(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、商用電源から供給される電力と電池から供給される電力とを切り替えて、制御回路に供給する電源供給装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、商用電源から供給される電力により制御回路を作動させる仕様のガスコンロにおいて、停電により商用電源からの電力供給が遮断された場合には、電池から制御回路に電力を供給してガスコンロを使用できるようにした構成が記載されている。
【0004】
特許文献1に記載されたガスコンロには電池装填部が設けられ、使用者は、停電が発生した時に電池装填部に電池をセットすることによって、ガスコンロを応急的に使用することができる。
【0005】
このように、停電時に電池をセットしてガスコンロを使用した場合に、商用電源が復電した後も電池をセットしたままにしておくと、電池の液漏れが生じて回路故障等が生じるおそれがある。
【0006】
そこで、特許文献1に記載されたガスコンロにおいては、商用電源からの電力供給の有無を検知する回路と、電池からの電力の供給の有無を検知する回路とが設けられ、商用電源からの電力供給と電池からの電力供給とが共に検知されているときに、注意喚起報知を音声スピーカーから出力して、使用者に電池の外し忘れを気付せるようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されたガスコンロは、基本的に商用電源から供給される電力によって作動する仕様(商用電源仕様)となっているが、ガスコンロには電池で作動する仕様(電池仕様)もある。このように、電源の仕様が異なるが、電源から電力が供給される制御回路の仕様が同じである製品については、商用電源仕様及び電池仕様の製品で使用される制御回路を共通化することによって、回路基板の生産性を向上させることができる。
【0009】
本発明の電源供給装置は、外部電源に接続される外部電源接続部と、
前記外部電源接続部を介して前記外部電源から供給される電力に基づく第1直流電力を出力する第1電力出力回路と、
電池収容部に接続された電池接続部と、
前記第1電力出力回路の出力部及び前記電池接続部と、制御回路が接続される制御回路接続部とに接続されて、前記電池収容部に収容された電池から前記電池接続部を介して供給される第2直流電力、又は前記第1直流電力を前記制御回路接続部に供給して、前記制御回路を作動させる二電源接続回路とを備えた電源供給装置であって、
前記外部電源から前記外部電源接続部に電力が供給されていることを検知する外部電源検知部と、
前記電池収容部に電池が収容されていることを検知する電池収容検知部と、
前記外部電源検知部により前記外部電源から前記外部電源接続部に電力が供給されていることが検知され、且つ前記電池収容検知部により前記電池収容部に電池が収容されていることが検知されたときに、報知信号を出力する報知信号出力部と
を備
え、
前記制御回路は、前記電源供給装置が実装された基板とは別の基板に実装され、
前記電源供給装置が実装された基板は、降圧回路を備え、
前記降圧回路は、前記第1電力出力回路から出力する電力を前記第2直流電力相当の電力に降圧して、前記制御回路接続部を介して前記制御回路に電池電圧相当の電圧を供給することを特徴とする。
【0010】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、電池駆動も可能な商用電源仕様の製品と電池仕様の製品間で制御回路を共通化する場合に、共通化の効果をより高めることができる電源供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の電源供給装置は、外部電源に接続される外部電源接続部と、
前記外部電源接続部を介して前記外部電源から供給される電力に基づく第1直流電力を出力する第1電力出力回路と、
電池収容部に接続された電池接続部と、
前記第1電力出力回路の出力部及び前記電池接続部と、制御回路が接続される制御回路接続部とに接続されて、前記電池収容部に収容された電池から前記電池接続部を介して供給される第2直流電力、又は前記第1直流電力を前記制御回路接続部に供給して、前記制御回路を作動させる二電源接続回路とを備えた電源供給装置であって、
前記外部電源から前記外部電源接続部に電力が供給されていることを検知する外部電源検知部と、
前記電池収容部に電池が収容されていることを検知する電池収容検知部と、
前記外部電源検知部により前記外部電源から前記外部電源接続部に電力が供給されていることが検知され、且つ前記電池収容検知部により前記電池収容部に電池が収容されていることが検知されたときに、報知信号を出力する報知信号出力部と
を備えたことを特徴とする。
【0012】
かかる本発明によれば、制御回路接続部に接続される制御回路は、電池仕様の装置で使用されるときは、電池から供給される電力によって作動する。また、電池による応急的な動作も可能な商用電源等の外部電源仕様の製品で使用される場合には、第1電力出力回路から出力される外部電源に基づく第1直流電力、又は電池から供給される第2直流電力によって、制御回路が作動する。
【0013】
そして、外部電源から外部電源接続部を介して電力が供給され、第1電力出力回路から出力される第1直流電力によって制御回路が作動しているときには、電池を電池収容部から取り外して電池からの液漏れを防止する必要がある。そこで、報知信号出力部は、外部電源検知回路により外部電源から外部電源接続部に電力が供給されていることが検知され、且つ電池収容検知部により電池収容部に電池が収容されていることが検知されたときに、報知信号を出力する。
【0014】
これにより、停電時に電池収容部に電池をセットして応急的に製品を使用した使用者が、電池を取り外すことを忘れているときに、報知信号を出力して使用者に電池の取り外しを促すことができる。
【0015】
そして、本発明の電源供給装置に、外部電源仕様の製品で使用する際に必要であるが電池仕様の製品で使用する際には不要となる構成であって、電池の取り外しを促すための構成である、外部電源検知部と電池収容検知部と報知信号出力部とを備えることにより、制御回路側ではこれらの構成を省略することができる。これにより、電池駆動も可能な外部電源仕様の製品と電池仕様の製品間で制御回路を共通化する場合に、共通化の効果をより高めることができる。
【0017】
また、制御回路を別基板に実装する構成とすることで、商用電源仕様の製品においては、本発明の電源供給装置に制御回路が実装された基板を接続して、制御回路を作動させることができる。また、電池仕様の製品では、外部電源検知部と電池収容検知部と報知信号出力部とを省略した簡易な構成の電源供給基板を接続して、制御回路を作動させることができる。
さらに、電源供給装置が実装された基板の降圧回路は、制御回路接続部を介して制御回路に電池電圧相当の電圧を供給するので、例えば、電源供給装置が故障した際、直接電池に接続して応急的に制御回路を使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態の一例について、
図1を参照して説明する。
【0020】
[1.電源供給装置及び制御基板の構成]
図1を参照して、本実施形態の電源供給装置1は、商用電源仕様のガスコンロに搭載して使用され、直流電源10と電源供給基板20とにより構成されている。電源供給基板20は、コネクタ28,54を介して制御基板50に接続されており、電源供給基板20から制御基板50に直流電力が供給される。なお、制御基板50に実装された回路は、本発明の制御回路に相当する。
【0021】
直流電源10は商用電源2(本発明の外部電源に相当する)に接続されると共に、電源供給基板20のコネクタ26(本発明の外部電源接続部に相当する)に接続され、商用電源2から入力されるAC100Vの交流電力からDC13Vの直流電力を生成して電源供給基板20に供給する。
【0022】
電源供給基板20は、降圧回路21、電源パルス処理回路22、第2マイコン23、及びコネクタ25〜28を備えている。降圧回路21は、入力部がコネクタ26に接続されると共に、出力部がコネクタ28(本発明の制御回路接続部に相当する)に接続され、コネクタ26から入力されるDC13Vの直流電力をDC3Vに降圧してコネクタ28に出力する。なお、直流電源10と降圧回路21とにより、本発明の第1電力出力回路が構成される。
【0023】
コネクタ25(本発明の電池接続部に相当する)は、電池収容部4に接続され、電池収容部4にセットされた電池3からDC3V前後の直流電力が入力される。コネクタ25は、二電源接続回路29により、降圧回路21の出力部とダイオード30,31を介して接続されており、これにより、降圧回路21から出力される第1直流電力Pw1と、電池3から出力される第2直流電力Pw2とのうちの、電圧が高い方の電力がコネクタ28に出力される。
【0024】
電源パルス処理回路22は、商用電源2から出力される交流電力と同一周期の直流のパルス信号Psigを生成して第2マイコン23の入力ポートPi1に出力する。第2マイコン23は、CPU、メモリ、入出力インターフェース等を備えており、メモリに保持された電源供給基板20の制御用プログラムをCPUで実行することによって、電源供給基板20の作動を制御する。
【0025】
第2マイコン23のAD(アナログ/デジタル変換)ポートPadは、コネクタ25を介して電池収容部4の(+)極側に接続されている。電池収容部4に電池3が収容されているときには、電池3の出力電圧が第2マイコン23のADポートPadに入力されて、デジタル値に変換される。また、第2マイコン23の電源端子とGND端子には、コネクタ28,54を介して、制御基板50からDC3Vの直流電力が供給される。
【0026】
第2マイコン23は、自身への電源供給を維持するための電源ホールド信号Ph2(詳細は後述する)をコネクタ28,54を介して制御基板50に出力する。また、第2マイコン23は、入力ポートPi1にパルス信号Psigが入力され(商用電源2から電力が供給されていると認識される)、且つADポートPadに所定レベル以上の電圧が入力されている(電池収容部4に電池3がセットされていると認識される)ときに、出力ポートPo2からコネクタ27に報知信号Ebsを出力する。
【0027】
コネクタ27は図示しない表示器に接続され、報知信号Ebsの出力に応じて表示器のランプが点灯する。これにより、使用者に電池3を電池収容部4から取り外すことを促すことができる。
【0028】
なお、電源パルス処理回路22と、第2マイコン23が入力ポートPi1にパルス信号Psigが入力されていることを認識して、商用電源2から電力が供給されていることを検知する構成は、本発明の外部電源検知部に相当する。また、第2マイコン23が、ADポートPadに所定レベル以上の電圧が入力されていることを認識して、電池収容部4に電池3がセットされていることを検知する構成は、本発明の電池収容検知部に相当する。また、第2マイコン23が、商用電源2から電力が供給され、且つ電池収容部4に電池3がセットされているときに、報知信号Ebsを出力する構成は、本発明の報知信号出力部に相当する。
【0029】
次に、制御基板50は、昇圧回路51、第1マイコン52、スイッチング素子56、及びコネクタ53〜55を備えている。昇圧回路51の入力部はスイッチング素子56を介してコネクタ54に接続され、出力部は第1マイコン52及びコネクタ54に接続されている。昇圧回路51は、電源供給基板20からコネクタ28,54を介して供給される直流電流がDC3Vよりも低いときに、DC3Vまで昇圧して出力する。
【0030】
昇圧回路51から出力される直流電力は、第1マイコン52の電源として供給されると共に、コネクタ54,28を介して電源供給基板20の第2マイコン23の電源として供給される。
【0031】
第1マイコン52の入力ポートPi1は、コネクタ53及び電源スイッチ5を介してコネクタ54に接続されている。そのため、使用者が電源スイッチ5を押圧している間、入力ポートPi1にPon信号(電源ON信号)が入力される。
【0032】
第1マイコン52のADポートPadには、電源供給基板20からコネクタ28,54を介して供給される直流電圧を示す直流電圧信号Psenが入力される。第1マイコン52は、直流電圧信号Psenをデジタル値に変換して認識し、直流電圧信号Psenが所定レベル未満になったときに電池交換を促す報知信号Ebwをコネクタ55に出力する。
【0033】
コネクタ55は図示しない表示器に接続され、報知信号Ebwの出力に応じて表示器のランプが点灯する。これにより、使用者に電池3を交換することを促すことができる。
【0034】
[2−1.商用電源仕様の製品で使用される場合の動作−交流電源動作]
商用電源仕様の製品(ガスコンロ等)に、電源供給基板20と制御基板50が設けられている場合、直流電源10に商用電源2が接続されて、直流電源10から電源供給基板20にDC13Vの直流電力が供給されているときは、降圧回路21から第1直流電力Pw1が出力される。
【0035】
そして、使用者が電源スイッチ5をON操作(使用開始操作)すると、スイッチング素子56がON状態(導通状態)になって、降圧回路21からコネクタ28,54を介して第1マイコン52及び第2マイコン23に直流電力が供給され、第1マイコン52及び第2マイコン23が起動する。この時、第1マイコン52の入力ポートPi1には、電源スイッチON信号Ponが入力される。
【0036】
第1マイコン52は、出力ポートPo1からホールド信号Ph1(電源ホールド信号)を出力し、これにより、使用者が電源スイッチ5の操作を終了した後もスイッチング素子56がON状態に維持される状態とする。その後、使用者が電源スイッチ5をOFF操作(使用終了操作)して、第1マイコン52の入力ポートPi1への電源スイッチON信号Ponの入力が停止した時に、第1マイコン52は、出力ポートPo1からのホールド信号Ph1の出力を停止する。
【0037】
第2マイコン23は、電源パルス処理回路22から出力されるパルス信号Psigを計数して現在時刻を算出する時計機能を有しており、この時計機能は、ガスコンロが使用されていないときにも継続する必要がある。そこで、第2マイコン23は、起動時から、出力ポートPo1からホールド信号Ph2を出力した状態を維持し、電源スイッチ5がOFF操作された後も第2マイコン23への第1直流電力Pw1の供給を維持して、時計機能を有効にする。
【0038】
第1マイコン52はガスコンロの全体的な作動を制御し、第2マイコン23はDC13Vを電源として作動する電気負荷(図示しない表示器等)の作動を制御する。第2マイコン23と第1マイコン52は、図示しない通信配線を介して相互に通信を行う。
【0039】
第2マイコン23は、上述した電池収容部4に電池3がセットされているかを判断する処理を行い、電池収容部4に電池3がセットされているときには、報知信号Ebsを出力して使用者に電池3の取り外しを促す。
【0040】
[2−2.商用電源仕様のガスコンロで使用される場合の動作−電池動作]
商用電源2の停電が発生しているときに、使用者は電池収容部4に電池3をセットすることによって、電池3を電源としてガスコンロを作動させることができる。この場合、使用者が電源スイッチ5を押圧操作すると、スイッチング素子56がONして、電池3から出力される第2直流電力Pw2が二電源接続回路29及びコネクタ28,54を介して昇圧回路51に供給され、昇圧回路51から出力される直流電力によって第1マイコン52及び第2マイコン23が起動する。
【0041】
第1マイコン52は、出力ポートPo1からホールド信号Ph1(電源ホールド信号)を出力し、これにより、使用者が電源スイッチ5の操作を終了した後もスイッチング素子56がON状態に維持される状態とする。その後、使用者が電源スイッチ5をOFF操作(使用終了操作)して、第1マイコン52の入力ポートPi1への電源スイッチON信号Ponの入力が停止した時に、第1マイコン52は、出力ポートPo1からのホールド信号Ph1の出力を停止する。
【0042】
第2マイコン23は、起動時に出力ポートPo1からホールド信号Ph2を出力する。そして、入力ポートPi1へのパルス信号Psigの入力がないことから、電池3から供給される第2直流電力Pw2によって第2マイコン23が作動していることを認識したときには、電源スイッチ5がOFF操作されたことを、第1マイコン52との通信によって認識したときにホールド信号Ph2信号の出力を停止する。
【0043】
これにより、スイッチング素子56がOFF(遮断状態)になって、電池3からの第2直流電力の供給が停止し、電池3の寿命を延ばす効果が得られる。
【0044】
また、第1マイコン52は、ADポートPadに入力される直流電圧信号Psenのレベルを監視し、直流電圧信号Psenのレベルが所定レベル未満になったときに、電池交換を促す信号をコネクタ55に出力する。
【0045】
[3.電池仕様のガスコンロで使用される場合の動作]
電池仕様のガスコンロでは、電源供給基板20とは仕様が異なる電源供給基板が使用される。この電源供給基板には、コネクタ26、降圧回路21、電源パルス処理回路22等は不要である。
【0046】
使用者が電源スイッチ5をON操作すると、スイッチング素子56がON状態(導通状態)になって、電池3からコネクタ25,28を介して第1マイコン52及び第2マイコン23に直流電力が供給され、第2マイコン23及び第1マイコン52が起動する。第1マイコン52は、入力ポートPi1への電源ON信号Ponの入力を認識すると、出力ポートPo1からホールド信号Ph1を出力してスイッチング素子56をON状態に維持する。これにより、使用者が電源スイッチ5の押圧操作を終了しても、第2マイコン23及び第1マイコン52への電源供給が継続する。
【0047】
第1マイコン52は、ADポートPadに入力される直流電圧信号Psenをデジタル値に変換して電池3の出力電圧を監視し、電池3の出力電圧が下限レベル未満になったときに、出力ポートPo2から報知信号Ebwを出力する。
【0048】
また、第1マイコン52は、入力ポートPi1への電源スイッチON信号Ponの入力を検知したときに、出力ポートPo1からのホールド信号Ph1の出力を停止する。これにより、スイッチング素子56がOFF状態(遮断状態)になって、電池3から第1マイコン52及び第2マイコン23への第2直流電力Pw2の供給が停止して、電池3の寿命を延ばす効果が得られる。
【0049】
[4.他の実施形態]
本実施形態では、電源供給基板20と制御基板50を別基板としたが、両基板の構成を一枚の基板上に実装してもよい。この場合も、制御基板50に相当する回路部には、電池の外し忘れを検知するための構成がないので、商用電源仕様の製品と電池仕様の製品間で共通にした制御回路の部品点数を抑制して、制御回路の共通化の効果を高めることができる。
【0050】
また、本実施形態では、商用電源仕様と電池仕様がある製品の例としてガスコンロを提示したが、電池による非常動作が可能な商用電源仕様と電池仕様がある製品間で制御回路が共通化されている製品であれば、本発明を適用することができる。
【0051】
また、本実施形態では、電池3の出力を第2マイコン23のADポートPadに入力して、電池3の電圧レベルを認識することによって、電池収容部4に電池3が収容されていることを検知したが、コンパレータにより電池3の出力電圧を閾値電圧と比較して、コンパレータの出力(デジタル信号)を第2マイコン23の入力ポート(デジタル入力ポート)に入力し、2値の入力レベル(High/Low)によって電池収容部4に電池3が収容されていることを検知する構成としてもよい。
【0052】
また、本実施形態では、本発明の外部電源として商用電源2を示したが、充電式のバッテリ等を外部電源として用いる場合にも、本発明の適用が可能である。