特許第6654414号(P6654414)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6654414
(24)【登録日】2020年2月3日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/20 20060101AFI20200217BHJP
   H02K 5/20 20060101ALI20200217BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20200217BHJP
   H02K 1/16 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   H02K1/20 A
   H02K5/20
   H02K7/14 B
   H02K1/16 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-230116(P2015-230116)
(22)【出願日】2015年11月25日
(65)【公開番号】特開2017-99173(P2017-99173A)
(43)【公開日】2017年6月1日
【審査請求日】2018年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(72)【発明者】
【氏名】萩田 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】青木 泰高
(72)【発明者】
【氏名】中神 孝志
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 幹人
(72)【発明者】
【氏名】一瀬 友貴
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 明紀
【審査官】 三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−222977(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/022718(WO,A1)
【文献】 特開2004−201428(JP,A)
【文献】 特開2003−343439(JP,A)
【文献】 特開2014−190162(JP,A)
【文献】 特開2006−180674(JP,A)
【文献】 中国実用新案第203933181(CN,U)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0095634(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/20
H02K 1/16
H02K 5/20
H02K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延在するハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ、軸線回りに回転することで流体を圧縮する圧縮機と、
前記ハウジング内に前記ハウジングの内周面との間に隙間を有するように設けられたス
テータであって、
前記軸線方向に積層された複数の薄板鋼板によって形成された積層体であり、円筒形状
の外周面を有するステータコア本体と、
前記ステータコア本体の外周面に前記軸線方向に延在するように形成されて前記流体の
流路となる大凹部と、
前記大凹部の外面に形成された複数の小凹部と、を有するステータコアと、
を有するステータと、
前記ステータの径方向内周側に配置されたロータと、を有し、
前記圧縮機を前記軸線回りに回転駆動する電動機と、を備え、
前記流体は前記電動機側から前記圧縮機側へ流れ、
前記ステータは、前記流体の流れ方向の下流側に貫通部が形成されたコイルエンドボビンをさらに有する電動圧縮機。
【請求項2】
前記ステータは、前記ステータコア本体の外周面に形成された複数の小凹部を有する請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記ステータコア本体は、内周側に形成された複数のティースを有し、
前記ステータは、
絶縁性を有する材料によって形成され、前記ステータコアの軸線方向の一端及び他端に設けられ、
円筒形状のリング部と、
前記リング部の内周側に突出して前記ティースの軸線方向の端部に配置されるフック部と、
前記リング部の径方向に貫通する複数の貫通部と、を有するコイルエンドボビンと、
前記複数のティースと前記フック部に巻回されたコイルと、を有する請求項1又は請求項2に記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記貫通部は、前記リング部の縁部に接続されている請求項3に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電動機の駆動力によって駆動される圧縮機を有する電動圧縮機は、例えば、自動車のエンジンが停止しても必要な時に運転ができるため、カーエアコンなどに使用されている。このような電動圧縮機は、例えば、冷媒の循環量が少なく電動機の回転数が低い場合や、電動機の負荷が高い場合などは、電動機を十分に冷却することが難しくなる。
【0003】
例えば、特許文献1には、電動機の運転中においてコイルの温度上昇を抑えるために、ボビンカバーに風穴を設ける技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−044896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、モータの温度上昇を防ぎ、電動機の効率低下を抑制し、モータの発熱による破損を防止することができる電動圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様によれば、電動圧縮機は、軸線方向に延在するハウジングと、前記ハウジング内に設けられ、軸線回りに回転することで流体を圧縮する圧縮機と、前記ハウジング内に前記ハウジングの内周面との間に隙間を有するように設けられたステータであって、前記軸線方向に積層された複数の薄板鋼板によって形成された積層体であり、円筒形状の外周面を有するステータコア本体と、前記ステータコア本体の外周面に前記軸線方向に延在するように形成されて前記流体の流路となる大凹部と、前記大凹部の外面に形成された複数の小凹部と、を有するステータコアと、を有するステータと、前記ステータの径方向内周側に配置されたロータと、を有し、前記圧縮機を前記軸線回りに回転駆動する電動機と、を備え、前記流体は前記電動機側から前記圧縮機側へ流れ、前記ステータは、前記流体の流れ方向の下流側に貫通部が形成されたコイルエンドボビンをさらに有する
【0007】
このような構成によれば、複数の小凹部によって、ステータコアの伝熱面積が大きくなる。これにより、流体によるステータの冷却効率を向上させてステータの温度上昇を抑制することができる。ステータの温度上昇が抑制され、コイルの温度上昇も抑制されることにより、電動圧縮機を構成する電動機の効率を向上し、また、モータの破損を防止することができる。
【0008】
上記電動圧縮機において、前記ステータは、前記ステータコア本体の外周面に形成された複数の小凹部を有してよい。
【0009】
上記電動圧縮機において、前記ステータコア本体は、内周側に形成された複数のティースを有し、前記ステータは、絶縁性を有する材料によって形成され、前記ステータコアの軸線方向の一端及び他端に設けられ、円筒形状のリング部と、前記リング部の内周側に突出して前記ティースの軸線方向の端部に配置されるフック部と、前記リング部の径方向に貫通する複数の貫通部と、を有するコイルエンドボビンと、前記複数のティースと前記フック部に巻回されたコイルと、を有してよい。
【0010】
このような構成によれば、貫通部を流体が通過することによってコイルの温度上昇を抑制することができる。
【0011】
上記電動圧縮機において、前記貫通部は、前記リング部の縁部に接続されてよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の小凹部によって、ステータコアの伝熱面積が大きくなる。これにより、流体によるステータの冷却効率を向上させてステータの温度上昇を抑制することができる。ステータの温度上昇が抑制されることにより、電動圧縮機を構成する電動機の効率を向上し、モータの破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態の電動圧縮機の縦断面図である。
図2】本発明の実施形態の電動圧縮機のステータ及びロータの正面図である。
図3】本発明の実施形態の電動圧縮機の第一コイルエンドボビンの斜視図である。
図4】本発明の実施形態の変形例の電動圧縮機の第一コイルエンドボビンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態の電動圧縮機について図面を参照して詳細に説明する。
本実施形態の電動圧縮機は、自動車の空調装置(カーエアコン)に用いられる比較的小型の電動圧縮機である。しかしながら、本発明の対象は、このような電動圧縮機に限定されない。
図1に示すように、本実施形態の電動圧縮機1は、外郭をなすハウジング2と、ハウジング2内に設けられた電動機7と、ハウジング2内に設けられた圧縮機22と、ハウジング2外に設けられたインバータ装置33と、を備えている。本実施形態の電動圧縮機1は、インバータ装置33が一体に取り付けられているインバータ一体型の電動圧縮機1である。電動機7、及び圧縮機22は、ハウジング2の内部に密閉されている。
【0015】
電動圧縮機1は、図示しない冷媒回路に接続されている。即ち、電動圧縮機1は、凝縮器、膨張弁、蒸発器などを有する冷媒回路に組み込まれており、冷媒回路の配管内を流れる冷媒を圧縮する機械である。
【0016】
なお、以下の説明において、電動機7の回転軸8の軸線Aが延びている方向を軸線方向Daとする。また、軸線Aに直交する方向を径方向Drとし、この径方向Drで軸線Aから遠ざかる側を径方向外側と言い、この径方向Drで軸線Aに近づく側を径方向内側という。また、軸線方向Daにおいて、圧縮機22側を軸線方向第一側Da1、電動機7側を軸線方向第二側Da2という。
【0017】
インバータ装置33は、電動圧縮機1の外部の蓄電池から供給される直流電流を三相交流電流に変換して電動機7に供給する。また、インバータ装置33は、電動機7への電流供給を制御することで電動機7の動作を制御する。
インバータ装置33と電動機7との間には、端子ケース14が配置されている。端子ケース14には、外部電力線と電動機7の内部電力線とを接続する端子部が収容されている。
【0018】
ハウジング2は、アルミニウム合金などの金属によって形成されている。ハウジング2は、軸線方向Daに延在して略円筒形状に形成されたメインハウジング3と、メインハウジング3の軸線方向第一側Da1に結合された第一端部ハウジング4と、メインハウジング3の軸線方向第二側Da2に結合された第二端部ハウジング5と、を有している。端部ハウジング4,5は、ボルト6によってメインハウジング3に固定されている。
【0019】
ハウジング2には、冷媒の導入口である冷媒入口40が形成されている。冷媒入口40は、ハウジング2の軸線方向第二側Da2の端部近傍に設けられている。冷媒入口40は、電動機7の軸線方向第二側Da2より冷媒を導入するように形成されている。
ハウジング2には、冷媒の排出口である冷媒出口41が形成されている。冷媒出口41は、ハウジング2の軸線方向第一側Da1の端部近傍に設けられている。
【0020】
電動機7は、ステータ9と、ステータ9の内部に所定の間隔を介して回転自在に配置されている円筒状のロータ27と、を有している。ステータ9の外面は円筒状をなし、メインハウジング3の内周面3aとの間に所定の隙間Gを有している。
電動機7は、インバータ装置33からの電力を受けて回転力を生成する。また、電動機7は圧縮機22の旋回スクロール24と回転軸8で接続されており、生成した回転力で旋回スクロール24を軸線A回りに回転駆動する。
圧縮機22は、ハウジング2内に設けられており、固定スクロール23と旋回スクロール24と、を有している。
【0021】
電動機7の回転軸8は、軸受34を介してハウジング2に回転自在に支持されている。回転軸8の軸線方向第一側Da1の端部は、圧縮機22の旋回スクロール24の軸部25に結合され、旋回スクロール24を回転駆動する。圧縮機22は、固定スクロール23と旋回スクロール24とが互いに偏心しながら公転運動することにより、冷媒入口40から吸入した冷媒(流体)を圧縮するスクロール式の機構である。
【0022】
ステータ9は、環状をなすステータコア10と、ステータコア10の軸線方向第一側Da1(圧縮機22側)に配置されている第一コイルエンドボビン15と、ステータコア10の軸線方向第二側Da2に配置されている第二コイルエンドボビン16と、ステータコア10のティース12(図2参照)とコイルエンドボビン15,16とに巻き付けられたコイル13(巻線)と、を有している。
【0023】
ロータ27は、打抜き成形された薄い電磁鋼板(薄板鋼板)を所要枚数積層して構成される円筒状のロータコア28(ロータ鉄心)を有している。図2に示すように、ロータコア28の中心部には、回転軸8が嵌合される回転軸貫通孔29が穿設されている。ロータコア28には、その外周部位に沿って回転軸貫通孔29を取り囲むように、電動機7の極数(本実施形態では、6極)に対応した数の磁石埋め込み用の磁石用孔30が設けられ、それぞれの磁石用孔30に永久磁石31が埋め込まれている。
【0024】
ステータコア10は、環状に打抜き成形された電磁鋼板を所要枚数積層して構成されている積層体であり、円筒形状の外周面を有するステータコア本体11と、ステータコア本体11の外周面11aに軸線方向Daに延在するように形成されて冷媒の流路となる複数の大凹部35と、大凹部35の外面35a、及びステータコア本体11の外周面11aに形成された複数の小凹部36と、を有する。
【0025】
ステータコア本体11の内周側には、コイル13を巻装するためのティース12が形成されている。ティース12は、本実施形態の場合、ステータコア10の内周側に略等間隔で9箇所に設けられ、各々のティース12間にスロット32を打抜きすることにより、ティース12にコイル13が巻装可能とされている。
【0026】
大凹部35は、ステータコア本体11の外周面11aに周方向に等間隔に3つ形成されている。大凹部35は、軸線方向Daから見て、径方向内周側に凸の円弧状をなす切欠きである。大凹部35の形状は円弧状のみならず、矩形状としてもよい。大凹部35の周方向の位置は、いずれかのティース12の周方向の位置と同じである。大凹部35の数、及び大凹部35の径方向Drの深さは、冷媒の量などに応じて適宜変更することができる。
【0027】
小凹部36は、大凹部35の外面35a及びステータコア本体11の外周面11aに複数形成されている矩形状の溝である。小凹部36は、ステータコア本体11を構成する全ての電磁鋼板に同様に形成されているが、必ずしも全ての電磁鋼板に形成する必要はない。小凹部36は、矩形状のみならず、半円状してよもいし、台形状としてもよい。
また、図2の符号Bで示すような磁束密度が集中する狭い部分には、小凹部36を設けないことが好ましい。
【0028】
次に、第一コイルエンドボビン15の詳細構造について説明する。
図3に示すように、第一コイルエンドボビン15は、円筒状のリング部17と、リング部17の内周側に、周方向に略等間隔に設けられた複数のフック部18と、を有している。第一コイルエンドボビン15の外径は、ステータコア10の外径よりもやや小さく、第一コイルエンドボビン15の内径は、ステータコア10の内径よりもやや大きい。フック部18の数、及び周方向の位置は、ティース12に対応している。
【0029】
第一コイルエンドボビン15は、絶縁性を有する材料、例えば、ポリブチレンテレフタレート樹脂によって形成されている。
フック部18は、板状をなし、リング部17の軸線方向第二側Da2の端部から径方向内周側に突出するフック本体部19と、フック本体部19の径方向内側の端部より軸線方向第一側Da1に突出するコイル保持部20と、を有している。即ち、第一コイルエンドボビン15を構成する、リング部17及びフック部は、周方向から見てU字状をなしている。
【0030】
リング部17の外径は、ステータコア10の外径よりもやや小さい。リング部17の軸線方向Daの幅は、コイル13の巻き数によって設定される。リング部17の軸線方向Daの幅は、図1に示すように、コイル13が巻かれた状態において、コイル13がリング部17の軸線方向第一側Da1の端部よりもはみ出さない長さである。
【0031】
コイル保持部20は、軸線方向Daから見て、リング部17と平行となるように湾曲された板状をなしている。コイル保持部20の先端側(フック本体部19とは反対側、軸線方向第一側Da1)は、周方向の両端側に向かうに従って、漸次軸線方向Daの幅が狭くなるように形成されている。コイル保持部20の先端側の端辺には、周方向の端部に向かうに従って漸次軸線方向Daの幅が狭くなるように形成されている斜面21が形成されている。
【0032】
第一コイルエンドボビン15のリング部17には、複数の貫通溝37(貫通部)が形成されている。貫通溝37は、径方向Drに貫通する溝である。貫通溝37は、リング部17の周方向において、フック部18とは異なる位置に形成されている。貫通溝37は、周方向に隣り合うフック部18の中間の位置に形成されている。貫通溝37は、リング部17の軸線方向第一側Da1の縁部17aに接続されている。
貫通溝37は、一対の溝斜面38と、一対の溝斜面38を接続する底部39とを有している。底部39の深さL(リング部17の軸線方向第一側Da1の縁部17aからの深さ)は、リング部17の軸線方向Daの幅Wの約1/2である。貫通溝37の開口率、即ち、貫通溝37を形成していないリング部17の面積に対する複数の貫通溝37の面積の割合は、20%−40%とすることができる。
【0033】
第二コイルエンドボビン16は、第一コイルエンドボビン15と、貫通溝37の有無を除いて同形状である。
【0034】
次に、冷媒の流れについて説明する。
冷媒入口40より吸引された冷媒は、密閉されたハウジング2内の電動機7を冷却しながら圧縮機22に到達し、圧縮機22で圧縮されて冷媒出口41より吐出される。冷媒の多くは、電動機7を通過する際、大凹部35を流れる。
【0035】
上記実施形態によれば、複数の小凹部36によって、ステータコア10の伝熱面積が大きくなる。これにより、冷媒によるステータ9の冷却効率を向上させてステータ9の温度上昇を抑制することができる。
【0036】
また、第一コイルエンドボビン15に形成された貫通溝37が形成されていることによって、冷媒がコイル13側に流れ易くなる。これにより、コイル13の冷却性を向上させることができる。
また、貫通溝37が冷媒の流れ方向の下流側である、第一コイルエンドボビン15に形成されていることによって、より温度上昇が激しいコイルエンドを冷却することができる。
また、貫通溝37の周方向の位置が、コイル13の位置と異なる位置になっていることによって、コイル13の絶縁性を確保することができる。
【0037】
次に、本実施形態の変形例の電動圧縮機について説明する。
図4に示すように、本実施形態の変形例の電動圧縮機の第一コイルエンドボビン15Bには、実施形態の貫通溝37(図3参照)の代替として、貫通孔43が形成されている。貫通孔43は、リング部17の軸線方向Daの中央近傍に形成された、楕円形の孔である。即ち、貫通孔43は、リング部17の軸線方向第一側Da1の縁部17aに接続されていない。
このような形状の第一コイルエンドボビン15Bとすることによって、第一コイルエンドボビン15Bの強度を向上させることができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について詳細を説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本実施形態の小凹部36は、全周に亘って形成されているが、これに限ることはなく、ステータコア10の発熱状況に応じて、一部のみに形成することもできる。
また、インバータ装置33の取り付け位置は、図1に示す位置に限ることはない。例えば、電動圧縮機1の上方に設けてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 電動圧縮機
2 ハウジング
3 メインハウジング
3a 内周面
4 第一端部ハウジング
5 第二端部ハウジング
6 ボルト
7 電動機
8 回転軸
9 ステータ
10 ステータコア
11 ステータコア本体
11a 外周面
12 ティース
13 コイル
14 端子ケース
15 第一コイルエンドボビン
16 第二コイルエンドボビン
17 リング部
17a 縁部
18 フック部
19 フック本体部
20 コイル保持部
21 斜面
22 圧縮機
23 固定スクロール
24 旋回スクロール
25 軸部
27 ロータ
28 ロータコア
29 回転軸貫通孔
30 磁石用孔
31 永久磁石
32 スロット
33 インバータ装置
34 軸受
35 大凹部
35a 外面
36 小凹部
37 貫通溝(貫通部)
38 溝斜面
39 底部
40 冷媒入口
41 冷媒出口
43 貫通孔(貫通部)
A 軸線
Da 軸線方向
Dr 径方向
図1
図2
図3
図4