(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明についてより詳しく説明する。
本発明において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているというとき、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
本発明において、ある部分がある構成要素を「含む」というとき、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0012】
<着色感光性樹脂組成物>
本発明の一様態は、粒子状態で存在するローダミン系染料及び顔料を含む着色剤;並びにトリアジン系化合物を含む分散剤;を含む着色感光性樹脂組成物に関する。一実施形態において、本発明は、粒子状態で存在するローダミン系染料及び顔料を含む着色剤;並びにトリアジン系化合物を含む分散剤;を含む青色着色感光性樹脂組成物に関する。
【0013】
本発明に係る着色剤は、粒子状態で存在するローダミン系染料及び顔料を含む。
【0014】
ローダミン系染料
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、粒子状態で存在するローダミン系染料を含む。
本発明の一実施形態において、上記ローダミン系染料は、C.I.アシッドレッド52、87、91、92、94、289;C.I.アシッドイエロー73;C.I.ベーシックレッド1;C.I.ベーシックバイオレット10、11;及びC.I.ソルベントレッド49からなる群より選択される1種以上を含むことができる。
【0015】
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、粒子状態で存在するローダミン系染料を含むため、カラーフィルタを製造した場合、カラーフィルタ基板の画素、特に青色画素は、高コントラスト比を有することができる利点がある。
理論により限定されることを望んではいないが、一般的な染料を用いたカラーフィルタ基板では、染料が組成物中に溶解されているため、フリーベーキング時の乾燥凝集によりコントラスト比の低下、露光時の紫外線による染料分子の酸化によるコントラスト比の低下、ポストベーク時の染料分子の分解、昇華などによるコントラスト比の低下などが発生することがある。
【0016】
しかし、本発明では、上記ローダミン系染料が粒子状態で存在するため、塗布、乾燥、露光、現像、ポストベーク後にも上記ローダミン系染料が粒子状態で安定的に維持されるので、カラーフィルタの画素、特に青色画素のコントラスト比に優れた利点がある。
上記ローダミン系染料は、エステル系溶媒であるプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)に不溶性であることが好ましい。
上記PMAは、安定性、塗布性、乾燥性、及び顔料の分散安定性に優れるため、顔料を用いた着色感光性樹脂組成物に広く使用されている溶剤であって、上記ローダミン系染料が上記PMAに不溶性である場合、前述した特性を損なうことなく、後述する顔料及び上記ローダミン系染料が上記PMA中で粒子状態として安定的に存在することができるので、好ましい。
【0017】
上記ローダミン系染料は、精製を用いて上記ローダミン系染料中に含まれているイオン性不純物を除去しておくことが好ましい。例えば、上記ローダミン系染料に含まれているNa
+、Cl
−、SO
42−のようなイオン性不純物の和を20,000ppm以下とすることが好ましく、10,000ppm以下とすることがさらに好ましい。
上記ローダミン系染料に含まれているNa
+、Cl
−、SO
42−のようなイオン性不純物の和が20,000ppm以下を満たす場合、上記PMA中でイオン性不純物により分散安定性が低下される現象を防止することができる利点がある。
【0018】
上記ローダミン系染料の精製方法は、当業界において通常的に使用する方法であれば、これに限定されないが、例えば、再沈殿法、再結晶法、逆浸透膜法またはイオン交換樹脂(陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂)によるイオン交換などの方法を使用することができる。
【0019】
上記ローダミン系染料が、上記の着色感光性樹脂組成物中で、粒子状態で存在する状態であるかは粒度分析機(Particle size analyzer、accusizer780A)を用いて確認することができる。
本発明の着色感光性樹脂組成物で製造したカラーフィルタの中で、上記ローダミン系染料が粒子状態であるか、分子状態であるかを調べるためには、例えば、カラーフィルタの青色画素をFIB−TEM分析及びEDX元素分析により下記のように判断することができる。
上記製造されたカラーフィルタは、顔料粒子及び上記ローダミン系染料粒子が混在しているため、これらの粒子100個について分析を行う。上記顔料及び上記ローダミン系染料の粒子径は10〜500nmであるため、FIB−TEMの測定直径は1〜10nmとする。FIB−TEM観察後、観察部をEDXにより元素分析を行う。上記粒子100個のEDX分析結果と上記ローダミン系染料自体のEDX分析結果とを比べて、分析結果が一致する粒子が1〜100個であれば、製造されたカラーフィルタの中で上記ローダミン系染料が粒子状態で存在するかどうかを判定することができる。
【0020】
一方、上記の着色感光性樹脂組成物中に上記ローダミン系染料が含まれているかどうかは、例えば、レーザーラマン分光法により判断することができる。すなわち、上記着色感光性樹脂組成物の塗布、溶媒乾燥、露光、現像、ポストベークを行って画素を製作する。こうして製造された画素のレーザーラマン分光スペクトルと上記ローダミン系染料自体のレーザーラマン分光スペクトルとを比べることで、上記着色感光性樹脂組成物中に上記ローダミン系染料が含まれているかどうかを判断することができる。
【0021】
上記ローダミン系染料及び後述する顔料の平均粒子径は、30〜200nmであることが好ましく、30〜100nmであることがさらに好ましい。上記ローダミン系染料の平均粒子径が200nmを超える場合、粒子の散乱により透過率とコントラスト比が多少低下することがあり、上記ローダミン系染料の平均粒子径が30nm未満の場合、未露光部でのバインダー樹脂のアルカリ溶解性が多少低下し、パターン加工性が多少低下することがある。
【0022】
上記ローダミン系染料及び顔料をサンドミル、ボールミルなどの分散機を用いてジルコニアビーズによりせん断応力を印加することで、上記ローダミン系染料及び顔料の平均粒子径を上記範囲に調節することができる。
但し、従来知られている顔料の分散条件では、上記ローダミン系染料の平均粒子径を上記範囲内に調節することが多少困難となることがある。
要するに、上記顔料粉体は、30nm程度に組み立てられた1次粒子が集合して数μmの粉体粒子が形成されている。
上記の顔料粉体は、1次粒子同士の凝集力が小さいため、比較的に弱いせん断応力で短時間の分散で1次粒子の凝集を解き、平均粒子径を30〜200nmにできる。しかし、染料粉体は1nm程度の分子が集合し、数μmの粗大粒子で形成されている。染料粉体は分子同士の凝集力が強いため、弱いせん断応力では平均粒子径を200nmより小さくすることが多少困難である。また、染料には1次粒子が存在しないため、せん断応力を強くするか、分散時間を長くすれば、平均粒子径を30nmより小さくすることができる。
【0023】
よって、本発明では、上記ローダミン系染料及び顔料の平均粒子径を30〜200nmにするために、それぞれ異なる分散条件で分散することが好ましい。
上記ローダミン系染料の分散条件としては、ビーズ粒子径0.3〜2.0μmのジルコニアビーズを用いて強いせん断応力で分散時間を3〜10時間/kgにすることが好ましく、上記顔料の分散条件としては、ビーズ粒子径0.1〜2.0μmのジルコニアビーズを用いて分散時間を1〜10時間/kgにすることが好ましい。
【0024】
本発明では、別途の分散過程を経た上記ローダミン系染料分散液と上記顔料分散液とを混合した後、さらに分散する過程を経ることが好ましい。この過程により上記ローダミン系染料及び顔料の平均粒径を30〜100nmの範囲に調節することができ、透過率とコントラスト比をさらに向上させることができる。
【0025】
上記混合分散液の追加分散条件としては、ビーズ粒子径0.01〜0.2μmのジルコニアビーズを用いて弱いせん断応力で分散時間を0.1〜3時間/kgにすることが好ましい。
また、本発明の着色感光性樹脂組成物は、上記組成物中に分散安定化されたローダミン系染料とトリアジン系化合物とを含む分散剤をともに含むため、ローダミン系染料が単独で含まれる場合よりコントラストが低下する問題をさらに改善することができる利点がある。
上記ローダミン系染料は、上記着色剤分散液全体100重量部に対して1乃至80重量部で含まれることが好ましく、2乃至50重量部で含まれることがより好ましい。上記ローダミン系染料が上記範囲内に含まれる場合、分散安定性及び透過率の側面で好ましい。上記ローダミン系染料が1重量部未満で含まれる場合、透過率が多少低下することがあり、80重量部を超える場合、染料の凝集により分散安定性が多少低下することがある。
【0026】
トリアジン系化合物を含む分散剤
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、トリアジン系化合物を含む分散剤を含む。上記トリアジン系化合物は、当業界において分散剤として知られた物質であれば、これらに限定されない。例えば、特開2008−214515号公報、特開2011−032374号公報に記載のトリアジン系分散剤を用いることができる。
【0027】
本発明のまた他の実施形態において、上記トリアジン系化合物としては、下記化学式1で表される化合物を含む。
【0028】
[化学式1]
【化1】
化学式1中、
Rは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基または−NR1R2基であり、
R1及びR2は、それぞれ独立的に水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、
このとき、前記アルキル基及びアルコキシ基は、水酸基または炭素数1〜20の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基で置換または非置換される。
【0029】
炭素数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、sec−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。
また、炭素数1〜20のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、sec−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などの直鎖状または分岐鎖状の炭素数1〜20のアルコキシ基が挙げられる。
【0030】
本発明に係る分散剤は、上記化学式1で表されるトリアジン系化合物を含んで各種媒体中に顔料及び上記ローダミン系染料を均一に分散させることができる。したがって、本発明のトリアジン系化合物を含む着色感光性樹脂組成物は、顔料及び上記ローダミン系染料の再凝集及び粘度の上昇が抑制されるので、良好な貯蔵安定性を備えている。
【0031】
また、分散剤の中でも上記トリアジン系化合物は、樹脂型分散剤と併用した場合、顔料及び上記ローダミン系染料の分散性を向上させる効果及び再凝集を抑制する効果が特に顕著になる。
また、本発明の上記化学式1で表されるトリアジン系化合物は、可視領域で白色を示すため、上記トリアジン系化合物を含む着色感光性樹脂組成物から形成されたカラーフィルタにより高輝度の発色が可能なカラー液晶ディスプレイを製作することができる。上記トリアジン系化合物は、それを使用した着色感光性樹脂組成物の初期粘度が比較的に低く、また顔料の再凝集を抑制する効果が高いので、分散剤の貯蔵安定性に優れ、貯蔵による粘度の上昇が比較的に少ない特徴がある。
【0032】
本発明のまた他の実施形態において、上記トリアジン系化合物は、上記着色剤全体100重量部に対して0.1乃至60重量部で含まれることが好ましい。上記トリアジン系化合物が上記範囲内に含まれる場合、上記ローダミン系染料及び上記顔料の結晶成長を抑制することができるため好ましい。上記トリアジン系化合物が上記着色剤に対して0.1重量部未満で含まれる場合、上記ローダミン系染料が凝集される現象が発生することができ、60重量部を超えて含まれる場合、コントラスト比が多少低下することがある。
【0033】
着色剤
本発明に係る着色剤は、上記ローダミン系染料を1種以上含み、1種以上の顔料及び上記顔料分散剤を含むことができる。上記ローダミン系染料は、前述した内容を適用することができる。
【0034】
上記顔料は、当該分野において一般的に使用される有機顔料または無機顔料を使用することができる。上記顔料は、印刷インク、インクジェットインクなどに使用される各種の顔料を使用することができ、具体的には、水溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラキノン顔料、ジアントラキノニル顔料、アントラピリミジン顔料、アンタントロン(anthanthrone)顔料、インダントロン(indanthrone)顔料、フラバントロン顔料、ピラントロン(pyranthrone)顔料、ジケトピロロピロール顔料などが挙げられる。
【0035】
上記無機顔料としては、金属酸化物や金属錯塩などの金属化合物が挙げられ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン、カーボンブラックなどの金属の酸化物または複合金属酸化物などが挙げられる。特に、上記有機顔料及び無機顔料としては、具体的に色指数(The society of Dyers and Colourists出版)でピグメントと分類されている化合物が挙げられ、より具体的には以下のような色指数(C.I.)番号の顔料が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0036】
C.I.ピグメントイエロー13、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、180及び185
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65及び71
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、215、216、224、242、254、255及び264
C.I.ピグメントバイオレット14、19、23、29、32、33、36、37及び38
C.I.ピグメントブルー15(15:3、15:4、15:6など)、21、28、60、64及び76
C.I.ピグメントグリーン7、10、15、25、36、47、58、59、62及び63
C.I.ピグメントブラウン28
C.I.ピグメントブラック1及び7など
上記顔料らは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0037】
上記例示されたC.I.ピグメント顔料の中でも、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントブルー15:3、及びC.I.ピグメントブルー15:6から選択される顔料が好ましく使用されることができる。
【0038】
上記顔料は、その粒径が均一に分散した着色剤分散液を使用することが好ましい。上記顔料の粒径を均一に分散させるための方法の一例として顔料分散剤を含有させて分散処理する方法などが挙げられ、この方法によれば、顔料が溶液中に均一に分散した状態の着色剤分散液が得られるので、好ましい。
上記顔料分散剤は、前述したトリアジン系化合物を含む分散剤とは別にさらに追加されることができるものであって、例えば、陽イオン系、陰イオン系、非イオン系、陽性、ポリエステル系、ポリアミン系などの界面活性剤などが挙げられ、これらはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができるが、これに限定されない。
【0039】
上記顔料の含量は、上記着色剤分散液全体100重量部に対して1乃至50重量部の範囲が好ましく、5乃至40重量部の範囲であることがより好ましい。上記顔料の含量が上記の基準で1乃至50重量部の範囲であれば、粘度が低く、貯蔵安定性に優れており、分散効率が高くて明暗比の上昇に効果的であるため好ましい。
【0040】
また、上記着色剤分散液は、分散媒体をさらに含むことができる。
上記分散媒体は、顔料の脱凝集及び安定性の維持のために添加されるものであって、当該分野において一般的に使用されるものを制限なしに使用することができる。好ましくは、BMA(ブチルメタクリレート)またはDMAEMA(N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート)を含むアクリレート系分散剤(以下、アクリル分散剤という)を含有することがよい。このとき、上記アクリル分散剤は、韓国公開特許2004−0014311号公報で提示されたようなリビング制御方法により製造されたものを適用することが好ましい。上記リビング制御方法を通じて製造されたアクリレート系分散剤の市販品としては、例えば、DISPER BYK−2000、DISPER BYK−2001、DISPER BYK−2070、DISPER BYK−2150などが挙げられる。
上記例示のアクリル分散剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0041】
上記分散媒体は、上記のアクリル分散剤のほか、他の樹脂タイプの顔料分散剤を使用することもできる。上記他の樹脂タイプの顔料分散剤としては、公知の樹脂タイプの顔料分散剤、特に、ポリウレタン、ポリアクリレートに代表されるポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸の(部分的)アミン塩、ポリカルボン酸のアンモニウム塩、ポリカルボン酸のアルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアミドホスフェート塩、ヒドロキシル基−含ポリカルボン酸のエステル及びこれらの改質生成物、またはフリー(free)カルボキシ基を有するポリエステルとポリ(低級アルキレンイミン)の反応により形成されたアミドまたはこれらの塩のような油質の分散剤;(メト)アクリル酸−スチレンコポリマー、(メト)アクリル酸−(メト)アクリレートエステルコポリマー、スチレン−マレイン酸コポリマー、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンのような水溶性樹脂または水溶性ポリマー化合物;ポリエステル;改質ポリアクリレート;エチレンオキシド/プロピレンオキシドの付加生成物及びホスフェートエステルなどが挙げられる。
【0042】
上記の樹脂型分散剤の市販品としては、陽イオン系樹脂分散剤としては、例えば、BYK(ビック)ケミー社の商品名:DISPER BYK−160、DISPER BYK−161、DISPER BYK−162、DISPER BYK−163、DISPER BYK−164、DISPER BYK−166、DISPER BYK−171、DISPER BYK−182、DISPER BYK−184;BASF社の商品名:EFKA−44、EFKA−46、EFKA−47、EFKA−48、EFKA−4010、EFKA−4050、EFKA−4055、EFKA−4020、EFKA−4015、EFKA−4060、EFKA−4300、EFKA−4330、EFKA−4400、EFKA−4406、EFKA−4510、EFKA−4800;Lubirzol社の商品名:SOLSPERS−24000、SOLSPERS−32550、NBZ−4204/10;川研ファインケミカル社の商品名:ヒノアクト(HINOACT)T−6000、ヒノアクトT−7000、ヒノアクトT−8000;味の素社の商品名:アジスパー(AJISPUR)PB−821、アジスパーPB−822、アジスパーPB−823;共栄社化学社の商品名:フローレン(FLORENE)DOPA−17HF、フローレンDOPA−15BHF、フローレンDOPA−33、フローレンDOPA−44などが挙げられる。上記のアクリル分散剤のほか、他の樹脂タイプの顔料分散剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができ、アクリル分散剤と併用して使用することもできる。
【0043】
上記の顔料分散剤は、上記の着色感光性樹脂組成物の固形分全体100重量部に対して0.1乃至30重量部で含まれることが好ましく、0.1乃至15重量部で含まれることがより好ましい。上記の顔料分散剤の含量が上記の範囲を満たす場合、コントラスト及び安定性を向上させることができる。
【0044】
本発明のまた他の実施形態において、上記の着色感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤及び溶剤からなる群より選択される少なくとも一つをさらに含むことが好ましい。
【0045】
アルカリ可溶性樹脂
アルカリ可溶性樹脂は、カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体を含んで重合される。これは、パターンを形成する時の現像処理工程で用いられるアルカリ現像液に対して可溶性を付与する成分である。
【0046】
カルボキシ基を有するエチレン性不飽和単量体は、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸類;フマル酸、メサコン酸、イタコン酸などのジカルボン酸類またはこれらの無水物;ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなどの両末端にカルボキシ基と水酸基を有するポリマーのモノ(メタ)アクリレート類などが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。これらは、単独または2種以上を混合して使用ことができる。
【0047】
本発明に係るアルカリ可溶性樹脂は、上記単量体と共重合可能な少なくとも1種の他の単量体をさらに含んで重合されたものであることが好ましく、例えば、スチレン、ビニルトルエン、メチルスチレン、p−クロロスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ビニルベンジルメチルエーテル、m−ビニルベンジルメチルエーテル、p−ビニルベンジルメチルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−o−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−m−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−p−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−o−メチルフェニルマレイミド、N−m−メチルフェニルマレイミド、N−p−メチルフェニルマレイミド、N−o−メトキシフェニルマレイミド、N−m−メトキシフェニルマレイミド、N−p−メトキシフェニルマレイミドなどのN−置換マレイミド系化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどの脂環族(メタ)アクリレート類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどのアリール(メタ)アクリレート類;3−(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−トリフルオロメチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−フェニルオキセタン、2−(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、2−(メタクリロイルオキシメチル)−4−トリフルオロメチルオキセタンなどの不飽和オキセタン化合物などが挙げられる。これらは、単独または2種以上を混合して使用することができる。
本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを意味する。
【0048】
本発明に係るアルカリ可溶性樹脂の含量は、特に限定されず、例えば、着色感光性樹脂組成物中の固形分全体100重量部に対して5乃至80重量部で含まれることが好ましく、10乃至70重量部で含まれることがより好ましい。上記アルカリ可溶性樹脂の含量が上記範囲の以内である場合、現像液への溶解性が十分であるためパターン形成が容易であり、現像時に露光部の画素部分の膜減少が防止され、非画素部分の欠落性が良好になり得る。
【0049】
光重合性化合物
本発明の着色感光性樹脂組成物に含有される光重合性化合物は、光及び後述する光重合開始剤の作用で重合することができる化合物であって、単官能単量体、2官能単量体、その他の多官能単量体などが挙げられる。
【0050】
上記単官能単量体の種類は、特に限定されず、例えば、ノニルフェニルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0051】
上記2官能単量体の種類は、特に限定されず、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイルオキシエチル)エーテル、3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0052】
上記多官能単量体の種類は、特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0053】
上記の光重合性化合物は、着色感光性樹脂組成物の固形分全体100重量部に対して5乃至50重量部で含まれることが好ましく、7乃至48重量部で含まれることがより好ましい。光重合性化合物の含量が上記範囲の以内に含まれれば、画素部の強度や平滑性が良好になり得る。
【0054】
光重合開始剤
本発明の着色感光性樹脂組成物に含有される光重合開始剤は、制限されないが、トリアジン系化合物、アセトフェノン系化合物、ビイミダゾール系化合物及びオキシム化合物からなる群より選択される1種以上の化合物が好ましい。上記光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物は高感度であり、この組成物を使用して形成される画素(ピクセル)はその画素部の強度やパターン性が良好になる。
【0055】
また、光重合開始剤に光重合開始補助剤を併用すれば、これらを含有する感光性樹脂組成物がさらに高感度になって、この組成物を使用してカラーフィルタを形成する時の生産性が向上するので、好ましい。
トリアジン系化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(フラン−2−イル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル]−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル]−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
【0056】
アセトフェノン系化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。
【0057】
ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール、4,4',5,5'位置のフェニル基がカルボアルコキシ基によって置換されているイミダゾール化合物などが挙げられる。これらのうち、2,2'−ビス(2−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾールが好ましく使用される。
【0058】
また、本発明の効果を損傷しない程度であれば、この分野において通常使用されているその他の光重合開始剤などをさらに含むこともできる。その他の光重合開始剤としては、例えばベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、アントラセン系化合物などが挙げられる。これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0059】
ベンゾイン系化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0060】
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、O−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、3,3',4,4'−テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4,4'−ジ(N、N'−ジメチルアミノ)−ベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0061】
チオキサントン系化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。
【0062】
アントラセン系化合物としては、例えば、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセンなどが挙げられる。
【0063】
その他に、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナントレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物などをその他の光重合開始剤として挙げられる。
【0064】
また、本発明において、光重合開始剤に組み合わせて使用することができる光重合開始補助剤としては、アミン化合物、及びカルボン酸化合物などからなる群より選択される1種以上の化合物が好ましく使用されることができる。
【0065】
光重合開始補助剤のうちアミン化合物の具体例としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの脂肪族アミン化合物;4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称:ミヒラーケトン)、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの芳香族アミン化合物などが挙げられる。アミン化合物としては、芳香族アミン化合物が好ましく使用される。
【0066】
カルボン酸化合物は、例えば、フェニルチオ酢酸、メチルフェニルチオ酢酸、エチルフェニルチオ酢酸、メチルエチルフェニルチオ酢酸、ジメチルフェニルチオ酢酸、メトキシフェニルチオ酢酸、ジメトキシフェニルチオ酢酸、クロロフェニルチオ酢酸、ジクロロフェニルチオ酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸などの芳香族ヘテロ酢酸類などが挙げられる。
【0067】
本発明の着色感光性樹脂組成物で光重合開始剤の含量は、着色感光性樹脂組成物の固形分全体100重量部に対して0.1乃至20重量部で含まれることが好ましく、1乃至12重量部で含まれることがより好ましい。上記光重合開始剤の使用量が上記範囲内に含まれる場合には、感光性樹脂組成物が高感度化されて画素部の強度や、この画素部表面での平滑性が優秀である。
【0068】
また、光重合開始補助剤の使用量は、着色感光性樹脂組成物の固形分全体100重量部に対して、0.1乃至20重量部で含まれることが好ましく、1乃至10重量部で含まれることがより好ましい。上記光重合開始補助剤の使用量が上記範囲内に含まれれば、感光性樹脂組成物の感度効率性がさらに高くなり、この組成物を使用して形成されるカラーフィルタの生産性が向上することができる。
【0069】
溶剤
本発明の着色感光性樹脂組成物に含有される溶剤は、特に制限されず、着色感光性樹脂組成物の分野で使用されている各種有機溶剤を使用することができる。
上記溶剤は、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類;メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテートなどのアルコキシアルキルアセテート類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類;3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類;γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられる。これらは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0070】
上記の溶剤は、塗布性及び乾燥性の面において、好ましくは、上記溶剤のうち沸点が100℃乃至200℃の有機溶剤が挙げられ、より好ましくは、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、3−エトキシプロピオン酸エチルや、3−メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類が挙げられ、さらに好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチルなどが挙げられる。これらの溶剤は、それぞれ単独でまたは2種類以上を混合して使用することができる。
【0071】
本発明の着色感光性樹脂組成物中の溶剤の含有量は、それを含む感光性樹脂組成物全体100重量部に対して60乃至90重量部で含まれることが好ましく、68乃至85重量部で含まれることがより好ましい。上記溶剤の含量が上記範囲以内に含まれる場合には、ロールコータ、スピンコータ、スリットアンドスピンコータ、スリットコータ(ダイコータともいうことがある)、インクジェットなどの塗布装置で塗布した時、塗布性が良好になる。
【0072】
本発明に係る着色感光性樹脂組成物は、これ以外にも、他の高分子化合物、硬化剤、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤のような添加剤をさらに含むこともでき、上記添加剤は、本発明の効果を阻害しない範囲で当業者が適切に追加して使用することが可能である。
【0073】
<カラーフィルタ>
本発明のまた他の様態は、前述した着色感光性樹脂組成物を用いて製造されたカラーフィルタに関する。
上記カラーフィルタは、基板及び上記基板の上部に形成されたパターン層を含む。
上記基板は、上記カラーフィルタ自体の基板であることがあり、またはディスプレイ装置などにカラーフィルタが位置される部位であることもあって、特に制限されない。上記基板は、ガラス、シリコン(Si)、シリコン酸化物(SiOx)または高分子基板であり、上記高分子基板は、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone、PES)またはポリカーボネート(polycarbonate、PC)などである。
【0074】
上記パターン層は、本発明の着色感光性樹脂組成物を含む層であり、上記着色感光性樹脂組成物を塗布し、所定のパターンで露光、現像及び熱硬化して形成された層であることができる。上記パターン層は、当業者において通常的に知られた方法を行うことにより形成することができる。
上記のような基板及びパターン層を含むカラーフィルタは、各パターンの間に形成された隔壁をさらに含むことができ、ブラックマトリックスをさらに含むことができるが、これに限定されない。
また、上記カラーフィルタのパターン層上部に形成された保護膜をさらに含むこともできる。
【0075】
<画像表示装置>
また、本発明の他の様態は、前述したカラーフィルタを含む画像表示装置に関する。
本発明のカラーフィルタは、通常の液晶表示装置だけでなく、電界発光表示装置、プラズマ表示装置、電界放出表示装置などの各種画像表示装置に適用可能である。
本発明の画像表示装置は、光効率に優れて高輝度を示し、色再現性に優れ、高コントラストを示すことができる。
【実施例】
【0076】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本明細書に係る実施例は、様々な他の形態に変形されることができ、本明細書の範囲が下記で詳述する実施例に限定されるとは解析されない。本明細書の実施例は、当業界において平均的な知識を有した者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。また、以下において含有量を示す「%」及び「部」は、特に言及しない限り重量基準である。
【0077】
合成例1:トリアジン化合物1
水100重量部に、2−クロロ−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン18.4重量部と3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン21重量部とを加え、10℃で1時間反応させた。得られた反応物を、85℃で5時間反応させた。得られた反応物を浸出させて得た残渣を水洗した後、100℃の恒温槽で一晩静置して乾燥させ、下記の化学式2の化合物を得た。
【0078】
[化学式2]
【化2】
【0079】
合成例2:トリアジン化合物2
水100重量部に、2−クロロ−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン18.4重量部、及びブチルアミン21重量部を加え、10℃で1時間反応させた。得られた反応物を、85℃で5時間反応させた。得られた反応物を浸出させて得た残渣を水洗した後、100℃の恒温槽で一晩静置して乾燥させ、下記の化学式3の化合物を得た。
【0080】
[化学式3]
【化3】
【0081】
合成例3:トリアジン化合物3
水100重量部に、2−クロロ−4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン18.4重量部、及び1,3−ブタンジオール21重量部を加え、水酸化ナトリウム10重量部を添加した後、10℃で3時間反応させた。得られた反応物を、85℃で5時間反応させた。得られた反応物を浸出させて得た残渣を水洗した後、100℃の恒温槽で一晩静置して乾燥させ、下記の化学式4の化合物を得た。
【0082】
[化学式4]
【化4】
【0083】
樹脂(B−1)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えたフラスコを準備し、一方、モノマー滴下ロートとして、ベンジルマレイミド74.8g(0.20モル)、アクリル酸43.2g(0.30モル)、ビニルトルエン118.0g(0.50モル)、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート4g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)40gを投入後、撹拌混合して用意し、連鎖移動剤滴下槽として、n−ドデカンチオール6g、及びPGMEA24gを入れて撹拌混合したものを用意した。以後、フラスコにPGMEA395gを導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後、撹拌しながら、フラスコの温度を90℃まで昇温した。
次に、モノマー及び連鎖移動剤を滴下ロートから滴下開始した。滴下は90℃を維持しながら、それぞれ2時間進行させ、1時間後に110℃まで昇温して、110℃で3時間維持した後、ガス導入管を導入させて、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次に、グリシジルメタクリレート28.4g[(0.10モル)、(本反応に使用したアクリル酸のカルボキシ基に対して33モル%)]、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4g、トリエチルアミン0.8gをフラスコ内に投入し、110℃で8時間反応し続けて、固形分の酸価が70mgKOH/gの樹脂B−1を得た。
得られた樹脂B−1について、GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は16,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。
【0084】
樹脂(B−2)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート182gを導入して、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後、100℃に昇温後、ベンジルメタクリレート70.5g(0.40モル)、メタクリル酸45.0g(0.50モル)、2−(2−メチル)アダマンチルメタクリレート22.0g(0.10モル)、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136gを含む混合物に、アゾビスイソブチロニトリル3.6gを添加した溶液を、滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、100℃で5時間さらに撹拌し続けた。
次に、フラスコ内の雰囲気を窒素から空気にし、グリシジルメタクリレート30g[0.2モル、(本反応に使用したメタクリル酸のカルボキシ基に対して40モル%)]、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.9g、及びヒドロキノン0.145gをフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応をし続けて、固形分の酸価が99mgKOH/gの樹脂B−2を得た。
得られた樹脂B−2について、GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は23,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。
【0085】
上記の樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定についてはGPC法を用いて以下の条件で行った。
装置:HLC−8120GPC(東ソー(株)製)
カラム:TSK−GELG4000HXL+TSK−GELG2000HXL(直列接続)
カラム温度:40℃
移動相溶剤:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
注入量:50μL
検出器:RI
測定試料濃度:0.6質量%(溶剤=テトラヒドロフラン)
校正用標準物質:TSK STANDARD POLYSTYRENE F−40、F−4、F−1、A−2500、A−500(東ソー(株)製)
上記で得られた重量平均分子量及び数平均分子量の比を分子量分布(Mw/Mn)とした。
【0086】
着色剤分散液1の調製
トリアジン誘導体として合成例1の化学式2の化合物2 0.48重量部、C.I.ピグメントブルー15:6 9.12重量部、C.I.アシッドレッド52 2.88重量部、アクリル系分散剤[Disperbyk(登録商標)2000;ビックケミー社製]3.84重量部、樹脂B−1 2.88重量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート55.04重量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテル5.76重量部と、0.2mm直径のジルコニアビーズ360重量部を、容量140mLのマヨネーズ瓶に投入し、ペイントコンディショナーで、60℃で10時間混練して分散処理を行った。その後、ジルコニアビーズを除去し、分散液を得た。上記分散液を、孔径(pore size)1.0μmのメンブレンフィルタでろ過し、着色剤分散液1を得た。
【0087】
着色剤分散液2の調製
トリアジン誘導体として合成例2の化学式3の化合物を使用した以外は、着色剤分散液1の調製と同様に行った。
【0088】
着色剤分散液3の調製
トリアジン誘導体として合成例3の化学式4の化合物を使用した以外は、着色剤分散液1の調製と同様に行った。
【0089】
着色剤分散液4の調製
トリアジン誘導体を使用しなかった以外は、着色剤分散液1の調製と同様に行った。
【0090】
着色剤分散液5の調製
ローダミン系染料としてローダミンBを使用した以外は、着色剤分散液1の調製と同様に行った。
【0091】
着色感光性樹脂組成物の製造
下記の表1に記載されている組成に従って、実施例及び比較例による着色感光性樹脂組成物を製造した。
【0092】
【表1】
*DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA;日本化薬株式会社製
*OXE−01:IRGACURE OXE−01、BASF社製
*PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0093】
カラーフィルタ(Glass基板)の製造例
実施例及び比較例によって製造された着色感光性樹脂組成物を用いてカラーフィルタを製造した。すなわち、上記それぞれの着色感光性樹脂組成物を、スピンコーティング法でガラス基板上に塗布した後、加熱板上に置いて100℃の温度で3分間維持し、薄膜を形成させた。次に、上記薄膜上に、透過率を1乃至100%の範囲で階段状に変化させるパターンと、1μm乃至50μmのライン/スペースパターンとを有する試験フォトマスクを載せ、試験フォトマスクとの間隔を100μmとして紫外線を照射した。この時、紫外線光源は、g、h、i線をすべて含有する1kWの高圧水銀灯を用いて100mJ/cm
2の照度で照射し、特別な光学フィルタは使用しなかった。上記の紫外線が照射された薄膜を、pH10.5のKOH水溶液現像溶液に2分間浸漬して現像した。この薄膜が施されたガラス板を蒸溜水を用いて洗浄した後、窒素ガスを吹き付けて乾燥し、220℃の加熱オーブンで1時間加熱し、カラーフィルタを製造した。上記で製造されたカラーフィルタのフィルム厚さは2.0μmであった。
【0094】
コントラストの測定
実施例1乃至3及び比較例1、2のポストベーク後の着色ガラス板(カラーフィルタ)のコントラストを、コントラスト測定装置を用いて測定した。
コントラスト測定装置は、色彩輝度計(商品名:LS−100、コニカミノルタセンシング(株)製)、ランプ(商品名:HF−SL−100WLCG、ジョントン産業(株)製)及び偏光板(商品名:POLAX−38S、(株)ルケオ製)で構成した。
バックライト上に、偏光板(POLAX−38S)と着色ガラス板との間隔が1mmになるように偏光板を設けた。
その上部に回転可能な偏光板を設けた。バックライトの輝度が十分に安定したことを確認後、上部に設けた回転可能な偏光板をクロスニコルの位置に調節して着色ガラス板の輝度を測定し、次いで、90度回転させてパラレルの位置で着色ガラス板の輝度を測定した。両者の比(%)をコントラストとして求めた。
結果を下記の表2に示し、実施例1乃至3のコントラスト値は、比較例1の着色感光性樹脂組成物を使用して得られる着色ガラス板のコントラストを標準(100)とした場合の相対値として示した。
【0095】
輝度(Y)の測定
実施例1乃至3及び比較例1、2による着色ガラス板の輝度(Y)を次のようにして測定した。着色ガラス板を分光測色計(商品名:CM−3700d、コニカミノルタセンシング(株)製)にセットし、C光源2度(゜)におけるX、Y、Z座標軸での透過色度を測定した。この時のY値を輝度(Y)として採用した。結果を下記の表2に示した。
下記の表2において実施例1乃至3の輝度値は、比較例1の着色感光性樹脂組成物を用いて得られる着色ガラス板の輝度を標準(100)とした場合の相対値として示した。
【0096】
現像残渣の測定
実施例1乃至3及び比較例1、2の着色ガラス板の残存物の有無を光学顕微鏡で確認した。その結果を下記の表2に示し、現像残渣の結果は、残存物がない時は○、残存物が存在する時は×と示した。
【0097】
耐熱性の測定
実施例1乃至3及び比較例1、2のポストベーク後の着色ガラス板(カラーフィルタ)の230℃/2hr前後の色変化を比較評価した。着色ガラス板を分光測色計(商品名:CM−3700d、コニカミノルタセンシング(株)製)にセットし、C光源2度(゜)におけるL*、a*、b*値を測定した。L*、a*、b*と定義される3次元色度計での色変化は、下記の[数式1]により計算され、色変化値が小さいほど高信頼性のカラーフィルタ製造が可能である。
[数式1]
△Eab*=[(△L*)
2+(△a*)
2+(△b*)
2]
1/2
【0098】
下記の表2において、実施例1乃至3の輝度値は、比較例1の着色感光性樹脂組成物を使用して得られる着色ガラス板の耐熱性を標準(100)とした場合の相対値として示した。
【0099】
耐溶剤性の測定
実施例1乃至3及び比較例1、2のポストベーク後の着色ガラス板(カラーフィルタ)をN−メチルピロリドン溶剤に30分間浸漬させ、評価前後の色変化を比較評価した。着色ガラス板を分光測色計(商品名:CM−3700d、コニカミノルタセンシング(株)製)にセットし、C光源2度(゜)におけるL*、a*、b*値を測定した。L*、a*、b*と定義される3次元色度計での色変化は、上記[数式1]により計算され、色変化値が小さいほど高信頼性のカラーフィルタ製造が可能である。
【0100】
下記の表2において、実施例1乃至3の輝度値は、比較例1の着色感光性樹脂組成物を使用して得られる着色ガラス板の耐溶剤性を標準(100)とした場合の相対値として示した。
【0101】
【表2】
化学式1の構造のトリアジンを使用した実施例1乃至3の場合、トリアジン誘導体を添加しなかった比較例1と輝度及び現像残渣、耐熱性、耐溶剤性は似ているが、高いコントラストが得られ、溶解型ローダミン系染料を使用した比較例2と輝度は類似するが、良好な現像残渣と高い耐熱性及び耐溶剤性が得られた。