(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内側中心柱部品(66)、内側前方柱部品(68)、および内側サイドレール部品(64)を少なくとも備え、この内側サイドレール部品が内側中心柱部品(66)と内側前方柱部品(68)とを結合する、三次元車両ドアフレーム内側補強要素(52)を製造する方法であって、
内側中心柱ブランク、内側前部柱ブランク、および内側サイドレールブランクを含む内側ブランクを準備するステップであって、前記内側ブランクがほぼ平坦である、準備するステップと、
ほぼ平坦なドアフレーム内側補強ブランクを形成するために、内側中心柱ブランクおよび内側前部柱ブランクを内側サイドレールブランクに組み付けるステップと、
三次元ドアフレーム内側補強要素(52)を形成するように、ドアフレーム内側補強ブランクを熱間圧造するステップと、
を含む、方法。
ドアフレーム内側補強要素(52)が、内側前方柱部品(68)および内側サイドレール部品(64)に対してほぼ垂直な方向に延びる屋根補強部品(70)であって、前記屋根補強部品(70)が、内側サイドレールブランクと一体に形成された屋根補強ブランクを熱間圧造することによって得られる、屋根補強部品を備えている、請求項1に記載の方法。
内側中心柱ブランクと内側前部柱ブランクとが、内側中心柱ブランクと内側前部柱ブランクとの各々が内側サイドレールブランクに連続溶接線によって結合されるように、レーザ溶接によって内側サイドレールブランクに組み付けられる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
前部柱(38)、中心柱(36)、およびサイドレール(34)を少なくとも備え、三次元車両ドアフレーム外側補強要素(50)と、三次元車両ドアフレーム内側補強要素(52)とのアセンブリによって形成される車両ドアフレーム(22)を製造するための方法であって、
三次元車両ドアフレーム外側補強要素(50)を製造するステップと、
請求項1から6のいずれか一項に記載の方法に従って三次元車両ドアフレーム内側補強要素(52)を製造するステップと、
車両ドアフレーム(22)を形成するように、ドアフレーム外側補強要素(50)とドアフレーム内側補強要素(52)とを組み立てるステップと、
を含む、方法。
ドアフレーム外側補強要素(50)が、外側中心柱部品(76)、外側上方前部柱部品(82)、および、外側中心柱部品(76)と外側上方前部柱部品(82)とを結合する外側サイドレール部品(74)を少なくとも備え、三次元車両ドアフレーム外側補強要素(50)を製造するステップが、
外側中心柱ブランク、外側上方前部柱ブランク、および外側サイドレールブランクを含む外側ブランクを準備するステップであって、前記外側ブランクがほぼ平坦である、準備するステップと、
ほぼ平坦なドアフレーム外側補強ブランクを形成するために、外側中心柱ブランクおよび外側上方前部柱ブランクを外側サイドレールブランクに組み付けるステップと、
三次元車両ドアフレーム外側補強要素(50)を形成するように、ドアフレーム外側補強ブランクを熱間圧造するステップと、
を含む、請求項7に記載の方法。
ドアフレーム外側補強要素(50)がさらに、外側上方前部柱部品(82)に結合された外側下方前部柱部品(84)と、外側下方前部柱部品(84)を外側中心柱部品(76)に結合する外側下方側横枠部品(80)を備え、三次元車両ドアフレーム外側補強要素(50)を製造するステップがさらに、
外側下方前部柱ブランクおよび外側下方側横枠ブランクを準備するステップであって、前記各ブランクがほぼ平坦である、準備するステップと、
ほぼ平坦なドアフレーム外側補強ブランクを形成するために、外側下方前部柱ブランクを外側上方前部柱ブランクに組み付けるステップ、ならびに、外側下方側横枠ブランクを外側下方前部柱ブランクおよび外側中心柱ブランクに組み付けるステップと、を含む、請求項8または9に記載の方法。
三次元車両ドアフレーム外側補強要素(50)と、三次元車両ドアフレーム内側補強要素(52)とが、車両ドアフレーム(22)の前部柱(38)の一部、中心柱(36)、およびサイドレール(34)の各々が中空の閉じた断面を有するように、相補的に開いたプロファイルとして形成されている、請求項7から11のいずれか一項に記載の方法。
車両ドアフレーム(22)および底部補強要素(26)を少なくとも備えた車両補強構造(30)を製造するための方法であって、前記底部補強要素(26)が、前部横断梁(112a、112b)と、この前部横断梁(112a、112b)に対して平行な後部横断梁(114)とを少なくとも備えており、前記方法が、
請求項7から12のいずれか一項に記載の方法によって車両ドアフレーム(22)を製造するステップと、
底部補強要素(26)を製造するステップと、
車両ドアフレーム(22)の前部柱(38)が底部補強要素(26)の前部横断梁(112a、112b)に取り付けられ、車両ドアフレーム(22)の中心柱(36)が底部補強要素(26)の後部横断梁(114)に取り付けられるように、車両ドアフレーム(22)を底部補強要素(26)に組み付けるステップと、
を含む、方法。
底部補強要素(26)がさらに、前部横断梁(112a、112b)と後部横断梁(114)との間に、前部横断梁(112a、112b)と後部横断梁(114)とに対して平行に延びる中間横断梁(116a、116b)を備え、前記中間横断梁(116a、116b)が、前部柱(38)をドアフレームの中心柱(36)に結合する下方側横枠(40)に取り付けられている、請求項13に記載の方法。
底部補強要素(26)の横断梁(112a、112b、114b、116a、116b)が、前部横断梁(112a、112b)と後部横断梁(114)との間に延びる下方側横枠(40)の内側下方側横枠部品(140)に溶接されている、請求項14に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上述の問題を解決すること、具体的には、車両の乗員に対する十分な保護を伴いつつ、厚みおよび重量が低減された補強要素を製造するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このため、本発明は、前述のタイプの方法であって、
内側中心柱ブランク、内側前部柱ブランク、および内側サイドレールブランクを少なくとも準備するステップであって、前記内側ブランクがほぼ平坦である、準備するステップと、
ほぼ平坦なドアフレーム内側補強ブランクを形成するために、内側中心柱ブランクおよび内側前部柱ブランクを内側サイドレールブランクに組み付けるステップと、
三次元ドアフレーム内側補強要素を形成するように、ドアフレーム内側補強ブランクを熱間圧造(hot stamping)するステップと、を含む方法に関する。
【0012】
ドアフレーム内側補強ブランクを熱間圧造する前にドアフレーム内側補強ブランクを形成するように内側ブランクを組み立てることにより、車両ドアフレーム内側補強要素全体を形成するために単一のプレスを使用することが可能になる。これにより、車両ドアフレーム内側補強要素の製造コストが低減される。
【0013】
さらに、いくつかの内側ブランクを組み立てることによってドアフレーム内側補強ブランクを形成することにより、車両ドアフレーム内側補強要素の様々な部品間で厚みを変化させることが可能になり、入れ子の向上のおかげで、材料の使用を低減することがさらに可能になる。
【0014】
本発明の他の有利な態様によれば、三次元車両ドアフレーム内側補強要素を製造するための方法は、単一で考慮されるか、任意の技術的に可能な組合せに従って、
ドアフレーム内側補強要素が、内側前方柱部品および内側サイドレール部品に対してほぼ垂直に延びる屋根補強部品であって、前記屋根補強部品が、内側サイドレールブランクと一体に形成された屋根補強ブランクを熱間圧造することによって得られる、屋根補強部品を備えることと、
内側ブランクがプレス硬化(press hardening)鋼で形成されていることと、
プレス硬化鋼がUsibor(R)であることと、
プレス硬化鋼が、熱間圧造するステップの後に1300MPa以上の引張り強度を有することと、
内側中心柱ブランクと内側前部柱ブランクとが、内側中心柱ブランクと内側前部柱ブランクとの各々が内側サイドレールブランクに連続溶接線によって結合されるように、レーザ溶接によってサイドレールブランクに組み付けられることと、の1つまたは複数の特徴を含んでいる。
【0015】
本発明は、前部柱、中心柱、およびサイドレールを少なくとも備え、三次元車両ドアフレーム外側補強要素と、三次元車両ドアフレーム内側補強要素とのアセンブリによって形成される車両ドアフレームを製造するための方法であって、
三次元車両ドアフレーム外側補強要素を製造するステップと、
本発明による方法に従って三次元車両ドアフレーム内側補強要素を製造するステップと、
車両ドアフレームを形成するように、ドアフレーム外側補強要素とドアフレーム内側補強要素を組み立てるステップと、を含む、方法にも関する。
【0016】
本発明の他の有利な態様によれば、車両ドアフレームを製造するための方法は、単一で考慮されるか、任意の技術的に可能な組合せに従って、
ドアフレーム外側補強要素が、外側中心柱部品、外側上方前部柱部品、および、外側中心柱部品と外側上方前部柱部品とを結合する外側サイドレール部品を少なくとも備え、三次元車両ドアフレーム外側補強要素を製造するステップが、
外側中心柱ブランク、外側上方前部柱ブランク、および外側サイドレールブランクを少なくとも準備するステップであって、前記外側ブランクがほぼ平坦である、準備するステップと、
ほぼ平坦なドアフレーム外側補強ブランクを形成するために、外側中心柱ブランクおよび外側上方前部柱ブランクをサイドレールブランクに組み付けるステップと、
三次元車両ドアフレーム外側補強要素を形成するように、ドアフレーム外側補強ブランクを熱間圧造するステップと、を含むことと、
外側ブランクがプレス硬化鋼で形成されていることと、
ドアフレーム外側補強要素がさらに、外側上方前部柱部品に結合された外側下方前部柱部品と、外側下方前部柱部品を外側中心柱部品に結合する外側下方側横枠部品を備え、三次元車両ドアフレーム外側補強要素を製造するステップがさらに、
外側下方前部柱ブランクおよび外側下方側横枠ブランクを準備するステップであって、前記各ブランクがほぼ平坦である、準備するステップと、
ほぼ平坦なドアフレーム外側補強ブランクを形成するために、外側下方前部柱ブランクを外側上方前部柱ブランクに組み付けるステップ、ならびに、外側下方側横枠ブランクを外側下方前部柱ブランクおよび外側中心柱ブランクに組み付けるステップと、を含むことと、
外側下方側横枠ブランクが、他の外側ブランクのプレス硬化鋼とは異なるプレス硬化鋼で形成されていることと、
三次元車両ドアフレーム外側補強要素と、三次元車両ドアフレーム内側補強要素とが、車両ドアフレームの前部柱の一部、中心柱、およびサイドレールの各々が中空の閉じた断面を有するように、相補的に開いたプロファイルとして形成されていることと、の1つまたは複数の特徴を含んでいる。
【0017】
本発明は、車両ドアフレームおよび底部補強要素を少なくとも備えた車両補強構造を製造するための方法であって、前記底部補強要素が、前部横断梁(と、前部横断梁に対して平行な後部横断梁とを少なくとも備えており、前記方法が、
本発明による方法により、車両ドアフレームを製造するステップと、
底部補強要素を製造するステップと、
車両ドアフレームの前部柱が底部補強要素の前部横断梁に取り付けられ、車両ドアフレームの中心柱が底部補強要素の後部横断梁に取り付けられるように、車両ドアフレームを底部補強要素に組み付けるステップと、を含む、方法にも関する。
【0018】
本発明の他の有利な態様によれば、車両補強構造を製造するための方法は、単一で考慮されるか、任意の技術的に可能な組合せに従って、
底部補強要素がさらに、前部横断梁と後部横断梁との間に、前部横断梁と後部横断梁とに対して平行に延びる中間横断梁を備え、前記中間横断梁が、前部柱をドアフレームの中心柱に結合する下方側横枠に取り付けられていることと、
底部補強要素の横断梁が、前部横断梁と後部横断梁との間に延びる下方側横枠の内側下方側横枠に溶接されていることと、の1つまたは複数の特徴を含んでいる。
【0019】
本発明の他の特徴および利点が、添付図面を参照して与えられる以下の詳細な説明を読むことにより、よりよく理解される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明では、内側、外側、前方、後方、横断方向、長手方向、垂直、および水平との用語は、車両構造に組み付けられた際の図示の要素、部品、または構造の通常の向きを参照して解釈される。
【0022】
本発明の一実施形態による車両ボディ10を
図1に示す。車両ボディ10は、たとえばピックアップトラックなどの、フレーム上にボディがあるタイプの車両のボディである。このタイプの車両は、車両のボディから分けられたシャーシを備えている。
【0023】
車両ボディ10は、車両底部構造20と、この車両底部構造20の両側の車両ドアフレーム22とを備えている。
【0024】
車両底部構造20は、
図3に示すように、フロアパネル24と、底部補強要素26とを含んでいる。車両底部構造20は、以下にさらに詳細に説明するように、車両のシャーシに接続されるように定められている。
【0025】
車両ドアフレーム22と各底部補強要素26とは、ともに、車両補強構造30の少なくとも一部を形成している。
【0026】
車両ドアフレーム22は、サイドレール34、中心柱36、および前部柱38を備えている。図示の実施形態では、車両ドアフレーム22はさらに、下方側横枠40を備えている。
【0027】
サイドレール34は、前端部34aと後端部34bとの間に、長手方向に沿ってほぼ水平に延びている。
【0028】
前部柱38は、サイドレール34の前端部34aからほぼ垂直方向に全体に沿って下方に延びている。前部柱38は、上方前部柱セクション42と下方前部柱セクション44とを備えている。
【0029】
上方前部柱セクション42は、サイドレール34の前端部34aから前方かつ下方に斜め方向に延びている。上方前部柱セクション42はこのため、サイドレール34の前端部34aに連続している上端部42aと、下端部42bとの間に延びている。
【0030】
下方前部柱セクション44は、上方前部柱セクション42の下端部42bからほぼ垂直に延びている。下方前部柱セクション44は、上方前部柱セクション42の下端部42bに連続している上端部44aと、下端部44bとの間に延びている。
【0031】
中心柱36は、サイドレール34からほぼ垂直方向に沿って下方に延びている。図示の例では、中心柱36は、サイドレール34の前端部34aと後端部34bとの間に含まれるサイドレール34の中間セクションから延びている。中心柱36はこのため、サイドレール34の中間セクションに連続している上端部36aと、下端部36bとの間に延びている。
【0032】
このため、サイドレール34は、前部柱38の上端部と中心柱36とを結合している。
【0033】
下方側横枠40は、前端部40aと後端部40bとの間に、ほぼ長手方向に沿って延びている。
【0034】
前部柱38の下端部は、下方側横枠40の前端部40aと連続しており、中心柱36の下端部36bは、下方側横枠40の前端部40aと後端部40bとの間に含まれる下方側横枠40の中間セクションと連続している。このため、下方側横枠40は、前部柱38の下端部と中心柱36とを結合している。
【0035】
このため、前部柱38、中心柱36、サイドレール34、および下方側横枠40が、ドア開口を形成している。むしろ、車両ドアフレーム22は、車両ドアを受領するように定められており、車両ドアは、閉じられる際にドア開口を埋める。
【0036】
図2に示すように、車両ドアフレーム22は、車両ドアフレーム外側補強要素50と、車両ドアフレーム内側補強要素52とのアセンブリによって形成されている。
【0037】
車両ドアフレーム内側補強要素52と車両ドアフレーム外側補強要素50との各々は、三次元要素である。
【0038】
車両ドアフレーム内側補強要素52は、内側サイドレール部品64、内側中心柱部品66、および内側前方柱部品68を含む内側補強部品を備えている。内側補強部品はさらに、屋根補強部品70を含んでいる。
【0039】
サイドレール34と同様に、内側サイドレール部品64は、前端部64aと後端部64bとの間に、長手方向に沿ってほぼ水平に延びている。
【0040】
中心柱36と同様に、内側中心柱部品66は、内側サイドレール部品64からほぼ垂直方向に沿って下方に延びている。図示の例では、内側中心柱部品66は、内側サイドレール部品64の前端部64aと後端部64bとの間に含まれる内側サイドレール部品64の中間セクションから延びている。内側中心柱部品66はこのため、内側サイドレール部品64の中間セクションに連続している上端部66aと、下端部66bとの間に延びている。
【0041】
内側前方柱部品68は、内側サイドレール部品64の前端部64aから前方かつ下方に斜め方向に延びている。内側前方柱部品68はこのため、サイドレール34の前端部に連続している上端部68aと、下端部68bとの間に延びている。好ましくは、下端部68bは、前部柱38の下端部を含む水平面よりも高い水平面に含まれている。すなわち、内側前方柱部品68は、前部柱38の全長にわたっては延びておらず、たとえば、上方前部柱セクション42の長さに沿ってのみ延びている。
【0042】
こうして、内側サイドレール部品64は、内側前方柱部品68と内側中心柱部品66とを結合している。
【0043】
屋根補強部品70は、内側サイドレール部品64の前端部64aから内側に、内側前方柱部品68および内側サイドレール部品64に対してほぼ垂直な方向に、ほぼ水平な平面において延びる。
【0044】
屋根補強部品70は、屋根前部レール要素を支持するように定められている。
【0045】
屋根補強部品70は、たとえば、内側サイドレール部品64と一体に形成されている。
【0046】
内側補強部品の少なくとも一部は、プレス硬化鋼で形成されている。たとえば、内側補強部品すべてが、プレス硬化鋼で形成されている。内側補強部品は、様々なプレス硬化鋼で形成することができる。
【0047】
好ましくは、プレス硬化鋼は、1300MPa以上の引張り強度を有する。
【0048】
たとえば、プレス硬化鋼は、重量パーセントで、0.10%≦C≦0.5%、0.5%≦Mn≦3%、0.1%≦Si≦1%、0.01%≦Cr≦1%、Ti≦0.2%、Al≦0.1%、S≦0.05%、P≦0.1%、0.0005%≦B≦0.010%を含み、残りが鉄と、製造の結果として避けられない不純物で構成されている組成を有している。
【0049】
プレス硬化鋼は、たとえばUsibor(R)、具体的には、Usibor(R)1500である。
【0050】
鋼は、たとえば、溶融めっき、電着、真空めっきなどの任意の適切なプロセスにより、亜鉛メッキの後に焼きなまし処理をするか、亜鉛メッキをするなど、コーティングされるか、コーティングされない場合がある。
【0051】
具体的には、プレス硬化鋼は、好ましくは、鋼が熱間圧造される前は基本的にフェライトおよびパーライトで構成された構造を有しており、熱間圧造の後は基本的にマルテンサイトで構成された構造を有している。
【0052】
車両ドアフレーム内側補強要素52は、たとえば0.7mmから1.3mmの間に含まれる、車両ドアフレーム内側補強要素52のもっとも小さい寸法として画定される、全体の厚みを有している。
【0053】
好ましくは、少なくとも1つの内側補強部品は、他の内側補強部品の厚みとは異なる厚みを有している。たとえば、内側サイドレール部品64の厚みと、内側中心柱部品66の厚みと、内側前方柱部品68の厚みとは、相互に異なっている。
【0054】
各内側補強部品は、車両における部品の最終位置、および、達成される耐性に適合した厚みを有している。
【0055】
たとえば、内側サイドレール部品64は、屋根補強部品70とともに、1mmにほぼ等しい厚みを有している。内側前方柱部品68は、0.9mmにほぼ等しい厚みを有している。内側中心柱部品66は、1.1mmにほぼ等しい厚みを有している。
【0056】
車両ドアフレーム外側補強要素50は、外側サイドレール部品74、外側中心柱部品76、および外側前部柱部品78を含む外側補強部品を備えている。外補強部品はさらに、外側下方側横枠部品80を含んでいる。
【0057】
サイドレール34と同様に、外側サイドレール部品74は、前端部74aと後端部74bとの間に、長手方向に沿ってほぼ水平に延びている。
【0058】
中心柱36と同様に、外側中心柱部品76は、外側サイドレール部品74からほぼ垂直方向に沿って下方に延びている。図示の例では、外側中心柱部品76は、外側サイドレール部品74の前端部74aと後端部74bとの間に含まれる外側サイドレール部品74の中間セクションから延びている。外側中心柱部品76はこのため、外側サイドレール部品74の中間セクションに連続している上端部76aと、下端部76bとの間に延びている。
【0059】
前部柱38と同様に、外側前部柱部品78は、外側サイドレール部品74の前端部74aからほぼ垂直方向に全体に沿って下方に延びている。外側前部柱部品78は、外側上方前部柱部品82と外側下方前部柱部品84とを備えている。
【0060】
外側上方前部柱部品82は、外側サイドレール部品74の前端部74aから前方かつ下方に斜め方向に延びている。外側上方前部柱部品82はこのため、外側前部柱部品78の上端部である、サイドレール部品74の前端部74aに連続している上端部82aと、下端部82bとの間に延びている。
【0061】
外側下方前部柱部品84は、外側上方前部柱部品82の下端部からほぼ垂直に延びている。外側下方前部柱部品84は、外側上方前部柱部品82の下端部82bに連続している上端部84aと、外側前部柱部品78の下端部である下端部84bとの間に延びている。
【0062】
こうして、外側サイドレール部品74は、外側前部柱部品78と外側中心柱部品76とを結合している。
【0063】
下方側横枠40と同様に、外側下方側横枠部品80は、前端部80aと後端部80bとの間に、ほぼ長手方向に沿って延びている。
【0064】
外側前部柱部品78の下端部84bは、外側下方側横枠部品80の前端部76aと連続しており、外側中心柱部品76の下端部76bは、外側下方側横枠部品80の前端部80aと後端部80bとの間に含まれる外側下方側横枠部品80の中間セクションと連続している。こうして、外側下方側横枠部品80は、外側下方前部柱部品84を外側中心柱部品76に結合している。
【0065】
外側補強部品の少なくとも一部は、プレス硬化鋼で形成されている。たとえば、外側補強部品すべてが、プレス硬化鋼で形成されている。
【0066】
好ましくは、プレス硬化鋼は、1300MPa以上の引張り強度を有する。
【0067】
たとえば、プレス硬化鋼は、重量パーセントで、0.10%≦C≦0.5%、0.5%≦Mn≦3%、0.1%≦Si≦1%、0.01%≦Cr≦1%、Ti≦0.2%、Al≦0.1%、S≦0.05%、P≦0.1%、0.0005%≦B≦0.010%を含み、残りが鉄と、製造の結果として避けられない不純物で構成されている組成を有している。
【0068】
プレス硬化鋼は、たとえばUsibor(R)、具体的には、Usibor(R)1500である。
【0069】
鋼は、たとえば、溶融めっき、電着、真空めっきなどの任意の適切なプロセスにより、亜鉛メッキの後に焼きなまし処理をするか、亜鉛メッキをするなど、コーティングされるか、コーティングされない場合がある。
【0070】
外側補強部品は、様々なプレス硬化鋼で形成することができる。たとえば、外側下方側横枠部品80は、他の外側部品とは異なるプレス硬化鋼で形成される場合がある。具体的には、外側下方側横枠部品80はDuctibor(R)で形成することができ、他の外側補強部品はUsibor(R)で形成することができる。
【0071】
しかしながら、外側補強部品は、好ましくは、全体が同じプレス硬化鋼で形成され、それにより、外部のストレスを受けると、変形の分布が外側補強要素50内において一様であるようになっている。
【0072】
具体的には、プレス硬化鋼は、好ましくは、鋼が熱間圧造される前は基本的にフェライトおよびパーライトで構成された構造を有しており、熱間圧造の後は基本的にマルテンサイトで構成された構造を有している。
【0073】
ドアフレーム外側補強要素50は、たとえば0.8mmから2.5mmの間に含まれる、ドアフレーム外側補強要素50のもっとも小さい寸法として画定される、全体の厚みを有している。
【0074】
好ましくは、少なくとも1つの外側補強部品は、他の外側補強部品の厚みとは異なる厚みを有している。たとえば、外側サイドレール部品74の厚みと、外側中心柱部品76の厚みと、外側前部柱部品78の厚みとは、相互に異なっている。
【0075】
各外側部品は、車両における部品の最終位置、および、達成される耐性に適合した厚みを有している。
【0076】
たとえば、外側サイドレール部品74は、1.1mmにほぼ等しい厚みを有しており、外側上方前部柱部品82は、0.9mmにほぼ等しい厚みを有しており、外側下方前部柱部品84は、1.1mmにほぼ等しい厚みを有している。この例によれば、外側中心柱部品76は、2mmにほぼ等しい厚みを有しており、外側下方側横枠部品80は、1.2mmにほぼ等しい厚みを有している。
【0077】
ドアフレーム外側補強要素50と、ドアフレーム内側補強要素52とは、組み立てられると、ドアフレーム外側補強要素50とドアフレーム内側補強要素52とが車両ドアフレーム22を形成するような、相補的な形状を有している。
【0078】
具体的には、サイドレール34は、内側サイドレール部品64と外側サイドレール部品74とのアセンブリによって形成されており、中心柱36は、内側中心柱部品66と外側中心柱部品76とのアセンブリによって形成されている。
【0079】
さらに、前部柱38は、内側前方柱部品68と外側前部柱部品78とのアセンブリによって形成されている。より具体的には、上方前部柱セクション42は、内側前方柱部品68と外側上方前部柱部品82とのアセンブリによって形成されている。
【0080】
図示の例では、下方前部柱セクション44は、外側下方前部柱部品84によって形成されている。
【0081】
車両ドアフレーム外側補強要素50と、車両ドアフレーム内側補強要素52とが、車両ドアフレーム22の前部柱38の一部、中心柱36、およびサイドレール34の各々が中空の閉じた断面を有するように、相補的に開いたプロファイルとして形成されている。
【0082】
具体的には、外側補強部品は、開いた断面を有している。開いた断面は、少なくとも、底部セグメントと、この底部セグメントの両端から延びる2つの壁部セグメントとを備えている。
【0083】
ここで、車両ドアフレーム22を製造するための方法を説明する。
【0084】
車両ドアフレーム22の製造には、ドアフレーム内側補強要素52を製造することと、ドアフレーム外側補強要素50を製造することと、ドアフレーム内側補強要素52をドアフレーム外側補強要素50に組み付けることと、が含まれる。
【0085】
車両ドアフレーム内側補強要素52は、内側補強ブランクを熱間圧造することによって製造される。この内側補強ブランクは、それ自体が、いくつかのブランクを組み立てることによって形成されている。
【0086】
車両ドアフレーム内側補強要素52の製造は、このため、ほぼ平坦なドアフレーム内側補強ブランクを形成するステップを含んでいる。ドアフレーム内側補強ブランクの形状は、ドアフレーム内側補強ブランクが熱間圧造されて、所望の形状の内側補強要素を形成し得るように適合されている。
【0087】
内側補強ブランクは、好ましくは、テーラードブランクである。
【0088】
内側補強ブランクの形成には、内側中心柱ブランク、内側前部柱ブランク、および内側サイドレールブランクを準備するステップであって、前記内側ブランクがほぼ平坦である、準備するステップが含まれている。好ましくは、内側補強ブランクの形成には、さらに、内側サイドレールブランクと一体に形成された屋根補強ブランクを準備することが含まれる。
【0089】
各内側ブランクの形状および厚みは、熱間圧造がされると、内側中心柱ブランク、内側前部柱ブランク、内側サイドレールブランク、および屋根補強ブランクが、内側中心柱部品66、内側前方柱部品68、内側サイドレール部品64、および屋根補強部品70をそれぞれ形成し得るように、適合されている。
【0090】
内側ブランクは、たとえば、鋼シート、たとえば、Usibor(R)などのプレス硬化鋼で形成されたシートを所望の形状にカットすることによって得られる。
【0091】
内側中心柱ブランクおよび内側前部柱ブランクはこうして、内側補強ブランクを形成するために、内側サイドレールブランクに組み付けられる。
【0092】
具体的には、内側前部柱ブランクの上端部が内側サイドレールブランクの前端部に組み付けられ、内側中心柱ブランクの上端部が内側サイドレールブランクの中間セクションに組み付けられる。
【0093】
好ましくは、内側ブランクは、内側ブランクが連続溶接線でともに結合するように、溶接、より好ましくは、レーザ溶接によって組み立てられる。
【0094】
具体的には、内側中心柱ブランクと内側前部柱ブランクとが、連続溶接線によって内側サイドレールブランクに結合されている。
【0095】
車両ドアフレーム内側補強要素52の製造には、このため、三次元車両ドアフレーム内側補強要素52を形成するように、ドアフレーム内側補強ブランクを熱間圧造するステップが含まれている。
【0096】
内側ブランクがプレス硬化鋼で形成されている場合、熱間圧造により、鋼を硬化させることになる。
【0097】
具体的には、上述のように、プレス硬化鋼は、好ましくは、鋼が熱間圧造される前は基本的にフェライトおよびパーライトで構成された構造を有しており、熱間圧造および冷却の後は基本的にマルテンサイトで構成された構造を有している。
【0098】
同様に、ドアフレーム外側補強要素50は、外側補強ブランクを熱間圧造することによって製造される。この外側補強ブランクは、それ自体が、いくつかのブランクを組み立てることによって形成されている。
【0099】
ドアフレーム外側補強要素50の製造は、このため、ほぼ平坦なドアフレーム外側補強ブランクを形成するステップを含んでいる。ドアフレーム外側補強ブランクの形状は、ドアフレーム外側補強ブランクが熱間圧造されて、所望の形状の外側補強要素を形成し得るように適合されている。
【0100】
外側補強ブランクは、好ましくは、テーラードブランクである。
【0101】
外側補強ブランクの形成には、外側中心柱ブランク、外側上方前部柱ブランク、外側下方前部柱ブランク、外側サイドレールブランク、および外側下方側横枠ブランクを準備するステップであって、前記外側ブランクがほぼ平坦である、準備するステップが含まれている。
【0102】
各外側ブランクの形状および厚みは、熱間圧造がされると、外側中心柱ブランク、外側上方前部柱ブランク、外側下方前部柱ブランク、外側サイドレールブランク、および外側下方側横枠ブランクが、外側中心柱部品76、外側上方前部柱部品82、外側下方前部柱部品84、外側サイドレール部品74、および外側下方側横枠部品80をそれぞれ形成し得るように、適合されている。
【0103】
外側ブランクは、たとえば、鋼シート、たとえば、Usibor(R)などのプレス硬化鋼で形成されたシートを所望の形状にカットすることによって得られる。
【0104】
外側中心柱ブランクと外側上方前部柱ブランクとは、こうして、外側サイドレールブランクに組み付けられ、外側下方前部柱ブランクは外側上方前部柱ブランクに組み付けられ、外側下方側横枠ブランクは、外側下方前部柱ブランクおよび外側中心柱ブランクに組み付けられ、それにより、外側補強ブランクを形成するようになっている。
【0105】
具体的には、外側上方前部柱ブランクの上端部が外側サイドレールブランクの前端部に組み付けられ、外側中心柱ブランクの上端部が外側サイドレールブランクの中間セクションに組み付けられる。さらに、外側上方前部柱ブランクの下端部は、外側下方前部柱ブランクの上端部に組み付けられ、外側下方前部柱ブランクの下端部は、外側下方側横枠ブランクの前端部に組み付けられ、外側中心柱ブランクの下端部は、外側下方側横枠ブランクの中間セクションに組み付けられている。
【0106】
好ましくは、外側ブランクは、外側ブランクが連続溶接線でともに結合するように、溶接、より好ましくは、レーザ溶接によって組み立てられる。
【0107】
ドアフレーム外側補強要素50の製造には、このため、三次元車両ドアフレーム外側補強要素50を形成するように、ドアフレーム外側補強ブランクを熱間圧造するステップが含まれている。
【0108】
外側ブランクがプレス硬化鋼で形成されている場合、熱間圧造により、鋼を硬化させることになる。
【0109】
ドアフレーム内側補強要素52とドアフレーム外側補強要素50とは、こうして、たとえば溶接によって組み立てられる。
【0110】
内側ブランクと外側ブランクとにプレス硬化鋼を使用することは、このため、ドアフレーム内側補強ブランクおよびドアフレーム外側補強ブランクが、鋼のネッキングおよび厚みの増大を得ることなく、車両ドアフレーム内側補強要素および車両ドアフレーム外側補強要素を形成するように熱間圧造され得るような、各ブランクの良好な成形性と、熱間圧造がされた後の、車両ドアフレーム内側補強要素および車両ドアフレーム外側補強要素の極めて高い強度との、両方が提供される。
【0111】
ドアフレーム内側補強ブランク(それぞれ、ドアフレーム外側補強ブランク)を熱間圧造する前にドアフレーム内側補強ブランク(それぞれ、ドアフレーム外側補強ブランク)を形成するように内側ブランク(それぞれ、外側ブランク)を組み立てることにより、車両ドアフレーム内側補強要素52全体(それぞれ、ドアフレーム外側補強要素50全体)を形成するために単一のプレスを使用することが可能になる。これにより、車両ドアフレーム内側補強要素52および車両ドアフレーム外側補強要素50の製造コストが低減される。
【0112】
さらに、いくつかの内側ブランク(それぞれ、いくつかの外側ブランク)を組み立てることによってドアフレーム内側補強ブランク(それぞれ、ドアフレーム外側補強ブランク)を形成することにより、車両ドアフレーム内側補強要素52(それぞれ、ドアフレーム外側補強要素50)の様々な部品間で厚みを変化させることが可能になり、入れ子の向上のおかげで、材料の使用を低減することがさらに可能になる。
【0113】
さらに、ドアフレーム内側補強ブランク(それぞれ、ドアフレーム外側補強ブランク)を熱間圧造する前にドアフレーム内側補強ブランク(それぞれ、ドアフレーム外側補強ブランク)を形成するように内側ブランク(それぞれ、外側ブランク)を組み立てることにより、内側ブランク(それぞれ、外側ブランク)を組み付けるのに、スポット溶接の代わりにレーザ溶接を使用することが可能になる。レーザ溶接により、ブランク間の連続溶接線が提供され、したがって、スポット溶接よりも良好な耐性、そしてひいては、クラッシュに対する良好な耐性が与えられる。
【0114】
ここで
図3を参照すると、車両底部構造20は、フロアパネル24と、底部補強要素26とを含んでいる。
【0115】
フロアパネル24は概して、水平面に沿って延びている。フロアパネル24は、前方側24aと後方側24bとの間に長手方向に、かつ、右側24cと左側24dとの間に横断方向に延びている。
【0116】
フロアパネル24は、フロアパネル24に凹部を形成し、下方に開いている、長手方向のフロアトンネル100を備えている。フロアトンネル100は、フロアパネル24の前方側24aから後方側24bに向かって、2つの側部のフロア部品間に延びている。
【0117】
フロアトンネル100は、ほぼ水平な上方壁100aと、ほぼ長手方向の垂直な2つの側壁100bと100cとを備えている。各側壁100b、100cは、上方壁と連続している上端部と、側部フロア部品の1つと連続している下端部との間に延びている。
【0118】
フロアパネル24は、たとえば、鋼で形成されている。
【0119】
底部補強要素26は、下方側フロアパネル24に取り付けられ、車両底部構造20に耐性を与えるように定められている。
【0120】
底部補強要素26は、車両に衝撃が加えられた際に、応力を吸収するように定められた梁のメッシュを備えている。具体的には、底部補強要素26は、たとえば側部の衝撃の際に、ドアリングによって受領された応力を吸収するように定められている。
【0121】
底部補強要素26はこのため、フロアパネル24に取り付けられたいくつかの補強梁を備えている。
【0122】
具体的には、補強梁は、少なくとも前部横断梁と後部横断梁とを備え、前部横断梁と後部横断梁とは、互いに対して平行に延びている。
【0123】
図示の例では、補強梁は、2つの前部横断梁112aと112bと、単一の後部横断梁114とを備えている。
【0124】
補強梁はさらに、2つの中間横断梁116aと116bと、2つの長手梁118aと118bと、トンネル横断梁120とを備えている。
【0125】
2つの前部横断梁112aと112bとは、フロアパネル24の前部において、フロアトンネル100の両側で横断方向に延びている。むしろ、各前部横断梁112a、112bは、フロアトンネル100の側壁100b、100cの下端部と連続した内側端部と、フロアパネル24の側部24c、24dと連続した外側端部との間に延びている。
【0126】
後部横断梁114は、フロアパネル24の中心部において、前部横断梁112a、112bに対して平行に延びている。後部前部横断梁114はこうして、フロアパネル24の右側24cと左側24dとの間に延びている。
【0127】
より具体的には、前部横断梁112a、112b、および後部横断梁114は、車両底部構造20がドアフレーム22に組み付けられた際に、各前部横断梁112a、112bの外側端部がドアフレーム22の前部柱38に結合し得、後方横断パネルの各端部がドアフレーム22の中心柱36に結合し得るように、構成されている。
【0128】
2つの中間横断梁116aと116bとは、前部横断梁112a、112bと後部横断梁114との間を、前部横断梁112a、112bと後部横断梁114とに対して平行に、フロアトンネル100の両側で延びている。各中間横断梁116a、116bは、フロアトンネル100の側壁の下端部と連続した内側端部と、フロアパネル24の側部と連続した外側端部との間に延びている。
【0129】
たとえば、中間横断梁116aと116bとは、前部横断梁112a、112bと後部横断梁114との間のほぼ中間点で延びている。
【0130】
したがって、中間横断梁116a、116bは、車両底部構造20がドアフレーム22に組み付けられた際に、中間横断梁116a、116bの各々の外側端部がドアフレーム22の下方側横枠40に結合し得るように、構成されている。
【0131】
2つの長手梁118aと118bとは、フロアトンネル100の両側で長手方向に延びている。長手梁118a、118bの各々は、前部横断梁112a、112bと連続している前端部と、後部横断梁114と連続している後端部との間に延びている。このため、長手梁118a、118bの各々は、前部横断梁112aと112bとの一方を後部横断梁114に結合している。
【0132】
さらに、長手梁118a、118bの各々は、中間横断梁116a、116bの内側端部と連続している中間セクションを備えている。このため、長手梁118a、118bの各々は、前部横断梁112aと112bとの一方を中間横断梁116a、116bおよび後部横断梁114に結合している。
【0133】
トンネル横断梁120は、一方の長手梁118aから他方の長手梁118bに、フロアトンネル100にわたって延びている。トンネル横断梁120はこうして、フロアトンネル100と交差し、長手梁118aを結合する2つの端部124a、124b間に含まれる中心領域122を備えている。トンネル横断梁120の中心領域120aは、フロアトンネル100の上方壁に取り付けられたほぼ水平な上方壁と、フロアトンネル100の側壁の各々が取り付けられた、ほぼ長手方向の垂直な2つの側壁と、を備えている。
【0134】
好ましくは、トンネル横断梁120は、トンネル横断梁120と中間横断梁116a、116bとの間に長手方向のオフセットが存在するように、中間横断梁116a、116bとは横断方向に整列していない。
【0135】
このオフセットのために、中間横断梁116a、116bによって受領された応力は、トンネル横断梁120には直接伝達されないが、長手梁118a、118bを通して伝達される。むしろ、トンネル横断梁120が直線状ではないため、トンネル横断梁120は、横断方向の応力を受ける際に、圧縮して作用せず、屈曲して作用し、したがって、直線状の梁よりも容易に曲がる。トンネル横断梁120と中間横断梁116a、116bとの間のオフセットにより、こうして、トンネル横断梁120を曲げることのリスクを低減することが可能になる。
【0136】
前部横断梁112a、112bおよび後部横断梁114の各々には、車両底部構造20をシャーシに接続するように定められた、ボディマウントとも呼ばれる接続要素を受領するためのスロット130が設けられている。
【0137】
好ましくは、底部補強要素26は、フロアトンネル100を形成する鋼とは異なり、フロアトンネル100を形成する鋼よりも高い引張り強度を有する鋼(またはいくつがの異なる鋼)で形成されている。
【0138】
好ましくは、補強梁の少なくともいくつかが、1300MPa以上の引張り強度を有する鋼で形成されている。たとえば、鋼はプレス硬化鋼であり、プレスされると、1300MPa以上の引張り強度を有する。
【0139】
たとえば、プレス硬化鋼は、重量パーセントで、0.10%≦C≦0.5%、0.5%≦Mn≦3%、0.1%≦Si≦1%、0.01%≦Cr≦1%、Ti≦0.2%、Al≦0.1%、S≦0.05%、P≦0.1%、0.0005%≦B≦0.010%を含み、残りが鉄と、製造の結果として避けられない不純物で構成されている組成を有している。
【0140】
プレス硬化鋼は、たとえばUsibor(R)、具体的には、Usibor(R)1500またはUsibor(R)2000である。
【0141】
鋼は、たとえば、溶融めっき、電着、真空めっきなどの任意の適切なプロセスにより、亜鉛メッキの後に焼きなまし処理をするか、亜鉛メッキをするなど、コーティングされるか、コーティングされない場合がある。
【0142】
具体的には、プレス硬化鋼は、好ましくは、鋼がプレスされる前は基本的にフェライトおよびパーライトで構成された構造を有しており、プレスされた後は基本的にマルテンサイトで構成された構造を有している。
【0143】
底部補強要素26は、たとえば0.7mmから1.5mmの間に含まれる、底部補強要素26のもっとも小さい寸法として画定される、全体の厚みを有している。
【0144】
好ましくは、少なくとも1つの補強梁は、他の梁の厚みとは異なる厚みを有している。たとえば、前部横断梁112a、112bの厚み、後部横断梁114の厚み、中間横断梁116a、116bの厚み、長手梁118a、118bの厚み、およびトンネル横断梁120の厚みは、相互に異なっている。
【0145】
各補強梁は、梁の位置、および、達成される耐性に適合した厚みを有している。
【0146】
好ましくは、トンネル横断梁120は、この梁の非直線状の幾何学形状に起因して、特にトンネル横断梁120が曲がるのを避けるために、他の梁よりも大である厚みを有している。
【0147】
たとえば、前部横断梁112a、112bは、1.2mmにほぼ等しい厚みを有しており、後部横断梁114は、1.2mmにほぼ等しい厚みを有している。中間横断梁116a、116bは、たとえば、1.3mmにほぼ等しい厚みを有しており、長手梁118a、118bは、たとえば、1.2mmにほぼ等しい厚みを有しており、トンネル横断梁120は、たとえば、1.5mmにほぼ等しい厚みを有している。
【0148】
補強梁は、開いた断面を有し、それにより、底部補強要素26が、開いたプロファイルを形成するようになっている。各補強梁の開いた断面は、底部セグメントと、この底部セグメントの両端から延びる2つの壁部セグメントとを少なくとも備えている。
【0149】
底部補強要素26は、フロアパネル24が開いたプロファイルを閉じるように、フロアパネル24に取り付けられている。
【0150】
好ましくは、底部補強要素26とフロアパネル24とは、溶接、たとえばスポット溶接によって取り付けられている。
【0151】
車両底部構造20の製造には、フロアパネル24の製造、底部補強要素26の製造、および、底部補強要素26のフロアパネル24への組み付けが含まれ、それにより、車両底部構造20を形成するようになっている。
【0152】
フロアパネル24は、たとえば、ほぼ矩形のブランクの圧造によって製造される。
【0153】
底部補強要素26は、各補強梁を形成し、形作ることと、底部補強要素26を形成するように補強梁を組み立てることとによって製造される。
【0154】
底部補強要素26の製造には、このため、ほぼ平坦な補強梁ブランクを形成するステップが含まれている。
【0155】
補強梁ブランクの形成には、2つの前部横断梁ブランク、後部横断梁ブランク、2つの中間横断梁ブランク、2つの長手梁ブランク、およびトンネル横断梁ブランクの形成が含まれている。
【0156】
補強梁ブランクの形状および厚みは、熱間圧造されると、前部横断梁ブランク、後部横断梁ブランク、中間横断梁ブランク、長手梁ブランク、およびトンネル横断梁ブランクが、前部横断梁112a、112b、後部横断梁114、中間横断梁116a、116b、長手梁118a、118b、およびトンネル横断梁120をそれぞれ形成し得るように、適合されている。
【0157】
補強梁ブランクは、たとえば、鋼シート、たとえば、Usibor(R)などのプレス硬化鋼で形成されたシートを所望の形状にカットすることによって得られる。
【0158】
補強梁ブランクは次いで、補強梁を形成するように熱間圧造され、その後に冷却される。
【0159】
補強梁は次いで、底部補強要素26を形成するように組み立てられる。
【0160】
具体的には、各長手梁118a、118bの前端部は、前部横断梁112a、112bの内側端部に組み付けられ、各長手梁118a、118bの中間セクションは、中間横断梁116a、116bの内側端部に組み付けられ、各長手梁118a、118bの後端部は、後部横断梁114に組み付けられている。
【0161】
さらに、トンネル横断梁120の各端部は、長手梁118a、118bに組み付けられている。
【0162】
好ましくは、補強梁は、溶接、たとえば、スポット溶接またはレーザ溶接によって組み立てられる。
【0163】
底部補強要素26の少なくとも一部にプレス硬化鋼を使用することにより、鋼の圧縮または厚みの増大を得ることなく、補強梁を形成するように、補強梁ブランクが熱間圧造され得るような、補強梁ブランクの良好な成形性と、熱間圧造および冷却された後の補強梁の極めて高い強度と、の両方が与えられる。
【0164】
1300MPa以上の引張り強度を有するプレス硬化鋼の使用により、梁の厚みを増大させる必要なく、そしてひいては、車両底部構造の重量を増大させることなく、衝撃、特に側部の衝撃に対する耐性が向上する。
【0165】
車両ボディ10は、車両底部構造20と、車両底部構造20の一方側の少なくとも1つの車両ドアフレーム22、好ましくは、車両底部構造20の両側の2つの車両ドアフレーム22とを組み立てることによって形成される。車両ボディ10の組立てを、車両底部構造20の一方側の、1つの車両ドアフレーム22を参照して説明する。しかし、第2の車両ドアフレーム22を、車両底部構造20の他方側に同じ方法で組み付けることができることを理解されたい。
【0166】
車両ドアフレーム22は、好ましくは、前部柱38が底部補強要素26の前部横断梁112aに取り付けられ、中心柱36が底部補強要素26の後部横断梁114に取り付けられるように、車両底部構造20の側部において車両底部構造20に取り付けられる。さらに、中間横断梁116aは、下方側横枠40に取り付けられる。
【0167】
したがって、車両ドアフレーム22、具体的には、前方柱および中心柱によって受領される衝撃のエネルギは、車両底部構造20に効果的に伝達され得る。
【0168】
好ましくは、横断梁112a、114、および116aは、内側下方側横枠部品140(
図4)によって車両ドアフレーム22に取り付けられ、前部横断梁112aと後部横断梁114との間に延びる結合鋼シートを形成する。たとえば、横断梁112a、114、および116aは、溶接によって車両ドアフレーム22に取り付けられる。
【0169】
内側下方側横枠部品140は、ほぼ長手方向に沿って延びる。内側下方側横枠部品140は、たとえば溶接により、外側下方側横枠部品80に組み付けられて、下方側横枠40を形成する。内側下方側横枠部品140は、結合鋼シート140と外側下方側横枠部品80とが組み合わせられた際に、結合鋼シート140と外側下方側横枠部品80とが下方側横枠40を形成するように、かつ、下方側横枠40が中空の閉じたセクションを有するように、外側下方側横枠部品80の形状と相補的な形状を有している。
【0170】
内側下方側横枠部品140は、たとえば、完全にマルテンサイトの微細構造を有し、引張り強度が、好ましくは1700MPa以上である鋼で形成されている。内側下方側横枠部品140を形成する鋼は、たとえばMS1700(R)である。
【0171】
外側下方側横枠部品80は、それ自体が、外側装飾パネル142によって覆われている。
【0172】
こうして形成されると、車両底部構造により、衝撃、特に、側部の衝撃が生じた場合の車両の耐性が向上する。具体的には、前部柱38と中心柱36とにそれぞれ面している前部横断梁と後部横断梁との位置により、衝撃の際に車両によって受領される応力の分散が可能になり、前部柱と中心柱とが効果的に支持される。さらに、下方側横枠40に面している中間横断梁116aにより、前部柱と中心柱との間に側部の衝撃が生じた場合に、エネルギが吸収され得、こうして、側部の衝撃が生じる場合の車両コンパートメントへの侵入のリスクを制限している。
【0173】
上に提示された例示的実施形態は限定的ではないことを理解されたい。