特許第6654512号(P6654512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6654512
(24)【登録日】2020年2月3日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】ビーコン信号送信機能付き照明装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20200217BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20200217BHJP
   F21K 9/272 20160101ALI20200217BHJP
   F21K 9/275 20160101ALI20200217BHJP
   F21V 29/77 20150101ALI20200217BHJP
   H05B 47/00 20200101ALI20200217BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20200217BHJP
   H04W 8/22 20090101ALI20200217BHJP
   H04W 8/00 20090101ALI20200217BHJP
【FI】
   H04M11/00 302
   F21V33/00 400
   F21K9/272
   F21K9/275 100
   F21V29/77
   H05B37/02 B
   H05B37/02 M
   H04M3/42 U
   H04W8/22
   H04W8/00 110
【請求項の数】20
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2016-113533(P2016-113533)
(22)【出願日】2016年6月7日
(65)【公開番号】特開2017-220787(P2017-220787A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508136205
【氏名又は名称】浜井電球工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 遼
(72)【発明者】
【氏名】小原 剛
(72)【発明者】
【氏名】森 健広
(72)【発明者】
【氏名】石田 洋平
(72)【発明者】
【氏名】川合 潤
【審査官】 西巻 正臣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−258051(JP,A)
【文献】 特開2012−018105(JP,A)
【文献】 特開2012−048909(JP,A)
【文献】 特開2010−192242(JP,A)
【文献】 特開2004−272506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K9/00−9/90
F21S2/00−45/70
F21V23/00−37/00
99/00
G01S1/00−1/68
5/00−5/14
19/00−19/55
H04B7/24−7/26
H04M3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
H04W4/00−99/00
H05B37/00−39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を外部に照射する照明ユニットと、ビーコン信号を外部に送信するビーコンユニットと、を備え、
前記照明ユニット及び前記ビーコンユニットは、少なくとも一部に透光性をもった部分が形成された細長い筒状筐体に収容されており、
前記ビーコンユニットは、
外部に伝えるべき伝達情報を記憶した情報記憶部と、
外部の端末装置との間で無線通信を行う無線通信部と、
前記伝達情報をビーコン信号として外部に送信するよう前記無線通信部に対して指示を与えるビーコン信号送信指示部と、
前記無線通信部を介して外部の設定用端末装置と交信し、この設定用端末装置から与えられる自己宛の設定変更指示に基づいて、前記情報記憶部に記憶されている伝達情報を書き換える設定変更を行う設定変更部と、
照明光とは異なる色をもった報知光を外部に照射する報知用発光素子と、
前記設定変更部が前記設定変更の作業中であるときに、その旨を前記報知用発光素子によって外部に報知する動作状態報知部と、
を有し、
前記照明ユニットは、前記筒状筐体の前記透光性をもった部分を通して照明光を外部に照射する機能を有し、前記報知光の発光中は、前記報知用発光素子の近傍領域の照明光の強度を他の領域の照明光の強度に比べて低下させる制御を行う
ことを特徴とするビーコン信号送信機能付き照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載のビーコン信号送信機能付き照明装置において、
自己宛の設定変更指示の受け入れが可能になった時点から設定変更が完了した時点までを設定変更作業期間、それ以外の期間を通常動作期間と定義し、
動作状態報知部が、前記設定変更作業期間と前記通常動作期間とを区別するための報知を行うことを特徴とするビーコン信号送信機能付き照明装置。
【請求項3】
請求項2に記載のビーコン信号送信機能付き照明装置において、
動作状態報知部が、照明ユニットが照射する照明光とは異なる色をもった報知光を発する報知用発光素子を有し、前記報知用発光素子の発光/非発光状態、発光周期、発光強度、もしくは発光色を、設定変更作業期間と通常動作期間とで変えることにより動作状態の報知を行うことを特徴とするビーコン信号送信機能付き照明装置。
【請求項4】
請求項1に記載のビーコン信号送信機能付き照明装置において、
設定用端末装置からのアクセスに応じて待機状態になっている期間を設定用待機期間、自己宛の設定変更指示の受け入れが可能になった時点から設定変更が完了した時点までを設定変更作業期間、それ以外の期間を通常動作期間と定義し、
動作状態報知部が、前記設定用待機期間と前記設定変更作業期間と前記通常動作期間とを相互に区別するための報知を行うことを特徴とするビーコン信号送信機能付き照明装置。
【請求項5】
請求項4に記載のビーコン信号送信機能付き照明装置において、
動作状態報知部が、照明ユニットが照射する照明光とは異なる色をもった報知光を発する報知用発光素子を有し、前記報知用発光素子の発光/非発光状態、発光周期、発光強度、もしくは発光色を、設定用待機期間と設定変更作業期間と通常動作期間とで変えることにより動作状態の報知を行うことを特徴とするビーコン信号送信機能付き照明装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のビーコン信号送信機能付き照明装置において、
照明ユニットが、筒状筐体を通して照明光を外部に照射する複数の照明用LEDを有し、前記複数の照明用LEDは筒状筐体の長手方向軸に沿って配置されており、
動作状態報知部の一部を構成する報知用発光素子が、報知光を外部に照射する報知用LEDによって構成されており、
照明ユニットが、前記報知用LEDの発光中は、前記複数の照明用LEDのうち前記報知用LEDの近傍に位置する特定の照明用LEDの発光強度を低下させる制御を行うことを特徴とするビーコン信号送信機能付き照明装置。
【請求項7】
請求項のいずれかに記載のビーコン信号送信機能付き照明装置において、
筒状筐体が、放熱に良好な熱伝導性をもった材料によって構成されるヒートシンク部と、照明に良好な透光性をもった材料によって構成される照明用カバー部と、を有しており、
前記ヒートシンク部は、前記筒状筐体の長手方向軸に沿って伸びる殻状構造体であり、外側面には多数の溝が形成されており、
前記照明用カバー部は、前記長手方向軸に沿って伸びる殻状構造体であり、
前記ヒートシンク部の前記長手方向軸に沿って伸びる縁部と前記照明用カバー部の前記長手方向軸に沿って伸びる縁部とを相互に接合することにより前記筒状筐体が構成されており、
前記筒状筐体の両端部が、それぞれ口金部によって封止されていることを特徴とするビーコン信号送信機能付き照明装置。
【請求項8】
請求項に記載のビーコン信号送信機能付き照明装置において、
筒状筐体をその長手方向軸に直交する平面で切断した場合、ヒートシンク部の切断面および照明用カバー部の切断面はいずれも半円状をなし、ヒートシンク部および照明用カバー部を接合することにより得られる筒状筐体が円筒状をなすことを特徴とするビーコン信号送信機能付き照明装置。
【請求項9】
請求項のいずれかに記載のビーコン信号送信機能付き照明装置において、
筒状筐体の第1の端部には第1の口金部が接合され、第2の端部には第2の口金部が接合されており、
前記第1の口金部は、直管式照明管用の照明器具に備わっている第1のソケットに装着可能な構造を有し、前記第1のソケットに装着することにより、前記筒状筐体の第1の端部を前記照明器具に固定する機能を有し、
前記第2の口金部は、前記照明器具に備わっている第2のソケットに装着可能な構造を有し、前記第2のソケットに装着することにより、前記筒状筐体の第2の端部を前記照明器具に固定する機能を有し、
照明ユニットおよびビーコンユニットは、前記第1の口金部および前記第2の口金部の一方もしくは双方を介して前記照明器具から供給される外部電力によって動作することを特徴とするビーコン信号送信機能付き照明装置。
【請求項10】
請求項に記載のビーコン信号送信機能付き照明装置において、
照明ユニットおよびビーコンユニットに対しては、第1の口金部のみを介して電力供給がなされ、
前記第1の口金部もしくはその近傍に、外部からの電力供給を受けるべき口金部であることを示す給電端表示を設けたことを特徴とするビーコン信号送信機能付き照明装置。
【請求項11】
請求項〜1のいずれかに記載のビーコン信号送信機能付き照明装置において、
ビーコンユニットが、ビーコン用基板と、このビーコン用基板上に実装された電子回路を含むビーコンモジュールと、を有し、
前記ビーコン用基板が、筒状筐体の一方の端部に、筒状筐体の長手方向軸に対して傾斜するように配置されていることを特徴とするビーコン信号送信機能付き照明装置。
【請求項12】
請求項1〜1のいずれかに記載のビーコン信号送信機能付き照明装置において、
ビーコンユニットの情報記憶部に、当該ビーコンユニットを特定するために付与されたビーコンIDが伝達情報として記憶されており、
ビーコン信号送信指示部が、前記ビーコンIDをビーコン信号として外部に送信するよう無線通信部に対して指示を与え、
設定変更部が、設定用端末装置からの設定変更指示に基づいて、前記ビーコンIDを書き換えることを特徴とするビーコン信号送信機能付き照明装置。
【請求項13】
請求項1〜1のいずれかに記載のビーコン信号送信機能付き照明装置において、
情報記憶部に、伝達情報とともに、ビーコン信号送信時期もしくはビーコン信号送信強度またはその双方を示すビーコン信号送信条件が記憶されており、
ビーコン信号送信指示部が、前記ビーコン信号送信条件に基づいてビーコン信号の送信を行うよう無線通信部に対して指示を与え、
設定変更部が、設定用端末装置からの設定変更指示に基づいて、前記ビーコン信号送信条件を書き換えることを特徴とするビーコン信号送信機能付き照明装置。
【請求項14】
請求項1〜1のいずれかに記載のビーコン信号送信機能付き照明装置において、
ビーコンユニットが、何らかの検出値を得るためのセンサ部を更に有し、
情報記憶部には、伝達情報とともに検出値送信条件が記憶されており、
ビーコン信号送信指示部が、情報記憶部に記憶されている伝達情報の送信とともに、前記センサ部が得た検出値を前記検出値送信条件に基づいてビーコン信号として外部に送信するよう無線通信部に対して指示を与え、
設定変更部が、設定用端末装置からの設定変更指示に基づいて、前記検出値送信条件を書き換えることを特徴とするビーコン信号送信機能付き照明装置。
【請求項15】
請求項1〜1のいずれかに記載のビーコン信号送信機能付き照明装置を複数台と、これら複数台の照明装置の無線通信部と交信して設定変更指示を与える設定用端末装置と、を備えたビーコン信号送信システム。
【請求項16】
照明光を外部に照射する照明ユニット及びビーコン信号を外部に送信するビーコンユニットを備えるビーコン信号送信機能付き照明装置を複数台と、これら複数台の照明装置の無線通信部と交信して設定変更指示を与える設定用端末装置と、を備えたビーコン信号送信システムであって、
前記ビーコンユニットは、
外部に伝えるべき伝達情報を記憶した情報記憶部と、
外部の端末装置との間で無線通信を行う無線通信部と、
前記伝達情報をビーコン信号として外部に送信するよう前記無線通信部に対して指示を与えるビーコン信号送信指示部と、
前記無線通信部を介して外部の設定用端末装置と交信し、この設定用端末装置から与えられる自己宛の設定変更指示に基づいて、前記情報記憶部に記憶されている伝達情報を書き換える設定変更を行う設定変更部と、
前記設定変更部が、自己宛の設定変更指示の受け入れが可能になった時点から設定変更が完了した時点までの設定変更作業期間と、それ以外の通常動作期間とを区別するための報知を行う動作状態報知部と、
を有し、
前記設定用端末装置
自己と無線通信が可能な所定の近隣範囲に存在する近隣装置を、当該近隣装置の発する無線信号に基づいて探索する近隣装置探索部と、
前記近隣装置探索部によって探索された近隣装置の全部もしくは一部を設定対象候補として探索リストに掲載し、これを表示する探索リスト表示部と、
作業者の操作に基づいて、前記探索リストに掲載されている設定対象候補の中の1台を設定対象装置として選択し、前記設定対象装置宛に選択要求を与える装置選択部と、
前記設定対象装置から、設定変更指示の受け入れが可能になったことを示す設定変更可能通知が届いたら、前記設定対象装置宛に設定変更指示を与える設定変更指示部と、
前記設定対象装置から、設定変更が完了したことを示す設定変更完了通知が届いたら、これを表示する完了表示部と、
有し
前記ビーコン信号送信機能付き照明装置の設定変更部は、
無線通信部を介して自己宛の選択要求を受信したときに、当該選択要求に応じて設定変更可能通知を送信するよう無線通信部に対して指示を与え、
無線通信部を介して自己宛の設定変更指示を受信したときに、当該設定変更指示に応じて設定変更を行い、設定変更が完了したときに、設定変更完了通知を送信するよう無線通信部に対して指示を与え、
前記ビーコン信号送信機能付き照明装置の動作状態報知部は、前記設定変更可能通知の送信時点から前記設定変更完了通知の送信時点まで、もしくは、前記設定変更可能通知の送信時点から所定のタイムアウト設定時間が経過した時点まで、を設定変更作業期間として、動作状態の報知を行うことを特徴とするビーコン信号送信システム。
【請求項17】
請求項16に記載のビーコン信号送信システムにおいて、
動作状態報知部が、照明ユニットが照射する照明光とは異なる色をもった報知光を発する報知用発光素子を有し、前記報知用発光素子の発光/非発光状態、発光周期、発光強度、もしくは発光色を、設定変更作業期間と通常動作期間とで変えることにより動作状態の報知を行うことを特徴とするビーコン信号送信システム。
【請求項18】
照明光を外部に照射する照明ユニット及びビーコン信号を外部に送信するビーコンユニットを備えるビーコン信号送信機能付き照明装置を複数台と、これら複数台の照明装置の無線通信部と交信して設定変更指示を与える設定用端末装置と、を備えたビーコン信号送信システムであって、
前記ビーコンユニットは、
外部に伝えるべき伝達情報を記憶した情報記憶部と、
外部の端末装置との間で無線通信を行う無線通信部と、
前記伝達情報をビーコン信号として外部に送信するよう前記無線通信部に対して指示を与えるビーコン信号送信指示部と、
前記無線通信部を介して外部の設定用端末装置と交信し、この設定用端末装置から与えられる自己宛の設定変更指示に基づいて、前記情報記憶部に記憶されている伝達情報を書き換える設定変更を行う設定変更部と、
前記設定変更部が、設定用端末装置からのアクセスに応じて待機状態になっている期間を設定用待機期間と、自己宛の設定変更指示の受け入れが可能になった時点から設定変更が完了した時点までの設定変更作業期間と、それ以外の通常動作期間とを相互に区別するための報知を行う動作状態報知部と、
を有し、
前記設定用端末装置
自己と無線通信が可能な所定の近隣範囲に存在する装置に対して探索信号を送信し、当該探索信号に対して応答信号を返信してきた装置を近隣装置として認識する近隣装置探索部と、
前記近隣装置探索部によって認識された近隣装置の全部もしくは一部を設定対象候補として探索リストに掲載し、これを表示する探索リスト表示部と、
作業者の操作に基づいて、前記探索リストに掲載されている設定対象候補の中の1台を設定対象装置として選択し、前記設定対象装置宛に選択要求を与える装置選択部と、
前記設定対象装置から、設定変更指示の受け入れが可能になったことを示す設定変更可能通知が届いたら、前記設定対象装置宛に設定変更指示を与える設定変更指示部と、
前記設定対象装置から、設定変更が完了したことを示す設定変更完了通知が届いたら、これを表示する完了表示部と、
有し
前記ビーコン信号送信機能付き照明装置の設定変更部は、
無線通信部を介して探索信号を受信したときに、当該探索信号に対して応答信号を返信するよう無線通信部に対して指示を与え、
無線通信部を介して自己宛の選択要求を受信したときに、当該選択要求に応じて設定変更可能通知を送信するよう無線通信部に対して指示を与え、
無線通信部を介して自己宛の設定変更指示を受信したときに、当該設定変更指示に応じて設定変更を行い、設定変更が完了したときに、設定変更完了通知を送信するよう無線通信部に対して指示を与え、
前記ビーコン信号送信機能付き照明装置の動作状態報知部は、前記応答信号の返信時点から自己宛もしくは他装置宛の選択要求を受信した時点まで、もしくは、前記応答信号の返信時点から所定のタイムアウト設定時間が経過した時点まで、を設定用待機期間とし、前記設定変更可能通知の送信時点から前記設定変更完了通知の送信時点まで、もしくは、前記設定変更可能通知の送信時点から所定のタイムアウト設定時間が経過した時点まで、を設定変更作業期間として、動作状態の報知を行うことを特徴とするビーコン信号送信システム。
【請求項19】
請求項18に記載のビーコン信号送信システムにおいて、
動作状態報知部が、照明ユニットが照射する照明光とは異なる色をもった報知光を発する報知用発光素子を有し、前記報知用発光素子の発光/非発光状態、発光周期、発光強度、もしくは発光色を、設定用待機期間と設定変更作業期間と通常動作期間とで変えることにより動作状態の報知を行うことを特徴とするビーコン信号送信システム。
【請求項20】
請求項16〜19のいずれかに記載のビーコン信号送信システムにおいて、
個々のビーコン信号送信機能付き照明装置のビーコンユニットの無線通信部には、当該無線通信部を特定するための第1のIDが格納されており、
個々のビーコン信号送信機能付き照明装置のビーコンユニットの情報記憶部には、当該ビーコンユニットを特定するための第2のIDと、当該ビーコンユニットの種別を示す第3のIDと、が格納されており、
個々のビーコン信号送信機能付き照明装置のビーコンユニットのビーコン信号送信指示部もしくは設定変更部は、前記第1のID、前記第2のID、前記第3のIDを外部に送信するよう無線通信部に対して指示を与える機能を有し、
設定用端末装置の探索リスト表示部が、近隣装置探索部によって探索された近隣装置のうち、前記第3のIDが所定の種別を示している装置のみを抽出し、抽出された装置のみを設定可能装置として探索リストに掲載することを特徴とするビーコン信号送信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビーコン信号送信機能付き照明装置およびこれを用いたビーコン信号送信システムに関し、特に、ビーコン信号に関する設定変更を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
移動中の端末装置との間で無線により情報の送受を行うビーコン装置は、様々な分野に利用されている。特に、近年は、スマートフォンに代表される携帯型情報端末装置が普及してきており、Bluetooth(登録商標)などの規格に応じた近距離無線通信を利用してスマートフォン等の端末装置との間で情報の送受を行うビーコン装置が普及している。
【0003】
また、何らかの物品にビーコン信号送信機を内蔵させ、当該物品に関連した情報を送信するビーコン信号送信システムも提案されている。たとえば、下記の特許文献1には、傾斜センサが組み込まれたビーコン信号送信機を商品に取り付け、購買者が当該商品を手にとったことが傾斜センサによって検知されたときに、当該商品に関する情報をビーコン信号として購買者のスマートフォンに送信するシステムが開示されている。
【0004】
一方、特許文献2には、端末装置からのビーコン信号を受信することができる無線通信モジュールを照明器具に組み込み、この照明器具によって収集した個々の端末装置からのビーコン信号をネットワークを介して管理装置に伝送して管理するシステムが開示されている。端末装置からのビーコン信号に、当該端末装置のID情報を含ませておけば、管理装置には、個々の端末装置の現在位置の情報が集まるので、各端末装置についての位置管理を行うことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−136044号公報
【特許文献2】特開2015−133311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前掲の特許文献1に開示されたシステムのように、ビーコン装置は任意の物品に取り付けて利用することも可能であるが、そのような利用形態では、電池からの電力供給が必要になるため、電池交換の手間と費用がかかる。したがって、一般的な用途の場合、商用交流電源から電力供給を受けることができるように、特定の場所に設置する据え置き型のビーコン装置を利用するのが好ましい。
【0007】
このような観点から、前掲の特許文献2に開示されたシステムのように、照明器具に無線通信モジュールを組み込んでビーコン装置を兼務させることは、非常に合理的である。照明器具を利用するようにすれば、ビーコン装置の設置場所の選定作業や、ビーコン装置の設置作業の手間を省くことができる。また、一般的な照明器具は、廊下や室内の天井部分に設置されているため、照明器具にビーコン装置を組み込めば、電波の送受信環境を良好に維持することが可能になる。
【0008】
ところが、何らかの伝達情報をビーコン信号として送信するビーコン信号送信装置では、場合によって伝達情報の内容を変更する必要が生じることがある。一般的なビーコン信号送信装置は、外部に伝えるべき伝達情報を情報記憶部に記憶しており、この伝達情報をビーコン信号として外部に電波として送信することにより、移動中の端末装置に対して当該伝達情報を伝達することになる。このため、外部に伝えるべき伝達情報を変更する場合、情報記憶部に記憶されている伝達情報を書き換える設定変更が必要になるが、そのような設定変更には、比較的煩雑な作業が必要になり、作業者に大きな負担を課することになる。
【0009】
たとえば、ビーコン信号送信装置を、LANなどのネットワークに接続すれば、当該ネットワークを経由して、上記伝達情報を書き換える設定変更作業を行うことができる。しかしながら、ビーコン信号送信装置を、天井などに据え付けられた既存の照明器具を利用して設置した場合、せっかく設置作業の負担を軽減することができたのであるから、LANに接続するための余計な作業負担を課すことは好ましくない。したがって、作業負担を軽減する上では、専用の設定用端末装置を用いた無線通信により設定変更を行うのが好ましい。しかしながら、既存の照明器具を利用してビーコン信号送信装置を設置した場合、天井などに並んで配置されている複数の照明器具のうち、どの照明器具に組み込まれた装置が設定変更の対象となっているかを認識しにくいため、設定作業に誤りが生じやすいという問題がある。
【0010】
そこで本発明は、設置作業の手間を軽減することができ、しかも、専用の設定用端末装置を用いた無線通信により、確実な設定変更作業を行うことが可能なビーコン信号送信機能をもった装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1) 本発明の第1の態様は、照明光を外部に照射する照明ユニットと、ビーコン信号を外部に送信するビーコンユニットと、を備えたビーコン信号送信機能付き照明装置において、
照明ユニット及びビーコンユニットを、少なくとも一部に透光性をもった部分が形成された細長い筒状筐体に収容し、
ビーコンユニットに、
外部に伝えるべき伝達情報を記憶した情報記憶部と、
外部の端末装置との間で無線通信を行う無線通信部と、
伝達情報をビーコン信号として外部に送信するよう無線通信部に対して指示を与えるビーコン信号送信指示部と、
無線通信部を介して外部の設定用端末装置と交信し、この設定用端末装置から与えられる自己宛の設定変更指示に基づいて、情報記憶部に記憶されている伝達情報を書き換える設定変更を行う設定変更部と、
照明光とは異なる色をもった報知光を外部に照射する報知用発光素子と、
設定変更部が設定変更の作業中であるときに、その旨を報知用発光素子によって外部に報知する動作状態報知部と、
を設け
照明ユニットが、筒状筐体の透光性をもった部分を通して照明光を外部に照射する機能を有し、報知光の発光中は、報知用発光素子の近傍領域の照明光の強度を他の領域の照明光の強度に比べて低下させる制御を行う
ようにしたものである。
【0012】
(2) 本発明の第2の態様は、上述した第1の態様に係るビーコン信号送信機能付き照明装置において、
自己宛の設定変更指示の受け入れが可能になった時点から設定変更が完了した時点までを設定変更作業期間、それ以外の期間を通常動作期間と定義し、
動作状態報知部が、設定変更作業期間と通常動作期間とを区別するための報知を行うようにしたものである。
【0013】
(3) 本発明の第3の態様は、上述した第2の態様に係るビーコン信号送信機能付き照明装置において、
動作状態報知部に、照明ユニットが照射する照明光とは異なる色をもった報知光を発する報知用発光素子を設け、報知用発光素子の発光/非発光状態、発光周期、発光強度、もしくは発光色を、設定変更作業期間と通常動作期間とで変えることにより動作状態の報知を行うようにしたものである。
【0014】
(4) 本発明の第4の態様は、上述した第1の態様に係るビーコン信号送信機能付き照明装置において、
設定用端末装置からのアクセスに応じて待機状態になっている期間を設定用待機期間、自己宛の設定変更指示の受け入れが可能になった時点から設定変更が完了した時点までを設定変更作業期間、それ以外の期間を通常動作期間と定義し、
動作状態報知部が、設定用待機期間と設定変更作業期間と通常動作期間とを相互に区別するための報知を行うようにしたものである。
【0015】
(5) 本発明の第5の態様は、上述した第4の態様に係るビーコン信号送信機能付き照明装置において、
動作状態報知部に、照明ユニットが照射する照明光とは異なる色をもった報知光を発する報知用発光素子を設け、報知用発光素子の発光/非発光状態、発光周期、発光強度、もしくは発光色を、設定用待機期間と設定変更作業期間と通常動作期間とで変えることにより動作状態の報知を行うようにしたものである。
【0018】
(6) 本発明の第の態様は、上述した第1〜第5の態様に係るビーコン信号送信機能付き照明装置において、
照明ユニットが、筒状筐体を通して照明光を外部に照射する複数の照明用LEDを有し、これら複数の照明用LEDは筒状筐体の長手方向軸に沿って配置されており、
動作状態報知部の一部を構成する報知用発光素子が、報知光を外部に照射する報知用LEDによって構成されており、
照明ユニットが、報知用LEDの発光中は、複数の照明用LEDのうち報知用LEDの近傍に位置する特定の照明用LEDの発光強度を低下させる制御を行うようにしたものである。
【0019】
(7) 本発明の第の態様は、上述した第〜第の態様に係るビーコン信号送信機能付き照明装置において、
筒状筐体が、放熱に良好な熱伝導性をもった材料によって構成されるヒートシンク部と、照明に良好な透光性をもった材料によって構成される照明用カバー部と、を有しており、
ヒートシンク部は、筒状筐体の長手方向軸に沿って伸びる殻状構造体であり、外側面には多数の溝が形成されており、
照明用カバー部は、上記長手方向軸に沿って伸びる殻状構造体であり、
ヒートシンク部の上記長手方向軸に沿って伸びる縁部と照明用カバー部の上記長手方向軸に沿って伸びる縁部とを相互に接合することにより筒状筐体が構成されており、この筒状筐体の両端部が、それぞれ口金部によって封止されているようにしたものである。
【0020】
(8) 本発明の第の態様は、上述した第の態様に係るビーコン信号送信機能付き照明装置において、
筒状筐体をその長手方向軸に直交する平面で切断した場合、ヒートシンク部の切断面および照明用カバー部の切断面はいずれも半円状をなし、ヒートシンク部および照明用カバー部を接合することにより得られる筒状筐体が円筒状をなすようにしたものである。
【0021】
(9) 本発明の第の態様は、上述した第〜第の態様に係るビーコン信号送信機能付き照明装置において、
筒状筐体の第1の端部は第1の口金部によって構成され、第2の端部は第2の口金部によって構成されており、
第1の口金部は、直管式照明管用の照明器具に備わっている第1のソケットに装着可能な構造を有し、第1のソケットに装着することにより、筒状筐体の第1の端部を照明器具に固定する機能を有し、
第2の口金部は、照明器具に備わっている第2のソケットに装着可能な構造を有し、第2のソケットに装着することにより、筒状筐体の第2の端部を照明器具に固定する機能を有し、
照明ユニットおよびビーコンユニットは、第1の口金部および第2の口金部の一方もしくは双方を介して照明器具から供給される外部電力によって動作するようにしたものである。
【0022】
(10) 本発明の第1の態様は、上述した第の態様に係るビーコン信号送信機能付き照明装置において、
照明ユニットおよびビーコンユニットに対しては、第1の口金部のみを介して電力供給がなされ、
筒状筐体の第1の口金部の近傍に、外部からの電力供給を受けるべき口金部であることを示す給電端表示を設けるようにしたものである。
【0023】
(11) 本発明の第1の態様は、上述した第〜第1の態様に係るビーコン信号送信機能付き照明装置において、
ビーコンユニットが、ビーコン用基板と、このビーコン用基板上に実装された電子回路を含むビーコンモジュールと、を有し、
ビーコン用基板が、筒状筐体の一方の端部に、筒状筐体の長手方向軸に対して傾斜するように配置されているようにしたものである。
【0025】
(12) 本発明の第1の態様は、上述した第1〜第1の態様に係るビーコン信号送信機能付き照明装置において、
ビーコンユニットの情報記憶部に、当該ビーコンユニットを特定するために付与されたビーコンIDが伝達情報として記憶されており、
ビーコン信号送信指示部が、ビーコンIDをビーコン信号として外部に送信するよう無線通信部に対して指示を与え、
設定変更部が、設定用端末装置からの設定変更指示に基づいて、ビーコンIDを書き換えることができるようにしたものである。
【0026】
(13) 本発明の第1の態様は、上述した第1〜第1の態様に係るビーコン信号送信機能付き照明装置において、
情報記憶部に、伝達情報とともに、ビーコン信号送信時期もしくはビーコン信号送信強度またはその双方を示すビーコン信号送信条件が記憶されており、
ビーコン信号送信指示部が、ビーコン信号送信条件に基づいてビーコン信号の送信を行うよう無線通信部に対して指示を与え、
設定変更部が、設定用端末装置からの設定変更指示に基づいて、ビーコン信号送信条件を書き換えることができるようにしたものである。
【0027】
(14) 本発明の第1の態様は、上述した第1〜第1の態様に係るビーコン信号送信機能付き照明装置において、
ビーコンユニットが、何らかの検出値を得るためのセンサ部を更に有し、
情報記憶部には、伝達情報とともに検出値送信条件が記憶されており、
ビーコン信号送信指示部が、情報記憶部に記憶されている伝達情報の送信とともに、センサ部が得た検出値を検出値送信条件に基づいてビーコン信号として外部に送信するよう無線通信部に対して指示を与え、
設定変更部が、設定用端末装置からの設定変更指示に基づいて、検出値送信条件を書き換えることができるようにしたものである。
【0028】
(15) 本発明の第1の態様は、上述した第1〜第1の態様に係るビーコン信号送信機能付き照明装置を複数台と、これら複数台の照明装置の無線通信部と交信して設定変更指示を与える設定用端末装置と、によってビーコン信号送信システムを構成したものである。
【0029】
(16) 本発明の第1の態様は、照明光を外部に照射する照明ユニット及びビーコン信号を外部に送信するビーコンユニットを備えるビーコン信号送信機能付き照明装置を複数台と、これら複数台の照明装置の無線通信部と交信して設定変更指示を与える設定用端末装置と、によってビーコン信号送信システムを構成し、
ビーコンユニットには、
外部に伝えるべき伝達情報を記憶した情報記憶部と、
外部の端末装置との間で無線通信を行う無線通信部と、
伝達情報をビーコン信号として外部に送信するよう無線通信部に対して指示を与えるビーコン信号送信指示部と、
無線通信部を介して外部の設定用端末装置と交信し、この設定用端末装置から与えられる自己宛の設定変更指示に基づいて、情報記憶部に記憶されている伝達情報を書き換える設定変更を行う設定変更部と、
設定変更部が、自己宛の設定変更指示の受け入れが可能になった時点から設定変更が完了した時点までの設定変更作業期間と、それ以外の通常動作期間とを区別するための報知を行う動作状態報知部と、
を設け、
設定用端末装置には、
自己と無線通信が可能な所定の近隣範囲に存在する近隣装置を、当該近隣装置の発する無線信号に基づいて探索する近隣装置探索部と、
近隣装置探索部によって探索された近隣装置の全部もしくは一部を設定対象候補として探索リストに掲載し、これを表示する探索リスト表示部と、
作業者の操作に基づいて、探索リストに掲載されている設定対象候補の中の1台を設定対象装置として選択し、設定対象装置宛に選択要求を与える装置選択部と、
設定対象装置から、設定変更指示の受け入れが可能になったことを示す設定変更可能通知が届いたら、設定対象装置宛に設定変更指示を与える設定変更指示部と、
設定対象装置から、設定変更が完了したことを示す設定変更完了通知が届いたら、これを表示する完了表示部と、
を設け、
ビーコン信号送信機能付き照明装置の設定変更部は、
無線通信部を介して自己宛の選択要求を受信したときに、当該選択要求に応じて設定変更可能通知を送信するよう無線通信部に対して指示を与え、
無線通信部を介して自己宛の設定変更指示を受信したときに、当該設定変更指示に応じて設定変更を行い、設定変更が完了したときに、設定変更完了通知を送信するよう無線通信部に対して指示を与え、
ビーコン信号送信機能付き照明装置の動作状態報知部は、設定変更可能通知の送信時点から設定変更完了通知の送信時点まで、もしくは、設定変更可能通知の送信時点から所定のタイムアウト設定時間が経過した時点まで、を設定変更作業期間として、動作状態の報知を行うようにしたものである。
(17) 本発明の第17の態様は、上述した第16の態様に係るビーコン信号送信システムにおいて、
動作状態報知部に、照明ユニットが照射する照明光とは異なる色をもった報知光を発する報知用発光素子を設け、報知用発光素子の発光/非発光状態、発光周期、発光強度、もしくは発光色を、設定変更作業期間と通常動作期間とで変えることにより動作状態の報知を行うようにしたものである。
【0030】
(18) 本発明の第18の態様は、照明光を外部に照射する照明ユニット及びビーコン信号を外部に送信するビーコンユニットを備えるビーコン信号送信機能付き照明装置を複数台と、これら複数台の照明装置の無線通信部と交信して設定変更指示を与える設定用端末装置と、によってビーコン信号送信システムを構成し、
ビーコンユニットには、
外部に伝えるべき伝達情報を記憶した情報記憶部と、
外部の端末装置との間で無線通信を行う無線通信部と、
伝達情報をビーコン信号として外部に送信するよう無線通信部に対して指示を与えるビーコン信号送信指示部と、
無線通信部を介して外部の設定用端末装置と交信し、この設定用端末装置から与えられる自己宛の設定変更指示に基づいて、情報記憶部に記憶されている伝達情報を書き換える設定変更を行う設定変更部と、
設定変更部が、設定用端末装置からのアクセスに応じて待機状態になっている期間を設定用待機期間と、自己宛の設定変更指示の受け入れが可能になった時点から設定変更が完了した時点までの設定変更作業期間と、それ以外の通常動作期間とを相互に区別するための報知を行う動作状態報知部と、
を設け、
設定用端末装置には、
自己と無線通信が可能な所定の近隣範囲に存在する装置に対して探索信号を送信し、当該探索信号に対して応答信号を返信してきた装置を近隣装置として認識する近隣装置探索部と、
近隣装置探索部によって認識された近隣装置の全部もしくは一部を設定対象候補として探索リストに掲載し、これを表示する探索リスト表示部と、
作業者の操作に基づいて、探索リストに掲載されている設定対象候補の中の1台を設定対象装置として選択し、設定対象装置宛に選択要求を与える装置選択部と、
設定対象装置から、設定変更指示の受け入れが可能になったことを示す設定変更可能通知が届いたら、設定対象装置宛に設定変更指示を与える設定変更指示部と、
設定対象装置から、設定変更が完了したことを示す設定変更完了通知が届いたら、これを表示する完了表示部と、
を設け、
ビーコン信号送信機能付き照明装置の設定変更部は、
無線通信部を介して探索信号を受信したときに、当該探索信号に対して応答信号を返信するよう無線通信部に対して指示を与え、
無線通信部を介して自己宛の選択要求を受信したときに、当該選択要求に応じて設定変更可能通知を送信するよう無線通信部に対して指示を与え、
無線通信部を介して自己宛の設定変更指示を受信したときに、当該設定変更指示に応じて設定変更を行い、設定変更が完了したときに、設定変更完了通知を送信するよう無線通信部に対して指示を与え、
ビーコン信号送信機能付き照明装置の動作状態報知部は、応答信号の返信時点から自己宛もしくは他装置宛の選択要求を受信した時点まで、もしくは、応答信号の返信時点から所定のタイムアウト設定時間が経過した時点まで、を設定用待機期間とし、設定変更可能通知の送信時点から設定変更完了通知の送信時点まで、もしくは、設定変更可能通知の送信時点から所定のタイムアウト設定時間が経過した時点まで、を設定変更作業期間として、動作状態の報知を行うようにしたものである。
(19) 本発明の第19の態様は、上述した第18の態様に係るビーコン信号送信システムにおいて、
動作状態報知部に、照明ユニットが照射する照明光とは異なる色をもった報知光を発する報知用発光素子を設け、報知用発光素子の発光/非発光状態、発光周期、発光強度、もしくは発光色を、設定用待機期間と設定変更作業期間と通常動作期間とで変えることにより動作状態の報知を行うようにしたものである。
【0031】
(20) 本発明の第2の態様は、上述した第16〜19の態様に係るビーコン信号送信システムにおいて、
個々のビーコン信号送信機能付き照明装置のビーコンユニットの無線通信部には、当該無線通信部を特定するための第1のIDが格納されており、
個々のビーコン信号送信機能付き照明装置のビーコンユニットの情報記憶部には、当該ビーコンユニットを特定するための第2のIDと、当該ビーコンユニットの種別を示す第3のIDと、が格納されており、
個々のビーコン信号送信機能付き照明装置のビーコンユニットのビーコン信号送信指示部もしくは設定変更部は、第1のID、第2のID、第3のIDを外部に送信するよう無線通信部に対して指示を与える機能を有し、
設定用端末装置の探索リスト表示部が、近隣装置探索部によって探索された近隣装置のうち、第3のIDが所定の種別を示している装置のみを抽出し、抽出された装置のみを設定可能装置として探索リストに掲載するようにしたものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係るビーコン信号送信機能付き照明装置は、照明ユニットとビーコンユニットとを備えており、ビーコン信号送信機能をもった装置であるとともに照明装置としても機能する。このため、天井などに据え付けられた既存の照明器具に装着して利用することができ、設置作業の手間を軽減することができる。また、この装置は、外部の設定用端末装置から与えられる設定変更指示に基づいて、ビーコン信号として外部に送信する伝達情報を書き換える設定変更機能を有し、設定変更の作業中であるときに、その旨を外部に報知する動作状態報知部を有している。したがって、複数の装置の中の特定の1台に対して設定変更の作業を行う場合、作業者は、動作状態報知部からの報知により、設定変更作業中である特定の1台を確認することができ、設定変更対象となる装置を取り違えることなしに、確実な設定変更作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明に係るビーコン信号送信システムの一利用形態を示す図である。
図2】本発明に係るビーコン信号送信機能付き照明装置100の基本構造を示す側断面図である。
図3図2に示すビーコンユニット120の構成およびその機能を示すブロック図である。
図4】本発明に係るビーコン信号送信機能付き照明装置100の具体的な構造を示す斜視図である。
図5図4に示すビーコンユニット120の構成を示すブロック図である。
図6】本発明の変形例に係るビーコンユニット120Aの構成およびその機能を示すブロック図である。
図7】本発明の別な変形例に係るビーコンユニット120Bの構成およびその機能を示すブロック図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係るビーコン信号送信システムの構成およびその動作を示すブロック図である。
図9図8に示すビーコン信号送信システムの設定用端末装置TSの表示画面の例を示す図である。
図10図8に示すビーコン信号送信システムにおける設定変更部124の処理手順を示す流れ図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係るビーコン信号送信システムの構成およびその動作を示すブロック図である。
図12図11に示すビーコン信号送信システムにおける設定変更部124の処理手順を示す流れ図である。
図13】本発明に係るビーコン信号送信システムで利用される3通りのIDを示す表である。
図14図13に示す3通りのIDの具体例を示す表である。
図15】放熱機能をもった筒状筐体130Zを用いた実施形態の右端部分の側面図である。
図16図15に示す筒状筐体130Zを、その長手方向軸に直交する平面で切断した状態を示す断面図である。
図17】片側給電タイプ(図(a) )および両側給電タイプ(図(b) )を採用した場合の給電系統を説明するための模式図である。
図18】ビーコンユニット120の好ましい配置形態を示すための照明装置100Xの左端部分の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
【0035】
<<< §1. 本発明の基本的な実施形態 >>>
<1−1.本発明の利用形態>
はじめに、図1を参照しながら、本発明の利用形態の一例を簡単に説明しておく。図1は、本発明に係るビーコン信号送信システムの一利用形態を示す図である。具体的には、図示のシステムは、特定の施設内において、個々の入館者の位置情報を取得するとともに、取得した位置情報に基づいて、個々の入館者に対してナビゲーションサービスを提供する機能を有している。
【0036】
図に示す端末装置T1〜T4は、個々の入館者が携帯している携帯型端末装置である。実際には、これら携帯型端末装置T1〜T4は、スマートフォンに専用のアプリケーションプログラムを組み込むことによって構成することができる。各端末装置T1〜T4は、館内に設けられた無線基地局910を介してインターネット920に接続することができ、サーバ装置930と情報のやりとりを行うことができる。もちろん、無線基地局910は、WiFi用の基地局でもよいし、電話通信網の基地局でもよい。
【0037】
一般的なスマートフォンは、GPSの機能を備えているため、GPS信号を利用して自己の位置を認識することができるが、位置認識の精度には限界がある。また、館内や地下など、GPS信号が届きにくい場所では、自己の位置を認識することができない場合もある。このような場合、館内の随所にビーコン装置を設置しておき、このビーコン装置からのビーコン信号を受信すれば、自己の位置を正確に認識することができるようになる。たとえば、各ビーコン装置にそれぞれ固有のビーコンIDを付与しておき、ビーコン信号として、当該ビーコンIDを送信するようにすれば、個々の端末装置は、受信したビーコンIDに基づいて、自己の位置(ビーコン装置の位置)を認識できる。図1に示すナビゲーションシステムは、このような方法で、正確な位置認識を可能にしている。
【0038】
このナビゲーションシステムの特徴は、ビーコン装置として、ビーコン信号送信機能付き照明装置100,200,300を用いている点である。ここに示す例では、図1の上段に示すとおり、照明装置100,200,300は、一般的な直管式蛍光灯と同じサイズの照明装置であり、それぞれ照明器具本体100′,200′,300′に装着して用いることができる。照明器具本体100′,200′,300′としては、館内に既存の直管式蛍光灯用の器具をそのまま利用することができる。したがって、照明装置100,200,300を直管式蛍光灯の代わりに装着するだけで、照明装置としての機能とビーコン装置としての機能の両方が得られることになる。
【0039】
通常、照明器具本体100′,200′,300′は、廊下や室内の天井部分に設置されているため、ビーコン信号送信機能付き照明装置100,200,300を装着すれば、館内を移動する入館者の所持する端末装置T1〜T4に対して、極めて良好な環境でビーコン信号の送信が可能になる。図1には、照明装置100から端末装置T1に対してビーコン信号を送信している状態が描かれている。図には、3台の照明装置100,200,300のみが描かれているが、もちろん、実際の館内には、より多数のビーコン信号送信機能付き照明装置が設置されることになる。既存の直管式蛍光灯用の器具を利用すれば、設置場所の選定作業や設置作業の手間を省くことができる。もちろん、電源もそのまま利用できるため、配線作業も不要になる。
【0040】
照明装置100,200,300には、それぞれ固有のビーコンIDが付与されている。ここでは、説明の便宜上、図の上端に示すように、照明装置100,200,300に対して、それぞれ「BID001」,「BID002」,「BID003」というビーコンIDが付与されているものとしよう。各照明装置に付与するビーコンIDは、少なくともこのナビゲーションシステム内ではユニークになるようにする。そうすれば、ビーコンIDによって、各照明装置を特定することが可能になる。サーバ装置930には、個々の照明装置について、その正確な設置位置とビーコンIDとの対応関係が登録されている。したがって、照明装置のビーコンIDを取得できれば、これをサーバ装置930に問い合わせることにより、当該照明装置の正確な位置を認識することができる。
【0041】
各照明装置100,200,300は、それぞれに付与されたビーコンIDをビーコン信号として送信する機能を有している。ここで、ビーコン信号としては、Bluetooth(登録商標)などの規格に応じた近距離無線通信が利用されており、無線通信が可能な所定の近隣範囲に存在する端末装置に対して、ビーコン信号が配信されることになる。
【0042】
たとえば、照明装置100の近傍に端末装置T1が位置している場合、照明装置100から送信されたビーコン信号(ビーコンID「BID001」を示す信号)は、端末装置T1によって受信される。端末装置T1が、受信したビーコンID「BID001」を、無線基地局910経由でサーバ装置930に送信すると、照明装置100の位置情報が返信されてくる。かくして、端末装置T1は、照明装置100の位置を認識することができ、これに基づいて、自己の位置を認識することができる。
【0043】
照明装置100の位置については正確な認識が可能であり、端末装置T1自身の位置については、照明装置100から所定の距離範囲内(ビーコン信号の受信範囲内)として特定することができる。もちろん、自己の位置の認識精度を向上させるために、ビーコン信号の受信強度に基づいて、照明装置100からの距離を推定するようにしてもよい。また、複数の照明装置からのビーコン信号も同時に受信可能な場合は、これらの情報を総合的に分析して、自己の位置をより正確に把握することも可能である。
【0044】
端末装置T1に、館内地図を表示可能なナビゲーションプログラムを用意しておけば、画面上に表示させた地図に、自己の現在位置をプロットして提示することができる。また、必要に応じて、地図上に目的地を入力させるようにすれば、現在位置から目的地までの道のりを案内することも可能である。
【0045】
このナビゲーションシステムでは、各照明装置100,200,300は、自己に付与されたビーコンIDを、外部の端末装置T1〜T4に対してビーコン信号として送信する機能を有していればよいので、ナビゲーションシステムとしての通常動作を行う上では、端末装置から発せられる信号を受信したり、受信した情報をサーバ装置930に伝達したりする機能は必要ない。別言すれば、通常動作を行う上では、各照明装置100,200,300と各端末装置T1〜T4との間の通信は、前者から後者に対して一方的に情報を送信する一方向通信であれば足りる。
【0046】
しかしながら、実用上は、各照明装置100,200,300には、設定変更を行う機能が不可欠である。たとえば、図1に示す例の場合、各照明装置100,200,300には、それぞれ「BID001」,「BID002」,「BID003」というビーコンIDが付与されているが、これらのビーコンIDは、必要に応じて、適宜変更できるようにしておかないと不便である。また、ビーコン信号は、通常、所定の周期で繰り返し送信することになるが、信号の送信時期を、たとえば、50ms周期,100ms周期,500ms周期と、任意の値に設定できるようにしておくのが好ましい。もちろん、用途によっては、毎正時に100ms周期で300回、といった設定が必要になる場合もあろう。更に、ビーコン信号の受信可能範囲を調整するためには、ビーコン信号の送信強度も任意に設定できるようにしておくのが好ましい。
【0047】
このように、照明装置内に設定されている「ビーコン信号に関する種々のパラメータ」について設定変更を行うためには、外部から何らかの方法で設定変更指示を伝達する必要がある。ところが、図1に示す例の場合、各照明装置100,200,300は、ナビゲーションシステムとしての通常動作を行う上では、情報を送信する機能を有していれば足り、いわゆる「スタンドアローン」状態で動作する。このため、LANなどのネットワークへの接続は不要であるが、逆言すれば、ネットワーク経由で設定変更指示を与えることはできない。
【0048】
そこで、本発明では、図1の左下に示されている設定用端末装置TSを用意し、この設定用端末装置TSから各照明装置100,200,300に対して、無線信号として設定変更指示を与えることにより、必要な設定変更作業が可能になるようにしている。なお、設定用端末装置TSによる設定変更作業には、このナビゲーションシステムの運用途中における設定変更作業だけでなく、ナビゲーションシステム導入時の初期設定作業も含まれる。設定用端末装置TSを初期設定作業に利用すれば、各照明装置100,200,300について、工場出荷時にデフォルト設定されている初期値を、任意の設定値に変更することができる。
【0049】
実際には、この設定用端末装置TSも、他の端末装置T1〜T4と同様にスマートフォンに専用のアプリケーションプログラムを組み込むことによって構成することができる。すなわち、端末装置T1〜T4も設定用端末装置TSも、ハードウェアの構成は同じであるが、前者には、ナビゲーション用のアプリケーションプログラムが組み込まれており、後者には、設定変更作業用のアプリケーションプログラムが組み込まれていることになる。
【0050】
設定用端末装置TSと各照明装置100,200,300との間の無線通信には、やはりBluetooth(登録商標)などの規格に応じた近距離無線通信を利用すればよい。各照明装置100,200,300から各端末装置T1〜T4に対するビーコン信号の送信が一方向通信であるのに対して、各照明装置100,200,300と設定用端末装置TSとの間の通信は双方向通信ということになる。設定変更を行う作業者は、設定変更の対象となる照明装置の近傍に設定用端末装置TSをもってゆき、所望の設定変更指示を与える操作を行えばよい。
【0051】
<1−2.ビーコン信号送信機能付き照明装置の基本的な構造>
続いて、図1の上段に示すビーコン信号送信機能付き照明装置100の基本的な構造を説明する。照明装置200,300の構造も全く同様である。
【0052】
図2は、この照明装置100の基本構造を示す側断面図である。図示のとおり、照明装置100は、照明光Lを外部に照射する照明ユニット110と、ビーコン信号Bを外部に送信するビーコンユニット120と、を備えている。この実施例の場合、照明ユニット110およびビーコンユニット120は、いずれも透光性をもった細長い筒状筐体130に収容されており、その左右両端は、端部筐体141,142によって封止されている。照明ユニット110およびビーコンユニット120の具体的な構造については後述する。
【0053】
ここに示す実施例の場合、筒状筐体130および端部筐体141,142の外形は、一般的な直管式蛍光灯の外形規格に準拠しているため、直管式蛍光灯用の照明器具100′に装着して利用することができる。図2では図示が省略されているが、端部筐体141,142には、図1に示す照明器具100′からの電源供給を受けるためのピン状電極が設けられており、このピン状電極から供給される電源によって、照明ユニット110およびビーコンユニット120に対する電力供給が行われる。なお、後述するように、この実施例の場合、照明ユニット110はLEDを用いた照明を行う装置であるため、照明器具100′が従来の蛍光灯用の器具である場合には、電源回路に多少の改変を行う必要がある。
【0054】
一方、ビーコンユニット120の実体は、半導体素子を含む電子モジュールであり、これをその機能面から把握すると、図3のブロック図に示すように、情報記憶部121、ビーコン信号送信指示部122、無線通信部123、設定変更部124、動作状態報知部125という各構成要素の集合体からなる。なお、図3の下方には、ビーコンユニット120の動作説明のため、端末装置等も図示されている。
【0055】
情報記憶部121は、外部に伝えるべき伝達情報とビーコン信号送信条件とを記憶したデータ記憶装置である。§1−1で述べたナビゲーションシステムに利用する例では、外部に伝えるべき伝達情報として、当該ビーコンユニット120(すなわち、照明装置100)を特定するために付与されたビーコンIDが記憶されている。図示の例の場合、照明装置100に付与されたビーコンID「BID001」が、伝達情報として情報記憶部121に記憶されている。
【0056】
一方、伝達情報とともに情報記憶部121に記憶されているビーコン信号送信条件は、ビーコン信号送信時期もしくはビーコン信号送信強度またはその双方を示す情報である。ビーコン信号送信時期としては、たとえば、前述したように、「100msの一定周期で繰り返しビーコン信号を送信する」という条件を設定してもよいし、「毎正時に100ms周期で300回」というように、特定の時刻を含む条件を設定してもよい。また、ビーコン信号送信強度としては、たとえば、「送信出力何mW」という具体的な数値条件を設定してもよいし、「強度8」のような相対的な数値条件を設定してもよい。
【0057】
ビーコン信号送信指示部122は、情報記憶部121に記憶されている伝達情報(この実施例の場合、ビーコンID)を、ビーコン信号送信条件に基づいて、ビーコン信号として外部に送信するよう無線通信部123に対して指示を与える。たとえば、情報記憶部121に記憶されている伝達情報が、「BID001」なるビーコンIDであり、情報記憶部121に記憶されているビーコン信号送信条件が、「100msの一定周期で繰り返しビーコン信号を送信する」というビーコン信号送信時期を示す条件と「強度8」というビーコン信号送信強度を示す条件であった場合、ビーコン信号送信指示部122は、100msの周期で、無線通信部123に対して、「強度8でBID001なるデータを送信せよ」との指示を与えることになる。
【0058】
無線通信部123は、ここに示す実施例の場合、Bluetooth(登録商標)の規格に応じた近距離無線通信を行う通信装置であり、外部の端末装置との間で無線通信を行うことができる。具体的には、無線通信部123は、無線通信が可能な所定の近隣範囲に存在する端末装置T1に対して、ビーコン信号送信指示部122によって指示された送信条件に基づいて、伝達情報(この実施例の場合、ビーコンID「BID001」)をビーコン信号Bとして送信する。また、無線通信部123は、設定用端末装置TSに対しては、ビーコン信号Bを送信するだけでなく、設定変更用情報Cを取り交わす双方向通信を行うことができる。
【0059】
以上述べた情報記憶部121,ビーコン信号送信指示部122,無線通信部123は、この照明装置100が通常動作(すなわち、外部の端末装置に対して、ビーコン信号を送信する動作)を行うために必要な構成要素である。これに対して、設定変更部124および動作状態報知部125は、通常動作を行う上では必要ないが、設定変更動作を行う上で必要となる構成要素である。
【0060】
まず、設定変更部124は、無線通信部123を介して外部の設定用端末装置TSと交信して設定変更用情報Cを取り交わし、設定用端末装置TSから与えられる自己宛の設定変更指示に基づいて、情報記憶部121に記憶されている伝達情報およびビーコン信号送信条件を書き換える設定変更を行う構成要素である。
【0061】
たとえば、設定用端末装置TSから、伝達情報であるビーコンIDを「BID004」に変更する旨の自己宛の設定変更指示が与えられた場合、当該設定変更指示は、無線通信部123を介して設定変更部124に与えられ、設定変更部124により、情報記憶部121に記憶されている伝達情報「BID001」が新たな伝達情報「BID004」に書き換えられることになる。このような設定変更が完了した後、ビーコン信号送信指示部122は、変更後の新たな伝達情報「BID004」をビーコン信号Bとして送信する旨の指示を無線通信部123に与えることになる。
【0062】
もちろん、設定用端末装置TSから、ビーコン信号送信条件を変更する旨の設定変更指示を与えることも可能である。このような設定変更指示が与えられた場合、設定変更部124は、当該設定変更指示に基づいて、情報記憶部121に記憶されているビーコン信号送信条件を書き換える。たとえば、設定用端末装置TSから「送信時期を50msの一定周期とし、送信強度を3とする」という新たなビーコン信号送信条件が与えられた場合、情報記憶部121内のビーコン信号送信条件は当該新条件に書き換えられる。そして、このような設定変更が完了した後、ビーコン信号送信指示部122は、変更後の新たなビーコン信号送信条件に基づいて、無線通信部123に対して送信指示を行うことになる。
【0063】
一方、動作状態報知部125は、設定変更部124が設定変更の作業中であるときに、その旨を外部に報知する役割を果たす構成要素である。図には、報知の方法として、報知光Hを作業者Mに提示する例が示されている。ここで、報知光Hはビーコンユニット120から発せられる光であり、作業者Mに報知光Hであることを確実に認識させるため、実用上は、照明ユニット110から発せられる照明光Lとは異なる色の光(人間の目で、色の違いが認識できる光であればよい)にするのが好ましい。
【0064】
ここに示す実施例の場合、照明ユニット110には、白色のLEDを組み込み、白色の照明光Lが照射されるようにし、動作状態報知部125には、赤色のLEDを組み込み、赤色の報知光Hが照射されるようにしている。また、動作状態報知部125は、設定変更部124の動作状態をモニタし、設定変更部124が設定変更の作業中であるときのみ赤色のLEDを点灯し、それ以外のときは赤色のLEDを消灯するような制御を行う。したがって、作業者Mは、この赤色のLEDが点灯状態であるか、消灯状態であるか、を観察することにより、照明装置100についての設定変更が行われているか否かを確認することができる。
【0065】
このように、動作状態報知部125によって、設定変更の作業中であるか否かを報知するようにしているのは、設定用端末装置TSの近傍に複数の照明装置が配置されている場合に、設定対象となる照明装置の取り違えを防止し、確実な設定変更作業を担保するためである。
【0066】
たとえば、図1に示す例のように、3組の照明装置100,200,300が天井などに近接して設置されている場合、作業者Mが、照明装置100についての設定変更を意図して、設定用端末装置TSから設定変更指示を送信したつもりでも、当該指示は無線によって送信されるため、別な照明装置200,300によっても受信されてしまう。したがって、実際には、作業者Mが意図している照明装置100ではなく、隣りに配置された照明装置200において行われてしまう可能性もある。
【0067】
もちろん、各照明装置には、それぞれ固有のビーコンIDが付与されているので、このビーコンIDを利用して、取り違えを防止する措置を講じることは可能であり、実際、ここで述べる実施例では、そのような措置を講じている。すなわち、設定変更指示には、設定変更の対象となる照明装置のビーコンIDを含ませておくようにし、各照明装置の設定変更部124は、このビーコンIDに基づいて、送信されてきた設定変更指示が自己宛か否かを判断し、自己宛であった場合にのみ、設定変更処理を実行するようにしている。たとえば、図3に示す照明装置100についての設定変更部124は、情報記憶部121に伝達情報として記憶されているビーコンID「BID001」を自己のビーコンIDと認識し、設定用端末装置TSから送信されてきた設定変更指示に含まれるビーコンIDが「BID001」に一致した場合にのみ、設定変更処理を実行する。
【0068】
しかしながら、設定対象となる照明装置の取り違えを防止するには、上記措置だけでは十分ではない。これは、各照明装置100,200,300と、各ビーコンID「BID001」,「BID002」,「BID003」との対応関係に、作業者Mの認識違いが生じている可能性もあるからである。たとえば、作業者Mが、3台並んで配置された照明装置100,200,300について、図1に示すように、左から右に向かう順に「BID001」,「BID002」,「BID003」なるビーコンIDが付与されていたものと思い込んでいたところ、実際には、上記ビーコンIDが、右から左に向かう順に付与されていた場合、上記措置を講じたとしても、取り違えが生じてしまう。
【0069】
また、このシステムを導入し保守する際に、個々の照明装置には、必ずユニークなビーコンIDを付与するという運用上の規則を定め、当該規則に基づいて、ビーコンIDの初期設定や設定変更を行ったとしても、何らかのミスによって、異なる照明装置に同一のビーコンIDが設定されてしまう可能性もある。このような場合も、上記措置だけでは、取り違えを十分に防止することはできない。
【0070】
本発明によれば、このような場合にも、設定対象の取り違えを十分に防止する効果が得られる。すなわち、作用者Mが、設定用端末装置TSを用いて特定の照明装置に対する設定変更作業を行うと、設定変更の作業中である照明装置からは、設定変更の作業中であることを示す何らかの報知が行われる。したがって、作業者Mは「現在、どの照明装置に対して設定変更作業を行っているのか」という事項を、常に、設定変更作業中の照明装置から発せられる何らかの報知信号により、直感的に把握することができるようになる。
【0071】
たとえば、上例のように、赤色LEDの点灯による報知を行う実施例の場合、作業者Mは、視野にある3台の照明装置100,200,300のうち、照明装置100の赤色LEDのみが点灯していることを視覚的に把握することにより、現在、照明装置100において設定変更作業が行われていることを確認することができる。このように、設定変更の対象となる照明装置を視覚的に現物として把握することができるので、対象となる装置を取り違えることなしに、確実な設定変更作業を行うことができる。
【0072】
<1−3.ビーコン信号送信機能付き照明装置の具体的な構造>
ここでは、図2に示すビーコン信号送信機能付き照明装置100のより具体的な構造を、図4の斜視図を用いて説明する(照明装置200,300の構造も全く同様である)。
【0073】
既に述べたとおり、この照明装置100は、照明ユニット110とビーコンユニット120とを備えており、いずれも透光性をもった細長い筒状筐体130に収容され、端部筐体141,142によって封止されている。ここに示す実施例の場合、照明装置100の外形は、一般的な直管式蛍光灯の外形規格に準拠しているため、筒状筐体130は、直管式蛍光灯の外形に適合したサイズになっている。図4では、この筒状筐体130の一部を切り欠くことにより、その内部の具体的な構造が示されている。なお、前述したように、実際には端部筐体141,142には、電源供給用のピン状電極が取り付けられているが、ここでは電源供給系統の図示は省略する。
【0074】
照明ユニット110は、筒状筐体130を通して照明光Lを外部に照射する構成要素であり、図示の実施例の場合、細長い筒状筐体130に沿って伸びる照明用基板111と、この照明用基板111に取り付けられた複数の照明用LED112a〜112fと、を有している。各照明用LED112a〜112fからは、図示のとおり、それぞれ照明光La〜Lfが発せられ、透光性をもった筒状筐体130を通して外部に照射される。なお、図4には図示されていないが、実際には、照明ユニット110には、外部の照明器具本体100′から供給される電力を、個々の照明用LED112a〜112fに配給するための電源供給ラインや電圧調整回路などが設けられる。
【0075】
結局、図4に示す照明装置100の場合、照明ユニット110は、筒状筐体130を通して照明光La〜Lfを外部に照射する複数の照明用LED112a〜112fを有し、これら複数の照明用LED112a〜112fは、筒状筐体130の長手方向軸に沿って配置されている。したがって、細長い筒状筐体130のほぼ全長にわたる領域から、照明光La〜Lfが放出されることになる。
【0076】
一方、ビーコンユニット120は、図示のとおり、ビーコン用基板120a,ビーコンモジュール120b,報知用LED120cを有している。ビーコン用基板120aは、照明用基板111の上面に固定されており、ビーコンモジュール120bおよび報知用LED120cを支持する役割を果たす。ビーコンモジュール120bは、半導体素子のチップにより構成されており、ビーコンユニット120の基本的な動作は、このビーコンモジュール120b内の電子回路によって実行される。報知用LED120cは、動作状態報知部125の一部を構成する報知用発光素子であり、筒状筐体130を通して、照明光La〜Lfとは異なる色をもった報知光Hを外部に照射する機能を有している。
【0077】
ここに示す実施例の場合、前述したように、照明用LED112a〜112fとしては白色のLEDを用い、報知用LED120cとしては赤色のLEDを用いている。したがって、照明ユニット110は、白色の照明光Lを発する照明装置として機能し、報知用LED120cは、赤色の報知光Hを発する報知用発光素子として機能する。作業者Mは、この赤色の報知用LED120cが点灯状態である場合に、照明装置100についての設定変更が行われていることを認識することができる。
【0078】
図5は、図4に示すビーコンユニット120の構成をブロック図として示したものである。図3のブロック図に示すビーコンユニット120の各構成要素と、図5のブロック図に示すビーコンユニット120の各構成要素とは、実質的に同じものであるが、後者では、個々の機能上の構成要素(実線のブロックで示されている)と、図4に示す物理的な構成要素(一点鎖線のブロックで示されている)との対応関係が明確に示されている。
【0079】
まず、一点鎖線のブロックで示すとおり、ビーコン用基板120aは、物理的に、ビーコンモジュール120bおよび報知用LED120cを支持する役割を果たす基板である。そして、ビーコンモジュール120bには、情報記憶部121,ビーコン信号送信指示部122,無線通信部123,設定変更部124および動作状態報知部125の一部として機能する電子回路が組み込まれており、報知用LED120cは、動作状態報知部125の残りの一部として機能する報知用発光素子に相当する。
【0080】
ビーコンモジュール120bに組み込まれた電子回路には、データの書き換えが可能な不揮発性メモリ、ビーコン信号の送信処理や設定変更処理を実行するためのプログラムが格納された不揮発性メモリ、当該プログラムを実行するためのCPU、このCPUの作業領域として利用される揮発性メモリ、無線信号の送受信を行う無線送受信回路が含まれている。
【0081】
ここで、情報記憶部121は、上記データの書き換えが可能な不揮発性メモリによって構成され、無線通信部123は、上記無線送受信回路によって構成される。また、ビーコン信号送信指示部122,設定変更部124および動作状態報知部125の一部は、上記プログラムが格納された不揮発性メモリ,CPU,作業領域として利用される揮発性メモリによって構成される。上述したように、この照明装置100は、照明器具100′からの電源供給を受けるため、館内の照明スイッチがOFFになると電源の供給は停止され、CPUは停止状態になるが、不揮発性メモリからなる情報記憶部121の記憶内容はそのまま保持される。
【0082】
なお、ここに示す実施例の場合、照明ユニット110とビーコンユニット120との間で連携動作を行うことにより、ビーコンユニット120が報知光Hの発光中は、照明ユニット110が、照明光の一部の強度を低下させる制御を行うような工夫を施している。すなわち、照明ユニット110に対して、報知用発光素子の動作状態(発光/非発光の状態)を伝達するようにし、報知用発光素子が報知光Hを発光している最中は、この報知用発光素子の近傍領域の照明光の強度を他の領域の照明光の強度に比べて低下させる制御が行われるようにしている。
【0083】
具体的には、照明ユニット110が、報知用LED120cの発光中は、複数の照明用LED112a〜112fのうち、報知用LED120cの近傍に位置する特定の照明用LED(たとえば、2組の照明用LED112a,112b)の発光強度を低下させる制御を行うようにすればよい。発光強度は、たとえば、30%程度に低下させてもよいし、0%に低下させる(別言すれば、消灯させる)ようにしてもかまわない。以下、この2組の照明用LED112a,112bを消灯させる例を述べることにする。
【0084】
図4に示す例において、2組の照明用LED112a,112bを消灯させる制御を行えば、報知用LED120cの消灯中(すなわち、設定変更作業中ではないとき)は、すべての照明用LED112a〜112fが同じ発光強度で発光する制御が行われ、細長い筒状筐体130のほぼ全領域から、ほぼ一様な照明光La〜Lfが放出されることになるが、報知用LED120cの点灯中(すなわち、設定変更作業中)は、報知用LED120cの近傍に位置する2組の照明用LED112a,112bが消灯し、残りの照明用LED112c〜112fから照明光Lc〜Lfが放出されることになる。
【0085】
一般に、照明ユニット110を構成する各照明用LED112a〜112fは、照明を目的とするLEDであるため、かなり明るい照明光を発光する機能を有している。しかも、この照明光Lは、筒状筐体130のほぼ全領域から照射されるため、作業者Mにとって、照明光Lは、かなり明るい光として認識される。これに対して、報知用LED120cは、もともと報知を目的とするLEDであり、照明用LEDに比べて発光強度は低い。特に、照明用LEDとして白色のLEDを用い、報知用LED120cとして赤色のLEDを用いた場合、両LEDがともに発光していると、前者の発光に隠れて、後者の発光は視認しづらくなる。
【0086】
もちろん、報知用LED120cの発光面積を広くとったり、数を増やしたりすれば、報知光Hの視認性を向上させることができるが、そうすると照明用LEDの設置面積が減るため、照明装置100としての本来の機能が損なわれてしまう。
【0087】
そこで、ここに示す実施例では、上述した方法で、照明光の強度を制御する工夫を施してある。この工夫により、照明装置100としての本来の機能を低下させることなしに、作業者Mによる報知光Hの確認を容易にすることができる。すなわち、上例の場合、設定変更の作業中には、報知用LED120cが赤色に点灯することになるが、このとき、報知用LED120cの近傍に配置されている2組の照明用LED112a,112bが消灯するため、照明光La,Lbは消失し、筒状筐体130の左端の一部分の照明が暗くなる。したがって、筒状筐体130の左端から照射される報知用LED120cの赤色の報知光Hが認識しやすくなる。
【0088】
この報知用LED120cの赤色点灯中も、残りの照明用LED112c〜112fは発光するため、照明光Lc〜Lfによって照明機能はそのまま維持される。したがって、作業者Mに対しては、最適な作業環境を提供することができる。すなわち、照明装置100の近傍において、設定変更の作業を行う作業者Mにとっては、照明装置100から十分な照明光を得ることは重要である。
【0089】
もし、照明装置100からの照明が完全に停止し、周囲の照明環境が暗くなってしまうと、設定用端末装置TSを操作する上で支障が生じる。上記方法を採用すれば、照明装置100からの照明は、設定変更の作業中、左側の一部分が暗くなるだけであるから、設定用端末装置TSの操作性に支障が生じることはない。しかも、照明光の左側の一部分が暗くなるため、左端に配置されている報知用LED120cから発せられる赤色の報知光Hの視認性は格段に向上する。このように、報知光Hの発光中は、報知用発光素子の近傍領域の照明光の強度を他の領域の照明光の強度に比べて低下させる制御機能を、照明ユニット110に付加しておけば、作業者Mに対して、最適な作業環境を提供するメリットが得られる。
【0090】
<<< §2. ビーコン信号送信機能付き照明装置の変形例 >>>
ここでは、§1で述べたビーコン信号送信機能付き照明装置の基本的な実施形態について、いくつかの変形例を述べておく。
【0091】
<2−1.報知形態のバリエーション>
これまで述べた基本的な実施形態では、動作状態報知部125に、照明ユニット110が照射する照明光Lとは異なる色をもった報知光Hを発する報知用発光素子を設けておき、この報知用発光素子の発光/非発光状態を変えることにより、設定変更の作業中である旨の報知を行っていた。具体的には、照明ユニット110には、白色の照明光Lを発する照明用LEDを配置し、動作状態報知部125には、赤色の報知光Hを発する報知用LED120cを用い、報知用LED120cを点灯(発光)させることにより、設定変更の作業中であることを報知する方法を採っている。
【0092】
しかしながら、動作状態報知部による報知は、必ずしも、報知用発光素子の発光/非発光状態を変える形態に限定されるものではなく、報知用発光素子の発光周期、発光強度、もしくは発光色を変える形態を採ることも可能である。
【0093】
具体的には、報知用発光素子を5秒周期で点滅させる状態と、0.5秒周期で点滅させる状態との違いにより、設定変更作業中であるか否かを報知する形態(報知用発光素子の発光周期を変える形態)を採用することも可能である。この場合は、たとえば、0.5秒周期で点滅していれば設定変更作業中であることを示し、5秒周期で点滅していれば設定変更作業中ではないことを示す、といった取り決めをしておけばよい。また、報知用発光素子の発光強度を変化させ、強く発光している場合は設定変更作業中であることを示し、弱く発光している場合は設定変更作業中ではないことを示す、といった報知形態を採ることもできる。同様に、報知用発光素子の発光色を変化させ、赤色発光している場合は設定変更作業中であることを示し、青色発光している場合は設定変更作業中ではないことを示す、といった報知形態を採ることもできる。
【0094】
また、動作状態報知部125による報知は、必ずしも光によって行う必要はなく、たとえば、音による報知を行ってもかまわない。具体的には、動作状態報知部125にブザーを組み込んでおき、設定変更作業中であるときにだけ、当該ブザーを鳴動させるようにすれば、作業者Mは、ブザーが鳴動している照明装置が、設定変更の対象装置であるとの認識を行うことができる。
【0095】
<2−2.多段階の動作状態の報知>
これまで述べた基本的な実施形態は、設定変更部124が、設定変更の作業中であるか否か、という2つの動作状態のいずれであるかを、動作状態報知部125によって報知する2段階の動作状態の報知を行うものであった。より具体的には、自己宛の設定変更指示の受け入れが可能になった時点から設定変更が完了した時点までを設定変更作業期間、それ以外の期間を通常動作期間と定義した場合、動作状態報知部125は、設定変更作業期間と通常動作期間とを区別するための報知を行っている。
【0096】
§1で述べた実施形態の場合、照明ユニット110が照射する照明光Lとは異なる色をもった報知光Hを発する報知用発光素子を用いて、通常動作期間は報知用発光素子を非発光状態とし、設定変更作業期間は発光状態とすることにより、いずれの動作状態であるかの報知が行われることになる。もちろん、具体的な報知形態としては、報知用発光素子の発光/非発光状態を変える方法だけでなく、発光周期、発光強度、もしくは発光色を、設定変更作業期間と通常動作期間とで変える方法が採用できる点は、上述したとおりである。
【0097】
しかしながら、本発明を実施する上で、設定変更部124の動作状態は、必ずしも2段階にする必要はなく、より多段階の動作状態を定義することも可能である。たとえば、設定用端末装置TSからのアクセスに応じて待機状態になっている期間を設定用待機期間、自己宛の設定変更指示の受け入れが可能になった時点から設定変更が完了した時点までを設定変更作業期間、それ以外の期間を通常動作期間と定義すれば、合計3段階の動作状態が定義できる。この場合、動作状態報知部125は、設定用待機期間と設定変更作業期間と通常動作期間とを相互に区別するための報知を行うようにすればよい。
【0098】
たとえば、図1に示す例において、3台の照明装置100,200,300が、いずれも設定用端末装置TSと無線通信が可能な近隣範囲に位置している場合、設定用端末装置TSから自己宛の設定変更指示が送信されてくれば、これら3台はいずれも設定変更作業を行うことが可能である。そこで、設定用端末装置TSから設定変更の準備のためのアクセスがあったときに、通常動作期間から設定用待機期間へと移行するものとし、自己宛の設定変更指示が送信されたときに、更に、設定変更作業期間へと移行するようにし、個々の照明装置の現在の動作状態をそれぞれ動作状態報知部125によって報知するようにすれば、作業者Mに、設定変更に関するより詳細な情報を伝えることができるようになる。
【0099】
もちろん、この3段階の動作状態を報知する際にも、動作状態報知部125に、照明ユニット110が照射する照明光Lとは異なる色をもった報知光Hを発する報知用発光素子を設けておけば、この報知用発光素子の発光/非発光状態、発光周期、発光強度、もしくは発光色を、設定用待機期間と設定変更作業期間と通常動作期間とで変えることにより3通りのいずれかの動作状態を報知することが可能である。たとえば、報知用発光素子として、赤色発光と青色発光とを行うことができる報知用LEDを用いるようにすれば、消灯状態は通常動作期間、青色発光状態は設定用待機期間、赤色発光状態は設定変更作業期間を示す、といった方法による報知が可能になる。
【0100】
なお、上述した2段階の動作状態を定義した場合に、設定用端末装置TSおよび各照明装置において行われる具体的な処理手順は、後の§3−1で詳述し、上述した3段階の動作状態を定義した場合に、設定用端末装置TSおよび各照明装置において行われる具体的な処理手順は、後の§3−2で詳述する。
【0101】
<2−3.照明ユニット自身を用いた報知>
これまで述べた基本的な実施形態では、動作状態報知部125に報知用発光素子を設けておき、この報知用発光素子の発光により、設定変更の作業中である旨の報知を行っていた。しかしながら、動作状態報知部125による報知は、必ずしも報知用発光素子を利用して行う必要はなく、照明ユニット110自身を用いた報知を行うようにしてもかまわない。
【0102】
図6は、このような変形例に係る照明装置におけるビーコンユニット120Aの構成およびその機能を示すブロック図である。図3に示すビーコンユニット120と、図6に示すビーコンユニット120Aとの相違は、前者では、動作状態報知部125が報知用発光素子を用いて動作状態の報知を行うのに対して、後者では、動作状態報知部125Aが照明ユニット110Aに対して制御信号を与える機能を有し、照明ユニット110Aの発光態様を変えることにより、動作状態の報知を行う点である。
【0103】
この図6に示す変形例に用いられる照明ユニット110Aには、動作状態報知部125Aから与えられる制御信号に基づいて発光態様を変える処理を行う電子回路を設けておくようにする。照明ユニット110Aの発光態様を変える具体的な方法としては、照明光の発光/非発光状態、発光周期、発光強度、もしくは発光色を変化させる方法を採ることができる。
【0104】
たとえば、前述した2段階の動作状態を報知するのであれば、通常動作期間は照明用LEDを100%の強度で連続発光させるが、設定変更作業期間は50%の強度で連続発光させる、あるいは、0.5秒周期で点滅発光させる、というような報知方法を採ることができる。また、前述した3段階の動作状態を報知するのであれば、照明用LEDに白色発光,青色発光,赤色発光の機能をもたせておき、通常動作期間は白色発光させ、設定用待機期間は青色発光させ、設定変更作業期間は赤色発光させる、というような報知方法を採ることができる。
【0105】
<2−4.センサ部を用いる変形例>
続いて、ビーコンユニット内にセンサ部を設け、このセンサ部によって検出した検出値をビーコン信号として送信する機能をもった変形例を、図7を参照して説明する。図7は、このような変形例に係る照明装置におけるビーコンユニット120Bの構成およびその機能を示すブロック図である。
【0106】
図3に示すビーコンユニット120と、図7に示すビーコンユニット120Bとの大きな相違は、後者には、何らかの検出値を得るためのセンサ部126が追加されている点である。これに応じて、他の構成要素にも若干の付加機能が設けられている。すなわち、情報記憶部121Bには、伝達情報およびビーコン信号送信条件に加えて、更に、検出値送信条件が記憶されており、ビーコン信号送信指示部122Bは、情報記憶部121Bに記憶されている伝達情報の送信とともに、センサ部126が得た検出値を検出値送信条件に基づいてビーコン信号として外部に送信するよう無線通信部123に対して指示を与える機能を有する。
【0107】
たとえば、センサ部126として、温度センサ、湿度センサ、地震センサを用意しておき、検出値送信条件として、温度センサの検出値(温度)は、伝達情報の毎送信時に送信し、湿度センサの検出値(湿度)は、1時間ごとに送信し、地震センサの検出値(震度)は、震度1以上の場合に限って送信する、というような条件を設定しておけば、当該条件に従って、温度センサ、湿度センサ、地震センサの検出値が、無線通信部123からビーコン信号として送信されることになる。もちろん、センサ部126としては、上例の他に、位置センサ、磁気センサ、ガスセンサなど、様々なセンサを用いることができる。
【0108】
一方、設定変更部124Bは、設定用端末装置TSからの設定変更指示に基づいて、伝達情報やビーコン信号送信条件だけでなく、検出値送信条件を書き換える機能も有している。したがって、この図7に示すビーコンユニット120Bに対する設定変更では、検出値送信条件の変更も行うことができる。
【0109】
<<< §3. ビーコン信号送信システムとその動作 >>>
ここでは、本発明に係るビーコン信号送信システムとその動作について説明する。本願における「ビーコン信号送信システム」とは、これまで述べてきた「ビーコン信号送信機能付き照明装置」を複数台と、これら複数台の照明装置の無線通信部と交信して設定変更指示を与える設定用端末装置TSと、を備えたシステムである。
【0110】
具体的には、図1に示すナビゲーションシステムの場合、ビーコン信号送信機能付き照明装置100,200,300に、設定用端末装置TSを加えたものが、本願における「ビーコン信号送信システム」であり、設定用端末装置TSを用いた特有の方法で、設定変更を行うことが可能な特徴を有している。これに対して、図1に示す端末装置T1〜T4は、「ビーコン信号受信システム」ということができる。以下、この「ビーコン信号送信システム」を、いくつかの具体的な実施形態に基づいて説明する。
【0111】
<3−1.第1の実施形態>
図8は、本発明の第1の実施形態に係るビーコン信号送信システムの構成およびその動作を示すブロック図である。図示のとおり、このシステムは、3台のビーコン信号送信機能付き照明装置100,200,300と、1台の設定用端末装置TSと、を備えたシステムである。図には、便宜上、設定用端末装置TSの構成と照明装置100の構成とをブロック図で示す。照明装置200,300の構成については、図示を省略するが、3台の照明装置100,200,300はいずれも同じ構成を有している。もちろん、ビーコン信号送信機能付き照明装置の台数は3台に限定されるものではなく、複数あれば任意の台数でかまわない。
【0112】
設定用端末装置TSは、作業者Mが、各照明装置100,200,300に対する設定変更の作業を行うために用いる端末装置であり、これら照明装置の無線通信部と交信して設定変更指示を与える機能を有する。ここに示す実施例の場合、設定用端末装置TSは、スマートフォンに専用のアプリケーションプログラムを組み込むことにより構成されている。もちろん、設定用端末装置TSは、携帯型パソコンなどに専用のアプリケーションプログラムを組み込むことにより構成することも可能であるが、ここでは、スマートフォンを用いて構成した例を述べる。
【0113】
スマートフォンは、モバイル電話回線、WiFi、Bluetooth(登録商標)などを利用した無線通信機能を有しているので、図示の設定用端末装置TSは、これら無線通信機能のいずれも利用することが可能である。ただ、ここに示す実施例の場合、Bluetooth(登録商標)を利用して各照明装置100,200,300と通信を行っている。これは、設定用端末装置TSを保持した作業者Mが、目視可能な範囲に存在する照明装置に対して、無線通信により設定変更を行うことを考えると、Bluetooth(登録商標)を利用した近距離通信が最も適しているためである。
【0114】
したがって、図8において、設定用端末装置TSと照明装置100との間の通信を示す実線の矢印は、Bluetooth(登録商標)を利用した通信を示している。また、設定用端末装置TSの実体はスマートフォンであるので、設定用端末装置TSには、ディスプレイ、タッチパネル、CPU、メモリ、各種通信装置などが備わっているが、ここでは、各照明装置に対する設定変更作業を行うのに必要な構成要素を個々の機能要素として把握し、各機能要素をブロックとして示すことにする。
【0115】
図示のとおり、設定用端末装置TSは、近隣装置探索部10、探索リスト表示部20、装置選択部30、設定変更指示部40、完了表示部50を有している。
【0116】
近隣装置探索部10は、自己と無線通信が可能な所定の近隣範囲に存在する近隣装置を、当該近隣装置の発する無線信号に基づいて探索する構成要素である。既に述べたとおり、各照明装置100,200,300の本来の機能は、照明を行うことと、ビーコン信号を送信することである。したがって、これら照明装置は、通常動作期間において、照明を行うとともに、所定のビーコン信号送信条件に基づいてビーコン信号を送信している。
【0117】
そこで、ここに示す実施例の場合、近隣装置探索部10は、このビーコン信号を受信することにより、自己と無線通信が可能な所定の近隣範囲に存在する近隣装置の探索を行う。図において、照明装置100から近隣装置探索部10に向かう「無線信号」と記された矢印は、このビーコン信号を示している。設定用端末装置TSの近隣範囲に3台の照明装置100,200,300が存在すれば、これら各照明装置から発せられたビーコン信号が近隣装置探索部10によって受信され、存在が探知されることになる。なお、§1で述べたとおり、ビーコン信号には、伝達情報としてビーコンIDが含まれているので、近隣装置探索部10は、このビーコンIDにより、どの照明装置が近隣範囲に存在するのかを特定することができる。
【0118】
探索リスト表示部20は、近隣装置探索部10によって探索された近隣装置を設定対象候補として探索リストに掲載し、これを表示する構成要素である。たとえば、近隣装置探索部10が、3台の照明装置100,200,300から、それぞれビーコンID「BID001」,「BID002」,「BID003」を受信した場合、探索リスト表示部20により、設定用端末装置TSの表示画面(スマートフォンのディスプレイ)には、図9(a) に示すような探索リストが表示されることになる。
【0119】
ここで、ビーコンID「BID001」,「BID002」,「BID003」は、図1に示すとおり、各照明装置100,200,300に付されたビーコンIDであり、各照明装置100,200,300に対応するものである。この探索リストに掲載されている照明装置は、ビーコン信号が届く近隣範囲(Bluetooth(登録商標)による通信が可能な範囲)に存在する近隣装置ということになるので、逆言すれば、設定用端末装置TSからの設定変更指示も届く範囲に存在する装置であり、設定用端末装置TSによる設定変更が可能な設定対象候補ということになる。なお、後述するように、探索リストには、必ずしも近隣装置探索部10によって探索された近隣装置の全部を掲載する必要はなく、必要に応じて、探索リスト表示部20によってふるい分けを行い、探索された近隣装置の一部のみを掲載するようにしてもよい。
【0120】
装置選択部30は、作業者の操作に基づいて、探索リストに掲載されている設定対象候補の中の1台を設定対象装置として選択し、当該設定対象装置宛に選択要求を与える構成要素である。ここに示す実施例の場合、スマートフォンを利用して設定用端末装置TSを構成しているので、装置選択部30は、スマートフォンのタッチパネルに対する作業者Mの操作に基づき、リスト上のどの装置が設定対象装置として選択されたかを認識し、Bluetooth(登録商標)による通信を利用して、選択された設定対象装置宛に選択要求を送信する。
【0121】
たとえば、作業者Mが、図9(a) に示す探索リストの中から、「BID001」の部分をタップすることにより、照明装置100を設定対象装置として選択する操作を行うと、装置選択部30は、照明装置100宛に選択要求を送信することになる。もっとも、この選択要求の送信にも、Bluetooth(登録商標)による通信が利用されることになるので、図において、装置選択部30から照明装置100に向かう「選択要求」と記された矢印は、実際には、照明装置200,300にも向かうことになる。したがって、この選択要求には、選択された設定対象装置が照明装置100であることを示す情報(たとえば、ビーコンID「BID001」)を含ませておくようにする。
【0122】
後述するように、設定対象である照明装置100からは、選択要求に応じて、設定変更指示の受け入れが可能になったことを示す設定変更可能通知が返信されてくる。設定変更指示部40は、この設定変更可能通知が届いたら、当該設定対象装置100宛に設定変更指示を与える構成要素である。
【0123】
設定変更指示部40は、設定対象装置100からの設定変更可能通知が届くと、まず、図9(b) に示すように、設定対象装置100(ビーコンID「BID001」で特定される装置)が、設定変更可能になったことを示す表示を行い、続いて、図9(c) に示すように、設定変更指示の入力画面を表示する。この入力画面は、設定対象装置のビーコンID(図3の情報記憶部121に記憶されている伝達情報)を変更する場合の例を示すものである。作業者Mが、この入力画面に、変更後の新しいビーコンID(たとえば、ビーコンID「BID004」)を入力し、設定ボタンをタップすると、設定変更指示部40から照明装置100に向けて設定変更指示が送信される。
【0124】
もちろん、設定用端末装置TSは、ビーコンIDについての設定変更だけでなく、ビーコン信号送信条件や検出値送信条件などについての設定変更も可能である。図9(c) は、ビーコンIDに対する設定変更を行うための入力画面の例であるが、この入力画面は、設定変更の対象となるデータにそれぞれ適した表示にすればよい。
【0125】
ここで、設定変更指示の送信にも、Bluetooth(登録商標)による通信が利用されることになるので、図8において、設定変更指示部40から照明装置100に向かう「設定変更指示」と記された矢印は、実際には、照明装置200,300にも向かうことになる。したがって、この設定変更指示には、選択された設定対象装置が照明装置100であることを示す情報(たとえば、ビーコンID「BID001」)と、設定変更指示の内容を示す情報(上例の場合、新ビーコンID「BID004」)とを含ませておくようにする。
【0126】
後述するように、設定対象である照明装置100からは、この設定変更指示に基づく設定変更の処理が完了すると、設定変更が完了したことを示す設定変更完了通知が返信されてくる。完了表示部50は、この設定変更完了通知が届いたら、これを表示する構成要素である。具体的には、完了表示部50によって、図9(d) に示すような設定変更完了のメッセージが表示されることになる。当該メッセージにより、作業者Mは、所望の照明装置100について、ビーコンIDを「BID001」から「BID004」に変更する設定変更が完了したことを認識することができる。
【0127】
以上、図8に示す設定用端末装置TSの構成および動作を説明したが、続いて、照明装置100の構成および動作を説明する。この図8に示す第1の実施形態に用いられている照明装置100(照明装置200,300も同様)は、§1で述べた基本的な実施形態に係るビーコン信号送信機能付き照明装置であり、動作状態報知部によって2段階の動作状態、すなわち、通常動作期間か設定変更作業期間かのいずれかの状態の報知を行うものである。
【0128】
図示のとおり、この照明装置100には、照明ユニット110とビーコンユニット120とが設けられており、ビーコンユニット120は、情報記憶部121,ビーコン信号送信指示部122,無線通信部123,設定変更部124,動作状態報知部125を有している。これら各構成要素の基本的な機能は、既に§1で説明したとおりである。そこで、ここでは、設定変更部124および動作状態報知部125の動作についてのみ、設定用端末装置TSとの具体的な信号のやりとりを含めた補足説明を行うことにする。
【0129】
まず、設定変更部124は、無線通信部123を介して自己宛の選択要求を受信したときに、当該選択要求に応じて設定変更可能通知を送信するよう無線通信部123に対して指示を与える処理を行う。前述したとおり、設定用端末装置TSからの選択要求には、選択された設定対象装置を示す情報(上例の場合、ビーコンID「BID001」)が含まれているので、受信した選択要求が自己宛であるか否かを認識することができる。上例の場合、選択要求は、各照明装置100,200,300において受信されるが、含まれているビーコンIDが「BID001」であるので、照明装置100の設定変更部124は、当該選択要求が自己宛であるとの認識を行い、ビーコンID「BID001」を含んだ設定変更可能通知を送信する処理を行う。これに対して、照明装置200,300の設定変更部は、当該選択要求を他己宛と認識するので、設定変更可能通知の送信は行わない。
【0130】
なお、十分なセキュリティを確保する上では、選択要求に応じた設定変更可能通知を送信する前に、当該選択要求を発している設定用端末装置TSが正規の装置であるか否かを確認する認証処理を行い、当該認証処理により正規の装置であることが確認された場合にのみ、設定変更指示の受入可能状態に移行して設定変更可能通知を送信するようにするのが好ましい。そうすれば、不審者が偽物の設定用端末装置TSを用いて設定変更するような不正行為を防止することができる。
【0131】
具体的な認証処理の方法としては、たとえば、選択要求を行う際に、所定のパスワードを付加させるようにし、設定変更部124において、設定用端末装置TSから送信されてきたパスワードが正規のものであることを確認する方法を採ることができる。このような2つの装置間におけるパスワード認証の具体的な方法は、既に公知の技術であるため、ここでは詳しい説明は省略する。
【0132】
設定変更部124は、無線通信部123を介して自己宛の設定変更指示を受信したときに、当該設定変更指示に応じて設定変更を行い、設定変更が完了したときに、設定変更完了通知を送信するよう無線通信部123に対して指示を与える処理を行う。
【0133】
前述したとおり、設定用端末装置TSからの設定変更指示には、設定対象装置を示す情報(上例の場合、ビーコンID「BID001」)が含まれているので、受信した設定変更指示が自己宛であるか否かを認識することができる。上例の場合、設定変更指示は、各照明装置100,200,300において受信されるが、含まれているビーコンIDが「BID001」であるので、照明装置100の設定変更部124は、当該設定変更指示が自己宛であるとの認識を行い、指示に応じた設定変更処理を行う。これに対して、照明装置200,300の設定変更部は、当該設定変更指示を他己宛と認識するので、設定変更処理は行わない。
【0134】
上例のように、伝達情報(ビーコンID)を新たな情報「BID004」に変更する設定変更指示が与えられた場合、設定変更部124は、情報記憶部121に記憶されているビーコンIDを、「BID001」から「BID004」に書き換える処理を行った後、設定変更が完了したことを示す設定変更完了通知を返信する。この設定変更完了通知に、旧ビーコンID「BID001」と新ビーコンID「BID004」を示す情報を含ませておけば、これを受信した設定用端末装置TSは、図9(d) に示すような設定変更完了の表示を行うことができる。
【0135】
なお、何らかの原因で、設定変更部124が設定変更処理に失敗した場合には、設定変更完了通知の代わりに、設定変更エラー通知を送信し、設定用端末装置TSの画面上にエラー表示が行われるようにすればよい。
【0136】
図10は、図8に示すビーコン信号送信システムにおける設定変更部124の処理手順を示す流れ図であり、設定用端末装置TSからの選択要求を受信した後の手順が示されている。
【0137】
設定用端末装置TSからの選択要求が設定変更部124に届くと、ステップS1において、当該選択要求が自己宛であるか否かの判断がなされる。上述したように、選択要求には、選択された設定対象装置を示す情報(たとえば、ビーコンID)が含まれているので、当該情報に基づき、受信した選択要求が自己宛であるか否かを判断する。選択要求が他己宛であった場合は、当該選択要求についての処理は終了する。
【0138】
一方、選択要求が自己宛であった場合は、ステップS2において、設定変更可能通知の送信が行われる。この設定変更可能通知は、設定変更指示の受け入れが可能になったことを示す通知である。なお、実用上は、上述したように、設定変更可能通知を送信する前に、選択要求を発している設定用端末装置TSが正規の装置であるか否かを確認する認証処理を行うのが好ましい。
【0139】
設定変更可能通知を送信したら、続くステップS3において、自己宛の設定変更指示の受信待ちになり、自己宛の設定変更指示が受信されたら、ステップS4へと進み、当該設定変更指示に基づく設定変更(すなわち、情報記憶部121に記憶されているデータの書き換え)が行われ、その後、ステップS5へと進み、設定変更完了通知(設定変更に失敗した場合は、設定変更エラー通知)の送信が行われる。なお、ステップS3の受信待ちは、ステップS6でタイムアウトと判断されるまで行われるが、所定の許容時間内に自己宛の設定変更指示の受信が行われなかった場合には、ステップS6においてタイムアウトと判定され、当該選択要求についての処理は終了する。
【0140】
この図10の流れ図に示す設定変更部124の動作状態は、動作状態報知部125によってモニタされ、作業者Mに対して報知される。動作状態報知部125による具体的な報知形態は、これまで種々の例として説明したとおりであるが、ここに示す第1の実施形態の場合、設定変更部124は、2段階の動作状態、すなわち、通常動作期間か設定変更作業期間かのいずれかの状態の報知を行う。
【0141】
図10の流れ図に示すとおり、この第1の実施形態の場合、ステップS2の設定変更可能通知を送信した時点から、ステップS5の設定変更完了通知を送信した時点、もしくは、ステップS6でタイムアウトと判断された時点、までが、設定変更作業期間に相当し、それ以外の期間が、通常動作期間に相当する。したがって、動作状態報知部125は、設定変更可能通知の送信時点から設定変更完了通知の送信時点もしくはタイムアウト時点までを設定変更作業期間として、動作状態の報知を行うことになる。
【0142】
たとえば、赤色の報知用LEDの点灯により設定変更作業期間であることを報知する場合、動作状態報知部125は、ステップS2において報知用LEDを点灯し、ステップS5において報知用LEDを消灯すればよい。
【0143】
このような報知形態を採った場合、図8に示すように、作業者Mが設定用端末装置TSから照明装置100を選択する旨の選択要求を送信すると、やがて設定変更可能通知の送信により、設定用端末装置TSには、図9(b) に示すような表示がなされ、同時に照明装置100の報知用LEDが赤く点灯することになる。したがって、作業者Mは、設定変更作業の対象となっている照明装置が、赤い点灯が目視できる照明装置100であることを視覚的に確認することができる。そして、設定変更指示の送信により設定変更が完了すると、作業者Mは、図9(d) に示すような表示により、設定変更が完了したことを認識でき、同時に、照明装置100の報知用LEDが消灯することにより、これを確認することができる。
【0144】
<3−2.第2の実施形態>
図11は、本発明の第2の実施形態に係るビーコン信号送信システムの構成およびその動作を示すブロック図である。図8に示す第1の実施形態と図11に示す第2の実施形態との基本的な相違は、前者では、動作状態報知部によって2段階の動作状態(通常動作期間と設定変更作業期間)の報知が行われるのに対して、後者では、動作状態報知部によって3段階の動作状態(通常動作期間・設定用待機期間・設定変更作業期間)の報知が行われる点である。この3段階の動作状態の報知を行う機能をもった照明装置の構成および動作は、§2−2「多段階の動作状態の報知」において変形例として説明したとおりである。
【0145】
このように、両実施形態の基本的な相違は、動作状態報知部によって報知される動作状態が2段階か3段階か、という点だけであるので、図11は、図8のブロック図について、一部の信号の流れだけを変更した図になっている。したがって、便宜上、図11にブロックで示す各構成要素には、図8の対応する構成要素と同一の符号を付してある。図11に示す各構成要素の基本的な動作は、図8の対応する構成要素の基本的な動作とほぼ同じであるが、一部に、異なる動作が含まれている。以下、この異なる動作について説明する。
【0146】
まず、図11に示す設定用端末装置TSは、図8に示す設定用端末装置TSと同様に、近隣装置探索部10、探索リスト表示部20、装置選択部30、設定変更指示部40、完了表示部50を有している。
【0147】
図11に示す近隣装置探索部10は、自己と無線通信が可能な所定の近隣範囲に存在する装置に対して探索信号を送信し、当該探索信号に対して応答信号を返信してきた装置を近隣装置として認識する構成要素である。図8に示す近隣装置探索部10は、ビーコン信号を受信することにより近隣装置を探知する受動的な構成要素であったが、図11に示す近隣装置探索部10は、能動的に探索信号を送信し、これに応じて返信されてきた応答信号によって近隣装置を探知する能動的な構成要素である。
【0148】
図11において、設定用端末装置TSから照明装置100に向かう「探索信号」と記された矢印は、近隣装置探索部10から能動的に発せられた探索信号を示している。この探索信号は、特定の照明装置宛になされるものではなく、近隣に配置されているすべての照明装置に対して応答信号を求める信号になっている。後述するように、設定用端末装置TSの近隣範囲に3台の照明装置100,200,300が存在すれば、これら各照明装置からそれぞれ応答信号が返信されることになる。各応答信号には、それぞれのビーコンIDが含まれているので、近隣装置探索部10は、これら応答信号により、どの照明装置が近隣範囲に存在するのかを特定することができる。
【0149】
探索リスト表示部20は、近隣装置探索部10によって認識された近隣装置を設定対象候補として探索リストに掲載し、これを表示する構成要素である。上例の場合、第1の実施形態と同様に、設定用端末装置TSの表示画面に図9(a) に示すような探索リストが表示されることになる。装置選択部30も、第1の実施形態と同様に、作業者の操作に基づいて、探索リストに掲載されている設定対象候補の中の1台を設定対象装置として選択し、当該設定対象装置宛に選択要求を与える構成要素である。
【0150】
また、設定変更指示部40は、選択した設定対象装置から、設定変更指示の受け入れが可能になったことを示す設定変更可能通知が届いたら、図9(b) に示す表示画面を提示し、続いて、図9(c) に示す表示画面を用いて設定変更指示の内容を入力し、当該設定対象装置宛に設定変更指示を与える構成要素である。そして、完了表示部50は、この設定対象装置から、設定変更が完了したことを示す設定変更完了通知が届いたら、これを図9(d) に示すように表示する構成要素である。
【0151】
結局、図8に示す設定用端末装置TSと図11に示す設定用端末装置TSとの相違は、前者では近隣装置探索部10による受動的な探索(ビーコン信号の受信)が行われるのに対し、後者では近隣装置探索部10による能動的な探索(探索信号の発信と応答信号の受信)が行われる点だけであり、探索リスト表示部20、装置選択部30、設定変更指示部40、完了表示部50の動作については何ら相違はない。
【0152】
続いて、図11に示す照明装置100の構成および動作を説明する。この図11に示す第2の実施形態に用いられている照明装置100(照明装置200,300も同様)は、§2−2で述べた変形例に係るビーコン信号送信機能付き照明装置であり、動作状態報知部によって3段階の動作状態、すなわち、通常動作期間か、設定用待機期間か、設定変更作業期間か、の報知を行うものである。
【0153】
図8に示す照明装置100と図11に示す照明装置100との相違は、設定変更部124の動作と動作状態報知部125の動作だけである。したがって、以下、これらの動作について説明する。
【0154】
まず、図11に示す設定変更部124は、無線通信部123を介して探索信号を受信したときに、当該探索信号に対して応答信号を返信するよう無線通信部123に対して指示を与える。この応答信号には、自己を特定するためのビーコンIDが含まれている。たとえば、照明装置100から返信される応答信号には、ビーコンID「BID001」が含まれている。この応答信号の返信により、設定用端末装置TS側では、探索リストの表示が行われ、その中から選択された特定の設定対象装置宛に選択要求がなされる点は、既に述べたとおりである。
【0155】
続いて行われる選択要求が受信されたときの動作は、第1の実施形態と全く同様である。すなわち、設定変更部124は、自己宛の選択要求が受信されると、当該選択要求に応じて設定変更可能通知を送信するよう無線通信部123に対して指示を与える処理を行う。そして、自己宛の設定変更指示が受信されると、当該設定変更指示に応じて設定変更を行い、設定変更が完了したときに、設定変更完了通知を送信するよう無線通信部123に対して指示を与える。何らかの原因で、設定変更部124が設定変更処理に失敗した場合には、設定変更完了通知の代わりに、設定変更エラー通知が送信される。
【0156】
図12は、図11に示すビーコン信号送信システムにおける設定変更部124の処理手順を示す流れ図であり、設定用端末装置TSからの探索信号を受信した後の手順が示されている。
【0157】
設定用端末装置TSからの探索信号が設定変更部124に届くと、まず、ステップS11において、当該探索信号に対して応答信号を返信する処理が行われる。上述したとおり、この応答信号には、自己のビーコンID「BID001」が含まれている。
【0158】
応答信号を返信したら、続くステップS12において、選択要求の受信待ちになり、選択要求(自己宛、他己宛を問わない)が受信されたら、ステップS13へと進む。ここで、受信された選択要求が他己宛であった場合は、当該探索信号に基づく処理は終了する。受信された選択要求が自己宛であった場合は、ステップS14へ進み、設定変更可能通知の送信が行われる。この設定変更可能通知は、設定変更指示の受け入れが可能になったことを示す通知である。なお、実用上は、前述したように、設定変更可能通知を送信する前に、選択要求を発している設定用端末装置TSが正規の装置であるか否かを確認する認証処理を行うのが好ましい。
【0159】
設定変更可能通知を送信したら、続くステップS15において、自己宛の設定変更指示の受信待ちになり、自己宛の設定変更指示が受信されたら、ステップS16へと進み、当該設定変更指示に基づく設定変更(すなわち、情報記憶部121に記憶されているデータの書き換え)が行われ、その後、ステップS17へと進み、設定変更完了通知(設定変更に失敗した場合は、設定変更エラー通知)の送信が行われる。
【0160】
なお、ステップS12の受信待ちは、ステップS18でタイムアウトと判断されるまで行われるが、所定の許容時間内に選択要求の受信が行われなかった場合には、ステップS18においてタイムアウトと判定され、当該探索信号に基づく一連の処理は終了する。同様に、ステップS15の受信待ちは、ステップS19でタイムアウトと判断されるまで行われるが、所定の許容時間内に自己宛の設定変更指示の受信が行われなかった場合には、ステップS19においてタイムアウトと判定され、当該探索信号に基づく一連の処理は終了する。
【0161】
この図12の流れ図に示す設定変更部124の動作状態は、動作状態報知部125によってモニタされ、作業者Mに対して報知される。動作状態報知部125による具体的な報知形態は、これまで種々の例として説明したとおりであるが、ここに示す第2の実施形態の場合、設定変更部124は、3段階の動作状態、すなわち、通常動作期間か、設定用待機期間か、設定変更作業期間か、のいずれであるかの報知を行う。
【0162】
図12の流れ図に示すとおり、この第2の実施形態の場合、ステップS11の応答信号返信の時点から、ステップS12において自己宛もしくは他己宛の選択要求を受信した時点までの期間、もしくは、ステップS11の応答信号返信の時点から、ステップS18で所定のタイムアウト設定時間が経過したと判断された時点までの期間を設定用待機期間としている。また、ステップS14の設定変更可能通知を送信した時点から、ステップS17の設定変更完了通知を送信した時点まで、もしくは、ステップS19でタイムアウトと判断された時点までを、設定変更作業期間としている。そして、これら以外の期間を、通常動作期間としている。
【0163】
したがって、動作状態報知部125は、これら3通りの期間が、それぞれ別個の動作状態となっているものとして、3通りが区別ができるように、各動作状態の報知を行うことになる。たとえば、報知用発光素子として、赤色発光と青色発光とを行うことができる報知用LEDを用いた場合、消灯状態は通常動作期間、青色発光状態は設定用待機期間、赤色発光状態は設定変更作業期間を示す、といった方法による報知が可能になる。
【0164】
この場合、動作状態報知部125は、ステップS11の応答信号返信が行われた時点で報知用LEDを青色に点灯させ、その後、自己宛の選択要求を受信してステップS14の設定変更可能通知が行われた場合には、報知用LEDを赤色点灯に切り替え、ステップS17の設定変更完了通知が行われた時点でこれを消灯すればよい。一方、応答信号返信の後に、他己宛の選択要求が受信されたり、ステップS18でタイムアウトとなった場合には、報知用LEDを消灯すればよい。
【0165】
このような報知形態を採った場合、図11に示すように、作業者Mが設定用端末装置TSから探索信号を発すると、近傍に存在する3台の照明装置100,200,300から、それぞれビーコンIDを含む応答信号が返信され、図9(a) に示すような探索リストが表示されることになるが、同時に照明装置100,200,300の報知用LEDがそれぞれ青色に点灯することになる。したがって、作業者Mは、設定対象候補が3台の照明装置100,200,300であることを、探索リスト上で認識するとともに、実際の照明装置上で点灯している青色LEDによって視覚的に確認することができる。
【0166】
続いて、作業者Mが設定用端末装置TSから、青色のLEDが点灯している3台の照明装置100,200,300の中から、たとえば、照明装置100を設定変更対象として選択する旨の選択要求を送信すると、やがて設定変更可能通知の送信により、設定用端末装置TSには、図9(b) に示すような表示がなされ、同時に照明装置100の報知用LEDが赤色に変わり、照明装置200,300の青色のLEDが消灯することになる。したがって、作業者Mは、3台の設定対象候補のうち、照明装置100だけが設定変更作業の対象として選択されたことを、図9(b) に示す画面で認識するとともに、実際の照明装置100上で点灯している赤色LEDによって視覚的に確認することができる。そして、設定変更指示の送信により設定変更が完了すると、作業者Mは、図9(d) に示すような表示により、設定変更が完了したことを認識でき、同時に、照明装置100の赤色のLEDが消灯することにより、これを確認することができる。
【0167】
<3−3.3通りのIDを用いる実施形態>
本発明に係るビーコン信号送信システムでは、ビーコン信号送信機能付き照明装置100,200,300と設定用端末装置TSとの間で無線通信を行う必要がある。これまでの実施例では、この無線通信の規格として、Bluetooth(登録商標)を用いる例を述べた。これは、Bluetooth(登録商標)に基づく無線通信は、一般的なスマートフォンなどの端末装置に標準機能として備わっている機能であり、しかも設定用端末装置TSを保持した作業者Mが目視可能な適度の範囲を対象とする近距離通信に最適なためである。そこで、ここでは、無線通信としてBluetooth(登録商標)、特に、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)として定められた通信規格を利用することを前提として、3通りのIDを用いることにより、固有の作用効果が得られる実施形態を述べておく。
【0168】
図13は、ここで述べる実施形態で利用される3通りのIDを示す表である。図示のとおり、第1のIDは、BDアドレスと呼ばれ、Bluetooth(登録商標)の規格に基づく通信を行う無線通信部を特定するためのIDである。このBDアドレスは、Bluetooth(登録商標)の規格に基づく通信モジュールに工場出荷時に書き込まれる48ビットのデータであり、世界的な規模でユニークな値となっており、後に変更することはできない。
【0169】
第2のIDは、ビーコンIDと呼ばれ、個々のビーコンユニットを特定するためのIDである。本発明の実施例の場合、ビーコンIDは、図3に示すように、情報記憶部121内に伝達情報として記憶される。BLEの規格によると、ビーコンIDは、ソフトウェアを一意に識別するために定められたUUID(Universally Unique Identifier)に、各16ビットのメジャーコードおよびマイナーコードを付加したデータとして定義されている。既に述べたとおり、このビーコンIDは、設定用端末装置TSを用いた設定変更作業を行うことにより、任意のデータに変更することができる。
【0170】
第3のIDは、ここで述べる実施形態のために用意された本発明に固有のIDであり、ここでは「種別ID」と呼ぶことにする。この種別IDも、ビーコンIDと同様に個々のビーコンユニットを特定するためのIDであるが、ビーコンIDが、BLEの規格に適合したあらゆるビーコンユニットに共通して用いられるIDであるのに対して、種別IDは、本発明に係るシステムに用いられる固有のIDということになる。
【0171】
図14は、図13に示す3通りのIDの具体例を示す表である。これまで述べてきた実施例では、3組の照明装置100,200,300を用いる例を示したが、この表では、説明の便宜上、8組の照明装置100〜800にそれぞれ3通りのIDが付与されている例を示す。
【0172】
まず、第1のIDである「BDアドレス」としては、「11111111」〜「88888888」なる8桁の数字が付与された例が示されている。実際には、上述したとおり、「BDアドレス」には48ビットのデータを付与することになっているが、ここでは便宜上、図示のような8桁の数字が第1のIDとして付与されているものとして、以下の説明を行う。
【0173】
一方、第2のIDである「ビーコンID」としては、これまで述べた実施例で用いた具体例をそのまま踏襲して、「BID001」〜「BID008」なるデータが付与された例が示されている。このビーコンIDも、実際には、上述したように、UUIDにメジャーコードおよびマイナーコードを付加したデータとして定義されることになるが、ここでは便宜上、図示のようなデータが付与されているものとして、以下の説明を行う。
【0174】
最後の第3のIDである「種別ID」は、既存の規格に従って定義されるIDではなく、本発明に係るシステムに固有のIDであるので、任意のデータを定義することができる。ここでは、説明の便宜上、図示のように、「APPLE01」〜「MELON03」というデータを定義したものとして、以下の説明を行う。この種別IDは、文字通り、ビーコンユニットの種別を示す役割を果たす。
【0175】
このように、ここに示す実施形態に係る8組の照明装置100〜800では、ビーコンユニットの無線通信部に、当該無線通信部を特定するための第1のID(BDアドレス)が格納されており、ビーコンユニットの情報記憶部に、当該ビーコンユニットを特定するための第2のID(ビーコンID)と、当該ビーコンユニットの種別を示す第3のID(種別ID)と、が格納されている。
【0176】
ここで、第1のIDであるBDアドレスは、Bluetooth(登録商標)の規格に基づく通信を行う上で、根幹的な役割を果たすIDであり、変更することはできない。これに対して、第2のIDであるビーコンIDや、第3のIDである種別IDは、設定用端末装置TSによる設定変更作業によって、任意のデータに書き換えることが可能である。特に、第3のIDである種別IDは、本発明に係るシステムに固有のIDであるので、何ら制約を受けることがない。
【0177】
そこで、たとえば、図14に示す例のように、文字列+数字という形式で種別IDを構成することとし、文字列の部分を種別を示す情報として取り扱えば、個々の照明装置を種別に基づいて分類することが可能である。具体的には、図示の例の場合、文字列「APPLE」を含む照明装置100〜300は第1グループに所属し、文字列「BANANA」を含む照明装置400〜500は第2グループに所属し、文字列「MELON」を含む照明装置600〜800は第3グループに所属する、という種別の定義が可能である。
【0178】
このような種別IDを利用すれば、図8もしくは図11に示す探索リスト表示部20が探索リストを作成する際に、ふるい分けを行うことが可能になる。すなわち、図8に示す第1の実施形態の場合、ビーコン信号送信指示部122によって無線通信部123に対してビーコン信号を送信する指示が行われるが、このとき、第1のID、第2のID、第3のIDを含むビーコン信号を送信する指示が行われるようにする。同様に、図11に示す第2の実施形態の場合、探索信号に応じて、設定変更部124が無線通信部123に対して応答信号を返信する指示が行われるが、このとき、第1のID、第2のID、第3のIDを含む応答信号を返信する指示が行われるようにする。
【0179】
そうすれば、近隣装置探索部10は、探索結果として、近隣範囲に存在する近隣装置から、第1のID、第2のID、第3のIDを取得することができるので、探索リスト表示部20は、近隣装置探索部10によって探索された近隣装置のうち、第3のIDが所定の種別を示している装置のみを抽出し、抽出された装置のみを設定可能装置として探索リストに掲載することができる。
【0180】
たとえば、図14に示す例では、8組の照明装置100〜800のすべてが近隣範囲に存在している場合、近隣装置探索部10によって8組すべてが探索されることになるが、このうち、第3のIDの文字列部分が「APPLE」である装置を抽出し、抽出された装置のみを設定可能装置として探索リストに掲載するようにすれば、図9(a) に示すように、第1グループに所属する3組の照明装置100〜300のみが探索リストに掲載されることになる。
【0181】
このように、探索リスト作成時のふるい分け機能を利用すれば、本来は設定変更候補になるべきではない無用な照明装置が探索リストに掲載されることを防ぐことができ、作業者Mの選択指示操作を容易にするとともに、誤った選択がなされることを防止することができる。
【0182】
たとえば、第1会議室に第1グループの照明装置100〜300が設置され、第2会議室に第2グループの照明装置400〜500が設置され、第3会議室に第3グループの照明装置600〜800が設置されているような場合に、作業者Mが第1会議室に入室して、第1グループの照明装置100〜300のいずれかに対して設定変更作業を行う状況を考えてみる。この場合、第2グループの照明装置400〜500からの無線信号が、第1会議室と第2会議室との間の壁を通り抜けて、設定用端末装置TSに届いてしまうと、近隣装置探索部10によって5組の照明装置100〜500が近隣装置として探索されてしまうことになる。このような場合でも、第3のIDを利用したふるい分け機能を利用すれば、探索リストには、第1グループに所属する3組の照明装置100〜300のみが掲載されることになる。
【0183】
なお、上記ふるい分けを行う目的では、種別のみを認識できればよいので、種別IDとしては、「APPLE」,「BANANA」,「MELON」といった文字列の部分だけを用いてもかまわない。ただ、システム内の各照明装置にユニークなIDを付与するという観点では、上例のように、数字部分を用いて、各種別IDがユニークになるようにするのが好ましい。このように、各種別IDがユニークなIDになるようにしておけば、この種別ID(第3のID)をビーコンID(第2のID)に代用することも可能であり、各照明装置は、種別IDを利用して、受信した選択要求や設定変更指示が自己宛のものか否かを判断することが可能である。
【0184】
もちろん、種別IDの仕様として、文字列+数字という形式を採用する代わりに、数桁の数字列を用い、上位桁を種別を認識するために利用し、下位桁をユニークなIDを作成するために利用する、という仕様にしてもかまわない。
【0185】
また、このような探索リスト作成時のふるい分け機能は、本発明に係るシステムの構成要素である照明装置と、それ以外の装置と、を区分けする用途にも利用することができる。一般に、スマートフォンなどの端末装置に備わっているBluetooth(登録商標)の規格に基づく通信モジュールは、Bluetooth(登録商標)の規格に基づく通信機能をもった別な装置からの電波をすべて受信することができる。したがって、設定用端末装置TSの近隣に、Bluetooth(登録商標)の規格に基づく通信機能をもった無関係な装置、たとえば、無線マウス、無線キーボード、無線スピーカなどの機器が存在すると、近隣装置探索部10は、これらの機器も、近隣装置として検出してしまうことになる。
【0186】
ところが、無線マウス、無線キーボード、無線スピーカなどの機器は、通常、上記第3のIDを送信する機能を有していないため、第3のIDが定義されていない装置として探索されることになる。そこで、たとえば、第3のIDの文字列部分が「APPLE」である装置を抽出する、という方法でふるい分けを行えば、当然、これら無関係な装置はふるい落とされ、探索リストには掲載されないことになる。
【0187】
また、仮に、第3のIDを送信する無関係な機器があったとしても、本発明に係るシステムとは第3のIDの付与ルールが異なるため、偶然の一致がない限り、無関係な機器もふるい落とされ、探索リストには掲載されないことになる。たとえば、本発明に係るシステムを、甲社および乙社の二者がそれぞれ別個の製品として商品化した場合、基本原理は同じであっても、第3のIDの仕様はそれぞれ異なったものになろう。
【0188】
したがって、同じ部屋の天井照明として、甲社の照明装置と乙社の照明装置とが混在しているような状況になったとしても、甲社の設定用端末装置TSで設定変更作業を行う場合には、乙社の照明装置をふるい落とし、甲社の照明装置のみが掲載された探索リストを表示させることができる。すなわち、甲社の設定用端末装置TSの探索リスト表示部20は、甲社の仕様に基づく第3のIDが付与された照明装置のみを抽出し、甲社の仕様に合致しない第3のIDが付与された照明装置をふるい落とす処理を行うことにより、甲社の照明装置のみが掲載された探索リストを表示できる。
【0189】
このように、本発明に係るシステムにおいて、上述したような第3のIDを用いたふるい分けを行うことは、探索リスト表示部20によって表示される探索リストから、無用な装置(設定用端末装置TSを用いる設定変更の対象にならない装置)を排除し、効率的なリスト表示を行う上で極めて有効である。
【0190】
<<< §4. より実用的な構造上の工夫 >>>
これまで、本発明に係るビーコン信号送信機能付き照明装置100について、図2にその基本構造の側断面図を示し、図4に具体的な構造の斜視図を示した。ここでは、本発明に係る照明装置100について、より実用的な構造上の工夫をいくつか述べておく。
【0191】
<4−1.放熱機能をもった筒状筐体>
図4には、照明ユニット110とビーコンユニット120を、透光性をもった細長い筒状筐体130の内部に収容し、両端を端部筐体141,142によって封止することにより構成された照明装置100の実施形態を示した。この実施形態では、照明用基板111に取り付けられた照明用LED112から照明光La〜Lfが発せられることになる。
【0192】
このため、照明用LED112からの照明光は、筒状筐体130を通して図の上方には十分に照射されるが、図の下方は照明用基板111の陰になって十分には照射されない。もっとも、図1に示すように、照明装置100を照明器具本体100′に装着して利用することを考えれば、照明光は、必ずしも筒状筐体130の全表面から照射される必要はなく、筒状筐体130の一方の側面(図4では上方の側面、図1では下方の側面)から照射されれば十分である。
【0193】
すなわち、照明ユニット110およびビーコンユニット120は、少なくとも一部に透光性をもった部分が形成された細長い筒状筐体130に収容されていれば足り、照明ユニット110は、この筒状筐体130の透光性をもった部分を通して照明光を外部に照射する機能を有していればよい。このような点に鑑みて、ここでは放熱機能をもった筒状筐体を利用した実施形態を例示しておく。
【0194】
図15は、放熱機能をもった筒状筐体130Zを用いた実施形態の右端部分の側面図である。この実施形態における筒状筐体130Zは、図示のとおり、ヒートシンク部131と照明用カバー部132とによって構成されている。ここで、ヒートシンク部131は、金属(たとえば、アルミニウム合金)などの放熱に良好な熱伝導性をもった材料によって構成されており、内部に組み込まれた照明ユニット110やビーコンユニット120で発生した熱を外部に散逸させる機能を有する。これに対して、照明用カバー部132は、ガラスや合成樹脂などの照明に良好な透光性をもった材料によって構成されており、照明ユニット110で発生した光は、この照明用カバー部132を通して外部に放出される。
【0195】
ヒートシンク部131は、筒状筐体130Zの長手方向軸に沿って伸びる殻状構造体であり、外側面には上記長手方向軸に沿って多数の溝が形成されている。この溝は、ヒートシンク部131の外面の表面積を大きくし、放熱効果を高める役割を果たす。照明用カバー部132も、上記長手方向軸に沿って伸びる殻状構造体である。
【0196】
ヒートシンク部131の長手方向軸に沿って伸びる縁部(図15における部材131の下端面)と照明用カバー部132の長手方向軸に沿って伸びる縁部(図15における部材132の上端面)とを相互に接合することにより筒状筐体130Zが構成される。ヒートシンク部131を金属などの硬質素材によって構成しておけば、照明用カバー部132を軽量な軟質素材によって構成した場合でも、筒状筐体130Zの全体的な剛性を保つことができる。
【0197】
筒状筐体130Zの両端部は、それぞれ口金部によって封止されている。図15には、筒状筐体130Zの右端に接合された第1の口金部150(図2および図4に示す端部筐体142に相当する)が描かれている。図示のとおり、第1の口金部150には、一対の給電用電極ピン151が設けられている(図には手前側の1本のみが現れている)。
【0198】
図16は、この筒状筐体130Zを、その長手方向軸に直交する平面で切断した状態を示す断面図である。図示のとおり、この実施形態の場合、ヒートシンク部131の切断面および照明用カバー部132の切断面はいずれも半円状をなし、ヒートシンク部131および照明用カバー部132を接合することにより得られる筒状筐体130Zは円筒状をなす。
【0199】
図示の実施例の場合、照明用基板111はヒートシンク部131に連なる構造を有し、照明用基板111およびヒートシンク部131は同じ材料(たとえば、金属)によって構成されている。照明用LED112は、照明用基板111の下面に取り付けられているため、照明光Lは、図に一点鎖線で示すように、照明用カバー部132を通して図の下方へと照射される。また、照明用LED112で発生した熱は、照明用基板111からヒートシンク部131へと伝わり、ヒートシンク部131の外面から効果的に放出される。
【0200】
図16では図示が省略されているが、筒状筐体130Z内には、ビーコンユニット120や、給電用電極ピン151から与えられる外部電力を各ユニットに供給するための電力供給回路が組み込まれており、これらから発せられる熱も、照明用基板111からヒートシンク部131へと伝わって外部に放出されることになる。
【0201】
このように、図15および図16に示す実施例のように、筒状筐体130Zを、ヒートシンク部131と照明用カバー部132とによって構成するようにすれば、必要な方向に照明光Lを照射するとともに、内部で発生した熱を効果的に発散させることができるようになる。なお、図示の実施例は、断面が円形となる円筒状の筒状筐体130Zを用いた例であるが、筒状筐体は必ずしも円形にする必要はなく、たとえば、断面が矩形となる形状であってもかまわない。
【0202】
<4−2.直管式照明管用の照明器具への装着>
図15および図16に示した実施形態は、現在、一般に利用されている直管式照明管用の照明器具に装着可能な寸法、形状、構造を有している。すなわち、この実施形態に係る照明装置は、市販の直管式照明管の規格に合致した外形形状を有しており、既存の照明器具に装着して利用することが可能である。
【0203】
図15に示すとおり、筒状筐体130Zの第1の端部(右端部)には第1の口金部150が接合されている。この第1の口金部150は、直管式照明管用の照明器具に備わっている第1のソケットに装着可能な構造を有し、当該第1のソケットに装着することにより、筒状筐体130Zの第1の端部を当該照明器具に固定することができる。より具体的には、一対の給電用電極ピン151をソケット側のピン受部に挿入することにより装着することができる。
【0204】
また、図15には示されていないが、筒状筐体130Zの第2の端部(左端部)には第2の口金部160が接合されており、この第2の口金部160は、上記照明器具に備わっている第2のソケットに装着可能な構造を有し、当該第2のソケットに装着することにより、筒状筐体130Zの第2の端部を当該照明器具に固定することができる。
【0205】
このように、本発明に係るビーコン信号送信機能付き照明装置100の外形形状を、市販の直管式照明管の規格に合致した形状にしておけば、既存の直管式照明管用の照明器具に装着可能になるとともに、当該照明器具から外部電力の供給を受けることができる。すなわち、筒状筐体130Z内に組み込まれた照明ユニット110およびビーコンユニット120は、第1の口金部150や第2の口金部160を介して照明器具から供給される外部電力によって動作できるようになる。
【0206】
ただ、古くから利用されている直管式蛍光照明管では、その動作原理上、筒状筐体の両端部に電力供給を行う必要があるのに対し、図15および図16に示す実施形態の場合、照明用LED112を用いた照明が行われるため、必ずしも筒状筐体130Zの両端部に電力供給を行う必要はない。したがって、この実施形態の場合、いずれか一方の口金部からのみ電力を供給する片側給電タイプを採用することもできるし、両方の口金部から電力を供給する両側給電タイプを採用することもできる。
【0207】
図17は、この両方のタイプの給電系統を説明するための模式図である。図17(a) は、片側給電タイプを採用した場合の給電系統を示している。図示の照明装置100Xでは、細長い筒状筐体130Zの左右両端にそれぞれ口金部150,160が接合されており、市販の直管式照明管の規格に合致した外形形状が採用されている。このため、既存の直管式照明管用の照明器具に装着して固定することができる。ただ、この照明装置100Xは、片側給電タイプであるため、照明器具側の給電系統を若干変更している。
【0208】
照明装置100Xは、40型タイプ(管長1198mm/G13口金)の直管型蛍光灯の規格に従った外形形状を有しており、当該蛍光灯用の照明器具に装着することが可能である。すなわち、照明装置100Xの第1の口金部150は、照明器具に備わっている第1のソケット450に装着可能な構造を有し、第2の口金部160は、照明器具に備わっている第2のソケット460に装着可能な構造を有する。具体的には、第1の口金部150に設けられた一対のピン151をソケット450側のピン受部に挿入し、第2の口金部160に設けられた一対のピン161をソケット460側のピン受部に挿入することにより、照明装置100Xを照明器具に物理的に取り付けることができる。
【0209】
もっとも、この図17(a) に示す片側給電タイプの照明装置100Xに用いられる照明器具の場合、外部商用電源410からの電力供給は、第1のソケット450に対してのみ行われ、第2のソケット460に対しては行われない構造になっている。そのため、照明装置100Xに対する電力供給は、第1のソケット450から第1の口金部150を介してのみ行われ、第2のソケット460から第2の口金部160を介した電力供給は行われない。したがって、第1の口金部150に設けられた一対のピン151は給電用電極ピンとして機能するが、第2の口金部160に設けられた一対のピン161は、第2の口金部160を物理的に固定する役割のみを担うダミー電極ピンとして機能するだけである。
【0210】
この実施例では、図に破線で示すように、ビーコンユニット120は、筒状筐体130Zの左端近傍、すなわち、第2の口金部160側に設けられている。また、この実施例では、照明用カバー部132および第2の口金部160は合成樹脂によって構成されているため、ビーコンユニット120の無線通信部123が第2の口金部160内に位置していても、無線通信用の電波が遮蔽されることはない。また、図示のとおり、報知用LED120cは、第2の口金部160に埋め込まれている。
【0211】
上述したとおり、図17(a) に示す照明装置100Xは、片側給電タイプであり、外部からの電力供給は、第1の口金部150を介してなされる。実際には、外部商用電源410からの供給電力は交流であるため、これを直流に変換して安定した電力供給を行うための電力供給回路が必要であり、照明装置100Xの内部には、そのような電力供給回路が組み込まれている(図示省略)。この実施例の場合、電力供給回路は、外部電力の供給が行われる第1の口金部150側に設けられている。
【0212】
結局、この照明装置100Xでは、電力供給回路が第1の口金部150側に配置され、ビーコンユニット120が第2の口金部160側に配置されていることになる。このように、電力供給回路とビーコンユニット120とをそれぞれ別な端部に分散して配置すると、その多くの部分を各口金部150,160の内部に収容することができるので、筒状筐体130Zを透過する照明光の障害物となることを極力避けることができる。
【0213】
しかも、電力供給回路は、外部電力の供給が行われる第1の口金部150側に設けられているため、第1の口金部150を介して供給された交流電力を、この場所で直ちに直流電力に変換することができる。変換された直流電力は、照明用基板111上の配線を通して、照明ユニット110やビーコンユニット120へ供給することができる。
【0214】
なお、図17(a) に示すとおり、この実施例の場合、筒状筐体130Zの右端近傍には、給電端表示80が設けられている。この給電端表示80は、第1の口金部150が、外部からの電力供給を受けるべき口金部であることを示す表示であり、たとえば、「給電端」のような文字を記載したシールによって構成される。このシールは、照明の障害にならないように、透明もしくは半透明の材質によって構成するのが好ましい。あるいは、シールを用いずに、筒状筐体130Zの表面に直接印刷したり、刻印したりすることにより、給電端表示80を構成してもかまわない。
【0215】
もちろん、給電端表示80は、第1の口金部150自身の表面に設けてもよいし、第1の口金部150から筒状筐体130Zに跨るように設けてもかまわない。要するに、給電端表示80は、電力供給を受けるべき口金部が、第2の口金部160ではなく、第1の口金部150であることを示す役割を果たすことができればよいので、第1の口金部150もしくはその近傍に設ければよい。
【0216】
図17(a) に示すような片側給電タイプの照明装置100Xの場合、給電端表示80は重要な役割を果たす。上述したとおり、この照明装置100Xでは、照明ユニット110およびビーコンユニット120に対しては、第1の口金部150のみを介して電力供給が行われる。一方、図示のように、片側給電を前提とした照明器具の場合、第1のソケット450は給電機能を備えた給電ソケットであるが、第2のソケット460は給電機能をもたないダミーソケットであるため、図示とは逆の方向に装着してしまうと、正しい給電が行われなくなる。
【0217】
すなわち、給電ソケットである第1のソケット450に第2の口金部160を装着しても、照明装置100Xの場合、第2の口金部160には給電のための配線がなされていないので、内部への給電は行われない。また、第1の口金部150には給電のための配線がなされているが、ダミーソケットである第2のソケット460に第1の口金部150を装着しても、やはり内部への給電は行われない。
【0218】
給電端表示80は、ユーザに対して、照明器具に対する照明装置100Xの正しい装着方向を示す指標として機能する。もちろん、実際には、照明器具側にも、同様の給電端表示を設けておくのが好ましい。図示の例の場合、第1のソケット450もしくはその近傍に、当該ソケットが給電用のソケットであることを示す給電端表示を設けるようにすればよい。ユーザが、このソケット側の給電端表示に照明装置100X側の給電端表示80を合わせて、照明装置100Xを照明器具に装着すれば、正しい向きの装着が可能になる。
【0219】
これに対して、図17(b) は、両側給電タイプを採用した場合の給電系統を示している。図示の照明装置100Yでは、細長い筒状筐体130Zの左右両端にそれぞれ口金部170,180が接合されており、やはり、市販の直管式照明管の規格に合致した外形形状が採用されている。このため、既存の直管式照明管用の照明器具に装着して固定することができる。
【0220】
この照明装置100Yは、110型タイプ(管長2367mm/R17d型口金)の直管型蛍光灯の規格に従った外形形状を有しており、当該蛍光灯用の照明器具に装着することが可能である。すなわち、照明装置100Yの第1の口金部170は、照明器具に備わっている第1のソケット470に装着可能な構造を有し、第2の口金部180は、照明器具に備わっている第2のソケット480に装着可能な構造を有する。
【0221】
照明装置100Yは、両側給電タイプであるため、外部商用電源410からの電力供給は、第1のソケット470と第2のソケット480との双方に対して行われ、これらのソケットはいずれも給電ソケットになる。そのため、照明装置100Yに対する電力供給は、第1のソケット470から第1の口金部170を介して行われるとともに、第2のソケット480から第2の口金部180を介しても行われる。
【0222】
この実施例では、ビーコンユニット120は、やはり筒状筐体130Zの左端近傍、すなわち、第2の口金部180側に設けられている。第2の口金部180は合成樹脂によって構成されているため、ビーコンユニット120の無線通信部123が第2の口金部180内に位置していても、無線通信用の電波が遮蔽されることはない。図示のとおり、報知用LED120cは、第2の口金部180に埋め込まれている。
【0223】
なお、この照明装置100Yの場合も、外部商用電源410からの供給電力は交流であるため、これを直流に変換して安定した電力供給を行うための電力供給回路が必要になるが、やはりこの電力供給回路は、第1の口金部170側に設けられている(図示省略)。これは、ビーコンユニット120と電力供給回路とを左右両端に分散させて収容し、筒状筐体130Zを透過する照明光の障害物となることを極力避けるための配慮である。もちろん、電力供給回路には、第1の口金部170と第2の口金部180との双方を介して外部電力が与えられることになる。この両側給電タイプの照明装置100Yは、照明器具に対して、どちらの向きに装着しても問題ないので、給電端表示は不要である。
【0224】
図17(a) ,(b) に示す照明装置100X,100Yは、いずれも照明光とは異なる色をもった報知光を外部に照射する報知用LED120cを有しており、§1−3で述べたように、当該報知光の発光中は、報知用LED120cの近傍領域(図の左端の近傍領域)の照明光の強度を他の領域の照明光の強度に比べて低下させる制御が行われる。
【0225】
具体的には、照明ユニットが、筒状筐体130Zを通して照明光を外部に照射する複数の照明用LEDを有し、これら複数の照明用LEDは筒状筐体130Zの長手方向軸に沿って配置されている。また、報知用LED120c(動作状態報知部125の一部を構成する報知用発光素子)は、照明光とは異なる色をもった報知光を外部に照射する機能を有する。そして、照明ユニット110が、報知用LED120cの発光中は、複数の照明用LEDのうち報知用LED120cの近傍に位置する特定の照明用LEDの発光強度を低下させる制御を行うことになる。
【0226】
<4−3.ビーコンユニットの配置形態>
最後に、筒状筐体130Zを用いる実施形態におけるビーコンユニット120の好ましい配置形態を述べておく。図18は、このようなビーコンユニット120の好ましい配置形態を示すための照明装置100Xの左端部分の部分断面図である。
【0227】
§4−1で述べたとおり、この実施例は、放熱機能をもった筒状筐体130Zを採用しており、円筒状の筒状筐体130Zは、ヒートシンク部131と照明用カバー部132とによって構成されている。筒状筐体130Zの左端には、第2の口金部160が接合されており、この第2の口金部160には、ダミー電極ピン161および報知用LED120cが埋め込まれている。筒状筐体130Zの中央には、照明用基板111が配置されており、その下面に照明用LED112が取り付けられている。また、第2の口金部160の内部から筒状筐体130Zの左端近傍にわたる空間には、ビーコンユニット120が収容されている。
【0228】
この実施例の場合、ヒートシンク部131および照明用基板111は、アルミニウム合金などの金属によって構成されており、照明用カバー部132は、透光性をもった合成樹脂によって構成されており、第2の口金部160は不透明な合成樹脂によって構成されている。したがって、照明用LED112からの照明光は、照明用カバー部132を通して、図の下方に照射されることになる。このため、実用上は、ビーコンユニット120が照明光の障害になることは、できるだけ避けた方が好ましい。
【0229】
図示のとおり、ビーコンユニット120は、ビーコン用基板120aと、このビーコン用基板120a上に実装された電子回路を含むビーコンモジュール120bと、報知用LED120cとを有している。ビーコン用基板120aは、図示のとおり、基板取付具120dによって照明用基板111に取り付けられる。
【0230】
この実施例の特徴は、ビーコン用基板120aが、筒状筐体130Zの一方の端部(図示の例の場合は左端部)に、筒状筐体130Zの長手方向軸に対して傾斜するように配置されている点である。すなわち、筒状筐体130Zの中心軸をその長手方向軸Q1(図では一点鎖線で示されている)と呼び、ビーコン用基板120aの中心軸を基板配置軸Q2(図では破線で示されている)と呼んだ場合、長手方向軸Q1に対して基板配置軸Q2が所定角をなすように傾斜して配置されている。
【0231】
このような配置を採れば、ビーコン用基板120aおよびビーコンモジュール120bが、筒状筐体130Zの内部で、その長手方向軸Q1に対して傾斜した状態になるため、ビーコンユニット120のうちの照明光の障害になる部分を、できるだけ少なくすることができ、より効率的な照明を行うことが可能になる。
【0232】
なお、図17および図18に示す実施例では、報知用LED120cを、第2の口金部160,180に埋め込んだ構成を採用しているため、ビーコン用基板120aと報知用LED120cとの間には所定の配線が施されることになる。もちろん、報知用LED120cは、必ずしも口金部160,180に取り付ける必要はなく、たとえば、図4に示す実施例のように、ビーコン用基板120aに取り付けるようにしてもかまわない。この場合、報知用LED120cからの報知光は、照明用カバー部132を通して観察されることになる。
【符号の説明】
【0233】
10:近隣装置探索部
20:探索リスト表示部
30:装置選択部
40:設定変更指示部
50:完了表示部
80:給電端表示
100,100X,100Y:ビーコン信号送信機能付き照明装置(直管式照明管)
100′:照明器具本体
110,110A:照明ユニット
111:照明用基板
112,112a〜112f:照明用LED
120,120A,120B:ビーコンユニット
120a:ビーコン用基板
120b:ビーコンモジュール
120c:報知用LED
120d:基板取付具
121,121B:情報記憶部
122,122B:ビーコン信号送信指示部
123:無線通信部
124,124B:設定変更部
125,125A:動作状態報知部
126:センサ部
130,130Z:筒状筐体
131:ヒートシンク部
132:照明用カバー部
141,142:端部筐体
150:第1の口金部(端部筐体)
151:給電用電極ピン
160:第2の口金部(端部筐体)
161:ダミー電極ピン
170:第1の口金部(端部筐体)
180:第2の口金部(端部筐体)
200:ビーコン信号送信機能付き照明装置(直管式照明管)
200′:照明器具本体
300:ビーコン信号送信機能付き照明装置(直管式照明管)
300′:照明器具本体
410:外部商用電源
450:第1のソケット(給電ソケット)
460:第2のソケット(ダミーソケット)
470:第1のソケット(給電ソケット)
480:第2のソケット(給電ソケット)
910:無線基地局
920:インターネット
930:サーバ装置
B:ビーコン信号
C:設定変更用情報
H:報知光
L,La〜Lf:照明光
M:作業者
Q1:長手方向軸
Q2:基板配置軸
S1〜S19:流れ図の各ステップ
T1〜T4:端末装置
TS:設定用端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
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図18