(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(基板上に電界遮蔽層を介して薄膜トランジスタを有する半導体装置および表示装置の例)
2.第2の実施の形態(基板に埋め込まれた導電層を介して電界遮蔽層が接地される場合の例)
3.表示装置の機能構成例
4.撮像装置の例
5.電子機器の例
【0015】
<第1の実施の形態>
[構成]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る表示装置(表示装置1)の断面構成を模式的に表したものである。表示装置1は、例えば有機電界発光(EL:Electro-Luminescence)装置であり、半導体装置10上に表示素子層15を備えたものである。半導体装置10は、
基板11を有し、基板11上に、例えば電界遮蔽層12、絶縁膜13およびTFT層14をこの順に有している。基板11の裏面(電界遮蔽層12が形成されている面と反対側の面)には、金属薄膜16が形成されている。
【0016】
基板11は、例えば可撓性基板(可撓性を有する基板)である。この基板11の構成材料としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート),PI(ポリイミド),PC(ポリカーボネート)またはPEN(ポリエチレンナフタレート)などの樹脂材料が挙げられる。この他にも、例えばポリアミド、SOG(スピンオングラス:spin-on-glass)、ポリエーテルサルフォン(PES)等が挙げられる。また、樹脂材料に限らず、ステンレス鋼(SUS)などの金属膜に絶縁材料を成膜したものが用いられてもよい。あるいは、基板11は、例えばガラスなどのリジッドな材料から構成されていても構わない。
【0017】
電界遮蔽層12は、例えば基板11上の選択的な領域に形成され、固定電位に保持されている(電界遮蔽層12には固定電位が供給されている)。この電界遮蔽層12の具体的な構成については後述する。
【0018】
絶縁膜13は、例えば電界遮蔽層12の側から順に、有機絶縁膜13Aと、無機絶縁膜13Bとを有している。
【0019】
有機絶縁膜13Aは、電界遮蔽層12を覆うように形成され、例えば電界遮蔽層12が形成された基板11の表面を平坦化する役割を担っている。この有機絶縁膜13Aは、例えばポリイミドまたはシロキサン系化合物等の有機材料を含んで構成され、厚みは例えば4μm以上20μm以下である。
【0020】
無機絶縁膜13Bは、TFT層14の半導体層141(後述)の下面に接して形成され、例えば半導体層141との間で良好な界面を形成する役割を担っている。この無機絶縁膜13Bは、例えば酸化シリコン(SiO
x),窒化シリコン(SiN),酸窒化シリコン(SiON)およびリン(P)がドープされたSiOのうちの少なくとも1種を含む単層膜または積層膜である。また、酸化アルミニウム(Al
2O
3)が用いられてもよい。無機絶縁膜13Bの厚みは、例えば200nm以上1000nm以下である。
【0021】
尚、ここでは、絶縁膜13を、有機絶縁膜13Aと無機絶縁膜13Bとの積層膜としたが、絶縁膜13としては、有機絶縁膜および無機絶縁膜のうちの一方のみが形成されていても構わない。但し、本実施の形態の絶縁膜13のように、有機絶縁膜13Aと無機絶縁膜13Bとを積層したものが用いられることが望ましい。これは、以下のような理由による。即ち、有機絶縁膜13Aと無機絶縁膜13Bとを積層させることにより、半導体層141と電界遮蔽層12との間の距離が大きくなり、いわゆるバックチャネル効果を防ぐことができる。ここで、バックチャネル効果とは、電界遮蔽層12のグランド電位が、意図せずに半導体層141の電位を下げることから、ゲート電極143(後述)によるキャリア誘起の妨げとなり、結果的に閾値電圧を高電圧化してしまう現象である。具体的には、一般的に知られているデュアルゲート構造のTFTのように、電界遮蔽層12がバックチャネル側から制御する第2のゲート電極として機能し、そこへ0Vが印加された状態と等価となる。この結果、所望のドレイン電流を得るために本来のゲート電極143へ印加される電圧が上昇し、デバイス全体としても消費電力の増加を招く。無機絶縁膜13Bのみを配置した場合には、半導体層141と電界遮蔽層12との間の距離を十分に確保できず、上記のようなバックチャネル効果による影響が懸念される。本実施の形態のように、有機絶縁膜13Aと無機絶縁膜13Bとを積層させることにより、半導体層141と電界遮蔽層12との距離を十分に確保でき、電界遮蔽層12による効果を得つつ、バックチャネル効果による影響を抑制することが可能である。
【0022】
TFT層14は、薄膜トランジスタ(TFT10a)等を含む層である。TFT10aは、例えば、トップゲート型の薄膜トランジスタであり、絶縁膜13上の選択的な領域に半導体層141を有している。この半導体層141上に、ゲート絶縁膜142を介してゲート電極143が形成されている。これらの半導体層141、ゲート絶縁膜142およびゲート電極143を覆うように、保護膜144と層間絶縁膜146Aとが設けられている。保護膜144および層間絶縁膜146Aには、半導体層141の一部に対向して、コンタクトホールH1が設けられている。層間絶縁膜146A上には、そのコンタクトホールH1を埋め込むように、ソース・ドレイン電極145が形成され、これらの層間絶縁膜146Aおよびソース・ドレイン電極145を覆って、層間絶縁膜146Bが形成されている。尚、このTFT10aが、本開示の「半導体素子」の一具体例に相当し、ゲート電極143およびソース・ドレイン電極145が「電極」の一具体例に相当する。
【0023】
半導体層141は、絶縁膜13上にパターン形成されている。この半導体層141は、ゲート電極143と対向する領域にチャネル領域(活性層)を含んでいる。半導体層141は、例えば、インジウム(In),ガリウム(Ga),亜鉛(Zn),スズ(Sn),チタン(Ti)およびニオブ(Nb)等のうちの少なくとも1種の元素の酸化物を主成分として含む酸化物半導体から構成されている。具体的には、酸化インジウム錫亜鉛(ITZO),酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO: InGaZnO),酸化亜鉛(ZnO),酸化インジウム亜鉛(IZO),酸化インジウムガリウム(IGO),酸化インジウム錫(ITO)および酸化インジウム(InO)等が挙げられる。あるいは、半導体層141は、低温多結晶シリコン(LTPS)または非結晶シリコン(a−Si)等から構成されていても構わない。
【0024】
ゲート絶縁膜142は、例えば酸化シリコン(SiO
x)、窒化シリコン(SiN
x)、酸窒化シリコン(SiON)および酸化アルミニウム(AlO
x)等のうちの1種よりなる単層膜、またはそれらのうちの2種以上よりなる積層膜から構成されている。
【0025】
ゲート電極143は、印加されるゲート電圧(Vg)によって半導体層141中のキャリア密度を制御すると共に、電位を供給する配線としての機能を有するものである。このゲート電極143の構成材料は、例えば、チタン(Ti),タングステン(W),タンタル(Ta),アルミニウム(Al),モリブデン(Mo),銀(Ag),ネオジウム(Nd)および銅(Cu)のうちの1種を含む単体および合金が挙げられる。あるいは、それらのうちの少なくとも1種を含む化合物および2種以上を含む積層膜であってもよい。また、例えばITO等の透明導電膜が用いられても構わない。
【0026】
保護膜144は、例えば酸化チタン,酸化アルミニウム,酸化インジウムまたは酸化スズ等により構成され、水蒸気バリア膜として機能するものである。
【0027】
層間絶縁膜146A,146Bは、例えば、アクリル系樹脂、ポリイミド(PI)、ノボラック系樹脂等の有機材料により構成されている。あるいは、層間絶縁膜146Aには、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜および酸化アルミニウム等の無機材料が用いられてもよい。
【0028】
ソース・ドレイン電極145は、TFT10aのソースまたはドレインとして機能するものであり、例えば、上記ゲート電極143の構成材料として列挙したものと同様の金属または透明導電膜を含んで構成されている。このソース・ドレイン電極145としては、電気伝導性の良い材料が選択されることが望ましい。
【0029】
表示素子層15は、複数の画素を含むと共に、TFT10aが複数配置されたバックプレーンにより表示駆動される表示素子(発光素子)を含んでいる。表示素子としては、例えば有機EL素子などが挙げられる。有機EL素子は、TFT層14側から順に、例えばアノード電極(第1電極)、有機電界発光層(表示機能層)およびカソード電極(第2電極)を有する。アノード電極は、TFT10aのソース・ドレイン電極145に接続されている。カソード電極には、例えば後述の配線WL2などを通じて、各画素に共通のカソード電位が供給されるようになっている。
【0030】
金属薄膜16は、例えば基板11が可撓性基板(有機材料からなる基板)である場合等に、基板11の保護および補強等を目的として基板11の裏面側に貼り合わせられるものである。基板11が金属膜を用いて構成される場合やガラスなどから構成される場合には、この金属薄膜16は設けられていなくともよい。
【0031】
(電界遮蔽層12の詳細構成)
図3は、表示装置1の配線構成(バックプレーンの構成)を説明するための平面模式図である。
図4は、
図3に示した領域A1に相当する部分の構成を電界遮蔽層12と共に表す平面図である。
図5Aおよび
図5Bは、
図3に示した領域A2に相当する部分の構成を電界遮蔽層12と共に表す平面図である。
【0032】
基板11上の表示領域110Aには、Y方向に沿って配線WL1が、X方向に沿って配線WL2がそれぞれ配置されている。表示領域110Aの周辺領域110Bには、配線WL1,WL2に電位を供給するための端子部120,121が配置されている。電界遮蔽層12は、これらの配線WL1,WL2および画素PXL(TFT10a)の配置構成に応じた選択的な領域に形成されていることが望ましい。但し、電界遮蔽層12は、基板11の全面にわたって連続して形成されていても構わない。
【0033】
配線WL1,WL2は、例えば信号線、走査線、電源線および共通電位線などのうちのいずれかとして機能するものであり、これらの配線WL1,WL2の交わる点が1つの画素PXLに相当する。配線WL1,WL2は、表示領域110Aから周辺領域110Bまで延設されており、周辺領域110Bにおいて、端子部120,121に接続されている。配線WL2は、例えば共通電位線(カソード線)を含み、周辺領域110Bにおいて、端子部120に接続されている。配線WL1は、例えば配線WL11,WL12を含んでいる。尚、
図4では、バックプレーン内の回路および配線の構成について模式的に示しているが、例えば配線WL11は電源線、配線WL12は信号線、配線WL2は、共通電位線(カソード線)として機能するものである。
【0034】
端子部120,121は、配線WL1,WL2に電位を供給するためのものであり、図示しない電源に接続される。これらのうち、端子部120は、例えばカソード電位等の固定電位を供給する端子部(
図5Aに示した端子部120A、または
図5Bに示した端子部120C)を含んでいる。尚、ここでは、端子部120,121が、矩形状の基板11の2辺に設けられている構成を例示しているが、端子部120,121は、基板11の1辺にのみ設けられていてもよいし、3辺または4辺に設けられていても構わない。
【0035】
尚、
図3および
図4にはTFT10aを図示していないが、ここでは、1つの画素PXLに1つのTFT10aが配置された場合を想定している。但し、TFT10aの数は限定されず、1つの画素PXLに、2以上のTFT10aが配置されていてもよい。
【0036】
電界遮蔽層12は、例えば
図4に示したように、島状部分12aと、この島状部分12aと電気的に接続された配線部分12bとを有している。島状部分12aは、例えば画素PXL毎に形成され、例えばTFT10aの半導体層141と平面視的に重なる形状を有している。配線部分12bは、画素列毎に、例えばX方向に沿って(配線WL2と平行な方向に沿って)延在して配置されている。各配線部分12bに、1列分の画素PXLに形成された島状部分12aが連結されている。
【0037】
電界遮蔽層12の構成材料としては、導電膜、望ましくは透明導電膜が挙げられる。透明導電膜としては、例えば、インジウム,ガリウム,亜鉛,スズ,チタンおよびニオブ等のうちの少なくとも1種の元素の酸化物を主成分として含む酸化物半導体が挙げられる。中でも、透明導電膜として、例えば600nm以上1100nm以下の波長の光を吸収しにくい材料、または縮体半導体が用いられることが望ましい。一例としては、ITO、IZO、n型の不純物が高濃度で拡散されたアモルファスシリコン(n
+型a−Si)が挙げられる。電界遮蔽層12は、これらの材料を含む単層膜であってもよいし、積層膜であってもよい。このような透明導電膜が用いられることにより、上層、例えばTFT層14および表示素子層15等に形成された金属配線において、欠陥箇所を修復する際(レーザーリペアの際)に、レーザ光による破損を生じにくくすることができる。但し、電界遮蔽層12としては、上述した透明導電膜に限らず、例えばモリブデン(Mo)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)等の金属が用いられても構わない。
【0038】
電界遮蔽層12の厚みは、例えば10nm以上300nm以下であり、具体的には20nmである。電界遮蔽層12のシート抵抗は、例えば1Ω/cm
2以上1MΩ/cm
2以下であり、特に本実施の形態のように絶縁膜13が有機絶縁膜13Aを含む場合、1kΩ/cm
2以上(例えば1kΩ/cm
2程度)であることが望ましい。シート抵抗の値が1kΩ/cm
2以上であることにより、詳細は、後述するが、リーク電流に起因する焼損を抑制できるためである。尚、絶縁膜13として無機絶縁膜13Bのみを用いた場合(有機絶縁膜13Aを含まない場合)には、上記のような有機絶縁膜13Aを含む場合とは逆に、より低抵抗であることが望ましい。この電界遮蔽層12は、基板11上の全面にわたって形成されていても構わないが、本実施の形態のように選択的な領域に形成されることが望ましい。寄生容量を低減して、リーク電流の発生を抑制できるためである。
【0039】
この電界遮蔽層12は、固定電位に保持されている(電界遮蔽層12には固定電位が供給されている)。具体的には、電界遮蔽層12は、グランド(GND)電位(例えば0V)に保持される。この場合、電界遮蔽層12は、周辺領域110B(基板11の端部)において、固定電位を供給するための端子部に電気的に接続される。一例としては、
図5Aに示したように、周辺領域110Bに、各画素PXLに共通のカソード電位(例えばグランド電位)を供給するための端子部120Aと、固定電位を供給するための(固定電位供給用の)端子部120Bとが別々に設けられ、その端子部120Bに電界遮蔽層12(詳細には配線部分12b)が電気的に接続されている。あるいは、
図5Bに示したように、カソード電位を供給する端子部120Cに、配線WL2と共に、電界遮蔽層12(詳細には配線部分12b)が電気的に接続されていてもよい。尚、端子部120Cが、本開示の「第1の端子部」の一具体例に相当し、端子部120Bが、本開示の「第2の端子部」の一具体例に相当する。
【0040】
[製造方法]
上記のような表示装置1は、例えば次のようにして製造することができる。
図6A〜
図10は、表示装置1の製造プロセスを工程順に表したものである。
【0041】
まず、
図6Aに示したように、例えば可撓性基板よりなる基板11の裏面に、ガラスなどよりなる支持基板210を貼り合わせた後、基板11上に、上述した材料(例えば透明導電膜材料)よりなる電界遮蔽層12を成膜する。成膜手法としては、例えばスパッタ法が挙げられ、膜厚は例えば20nmとすることができる。
【0042】
続いて、
図6Bに示したように、電界遮蔽層12をパターニングする。具体的には、
図4に示したような島状部分12aと配線部分12bとを含む形状となるように、例えばフォトリソグラフィおよびウェットエッチングを用いて加工を行う。
【0043】
その後、
図6Cに示したように、電界遮蔽層12上に、上述した材料および厚みよりなる有機絶縁膜13Aを形成する。この際、例えばスピンコート法により上記材料を塗布した後、例えば所定の温度で焼成処理を行うことで、有機絶縁膜13Aを形成することができる。
【0044】
続いて、
図6Dに示したように、有機絶縁膜13A上に、上述した材料および厚みよりなる無機絶縁膜13Bを形成する。形成手法としては、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)法が挙げられる。
【0045】
次に、
図6Eに示したように、TFT層14を形成する。一例としては、
図2に示したTFT10aを形成する。具体的には、まず、絶縁膜13上に上述した材料(例えば酸化物半導体)よりなる半導体層141を、例えばスパッタ法等により成膜した後、例えばフォトリソグラフィおよびエッチングにより、所定の形状にパターニングする。この半導体層141の平面形状と、電界遮蔽層12の一部(島状部分12a)の平面形状とは略同一であることが望ましい。続いて、上述した材料よりなるゲート絶縁膜142を、例えばCVD法等を用いて成膜する。この後、ゲート絶縁膜142上に、上述した材料からなるゲート電極143を、パターン形成した後、このゲート電極143をマスクとしてゲート絶縁膜142をエッチングすることでゲート絶縁膜142をパターニングする。続いて、保護膜144および層間絶縁膜146Aを形成した後、半導体層141の一部に対向する領域に、コンタクトホールH1を形成する。この後、層間絶縁膜146A上に、コンタクトホールH1を埋め込むように、上述した金属材料よりなるソース・ドレイン電極145を形成する。これにより、TFT10aを形成することができる。
【0046】
続いて、
図6Fに示したように、TFT層14上に、表示素子層15を形成する。例えば表示素子層15が有機EL素子を含む場合には、TFT層14上に、例えばアノード電極、有機電界発光層、およびカソード電極を含む表示素子層15を形成する。
【0047】
次に、
図6Gに示したように、支持基板210を剥離する。具体的には、
図7に模式的に示したように、ローラー230A等を用いて支持基板210から基板11を引き剥がす。尚、
図7では、一例として、4つのパネルに相当する領域を示している。
【0048】
続いて、
図8Aに示したように、金属薄膜16を用意する。このとき、金属薄膜16上には、粘着層(図示せず)を介して保護フィルム220が貼られているため、基板11へ貼り合わせる前に、保護フィルム220を金属薄膜16上から引き剥がす。これにより、
図8Bに模式的に示したように、金属薄膜16は、例えば引き剥がした方向に応じた方向(x1)に沿って帯電してしまう。
【0049】
この後、
図9に示したように、基板11の裏面に、例えばローラー230Bを用いて、金属薄膜16を圧着させる。これにより、
図10に示したように、基板11の裏面に金属薄膜16が形成される。以上により、
図1に示した表示装置1を完成する。
【0050】
[作用、効果]
本実施の形態の表示装置1では、外部から入力される映像信号に基づいて、表示素子層15の各画素が表示駆動され、映像表示がなされる。このとき、半導体装置10のTFT層14では、例えば画素毎にTFT10aが電圧駆動される。具体的には、ある画素のTFT10aのゲート電極143に閾値電圧以上の電圧が供給されると、半導体層141が活性化され(チャネルを形成し)、これにより、一対のソース・ドレイン電極145間に電流が流れる。
【0051】
ここで、
図11および
図12に、本実施の形態の比較例1に係る半導体装置100の要部構成について示す。半導体装置100は、本実施の形態の半導体装置10と同様、例えば可撓性基板から構成される基板101上に、絶縁膜102を介してトップゲート型のTFTが形成されたものである。具体的には、絶縁膜102上の選択的な領域に半導体層103を有し、この半導体層103上に、ゲート絶縁膜104およびゲート電極105がこの順に形成されている。これらの半導体層103、ゲート絶縁膜104およびゲート電極105を覆うように、保護膜106と層間絶縁膜107とが設けられている。層間絶縁膜107上には、半導体層103と電気的に接続されたソース・ドレイン電極108が形成されている。
【0052】
この比較例1の半導体装置100では、ゲート電極105に閾値電圧以上の電圧(+Vまたは−V)が印加されると、半導体層103にチャネルが形成され、ソース・ドレイン電極108間に電流が流れる。このとき、ゲート電極105およびソース・ドレイン電極108に印加された電圧に起因し、半導体層103と基板101との間に電界Eを生じる。この電界Eに起因して、
図11に示したように、基板101内で原因物質B1が誘起される、あるいは、
図12に示したように、基板101の表面に電荷B2が発生する。このような原因物質B1あるいは電荷B2が半導体層103に影響を及ぼし、いわゆるバイアスストレスの影響により、TFTの閾値電圧が変動する。
【0053】
これに対し、本実施の形態では、
図13に示したように、半導体装置10において、基板11上に電界遮蔽層12が形成され、この電界遮蔽層12上に絶縁膜13を介してTFT10aが形成されている。即ち、基板11とTFT10aとの間に、電界遮蔽層12が介在する。これにより、ゲート電極143に閾値電圧以上の電圧(+Vまたは−V)が印加されて、ソース・ドレイン電極145間に電流が流れた際に、上記の電界Eが半導体層141から基板11まで到達することが抑制される(電界遮蔽層12により、電界Eが遮蔽される)。
【0054】
これにより、バイアスストレスが改善され(安定化し)、閾値電圧の変動が抑制される。
図14Aには、実施例(電界遮蔽層12を備えた半導体装置10)および比較例1(半導体装置100)の正バイアスストレスの一例について示す。また、
図14Bには、実施例および比較例1の負バイアスストレスの一例について示す。このように、正バイアスストレスおよび負バイアスストレスのいずれにおいても、閾値電圧V
0の変動が、実施例では比較例1に比べて少ないことがわかる。
【0055】
また、本実施の形態では、電界遮蔽層12が、基板11上の選択的な領域に形成されている。具体的には、半導体層141と平面視的に重なる部分(島状部分12a)を有している。これにより、上記のようなTFT10aにおける特性変動をより効果的に抑制することができる。
【0056】
更に、本実施の形態では、電界遮蔽層12を有することにより、次のような効果を得ることもできる。即ち、上述した製造プロセスでは、支持基板210の剥離工程(
図6Gおよび
図7)により、引き剥がしのむらが生じ、このむらに起因して、基板11の裏面に静電気を生じ易い(基板11の裏面が帯電し易い)。また、金属薄膜16を用意する工程(
図8Aおよび
図8B)では、保護フィルム220の引き剥がしによって所定の方向に帯電する。このような工程を経る場合にも、電界遮蔽層12が基板11とTFT10aとの間に介在することにより、基板11の裏面側からの静電気を遮蔽することができる。これは、TFT10aの特性変動の抑制および信頼性の向上につながる。
【0057】
加えて、本実施の形態では、電界遮蔽層12が、透明導電膜から構成されることにより、半導体装置10の歩留まり向上および信頼性低下の抑制につながる。例えば、電界遮蔽層12は、600nm以上1100nm以下の波長の光を吸収しにくい材料または縮体半導体(一例としては、ITO、IZO、n型の不純物が高濃度で拡散されたアモルファスシリコン(n
+型a−Si))により構成されている。ここで一般に、TFTの製造プロセスでは、歩留まりを向上させるために、金属配線(上述の配線WL1,WL2など)における欠陥箇所を、レーザ照射によってリペア(修復)する技術が用いられている。また、ディスプレイの高精細化に伴って、より精度の高いリペア技術が求められている。このため、リペア工程では、例えば波長1064nmの短パルス長レーザなど、金属材料が吸収しやすい波長を出力するレーザ光源が用いられる。本実施の形態では、TFT層14の下層に電界遮蔽層12が設けられるが、半導体装置10内の一部または全ての箇所において金属配線と電界遮蔽層12との積層構造(平面視的に重なる構造)が形成される。そこで、電界遮蔽層12として、上記のような600nm以上1100nm以下の波長を吸収しにくい材料または縮体半導体等を用いることで、リペア工程の際に、電界遮蔽層12および絶縁膜13と、その周辺の領域における損傷の発生を抑制することができる。
【0058】
また、本実施の形態では、電界遮蔽層12のシート抵抗が1kΩ以上であることにより、TFT層14における不良箇所からのリーク電流に起因する焼損を抑制することができる。ここで、例えば有機ELディスプレイとしての表示装置1を駆動させるためには、金属配線には、最大で24.5V以上の電圧が印加される。また、金属配線と電界遮蔽層12とが絶縁膜13を介して積層されることから、その積層箇所およびその周辺部には高電圧が印加されることとなる。このような積層箇所において絶縁膜13に形成不良があると、この不良箇所において金属配線と電界遮蔽層12とがショートし、大きなリーク電流を生じる。この結果、不良箇所において発熱が生じ、該不良箇所およびその周辺部が焼損することがある。電界遮蔽層12のシート抵抗が1kΩ以上であることで、そのようなリーク電流による焼損を抑制することができる。
【0059】
更に、本実施の形態では、電界遮蔽層12に対しグランド電位等の固定電位が供給されることにより、電極として使用される場合(印加される電圧値が可変の信号電圧である場合)に比べ、TFT10aに対し、寄生容量等の電気的な影響が生じにくい。
【0060】
以上説明したように本実施の形態では、基板11上に電界遮蔽層12が形成され、この上に絶縁膜13を介してTFT10aが形成されている。即ち、基板11とTFT10aとの間に電界遮蔽層12が介在する。ここで、TFT10aのゲート電極143に電圧が印加されると、TFT10aと基板11との間に生じる電界により特性変動を起こし得るが、電界遮蔽層12の介在により、そのような電界が基板11まで到達することを抑制できる。よって、TFT10aの特性変動を抑制することが可能となる。
【0061】
次に、上記第1の実施の形態の他の実施の形態について説明する。上記第1の実施の形態の表示装置1と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0062】
<第2の実施の形態>
[構成]
図15は、本開示の第2の実施の形態に係る表示装置(表示装置4)の断面構成を模式的に表したものである。表示装置4は、上記第1の実施の形態の表示装置1と同様、例えば有機電界発光装置であり、バックプレーンとしての半導体装置20上に表示素子層15を備えたものである。半導体装置20は、上記第1の実施の形態の半導体装置10と同様、基板11上(基板11の面S1上)に、例えば電界遮蔽層12、絶縁膜13およびTFT層14をこの順に有している。基板11の面S2(電界遮蔽層12側の面S1に対向する面)には、金属薄膜16(第2の導電層)が接着層44を介して設けられている。表示素子層15の上には、例えば封止層41、絶縁膜42および基板43がこの順に設けられている。絶縁膜13上の端部には、配線層(端子部)46aが設けられ、ケーブル46を通じて、例えばフレキシブルプリント配線板(FPC:Flexible Printed Circuits)等の配線基板と接続される。
【0063】
基板11は、上述したように、例えば樹脂材料等からなる可撓性基板である。この基板11の厚みは、例えば10μm以上200μm以下とすることができる。但し、本実施の形態では、この基板11が、面S1から面S2までを貫通する開口Hを有している。開口Hの内部には、導電層11a(第1の導電層)が形成されている(開口Hに導電層11aが埋め込まれている)。
【0064】
開口Hは、基板11の選択的な領域に1または複数設けられている。この開口Hの形成位置、開口形状および大きさ(形成面積)等は特に限定されるものではないが、歩留まり向上のためには、複数設けられるとよい。また、開口Hは、詳細は後述するが、例えばレーザ加工により形成されることから、レーザ照射時における熱の画素への影響を抑制するために、表示素子層15の有効画素領域を避け、その周辺に対応する領域に形成されるとよい。
【0065】
導電層11aは、開口Hを埋め込み(開口Hに充填され)、例えば銀(Ag)等を含んで構成されている。この導電層11aは、基板11の面S1上に形成された電界遮蔽層12と、基板11の面S2に固定された金属薄膜16とのそれぞれに電気的に接続されている。ここでは、導電層11aは、電界遮蔽層12と金属薄膜16とのそれぞれに接して形成されている。
【0066】
電界遮蔽層12は、例えば基板11の全面にわたって連続して形成されると共に、固定電位に保持されている。本実施の形態では、これらの電界遮蔽層12および導電層11aが、絶縁膜13上の配線層46aと電気的に分離されている(電気的に非接続である)。電界遮蔽層12には、導電層11aを通じて固定電位(例えばグランド電位)が供給される。この電界遮蔽層12の厚みは、例えば5nm以上1μm以下である。尚、この電界遮蔽層12は、上記第1の実施の形態のように、選択的な領域にのみ形成(パターン形成)されていても構わない。
【0067】
絶縁膜13は、上述したような無機絶縁膜および有機絶縁膜のうちのいずれか、または両方を含んで構成されている。この絶縁膜13の厚みは、例えば50nm以上10μmとすることができる。本実施の形態では、絶縁膜13は、少なくとも導電層11aに正対する領域においては連続的に形成されている(開口を有していない)。
【0068】
封止層41は、表示素子層15を保護するために設けられ、例えば、表示素子層15上の周縁部に(枠状に)形成されたダム材と、このダム材によって囲まれた領域に充填された樹脂材料とを含む。尚、表示素子層15は、このような封止手法に限定されず、いわゆる中空封止により封止されていてもよい。
【0069】
絶縁膜42は、保護膜として機能するものであり、例えば絶縁膜13の構成材料と同様の材料から構成される。基板43は、上記の基板11と同様、樹脂等の可撓性基板である。接着層44は、導電性を有する接着剤または接着シートを含んで構成されている。
【0070】
本実施の形態では、基板11の面S2に接着層44を介して金属薄膜16が固定されている。金属薄膜16は、上述したように、基板11が可撓性基板から構成される場合等に、基板11の保護および補強等のために用いられるものである。この金属薄膜16は、例えば表示装置4の筐体45に接続されている。筐体45は、例えば、モジュールとしての表示装置4の背面側の一部または全部を覆う金属部材であり、例えば接地されている。この筐体45は、文字通りの箱状のものに限らず、板状または枠状のものであってもよい。また、ここでは、金属薄膜16の全面が筐体45に接した構成を図示しているが、この構成に限定されず、金属薄膜16が、接地された筐体45に電気的に接続された構成であればよい。例えば、金属薄膜16と筐体45との間に他の導電層が介在してもよいし、金属薄膜16の選択的な部分のみが筐体45と接した構成であってもよい。
【0071】
[製造方法]
上記のような表示装置4は、例えば次のようにして製造することができる。
図16A〜
図23は、表示装置4の製造プロセスを表したものである。
【0072】
まず、
図16Aに示したように、例えば可撓性基板よりなる基板11の裏面(面S2)に、ガラスなどよりなる支持基板210を貼り合わせる。この後、
図16Bに示したように、基板11の面S1上に、上述した材料(例えば透明導電膜材料)よりなる電界遮蔽層12を、上記第1の実施の形態と同様の手法により成膜する。その後、
図16Cに示したように、電界遮蔽層12上に、上述した材料および厚みよりなる絶縁膜13を形成する。形成手法としては、絶縁膜13の構成材料に応じて、上記第1の実施の形態と同様の手法が挙げられる。続いて、
図16Dに示したように、例えば上記第1の実施の形態と同様にして、TFT層14を形成する。このようにして、バックプレーンを形成することができる。
【0073】
次に、
図17に示したように、TFT層14上に、上記第1の実施の形態と同様にして、表示素子層15を形成する。
【0074】
一方、
図18Aに示したように、例えば可撓性基板よりなる基板43の裏面に、ガラスなどよりなる支持基板410を貼り合わせる。この後、
図18Bに示したように、基板43上に、絶縁膜42を形成する。このようにして、いわゆるフロントプレーンを形成することができる。
【0075】
続いて、
図19に示したように、
図17の工程で形成された表示素子層15上に、封止層41を間にして、
図18Bの工程で形成されたフロントプレーンを貼り合わせる。封止層41は、例えば表示素子層15上の周縁部にダム材を形成した後、このダム材によって囲まれる領域に封止樹脂を流し込み、硬化させることにより形成することができる。
【0076】
次に、
図20に示したように、支持基板210,410を剥離する。
【0077】
続いて、
図21に示したように、基板11に開口Hを形成する。具体的には、基板11の面S2の側から、例えばエキシマレーザまたは固体レーザ等を用いて、波長および出力等の諸条件を適切に設定してレーザ光を照射し、基板11を加工する。この際、レーザ光によるエネルギーが基板11において選択的に吸収されることが望ましい。例えば、レーザ光が絶縁膜13、TFT層14および表示素子層15を透過する際に、これらの各層には吸収されないように、波長および出力等が設定されるとよい。あるいは、レーザ光を反射させることにより、
絶縁膜13、TFT層14および表示素子層15等に入射しないように照射条件を設定してもよい。
【0078】
この後、
図22に示したように、基板11の開口Hの内部に、例えば銀ペースト等からなる導電材料を埋め込み、導電層11aを形成する。
【0079】
続いて、
図23に示したように、基板11の面S2に、接着層44を介して金属薄膜16を固定する(貼り合わせる)。この後、特に図示はしないが、金属薄膜16を筐体45と接続させる。また、絶縁膜13を形成後の工程において、絶縁膜13の端部にケーブル46を介して配線基板等を接続させる。これにより、
図15に示した表示装置4を完成する。
【0080】
[作用、効果]
本実施の形態の表示装置4においても、上記第1の実施の形態の表示装置1と同様、外部から入力される映像信号に基づいて、表示素子層15の各画素が表示駆動され、映像表示がなされる。また、半導体装置20のTFT層14には、画素駆動のために電圧が供給される。
【0081】
ここで、本実施の形態においても、基板11として例えば樹脂等の可撓性基板を用いた場合、TFT層14と基板11との間に電界が生じ、また基板11の裏面(面S2)と内部に電荷を生じる。この点においては、上記第1の実施の形態と同様、電界遮蔽層12が設けられることから、そのような電界の影響を抑制し、TFT層14の特性変動を抑制することができる。よって、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。
【0082】
加えて、本実施の形態では、次のような効果を得ることができる。ここで、
図24に本実施の形態の比較例(比較例2)に係る表示装置の構成について示す。このように、基板11とTFT層14との間に電界遮蔽層12を設けた場合、電界遮蔽層12は、フローティングの状態ではなく、固定電位(例えばグランド電位)に保持されることが望ましい。このため、比較例2では、電界遮蔽層12上の絶縁膜13に開口H
100が設けられ、この開口H
100を埋め込むように配線層47が形成されている。配線層47は、絶縁膜13上に引き出され、ケーブル46を介して配線基板等に接続される。このように、電界遮蔽層12への固定電位の供給のために、絶縁膜13を貫通する配線層47が設けられている。
【0083】
この比較例2の装置構成では、配線層47を形成するために、例えばフォトリソグラフィにより絶縁膜13が加工される(開口H
100が形成される)。このため、フォトリソグラフィによる加工工程が増えると共に、絶縁膜13として感光性を有する材料が用いられることが望まれる。また、開口H
100に配線層47を埋め込むために、絶縁膜13の厚みを大きくすることが難しい。絶縁膜13の厚みを確保しづらく、また開口H
100が形成されることから、水分や可動イオンに対するバリア性が低下する。
【0084】
そこで、本実施の形態では、
図15に示したように、絶縁膜13ではなく、基板11が開口され(開口Hを有し)、この開口Hの内部に導電層11aが形成されている。換言すると、導電層11a(即ち、電界遮蔽層12)は、絶縁膜13上に形成された配線層46aとは電気的に分離して設けられている。この導電層11aを用いて電界遮蔽層12への固定電位の供給を行うことができる。これにより、絶縁膜13によるバリア性能の低下を抑制しつつ、上述のような電界遮蔽の効果を得ることができる。また、絶縁膜13の材料も、感光性を有するものに限定されない。更に、絶縁膜13を加工しなくてもよいことからフォトリソグラフィの工程を削減することができる。加えて、絶縁膜13の厚みに制約がなくなることから、バリア性を確保する、あるいは容量を小さくする等のために、絶縁膜13の厚みを大きくすることができる。このように、絶縁膜13の材料選択の自由度や製造プロセスの自由度も向上する。
【0085】
また、本実施の形態では、基板11の面S2に、導電性の接着層44を介して金属薄膜16が固定され、この金属薄膜16が、接地された筐体45に接続されている。これにより、導電層11aは、接着層44、金属薄膜16および筐体45を通じてグランド電位に保持される。これにより、プリント配線板等の配線基板を通じて固定電位が供給される場合に比べ、電位の揺れ(変動)が少なく、より安定した電位供給が可能となる。
【0086】
<機能構成例>
図25は、上記実施の形態において説明した表示装置1,4(以下では、代表して表示装置1とする)の機能ブロック構成を表すものである。
【0087】
表示装置1は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、映像として表示するものであり、上述した有機ELディスプレイの他にも、例えば液晶ディスプレイなどにも適用される。表示装置1は、例えばタイミング制御部21と、信号処理部22と、駆動部23と、表示画素部24とを備えている。
【0088】
タイミング制御部21は、各種のタイミング信号(制御信号)を生成するタイミングジェネレータを有しており、これらの各種のタイミング信号を基に、信号処理部22等の駆動制御を行うものである。信号処理部22は、例えば、外部から入力されたデジタルの映像信号に対して所定の補正を行い、それにより得られた映像信号を駆動部23に出力するものである。駆動部23は、例えば走査線駆動回路および信号線駆動回路などを含んで構成され、各種制御線を介して表示画素部24の各画素を駆動するものである。表示画素部24は、例えば有機EL素子または液晶表示素子等の表示素子(上述の表示素子層15)と、表示素子を画素毎に駆動するための画素回路とを含んで構成されている。これらのうち、例えば、駆動部23または表示画素部24の一部を構成する各種回路に、上述のTFT10aを含む半導体装置10が用いられる。
【0089】
<表示装置以外の適用例>
上記実施の形態では、半導体装置10,20(以下では、代表して半導体装置10とする)の適用例として表示装置1を例に挙げて説明したが、上述した半導体装置10は、表示装置1の他にも、
図26に示したような撮像装置(撮像装置2)に用いられてもよい。
【0090】
撮像装置2は、例えば画像を電気信号として取得する固体撮像装置であり、例えばCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどから構成されている。撮像装置2は、例えばタイミング制御部25と、駆動部26と、撮像画素部27と、信号処理部28とを備えている。
【0091】
タイミング制御部25は、各種のタイミング信号(制御信号)を生成するタイミングジェネレータを有しており、これらの各種のタイミング信号を基に、駆動部26の駆動制御を行うものである。駆動部26は、例えば行選択回路、AD変換回路および水平転送走査回路などを含んで構成され、各種制御線を介して撮像画素部27の各画素から信号を読み出す駆動を行うものである。撮像画素部27は、例えばフォトダイオードなどの撮像素子(光電変換素子)と、信号読み出しのための画素回路とを含んで構成されている。信号処理部28は、撮像画素部27から得られた信号に対して様々な信号処理を施すものである。これらのうち、例えば、駆動部26または撮像画素部27の一部を構成する各種回路に、上述のTFT10aを含む半導体装置10が用いられる。
【0092】
<電子機器の例>
上記実施の形態等において説明した半導体装置10を含む表示装置1(または撮像装置2)は、様々なタイプの電子機器に用いることができる。
図27に、電子機器3の機能ブロック構成を示す。電子機器3としては、例えばテレビジョン装置、パーソナルコンピュータ(PC)、スマートフォン、タブレット型PC、携帯電話機、デジタルスチルカメラおよびデジタルビデオカメラ等が挙げられる。
【0093】
電子機器3は、例えば上述の表示装置1(または撮像装置2)と、インターフェース部30とを有している。インターフェース部30は、外部から各種の信号および電源等が入力される入力部である。このインターフェース部30は、また、例えばタッチパネル、キーボードまたは操作ボタン等のユーザインターフェースを含んでいてもよい。
【0094】
以上、実施の形態等を挙げて説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態等に記載した各層の材料および厚みは列挙したものに限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよい。更に、薄膜トランジスタおよび半導体装置では、上述した全ての層を備えている必要はなく、あるいは上述した各層に加えて更に他の層を備えていてもよい。
【0095】
また、上記実施の形態等では、TFT10a(TFT層14)を備えた半導体装置10,20を例に挙げたが、本開示の半導体装置は、
図28に示したように、TFT10a以外の半導体素子31を備えたものであってもよい。半導体素子31は、例えば基板11上に、電界遮蔽層12および絶縁膜13を介して形成されている。この半導体素子31としては、例えば容量素子または光電変換素子などの電極を有する様々なタイプの半導体素子を用いることができ、いずれの場合にも、半導体素子31から基板11まで電界が到達しにくくなり、半導体素子31の特性変動を抑制することが可能である。
【0096】
更に、上記実施の形態等において説明した効果は一例であり、本開示の効果は、他の効果であってもよいし、更に他の効果を含んでいてもよい。
【0097】
尚、本開示は以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
基板と、
前記基板上に形成された電界遮蔽層と、
前記電界遮蔽層上に絶縁膜を介して形成されると共に、電極を有する半導体素子と
を備えた
半導体装置。
(2)
前記半導体素子は、前記基板上の選択的な領域に形成された半導体層を有し、
前記電界遮蔽層は、前記半導体層と平面視的に重なる形状を有する
上記(1)に記載の半導体装置。
(3)
前記半導体素子は、前記基板上に前記半導体層を有する薄膜トランジスタであり、
前記電界遮蔽層は、
前記薄膜トランジスタの前記半導体層と平面視的に重なる島状部分と、
前記島状部分と電気的に接続された配線部分と
を有する
上記(2)に記載の半導体装置。
(4)
前記電界遮蔽層は、固定電位に保持されている
上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の半導体装置。
(5)
前記基板は、前記電界遮蔽層側の第1面と前記第1面に対向する第2面とを有すると共に、前記第1面から前記第2面までを貫通する1または複数の開口を有し、
前記1または複数の開口の内部に形成された第1の導電層を更に備えた
上記(4)に記載の半導体装置。
(6)
前記基板の前記第2面に導電性接着層を介して固定された第2の導電層を更に備えた
上記(5)に記載の半導体装置。
(7)
前記第2の導電層は、接地された筐体に接続されている
上記(6)に記載の半導体装置。
(8)
前記絶縁膜上に配線層を更に備え、
前記第1の導電層は、前記絶縁膜上に設けられた配線層とは電気的に分離して設けられている
上記(5)〜(7)のいずれか1つに記載の半導体装置。
(
9)
前記絶縁膜は、少なくとも前記第1の導電層に正対する領域において連続的に形成されている
上記(5)〜(8)のいずれか1つに記載の半導体装置。
(10)
前記電界遮蔽層は、前記基板上の全面にわたって連続的に形成されている
上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の半導体装置。
(11)
前記電界遮蔽層は、透明導電膜を含んで構成されている
上記(1)〜(10)のいずれか1つに記載の半導体装置。
(12)
前記基板は可撓性基板である
上記(1)〜(11)のいずれか1つに記載の半導体装置。
(13)
前記基板は樹脂を含む
上記(12)に記載の半導体装置。
(14)
基板と、
前記基板上に形成された電界遮蔽層と、
前記電界遮蔽層上に絶縁膜を介して形成されると共に、電極を有する半導体素子と、 前記半導体素子上に形成され、複数の画素を含む表示素子層と
を備えた表示装置。
(15)
前記電界遮蔽層は、固定電位に保持されている
(14)に記載の表示装置。
(16)
前記表示素子層は、各々が画素毎に配置された複数の第1電極上に、表示機能層と、固定電位が供給される第2電極とを有し、
前記基板上の端部に、前記第2電極に固定電位を供給するための第1の端子部が配置され、
前記電界遮蔽層は、前記第1の端子部に電気的に接続されている
上記(15)に記載の表示装置。
(17)
前記表示素子層は、各々が画素毎に配置された複数の第1電極上に、表示機能層と、固定電位に保持される第2電極とを有し、
前記基板上の端部に、前記第2電極に固定電位を供給するための第1の端子部と、前記第1の端子部とは異なる固定電位供給用の第2の端子部とが配置され、
前記電界遮蔽層は、前記第2の端子部に電気的に接続されている
上記(15)に記載の表示装置。
(18)
前記基板は、前記電界遮蔽層側の第1面と前記第1面に対向する第2面とを有すると共に、前記第1面から前記第2面までを貫通する1または複数の開口を有し、
前記1または複数の開口の内部に形成された第1の導電層を更に備えた
上記(15)に記載の表示装置。
(19)
基板上に電界遮蔽層を形成し、
前記電界遮蔽層上に絶縁膜を介して、電極を有する半導体素子を形成し、
前記半導体素子上に、複数の画素を含む表示素子層を形成する
表示装置の製造方法。
(20)
基板と、
前記基板上に形成された電界遮蔽層と、
前記電界遮蔽層上に絶縁膜を介して形成されると共に、電極を有する半導体素子と、
前記半導体素子上に形成され、複数の画素を含む表示素子層と
を備えた
表示装置を有する電子機器。