【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、総務省、「ワイヤレス電力伝送による漏えい電波の環境解析技術の研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コイルと前記金属板との間の距離を可変とする、非導電性材料から形成された距離可変機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電磁界模擬装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
携帯型情報端末、家電機器、電気自動車等の電子機器・電気機器にWPTシステムを搭載する場合、WPTシステムの近傍に、電子機器・電気機器の金属製部品、回路基板、金属製筐体、金属製ボディ等の金属材料が存在する場合がある。また、電力供給に貢献する磁束を渦電流として損失させることなく効率的に利用することを目的として、WPTシステムのハウジング(筐体)の一部を金属材料から形成する技術も提案されている(特許文献2)。
【0007】
図8は、本願発明者が、WPTシステムの電力送信装置の筐体が金属材料で構成された場合の漏えい電磁界を実験するために作製した実験装置を示す模式図であり、(A)はX軸およびZ軸を含むXZ平面で切断した断面図であり、(B)はY軸およびZ軸を含むYZ平面をX軸方向から見た上面図である。
図8中のX軸はWPTシステムのコイル(電磁界放射部)の中心軸の方向であり、Y軸およびZ軸は、コイルの径方向である。
図8に示すWPT実験装置100は、所定間隔を隔てて互いに平行に配置された1次コイル101および2次コイル102と、1次コイル101および2次コイル102を収容する筐体を構成する第1のハウジング部材103および第2のハウジング部材104とを備えている。第1のハウジング部材103および第2のハウジング部材104は金属材料から形成されており、1次コイル101および2次コイル102に対して所定間隔を隔てて平行にそれぞれ配置されている。
【0008】
図9は、漏えい電磁界の磁界強度を漏えい電磁界の発生源からの距離(図中では対数目盛りで示す)に応じて示すグラフであり、(A)のL11はWPTシステムの近傍に金属材料が存在しない場合を示し、(B)のL21はWPTシステムの近傍に金属材料が存在する場合を示す。なお、磁界強度は、図示しない磁界強度測定装置を所定距離毎にX軸方向に移動させて測定した。
【0009】
図9(A)のグラフにおいて、破線L11は、その近傍に金属材料が存在しないWPTシステムの漏えい電磁界の磁界強度を示し、実線L12は、例えば特許文献1に記載された従来技術のような従来の電磁界模擬装置により模擬して発生した漏えい電磁界の磁界強度を示す。
図9(A)のグラフを参照して、WPTシステムの磁界強度(破線L11)と従来の電磁界模擬装置の磁界強度(実線L12)とを互いに比較すると、漏えい電磁界の発生源からの距離に応じた磁界強度の変化の傾向は互いによく一致する。このように、WPTシステムの近傍に金属材料が存在しない場合は、WPTシステムの漏えい電磁界の磁界強度は、従来の電磁界模擬装置により模擬することが可能である。なお、
図9(A)の例では、WPTシステムは1次コイルおよび2次コイルを備えており、従来の電磁界模擬装置は1次コイルのみを備えている。
図9(A)のグラフから見て分かるように、1次コイルおよび2次コイルを備えたWPTシステムの漏えい電磁界の磁界強度の変化傾向は、1次コイルのみを備えた従来の電磁界模擬装置により模擬することが可能である。
【0010】
図9(B)のグラフにおいて、破線L21は、
図8に示したWPT実験装置100の漏えい電磁界の磁界強度を示し、実線L22は、従来の電磁界模擬装置により模擬して発生した漏えい電磁界の磁界強度を示す。
図9(A)および
図9(B)を参照して、
図9(A)の破線L11と
図9(B)の破線L21とを比較すると、0.1〜1mの距離範囲では、磁界強度の変化の傾向が互いに異なることが分かる。
図9(A)の破線L11は、全ての距離範囲において距離に応じて磁界強度が減少している。一方、
図9(B)の破線L21は、0.1〜0.3mの距離範囲では距離に応じて磁界強度が増加し、0.3m以上の距離範囲では距離に応じて磁界強度が減少している。このように、WPTシステムの近傍に金属材料が存在する場合(破線L21)は、WPTシステムの近傍に金属材料が存在しない場合(破線L11)とは、0.1〜1mの距離範囲における磁界強度の変化の傾向が異なる。次に、
図9(B)のグラフを参照して、WPT実験装置100(
図8参照)の磁界強度(破線L21)と従来の電磁界模擬装置の磁界強度(実線L22)とを互いに比較すると、漏えい電磁界の発生源からの距離に応じた磁界強度の変化の傾向は、1m以上の距離では互いによく一致するものの、0.1〜1mの距離範囲では互いに一致しない。
【0011】
このように、WPTシステムの近傍に金属材料が存在する場合は、従来の電磁界模擬装置では、WPTシステムの近傍(具体的には、WPTシステムから0.1〜1mの距離範囲)での漏えい電磁界を模擬することができなかった。WPTシステムの近傍は漏えい電磁界の磁界強度が強く、電子機器・電気機器に対して影響を及ぼす可能性が高い領域であるので、WPTシステムの近傍の漏えい電磁界を模擬できることが望ましい。
【0012】
本開示は、このような従来技術の課題を鑑みて案出されたものであり、ワイヤレス電力伝送システムの近傍に金属材料が存在する場合でも、ワイヤレス電力伝送システムから漏えいする電磁界を精度よく模擬することが可能な電磁界模擬装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の電磁界模擬装置は、ワイヤレス電力伝送システムから漏えいする電磁界を模擬して発生する電磁界模擬装置であって、交流信号を発生する信号発生器と、前記信号発生器の出力信号を増幅する増幅器と、前記増幅器の出力信号を電磁界として空間に放射するコイルと、前記コイルおよび前記増幅器の間に設けられた整合部と、前記コイルからその中心軸方向に所定距離離れ
て配置された、前記コイルの外径より大きい面積を有する金属板と
、前記金属板の表面積を可変とする、非導電性材料から形成された面積可変機構とを備えたことを特徴とする。
また、本開示の電磁界模擬装置は、ワイヤレス電力伝送システムから漏えいする電磁界を模擬して発生する電磁界模擬装置であって、交流信号を発生する信号発生器と、前記信号発生器の出力信号を増幅する増幅器と、前記増幅器の出力信号を電磁界として空間に放射するコイルと、前記コイルおよび前記増幅器の間に設けられた整合部と、前記コイルからその中心軸方向に所定距離離れて配置された、前記コイルの外径より大きい面積を有する金属板とを備え、前記金属板の枚数が2枚であり、前記金属板が前記コイルの前記中心軸方向における両方の側にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、ワイヤレス電力伝送システムの近傍に金属材料が存在する場合でも、ワイヤレス電力伝送システムから漏えいする電磁界を精度よく模擬することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、ワイヤレス電力伝送システムから漏えいする電磁界を模擬して発生する電磁界模擬装置であって、交流信号を発生する信号発生器と、前記信号発生器の出力信号を増幅する増幅器と、前記増幅器の出力信号を電磁界として空間に放射するコイルと、前記コイルおよび前記増幅器の間に設けられた整合部と、前記コイルからその中心軸方向に所定距離離れて配置された、前記コイルの外径より大きい面積を有する金属板とを備えたことを特徴とする。
【0017】
この第1の発明に係る電磁界模擬装置によれば、ワイヤレス電力伝送システムの近傍に金属材料が存在する場合でも、ワイヤレス電力伝送システムの近傍(具体的には、ワイヤレス電力伝送システムから0.1〜1mの距離範囲)での漏えい電磁界を模擬することができる。これにより、ワイヤレス電力伝送システムの近傍に金属材料が存在する場合でも、ワイヤレス電力伝送システムから漏えいする電磁界を精度よく模擬することが可能となる。
【0018】
また、第2の発明は、上記第1の発明において、前記金属板の枚数が1枚であり、前記金属板が前記コイルの前記中心軸方向における一方の側に配置されていることを特徴とする。
【0019】
この第2の発明に係る電磁界模擬装置によれば、コイルの中心軸方向における一方の側において、その近傍に金属材料が存在するワイヤレス電力伝送システムの漏えい電磁界を精度よく模擬することができる。
【0020】
また、第3の発明は、上記第1の発明において、前記金属板の枚数が2枚であり、前記金属板が前記コイルの前記中心軸方向における両方の側にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【0021】
この第3の発明に係る電磁界模擬装置によれば、コイルの中心軸方向における両方の側において、その近傍に金属材料が存在するワイヤレス電力伝送システムの漏えい電磁界を精度よく模擬することができる。
【0022】
また、第4の発明は、上記第1の発明ないし第3の発明のいずれかにおいて、前記コイルと前記金属板との間の距離を可変とする、非導電性材料から形成された距離可変機構をさらに備えたことを特徴とする。
【0023】
この第4の発明に係る電磁界模擬装置によれば、ワイヤレス電力伝送システムの近傍に存在する金属材料とワイヤレス電力伝送システムのコイルとの距離がそれぞれ異なる様々なワイヤレス電力伝送システムの漏えい電磁界を、1つの電磁界模擬装置で模擬することが可能となる。
【0024】
また、第5の発明は、上記第1の発明ないし第4の発明のいずれかにおいて、前記金属板の表面積を可変とする、非導電性材料から形成された面積可変機構をさらに備えたことを特徴とする。
【0025】
この第5の発明に係る電磁界模擬装置によれば、ワイヤレス電力伝送システムの近傍に存在する金属材料の表面積がそれぞれ異なる様々なワイヤレス電力伝送システムの漏えい電磁界を、1つの電磁界模擬装置で模擬することが可能となる。
【0026】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る電磁界模擬装置1の斜視図であり、
図2は、
図1に示した電磁界模擬装置1の概略構成図である。なお、
図1では、筐体14を透視して内部に収容された部品を示している。また、
図2では、第1の金属板15Aおよび第2の金属板15Bの図示は省略している。
【0028】
この第1実施形態に係る電磁界模擬装置1は、送信部11と、整合部12と、コイル(放射部)13と、筐体14と、第1の金属板15Aと、第2の金属板15Bとを備えている。
図1に示すように、本実施形態では、XYZ直交座標系が設定されており、X軸はコイル13の中心軸の方向であり、Y軸およびZ軸は、コイル13の径方向である。
【0029】
送信部11は、信号発生器16と、増幅器17と、この信号発生器16および増幅器17を収容するケース体18とから構成されている。ケース体18は、アルミニウム等の金属で形成されている。
【0030】
信号発生器16は、所定の周波数の高周波信号(交流信号)を発生するものであり、アナログ式またはディジタル式の発振回路を備えた発振器である。本実施形態では、信号発生器16は、模擬対象となるWPTシステムの駆動周波数と略同一の周波数の高周波信号を発生する。増幅器17は、信号発生器16の出力信号を増幅するものであり、例えば、入力した信号をトランジスタ等のスイッチング動作を用いて増幅するものである。なお、模擬対象となるWPTシステムで利用される周波数に応じて、送信部11を異なるものに交換して使用するようにするとよい。
【0031】
整合部12は、コイル13のインピーダンスを送信部11の出力に整合させるものである。この整合部12により送信部11とコイル13との間のインピーダンス整合を行うことで、送信部11の出力における反射による損失を小さくすることができ、送信部11の出力信号が効率よくコイル13に入力される。この整合部12は、コイル13の両端および送信部11に接続される回路構成を有し、インピーダンス整合を行うコンデンサが実装されている(
図2参照)。なお、模擬対象となるWPTシステムで利用される周波数に応じて、整合部12をコンデンサ定数が異なるものに交換して使用するようにするとよい。
【0032】
コイル(放射部)3は、整合部12を介して送信部11から入力される高周波信号を電磁界として空間に放射するものである。本実施形態では、コイル13に、導線を平面上に渦巻き状に巻回した渦巻き型のものが用いられる。コイル13の導線には、導電率の高い銅材等による単線やリッツ線等の線材を用いればよい。コイル13の導線の両端は整合部12に接続されている(
図2参照)。このコイル13は、周波数に応じて、線材、直径や巻き数が異なるものに交換することで、数kHzから数GHzの周波数に対応することができる。
【0033】
筐体14は、送信部11(信号発生器16および増幅器17)、整合部12、コイル13を内部に保持収容するものであり、絶縁性で比誘電率が小さくかつ所要の強度を有する樹脂材料等により形成されている。
【0034】
第1および第2の金属板15A、15Bは、例えば鉄やアルミニウム等の金属材料から形成されており、所定の面積および厚さを有している。第1および第2の金属板15A、15Bは、非導電性材料から形成された図示しない支持機構により、筐体14の内側または外側において支持されている。本実施形態では、第1および第2の金属板15A、15Bは、筐体14の内側において支持されている。なお、模擬対象となるWPTシステムの近傍に存在する金属材料の材質、面積および厚さに応じて、第1および第2の金属板15A、15Bを材質、面積および厚さが異なるものに交換して使用するようにするとよい。
【0035】
図3は、
図1に示した電磁界模擬装置1における、コイル13と第1および第2の金属板15A、15Bとの位置関係を示す模式図であり、(A)はX軸およびZ軸を含むXZ平面で切断した断面図、(B)はY軸およびZ軸を含むYZ平面をX軸方向から見た上面図である。なお、
図3では、送信部11、整合部12および筐体14の図示は省略している。
【0036】
図3(A)および
図3(B)に示すように、第1および第2の金属板15A、15Bは、コイル13の外径よりも大きい面積を有している。また、
図3(A)に示すように、第1および第2の金属板15A、15Bは、コイル13からその中心軸方向(X軸方向)に所定距離離れて、コイル13に対して平行にそれぞれ配置されている。第1の金属板15Aは、コイル13の中心軸方向(X軸方向)の一方の側(図中の右側)に配置されており、第2の金属板15Bは、コイル13の中心軸方向(X軸方向)の他方の側(図中の左側)に配置されている。このように、第1および第2の金属板15A、15Bは、コイル13の電磁界放射面13a、13bから所定距離を隔てて、コイル13の電磁界放射面13a、13bに対向してそれぞれ配置されている。
【0037】
このように構成された電磁界模擬装置1を稼働すると、送信部11から高周波信号がコイル13に入力されて、コイル13から電磁界が発生する。コイル13の中心軸方向(X軸方向)の両側には第1および第2の金属板15A、15Bが配置されているので、これにより、WPTシステムの近傍に金属材料が存在する場合におけるWPTシステムの漏えい電磁界を模擬して発生することが可能となる。また、第1および第2の金属板15A、15Bは、コイル13の外径より大きい面積を有しているので、WPTシステムの近傍に存在する金属材料が、WPTシステムのコイルの外径より大きい面積を有している場合でも、WPTシステムの漏えい電磁界を模擬して発生することができる。
【0038】
なお、信号発生器16を、任意の周波数の高周波信号を発生する周波数可変型のもので構成して、図示しない制御部により信号発生器16の周波数を制御するようにしてもよい。また、増幅器17を、利得を調整可能なもので構成して、図示しない制御部により増幅器17の利得を制御するようにしてもよい。
【0039】
図4は、漏えい電磁界の磁界強度を、漏えい電磁界の発生源からの距離に応じて示したグラフである。なお、
図4では、距離の軸を対数目盛で示している。
図4のグラフにおいて、破線L1は、その筐体が金属材料から形成されたWPT実験装置100(
図8参照)の漏えい電磁界の磁界強度を示し、実線L2は、電磁界模擬装置1により模擬して発生した漏えい電磁界の磁界強度を示す。なお、磁界強度は、図示しない磁界強度測定装置を所定距離毎にX軸方向に移動させて測定した。
【0040】
図4を参照して、電磁界模擬装置1の磁界強度(実線L2)と、
図8に示したWPT実験装置100の磁界強度(破線L1)とを比較すると、漏えい電磁界の発生源からの距離に応じた磁界強度の変化の傾向は互いによく一致する。特に、従来の電磁界模擬装置の場合(
図9(B)の実線L22参照)とは異なり、漏えい電磁界の発生源から0.1〜1mの距離範囲でも、磁界強度の変化の傾向がよく一致する。
【0041】
このように、この第1実施形態に係る電磁界模擬装置1によれば、WPTシステムの近傍に金属材料が存在する場合でも、WPTシステムから0.1〜1mの距離範囲での漏えい電磁界を模擬することができる。これにより、WPTシステムの近傍に金属材料が存在する場合でも、WPTシステムから漏えいする電磁界を精度よく模擬することが可能となる。
【0042】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る電磁界模擬装置10について説明する。なお、ここで特に言及しない点は上記の第1実施形態と同様である。
図5は、第2実施形態に係る電磁界模擬装置10の斜視図であり、
図6は、
図5に示した電磁界模擬装置10における、コイル13と第1の金属板15Aとの位置関係を示す模式図である。なお、
図6では、送信部11、整合部12および筐体14の図示は省略している。
【0043】
図5および
図6に示すように、この第2実施形態に係る電磁界模擬装置10は、コイル13の中心軸方向(X軸方向)における一方の側(+X方向)には第1の金属板15Aが配置されているが、他方の側(−X方向)には第2の金属板15Bは配置されていない。このように、この第2実施形態に係る電磁界模擬装置10では、第2の金属板15Bを備えておらず、第1の金属板15Aのみを備えている。
【0044】
図7は、漏えい電磁界の磁界強度を、漏えい電磁界の発生源からの距離に応じて示したグラフであり、(A)は+X方向における磁界強度を示し、(B)は−X方向における磁界強度を示す。なお、
図7では、距離の軸を対数目盛で示している。
図7のグラフにおいて、破線L1は、筐体が金属材料から形成されたWPT実験装置100(
図8参照)の漏えい電磁界の磁界強度を示し、実線L2は、第1実施形態に係る電磁界模擬装置1(
図1および
図3参照)により模擬して発生した漏えい電磁界の磁界強度を示し、一点鎖線L3は、第2実施形態に係る電磁界模擬装置10の漏えい電磁界の磁界強度を示す。なお、磁界強度は、図示しない磁界強度測定装置を所定距離毎にX軸方向に移動させて測定した。
【0045】
図7(A)を参照して、第2実施形態に係る電磁界模擬装置10の磁界強度(一点鎖線L3)と、WPT実験装置100(
図8参照)の磁界強度(破線L1)とを比較すると、漏えい電磁界の発生源からの距離に応じた磁界強度の変化の傾向は互いによく一致する。このように、第2実施形態に係る電磁界模擬装置10は、+X方向においては、その近傍に金属材料が存在するWPTシステムの漏えい電磁界を精度よく模擬することができる。
【0046】
次に、第2実施形態に係る電磁界模擬装置10の磁界強度(一点鎖線L3)を、第1実施形態に係る電磁界模擬装置1の磁界強度(実線L2)およびWPT実験装置100(
図8参照)の磁界強度(破線L1)と比較すると、電磁界模擬装置10の磁界強度(一点鎖線L3)は、電磁界模擬装置1の磁界強度(実線L2)およびWPT実験装置100の磁界強度(破線L1)よりも大きい。このように、第2実施形態に係る電磁界模擬装置10は、第1実施形態に係る電磁界模擬装置1およびWPT実験装置100よりも大きい磁界強度を発生することができる。
【0047】
図8に示したWPT実験装置100は、上述したように、本願発明者が、WPTシステムの電力送信装置の筐体が金属材料で構成された場合の漏えい電磁界を実験するために作製したものである。
【0048】
また、
図7(B)を参照して、第2実施形態に係る電磁界模擬装置10の磁界強度(一点鎖線L3)を、WPT実験装置100(
図8参照)の磁界強度(破線L1)および第1実施形態に係る電磁界模擬装置1の磁界強度(実線L2)と比較すると、漏えい電磁界の発生源からの距離に応じた磁界強度の変化の傾向は、1m以上の距離では互いによく一致するものの、0.1〜1mの距離範囲では互いに一致しない。すなわち、電磁界模擬装置10は、−X方向においては、0.1〜1mの距離では、その近傍に金属材料が存在するWPTシステムの漏えい電磁界を模擬することができない。なお、
図7(B)の一点鎖線L3と、
図9(A)の実線L12を比較すると、変化傾向は一致している。よって、電磁界模擬装置10の−X方向における磁界強度の変化傾向は、WPTシステムの近傍に金属材料が存在しない場合の磁界強度の変化傾向を模擬することができる。したがって、電磁界模擬装置10は、その設置する方向を変えることで、金属が近傍に存在するWPTシステムと、金属が近傍に存在しないWPTシステムの磁界強度の変化傾向を模擬することが可能である。
【0049】
このように、この第2実施形態に係る電磁界模擬装置10によれば、+X方向においては、その近傍に金属材料が存在するWPTシステムの漏えい電磁界を精度よく模擬することができる。
【0050】
なお、上記の第1実施形態に係る電磁界模擬装置1および第2実施形態に係る電磁界模擬装置10において、コイル13と、第1および第2の金属板15A、15Bの一方または両方と間の距離を変更可能に構成してもよい。コイル13・金属板15間の距離の変更は、例えば樹脂材料等の非導電性材料から形成された公知のスライド機構やボールネジ機構等を利用して構成した距離可変機構を用いることにより実現可能である。このように、コイル13・金属板15間の距離を変更可能に構成すると、WPTシステムの近傍に存在する金属材料とWPTシステムのコイルとの距離がそれぞれ異なる様々なWPTシステムの漏えい電磁界を、1つの電磁界模擬装置1、10で模擬することが可能となる。
【0051】
図10は、スライド機構を利用して構成した距離可変機構の一例を示す模式図である。なお、
図10は、距離可変機構を上記の第2実施形態に係る電磁界模擬装置10に設置した例を示す。
図10に示すように、距離可変機構は、X軸方向に所定の長さを有し、Z軸方向に所定距離を隔てて互いに平行に配置されたスライドレール21およびスライドレール22を備えている。スライドレール21、22は、樹脂材料等の非導電性材料から形成されており、電磁界模擬装置10の筐体14(
図5参照)の所定位置に固定されている。そして、第1の金属板15AのZ軸方向の両端は、スライドレール21、22に、X軸方向にスライド変位可能にそれぞれ支持されている。このような構成により、第1の金属板15AをX軸方向に所望の距離だけスライド変位させることができ、これにより、コイル13と第1の金属板15Aとの間の距離を可変とすることができる。
【0052】
また、上記の第1実施形態に係る電磁界模擬装置1および第2実施形態に係る電磁界模擬装置10において、第1および第2の金属板15A、15Bの一方または両方の面積を変更可能に構成してもよい。例えば、第1の金属板15Aを、ZY平面(
図6参照)において複数に分割した形状をそれぞれ有する複数の板状部材から構成し、その複数の板状部材のZY平面における配置位置または配置枚数を変更することにより、第1の金属板15Aの面積を変更するように構成するとよい。第2の金属板15Bについても同様である。複数の板状部材の面方向(ZY平面)における配置位置または配置枚数を変更は、例えば樹脂材料等の非導電性材料から形成された公知のスライド機構や扇開閉式の開閉機構等を利用して構成した面積可変機構を用いることにより実現可能である。このように、第1および第2の金属板15A、15Bの一方または両方の面積を変更可能に構成すると、WPTシステムの近傍に存在する金属材料の面積がそれぞれ異なる様々なWPTシステムの漏えい電磁界を、1つの電磁界模擬装置1、10で模擬することが可能となる。
【0053】
図11は、スライド機構を利用して構成した面積可変機構の一例を示す模式図である。なお、
図11は、面積可変機構を上記の第2実施形態に係る電磁界模擬装置10に設置した例を示す。
図11に示すように、電磁界模擬装置10は、
図6に示した第1の金属板15AをZY平面においてZ軸方向に2分割した形状をそれぞれ有する金属板19Aおよび金属板19Bを備えている。面積可変機構は、Z軸方向に所定の長さを有し、X軸方向に互いに隣接して平行に配置されたスライドレール対31およびスライドレール対32を備えている。スライドレール対31は一対のスライドレール31、31から構成されており、スライドレール31、31は、
図11(B)に示すように、X軸方向に所定距離を隔てて互いに平行に配置されている。スライドレール対32についても同様である。スライドレール対31、32は、樹脂材料等の非導電性材料から形成されており、電磁界模擬装置10の筐体14(
図5参照)の所定位置に固定されている。
【0054】
そして、金属板19AのY軸方向の両端は、スライドレール対31の各スライドレール31、31に、Z軸方向にスライド変位可能にそれぞれ支持されている。また、金属板19BのY軸方向の両端も、スライドレール対32の各スライドレール32、32に、Z軸方向にスライド変位可能にそれぞれ支持されている。このような構成により、金属板19Aおよび金属板19Bを、それぞれZ軸方向に所望の距離だけスライド変位させることができ、その結果、金属板19Aと金属板19BとをX軸方向において互いに重ねることができる。これにより、金属板19Aおよび金属板19BのZY平面における面積を可変とすることができる。
【0055】
以上、本開示を特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本開示はこれらの実施形態によって限定されるものではない。なお、上記実施形態に示した本開示に係る電磁界模擬装置の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本開示の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。