(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して本願に係るオフセット電圧生成装置及びオフセット電圧生成方法の実施形態の一例について説明する。なお、以下に示す実施形態は、開示の技術に係る構成及び処理について主に示し、その他の構成及び処理の説明を省略する。また、以下に示す実施形態は、開示の技術を限定するものではない。そして、各実施形態は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせてもよい。また、各実施形態において、同一の構成及び処理には同一の符号を付与し、既出の構成及び処理の説明は省略する。
【0011】
[実施形態]
(充放電システムについて)
図1は、実施形態に係る車載システムの一例を示す図である。車載システム1は、例えば、ハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、電気自動車(EV:Electric Vehicle)、燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle)等の車両に搭載されるシステムである。車載システム1は、車両の動力源であるモータへ電力を供給する電源の充放電を含む制御を行う。
【0012】
車載システム1は、組電池2、SMR(System Main Relay)3a、SMR3b、モータ4、電池ECU10、PCU(Power Control Unit)20、MG_ECU(Motor Generator ECU)30、HV_ECU(Hybrid ECU)40を含む。なお、ECUは、Electric Control Unitの略である。
【0013】
組電池2は、図示しない車体と絶縁された電源(バッテリ)であり、直列に接続された複数、例えば2個の電池スタック2A、電池スタック2Bを含んで構成される。電池スタック2A、電池スタック2Bは、直列に接続された複数、例えば3個の電池セル2a、電池セル2bをそれぞれ含んで構成される。すなわち、組電池2は、高圧直流電源である。
【0014】
なお、電池スタックの数、電池セルの数は、上記あるいは図示のものに限定されない。また、電池セルは、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0015】
SMR3aは、HV_ECU40の制御によりオン及びオフされ、オンのときに、組電池2の最上位の電圧側とPCU20とを接続する。また、SMR3bは、オンのときに、組電池2の最低位の電圧側とPCU20とを接続する。
【0016】
(電池ECUについて)
電池ECU10は、組電池2の状態監視及び制御を行う電子制御装置である。電池ECU10は、電圧検出回路11、オフセット電圧生成部12、A/D(Analog/Digital)変換部13、制御部14、電源IC(Integrated Circuit)15を含む。電源IC15は、電圧検出回路11、オフセット電圧生成部12、A/D変換部13、制御部14へ電力を供給する。
【0017】
(電圧検出回路について)
図2は、実施形態に係る電圧検出回路の一例を示す図である。なお、
図2は、電圧検出回路の一例を示すに過ぎず、同様の機能を有する他の回路構成も採用できる。
図2に示すように、電圧検出回路11は、第1スイッチ11−1〜第7スイッチ11−7、キャパシタ11c−1、キャパシタ11c−2、第1抵抗11r−1、第2抵抗11r−2を含む。なお、第1スイッチ11−1〜第7スイッチ11−7としては、例えばソリッドステートリレー(SSR:Solid State Relay)を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0018】
ここで、キャパシタ11c−1及びキャパシタ11c−2は、フライングキャパシタとして用いられる。第5スイッチ11−5がオンとされると、キャパシタ11c−1及びキャパシタ11c−2が並列接続状態となり、キャパシタ11c−1及びキャパシタ11c−2がともにフライングキャパシタとして機能する。また、第5スイッチ11−5がオフとされると、キャパシタ11c−2が電圧検出回路11から切り離され、キャパシタ11c−1のみがフライングキャパシタとして機能する。
【0019】
なお、キャパシタ11c−1及びキャパシタ11c−2をフライングキャパシタとして用いるか、キャパシタ11c−1のみをフライングキャパシタとして用いるかは、充電されたフライングキャパシタの電圧に基づく計測対象に応じて適宜変更できる。以下では、第5スイッチ11−5がオフとされ、キャパシタ11c−1のみがフライングキャパシタとして機能する場合を説明する。しかし、これに限らず、第5スイッチ11−5がオンとされ、キャパシタ11c−1及びキャパシタ11c−2がともにフライングキャパシタとして機能する場合も同様である。
【0020】
電圧検出回路11では、キャパシタ11c−1が、電池スタック2Aの電圧、電池スタック2Bの電圧、組電池2の総電圧のそれぞれにより充電される。そして、電圧検出回路11では、充電されたキャパシタ11c−1の電圧が、電池スタック2Aの電圧、電池スタック2Bの電圧、組電池2それぞれの総電圧として検出される。
【0021】
具体的には、電圧検出回路11は、キャパシタ11c−1を介して充電側経路と放電側経路とに分かれる。充電側経路は、組電池2の電池スタック2A、電池スタック2B、組電池2それぞれに対してキャパシタ11c−1が並列接続され、電池スタック2Aの電圧、電池スタック2Bの電圧、組電池2の総電圧それぞれでキャパシタ11c−1を充電する経路を含む。また、放電側経路は、充電されたキャパシタ11c−2が放電する経路を含む。
【0022】
そして、第1スイッチ11−1〜第4スイッチ11−4、第6スイッチ11−6〜第7スイッチ11−7のオン及びオフが制御されることで、キャパシタ11c−1への充電及び放電が制御される。
【0023】
電圧検出回路11の充電側経路には、電池スタック2Aの正極側とキャパシタ11c−1との間に、第1スイッチ11−1が直列に設けられ、電池スタック2Aの負極側とキャパシタ11c−1との間に、第2スイッチ11−2が直列に設けられる。
【0024】
また、電圧検出回路11の充電側経路には、電池スタック2Bの正極側とキャパシタ11c−1との間に、第3スイッチ11−3が直列に設けられ、電池スタック2Bの負極側とキャパシタ11c−1との間に、第4スイッチ11−4が直列に設けられる。
【0025】
電圧検出回路11の放電側経路には、電池スタック2A及び電池スタック2Bの正極側の経路に第6スイッチ11−6が設けられ、第6スイッチ11−6の一端がキャパシタ11c−1と接続される。また、電池スタック2A及び電池スタック2Bの負極側の経路には、第7スイッチ11−7が設けられ、第7スイッチ11−7の一端がキャパシタ11c−2と接続される。
【0026】
そして、第6スイッチ11−6の他端は、A/D変換部13に接続されるとともに、分岐点Aで分岐して第1抵抗11r−1を介して車体GNDに接続される。また、第7スイッチ11−7の他端は、A/D変換部13に接続されるとともに、分岐点Bで分岐して第2抵抗11r−2を介して車体GNDに接続される。なお、車体GNDは、接地点の一例であり、かかる接地点の電圧を以下では「ボディ電圧」という。
【0027】
A/D変換部13は、電圧検出回路11の分岐点Aにおける電圧を示すアナログ値をデジタル値へ変換し、変換されたデジタル値を制御部14へ出力する。
【0028】
ここで、電池スタック2A、電池スタック2B、組電池2それぞれの電圧を検出する、いわゆるスタック二重監視を行うために行われるキャパシタ11c−1の充放電について説明する。なお、第5スイッチ11−5をオンとされ、キャパシタ11c−1及びキャパシタ11c−2が並列に接続されて用いられる場合も同様である。
【0029】
電圧検出回路11では、電池スタック2A、電池スタック2B、組電池2毎にキャパシタ11c−1が充電される。以下、電池スタック2A、電池スタック2Bそれぞれの電圧でキャパシタ11c−1を充電し、充電されたキャパシタ11c−1の電圧から電池スタック2A、電池スタック2Bそれぞれの電圧を計測する処理を「スタック計測」という。また、スタック計測は、組電池2の総電圧でキャパシタ11c−1を充電し、キャパシタ11c−1の電圧から組電池2の総電圧を計測する処理を含む場合もある。以下、スタック計測により行う電池スタック2A、電池スタック2B、組電池2の充放電を含む状態監視を、「スタック二重監視」という。
【0030】
電池スタック2Aの電圧でキャパシタ11c−1を充電する場合は、
図2において、第1スイッチ11−1及び第2スイッチ11−2がオンとされ、第3スイッチ11−3〜第4スイッチ11−4、第6スイッチ11−6〜第7スイッチ11−7がオフとされる。これにより、電池スタック2A及びキャパシタ11c−1を含む経路(以下「第1経路」という)が形成され、電池スタック2Aの電圧によりキャパシタ11c−1が充電される。
【0031】
そして、第1経路が形成されてから所定時間の経過後、キャパシタ11c−1を放電させる。具体的には、第1スイッチ11−1及び第2スイッチ11−2がオフとされ、第6スイッチ11−6及び第7スイッチ11−7がオンとされる。これにより、キャパシタ11c−1、第1抵抗11r−1及び第2抵抗11r−2を含む経路(以下「第2経路」という)が形成され、キャパシタ11c−1が放電する。
【0032】
そして、第6スイッチ11−6の他端には、分岐点AでA/D変換部13が接続されるため、キャパシタ11c−1の電圧がA/D変換部13へ入力される。A/D変換部13は、第6スイッチ11−6及び第7スイッチ11−7がオンとされたときに入力されたアナログ値の電圧をデジタル値に変換して制御部14へ出力する。これにより、電池スタック2Aの電圧が検出されることとなる。
【0033】
また、電池スタック2Bの電圧でキャパシタ11c−1を充電する場合は、
図2において、第3スイッチ11−3〜第4スイッチ11−4がオンとされ、第1スイッチ11−1〜第2スイッチ11−2、第6スイッチ11−6〜第7スイッチ11−7がオフとされる。これにより、電池スタック2B及びキャパシタ11c−1を含む経路が形成(以下「第3経路」という)され、電池スタック2Bの電圧によりキャパシタ11c−1が充電される。
【0034】
そして、第3経路が形成されてから所定時間の経過後、キャパシタ11c−1を放電させる。具体的には、第3スイッチ11−3及び第4スイッチ11−4がオフとされ、第6スイッチ11−6及び第7スイッチ11−7がオンとされる。これにより、第2経路が形成され、キャパシタ11c−1が放電する。
【0035】
そして、第6スイッチ11−6の他端には、分岐点AでA/D変換部13が接続されるため、キャパシタ11c−1の電圧がA/D変換部13へ入力される。A/D変換部13は、第6スイッチ11−6及び第7スイッチ11−7がオンしたときに入力されたアナログ値の電圧をデジタル値に変換して制御部14へ出力する。これにより、電池スタック2Bの電圧が検出されることとなる。
【0036】
また、組電池2の総電圧でキャパシタ11c−1を充電する場合は、
図2において、第1スイッチ11−1及び第4スイッチ11−4がオンとされ、第2スイッチ11−2〜第3スイッチ11−3、第6スイッチ11−6〜第7スイッチ11−7がオフとされる。これにより、組電池2及びキャパシタ11c−1を含む経路(以下「第4経路」という)が形成され、組電池2の総電圧によりキャパシタ11c−1が充電される。
【0037】
そして、第4経路が形成されてから所定時間の経過後、キャパシタ11c−1を放電させる。具体的には、第1スイッチ11−1及び第4スイッチ11−4がオフとされ、第6スイッチ11−6及び第7スイッチ11−7がオンとされる。これにより、第2経路が形成され、キャパシタ11c−1が放電する。
【0038】
そして、第6スイッチ11−6の他端には、分岐点AでA/D変換部13が接続されるため、キャパシタ11c−1の電圧がA/D変換部13へ入力される。A/D変換部13は、第6スイッチ11−6及び第7スイッチ11−7がオンとされたときに入力されたアナログ値の電圧をデジタル値に変換して制御部14へ出力する。これにより、組電池2の総電圧が検出されることとなる。
【0039】
また、電圧検出回路11には、第1抵抗11r−1と、第2抵抗11r−2とが設けられる。また、電圧検出回路11には、組電池2の正極側に絶縁抵抗Rpと組電池2の負極側に絶縁抵抗Rnとが設けられる。絶縁抵抗Rpは、組電池2の総正電圧とボディ電圧との間の絶縁抵抗である。また、絶縁抵抗Rnは、組電池2の総負電圧とボディ電圧との間の絶縁抵抗である。車両絶縁抵抗の劣化は、後述のように電圧検出回路11の各スイッチのオン及びオフを制御することによりキャパシタ11c−1が充電された際の電圧をもとに判定される。実施形態では、車両絶縁抵抗の劣化の検知は、DC(Direct Current)電圧印加方式を採用する。
【0040】
なお、実施形態において、絶縁抵抗Rp及びRnは、実装された抵抗と、車体GNDに対する絶縁を仮想的に表した抵抗との合成抵抗値を示すが、実装した抵抗、仮想的な抵抗のいずれであるかは問わない。
【0041】
絶縁抵抗Rp及びRnの各抵抗値は、正常時にはほとんど通電することが無い程度に十分に大きい値、例えば数MΩとされる。しかし、絶縁抵抗Rp、絶縁抵抗Rnが劣化した異常時には、例えば組電池2が車体GND等と短絡して、あるいは短絡に近い状態となって通電してしまう程度の抵抗値に低下する。
【0042】
ここで、絶縁抵抗Rp及びRnの劣化を検出するために行われる、キャパシタ11c−1の充電及び放電について説明する。絶縁抵抗Rpに該当する第1抵抗11r−1の劣化を検出する計測処理を「Rp計測」という。Rp計測において、第4スイッチ11−4及び第6スイッチ11−6がオンとされ、第2スイッチ11−2〜第3スイッチ11−3、第7スイッチ11−7がオフとされる。これにより、電池スタック2Bの負極側、第4スイッチ11−4、キャパシタ11c−1、第6スイッチ11−6、第1抵抗11r−1、車体GNDが接続される。
【0043】
すなわち、電池スタック2Bの負極側、第4スイッチ11−4、キャパシタ11c−1、第6スイッチ11−6、第1抵抗11r−1、車体GNDを結ぶ経路(以下「第5経路」という)形成される。この際、第1抵抗11r−1の抵抗値が正常である場合には、第5経路はほとんど導通せず、キャパシタ11c−1は充電されない。一方、第1抵抗11r−1が劣化して抵抗値が低下していた場合には、第5経路は導通し、キャパシタ11c−1が正極性(正電圧)で充電される。
【0044】
そして、第5経路が形成されてから所定時間、例えばキャパシタ11c−1の満充電に要する時間よりも短い所定時間の経過後、第4スイッチ11−4がオフとされる。そして、第4スイッチ11−4がオフされるとともに、第7スイッチ11−7がオンとされて第2経路が形成され、キャパシタ11c−1を放電させる。
【0045】
そして、第6スイッチ11−6の他端には、分岐点AでA/D変換部13が接続されるため、キャパシタ11c−1の電圧がA/D変換部13へ入力される。A/D変換部13は、第4スイッチ11−4がオフとされ第7スイッチ11−7がオンとされたときに入力されたアナログ値の電圧(以下「電圧VRp」という)をデジタル値に変換して制御部14へ出力する。これにより、電圧VRpが検出されることとなる。制御部14は、電圧VRpに基づいて第1抵抗11r−1の劣化を検出する。
【0046】
また、絶縁抵抗Rnに該当する第2抵抗11r−2の劣化を検出する計測処理を「Rn計測」という。Rn計測において、第1スイッチ11−1及び第7スイッチ11−7がオンとされ、第2スイッチ11−2〜第4スイッチ11−4、第6スイッチ11−6がオフとされる。これにより、電池スタック2Aの正極側、第1スイッチ11−1、キャパシタ11c−1、第7スイッチ11−7、第2抵抗11r−2、車体GNDが接続される。
【0047】
すなわち、電池スタック2Aの正極側、第1スイッチ11−1、キャパシタ11c−1、第7スイッチ11−7、第2抵抗11r−2、車体GNDを結ぶ経路(以下「第6経路」という)が形成される。この際、第2抵抗11r−2の抵抗値が正常である場合には、第6経路はほとんど導通せず、キャパシタ11c−1は充電されない。一方、第2抵抗11r−2が劣化して抵抗値が低下していた場合には、第6経路は導通し、キャパシタ11c−1が負極性(負電圧)で充電される。キャパシタ11c−1が負極性(負電圧)で充電されるのは、ボディ電圧が、組電池2の電圧よりも高くなる場合があるためである。
【0048】
そして、第6経路が形成されてから所定時間、例えばキャパシタ11c−1の満充電に要する時間よりも短い所定時間の経過後、第1スイッチ11−1がオフとされる。そしてて、第1スイッチ11−1がオフとされるとともに、第6スイッチ11−6がオンとされて第2経路が形成され、キャパシタ11c−1を放電させる。
【0049】
そして、第6スイッチ11−6の他端には、分岐点AでA/D変換部13が接続されるため、キャパシタ11c−1の電圧がA/D変換部13へ入力される。A/D変換部13は、第1スイッチ11−1がオフとされ第6スイッチ11−6がオンとされたときに入力されたアナログ値の電圧(以下「電圧VRn」という)をデジタル値に変換して制御部14へ出力する。これにより、電圧VRnが検出されることとなる。制御部14は、電圧VRnに基づいて第2抵抗11r−2の劣化を検出する。
【0050】
(オフセット電圧生成部について)
図3は、実施形態に係るオフセット電圧生成部の一例を示す図である。なお、
図3は、オフセット電圧生成部の一例を示すに過ぎず、同様の機能を有する他の回路構成も採用できる。
図3に示すように、オフセット電圧生成部12は、切替部12S、差動増幅器12DA、キャパシタ12c、抵抗12rを含む。
【0051】
切替部12Sは、端子12t−1を有するとともに、接地される。端子12t−1は、電源IC15又は補機バッテリ等から供給される電源を切替部12Sへ入力するとともに、制御部14からの切り替え指示を切替部12Sへ入力する。切替部12Sは、制御部14からの切り替え指示がオン、すなわち「第1のオフセット電圧の生成」の指示に応じて、第1のオフセット電圧を生成するように、後述する差動増幅器12DAの正極入力12DA−1へ入力する電圧を切り替える。また、切替部12Sは、制御部14からの切り替え指示がオフ、すなわち「第2のオフセット電圧の生成」の指示に応じて、第2のオフセット電圧を生成するように、後述する差動増幅器12DAの正極入力12DA−1へ入力する電圧を切り替える。
【0052】
なお、第1のオフセット電圧は、第2のオフセット電圧よりも大きいオフセット電圧であり、負極性で充電されたキャパシタ11c−1の電圧を測定する際に、計測電圧をA/D変換部13の計測範囲に納めることができるオフセット電圧である。また、第2のオフセット電圧は、0以上の電圧であり、正極性で充電されたキャパシタ11c−1の電圧を測定する際に、計測電圧をA/D変換部13の計測範囲に納めることができるオフセット電圧である。
【0053】
差動増幅器12DAは、端子12t−2、正極入力12DA−1、負極入力12DA−2を有する。端子12t−2は、差動増幅器12DAの正電源端子であり、電源IC15又は補機バッテリ等から供給される電力を差動増幅器12DAへ入力する。また、差動増幅器12DAの負電源入力端子側は、接地される。負極入力12DA−2は、キャパシタ12cを介して接地される。また、負極入力12DA−2は、抵抗12rを介して接地される。
【0054】
差動増幅器12DAは、正極入力12DA−1及び負極入力12DA−2の入力差に応じた増幅電圧を出力する。差動増幅器12DAが出力する増幅電圧は、キャパシタ12cへ入力される。また、差動増幅器12DAが出力する増幅電圧は、出力端子12t−3を介して、電圧検出回路11からA/D変換部13への経路上の合流点Cにおいて、電圧検出回路11からA/D変換部13へ出力される電圧にオフセット電圧として加算される。
【0055】
(A/D変換部について)
A/D変換部13は、電圧検出回路11から出力された電圧に、合流点C(
図1及び
図2)においてオフセット電圧生成部12から出力されたオフセット電圧が加算されたアナログの電圧を、デジタルの電圧へ変換する。そして、A/D変換部13は、変換したデジタルの電圧を、制御部14へ出力する。なお、A/D変換部13は、例えば入力電圧を例えば0〜5[V]程度の所定範囲の電圧へ変換して検出する。
【0056】
(制御部について)
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を有するマイクロコンピュータ等の処理装置である。制御部14は、電圧検出回路11、オフセット電圧生成部12、A/D変換部13等を含む電池ECU10全体を制御する。制御部14は、充電経路形成部14a、放電経路形成部14b、監視部14c、オフセット電圧生成制御部14dを含む。
【0057】
充電経路形成部14aは、電圧検出回路11が有する第1スイッチ11−1〜第7スイッチ11−7(
図2参照)のオン及びオフを制御し、電圧検出回路11において充電経路を形成する。また、放電経路形成部14bは、電圧検出回路11が有する第1スイッチ11−1〜第7スイッチ11−7のオン及びオフを制御し、電圧検出回路11において放電経路を形成する。
【0058】
なお、第1スイッチ11−1〜第7スイッチ11−7のスイッチングパターンは、RAM及びROM等の記憶部に予め記憶させておくものとする。そして、充電経路形成部14a及び放電経路形成部14bは、適切なタイミングで記憶部からスイッチングパターンを読み出すことによって、充電経路又は放電経路を形成する。
【0059】
監視部14cは、放電経路形成部14bにより放電経路が形成されると、充電されたキャパシタ11c−1の電圧をA/D変換部13を介して検出する。なお、監視部14cは、電圧を検出する際に、後述するオフセット電圧生成制御部14dにより生成され加算されたオフセット電圧を加味して、電圧を検出する。例えば、監視部14cは、電圧を検出する際に、加算されたオフセット電圧に該当する電圧を減算して電圧を検出する。
【0060】
具体的には、監視部14cは、充電されたキャパシタ11c−1の電圧に基づいて、電池スタック2Aの電圧、電池スタック2Bの電圧、組電池2の総電圧それぞれを計測する。
【0061】
また、監視部14cは、充電されたキャパシタ11c−1の電圧に基づいて電圧VRpを検出し、検出した電圧VRpに基づいて絶縁抵抗Rp、すなわち第1抵抗11r−1の劣化を判定する。同様に、監視部14cは、充電されたキャパシタ11c−1の電圧に基づいて電圧VRnを検出し、検出した電圧VRnに基づいて絶縁抵抗Rn、すなわち第2抵抗11r−2の劣化を判定する。
【0062】
また、監視部14cは、検出したキャパシタ11c−1の電圧に基づく、電池スタック2A、電池スタック2Bの電圧、組電池2の総電圧、電圧VRp、電圧VRnそれぞれの状態の判定結果を示す情報を、上位装置であるHV_ECU40(
図1参照)へ出力する。
【0063】
オフセット電圧生成制御部14dは、充電経路形成部14a、放電経路生成部14b、監視部14cが、スタック二重監視、Rp計測、Rn計測を実行中であるか、後述する昇圧電圧が基準閾値以下であるか否かに応じて、切替部12Sのオン及びオフを制御する。
【0064】
具体的には、オフセット電圧制御部14dは、スタック二重監視の処理を実行中もしくは実行開始時には、オフセット電圧生成部12の切替部12Sをオフに制御する。そして、オフセット電圧制御部14dは、オフセット電圧生成部12が、第1のオフセット電圧よりもオフセット量が小さい第2のオフセット電圧を出力するように制御する。この時、A/D変換部13へ入力される電圧は、合流点C(
図1及び
図2)において第2のオフセット電圧が加算されてA/D変換部13へ入力される。
【0065】
また、オフセット電圧制御部14dは、Rp計測の処理を実行中もしくは実行開始時には、オフセット電圧生成部12の切替部12Sをオフに制御して、オフセット電圧生成部12が、第2のオフセット電圧を出力するように制御する。この時、A/D変換部13へ入力される電圧は、合流点C(
図1及び
図2)において第2のオフセット電圧が加算されてA/D変換部13へ入力される。
【0066】
また、オフセット電圧制御部14dは、Rn計測の処理を実行中もしくは実行開始時であって、HV_ECU40から取得したPCU20の昇圧電圧が基準電圧以下である場合には、次の処理を行う。すなわち、オフセット電圧制御部14dは、オフセット電圧生成部12の切替部12Sをオフに制御して、オフセット電圧生成部12が、第2のオフセット電圧を出力するように制御する。この時、A/D変換部13へ入力される電圧は、合流点C(
図1及び
図2)において第2のオフセット電圧が加算されてA/D変換部13へ入力される。
【0067】
また、オフセット電圧制御部14dは、Rn計測の処理を実行中もしくは実行開始時であって、HV_ECU40から取得したPCU20の昇圧電圧が基準電圧を越える場合には、次の処理を行う。すなわち、オフセット電圧制御部14dは、オフセット電圧生成部12の切替部12Sをオンに制御して、オフセット電圧生成部12が、第1のオフセット電圧を出力するように制御する。この時、A/D変換部13へ入力される電圧は、合流点C(
図1及び
図2)において第1のオフセット電圧が加算されてA/D変換部13へ入力される。
【0068】
(PCUについて)
PCU20は、モータ4や車両の電装機器等へ供給する電源電圧を昇圧するとともに、直流から交流の電圧に変換する。
図1に示すように、PCU20は、組電池2の正極側及び負極側と接続される。PCU20は、DCDCコンバータ21、3相インバータ22、低圧側平滑用キャパシタ23a、高圧側平滑用キャパシタ23bを含む。
【0069】
(MG_ECUについて)
MG_ECU30は、PCU20の状態監視及び制御を行う電子制御装置である。具体的には、MG_ECU30は、DCDCコンバータ21及び3相インバータ22の各動作状態や、低圧側平滑用キャパシタ23a及び高圧側平滑用キャパシタ23bの充電状態を監視する。そして、MG_ECU30は、PCU20における昇圧の有無や昇圧電圧に関する情報を取得し、上位装置であるHV_ECU40へ通知する。また、MG_ECU30は、HV_ECU40の指示に応じて、PCU20の動作を制御する。
【0070】
(HV_ECUについて)
HV_ECU40は、電池ECU10からの組電池2の充電状態等の監視結果の通知、及び、MG_ECU30からのPCU20における昇圧の有無や昇圧電圧に関する情報に応じて、電池ECU10及びMG_ECU30の制御を含む車両制御を行う。
【0071】
(オフセット電圧生成部の制御処理について)
図4は、実施形態に係るオフセット電圧生成部の制御処理の一例を示すフローチャートである。オフセット電圧生成部12の制御処理は、電池ECU10の制御部14のオフセット電圧生成制御部14dにより、車両始動時や車両停止時、所定時間間隔や所定走行距離毎等の、所定周期又は所定契機で、スタック計測、Rp計測、Rn計測の計測毎に実行される。
【0072】
先ず、オフセット電圧生成制御部14dは、スタック二重監視を実行か否かを判定する(ステップS11)。オフセット電圧生成制御部14dは、スタック二重監視を実行の場合(ステップS11:Yes)、ステップS12へ処理を移す。一方、オフセット電圧生成制御部14dは、スタック二重監視を実行でない場合(ステップS11:No)、ステップS13へ処理を移す。ステップS12では、オフセット電圧生成制御部14dは、オフセット電圧生成部12の切替部12Sをオフにする。すなわち、オフセット生成部12は、第2のオフセット電圧を出力することになる。
【0073】
ステップS13では、オフセット電圧生成制御部14dは、Rp計測か否かを判定する。オフセット電圧生成制御部14dは、Rp計測である場合(ステップS13:Yes)、ステップS12へ処理を移す。一方、オフセット電圧生成制御部14dは、Rp計測でない場合、すなわちRn計測の場合(ステップS13:No)、ステップS14へ処理を移す。
【0074】
ステップS14では、オフセット電圧生成制御部14dは、HV_ECU40から取得したPCU20における昇圧電圧が基準閾値以下であるか否かを判定する。なお、ここでの基準閾値は、例えば組電池2の総電圧の2倍程度である。オフセット電圧生成制御部14dは、昇圧電圧が基準閾値以下である場合(ステップS14:Yes)、ステップS12へ処理を移す。一方、オフセット電圧生成制御部14dは、昇圧電圧が基準閾値以下でない場合(ステップS14:No)、ステップS15へ処理を移す。
【0075】
ステップS15では、オフセット電圧生成制御部14dは、オフセット電圧生成部12の切替部12Sをオンにする。すなわち、オフセット生成部12は、第1のオフセット電圧を出力することになる。なお、PCU20における昇圧電圧は、Rn計測においてフライングキャパシタの負チャージと同極性の負チャージとなり、ライングキャパシタの負チャージを増幅する要因となる。このため、昇圧電圧が基準閾値より大である場合には、より大きいオフセット電圧である第1のオフセット電圧でオフセットすることで、A/D変換部13の適切な検出範囲でフライングキャパシタの電圧を検出することができる。ステップS12又はステップS15が終了すると、オフセット電圧生成制御部14dは、オフセット電圧生成部の制御処理を終了する。
【0076】
図5は、実施形態に係るオフセット電圧生成部の制御処理の一例を示すタイミングチャートである。
図5に示すように、タイミングt1〜t2において、スタック計測であるので、オフセット電圧生成制御部14dは、オフセット電圧生成部12の切替部12Sをオフに制御する。そして、オフセット電圧生成制御部14dは、第1のオフセット電圧よりも小さい第2のオフセット電圧を電圧検出回路11がA/D変換部13へ出力する電圧に加算する。また、タイミングt2〜t3において、昇圧電圧が基準閾値を越えているが、スタック計測であるので、オフセット電圧生成制御部14dは、オフセット電圧生成部12の切替部12Sをオフに制御する。そして、オフセット電圧生成制御部14dは、第2のオフセット電圧を電圧検出回路11がA/D変換部13へ出力する電圧に加算する。
【0077】
また、タイミングt3〜t4において、Rp計測であるので、オフセット電圧生成制御部14dは、オフセット電圧生成部12の切替部12Sをオフに制御し、第2のオフセット電圧を電圧検出回路11がA/D変換部13へ出力する電圧に加算する。また、タイミングt4〜t5において、Rn計測であるが、昇圧電圧が基準閾値以下であるので、オフセット電圧生成制御部14dは、次の処理を行う。すなわち、オフセット電圧生成制御部14dは、オフセット電圧生成部12の切替部12Sをオフに制御し、第2のオフセット電圧を電圧検出回路11がA/D変換部13へ出力する電圧に加算する。
【0078】
また、タイミングt5〜t6において、昇圧電圧が基準閾値を越えているが、Rp計測であるので、オフセット電圧生成制御部14dは、オフセット電圧生成部12の切替部12Sをオフに制御する。そして、オフセット電圧生成制御部14dは、第2のオフセット電圧を電圧検出回路11がA/D変換部13へ出力する電圧に加算する。また、タイミングt6〜t7において、Rp計測であり、昇圧電圧が基準閾値を越えているので、オフセット電圧生成制御部14dは、オフセット電圧生成部12の切替部12Sをオンに制御する。そして、オフセット電圧生成制御部14dは、第1のオフセット電圧を電圧検出回路11がA/D変換部13へ出力する電圧に加算する。すなわち、タイミングt6〜t7において、オフセット電圧生成制御部14dは、次の処理を行う。すなわち、オフセット電圧生成制御部14dは、オフセット電圧生成部12の切替部12Sをオンに制御して、第1のオフセット電圧を電圧検出回路11がA/D変換部13へ出力する電圧に加算する。
【0079】
このように、計測対象(スタック計測、Rp計測、Rn計測)に応じて電圧検出回路11がA/D変換部13へ出力する電圧に加算するオフセット電圧を可変とするので、計測対象に応じた電圧の検出範囲を設定して、電圧の検出精度を向上させることができる。
【0080】
(フライングキャパシタのチャージ電圧とオフセット電圧との関係について)
図6Aは、Rn計測時におけるフライングキャパシタのチャージ電圧とオフセット電圧との関係の一例を示す図である。
図6Bは、実施形態に係るRn計測時におけるフライングキャパシタのチャージ電圧とオフセット電圧との関係の一例を示す図である。なお、
図6A及び
図6Bでは、A/D変換部13の電圧のモニタ範囲は、0〜5[V]である例を示す。
【0081】
図6Aの(a)に示すように、Rn計測時のフライングキャパシタ(キャパシタ11c−1もしくはキャパシタ11c−1及びキャパシタ11c−2)のチャージ波形が、時刻の経過ともに逓増し、チャージ電圧が最大−3[V]になるとする。例えばオフセット電圧が+1[V]のように不適切で小さいと、
図6Aの(b)に示すように、最大チャージ電圧時に、A/D変換部13へ入力される電圧は、+1[V]−3[V]=−2[V]となる。“−2[V]”の電圧は、A/D変換部13の電圧のモニタ範囲である0〜5[V]を越えるため、検出できない。すなわち、オフセット電圧が不適切で小さいと、Rn計測時のように負電圧をモニタする場合に、モニタレンジが狭くなり、負電圧を検出することができない。
【0082】
そこで、実施形態では、
図6Bの(c)に示すように、例えばオフセット電圧を+4[V]のように適切とする。すると、最大チャージ電圧時に、A/D変換部13へ入力される電圧は、+4[V]−3[V]=+1[V]となり、A/D変換部13の電圧のモニタ範囲に収まるため、電圧を検出できる。すなわち、Rn計測時のように負電圧をモニタする場合は、オフセット電圧を適切に大きく取ると、モニタレンジを広くでき、負電圧を検出することができる。
【0083】
また、
図6Cは、Rp計測時及びスタック計測時におけるフライングキャパシタのチャージ電圧とオフセット電圧との関係の一例を示す図である。
図6Dは、実施形態に係るRp計測時及びスタック計測時におけるフライングキャパシタのチャージ電圧とオフセット電圧との関係の一例を示す図である。なお、
図6C及び
図6Dでは、A/D変換部13の電圧のモニタ範囲は、0〜5[V]である例を示す。
【0084】
図6Cの(a)に示すように、Rp計測時のフライングキャパシタ(キャパシタ11c−1もしくはキャパシタ11c−1及びキャパシタ11c−2)のチャージ波形が、時刻の経過ともに逓増し、チャージ電圧が最大+4[V]になるとする。例えばオフセット電圧が+3[V]のように不適切に大きいと、
図6Cの(b)に示すように、最大チャージ電圧時に、A/D変換部13へ入力される電圧は、+3[V]+4[V]=+7[V]となる。“+7[V]”という電圧は、A/D変換部13の電圧のモニタ範囲0〜5[V]を越えるため、検出できない。すなわち、オフセット電圧が不適切に大きいと、Rp計測時のように正電圧をモニタする場合に、モニタレンジが狭くなり、正電圧を検出することができない。
【0085】
そこで、実施形態では、
図6Dの(c)に示すように、例えばオフセット電圧が+0.5[V]のように適切とすると、最大チャージ電圧時に、A/D変換部13へ入力される電圧は、+0.5[V]+4[V]=+4.5[V]となる。この“+4.5[V]”という電圧は、A/D変換部13の電圧のモニタ範囲に収まるため、検出できる。すなわち、Rp計測時のように正電圧をモニタする場合に応じて、オフセット電圧を適切な大きさとすると、モニタレンジを広くでき、正電圧を検出することができる。
【0086】
例えば、A/D変換部13が検出する電圧の精度を向上させるため、A/D変換部13もしくはA/D変換部13の入力前段にオペアンプ等が設けられる。しかし、一般的に、オペアンプは、0[V]付近で電圧の変換誤差を含み、また、検出範囲が所定範囲の正電圧であるという制限がある。さらに、車両の高圧系システムの構成上、絶縁異常検知を行う際に、モータ駆動側の昇圧コンバータ等の影響により、フライングキャパシタに逆極性のチャージが意図せず行われることがある。このため、フライングキャパシタの電圧に基づく絶縁異常検知等において、負電圧が検出されない、0[V]付近の電圧が正確に検出されないという問題がある。
【0087】
しかし、以上の実施形態によれば、フライングキャパシタの充電が正の場合には、第1のオフセット電圧及び第1のオフセット電圧よりも小さい第2のオフセット電圧のうち、第2のオフセット電圧を加算してフライングキャパシタの電圧を測定する。一方、フライングキャパシタの充電が負の場合には、第1のオフセット電圧を加算してフライングキャパシタの電圧を測定する。これにより、フライングキャパシタの電圧の正負に応じて適切なオフセット電圧を加算するので、正負の両電圧を精度よく計測することができる。
【0088】
また、以上の実施形態によれば、逆極性でフライングキャパシタの充電が行われる計測モードを判定した結果に基づきオフセット電圧の切り替えを行うので、不必要なオフセット電圧の切り替えが頻繁に行われることを回避できる。
【0089】
また、以上の実施形態によれば、フライングキャパシタの充電の正負に応じてオフセット電圧を可変とするため、差動増幅器12DAの差動増幅率をより低く設定できる。また、以上の実施形態によれば、A/D変換部13におけるフライングキャパシタの電圧の測定の際の、0[V]付近のLSB(Least Significant Bit)誤差等を低減できる。
【0090】
[その他の実施形態]
(1)オフセット電圧生成装置の最小構成
実施形態では、電池ECU10において、オフセット電圧生成部12が、制御部14のオフセット電圧生成制御部14dの制御のもと、オフセット電圧を切り替えて出力するとした。しかし、これに限らず、オフセット電圧生成部12及びオフセット電圧生成制御部14dを含んで構成される構成を、オフセット電圧生成装置の最小構成としてもよい。すなわち、この最小構成のオフセット電圧生成装置単位で、A/D変換部13の入力前段においてオフセット電圧を加算するように接続できるとしてもよい。
【0091】
(2)昇圧電圧が基準閾値以下であるかの判定の省略
図4に示すオフセット電圧生成部12の制御処理において、オフセット電圧生成制御部14dは、ステップS13:Noの場合にステップS14を実行するとしたが、ステップS13:Noの場合にステップS14を実行せずにステップS15を実行するとしてもよい。すなわち、オフセット電圧生成制御部14dは、Rp計測の場合はオフセット電圧生成部12の切替部12Sをオフに、Rn計測の場合はオフセット電圧生成部12の切替部12Sをオンにするとしてもよい。すなわち、キャパシタ11c−1(もしくはキャパシタ11c−1及びキャパシタ11c−2)の充電の正負に応じて、オフセット電圧生成部12の切替部12Sのオン及びオフを制御してもよい。これにより、キャパシタ11c−1(もしくはキャパシタ11c−1及びキャパシタ11c−2)の充電が負の場合にはよりオフセット量が大きい第1のオフセット電圧を電圧検出回路11の出力電圧に加算し、Rn計測の際の検出電圧の精度を高めることができる。
【0092】
(3)昇圧電圧が基準閾値以下の判定の代替処理
図4に示すオフセット電圧生成部12の制御処理において、オフセット電圧生成制御部14dは、ステップS14として、昇圧電圧が基準閾値以下であるかを判定する。しかし、オフセット電圧生成制御部14dは、ステップS14において、昇圧電圧が基準閾値以下であるかの判定に代えて、HV_ECU40からの昇圧電圧の有無の通知があったか否かを判定してもよい。例えば、オフセット電圧生成制御部14dは、昇圧電圧の有りの場合にステップS15へ処理を移し、昇圧電圧の無しの場合にステップS12へ処理を移すとしてもよい。すなわち、Rn計測におけるフライングキャパシタの負極性の充電と同極性の負極性のチャージの要因となるPCU20による昇圧電圧が発生した場合に、フライングキャパシタの負極性の充電が増幅される。よって、より大きいオフセット電圧である第1のオフセット電圧でオフセットすることで、A/D変換部13の適切な検出範囲でフライングキャパシタの電圧を検出できる。
【0093】
また、
図4に示すオフセット電圧生成部の制御処理におけるステップS14の判定処理に代えて、オフセット電圧生成制御部14dは、HV_ECU40から通知された組電池2の総電圧が所定の基準以下であるか否かを判定してもよい。例えば、オフセット電圧生成制御部14dは、組電池2の総電圧が所定の基準電圧以下である場合にステップS15へ処理を移し、組電池2の総電圧が所定の基準電圧より大である場合にステップS12へ処理を移すとしてもよい。すなわち、組電池2の総電圧が所定の基準電圧以下であると、Rn計測におけるフライングキャパシタの負極性の充電が想定する程度に十分になされず、フライングキャパシタの負極性の充電が減殺される。よって、より小さいオフセット電圧である第2のオフセット電圧でオフセットすることで、A/D変換部13の適切な検出範囲でフライングキャパシタの電圧を検出できる。
【0094】
(4)オフセット電圧のバラツキ考慮
切替部12Sを含むオフセット電圧生成部12は、回路素子の個体差や経年劣化等により、生成するオフセット電圧にバラツキがある場合がある。
図7Aは、オフセット電圧にバラツキがある場合の問題点の一例を示す図である。
【0095】
図7Aの(a)に示すように、各種の計測時のフライングキャパシタ(キャパシタ11c−1もしくはキャパシタ11c−1及びキャパシタ11c−2)のチャージ波形が、時刻の経過ともに逓増し、チャージ電圧が最大+v1[V]になるとする。例えば、オフセット電圧生成部12の個体差や経年劣化等を考慮しないオフセット電圧v0[V]の場合、
図7Aの(b)に示すように、最大チャージ電圧時に、A/D変換部13へ入力される電圧は、v0+v1[V]となり、想定される電圧v2[V]と異なる。すなわち、オフセット電圧生成部12が生成するオフセット電圧のバラツキを考慮しないと、電圧を正しく検出することができない。
【0096】
そこで、
図7Bの(a)に示すように、例えばキャパシタ11c−1の電圧が+0Vのとき(すなわちキャパシタに電荷がチャージされていないとき)に、オフセット電圧を加算したA/D変換部13への入力電圧をサンプリングする。そして、
図7Bの(b)に示すように、サンプリングした入力電圧を各種統計処理(最大値算出、平均値算出、加重平均算出、中値算出、最頻算出等)し、統計処理した結果に基づくバラツキを用いてオフセット電圧を補正するとしてもよい。
図7Bの(b)は、設計値である想定オフセット電圧がv0[V]であり、バラツキが{v2−(v0+v1)}[V](
図7Aの(b)参照)である場合に、想定オフセット電圧にバラツキを加算したv0+{v2−(v0+v1)}=v2−v1[V]を、実測値に基づくオフセット電圧とする例を示す。なお、“電圧が+0[V]のとき”とは、各種計測処理の前後のいずれのタイミングであってもよい。
【0097】
例えば、キャパシタ11c−1の電圧が+0[V]のときに、オフセット電圧を加算したA/D変換部13への入力電圧のサンプリング結果が、本来+3.0[V]であると想定されるところ、実測値が+2.5[V]である場合を考える。この場合、オフセット電圧にさらに+0.5[V]の補正を行う。このようにして補正したオフセット電圧を用いることで、オフセット電圧生成部12が生成するオフセット電圧のバラツキに対応して電圧を正しく検出することができる。また、このようなオフセット電圧生成部12が生成するオフセット電圧の補正をフィードバックして行うことにより、より精度よいオフセット電圧を設定することができる。
【0098】
なお、キャパシタ11c−1の電圧が+0[V]のときのA/D変換部13への入力電圧が想定範囲外であった場合には、オフセット電圧が異常であるとして、HV_ECU40等の上位装置へ異常を通知するようにしてもよい。このA/D変換部13への入力電圧の想定範囲は、例えば0近傍の正値あるいは0を含んでもよい。
【0099】
(5)オフセット電圧生成の切替の構成
実施形態では、オフセット電圧生成部12の切替部12Sのスイッチによる回路切り替えにより生成するオフセット電圧を切り替えるとしたが、これに限らず、オフセット電圧の電源側の出力を変化させてオフセット電圧を切り替えるとしてもよい。
【0100】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。