特許第6654573号(P6654573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6654573
(24)【登録日】2020年2月3日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】シャンプー組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20200217BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20200217BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20200217BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20200217BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20200217BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20200217BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20200217BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   A61K8/44
   A61K8/73
   A61K8/42
   A61K8/02
   A61K8/41
   A61K8/365
   A61K8/81
   A61Q5/02
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-556468(P2016-556468)
(86)(22)【出願日】2015年10月6日
(86)【国際出願番号】JP2015078330
(87)【国際公開番号】WO2016067853
(87)【国際公開日】20160506
【審査請求日】2017年7月14日
(31)【優先権主張番号】特願2014-221597(P2014-221597)
(32)【優先日】2014年10月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】山下 美年雄
【審査官】 池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−323435(JP,A)
【文献】 特開2005−213208(JP,A)
【文献】 特開2013−091641(JP,A)
【文献】 特開2002−317195(JP,A)
【文献】 特開2005−306843(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/029514(WO,A1)
【文献】 特開2005−060298(JP,A)
【文献】 特開2002−255755(JP,A)
【文献】 特開2004−051498(JP,A)
【文献】 特開2004−143072(JP,A)
【文献】 特開平09−020740(JP,A)
【文献】 Kose Cosmeport,Shampoo,Mintel GNPD,2013年 3月,ID:2064294
【文献】 Kose Cosmeport,Shampoo,Mintel GNPD,2013年 3月,ID:2108677
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)〜(d);
(a)N−長鎖アシルグルタミン酸塩:4〜15質量%
(b)両性界面活性剤:2〜15質量%
(c)カチオン性解離を有する水溶性高分子:0.3〜2.0質量%
(d)ポリオキシアルキレン脂肪酸モノイソプロパノールアミド
を含有し、
前記成分(a)、(b)の含有質量比(a)/(b)が、0.5〜1.5の範囲であり、
前記成分(a)、(b)、(d)の含有質量比[(a)+(b)]/(d)が、2.0〜10.0の範囲であり、
25℃におけるpHが4.0〜6.0であり、
透明乃至半透明であるシャンプー組成物。
【請求項2】
25℃におけるpHが4.5〜5.5である請求項1記載のシャンプー組成物。
【請求項3】
前記成分(a)がN−長鎖アシルグルタミン酸のトリエタノールアミン塩である請求項1又は2に記載のシャンプー組成物。
【請求項4】
さらに成分(e)として、pH調整剤を含有する請求項1〜3のいずれかの項記載のシャンプー組成物。
【請求項5】
前記成分(d)が、ポリオキシプロピレンヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミドである請求項1〜4のいずれかの項記載のシャンプー組成物。
【請求項6】
前記成分(c)が、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー又はコポリマー、カチオン化セルロース、及びカチオン化グアーガムから選ばれる一種又は二種以上である請求項1〜5のいずれかの項記載のシャンプー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャンプー組成物に関し、更に詳細には、アミノ酸系アニオン性界面活性剤を、洗浄剤組成物の主界面活性剤として、シャンプーの基本機能を具現化したシャンプー組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、頭皮毛髪を洗浄するシャンプー組成物においては、その目的や用途に応じ、泡立ちや洗浄力、また使用に適した粘度などを考慮して各種の界面活性剤や増粘剤を選択したり、またそれらを組み合わせて用いることで、上記機能の向上がなされてきた。しかし近年では、生活スタイルの多様化に伴い、シャンプーすすぎ後にリンス剤やトリートメント剤を用いない消費者が増加しており、泡立ちや洗浄力といったシャンプー組成物の基本的な機能に加えて、すすぎ時の指どおりの良さや、それと連動したドライ後の指どおりの滑らかさなどの官能品質に関しても強く求められるようになってきている。
そこで、泡立ちや洗浄力といったシャンプー組成物の基本機能を有しながらも、使用に適した粘度を有しながら、すすぎ時の指どおり性にも優れ、更には幅広い温度領域において透明な外観を維持させるための技術開発が種々行われてきている。
一方で、消費者の嗜好性の多様化により、シャンプー組成物の外観に関しても、従来から広く用いられてきたパール様の外観ではなく、透き通った透明な外観に対する嗜好性が非常に高まっており、幅広い温度領域において透明性を維持させる審美性のための技術に関しても、強く求められるようになってきている。
【0003】
シャンプー組成物は、アニオン性界面活性剤や両性界面活性剤といった起泡性の成分と、それらを増粘させる増粘剤との組み合わせにより構成されている。ここにカチオン性高分子を配合することで、すすぎ時に、シャンプー組成物中のアニオン性界面活性剤とカチオン性高分子によりコアセルベートと呼ばれる会合体(以後、単にコアセルベートとする。)が生成され、このコアセルベートがシャンプーすすぎ時の指どおりの良さに寄与することなどが近年の研究により明らかとなってきており(例えば、非特許文献1参照)、この技術の応用例が発明されている(例えば、特許文献1参照)。更には、コアセルベート技術の更なる向上を図るため、従来用いられてきた硫酸系のアニオン性界面活性剤に代えて、アシルグルタミン酸誘導体などのアミノ酸系のアニオン性界面活性剤を用いることで、すすぎ時の指どおりを向上させる技術開発も行われてきている(例えば、特許文献2参照)。
一方で、アシルグルタミン酸誘導体などのアミノ酸系のアニオン性界面活性剤は、シャンプー等の液状洗浄剤組成物に配合されると、シャンプー組成物の粘度を著しく低下させてしまうことが知られており、これを解決するための技術開発も広く行われている(例えば、特許文献3及び4参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】日本化粧品技術者会誌 Vol.38 No.3 2004
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開2012/029514号パンフレット
【特許文献2】国際公開2005/078039号パンフレット
【特許文献3】特開2014−88348号公報
【特許文献4】特開2001−278727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術においては、グルタミン酸誘導体などのアミノ酸系界面活性剤と、カチオン性高分子とを組み合わせているため、すすぎ時の指どおりという点においては満足のいくものであった。しかし、前述のようにグルタミン酸誘導体などのアミノ酸系界面活性剤は、液状洗浄剤組成物に配合された際に、剤の粘度を低下させてしまうという問題があり、本技術においても、十分に満足のいく粘度を得られるものではなかった。
それらの課題を受け更に開発された、特許文献2の技術において、グルタミン酸誘導体などのアミノ酸系界面活性剤と、特定の有機性値、無機性値を有する両親媒性物質との組み合わせにより液状洗浄剤組成物の粘度を向上させる技術が報告されているが、この技術においては特定の有機性値、無機性値を有する両親媒性物質を相当量配合することが必要であり、これにより、配合しているアニオン性界面活性剤や両性界面活性剤が十分に機能せず、泡立ちが遅くなってしまうという問題や、両親媒性物質を十分にミセル内に可溶化出来ないため、濁りが生じてしまい幅広い温度領域において透明な外観を具現化出来ないという問題があった。
加えて、特許文献3及び4の技術においては、グルタミン酸誘導体などのアミノ酸系界面活性剤と、特定のアクリル酸系共重合体や、キシログルカンといった高分子を組み合わせることで、液状洗浄剤組成物の粘度を向上させる技術が報告されているが、この技術においては特定の高分子を相当量配合することが必要であり、これにより剤に濁りや白濁が生じてしまったり、泡立ちが遅くなってしまうという課題があった。
特に透明性に関しては、シャンプー組成物は、種々の界面活性剤を含有しており低温や高温領域で界面活性剤の溶存状態が変化して外観上の変化(濁り、沈殿等)が生じる場合がある。従って低温領域、高温領域のどちらにおいても外観の透明性を保つことも技術上の課題であった。
【0007】
このため、アシルグルタミン酸塩を用いたシャンプー組成物においては、使用時に適した十分な粘度を有することが課題となっており、また、経時安定性にも優れるシャンプー組成物の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記実情に鑑み、本発明者は、N−長鎖アシルグルタミン酸塩と、両性界面活性剤、カチオン性解離を有する水溶性高分子を含有したシャンプー組成物において、泡立ちを低下させることなく、組成物の粘度を高めるための素材を探求すべく、鋭意研究を重ねて行く過程で、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノイソプロパノールアミドを含有することが、この課題に対して有効であることを見出した。しかしながら、上記の組成物に、単にポリオキシアルキレン脂肪酸モノイソプロパノールアミドを含有しただけでは、高温の長期保管下において、濁りが生じたり、低温の長期保管下において析出を生じたりする等の問題があった。そこで、これらの問題を解決すべく、該シャンプー組成物のpHを詳細に検討した結果、25℃におけるpHを4.0〜6.0の間にコントロールすることで、使用性に優れる粘度を有し、すすぎ時の指どおり、泡立ち、経時安定性に優れるシャンプー組成物を具現化することができ、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち本発明は、次の成分(a)〜(d);
(a)N−長鎖アシルグルタミン酸塩
(b)両性界面活性剤
(c)カチオン性解離を有する水溶性高分子
(d)ポリオキシアルキレン脂肪酸モノイソプロパノールアミド
を含有し、25℃におけるpHが4.0〜6.0であるシャンプー組成物に関する。
【0010】
更には、前記成分(a)、(b)の含有質量比(a)/(b)が、0.5〜1.5の範囲であるシャンプー組成物に関する。
【0011】
更には、前記成分(a)、(b)、(d)の含有質量比[(a)+(b)]/(d)が、2.0〜10.0の範囲であるシャンプー組成物に関する。
【0012】
更には、前記成分(a)がN−長鎖アシルグルタミン酸のトリエタノールアミン塩であるシャンプー組成物に関する。
【0013】
更には、成分(e)としてpH調整剤を含有するシャンプー組成物に関する。
【0014】
更には、前記成分(d)が、ポリオキシプロピレンヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミドであるシャンプー組成物に関する。
【0015】
更には、前記成分(c)が、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー又はコポリマー、カチオン化セルロース、及びカチオン化グアーガムから選ばれる一種又は二種以上であるシャンプー組成物に関するものである。
【0016】
そして更には、透明乃至半透明であるシャンプー組成物に関するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、使用性に優れる粘度を有し、すすぎ時の指どおり、泡立ち、経時安定性に優れるシャンプー組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。なお、本明細書において、「〜」はその前後の数値を含む範囲を示すものとする。
【0019】
本実施形態のシャンプー組成物に用いられる成分(a)である、N−長鎖アシルグルタミン酸塩は、長鎖脂肪酸とグルタミン酸とのアシル化により形成されるものであり、分子内に二つのカルボキシル基を有しているN−長鎖アシルグルタミン酸に対イオンがある状態のものである。すなわちN−長鎖アシルグルタミン酸のpKa値よりもpH値として高い状態であればよく、アルカリを用いて中和しているものが好ましい。ここで長鎖脂肪酸の炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、概ね炭素原子数8〜22のものであり、より好ましくは12〜18のものである。また脂肪酸は、飽和又は不飽和脂肪酸より誘導される、直鎖又は分岐鎖のものを使用できる。より具体的には、例えば脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム脂肪酸等が挙げられる。これらのうち一種類を使用しても良いし、上記群から選ばれる二種以上を混合して使用しても構わない。特に泡立ち、泡質が良いという観点から、ヤシ油脂肪酸、ラウリン酸、ミリスチン酸が好ましい。
【0020】
また成分(a)は、塩の形態であり、先述したとおり、対イオンが存在していればよいが、あらかじめアルカリで中和してあるものであってもよく、さらには、シャンプー組成物の製造工程中において、アルカリを加えることにより、中和された塩の形態とすることも可能である。なお、中和率は特に限定されるものではなく、一部にN−長鎖アシルグルタミン酸の形態を含んでいてもよいが、中和率としては80%以上であることが好ましく、90%以上がより好ましく、そしてさらに好ましくは95%以上であり、最も好ましいものは99%以上のものである。
【0021】
このような塩としては特に限定されず、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム、亜鉛などの無機塩、あるいはアンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミンや、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸等の有機塩が挙げられる。これらのうち、一種類を使用しても良いし、上記群から選ばれる二種以上を混合して使用しても構わない。泡立ちの良さや幅広い温度領域における透明性の維持という観点からはナトリウム塩、トリエタノールアミン塩が好ましく、トリエタノールアミン塩が最も好ましい。
【0022】
本実施形態における成分(a)である、N−長鎖アシルグルタミン酸塩は、本シャンプー組成物の主洗浄基剤の一つであり、泡立ちや汚れ落ちといったシャンプーの基本的な機能に寄与する。加えて後述する成分(c)であるカチオン性解離を有する水溶性高分子と併用することで、すすぎ時に滑らかな指通り効果を与えることが可能である。
【0023】
本実施形態で用いられる成分(a)の市販例としては、ココイルグルタミン酸ナトリウムの25%水溶液である、アミノサーファクトACDS−L(旭化成ケミカルズ社製)、ココイルグルタミン酸ナトリウムである、アミソフトCS−11(味の素社製)、ココイルグルタミン酸カリウム22%とココイルグルタミン酸ナトリウム7%の混合水溶液である、アミノサーファクトACDP−L(旭化成ケミカルズ社製)、ココイルグルタミン酸カリウムの30%水溶液である、アミソフトCK−22(味の素社製)、ココイルグルタミン酸トリエタノールアミンの30%水溶液である、アミソフトCT−12(味の素社製)、ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミンの30%水溶液である、アミソフトLT−12(味の素社製)等を挙げることができ、本実施形態においても好適に用いることができる。
【0024】
本実施形態における成分(a)の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくはシャンプー組成物全量中2〜20質量%(以下、単に「%」と略す)、さらに好ましくは4〜15%である。この範囲とすることにより、泡立ちの良さや、すすぎ時の指通りの良さといった効果に好適である。
【0025】
本実施形態における成分(b)である両性界面活性剤は、シャンプー組成物の重要な基剤の一つであり、洗浄効果だけでなく、成分(a)と併用することでシャンプー組成物の粘度を調整することも可能である。このような成分(b)としては、通常シャンプー組成物等に用いられる両性の界面活性剤であれば、特に限定はされないが、酢酸ベタイン型両性界面活性剤又はイミダゾリン型両性界面活性剤が好ましい。具体的な例では、酢酸ベタイン型界面活性剤としてはオクチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、セチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン、セチルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられ、また、イミダゾリン型界面活性剤としてはN−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム等が挙げられる。これらのうち、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシメトキシエチル−N−カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウムが特に好ましい。
【0026】
本実施形態における成分(b)の市販例としては、コカミドプロピルベタインの38.5%水溶液である、マーポビスターCAP−X(松本油脂製薬社製)、ラウリルベタインの30%水溶液である、リカビオンA−100(新日本理化社製)、ラウラミドプロピルベタインの30%水溶液である、リカビオンB−300(新日本理化社製)、ココアンホ酢酸ナトリウム塩の26.5%水溶液である、アンホレックス30S(ミヨシ油脂社製)等を用いることができる。
【0027】
本実施形態における成分(b)の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくはシャンプー組成物全量中1〜20%、さらに好ましくは2〜15%である。この範囲とすることにより、泡立ちの良さに加え、成分(a)の増粘効果が得られるという点においても好適である。
【0028】
本実施形態において、上記した成分(a)、成分(b)を組合わせることにより、使用性に優れるシャンプー組成物の粘度とすることが可能となる。このような成分(a)、成分(b)の含有比率は、特に限定されるものではないが、成分(a)/成分(b)が0.5〜1.5の範囲であることが好ましい。そして成分(a)/成分(b)が0.8〜1.2の範囲とすることがより好ましい。このような範囲のものとすることで、使用性に優れる粘度が得られ、また指通りが良好なものとなる。
【0029】
本実施形態における成分(c)であるカチオン性解離を有する水溶性高分子は、通常シャンプー組成物等に使用されるカチオン性解離を有する水溶性高分子であれば特に限定されることはないが、水溶性高分子のポリマー鎖に結合したアミノ基またはアンモニウム基を含むか、またはジメチルジアリルアンモニウムハライドを構成単位として含む水溶性のものが好ましい。
本実施形態においては、具体的な例では、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、カチオン化デンプン、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー又はコポリマー(なおここでのコポリマーとは、コポリマーを構成する一方が、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマーであれば、特に限定されるものではない。以下同じ)、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンジペリニウム等が挙げられる。これらの中でも、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドのホモポリマー又はコポリマー、カチオン化セルロース、及びカチオン化グアーガムが特に好ましい。
【0030】
本実施形態における成分(c)の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくはシャンプー組成物全量中0.1〜3.0%、さらに好ましくは0.3〜2.0%である。この範囲とすることにより、使用時の泡立ちを低下させることなく、すすぎ時の指通りに優れたものを得られることができ、好適である。
【0031】
本実施形態における成分(c)の市販例としては、例えば、ポリクオタニウムー7の5.5%水溶液である、リポフローMN(ライオン社製)、ポリクオタニウムー10である、レオガードGP(ライオン社製)、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプンの24%水溶液である、SENSOMER CI50(日本ルーブリゾール社製)、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドである、JAGUAR C−14S(ローディア社製)、ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウムである、ヒアロベールP(キューピー社製)等が挙げられる。
【0032】
本実施形態における成分(d)である、ポリオキシアルキレン脂肪酸モノイソプロパノールアミドは、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和脂肪酸と、モノイソプロパノールアミンとのアミド化合物である、脂肪酸モノイソプロパノールアミドに酸化プロピレンを付加重合したものである。これに用いられる脂肪酸としては、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和の脂肪酸を用いることが可能であるが、炭素数が8〜22の直鎖の飽和脂肪酸、すなわちヤシ油脂肪酸であることが好ましい。また付加重合されるポリオキシプロピレン(以下、単に「POP」と記載することもある)の平均付加モル数としては、1分子あたりでは、0.3〜5モルのものを用いることが可能であるが、平均付加モル数が0.5〜2であることが好ましく、1であることがより好ましい。よって、ヤシ油脂肪酸と、モノイソプロパノールアミンとのアミド化合物に、平均付加モル数1のポリオキシプロピレンを付加させた、ポリオキシプロピレンヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド(1P.O.)が特に好ましい。
【0033】
本実施形態に用いられる成分(d)は、前述の(a)と成分(b)からなるシャンプー組成物の粘度を増加させ、使用性上好ましいものとすることに寄与する。成分(d)の分子構造の一部を構成するアミド結合は、エステル結合やエーテル結合よりも強く分極しているため、極性が大きく、成分(a)、成分(b)からなるミセルに対し、より高い会合能を有しており、ミセル成長を促進するため、より高い増粘能を有するものと考えられる。
【0034】
本実施形態における成分(d)の市販例としては、例えば、PPG−2コカミドである、アミゼット1PC(川研ファインケミカル社製)が挙げられる。
【0035】
本実施形態における成分(d)の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくはシャンプー組成物全量中0.5〜5%、さらに好ましくは2〜4%である。この範囲とすることにより、成分(a)、成分(b)からなる組成物の増粘効果が得られるという点において好適である。
【0036】
本実施形態において、上記した成分(a)、成分(b)、成分(d)を特定の比率で組合わせることにより、さらに使用性に優れるシャンプー組成物の粘度とすることが可能となる。このような成分(a)、成分(b)、成分(d)の含有比率は、特に限定されるものではないが、[(a)+(b)]/(d)が2〜10の範囲であることが好ましい。そしてさらには、1〜5の範囲とすることでより好ましい。このような範囲のものとすることで、使用性に優れる粘度が得られ、また泡立ちが良好なものとなる。
【0037】
本実施形態においては、成分(a)と成分(d)、あるいは、成分(b)と成分(d)のように組み合わせた際には、シャンプー組成物に対して大きな増粘効果は得られにくいが、成分(a)と成分(b)とが混合された組成物に、更に本実施形態の成分(d)を含有させることにより増粘の作用が発揮される。これは、成分(a)と成分(b)により混合ミセル系が形成され、そのミセルに対して更に成分(d)が作用し、ミセル成長を促進させ、粘度を向上させることによるものと考えられる。
【0038】
本実施形態には、更に成分(e)pH調整剤を含有してもよい。pH調整剤としては、アルカリ性剤、酸性剤が挙げられる。
前記アルカリ性剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム及びトリエタノールアミン等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。この場合のアルカリ性剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、2−アミノー2−メチルー1−プロパノールが挙げられ、特にトリエタノールアミンが好適である。
前記酸性剤としては、クエン酸、乳酸、グルコン酸、コハク酸、リンゴ酸、リン酸、ピロリドンカルボン酸、サリチル酸及び安息香酸等から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。このうち、クエン酸、安息香酸を用いるのが好適であり、これらを1種又は2種以上用いてもよい。
【0039】
本実施形態における成分(e)であるpH調整剤として、上記各種成分を種々組合わせて用いることができるが、中でもα−ヒドロキシ酸及び/又はその塩と、芳香環を有するカルボン酸及び/又はその塩との組み合わせて用いるものが特に好ましいものである。具体的には、クエン酸及び又はその塩、安息香酸及び又はその塩等が例示できる。最も好ましいものは、クエン酸と安息香酸ナトリウムの組合わせである。これらを用いてpH調整を行うと、低温保管下において、析出や白濁を抑制することができ、幅広い温度領域において透明な外観を維持できるシャンプー組成物を得ることができる。
【0040】
また、成分(e)の含有量としては、特に限定されるものではなく、シャンプー組成物のpHを4.0〜6.0の範囲内に調整できる含有量であれば、好適に用いることができる。
【0041】
本実施形態は、上記した成分(a)〜成分(d)を含有し、必要に応じて、成分(e)のpH調整剤を用いてpH4.0〜6.0にすることにより得られるものであるが、別意の技術として、シャンプー組成物の透明性が高いという利点がある。以下、この点を説明する。
【0042】
従来より、シャンプー組成物には、ジステアリン酸エチレングリコールに代表されるパール化剤が配合され、パール様の外観を有しているものが主であった。しかし近年においては、シャンプー製品そのものの美観を楽しむという観点で、パール化剤を配合せず、高い透明性を有するシャンプー組成物のニーズが高まってきている。通常シャンプー組成物は、浴室内に保管されることから、幅広い温度帯、具体的には5℃から40℃の領域において変化なく安定に透明性を保つことが必要である。しかしながら、本実施形態の成分(a)である、N−長鎖アシルグルタミン酸塩は、分子内に二つのカルボキシル基を有しているが、この二つのカルボキシル基は、連続相のpHにより二段階に解離する特性があるため、pH値によってその溶解状態が大きく変化し、また同時に他の界面活性剤等の溶存状態も変化することから、透明なシャンプー組成物とすることは技術的に困難であった。
【0043】
本実施形態においては、成分(a)〜成分(d)を含むシャンプー組成物のpH値や、温度における動態を詳細に検討し、25℃のpH値を4.0から6.0の範囲内とすることで、5℃及び40℃保管下における透明性が確保できることを見出したものである。25℃のpH値を4.0以上にすることで、成分(a)の溶解性の低下を防止し、5℃保管下における析出も防止することができるため透明性の確保が容易となる。また25℃のpH値を6.0以下にすることで、混合ミセルの可溶化能を向上させ、40℃保管下における成分(d)の溶出を防止し、シャンプー組成物に濁りが生じるのを防止することができるため、透明性の確保が容易となる。またこのような効果の面においても、25℃のpH値が4.5〜5.5となるものが、より好ましい。なお、本実施形態におけるpH値の測定は、卓上型pH・水質分析計F−72(堀場製作所社製)を用いたものである。
【0044】
なお、本実施形態における透明乃至半透明とは、シャンプー組成物を25℃にて一昼夜静置保管させてから、500nmにおける透過率を測定し、得られた透過率が60%より大きいものを指す。さらにこの透過率は、85%以上が好ましく、そしてさらには95%以上のものが好ましい。本実施形態における透過率は、紫外可視分光光度計(UV2500PC 島津製作所社製)を用い、リファレンス側は精製水として測定した値である。
【0045】
なお、本実施形態のシャンプー組成物を透明乃至半透明とした場合においては、さらに顆粒やパール剤等の粉体物や、着色剤等を含有させた場合でも、シャンプー組成物そのものが透明乃至半透明であることにより、別途含有させた粉体物等の見た目の効果もさらに向上させることにも寄与するものとなる。
【0046】
本実施形態のシャンプー組成物の製造方法は、特に限定されず、常法により調製されるが、例えば水性媒体中に、成分(a)、成分(b)を80℃にて加温溶解させ、その後成分(c)、及び成分(d)を順次加え、均一に混合攪拌し、その後、成分(e)を添加し均一に溶解させ、室温まで冷却することでシャンプー組成物を得ることが可能である。
【0047】
本実施形態のシャンプー組成物には、上記の必須成分のほかに、通常シャンプー組成物等に使用する成分、すなわち成分(a)以外のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、成分(d)以外のノニオン界面活性剤、ノニオン性高分子、アニオン性高分子、油性成分、低級アルコール、多価アルコール、保湿剤等の水性成分、紫外線吸収剤、酸化防止剤、美容成分、防腐剤、染料、清涼剤、色素、粉体、香料等を本発明の効果を妨げない範囲で適宜含有することができる。
【0048】
本実施形態のシャンプー組成物は、ヘア用、ボディ用、ペット用等の各種用途に対して利用可能である。また、その用途目的、方法、使用する環境等に応じ、ボトル、ディスペンサー付きボトル、チューブ、ジャー等、特に制限される様々な容器に適用することができる。
【0049】
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。なお、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0050】
サンプル1〜37:シャンプー組成物
下記表1〜表4に示すシャンプー組成物を下記製造方法により調製し、(イ)粘度、(ロ)泡立ち、(ハ)すすぎ時の指通り、(ニ)外観の透明性に関して、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1〜表4に示した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【表3】
【0054】
【表4】
【0055】
(製造方法)
A:成分23の一部と、成分1〜5を80℃にて加温溶解する。
B:Aに成分6〜8を添加し、80℃にて加温溶解する。
C:成分23の残部に成分9〜12を室温にて分散させる。
D:BにCを添加し、80℃にて均一に混合する。
E:Dに成分13〜16を添加し80℃にて均一に混合する。
F:Eに成分17〜22を添加し80℃にて均一に溶解する。
G:Fを攪拌しながら室温まで冷却する。
H:Gを容器に充填して、シャンプー組成物を得た。
【0056】
(評価方法)
下記評価項目について、各々下記方法により評価を行った。
(評価項目)
(イ)粘度
(ロ)泡立ち
(ハ)すすぎ時の指どおり
(ニ)外観の透明性
【0057】
<(イ)粘度 の評価方法>
シャンプー組成物を20℃の恒温下にて一昼夜静置保管し、その後Brookfield型回転粘度計を用いて粘度を測定し、得られた粘度値に関して以下の基準を用いて評価した。
[判定基準]
◎: 12000mPa・s超
○: 5000超12000mPa・s以下
△: 2000超5000mPa・s以下
×: 2000mPa・s以下
【0058】
<(ロ)泡立ち の評価方法>
シャンプー組成物の1質量%の水溶液を作成し、ロルマイルス法(ISO696、JIS K 3352)にて泡立ちの評価を行った。更に得られた泡の高さ値を下記4段階判定基準により判定した。
本実施例の泡立ちの評価に用いたロスマイルス法は、次に示す手順に準じて行った。具体的には、試験液200mlを90cmの高さから、同濃度、同温度の試験液50mlを入れた目盛管中へ、直径2.9mmの細孔を通じて流し込み、流下直後の泡の高さを測定するという方法を用いて行った。
[4段階判定基準 (ロスマイルス法による泡高さ値)]
◎: 300mm以上
○: 200mm以上300mm未満
△: 50mm以上200mm未満
×: 50mm未満
【0059】
<(ハ)すすぎ時の指どおり の評価方法>
化粧品専門パネル20名が、毛髪に整髪料等を何も付けていない状態で、シャンプー組成物6gを用いて洗髪を行い、そのすすぎ時の指どおりの滑らかさに関して、以下に示す評価基準(I)に従って5段階に評価し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準(II)に従って判定した。
[評価基準(I)]
[評価結果] : [評点]
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
[判定基準(II)]
[評点の平均点] : [判定]
4.5以上 : ◎
3.5以上4.5未満: ○
1.5以上3.5未満: △
1.5未満 : ×
【0060】
<(ニ)外観の透明性 の評価方法>
シャンプー組成物を5℃及び40℃の恒温室にて1ヶ月間静置保管し、その後25℃にて一昼夜静置保管させてから500nmにおける透過率を、紫外可視分光光度計(UV2500PC 島津製作所社製)を用いて測定した。得られた透過率に関して以下の基準を用いて評価した。
[判定基準]
◎: 5℃保管品、40℃保管品ともに85%以上
○: 5℃保管品、40℃保管品のいずれか低い方が60%以上85%未満
△: 5℃保管品、40℃保管品のいずれか低い方が40%以上60%未満
×: 5℃保管品、40℃保管品のいずれか低いほうが40%未満
【0061】
表1〜表4の結果から明らかなごとく、成分(a)〜(d)を全て含有し、かつ、pHが4.0〜6.0のサンプル1〜27のシャンプー組成物は、サンプル28〜37のシャンプー組成物に比べ、使用性に優れる粘度、泡立ち、すすぎ時の指通り、及び幅広い温度領域における外観の透明性の全てにおいて優れたものであった。
具体的には、成分(a)を抜いたサンプル28、成分(b)を抜いたサンプル30、成分(c)を抜いたサンプル32、成分(d)を抜いたサンプル34は、サンプル1と比べて評価結果のいずれかの項目で満足のいくものとはならなかった。次に、本発明の成分ではない別の成分にした場合での検討結果として、成分(a)の代わりにラウレス硫酸ナトリウムを用いたサンプル29においては、すすぎ時の指どおりの点で満足のいくものが得られず、成分(b)の代わりにココイルメチルタウリンナトリウムを用いたサンプル31においては、使用性に優れる粘度、及び幅広い温度領域における外観の透明性の点で満足のいくものが得られず、成分(c)の代わりにヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いたサンプル33においては、すすぎ時の指どおりの点で満足のいくものが得られず、成分(d)の代わりにコカミドジエタノールアミドを用いたサンプル35においては、使用性に優れる粘度の点で満足のいくものが得られなかった。pHを6.5に調整したサンプル36においては、使用性に優れる粘度の点で満足のいくものが得られず、pHを3.5に調整したサンプル37においては、泡立ち、及び幅広い温度領域における外観の透明性の点で満足のいくものが得られなかった。
【0062】
サンプル1〜27のシャンプー組成物を比較すると、成分(a)/成分(b)が3.5のサンプル5に比べ、0.5〜1.5の範囲内のサンプル1〜3の方が、使用性に優れる粘度が得られることが分かった。具体的には、成分(a)/成分(b)が3.5のサンプル5と、1.5のサンプル3とは、粘度の評価は同一であったが、評価の元となる具体的な粘度値としては、サンプル5が10000mPa・s、サンプル3が12000mPa・sであり、サンプル3の方が使用性に優れる粘度が得られた結果であった。また、成分(a)/成分(b)が0.286のサンプル4に比べ、0.5〜1.5の範囲内のサンプル1〜3の方が、すすぎ時の指通りが良好であることが分かった。具体的には、成分(a)/成分(b)が0.286のサンプル4と、0.5のサンプル2とは、評価が同一であったが、評価の元となる具体的な評点としては、サンプル4が4点、サンプル2が4.4点であり、サンプル2の方がすすぎ時の指通りが良好であった。
更に、[(a)+(b)]/(d)が15のサンプル9に比べ、2〜10の範囲内のサンプル4、6、7の方が、使用性に優れる粘度が得られ、透明性も高いものであった。具体的には、[(a)+(b)]/(d)が15のサンプル9と、10のサンプル7とは、粘度の評価は同一であったが、評価の元となる具体的な粘度値としては、サンプル9が5500mPa・s、サンプル7が7000mPa・sであり、サンプル7の方が使用性に優れる粘度が得られた結果であった。また、[(a)+(b)]/(d)が15のサンプル9と、10のサンプル7とは、透明性の評価は同一であったが、評価の元となる具体的な透過率としては、サンプル9が70%、サンプル7が80%であり、サンプル7の方が透明性も高い結果であった。更に、[(a)+(b)]/(d)が1.5のサンプル8に比べ、2〜10の範囲内のサンプル4、6、7の方が、泡立ちが向上することが分かった。具体的には、[(a)+(b)]/(d)が1.5のサンプル8と、2のサンプル6とは、泡立ちの評価は同一であったが、評価の元となる具体的な泡高さ値としては、サンプル8が200mm、サンプル6が280mmであり、サンプル6の方が泡立ちが優れていた。
【実施例2】
【0063】
参考例2:シャンプー組成物
(成分):(%)
1 ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン塩(30%水溶液)(※2)20
2 ココアンホ酢酸ナトリウム(26.5%水溶液)(※7):15
3 オレフィンスルホン酸ナトリウム(37%水溶液)(※5):15
4 ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム(※17):1
5 PEG−3ラウラミド(※14):3
6 オレイン酸エチル:0.2
7 クエン酸:0.8
8 サリチル酸:0.01
9 リンゴ酸:0.01
10 安息香酸ナトリウム:0.5
11 精製水:残量
(※17) ヒアロベールP(キューピー社製)
【0064】
(製造方法)
A:成分11の一部と、成分1〜3と80℃にて均一に混合する。
B:成分11の残部に成分4を室温にて分散させる。
C:AにBを添加し、80℃にて均一に混合する。
D:Cに成分5、6を添加し80℃にて均一に混合する。
E:Dに成分7〜10を添加し80℃にて均一に溶解する。
F:Eを攪拌しながら室温まで冷却する。
G:Fを容器に充填して、シャンプー組成物を得た。
【0065】
参考例2のシャンプー組成物は、使用性に優れる粘度を有し、すすぎ時の指どおり、泡立ち、経時安定性に優れるシャンプー組成物であった。
【実施例3】
【0066】
実施例3:ボディシャンプー
(成分):(%)
1 ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン塩(30%水溶液)(※2):20
2 ココアンホ酢酸ナトリウム(26.5%水溶液)(※7):15
3 オレフィンスルホン酸ナトリウム(37%水溶液)(※5):15
4 ポリクオタニム−10(※18):0.02
5 PPG−2コカミド(※13):3
6 ビタミンE:0.05
7 クエン酸:0.8
8 グリコシルトレハロース:0.5
9 ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム液(30%溶液):1
10 安息香酸ナトリウム:0.5
11 精製水:残量
(※18) カチナールHC−100(東邦化学工業社製)
【0067】
(製造方法)
A:成分11の一部と、成分1〜3と80℃にて均一に混合する。
B:成分11の残部に成分4を室温にて分散させる。
C:AにBを添加し、80℃にて均一に混合する。
D:Cに成分5、6を添加し80℃にて均一に混合する。
E:Dに成分7〜10を添加し80℃にて均一に溶解する。
F:Eを攪拌しながら室温まで冷却する。
G:Fを容器に充填して、ボディシャンプーを得た。
【0068】
実施例3のボディシャンプーは、使用性に優れる粘度を有し、すすぎ時の指どおり、泡立ち、経時安定性に優れるシャンプー組成物であった。
【0069】
なお、本発明の技術を用いながら、実施例2や実施例3に、更にパール化剤を添加することによりパール様外観を有するシャンプー組成物を調製することも可能である。外観が透明乃至半透明なシャンプー組成物に対し、パール化剤の含有したものは、審美性の面で特に優れるものとなり好ましいものであった。
【実施例4】
【0070】
参考例4:シャンプー組成物(パール様外観)
(成分):(%)
1 ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン塩(30%水溶液)(※18)25
2 コカミドプロピルベタイン(38.5%水溶液)(※19):20
3 ポリクオタニウムー10(※20):1
4 PEG−3ラウラミド(※14):3
5 ジステアリン酸エチレングリコール(※21):2
6 クエン酸:0.8
7 安息香酸ナトリウム:0.5
8 精製水:残量
(※18) アミノサーファクト ACMT−L(旭化成ケミカルズ社製)
(※19) マーポビスター CAP−X (松本油脂製薬社製)
(※20) カチナール HC−200(東邦化学工業社製)
(※21) エステパール15V (日光ケミカルズ社製)
【0071】
(製造方法)
A:成分8から10部を取り、成分1〜2を80℃にて加温溶解する。
B:成分8の残部に成分3を室温にて分散させる。
C:AにBを添加し、80℃にて均一に混合する。
D:Cに成分4、5を添加し80℃にて均一に混合する。
E:Dに成分6、7を添加し80℃にて均一に溶解する。
F:Eを攪拌しながら室温まで冷却する。
G:Fを容器に充填して、シャンプー組成物(パール様外観)を得た。
【0072】
参考例4のシャンプー組成物は、使用性に優れる粘度を有し、すすぎ時の指どおり、泡立ち、経時安定性に優れるシャンプー組成物であった。