特許第6654468号(P6654468)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6654468
(24)【登録日】2020年2月3日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】光送信モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/026 20060101AFI20200217BHJP
   H01S 5/227 20060101ALI20200217BHJP
   H01S 5/34 20060101ALI20200217BHJP
   H01S 5/12 20060101ALI20200217BHJP
   H01S 5/50 20060101ALI20200217BHJP
   G02F 1/025 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   H01S5/026 610
   H01S5/026 616
   H01S5/227
   H01S5/34
   H01S5/12
   H01S5/50 610
   G02F1/025
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-36722(P2016-36722)
(22)【出願日】2016年2月29日
(65)【公開番号】特開2017-157583(P2017-157583A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2018年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】301005371
【氏名又は名称】日本ルメンタム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 厚
(72)【発明者】
【氏名】安原 望
(72)【発明者】
【氏名】山内 俊也
(72)【発明者】
【氏名】山口 頼儀
(72)【発明者】
【氏名】常深 義博
【審査官】 村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−312457(JP,A)
【文献】 特開2008−294124(JP,A)
【文献】 特開2000−269587(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/060058(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00−5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極が設けられた第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に、ストライプ状に形成され、一方の端面から第1のストライプ幅で延伸する第1部分と、前記一方の端面の反対側から前記第1のストライプ幅よりも小さい第2のストライプ幅で延伸する第2部分と、ストライプ幅が変化して前記第1部分と前記第2部分を接続する接続部分と、を含む活性層と、
前記活性層の上にストライプ状に形成され、第2電極が設けられ、前記活性層の延伸方向に沿って設けられた回折格子を含む第2半導体層と、
前記活性層の前記第2部分と光学的に接続され、前記第2部分から出射された光の振幅を変調する光変調器と、を有し
前記回折格子は、平面視において、前記第1部分と重畳し、前記第2部分と重畳しない、
光送信モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の光送信モジュールであって、
前記一方の端面に設けられた反射膜と、
前記一方の端面と反対側の端面に設けられた反射防止膜と、
を有する光送信モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の光送信モジュールであって、
前記活性層は、多重量子井戸で一体的に形成されている、
光送信モジュール。
【請求項4】
請求項1に記載の光送信モジュールであって、
前記第2電極は、
前記第1部分の上方に設けられたレーザ電極と、前記レーザ電極と別体で前記第2部分の上方に設けられた光導波路電極と、を含む、
光送信モジュール。
【請求項5】
請求項1に記載の光送信モジュールであって、
前記第2電極は、
前記第1部分、前記第2部分及び前記接続部分の上方に一体的に設けられる、
光送信モジュール。
【請求項6】
第1電極が設けられた第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に、ストライプ状に形成され、一方の端面から第1のストライプ幅で延伸する第1部分と、前記一方の端面の反対側から前記第1のストライプ幅よりも小さい第2のストライプ幅で延伸する第2部分と、ストライプ幅が変化して前記第1部分と前記第2部分を接続する接続部分と、を含む活性層と、
前記活性層の上にストライプ状に形成され、第2電極が設けられ、前記活性層の延伸方向に沿って設けられた回折格子を含む第2半導体層と、
前記第2部分に沿って、前記第2部分の両側方のうち少なくとも一方に設けられた保護壁と、を有し、
前記回折格子は、平面視において、前記第1部分と重畳し、前記第2部分と重畳しない、
光送信モジュール。
【請求項7】
第1電極が設けられた第1半導体層と、
前記第1半導体層の上に、ストライプ状に形成された活性層と、
前記活性層の上にストライプ状に形成され、第2電極が設けられ、前記活性層の延伸方向に沿って設けられた回折格子を含む第2半導体層と、を有し、
前記活性層は、
一方の端面から第1のストライプ幅で延伸する第1部分と、前記一方の端面の反対側から前記第1のストライプ幅よりも小さい第2のストライプ幅で延伸する第2部分と、ストライプ幅が変化して前記第1部分と前記第2部分を接続する接続部分と、を含み、
前記回折格子は、平面視において、前記第1部分と重畳し、前記第2部分と重畳せず、
前記活性層は、前記第2部分において平面視で湾曲している、
光送信モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光送信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信に用いられる光信号の変調方式として、パルス振幅変調(Pulse Amplitude Modulation, PAM)が採用される場合がある。PAMは、光強度の違いによって信号の符号化を行う変調方式である。
【0003】
下記特許文献1には、ストライプの幅がテーパ状に変化し、ストライプを挟む側面が基板の主面に対して傾斜している半導体レーザが記載されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、ストライプ幅が後端面から前端面に向かって連続的に増加している半導体レーザ素子が記載されている。
【0005】
また、下記非特許文献1には、半導体レーザの緩和振動周波数及び変調度が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−37337号公報
【特許文献2】特開平9−289354号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】伊藤良一 共編、中村道治 共編「半導体レーザ―基礎と応用」培風館 1989年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、より大きなデータ通信量を得るために、2値より大きい多値度のPAMが用いられる場合がある。2値より大きい多値度のPAMでは、信号間の強度差が2値のPAMの場合に比べて小さくなる場合がある。そのため、2値より大きい多値度のPAMは、2値のPAMに比べて、ノイズの影響を受けやすい場合がある。
【0009】
そこで、本発明は、ノイズをより低減した光送信モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記課題を解決するために、本発明に係る光送信モジュールは、第1電極が設けられた第1半導体層と、前記第1半導体層の上に、ストライプ状に形成された活性層と、前記活性層の上にストライプ状に形成され、第2電極が設けられ、前記活性層の延伸方向に沿って設けられた回折格子を含む第2半導体層と、を有し、前記活性層は、一方の端面から第1のストライプ幅で延伸する第1部分と、前記一方の端面の反対側から前記第1のストライプ幅よりも小さい第2のストライプ幅で延伸する第2部分と、ストライプ幅が変化して前記第1部分と前記第2部分を接続する接続部分と、を含み、前記回折格子は、平面視において、前記第1部分と重畳し、前記第2部分と重畳しない。
【0011】
(2)上記(1)に記載の光送信モジュールであって、前記一方の端面に設けられた反射膜と、前記一方の端面と反対側の端面に設けられた反射防止膜と、を有する光送信モジュール。
【0012】
(3)上記(1)に記載の光送信モジュールであって、前記活性層の前記第2部分と光学的に接続され、前記第2部分から出射された光の振幅を変調する光変調器を有する光送信モジュール。
【0013】
(4)上記(1)に記載の光送信モジュールであって、前記活性層は、多重量子井戸で一体的に形成されている光送信モジュール。
【0014】
(5)上記(1)に記載の光送信モジュールであって、前記第2電極は、前記第1部分の上方に設けられたレーザ電極と、前記レーザ電極と別体で前記第2部分の上方に設けられた光導波路電極と、を含む、光送信モジュール。
【0015】
(6)上記(1)に記載の光送信モジュールであって、前記第2電極は、前記第1部分、前記第2部分及び前記接続部分の上方に一体的に設けられる、光送信モジュール。
【0016】
(7)上記(1)に記載の光送信モジュールであって、前記第2部分に沿って、前記第2部分の両側方のうち少なくとも一方に設けられた保護壁を有する、光送信モジュール。
【0017】
(8)上記(1)に記載の光送信モジュールであって、前記活性層は、前記第2部分において平面視で湾曲している、光送信モジュール。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、ノイズをより低減した光送信モジュールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態に係る第1の光送信モジュールの上面図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る第1の光送信モジュールのII−II断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る第1の光送信モジュールのIII−III断面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る第1の光送信モジュールのIV−IV断面図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る第2の光送信モジュールの上面図である。
図6】本発明の第3の実施形態に係る第3の光送信モジュールの上面図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る第3の光送信モジュールのVII−VII断面図である。
図8】本発明の第4の実施形態に係る光送信チップの上面図である。
図9】本発明の第4の実施形態に係る光送信チップに搭載される第1の変調器集積型光送信モジュールの上面図である。
図10】本発明の第4の実施形態に係る光送信チップに搭載される第1の変調器集積型光送信モジュールのX−X断面図である。
図11】本発明の第5の実施形態に係る第2の変調器集積型光送信モジュールの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施形態]
以下に、図面に基づき、本発明の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、以下に示す図は、あくまで、実施形態の実施例を説明するものであって、図の大きさと本実施例記載の縮尺は必ずしも一致するものではない。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る第1の光送信モジュール100の上面図である。また、図2は、本発明の第1の実施形態に係る第1の光送信モジュール100について、図1のII−II断面を示す図である。第1の光送信モジュール100は、n型電極106が設けられたn型InP層113を有する。n型電極106は第1電極であり、n型InP層113は第1半導体層である。
【0022】
第1の光送信モジュール100は、n型InP層113の上に、ストライプ状に形成された活性層121を有する。また、活性層121の上にストライプ状に形成され、光導波路電極103及びレーザ電極104が設けられ、活性層121の延伸方向に沿って設けられた回折格子105を含むp型InP層112を有する。光導波路電極103及びレーザ電極104は第2電極であり、p型InP層112は第2半導体層である。
【0023】
活性層121は、一方の端面から第1のストライプ幅W1で延伸する第1部分121aを含む。第1部分121aは、第1の光送信モジュール100の光出射端面と反対側の端面から、第1のストライプ幅W1で延伸する。第1部分121aは、活性層121のうち図1の第1領域に設けられた部分であり、第1部分121aの上方に設けられたレーザ電極104に電圧を印加することでレーザ発振する。第1のストライプ幅W1は、例えば数μmであってよい。
【0024】
活性層121は、一方の端面の反対側から第1のストライプ幅W1よりも小さい第2のストライプ幅W2で延伸する第2部分121bを含む。第2部分121bは、第1の光送信モジュール100の光出射端面から、第2のストライプ幅W2で延伸する。第2部分121bは、活性層121のうち図1の第2領域に設けられた部分であり、第2部分121bの上方に設けられた光導波路電極103に印加された電圧に応じて、第1部分121aから出射されたレーザ光を増幅する。第2のストライプ幅W2は、第1のストライプ幅の1/3程度であってよく、例えば数百nmであってよい。
【0025】
活性層121は、ストライプ幅が変化して第1部分121aと第2部分121bを接続する接続部分121cを含む。接続部分121cは、平面視において、第1のストライプ幅W1から第2のストライプ幅W2に変形するテーパ形状を有する。接続部分121cは、活性層121のうち、図1の接続領域に設けられた部分である。なお、レーザ電極104及び光導波路電極103のいずれか一方又は両方は、平面視において接続部分121cと重畳して設けられてもよい。
【0026】
回折格子105は、平面視において、第1部分121aと重畳し、第2部分121bと重畳しない。回折格子105は、活性層121の第1部分121aの上方に設けられ、特定の波長(又は波長帯)の光を活性層121の延伸方向に反射する。なお、回折格子105は、平面視において、接続部分121cと重畳して設けられてもよいし、レーザ電極104と重畳して設けられてもよい。
【0027】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る第1の光送信モジュール100について、図1のIII−III断面を示す図である。n型電極106が設けられたn型InP層113は、山型の断面形状を有し、頂上部に活性層121がストライプ状に形成され、活性層121の上にp型InP層112がストライプ状に形成される。同図では、第1のストライプ幅W1で形成された活性層121の第1部分121aと、その上方に形成された回折格子105を図示している。活性層121及びp型InP層112で形成された第1のストライプ幅W1を有するリッジ部の両側方には、高抵抗InP層114が設けられる。高抵抗InP層114は、p型InP層112の上に設けられた埋め込み層である。高抵抗InP層114の上には、絶縁層109が設けられる。絶縁層109は、p型InP層112の上には設けられない。p型InP層112の上には、レーザ電極104が設けられる。レーザ電極104にレーザ駆動電圧が印加されると、p型InP層112で狭窄された電流が活性層121の第1部分121aに流れて光子が生成され、回折格子105による反射とあいまってレーザ発振する。
【0028】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る第1の光送信モジュール100について、図1のIV−IV断面を示す図である。同図では、第2のストライプ幅W2で形成された活性層121の第2部分121bを図示している。活性層121の第2部分121bの上方には、回折格子105が形成されていない。活性層121及びp型InP層112で形成された第2のストライプ幅W2を有するリッジ部の両側方には、高抵抗InP層114が設けられる。高抵抗InP層114の上には、絶縁層109が設けられる。絶縁層109は、p型InP層112の上には設けられない。p型InP層112の上には、光導波路電極103が設けられる。光導波路電極103に電圧が印加されると、p型InP層112で狭窄された電流が活性層121の第2部分121bに流れて誘導放出が起こり、第1部分121aから出射されたレーザ光が増幅される。
【0029】
第2部分121bでは、第1部分121aから出射されたレーザ光が増幅されるため、第2部分121bにおける光子密度は、第1部分121aに比べて上昇する。また、第2部分121bにおける光子密度が第1部分121aにおける光子密度より大きいため、第2部分121bにおいて生じる誘導放出による単位体積あたりのキャリア消費量が、第1の部分121aにおいて生じる誘導放出による単位体積あたりのキャリア消費量よりも多くなる。そのため、第2部分121bにおけるキャリア密度は、第1部分121aにおけるキャリア密度より小さくなる。
【0030】
第1の光送信モジュール100により生成されるPAM信号に対する雑音は、自然放出により生成される光に起因する。誘導放出によるレーザ光に自然放出された光が加わると、光強度に揺らぎが生じるためである。このような揺らぎ(雑音)を定量化する指標として、相対強度雑音(Relative Intensity Noise、RIN)が知られている。RINは、自然放出光が少ないほど小さくなる。本実施形態に係る第1の光送信モジュール100では、活性層121の出射側に第2部分121bを設けて、第2のストライプ幅W2を第1のストライプ幅W1よりも狭くすることで、第2部分121bにおけるキャリア密度を第1部分121aにおけるキャリア密度より小さくしている。キャリア密度が小さくなると、自然放出に寄与するキャリアが減るため、RINが低減される。よって、本実施形態に係る第1の光送信モジュール100によれば、ノイズが低減される。
【0031】
なお、活性層121のストライプ幅を一様に狭くした場合、例えば活性層121のストライプ幅を延伸方向について一様に第2のストライプ幅W2とした場合、第1領域におけるキャリア密度が相対的に上昇して、キャリアの総量を低減することが困難となり、RINの低減効果が小さくなる。
【0032】
本実施形態に係る第1の光送信モジュール100によれば、第1部分121aで発生する雑音を低減することもできる。前掲の非特許文献1によれば、半導体レーザの緩和振動周波数fは、以下の数式(1)で表される。
【0033】
【数1】
【0034】
ここで、Sは光子密度の直流成分、τは光子の寿命、gは利得係数、nはキャリア数であり、n=nはキャリア数の直流成分である。
【0035】
また、前掲の非特許文献1によれば、変調角振動数ωにおける半導体レーザの変調度M(ω)=|S(ω)/S(0)|は、以下の数式(2)で表される。なお、S(ω)は変調角振動数ωにおける光子密度の変調成分である。
【0036】
【数2】
【0037】
ここで、ω=2πfであり、Ω=1/τ+τωで与えられる量であり、τはキャリアの寿命である。
【0038】
Ω≒τωと近似すると、変調度M(ω)は、M(Ω)≒(τ(∂g/∂n)n=n0−1/2と近似される。また、光子密度が変化しない定常状態では、1/τ=Γ(n−n)(∂g/∂n)n=n0が成り立つ。ここで、Γは光閉じ込め率である。よって、緩和角振動数ωにおける変調度M(ω)は、以下の数式(3)で表される。
【0039】
【数3】
【0040】
数式(3)によれば、キャリア密度nを低減させるか、光閉じ込め率Γを低減させるか、光子密度の直流成分Sを増大させることで、緩和角振動数ωにおける変調度M(ω)を小さくすることができる。変調度が小さくなるということは、誘導放出光に対して自然放出光に起因する揺らぎが生じても、その影響が小さくなることを意味しており、RINが低減することを意味する。
【0041】
数式(1)〜(3)は、半導体レーザに関するものであるが、単位時間あたりの出力光子数と入力光子数の差として1/τを定義することで、光導波路に適用することもできる。
【0042】
本実施形態に係る第1の光送信モジュール100によれば、第2のストライプ幅W2が第1のストライプ幅W1よりも狭いことで、活性層121の第2部分121bの光閉じ込め率Γが小さくなり、第2部分121bの変調度が小さくなる。そのため、RINが小さくなる。また、前述のように、第2部分121bのキャリア密度は、第1部分121aのキャリア密度より小さくなるため、第2部分121bの変調度が小さくなり、RINが小さくなる。なお、第2部分121bの光閉じ込め率Γが相対的に小さいため、第2部分121bでの単位長さあたりの光増幅率が低下し、光子寿命が長くなるため、緩和振動周波数fは小さくなり、変調帯域が縮小する。そのため、第1部分121aで発生した自然放出光が第2部分121bにおいて減衰することとなる。
【0043】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る第1の光送信モジュール100は、一方の端面に設けられた反射膜108と、一方の端面と反対側の端面に設けられた反射防止膜107と、を有する。ここで、本実施形態において、一方の端面とは、ストライプ幅が比較的大きい活性層121の第1部分121aの端面であり、レーザ光の反射面である。また、本実施形態において、一方の端面と反対側の端面とは、ストライプ幅が比較的小さい活性層121の第2部分121bの端面であり、レーザ光の出射面である。
【0044】
本実施形態に係る第1の光送信モジュール100によれば、反射膜108を有することで、活性層121の第1部分121aにおいて誘導放出が増強され、より光強度の強いレーザ光が出力される。また、反射防止膜107を有することで、出射面に入射した光が活性層121に侵入することが防止され、レーザ光の発振が妨げられることが防止される。
【0045】
図1及び2に示すように、本実施形態に係る第1の光送信モジュール100の光導波路電極103及びレーザ電極104(第2の電極)は、別体で形成されている。光導波路電極103とレーザ電極104は、平面視において、接続領域において断絶しており、互いに異なる電圧を印加することができる。なお、第1電極であるn型電極106は一体的に形成された共通電極である。
【0046】
本実施形態に係る第1の光送信モジュール100によれば、光導波路電極103とレーザ電極104が別体で形成されていることで、活性層121の第1部分121aの電流密度と、第2部分121bの電流密度とを独立に調整することができ、レーザ光のノイズを低減するように電圧を選択することができ、よりノイズを低減することができる。
【0047】
本実施形態に係る第1の光送信モジュール100の活性層121は、多重量子井戸で一体的に形成されている。活性層121は、ストライプ幅が第1のストライプ幅W1である第1部分121aと、ストライプ幅が第2のストライプ幅W2である第2部分121bと、ストライプ幅が変化して第1部分121aと第2部分121bを接続する接続部分121cと、を含む。本実施形態に係る活性層121は、n型InP層113上に多重量子井戸により形成された後、エッチングによりストライプ状に成形される。
【0048】
本実施形態に係る第1の光送信モジュール100によれば、活性層121が多重量子井戸で一体的に形成されていることで、閾値電流を低減し、高出力のレーザ光を出射することができる。
【0049】
[第2の実施形態]
図5は、本発明の第2の実施形態に係る第2の光送信モジュール200の上面図である。本実施形態に係る第2の光送信モジュール200は、第2電極であるp型電極110が、活性層121の第1部分121a、第2部分121b及び接続部分121cの上方に一体的に設けられる点で、第1の実施形態に係る第1の光送信モジュール100と相違する。その他の構成については、本実施形態に係る第2の光送信モジュール200は、第1の実施形態に係る第1の光送信モジュール100と同様の構成を有する。
【0050】
本発明の第2の実施形態に係る第2の光送信モジュール200によれば、一体的に設けられたp型電極110により、活性層121の第1部分121a及び第2部分121bに共通の電流密度で電流が供給され、第2部分121bにおいてレーザ光が増幅されるため、第2部分121bにおける光子密度が第1部分121aにおける光子密度よりも大きくなる。そのため、第2部分121bにおけるキャリア密度は、第1部分121aにおけるキャリア密度よりも小さくなり、RINが低減される。
【0051】
[第3の実施形態]
図6は、本発明の第3の実施形態に係る第3の光送信モジュール300の上面図である。本実施形態に係る第3の光送信モジュール300は、活性層121の第2部分121bに沿って、第2部分121bの両側方のうち少なくとも一方に設けられた保護壁116を有する点で、第1の実施形態に係る第1の光送信モジュール100と相違する。具体的には、本実施形態に係る第3の光送信モジュール300は、第2部分121bの両側方に、第2部分121bと同程度のストライプ幅で第2部分121bの延伸方向と平行に延伸する2本の保護壁116を有する。また、本実施形態に係る第3の光送信モジュール300は、第2電極であるp型電極110が、活性層121の第1部分121a、第2部分121b及び接続部分121cの上方に一体的に設けられる点で、第1の実施形態に係る第1の光送信モジュール100と相違する。その他の構成については、本実施形態に係る第3の光送信モジュール300は、第1の実施形態に係る第1の光送信モジュール100と同様の構成を有する。なお、本実施形態に係る第3の光送信モジュール300は、第2部分121bの両側方に、第2部分121bと同程度のストライプ幅で第2部分121bの延伸方向と平行に延伸する2本の保護壁116を有するが、保護壁116は、第2部分121bの片側のみに設けられてもよいし、保護壁116のストライプ幅は、第2部分121bのストライプ幅と異なってもよい。
【0052】
図7は、本発明の第3の実施形態に係る第3の光送信モジュール300について、図6のVII−VII断面を示す図である。保護壁116は、活性層121の第2部分121bを含むリッジ部と同様の積層構造を有する。すなわち、本実施形態に係る第3の光送信モジュール300のn型InP層113は、3つの頂点を有する山型に成形され、n型InP層113の3つの頂点の上には、それぞれ、活性層121と同じ材料の層と、p型InP層112と同じ材料の層とが積層されている。ここで、2本の保護壁116を構成するp型InP層112と同じ材料の層の上には絶縁層109が形成され、光導波路電極103と電気的に絶縁される。光導波路電極103は、中央のリッジ部(活性層121の第2部分121bを含むリッジ部)のp型InP層112と電気的に接続される。
【0053】
本実施形態に係る第3の光送信モジュール300によれば、活性層121の第2部分121bに沿って、第2部分121bの両側方のうち少なくとも一方に設けられた保護壁116を有することで、第2部分121bを含むリッジ部を形成する際に当該リッジ部の破損が防止される。ウェットエッチングを用いて、第2部分121bを含むリッジ部をストライプ幅数百nmで形成する場合、エッチング液の振動によりリッジ部に力が加わり、リッジ部が破損してしまうおそれがある。保護壁116を設けることで、リッジ部周囲におけるエッチング液の振動が抑制され、リッジ部の破損が防止される。
【0054】
[第4の実施形態]
図8は、本発明の第4の実施形態に係る光送信チップ400の上面図である。光送信チップ400は、第1の変調器集積型光送信モジュール500と、チップコンデンサ204と、高周波線路202と、終端抵抗201と、ビアホール205を含む。
【0055】
図9は、本発明の第4の実施形態に係る光送信チップ400に搭載される第1の変調器集積型光送信モジュール500の上面図である。本実施形態に係る第1の変調器集積型光送信モジュール500は、活性層121の第2部分121bと光学的に接続され、第2部分121bから出射された光の振幅を変調する電界吸収型光変調器130を有する点で、第1の実施形態に係る第1の光送信モジュール100と相違する。本実施形態に係る第1の変調器集積型光送信モジュール500は、第2部分121bの光出射側に、第2部分121bと同程度のストライプ幅で変調器導波路132を有する。電界吸収型光変調器130は、光変調器電極131に印加される電圧に応じて、変調器導波路132を通過するレーザ光を吸収し、レーザ光の強度変調を行う。また、本実施形態に係る第1の変調器集積型光送信モジュール500は、第2電極であるp型電極110が、活性層121の第1部分121a、第2部分121b及び接続部分121cの上方に一体的に設けられる点で、第1の実施形態に係る第1の光送信モジュール100と相違する。その他の構成については、本実施形態に係る第1の変調器集積型光送信モジュール500は、第1の実施形態に係る第1の光送信モジュール100と同様の構成を有する。なお、本実施形態に係る第1の変調器集積型光送信モジュール500において、反射防止膜107は、電界吸収型光変調器130の出射端面に設けられる。
【0056】
光送信チップ400に設けられる高周波線路202は、両端にワイヤ203が接続され、第1の変調器集積型光送信モジュール500が有する光変調器電極131に高周波信号を伝送する。光変調器電極131は、終端抵抗201とワイヤ203で接続され、終端抵抗201で高周波信号を終端する。これにより、電界吸収型光変調器130に高周波信号(変調信号)が印加され、レーザ光が強度変調される。
【0057】
チップコンデンサ204は、ワイヤ203が接続され、第1の変調器集積型光送信モジュール500が有するp型電極110にレーザ駆動電圧を供給する。また、ビアホール205は、光送信チップ400の裏面に設けられたグラウンド電極と接続され、第1の変調器集積型光送信モジュール500が有するn型電極106に接地電位を供給する。
【0058】
図10は、本発明の第4の実施形態に係る光送信チップ400に搭載される第1の変調器集積型光送信モジュール500について、図9のX−X断面を示す図である。第1の変調器集積型光送信モジュール500は、活性層121の第1部分121a、第2部分121b及び接続部分121cの上方に一体的に設けられたp型電極110と、変調器導波路132の上方に、p型電極110と別体で設けられた電界吸収型光変調器130を有する。活性層121と変調器導波路132は、同一の材料で形成してもよい。また、活性層121と変調器導波路132は、多重量子井戸で一体的に形成してもよい。
【0059】
本実施形態に係る第1の変調器集積型光送信モジュール500によれば、ストライプ幅が比較的狭い活性層121の第2部分121bを有し、電界吸収型光変調器130が集積されていることにより、ノイズの少ない多値のPAM信号を出力することができる。また、本実施形態に係る光送信チップ400によれば、電界吸収型光変調器130が集積された第1の変調器集積型光送信モジュール500が搭載されていることにより、小型で、ノイズの少ない多値のPAM信号を出力することのできる光送信チップが得られる。
【0060】
[第5の実施形態]
図11は、本発明の第5の実施形態に係る第2の変調器集積型光送信モジュール600の上面図である。本実施形態に係る第2の変調器集積型光送信モジュール600は、その活性層121が、第2部分121bにおいて平面視で湾曲している点で、第1の実施形態に係る第1の光送信モジュール100と相違する。また、活性層121の第2部分121bと光学的に接続され、第2部分121bから出射された光の振幅を変調する電界吸収型光変調器130を有する点で、第1の実施形態に係る第1の光送信モジュール100と相違する。本実施形態に係る第2の変調器集積型光送信モジュール600は、変調器導波路132が平面視において湾曲している点で、第4の実施形態に係る第1の変調器集積型光送信モジュール500と相違する。また、本実施形態に係る第1の変調器集積型光送信モジュール500は、第2電極であるp型電極110が、活性層121の第1部分121a、第2部分121b及び接続部分121cの上方に一体的に設けられる点で、第1の実施形態に係る第1の光送信モジュール100と相違する。その他の構成については、本実施形態に係る第1の変調器集積型光送信モジュール500は、第1の実施形態に係る第1の光送信モジュール100と同様の構成を有する。なお、本実施形態に係る第2の変調器集積型光送信モジュール600において、反射防止膜107は、電界吸収型光変調器130の出射端面に設けられる。
【0061】
本実施形態に係る第2の変調器集積型光送信モジュール600において、活性層121は、第1領域に設けられる第1部分121aが一定のストライプ幅で直線状に設けられ、接続領域に設けられる接続部分121cが変化するストライプ幅でテーパ状に設けられ、第2領域に設けられる第2部分121bが一定のストライプ幅で湾曲して設けられる。ここで、第2部分121bのストライプ幅は、第1部分のストライプ幅よりも狭い。また、変調器導波路132は、第2部分121bと同じストライプ幅で、湾曲して設けられる。
【0062】
本実施形態に係る第2の変調器集積型光送信モジュール600によれば、第2部分121bが平面視で湾曲して設けられることで、ウェットエッチングを用いて第2部分121bを含むリッジ部をストライプ幅数百nmで形成する場合であっても、リッジ部周囲におけるエッチング液の振動によるリッジ部側方からの力が分散され、リッジ部の破損が防止される。また、変調器導波路132が平面視で湾曲して設けられることで、電界吸収型光変調器130の破損が防止される。
【0063】
本発明の実施形態は、以上に説明したものに限られない。例えば、活性層121の第2部分121bのストライプ幅である第2のストライプ幅W2は、第1部分121aのストライプ幅である第1のストライプ幅の1/3程度に限られず、W1>W2を満たす関係であればよい。また、活性層121の接続部分121cの長さ(レーザ光出射方向について測った長さ)は、第1部分121a及び第2部分121bいずれの長さよりも短いが、第1部分121aの長さと第2部分121bの長さの大小関係はいずれであってもよい。また、回折格子105は、平面視において、第2部分121bと重畳しないが、接続部分121cと重畳してもよいし、第1部分121aの一部と重畳していればよい。
【符号の説明】
【0064】
100 第1の光送信モジュール、101 第1のリッジ部、102 第2のリッジ部、103 光導波路電極、104 レーザ電極、105 回折格子、106 n型電極、107 反射防止膜、108 反射膜、109 絶縁膜、110 p型電極、112 p型InP層、113 n型InP層、114 高抵抗InP層、116 保護壁、121 活性層、121a 第1部分、121b 第2部分、121c 接続部分、130 電界吸収型光変調器、131 変調器電極、132 変調器導波路、200 第2の光送信モジュール、201 終端抵抗、202 高周波線路、203 ワイヤ、204 チップコンデンサ、205 ビアホール、300 第3の光送信モジュール、400 光送信チップ、500 第1の変調器集積型光送信モジュール、600 第2の変調器集積型光送信モジュール。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11