08F 259/08 20060101ALI20200217BHJP
C08L 51/00 20060101ALI20200217BHJP
H01B 1/20 20060101ALI20200217BHJP
H01B 1/06 20060101ALI20200217BHJP
H01B 5/14 20060101ALI20200217BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
C08L27/12
C08F259/08
C08L51/00
H01B1/20 A
H01B1/06 Z
H01B5/14 A
B32B27/30 D
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-555422(P2016-555422)
(86)(22)【出願日】2015年10月19日
(86)【国際出願番号】JP2015080046
(87)【国際公開番号】WO2016063994
(87)【国際公開日】20160428
【審査請求日】2018年10月15日
(31)【優先権主張番号】特願2014-228420(P2014-228420)
(32)【優先日】2014年10月22日
(33)【優先権主張国】JP
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】597054253
【氏名又は名称】パイオトレック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】緒方 直哉
(72)【発明者】
【氏名】佐田 勉
【審査官】
小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−52362(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 27/12
B32B 27/30
C08F 259/08
C08L 51/00
H01B 1/06
H01B 1/20
H01B 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オニウムカチオンとフッ素含有アニオンからなる塩構造を有し、かつ重合性官能基を有する溶融塩単量体を、ビニリデンに式:−(CR1R2−CFX)− 式中、Xは、フッ素以外のハロゲン原子であり、R1及びR2は、水素原子又はフッ素子であり、両者は同一であってもよいし異なっていてもよい、で示される単位を有するポリフッ化ビニリデン共重合体に2〜90モル%グラフト重合して得た高分子導電組成物(X1)を、フッ素系重合体(X2)に0.1〜95重量%含有する組成物を有する導電素材。
【請求項2】
さらに、オニウムカチオンとフッ素含有アニオンからなる溶融塩、オニウムカチオンとフッ素含有アニオンからなる塩構造を有しかつ重合性官能基を有する溶融塩単量体塩、前記溶融塩単量体の重合体または共重合体の少なくとも1種を0.1〜95重量%含有する請求項1記載の導電素材。
【請求項3】
さらに、下記樹脂(Y)を0.1〜95重量%含有する請求項1記載の導電素材。
樹脂(Y):ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリハロゲン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリイミド系樹脂、珪素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アミノ系樹脂、天然系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂。
【請求項4】
電荷移動イオン源として、LiBF4、LiPF6、CnF2n+1CO2Li(nは1〜4の整数)、CnF2n+1SO3Li(nは1〜4の整数)、(FSO2)2NLi、(CF3SO2)2NLi、(C2F5SO2)2NLi、(FSO2)2Li、(CF3SO2)3CLi、(CF3SO2−N−COCF3)Li、
(R−SO2−N−SO2CF3)Li(Rは脂肪族基または芳香族基)、および(CN−N)2CnF2n+1Li(nは1〜4の整数)からなる群から選ばれたリチウム塩を含有する請求項1項記載の導電素材。
【請求項5】
請求項4記載の導電素材にテトラアルキレングリコールジアルキルエーテルを含有する請求項4記載の導電素材。
【請求項6】
請求項1記載の導電素材を有する、導電粘着剤、導電接着剤、導電塗料、成形用導電樹脂粉末、射出成形用導電樹脂ペレット、導電糸、導電シート、導電板または導電管状成形体。
【請求項7】
請求項1記載の導電素材を有する粘着剤、接着剤または塗料層を有するか、またはこれらの層を中間層とする、少なくとも片側に自由電子を持たない絶縁体の下記不導体樹脂(W)層を有する導電積層体。
樹脂(W):ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリハロゲン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド系樹脂、剥離シートを含む珪素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アミノ系樹脂、天然系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性に優れた、しかも強度に優れた導電素材および積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性に優れた高分子電解質組成物は種々知られている。例えば、4級アンモニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなる4級アンモニウム塩構造と重合性官能基を持っている溶融塩単量体、および電荷移動イオン源を含んでいる単量体組成物を、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系重合体の存在下でグラフト重合することにより製造された複合高分子電解質組成物が開発されている(特許文献1〜2)。特許文献1〜2には前記高分子電解質組成物にフッ素系重合体を配合することについて記載されていないし、さらには特許文献2には前記高分子電解質組成物をプラスチックに練り込むことは記載されているが、フッ素系樹脂を配合することについて記載されていない。また特許文献3には、4級アンモニウムカチオンとハロゲン原子含有アニオンからなるイオン液体を樹脂に練り込んだ組成物を中間層としその両側に不導体樹脂層を有する積層体について記載されているが、重合性官能基を有するイオン液体を使用することについて記載されていないし、このような重合性官能基を有しないイオン液体のみを使用したのでは、導電耐久性、膜化した層の密着強度は充分とはいえない。このことは後述する比較例3からも明らかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開WO2004/088671(特許請求の範囲)
【特許文献2】国際公開WO2010/113971(特許請求の範囲、0040)
【特許文献3】特許第4126602号(特許請求の範囲、0024、0026)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、導電性、導電耐久性に優れた、しかも強度に優れた導電素材および積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、オニウムカチオンとフッ素含有アニオンからなる塩構造を有し、かつ重合性官能基を有する溶融塩単量体をフッ素系重合体に2〜90モル%グラフト重合して得た高分子導電組成物(X
1)をフッ素系重合体(X
2)に0.1〜95重量%含有する組成物を有する導電素材を提供することによって達成される。
さらに、オニウムカチオンとフッ素含有アニオンからなる溶融塩、オニウムカチオンとフッ素含有アニオンからなる塩構造を有しかつ重合性官能基を有する溶融塩単量体塩、前記溶融塩単量体の重合体または共重合体の少なくとも1種を0.1〜95重量%含有する導電素材を提供することによってより好適に達成される。
前記目的は、さらに、下記樹脂(Y)を0.1〜95重量%含有する導電素材を提供することによって、より好適に達成される。
樹脂(Y):ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリハロゲン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリイミド系樹脂、珪素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アミノ系樹脂、天然系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂。
前記目的は、原子移動ラジカル重合により、溶融塩単量体をフッ素系重合体にグラフト重合することによって、より好適に達成される。
前記目的は、溶融塩単量体が、(A)トリアルキルアミノエチルメタクリレートアンモニウムカチオン、トリアルキルアミノエチルアクリレートアンモニウムカチオン、トリアルキルアミノプロピルアクリルアミドアンモニウムカチオン、2−(メタアクリロイロキシ)ジアルキルアンモニウムカチオン、1−アルキル−3−ビニルイミダゾリウムカチオン、4−ビニル−1−アルキルピリジニウムカチオン、1−(4−ビニルベンジル)−3−アルキルイミダゾリウムカチオン、1−(ビニルオキシエチル)−3−アルキルイミダゾリウムカチオン、1−ビニルイミダゾリウムカチオン、1−アリルイミダゾリウムカチオン、N−アルキル−N−アリルアンモニウムカチオン、1−ビニル−3−アルキルイミダゾリウムカチオン、1−ビニル−3−アルキルイミダゾリウムカチオン、1−グリシジル−3−アルキル−イミダゾリウムカチオン、N−アリル−N−アルキルピロリジニウムカチオン、オニウムカチオン及び4級ジアリルジアルキルアンモニウムカチオンからなる群から選ばれた4級アンモニウムカチオンと、(B)ビス{(トリフルオロメタン)スルフォニル}イミドアニオン、2,2,2−トリフルオロ−N−{(トリフルオロメタン)スルフォニル)}アセトイミドアニオン、ビス{(ペンタフルオロエタン)スルフォニル}イミドアニオン、ビス{(フルオロ)スルフォニル}イミドアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフロオロフォスヘートアニオン、トリフルオロメタンスルフォニルイミドアニオン、パーフルオロアルカンスルホネートアニオン、ビス(パーフルオロアルカンスルホニル)イミドアニオン、トリス(パーフルオロアルカンスルホニル)メチドアニオン、からなる群から選ばれたアニオンとの塩であることにより、より好適に達成される。
前記目的は、フッ化ビニリデンに
式:−(CR
1R
2−CFX)−
式中、Xは、フッ素以外のハロゲン原子であり、
R
1及びR
2は、水素原子又はフッ素子であり、
両者は同一であってもよいし異なっていてもよい、
で示される単位を有するポリフッ化ビニリデン共重合体であることによって、より好適に達成される。
前記目的は、電荷移動イオン源、たとえば、LiBF
4、LiPF
6、C
nF
2n+1CO
2Li(nは1〜4の整数)、C
nF
2n+1SO
3Li(nは1〜4の整数)、(FSO
2)
2NLi、(CF
3SO
2)
2NLi、(C
2F
5SO
2)
2NLi、(FSO
2)
2Li、(CF
3SO
2)
3CLi、(CF
3SO
2−N−COCF
3)Li、(R−SO
2−N−SO
2CF
3)Li(Rは脂肪族基または芳香族基)、および(CN−N)
2C
nF
2n+1Li(nは1〜4の整数)からなる群から選ばれたリチウム塩を含有することにより、より好適に達成される。
前記目的は、電荷移動イオン源に、さらに電荷移動イオン源の対イオンとしてテトラアルキレングリコールジアルキルエーテル(TAGDAE)を配合することにより、より好適に達成される。
前記目的は、導電素材を有する、導電粘着剤、導電接着剤、導電塗料、成形用導電樹脂粉末、射出成形用導電樹脂ペレット、導電糸、導電シート、導電板または導電管状成形体を提供することによってより好適に達成される。
前記目的は、導電素材に、充填剤、分散剤、酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、染料および顔料から選ばれる少なくとも一種を含有することにより、より好適に達成される。
前記目的は、前記導電素材を有する粘着剤、接着剤または塗料層を有するか、またはこれらの層を中間層とする、少なくとも片側に自由電子を持たない絶縁体の下記不導体樹脂(W)層を有する導電積層体を提供することによってより好適に達成される。
樹脂(W):ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリハロゲン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド系樹脂、剥離シートを含む珪素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アミノ系樹脂、天然系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂。
前記目的は、高分子電解質組成物(X
1)およびフッ素系重合体(X
2)を、樹脂(Y)に0.1〜40重量%含有する導電積層体を提供することによって、より好適に達成される。
前記目的は、樹脂(W)が、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、またはポリエステル系樹脂である導電積層体を提供することによって、より好適に達成される。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、後述する実施例からも明らかなように、導電性、とくに導電耐久性に優れた、しかも強度に優れた導電素材を得ることが出来る。また、導電素材層を有するか、または導電素材層を中間層とする、少なくとも片側に不導体樹脂(W)層を設けた積層体は、不導体樹脂層の表面でも極めて優れた導電性を示し、さらに優れた導電耐久性を有する導電素材を得ることができる。さらに得られた導電素材は、不導体樹脂との密着性能も優れている。とくに導電性が長期にわたり安定していて、化学的な処理や物理的なフォース負荷が無い限り、半永久的に導電性能が維持できる効果は絶大である。また、得られた導電素材を高純度精製することによって透明度は向上し、透明度が相対的に高いアクリル樹脂と同等の透明度が得られる。したがって、本発明の導電素材を基材に塗布することによって、基材の色相や透明度を損なうことがない。さらに、前記した電荷移動イオン源を含有するか、さらには電荷移動イオンと電荷移動イオン源の対イオンであるテトラアルキレングリコールジアルキルエーテル(TAGDAE)とを含有することにより、導電性能をさらに向上させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明において、溶融塩単量体をフッ素系重合体にグラフト重合して得た高分子電解質組成物(X
1)とフッ素系重合体(X
2)とを配合することは重要であり、この配合により、前記したような効果が発揮される。
まず高分子電解質組成物(X
1)について述べる。
グラフト重合に使用されるフッ素系重合体としては、ポリフッ化ビニリデン重合体または共重合体が好適例として挙げられる
また、ポリフッ化ビニリデン共重合体としては、フッ化ビニリデンに
式:−(CR
1R
2−CFX)−
式中、Xは、フッ素以外のハロゲン原子であり、R
1及びR
2は、水素原子又はフッ素子であり、両者は同一であってもよいし異なっていてもよい、ここでハロゲン原子としては、塩素原子が最適であるが、臭素原子、ヨウ素原子も挙げられる、
で示される単位を有する共重合体が好適例として挙げられる。
また、フッ素系重合体としては、
式:−(CR
3R
4−CR
5F)
n−(CR
1R
2−CFX)
m−
式中、Xは、フッ素以外のハロゲン原子であり、
R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、水素原子又はフッ素原子であり、これらは
同一であってもよいし異なっていてもよく、
nは65〜99モル%であり、
mは1〜35モル%である、
で示される共重合体も挙げられ、特に、
式;−(CH
2−CF
2)
n−(CF
2−CFCl)
m−
式中、nは65〜99モル%であり、
mは1〜35モル%である、
で示される共重合体が好適である。
nとmの合計を100モル%とした場合、nは65〜99モル%、mは1〜35モル%であることが好適であり、より好適にはnは67〜97モル%、mは3〜33モル%であり、最適にはnは70〜90モル%、mは10〜30モル%である。
前記フッ素系重合体は、ブロック重合体であっても、ランダム共重合体であってもよい。また、他の共重合し得る単量体を、本発明の目的が阻害されない範囲で使用することもできる。
前記フッ素系重合体の分子量は、重量平均分子量として30,000〜2,000,000が好適であり、より好適には100,000〜1,500,000である。ここで、重量平均分子量は、後述するとおり、固有粘度法[η]により測定される。
前記フッ素系重合体に溶融塩単量体をグラフト重合するには、遷移金属錯体を用いる原子移動ラジカル重合法を適用することができる。この錯体に配位している遷移金属が前記共重合体のフッ素以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子)、さらには水素原子も引き抜きぬいて開始点となり、溶融塩単量体が前記重合体にグラフト重合する。
本発明で使用される原子移動ラジカル重合では、フッ化ビニリデン単量体とフッ素及びフッ素以外のハロゲン原子(例えば塩素原子)を含むビニル単量体との共重合体が好適に用いられる。幹ポリマーにフッ素原子とフッ素原子以外のハロゲン原子(例えば塩素原子)があることにより炭素−ハロゲン間の結合エネルギーが低くなるため、遷移金属によるフッ素以外のハロゲン原子(例えば塩素原子)の引き抜きが、さらには水素原子の引き抜きが、フッ素原子より容易に起こり、溶融塩単量体のグラフト重合が開始される。また本発明ではフッ化ビニリデン単量体の単独重合体も使用可能である。
原子移動ラジカル重合で使用される触媒は遷移金属ハロゲン化物が用いられ、特に塩化銅(I)、アセチルアセトナート銅(II)、CuBr(I)、CuI(I)等の銅原子を含む銅触媒が好適に用いられる。また錯体を形成するリガンドとしては4,4’−ジアルキル−2,2’−ビピリジル(bpyなど)(ここでアルキルとしては、好適にはメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのC
1〜C
8のアルキルが挙げられる)、トリス(ジメチルアミノエチル)アミン(Me
6−TREN)、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン(TPEN)、トリス(2−ピリジルメチル)アミン(TPMA)等が使用される。中でも、塩化銅(I)(CuCl)と4’4’−ジメチル−2,2’−ビピリジル(bpy)とで形成される遷移金属ハロゲン化錯体を好適に使用することができる。
反応溶媒としては、フッ素系重合体を溶解可能な溶媒を使用することができ、フッ化ビニリデン単量体とフッ素及びフッ素以外のハロゲン原子(例えば塩素原子)を含むビニル単量体との共重合体を溶解するN−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド、アセトン等を用いることができる。反応温度は使用する錯体のリガンドによって異なるが、通常、10〜110℃の範囲である。
グラフト重合させるために紫外線(光重合開始剤を使用)や電子線等の放射線を照射することもできる。電子線重合は、重合体自体の架橋反応や単量体の補強材料へのグラフト反応も期待でき、好ましい態様である。照射量は0.1〜50Mradが好ましく、より好ましくは1〜20Mradである。
重合体を構成するモノマー単位を98〜10モル%と溶融塩単量体を2〜90モル%のモル比の範囲になるように、すなわちグラフト化率が2〜90モル%になるように、目標とする可塑物性、pH安定性に合わせてグラフト重合する。溶融塩単量体を前記重合体にグラフト重合する場合、前記重合体は溶液、固体、のいずれであってもよい。これらのグラフト重合体は前記した本件出願人の先行特許WO2010/113971に記載の方法により得られる。
本発明において、オニウムカチオンとフッ素原子含有アニオンからなる塩構造を有し、かつ重合性官能基を含む溶融塩単量体の塩構造とは、脂肪族、脂環族、芳香族又は複素環のオニウムカチオンとフッ素原子含有アニオンからなる塩構造を包含する。ここでオニウムカチオンとは、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオン、オキソニウムカチオン、グアニジウムカチオン、を意味し、アンモニウムカチオンとしては、第4級アンモニウムカチオン、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピペリジニウムなどの複素環アンモニウムカチオンなどが挙げられる。下記アンモニウムカチオン群から選ばれた少なくとも1つのカチオンと下記アニオン群から選ばれた少なくとも1つのアニオンからなる塩構造が好適である。
アンモニウムカチオン群:
ピロリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ベンズイミダゾリウムカチオン、インドリウムカチオン、カルバゾリウムカチオン、キノリニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピペラジニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン{但し、炭素原子数1〜30(たとえば炭素原子数1〜10)のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基で置換されているものを含む}が挙げられる。いずれも、N及び/又は環に炭素原子数1〜30(例えば、炭素原子数1〜10)の、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシ基が結合しているものを含む。
ホスホニウムカチオンとしては、テトラアルキルホスホニウムカチオン(炭素原子数1〜30のアルキル基)、トリメチルエチルホスホニウムカチオン、トリエチルメチルホスホニウムカチオン、テトラアミノホスホニウムカチオン、トリアルキルヘキサデシルホスホニウムカチオン(炭素原子数1〜30のアルキル基)、トリフェニルベンジルホスホニウムカチオン、炭素原子数1〜30のアルキル基を3個有するホスフィン誘導体のホスホニウムカチオン、ヘキシルトリメチルホスホニウムカチオン、トリメチルオクチルホスホニウムカチオンの非対称ホスホニウムカチオン、ジメチルトリアミンプロピルメタンホスフェートなどが挙げられる。
また、スルホニウムカチオンとしては、トリアルキルスルホニウムカチオン(アルキル基)、ジエチルメチルスルホニウムカチオン、ジメチルプロピルスルホニウム、ジメチルヘキシルスルホニウムの非対称スルホニウムカチオンが挙げられる。
フッ素原子含有アニオン群:
BF
4−、PF
6−、C
nF
2n+1CO
2−(nは、1〜4の整数)、C
nF
2n+1SO
3−(nは、1〜4の整数)、(FSO
2)
2N
−、(CF
3SO
2)
2N
−、(C
2F
5SO
2)
2N
−、(CF
3SO
2)
3N
−、CF
3SO
2−N−COCF
3−、R−SO
2−N−SO
2CF
3−(Rは、脂肪族基)、ArSO
2−N−SO
2CF
3−(Arは、芳香族基)、CF
3COO
−等のハロゲン原子を含むアニオンが例示される。
前記オニウムカチオン、とくにアンモニウムカチオン群及びフッ素原子含有アニオン群に挙げられた種は、耐熱性、耐還元性又は耐酸化性に優れ、電気化学窓が広くとれ、電圧領域を0.7から5.5Vまでの高低電圧に耐性のリチウムイオン二次電池や−45℃まで低温特性に優れたリチウムイオンキャパシタへ好適に用いられるだけでなく、汎用用途での塗料、接着剤、粘着剤、表面コート剤、練り込み添加剤として不導体樹脂へ温度特性に優れた機能性静電防止性能を付与することが出来る。また、樹脂との混合処方で樹脂や添加剤の分散性能や平滑性能にも効果がある。
単量体における重合性官能基としては、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、アクリルアミド基、アリル(Allyl)基等の炭素−炭素不飽和基、エポキシ基、オキセタン基等を有する環状エーテル類、テトラヒドロチオフェン等の環状スルフィド類やイソシアネート基等を例示できる。
(A)重合性官能基を有するオニウムカチオン、とくにアンモニウムカチオン種としては、特に好ましくは、トリアルキルアミノエチルメタクリレートアンモニウムカチオン、トリアルキルアミノエチルアクリレートアンモニウムカチオン、トリアルキルアミノプロピルアクリルアミドアンモニウムカチオン、1−アルキル−3−ビニルイミダゾリウムカチオン、4−ビニル−1−アルキルピリジニウムカチオン、1−(4−ビニルベンジル)−3−アルキルイミダゾリウムカチオン、2−(メタアクリロイロキシ)ジアルキルアンモニウムカチオン、1−(ビニルオキシエチル)−3−アルキルイミダゾリウムカチオン、1−ビニルイミダゾリウムカチオン、1−アリルイミダゾリウムカチオン、N−アルキル−N−アリルアンモニウムカチオン、1−ビニル−3−アルキルイミダゾリウムカチオン、1−グリシジル−3−アルキル−イミダゾリウムカチオン、N−アリル−N−アルキルピロリジニウムカチオン、及び4級ジアリルジアルキルアンモニウムカチオン等を挙げることができる。但し、アルキルは炭素原子数1〜10のアルキル基である。
(B)フッ素原子含有アニオン種としては、特に好ましくは、ビス{(トリフルオロメタン)スルフォニル}イミドアニオン、ビス(フルオロスルフォニル)イミドアニオン、2,2,2−トリフルオロ−N−{(トリフルオロメタン)スルフォニル)}アセトイミドアニオン、ビス{(ペンタフルオロエタン)スルフォニル}イミドアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフロオロフォスヘートアニオン、トリフルオロメタンスルフォニルイミドアニオン等のアニオンを挙げることができる。
更に、溶融塩単量体(前記カチオン種とアニオン種との塩)としては、特に好ましくは、トリアルキルアミノエチルメタクリレートアンモニウム(但し、アルキルはC
1〜C
10アルキル)ビス(フルオロスルフォニル)イミド(但し、アルキルはC
1〜C
10アルキル)、2−(メタアクリロイロキシ)ジアルキルアンモニウムビス(フルオロスルフォニル)イミド(但し、アルキルはC
1〜C
10アルキル)、N−アルキル−N−アリルアンモニウムビス{(トリフルオロメタン)スルフォニル}イミド(但し、アルキルはC
1〜C
10アルキル)、1−ビニル−3−アルキルイミダゾリウムビス{(トリフルオロメタン)スルフォニル}イミド(但し、アルキルはC
1〜C
10アルキル)、1−ビニル−3−アルキルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(但し、アルキルはC
1〜C
10アルキル)、4−ビニル−1−アルキルピリジニウムビス{(トリフルオロメタン)スルフォニル}イミド(但し、アルキルはC
1〜C
10アルキル)、4−ビニル−1−アルキルピリジニウムテトラフルオロボレート(但し、アルキルはC
1〜C
10アルキル)、1−(4−ビニルベンジル)−3−アルキルイミダゾリウムビス{(トリフルオロメタン)スルフォニル}イミド(但し、アルキルはC
1〜C
10アルキル)、1−(4−ビニルベンジル)−3−アルキルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(但し、アルキルはC
1〜C
10アルキル)、1−グリシジル−3−アルキル−イミダゾリウムビス{(トリフルオロメタン)スルフォニル}イミド(但し、アルキルはC
1〜C
10アルキル)、トリアルキルアミノエチルメタクリレートアンモニウムトリフルオロメタンスルフォニルイミド(但し、アルキルはC
1〜C
10アルキル)、1−グリシジル−3−アルキル−イミダゾリウムテトラフルオロボレート(但し、アルキルはC
1〜C
10アルキル)、N−ビニルカルバゾリウムテトラフルオロボレート(但し、アルキルはC
1〜C
10アルキル)等を例示できる。これらの溶融塩単量体は、1種又は2種以上で使用することができる。これらの溶融塩単量体は前記した本件出願人の先行特許WO2010/113971に記載の方法により得られる。
前記フッ素系重合体への溶融塩単量体のグラフト化率は、2〜90モル%が好適であり、更に好適には10〜80モル%、最適には20〜75モル%である。この範囲のグラフト化率を満足することにより、本発明の目的をより好適に達成することができる。グラフト化率が比較的低い領域、たとえば2〜40モル%、好適には10〜35モル%、さらに好適には13〜30モル%においては、スポンジ性状の柔軟性を保持することができ、支持体との結合密着性、弾力性、接着性改良という効果が期待できる。またグラフト化率が比較的高い領域、たとえば42〜90モル%、とくに45〜90モル%、さらに好ましくは45〜75モル%の領域においては、粘弾性が増加することから密着強度が向上し、さらには粘着性、耐衝撃性、顔料などの粒子素材の分散平滑性、pH安定性、温度安定性、さらには導電性能向上という効果が期待できる。グラフト化率の測定法は後述する実施例で述べる。
溶融塩単量体のグラフト重合は、単独で用いてもよいし、又はこれと共重合し得る他の単量体と共重合させることもできる。
なおここで、高分子電解質組成物(X
1)には、ビニレンカーボネート類、ビニレンアセテート、2−シアノフラン、2−チオフェンカルボニトリル、アクリロニトリル等のSEI(固体電解質界面相:Solid Electrolyte Interphase)膜形成素材あるいは溶剤等を含む単量体組成物を包含する。
本発明においては、前記のグラフト重合して得られた高分子導電組成物(X
1)にフッ素系重合体(X
2)を配合することにより、優れた導電素材を得ることができるので、次にフッ素系重合体(X
2)について述べる。
フッ素系重合体(X
2)としては、前記したグラフト重合に使用されるフッ素重合体、特にポリフッ化ビニリデン重合体または共重合体が好適例として挙げられる。さらに三フッ化樹脂などのポリクロルフロオロアルキレン(アルキレンはエチレン、プロピレン、ブチレンなど)、四フッ化樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリフッ化ビニル、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(アルキルはメチル、プロピル、ブチルなど)共重合体など、さらにはこれらのフッ素系重合体に(モノ、ジ、トリ)フルオロアルキレン(アルキレンはエチレン、プロピレン、ブチレンなど)を付加して得たフッ素系樹脂も挙げられる。
グラフト重合して得られた高分子導電組成物(X
1)の配合割合は、高分子導電組成物(X
1)とフッ素系重合体(X
2)の合計量に対し0.1〜95重量%、好適には5〜80重量%配合される・
本発明においては、さらに、オニウムカチオンとフッ素含有アニオンからなる溶融塩、オニウムカチオンとフッ素含有アニオンからなる塩構造を有しかつ重合性官能基を有する溶融塩単量体塩、前記溶融塩単量体の重合体または共重合体の少なくとも1種を配合することにより、導電性、導電耐久性がさらに一段と向上する。これらの配合割合は、高分子導電組成物とフッ素系重合体の合計量に対して0.1〜95重量%、好適には0.1〜60重量%、さらに好適には0.1〜40重量%である。
ここで、オニウムカチオンとフッ素含有アニオンからなる溶融塩としては、前記したアンモニウムカチオン群とフッ素含有アニオン群から構成される溶融塩が好適である。 また、オニウムカチオンとフッ素含有アニオンからなる塩構造を有しかつ重合性官能基を有する溶融塩単量体とは前記したグラフト重合に使用される溶融塩単量体が挙げられる。
また、溶融塩単量体の重合体または共重合体としては、前記溶融塩単量体のホモポリマーが好適例として挙げられる。これらのホモポリマーのうち、1−アルキル−3−ビニルイミダゾリウムカチオン(AVI)、4−ビニル−1−アルキルピリジニウムカチオン、1−(4−ビニルベンジル)−3−アルキルイミダゾリウムカチオン、1−(ビニルオキシエチル)−3−アルキルイミダゾリウムカチオン、1−ビニルイミダゾリウムカチオン、4級ジアリルジアルキルアンモニウムカチオン(DAA)、2(メタクリロイロキシ)エチルトリメチルアンモニウム(MOETMA)}カチオン、ジアルキル(アミノアルキル)アクリルアミド、ジアルキル(アミノアルキル)アクリレート、ヒドロキシアルキルメタアクリレートのホモポリマー、またはこれらの単量体の2種以上の共重合体が挙げられるが、ホモポリマーが好適である。また前記溶融塩単量体と他の共単量体との共重合体が挙げられる。
これらの溶融塩単量体の重合体または共重合体は、アゾ系重合開始剤(AIBNなど)、過酸化物系重合開始剤(BPOなど)を用いたラジカル重合、またはブレンステッド酸やルイス酸などの重合開始剤に拠るカチオン重合反応、AIBNやBPOを用いたリビングラジカル重合により得ることができる。これらの重合の内リビングラジカル重合が好適である・
さらにまた、本発明においては、電荷移動イオン源を配合することにより、導電性、導電耐久性が向上する。ここで電荷移動イオン源としては、典型的には、リチウム塩であり、好ましくは下記のリチウムカチオンとフッ素原子含有アニオンとからなるリチウム塩が使用される。
電荷移動イオン源としては、LiBF
4、LiPF
6、C
nF
2n+1CO
2Li(nは1〜4の整数)、C
nF
2n+1SO
3Li(nは1〜4の整数)、(FSO
2)
2NLi、(CF
3SO
2)
2NLi、(C
2F
5SO
2)
2NLi、(FSO
2)
2Li、(CF
3SO
2)
3CLi、(CF
3SO
2−N−COCF
3)Li、(R−SO
2−N−SO
2CF
3)Li(Rはアルキル基などの脂肪族基または芳香族基)、および(CN−N)
2C
nF
2n+1Li(nは1〜4の整数)からなる群から選ばれたリチウム塩などが挙げられる。さらにリチウム塩以外のものとしては、錫インジウムオキサイド(TIO)、炭酸塩などの電荷移動イオン源も挙げられる。
また電荷移動イオン源としては、室素含有の塩、好ましくは下記のアルキルアンモニウムカチオン(例えば、テトラエチルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン)とフッ素原子含有アニオンとからなる塩も使用される、
Et
4−N
+BF
4−、Et
3Me−N
+BF
4−
Et
4−N
+PF
6−、Et
3Me−N
+PF
6−等。
上記電荷移動イオン源は、2種以上を配合することも出来る。
上記電荷移動イオン源の配合量は高分子電解質組成物(X
1)に対して0.5〜2モル、好適には0.7〜1.5モルである。
電荷移動イオン源の対イオンであるテトラアルキレングリコールジアルキルエーテル(TAGDAE)のアルキレンとしては、メチレン、エチレン、プロピレンなどの炭素数1〜30のアルキレン、アルキルとしてはメチル、エチル、プロピルなどの炭素数1〜30のアルキルが挙げられる。これらの中でテトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)が最適である。TAGDAEの電荷移動イオン源に対する配合割合は0.2〜2.0モル、好適には0.4〜1.5モルである。
また、前記電荷移動イオン源を支持するアニオン(イオン導電支持塩)として、ビス{(トリフルオロメタン)スルフォニル}イミド、2,2,2−トリフルオロ−N−{(トリフルオロメタン)スルフォニル)}アセトイミド、ビス{(ペンタフルオロエタン)スルフォニル}イミド、ビス{(フルオロ)スルフォニル}イミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフロオロフォスヘート及びトリフルオロメタンスルフォニルイミドなどが効果的に機能する。
さらに本発明では、このようにして得られた高分子導電組成物(X
1およびX
2を含有)を下記樹脂(Y)に配合することにより、さらに導電性、導電耐久性などが向上する。高分子導電組成物と樹脂(Y)とを混和する方法としては、混練する方法、溶剤を使用する方法などが挙げられる。混練する方法としては、これらの樹脂のペレットを作製し、目的とする配合割合の組成物を作製する方法が好適である。高分子導電組成物の配合割合は、高分子導電組成物と樹脂(Y)の合計量に対し0.1〜95重量%、好適には0.1〜60重量%、さらに好適には0.1〜40重量%である。
高分子導電組成物を、高濃度、例えば5〜98重量%、好適には10〜80重量%に(Y)に配合し溶融混練し押出し成形し切断してペレット(マスターバッチ)を作製し、このペレットを樹脂(Y)に配合して、高分子導電組成物を0.1〜40重量%含有させる方法が好適である。(Y)を配合することにより、不導体樹脂をクラウド構造及び/またはプロトン基を介したイオンホッピング構造を形成してより優れた導電性樹脂にすることができる。
ここで樹脂(Y)としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリハロゲン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド系樹脂、珪素系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アミノ系樹脂、天然系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂が挙げられる。
ここで、ポリオレフィン系樹脂としては、ポロエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリスチレンなどが挙げられ、ポリアクリル系樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸塩などが挙げられ、ポリハロゲン系樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、四フッ化レジンなどが挙げられる。また、酢酸ビニル系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどが挙げられ、ポリエーテル系樹脂としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエーテルケトンが挙げられ、ジエン系樹脂としては、ブタジエン系ゴム、クロロプレン系ゴム、イソプレン系ゴムなどが挙げられる。また、ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオキシベンゾエート、不飽和ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカーボネート−ポリエステルポリマーアロイ樹脂などが挙げられ、ポリアミド系樹脂としては、ポリカプロラクタム系樹脂、ポリヘキサメチレンアジペート系樹脂、ポリ芳香族ポリアミド系樹脂などが挙げられ、ポリスルホン系樹脂としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンが挙げられ、珪素系樹脂としては、シリコーンゴム、シリコーン樹脂、重合性シリコーン樹脂などが挙げられ、アミノ系樹脂としては、尿素樹脂、メラミン樹脂などが挙げられ、天然系樹脂としては、セルロース系樹脂、天然ゴム系樹脂、タンパク質系樹脂、グアーガム、タマリンド、ローカストビーンガム、キサンタンガム、カラーギンなどが挙げられる。
これらの中でポリアクリル系樹脂、ジエン系樹脂、珪素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂が好適である。とくにポリアクリル系樹脂が最適であり、ポリアクリル系樹脂としては、アルキルアクリレートまたはアルキル(メタ)クリレートの重合体または共重合体が好適であり、共重合体としては、ヒドロキシエチルアクリルアミド、ジアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ブチルアクリレート−ベンジルアクリレート−4−ヒドロキシブチルアクリレートの共重合体やブチルアクリレート−ベンジルアクリレート−フェノキシエチルアクリレート−4−ヒドロキシブチルアクリレート−アクリル酸共重合体が挙げられる。
高分子電解質組成物にフッ素系重合体などを配合して使用する際、相溶化剤、分散剤、酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、充填剤(シリカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、タルク、セラミックスなど)、紫外線吸収剤、染料、顔料などをそれぞれ目的に応じ適宜配合することが好適である。ここで相溶化剤または分散剤としては、低分子化合物(1,2−ポリブタジエン、ポリアミド・ポリフェニレンエーテル共重合体、天然ゴムラテックス、液状イソプレン重合体エマルジョン)、さらにはフタロシアニン(水酸基含有石油樹脂「リオノーブル」東洋インキ製造(株)製)などが好適に使用される。また充填剤は樹脂(X
1および/またはX
2とYの合計量)に対して5〜50重量%配合するのが好適である。配合処方に使用される希釈溶媒としては、芳香族溶剤、エーテル系溶剤、2−プロパノール、n−メチルピロリドン、ケトン系溶剤、アセトン、クロロアルキレン系溶剤、エステル系溶剤、ハロゲン系溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸ブチル、酢酸セロソルブなどが使用出来る。とくに紫外線吸収剤を含有させることにより、紫外線硬化塗料として加熱養生などを必要としない効果的な塗膜形成が可能となり、また塗膜層の強度も向上する。
本発明の導電素材は、導電粘着剤、導電接着剤、導電塗料、成形用導電樹脂粉末、射出成形用導電樹脂ペレット、導電糸、導電シート、導電板または導電管状成形体である導電素材として有用であり、とくに導電性粘着剤としては極めて有用である。さらに、本発明の導電素材は、ポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、ポリイミドフイルムなどのセパレーターの片面または両面のコート剤としても有用である。片面または両面にコートする方法としては、浸漬法、カレンダーコート法、ダイコート法、噴霧コート法などが挙げられ、これを自然乾燥または熱乾燥することにより導電セパレーター素材を作製することができる。
さらに、本発明の導電素材は積層体としても極めて有用であるので、以下に積層体について述べる。
積層体は、自由電子を持たない絶縁体の不導体樹脂(W)層の片面に前記した樹脂組成物(たとえば粘着剤または接着剤)を塗布する方法、またはその上に不導体樹脂(W)層を重ねる方法、または不導体樹脂層(W)の片面に樹脂組成物を塗布し、その上に不導体樹脂(W)層を押出し成形する方法、または2層または3層以上を共押出し成形する方法などにより得られる。両側の不導体樹脂(W)層を設ける場合は、不導体樹脂(W)は同一であっても異なっていても良い。不導体樹脂(W)層はフイルムであることが好適である。
不導体樹脂(W)としては、前記した樹脂(Y)が挙げられるが、ポリオレフィン系樹脂(ポロエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリスチレン)、酢酸ビニル系樹脂(ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール)、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオキシベンゾエート、不飽和ポリエステル、ポリカーボネート)が好適である。
樹脂組成物からなる層、さらには中間層の厚さは好適には1〜100ミクロン、さらに好適には5〜50ミクロンである。また不導体樹脂(W)層の片面の厚さは好適には1〜200ミクロン、さらに好適には5〜50ミクロンである。さらに3層からなる積層体の全厚さは好適には5〜300ミクロン、さらに好適には15〜150ミクロンである。
積層体の層構成としては、樹脂組成物層/W層/樹脂組成物層、W層/樹脂組成物層、W層/樹脂組成物層/W層、W層/樹脂組成物層/W層/樹脂組成物層/W層、W層/樹脂組成物層/W層/樹脂組成物層/W層/樹脂組成物層/W層など多層構造とすることは自由である。また、本発明の層構成は、W層/樹脂組成物層、W層/樹脂組成物層/W層、樹脂組成物層/W層/樹脂組成物層が好適であって、これにさらに層、たとえば樹脂、金属、ガラス、木材、紙、繊維、編織物、不職布などの層を設けることは自由である。
このようにして得られた積層体は、後述する実施例からも明らかなように不導体樹脂(W)層の表面でも極めて優れた導電性、および優れた導電耐久性を示し、さらに積層体の密着強度も優れている。つまり、樹脂組成物層に導電性クラスタを形成しなくても、樹脂組成物層中のイオン(アニオンまたはカチオン)をW層表面に更により効率的に電子移動させることができ、導電性、導電耐久性を大幅に改善できる。樹脂組成物層はラメラ構造になっていなくても良いが、ラメラ構造にすることでより効率的に電子移動を促進させることが可能となる。
次に実施例により本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0008】
[グラフト重合体1]
フッ化ビニリデン(PVdF)−トリフルオロクロロエチレン(CTFE)共重合体として−(CH
2−CF
2)
n−(CF
2−CFCl)
m−{nは96モル%、mは4モル%、呉羽化学工業社製、商品名#7500、固有粘度〔η〕=2.55(オストワルド粘度計使用、溶媒DMAC、測定温度25℃)〔η〕から推算分子量120万}を使用して、これに溶融塩単量体を下記の条件により、グラフト重合した。
1L三口フラスコに凝縮機、攪拌装置及び滴下装置をつけ、PVdF−CTFE共重合体#7500 6gとN−メチルピロリドン(NMP)80gを加えて、を油浴中で80℃に加温、撹拌溶解した。次いでアルゴンガスで雰囲気を十分置換したのち、溶融塩単量体{化合物名トリメチルアミノエチルメタクリレートビス{(トリフルオロメチル)スルフォニル}イミド(TMAEMA・TFSI)}と、あらかじめ20gのNMPに溶解したN,N,N’,N’−テトラキス(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン(TPEN) 0.46gとCuCl 0.08gを加えた。更にアルゴンで置換して90℃に昇温し23時間反応させた。
反応後40℃まで冷却しアセトンで希釈して、50%メタノール水溶液中に攪拌しながら注入して析出させた。反応生成物は更にメタノール溶液で洗浄したのち乾燥して、粗製重合体を得た。
次いで粗製重合体を粉砕してアセトン40%、メタノール60%の混合溶剤を加えて攪拌した。グラフトしていないイオン性液体重合体及び未反応溶融塩単量体は溶解し、グラフト重合体は膨潤し沈降するので、遠心分離器で分離した。この抽出操作を繰り返してグラフト重合体1を得た。更に30℃、真空乾燥機で乾燥して収量を測定、また赤外スペクトルを測定しグラフト化率(モル%)を算出したところ。71.7モル%を示した。
注1)グラフト化率(モル%)
PVdF−CTFE共重合体とグラフト重合体の配合割合を変えて、赤外スペクトルを測定して検量線を作成し、この検量線を用いて、試料のグラフト重合体のグラフト化率(モル%)を求めた。
[グラフト重合体2〜6]
前記グラフト重合体1の製法において、CTFE4モル%の共重合体の代わりにCTFE7モル%の共重合体である−(CH
2−CF
2)
n−(CF
2−CFCl)
m−{nは93モル%、mは7モル%、呉羽化学工業社製、商品名 FD3145、固有粘度[η]=2.42(オストワルド粘度計使用、溶媒ジメチルアセトアミド(DMAC)、測定温度25℃)、[η]から推算分子量111万}を使用したこと、また、溶融塩単量体としてTMAEMA・TFSIの代わりに他の溶融塩単量体を使用したこと、さらにグラフト重合の条件として触媒CuClの代わりにCuBrを使用したこと、さらにはCuBrの使用料を適宜変更した以外は、同様にしてグラフト重合体2〜6を得た。結果を表1に示す。
【表1】
グラフト重合体2:
溶融塩単量体として、2−(メタアクリロイロキシ)エチルトリメチルアンモニウム塩のビスフルオロスルフォニルイミド(FSI)化物(MOETMA・FSI)を使用したグラフト重合体。 更に30℃、真空乾燥機で乾燥して収量を測定、また赤外スペクトルを測定しグラフト化率(モル%)を算出したところ、60.8モル%を示した。
グラフト重合体3:
溶融塩単量体として、2−(メタアクリロイロキシ)エチルトリメチルアンモニウム塩のビスフルオロスルフォニルイミド(FSI)化物(MOETMA・FSI)を使用したグラフト重合体。更に30℃、真空乾燥機で乾燥して収量を測定、また赤外スペクトルを測定しグラフト化率(モル%)を算出したところ、45.6モル%を示した。
グラフト重合体4:
溶融塩単量体として、2−(メタアクリロイロキシ)エチルトリメチルアンモニウム塩のビスフルオロスルフォニルイミド(FSI)化物(MOETMA・FSI)を使用したグラフト重合体。更に30℃、真空乾燥機で乾燥して収量を測定、また赤外スペクトルを測定しグラフト化率(モル%)を算出したところ、23.3モル%を示した。
グラフト重合体5:
溶融塩単量体として、2−(メタアクリロイロキシ)エチルトリメチルアンモニウム塩のビスフルオロスルフォニルイミド(FSI)化物(MOETMA・FSI)を使用したグラフト重合体。更に30℃、真空乾燥機で乾燥して収量を測定、また赤外スペクトルを測定しグラフト化率(モル%)を算出したところ、17.8モル%を示した。
グラフト重合体6:
溶融塩単量体として、2−(メタアクリロイロキシ)エチルトリメチルアンモニウム塩のビスフルオロスルフォニルイミド(FSI)化物(MOETMA・FSI)を使用したグラフト重合体。更に30℃、真空乾燥機で乾燥して収量を測定、また赤外スペクトルを測定しグラフト化率(モル%)を算出したところ、7.1モル%を示した。
ホモポリマー(Z−1):
溶融塩単量体として、2−(メタアクリロイロキシ)エチルトリメチルアンモニウム塩のビスフルオロスルフォニルイミド(FSI)化物(MOETMA・FSI)を使用して、50gをアセトンに溶解しアゾ系重合開始剤を5g使用して60℃に昇温してリビング重合を行って目的のホモポリマーが得られた。得られたホモポリマーをエタノールに溶解し精製を実施した。溶剤を乾燥してホモポリマーを得た。
ホモポリマー(Z−2)
前記の溶融塩単量体をジメチルアミノプロピルアクリルアミドのビスフルオロスルフォニルイミド(FSI)化物(DMAPAA・FSI)を使用し、前記ホモポリマー(Z−1)同様の条件でリビング重合しホモポリマーを得た。
実施例1(導電素材=粘着剤)
前記のグラフト重合体1{高分子導電組成物(X
1)}30重量%、フッ素系重合体(ポリフッ化ビニリデン)(X
2)70重量%に、分散剤フタロシアニン(水酸基含有石油樹脂「リオノーブル」東洋インキ製造(株)製)を(X
1)と(X
2)の総和に対し10重量%n−メチルピロリドンに溶融混合して10重量%固形分の導電粘着剤を得た。
実施例2(導電素材=粘着剤)
前記のグラフト重合体2(高分子電解質組成物)(X
1)10重量%、フッ素系重合体(ポリフッ化ビニリデン)(X
2)20重量%、アクリル樹脂(商品名「BR−106」三菱レイヨン社製)70重量%(Y)に、分散剤フタロシアニン(水酸基含有石油樹脂「リオノーブル」東洋インキ製造(株)製)を(X
1)と(X
2)の総和に対し10重量%n−メチルピロリドンに溶融混合して10重量%固形分の導電粘着剤を得た。
実施例3(導電素材=粘着剤)
前記のグラフト重合体3(高分子電解質組成物)(X
1)20重量%、フッ素系重合体(ポリフッ化ビニリデン)(X
2)70重量%、重合性基を有しない溶融塩{1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロスルホンイミド(EMI−TFSI)}10重量%に、(X
1)との総和に対して1.0モル電荷移動イオン源(リチウムテトラフルオロスルホンイミド)を添加して、分散剤フタロシアニン(商品名 水酸基含有石油樹脂「リオノーブル」東洋インキ製造(株)製)を(X
1)と(X
2)及び重合性基を有しない溶融塩の総和に対し、10重量%n−メチルピロリドンに溶融混合して10重量%固形分の導電粘着剤を得た。
実施例4(導電素材=樹脂ペレット)
前記のグラフト重合体4(高分子電解質組成物)(X
1)30重量%、フッ素系重合体(ポリフッ化ビニリデン重合体)(X
2)65重量%、重合性基を有する溶融塩(エチレンビニルイミダゾールビスフルオロスルホンイミド)5重量%に、(X
1)と重合基を有する溶融塩との総和に1.0モル電荷移動イオン源(リチウムテトラフルオロスルホンイミド)を添加して、分散剤フタロシアニン(商品名 水酸基含有石油樹脂「リオノーブル」東洋インキ製造(株)製)を(X
1)と(X
2)の総和に対し10重量%溶融混練して樹脂混和物を得、次いでこの混和物を「汎用ポリエステル樹脂」に、XがYに対して5重量%になるように混練し、押出し成形し、樹脂ペレットを得た。
実施例5(導電素材=塗料)
前記のグラフト重合体5(高分子電解質組成物)(X
1)15重量%、フッ素系重合体(ポリフッ化ビニリデン共重合体)(X
2)70重量%、溶融塩単量体のホモポリマー(Z‐1)15重量%に対して、2−メチル−1,3−プロパノールジオール55重量%とレベリング剤(BYK製品:BYK−331)20重量%を配合し、さらにジブチル錫ジラウレート触媒を(X
1)と(Z‐1)の総和に対し0.5重量%添加して溶剤キシレン/酢酸ブチル/酢酸セロソルブの6:3:1配合にて希釈して、固形分濃度30%塗料を作製した。
実施例6(導電素材=シート)
前記のグラフト重合体6(高分子電解質組成物)(X
1)20重量%、フッ素系重合体(ポリフッ化ビニリデン共重合体)(X
2)70重量%、重合基を有する溶融塩単量体(MOETMA・FSI)のホモポリマー(Z−1)10重量%との混和物に、熱重合触媒(和光純薬製:アゾ重合開始剤V−60AIBN)を(X
1)と(X
2)と(Z−1)総和に対し2.0重量%配合して、溶剤ベンジルアルコールで溶融撹拌して10重量%固形分の塗工溶液を作製した。この溶液をポリエステルフィルム上にキャスティングして65℃で加熱して導電シートを作製した。
実施例7(導電素材=糸)
前記のグラフト重合体6(高分子電解質組成物)(X
1)20重量%、フッ素系共重合体(テトラフルオロエチレン・パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体)(X
2)65重量%、溶融塩単量体のホモポリマー(Z−1)15重量%の総和を30重量%と、ポリエーテル樹脂(一液性ポリウレタン樹脂;URIC H−57 日本ポリウレタン製、液状硬化剤;同社製ミリオネート MTL)(Y)の70重量%との混和物をエタノール溶剤で溶融撹拌して10重量%固形分の塗工溶液を作製した。この溶液浴にポリエステル糸を浸漬して90℃で乾燥して導電糸を作製した。加工対象となる糸の種類は、天然素材糸やポリエーテル糸など特に限定されない。
実施例8(導電素材=板状)
前記のグラフト重合体6(高分子電解質組成物)(X
1)10重量%、フッ素系重合体(ポリフッ化ビニリデン重合体)(X
2)80重量%、溶融塩単量体のホモポリマー(Z−1)10重量%に、1.0モル電荷移動イオン源(リチウムテトラフルオロスルホンイミドの混合物を汎用エポキシ樹脂(Y)と混和して塗液を実施例6と同様の条件で作製した。この溶液をアクリル樹脂板上に50ミクロン厚みにキャスティングして65℃に加温して導電層膜樹脂板を作製した。
実施例9(導電素材=中空形状管状)
前記のグラフト重合体6(高分子電解質組成物)(X
1)30重量%、フッ素系重合体(ポリフッ化ビニリデン重合体)(X
2)60重量%、溶融塩単量体のホモポリマー(Z−2)10重量%に、1.0モル電荷移動イオン源(リチウムテトラフルオロスルホンイミドの混合物を30重量%と、注型用ウレタン樹脂(DIC Corporation製パンデックスP−910)(Y)70重量%とを混和して実施例6と同様の条件で溶液を作製した。この成形溶液材料を金型のキャピティに投入して加熱しながら空気を注入し中空形状管状の導電素材を作製した。 この成形法は、射出ブロー成形であっても良い。
実施例10
実施例1において、電荷移動イオン源{(FSO
2)
2NLi}をX
1に対し1.0モル配合し、以下実施例1と同様にして導電粘着剤を得た。
実施例11
実施例1において、電荷移動イオン源をX
1に対し1.0モル配合し、さらにテトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)を電荷移動イオン源に対し0.5モル配合し、以下実施例1と同様にして導電粘着剤を得た。
比較例1
実施例1において使用したグラフト重合体1の代わりに1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス−{(トリフルオロメチル)スルフオニル}イミド(EMI・TFSI)のトルエン−メチルエチルケトン溶液を使用し、それ以外は実施例1と同様にして粘着剤を得た。
比較例2
実施例1においてフッ素系重合体を使用しない以外は実施例1と同様にして粘着剤を得た。
実施例12(積層体)
実施例1で得た粘着剤をポリエステルフイルム(50ミクロン)の片面に塗布し、この上にポリエステルフイルム(50ミクロン)を重ね、100℃、10kg/cm
2に、2分間、熱圧着して積層フイルムを得た。中間層の粘着剤層の厚さ10ミクロン、積層体の全厚み110ミクロンであった。
実施例13(積層体)
実施例2で得た粘着剤をポリエステルフイルム(50ミクロン)の片面に塗布し、この上にポリプロピレン樹脂を押出機で溶融し230℃のT−ダイより押出した溶融膜を、50℃のチルロールに密着させた上記ポリエステルフイルムの粘着剤面に押出しコーテイングした。次いでチルロール上に設けたニップロールで押圧しながら冷却し、固化させ、ポリプロピレンフイルム(72ミクロン)との積層フイルムを得た。中間層の粘着剤層の厚さ15ミクロン、積層体の全厚み137ミクロンであった。
実施例14(積層体)
実施例3で得た粘着剤をポリエステルフイルム(50ミクロン)の片面に塗布し、この上にポリエステルフイルム(50ミクロン)を重ね、100℃、10kg/cm
2に、2分間、熱圧着して積層フイルムを得た。中間層の粘着剤層の厚さ10ミクロン、積層体の全厚み110ミクロンであった。
実施例15(積層体)
実施例4で得た粘着剤をポリエステルフイルム(50ミクロン)の片面に塗布し、この上にポリエステルフイルム(50ミクロン)を重ね、100℃、10kg/cm
2に、2分間、熱圧着して積層フイルムを得た。中間層の粘着剤層の厚さ10ミクロン、積層体の全厚み110ミクロンであった。
実施例16(積層体)
実施例3で得た粘着剤をポリイミドフィルム(50ミクロン)の片面に塗布し、この上にポリエステルフィルム(50ミクロン)を重ね、100℃、10kg/cm
2に2分間、熱圧着して積層フィルムを得た。中間層の粘着剤層の厚さ10ミクロン、積層体の全厚み110ミクロンであった。
比較例3
比較例1で得た粘着剤をポリエステルフイルム(50ミクロン)の片面に塗布し、この上にポリエステルフイルム(50ミクロン)を重ね、100℃、10kg/cm
2に、2分間、熱圧着して積層フイルムを得た。中間層の粘着剤層の厚さ10ミクロン、積層体の全厚み110ミクロンであった。
比較例4
比較例2で得た粘着剤をポリエステルフイルム(50ミクロン)の片面に塗布し、この上にポリエステルフイルム(50ミクロン)を重ね、100℃、10kg/cm
2に、2分間、熱圧着して積層フイルムを得た。中間層の粘着剤層の厚さ10ミクロン、積層体の全厚み110ミクロンであった。
【表2】
注1) 密着強度:MPas(メガパスカル)、積層体のポリエステルフイルムを5cm/分で180度剥離し、剥離強度を求めた。
注2) 導電性:S/cm(単位cm当たりのジーメンス)、電極面積0.95cm
2の白金電極間に試料を挟み、20℃、65%RHで、交流インピーダンス法(0.1V、周波数1Hz〜10MHz)により膜抵抗を測定し、膜導電性能を算出しています。
注3) 導電耐久性:40℃−RH50%の条件下に6ケ月放置後の導電性を測定。
【産業上の利用可能性】
【0009】
本発明の導電素材は、優れた強度、優れた導電性と優れた導電耐久性を有しているので導電粘着剤、導電接着剤、導電塗料、導電糸、導電シート、導電板状体、導電中空管体などとして有用であり、またリチウムイオン二次電池、キャパシタ、燃料電池などの導電セパレーター(フィルター)として有用であり、さらにまた積層体は偏光板などの光学用積層体、磁気テープ積層体などの導電性を要求される分野で有用である。その他、LTOなどの金属やカーボンを配合して導通体とした粘着剤・接着剤・塗料は色相が制限されていたり、透明性に制約があるなどの応用用途分野に制限があったが、本発明の導電素材を応用した上記材料は色相への影響を無くすことが出来、アクリル樹脂の透明度に匹敵する透明性を要求される導電素材への応用も可能になった。