(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2光学部材は、前記発光部材の出射面と対向するよう配置され、前記発光部材からの光を灯具前方に向けて反射する回転楕円面または回転放物面を基調とする反射面を有し、
前記出射面は、前記第2光学部材の反射面の中心軸に対して後方向きに傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
前記複数の光源のうちの少なくともひとつは、出射されるレーザ光が前記発光部材の出射面に略垂直に入射するよう設けられることを特徴とする請求項4に記載の光源モジュール。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0020】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施形態に係る車両用灯具10の構成を示す断面図である。車両用灯具10は車両の前照灯として用いられる。車両用灯具10は車体前部の左右両側にそれぞれ配置される。本実施の形態では車体前方から見て右側に位置する車両用灯具10について説明する。左側の車両用灯具10も基本的に同様の構成を有する。
【0021】
車両用灯具10は、ランプボディ12、透光カバー14、灯具ユニット16、エクステンションリフレクタ18を備える。ランプボディ12は開口部を有する箱状に形成される。透光カバー14は、透光性を有する樹脂またはガラスによって椀状に形成される。透光カバー14は、ランプボディ12の開口部を覆うようにランプボディ12に取り付けられる。
【0022】
灯具ユニット16は、ランプボディ12と透光カバー14とによって形成される灯室20内に配置される。灯具ユニット16は、いわゆるプロジェクタ型の光学ユニットである。灯具ユニット16は、主表面が灯具前後方向を向くよう配置された金属製支持部材22の略中央に取り付けられる。金属製支持部材22は、エイミングスクリュー24によってランプボディ12に傾動自在に支持される。エイミングスクリュー24が回転すると金属製支持部材22が傾動し、それに伴って灯具ユニット16が傾動する。これにより、灯具ユニット16の光軸を水平方向および鉛直方向に調整できる。
【0023】
エクステンションリフレクタ18は、ランプボディ12と同様に灯室20内に配置される。エクステンションリフレクタ18は特に、ランプボディ12の開口部と灯具ユニット16の外周との間の領域を覆うように配置される。これにより、車両用灯具10の内部構造を隠すことができる。
【0024】
図2は、
図1の灯具ユニット16を示す断面図である。灯具ユニット16は、光源モジュール26、リフレクタ28、レンズホルダ30、投影レンズ32を備える。
【0025】
リフレクタ28は、略ドーム状の部材であり、光源モジュール26の上方に配置される。リフレクタ28は特に、蛍光体50(後述)の出射面50aと対向するよう配置される。リフレクタ28は、回転楕円面を基調とした反射面28aを内側に有する。反射面28aは、第1焦点と、第1焦点よりも灯具前方側に位置する第2焦点とを有する。リフレクタ28は、反射面28aの第1焦点が蛍光体50と略一致するよう、蛍光体50との位置関係が定められている。
【0026】
レンズホルダ30は前後方向に延在する部材である。レンズホルダ30は、その後方側が光源モジュール26に固定される。レンズホルダ30の前方側には投影レンズ32が固定される。投影レンズ32は、前方側表面が凸面で後方側表面が平面の平凸非球面レンズである。投影レンズ32は、その後方焦点を含む後方焦点面上に形成される光源像を、反転像として灯具前方の仮想鉛直スクリーン上に投影する。
【0027】
光源モジュール26は、光源ユニット34、ヒートシンク42、集光リフレクタ44、蛍光体モジュール46、ケース48を備える。ケース48は箱状に形成される。ケース48内には光源ユニット34と集光リフレクタ44が収容される。
【0028】
光源ユニット34は、第1光源ユニット34a、第2光源ユニット34b、第3光源ユニット34cを含む。第1光源ユニット34aは、第1光源36a、第1基板38a、第1レンズ40aを含む。第1光源36aは、青色のレーザ光を発するレーザダイオードである。本実施の形態では、第1光源36aは、380〜470nmの波長域内にピーク波長を有するレーザダイオードである。第1光源36aは、固体レーザ、ガスレーザ等のレーザ装置であってもよい。
【0029】
第1基板38aは、ヒートシンク42の前面42aに取り付けられる。第1光源36aは、レーザ出射面が灯具前方を向くよう、第1基板38aに搭載される。第1レンズ40aは、第1光源36aと集光リフレクタ44との間に設けられる。第1レンズ40aは、第1光源36aから集光リフレクタ44に向かうレーザ光を平行光に変換する。なお、第1レンズ40aは、上下方向の傾き角度を調整できる機能を有していてもよい。この場合、第1基板38aの寸法誤差等による傾き誤差を修正できる。
【0030】
第2光源ユニット34bは、第2光源36bと、第2基板38bと、第2レンズ40bと、を含む。
第3光源ユニット34cは、第3光源36cと、第3基板38cと、第3レンズ40cと、を含む。
第2光源36b、第3光源36cはそれぞれ第1光源36aと同様の構成を有する。
第2基板38b、第3基板38cはそれぞれ第1基板38aと同様の構成を有する。
第2レンズ40b、第3レンズ40cはそれぞれ第1レンズ40aと同様の構成を有する。なお、第2レンズ40b、第3レンズ40cは、上下方向の傾き角度を調整できる機能を有していてもよい。
【0031】
ヒートシンク42は、アルミニウムなどの熱伝導率が高い材料によって形成される。ヒートシンク42の前面42aは平坦な形状を有する。この前面42aに、第1光源36aを搭載した第1基板38a、第2光源36bを搭載した第2基板38b、第3光源36cを搭載した第3基板38cが取り付けられる。逆に言うと、第1基板38a、第2基板38bおよび第3基板38cは、後方側の面が同一平面上に位置するよう配置されるため、ヒートシンク42の前面42aを平坦な形状にすることができる。
【0032】
ヒートシンク42は、前面42a側がケース48の背面48aに形成された貫通孔48bからケース48内にわずかに進入し、残りの部分がケース48外に突出するよう設けられる。これにより、各光源で発生した熱をケース48外に放熱することができ、光源ひいては光源モジュール26の温度上昇が抑えられる。
【0033】
集光リフレクタ44は光源ユニット34の前方に設けられる。集光リフレクタ44は反射面44aを有する。この反射面44aは、蛍光体50を通る軸Axを中心軸とする回転放物面を基調とする形状を有する。
【0034】
光源ユニット34は、光源ユニット34からのレーザ光が軸Axと略平行に反射面44aに入射されるよう配置される。蛍光体50は、反射面44aの焦点と一致するよう配置される。具体的には、蛍光体50は、その中央が反射面44aの焦点と略一致するよう配置される。光源ユニット34、反射面44a、蛍光体50がこのように構成されることにより、複数の光源ユニット34からのレーザ光は蛍光体50に集光する。
【0035】
図3(a)、(b)は、蛍光体モジュール46とその近傍を示す図である。
図3(a)は、
図2のA−A線断面図である。
図3(b)は、
図3(a)を上から見た図である。蛍光体モジュール46は、蛍光体50、波長選択フィルタ52、保持部材53を含む。
【0036】
保持部材53は、種々の金属材料から形成される。例えば、保持部材53は、鉄、SUS、黄銅(真鍮)、モリブデン、タングステン、またはこれらの合金から形成される。保持部材53は、それぞれ円筒状の外周面を有する上側部53aと下側部53bとを含む。下側部53bの外周面は、上側部53aの外周面よりも小さな外径を有する。ケース48の上面48cには下側部53bの外径よりも大きい径(例えば数ミリ大きい径)の貫通孔48dが形成されている。保持部材53は、下側部53bが貫通孔48dに進入し、上側部53aの下面がケース48の上面48cに載置した状態でケース48に固定される。具体的には、保持部材53は、下側部53bが貫通孔48dに進入した状態で水平方向の位置が調整され、抵抗溶接、レーザ溶接、アーク溶接、半田、またはカシメによりケース48に固定される。
【0037】
保持部材53の略中央には、上側部53aの上面53cと、下側部53bの下面53dと、を連通する貫通孔58が形成されている。貫通孔58は、上側となるほどその断面積が大きくなるよう形成されている。したがって、貫通孔58の内壁58aは傾斜している。本実施の形態では、貫通孔58は、垂直断面における内壁58aの形状が、直線状となるよう形成される。
【0038】
貫通孔58は、上側となるほどその断面形状がより長尺な形状となるよう形成される。別の言い方をすると、貫通孔58は、上側となるほど、その断面における短尺方向の寸法と長尺方向方の寸法との比が大きくなるよう形成される。
【0039】
貫通孔58の下面53d側の開口58bは略円形状を有する。一方、貫通孔58の上面53c側の開口58cは略長円上を有する。したがって、開口58cの外周辺は、開口58cの長尺方向に延びる一対の直線状の辺58d、58eを含む。また、後述するように蛍光体50の出射面50aは略長円形状を有するため、出射面50aを通る断面における貫通孔58の形状も略長円形状を有する。
【0040】
また、貫通孔58は、上面53c側の開口58cにおける長尺方向の寸法D1が、短尺方向の寸法D2の2倍〜4倍となるよう形成される。つまり、開口58cは、短尺方向と長尺方向との比が1:2〜1:4となるよう形成される。
【0041】
蛍光体50は、光源ユニット34からの青色のレーザ光の一部を吸収してランバーシアンに黄色の光を発光する。残りのレーザ光は、蛍光体50に吸収されることなく蛍光体50から出射される。蛍光体50の構造は公知であるため詳細な説明は省略する。蛍光体50が発光した黄色の光と、吸収されることなく出射された青色のレーザ光とが混色されて白色光が生成される。白色光はリフレクタ28に向けて進行する。
【0042】
蛍光体50は、保持部材53の貫通孔58の形状に対応する形状を有する。逆に言うと、保持部材53の貫通孔58が、蛍光体50の形状に対応する形状を有する。具体的には、蛍光体50は、上側となるほどその断面積が大きくなるよう形成される。また、蛍光体50は、上側となるほどその断面形状がより長尺な形状となるよう形成される。別の言い方をすると、蛍光体50は、上側となるほど、その断面における短尺方向の寸法と長尺方向方の寸法との比が大きくなるよう形成される。
【0043】
蛍光体50の出射面50aは略長円形状を有する。そのため、出射面50aの外周辺は、長尺方向に延びる一対の直線状の辺50c、50dを含む。辺50c、50dは特に、開口58cの辺58d、58eと同じ方向に延びる。また、蛍光体50は、出射面50aにおける長尺方向の寸法D3が、短尺方向の寸法D4の2倍〜4倍となるよう形成される。つまり、蛍光体50は、出射面50aの短尺方向と長尺方向との比が1:2〜1:4となるよう形成される。
【0044】
波長選択フィルタ52は、蛍光体50の下方、すなわち蛍光体50と光源ユニット34の間に設けられる。波長選択フィルタ52は、光源ユニット34からの青色のレーザ光を透過する。また、波長選択フィルタ52は、蛍光体50が発光した黄色の光のうち、下方に向かう光を反射する。これにより、蛍光体50からの光の利用効率を高めることができる。
【0045】
本実施の形態では、波長選択フィルタ52は、蛍光体50の下面に蒸着により形成された誘電体多層膜である。誘電体多層膜は、屈折率の異なる誘電体物質を交互に多層に積層した薄膜であり、多重反射と多重干渉の効果により、波長380〜470nmの青色光を略100%透過し、波長471〜800nmの光を略100%反射する。なお、誘電体多層膜による波長471〜800nmの光の反射率は、略100%でなくてもよい。例えば略50%であっても、略80%であっても、その他の反射率であってもよい。
【0046】
蛍光体50および波長選択フィルタ52は、側面が貫通孔58の内壁58aに接するように貫通孔58に挿入され、圧入や接着により固定される。蛍光体50および波長選択フィルタ52は、ガラス等の透明部材により封止されることによって固定されてもよい。
【0047】
貫通孔58の内壁58aには反射膜54が設けられている。したがって、貫通孔58の内壁58aは反射面として機能する。蛍光体50においてランバーシアンに発光された光のうち下方に向かう光の少なくとも一部は、この反射膜54に反射されて上方すなわちリフレクタ28に向かう。これにより、蛍光体50からの光の利用効率を高めることができる。
【0048】
貫通孔58の内壁58aは蛍光体50よりも上側に突出する。すなわち、環状の反射面が蛍光体50よりも上側に突出する。この上側に突出した反射面により、蛍光体50においてランバーシアンに発光した光に指向性を持たせることができる。この突出した環状の反射面は、その上下方向における寸法D5が、蛍光体50の上下方向における寸法D6の1.2〜1.8倍となるよう形成される。より好ましくは、1.4〜1.6倍となるよう形成される。
【0049】
続いて、貫通孔58の開口58bの形状と、蛍光体50の入射面50bの形状と、蛍光体50の出射面50aの形状と、各光源から放射されるレーザ光の形状と、の関係について説明する。
図4は、これらの関係を説明するための説明図である。
図4では、蛍光体モジュール46を上から見た図が示される。ビームパターンP1は、貫通孔58の開口58b上でのレーザ光の断面形状を示す。ビームパターンP2は、蛍光体50の入射面50b上でのレーザ光の断面形状を示す。ビームパターンP3は、蛍光体50の出射面50a上でのレーザ光の断面形状を示す。
図4に示すように、レーザ光は断面が長尺状であり、光源から離れるにつれて拡がっていく。なお
図4では、レーザ光の厚みと拡がり度合とを誇張して描いている。
【0050】
貫通孔58の開口58bは、レーザ光のビームパターンP1よりも大きい。別の言い方をすると、開口58bの直径は、レーザ光のビームパターンP1の長尺方向の寸法よりも大きい。なお、開口58bの直径は、レーザ光のビームパターンP1の長尺方向の寸法と略同一であってもよい。
【0051】
蛍光体50の入射面50bは、レーザ光のビームパターンP2よりも大きい。別の言い方をすると、入射面50bの長尺方向の寸法は、レーザ光のビームパターンP2の長尺方向の寸法よりも大きい。なお、入射面50bの長尺方向の寸法は、レーザ光のビームパターンP2と略同一であってもよい。
【0052】
図2に戻り、ケース48は、その上面48cが光軸Oを含み、その上面48cとその前面48eとがなす稜線48fがリフレクタ28の第2焦点近傍に位置するよう構成される。リフレクタ28で反射された光は、リフレクタ28の第2焦点、すなわち稜線48fの近傍を通って投影レンズ32に入射する。ケース48の上面48cには反射膜56が設けられており(
図3参照)、リフレクタ28で反射された光の一部はこの反射膜56で反射される。そのため、稜線48fを境界線としてリフレクタ28からの光がカットされる。これにより、稜線48fの形状に対応するカットオフラインを有する配光パターンが車両前方に投影される。つまり、ケース48は、その一部がシェードとして機能する。
【0053】
以上のように構成された車両用灯具10の動作を説明する。
車両用灯具10の点灯指示を受けると、第1光源36a、第2光源36b、第3光源36cは、レーザ光を出射する。各レーザ光は、第1レンズ40a、第2レンズ40b、第3レンズ40cで平行光に変換されて集光リフレクタ44の反射面44aに入射する。集光リフレクタ44に入射したレーザ光は、蛍光体50の略中央に向けて反射される。蛍光体50は、入射したレーザ光の一部を吸収して黄色の光を発する。残りのレーザ光は蛍光体50に吸収されることなく蛍光体50から出射される。この黄色の光とレーザ光の青色の光とが混色されて白色光が生成され、リフレクタ28に向けて進行する。リフレクタ28の反射面28aは、白色光を投影レンズ32に向けて反射する。投影レンズ32は、リフレクタ28からの光を略平行な光として灯具前方に照射する。
【0054】
第1の実施の形態に係る光源モジュール26によると、蛍光体50は、その出射面50aが長尺状の形状を有する。蛍光体50は特に、出射面50aの外周辺が、長尺方向に延びる一対の直線状の辺50c、50dを含む。このため、光源モジュール26を車両用灯具10の光源に使用した場合、カットオフラインを形成するのが容易となる。つまり、車両用灯具の光源に適した光源モジュールを実現できる。
【0055】
また、光源モジュール26によると、蛍光体50は、出射面50aにおける短尺方向D4と長尺方向D3との比が1:2〜1:4となるよう形成される。また、貫通孔58の上側の開口58cは、短尺方向D2と長尺方向D1との比が1:2〜1:4となるよう形成される。つまり、車両用灯具の光源に適した縦横比を有する光源モジュール26を実現できる。
【0056】
また、光源モジュール26によると、蛍光体50よりも上側に突出した反射面の上下方向における寸法D5が、蛍光体50の上下方向における寸法D6の1.2〜1.8倍となるよう蛍光体モジュール46が形成される。より好ましくは、1.4〜1.6倍となるよう形成される。これにより、所望の大きさで、かつ、所望の輝度の光源モジュールを実現できる。
【0057】
また光源モジュール26によると、蛍光体50は、上側となるほどその断面積が大きくなるよう形成される。また、保持部材53の貫通孔58は、蛍光体50の形状に対応した形状であって、上側となるほどその断面積が大きくなるよう形成される。つまり、保持部材53の貫通孔58は、蛍光体50が通過できないように形成される。このように形成された貫通孔58により蛍光体50を保持するため、保持部材53からの蛍光体50の脱落を抑止できる。
【0058】
また、光源モジュール26によると、複数の光源ユニット34からのレーザ光が、集光リフレクタ44の反射面44aによって蛍光体50に集光される。そのため、例えば光ファイバなどの導光体によって集光するときのような入射時、導光時、出射時のロスが発生しないため、レーザ光の利用効率が向上する。また、例えば光ファイバなどの導光体によって集光する場合に比べ、光源モジュール26を小型化することができ、これを搭載する車両用灯具10の小型化に貢献できる。
【0059】
また、光源モジュール26によると、回転放物面を基調とする反射面44aにより、複数の光源ユニット34からのレーザ光が蛍光体50に集光される。そのため、光源ユニット34からのレーザ光を反射面44aの中心軸である軸Axと略平行に反射面44aに入射すれば、そのレーザ光は蛍光体50に集光される。つまり、光源ユニット34からのレーザ光が軸Axと略平行であれば、光源ユニット34を構成する各部材と軸Axとの距離、そして各部材と反射面44aとの距離はいずれも問われない。したがって、光源ユニット34の位置調整は比較的容易となる。
【0060】
また、光源モジュール26によると、第1光源36a、第2光源36b、第3光源36cは、ケース48内に収容される。このため、これら光源が外れても、レーザ光が光源モジュール26外部に直接出射されること、ひいては光源モジュール26を搭載する車両用灯具10外部に直接出射されることが防止される。
【0061】
また、光源モジュール26によると、第1基板38a、第2基板38b、第3基板38cは、ヒートシンク42側の面が同一平面上に位置するように配置されるため、ヒートシンク42の前面42aを平坦な形状にすることができる。このため、ヒートシンク42を単一の部材でかつ比較的単純な形状にすることができ、ヒートシンク42の数および加工コストを低減できる。
【0062】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態に係る車両用灯具10と第2の実施の形態に係る車両用灯具との主な違いは光源モジュールの形状である。
図5は、第2の実施の形態に係る車両用灯具の灯具ユニット116を示す断面図である。
図5は
図2に対応する。
【0063】
灯具ユニット116は、光源モジュール126と、リフレクタ28と、レンズホルダ30と、投影レンズ32と、を備える。光源モジュール126は、光源ユニット34と、ヒートシンク42と、集光リフレクタ44と、蛍光体モジュール46と、ケース148と、を備える。ケース148は、箱状に形成される。ケース148には、光源ユニット34と、集光リフレクタ44が収容される。
【0064】
ケース148の上面148cは、後方向きに傾斜する傾斜部148gを有する。この傾斜部148gには、貫通孔148dが形成されている。蛍光体モジュール46は、第1の実施の形態と同様にして、この貫通孔148dに固定される。蛍光体モジュール46は特に、蛍光体50の出射面50aがリフレクタ28の反射面28aの中心軸に対して後方向きに傾斜するよう固定される。なお、本実施の形態では、反射面28aの中心軸は、光軸Oと略一致する。
【0065】
第2の実施の形態に係る光源モジュール126と、第1の実施の形態に係る光源モジュール26によって奏される作用効果と同様の作用効果が奏される。また、第2の実施の形態に係る車両用灯具によると、第1の実施の形態に係る車両用灯具10によって奏される作用効果と同様の作用効果が奏される。加えて、第2の実施の形態に係る車両用灯具によると、蛍光体50の出射面50aがリフレクタ28の反射面28aの中心軸に対して後方向きに傾斜するよう固定される。これにより、リフレクタ28の反射面28aの利用立体角を増大させることができる。
【0066】
(第3の実施の形態)
第1の実施の形態に係る車両用灯具10と第3の実施の形態に係る車両用灯具との主な違いは灯具ユニットの構成である。
図6は、第3の実施の形態に係る車両用灯具210を示す断面図である。
図6は
図1に対応する。
【0067】
車両用灯具210は、ランプボディ12と、透光カバー14と、灯具ユニット216と、エクステンションリフレクタ18と、を備える。灯具ユニット216は、光源モジュール226と、リフレクタ28と、レンズホルダ30と、投影レンズ32と、を備える。本実施の形態では、光源モジュール226の第1光源236a、第2光源236b、第3光源236cが前後方向に並び、かつ、それらのレーザ出射口が、ランプボディ12側(
図6では左右方向)を向くよう配置されている。
【0068】
第3の実施の形態に係る光源モジュール226によると、第1の実施の形態に係る光源モジュール26によって奏される作用効果と同様の作用効果が奏される。また、第3の実施の形態に係る車両用灯具210によると、第1の実施の形態に係る車両用灯具10によって奏される作用効果と同様の作用効果が奏される。加えて、第3の実施の形態に係る車両用灯具210によると、各光源の出射口がランプボディ12側を向くよう配置される。これにより、仮にケース48および集光リフレクタ44が外れても、各光源からのレーザ光が灯具外部に直接出射されることが防止される。
【0069】
(第4の実施の形態)
第1の実施の形態に係る車両用灯具10と第4の実施の形態に係る車両用灯具との主な違いは光源モジュールの構成である。
図7は、第4の実施の形態に係る車両用灯具の灯具ユニット316を示す断面図である。
図7は
図2に対応する。
【0070】
灯具ユニット316は、光源モジュール326と、リフレクタ28と、レンズホルダ30と、投影レンズ32と、を備える。光源モジュール326は、光源ユニット334と、ヒートシンク42と、集光レンズ344と、蛍光体モジュール46と、ケース48と、を備える。ケース48には、光源ユニット334と、集光レンズ344が収容される。光源ユニット334は、光源336、基板338を含む。光源336、基板338はそれぞれ、第1の実施の形態の第1光源36a、第1基板38aに対応する。
【0071】
集光レンズ344は光源336と蛍光体50との間に設けられる。光源336から出射されたレーザ光は、集光レンズ344により集光されて蛍光体50に入射する。なお、車両用灯具10は、集光レンズ344の代わりに、光源336から出射されたレーザ光を平行光に変換するレンズを備えてもよい。
【0072】
第4の実施の形態に係る光源モジュール326によると、第1の実施の形態に係る光源モジュール26によって奏される作用効果と同様の作用効果が奏される。また、第4の実施の形態に係る車両用灯具によると、第1の実施の形態に係る車両用灯具10によって奏される作用効果と同様の作用効果が奏される。
【0073】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0074】
(変形例1)
第1〜3の実施の形態では、光源モジュール26が、第1光源ユニット34a、第2光源ユニット34b、第3光源ユニット34cの3つの光源ユニットを備える場合について説明したが、これに限られない。光源モジュール26は、2つ、または4つ以上の光源ユニットを備えていてもよい。
【0075】
(変形例2)
第1、2の実施の形態では光源ユニットが上下方向に並び、第3の実施の形態では光源ユニットが前後方向に並ぶ場合について説明したがこれに限られない。例えば、第1の実施の形態において、光源ユニットが左右方向(
図2の紙面方向)に並んでもよい。また例えば、4つ以上の光源ユニットがマトリクス状に並べられてもよい。また例えば、5つ以上の光源ユニットが十字状に並べられてもよい。もちろん、各光源ユニットは不規則に並べられてもよい。つまり、複数の光源ユニットからのレーザ光が軸Axと略平行に反射面44aに入射されるよう配置されればよい。
【0076】
(変形例3)
第1〜4の実施の形態では、光源ユニットが青色のレーザ光を出射し、蛍光体50が青色のレーザ光を吸収して黄色の光を発し、この黄色の光と青色のレーザ光とが混色されて白色光が生成される場合について説明したが、これに限られない。例えば、光源ユニットが紫外のレーザ光を出射し、蛍光体は紫外のレーザ光を吸収して青色の光と黄色の光とを発するように構成されてもよい。この場合、蛍光体が発する青色の光と黄色の光とが混色されて、白色光が生成される。
【0077】
また例えば、光源ユニットが紫外のレーザ光を出射し、蛍光体が紫外のレーザ光を吸収して赤色の光、緑色の光、青色の光を発するように構成されてもよい。この場合、蛍光体が発する赤色の光、緑色の光、青色の光が混色されて、白色光が生成される。
【0078】
(変形例4)
第1〜3の実施の形態では特に触れなかったが、複数の光源ユニットの少なくとも1つは、その光源ユニットからのレーザ光が蛍光体50の出射面50aに略直角に入射するよう設けられてもよい。この場合は、蛍光体50の出射面50aでの出射ロスが抑制され、光の利用効率が向上する。
【0079】
(変形例5)
第1〜4の実施の形態では、灯具ユニットが、いわゆるプロジェクタ型の光学ユニットである場合について説明したが、これに限られない。灯具ユニットは例えば、いわゆるパラボラ型の光学ユニットであってもよい。
【0080】
図8は、変形例に係る車両用灯具の灯具ユニット416を示す断面図である。
図8は
図2に対応する。灯具ユニット416は、いわゆるパラボラ型の光源モジュール26と、リフレクタ428と、を備える。リフレクタ428は、略ドーム状の部材であり、光源モジュール26の上方に配置される。リフレクタ428は、回転放物面を基調とした反射面428aを内側に有する。リフレクタ428は、反射面428aの焦点が蛍光体50と一致するように、蛍光体50との位置関係が定められている。リフレクタ428は、光源モジュール26からの光を灯具前方に照射する。
【0081】
本変形例によれば、実施の形態に係る光源モジュール26によって奏される作用効果と同様の作用効果が奏される。
【0082】
(変形例6)
図9(a)、(b)は、変形例に係る光源モジュールの蛍光体モジュール546を示す。
図9(a)、(b)は、
図3(a)、(b)に対応する。第1〜4の実施の形態では、貫通孔58の下面53d側の開口58bが略円形である場合について説明したが、これに限られない。
図9(b)に示すように、開口58bは長尺状に形成されてもよい。開口58bは特に、開口58b上でのレーザ光の断面形状と略同一の形状、または開口58b上でのレーザ光の断面形状と略相似の形状に形成されてもよい。
【0083】
また、第1〜第4の実施の形態では特に言及しなかったが、入射面50bは、入射面50b上でのレーザ光の断面形状と略同一の形状または入射面50b上でのレーザ光の断面形状と略相似の形状に形成されてもよい。
【0084】
また、第1〜4の実施の形態では、蛍光体50の出射面50aが、長円形状を有する場合について説明したが、これに限られない。
図9(b)に示すように、出射面50aは、例えば略長方形状を有していてもよい。つまり、出射面50aは、長尺状の形状を有し、かつ、外周辺が長尺方向に伸びる一対の直線状の辺を含んでいればよい。
【0085】
また、第1〜4の実施の形態では、貫通孔58の上側の開口58cが、長円形状を有する場合について説明したが、これに限られない。
図9(b)に示すように、開口58cは、例えば略長方形状を有していてもよい。つまり、開口58cは、長尺状の形状を有し、かつ、外周辺が長尺方向に伸びる一対の直線状の辺を含んでいればよい。
【0086】
本変形例によれば、第1〜4の実施の形態に係る光源モジュールによって奏される作用効果と同様の作用効果が奏される。
【0087】
(変形例7)
図10(a)、(b)は、変形例に係る光源モジュールの蛍光体モジュール646を示す。
図10(a)、(b)は、
図3(a)、(b)に対応する。本変形例では、蛍光体50は、保持部材53と一体に形成される。別の言い方をすると、蛍光体50は、保持部材53を金型として利用することにより形成される。具体的には、保持部材53の下面53d側の開口58bを塞ぎ、開口58bが塞がれた貫通孔58に蛍光材料を含む樹脂またはセラミックを注入し、保持部材53ごと焼結することにより、蛍光体50が形成される。
【0088】
本変形例では、保持部材53の内壁58aには金属製のメッシュ660が結合されているため、上述のように蛍光体50を形成することにより、メッシュ660と蛍光体50と一体化する。
【0089】
本変形例によれば、第1〜4の実施の形態に係る光源モジュールによって奏される作用効果と同様の作用効果が奏される。加えて、本変形例によれば、蛍光体50は、蛍光材料を含む樹脂またはセラミックを保持部材53の貫通孔58に注入した状態で焼結され、形成される。そのため、蛍光体50を保持部材53に組付ける工程が不要となる。また、本変形例では、蛍光体50は、保持部材53に結合されているメッシュ660と一体化する。そのため、蛍光体50の脱落が抑止される。
【0090】
また、本変形例では、蛍光体50は、保持部材53に結合された金属製のメッシュ660と一体化する。そのため、蛍光体50で発生した熱は、このメッシュ660を通して保持部材53に伝わり、放熱される。つまり、本変形例によれば、蛍光体50の放熱性能を高めることができ、発熱による蛍光体50の発光効率(レーザ光の変換効率)の低下を抑止することができる。その結果、蛍光体50の輝度を高めることができ、車両用灯具の光源として好適に用いることができる。
【0091】
なお、メッシュ660の代わりに、内壁58aに、突出部を設けてもよい。この場合も、突出部により蛍光体50の脱落を抑止でき、また突出部により蛍光体50の放熱性能を高めることができる。