(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
柔軟なシート材からなる軟包材に内容物が密封状に充填されているパウチ容器を複数まとめて結束するための熱収縮性の筒状フィルムを前記複数のパウチ容器の周囲に被嵌するフィルム被嵌装置であって、
隣り合って並んだ前記複数のパウチ容器の胴部を押さえ付けることにより前記内容物を前記胴部の上部に移動させるクランプ部材と、
前記クランプ部材によって押さえ付けられた前記複数のパウチ容器の周囲に前記筒状フィルムを前記胴部の上方から被嵌するフィルム被嵌ヘッドと、を備える、フィルム被嵌装置。
柔軟なシートからなる軟包材内に内容物が密封状に充填されているパウチ容器を熱収縮性の筒状フィルムによって複数まとめて結束したパウチ容器結束体の製造システムであって、
請求項1〜7の何れか一項に記載のフィルム被嵌装置と、
前記フィルム被嵌装置におけるフィルム被嵌位置に、複数のパウチ容器が並んだ状態で順次に搬送する容器搬送装置と、
前記フィルム被嵌装置によって前記フィルム被嵌位置で前記筒状フィルムが被嵌された前記複数のパウチ容器が通過することにより前記筒状フィルムを熱収縮させる加熱装置と、を備える、
パウチ容器結束体の製造システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、柔軟なシートからなる軟包材に、例えば、シャンプー、リンス、トリートメント、洗剤、柔軟剤等の内容物が充填されたパウチ容器を熱収縮性の筒状フィルムにて複数まとめて結束することが考えられる。この場合、パウチ容器は、上記特許文献1に記載されるボトル容器(例えば、ガラス製やPET製のボトル等)とは異なり、自立性はあるものの変形しやすい特性を有する。そのため、このようなパウチ容器を複数まとめて結束するために熱収縮性の筒状フィルムを被嵌する装置には、フィルム被嵌動作を安定して行えるようにするための工夫が必要となる。
【0005】
本発明の目的は、柔軟なシート材からなるパウチ容器を複数まとめて結束するための熱収縮性の筒状フィルムを、結束対象となる複数のパウチ容器の周囲に安定的に被嵌することができるフィルム被嵌装置及びこれを備えたパウチ容器結束体の製造システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様であるフィルム被嵌装置は、柔軟なシート材からなる軟包材に内容物が密封状に充填されているパウチ容器を複数まとめて結束するための熱収縮性の筒状フィルムを前記複数のパウチ容器の周囲に被嵌するフィルム被嵌装置であって、隣り合って並んだ前記複数のパウチ容器の胴部を押さえ付けることにより前記内容物を前記胴部の上部に移動させるクランプ部材と、前記クランプ部材によって押さえ付けられた前記複数のパウチ容器の周囲に前記筒状フィルムを前記胴部の上方から被嵌するフィルム被嵌ヘッドと、を備える。
【0007】
この構成によれば、クランプ部材でパウチ容器の胴部を押さえ付けて内容物を胴部の上部に移動させることによって、パウチ容器の胴部上部が膨らんで胴部シート材を張った状態にすることができる。これにより、互いに隣り合って並んだ複数のパウチ容器の各胴部の上部が変形しにくい状態になる。したがって、熱収縮性の筒状フィルムを開口させた状態で、結束対象となる複数のパウチ容器の周囲に上方から安定して被嵌することが可能になる。
【0008】
本発明におけるフィルム被嵌装置において、前記フィルム被嵌ヘッドは、前記筒状フィルムが開口した状態で前記複数のパウチ容器の周囲に被嵌されるようにガイドする互いに平行な一対のガイド部材を有し、前記各ガイド部材の水平方向の幅は、前記パウチ容器の胴部のトップシール部の長さよりも大きく設定されていてもよい。
【0009】
この構成によれば、フィルム被嵌ヘッドに含まれる一対のガイド部材の水平方向幅が結束対象となるパウチ容器のトップシール部の長さよりも大きく設定されているため、一対のガイド部材によって開口させた筒状フィルムをパウチ容器のトップシール部に引っ掛かることなく複数のパウチ容器の周囲に被嵌することができる。
【0010】
この場合、前記パウチ容器のトップシール部は、水平部分と、前記水平部分の端部から下方に傾斜した傾斜部分とを含み、前記各ガイド部材の水平方向の幅は、前記トップシール部の水平部分の長さよりも大きく設定されているのが好ましい。
【0011】
この構成によれば、フィルム被嵌ヘッドに含まれる一対のガイド部材の水平方向幅が結束対象となるパウチ容器のトップシール部の水平部分の長さよりも大きく設定されているため、一対のガイド部材によって開口させた筒状フィルムをパウチ容器のトップシール部の水平部分に引っ掛かることなく複数のパウチ容器の周囲に被嵌することができる。この場合、パウチ容器のトップシール部のうち下方に傾斜した傾斜部分に筒状フィルムの下端が接触しても、上記傾斜部分によって筒状フィルムがガイドされながら下方移動可能であるため、被嵌される筒状フィルムが引っ掛かることはない。
【0012】
また、本発明のフィルム被嵌装置において、前記フィルム被嵌ヘッドは前記筒状フィルムが前記複数のパウチ容器に被嵌されるフィルム被嵌位置の上方において回転するベース上に周方向に等ピッチで複数搭載されており、前記ベースが回転することによって前記各フィルム被嵌ヘッドが前記フィルム被嵌位置と前記筒状フィルムを受け取るフィルム受取位置との間を循環移動するインデックス方式で構成されてもよい。
【0013】
この場合、前記フィルム受取位置で前記筒状フィルムを受け取るとき前記一対のガイド部材は互いに接近した位置に移動し受取状態になり、前記フィルム受取位置から前記フィルム被嵌位置に移動するまでは前記筒状フィルムが弛みなく開口した状態に維持されるように前記一対のガイド部材は互いに離間した位置に移動し開口状態になるようにしてもよい。
【0014】
この構成によれば、一対のガイド部材は、筒状フィルムを受け取るときには互いに接近した位置に移動することで、その外側周囲に筒状フィルムを確実に受け取ることができる。また、このように筒状フィルムを受け取った一対のガイド部材がベースの回転によってフィルム受取位置からフィルム被嵌位置に移動するまで、筒状フィルムが弛みなく開口した状態に維持されるように、一対のガイド部材は互いに離間した位置に移動している。これにより、筒状フィルムが一対のガイド部材の周囲で周方向に移動するのを確実に防止することができる。
【0015】
また、この場合、前記フィルム被嵌位置で前記筒状フィルムが送出部材によって前記一対のガイド部材から送り出されるとき、前記一対のガイド部材は、その周囲にある前記筒状フィルムが弛みのある開口状態となるように互いに接近する方向に移動し送出状態になってもよい。
【0016】
この構成によれば、フィルム被嵌位置において一対のガイド部材が互いに接近する方向に移動して、筒状フィルムが弛みのある開口状態になることで、送出部材によって筒状フィルムを一対のガイド部材から送り出し易くなる。
【0017】
また、本発明のフィルム被嵌装置において、前記フィルム被嵌位置で前記筒状フィルムの送出時に前記一対のガイド部材が互いに接近する方向に移動したとき、前記一対のガイド部材の各下端部の間に前記複数のパウチ容器の胴部上部が容器の並び方向に挟み付けられ挟持状態になってもよい。
【0018】
この構成によれば、フィルム被嵌時に一対のガイド部材が互いに接近する方向に移動してガイド部材の下端部間に複数のパウチ容器の胴部上部が容器の並び方向に挟み付けられることで、複数のパウチ容器の容器の並び方向の厚みが小さくなる。これにより、開口した筒状フィルムを被嵌するときにパウチ容器のトップシール部により引っ掛かりにくくなり、フィルム被嵌動作を安定して行うことができる。また、このように一対のガイド部材の各下端部が容器の並び方向両側で複数のパウチ容器の胴部上部に接触することで、ガイド部材から送り出された筒状フィルムがパウチ容器に確実に乗り移ることができ、その結果、フィルム被嵌動作をより安定的に行うことが可能になる。
【0019】
また、本発明のフィルム被嵌装置において、前記一対のガイド部材を含む前記フィルム被嵌ヘッドは、前記並んだ状態にある複数のパウチ容器の周囲に前記筒状フィルムを被嵌するフィルム被嵌位置に対して定位置に固定配置されるとともに、下方に広がるV字状をなす傾斜整形部材の2つの傾斜案内部の各下端部が前記一対のガイド部材の各上端部に連設されており、前記傾斜整形部材の上端部に被嵌された前記筒状フィルムは、フィルム外周面に当接したベルト又はローラによって前記傾斜整形部材の傾斜案内部に沿って下方に搬送される際に、前記筒状フィルムが開口整形されて前記一対のガイド部材の周囲に供給され、前記フィルム外周面に当接するローラ又はベルトによって前記一対のガイド部材から前記複数のパウチ容器に向けて送り出される傾斜案内方式で構成されてもよい。
【0020】
この構成によれば、一対のガイド部材を含むフィルム被嵌ヘッドがフィルム被嵌位置に対して固定配置されているため、複数のフィルム被嵌ヘッドを搭載したベースを回転移動させる構成を必要とせず、構成をより簡素にすることができる。
【0021】
本発明の別態様であるパウチ容器結束体の製造システムは、柔軟なシートからなる軟包材内に内容物が密封状に充填されているパウチ容器を熱収縮性の筒状フィルムによって複数まとめて結束したパウチ容器結束体の製造システムであって、上記いずれかの構成のフィルム被嵌装置と、前記フィルム被嵌装置におけるフィルム被嵌位置に、複数のパウチ容器が並んだ状態で順次に搬送する容器搬送装置と、前記フィルム被嵌装置によって前記フィルム被嵌位置で前記筒状フィルムが被嵌された前記複数のパウチ容器が通過することにより前記筒状フィルムを熱収縮させる加熱装置と、を備える。
【0022】
この構成によれば、熱収縮された筒状フィルムによって一体に結束されたパウチ容器結束体を連続的に安定して製造することができる。
【0023】
本発明のパウチ容器結束体の製造システムにおいて、前記加熱装置の通過後に前記複数のパウチ容器を結束している前記筒状フィルムと前記複数のパウチ容器の胴部とに跨ってシール部材を貼着するシール貼着装置を更に備えてもよい。
【0024】
この構成によれば、シール部材が筒状フィルムと複数のパウチ容器の胴部とに跨って貼着されることで、複数のパウチ容器が熱収縮後の筒状フィルムから抜けてしまうのを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るフィルム被嵌装置によれば、柔軟で変形しやすいパウチ容器を複数まとめて結束するための熱収縮性の筒状フィルムを、結束対象となる複数のパウチ容器の周囲に確実に被嵌することができる。
【0026】
また、本発明に係るパウチ容器結束体の製造システムによれば、熱収縮された筒状フィルムによって一体に結束されたパウチ容器結束体を連続的に安定して製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態であるパウチ容器結束体の製造システム10の全体構成を上方視で示す概略平面図である。パウチ容器結束体の製造システム10は、矢印Aで示す容器搬送方向に沿って上流側から順に、容器整列装置12、フィルム被嵌装置14、フィルム供給装置16、加熱装置18、及び、シール貼着装置20を備える。
図2及び
図3を参照して説明するパウチ容器C及びパウチ容器結束体Bは、第1コンベヤ22、第2コンベヤ(容器搬送装置)24、及び第3コンベヤ26によって矢印A方向に搬送され、第3コンベヤ26から作業台28上にパウチ容器結束体Bが順次に供給されるように構成される。上記の各装置12〜26の詳細については、後述する。
【0030】
図2は、本実施形態において用いられるパウチ容器Cの斜視図であり、
図3は2つのパウチ容器Cを筒状フィルムFで結束したパウチ容器結束体Bを示す斜視図である。
【0031】
図2を参照すると、パウチ容器Cは、柔軟なシート材によって形成される軟包材であり、内部には内容物が密封状に充填されている。パウチ容器Cの内容物は、特に限定されないが、シャンプー、リンス、トリートメント、洗剤、柔軟剤等の生活用各種ケア製品や、スポーツドリンク等の飲料である。また、内容物は、液体に限らず、粘性物や粉状物であってもよい。
【0032】
パウチ容器Cは、一対の胴部シートである表面シート31および裏面シート32と、底部シート33と、天面シート34とを備える。表面シート31および裏面シート32は、容器の表面部および裏面部をそれぞれ構成するシート材である。底部シート33は、表面シート31と裏面シート32との間に折り込まれて挿入される。パウチ容器Cは、内容物の充填により底部シート33が展開して自立可能になる。天面シート34は、容器の広がりを有する上面部を構成するシート材である。
【0033】
パウチ容器Cは、重ね合わされた表面シート31と裏面シート32との間に、底部シート33を下端側から挿入した状態で各シート材の端縁同士を接合するシール部を有し、内容物が充填される容器内部空間である充填部37を密閉した構造を有する。充填部37の上端は、天面シート34が表面シート31および裏面シート32の上縁に接合されることで密閉される。
【0034】
表面シート31および裏面シート32は、いずれも上下方向にやや長く延びた略矩形状を呈する。底部シート33も、内容物の充填により展開した状態で略矩形状を呈する。天面シート34は、略六角形状を呈し、表面シート31および裏面シート32の上端に設けられる。なお、天面シート34は、略六角形のものに限定されず、例えば、四角形、八角形等の他の多角形形状であってもよいし、あるいは、円形、楕円形、菱形等の形状であってもよい。
【0035】
各シート31〜34を形成するシート材は、パウチ容器Cの壁面部を構成するシート状部材であって、通常、樹脂フィルムから構成される。シート材を構成する樹脂フィルムには、耐衝撃性、耐磨耗性、および耐熱性など、包装体としての基本的な性能を備えることが要求される。シート材の厚みは、例えば10μm〜300μmであり、好ましくは20μm〜200μmである。また、シール部は、通常、ヒートシールにより形成されるので、シート材には、ヒートシール性も要求される。シート材としては、ベースフィルム層と、ヒートシール性を付与するシーラント層とを有する複層シート材が好適であり、高いガスバリア性が要求される場合には、ベースフィルム層とシーラント層との間にガスバリア層を設けることが好適である。
【0036】
各シート31〜34の端縁部におけるシール部は、ヒートシールにより形成されることが好適である。ヒートシールによるシール部は、各シート材のシーラント層が容器の内側となるように重ね合わせて熱圧着することで形成できる。パウチ容器Cは、上記シール部として、トップシール部38と、ボトムシール部39と、サイドシール部40とを有する。トップシール部38は、天面シート34の端縁に略六角形をなす枠状に形成されるシール部であり、天面シート34の外周端縁と表面シート31および裏面シート32の各上端部とが接合されて形成される。
【0037】
トップシール部38は、パウチ容器Cが水平面上に自立状態にあるとき、水平方向にほぼ沿って延びる水平部分38aと、水平部分38aの両側端部から下方に傾斜して延びる傾斜部分38bとを含む。ボトムシール部39は、底部シート33の端縁に形成されるシール部であり、底部シート33と表面シート31および裏面シート32とが接合されて形成される。
【0038】
サイドシール部40は、表面シート31および裏面シート32の幅方向端縁同士を直接接合して幅方向両端にそれぞれ形成される。サイドシール部40は、他のシール部と同様に、充填部37を密閉するための端縁シール部である。サイドシール部40は、上下方向または容器高さ方向に沿って延伸して形成される。
【0039】
パウチ容器Cでは、天面シート34の中央部に、内容物を充填および取り出すための口栓42が設けられる。口栓42は、天面シート34に固定されるスパウト43と、スパウト43の外周に形成されたネジ部に螺合されたキャップ44とで構成される。
【0040】
スパウト43は、天面シート34から外側に突出する筒部43aと、筒部43aの端部に一体形成されたフランジ部43bとを有する。フランジ部43bは、略矩形状を呈し、天面シート34の内面(すなわち充填部37側の面)に例えばヒートシールされて取り付けられる。フランジ部43bの形状は、略矩形状に限定されるものではなく、例えば、円形、楕円形、長円形、多角形等の他の形状であってもよい。
【0041】
パウチ容器Cの充填部37にスパウト43から内容物が充填されて密閉されると、底部シート33が広がった状態に展開して表面シート31および裏面シート32が互いに離間し、胴部が膨らんだ形態となる。これにより、パウチ容器Cは、自立性を有する。パウチ容器Cは、パウチ容器Cに天面シート34を設けたことにより、
図2に示すように上部も膨らんで寸胴状の形状となる。ただし、パウチ容器Cは柔軟なシート材によって形成されているため、表面シート31及び裏面シート32によって構成される充填部37を外側から押すと、内容物の移動によって容易に変形する性質を有する。
【0042】
図3に示すように、パウチ容器結束体Bは、上述した構成のパウチ容器Cを2つ並べた状態で熱収縮性の筒状フィルムFによって一体に結束したものである。
図3に示す例では、一方のパウチ容器Cの表面シート31と他方のパウチ容器Cの裏面シート32とが接触した状態で結束されている。
【0043】
筒状フィルムFは、熱収縮性のフィルムから形成されている。したがって、並んだ2つのパウチ容器Cの周囲に熱収縮前の筒状フィルムFを被嵌し、その後、加熱して筒状フィルムFを収縮させることによってパウチ容器Cの胴部に密着した状態にすることができる。これにより、2つのパウチ容器Cが筒状フィルムFの締め付け力(または結束力)によって一体に結束される。
【0044】
筒状フィルムFは、全体が熱収縮性フィルムで構成されてもよい。或いは、筒状フィルムFは、周方向の一部が熱収縮性フィルムで構成され、周方向の他部が非熱収縮性フィルムで構成されてもよい。熱収縮性フィルムには、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等からなるフィルムを単層または複層で用いることができる。非熱収縮性フィルムには、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の延伸フィルム又は無延伸フィルムを用いることができる。このように筒状フィルムFの周方向の一部に熱収縮性フィルムを用いる場合、熱収縮性フィルム部分が、結束される2つのパウチ容器Cの並び方向に対して直交する方向に向いた位置となるように、筒状フィルムFを2個並びのパウチ容器Cの周囲に配置するのが好ましい。これにより、熱収縮性フィルム部分が一方のパウチ容器Cのサイドシール部40と他方のパウチ容器Cのサイドシール部40との間に位置することになるため、熱収縮フィルム部分を収縮させたときにパウチ容器Cの外側へ向いた胴部シート31,32に皺が形成されにくくなり、パウチ容器結束体Bの美観悪化を抑制できる。
【0045】
また、本実施形態では、筒状フィルムFの軸方向長さは、パウチ容器Cの胴部高さのほぼ全体を覆うように設定されている。ただし、これに限定されるものではなく、筒状フィルムFの軸方向長さをパウチ容器Cの胴部長さよりも短く形成し、上記胴部の一部を覆ってもよい。或いは、筒状フィルムFの長さをパウチ容器Cの胴部長さよりも長く形成して、熱収縮で天面シート34の周縁部に掛かるようにしてもよい。
【0046】
また、筒状フィルムFの外周面上には、内容物を充填したパウチ容器Cが販売されるときの商品名やロゴマーク等が表示されたデザイン表示部45が設けられるのが好ましい。そして、このデザイン表示部45は、2つのパウチ容器Cの並び方向に対して直交する側に向く周方向位置に設けられるのが良い。
図3に示すように結束されたパウチ容器結束体Bが商品棚に陳列されて販売されるとき、デザイン表示部45を正面側として陳列すれば、2つのパウチ容器Cがセットで販売されていることを消費者が視認しやすくなる利点がある。ただし、デザイン表示部は省略されてもよく、筒状フィルムFを透明フィルムで構成して、パウチ容器Cの胴部シート31,32に表示された商品名、ロゴマーク、商品説明、バーコード等をそのまま視認できるようにしてもよい。
【0047】
続いて、上述したパウチ容器結束体Bを製造する製造システム10について説明する。まず、
図1に加えて
図4を参照して、製造システム10における容器整列装置12について説明する。
図4は、容器整列装置12を部分的に示す平面図である。
図4では、
図1に示される作業者Oの図示が省略されている。
【0048】
図1及び
図4に示すように、容器整列装置12は、パウチ容器Cを載置して矢印A方向に搬送する第1コンベヤ22と、第1コンベヤ22を挟んだ両側に配置された一対の容器整列ベルト46とを備える。第1コンベヤ22は、図示しないモータによって循環移動する無端状のベルトによって構成される。
【0049】
容器整列ベルト46は、プーリ47,48に巻き掛けられて循環移動する無端状のベルト49と、ベルト49に例えばねじ留め等によって取り付けられた多数の爪部材50,51とを有する。ベルト49は、
図1に示されるモータ13によって、第1コンベヤ22と同一速度で回転駆動されるようになっている。
【0050】
ベルト49に取り付けられた爪部材50,51は、パウチ容器Cの膨らんだ胴部シート31,32に沿って接触するように曲がった形状を有している。また、一対の容器整列ベルト46の間には、容器搬送方向Aに沿って延伸する仕切り板52が配置されている。仕切り板52の高さは、例えば、自立したパウチ容器Cの胴部高さの約半分程度に設定することができる。
【0051】
図1に示すように、容器整列装置12の両側に位置する作業者Oは、仕切り板52と、ベルト49に取り付けられた爪部材50,51との間にパウチ容器Cを上方から挿入配置する。これにより、第1コンベヤ22上において、容器搬送方向Aと直交する方向に2つのパウチ容器Cが整列した状態で、かつ、容器搬送方向Aに沿って所定間隔に配置される。そして、第1コンベヤ22および一対のベルト49が同一速度で回転駆動されることにより、整列配置された2つのパウチ容器Cが所定間隔を保ったままで、フィルム被嵌装置14の第2コンベヤ24に供給される。
【0052】
次に、
図1に加えて
図5〜
図7を参照して、フィルム被嵌装置14について説明する。
図5は、フィルム被嵌装置14のクランプ部材を示す平面図である。
【0053】
図1及び
図5に示すように、フィルム被嵌装置14は、第2コンベヤ24を備える。第2コンベヤ24は、図示しないモータによって間欠的に回転駆動される無端状のベルトで構成される。第2コンベヤ24は、容器整列装置12に含まれる第1コンベヤ22から供給される2個並びのパウチ容器Cを順次に受け取って、間欠駆動によりフィルム被嵌位置αに順次に搬送する機能を有する。ここで、第2コンベヤ24の移動方向(すなわち容器搬送方向A)は、2つのパウチ容器Cの並び方向と直交する関係になっている。
【0054】
図1に示すように、フィルム被嵌装置14には、フィルム供給装置16に含まれるリールから繰り出される筒状フィルムがシート状に折り畳まれた長尺帯状のフィルム基材FMが供給される。そして、フィルム基材FMは、図示しない切断装置によって所定長さに切断される。これにより、2個並びのパウチ容器Cを結束するための筒状フィルムFが形成される。上記切断装置、及び、切断形成された個々の筒状フィルムFをフィルム受取位置β(
図6参照)に搬送する機構には、公知の如何なる構成が用いられてもよい。
【0055】
図5に示すように、フィルム被嵌装置14は、第2コンベヤ24を挟んだ両側に配置されている一対のクランプ部材53を有する。各クランプ部材53は、ロッド54を介して、図示しないモータにより矢印D,E方向に揺動されるレバー55に連結されている。また、各クランプ部材53は、表面にレール(または溝)57を有するガイド部材56上に設置され、レール57に沿って容器搬送方向Aと直交する方向に移動可能に支持されている。これにより、レバー55が矢印D方向に回動すると、一対のクランプ部材53は第2コンベヤ24の上方にせり出すように互いに接近移動し、レバー55が矢印E方向に回動すると互いに離間移動して
図5に示す状態に戻るように構成されている。
【0056】
各クランプ部材53は、第2コンベヤ24側の側部に複数の凹部58を有する。本実施形態では、各クランプ部材53に5つの凹部58がそれぞれ形成される例が示される。これら5つの凹部58のうち容器搬送方向Aに関して真ん中に位置する凹部58が、筒状フィルムFが2個並びのパウチ容器Cに被嵌されるフィルム被嵌位置αに対応している。
【0057】
各凹部58は、パウチ容器Cの膨らんだ胴部を収容しやすいように略台形状の窪みとして形成されている。また、各凹部58は、第2コンベヤ24を挟んで対向している。さらに、各凹部58は、略台形状の各凹部58の間隔は、第2コンベヤ24によって搬送される2個並びのパウチ容器Cの容器搬送方向Aの間隔と同一に設定されている。
【0058】
第2コンベヤ24が間欠駆動されて各凹部58に対向する位置に2個並びのパウチ容器Cが停止したとき、上記レバー55が矢印D方向に可動する。これにより、2個並びのパウチ容器Cは、容器の並び方向の両側からクランプ部材53の凹部58によって、パウチ容器Cの胴部の高さ方向中央部分をクランプされる。すると、2個並びのパウチ容器Cは、確実に起立状態に保持されるとともに、胴部の中央部分を押圧されることによって内容物が胴部上部へ移動する。その結果、互いに隣り合って並んだ2つのパウチ容器Cの各胴部の上部が張った状態となって変形しにくい状態になる。このことにより、後述するように、フィルム被嵌位置αにおいて結束対象となる2個並びパウチ容器Cの周囲に熱収縮性の筒状フィルムFを上方から安定して被嵌することが可能になる。
【0059】
なお、本実施形態では、クランプ部材53の凹部58を略台形状の窪みとして形成した例を示すが、これに限定されるものではない。凹部58の形状は、パウチ容器Cの胴部形状に応じて、例えば、長方形状、半円状、三角状等の他の形状としてもよい。また、各クランプ部材53に複数の凹部58が形成される場合に限定されるものではなく、例えば、フィルム被嵌位置αに対応して1つの凹部だけが各クランプ部材53に形成されてもよい。この場合でも、フィルム被嵌位置αで2個並びのパウチ容器Cへのフィルム被嵌動作を安定的に行うことが可能になる。
【0060】
続いて、
図6及び
図7を参照して、フィルム被嵌装置14に設けられたフィルム被嵌ヘッドについて説明する。
図6は、フィルム被嵌装置14において円盤状ベース59に搭載された4つのフィルム被嵌ヘッド60を示す斜視図である。
図7は、
図6における1つのフィルム被嵌ヘッド60をカバー無しの状態で示す斜視図である。
【0061】
図6に示すように、フィルム被嵌装置14は、円盤状ベース59に搭載された複数のフィルム被嵌ヘッド60を備えている。円盤状ベース59は、図示しない駆動機構によって、矢印G方向に所定角度ごとに回転駆動されるようになっている。
【0062】
本実施形態では、4つのフィルム被嵌ヘッド60が円盤状ベース59上に90度ピッチで搭載されている。そして、各フィルム被嵌ヘッド60は、円盤状ベース59が回転中心軸Hの周りで90度ごとに回転及び停止される。これにより、径方向に対向して配置された2つのフィルム被嵌ヘッド60が、鉛直下方位置であるフィルム被嵌位置αと、鉛直上方位置であるフィルム受取位置βとの間を循環移動するインデックス方式で構成される。
【0063】
各フィルム被嵌ヘッド60は、一対のガイド部材62a,62bを有している。一対のガイド部材62a,62bは、互いに平行をなして対向配置されている。ここで、一対のガイド部材62a,62bの対向方向は、筒状フィルムF(
図3参照)を被嵌する2個並びのパウチ容器Cの容器の並び方向に一致している。また、各フィルム被嵌ヘッド60は、径方向外側に向かって開口するカバー部材61によって覆われており、カバー部材61の開口部から一対のガイド部材62a,62bが径方向外側に延出している。各フィルム被嵌ヘッド60は同一構成を有するため、以下では
図7を参照してフィルム被嵌位置αに対向するフィルム被嵌ヘッド60を例にその構成を詳細に説明する。
【0064】
上記各ガイド部材62a,62bの水平方向の幅は、パウチ容器Cのトップシール部38の水平部分38aの長さよりも大きく設定されている。これにより、一対のガイド部材62a,62bの周囲に開口状態で保持された筒状フィルムFが2個並びのパウチ容器Cに被嵌されるとき、筒状フィルムFの下端部がパウチ容器Cの水平部分38aに引っ掛かるのを効果的に防止することができる。
【0065】
図7に示すように、フィルム被嵌ヘッド60における一対のガイド部材62a,62bは、例えば、ステンレス板等の金属板によって好適に形成される。一対のガイド部材62a,62bの各上部は、それぞれ、天板部材63にスライド移動可能に支持されている。具体的には、一対のガイド部材62a,62bは、矢印I方向で示す互いに接近する方向、及び、矢印J方向で示す互いに離間する方向に移動可能に設けられている。
【0066】
天板部材63には、レバー65が回動自在に設けられている。レバー65の両端部には、各ガイド部材62a,62bが取り付けられているブラケット64a,64bがカムフォロワを介してそれぞれ連結されている。そして、レバー65の一端部には、矢印M方向に移動する駆動ロッド69が回動可能に連結されている。このように構成されることで、駆動ロッド69が円盤状ベース59側から押し出される方向に駆動されると、各ガイド部材62a,62bはレバー65の回動によって互いに接近する方向に移動し、駆動ロッド69が円盤状ベース59側に引かれる方向に駆動されると、各ガイド部材62a,62bが互いに離間する方向に移動することになる。このように一対のガイド部材62a,62bを移動させる駆動ロッド69は、図示しないカムによって駆動することができる。
【0067】
一対のガイド部材62a,62bを支持する天板部材63は、円盤状ベース59側の端部において取付部材66に取り付けられている。取付部材66は、円盤状ベース59に固定された2つのガイドレール67に沿って矢印K方向(すなわち鉛直方向)に上下移動可能になっている。
【0068】
また、一対のガイド部材62a,62bのうち少なくとも一方の外側表面には、クリップ68が設けられるのが好ましい。クリップ68の先端は、ガイド部材62aの外側表面との間に、楔状の隙間を形成している。後述するように、フィルム受取位置βにおいて筒状フィルムFを一対のガイド部材62a,62bの周囲に受け取ったとき、クリップ68が矢印L方向に回動することによって、筒状フィルムFをガイド部材62aとの間で挟むことができる。これにより、フィルム受取位置βにおいて一対のガイド部材62a,62bの周囲に被嵌された筒状フィルムFを開口状態にするときに筒状フィルムFが周方向にずれないように保持することができる。
【0069】
続いて、
図8ないし
図10を参照して、フィルム被嵌装置14におけるフィルム被嵌動作について説明する。
図8(a)〜(f)は、円盤状ベース59が回転してフィルム被嵌ヘッド60の一対のガイド部材62a,62bがフィルム受取位置βからフィルム被嵌位置へ移動する様子を段階的に示す図である。
【0070】
まず、
図8(a)に示すように、鉛直上方に向いたフィルム被嵌ヘッド60は、図示しない切断装置によってフィルム基材FM(
図1参照)から所定長に切断されて供給される筒状フィルムFを一対のガイド部材62a,62bの周囲に被嵌した状態に受け取る。このとき、各ガイド部材62a,62bは互いに最も接近した位置に移動した受取状態になっているため、略舟形状に開口した筒状フィルムFを確実に受け取ることができる。
【0071】
このように一対のガイド部材62a,62bの周囲に筒状フィルムFが受け取られると、
図8(b)において矢印Nで示すように、クリップ68が例えばエアシリンダ等によって駆動される。これにより、筒状フィルムFがクリップ68によってガイド部材62aに押え付けられる。
【0072】
この状態で、円盤状ベース59が矢印G方向に90度だけ回転する。この回転の間に一対のガイド部材62a、62bは、互いに離間する方向に移動して開口状態になる。これによって、筒状フィルムFは、一対のガイド部材62a,62bの周囲において略直方体状に弛みなく開口される。
【0073】
図8(c)に示すように、フィルム受取位置βから90度だけ位相がずれた位置には、フィルム被嵌ヘッド60に対して径方向外側に対向するフィルム押込み装置70が配設されている。そして、
図8(d)に示すように、フィルム押込み装置70が矢印P方向に駆動されると、開口状態とされた筒状フィルムFが一対のガイド部材62a,62bに対して奥側(すなわち円盤状ベース59の回転中心軸H側)へ移動する。このとき、クリップ68が矢印Q方向に開くことによって、筒状フィルムFの把持が一旦解除されている。このようにして一対のガイド部材62a,62bに対する筒状フィルムFの保持位置がずらされることで、開口状態の筒状フィルムFの端部から各ガイド部材62a,62bの先端部が突出した状態になる。
【0074】
その後、
図8(e)に示すように、フィルム押込み装置70は元の位置に復帰するとともに、クリップ68が矢印N方向に閉じて筒状フィルムFをガイド部材62aに押え付けた状態に戻る。そして、この状態から、
図8(f)に示すように、円盤状ベース59がさらに90度だけ回転すると、一対のガイド部材62a,62bによって開口保持された筒状フィルムFが、フィルム被嵌位置αで2個並びのパウチ容器Cの上方に搬送される。このとき、2個並びのパウチ容器Cは、クランプ部材53によりクランプされている。また、このときフィルム被嵌位置αにあるフィルム被嵌ヘッド60では、新たな筒状フィルムFが互いに接近した状態に閉じた一対のガイド部材62a,62bの周囲に受け取られる。
【0075】
続いて、
図9及び
図10を参照して、フィルム被嵌位置αにおけるフィルム被嵌動作について詳細に説明する。
図9(a)〜(d)は、フィルム被嵌位置αにおいて横方向に並んだ2個のパウチ容器の周囲に筒状フィルムFが被嵌される様子を段階的に示す図である。
図9(a)〜(d)は、それぞれ、左側に示される正面図、右側に示される側面図、及び、上側に示される平面図を含む。また、
図10は、フィルム被嵌位置αにおいて、筒状フィルムFが一対のガイド部材62a,62bから2個並びのパウチ容器Cの周囲に掻き下ろされて被嵌される様子を示す正面図(左側側)及び側面図(右側)である。
図9及び
図10において、筒状フィルムFが斜めハッチングで示され、クランプ部材53がクロスハッチングで示されている。
【0076】
図9(a)に示すように、第2コンベヤ24(
図5参照)によって搬送されてきた2個並びのパウチ容器Cは、フィルム被嵌位置αで一旦停止する。そして、2個並びのパウチ容器Cは、クランプ部材53が矢印R方向に移動する。これにより、2個並びのパウチ容器Cは、
図9(b)に示すように、クランプ部材53によって容器の並び方向両側から胴部中央付近をクランプされる。このようにクランプされた各パウチ容器Cでは、内容物が胴部内の上部に移動するため、各パウチ容器Cの胴部上部が膨張した状態になって変形しにくくなる。
【0077】
次に、
図9(c)に示すように、筒状フィルムFを弛みなく開口させた状態に保持した一対のガイド部材62a,62bが少し下降移動する。このとき、各ガイド部材62a,62bの先端位置が、各パウチ容器Cのトップシール部38の水平部分38a(
図2及び
図3参照)よりも少し低い位置まで下降させるのが好ましい。
【0078】
そして、この状態から、
図9(d)に示すように、一対のガイド部材62a,62bを互いに接近する方向(矢印T方向)に少し移動させる。これにより、一対のガイド部材62a,62bの各先端部が各パウチ容器Cの胴部上部を外側から挟み付けた挟持状態になる。その結果、2個並びのパウチ容器Cにおいて胴部上部の容器の並び方向の長さがより小さくなり、上方から被嵌される筒状フィルムFがより引っ掛かりにくくなる。また、このように一対のガイド部材62a,62bが互いに接近する方向に移動して送出状態になることで、その周囲に開口状態で保持された筒状フィルムFが少し弛んだ状態になる。その結果、後述する送出部材によって筒状フィルムFを一対のガイド部材62a,62bから送り出し易くなる。
【0079】
なお、ガイド部材62a,62bの先端位置がパウチ容器Cのトップシール部38の水平部分38aより低い位置にあれば、筒状フィルムFが上記水平部分38aに引っ掛かることなく被嵌可能であるため、一対のガイド部材62a,62bによって2個並びのパウチ容器Cを挟み付ける動作は省略されてもよい。
【0080】
図9(d)及び
図10に示すように、フィルム被嵌装置14には、フィルム被嵌位置αに対応する位置でフィルム被嵌ヘッド60の一対のガイド部材62a,62bから筒状フィルムFを下降移動させる送出部材72が設けられている。本実施形態では、送出部材72は、門型形状に形成されており、平行に垂下した2本の脚部を有している。ただし、送出部材72は、上記の門型に限定されるものではなく、真っ直ぐな角形棒材や板材で構成されてもよい。
【0081】
図9(d)に示すように一対のガイド部材62a,62bの各先端部が2個並びのパウチ容器Cの胴部上部を挟み付けた状態で、
図10に示すように送出部材72が矢印V方向に下降移動する。これにより、門型形状をなす送出部材72の2本の脚部の先端がフィルム上端縁部を押すことになる。その結果、筒状フィルムFが一対のガイド部材62a,62bから送り出されて、2個並びのパウチ容器Cの周囲に被嵌される。このとき、被嵌される筒状フィルムFに干渉しないように、クランプ部材53は互いに離間するように矢印W方向に移動して、2個並びのパウチ容器Cを解放する。
【0082】
上述したように本実施形態のフィルム被嵌装置14によれば、クランプ部材53でパウチ容器Cの胴部を押さえ付けて内容物を胴部の上部に移動させることによって、パウチ容器Cの胴部上部が膨らんで胴部シート材31,32を張った状態にすることができる。これにより、互いに隣り合って並んだ2つのパウチ容器Cの各胴部の上部が変形しにくい状態になる。したがって、熱収縮性の筒状フィルムFを開口させた状態で、結束対象となる2つのパウチ容器Cの周囲に上方から安定して被嵌することが可能になる。
【0083】
また、フィルム被嵌ヘッド60に含まれる一対のガイド部材62a,62bの水平方向幅が結束対象となるパウチ容器Cのトップシール部38の水平部分38aの長さよりも大きく設定されているため、一対のガイド部材62a,62bによって開口させた筒状フィルムFをトップシール部38の水平部分38aに引っ掛かることなく2個並びのパウチ容器Cの周囲に被嵌することができる。この場合、パウチ容器Cのトップシール部38のうち下方に傾斜した傾斜部分38bに筒状フィルムFの下端部が接触しても、上記傾斜部分38bによって筒状フィルムFがガイドされながら下方移動可能であるため、被嵌される筒状フィルムFが引っ掛かることはない。
【0084】
また、一対のガイド部材62a,62bは、筒状フィルムFを受け取るときには互いに接近した位置に移動することで、その外側周囲に筒状フィルムを確実に受け取ることができる。また、このように筒状フィルムFを受け取った一対のガイド部材62a,62bが円盤状ベース59の回転によってフィルム受取位置βからフィルム被嵌位置αに移動するまで、筒状フィルムFが弛みなく開口した状態に維持されるように一対のガイド部材62a,62bは互いに離間した位置に移動している。これにより、筒状フィルムFが一対のガイド部材62a,62bの周囲で周方向にずれるのを防止することができる。加えて、本実施形態では、クリップ68によって筒状フィルムFをガイド部材62aに押さえる構成としたので、筒状フィルムFの周方向のずれをより確実に防止できる。
【0085】
また、本実施形態では、フィルム被嵌時に一対のガイド部材62a,62bが互いに接近する方向に移動して、その各下端部で2個並びのパウチ容器Cの胴部上部を容器の並び方向に挟み付けられることで、2個並びのパウチ容器Cの容器の並び方向の厚みが小さくなる。これにより、開口した筒状フィルムFを被嵌するときにパウチ容器Cのトップシール部38により引っ掛かりにくくなり、フィルム被嵌動作を安定して行うことができる。また、このように一対のガイド部材62a,62bの各下端部が容器の並び方向両側で2個並びのパウチ容器Cの胴部上部に接触することで、ガイド部材62a,62bから送り出された筒状フィルムFがパウチ容器Cへ確実に乗り移ることができる。その結果、フィルム被嵌動作をより安定的に行うことが可能になる。
【0086】
さらに、本実施形態のフィルム被嵌装置14は、円盤状ベース59を回転させて4つのフィルム被嵌ヘッド60を回転移動させながら筒状フィルムFを被嵌する所謂インデックス方式を採用している。これにより、被嵌される筒状フィルムFの外周面に、回転するベルトやローラ等が接触しない構成とすることができ、傷つきやすい材質の筒状フィルムFであっても美観を損ねることなく被嵌することができる。
【0087】
図11は、筒状フィルムFが被嵌された2個並びのパウチ容器Cが加熱装置18を通過してパウチ容器結束体Bが製造されるとともに、パウチ容器結束体Bにシール部材が貼着される様子を示す斜視図である。
【0088】
図11に示すように、上記のようにしてフィルム被嵌装置14によって筒状フィルムFが被嵌された2個並びのパウチ容器Cは、第2コンベヤ24から第3コンベヤ26に供給され、第3コンベヤ26によって引き続き搬送されて、加熱装置18を通過する。加熱装置18は、トンネル状をなし、高温の空気または水蒸気で構成される雰囲気を有する。そのため、加熱装置18を通過する際に筒状フィルムFが熱収縮し、その結果、2個並びのパウチ容器Cが筒状フィルムFによって一体に結束されてパウチ容器結束体Bが製造される。
【0089】
その後、パウチ容器結束体Bは、第3コンベヤ26によって引き続き搬送されて、シール貼着装置20を通過する。シール貼着装置20は、
図1及び
図11に示すように、第2コンベヤ24の両側に容器搬送方向に沿って延伸する一対の容器挟持ベルト80を備える。一対の容器挟持ベルト80は、それぞれ矢印方向に回転する無端状ベルトで構成され、第2コンベヤ24と同期した速度で回転駆動される。また、一対の容器挟持ベルト80の間隔は、パウチ容器結束体Bの容器の並び方向の厚みよりも小さく設定されている。そのため、パウチ容器結束体Bは、一対の容器挟持ベルト80によって挟持されながら搬送されるとき、各パウチ容器Cの胴部の高さ方向中央部以下が押圧される。その結果、パウチ容器Cの胴部上部が張った状態となって、以下に述べるシール部材を確実に貼着することができるようになる。
【0090】
また、シール貼着装置20では、
図1及び
図11に示すように、シール部材86が所定間隔で貼着保持されている長尺帯状の剥離紙88が操出リール82から繰り出され、図示しない剥離板のエッジ部でUターンした後、巻取リール84に巻かれる。剥離紙88がUターンするときシール部材86が剥離紙88から剥がれて、パウチ容器結束体Bを構成する各パウチ容器Cの胴部シート31,32と筒状フィルムFとに跨ってそれぞれ貼着される。これにより、パウチ容器結束体Bにおいて、2個並びのパウチ容器Cが熱収縮後の筒状フィルムFから抜けてしまうのを確実に防止できる。
【0091】
このようにしてシール部材86が貼着されたパウチ容器結束体Bは、
図1に示すように、第3コンベヤ26によって引き続き搬送されて作業台28上に供給される。そして、パウチ容器結束体Bは、作業者Oによって箱詰めされる。
【0092】
上述したように、本実施形態のフィルム被嵌装置14を備えたパウチ容器結束体の製造システム10によれば、熱収縮された筒状フィルムFによって一体に結束されたパウチ容器結束体Bを連続的に安定して製造することができる。
【0093】
なお、本実施形態ではシール部材86の貼着によって筒状フィルムFからパウチ容器Cが抜け出ないようにしたが、これに限定されるものではない。例えば、筒状フィルムFの内周面に感熱性接着剤層を形成しておき、加熱装置18を通過する際の加熱で活性化した感熱性接着剤によって筒状フィルムF自体がパウチ容器Cの胴部シート上に貼着されてもよい。この場合、シール貼着装置20を省略することができ、システム構成を簡素化及び低コスト化することができる。
【0094】
次に、
図12を参照して、別態様のフィルム被嵌ヘッド60Aを示す。
図12(a)〜(f)は、フィルム被嵌位置αにおいて2個並びのパウチ容器Cに筒状フィルムFが被嵌される様子を段階的に示している。以下において上述したフィルム被嵌ヘッド60と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0095】
このフィルム被嵌ヘッド60Aは、フィルム被嵌位置αに対して定位置に固定配置された傾斜案内方式の被嵌ヘッドである。フィルム被嵌ヘッド60Aは、下方に向かってV字状に広がる2つの傾斜案内部91を有する傾斜整形部材90を備える。そして、2つの傾斜案内部91の各下端部が一対のガイド部材62a,62bの各上端部にそれぞれ連結されている。また、各傾斜案内部91には、無端状の搬送ベルト92が接触して配設されている。さらに、一対のガイド部材62a,62bの外側表面の下部には、回転駆動される送出ローラ94a.94bがそれぞれ接触して配置されている。なお、搬送ベルト92に代えてローラが用いられてもよいし、送出ローラ94a,94bに代えてベルトが用いられてもよい。
【0096】
このように構成されるフィルム被嵌ヘッド60Aでは、
図12(a)に示すように、略舟形状に開口した筒状フィルムFが傾斜整形部材90の上端部に供給される。すると、搬送ベルト92が筒状フィルムFの外周面に当接しながら回転移動することによって、筒状フィルムFは2つの傾斜案内部91に沿って下方に搬送される。この搬送過程で筒状フィルムFは、
図12(b).(c)に示すように、略直方体状に開口した形状に整形されて、一対のガイド部材62a,62bに受け渡される。
【0097】
一対のガイド部材62a,62bに開口状態で受け渡された筒状フィルムFは、
図12(d)に示すように送出ローラ94a,94bによって下方に送り出され、一対のガイド部材62a,62b間に位置する2個並びのパウチ容器Cの周囲に被嵌される。このとき、クランプ部材53がパウチ容器Cのクランプを解除して筒状フィルムFと干渉しないようにすることは上述した通りである。
【0098】
そして、
図12(e)に示すようにクランプ部材53が2個並びのパウチ容器Cをクランプした状態に戻り、
図12(f)に示すように第2コンベヤ24によってフィルム被嵌ヘッド60Aから搬出される。
【0099】
上述したフィルム被嵌ヘッド60Aを備えるフィルム被嵌装置によれば、一対のガイド部材62a,62bを含むフィルム被嵌ヘッド60Aがフィルム被嵌位置αに対して固定配置されているため、複数のフィルム被嵌ヘッドを搭載した円盤状ベースを回転移動させる構成を必要とせず、装置構成をより簡素で且つ低コスト化することができる。
【0100】
なお、本発明は、上述した実施形態及び変形例の構成に限定されるものではなく、本願の特許請求の範囲に記載される事項及びその均等な範囲において種々の変更や改良が可能である。
【0101】
上記においては、天面シート34に口栓42が装着されたパウチ容器Cが筒状フィルムFによって結束されてパウチ容器結束体Bを製造する場合について説明したが、パウチ容器Cの形態はこれに限定されるものではない。例えば、
図13(a)に示すように、パウチ容器C2は、一対の胴部シート31,32と底部シート33からなっていて天面シートを有しておらず、一対の胴部シートの上端縁部同士の接合部であるトップシール部38の水平部分38aに口栓42が装着された軟包材であってもよい。
【0102】
或いは、
図13(b)に示すように、パウチ容器C3は、一対の胴部シート31,32と底部シート33からなっていて天面シート及び口栓を有しておらず、一対の胴部シート31,32の上側の接合角部を切除することによって内容物を取り出すタイプの軟包材であってもよい。さらにまた、
図14に示すように、パウチ容器C4は、表裏一対の胴部シート31,32と、左右一対のサイドガセットシート30a,30bと、胴部シート31,32の上縁部同士の接合部であるトップシール部38に装着された口栓42とを有するサイドガセットパウチであってもよい。これらの場合、トップシール部38が水平部分のみからなって傾斜部分を有しない形状であってもよく、フィルム被嵌ヘッドの一対のガイド部材の水平方向の幅をパウチ容器C3,C4のトップシール部38全体の水平方向長さより大きく設定すればよい。そうすれば、一対のガイド部材によって開口させた筒状フィルムをパウチ容器のトップシール部の水平部分に引っ掛かることなく2個並びパウチ容器C3,C4の周囲に被嵌することができる。
【0103】
さらに、上記においては、2個のパウチ容器Cを筒状フィルムFで一体に結束する場合について説明したが、筒状フィルムFによって結束されるパウチ容器Cの数は3個以上としてもよい。