特許第6654445号(P6654445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6654445
(24)【登録日】2020年2月3日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】操舵装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20200217BHJP
   F16H 1/32 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   B62D5/04
   F16H1/32 A
【請求項の数】11
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-10700(P2016-10700)
(22)【出願日】2016年1月22日
(65)【公開番号】特開2017-128300(P2017-128300A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2018年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】中井 悠人
(72)【発明者】
【氏名】中村 江児
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−238885(JP,A)
【文献】 特開2014−101071(JP,A)
【文献】 特開平10−129510(JP,A)
【文献】 特開2005−096578(JP,A)
【文献】 特開平10−059192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/04
F16H 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングシャフトに加わったトルクに応じた操舵力を生成するモータと、
前記モータによって生成された操舵力が入力される入力機構と、前記入力機構に入力された前記操舵力に応じて所定の回転軸周りに回転する第1出力シャフトを有する出力機構と、を含む減速機と、
前記回転軸と交差するように前記第1出力シャフトに接続される接続部を有するピットマンアームと、を備え、
前記出力機構は、前記ステアリングシャフトの回転に応じて回転するステアリングギアに噛み合うように、前記第1出力シャフトに取り付けられた第1ギアを含み、
前記モータは、前記第1ギア及び前記接続部と同軸回転し、前記操舵力を出力する回転シャフトを含み、
前記接続部は、前記第1出力シャフトと同軸回転する
操舵装置。
【請求項2】
前記入力機構は、前記回転シャフトに形成されたギア部と噛み合う第2ギアと、前記第2ギアが取り付けられたクランク組立体と、を含み、
前記減速機は、前記クランク組立体に接続された少なくとも1つの歯車を有する歯車部と、前記少なくとも1つの歯車に噛み合う内歯環を含む第1外筒と、を含み、
前記クランク組立体が回転する間、前記少なくとも1つの歯車は、前記少なくとも1つの歯車の中心が、前記回転軸周りに周回するように揺動回転する
請求項に記載の操舵装置。
【請求項3】
前記出力機構は、前記クランク組立体に連結され、且つ、前記第1出力シャフトと一体的に回転するキャリアを含み、
前記第1出力シャフトは、前記第1外筒に形成された第1貫通穴を通じて、前記キャリアから前記第1外筒の外に配置された前記ピットマンアームに向けて延びる
請求項に記載の操舵装置。
【請求項4】
前記第1出力シャフトは、前記キャリアから分離可能である
請求項に記載の操舵装置。
【請求項5】
前記第1出力シャフトは、前記キャリアから分離不能である
請求項に記載の操舵装置。
【請求項6】
前記第1貫通穴に収容された第1ベアリングと、
前記第1ベアリングと前記ピットマンアームとの間に配置された第2ベアリングと、を更に備え、
前記第1出力シャフトは、前記第1ベアリングと前記第2ベアリングとを貫く
請求項乃至のいずれか1項に記載の操舵装置。
【請求項7】
前記第1外筒と協働して、前記第1ベアリングと前記第2ベアリングとの間で、前記第1出力シャフトに取り付けられた前記第1ギアが収容されるギアボックスを形成する第2外筒を更に備え、
前記第2外筒は、前記第2ベアリングが収容される第2貫通穴が形成された端壁を含み、
前記第1出力シャフトは、前記第2貫通穴を貫通し、前記ピットマンアームに連結される
請求項に記載の操舵装置。
【請求項8】
前記第1外筒内に配置された第1ベアリングと、
前記第1ベアリングと協働して、前記回転軸を定める第2ベアリングと、を更に備え、
前記第1外筒は、前記内歯環が形成された周壁を含み、
前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングは、前記周壁と前記キャリアとの間の環状空間に配置され、
前記歯車部は、前記第1ベアリングと前記第2ベアリングとの間に位置する
請求項乃至のいずれか1項に記載の操舵装置。
【請求項9】
前記第1ギアは、前記歯車部と前記ピットマンアームとの間に位置する
請求項乃至のいずれか1項に記載の操舵装置。
【請求項10】
前記ピットマンアームは、前記歯車部と前記第1ギアとの間に位置する
請求項乃至のいずれか1項に記載の操舵装置。
【請求項11】
前記出力機構は、前記第1出力シャフトと同軸の第2出力シャフトを含み、
前記第1ギアは、前記第2出力シャフトに取り付けられ、
前記ピットマンアームは、前記第1出力シャフトと前記第2出力シャフトとに接続される
請求項10に記載の操舵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される電動式の操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車輪の方向を変更する操舵装置は、様々な車両に搭載されている。特許文献1は、ピットマンアームを備える操舵機構を開示する。特許文献1に開示されるピットマンアームは、減速機に取り付けられる。ピットマンアームは、減速機の回転に応じて振れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−1564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車輪が受けた強い衝撃力は、ピットマンアームを通じて、減速機に伝達されることもある。特許文献1の技術では、衝撃力に起因して、減速機の回転軸周りの大きなモーメントが、減速機に作用することとなる。このことは、過大な負荷が減速機の内部のギアに生ずることを意味する。
【0005】
本発明は、ピットマンアームを通じて伝達された衝撃力に起因する破損を生じにくい構造を有する操舵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る操舵装置は、ステアリングシャフトに加わったトルクに応じた操舵力を生成するモータと、前記モータによって生成された操舵力が入力される入力機構と、前記入力機構に入力された前記操舵力に応じて所定の回転軸周りに回転する第1出力シャフトを有する出力機構と、を含む減速機と、前記回転軸と交差するように前記第1出力シャフトに接続される接続部を有するピットマンアームと、を備える。前記出力機構は、前記ステアリングシャフトの回転に応じて回転するステアリングギアに噛み合うように、前記第1出力シャフトに取り付けられた第1ギアを含む。前記モータは、前記第1ギア及び前記接続部と同軸回転し、前記操舵力を出力する回転シャフトを含む。前記接続部は、前記第1出力シャフトと同軸回転する。
【0007】
上記構成によれば、ピットマンアームの接続部は、第1出力シャフトの回転軸と交差し、且つ、出力機構の第1出力シャフトと同軸回転するので、ピットマンアームの回転位置に依らず、減速機上でのピットマンアームからの力の作用点は、第1出力シャフトの回転軸に略一致する。この結果、過度に大きなモーメントは、ピットマンアームを通じて伝達された衝撃力の存在下でも作用しない。したがって、減速機は、破損されにくい。
【0009】
しかも、モータの回転シャフトは、第1ギア及び前記接続部と同軸回転するので、第1出力シャフトの回転軸に直交する方向における操舵装置の寸法は、過度に大きくならない。
【0010】
上記構成に関して、前記入力機構は、前記回転シャフトに形成されたギア部と噛み合う第2ギアと、前記第2ギアが取り付けられたクランク組立体と、を含んでもよい。前記減速機は、前記クランク組立体に接続された少なくとも1つの歯車を有する歯車部と、前記少なくとも1つの歯車に噛み合う内歯環を含む第1外筒と、を含んでもよい。前記クランク組立体が回転する間、前記少なくとも1つの歯車は、前記少なくとも1つの歯車の中心が、前記回転軸周りに周回するように揺動回転してもよい。
【0011】
上記構成によれば、第2ギアは、モータの回転シャフトに形成されたギア部と噛み合うので、操舵力は、増大される。歯車部の少なくとも1つの歯車は、第1外筒の内歯環と噛み合うので、操舵力は、更に増大される。
【0012】
上記構成に関して、前記出力機構は、前記クランク組立体に連結され、且つ、前記第1出力シャフトと一体的に回転するキャリアを含んでもよい。前記第1出力シャフトは、前記第1外筒に形成された第1貫通穴を通じて、前記キャリアから前記第1外筒の外に配置された前記ピットマンアームに向けて延びてもよい。
【0013】
上記構成によれば、第1出力シャフトは、第1外筒に形成された第1貫通穴を通じて、クランク組立体に接続されたキャリアから第1外筒の外に配置されたピットマンアームに向けて延びるので、増大された操舵力は、ピットマンアームに適切に伝達される。
【0014】
上記構成に関して、前記第1出力シャフトは、前記キャリアから分離可能であってもよい。
【0015】
上記構成によれば、第1出力シャフトは、キャリアから分離可能であるので、減速機は、容易に分解され得る。
【0016】
上記構成に関して、前記第1出力シャフトは、前記キャリアから分離不能であってもよい。
【0017】
上記構成によれば、第1出力シャフトは、キャリアから分離不能であるので、第1出力シャフトをキャリアに接続するための接続構造は、必要とされない。したがって、操舵装置は、簡素な構造を有することができる。
【0018】
上記構成に関して、操舵装置は、前記第1貫通穴に収容された第1ベアリングと、前記第1ベアリングと前記ピットマンアームとの間に配置された第2ベアリングと、を更に備えてもよい。前記第1出力シャフトは、前記第1ベアリングと前記第2ベアリングとを貫いてもよい。
【0019】
上記構成によれば、第1出力シャフトは、第1ベアリングと第2ベアリングとを貫くので、第1出力シャフトは、第1ベアリングと第2ベアリングとによって適切に保持される。
【0020】
上記構成に関して、操舵装置は、前記第1外筒と協働して、前記第1ベアリングと前記第2ベアリングとの間で、前記第1出力シャフトに取り付けられた前記第1ギアが収容されるギアボックスを形成する第2外筒を更に備えてもよい。前記第2外筒は、前記第2ベアリングが収容される第2貫通穴が形成された端壁を含んでもよい。前記第1出力シャフトは、前記第2貫通穴を貫通し、前記ピットマンアームに連結されてもよい。
【0021】
上記構成によれば、第2外筒は、第1外筒と協働して、ギアボックスを形成するので、第1ギアは、第1外筒及び第2外筒によって適切に保護される。第1出力シャフトは、第2外筒の端壁に形成された第2貫通穴を貫通するので、ピットマンアームに適切に連結される。
【0022】
上記構成に関して、操舵装置は、前記第1外筒内に配置された第1ベアリングと、前記第1ベアリングと協働して、前記回転軸を定める第2ベアリングと、を更に備えてもよい。前記第1外筒は、前記内歯環が形成された周壁を含んでもよい。前記第1ベアリング及び前記第2ベアリングは、前記周壁と前記キャリアとの間の環状空間に配置されてもよい。前記歯車部は、前記第1ベアリングと前記第2ベアリングとの間に位置してもよい。
【0023】
上記構成によれば、歯車部は、第1ベアリングと第2ベアリングとの間に位置するので、歯車部の揺動回転に起因する偏心的な振動は、第1出力シャフトに伝達されにくくなる。
【0024】
上記構成に関して、前記第1ギアは、前記歯車部と前記ピットマンアームとの間に位置してもよい。
【0025】
上記構成によれば、第1ギアは、歯車部とピットマンアームとの間に位置するので、操舵装置は、減速機とピットマンアームとの間において、ステアリングシャフトと機械的に連結される。
【0026】
上記構成に関して、前記ピットマンアームは、前記歯車部と前記第1ギアとの間に位置してもよい。
【0027】
上記構成によれば、ピットマンアームは、歯車部と第1ギアとの間に位置するので、減速機が配置可能な空間が、ステアリングシャフトが配置された空間から離れていても、操舵装置は、ピットマンアームを駆動することができる。
【0028】
上記構成に関して、前記出力機構は、前記第1出力シャフトと同軸の第2出力シャフトを含んでもよい。前記第1ギアは、前記第2出力シャフトに取り付けられてもよい。前記ピットマンアームは、前記第1出力シャフトと前記第2出力シャフトとに接続されてもよい。
【0029】
上記構成によれば、ピットマンアームは、第1出力シャフトと第2出力シャフトとに接続されるので、操舵力は、ピットマンアームに適切に伝達される。
【発明の効果】
【0030】
上述の操舵装置は、ピットマンアームを通じて伝達された衝撃力に起因する破損を生じにくい構造を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第1実施形態の操舵装置の概念的なブロック図である。
図2】第2実施形態の操舵装置の概念的なブロック図である。
図3】第3実施形態の操舵装置の概略的な断面図である。
図4図3に示されるA−A線に沿う概略的な断面図である。
図5】第4実施形態の操舵装置の概略的な断面図である。
図6】第5実施形態の操舵装置の概略的な断面図である。
図7】第6実施形態の操舵装置の概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
<第1実施形態>
車両が走行している間、車輪は、大きな衝撃力を受けることがある。たとえば、車輪が縁石に乗り上げると、衝撃力は、車輪、タイロッドアーム及びピットマンアームを通じて、減速機に伝達されることもある。ピットマンアームと減速機との間の従来の連結構造によれば、ピットマンアームが減速機に接続される接続部は、減速機の回転軸周りに周回する。接続部と回転軸との間の距離と上述の衝撃力との積は、減速機に加わるモーメントに相当するので、衝撃力は、ピットマンアームと減速機との間の従来の連結構造の下では、減速機内のギアに多大な負荷を与える。第1実施形態において、減速機内のギアへの衝撃力の影響を低減する技術が説明される。
【0033】
図1は、第1実施形態の操舵装置100の概念的なブロック図である。図1を参照して、操舵装置100が説明される。
【0034】
操舵装置100は、減速機200と、ピットマンアーム300と、を備える。減速機200は、入力機構210と、出力機構220と、を含む。モータ(図示せず)や他の駆動源(図示せず)は、ステアリングシャフト(図示せず)の回転に応じて、操舵力を生成する。操舵力は、入力機構210に入力される。入力機構210及び出力機構220は、協働して、操舵力を増大させる。出力機構220は、ピットマンアーム300が接続された出力シャフト221を含む。増大された操舵力は、出力シャフト221の回転力として出力される。出力シャフト221の回転の結果、ピットマンアーム300は、振れる。ピットマンアーム300の揺振の結果、ピットマンアーム300と車輪(図示せず)とに連結されたタイロッドアーム(図示せず)が駆動され、車輪の向きが変更される。本実施形態において、第1出力シャフトは、出力シャフト221によって例示される。
【0035】
減速機200は、揺動型減速機であってもよいし、他のサイクロイド減速機であってもよい。更に代替的に、減速機は、遊星歯車を用いた構造を有してもよい。本実施形態の原理は、減速機200の特定の構造に限定されない。
【0036】
既知の自動車技術は、ピットマンアーム300から車輪までの接続構造に適用可能である。したがって、本実施形態の原理は、ピットマンアーム300を車輪へ連結するための特定の技術に限定されない。
【0037】
ピットマンアーム300は、基端部310と、基端部310とは反対側の先端部320と、を含む。基端部310は、出力シャフト221に直接的に接続され、出力シャフト221と同軸回転する。基端部310は、回転軸RAX上に存在するので、衝撃力がピットマンアーム200を通じて、減速機に伝達されても、回転軸RAX周りの過度に大きなモーメントは、減速機100に生じにくい。先端部320は、上述のタイロッドアームに接続される。市販される様々なピットマンアームは、ピットマンアーム300として利用可能である。本実施形態の原理は、ピットマンアーム300の特定の構造に限定されない。本実施形態において、接続部は、基端部310によって例示される。
【0038】
基端部310が、出力シャフト221と同軸回転するように、ピットマンアーム300は、減速機200に連結される。したがって、ピットマンアーム300を通じて伝達された衝撃力は、出力シャフト221の回転軸RAX周りの大きなモーメントを引き起こしにくい。この結果、減速機200内のギア(図示せず)は、過度に大きな負荷を受けにくくなる。
【0039】
<第2実施形態>
減速機は、モータによって駆動されてもよい。モータが、減速機の出力シャフトと同軸回転するならば、操舵装置は、出力シャフトの回転軸と直交する方向において、小さな寸法を有することができる。第2実施形態において、モータによって駆動される減速機を有する例示的な操舵装置が説明される。
【0040】
図2は、第2実施形態の操舵装置100Aの概念的なブロック図である。図2を参照して、操舵装置100Aが説明される。第1実施形態の説明は、第1実施形態と同一の符号が付された要素に援用される。
【0041】
第1実施形態と同様に、操舵装置100Aは、ピットマンアーム300を備える。第1実施形態の説明は、ピットマンアーム300に援用される。
【0042】
操舵装置100Aは、減速機200Aと、モータ400と、を更に備える。第1実施形態と同様に、減速機200Aは、入力機構210を含む。第1実施形態の説明は、入力機構210に援用される。
【0043】
減速機200Aは、出力機構220Aを更に含む。第1実施形態と同様に、出力機構220Aは、出力シャフト221を含む。第1実施形態の説明は、出力シャフト221に援用される。
【0044】
出力機構220Aは、ギア222を更に含む。ギア222は、出力シャフト221に取り付けられ、回転軸RAX周りに回転する。
【0045】
図2は、ステアリングギアSTGと、ステアリングシャフトSTSと、ステアリングホイールSTWと、を概略的に示す。ギア222は、ステアリングギアSTGと噛み合う。ステアリングギアSTGは、ウォームギアであってもよい。代替的に、ステアリングギアSTGは、他のギアであってもよい。本実施形態の原理は、ステアリングギアSTGとして用いられるギアの特定の種類に限定されない。本実施形態において、第1ギアは、ギア222によって例示される。
【0046】
ステアリングギアSTGは、ステアリングシャフトSTSと機械的に接続される。ステアリングギアSTGは、ステアリングシャフトSTSと一体的であってもよい。代替的に、ステアリングギアSTGとステアリングシャフトSTSとの間に構築されたギア構造が、ステアリングギアSTGとステアリングシャフトSTSとの間の機械的接続に利用されてもよい。本実施形態の原理は、ステアリングギアSTGとステアリングシャフトSTSとの間の特定の連結構造に限定されない。
【0047】
図2は、制御装置CTRを概略的に示す。制御装置CTRは、トルクセンサTQSと、信号生成部SGTと、を含む。
【0048】
ステアリングシャフトSTSは、ステアリングギアSTGを介して、ギア222に機械的に連結されているので、車両(図示せず)を運転するドライバ(図示せず)が、ステアリングホイールSTWを回転した直後、トルクは、ステアリングホイールSTWから延びるステアリングシャフトSTSに生ずる。トルクセンサTQSは、ステアリングシャフトSTSに加わったトルクを検出する。既知のトルク検出技術が、トルクセンサTQSに適用されてもよい。本実施形態の原理は、トルクセンサTQSの特定の種類に限定されない。
【0049】
トルクセンサTQSが、ステアリングシャフトSTSに生じたトルクを検出するために、トルクセンサTQSがステアリングシャフトSTSに直接的に接続されていることが要求されるならば、トルクセンサTQSは、ステアリングシャフトSTSに機械的に接続される。他の場合には、トルクセンサTQSは、ステアリングシャフトSTSに直接的に接続されなくてもよい。トルクセンサTQSとステアリングシャフトSTSとの間の機械的或いは電気的な接続構造は、トルクセンサTQSの性能に依存する。したがって、本実施形態の原理は、ステアリングシャフトSTSとトルクセンサTQSとの間の特定の接続構造に限定されない。
【0050】
トルクセンサTQSは、検出されたトルクを表すトルクデータを生成する。トルクデータは、トルクセンサTQSから信号生成部SGTへ出力される。
【0051】
トルクデータによって表されるトルクが低減されるように、信号生成部SGTは、駆動信号を生成する。駆動信号は、信号生成部SGTからモータ400へ出力される。
【0052】
モータ400は、駆動信号に応じて、操舵力を生成する。操舵力は、モータ400の回転として、入力機構210へ出力される。入力機構210及び出力機構220Aは、協働して、操舵力を増大させる。増大された操舵力は、出力シャフト221の回転力として、ピットマンアーム300へ出力される。このとき、ギア222も回転するので、ステアリングギアSTG、ステアリングシャフトSTS及びステアリングホイールSTWも回転する。
【0053】
出力シャフト221、ギア222及びピットマンアーム300の基端部310と同様に、モータ400は、回転軸RAX周りに回転する。モータ400は、出力シャフト221、ギア222及びピットマンアーム300の基端部310と同軸回転するように配置されるので、操舵装置100Aは、回転軸RAXに直交する方向において、小さな寸法を有することができる。
【0054】
<第3実施形態>
設計者は、第2実施形態に関連して説明された設計原理に基づいて、様々な操舵装置を設計することができる。第3実施形態において、例示的な操舵装置が説明される。
【0055】
図3は、第3実施形態の操舵装置100Bの概略的な断面図である。図4は、図3に示されるA−A線に沿う概略的な断面図である。図2乃至図4を参照して、操舵装置100Bが説明される。第2実施形態の説明は、第2実施形態と同一の符号が付された要素に援用される。
【0056】
操舵装置100Bは、減速機200Bと、ピットマンアーム300Bと、モータ400Bと、を備える。減速機200Bは、図2を参照して説明された減速機200Aに対応する。減速機200Aに関する説明は、減速機200Bに援用されてもよい。ピットマンアーム300Bは、図2を参照して説明されたピットマンアーム300に対応する。ピットマンアーム300に関する説明は、ピットマンアーム300Bに援用されてもよい。モータ400Bは、図2を参照して説明されたモータ400に対応する。モータ400に関する説明は、モータ400Bに援用されてもよい。
【0057】
モータ400Bは、筐体410と、回転シャフト420と、を含む。筐体410は、コイルやステータコアを内蔵し、駆動信号に応じて操舵力を生成する。回転シャフト420は、筐体410から減速機200B内に突出し、回転軸RAXに沿って延びる。筐体410内で生成された操舵力は、回転シャフト420の回転として出力される。回転シャフト420は、回転軸RAX周りに回転する。回転シャフト420の先端部には、ギア部421が形成される。
【0058】
減速機200Bは、3つの伝達ギア211(図3は、3つの伝達ギア211のうち1つを示す)と、3つのクランク組立体212(図3は、3つのクランク組立体212のうち1つを示す)と、を含む。伝達ギア211は、クランク組立体212に取り付けられる。伝達ギア211は、回転シャフト420のギア部421と噛み合う。本実施形態において、第2ギアは、伝達ギア211によって例示される。
【0059】
3つのクランク組立体212それぞれは、クランク軸213と、2つのテーパ軸受214,215と、2つのニードル軸受216,217と、を含む。クランク軸213は、2つのジャーナル231,232と、2つの偏心部233,234と、を含む。ジャーナル231,232は、回転軸RAXから離間した位置において、回転軸RAXと略平行に延びる回転軸TAX周りに同軸回転する。伝達ギア211及びテーパ軸受214は、ジャーナル231に取り付けられる。ジャーナル232は、ジャーナル231の反対側に位置する。テーパ軸受215は、ジャーナル232に取り付けられる。
【0060】
偏心部233は、ジャーナル231,232の間に位置する。偏心部234は、偏心部233とジャーナル232との間に位置する。偏心部233,234は、回転軸TAXから偏心する。偏心部233は、偏心方向において、偏心部234とは相違する。
【0061】
ジャーナル231には、モータ400Bのギア部421と噛み合う伝達ギア211が取り付けられるので、ジャーナル231,232は、モータ400Bの回転シャフト420の回転に応じて、回転軸TAX周りに回転する。この間、偏心部233,234は、回転軸TAXに対して偏心回転する。3つの伝達ギア211及び3つのクランク組立体212は、図2を参照して説明された入力機構210に対応する。
【0062】
減速機200Bは、モータ400Bに対して固定された外筒240を備える。外筒240は、第1筒部241と、第2筒部242と、第3筒部243と、を含む。
【0063】
第1筒部241は、端壁244と、周壁245と、を含む。端壁244は、モータ400Bの筐体410に密接される。周壁245は、端壁244の略円形の外周縁から突出し、回転シャフト420及び伝達ギア211を取り囲む。
【0064】
第2筒部242は、周壁246と、複数の内歯ピン247と、を含む。周壁246は、偏心部233,234を取り囲む。複数の内歯ピン247それぞれは、回転軸RAXの延出方向に延びる円柱状の部材である。複数の内歯ピン247それぞれは、周壁246の内面に形成された溝部に嵌入される。したがって、複数の内歯ピン247は、周壁246によって適切に保持される。
【0065】
図4に示される如く、複数の内歯ピン247は、回転軸RAX周りに略一定間隔で配置される。複数の内歯ピン247それぞれの半周面は、周壁246の内面から回転軸RAXに向けて突出する。したがって、複数の内歯ピン247は、減速機200Bの内歯として機能することができる。本実施形態において、第1外筒は、外筒240によって例示される。内歯環は、環状に配列された複数の内歯ピン247によって例示される。
【0066】
第3筒部243は、周壁248と、端壁249と、を含む。第3筒部243の周壁248は、第2筒部242の周壁246の端縁に密接される。端壁249は、周壁248によって囲まれた略円形の空間を部分的に閉じる。
【0067】
減速機200Bは、第2筒部242によって囲まれた歯車部250を備える。歯車部250は、2つの揺動歯車251,252を含む。揺動歯車251には、3つの円形貫通穴が形成される。3つのクランク組立体212は、揺動歯車251の3つの円形開口穴に挿通される。3つのクランク組立体212それぞれのニードル軸受216は、3つの円形貫通穴それぞれに嵌め込まれる。揺動歯車252には、3つの円形貫通穴が形成される。3つのクランク組立体212は、揺動歯車252の3つの円形開口穴に挿通される。3つのクランク組立体212それぞれのニードル軸受217は、3つの円形貫通穴それぞれに嵌め込まれる。本実施形態において、少なくとも1つの歯車は、揺動歯車251,252のうち少なくとも一方によって例示される。
【0068】
本実施形態の減速機200Bは、2つの揺動歯車251,252を備える。代替的に、減速機は、単一の揺動歯車を有してもよい。更に代替的に、減速機は、2を超える数の揺動歯車を有してもよい。本実施形態の原理は、いくつの揺動歯車が、減速機に組み込まれるかによっては何ら限定されない。
【0069】
揺動歯車251,252は、複数の内歯ピン247によって形成された内歯環に噛み合う。クランク組立体212の回転の間、揺動歯車251,252は、偏心部233,234によって、揺動回転される。この間、揺動歯車251,252の中心は、回転軸RAX周りを周回移動する。揺動歯車251,252の揺動回転運動は、揺動歯車251,252に接続される部位(たとえば、クランク組立体212)に伝達される。
【0070】
上述の如く、偏心部233,234は、偏心方向において相違する。したがって、周回位相差が、揺動歯車251,252の中心の周回移動に生ずる。たとえば、180°の周回位相差が、揺動歯車251,252の中心の周回移動に生ずるように、偏心部233,234は、設計されてもよい。この場合、揺動歯車251は、複数の内歯ピン247のうち略半分と噛み合う一方で、揺動歯車252は、残りの内歯ピン247と噛み合うことができる。
【0071】
減速機200Bは、外筒240によって囲まれた空間に配置されたキャリア223を備える。キャリア223は、基部260と、端板部270と、を含む。端板部270は、基部260と第1筒部241の端壁244との間に位置する。
【0072】
基部260は、基板部261(図3を参照)と、3つのシャフト262(図4を参照)と、を含む。3つのシャフト262は、基板部261から端板部270に向けて突出する。揺動歯車251,252それぞれには、3つの台形貫通穴が形成される。3つのシャフト262は、これらの台形貫通穴に挿入される。これらの台形貫通穴の大きさは、揺動歯車251,252とシャフト262との干渉が生じないように設定される。
【0073】
端板部270は、3つのシャフト262の先端面に固定される。したがって、揺動歯車251,252は、端板部270と基板部261との間で揺動回転する。
【0074】
基板部261には、3つの貫通穴263が形成される(図3は、3つの貫通穴263のうち1つを示す)。3つのクランク組立体212それぞれのテーパ軸受215は、3つの貫通穴263それぞれに嵌め込まれる。端板部270には、3つの貫通穴271が形成される(図3は、3つの貫通穴271のうち1つを示す)。3つのクランク組立体212それぞれのテーパ軸受214は、3つの貫通穴271それぞれに嵌め込まれる。したがって、キャリア223は、クランク組立体212に接続される。キャリア223は、図2を参照して説明された出力機構220Aのうち一部として用いられる。
【0075】
揺動歯車251,252の揺動回転運動は、3つのクランク組立体212を通じて、キャリア223に伝達される。この結果、キャリア223は、回転軸RAX周りに回転することができる。
【0076】
減速機200Bは、出力シャフト221Bと、ギア222Bと、を備える。出力シャフト221Bは、図2を参照して説明された出力シャフト221に対応する。出力シャフト221に関する説明は、出力シャフト221Bに援用されてもよい。ギア222Bは、図2を参照して説明されたギア222に対応する。ギア222に関する説明は、ギア222Bに援用されてもよい。
【0077】
出力シャフト221Bは、シャフト224と、取付板225と、を含む。取付板225は、基板部261の端面(第3筒部243の端壁249に対向する端面)に当接される円板状の部位である。取付板225の中心は、回転軸RAXに略一致する。取付板225は、基板部261の端面(第3筒部243の端壁249に対向する端面)にボルトBLTによって固定される。したがって、取付板225は、キャリア223から分離可能である。
シャフト224は、取付板225からピットマンアーム300Bに向けて、回転軸RAXに沿って延びる。
【0078】
減速機200Bは、ギアボックス筒280を更に備える。ギアボックス筒280は、略円筒状の周壁281と、周壁281によって囲まれた略円形の空間を閉じる端壁282と、を含む。ギアボックス筒280の周壁281の端縁は、第3筒部243の端壁249に密接される。ギアボックス筒280は、第3筒部243の端壁249と協働して、ギア222Bが収容されるギアボックスを形成する。本実施形態において、第2外筒は、ギアボックス筒280によって例示される。
【0079】
第3筒部243の端壁249には、貫通穴291が形成される。ギアボックス筒280の端壁282には、貫通穴283が形成される。回転軸RAXは、貫通穴283,291の中心に略一致する。シャフト224は、回転軸RAXに沿って延び、貫通穴291,283を貫通する。ピットマンアーム300Bは、外筒240及びギアボックス筒280の外で、シャフト224の先端に接続される基端部310Bを含む。ピットマンアーム300Bは、回転軸RAXに略直交する方向に延びる。キャリア223が回転する間、ピットマンアーム300Bは、回転軸RAXに直交する面内で揺振する。基端部310Bは、図2を参照して説明された基端部310に対応する。基端部310に関する説明は、基端部310Bに援用されてもよい。本実施形態において、第1貫通穴は、貫通穴291によって例示される。
【0080】
減速機200Bは、回転軸RAXを規定する2つの主ベアリング292,284を備える。主ベアリング284は、主ベアリング292とピットマンアーム300Bとの間に位置する。主ベアリング292は、第3筒部243の端壁249に形成された貫通穴291に嵌め込まれる。主ベアリング284は、ギアボックス筒280の端壁282に形成された貫通穴283に嵌め込まれる。シャフト224は、主ベアリング292,284を貫通する。したがって、シャフト224は、主ベアリング292,284によって適切に保持される。本実施形態において、第1ベアリングは、主ベアリング292によって例示される。第2ベアリングは、主ベアリング284によって例示される。第2貫通穴は、貫通穴283によって例示される。端壁は、ギアボックス筒280の端壁282によって例示される。
【0081】
図3は、ステアリングシャフトSTSと、ウォームギアWMGと、を概略的に示す。ウォームギアWMGは、ステアリングシャフトSTSの下端に一体的に形成される。ギア222Bは、主ベアリング292,284の間でシャフト224に取り付けられる。ギア222Bは、ウォームギアWMGと噛み合う。ウォームギアWMGは、図2を参照して説明されたステアリングギアSTGに対応する。ステアリングギアSTGに関する説明は、ウォームギアWMGに援用されてもよい。
【0082】
<第4実施形態>
出力シャフトは、キャリアと一体的に形成されてもよい。この場合、出力シャフトは、キャリアから分離不能となる一方で、操舵装置の軸長寸法は短くなる。第4実施形態において、キャリアと一体化された出力シャフトを備える例示的な操舵装置が説明される。
【0083】
図5は、第4実施形態の操舵装置100Cの概略的な断面図である。図2図3及び図5を参照して、操舵装置100Cが説明される。第3実施形態の説明は、第3実施形態と同一の符号が付された要素に援用される。
【0084】
第3実施形態と同様に、操舵装置100Cは、ピットマンアーム300Bと、モータ400Bと、を備える。第3実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
【0085】
操舵装置100Cは、減速機200Cを更に備える。第2実施形態と同様に、減速機200Cは、3つの伝達ギア211(図5は、3つの伝達ギア211のうち1つを示す)と、3つのクランク組立体212(図5は、3つのクランク組立体212のうち1つを示す)と、ギア222Bと、キャリア223と、外筒240と、歯車部250と、ギアボックス筒280と、主ベアリング284,292と、を含む。第3実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
【0086】
減速機200Cは、出力シャフト221Cを更に含む。出力シャフト221Cは、キャリア223の基板部261と一体的に形成される。したがって、第3実施形態とは異なり、出力シャフト221Cは、キャリア223から分離不能である。出力シャフト221Cは、図2を参照して説明された出力シャフト221に対応する。出力シャフト221に関する説明は、出力シャフト221Cに援用されてもよい。
【0087】
出力シャフト221Cは、キャリア223の基板部261と一体化されるので、図3を参照して説明された取付板225やボルトBLTは不要である。したがって、操舵装置100Cは、回転軸RAXの延設方向において小さな寸法を有することができる。
【0088】
出力シャフト221Cは、回転軸RAXに沿って延び、貫通穴291,283に嵌め込まれた主ベアリング292,284を貫通する。ピットマンアーム300Bは、外筒240及びギアボックス筒280の外で、出力シャフト221Cの先端に接続される。
【0089】
図5は、ステアリングシャフトSTSと、ウォームギアWMGと、を概略的に示す。ウォームギアWMGは、ステアリングシャフトSTSの下端に一体的に形成される。ギア222Bは、主ベアリング292,284の間で出力シャフト221Cに取り付けられる。ギア222Bは、ウォームギアWMGと噛み合う。
【0090】
<第5実施形態>
第3実施形態及び第4実施形態の操舵装置の出力シャフトは、軸受によって支持されている。代替的に、軸受は、歯車部の周囲でキャリアを支持してもよい。この場合、操舵装置は、回転軸の延設方向において短い寸法を有することができる。第5実施形態において、軸受によって支持されたキャリアを備える例示的な操舵装置が説明される。
【0091】
図6は、第5実施形態の操舵装置100Dの概略的な断面図である。図5及び図6を参照して、操舵装置100Dが説明される。第4実施形態の説明は、第4実施形態と同一の符号が付された要素に援用される。
【0092】
第4実施形態と同様に、操舵装置100Dは、ピットマンアーム300Bと、モータ400Bと、を備える。第4実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
【0093】
操舵装置100Dは、減速機200Dを更に備える。第4実施形態と同様に、減速機200Dは、3つの伝達ギア211(図6は、3つの伝達ギア211のうち1つを示す)と、3つのクランク組立体212(図6は、3つのクランク組立体212のうち1つを示す)と、出力シャフト221Cと、ギア222Bと、キャリア223と、外筒240と、歯車部250と、を含む。第4実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
【0094】
第4実施形態に関連して説明された操舵装置100Cとは異なり、操舵装置100Dは、ギアボックス筒280(図5を参照)及びギアボックス筒280の周囲で出力シャフト221Cを支持する主ベアリング284,292(図5を参照)を備えない。一方、操舵装置100Dは、主ベアリング293,294を備える。主ベアリング293,294は、協働して、操舵装置100Dの回転軸RAXを定める。歯車部250は、主ベアリング293,294の間で揺動回転する。本実施形態において、第1ベアリングは、主ベアリング293,294のうち一方によって例示される。第2ベアリングは、主ベアリング293,294のうち他方によって例示される。
【0095】
第4実施形態に関連して説明された主ベアリング284,292とは異なり、主ベアリング293,294は、外筒240内に配置される。主ベアリング293は、キャリア223の端板部270の外周面と外筒240の第2筒部242の内周面との間に形成された環状の空間に嵌め込まれる。主ベアリング294は、キャリア223の基板部261の外周面と外筒240の第2筒部242の内周面との間に形成された環状の空間に嵌め込まれる。
【0096】
第4実施形態とは異なり、ギア222Bは、外筒240内に配置され、ウォームギアWMGに噛み合う。したがって、操舵装置100Dは、第4実施形態に関連して説明された操舵装置100Cよりも回転軸RAXの延設方向において短い寸法を有することができる。
【0097】
<第6実施形態>
第3実施形態乃至第5実施形態の操舵装置のギアは、ピットマンアームと歯車部との間でウォームギアと噛み合う。代替的に、ピットマンアームは、歯車部とウォームギアに噛み合うギアとの間に配置されてもよい。第6実施形態において、歯車部とウォームギアに噛み合うギアとの間に配置されたピットマンアームを備える例示的な操舵装置が説明される。
【0098】
図7は、第6実施形態の操舵装置100Eの概略的な断面図である。図2及び図7を参照して、操舵装置100Eが説明される。第5実施形態の説明は、第5実施形態と同一の符号が付された要素に援用される。
【0099】
第5実施形態と同様に、操舵装置100Eは、モータ400Bを備える。第5実施形態の説明は、モータ400Bに援用される。
【0100】
操舵装置100Eは、減速機200Eと、ピットマンアーム300Eと、を更に備える。第5実施形態と同様に、減速機200Eは、3つの伝達ギア211(図7は、3つの伝達ギア211のうち1つを示す)と、3つのクランク組立体212(図7は、3つのクランク組立体212のうち1つを示す)と、出力シャフト221Cと、キャリア223と、外筒240と、歯車部250と、主ベアリング293,294と、を含む。第5実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
【0101】
減速機200Eは、出力シャフト221Eと、ギア222Eと、ギアボックス290と、2つの副ベアリング295,296と、を更に含む。出力シャフト221C,221Eは、図2を参照して説明された出力シャフト221に対応する。本実施形態において、第2出力シャフトは、出力シャフト221Eによって例示される。
【0102】
出力シャフト221Eの一部、ギア222E及び副ベアリング295,296は、ギアボックス290によって囲まれた内部空間に配置される。副ベアリング295,296の中心は、主ベアリング293,294によって規定された回転軸RAXに略一致する。出力シャフト221Eは、ギアボックス290内で副ベアリング295,296によって支持される。出力シャフト221Eの一部は、回転軸RAXに沿って延び、ギアボックス290から出力シャフト221Cに向けて突出する。したがって、出力シャフト221Eは、回転軸RAX上で出力シャフト221Cと整列する。
【0103】
ギア222Eは、ギアボックス290内で出力シャフト221Eに取り付けられる。ギア222Eは、副ベアリング295,296の間に位置する。ギア222Eは、ステアリングシャフトSTSの下端のウォームギアWMGと噛み合う。
【0104】
ピットマンアーム300Eは、外筒240及びギアボックス290の外に配置される。ピットマンアーム300Eは、出力シャフト221C,221Eの端面によって形成される境界を跨ぐように配置され、出力シャフト221C,221Eに接続される。
【0105】
上述の様々な実施形態に関連して説明された設計原理は、様々な操舵装置に適用可能である。上述の様々な実施形態のうち1つに関連して説明された様々な特徴のうち一部が、他のもう1つの実施形態に関連して説明された操舵装置に適用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
上述の実施形態の原理は、様々な車両の設計に好適に利用される。
【符号の説明】
【0107】
100,100A〜100E・・・・・・・・・・・・・・・操舵装置
200,200A〜200E・・・・・・・・・・・・・・・減速機
210・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・入力機構
211・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・伝達ギア
212・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・クランク組立体
220,220A・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・出力機構
221,221B,221C,221E・・・・・・・・・・出力シャフト
222,222B,222E・・・・・・・・・・・・・・・ギア
223・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・キャリア
240・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・外筒
245,246・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・周壁
247・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・内歯ピン
248・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・周壁
250・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・歯車部
251,252・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・揺動歯車
280・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ギアボックス筒
282・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・端壁
283・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・貫通穴
284・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・主ベアリング
291・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・貫通穴
292,293,294・・・・・・・・・・・・・・・・・主ベアリング
300,300B,300E・・・・・・・・・・・・・・・ピットマンアーム
310,310B・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・基端部
400,400B・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・モータ
420・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・回転シャフト
421・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ギア部
RAX・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・回転軸
STG・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ステアリングギア
STS・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ステアリングシャフト
WMG・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ウォームギア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7