特許第6654499号(P6654499)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6654499
(24)【登録日】2020年2月3日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】鉄道車両用車体間ダンパー装置
(51)【国際特許分類】
   B61G 11/12 20060101AFI20200217BHJP
   B61F 5/24 20060101ALI20200217BHJP
   F16F 15/023 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   B61G11/12
   B61F5/24 B
   F16F15/023 Z
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-84101(P2016-84101)
(22)【出願日】2016年4月20日
(65)【公開番号】特開2017-193231(P2017-193231A)
(43)【公開日】2017年10月26日
【審査請求日】2019年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 晋一
(72)【発明者】
【氏名】島宗 亮平
(72)【発明者】
【氏名】岩波 健
【審査官】 マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−40976(JP,A)
【文献】 特開平9−156504(JP,A)
【文献】 特開2000−302038(JP,A)
【文献】 特開2007−253679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61G 11/12
B61F 5/24
F16F 15/023
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両間に設置されている鉄道車両用車体間ダンパー装置であって、
一方の車両の端部外面に取り付けられ、上下方向にロッドを進退させるダンパーと、
前記ダンパーのロッドに一端部が連結され、上下方向に移動可能とされている第1リンク棒と、
前記第1リンク棒の他端部が連結され、前記端部外面に垂直な軸に軸支されて揺動する第1揺動部材と、
上下方向に延在する軸に軸支されて揺動する第2揺動部材と、
一端部が前記第1揺動部材に連結され、他端部が前記第2揺動部材に連結され、左右方向に移動可能とされている第2リンク棒と、
一端部が前記第2揺動部材に連結され、他端部が他方の車両に連結され、前後方向に移動可能とされている第3リンク棒と、
を備えたことを特徴とする鉄道車両用車体間ダンパー装置。
【請求項2】
前記第3リンク棒は、前記ダンパーよりも前記車両の側面寄りの位置であって、前記側面よりも内側に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用車体間ダンパー装置。
【請求項3】
当該鉄道車両用車体間ダンパー装置は、一方の車両の端部外面と、他方の車両の端部外面とで挟まれる位置に設置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道車両用車体間ダンパー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行中の鉄道車両に発生するヨーイングを抑制する鉄道車両用車体間ダンパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特別急行列車や新幹線(登録商標)など、高速で走行する鉄道車両において発生するヨーイングを抑制するため、鉄道車両間には車体間ダンパー(アンチ・ヨーイング・ダンパー)が設置されている(例えば、特許文献1参照。)。
車体間ダンパーは、車両間に設けられており、一端が一方の車両の前端側部に取り付けられ、他端が他方の車両の後端側部に取り付けられている。
この車体間ダンパーを車両の側面寄りに設置することで、より好適にヨーイングを抑制することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−81890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、鉄道車両間には空気抵抗の低減を図るためにホロ(全周ホロ)が設けられているが、車体間ダンパーが車両の側面寄りに設置されている箇所にはホロやカバーを設置できず、その箇所で風切り音が生じてしまうことがあった。
また、従来の車体間ダンパーは、車両を切り離す際に一旦そのダンパーを取り外さなければならず、その作業が煩わしいとともに、車体間ダンパーは重量物であるため、その着脱を安全に行うためには専用の着脱器具を使用しなければならないことが、車両の切り離し作業を一層煩わしいものにしていた。
【0005】
本発明の目的は、風切り音が生じ難く、車両の切り離し作業の妨げになり難い鉄道車両用車体間ダンパー装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、この発明は、
鉄道車両間に設置されている鉄道車両用車体間ダンパー装置であって、
一方の車両の端部外面に取り付けられ、上下方向にロッドを進退させるダンパーと、
前記ダンパーのロッドに一端部が連結され、上下方向に移動可能とされている第1リンク棒と、
前記第1リンク棒の他端部が連結され、前記端部外面に垂直な軸に軸支されて揺動する第1揺動部材と、
上下方向に延在する軸に軸支されて揺動する第2揺動部材と、
一端部が前記第1揺動部材に連結され、他端部が前記第2揺動部材に連結され、左右方向に移動可能とされている第2リンク棒と、
一端部が前記第2揺動部材に連結され、他端部が他方の車両に連結され、前後方向に移動可能とされている第3リンク棒と、
を備えるようにした。
上記構成によれば、走行中の車両に生じるヨーイングによる変位や振動はリンク機構(第1リンク棒、第1揺動部材、第2リンク棒、第2揺動部材、第3リンク棒)を介してダンパーに伝達され、ダンパーによって吸収されるので、この鉄道車両用車体間ダンパー装置によってヨーイングを抑制することができる。
【0007】
また、上記構成によれば、車両の側面寄りに設置されていた従来技術の車体間ダンパーに代えて、車体間ダンパーよりも細い第3リンク棒が車両間に架け渡すように配設されているので、車両連結部における第3リンク棒よりも外側にスペースを設けることが可能になり、そのスペースにホロやカバーを設置することが可能になる。
また、一方の車両と他方の車両を切り離す場合、例えば、第3リンク棒の他端部を他方の車両から外せばよく、重量物であるダンパーの取り外しを行わずに車両の切り離し作業を行うことができる。
つまり、この鉄道車両用車体間ダンパー装置であれば、車両連結部における第3リンク棒よりも外側のスペースにホロやカバーを設置することができ、風切り音の低減を図ることができる。また、車両の切り離し作業を容易に行うことができる。
【0008】
また、望ましくは、
前記第3リンク棒は、前記ダンパーよりも前記車両の側面寄りの位置であって、前記側面よりも内側に配設されているようにする。
鉄道車両用車体間ダンパー装置の第3リンク棒が、ダンパーよりも車両の側面寄りの位置に配設されていれば、より好適にヨーイングを抑制することができる。
【0009】
例えば、複数の車両が連結されている列車がカーブを走行する際、カーブ内側となる車両連結部では、一方の車両と他方の車両の側面同士が近接するように、車両間の距離が縮まり、カーブ外側となる車両連結部では、一方の車両と他方の車両の側面同士が離間するように、車両間の距離が広がるようになる。
つまり、車両の側面寄りである程、車体間の変位が大きいので、車両の側面寄りの位置に第3リンク棒が配設されていれば、その第3リンク棒が前後に移動する変位や振動がリンク機構を介してダンパーに伝達されて吸収されるので、走行中の車両に生じるヨーイングを好適に抑制することができる。
【0010】
また、鉄道車両用車体間ダンパー装置の第3リンク棒が、車両側面よりも内側に配設されていれば、車両連結部における第3リンク棒よりも外側に好適にスペースを設けることができるので、そのスペースにホロやカバーを設置することが可能になる。
【0011】
また、望ましくは、
当該鉄道車両用車体間ダンパー装置は、一方の車両の端部外面と、他方の車両の端部外面とで挟まれる位置に設置されているようにする。
鉄道車両用車体間ダンパー装置の各部が、一方の車両の端部外面と他方の車両の端部外面とで挟まれる配置にあれば、車両連結部に設置するホロやカバーによって鉄道車両用車体間ダンパー装置の全体を覆い隠すようにすることができる。
こうすることで、車両連結部で生じる風切り音をより一層低減することが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、風切り音が生じ難く、車両の切り離し作業の妨げになり難い鉄道車両用車体間ダンパー装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の鉄道車両用車体間ダンパー装置を示す側面図である。
図2】本実施形態の鉄道車両用車体間ダンパー装置を示す上面図である。
図3図1のIII−III線で鉄道車両用車体間ダンパー装置を断面視した正面図である。
図4】車両連結部にホロを設置した状態を示す上面図である。
図5】鉄道車両用車体間ダンパー装置の変形例を示す側面図である。
図6】鉄道車両用車体間ダンパー装置の変形例を一部断面視して示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係る鉄道車両用車体間ダンパー装置の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0015】
図1は、本実施形態の鉄道車両用車体間ダンパー装置100を示す側面図、図2はその上面図である。図3は、図1のIII−III線で鉄道車両用車体間ダンパー装置100を断面視した正面図である。
この鉄道車両用車体間ダンパー装置100は、走行中の鉄道車両に発生するヨーイングを抑制するために、鉄道車両間に設置されている。
本実施形態において、鉄道車両の長手方向(線路方向)を前後方向、鉄道車両の幅方向を左右方向、前後方向と左右方向に垂直な方向を上下方向とする。なお、図中では、X軸方向が左右方向、Y軸方向が前後方向、Z軸方向が上下方向にそれぞれ対応している。
【0016】
本実施形態の鉄道車両用車体間ダンパー装置100は、一方の車両T1の端部外面に取り付けられているダンパー10と、ダンパー10のロッド11に一端部21が連結されている第1リンク棒20と、第1リンク棒20の他端部22が連結されている第1揺動部材30と、一端部41が第1揺動部材30に連結されている第2リンク棒40と、第2リンク棒40の他端部42が連結されている第2揺動部材50と、一端部61が第2揺動部材50に連結され、他端部62が他方の車両T2に連結されている第3リンク棒60等を備えて構成されている。
つまり、この鉄道車両用車体間ダンパー装置100は、第1リンク棒20と第1揺動部材30と第2リンク棒40と第2揺動部材50と第3リンク棒60とが連結されたリンク機構と、このリンク機構と連結されたダンパー10を備えて構成されている。
【0017】
また、一方の車両T1と他方の車両T2は連結通路Rで繋がれており、鉄道車両用車体間ダンパー装置100は、その連結通路Rを挟んだ車両の両側にそれぞれ設置されている。つまり、鉄道車両間には左右一対の鉄道車両用車体間ダンパー装置100が設置されている。図1図3では、片側の鉄道車両用車体間ダンパー装置100を図示している。
なお、この鉄道車両用車体間ダンパー装置100において、第3リンク棒60がダンパー10よりも車両の側面寄りの位置にあるように配設されている。
【0018】
ダンパー10は、図1図3に示すように、車両T1の端部外面に固定されているダンパー支持部1に取り付けられており、上下方向に進退可能なロッド11を有している。
【0019】
第1リンク棒20は、図1図3に示すように、一端部21がダンパー10のロッド11に連結され、他端部22が第1揺動部材30に連結されており、ロッド11とともに上下方向に移動可能に配設されている。
【0020】
第1揺動部材30は、図3に示すように、車両T1に固定されている第1の揺動体支持部3が備えている軸31に軸支されている。
第1の揺動体支持部3の軸31は、前後方向(Y軸方向)に延在し、車両T1の端部外面に対し垂直に設けられており、この軸31に軸支されている第1揺動部材30は、車両T1の端部外面と平行な面(XZ平面)に沿って揺動するようになっている。
【0021】
第2揺動部材50は、図2に示すように、車両T1に固定されている第2の揺動体支持部5が備えている軸51に軸支されている。
第2の揺動体支持部5の軸51は、上下方向(Z軸方向)に延在するように設けられており、この軸51に軸支されている第2揺動部材50は、車両T1の端部外面と垂直な面(XY平面)に沿って揺動するようになっている。
【0022】
第2リンク棒40は、図3に示すように、一端部41が第1揺動部材30に連結され、他端部42が第2揺動部材50に連結されており、左右方向に移動可能に配設されている。
また、第3リンク棒60は、図1図2に示すように、一端部61が第2揺動部材50に連結され、他端部62が他方の車両T2に固定されているリンク支持部6に連結されており、前後方向に移動可能に配設されている。特に、ダンパー10よりも車両の側面寄りの位置にある第3リンク棒60は、車両側面よりも内側に配設されている。
【0023】
次に、本実施形態の鉄道車両用車体間ダンパー装置100の動作について説明する。
【0024】
例えば、複数の車両が連結されている列車がカーブを走行する際、カーブ内側となる車両連結部では、一方の車両T1と他方の車両T2の側面同士が近接するように、車両間の距離が縮まり、カーブ外側となる車両連結部では、一方の車両T1と他方の車両T2の側面同士が離間するように、車両間の距離が広がるようになる。
【0025】
カーブ内側となった車両連結部で、一方の車両T1と他方の車両T2の側面同士が近接するように車両間の距離が縮まると、第3リンク棒60が相対的に一方の車両T1側に近づくように前後方向に移動する。このとき、第2揺動部材50が軸51を中心にして反時計回りに揺動する(図2参照)。
また、この第2揺動部材50の揺動によって、第2リンク棒40が第1揺動部材30に向かって左右方向に移動する。このとき、第1揺動部材30が軸31を中心にして時計回りに揺動する(図3参照)。
そして、この第1揺動部材30の揺動によって、第1リンク棒20が上向きに移動する。この第1リンク棒20の上下方向の移動に伴う変位や振動はロッド11を介してダンパー10に伝達され、その変位や振動はダンパー10によって吸収される。
こうして、走行中の車両に生じるヨーイングによる変位や振動はダンパー10で吸収されるようになっている。
【0026】
一方、カーブ外側となった車両連結部で、一方の車両T1と他方の車両T2の側面同士が離間するように車両間の距離が広がると、第3リンク棒60が相対的に一方の車両T1側から離れるように前後方向に移動する。このとき、第2揺動部材50が軸51を中心にして時計回りに揺動する(図2参照)。
また、この第2揺動部材50の揺動によって、第2リンク棒40が第1揺動部材30を第2揺動部材50側に引き寄せるように左右方向に移動する。このとき、第1揺動部材30が軸31を中心にして反時計回りに揺動する(図3参照)。
そして、この第1揺動部材30の揺動によって、第1リンク棒20が下向きに移動する。この第1リンク棒20の上下方向の移動に伴う変位や振動はロッド11を介してダンパー10に伝達され、その変位や振動はダンパー10によって吸収される。
こうして、走行中の車両に生じるヨーイングによる変位や振動はダンパー10で吸収されるようになっている。
【0027】
このように、走行中の車両に生じるヨーイングによる変位や振動はリンク機構(第1リンク棒20、第1揺動部材30、第2リンク棒40、第2揺動部材50、第3リンク棒60)を介してダンパー10に伝達され、ダンパー10によって吸収されるので、この鉄道車両用車体間ダンパー装置100によってヨーイングを抑制することができる。
【0028】
そして、この鉄道車両用車体間ダンパー装置100の第3リンク棒60は、図2に示すように、車両側面よりも内側に配設されているので、車両連結部における第3リンク棒60よりも外側に僅かながらスペースを設けることができる。
一方、従来技術のように、車両の側面寄りに車体間ダンパーが設置されている場合、車体間ダンパーは第3リンク棒60よりも太い部材であるため、その車体間ダンパーよりも外側にはスペースを設けることができなかった。
つまり、この鉄道車両用車体間ダンパー装置100であれば、車両連結部における第3リンク棒60よりも外側にスペースを設けることができるので、例えば、図4に示すように、そのスペースにホロHを設置することが可能になる。
車両連結部にホロHを設置して、鉄道車両用車体間ダンパー装置100を覆い隠すようにすれば、車両連結部で生じる風切り音を低減することができる。
【0029】
また、一方の車両T1と他方の車両T2を切り離す場合、例えば、第3リンク棒60の他端部62をリンク支持部6から外せばよく、重量物であるダンパー10の取り外しを行わずに車両の切り離し作業を行うことができる。
【0030】
以上のように、本実施形態の鉄道車両用車体間ダンパー装置100は、走行中の車両に生じるヨーイングを抑制することができる。
さらに、この鉄道車両用車体間ダンパー装置100であれば、車両連結部における第3リンク棒60よりも外側のスペースにホロHを設置することができ、風切り音の低減を図ることができ。また、車両の切り離し作業を容易に行うことができる。つまり、この鉄道車両用車体間ダンパー装置100であれば、ホロHの設置や、車両の切り離し作業の妨げになり難い。
【0031】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図5に示すように、鉄道車両用車体間ダンパー装置100の各部が、一方の車両T1の端部外面と、他方の車両T2の端部外面とで挟まれる位置に設置されているようにすれば、車両連結部に設置したホロHによって鉄道車両用車体間ダンパー装置100の全体を覆い隠すようにすることができるので、車両連結部で生じる風切り音をより一層低減することが可能になる。
【0032】
また、鉄道車両用車体間ダンパー装置100のダンパー10は、ロッド11を上下方向に進退させる向きに取り付けられていることに限らず、例えば、図6に示すように、ロッド11をXZ平面内で斜め方向に進退させる向きにダンパー10が取り付けられていてもよい。
図6に示すような、鉄道車両用車体間ダンパー装置100であっても、ダンパー10がロッド11を斜め方向に進退させる成分のうち、Z軸方向(上下方向)の成分を第1揺動部材30の揺動に変換することができるので、第1揺動部材30の揺動によって第1リンク棒20を進退させ、その第1リンク棒20の移動に伴う変位や振動をダンパー10によって吸収することができ、走行中の車両に生じるヨーイングを抑制することができる。
つまり、本発明でいう「上下方向にロッド11を進退させるダンパー10」は、ロッド11の進退成分にZ軸方向(上下方向)の移動成分が含まれているダンパー10を含むものである。例えば、ダンパー10の設置箇所に何らかの部材や突起があるために、ダンパー10を垂直向きに設置できない場合には、ダンパー10を斜め向きに設置すればよい。
【0033】
なお、以上の実施の形態においては、鉄道車両間に左右一対の鉄道車両用車体間ダンパー装置100が設置されているとしたが、一対の鉄道車両用車体間ダンパー装置100は、連結通路Rを挟んで左右対称に設置されていても、連結通路Rを挟んで点対称に設置されていてもよい。
一対の鉄道車両用車体間ダンパー装置100が、連結通路Rを挟んで左右対称に設置されている場合、それぞれのダンパー10は同じ車両に取り付けられている。また、一対の鉄道車両用車体間ダンパー装置100が、連結通路Rを挟んで点対称に設置されている場合、それぞれのダンパー10は異なる車両に取り付けられている。
【0034】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0035】
1 ダンパー支持部
3 第1の揺動体支持部
5 第2の揺動体支持部
6 リンク支持部
10 ダンパー
11 ロッド
20 第1リンク棒
21 一端部
22 他端部
30 第1揺動部材
31 軸
40 第2リンク棒
41 一端部
42 他端部
50 第2揺動部材
51 軸
60 第3リンク棒
61 一端部
62 他端部
100 鉄道車両用車体間ダンパー装置
T1 一方の車両
T2 他方の車両
H ホロ
R 連結通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6