(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電力源から分電盤を介して複数の電気機器に電力が供給される電力供給設備において、前記分電盤から前記複数の電気機器に至る電力配線の異常を判定する異常判定装置であって、
前記分電盤は、前記電力源に接続される一次配線と、前記一次配線から分岐する複数の二次配線と、を有しており、
前記複数の二次配線は、それぞれ異なる前記電気機器に接続されており、
前記分電盤は、前記複数の二次配線のうち少なくとも2つにおいて、前記二次配線での過電流または過電圧の検出時に前記二次配線における通電を遮断する二次配線遮断器と、前記二次配線のうち前記二次配線遮断器から前記電気機器に向けて供給される電力量に関する電力関連情報を検出する二次電力情報検出部と、をそれぞれ備えており、
前記二次配線遮断器は、自身の状態を、前記二次配線における通電を許可する通電可能状態と、前記二次配線における通電を遮断する通電遮断状態と、を少なくとも含む複数の状態に切替可能に構成されており、
前記複数の二次電力情報検出部は、それぞれ検出した前記電力関連情報を外部に出力するよう構成され、
前記分電盤は、前記複数の二次配線遮断器のうち少なくとも1つが過電流または過電圧の検出により通電を遮断した場合に、遮断警報信号を外部に出力する警報信号出力部を備えており、
当該異常判定装置は、
前記複数の電力関連情報におけるそれぞれの履歴情報を保存する履歴情報保存部と、
前記警報信号出力部から出力された前記遮断警報信号を受信した場合に、前記電力関連情報の履歴情報に基づいて、前記複数の二次配線遮断器のそれぞれについて前記通電遮断状態であるか否かを判定する遮断状態判定部と、
を備えており、
前記遮断状態判定部は、前記複数の二次配線遮断器のそれぞれについて予め定められた判定条件を満たすか否かを判定して、前記判定条件を満たす前記二次配線遮断器を通電遮断状態であると判定し、前記判定条件を満たさない前記二次配線遮断器を通電遮断状態ではないと判定するよう構成されており、
前記遮断警報信号の受信後における前記電力関連情報の値が前記遮断警報信号の受信前における前記電力関連情報の値よりも低下したことを第1条件とし、前記遮断警報信号の受信後における前記電力関連情報の値が前記二次配線に接続される前記電気機器の待機時における前記電力関連情報の値よりも小さいことを第2条件とした場合に、
前記遮断状態判定部は、前記複数の二次配線遮断器のうち前記第1条件および前記第2条件の両者が成立する前記二次配線遮断器は前記判定条件を満たすと判定し、前記第1条件および前記第2条件のうち少なくとも一方が成立しない前記二次配線遮断器は前記判定条件を満たさないと判定する、
異常判定装置。
前記遮断警報信号の受信前における前記電力関連情報の値が前記二次配線に接続される前記電気機器の待機時における前記電力関連情報の値以上であることを第3条件とした場合に、
前記遮断状態判定部は、前記第1条件、前記第2条件、前記第3条件の全てが成立する場合には前記判定条件を満たすと判定し、前記第1条件、前記第2条件、前記第3条件のうち少なくとも1つが成立しない場合には前記判定条件を満たさないと判定する、
請求項1に記載の異常判定装置。
前記遮断状態判定部は、前記遮断警報信号の受信後における前記電力関連情報として、前記遮断警報信号の受信時からの経過時間が異なる複数の前記電力関連情報を用いて、前記複数の二次配線遮断器のうち通電遮断状態の二次配線遮断器を判定する、
請求項1または請求項2に記載の異常判定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、遮断警報信号を出力するように構成された分電盤であっても、複数の二次配線のうち過電流または過電圧が発生した二次配線を特定するための情報は外部に出力しない構成のものが存在する。このような構成の分電盤からの遮断警報信号を受信した設備管理室では、複数の二次配線の中から過電流または過電圧が発生した二次配線(換言すれば、異常が発生した電力配線)を特定することができない。
【0008】
この場合に、過電流または過電圧が発生した二次配線を特定するためには、作業員が分電盤まで移動して、分電盤の内部における配線遮断器の状態を目視確認する必要がある。このような確認作業が必要になると、遮断警報信号を受信してから複数の電力配線のいずれか異常状態であるかを特定するまでに長い時間を要するという問題が生じる。
【0009】
これに対して、過電流または過電圧が発生した二次配線(異常が生じた電力配線)を特定するための情報を出力するように分電盤の構成変更を行うことで、分電盤から離れた場所でも過電流または過電圧が発生した二次配線(異常が生じた電力配線)を特定することが可能となる。
【0010】
しかし、既存の分電盤においては、物理的な制約やコスト的な制約などによって、このような構成変更を行うことは難しいため、分電盤から離れた場所でも過電流または過電圧が発生した二次配線(異常が生じた電力配線)を特定することが困難となる。
【0011】
そこで、本発明は、複数の二次配線(または、複数の電力配線)のうち過電流または過電圧が発生した二次配線(異常が生じた電力配線)を特定するための情報を出力しない構成の分電盤が備えられる電力供給設備において、複数の二次配線(または、複数の電力配線)のうち過電流または過電圧が発生した二次配線(異常が生じた電力配線)を特定できる異常判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の1つの局面における異常判定装置は、電力源から分電盤を介して複数の電気機器に電力が供給される電力供給設備において、分電盤から複数の電気機器に至る電力配線の異常を判定する異常判定装置であって、履歴情報保存部と、遮断状態判定部と、を備える。
【0013】
分電盤は、電力源に接続される一次配線と、一次配線から分岐する複数の二次配線と、を有している。複数の二次配線は、それぞれ異なる電気機器に接続されている。
分電盤は、複数の二次配線のうち少なくとも2つにおいて、二次配線遮断器と、二次電力情報検出部と、をそれぞれ備えている。
【0014】
二次配線遮断器は、二次配線での過電流または過電圧の検出時に二次配線における通電を遮断する。二次配線遮断器は、自身の状態を、二次配線における通電を許可する通電可能状態と、二次配線における通電を遮断する通電遮断状態と、を少なくとも含む複数の状態に切替可能に構成されている。
【0015】
二次電力情報検出部は、二次配線のうち二次配線遮断器から電気機器に向けて供給される電力量に関する電力関連情報を検出する。複数の二次電力情報検出部は、それぞれ検出した電力関連情報を外部に出力するよう構成されている。なお、電力関連情報としては、例えば、電流値、電圧値、電力値などが挙げられる。
【0016】
分電盤は、複数の二次配線遮断器のうち少なくとも1つが過電流または過電圧の検出により通電を遮断した場合に、遮断警報信号を外部に出力する警報信号出力部を備えている。
【0017】
履歴情報保存部は、複数の電力関連情報におけるそれぞれの履歴情報を保存する。遮断状態判定部は、警報信号出力部から出力された遮断警報信号を受信した場合に、電力関連情報の履歴情報に基づいて、複数の二次配線遮断器のそれぞれについて通電遮断状態であるか否かを判定する。
【0018】
遮断状態判定部は、複数の二次配線遮断器のそれぞれについて予め定められた判定条件を満たすか否かを判定して、判定条件を満たす二次配線遮断器を通電遮断状態であると判定し、判定条件を満たさない二次配線遮断器を通電遮断状態ではないと判定するよう構成されている。
【0019】
遮断警報信号の受信後における電力関連情報の値が遮断警報信号の受信前における電力関連情報の値よりも低下したことを第1条件とし、遮断警報信号の受信後における電力関連情報の値が二次配線に接続される電気機器の待機時における電力関連情報の値よりも小さいことを第2条件とする。この場合に、遮断状態判定部は、複数の二次配線遮断器のうち第1条件および第2条件の両者が成立する二次配線遮断器は判定条件を満たすと判定し、第1条件および第2条件のうち少なくとも一方が成立しない二次配線遮断器は判定条件を満たさないと判定する。
【0020】
このように構成された異常判定装置は、1つの遮断警報信号と、複数の電力関連情報とを用いることで、複数の二次配線遮断器のうちいずれが通電遮断状態であるのかを判定できる。つまり、遮断警報信号および複数の電力関連情報が予め入力される構成の既存の異常判定装置において、複数の二次配線遮断器のうち通電遮断状態の二次配線遮断器を示す信号を新たに追加することなく、通電遮断状態の二次配線遮断器を特定できる。
【0021】
このような異常判定装置は、信号の配線を新たに追加する必要がないため、配線に関するハードウェア構成の変更を伴うことなく、通電遮断状態となった二次配線遮断器を特定することが可能となり、電力供給設備の管理・監視が容易となる。
【0022】
よって、この異常判定装置によれば、複数の電力配線(二次配線)のうち異常が生じた電力配線を特定するための情報を出力しない構成の分電盤が備えられる電力供給設備において、複数の電力配線のうち異常が発生した電力配線(二次配線)を特定できる。
【0023】
次に、上述の異常判定装置においては、遮断警報信号の受信前における電力関連情報の値が二次配線に接続される電気機器の待機時における電力関連情報の値以上であることを第3条件とした場合に、遮断状態判定部は、第1条件、第2条件、第3条件の全てが成立する場合には判定条件を満たすと判定し、第1条件、第2条件、第3条件のうち少なくとも1つが成立しない場合には判定条件を満たさないと判定する構成であってもよい。
【0024】
遮断状態判定部での判定条件として、遮断警報信号の受信前における電力関連情報の値が電気機器の待機時における電力関連情報の値以上であるか否かの条件(第3条件)を追加することで、誤判定を低減することができ、通電遮断状態の二次配線遮断器を判定する際の判定精度を向上できる。
【0025】
次に、上述の異常判定装置においては、遮断状態判定部は、遮断警報信号の受信後における電力関連情報として、遮断警報信号の受信時からの経過時間が異なる複数の電力関連情報を用いて、複数の二次配線遮断器のうち通電遮断状態の二次配線遮断器を判定してもよい。
【0026】
このように複数の電力関連情報を用いて判定する構成を採ることで、単一の電力関連情報を用いて判定する場合に比べて、誤判定を低減することができ、通電遮断状態の二次配線遮断器を判定する際の判定精度を向上できる。
【0027】
次に、上述の異常判定装置においては、履歴情報保存部は、予め定められた保存周期毎に設定された情報保存時期に複数の電力関連情報を保存することで履歴情報を更新し、遮断状態判定部は、遮断警報信号の受信後、初めての情報保存時期における電力関連情報を用いて、通電遮断状態の二次配線遮断器を判定してもよい。
【0028】
このように、遮断状態判定部での判定に用いる電力関連情報を、遮断警報信号の受信後、初めての情報保存時期における電力関連情報とすることで、電力関連情報の保存に関する割り込み処理が不要となり、異常判定装置における処理負荷の上昇を抑制できる。
【0029】
次に、上述の異常判定装置においては、履歴情報保存部は、予め定められた保存周期毎に設定された情報保存時期に複数の電力関連情報を保存することで履歴情報を更新し、遮断状態判定部は、遮断警報信号の受信後、初めての情報保存時期よりも早い時期の電力関連情報を用いて、通電遮断状態の二次配線遮断器を判定してもよい。
【0030】
このように、遮断状態判定部での判定に用いる電力関連情報を、遮断警報信号の受信後初めての情報保存時期よりも早い時期の電力関連情報とすることで、情報保存時期の到来を待つことなく、早期に通電遮断状態の二次配線遮断器を判定することができる。
【0031】
また、保存周期が長く設定されている場合、遮断警報信号の受信後初めての情報保存時期における電力関連情報を用いて通電遮断状態の二次配線遮断器を判定する構成においては、遮断警報信号の受信時期によって、遮断警報信号の受信時期から通電遮断状態の二次配線遮断器を判定する時期までの所要時間が変動する。例えば、遮断警報信号の受信時期が情報保存時期の直後になると、遮断警報信号の受信時期から通電遮断状態の二次配線遮断器を判定する時期までの所要時間が長くなる。
【0032】
これに対して、遮断状態判定部での判定に用いる電力関連情報を、遮断警報信号の受信後初めての情報保存時期よりも早い時期の電力関連情報とすることで、遮断警報信号の受信時期がどのようなタイミングであっても、遮断警報信号の受信時期から通電遮断状態の二次配線遮断器を判定する時期までの所要時間が長くなることを抑制できる。
【0033】
次に、上述の異常判定装置においては、二次配線遮断器は、自身の動作モードとして、ONモード、OFFモード、異常検出遮断モードを少なくとも含んで構成されており、分電盤はOFF遮断器情報を外部に出力するOFF情報出力部を備えており、遮断状態判定部は、通電遮断状態の二次配線遮断器を判定するにあたり、動作モードがOFFモードである二次配線遮断器を判定対象から除外する構成であってもよい。なお、OFF遮断器情報は、複数の二次配線遮断器のうち動作モードがOFFモードである二次配線遮断器がいずれであるのかを示す情報である。
【0034】
このような構成を採ることで、OFFモードである二次配線遮断器を判定対象から除外できるため、通電遮断状態の二次配線遮断器を判定するための判定回数を低減でき、遮断状態判定部での処理負荷を低減できる。
【0035】
なお、二次配線遮断器の動作モードのうち、ONモードとは外部からの指令に基づき強制的に通電可能状態(ON状態)に設定された状態の動作モードである。OFFモードとは外部からの指令に基づき強制的に通電遮断状態(OFF状態)に設定された状態の動作モードである。異常検出遮断モードとは、外部からの指令に基づき、モード設定当初は通電可能状態(ON状態)となり、その後、二次配線の異常(例えば、過電流、過電圧など)を検出した場合に強制的に通電遮断状態(OFF状態)に切り替える動作モードである。
【0036】
次に、上述の異常判定装置においては、二次電力情報検出部は、電力関連情報として、電流値、電圧値、電力値のうち少なくとも1つを検出する構成としてもよい。
このように、電流値、電圧値、電力値のうち少なくとも1つを用いることで、二次配線での異常(過電流、過電圧など)を判定することができる。
【0037】
なお、遮断状態判定部での判定に用いるのは、電流値、電圧値、電力値のうちいずれか1つに限られることはなく、遮断状態判定部は、これらのうち2つまたは3つを組み合わせて判定してもよい。
【0038】
次に、上述の異常判定装置においては、分電盤は、一次配線での過電流または過電圧の検出時に一次配線における通電を遮断する一次配線遮断器を備えており、警報信号出力部は、複数の二次配線遮断器のうち少なくとも1つが過電流または過電圧の検出により通電を遮断した場合に加えて、一次配線遮断器が過電流または過電圧の検出により通電を遮断した場合にも、遮断警報信号を外部に出力するよう構成されてもよい。そして、遮断状態判定部は、複数の電力関連情報の全てについて、遮断警報信号の受信後における電力関連情報の値が待機時における電力関連情報の値よりも小さい場合には、一次配線遮断器が通電遮断状態であると判定する構成であってもよい。
【0039】
このような構成の異常判定装置は、複数の二次配線遮断器に加えて、一次配線遮断器が通電遮断状態であるか否かを判定できる。つまり、この異常判定装置を用いることで、複数の二次配線遮断器および一次配線遮断器のうちいずれが通電遮断状態であるかを特定することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明の異常判定装置によれば、複数の電力配線(二次配線)のうち異常が生じた電力配線を特定するための情報を出力しない構成の分電盤が備えられる電力供給設備において、複数の電力配線のうち異常が発生した電力配線(二次配線)を特定できる。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
なお、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0043】
[1.第1実施形態]
[1−1.全体構成]
図1は、第1実施形態としての配線監視システム1の概略構成を示す説明図である。
【0044】
配線監視システム1は、建築物3(データセンタや通信ビルなど)に備えられている。
建築物3には、電力供給設備5と、複数の電気機器29と、が配置されている。電力供給設備5は、外部の電源装置41から供給される電力を複数の電気機器29に対して供給するために備えられている。電力供給設備5は、分電盤21と、一次設備配線35と、複数の二次設備配線37と、を備えている。
【0045】
配線監視システム1は、分電盤21から複数の電気機器29に電力供給するための複数の二次設備配線37を監視するために備えられている。配線監視システム1は、監視装置11と、警報信号線19aと、センサ信号線19bと、を備える。
【0046】
監視装置11は、配線異常判定処理および履歴情報保存処理を少なくとも含む各種演算処理を実行可能に構成されている。監視装置11は、演算部13と、記憶装置14と、を備える。監視装置11は、例えば、コンピュータを用いて構成することが可能である。
【0047】
演算部13は、中央演算処理装置13a(以下、CPU13aともいう),ROM13b,RAM13cを備える。CPU13aは、予め定められたプログラムに基づいて各種データを用いた演算処理を実行する。ROM13bは、各種演算処理に用いる初期データ、演算処理内容を示すプログラムなどを記憶する。RAM13cは、CPU13aで実行されるプログラムおよびデータを一時的に記憶する。つまり、CPU13aは、ROM13bから初期データおよびプログラムなどを読み込んで配線異常判定処理を含む各種演算処理を実行し、各種演算処理の実行時に用いる各種データ(変数など)の一次記憶領域としてRAM13cを利用する。
【0048】
記憶装置14は、演算部13からの指令に応じて、分電盤21から受信した各種データの履歴情報を記憶する装置である。記憶装置14は、ハードディスクドライブ(HDD)、フレキシブルディスクドライブ、CDドライブ、DVDドライブ、ブルーレイディスクドライブなどを備えて構成できる。また、記憶装置14は、ROM13bおよびRAM13cに格納されるデータやプログラムなどをバックアップ記憶する外部記憶装置として用いることもできる。
【0049】
なお、監視装置11は、図示しない通信部、入力装置、出力装置を備える。通信部は、監視装置11に接続される外部機器(分電盤21を含む)との間で各種データや指令信号などの送受信を行う。入力装置は、キーボード、マウス(ポインティングデバイス)などを有しており、操作者が監視装置11に対して指令などを入力するために用いられる。出力装置は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカなどを有しており、監視装置11による演算結果などを出力(表示、印刷、音声出力など)するために用いられる。
【0050】
分電盤21は、電源装置41から供給される電力を分岐して、複数の電気機器29に供給するために備えられている。分電盤21は、一次設備配線35および電力系統線43を介して電源装置41に接続されており、複数の二次設備配線37を介して複数の電気機器29に接続されている。
【0051】
分電盤21は、単数の一次配線31と、複数の二次配線33と、単数の一次配線遮断器23(以下、一次側MCCB23ともいう)と、複数の二次配線遮断器25(以下、二次側MCCB25ともいう)と、複数のセンサ27と、を備える。
【0052】
なお、本実施形態では、二次配線33、二次側MCCB25、センサ27は、それぞれn個ずつ(第1〜第n)備えられている。
一次配線31は、一次側外部端子31aを介して電力系統線43に接続されるとともに、分岐点32を介して複数の二次配線33に接続されている。一次配線31は、一端が一次側外部端子31aに接続され、他端が第n番目の分岐点32(第n番目の二次配線33に接続される分岐点32)に接続される。一次配線31の配線経路上には、一次側MCCB23と、複数の分岐点32と、が備えられている。
【0053】
複数の二次配線33は、それぞれ、二次側外部端子33aを介して二次設備配線37に接続される。第n番目の二次配線33は、一端が第n番目の分岐点32に接続され、他端が第n番目の二次側外部端子33aに接続される。二次配線33の配線経路上には、それぞれ、二次側MCCB25と、センサ27と、が備えられている。
【0054】
一次側MCCB23は、一次配線31に設けられており、一次配線31を通電可能状態または通電遮断状態のいずれかの状態に切り替えるために備えられている。一次側MCCB23は、外部からの指令に基づいて動作モードが設定される。この動作モードには、少なくともONモード、OFFモード、異常監視モードが含まれている。
【0055】
ONモードは、外部からの指令に基づき強制的に、一次側MCCB23の両端が電気的に接続された通電可能状態(ON状態)に設定された状態の動作モードである。OFFモードは、外部からの指令に基づき強制的に、一次側MCCB23の両端が電気的に遮断された通電遮断状態(OFF状態)に設定された状態の動作モードである。異常監視モードは、モード設定初期状態においては一次側MCCB23の両端が電気的に接続された通電可能状態(ON状態)となり、その後、過電流または過電圧を検出した場合に、一次側MCCB23の両端が電気的に遮断された通電遮断状態(OFF状態)に切り替わる動作モードである。
【0056】
複数の二次側MCCB25は、それぞれ複数の二次配線33に対して、一対一の対応関係となるように配置されている。二次側MCCB25は、自身が配置された二次配線33を通電可能状態または通電遮断状態のいずれかの状態に切り替えるために備えられている。二次側MCCB25は、外部からの指令に基づいて動作モードが設定される。この動作モードには、少なくともONモード、OFFモード、異常監視モードが含まれている。各動作モードは、一次側MCCB23と同様であるため、説明は省略する。
【0057】
複数のセンサ27は、それぞれ複数の二次配線33に対して、一対一の対応関係となるように配置されている。複数のセンサ27は、それぞれ二次配線33のうち二次側MCCB25と二次側外部端子33aとの間に配置されている。複数のセンサ27は、それぞれ二次配線33に流れる電流の電流値を検出する。複数のセンサ27は、それぞれ、検出した電流値を示すセンサ信号Ssを、センサ信号線19bを介して監視装置11に対して送信する。
【0058】
なお、一次側MCCB23は、警報信号線19aを介して、トリップ警報信号Stを監視装置11に対して出力する警報信号出力部23aを備えている。警報信号出力部23aは、一次側MCCB23が異常監視モードであるときに過電流または過電圧を検出して通電遮断状態に移行した場合、または、複数の二次側MCCB25のうち少なくとも1つが異常監視モードであるときに過電流または過電圧を検出して通電遮断状態に移行した場合に、トリップ警報信号Stを監視装置11に対して出力する。つまり、一次側MCCB23および複数の二次側MCCB25のうち少なくとも1つにおいて、動作モードが異常監視モードに設定されている状況下で通電可能状態から通電遮断状態に移行した場合に、警報信号出力部23aは、トリップ警報信号Stを監視装置11に対して出力する。
【0059】
[1−2.配線異常判定処理]
配線監視システム1の監視装置11は、各種演算処理の1つとして、配線異常判定処理を行うように構成されている。
【0060】
配線異常判定処理は、分電盤21から複数の電気機器29に至る複数の二次設備配線37の異常を判定するための演算処理である。具体的には、複数の二次設備配線37のうち異常状態の二次設備配線37を判定するための演算処理である。
【0061】
配線異常判定処理では、トリップ警報信号Stを受信した場合に、複数のセンサ信号Ssに基づいて、複数の二次側MCCB25のうち通電可能状態から通電遮断状態(トリップ状態)に移行した二次側MCCB25を判定する。その判定結果を用いることで、複数の二次設備配線37のうち異常状態の二次設備配線37を判定することができる。
【0062】
入力装置(図示省略)を介して使用者からの実行指令(配線異常判定処理の実行指令)が入力されると、CPU13aは、ROM13bから配線異常判定処理に関するプログラムなどを読み込んで、配線異常判定処理を開始する。
【0063】
なお、監視装置11は、各種演算処理の1つとして、履歴情報保存処理を実行する。履歴情報保存処理では、複数のセンサ27のそれぞれから受信したセンサ信号Ssを、予め定められた保存周期(本実施形態では、1.0sec)毎に設定された情報保存時期に、記憶装置14に保存することで、センサ信号Ssの履歴情報である電力情報Eを記憶装置14に蓄積する。この履歴情報保存処理では、電力情報Eとして、最新の1日分(24時間分)のセンサ信号Ssを記憶装置14に保存しており、1日よりも以前の古い履歴情報を破棄しつつ最新のセンサ信号Ssを保存することで、複数のセンサ27のそれぞれに対応する電力情報Eを更新している。
【0064】
図2に、配線異常判定処理の処理内容を表したフローチャートを示す。
配線異常判定処理が開始されると、まず、S110(Sはステップを表す)では、分電盤21(詳細には、警報信号出力部23a)からのトリップ警報信号Stを受信したか否かを判定し、肯定判定するとS120に移行し、否定判定すると同ステップを繰り返し実行することで待機する。
【0065】
S110で肯定判定されてS120に移行すると、S120では、記憶装置14に蓄積された電力情報Eのうち、トリップ警報信号Stの受信時の直前に保存された情報(センサ信号Ssが示す電流値)を警報前電力情報Epとして取得する。このとき、複数のセンサ27の全てに対応する警報前電力情報Epを取得する。
【0066】
ここで、センサ信号Ssの保存タイミングと、トリップ警報信号Stの受信タイミングとの関係について説明する。
図3は、センサ信号Ss(センサ27で検出された電流値)の波形における記憶装置14への保存タイミングを示す説明図である。
【0067】
センサ信号Ssは、予め定められた保存周期毎に設定された情報保存時期に記憶装置14に保存されており、図では時刻t
1、t
2、・・・、t
nが保存タイミング(情報保存時期)を示しており、時刻taがトリップ警報信号Stの受信タイミングを示している。このため、
図3においては、時刻t
n−1でのセンサ信号Ssが警報前電力情報Epとなる。
【0068】
図2に戻り、次のS130では、記憶装置14に蓄積された電力情報Eのうち、トリップ警報信号Stの受信時の直後に保存された情報(センサ信号Ssが示す電流値)を警報後電力情報Eaとして取得する。このとき、複数のセンサ27の全てに対応する警報後電力情報Eaを取得する。なお、
図3においては、時刻t
nでのセンサ信号Ssが警報後電力情報Eaとなる。
【0069】
次のS140では、カウンタ変数xに対して初期値(本実施形態では、x=1)を設定する。
次のS150では、第x番目の二次側MCCB25における電力情報Eが所定のトリップ条件を満たすか否かを判定しており、肯定判定するとS160に移行し、否定判定するとS170に移行する。なお、本実施形態でのトリップ条件は、次の3つの条件(条件1〜条件3)であり、これら全てを満たす場合にS150で肯定判定され、少なくとも1つが満たされない場合にはS150で否定判定される。
【0070】
(条件1) Ep > Ea
(条件2) Ea < Th1
(条件3) Ep > Th1
なお、Th1は、第1判定閾値であり、電気機器29の待機時に二次配線33に流れる電流値(待機時電流値)が設定されている。本実施形態では、第1判定閾値Th1は、複数の電気機器29のそれぞれに対応して異なる値が設定されている。なお、複数の電気機器29における待機時電流値が全て同一値である場合には、第1判定閾値Th1は、複数の電気機器29の全てにおいて共通の値を設定してもよい。
【0071】
ここで、上記の条件について説明すると、まず、条件1を満たすのは、二次配線33に流れる電流値が、トリップ警報信号Stの受信前よりも受信後の方が小さくなっている場合である。条件2を満たすのは、トリップ警報信号Stの受信後に二次配線33に流れる電流値が電気機器29の待機時電流値よりも小さい場合である。第3条件を満たすのは、トリップ警報信号Stの受信前に二次配線33に流れる電流値が電気機器29の待機時電流値よりも大きい場合である。
【0072】
ここで、二次配線33に流れる電流値のいくつかのパターンについて説明する。
図4は、トリップ警報信号Stの状態変化を示す波形と、二次配線33に流れる電流値(換言すれば、センサ27での検出値)の3つのパターンを示す波形と、を表した説明図である。
【0073】
まず、パターンAは、トリップ警報信号Stがローレベルからハイレベルに変化した時刻taにおいて、二次配線33に流れる電流値は急激な変化を示すことなく、時刻taの前後のいずれにおいても、二次配線33に流れる電流値が第1判定閾値Th1よりも大きい値を維持している。このような電流値波形を示す二次配線33に備えられる二次側MCCB25は、時刻taよりも前の段階から通電可能状態を維持していると判断できるため、トリップ状態(過電流または過電圧によって通電可能状態から通電遮断状態に移行した状態)ではないと判断できる。このパターンAにおいては、上記の条件1〜条件3のうち少なくとも条件2が満たされないため、S150では否定判定される。
【0074】
次に、パターンBは、時刻taにおいて、二次配線33に流れる電流値が急激に低下している。時刻taよりも前の段階では、二次配線33に流れる電流値が第1判定閾値Th1よりも大きい値を示しているが、時刻taの後の段階では、二次配線33に流れる電流値が第1判定閾値Th1よりも小さい値を示す。このような電流値波形を示す二次配線33に備えられる二次側MCCB25は、時刻taで通電可能状態から通電遮断状態(トリップ状態)に移行したと判断できる。このパターンBにおいては、上記の条件1〜条件3の全てが満たされているため、S150では肯定判定される。
【0075】
次に、パターンCは、時刻taにおいて、二次配線33に流れる電流値は急激な変化を示すことなく、時刻taの前後のいずれにおいても、二次配線33に流れる電流値が第1判定閾値Th1よりも小さい値を維持している。このような電流値波形を示す二次配線33に備えられる二次側MCCB25は、時刻taよりも前の段階から通電遮断状態を維持していると判断できるため、通電可能状態から通電遮断状態に移行したトリップ状態ではないと判断できる。このパターンCにおいては、上記の条件1〜条件3のうち少なくとも条件3が満たされないため、S150では否定判定される。
【0076】
図2のフローチャートに戻り、S150で肯定判定されてS160に移行すると、S160では、第x番目の二次側MCCB25がトリップ状態であると判定し、第x番目の二次配線33(または、第x番目の二次設備配線37)が異常であると判定する。そして、S160では、第x番目の二次配線33(または、第x番目の二次設備配線37)が異常状態であることを出力装置(図示省略)に出力(表示、印刷、音声出力など)する処理を行う。これにより、監視装置11は、使用者に対して、どの二次配線33(または、二次設備配線37)が異常状態であるかを通知できる。また、S160では、第x番目の二次配線33(または、第x番目の二次設備配線37)が異常状態であることをRAM13cまたは記憶装置14に記憶する。
【0077】
S150で否定判定されるか、S160が完了してS170に移行すると、S170では、カウンタ変数xを1加算する(x=x+1)。
次のS180では、カウンタ変数xが二次配線33の個数Nm(本実施形態では、n個)を超えたか否かを判定しており、肯定判定すると本処理を終了し、否定判定すると再びS150に移行する。
【0078】
つまり、複数の二次配線33のうちS150での判定処理が終了していないものが残っている間は、S180で否定判定されてS150からS180までの処理が繰り返し実行され、複数の二次配線33の全てについてS150での判定処理が終了すると、S180で肯定判定されて、本処理(配線異常判定処理)が終了する。
【0079】
このような配線異常判定処理によれば、複数のセンサ27からそれぞれ送信される複数のセンサ信号Ss(詳細には、センサ信号Ssの履歴情報である電力情報E)に基づいて、複数の二次側MCCB25のうちトリップ状態の二次側MCCB25を判定できるとともに、複数の二次設備配線37のうち異常状態の二次設備配線37を判定できる。
【0080】
[1−3.効果]
以上説明したように、本実施形態の配線監視システム1の監視装置11は、演算部13と、記憶装置14と、を備えている。
【0081】
監視装置11は、履歴情報保存処理を実行することで、複数のセンサ27のそれぞれから受信したセンサ信号Ssを予め定められた保存周期毎に設定された情報保存時期に記憶装置14に保存し、センサ信号Ssの履歴情報である電力情報Eを記憶装置14に蓄積する。
【0082】
監視装置11は、配線異常判定処理を実行することで、分電盤21の警報信号出力部23aから出力されたトリップ警報信号Stを受信した場合に(S110で肯定判定)、記憶装置14に蓄積された電力情報Eに基づいて、複数の二次側MCCB25のうち通電遮断状態の二次側MCCB25を判定する(S150)。S150では、電力情報Eのうち警報前電力情報Epおよび警報後電力情報Eaを用いた判定条件(上記の条件1から条件3)に基づいて、複数の二次側MCCB25のうち通電遮断状態の二次側MCCB25を判定する。
【0083】
このように構成された監視装置11は、1つのトリップ警報信号Stと、複数のセンサ信号Ssと、を用いることで、複数の二次側MCCB25のうちいずれが通電遮断状態であるのかを判定できる。つまり、トリップ警報信号Stおよび複数のセンサ信号Ssが予め入力される構成の既存の監視装置において、複数の二次側MCCB25のうち通電遮断状態の二次側MCCB25を示す信号を新たに追加することなく、通電遮断状態の二次側MCCB25を特定できる。
【0084】
このような監視装置11は、信号の配線を新たに追加する必要がないため、配線に関するハードウェア構成の変更を伴うことなく、通電遮断状態となった二次側MCCB25を特定することが可能となり、電力供給設備5の管理が容易となる。
【0085】
このようにして通電遮断状態となった二次側MCCB25を特定することで、その二次側MCCB25が備えられる二次設備配線37に異常が発生したと判定できる。
よって、監視装置11によれば、複数の二次設備配線37のうち異常が生じた二次設備配線37を特定するための情報を出力しない構成の分電盤21が備えられる電力供給設備5において、複数の二次設備配線37のうち異常が発生した二次設備配線37を特定できる。
【0086】
また、監視装置11では、S150での判定条件として3つの条件を用いており、2つの条件で判定する場合に比べて、誤判定を低減することができ、通電遮断状態の二次側MCCB25を判定する際の判定精度を向上できる。
【0087】
次に、監視装置11においては、演算部13および記憶装置14は、予め定められた保存周期毎に設定された情報保存時期t
nに複数のセンサ信号Ssを保存することで履歴情報(電力情報E)を保存する。演算部13は、配線異常判定処理を実行することで、トリップ警報信号Stの受信後、初めての情報保存時期t
nにおけるセンサ信号Ssを用いて、通電遮断状態の二次側MCCB25を判定している。
【0088】
このように、演算部13での判定に用いるセンサ信号Ssを、トリップ警報信号Stの受信後、初めての情報保存時期t
nにおけるセンサ信号Ssとすることで、センサ信号Ssの保存に関する割り込み処理が不要となり、監視装置11における処理負荷の上昇を抑制できる。
【0089】
[1−4.特許請求の範囲との対応関係]
ここで、特許請求の範囲と本実施形態とにおける文言の対応関係について説明する。
監視装置11が異常判定装置の一例に相当し、分電盤21が分電盤の一例に相当し、電気機器29が電気機器の一例に相当し、電源装置41が電力源の一例に相当し、二次設備配線37が電力配線の一例に相当する。
【0090】
一次配線31が一次配線の一例に相当し、複数の二次配線33が複数の二次配線の一例に相当し、一次側MCCB23が一次配線遮断器の一例に相当し、複数の二次側MCCB25が複数の二次配線遮断器の一例に相当する。複数のセンサ27が複数の二次電力情報検出部の一例に相当し、センサ信号Ssが電力関連情報の一例に相当し、警報信号出力部23aが警報信号出力部の一例に相当し、トリップ警報信号Stが遮断警報信号の一例に相当する。
【0091】
履歴情報保存処理を実行する演算部13および記憶装置14が履歴情報保存部の一例に相当し、電力情報Eが「電力関連情報の履歴情報」の一例に相当する。配線異常判定処理を実行する演算部13が遮断状態判定部の一例に相当し、S150における条件1が第1条件の一例に相当し、S150における条件2が第2条件の一例に相当し、S150における条件3が第3条件の一例に相当する。
【0092】
[2.第2実施形態]
[2−1.全体構成]
第2実施形態として、複数の二次設備配線37のうち異常状態の二次設備配線37を判定するにあたり、複数の警報後電力情報Eaを用いる第2監視装置について説明する。
【0093】
なお、第2監視装置は、第1実施形態の監視装置11と比べて、配線異常判定処理の一部内容は異なるが、ハードウェア構成は基本的に同様である。このため、第2実施形態については、ハードウェア構成の説明は省略し、配線異常判定処理を中心に説明する。
【0094】
[2−2.配線異常判定処理]
図5は、第2実施形態における配線異常判定処理の処理内容を表したフローチャートである。
【0095】
第2実施形態において、配線異常判定処理が開始されると、まず、S210(Sはステップを表す)では、分電盤21(詳細には、警報信号出力部23a)からのトリップ警報信号Stを受信したか否かを判定し、肯定判定するとS220に移行し、否定判定すると同ステップを繰り返し実行することで待機する。
【0096】
S210で肯定判定されてS220に移行すると、S220では、記憶装置14に蓄積された電力情報Eのうち、トリップ警報信号Stの受信時の直前に保存された情報(センサ信号Ssが示す電流値)を警報前電力情報Epとして取得する。このとき、複数のセンサ27の全てに対応する警報前電力情報Epを取得する。
【0097】
次のS230では、カウンタ変数yに対して初期値(本実施形態では、y=1)を設定する。
次のS240では、トリップ警報信号Stの受信後、第y番目の警報後電力情報Ea(センサ信号Ss)の取得タイミングであるか否かを判定しており、肯定判定するとS250に移行し、否定判定すると同ステップを繰り返し実行することで待機する。
【0098】
例えば、
図3においては、第1番目の警報後電力情報Eaの取得タイミングは時刻t
nであり、第2番目の警報後電力情報Eaの取得タイミングは時刻t
n+1であり、第3番目の警報後電力情報Eaの取得タイミングは時刻t
n+2である。
【0099】
S240で肯定判定されてS250に移行すると、S250では、記憶装置14に蓄積された電力情報Eのうち、トリップ警報信号Stの受信後、第y番目の情報保存時期t
nに保存された情報(センサ信号Ssが示す電流値)を第y番目の警報後電力情報Eaとして取得する。このとき、複数のセンサ27の全てに対応する第y番目の警報後電力情報Eaを取得する。
【0100】
次のS260では、カウンタ変数xに対して初期値(本実施形態では、x=1)を設定する。
次のS270では、第x番目の二次側MCCB25はトリップ判定が不要であるか否かを判定しており、肯定判定するとS300に移行し、否定判定するとS280に移行する。S270では、過去に実行されたS280でトリップ条件を満たすと判定された二次側MCCB25については、再度のトリップ判定が不要と判定する。すでにトリップ状態と判定された二次側MCCB25であるか否かの判定は、例えば、後述するS290においてRAM13cまたは記憶装置14に記憶された情報に基づいて判定することができる。
【0101】
つまり、本実施形態では、トリップ警報信号Stの受信後、複数の警報後電力情報Eaを用いて判定を行うことから、例えば、トリップ警報信号Stの受信後、第1番目の警報後電力情報Eaを用いた判定で異常状態と判定された二次側MCCB25は、第2番目以降の警報後電力情報Eaを用いた判定を行う必要がない。そのため、S270のような判定処理を実行することで、すでにトリップ状態と判定された二次側MCCB25に関してS280での判定処理が再び実施されるような無駄を省くことができる。
【0102】
S270で否定判定されてS280に移行すると、S280では、第x番目の二次側MCCB25における電力情報Eが所定のトリップ条件を満たすか否かを判定しており、肯定判定するとS290に移行し、否定判定するとS300に移行する。
【0103】
なお、本実施形態のS280で用いるトリップ条件は、第1実施形態でのS150で用いるトリップ条件(上記の条件1〜条件3)と同様であり、これら全てを満たす場合にS280で肯定判定され、少なくとも1つが満たされない場合にはS280で否定判定される。
【0104】
S280で肯定判定されてS290に移行すると、S290では、第x番目の二次側MCCB25がトリップ状態であると判定し、第x番目の二次配線33(または、第x番目の二次設備配線37)が異常であると判定する。そして、S290では、第x番目の二次配線33(または、第x番目の二次設備配線37)が異常状態であることを出力装置(図示省略)に出力(表示、印刷、音声出力など)する処理を行う。これにより、監視装置11は、使用者に対して、どの二次配線33(または、二次設備配線37)が異常状態であるかを通知できる。また、S290では、第x番目の二次配線33(または、第x番目の二次設備配線37)が異常状態であることをRAM13cまたは記憶装置14に記憶する。ここで記憶された情報は、S270での判定処理で利用することができる。
【0105】
S280で否定判定されるか、S290が完了してS300に移行すると、S300では、カウンタ変数xを1加算する(x=x+1)。
次のS310では、カウンタ変数xが二次配線33の個数Nm(本実施形態では、n個)を超えたか否かを判定しており、肯定判定するとS320に移行し、否定判定すると再びS270に移行する。
【0106】
つまり、第y番目の警報後電力情報Ea(センサ信号Ss)に関して、複数の二次配線33のうちS280での判定処理が終了していないものが残っている間は、S310で否定判定されてS270からS310の処理が繰り返し実行される。また、第y番目の警報後電力情報Ea(センサ信号Ss)に関して、複数の二次配線33の全てについてS280での判定処理が終了すると、S310で肯定判定されて、S320に移行する。
【0107】
S310で肯定判定されてS320に移行すると、S320では、カウンタ変数yを1加算する(y=y+1)。
次のS330では、カウンタ変数yが予め定められた判定回数Mm(本実施形態では、3回)を超えたか否かを判定しており、肯定判定するとS340に移行し、否定判定すると再びS240に移行する。
【0108】
つまり、トリップ警報信号Stの受信後、判定回数Mmと同数である複数の警報後電力情報Eaを用いて判定するにあたり、判定済みの警報後電力情報Eaの個数が判定回数Mmに満たない間は、S330で否定判定されてS240からS330までの処理が繰り返し実行される。また、トリップ警報信号Stの受信後、判定回数Mmと同数である複数の警報後電力情報Eaを用いて判定するにあたり、判定済みの警報後電力情報Eaの個数が判定回数Mmに到達すると、S330で肯定判定されて、S340に移行する。
【0109】
S330で肯定判定されてS340に移行すると、S340では、全ての二次側MCCB25がトリップ条件を満たすか否か(換言すれば、全ての二次配線33(または、二次設備配線37)が異常状態であるか否か)を判定しており、肯定判定するとS350に移行し、否定判定すると本処理を終了する。
【0110】
S340で肯定判定されてS350に移行すると、S350では、一次側MCCB23がトリップ状態であると判定する。S350では、一次側MCCB23がトリップ状態であることを出力装置(図示省略)に出力(表示、印刷、音声出力など)する処理を行う。これにより、第2監視装置は、使用者に対して一次側MCCB23がトリップ状態であることを通知できる。また、S350では、一次側MCCB23がトリップ状態であることをRAM13cまたは記憶装置14に記憶する。
【0111】
S340で否定判定されるか、S350での処理が終了すると、本処理を終了する。
このような配線異常判定処理によれば、複数の警報後電力情報Eaを用いて、複数の二次側MCCB25のうちトリップ状態の二次側MCCB25を判定できるとともに、複数の二次設備配線37のうち異常状態の二次設備配線37を判定できる。また、この配線異常判定処理によれば、一次側MCCB23がトリップ状態であるか否かを判定できる。
【0112】
[2−3.効果]
以上説明したように、第2実施形態の第2監視装置においては、配線異常判定処理を実行する演算部13は、トリップ警報信号Stの受信後における電力情報E(警報後電力情報Ea)として、トリップ警報信号Stの受信時からの経過時間が異なる複数の警報後電力情報Eaを用いて、複数の二次側MCCB25のうち通電遮断状態(トリップ状態)の二次側MCCB25を判定する。
【0113】
このように複数の警報後電力情報Eaを用いて判定する構成を採ることで、単一の警報後電力情報Eaを用いて判定する場合に比べて、誤判定を低減することができ、通電遮断状態(トリップ状態)の二次側MCCB25を判定する際の判定精度を向上できる。
【0114】
また、第2監視装置は、複数の警報後電力情報Eaを用いるとともに、同一の二次側MCCB25について、複数回にわたり通電遮断状態(トリップ状態)であるか否かを判定する。このように、複数回にわたり判定を行うことで、1回のみ判定を行う場合に比べて、誤判定を低減することができ、通電遮断状態(トリップ状態)の二次側MCCB25を判定する際の判定精度を向上できる。
【0115】
さらに、第2監視装置は、第x番目の二次側MCCB25がすでにトリップ状態と判定されたものであるか否かを判定し(S270)、すでにトリップ状態と判定された二次側MCCB25に関しては、S280での判定処理をスキップするように構成されている。このような構成の第2監視装置は、すでにトリップ状態と判定された二次側MCCB25に関してトリップ判定(S280での判定処理)が再び実施されるような無駄を省くことができる。
【0116】
また、第2監視装置は、全ての二次配線33(または、二次設備配線37)が異常状態であると判定された場合(S340で肯定判定)、換言すれば、全ての二次側MCCB25がトリップ状態と判定された場合には、一次側MCCB23がトリップ状態であると判定する(S350)。ここで、全ての二次側MCCB25がトリップ状態と判定されるのは、複数の二次側MCCB25の全てについて、トリップ警報信号Stの受信後における警報後電力情報Ea(センサ信号Ss)の値が第1判定閾値Th1よりも小さい場合である(条件2)。
【0117】
このような構成の第2監視装置は、複数の二次側MCCB25に加えて、一次側MCCB23が通電遮断状態(トリップ状態)であるか否かを判定できる。つまり、この第2監視装置を用いることで、一次側MCCB23および複数の二次側MCCB25のうちいずれが通電遮断状態(トリップ状態)であるかを特定することができる。
【0118】
[2−4.特許請求の範囲との対応関係]
ここで、特許請求の範囲と本実施形態とにおける文言の対応関係について説明する。
第2監視装置が異常判定装置の一例に相当する。
【0119】
[3.第3実施形態]
[3−1.全体構成]
第3実施形態として、複数の二次設備配線37のうち異常状態の二次設備配線37を判定するにあたり、複数の警報後電力情報Eaを用いる第3監視装置について説明する。
【0120】
上記の第2実施形態の第2監視装置は、複数の警報後電力情報Eaを用いるとともに、同一の二次側MCCB25について複数回にわたりトリップ判定を行う形態であるが、第3実施形態の第3監視装置は、複数の警報後電力情報Eaを用いるが、同一の二次側MCCB25についてのトリップ判定を1回実施する形態である。
【0121】
なお、第3監視装置は、第1実施形態の監視装置11と比べて、少なくとも、配線異常判定処理の内容が異なるとともに、警報信号出力部23aから受信する信号が異なる構成である。
【0122】
第3監視装置が接続される分電盤21の警報信号出力部23aは、警報信号線19aを介して出力する信号として、トリップ警報信号Stに加えて、OFF遮断器信号Soを含むように構成されている。OFF遮断器信号Soは、複数の二次側MCCB25のうち動作モードがOFFモードである二次側MCCB25がいずれであるのかを示す信号である。
【0123】
つまり、第3実施形態の警報信号出力部23aは、複数の二次側MCCB25のそれぞれから動作モードに関する情報を受信しており、その情報に基づいてOFF遮断器信号Soを出力する。なお、警報信号線19aは、複数の信号を送受信できる多重通信線で構成されており、少なくともトリップ警報信号St、OFF遮断器信号Soを送信できるように構成されている。
【0124】
第3監視装置を含む第3実施形態の配線監視システムにおけるハードウェア構成については、警報信号出力部23aおよび第3監視装置以外の構成については、第1実施形態と基本的に同様であるため、警報信号出力部23aおよび第3監視装置以外のハードウェア構成の説明は省略する。
【0125】
[3−2.配線異常判定処理]
第3実施形態の配線異常判定処理について説明する。
図6は、第3実施形態における配線異常判定処理の処理内容を表したフローチャートである。
【0126】
第3実施形態において、配線異常判定処理が開始されると、まず、S410(Sはステップを表す)では、分電盤21(詳細には、警報信号出力部23a)からのトリップ警報信号Stを受信したか否かを判定し、肯定判定するとS420に移行し、否定判定すると同ステップを繰り返し実行することで待機する。
【0127】
S410で肯定判定されてS420に移行すると、S420では、記憶装置14に蓄積された電力情報Eのうち、トリップ警報信号Stの受信時の直前に保存された情報(センサ信号Ssが示す電流値)を警報前電力情報Epとして取得する。このとき、複数のセンサ27の全てに対応する警報前電力情報Epを取得する。
【0128】
次のS430では、カウンタ変数yに対して初期値(本実施形態では、y=1)を設定する。
次のS440では、トリップ警報信号Stの受信後、第y番目の警報後電力情報Ea(センサ信号Ss)の取得タイミングであるか否かを判定しており、肯定判定するとS450に移行し、否定判定すると同ステップを繰り返し実行することで待機する。
【0129】
例えば、
図3においては、第1番目の警報後電力情報Eaの取得タイミングは時刻t
nであり、第2番目の警報後電力情報Eaの取得タイミングは時刻t
n+1であり、第3番目の警報後電力情報Eaの取得タイミングは時刻t
n+2である。
【0130】
S440で肯定判定されてS450に移行すると、S450では、記憶装置14に蓄積された電力情報Eのうち、トリップ警報信号Stの受信後、第y番目の情報保存時期t
nに保存された情報(センサ信号Ssが示す電流値)を第y番目の警報後電力情報Eaとして取得する。このとき、複数のセンサ27の全てに対応する第y番目の警報後電力情報Eaを取得する。
【0131】
次のS460では、カウンタ変数yを1加算する(y=y+1)。
次のS470では、カウンタ変数yが予め定められた判定回数Mm(本実施形態では、3回)を超えたか否かを判定しており、肯定判定するとS480に移行し、否定判定すると再びS440に移行する。
【0132】
つまり、トリップ警報信号Stの受信後、判定回数Mmと同数である複数の警報後電力情報Eaを取得するにあたり、取得済みの警報後電力情報Eaの個数が判定回数Mmに満たない間は、S470で否定判定されてS440からS470までの処理が繰り返し実行される。また、トリップ警報信号Stの受信後、判定回数Mmと同数である複数の警報後電力情報Eaを取得するにあたり、取得済みの警報後電力情報Eaの個数が判定回数Mmに到達すると、S470で肯定判定されて、S480に移行する。
【0133】
S470で肯定判定されてS480に移行すると、S480では、複数のセンサ27のそれぞれについて、取得した全ての警報後電力情報Eaの平均値を演算する。
次のS490では、カウンタ変数xに対して初期値(本実施形態では、x=1)を設定する。
【0134】
次のS500では、第x番目の二次側MCCB25はトリップ判定が不要であるか否かを判定しており、肯定判定するとS530に移行し、否定判定するとS510に移行する。S500では、動作モードがOFFモードである二次側MCCB25については、トリップ判定が不要と判定する。動作モードがOFFモードであるか否かは、警報信号出力部23aから受信したOFF遮断器信号Soに基づいて判定する。
【0135】
なお、動作モードがOFFモードである二次側MCCB25については、トリップ状態ではないことが明らかであるため、S510でのトリップ判定を行う必要がない。そのため、S500のような判定処理を実行することで、OFFモードである二次側MCCB25に関してS510での判定処理が実施されるような無駄を省くことができる。
【0136】
S500で否定判定されてS510に移行すると、S510では、第x番目の二次側MCCB25における電力情報Eが所定のトリップ条件を満たすか否かを判定しており、肯定判定するとS520に移行し、否定判定するとS530に移行する。
【0137】
なお、本実施形態のS510で用いるトリップ条件は、第1実施形態でのS150で用いるトリップ条件(上記の条件1〜条件3)と同様であるが、警報後電力情報Eaに代えて「警報後電力情報Eaの平均値」を用いる点が、第1実施形態のS150とは異なっている。つまり、「警報後電力情報Eaの平均値」を用いた上で、条件1から条件3の全てを満たす場合にS510で肯定判定され、条件1から条件3のうち少なくとも1つが満たされない場合にはS510で否定判定される。
【0138】
S510で肯定判定されてS520に移行すると、S520では、第x番目の二次側MCCB25がトリップ状態であると判定し、第x番目の二次配線33(または、第x番目の二次設備配線37)が異常であると判定する。そして、S520では、第x番目の二次配線33(または、第x番目の二次設備配線37)が異常状態であることを出力装置(図示省略)に出力(表示、印刷、音声出力など)する処理を行う。これにより、監視装置11は、使用者に対してどの二次配線33(または、二次設備配線37)が異常状態であるかを通知できる。また、S520では、第x番目の二次配線33(または、第x番目の二次設備配線37)が異常状態であることをRAM13cまたは記憶装置14に記憶する。
【0139】
S510で否定判定されるか、S520が完了してS530に移行すると、S530では、カウンタ変数xを1加算する(x=x+1)。
次のS540では、カウンタ変数xが二次配線33の個数Nm(本実施形態では、n個)を超えたか否かを判定しており、肯定判定すると本処理を終了し、否定判定すると再びS500に移行する。
【0140】
つまり、複数の二次配線33のうちS510での判定処理が終了していないものが残っている間は、S540で否定判定されてS500からS540までの処理が繰り返し実行され、複数の二次配線33の全てについてS510での判定処理が終了すると、S540で肯定判定されて、本処理(配線異常判定処理)が終了する。
【0141】
このような配線異常判定処理によれば、複数のセンサ27からそれぞれ送信される複数のセンサ信号Ssに基づいて、複数の二次側MCCB25のうちトリップ状態の二次側MCCB25を判定できるとともに、複数の二次設備配線37のうち異常状態の二次設備配線37を判定できる。
【0142】
[3−3.効果]
以上説明したように、第3実施形態の第3監視装置においては、配線異常判定処理を実行する演算部13は、トリップ警報信号Stの受信後における電力情報E(警報後電力情報Ea)として、トリップ警報信号Stの受信時からの経過時間が異なる複数の警報後電力情報Eaを用いて、複数の二次側MCCB25のうち通電遮断状態(トリップ状態)の二次側MCCB25を判定する。
【0143】
このように複数の警報後電力情報Eaを用いて判定する構成を採ることで、単一の警報後電力情報Eaを用いて判定する場合に比べて、誤判定を低減することができ、通電遮断状態(トリップ状態)の二次側MCCB25を判定する際の判定精度を向上できる。
【0144】
また、第3監視装置は、複数の警報後電力情報Eaを用いて平均値を演算し、警報後電力情報Eaの平均値を用いて、二次側MCCB25が通電遮断状態(トリップ状態)であるか否かを判定する。このように、警報後電力情報Eaの平均値を用いて判定を行うことで、瞬時的なノイズなどによる警報後電力情報Eaの変動に起因した誤判定を低減することができ、通電遮断状態(トリップ状態)の二次側MCCB25を判定する際の判定精度を向上できる。
【0145】
次に、第3監視装置は、動作モードがOFFモードである二次側MCCB25についてはトリップ判定が不要と判定し(S500で肯定判定)、その二次側MCCB25をトリップ判定処理(S510)の判定対象から除外する構成である。
【0146】
このような構成を採ることで、複数の二次側MCCB25の中にOFFモードの二次側MCCB25が存在する場合には、OFFモードの二次側MCCB25をトリップ判定処理の判定対象から除外できるため、通電遮断状態(トリップ状態)の二次側MCCB25を判定するための判定回数を低減でき、演算部13での処理負荷を低減できる。
【0147】
[3−4.特許請求の範囲との対応関係]
ここで、特許請求の範囲と本実施形態とにおける文言の対応関係について説明する。
第3監視装置が異常判定装置の一例に相当し、OFF遮断器信号SoはOFF遮断器情報の一例に相当し、OFF遮断器信号Soを出力する警報信号出力部23aはOFF情報出力部の一例に相当する。
【0148】
[4.他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0149】
例えば、上記の第1実施形態では、センサ信号Ssが予め定められた保存周期毎に保存されるとともに、トリップ警報信号Stの受信後初めての情報保存時期におけるセンサ信号Ssを用いて、通電遮断状態(トリップ状態)の二次配線遮断器25を判定する形態について説明したが、本発明はこのような形態に限られることはない。
【0150】
一例としては、
図7に示すように、トリップ警報信号Stの受信(時刻ta)後、初めての情報保存時期よりも早い時期に、割り込み処理によりセンサ信号Ssを取得し、そのセンサ信号Ssを用いて通電遮断状態(トリップ状態)の二次配線遮断器25を判定する形態であってもよい。このような形態を採用する場合には、センサ信号Ssの情報保存時期の到来を待つことなく、早期に通電遮断状態(トリップ状態)の二次配線遮断器25を判定することができる。また、このような形態を採用する場合には、センサ信号Ssの情報保存時期に対するトリップ警報信号Stの受信時期がどのようなタイミングであっても、トリップ警報信号Stの受信時期から通電遮断状態(トリップ状態)の二次配線遮断器25を判定する時期までの所要時間が長くなることを抑制できる。
【0151】
次に、上記実施形態では、S150、S280、S510での判定条件として上記の3つ(条件1〜条件3)を用いる形態であるが、判定条件としてこれら3つを用いる形態に限られることはない。例えば、判定条件として条件1および条件2を用いる形態を採用してもよく、この場合、2つの条件を満たす場合に肯定判定され、少なくとも一方が満たされない場合には否定判定される。このような判定条件においても、二次側MCCB25がトリップ状態であるか否かを判定できる。
【0152】
分電盤は、全ての二次配線に二次配線遮断器(二次側MCCB25)が備えられる構成に限られることはなく、全ての二次配線のうちの一部(ただし、2個以上)の二次配線に二次配線遮断器(二次側MCCB25)が備えられる構成であってもよい。
【0153】
履歴情報保存処理におけるセンサ信号Ssの保存周期は、1.0secに限られることはなく、実際の電力供給設備の構成などに応じて任意の値(例えば、100msec、10sec、1min、5minなど)を採ることができる。
【0154】
二次電力情報検出部(センサ)は、電力関連情報として、二次配線に流れる電流の電流値を検出するものに限られることはなく、電力関連情報として、二次配線における電流値、電圧値、電力値のうち少なくとも1つを検出するものであってもよい。また、遮断状態判定部での判定に用いる電力関連情報は、電流値、電圧値、電力値のうちいずれか1つに限られることはなく、遮断状態判定部は、これらのうち2つまたは3つを組み合わせて判定してもよい。電力関連情報として、電流値、電圧値、電力値のうち少なくとも2つを検出する場合には、種類の異なる電力関連情報を組み合わせて、通電遮断状態(トリップ状態)の二次配線遮断器を判定する構成を採用してもよい。
【0155】
また、第3実施形態の配線異常判定処理におけるS500では、第x番目の二次側MCCB25についてトリップ判定が不要であるか否かを判定するにあたり、判定基準として、二次側MCCB25の動作モードがOFFモードであるか否かを用いているが、他の判定基準を採用してもよい。例えば、第2実施形態の配線異常判定処理におけるS270での判定基準を採用してもよいし、S500での判定基準とS270での判定基準とを併せて採用してもよい。なお、S500での判定基準とS270での判定基準とを併せて採用する場合には、例えば、少なくともいずれか一方の判定基準を満たした場合に、その二次側MCCB25についてはトリップ判定が不要であると判定してもよい。
【0156】
同様に、第2実施形態の配線異常判定処理におけるS270では、判定基準として、例えば、第3実施形態の配線異常判定処理におけるS500での判定基準を採用してもよいし、S500での判定基準とS270での判定基準とを併せて採用してもよい。