特許第6654482号(P6654482)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6654482
(24)【登録日】2020年2月3日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】断線復旧用接続部材
(51)【国際特許分類】
   H02G 7/00 20060101AFI20200217BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20200217BHJP
   H01R 11/01 20060101ALI20200217BHJP
   H01R 4/36 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   H02G7/00
   H02G1/02
   H01R11/01 U
   H01R4/36
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-57381(P2016-57381)
(22)【出願日】2016年3月22日
(65)【公開番号】特開2017-175733(P2017-175733A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241957
【氏名又は名称】北海道電力株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390009999
【氏名又は名称】日動電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141955
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100085419
【弁理士】
【氏名又は名称】大垣 孝
(72)【発明者】
【氏名】松野 直也
(72)【発明者】
【氏名】竹田 安輝
(72)【発明者】
【氏名】岡林 優斗
(72)【発明者】
【氏名】中越 敏仁
(72)【発明者】
【氏名】元家 正信
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 実公平3−11796(JP,Y2)
【文献】 実公昭58−25562(JP,Y2)
【文献】 実公平7−49728(JP,Y2)
【文献】 特開2012−205323(JP,A)
【文献】 特開2002−184482(JP,A)
【文献】 特開2008−243457(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 7/00
H02G 1/02
H01R 4/36
H01R 11/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ、接続線用空洞、引下線用空洞及び固定具用空洞が形成されている、一対の接続用鞘管と、
両端がそれぞれ、前記一対の接続用鞘管の接続線用空洞に挿入された接続電線と、
前記固定具用空洞に挿入され、前記接続電線と、前記引下線用空洞に挿入された高圧引下線を、それぞれ接続用鞘管に固定するとともに、前記高圧引下線と前記接続電線とを電気的に接続する固定具と
を備え、
前記接続線用空洞は、前記接続用鞘管の長手方向の一端側から他端側に向けて設けられており、深さが長手方向の前記接続用鞘管の長さより小さい第1の深さであり、
前記引下線用空洞は、前記他端側から前記一端側に向けて設けられており、深さが前記長さより小さい第2の深さであり、
前記固定具用空洞は、前記長手方向に直角に、前記接続線用空洞と、前記引下線用空洞とを貫通して設けられており、
前記第1の深さと前記第2の深さの和が前記長さより大きい
ことを特徴とする断線復旧用接続部材。
【請求項2】
前記接続電線の両端には、丸型の裸圧着端子が取り付けられており、
前記固定具が、先端が尖ったボルトを備え、
前記ボルトが、前記裸圧着端子の先端部に設けられたボルト取付孔を貫通して、前記高圧引下線にねじ込まれる
ことを特徴とする請求項1に記載の断線復旧用接続部材。
【請求項3】
前記ボルトの頭部には、前記ボルトの頭部を樹脂封止する封止部、及び、ボルトの螺進に用いられる操作部を備える、絶縁物で形成されたボルトキャップが取り付けられており、
前記封止部と前記操作部の接続部分に所定のトルクが作用すると前記ボルトキャップが破断する
ことを特徴とする請求項2に記載の断線復旧用接続部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高圧引下線断線復旧用接続部材に関し、特に、柱上変圧器の一次側に接続される高圧引下線が断線した際に、間接活線工法で用いられる、高圧引下線断線復旧用接続部材に関する。
【背景技術】
【0002】
電気事業者等の発電所で発電された電気は、高圧線を通じて送電され、電柱に設けられた柱上変圧器によって、送電時の電圧から、需要者が使用する電圧に変圧され、各需要者に供給される。
【0003】
図3を参照して、高圧線と柱上変圧器の間の接続状態について説明する。図3は、高圧線と柱上変圧器の間の接続状態の一例を示す模式図である。
【0004】
高圧線100と柱上変圧器200とは、高圧カットアウト(CF)300を介して高圧引下線400により接続される。以下の説明では、高圧線100とCF300とを接続する高圧引下線を、高圧線側引下線402と称し、CF300と柱上変圧器200とを接続する高圧引下線を変圧器側引下線404と称することもある。
【0005】
これら高圧引下線400は、強風やトラッキング等により、断線することがしばしばある。断線の改修は、直接活線工法又は間接活線工法により行われるが、近年、間接活線工法が主流になりつつある。これは、間接活線工法には、作業時間、すなわち、停電時間の短縮や、改修作業の安全性や負担低減などの、利点があるためである。
【0006】
そこで、この間接活線工法に用いられる断線改修用治具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−205323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、図3に示すように、高圧引下線400は、曲がって設けられていることが多い。一般に、高圧引下線400は、直線部分では断線せず、振動による応力が集中しやすい曲線部分(図3中、Aで示す。)で断線する。上述の断線改修用治具は、直線部分での断線の改修には、適用可能であるものの、曲線部分での断線の改修への、適用は困難である。
【0009】
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、この発明の目的は、断線の改修を迅速に行うことができる、間接活線工法で用いられる断線復旧用接続部材であって、CF近傍など、曲線部分での断線にも適用可能な断線復旧用接続部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するために、この発明の断線復旧用接続部材は、一対の接続用鞘管と、接続電線と、固定具とを備えて構成される。
【0011】
一対の接続用鞘管のそれぞれには、接続線用空洞と、引下線用空洞と、固定具用空洞と
が形成されている。接続線用空洞は、接続用鞘管の長手方向の一端側から他端側に向けて設けられており、深さが接続用鞘管の長手方向の長さより小さい第1の深さである。引下線用空洞は、接続用鞘管の長手方向の他端側から一端側に向けて設けられており、深さが接続用鞘管の長さより小さい第2の深さである。ここで、第1の深さと第2の深さの和が接続用鞘管の長さより大きい。
【0012】
固定具用空洞は、接続用鞘管の長手方向に直角に設けられていて、接続線用空洞と、引下線用空洞とを貫通する。
【0013】
接続電線は、両端がそれぞれ、一対の接続用鞘管の接続線用空洞に挿入されている。
【0014】
固定具は、固定具用空洞に挿入され、接続電線と、引下線用空洞に挿入された高圧引下線を、それぞれ接続用鞘管に固定するとともに、高圧引下線と接続電線とを電気的に接続する。
【0015】
また、この発明の断線復旧用接続部材の好適実施形態によれば、接続電線の両端には、丸型の裸圧着端子が取り付けられており、固定具が、先端が尖ったボルトを備え、ボルトが、裸圧着端子の先端部に設けられたボルト取付孔を貫通して、高圧引下線にねじ込まれる。
【発明の効果】
【0016】
この発明の断線復旧用接続部材によれば、断線した高圧引下線を引下線用空洞に挿入してボルトを締めることで、断線を復旧できるので、断線復旧の作業を迅速に行うことができる。また、一対の接続用鞘管の間に接続電線が設けられており、この接続電線は、変形可能であるので、CF近傍など曲線部分での断線にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の断線復旧用接続部材の縦断面図である。
図2】接続用鞘管を接続電線側から見た平面図である。
図3】高圧線と柱上変圧器の間の接続状態の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1及び図2を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
【0019】
図1は、この発明の断線復旧用接続部材の縦断面図である。この発明の断線復旧用接続部材10は、一対の接続用鞘管20と、接続電線40と、固定具60とを備えており、これらを組み合わせて構成される。
【0020】
先ず、各構成要素について説明する。
【0021】
一対の接続用鞘管20のそれぞれには、接続線用空洞22と、引下線用空洞24と、固定具用空洞26とが形成されている。
【0022】
接続線用空洞22は、接続用鞘管20の長手方向の一端20a側から他端20b側に向けて設けられている。接続線用空洞22の深さは、接続用鞘管20の長手方向の長さより小さい第1の深さである。引下線用空洞24は、接続用鞘管20の長手方向の上記他端20b側から上記一端20a側に向けて設けられている。引下線用空洞24の深さは、接続用鞘管20の長さより小さい第2の深さである。ここで、第1の深さと第2の深さの和が接続用鞘管20の長さより大きい。
【0023】
すなわち、接続線用空洞22と引下線用空洞24とは、接続用鞘管20の長手方向の両端20a及び20bに相反する方向に開口しており、長手方向に直交する方向に重なり合うように設けられている。
【0024】
固定具用空洞26は、接続線用空洞22と引下線用空洞24とが重なり合う位置に、接続用鞘管20の長手方向に直交する方向に設けられている。固定具用空洞26は、接続線用空洞22と、引下線用空洞24とを貫通する。
【0025】
接続用鞘管20は、合成樹脂など、任意好適な絶縁物で構成される。なお、接続用鞘管を構成する材質は、耐トラッキング性能に優れるものがより好ましい。
【0026】
接続電線40は、任意好適な、高圧引下用絶縁電線を用いて構成される。接続電線40の両端には、丸型(R型)の裸圧着端子42が取り付けられている。
【0027】
固定具60は、脚部62と操作部68を備えて構成される。脚部62は、例えば、先端が尖った、導電性金属製のボルトで構成される。以下の説明では、脚部とボルトとを同じ符号を付して説明する。ボルト62が、裸圧着端子42の先端部に設けられたボルト取付孔を貫通して、高圧引下線400にねじ込まれると、接続電線40と、高圧引下線400とが電気的に接続される。
【0028】
ボルト62の頭部には、ボルトキャップ64が取り付けられている。ボルトキャップ64は、接続用鞘管20と同様に、合成樹脂などの絶縁物で構成される。このボルトキャップ64は、ボルト62の頭部を樹脂封止する封止部66と、レンチ等でボルトを回転させるのに用いられる操作部68と含む。この封止部66と、操作部68の接続部分に、所定のトルクが作用すると、ボルトキャップ64が破断する。
【0029】
これにより、ボルト62の締め付け時に、接続用鞘管20に、一定以上の力が作用しなくなり、接続用鞘管20の破壊を抑制できる。また、トルクレンチのような特殊工具を用いることなく、通常の締め付け工具で作業することができるので、作業性を高めることができる。また、破断後も、ボルト62の頭部が、ボルトキャップ64の封止部66により封止された状態であるため、導電性金属のボルト62が露出しない。
【0030】
さらに図2を参照して、接続用鞘管20に設けられた接続線用空洞22について説明する。図2は、接続用鞘管20を接続電線40側から見た平面図である。
【0031】
接続線用空洞22は、圧着端子挿入部22bと、ナット挿入部22aとに区分される。
【0032】
圧着端子挿入部22bは、裸圧着端子42の先端部の位置を定める。すなわち、接続電線40は、接続線用空洞22の開口22cとは反対側の底の部分に、裸圧着端子42が当たるまで挿入される。
【0033】
ここで、圧着端子挿入部22bの幅は、裸圧着端子42の先端部の外径よりやや広い。これにより、裸圧着端子42は、圧着端子挿入部22bに挿入可能となる。また、裸圧着端子42の幅方向の位置の自由度はほとんどなく、裸圧着端子42の先端部は、規定位置に配置される。
【0034】
ナット挿入部22aは、固定具60を構成するボルト62と螺合する六角ナット70の位置を定める。六角ナット70は、接続線用空洞22の開口22cとは反対側の底の部分に、六角ナット70が当たるまで挿入される。
【0035】
ここで、ナット挿入部22aの幅は、六角ナット70の外径よりやや広い。これにより、六角ナット70は、ナット挿入部22aに挿入可能となる。また、六角ナット70の幅方向の位置の自由度はほとんどなく、六角ナット70は、規定位置に配置される。また、ボルト62と螺合される際に、六角ナット70は、ほとんど回転しない。
【0036】
(断線復旧用接続部材の組立方法)
続いて、図1及び図2を参照して、断線復旧用接続部材の組立方法の一例について説明する。
【0037】
先ず、一方の接続用鞘管20の接続線用空洞22のナット挿入部22aの所定の位置に六角ナット70を配置する。次に、先端に裸圧着端子42が取り付けられている接続電線40を接続線用空洞22に挿入し、裸圧着端子42を圧着端子挿入部22bの所定の位置に配置する。次に、固定具60を構成するボルト62を、接続用鞘管20の固定具用空洞26に挿入し、回し込むことにより、ボルト62と六角ナット70を螺合させる。このとき、ボルト62の先端を、接続線用空洞22と、引下線用空洞24の間の隔壁部分20cに位置させる。
【0038】
この工程により、一方の接続用鞘管20に接続電線40が固定され、さらに、ボルト62と接続電線40が電気的に接続される。また、ボルト62の先端が、接続線用空洞22と、引下線用空洞24の間に位置しているので、後述する断線復旧の際に、高圧引下線400の挿入及び固定が容易になる。
【0039】
他方の接続用鞘管20についても同様の工程を行い、他方の接続用鞘管20に接続電線40を固定し、他方のボルト62と接続電線40を電気的に接続する。他方の接続用鞘管20についての工程は、一方の接続用鞘管20についての工程を終えた後行っても良いし、並行して行っても良い。
【0040】
以上の工程により、断線復旧用接続部材10が完成する。
【0041】
(断線復旧方法)
続いて、この発明の断線復旧用接続部材を用いた断線復旧方法について説明する。
【0042】
先ず、断線した高圧引下線400の破断端の一方を、一方の接続用鞘管20の引下線用空洞24に挿入する。次に、固定具60を回転操作してボルト62を螺進させる。固定具60が備えるボルト62の先端は尖っているので、ボルト62の螺進に伴い、ボルト62の先端が高圧引下線400の外側被膜を貫通し、内部の電線部分に食い込む。これにより、ボルト62と断線した高圧引下線400の一方が電気的に接続され、断線した高圧引下線400の一方と接続電線40とが導通する。その後、さらに、固定具60を回転操作し、固定具60に一定以上のトルクが作用すると、固定具60が破断する。
【0043】
断線した高圧引下線400の破断端の他方についても同様の工程を行い、断線した高圧引下線400の他方と接続電線40とを導通させる。断線した高圧引下線400の破断端の他方についての工程は、破断端の一方についての工程を終えた後行っても良いし、並行して行っても良い。
【0044】
以上の工程により、断線した高圧引下線400の復旧がなされる。
【0045】
この発明の断線復旧用接続部材によれば、断線した高圧引下線を引下線用空洞に挿入してボルトを締めることで、断線を復旧できるので、断線復旧の作業を迅速に行うことができる。また、一対の接続用鞘管の間に接続電線が設けられており、この接続電線は、変形可能であるので、CF近傍など曲線部分での断線にも適用可能である。
【0046】
また、接続用鞘管が樹脂など絶縁物で構成され、高圧引下線と電気的に接続されるボルトも樹脂封止されているので、導電部が全て絶縁物に覆われる。このため、断線復旧後のゴムコーティングなどが不要である。
【符号の説明】
【0047】
10 断線復旧用接続部材
20 接続用鞘管
22 接続線用空洞
24 引下線用空洞
26 固定具用空洞
40 接続電線
42 裸圧着端子
60 固定具
62 脚部(ボルト)
64 ボルトキャップ
66 封止部
68 操作部
70 六角ナット
100 高圧線
200 柱上変圧器
300 高圧カットアウト(CF)
400 高圧引下線
402 高圧線側引下線
404 変圧器側引下線
図1
図2
図3