(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般的に、形成手術とは、主に人体の部分的な損傷や奇形の矯正、または美容のために行う外科的手術の総称であるが、最近においては、美容のための手術が主である実情である。そのうち、抗老化に対する関心が高まっており、特にフェイスリフトに関心度が高まっている。
【0003】
人は、年を取るに従って、つまり、時間的な変化で老化になるに伴って皮膚及び皮膚の下の複数の層などが重力の方向どおり下に垂れ下がるようになって年を取ったように見える顔に変化する。このような、年を取ったように見える顔を若く作るための外科的手術法は、大きく2つの方法がある。皮膚に少し長い切開を加える侵襲的な方法と、糸を用いた最小侵襲的な方法に分けることができる。
【0004】
切開を加える侵襲的な方法は、皮膚を直接長く切開して皮膚層を剥がし、直視下で(直接見ながら)垂れ下がった皮下組織に直接糸をかけてリフティングする方法である。この方法は、効果は良好であるが、手術時間が少し長く、切開過程で出血が生じ、以後、瘢痕が残り得るという短所がある。
【0005】
これを補うために登場した方法が最小侵襲的な方法であって、コグ糸を皮膚層の下に入れてコグ糸の力に依存して垂れ下がった皮下組織をリフティングさせる方法がある。この方法は、先の切開を加える侵襲的な方法よりも手術時間が少なくかかり、瘢痕が少し残り、出血が少ないという長所がある。
【0006】
このような最小侵襲的な方法で手術を行うための従来のリフティング手術器具に関して
図1及び
図2を参照して説明する。従来のリフティング用手術器具は、シース10、糸が連結された針20、糸30を含む。
図1を参照すると、具体的に、先端が斜面で形成され、その内部には、通孔が長手方向に貫通されるように形成されたシース10を皮膚に挿入し、糸30をシース10の通孔を通過させながら糸30をシース10の先端部に前進させる。次に、シース10を除去すると、糸30は、皮下組織に留まるようになる。
【0007】
糸30は、コグを含んでおり、コグは方向性を持ち、皮下組織に挿入時に挿入反対方向に固定力を持つようになる。従って、皮下組織に留まっている糸30を引っ張ると、コグが皮下組織にかかるようになり、コグによって生じる固定力で垂れ下がった組織をリフティングして、シワを除去することができる。
【0008】
また、
図2に示されたように、シース10を用いずに、糸に連結された針20を直接皮膚の中に通過させて皮下組織に糸30を挿入して、同じ原理に基づいて施術することもできる。
【0009】
しかし、このような従来技術は、以下のような問題点が生じることができる。
【0010】
第一に、糸30のコグは、糸30の側面に方向性を持ち、一部切断して翼形状を作るものであって、糸30の薄い厚さによってコグに十分な固定力が発生しない。糸30を厚くして固定力を高めることができるが、糸30が厚くなると、皮膚組織に挿入時に患者に異質感が生じて不便さを与えることができる。複数本の糸30を皮膚に挿入して固定力を高めることができるが、これは、複数の挿入孔を必要とするようになって、リフティング手術後に傷跡が多く残り、美観上良くない問題点がある。また、糸30が多くなるほど、糸30自体による異物感及び糸30の突出、糸30による炎症などが生じ得るという問題点がある。
【0011】
第二に、糸30のコグは、術者がリフティングしたい垂れ下がった皮下組織だけでなく、他の部分にも糸30のコグが位置することになる。従って、術者が所望しない部分までコグによって引っ張られることができる問題点がある。
【0012】
第三に、糸30を線状で引っ張るときに、コグが損傷されるとか、消失し得る。これにより、皮膚及び皮下組織を不均一に引っ張るようになって、本来の効果と異なる効果が生じ得る。また、手術後に発生する手術周辺部の引っ張り現象により、患者が顔面の筋肉を動かす場合、コグが損傷されるとか、損失されることができ、これにより、十分な固定力を発揮できないという問題点がある。
【0013】
第四に、糸30にあるコグの構造上、コグの端部が鋭いので、組織が損傷されることができ、患者に苦痛を伴う場合が生じ得る。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のリフティング用手術器具100は、コグのない糸131で皮膚下に環状を形成してリフティング手術をするためのものであって、インジケーター120を用いて、皮下組織の所望の位置上にシース110の先端部が置かれることができるようにし、シース110を分岐点として使用して、皮膚下にコグのない糸131を環状に形成することができる分岐点が設けられたリフティング用手術器具に関する。
【0026】
本発明のリフティング用手術器具100は、従来のコグがある糸を皮下組織に挿入して引っ張るリフティング手術方法と異なりに、組織内の所望の地点でコグのない糸131を環状に作って垂れ下がった組織をリフティングできる出願人によって新しく創案された手術方法のための手術器具である。
【0027】
組織内の所望の地点で糸を環状に作るためには、針がシースを二度通過しなければならない。ところが、一度目の針がシースを通過した以後、皮下組織内の走行経路と二度目の針がシースを通過した以後、皮下組織内の走行経路が重なるようになり得るので、単純にシースを針が二度通過するといって所望の地点に環が形成されない。所望の地点に環状の糸を作るためには、所望の地点で針の走行が分岐されるべき可能である。正確な針の分岐点を作るために、本発明のリフティング用手術器具100は、シース110の探針部111の内面に段差(方向案内部150)を作って、これを介して、針がシース110を通過するとき、針の走行方向の角度を折って与えることができるのである。
【0028】
本発明は、探針部111と本体112からなったシース110、インジケーター120、方向案内部150を含んで構成される。以下、添付された図面を参照して、本発明の好ましい実施例を詳細に説明することにする。本発明のリフティング用手術器具100全体は、例えば、
図9に図示されており、
図10は針130の機能を説明するために構造の一部が除去されて図示されている。
【0029】
図3を参照すると、前記シース110は、探針部111と本体112からなっている。前記探針部111は、長手方向に沿って貫通された通孔113が内部に形成された管形状になっており、一側先端部が斜面になっている。注射針または針を用いて皮膚表面に進入孔142を作った後、進入孔142を介して前記探針部111の一部が皮膚の中に挿入され得る。前記探針部111の一側先端部の断面形状は、傾いた断面形状をなす。前記探針部111が皮膚の中に挿入されると、前記探針部111の内部を貫通している前記通孔113に沿って糸が通された針130が通過することができるようになる。
【0030】
前記本体112は、前記探針部111の他側後端部から連結されて拡張されている。前記本体112には、前記探針部111の内部の前記通孔113と連通されているシース孔114があり、前記シース孔114の直径は、前記通孔113の直径よりも大きくなっている。前記シース孔114を介して前記針130が挿入されるようになり、前記通孔113よりも大きい直径を有していて前記針130を容易に挿入することができる。挿入された前記針130は、前記シース孔114と連通されている前記通孔113を通過して移動することになる。
【0031】
前記探針部111の内面には、前記探針部111の内面から前記通孔113に突出した方向案内部150が設けられている。
【0032】
前記方向案内部150は、前記針130が前記探針部111の前記通孔113を通過するとき、前記針130の角度を折って走行することができるようにするものであって、前記針130の移動経路を転換することができるものである。
図4a及び
図4bを参照すると、前記方向案内部150は、前記探針部111の先端部に設けられることができ、これを介して、前記針130は、前記探針部111の先端部で方向が折れて前記探針部111を通過することになる。但し、前記方向案内部150の位置は、これに限定されるものではなく、様々な位置に形成されることもできる。たとえば、前記方向案内部150は、前記探針部111の中間地点に設けられることができ、この場合、前記針130は、前記探針部111の中間地点から方向が転換され得る。
【0033】
図4bを参照すると、前記方向案内部150は、前記探針部111の内面に上昇曲線をなし、前記探針部111の一側端に延長されて形成され得る。前記方向案内部150が上昇曲線をなすに応じて、前記針130は、上昇曲線に沿ってスムーズに方向が折られることができる。但し、前記方向案内部150の形状は、これに限定するものではなく、前記針130の方向を折ることができれば、様々な形状になされることができるのはもちろんである。
【0034】
図5を参照すると、前記インジケーター120は、前記探針部111の外周面に挟まれて探針部111の外径を増大させるものである。前記インジケーター120は、前記探針部111の長手方向に沿ってスライド移動することができ、前記探針部111の所定位置で位置固定部材を締めることによって固定される。前記インジケーター120が固定される前記探針部111の所定位置は、皮下組織内において、前記探針部111の先端部が置かれる位置と前記探針部111が挿入される進入孔142の位置に基づいて決定され、前記探針部111の先端部が置かれる位置(リフティング位置141)は、術者が垂れ下がった組織やシワ周囲の皮下組織をリフティングしようとする地点である。前記インジケーター120が置かれている前記探針部111は、所定位置で外径が増加され、前記探針部111を皮膚に挿入時、前記インジケーター120が置かれている位置までに前記探針部111が挿入され、前記インジケーター120は、進入孔142にかかるようになる。
【0035】
このような前記インジケーター120は、前記インジケーター本体121と位置固定部材からなり得る。前記インジケーター本体121は、円柱状からなっており、上面、下面、外側面からなっている。このような前記インジケーター本体121には、上面中央から下面中央を貫通する本体孔が形成されており、円柱の外側面と内側面(本体孔の内側面)を貫通する挿入孔123を有している。前記位置固定部材は、前記挿入孔123に挿入されて前記インジケーター120を前記探針部111の所定位置に固定できるようにするものである。
【0036】
具体的に、前記インジケーター本体121の外側面と内側面(本体孔124の内側面)を貫通する前記挿入孔123の内面には、ねじ溝が形成されており、位置固定部材は、ボルト122からなっていて、ねじ結合を介して前記ボルト122が前記インジケーター本体121に挿入されるようになる。(つまり、前記インジケーター本体121は、ナットの役割をすることになる。)
【0037】
図6を参照すると、前記インジケーター120を前記探針部111の長手方向に沿ってスライド移動をしている途中に所定位置で固定させるとき、位置固定部材である前記ボルト122を前記挿入孔123に入れてねじ結合をする。このとき、位置固定部材である前記ボルト122を十分に締めて前記ボルト122の端部が本体孔に挿入された前記探針部111の外側面と接触するようにする。前記ボルト122の端部が前記探針部111の外側面と接触するようになると、摩擦力が生じることになり、それによって、前記インジケーター120は、これ以上スライド移動をせずに、固定されるようになる。
【0038】
このような前記ボルト122は、ねじ山が形成されているボルトねじ部122bとボルトねじ部122bの上端で外径が増大されたボルト頭部122aからなっている。前記ボルト頭部122aの外側面には、周方向に沿って所定の間隔で溝が形成されており、前記溝は、術者が前記ボルト122を締めるとき滑ることを防止する機能を有する。
【0039】
図7を参照すると、図面番号124は、スタイレット124である。前記スタイレット124は、前記探針部111の前記通孔113に引き込まれ、前記探針部111を皮膚に挿入時、前記探針部111と共に皮膚に挿入され、前記通孔113が皮下組織で満たされることを防止することができるものである。前記スタイレット124は、探針部111の内部通孔113に引き込まれることができる程度に直径が探針部111の内径よりも少し小さく、棒状からなっている。探針部111は、管形状からなっているので、探針部111が皮膚の中に挿入される過程で通孔113が皮下組織の一部で満たされて、これによる組織の損傷や血管損傷を誘発することができるので、スタイレット124を探針部111の内部通孔113に結合して皮膚の中に挿入する。スタイレット124は、探針部111と結合して皮膚の中に共に挿入されるので、探針部111とスタイレット124に力が伝達され得るように、スタイレット124の後端部に取っ手を装着することが好ましい。
【0040】
前記針130は、前記探針部111の前記通孔113を通過して前記リフティング位置141を経て皮下組織を貫きながら皮膚の外に出ることができるように、一端から他端まで直径が前記探針部111の前記通孔113の直径よりも小さくなっているのである。前記針130は、前記シース110の長さよりも長く形成されており、コグのない糸131が通されることができるように後端部に耳が設けられている。
【0041】
前記針130が前記シース110の長さよりも長く形成されることによって、前記針130は、前記シース110を通過した後、皮下組織を貫きながら皮膚の外に出ることができるようになる。前記針130が前記シース110の長さよりも短ければ、前記針130を前記シース110に通過させることができず、皮下組織を貫きながら皮膚の外に前記針130を出られるようにすることができない。従って、前記針130は、前記シース110の長さよりも十分に長く形成されていなければならない。
【0042】
前記コグのない糸131は、前記針130の耳に一部分が通され、前記針130が前記探針部111の前記通孔113を通過して前記リフティング位置141を経て皮下組織を貫きながら皮膚の外に出るとき、前記針130と共に皮膚の外に出るようになるのである。前記コグのない糸131は、前記コグのない糸131の前部及び後部が前記針130の耳にそれぞれ通されて前記シース110及び皮下組織を二度通過することになる。
【0043】
このような分岐点が設けられたリフティング用手術器具の使用方法を
図6を参照して窺って見ると、インジケーター120を探針部111に嵌めて、スライド移動して所定位置に固定させる。所定位置は、探針部111が挿入される深さに応じて異なるが、リフティング手術における探針部111の挿入深さは可変的である。手術跡がなるべくよく見えず、手術を容易にすることができるところに探針部111の先端部が入る進入孔142を作らなければならず、リフティングすべき垂れ下がった皮下組織及びシワの位置に基づいて探針部111の位置は、変わることができる。
【0044】
また、人ごとに顔の外形の大きさが異なるので、探針部111が挿入される進入孔142とリフティングすべき垂れ下がった組織のリフティング位置141との間の距離も変わるので、探針部111の挿入深さが変わるようになるだろう。
【0045】
さらに、一度目の糸を挿入した後、二度目の糸を繰り返して施術することができるが、二度目の糸を用いて手術を行うときも探針部111の挿入深さは変わり、変わる挿入深さをインジケーター120を通じて調節することができる。
【0046】
図8a及び
図8bを参照すると、前記方向案内部150によってコグのない糸131の前部を通した前記針130の前記探針部111の先端部を出た以後の皮下組織を走行する経路と、コグのない糸131の後部を通した前記針130の前記探針部111の先端部を出た以後の皮下組織を走行する経路を変えることができるようになる。本発明は、皮膚下にコグのない糸131を環状に形成してリフティング手術を行うものであって、コグのない糸131を環状に形成するためには、二度挿入される前記針130の皮下組織内の走行経路を互いに異なるように形成しなければならない。
【0047】
二度挿入される前記針130の前記探針部111の先端部を出た以後の経路が同じになると、環状を形成できず組織をリフティングすることができなくなる。二度挿入される前記針の前記探針部111の先端部を出た経路が一定部分重なることになると、たとえコグのない糸131が環状に形成されてもコグのない糸131の折れる地点が前記探針部111の先端に位置せず他のところに位置することになり、これは術者が所望の組織をリフティングすることができなくなる。前記方向案内部150は、二度通過する前記針130の経路を異なるようにして、このような点を防止できる効果がある。(ここで、
図8a及び
図8bは、針130が折れながら経路が変わる過程を多少誇張して表現したものであり、針130の折れ度は、
図8a及び
図8bよりも小さいことができる。また、前記探針部111の先端部を通過した前記針130の経路は、前記針130が進行されるほど、前記針130の元の線状経路よりもさらに離れるようになる。)
【0048】
本発明は、従来のコグがある糸を皮下組織にかけて引っ張るリフティング手術方法と異なり、本出願人によって新しく創案されたコグのない糸131を用いてリフティング手術をするためのリフティング用手術器具である。具体的に、本出願人が独創的に開発した新しい手術方法は、垂れたシワの周辺の皮下組織にコグのない糸131を環状にかけて垂れ下がった皮下組織を直接引っ張ることでリフティング及びシワを除去する手術方法である。また、糸の挿入方向が従来の糸を用いるリフティング手術方法と反対方向に挿入することも新しい手術方法の一つの特徴である。つまり、従来の糸を用いる手術方法などは、糸の挿入方向が上から下への方向であるが、新しい手術方法では、糸の挿入方向が下から上への方向である。
【0049】
具体的に、
図9〜
図13を参照して、本発明の手術器具を用いた新しい手術方法を窺って見ると、次の通りである。
【0050】
図9を参照すると、垂れ下がった組織またはシワがあるリフティング位置141を定め、前記探針部111の先端部が前記リフティング位置141に来ることができるように、前記探針部111が入る進入孔142を定める。前記インジケーター120を前記探針部111に嵌めて、前記リフティング位置141と前記進入孔142位置との間の距離を考慮して、前記インジケーター120を前記探針部111の所定位置に固定させる。
【0051】
図10を参照すると、前記スタイレット124を装着した状態で前記インジケーター120が固定された前記探針部111を皮膚内部に挿入した後、前記インジケーター120が前記進入孔142にかかる位置まで前記探針部111を前進させる。このとき、前記探針部111の先端部が前記リフティング位置141に置かれるようになり、その後、装着された前記スタイレット124を除去する。
【0052】
次に、
図11を参照すると、前記コグのない糸131の前部を前記針130の耳に通させ、前記針130を前記探針部111の前記通孔113に通過させた後、前記リフティング位置141を経て皮下組織を貫きながら移動させ、前記針130を前記出口143を介して皮膚の外に出るようにする。[このとき、針130が皮膚の外に出る位置(出口143)は、手術跡がよく見えない部位(主に頭皮部位)から出るようにすることが好ましい。]
【0053】
前記針130が前記探針部111の前記通孔113を通過するとき、前記針130は、前記方向案内部150に沿って一定の方向に変更されて皮下組織内に入ることになる。
【0054】
その後、
図12を参照すると、前記コグのない糸131から前記針130を分離し、前記コグのない糸131の後部を再び前記針130耳に通す。これと共に、前記シース110を180度方向に回転させ、前記針130を前記探針部111の前記通孔113にもう一度前進させた後、前記リフティング位置141を経て皮下組織を貫きながら移動させて、前記針130を出口143を介して皮膚の外に出るようにする。
【0055】
ここで、前記シース110を180度方向に回転させることは、前記方向案内部150の位置を変換させて、コグのない糸131の前部を通させた前記針130の経路とコグのない糸131の後部を通させた前記針130の経路を変えるためである。(つまり、二度通過する前記針130の前記探針部111の先端部を出た以後の皮下組織の中を走行する経路を変えるためである。)
【0056】
図8a及び
図8bを参照すると、前記シース110が180度回転されたとき、前記探針部111の内部に設けられている前記方向案内部150の位置が変更され、これに前記針130の経路も変更される。前記シース110は、180度変更することが好ましいが、必要に応じては180度ではない他の角度で回転することができる。
【0057】
前記シース110の変換角度は、前記インジケーター120の前記ボルト122を介して確認することができる。前記ボルト122は、前記インジケーター120から突出した形態であるので、これを介して、前記シース110の回転された角度が分かるようになる。
【0058】
つまり、前記インジケーター本体121の前記挿入孔123に前記ボルト122を挟み込んで前記インジケーター120を前記探針部111の所定位置に固定させるとき、前記ボルト122と前記探針部111の前記方向案内部150との位置を並んで合わせて固定する。これを介して、前記ボルト122で前記方向案内部150の位置を把握することができ、前記針130の経路を調節することができるようになる。但し、前記シース110の回転された角度は、前記ボルト122の以外にも前記インジケーター120に設けられた表示などで確認され得ることはもちろんである。例えば、前記インジケーター120に設けられている前記挿入孔123でも確認が可能である。
【0059】
図13を参照すると、前記探針部111は、管形状からなっているので、前記探針部111の先端部までは空いた空間となるが、前記探針部111の先端部以後から前記針130が皮膚の外に出る位置までは皮膚組織で満たされている。従って、前記皮下組織内には、前記コグのない糸131の前部を前記針の耳に通させて皮下組織を通過した前記針130の経路に沿って形成された前記コグのない糸131と、前記コグのない糸131の後部を 前記針の耳に通させて皮下組織を通過した前記針130の経路に沿って形成された糸131がそれぞれ独立的に分離して位置しており、皮下組織内部のリフティング位置141で2つの糸131は、環状に折れて連結されている。この時、二度通過した前記針130の経路は、前記方向案内部150を介して重ならないようになるので、皮膚内で前記コグのない糸131を環状に容易に形成することができるようになる。
【0060】
この後、皮膚の外に出た前記コグのない糸131の両端を引っ張ることによって皮下組織の中で環状の前記コグのない糸131は、前記リフティング位置141にかかるようになり、前記リフティング位置141の皮下組織をリフティングして、隣近のシワを除去する。
【0061】
次に、前述した手術方法による施術が追加でさらに行われるが、このとき、手術する医師が意図するとおりに、前記探針部111の挿入深さを異なりにすることができる。これは、前記インジケーター120を用いて位置を変化させることによって可能である。
【0062】
このような新しい手術方法において、インジケーター120の効果は、以下の通りである。
【0063】
針130とシース110を用いてコグのない糸131を環状に挿入する新しいリフティング手術を行う場合、手術途中に皮下組織内に挿入されるシース110先端部の位置が変更されないことが重要である。術者がリフティングしようと所望のリフティング位置141がシース110先端部の位置と直接連関されているからである。従って、シース110先端部の位置が変わるようになると、リフティング位置141が変わるようになって、術者の所望の地点ではない他の地点がリフティング位置141となる。このような理由から、手術途中にシース110先端部の位置が変更されないことが重要である。
【0064】
しかし、針130が薄くて長いシース110の内部を通過するとき、針130とシース110との間には、摩擦抵抗が発生することができる。このような摩擦抵抗によって、針130がシース110の内部を通過するとき、シース110が針130に沿って移動することができ、これにより、シース110先端部の位置が皮膚下に変更され得る。
【0065】
また、針130が皮下組織を貫きながら移動する場合、針130に力を加えるようになる。このとき、針130とシース110との摩擦抵抗で針130に沿ってシース110が移動することができ、これにより、シース110先端部の位置が皮膚下に変更され得る。それだけでなく、針130が皮下組織を貫いて皮膚の外に出るようになった以後、皮膚の外に出た針130を引っ張って針を抜き取るときにも針130とシース110との間には摩擦抵抗が発生することになって、シース110先端部の位置が皮膚下に変更され得る。シース110先端部の位置が皮膚下に変更されると、術者の所望の地点ではない他の地点がリフティング位置141となる。
【0066】
しかし、本発明のインジケーター120を用いると、シース110は、インジケーター120がある部分までのみに皮膚の中に挿入され得る。従って、針130とシース110との摩擦抵抗が発生しても、インジケーター120によって、シース110は、皮膚の中にこれ以上移動せず、シース110先端部の位置は、皮膚下に変わらなくなる。その結果、術者が所望のリフティング位置141が変更されることを防止することができる。
【0067】
また、従来のコグがある糸30を用いる手術方法と異なるように、針130とシース110を用いて皮膚の下にコグのない糸131を環状に挿入する新しい手術方法を行うためには、針130をシース110に二度通過させなければならない。つまり、針130がシース110を一度通過して、糸から針130を分離した後、再び糸の後部を針130に通させて針130をシース110に通過させなければならない。このように、針130をシース110に何度も通過させる過程で針130とシース110との摩擦抵抗が発生することができ、これにより、シース110先端部の位置が皮膚内で変更され得る。(これにより、リフティング位置141が変更され得る。)
【0068】
しかし、本発明のインジケーター120を用いると、針130がシース110を二度通過する間にシース110先端部の位置を確認することができ、インジケーター120がシース110の外径を増大させてシース110先端部の位置は変更されない。
【0069】
施術を開始する時、シース110は、インジケーター120がある部分までのみに挿入されて、皮膚下の特定の位置にシース110先端部が置かれることになる。
【0070】
インジケーター120がなければ、長い針130がシース110を通過するとき、摩擦抵抗で皮膚の中に挿入されているシース110先端部の位置は変更され得る。しかし、本発明では、インジケーター120があるので、一度目の針130がシース110を通過するときのインジケーター120の位置を確認し、二度目の針130をシース110に通過させる前に、インジケーター120がある地点にシース110を位置させて二度目の針130をシース110に通過させる。そうすると、一度目の針130がシース110を通過するときのシース110の先端部が置かれている特定の位置と、二度目の針130がシース110を通過するときのシース110先端部が置かれている位置とは、同じ位置になる。これを介して、針130がシース110を二度通過しても、シース110先端部の位置は変更されない。
【0071】
次に、針130とシース110を用いてコグのない糸131を環状に挿入する新しいリフティング手術を行うとき、リフティング位置141を精密に修正すべき場合が発生する。つまり、外部の顔の形状でリフティング位置141を定めても、実際の手術が行われながらリフティング位置141を精密に変更すべき場合がある。また、シース110の挿入深さを精密に変更して繰り返し的に手術を行うこともできる。(つまり、1つのリフティング位置141をリフティングすることよりも、複数のリフティング位置141をリフティングすることが必要な場合がある。)
【0072】
この場合、シース110が皮膚の中に挿入される位置を変化させてリフティング位置141を変更することができる。しかし、インジケーター120がなければ、最初にシース110が皮膚の中に挿入された位置と変更すべき挿入位置とを比較することができなくなる。しかし、本発明のインジケーター120を用いると、最初にシース110が皮膚の中に挿入された位置が分かるようになり、これにより、繰り返し施術時にシース110の挿入位置を精密に変更することができる。例えば、インジケーター120を2mm〜3mm程度移ると、シース110の挿入位置は、2mm〜3mm程度移され、これにより、リフティング位置141を2mm〜3mm程度精密に調節することができる(このために、シース110の探針部111に表示されている目盛りを活用することが好ましい)。このように、インジケーター120を用いると、本発明の手術器具を用いた新しい手術方法をより精密に行うことができる長所がある。
【0073】
このような新しい手術方法において、方向案内部150の効果は、以下の通りである。1つの環を作る本発明の手術方法において、針130は、探針部111の通孔113を二度通過して皮下組織を貫いて通るようになる。この過程で二度通過する針130が探針部111の先端部を出た以後、皮下組織を貫いて進行するときに同じ経路に移動するとか、一定部門重なる経路に移動するようになると、コグのない糸131が環状を形成することができなくなる。たとえ、環状を形成しても、糸の折れる地点が探針部111の先端に位置せずに他のところに位置するようになって、術者が所望の地点で組織をリフティングできなくなる。
【0074】
しかし、方向案内部150を探針部111の内面に設けることにより、針130が探針部111を介して先端部を出るとき、針130の経路を変更させ得るようになり、これを介して、コグのない糸131を皮膚下に環状に容易に形成することができる。
【0075】
このようなコグのない糸131を環状に形成して垂れ下がった皮下組織をリフティングする新しい手術方法は、以下のような効果を持つ。
【0076】
先ず、大部分の糸を用いる従来の手術は、一字形状の1本の糸で組織をつまんでリフティングしなければならないので、糸の表面にコグを作って施術しなければならない。しかし、コグがある糸で皮膚のシワを除去する方法は、薄い糸の厚さによってコグの固定力が弱く、コグの損傷や損失によって不均一に垂れ下がった組織をリフティングすることになる。また、糸の大部分の領域がコグからなっているので、術者が所望しない部位までも影響を与えることができる。
【0077】
しかし、本発明の手術器具を用いた手術方法は、コグを用いないので、垂れ下がった組織を不均一にリフティングさせる恐れがなく、目標とするリフティング位置141に糸131を直接かけて引っ張ることによって、十分な固定力を発揮することができ、所望の部位だけ選択的にリフティングさせることができる長所がある。
【0078】
また、コグがある糸131で皮膚のシワを除去する方法は、鋭いコグによって皮膚組織が損傷され得ることもあり、それに伴う患者の苦痛が発生することができる。しかし、本発明の手術器具を用いた手術方法は、コグによる皮膚組織の損傷や、患者の苦痛が発生しない長所がある。
【0079】
次に、本発明のインジケーター120を介して皮膚下の所望の位置上に探針部111を置くことができ、これを介して、垂れ下がったシワ周辺の皮下組織をリフティングするリフティング位置141が手術途中に変わることを防いて、コグのない糸131でリフティング手術を行うことができる長所がある。
【0080】
以外にも既存のコグがある糸で手術する場合、術者がリフティングしたい垂れ下がった皮下組織の以外に他の部分までコグによる影響を受けることができるが、本発明による分岐点が設けられたリフティング用手術器具は、コグのない糸131を皮下組織に環状でかかるようにすることにより、術者がリフティングすべき組織のみを選択的にリフティングすることができる長所がある。また、本発明の分岐点が設けられたリフティング用手術器具は、シース110の探針部111に方向案内部150を設けることにより、皮膚内で容易に環状を形成することができる長所がある。
【0081】
前述した本発明のリフティング用手術器具は、以下のように変形されることも可能である。
【0082】
図14a及び
図14bを参照すると、方向案内部250は、半円形からなることができる。半円形の方向案内部250は、半円形の前部の円弧に沿って針が移動することになり、半円形の前部の円弧によって針がスムーズに方向が転換され得る。半円形の方向案内部250は、半円形に限定されるのではなく、半楕円形でもなることができる。また、半円形の方向案内部250は、探針部の先端部に設けられることができるが、これに限定されるのではない。
図14bを参照すると、半円形の方向案内部250は、探針部の中間に設けられることもでき、この場合、針は、探針部の中間地点から方向が転換される。このように、本発明の方向案内部は、針の方向を転換することができれば、様々な形状からなることができる。
【0083】
図15を参照すると、インジケーター320は、本体部321と、本体部321に挟まれるカバー部322からなることができる。本体部321及びカバー部322には、シース310が挿入され得る孔が設けられており、本体部321にカバー部322が結合されると、インジケーター320がシース310に固定される。
【0084】
本体部321は、円筒形のベース部323と、ベース部323から延長され、ねじ山326が設けられているねじ部324からなっている。ねじ部324は、ベース部323よりも小さい直径を有し、ベース部323から延長されるものである。ベース部323とねじ部324との間には、連結部325が設けられることができる。連結部325の直径は、ベース部323よりも小さく、ねじ部324の直径よりも大きく形成されている。
【0085】
カバー部322の内部には、ねじ溝が形成されている。ねじ部324は、本体部321のカバー部322に挟まれるようになり、ねじ部324のねじ山326とカバー部322のねじ溝がねじ結合される。ここで、カバー部322の内部のねじ溝が設けられているところの直径は、ねじ部324の直径よりも小さく形成されている。カバー部322の内部のねじ溝の直径がねじ部324の直径よりも小さく形成されているので、カバー部322がねじ部324に挟まれて、完全結合されたとき、ねじ部324は、カバー部322を締めることができるようになる。
【0086】
本体部321及びカバー部322には、シース310が挿入され得る孔が設けられているものであって、ベース部323、ねじ部324のいずれもシース310が挿入され得る孔が設けられているようになる。ここで、ねじ部324が締められることは、ねじ部324のシース310が挿入され得る孔がカバー部322の内部のねじ溝によって締められることを意味する。
【0087】
前述したインジケーター320をシース310に固定する過程を窺って見ると、以下の通りである。カバー部322を本体部321に仮結合させ、インジケーター320をシース310に挿入する。インジケーター320をシース310に固定させようとする位置にインジケーター320を置いて、カバー部322を本体部321に完全結合させる。仮結合状態では、ねじ部324がカバー部322の内部のねじ溝によって締められる前であるので、インジケーター320がシース310でスライド移動可能である。しかし、完全結合状態では、カバー部322の内部のねじ溝がねじ部324を締めるので、インジケーター320は、シース310でスライド移動せずに固定される。インジケーター320をシース310で再びスライド移動させるときは、カバー部322を緩めて(仮結合状態に作って)インジケーター320を移動させることができる。
【0088】
ねじ部324には、ねじ山326と垂直な方向に延長される溝327が設けられることができる。ねじ部324の直径は、カバー部322の内部でねじ溝が形成されているところの直径よりも大きいので、ねじ部324をカバー部322の内部に挟むのが多少難しいことがある。ねじ部324に設けられた溝327は、ねじ部324が変形され得る空間を提供する。これにねじ部324がカバー部322の内部に挟まれるとき、ねじ部324が溝(327)によって一部変形されることができ、これを介して、ねじ部324をカバー部322に容易に挟まれることができるようになる。
【0089】
本体部321またはカバー部322の外面には、表示点328が設けられることができる。シース310の探針部311には、方向案内部が設けられており、手術を行う場合、シース310を回転させて方向案内部の位置を変化させて、針の経路を転換することができるようになる。表示点328は、シース310の回転角度が分かるために設けられたものである。
【0090】
インジケーター320をシース310に固定させるとき、インジケーター320に表示された表示点328とシース310の方向案内部とを並んで位置した状態で固定させる。インジケーター320がシース310に固定されると、インジケーター320は、シース310と共に回転され、これにインジケーター320に設けられている表示点328を介してシース310の回転角度が分かるようになる。
【0091】
表示点328は、本体部321またはカバー部322に設けられることができるものであって、肉眼で識別することができる位置にあると、インジケーター320の様々な地点に設けられることができる。また、表示点328の形状は、点の形態で形成され得るが、具体的に、点の形状に限定されるのではなく、目視で識別することができれば、様々な形状が使用され得ることはもちろんである。
【0092】
以上で様々な実施例を挙げて本発明を説明した。このような本発明は、コグのない糸131を環状に形成して垂れ下がった組織をリフティングする新しい手術に適用するためのものであって、新しい手術方法及び本発明の主要要旨について簡単に説明すると、以下の通りである。
【0093】
切開せずに垂れ下がった組織をリフティングするために、コグのない糸を一字形態の一本の糸で皮膚の中に挿入して引っ張ると、コグのない糸は皮下組織にかからないため、垂れ下がった組織をリフティングできなくてそのまま出てくるようになる。これにより、従来のリフティング手術方法は、コグがある糸30を皮膚の中に一字形態の一本の糸を挿入して、コグを介して垂れ下がった組織をリフティングする手術方法であった。しかし、このような従来の手術方法は、コグが十分な固定力を持つことができず、所望しない部分までリフティングされるなどの問題点がある。
【0094】
従って、コグのない糸を用いて皮下の垂れ下がった組織を糸でかけてリフティングすることが好ましい。このために、従来の手術方法は、皮膚を直接長く切開して、組織を剥離し、直視下で垂れ下がった組織に直接糸をかけてリフティングする方法であった。しかし、皮膚を直接切開する過程で出血が発生し、以後瘢痕が残ることがあるという問題点がある。
【0095】
このような皮膚を直接長く切開して組織を剥離する従来の手術方法と異なり、本出願人は、皮膚を切開せずに環状にコグのない糸を垂れ下がった組織に直接かけてリフティングする新しい手術方法を創案した。
【0096】
このような新しい手術方法を行うためには、本発明のシース110、インジケーター120、針130、スタイレット124、シース110に設けられている方向案内部150を用いるべきである。皮膚に進入孔142を作り、進入孔142を介してシース110を前進させて、シース110の先端部を垂れ下がった組織辺りに位置させる。その後、針130にコグのない糸131を通して針130を二度通過させると、垂れ下がった組織をかけてくれる環状にコグのない糸131が形成され、コグのない糸131を引っ張ることによって、垂れ下がった組織をリフティングできるようになる。
【0097】
このような新しい手術方法において、コグのない糸131を環状に形成するためにシース110は、コグのない糸131が折れる分岐点の役割をする。特に、探針部111に設けられている方向案内部150は、二度通過する針130の探針部111の先端部を出た以後、皮下組織を走行する経路を変更させることによって、針130の経路が重なることを防止することができる。これを介して、針130と共に通過するコグのない糸131を容易に皮膚下に環状に形成することができる。また、シース110を固定させ、シース110の深さと距離を精密に調節するために、本発明のインジケーター120を考案した。
【0098】
以上で様々な実施例を挙げて本発明を説明したが、これに限定されるのではない。たとえば、本発明は、顔の垂れ下がったシワを除去するために使用されることができ、胸、首、ヒップなど多くの身体部位の組織の垂れ下がったことをリフティングさせるとか、シワを除去するために本発明が使用され得ることはもちろんである。また、本発明の方向案内部が設けられたシースは、リフティング用手術器具に限定して使用されるものではなく、針の走行経路を折って針の経路を変換させて使用する様々なところに本発明が使用され得ることはもちろんである。このように、本発明の権利範囲から合理的に解釈され得るものであれば、本発明の権利範囲に属することは当然である。