特許第6654568号(P6654568)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6654568
(24)【登録日】2020年2月3日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】置換ベルビン及びその合成
(51)【国際特許分類】
   C07D 455/03 20060101AFI20200217BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20200217BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20200217BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   C07D455/03CSP
   A61K31/4745
   A61P35/00
   A61P43/00 105
【請求項の数】5
【全頁数】67
(21)【出願番号】特願2016-546880(P2016-546880)
(86)(22)【出願日】2014年10月2日
(65)【公表番号】特表2016-533396(P2016-533396A)
(43)【公表日】2016年10月27日
(86)【国際出願番号】US2014058806
(87)【国際公開番号】WO2015051106
(87)【国際公開日】20150409
【審査請求日】2017年9月6日
(31)【優先権主張番号】61/886,695
(32)【優先日】2013年10月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517454284
【氏名又は名称】スペックジーエックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】グローテ, クリストファー ダブリュー.
【審査官】 早乙女 智美
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第02014651(EP,A1)
【文献】 国際公開第2010/028004(WO,A2)
【文献】 米国特許第03272707(US,A)
【文献】 米国特許第04013666(US,A)
【文献】 米国特許第03420834(US,A)
【文献】 IKEKAWA, T. ET AL,Antitumor activity of 13-methylberberrubine derivatives,Journal of Pharmacobio-Dynamics,1982年,5(7),469-474
【文献】 Valpuesta, Maria 他,Regio- and stereoselective stevens rearrangement of benzyltetrahydroprotoberberinium salts,European Journal of Organic Chemistry,2004年,(21),4313-4318
【文献】 Grycova, Lenka 他,Quaternary protoberberine alkaloids,Phytochemistry,2007年,68,150-175
【文献】 Battersby, Alan R. 他,Biosynthesis. XXI. Biosynthesis of stylopine in Chelidonium majus,Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1: Organic and Bio-Organic Chemistry (1972-1999) ,1975年,(12),1140-1147
【文献】 Srivastava, Prem C. 他,Potential cerebral perfusion agents. Synthesis and evaluation of berberine analogs,Journal of Heterocyclic Chemistry,1986年,23(4),1167-1169
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化45-1】

【化45-2】

【化45-3】

【化45-4】

から選択される、化合物。
【請求項2】
癌細胞の増殖を阻害するための、請求項に記載の化合物を含む組成物であって、前記組成物は、前記癌細胞と接触させられることを特徴とする、組成物。
【請求項3】
ヒトまたは非ヒト動物における癌細胞の増殖の阻害において使用するための、請求項1に記載の化合物を含む組成物。
【請求項4】
ヒトにおける癌細胞の増殖を阻害するのに使用するための、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
非ヒト動物における癌細胞の増殖を阻害するのに使用するための、請求項3に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、置換ベルビン、置換ベルビンの合成のためのプロセス、置換ベルビンの調製において使用される中間化合物、及び置換ベルビンの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複素環式化合物のベルビンクラスは植物アルカロイドのベルベリンと構造的に関連している。ベルビン化合物は、多数の治療効果を有することが報告されている。例えば、それらは、抗菌性、抗真菌性、抗寄生虫性、解熱性、抗高血圧性、抗うつ性、抗嘔吐作用、精神安定、及び鎮痛活性を有することが見出されている。ベルビン化合物及びその誘導体の潜在的な治療上の価値のために、より強力及び/または有効であり得る新しい誘導体の必要性がある。また、これらの置換ベルビンの特定の鏡像異性体の純粋な調製物を調製するための効率的な合成プロセスが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の様々な態様の中には、式(V−1を含む化合物がある:
【化1】
ここで:
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;R、R、及びRのうち少なくとも2つはメトキシ以外であることを条件とし;
、R10、R11、及びR12は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
21、R22、R23、R24、及びR25は、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
15及びR16は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
mは0以上の整数であり;
nは1〜3の整数であり;及び
破線は任意選択の二重結合を表す。
【0004】
本開示の他の態様は、式(V)を含む化合物を調製するためのプロセスを包含する。このプロセスは、以下の反応スキームに従って、式(II)を含む化合物を環化剤と接触させて式(IV)を含む化合物を形成させるステップ、及び式(IV)を含む前記化合物を還元剤と接触させて式(V)を含む化合物を形成させるステップ、を含み:
【化2】
ここで:
Rは、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R10、R11、R12、R15、及びR16は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
nは1〜3の整数であり;
Xは、ハロゲン、{−}OSO18、または{−}OCOR18であって、ここでR18は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;及び
破線は任意選択の二重結合を表す。
【0005】
本開示のさらなる態様は、癌細胞の増殖を阻害するための方法を提供する。この方法は、癌細胞を有効量の式(V)を含む化合物と接触させることを含む:
【化3】
ここで:
Rは、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R10、R11、R12、R15、及びR16は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
nは1〜3の整数であり;及び
破線は任意選択の二重結合を表す。
【0006】
本発明の他の態様及び特徴は、部分的には明らかであり、部分的には以下に指摘されるであろう。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
式(V−1a)または式(V−1b)を含む化合物:
【化41】

ここで:
はヒドロキシもしくはアルコキシでありかつRは水素であるか、または、R及びRは一緒に{−}O−CH−O{−}を形成し;
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアルキルであり;
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルアリールオキシ、置換アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、またはアミドであり;
20は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、ニトロ、アミノ、またはアミンであり;及び
mは0または1である。
(項目2)
式(V)を含む化合物を調製するためのプロセスであって、前記プロセスは、以下のスキームに従って、
a)式(I)を含む化合物をアシルハライド、ホルマーテ、またはアルデヒドから選択されたカルボニル供与体と接触させて式(II)を含む化合物を形成させるステップ;
b)式(II)を含む前記化合物を還化剤と接触させて式(IV)を含む化合物を形成させるステップ;及び
c)式(IV)を含む前記化合物を還元剤と接触させて式(V)を含む化合物を形成させるステップ、
を含み:
【化42】

ここで:
Rは、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R10、R11、R12、R15、及びR16は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
nは1〜3の整数であり;
Xは、ハロゲン、{−}OSO18、または{−}OCOR18であって、ここでR18は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;及び
破線は任意選択の二重結合を表す、
プロセス。
(項目3)
a)カルボニル供与体はアシルハライドであり;前記反応はさらにプロトン受容体を含み;式(I)を含む前記化合物対前記アシルハライド対前記プロトン受容体のモル対モル比率は、約1:0.5:0.5〜約1:4:10であり;及び前記反応は、約10℃〜約80℃の温度で行われ;
b)カルボニル供与体はホルマートであり;式(I)を含む前記化合物対前記ホルマートのモル対モル比率は、約1:5〜約1:50であり;前記反応は、約10℃〜約80℃の温度で行われ;または
c)カルボニル供与体はアルデヒドであり;前記反応はさらにプロトン供与体またはプロトン受容体を含み;式(I)を含む前記化合物対前記アルデヒド対前記プロトン受容体またはプロトン供与体のモル対モル比率は、約1:0.2:0.5〜約1:4:10であり;及び前記反応は、約10℃〜約80℃の温度で行われる、
項目2に記載のプロセス。
(項目4)
前記環化剤はオキシハロゲン化リンまたは酸無水物であり;式(II)を含む前記化合物対前記環化剤のモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:3であり;式(II)を含む前記化合物対前記還元剤のモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:3であり;前記プロセスの各ステップは、約0℃〜約120℃の温度で行われる、項目2または3に記載のプロセス。
(項目5)
はハロゲンであり、前記プロセスはさらに式(V)を含む前記化合物をR19OHまたはR19NHと接触させて、それぞれ、式(VIa)または式(VIb)を含む化合物を形成させ:
【化43】

ここで:
Rは、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R、及びRは、独立して、水素、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであり;
、R10、R11、R12、R15、及びR16は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
19は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;
nは1〜3の整数であり;及び
破線は任意選択の二重結合を表す、
項目2〜4のいずれか1項に記載のプロセス。
(項目6)
式(V)を含む前記化合物対R19OHまたはR19NHのモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:20であり;前記反応はさらに約0.005%〜約10%の遷移金属触媒を含み;前記反応はさらにプロトン受容体を含み;式(V)を含む前記化合物対前記プロトン受容体のモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:10であり;前記反応は、約0℃〜約200℃の温度で行われる、項目5に記載のプロセス。
(項目7)
はNHであり、前記プロセスはさらに式(V)を含む前記化合物をR19C(O)X’と接触させて、式(VIc)を含む化合物を形成させ:
【化44】

ここで:
Rは、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、アミン、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、アミン、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであり;
、R10、R11、R12、及びR15は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
19は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;
X’はハロゲンであり;
nは1〜3の整数であり;及び
破線は任意選択の二重結合を表す、
項目2〜4のいずれか1項に記載のプロセス
(項目8)
式(V)を含む前記化合物対R19C(O)X’のモル対モル比率は、約1:0.8〜約1:2であり;前記反応はさらにプロトン受容体を含み;式(V)を含む前記化合物対前記プロトン受容体のモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:10であり;前記反応は、約−50℃〜約50℃の温度で行われる、項目7に記載のプロセス。
(項目9)
式(I)、(II)、(III)、及び(IV)の化合物中のC−14はR配置またはS配置を有し;式(V−1a)または式(V−1b)の化合物中のC−8及びC−14はRR、RS、SRまたはSS配置を有し;及びRが水素以外である場合、式(V)、(VIa)、(VIb)、及び(VIc)を含む化合物中のC−8及びC−14はRR、RS、SRまたはSS配置を有する、前記項目のいずれか1項に記載の化合物。
(項目10)
式(V−1a)、(V−1b)、(V)、(VIa)、(VIb)及び(VIc)を含む化合物のC−8及びC−14はシン立体化学を有する、項目9に記載の化合物。
(項目11)
癌細胞を有効量の前記化合物と接触させる、癌細胞の増殖を阻害するための前記項目のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、新しい置換ベルビン化合物及び置換ベルビンを調製するためのプロセス、並びに置換ベルビンの調製において使用するための中間化合物を提供する。本明細書に開示されるプロセスは、置換ベルビンの位置化学的及び立体化学的合成を可能にする。例えば、シンジアステレオマーは、本明細書に開示される方法を用いて調製することができる。さらに、本明細書に開示される方法は、より効率的、より具体的であり、現在利用可能な合成法よりも大きな収率を提供する。さらに、置換ベルビン化合物は、癌細胞の増殖を阻害することが発見された。
【0008】
議論を簡単にするために、ベルビン化合物の環原子は以下に図示したように番号付けされる。
【化4】
置換ベルビン化合物は、アスタリスクで上に示したように、少なくとも2つのキラル炭素、すなわち、C−14及びC−8を有し得る。
(I)化合物
(a)式(III)を含む化合物
【0009】
本開示の一態様は、置換ベルビン化合物の調製において中間体として使用し得る化合物を包含する。一般には、中間化合物は式(III)を含む:
【化5】
ここで:
Rは、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R10、R11、R12、R15、及びR16は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
nは1〜3の整数であり;
Xは、ハロゲン、{−}OSO18、または{−}OCOR18であって、式中R18は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;及び
破線は任意選択の二重結合を表す。
【0010】
いくつかの実施形態では、Rは、水素、アルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、置換アルキル、置換複素環、置換アリール、または置換ヘテロアリールであることができる。様々な反復では、Rは、C−Cとして定義される低級アルキルであってよく、直鎖状または環状であってよい。他の反復では、Rは、モルホリニル、ピペラジニル、フェニル、ベンジル、ピリジル、ピリジン、ピリジル、オキサジニル、ピペロニル、等であってよい。上記の任意のものは、少なくとも1つのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロゲン、オキソ、ケト、ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、アミド、チオール、シアノ、ケタール、アセタール、エステル、またはエーテルで置換されてもよい。
【0011】
様々な実施形態では、R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキオキシ、アルキルであってよく、またはR及びRは一緒に{−}O−CH−O{−}を形成してもよい。R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアルキルであってよい。R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、またはアミドであってよい。他の実施形態では、R、R10、R11、及びR12のそれぞれは、水素であってよい。様々な実施形態では、破線を含む環は1つ、2つ、または3つの二重結合を有してもよい。特定の実施形態では、Xは、塩化物、臭化物、{−}OSO−トリフルオロメタン、{−}OSO−メタン、または{−}OSO−トルエンであってよい。C−14の構成は、RまたはSであってよい。
【0012】
特定の実施形態では、Rは、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリール複素環であってよい。いくつかの実施形態では、Rは、フェニル、置換フェニル、ベンジル、または置換ベンジルであってよい。例えば、置換フェニルまたは置換ベンジルは、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、ニトロ、アミノ、またはアミンから選択され少なくとも1つの置換基を有してよい。
【0013】
この実施形態の一代替では、式(III)を含む化合物は式(IIIa)を含む化合物であってよい:
【化6】
ここで:
Rは、水素、アルキル、置換アルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールであり;
はヒドロキシもしくはアルキオキシでありかつRは水素であるか、またはR及びRは一緒に{−}O−CH−O{−}を形成し;
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアルキルであり;
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキオキシ、アルキルアリールオキシ、置換アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、またはアミドであり;及び
Xはハロゲン、{−}OSO18、または{−}OCOR18であり、ここでR18はヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである。
【0014】
この実施形態の他の代替では、式(III)を含む化合物は式(IIIb)を含む化合物であってよい:
【化7】
ここで:
Rは、水素、アルキル、置換アルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールであり;
はヒドロキシもしくはアルキオキシでありかつRは水素であるか、またはR及びRは一緒に{−}O−CH−O{−}を形成し;
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアルキルであり;
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキオキシ、アルキルアリールオキシ、置換アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、またはアミドであり;及び
Xはハロゲン、{−}OSO18、または{−}OCOR18であり、ここでR18はヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである。

(b)式(IV)を含む化合物
【0015】
本開示の他の態様は、式(IV)を含む化合物を提供する:
【化8】
ここで:
Rは、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R10、R11、R12、R15、及びR16は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
nは1〜3の整数であり;及び
破線は任意選択の二重結合を表す。
【0016】
いくつかの実施形態では、Rは、水素、アルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、置換アルキル、置換複素環、置換アリール、または置換ヘテロアリールであることができる。様々な反復では、Rは、C−Cとして定義される低級アルキルであってよく、直鎖状または環状であってよい。他の反復では、Rは、モルホリニル、ピペラジニル、フェニル、ベンジル、ピリジル、ピリジン、ピリジル、オキサジニル、ピペロニル、等であってよい。上記の任意のものは、少なくとも1つのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロゲン、オキソ、ケト、ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、アミド、チオール、シアノ、ケタール、アセタール、エステル、またはエーテルで置換されてもよい。
【0017】
様々な実施形態では、R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキオキシ、アルキルであってよく、またはR及びRは一緒に{−}O−CH−O{−}を形成してもよい。R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアルキルであってよい。R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、またはアミドであってよい。他の実施形態では、R、R10、R11、及びR12のそれぞれは、水素であってよい。様々な実施形態では、破線を含む環は1つ、2つ、または3つの二重結合を有してもよい。C−14の構成は、RまたはSであってよい。
【0018】
特定の実施形態では、Rは、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリール複素環であってよい。いくつかの実施形態では、Rは、フェニル、置換フェニル、ベンジル、または置換ベンジルであってよい。例えば、置換フェニルまたは置換ベンジルは、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、ニトロ、アミノ、またはアミンから選択され少なくとも1つの置換基を有してもよい。
【0019】
この実施形態の一代替では、式(IV)を含む化合物は式(IVa)を含む化合物であってよい:
【化9】
ここで:
Rは、水素、アルキル、置換アルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールであり;
はヒドロキシもしくはアルキオキシでありかつRは水素であるか、またはR及びRは一緒に{−}O−CH−O{−}を形成し;
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアルキルであり;及び
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキオキシ、アルキルアリールオキシ、置換アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、またはアミドである。
【0020】
この実施形態の他の代替では、式(IV)を含む化合物は式(IVb)を含む化合物であってよい:
【化10】
ここで:
Rは、水素、アルキル、置換アルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、または置換ヘテロアリールであり;
はヒドロキシもしくはアルキオキシでありかつRは水素であるか、またはR及びRは一緒に{−}O−CH−O{−}を形成し;
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアルキルであり;及び
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキオキシ、アルキルアリールオキシ、置換アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、またはアミドである。
(c)式(V−1)を含む化合物
【0021】
本開示のさらに他の態様は、式(V−1)を含む化合物を提供する:
【化11】
ここで:
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;R、R、及びRのうち少なくとも2つはメトキシ以外であることを条件とし;
、R10、R11、及びR12は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
21、R22、R23、R24、及びR25は、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
15及びR16は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
mは0以上の整数であり;
nは1〜3の整数であり;及び
破線は任意選択の二重結合を表す。
【0022】
いくつかの場合には、R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキオキシ、アルキルであってよく、またはR及びRは一緒に{−}O−CH−O{−}を形成してもよい。他の実施形態では、R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアルキルであってよい。さらなる実施形態では、R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、またはアミドであってよい。さらに他の実施形態では、R21、R22、R23、R24、及びR25は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、ニトロ、アミノ、またはアミンであってよい。さらなる実施形態では、R、R10、R11、及びR12のそれぞれは水素であってよい。様々な実施形態では、破線を含む環は、1つ、2つ、または3つの二重結合を有していてもよい。C−14及びC−8のそれぞれの構成は、RまたはSであってよい。例示的な実施形態では、C−14及びC−8は、シン立体化学を有する、
【0023】
いくつかの実施形態では、式(V−1)を含む化合物は、式(V−1a)を含む化合物であってよい:
【化12】
ここで:
はヒドロキシもしくはアルキオキシでありかつRは水素であるか、または、R及びRは一緒に{−}O−CH−O{−}を形成し;
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアルキルであり;
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキオキシ、アルキルアリールオキシ、置換アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、またはアミドであり;
20は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、ニトロ、アミノ、またはアミンであり;及び
mは0または1である。
【0024】
いくつかの実施形態では、式(V−1)を含む化合物は、式(V−1b)を含む化合物であってよい:
【化13】
ここで:
はヒドロキシもしくはアルキオキシでありかつRは水素であるか、または、R及びRは一緒に{−}O−CH−O{−}を形成し;
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアルキルであり;
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキオキシ、アルキルアリールオキシ、置換アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、またはアミドであり;
20は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、ニトロ、アミノ、またはアミンであり;及び
mは0または1である。
【0025】
式(V−1a)を含む例示的な化合物が以下に示されている:
【化14-1】
【化14-2】
【化14-3】
【化14-4】
ここで:
はヒドロキシもしくはアルキオキシでありかつRは水素であるか、またはR及びRは一緒に{−}O−CH−O{−}を形成し;
14は水素またはC−Cアルキルであり;
15は水素またはC−Cアルキルであり;及び
Y及びZは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、ニトロ、アミノ、またはアミンである。
【0026】
当業者は、C−8におけるフェニル基はベンジル基で置換され得ることを理解する。さらに、式(V−1b)を含む化合物は、同様の例示的化合物を有する。
(II)式(V)を含む化合物を調製するためのプロセス
【0027】
本開示の他の態様は、置換ベルビン化合物の調製のためのプロセスを提供する。一般に、このプロセスは、非対称化合物からの新たな環の形成を伴う。このプロセスは、式(II)を含む化合物を環化剤と接触させて式(III)を含む化合物を形成させることを含み、この式(III)は環化されて式(IV)を含む化合物を形成する。このプロセスはさらに、式(IV)を含む化合物を還元剤と接触させて式(V)を含むベルビン化合物を形成させることを含む。例示の目的で、反応スキーム1は、本開示のこの態様に従う式(V)を含む化合物の合成を示す:
【化15】
ここで:
Rは、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R10、R11、R12、R15、及びR16は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
nは1〜3の整数であり;
Xは、ハロゲン、{−}OSO18、または{−}OCOR18であって、ここでR18は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;及び
破線は任意選択の二重結合を表す。
【0028】
いくつかの実施形態では、式(Va)を含む化合物は反応スキーム1aに示されるプロセスによって調製されてもよい:
【化16】
ここで、変数は上記の通りである。
【0029】
いくつかの実施形態では、式(Vb)を含む化合物は反応スキーム1bに示されるプロセスによって調製されてもよい:
【化17】
ここで、変数は上記の通りである。
【0030】
いくつかの実施形態では、Rは、水素、アルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、置換アルキル、置換複素環、置換アリール、または置換ヘテロアリールであることができる。様々な反復では、Rは、C−Cとして定義される低級アルキルであってよく、直鎖状または環状であってよい。他の反復では、Rは、モルホリニル、ピペラジニル、フェニル、ベンジル、ピリジル、ピリジン、ピリジル、オキサジニル、ピペロニル、等であってよい。上記の任意のものは、少なくとも1つのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロゲン、オキソ、ケト、ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、アミド、チオール、シアノ、ケタール、アセタール、エステル、またはエーテルで置換されてもよい。
【0031】
様々な実施形態では、R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキオキシ、アルキルであってよく、またはR及びRは一緒に{−}O−CH−O{−}を形成してもよい。R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアルキルであってよい。R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、またはアミドであってよい。他の実施形態では、R、R10、R11、及びR12のそれぞれは、水素であってよい。様々な実施形態では、破線を含む環は1つ、2つ、または3つの二重結合を有してもよい。特定の実施形態では、Xは、塩化物、臭化物、{−}OSO−トリフルオロメタン、{−}OSO−メタン、または{−}OSO−トルエンであってよい。C−14の構成は、RまたはSであってよい。
(a)ステップA−反応混合物
【0032】
プロセスのステップAは、式(II)を含む化合物を環化剤と接触させて式(IV)を含む化合物を形成させることを含む。プロセスのこのステップは、反応混合物の形成で始まる。上記で詳述したように、反応混合物は式(II)を含む化合物を含む。
(i)環化剤
【0033】
反応混合物をさらに環化剤を含む。環化剤は、オキシハロゲン化リンまたは酸無水物であってよい。オキシハロゲン化リンは、オキシ塩化リン(POCl)、オキシ臭化リン(POBr)、またはオキシフッ化リン(POF)であってよい。環化剤は、例えば、三酸化硫黄、硫酸の溶液(すなわち、発煙硫酸またはオレウム)、五酸化リン、リン酸(すなわち、ポリリン酸)中の五酸化リンまたは五酸化リンの混合物など、の無機酸の無水物であってよい。酸無水物は、アルキル無水物またはアリール無水物であってよい。適切な酸無水物の非限定的な例には、トリフルオロメタンスルホン酸無水物、メタンスルホン酸無水物、p−トルエンスルホン酸無水物、無水トリフルオロ酢酸、無水酢酸、酢酸、ギ酸無水物、安息香酸無水物、酪酸無水物、クロロ無水フタル酸、シクロプロピル無水物、シクロブチルカルボキシル無水物、エチレンテトラカルボキシル無水物、ギ酸無水物、2−フロ酸無水物、グリオキシル酸無水物、無水マレイン酸、マロン酸無水物、メタクリル酸無水物、ニコチン酸、無水シュウ酸、無水フタル酸、プロピオン酸無水物、無水コハク酸、トルイル酸無水物、及びこれらの組合せが含まれる。一実施形態では、酸無水物は、トリフルオロメタンスルホン酸無水物であってよい
【0034】
反応混合物に添加される環化剤の量は変化することができるし変化するであろう。一般には、式(II)を含む化合物対環化剤のモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:3の範囲でよい。様々な実施形態では、式(II)を含む化合物対環化剤のモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:1、約1:1〜約1:1.5、約1:1.5〜約1:2、約1:2〜約1:2.5、約1:2.5〜約1:3、の範囲でよい。例示的な実施形態では、式(II)を含む化合物対環化剤のモル対モル比率は、約1:1〜約1:2であってよい。
(ii)溶媒
【0035】
反応混合物は、一般に、さらに溶媒を含む。溶媒は、非プロトン性極性溶媒、プロトン性極性溶媒、非極性溶媒、またはそれらの組み合わせであってよい。適切な非プロトン性溶媒には、限定なく、アセトニトリル、ジエトキシメタン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルプロピオンアミド、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジメトキシメタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、N,Nジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、ヘキサメチルホスホルアミド、酢酸メチル、塩化メチレン、メトキシ、ニトロベンゼン、ニトロメタン、プロピオニトリル、プロピルアセテート、スルホラン、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、トリクロロメタン、及びそれらの組合せが含まれる。適切なプロトン性極性溶媒の非限定的な例には、プロピレングリコール、エチレングリコール、プロパンジオール、及びジオールなどのジオール類;アセトアミド、ベンズアミドなどのアミド類;及び上記の任意の組合せが含まれる。適切な非極性溶媒の非限定的な例には、ベンゼン、酢酸ブチル、tert−ブチルメチルエーテル、クロロベンゼン、クロロホルム、クロロメタン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、ジ−tert−ブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチルエーテル、ジグライム、ジイソプロピルエーテル、エチルtert−ブチルエーテル、エチレンオキシド、フルオロベンゼン、ヘプタン、ヘキサン、メチルtert−ブチルエーテル、トルエン、及びこれらの組合せが含まれる。例示的な実施形態では、溶媒は、アセトニトリルであってよい。
【0036】
一般に、溶媒対式(II)を含む化合物の体積対質量の比率は、約0.5:1〜約100:1の範囲である。様々な実施形態では、溶媒対式(II)を含む化合物の体積対質量の比率は、約0.5:1〜約5:1、約5:1〜約25:1、または約25:1〜約100:1の範囲であってよい。例示的な実施形態では、溶媒対式(II)を含む化合物の体積対質量の比率は、約5:1〜約20:1の範囲であってよい。
(b)ステップA−反応条件
【0037】
一般に、反応は、約0℃〜約120℃の範囲の温度で行われる。様々な実施形態では、反応は、約0℃〜約20℃、約20℃〜約40℃、約40℃〜約60℃、約60℃〜約80℃、約80℃〜約100℃、または約100℃〜約120℃の温度で行ってよい。反応は第1の温度で、次いで第2の温度で行ってよい。例示的な実施形態では、反応温度は、約20℃〜約60℃の範囲であってよい。反応は一般に大気圧下で行われる。
【0038】
典型的には、反応は、反応が完了するまで、クロマトグラフィー(例えば、HPLC)または他の適切な方法によって決定されるように、十分な時間進行させる。この文脈では、「完了した反応」は、一般に、反応混合物は、反応の開始時にそれぞれ存在する量と比較して、有意に減少した量の式(II)を含む化合物、及び有意に増加した量の式(IV)を含む化合物を含むことを意味する。典型的には、反応が完了した後、反応混合物中に残っている式(II)を含む化合物の量は、約3%未満、または約1%未満であってよい。一般に、反応は約2時間〜約24時間進行させることができる。特定の実施形態では、反応は、約2時間〜約4時間、約4時間〜約8時間、約8時間〜約12時間、約12時間〜約18時間、または約18時間〜約24時間の範囲の時間進行させることができる。例示的な実施形態では、反応は、約10時間〜約20時間進行させることができる。
【0039】
一般に、式(IV)を含む化合物は、反応混合物から単離されない。従って、プロセスのステップ(b)は、同じ反応ポットまたは反応器中で進行させることができる。いくつかの実施形態では、しかしながら、式(IV)を含む化合物は、当業者に公知の技術を用いて反応混合物から単離され得る。適切な技術の非限定的な例には、沈殿、抽出、蒸発、蒸留、クロマトグラフィー、及び結晶化が含まれる。
【0040】
式(IV)を含む化合物の収率は変化することができるし変化するであろう。典型的には、式(IV)を含む化合物の収率は重量で少なくとも約40%であろう。特定の実施形態では、式(IV)を含む化合物の収率は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%、であってよい。
(c)ステップB−反応混合物
【0041】
プロセスのステップBは、式(IV)を含む化合物を還元剤と接触させ、式(V)を含む化合物を形成させることを含む。
【0042】
様々な還元剤を、プロセスのこのステップにおいて使用することができる。還元剤は、キラルまたはアキラルであってよい。化学還元で使用するための適切な還元剤の非限定的な例には、水素化物(例えば、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、ヨウ化水素、硫化水素など)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、亜硫酸塩、及び金属(例えば、スズ、亜鉛、または鉄)または金属化合物(例えば、塩化クロム、酢酸クロムなど)と、有機酸または無機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸など)との組合せ、が含まれる。例示的な実施形態では、還元剤は水素化ホウ素ナトリウムまたはシアノ水素化ホウ素ナトリウムであってよい。
【0043】
プロセスのこのステップにおいて使用される還元剤の量は、変化することができるし変化するであろう。一般に、式(II)を含む化合物対還元剤のモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:3の範囲である。様々な実施形態では、式(II)を含む化合物対還元剤のモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:1、約1:1〜約1:1.5、約1:1.5〜約1:2、約1:2〜約1:2.5、または約1:2.5〜約1:3の範囲であってよい。例示的な実施形態では、式(II)を含む化合物対還元剤のモル対モル比率は、約1:1〜約1:2であってよい。
【0044】
還元反応は、一般に溶媒の存在下で行われる。出発基材に対する適切な溶媒と溶媒の比率は、上記のセクション(I)(a)(ii)に記載されている。溶媒は、プロセスのステップAで使用した溶媒と同じであってよい。例えば、溶媒は、ステップAから引継がれてもよく、及び/または追加の溶媒が、プロセスのステップBの前に反応混合物に添加されてもよい。あるいは、プロセスのステップBの間に使用される溶媒は、プロセスのステップAで使用したものと異なっていてもよい。一実施形態では、ステップBの間に使用される溶媒はアセトニトリルであってよい。他の実施形態では、ステップBの間に使用される溶媒は、メタノールまたはメタノールと水の混合物であってよい。
(d)ステップB−反応条件
【0045】
還元反応が行われる温度は変化してもよい。一般に、反応温度は約0℃〜約120℃の範囲である。様々な実施形態では、反応は、約0℃〜約20℃、約20℃〜約40℃、約40℃〜約60℃、約60℃〜約80℃、約80℃〜約100℃、または約100℃〜約120℃、の温度で行ってよい。例示的な実施形態では、反応温度は約20℃〜約60℃の範囲であってよい。例えば、反応は室温で行うことができる。反応は、一般に、大気圧下で行われる。
【0046】
典型的には、反応は、反応が完了するまで、上記で詳述したように、十分な時間進行させる。完了した反応では、反応混合物中に残存する式(IV)を含む化合物の量は、約3%未満、または約1%未満であり得る。一般に、反応は約0.5時間〜約72時間進行することができる。いくつかの実施形態では、反応は、約0.5時間〜約4時間、約4時間〜約12時間、約12時間〜約24時間、約24時間〜約48時間、または約48時間〜約72時間、進行し得る。
【0047】
式(V)を含む化合物は、当業者に公知の技術を用いて反応混合物から単離され得る。適切な技術の非限定的な例には、沈殿、抽出、蒸発、蒸留、クロマトグラフィー、及び結晶化が含まれる。
【0048】
典型的には、式(V)を含む化合物の収率は、重量で少なくとも約40%であろう。特定の実施形態では、式(V)を含む化合物の収率は、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%、であってよい。
【0049】
上記の化合物中の各キラル炭素は、R配置またはS配置を有することができる。すなわち、式(II)、(III)及び(IV)を含む化合物中のC−14は、RまたはS配置を有することができる。式(V)を含む化合物中のC−8及びC−14の構成は、RR、RS、SRまたはSSであってよい。特定の実施形態では、式(V)を含む化合物の位置C−8及びC−14は、シン立体化学を有する。
(e)任意選択の追加のステップ
【0050】
式(V)を含む化合物の形成の際、式(V)を含む化合物は追加の反応を受けてもよい。例えば、R(もしくはR)基は、エーテル、アミン、またはアミドに変換されてもよい。
(i)エーテルまたはアミンの合成
【0051】
式(V)を含む化合物のRがハロゲンである実施形態では、以下の反応スキーム2に示すように、式(V)を含む化合物をR19OHまたはR19NHと接触させて、式(VIa)または式(VIb)をそれぞれ含む化合物を形成させるこことができる:
【化18】
ここで:
Rは、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R、及びRは、独立して、水素、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
、R10、R11、R12、R15、及びR16は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
19は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;
nは1〜3の整数であり;及び
破線は任意選択の二重結合を表す。
【0052】
同様の反応は、Rがエーテルまたはアミンである化合物を生成するのに使用され得る。
このような実施形態では、式(V)を含む化合物中のRはハロゲンであり、Rは、水素、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルである。
【0053】
反応混合物。反応は、Rが、ハロゲン(例えば、クロロ、ブロモ、またはヨード)及びアルコール(すなわち、R19OH)またはアミン(すなわち、R19NH)である(V)を含む化合物を含む反応混合物の形成で開始する。いくつかの実施形態では、R19は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、置換アルキル、置換シクロアルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリール、または置換ヘテロアリールであってよい。他の実施形態では、R19は、直鎖状または環状の、置換されていてもよいC−Cアルキルであってよい。さらに他の実施形態では、R19は、ハロ、ニトロ、ヒドロキシル、ケトもしくはオキソ、C−Cアルキル、C−Cアルコキシ、またはC−Cアルケニルで置換されたアリールまたはアリールであってよい。適切なアリール基は、フェニル、ベンジル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、及びイミダゾリルを含む。
【0054】
反応混合物に添加されるR19OHまたはR19NHの量は、変化することができるし、変化するであろう。一般に、式(V)を含む化合物対R19OHまたはR19NHのモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:20の範囲であってよい。様々な実施形態では、式(II)を含む化合物対R19OHまたはR19NHのモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:1、約1:1〜約1:2、約1:2〜約1:5、約1:5〜約1:10、または約1:10〜約1:20、の範囲であってよい。例示的な実施形態では、式(II)を含む化合物対R19OHまたはR19NHのモル対モル比率は、約1:1〜約1:5であってよい。
【0055】
反応混合物は、さらに、遷移金属触媒を含む。本明細書で使用される場合、用語「遷移金属触媒」は、遷移金属元素、遷移金属塩または遷移金属錯体を意味する。一般に、遷移金属は、任意の遷移金属であってよい。いくつかの実施形態では、遷移金属は、イリジウム、鉄、ニッケル、オスミウム、パラジウム、白金、ルテニウム及びロジウムであってよい。一例示的な施形態では、遷移金属は、ルテニウム、イリジウム、またはロジウムであってよい。当業者は、遷移金属の酸化状態は変化することができ、例えば、(0)、(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)または(VII)であり得ることを認識している。例えば、適切な遷移金属の非限定的な例には、ルテニウム(0)、ルテニウム(II)、ルテニウム(III)、ルテニウム(IV)、ロジウム(0)、ロジウム(I)、ロジウム(III)、イリジウム(0)、イリジウム(III)、イリジウム(IV)、パラジウム(0)、パラジウム(II)、パラジウム(IV)、白金(0)、白金(II)、白金(IV)、及びニッケル(0)が含まれる。
【0056】
いくつかの実施形態では、遷移金属触媒は、遷移金属元素そのものであってよい。例えば、遷移金属元素は、例えば、ルテニウム粉末、ロジウム粉末、ルテニウムスポンジ、ロジウムスポンジ、パラジウムスポンジなどの、粉末またはスポンジであってよい。あるいは、遷移金属元素はロジウムブラック、ルテニウムブラック、パラジウム、などであってよい。さらに他の実施形態では、遷移金属元素は、固体表面または支持体上に固定化されてもよい。適切な例には、炭素上のルテニウム、炭素上のロジウム、炭素上のパラジウム、アルミナ上のルテニウム、アルミナ上のロジウム、アルミナ上の白金、アルミナ上のパラジウム、シリカ上のロジウム、シリカ上のパラジウム、木炭上のパラジウム、軽石上のパラジウムなど、が含まれるが、これらに限定されない。例示的な実施形態では、遷移金属触媒は炭素上に指示されるパラジウムであってもよい。
【0057】
他の実施形態では、遷移金属触媒は、遷移金属塩であってよい。適切な塩の非限定的な例には、酢酸塩、アセチルアセトネート、アルコキシド、ブチレート、カルボニル、二酸化物、ハロゲン化物、ヘキソネート、水素化物、メシレート、オクタネート、硝酸塩、ニトロシルハロゲン、ニトロシル硝酸塩、硫酸塩、硫化物、スルホン酸塩、リン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸、トリメチルアセテート、トシレート、及びそれらの組合せが含まれる。遷移金属塩は、可溶性(すなわち、均質)であってよい。あるいは、遷移金属塩は、固体支持体上に固定化(すなわち、不均質)されてもよい。遷移金属塩は、非共有結合または共有結合を介して固体支持体上に固定化され得る。いくつかの実施形態では、固体支持体は、無機材料であってよい。適切な無機材料には、シリカ、アルミナ、チタニア、カーボランダム、ジルコニア、活性木炭、ゼオライト、粘土、ポリマー、セラミック、及び活性炭素が含まれる。適切なシリカには、二酸化ケイ素、非晶質シリカ、及びミクロ多孔性またはメソ多孔性シリカが含まれる。他の実施形態では、固体支持体は、ポリマーであってよい。ポリマーは、天然ポリマー、合成ポリマー、半合成ポリマーまたはコポリマーであってよい。ポリマーの非限定的な例には、アガロース、セルロース、ニトロセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリビニリデン、メタクリル酸共重合体、及びポリスチレン塩化ビニル共重合体が含まれる。
【0058】
さらなる実施形態では、遷移金属触媒は、遷移金属錯体であってよい。一般に、遷移金属錯体は、遷移金属及び0〜8の範囲の酸化状態を有する4、5、または6位の種を含む。複合体はイオン性であってよく、または複合体は、共有結合したリガンド及び対イオンを含んでもよい。あるいは、複合体は、金属、リガンド、及び/または対イオンとの間にイオン結合及び共有結合の混合物を含んでもよい。リガンドは、単座または多座でよい。適切なリガンドの非限定的な例には、アレーンリガンド、オレフィンリガンド、アルキンリガンド、複素環アルキルリガンド、ヘテロアリールリガンド、アルキルリガンド、シクロペンタジエニルリガンド、ヒドリドリガンド、アミンリガンド、カルボニルリガンド、窒素ドナーリガンド、リンドナーリガンド、酸素ドナーリガンドなど、が含まれる。リガンドは、例えば、DMSO、メタノール、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、アセトン、エタノール、ピリジン、テトラアルキルアンモニウム化合物など溶媒であってよい。適切な対イオンには、ハロゲン化物、BF、PF、ClO、CHO、CFSO、CHCO、ArCO、CHSO、p−トリルSO、HSO、HPO、及びヒドロカルビルアニオンが含まれるが、これらに限定されない。多数の遷移金属錯体が、“Transposition of Allylic Alcohols into Carbonyl Compounds Mediated by Transition Metal Complexes”by Uma et al.,Chem.Rev.03:27−51(2003)に詳述されている。
【0059】
例示的な実施形態では、遷移金属触媒はパラジウムを含んでもよい。パラジウム触媒の非限定的な例には、Pd(acac)、[Pd(アリル)Cl]、Pd(MeCN)Cl、Pd(dba)、Pd(TFA)、Pd(dba)・CHCl、Pd(PPh、Pd(OAc)、Pd(PCyCl、Pd(PPhCl、Pd[P(O−tol)Cl、Pd(amphos)Cl,Pd(dppf)Cl、Pd(dtpf)Cl、Pd(MeCN)(BF)2、PdBr、PdCl、(SPhos)Pd(II)塩化フェネチルアミン、(XPhos)Pd(II)塩化フェネチルアミン、(RuPhos)Pd(II)塩化フェネチルアミン、(t−BuXPhos)Pd(II)塩化フェネチルアミン,及び(BrettPhos)Pd(II)塩化フェネチルアミンが含まれる。
【0060】
反応混合物に添加される遷移金属触媒の量は、変化することができるし、変化するであろう。一般に、反応混合物に添加される遷移金属触媒の量は、重量で約0.005%〜約10%の範囲でよい。様々な実施形態では、反応混合物に添加される遷移金属触媒の量は、重量で、約0.005%〜約0.05%、約0.05%〜約0.5%、約0.5%〜約2%、または約2%〜約10%、の範囲であってよい。特定の実施形態では、反応混合物に添加される遷移金属触媒の量は、重量で約0.01%〜約1%の範囲であってよい。
【0061】
反応混合物は、さらに、プロトン受容体を含む。適切なプロトン受容体には、ホウ酸塩(例えば、NaBOなど)、ジ−及びトリ−塩基性リン酸塩(例えば、NaHPO及びNaPO、など)、重炭酸塩(例えば、NaHCO、KHCO、LiHCOなど)、炭酸塩(例えば、NaCO、KCO、LiCOなど)、ブトキシド(例えば、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシドなど)、有機塩基(例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジンなど)、及びそれらの混合物、が含まれる。例示的な実施形態では、プロトン受容体は、ナトリウムtert−ブトキシド、KCO、またはトリエチルアミンであってよい。
【0062】
反応混合物に添加されるプロトン受容体の量は、変化することができる。一般に、式(V)を含む化合物対プロトン受容体のモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:10の範囲であってよい。様々な実施形態では、式(V)を含む化合物対プロトン受容体のモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:2、約1:2〜約1:5、または約1:5〜約1:10、の範囲であってよい。例示的な実施形態では、式(V)を含む化合物対プロトン受容体のモル対モル比率は、約1:1〜約1:4の範囲であってよい。
【0063】
反応混合物は溶媒も含む。適切な溶媒には、非プロトン性極性溶媒、非極性溶媒、またはそれらの組合せが含まれる。非プロトン性極性溶媒及び非極性溶媒の例は、上記のセクション(II)(a)(ii)に記載されている。例示的な実施形態では、溶媒は、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、または、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)であってよい。
【0064】
一般に、溶媒対式(V)を含む化合物の体積対質量の比率は、約0.5:1〜約100:1の範囲である。様々な実施形態では、溶媒対式(V)を含む化合物の体積対質量の比率は、約0.5:1〜約5:1、約5:1〜約25:1、または約25:1〜約100:1の範囲であってよい。例示的な実施形態では、溶媒対式(V)を含む化合物の体積対質量の比率は、約5:1〜約20:1の範囲であってよい。
【0065】
反応条件。反応が行われる温度は、溶媒の固有性及び式(V)を含む化合物上の置換基の性質に依存して変化し得る。一般に、反応温度は、約0℃〜約200℃の範囲でよい。様々な実施形態では、反応は、約0℃〜約20℃、約20℃〜約40℃、約40℃〜約60℃、約60℃〜約80℃、約80℃〜約100℃、約100℃〜約120℃、約120℃〜約150℃、または約150℃〜約200℃、の温度で行ってよい。特定の実施形態では、反応は、室温から還流までの範囲の温度で行うことができる。反応は、一般に、大気圧下で行われる。
【0066】
典型的には、反応は、上記のように、反応が完了するまで十分な時間進行させる。完了した反応においては、反応混合物中に残っている式(V)を含む化合物の量は、約3%未満、または約1%未満であってよい。一般に、反応は約1時間〜約72時間進行させることができる。いくつかの実施形態では、反応は、約1時間〜約4時間、約4時間〜約12時間、約12時間〜約24時間、約24時間〜約48時間、または約48時間〜約72時間進行させることができる。
【0067】
式(VIa)または(VIb)を含む化合物は、当業者に公知の技術を用いて反応混合物から単離され得る。適切な技術の非限定的な例には、沈殿、抽出、蒸発、蒸留、クロマトグラフィー、及び結晶化が含まれる。
【0068】
典型的には、式(VIa)または(VIb)を含む化合物の収率は重量で少なくとも約40%であろう。特定の実施形態では、式(VIa)または(VIb)を含む化合物の収率は、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%、であってよい。
(ii)アミドの合成
【0069】
式(V)を含む化合物のRがNHである実施形態では、反応スキーム3に従って、式(V)を含む化合物をR19C(O)X’と接触させて、式(VIc)を含む化合物を形成させるこことができる:
【化19】
ここで:
Rは、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、アミン、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、アミン、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
、R10、R11、R12、及びR15は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
19は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;
X’はハロゲンであり;
nは1〜3の整数であり;及び
破線は任意選択の二重結合を表す。
【0070】
他の実施形態では、式(V)を含む化合物中のRは、水素源(例えば、水素ガス及び例えば、炭素上のパラジウムなどの適切な触媒)との接触によりNHに還元され得るNOであってよい。
【0071】
同様の反応を、Rがアミドである化合物を生成するのに使用することができる。このような実施形態では、式(V)を含む化合物中のRはNH(またはNO)であり、Rは、水素、ハロゲン、OR15、アミン、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルである。
【0072】
反応混合物。反応は、Rが、NH及びアシルハライド(例えば、R19C(O)X’)である(V)を含む化合物を含む反応混合物の形成で開始する。いくつかの実施形態では、R19は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、置換アルキル、置換シクロアルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリール、または置換ヘテロアリールであってよい。特定の実施形態では、R19は、直鎖状または環状の、置換されていてもよいC−Cアルキルであってよい。さらに他の実施形態では、R19は、ハロ、ニトロ、ヒドロキシル、ケトもしくはオキソ、C−Cアルキル、C−Cアルキオキシ、またはC−Cアルケニルで置換されたアリールまたはアリールであってよい。適切なアリール基は、フェニル、ベンジル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、及びイミダゾリルを含む。
【0073】
様々なアシルハライドが、この反応で使用するのに適している。適切なアシルハライドには、限定なく、アルキルアシルハライド(例えば、ホルミルハライド、アセチルハライド、プロピオニルハライド、ブチリルハライド、ヘキサノイルハライド、シクロペンタンカルボニルハライド、など)、及びアリールアシルハライド(例えば、ベンゾイルハライド、フェニルアセチルハライド、フェニルハロホルメート、トルオイルハライド、トルエンスルホニルハライド、2−フロイルハライド、ニコチノイルハライド、ピペロニルオイル(piperonyloyl)ハライド、など)が含まれる。
【0074】
反応で使用されるアシルハライドの量は、変化することができるし、変化するであろう。一般に、式(V)を含む化合物対アシルハライドのモル対モル比率は、約1:0.8〜約1:2の範囲であってよい。様々な実施形態では、式(V)を含む化合物対アシルハライドのモル対モル比率は、約1:0.8〜約1:1.0、約1:1.0〜約1:1.2、約1:1.2〜約1:1.4、約1:1.4〜約1:1.8、または約1:1.8〜約1:2、の範囲であってよい。例示的な実施形態では、式(V)を含む化合物対アシルハライドのモル対モル比率は、約1:1.0〜約1:1.2の範囲であってよい。
【0075】
反応混合物は、さらに、プロトン受容体を含む。適切なプロトン受容体には、ホウ酸塩(例えば、NaBOなど)、ジ−及びトリ−塩基性リン酸塩(例えば、NaHPO及びNaPO、など)、重炭酸塩(例えば、NaHCO、KHCO、LiHCOなど)、炭酸塩(例えば、NaCO、KCO、LiCOなど)、ブトキシド(例えば、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシドなど)、有機塩基(例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジンなど)、及びそれらの混合物、が含まれる。例示的な実施形態では、プロトン受容体は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、またはN−メチルモルホリンであってよい。
【0076】
反応混合物に添加されるプロトン受容体の量は、変化することができる。一般に、式(V)を含む化合物対プロトン受容体のモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:10の範囲である。様々な実施形態では、式(V)を含む化合物対プロトン受容体のモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:2、約1:2〜約1:5、または約1:5〜約1:10、の範囲であってよい。例示的な実施形態では、式(V)を含む化合物対プロトン受容体のモル対モル比率は、約1:1〜約1:4の範囲であってよい。
【0077】
反応混合物は溶媒も含む。適切な溶媒には、非プロトン性極性溶媒、非極性溶媒、またはそれらの組合せが含まれる。非プロトン性極性溶媒及び非極性溶媒の例は、上記のセクション(II)(a)(ii)に記載されている。例示的な実施形態では、溶媒は、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジクロロメタン、またはクロロホルムであってよい。
【0078】
一般に、溶媒対式(V)を含む化合物の体積対質量の比率は、約0.5:1〜約100:1の範囲である。様々な実施形態では、溶媒対式(V)を含む化合物の体積対質量の比率は、約0.5:1〜約5:1、約5:1〜約25:1、または約25:1〜約100:1の範囲であってよい。例示的な実施形態では、溶媒対式(V)を含む化合物の体積対質量の比率は、約5:1〜約20:1の範囲であってよい。
【0079】
反応条件。反応が行われる温度は、変化することができるし、変化するであろう。一般に、反応温度は、約−50℃〜約50℃の範囲でよい。様々な実施形態では、反応温度は、約−500℃〜約20℃、約−20℃〜約0℃、約−0℃〜約20℃、または約20℃〜約50℃、の範囲でよい。特定の実施形態では、反応は室温で行うことができる。反応は、一般に、大気圧下で行われる。
【0080】
典型的には、反応は、上記に詳述したように、反応が完了するまで十分な時間進行させる。完了した反応においては、反応混合物中に残っている式(V)を含む化合物の量は、約3%未満、または約1%未満であってよい。一般に、反応は約1時間〜約72時間進行させることができる。いくつかの実施形態では、反応は、約1時間〜約4時間、約4時間〜約12時間、約12時間〜約24時間、約24時間〜約48時間、または約48時間〜約72時間進行させることができる。
【0081】
式(VIc)を含む化合物は、当業者に公知の技術を用いて反応混合物から単離され得る。適切な技術の非限定的な例には、沈殿、抽出、蒸発、蒸留、クロマトグラフィー、及び結晶化が含まれる。
【0082】
典型的には、式(VIc)を含む化合物の収率は重量で少なくとも約40%であろう。特定の実施形態では、式(VIc)を含む化合物の収率は、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%、であってよい。
(III)式(II)を含む化合物を調製するためのプロセス
【0083】
本開示のさらなる態様は、化合物を含む、式(II)を調製するための方法を包含する。式(I)を含む化合物を式(V)の化合物を調製するためのカルボニル供与体と接触させることを含むプロセスは、以下の反応スキーム4に従って、式(I)の化合物をカルボニル供与体と接触させて式(II)を含む化合物を形成させることを含み得る:
【化20】
ここで:
Rは、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R10、R11、R12、R13、R15、及びR16は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
nは1〜3の整数であり;
破線は任意選択の二重結合を表す。
【0084】
いくつかの実施形態では、Rは、水素、アルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、置換アルキル、置換複素環、置換アリール、または置換ヘテロアリールであることができる。様々な反復では、Rは、C−Cとして定義される低級アルキルであってよく、直鎖状または環状であってよい。他の反復では、Rは、モルホリニル、ピペラジニル、フェニル、ベンジル、ピリジル、ピリジン、ピリジル、オキサジニル、ピペロニル、等であってよい。上記の任意のものは、少なくとも1つのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロゲン、オキソ、ケト、ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、アミド、チオール、シアノ、ケタール、アセタール、エステル、またはエーテルで置換されてもよい。
【0085】
様々な実施形態では、R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキオキシ、アルキルであってよく、またはR及びRは一緒に{−}O−CH−O{−}を形成してもよい。R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアルキルであってよい。R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、またはアミドであってよい。いくつかの実施形態では、R13は、水素、アルキル、アリール、置換アルキル、または置換アリールであってよい。他の実施形態では、R、R10、R11、及びR12のそれぞれは、水素であってよい。様々な実施形態では、破線を含む環は1つ、2つ、または3つの二重結合を有してもよい。C−14の構成は、RまたはSであってよい。
(a)反応混合物
【0086】
プロセスは、反応混合物の形成で開始する。反応混合物は、上記で詳述したように、式(I)を含む化合物を含む。
(i)カルボニル供与体
【0087】
反応混合物をさらにカルボニル供与体を含む。様々なカルボニル供与体がこのプロセスでの使用に適している。いくつかの実施形態では、カルボニル供与体はアシルハライド、すなわちR’C(O)Xであってよく、ここで、R’はヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり、Xはハロゲンである(及び、R’は、カルボニルとともに式(II)を含む化合物に転写される)。他の実施形態では、カルボニル供与体は、ホルメート、すなわちR”OC(O)Hであってよく、ここでR”はヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである(及び、Hは、カルボニルとともに式(II)を含む化合物に転写される)。さらなる実施形態では、カルボニル供与体はアルデヒド、すなわちR’CHOであってよく、ここで、R’はヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである(及び、R’は、カルボニルとともに式(II)を含む化合物に転写される)。
【0088】
いくつかの実施形態では、カルボニル供与体は、アシルハライドであってよい。適切なアシルハライドの非限定的な例には、例えば、アルキル(例えば、ホルミルハライド、アセチルハライド、プロピオニルハライド、ブチリルハライド、ヘキサノイルハライド、シクロペンタンカルボニルハライド、など)及びアリールアシルハライド(例えば、ベンゾイルハライド、置換ハライド、フェニルアセチルハライド、フェニルハロホルメート、トルオイルハライド、トルエンスルホニルハライド、2−フロイルハライド、ニコチノイルハライド、ピペロニルオイルハライド、など)が含まれる。反応混合物に添加されるアシルハライドの量は変化し得る。一般に、式(I)を含む化合物対アシルハライドのモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:4の範囲であってよい。様々な実施形態では、式(I)を含む化合物対アシルハライドのモル対モル比率は、約1:0.1〜約1:1、約1:1〜約1:2、約1:2〜約1:3、または約1:3〜約1:4、の範囲であってよい。例示的な実施形態では、式(I)を含む化合物対アシルハライドのモル対モル比率は、約1:1〜約1:2の範囲であってよい。
【0089】
他の実施形態では、カルボニル供与体はホルメートであってよい。適切なアルデヒドの非限定的な例には、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ブチルホルメート、ペンチルホルメート、ヘキシルホルメート、フェニルホルメート、ベンジルホルメートなどが含まれる。式(I)を含む化合物と接触させるホルメートの量は変化することができるし、変化するであろう。一般に、式(I)を含む化合物対ホルメートのモル対モル比率は、約1:5〜約1:50の範囲であってよい。特定の実施形態では、式(I)を含む化合物対ホルメートのモル対モル比率は、約1:5〜約1:10、約1:10〜約1:30、または約1:30〜約1:50、の範囲であってよい。例示的な実施形態では、式(I)を含む化合物対ホルメートのモル対モル比率は、約1:10〜約1:30の範囲であってよい。
【0090】
さらなる実施形態では、カルボニル供与体はアルデヒドであってよい。適切なアルデヒドの非限定的な例には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、シクロプロパンカルボキシアルデヒド、シクロブタンカルボキシアルデヒド、ベンズアルデヒド、グリオキサール、グリオキシル酸、2−フルアルデヒド、ニコチンアルデヒド、などが含まれる。反応混合物に添加されるアルデヒドの量は、変化することができる。一般に、式(I)を含む化合物対アルデヒドのモル対モル比率は、約1:0.2〜約1:4の範囲であってよい。様々な実施形態では、式(I)を含む化合物対アルデヒドのモル対モル比率は、約1:0.1〜約1:1、約1:1〜約1:2、約1:2〜約1:3、または約1:3〜約1:4、の範囲であってよい。例示的な実施形態では、式(I)を含む化合物対アルデヒドのモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:2の範囲であってよい。
(ii)任意選択のプロトン受容体またはプロトン供与体
【0091】
使用されるカルボニル供与体に依存して、反応混合物は、さらに、プロトン受容体またはプロトン供与体を含んでよい。カルボニル供与体がアシルハライドである実施形態では、反応混合物は、さらに、プロトン受容体を含むことができる。プロトン受容体は、典型的には、約7と約13の間のpKaを有する。この特性を有する適切なプロトン受容体には、ホウ酸塩(例えば、NaBOなど)、ジ−及びトリ−塩基性リン酸塩(例えば、NaHPO及びNaPO、など)、重炭酸塩(例えば、NaHCO、KHCO、LiCOなど)、炭酸塩(例えば、NaCO、KCO、LiCOなど)、有機塩基(例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジンなど)、及び上記の任意のものの混合物、が含まれる。例示的な実施形態では、プロトン受容体はトリエチルアミンであってよい。
【0092】
アシルハライドを含む反応混合物に添加されるプロトン受容体の量は、変化することができる。一般に、式(I)を含む化合物対プロトン受容体のモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:10の範囲である。様々な実施形態では、式(I)を含む化合物対プロトン受容体のモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:2、約1:2〜約1:5、または約1:5〜約1:10、の範囲であってよい。例示的な実施形態では、式(I)を含む化合物対プロトン受容体のモル対モル比率は、約1:1〜約1:4の範囲であってよい。
【0093】
カルボニル供与体がアルデヒドである実施形態では、反応混合物は、さらに、プロトン受容体またはプロトン供与体を含み得る。一般には、プロトン供与体またはプロトン受容体は、約9未満のpKaを有する。適切なプロトン供与体には、HOAc、HCOH、n−PrCOH、PhCOH、MeSOH、ポリHPO、HPO、HSO、HCl、HBr、HI、CFSOH、p−メチルトルエンスルホン酸、及びそれらの組み合わせ、が含まれるが、これらに限定されない。適切なプロトン受容体には、ホウ酸塩(例えば、NaBOなど)、ジ−及びトリ−塩基性リン酸塩(例えば、NaHPO及びNaPO、など)、重炭酸塩(例えば、NaHCO、KHCO、LiHCOなど)、炭酸塩(例えば、NaCO、KCO、LiCOなど)、ブトキシド(例えば、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシドなど)、有機塩基(例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジンなど)、及びそれらの混合物、が含まれる。他の適切なプロトン受容体/プロトン供与体には、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)グリシン(BICINE)、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]グリシン(TRICINE)、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、3−(シクロヘキシルアミノ)−1−プロパンスルホン酸(CAPS)、3−(シクロヘキシルアミノ)−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(CAPSO)、N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(3−プロパンスルホン酸)(EPPS)、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸(HEPES)、2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、3−{[トリス(ヒドロキシメチル)]アミノ}−1−プロパンスルホン酸(TAPS)、及びN−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、が含まれる。
【0094】
アルデヒドを含む反応混合物に添加されるプロトン受容体またはプロトン供与体の量は、変化することができる。一般に、式(I)を含む化合物対プロトン受容体のモル対モル比率は、約1:0.05〜約1:10の範囲である。様々な実施形態では、式(I)を含む化合物対プロトン受容体またはプロトン供与体のモル対モル比率は、約1:0.05〜約1:1、約1:1〜約1:5、または約1:5〜約1:10、の範囲であってよい。例示的な実施形態では、式(I)を含む化合物対プロトン受容体またはプロトン供与体のモル対モル比率は、約1:0.1〜約1:5の範囲であってよい。
(iii)溶媒
【0095】
いくつかの実施形態では、反応混合物はさらに溶媒を含むことができる。出発基材に対する適切な溶媒と溶媒の比率は、上記のセクション(II)(a)(ii)に記載されている。例示的な実施形態では、溶媒はテトラヒドロフランであってよく、溶媒対式(I)を含む化合物の体積対質量比率は約2:1〜約20:1の範囲であってよい。
(b)反応条件
【0096】
一般に、反応は約10℃〜約80℃の範囲の温度で行われる。様々な実施形態では、反応は、約10℃〜約20℃、約20℃〜約30℃、約30℃〜約50℃、または約50℃〜約80℃、の温度で行ってよい。例示的な実施形態では、反応温度は約20℃〜約30℃の範囲であってよい。反応は、一般に、大気圧下で行われる。
【0097】
典型的には、反応は、上記に詳述したように、反応が完了するまで十分な時間進行させる。完了した反応においては、反応混合物中に残っている式(I)を含む化合物の量は、約3%未満、または約1%未満であってよい。一般に、反応は約2時間〜約24時間進行させることができる。いくつかの実施形態では、反応は、約2時間〜約6時間、約6時間〜約12時間、または約12時間〜約24時間進行させることができる。
【0098】
式(II)を含む化合物は、当業者に公知の技術を用いて反応混合物から単離され得る。適切な技術の非限定的な例には、沈殿、抽出、蒸発、蒸留、クロマトグラフィー、及び結晶化が含まれる。
【0099】
一般には、式(II)を含む化合物の収率は重量で少なくとも約40%であろう。特定の実施形態では、式(II)を含む化合物の収率は、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%、であってよい。
【0100】
式(I)及び(II)を含む化合物中のC−14は、R配置またはS配置を有することができる。
(IV)式(V)を含む化合物の使用方法
【0101】
本開示のさらに他の態様は、式(V)を含む化合物の使用方法を提供する。
(a)癌細胞の増殖の阻害
【0102】
一実施形態では、式(V)を含む化合物まあはその薬学的に許容される塩は、癌細胞の増殖を阻害するのに使用することができ、ここで、この方法は、癌細胞を有効量の式(V)を含む化合物と接触させることを含む:
【化21】
ここで:
Rは、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R10、R11、R12、R15、及びR16は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
nは1〜3の整数であり;及び
破線は任意選択の二重結合を表す。
【0103】
いくつかの実施形態では、Rは、水素、アルキル、複素環、アリール、ヘテロアリール、置換アルキル、置換複素環、置換アリール、または置換ヘテロアリールであることができる。様々な反復では、Rは、C−Cとして定義される低級アルキルであってよく、直鎖状または環状であってよい。他の反復では、Rは、モルホリニル、ピペラジニル、フェニル、ベンジル、ピリジル、ピリジン、ピリジル、オキサジニル、ピペロニル、等であってよい。上記の任意のものは、少なくとも1つのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロゲン、オキソ、ケト、ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、アミド、チオール、シアノ、ケタール、アセタール、エステル、またはエーテルで置換されてもよい。
【0104】
様々な実施形態では、R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキオキシ、アルキルであってよく、またはR及びRは一緒に{−}O−CH−O{−}を形成してもよい。R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアルキルであってよい。R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、またはアミドであってよい。他の実施形態では、R、R10、R11、及びR12のそれぞれは、水素であってよい。様々な実施形態では、破線を含む環は1つ、2つ、または3つの二重結合を有してもよい。C−14及びC−8のそれぞれの構成は、RまたはSであってよい。例示的な実施形態では、C−14及びC−8はシン立体化学を有する。
【0105】
特定の実施形態では、式(V)を含む化合物は、式(V−1)を含む化合物であってよい。他の実施形態では、式(V)を含む化合物は、式(V−1a)または式(V−1b)を含む化合物であってよい。
【0106】
この方法は、癌細胞を有効量の式(V)を含む化合物と接触させることを含む。「有効」量は、(対象のプロセス(例えば、細胞増殖またはそこでかかわるプロセス)に影響すなわち、正または負に)を与える化合物の用量を指す。使用される正確な量は、化合物の所望の用量及び副作用を考慮して熟練した医師によって決定され得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、癌細胞は、インビトロであってよい。癌細胞は、原発性癌細胞または培養された癌細胞株の細胞であってよい。癌細胞株は、ヒト癌細胞株または哺乳類の癌細胞株であってよい。ヒトまたは他の哺乳動物の癌細胞株は、市販されており、及び/または当業者に周知である。インビトロの癌細胞は、式(V)を含む化合物と連続的に、短時間、間欠的に、接触させるか、または様々なレジメンの任意のものであってよい。
【0108】
他の実施形態では、癌細胞は、インビボであってよく、すなわち、癌細胞は、被験体に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、被験体はヒトであってよい。他の実施形態では、被験体は、非ヒト動物であってよい。非ヒト動物の非限定的な例には、コンパニオン動物(例えば、ネコ、イヌ、ウマ、ウサギ、スナネズミ)、農業用動物(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ)、研究動物(例えば、ラット、マウス、ウサギ、霊長類)、及び動物園の動物(例えば、ライオン、トラ、ゾウ、など)が含まれる。
【0109】
被験体における癌は、原発性または転移性であってよく、腫瘍は悪性または良性であってよい。癌は早期または後期であってよい。治療することができる癌の非限定的な例には、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、副腎皮質癌、エイズ関連癌、エイズ関連リンパ腫、肛門癌、虫垂癌、星状細胞腫(小児小脳または大脳)、基底細胞癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳幹神経膠腫、脳腫瘍(小脳星細胞腫、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫、上衣腫、髄芽腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、視覚路及び視床下部グリオーマ)、乳癌、気管支腺腫/カルチノイド、バーキットリンパ腫、カルチノイド腫瘍(子供の頃、胃腸)、原発不明癌、中枢神経系リンパ腫(プライマリ)、小脳星細胞腫、大脳星細胞腫/悪性神経膠腫、子宮頸癌、小児癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患、結腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、腫瘍のユーイングファミリーのユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍(子供の頃)、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼の癌(眼内黒色腫、網膜芽腫)、胆嚢癌、胃(胃部)癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、胚細胞腫瘍(小児頭蓋外、性腺外、卵巣)、妊娠性絨毛腫瘍、神経膠腫(成人、小児脳幹、小児大脳星細胞腫、小児視経路及び視床下部)、胃カルチノイド、有毛細胞白血病、頭頸部癌、肝細胞(肝臓)癌、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、視床下部と視覚経路グリオーマ(子供の頃)、眼内黒色腫、膵島細胞癌、カポジ肉腫、腎臓癌(腎細胞癌)、喉頭癌、白血病(急性リンパ芽球性、急性骨髄性、慢性リンパ球性、慢性骨髄性、有毛細胞)、口唇及び口腔癌、肝臓癌(一次)、肺癌(非小細胞、小細胞)、リンパ腫(エイズ関連、バーキット、皮膚T細胞、ホジキン、非ホジキン、主要な中枢神経システム)、マクログロブリン血症(ワルデンストローム)、骨/骨肉腫の悪性線維性組織球腫、髄芽腫(子供の頃)、黒色腫、眼内黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫(成人悪性、子供の頃)、原発不明転移性扁平上皮頸部癌、口腔癌、内分泌腫瘍症候群(子供の頃)、多発性骨髄腫/形質細胞新生物、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患、骨髄性白血病(慢性)、骨髄性白血病(成人急性、子供急性)、多発性骨髄腫、骨髄増殖性疾患(慢性)、鼻腔及び副鼻腔癌、上咽頭癌、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、口腔癌、咽頭癌、骨肉腫/骨の悪性線維性組織球腫、卵巣癌、卵巣上皮癌(表面上皮−間質腫瘍)、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵臓癌、膵臓癌(膵島細胞)、副鼻腔及び鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、松果体星細胞腫、松果体胚細胞腫、松果体芽腫及びテント上原始神経外胚葉性腫瘍(子供の頃)、下垂体腺腫、形質細胞新生物、胸膜肺芽、主要な中枢神経系リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞癌(腎臓癌)、腎盂と尿管移行上皮癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫(子供の頃)、唾液腺癌、肉腫(腫瘍のユーイングファミリー、カポジ、軟部組織、子宮)、セザリー症候群、皮膚癌(非黒色腫、黒色腫)、皮膚癌(メルケル細胞)、小細胞肺癌、小腸癌、軟部組織肉腫、扁平上皮癌、原発性(転移性)、胃癌、扁平上皮頸部癌、テント上原始神経外胚葉性腫瘍(子供の頃)、T細胞リンパ腫(皮膚)、精巣癌、咽喉癌、胸腺腫(子供の頃)、胸腺腫と胸腺癌、甲状腺癌、甲状腺癌(子供の頃)、腎盂と尿管、絨毛腫瘍(妊娠)、未知の原発部位(大人、子供の頃)、尿管及び腎盂移行上皮癌、尿道癌、子宮の移行上皮癌癌(子宮内膜)、子宮肉腫、膣癌、視覚路及び視床下部の神経膠腫(子供の頃)、外陰癌、ワルデンストロームマクログロブリン血症、並びにウィルムス腫瘍(子供の頃)、が含まれる。
【0110】
癌細胞がインビボである実施形態では、癌細胞は、一般に、被験体に有効量の式(V)を含む化合物を投与することによって、化合物と接触させられる。化合物は、経口で(固体または液体として)、非経口で(筋肉内、静脈内、皮内、腹腔内、及び皮下を含む)、または局所的に(経粘膜及び経皮を含む)、投与され得る。「有効」量は、癌細胞の増殖を阻害する化合物の用量を指す。使用される量は、化合物の所望用量及び副作用を行旅して熟練した医師によって決定され得る。式(V)を含む化合物は、被験体に1回または繰返し、投与され得る。繰返し投与は、2時間、6時間、12時間、24時間、2日、5日、7日、30日、などの規則的な間隔であってよい。
【0111】
化合物との接触後、癌細胞の増殖は、一般に阻害される。いくつかの実施形態では、癌細胞の増殖は、約0.5倍、約1倍、約2倍、約5倍、約10倍、または10倍以上、阻害され得る。他の実施形態では、癌細胞の増殖は、細胞が細胞死を受ける(アポトーシスまたは壊死による)程度に阻害され得る。
(b)鎮痛
【0112】
他の実施形態では、式(V)を含む化合物またはその薬学的に許容される塩は、単独で、または被験体における疼痛の病態の治療のための少なくとも1つの追加の薬剤と組合せて使用することができる。この方法は、被験体へ有効量の化合物を投与することを含む。一般に、治療される被験体は、疼痛の病態を有すると診断されている。本明細書で使用される場合、用語「疼痛」は、有害刺激による実際のまたは知覚される組織損傷に関連した不快な感覚及び感情的な経験を指す。疼痛は、急性または慢性疼痛であり得る。例えば、疼痛は、非神経組織への損傷に起因する外傷性または炎症性疼痛であり得る。外傷や炎症性疼痛の非限定的な例には、クモ膜炎、関節炎、背痛、灼熱痛、中枢性疼痛症候群、癌性疼痛、頭痛(偏頭痛、クラスター、及び緊張性頭痛を含む);頭と顔の痛み、筋肉痛(線維筋痛症を含む)、筋筋膜疼痛症候群;交感神経性ジストロフィー症候群、反復性ストレス傷害、坐骨神経痛、帯状疱疹及び他の皮膚疾患、スポーツ傷害、脊柱管狭窄症、術後疼痛、顎関節症、外傷、並びに/または血管の疾患または損傷、が含まれる。
【0113】
あるいは、疼痛は、中枢または末梢神経系の損傷または炎症から生じる神経因性疼痛であり得る。神経因性疼痛は、身体の任意の部分で発生することができ、罹患した固体に対して破壊的であり得る、熱い、灼熱感として説明されることが多い。神経因性疼痛は、急性または慢性であり得る;それは、(糖尿病など)の神経に影響を及ぼす疾患から、外傷、外科的処置、関節炎、エイズ、火傷、脳または腰椎疾患、線維筋痛症、虚血後の疼痛、腫瘍、ウイルス性神経痛から生じ得るものであり、または化学療法薬が神経に影響を及ぼす可能性があるので、この神経因性疼痛は、癌治療の結果であり得る。多くの神経因性疼痛病態の中には、糖尿病性神経障害(糖尿病によって生ずる血管の問題に続く、神経損傷から生ずる);損傷の後に生じ得る反射性交感神経性ジストロフィー症候群;四肢の外科的切除から生じ得る幻肢痛及び切断後の疼痛;帯状疱疹の発生後に生じ得る疱疹後神経痛;及び脳または脊髄に対する外傷から生じ得る複合性局所性疼痛症候群もしくは中枢性疼痛症候群、がある。
【0114】
神経因性疼痛の特徴的な症状には、知覚過敏(すなわち、自然の刺激に対する高い感受性);異痛症(すなわち、触覚の刺激に対する広範な圧痛または過感受性);痛覚過敏(すなわち、疼痛に対する異常な感受性);自発的灼熱痛;及び/または幻肢痛(すなわち、存在していない疼痛の知覚)が含まれる。知覚過敏は、例えば聴覚性、脳性、味覚、筋肉、嗅覚性、夢幻性、視覚性、または触覚性刺激を含む、感覚刺激に対する感受性が異常に増大しまたは変化することを伴う。一例としては、通常は痛みのない接触刺激からの痛みのある感覚である。異痛症は、例えば正常な皮膚に対する非有害性刺激を含むこれらの刺激に関する疼痛閾値を低下させることに基づいた、熱によってまたは接触によって誘発された刺激の、強化された、不愉快な、痛みのある、知覚を伴う。痛覚過敏は、例えば聴覚または筋肉の刺激を含む、疼痛閾値の低下、従って異常に増大した痛覚にやはり基いた、様々な刺激の過剰な知覚を伴う。幻肢痛は、切断された肢で感知される疼痛など、存在していない四肢の痛みの知覚、すなわち幻肢症候群を伴う。
【0115】
追加の薬剤は、アヘン鎮痛剤(例えば、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、コデインなど)または非アヘン鎮痛剤(例えば、トラマドール、タペンタドール、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬)であってよい。当業者は、被験体に投与される化合物の有効量を決定することができる。一般に、被験体はヒトまたは非ヒト哺乳動物(その例は上記に示されている)であってよい。
定義
【0116】
本明細書に記載の化合物は、不斉中心すなわちキラル中心を有し得る。非対称的に置換された原子を含む本発明の化合物は、光学活性またはラセミ形態で単離され得る。特定の立体化学または異性体が具体的に示されなければ、構造の、すべてのキラル、ジアステレオマー、ラセミ形態及びすべての幾何学的異性体が意図される。本発明及びその中で作られる中間体の化合物を調製するのに使用されるすべてのプロセスは、本発明の一部であると見なされる。
【0117】
単独でまたは他の基の一部として本明細書で使用される用語「アシル」は、有機カルボン酸の基COOH、例えばRC(O)−からヒドロキシ基を除去することによって形成される部分を表し、ここで、Rは、R、RO−、RN−、またはRS−であり、Rは、ヒドロカルビル、ヘテロ置換ヒドロカルビル、またはヘテロシクロであり、及びRは、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルである。
【0118】
単独でまたは他の基の一部として本明細書で使用される用語「アシルオキシ」は、酸素結合(O)を介して結合された上述のアシル基を表し、例えばRC(O)O−であり、Rは、用語「アシル」に関連して定義された通りである。
【0119】
本明細書で使用される用語「アルキル」は、好ましくは、主鎖中に1〜8個の炭素原子を含有し最大20個までの炭素原子を含有する低級アルキルである基を記載する。これらの基は、直鎖または分枝鎖または環状であってよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、及びヘキシルなどが含まれる。
【0120】
本明細書で使用される用語「アルケニル」は、好ましくは、主鎖中に2〜8個の炭素原子を含有し最大20個までの炭素原子を含有する低級アルケニルである基を記載する。これらの基は、直鎖または分枝鎖または環状であってよく、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、及びヘキセニルなどが含まれる。
【0121】
本明細書で使用される用語「アルキニル」は、好ましくは、主鎖中に2〜8個の炭素原子を含有し最大20個までの炭素原子を含有する低級アルキニルである基を示す。これらの基は、直鎖または分枝鎖であってよく、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、及びヘキシニルなどが含まれる。
【0122】
単独でまたは他の基の一部として本明細書で使用される用語「芳香族」は、任意選択で置換された同素環または複素環式芳香族基を表す。これらの芳香族基は、好ましくは、環部分に6〜14個の原子を含有する単環式、二環式、または三環式基である。用語「芳香族」は、以下に定義される「アリール」基及び「ヘテロアリール」基を包含する。
【0123】
単独でまたは他の基の一部として本明細書で使用される用語「アリール」または「Ar」は、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニル、または置換ナフチルなどの、任意選択で置換された同素環式芳香族基、好ましくは環部分に6〜12個の炭素を含有する単環式または二環式基、を表す。フェニル及び置換フェニルがより好ましいアリールである。
【0124】
単独でまたは他の基の一部として本明細書で使用される用語「ハロゲン」または「ハロ」は、塩素、臭素、フッ素、及びヨウ素を指す。
【0125】
用語「ヘテロ原子」は、炭素及び水素以外の原子を意味する。
【0126】
単独でまたは他の基の一部として本明細書で使用される用語「ヘテロシクロ」または「複素環式」は、少なくとも1個の環内に少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは各環内に5または6個の原子を有する、任意選択で置換された完全飽和または不飽和の単環式または二環式の芳香族または非芳香族基を表す。ヘテロシクロ基は、好ましくは、1もしくは2個の酸素原子及び/または1〜4個の窒素原子を環内に有し、炭素またはヘテロ原子を介して分子の残りの部分に結合される。例示的なヘテロシクロ基には、以下に記載のヘテロ芳香族が含まれる。例示的な置換基には、1つまたは複数の以下の置換基が含まれる:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、アルコキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、シアノ、ケタール、アセタール、エステル及びエーテル。
【0127】
単独でまたは他の基の一部として本明細書で使用される用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1個の環内に少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは各環内に5または6個の原子を有する、任意選択で置換された芳香族基を表す。ヘテロアリール基は、好ましくは環内に1もしくは2個の酸素原子及び/または1〜4個の窒素原子を有し、炭素を介して分子の残りに結合している。例示的なヘテロアリールには、フリル、ベンゾフリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、オキサジアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、テトラゾロピリダジニル、カルバゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、及びイミダゾピリジルなどが含まれる。例示的な置換基には、1つまたは複数の以下の基が含まれる:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、アルコキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、シアノ、ケタール、アセタール、エステル及びエーテル。
【0128】
本明細書で使用される用語「炭化水素」及び「ヒドロカルビル」は、元素である炭素及び水素のみからなる有機化合物または基を表す。これらの部分は、アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアリール部分を含む。これらの部分は、アルカリール、アルケナリール、及びアルキナリールなど、他の脂肪族または環式炭化水素基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、及びアリール部分も含む。別途指示されなければ、これらの部分は、好ましくは1〜20個の炭素原子を含む。
【0129】
本明細書に記載される「置換ヒドロカルビル」部分は、少なくとも1個の炭素以外の原子で置換されたヒドロカルビル部分であり、炭素鎖原子が窒素、酸素、ケイ素、リン、ホウ素、硫黄、またはハロゲン原子などのヘテロ原子で置換された部分、及び炭素鎖が追加の置換基を含む部分を含む。これらの置換基には、ハロゲン、ヘテロシクロ、アルコキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、ニトロ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、ケタール、アセタール、エステル及びエーテルが含まれる。
【0130】
本発明の要素またはその好ましい実施形態を導入する場合、冠詞「1つの(a)」、「1つの(an)」、「前記(the)」、及び「前記(said)」は、1つまたは複数の要素があることを意味するものとする。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」は、包括的でありかつ列挙された要素以外の追加の要素があり得ることを意味するものとする。
【0131】
本発明について詳細に記載してきたが、添付される特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、修正及び変更が可能であることが理解されるであろう。
【実施例】
【0132】
以下の実施例は単に、さらに本発明を例示し説明することを単に意図している。従って、本発明は、これらの実施例における詳細のいずれにも限定されるべきではない。
実施例1:化合物7からの化合物7メチルアミドの調製
【化22】
【0133】
化合物7(20.01グラム、0.06モル)を、無水テトラヒドロフラン(100mL)に溶解した。この溶液に、トリエチルアミン(17.59グラム、0.17モル、24.22mL)を滴下した。添加漏斗を使用して、塩化アセチル(9.10グラム、0.12モル、8.24mL)を滴下した。次いで、反応物を室温で4時間撹拌した。蒸留水(10mL)を添加し、全混合物を減圧下で厚い油状になるまで蒸発させた。メタノール(50mL)及び蒸留水(10mL)を添加した。この溶液に、50%水酸化ナトリウム水溶液(1ml)を加えてpH13.0にした。混合物を室温で一晩撹拌した。36%塩酸を滴下して溶液のpHをpH5.0に調整した。酢酸エチル(2×100mL)を用いて混合物を抽出した。抽出物を合せ、蒸留水(3×100mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで濾過した。静置すると、沈殿が始まり、酢酸エチル溶液を形成した。沈殿物を濾過により単離し、漏斗上で乾燥させて化合物7(17.60グラム、89%収率)のメチルアミドを生成させた。
実施例2:化合物7メチルアミドからのメチル−ベルビンの調製
【化23】
【0134】
化合物7メチルアミド(3.50グラム、0.01モル)をトルエン(50mL)中でスラリー化した。スラリーを70℃に加温し、次いで50℃に冷却した。冷却した溶液にオキシ塩化リン(1.96グラム、0.01モル、1.19ml)を加えた。混合物を加温して還流させ、還流下で5時間保持し、次いで室温に冷却した。オレンジ色の沈殿物が形成された。トルエンをデカントし、メタノール(100mL)を添加した。混合物を厚い油状に蒸発させた。この厚い油状物に、メタノール(20mL)、蒸留水(10mL)、次いで水素化ホウ素ナトリウム(780mg、0.02モル)を加えた。反応物を室温で30分間撹拌した。混合物をクロロホルム(100mL)中に注ぎ、次いで蒸留水(50mL)及び1%塩酸水溶液(1mL)を加えた。クロロホルム層を除去し、残った水層を廃棄した。クロロホルム層を無水硫酸マグネシウム(2.0g)で乾燥させ、濾過し、厚い油状に蒸発乾燥させた。油状物を酢酸エチル(10mL)に溶解し、室温で放置した。静置すると、沈殿物が形成された。沈殿物を濾過し、酢酸エチル(1mL)で洗浄することによって、ベルビン1(2.40グラム、72%収率)を単離した。
実施例3:化合物(R)−7 N−蟻酸塩の調製
【化24】
【0135】
化合物(R)−7(4.85グラム、16.20ミリモル)を30mLの蟻酸プロピル中でスラリー化した。混合物を加温して還流させ、還流下で12時間保持した。反応物を室温に冷却し、次いで減圧化で蒸発させて油状にした。その生の油状物に酢酸エチル(10mL)を添加し、溶液をもう一度蒸発させて泡を形成させた。この泡を室温で一晩乾燥させ、回転異性体の混合物としてのN−ホルミル化合物(5.30グラム、16.2ミリモル、収率100%)を得た。
実施例4:化合物(R)−7 N−蟻酸塩からのベルビンの調製
【化25】
【0136】
N−ホルミル(R)−7(1.22グラム、3.73ミリモル)及びアセトニトリル(15ml)を、3首丸底フラスコに充填した。この溶液に、オキシ塩化リン(2.0当量、7.45ミリモル、1.14グラム、0.69mL)を滴下した。添加が完了した後、混合物を室温で一晩撹拌した。その時点で、溶媒を真空下で除去して、オレンジ色の油状物を形成した。油状物をアセトニトリル(20mL)に溶解し、次いでシアノ水素化ホウ素ナトリウム(2.0当量、7.45ミリモル、0.47グラム)を添加した。この混合物を、反応が完了するとみなされる1時間、室温で撹拌した。蒸留水(20mL)を加え、この混合物を1時間撹拌した。この反応混合物の抽出は、酢酸エチル(3×20mL)を用いて行った。抽出物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、次いで蒸発させた。ベルビン生成物(1.0グラム、3.21ミリモル、85%収率)は、0%EtOAc/ヘキサン〜50%EtOAc/ヘキサンの勾配で溶出するカラムクロマトグラフィー(SiOのG60、70〜230メッシュ)を用い、TLCによって同様の画分を組合せ、蒸発させて泡とし、次いでその泡を室温で48時間、真空下で乾燥させて、単離した。
実施例5:化合物(R)−7 プロピルアミドの調製
【化26】
【0137】
(R)−7(12.36グラム、41.29ミリモル)及びテトラヒドロフラン(100mL)を丸底フラスコに充填した。このスラリーに、トリエチルアミン(2.10当量、86.71ミリモル、8.77グラム、12.1mL)及び塩化プロピオニル(2.05当量、84.64ミリモル、7.83グラム、7.4mL)を滴下した。反応物を、反応が完了すると見なされる16時間、室温で撹拌した。反応混合物をフリット漏斗で濾過し、固体をEtOAc(50mL)で洗浄した。濾液を丸底フラスコに移し、蒸発させて油状とした。その油状物にメタノール(25.0mL)及び蒸留水(10.0mL)を加えた。この溶液に、固体水酸化ナトリウム(2.0当量、82.58ミリモル、3.30グラム)を加えた。16時間室温で撹拌した後、pHを10%のHCl/HOを用いて5.0に調整し、次いで追加の25mLの蒸留水を加えた。溶液はEtOAc(3×25ml)を用いて抽出を行い、抽出物を合せ、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、次いで油状に濃縮した。その油状物を、室温で48時間真空中に置き、その材料を固化してN−プロピルアミド(14.23グラム、40.03ミリモル、97%収率)を生成させた。
実施例6:化合物(R)−7 プロピルアミドからのエチル−ベルビンの調製
【化27】
【0138】
(R)−7 N−プロピルアミン(1.54グラム、4.33ミリモル)及びアセトニトリル(15ml)を、3首丸底フラスコに充填した。この溶液に、オキシ塩化リン(1.0当量、4.33ミリモル、0.66グラム、0.40mL)を滴下した。添加が完了した後、混合物を50℃に加温し、12時間撹拌し、次いで室温に冷却して4時間撹拌しました。その時点で、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(1.0当量、4.33ミリモル、0.27グラム)を添加した。この混合物を、反応が完了するとみなされた6時間、室温で撹拌した。蒸留水(30mL)を加え、pHを10%のHCl/HOを用いて1.0に調整した。この反応混合物を室温で24時間撹拌した。29%NH/HOを使用してpHを9.2に調整した後、反応物を、酢酸エチル(3×25mL)を用いて抽出した。抽出物を合せ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、次いで蒸発させた。ベルビン生成物(1.3グラム、3.83ミリモル、88%収率)は、0%EtOAc/ヘキサン〜50%EtOAc/ヘキサンの勾配で溶出するカラムクロマトグラフィー(SiOのG60、70〜230メッシュ)を用い、TLCによって同様の画分を組合せ、蒸発させて泡とし、次いでその泡を室温で48時間、真空下で乾燥させて、単離した。
実施例7:化合物(R)−7 ベンズアミドの調製
【化28】
【0139】
(R)−7(1.92グラム、6.41ミリモル)及びテトラヒドロフラン(15mL)を丸底フラスコに充填した。このスラリーに、トリエチルアミン(2.10当量、13.46ミリモル、1.31グラム、1.88mL)及び塩化ベンゾイル(2.05当量、13.15ミリモル、1.84グラム、1.53mL)を滴下した。反応物を、その時点で反応が完了すると見なされる16時間、室温で撹拌した。反応物に蒸留水(25.0mL)を加え、次いでEtOAc(3×25ml)を用いて抽出を行い、抽出物を合せて蒸発させ、油状とした。油状物にメタノール(10.0mL)及び蒸留水(5.0 ml)を添加した。この溶液に、50%のNaOH/HO(5.0ml)を加えた。16時間室温で撹拌した後、pHを10%のHCl/HOを用いて5.0に調整し、次いで追加の25mLの蒸留水を加えた。溶液はEtOAc(3×25ml)を用いて抽出を行い、抽出物を合せ、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、次いで油状に濃縮した。0%EtOAc/ヘキサン〜60%EtOAc/ヘキサンの勾配で溶出するカラムクロマトグラフィー(SiOのG60、70〜230メッシュ)によって、生成物の単離を行った。TLCによってモニターされた同様の画分を組合せ、蒸発させて泡とし、室温で18時間、真空下に置いて、灰白色の個体として生成物(1.88グラム、4.66ミリモル、収率73%)を得た。
実施例8:化合物(R)−7 ベンズアミドからのフェニル−ベルビンの調製
【化29】
【0140】
(R)−7 N−ベンズアミド(1.84グラム、4.56ミリモル)及びアセトニトリル(25ml)を、3首丸底フラスコに充填した。反応物を82℃の蒸気温度に達するまで蒸留し、次いでこの溶液を室温に冷却した。この溶液に、オキシ塩化リン(1.0当量、4.56ミリモル、0.70グラム、0.43mL)を滴下した。添加が完了した後、混合物を50℃に加温し、20時間撹拌し、次いで室温に冷却した。その時点で、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(1.0当量、4.56ミリモル、0.30グラム)を添加した。この混合物を、18時間、室温で撹拌した。蒸留水(15mL)を加え、pHを、濃HClを用いて1.0に調整した。この反応混合物を室温で24時間撹拌し、次いで約1/2の体積まで蒸発させた。29%NH/HOを使用してpHを9.2に調整した後、反応物を、クロロホルム(3×25mL)を用いて抽出した。抽出物を合せ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、次いで蒸発させた。ベルビン生成物(0.86グラム、2.22ミリモル、49%収率)及び(R)−7 N−ベンズアミド(0.84g)は、0%EtOAc/ヘキサン〜25%EtOAc/ヘキサンの勾配で溶出するカラムクロマトグラフィー(SiOのG60、70〜230メッシュ)を用い、TLCによって同様の画分を組合せ、蒸発させて泡とし、次いでその泡を室温で48時間、真空下で乾燥させて、単離した。(R)−7 N−ベンズアミドの回収に基く反応の収率は89%であった。
【0141】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例示的な実施形態の上記の説明は、当業者が、特定の使用の要件に最適であり得るように、多くの形態において本発明を適合させ、適用できるように、本発明、その原理及びその実際の適用を当業者に知らせることのみを意図している。
実施例9:化合物Br−(R)−7からのベルビン誘導体の調製
【0142】
ベルビンの異なる位置異性体は、環化が、最も妨げの少ない位置に向けられるように、出発化合物中にハロゲン基を含ませることにより調製することができる。以下の反応スキームはこのアプローチを示す。
【化30】
【0143】
RCHOとの反応(ステップ1)は、実施例1、3、5及び7に上記で詳述したように行うことができ、環化及び還元ステップ(2)は、実施例2、4、6、及び8で上述したように行うことができる。ハロゲン基は、還流におけるイソプロピルアルコール中の10%PD/C、蟻酸及びトリエチルアミンとの接触によって除去することができる。
実施例10:置換フェニル−ベルビンの調製
【0144】
ベルビンの置換芳香族誘導体は、以下のスキームに従って調製することができる。Xは、ハロゲン、NO、CH、またはOCHであり得る。
【化31】
実施例11:フェニル−ベルビンのエーテルまたはアミン誘導体の調製
【0145】
フェニル−ベルビンのエーテルまたはアミン誘導体は、以下のスキームに従って調製することができる。
【化32】
【0146】
ステップ1は、実施例1、3、5及び7に上記で詳述したように行うことができ、ステップ2は、実施例2、4、6、及び8で上述したように行うことができる。生成物を、(1〜5当量)のアルコールまたはアミン、(0.01〜1%)の遷移金属触媒、及び(1〜4当量)のナトリウムtert−ブトキシド、炭酸カリウム、またはトリエチルアミンと接触させることができる。反応は、トルエン、THF、DMF、またはDMACの存在下で、室温から還流までの温度で、行うことができる。
実施例12:フェニル−ベルビンのアミド誘導体の調製
【0147】
フェニル−ベルビンのアミド誘導体は、以下のスキームに従って調製することができる。
【化33】
【0148】
ステップ1は、実施例1、3、5及び7に上記で詳述したように行うことができ、ステップ2は、実施例2、4、6、及び8で上述したように行うことができる。NOのNHへの還元は、水素及び遷移金属触媒の存在下で行うことができる。アミドは、(1.0〜1.2当量)のアシルハライド及び(1〜4当量)のトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、またはN−メチルモルホリンと接触させることにより形成することができる。アシルハライドとの反応は、THF、アセトニトリル、ジクロロメタン、またはクロロホルムの存在下で行うことができ、反応は室温で行うことができる。
実施例13:B16癌細胞スクリーニングアッセイ
【0149】
マウスメラノーマ細胞株B16を、式(V)を含む化合物の活性をスクリーニングするのに使用した。B16細胞を、標準的な条件下で増殖させ、いくつかの濃度の試験化合物のそれぞれに暴露した。表1は、B16細胞増殖の阻害及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)放出の阻害に及ぼす試験化合物の影響を示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【0150】
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
式(V−1)を含む化合物:
【化34】
ここで:
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;R、R、及びRのうち少なくとも2つはメトキシ以外であることを条件とし;
、R10、R11、及びR12は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
21、R22、R23、R24、及びR25は、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
15及びR16は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
mは0以上の整数であり;
nは1〜3の整数であり;及び
破線は任意選択の二重結合を表す。
(項目2)
、R、R、R10、R11、及びR12のそれぞれは水素であり;R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキオキシ、アルキルであるか、またはR及びRは一緒に{−}O−CH−O{−}を形成し;R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアルキルであり;R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、またはアミドであり;及びR21、R22、R23、R24、及びR25は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、ニトロ、アミノ、またはアミンである、項目1に記載の化合物。
(項目3)
前記化合物は式(V−1a)を含む、項目1に記載の化合物:
【化35】
ここで:
はヒドロキシもしくはアルキオキシでありかつRは水素であるか、または、R及びRは一緒に{−}O−CH−O{−}を形成し;
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアルキルであり;
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキオキシ、アルキルアリールオキシ、置換アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、またはアミドであり;
20は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、ニトロ、アミノ、またはアミンであり;及び
mは0または1である。
(項目4)
前記化合物は式(V−1b)を含む、項目1に記載の化合物:
【化36】
ここで:
はヒドロキシもしくはアルキオキシでありかつRは水素であるか、または、R及びRは一緒に{−}O−CH−O{−}を形成し;
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、またはアルキルであり;
及びRは、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルキオキシ、アルキルアリールオキシ、置換アリールオキシ、ニトロ、アミノ、アミン、またはアミドであり;
20は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、ニトロ、アミノ、またはアミンであり;及び
mは0または1である。
(項目5)
式(V)を含む化合物を調製するためのプロセスであって、前記プロセスは、以下の反応スキームに従って、
a)式(II)を含む化合物を環化剤と接触させて式(IV)を含む化合物を形成させるステップ;及び
b)式(IV)を含む前記化合物を還元剤と接触させて式(V)を含む化合物を形成させるステップ、
を含み:
【化37】
ここで:
Rは、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R10、R11、R12、R15、及びR16は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
nは1〜3の整数であり;
Xは、ハロゲン、{−}OSO18、または{−}OCOR18であって、ここでR18は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;及び
破線は任意選択の二重結合を表す、
プロセス。
(項目6)
前記環化剤はオキシハロゲン化リンまたは酸無水物であり;式(II)を含む前記化合物対前記環化剤のモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:3であり;式(II)を含む前記化合物対前記還元剤のモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:3であり;前記プロセスの各ステップは、約0℃〜約120℃の温度で行われる、項目5に記載のプロセス。
(項目7)
はハロゲンであり、前記プロセスはさらに式(V)を含む前記化合物をR19OHまたはR19NHと接触させて、それぞれ、式(VIa)または式(VIb)を含む化合物を形成させ:
【化38】
ここで:
Rは、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R、及びRは、独立して、水素、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであり;
、R10、R11、R12、R15、及びR16は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
19は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;
nは1〜3の整数であり;及び
破線は任意選択の二重結合を表す、
項目5に記載のプロセス。
(項目8)
式(V)を含む前記化合物対R19OHまたはR19NHのモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:20であり;前記反応はさらに約0.005%〜約10%の遷移金属触媒を含み;前記反応はさらにプロトン受容体を含み;式(V)を含む前記化合物対前記プロトン受容体のモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:10であり;前記反応は、約0℃〜約200℃の温度で行われる、項目5に記載のプロセス。
(項目9)
はNHであり、前記プロセスはさらに式(V)を含む前記化合物をR19C(O)X’と接触させて、式(VIc)を含む化合物を形成させ:
【化39】
ここで:
Rは、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、アミン、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、アミン、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであり;
、R10、R11、R12、及R15は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
19は、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルであり;
X’はハロゲンであり;
nは1〜3の整数であり;及び
破線は任意選択の二重結合を表す、
項目5に記載のプロセス。
(項目10)
式(V)を含む前記化合物対R19C(O)X’のモル対モル比率は、約1:0.8〜約1:2であり;前記反応はさらにプロトン受容体を含み;式(V)を含む前記化合物対前記プロトン受容体のモル対モル比率は、約1:0.5〜約1:10であり;前記反応は、約−50℃〜約50℃の温度で行われる、項目9に記載のプロセス。
(項目11)
さらに式(I)を含む前記化合物をカルボニル供与体と接触させて、以下の反応に従って、式(II)を含む化合物を形成させ:
【化40】
ここで:
Rは、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R、R及びRは、独立して、水素、ハロゲン、OR15、NR1516、ニトロ、シアノ、チオール、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルであるか、または、R及びRは一緒にそれらが結合している環炭素と共に{−}O(CHO{−}を含む環を形成し;
、R10、R11、R12、R13、R15、及びR16は、独立して、水素、ヒドロカルビル、または置換ヒドロカルビルであり;
nは1〜3の整数であり;及び
破線は任意選択の二重結合を表す、
項目5に記載のプロセス。
(項目12)
a)カルボニル供与体はアシルハライドであり;前記反応はさらにプロトン受容体を含み;式(I)を含む前記化合物対前記アシルハライド対前記プロトン受容体のモル対モル比率は、約1:0.5:0.5〜約1:4:10であり;及び前記反応は、約10℃〜約80℃の温度で行われ;
b)カルボニル供与体はホルマートであり;式(I)を含む前記化合物対前記ホルマートのモル対モル比率は、約1:5〜約1:50であり;前記反応は、約10℃〜約80℃の温度で行われ;または
c)カルボニル供与体はアルデヒドであり;前記反応はさらにプロトン供与体またはプロトン受容体を含み;式(I)を含む前記化合物対前記アルデヒド対前記プロトン受容体またはプロトン供与体のモル対モル比率は、約1:0.2:0.5〜約1:4:10であり;及び前記反応は、約10℃〜約80℃の温度で行われる、
項目11に記載のプロセス。
(項目13)
式(I)、(II)、(III)、及び(IV)を含む化合物中のC−14はR配置またはS配置を有し;式(V−1)を含む化合物中のC−8及びC−14はRR、RS、SRまたはSS配置を有し;及びRが水素以外である場合、式(V)、(VIa)、(VIb)、及び(VIc)を含む化合物中のC−8及びC−14はRR、RS、SRまたはSS配置を有する、前記項目のいずれか1項に記載の化合物。
(項目14)
式(V−1)、(V)、(VI)、(VIa)、(VIb)、(VIc)を含む化合物中のC−8及びC−14はシン立体化学を有する、項目13に記載の化合物。
(項目15)
癌細胞を有効量の前記化合物と接触させる、癌細胞の増殖を阻害するための項目5〜10のいずれか1項で調製された化合物の使用。