特許第6654712号(P6654712)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6654712
(24)【登録日】2020年2月3日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】ガス警報器およびガス検出方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/16 20060101AFI20200217BHJP
   G08B 17/10 20060101ALI20200217BHJP
   G01N 27/12 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   G08B21/16
   G08B17/10 F
   G01N27/12 D
【請求項の数】14
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2018-566144(P2018-566144)
(86)(22)【出願日】2018年2月2日
(86)【国際出願番号】JP2018003701
(87)【国際公開番号】WO2018143439
(87)【国際公開日】20180809
【審査請求日】2019年1月31日
(31)【優先権主張番号】特願2017-18855(P2017-18855)
(32)【優先日】2017年2月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】村田 尚義
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】岡村 誠
(72)【発明者】
【氏名】上岡 剛
(72)【発明者】
【氏名】大西 久男
(72)【発明者】
【氏名】野中 篤
【審査官】 加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−283583(JP,A)
【文献】 特開2009−210344(JP,A)
【文献】 特開2012−195017(JP,A)
【文献】 特開2002−257766(JP,A)
【文献】 特開2011−227069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 21/16
G01N 27/12
G08B 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象ガスとの接触により電気的特性が変化する感知部と、前記感知部を加熱するヒータ部と、を含むガスセンサと、
前記感知部の電気的特性に基づいて前記検出対象ガスを検出するガス検出部と、
前記ヒータ部による加熱を制御する加熱制御部と、
前記感知部の電気的特性が加熱延長開始条件を満たすか否かを判定する第1判定部と、
前記感知部の電気的特性が加熱停止条件を満たすか否かを判定する第2判定部と、を備えており、
前記加熱制御部は、前記第1判定部によって前記電気的特性が前記加熱延長開始条件を満たすと判定される場合には、前記ヒータ部による加熱時間を延長し、前記第2判定部によって、前記加熱時間の延長後における前記電気的特性が前記加熱停止条件を満たすと判定されるまで前記加熱時間の延長を続け、予め定められた延長時間後における前記電気的特性が前記加熱停止条件を満たさないと判定された場合には、前記ガス検出部は、前記検出対象ガスが検出されたと判断する、
ガス警報器。
【請求項2】
検出対象ガスとの接触により電気的特性が変化する感知部と、前記感知部を加熱するヒータ部と、を含むガスセンサと、
前記感知部の電気的特性に基づいて前記検出対象ガスを検出するガス検出部と、
前記ヒータ部による加熱を制御する加熱制御部と、
前記感知部の電気的特性が加熱延長開始条件を満たすか否かを判定する第1判定部と、
前記感知部の電気的特性が加熱繰り返し条件を満たすか否かを判定する第2判定部と、を備えており、
前記加熱制御部は、前記第1判定部によって前記電気的特性が前記加熱延長開始条件を満たすと判定される場合には、前記ヒータ部による加熱時間を延長し、前記第2判定部によって、前記加熱時間の延長後における前記電気的特性が前記加熱繰り返し条件を満たすと判定される限り、予め定められた回数または予め定められた駆動時間を上限として、前記加熱時間の延長と、前記第2判定部による判定を繰り返し、
前記上限の回数または前記上限の駆動時間にわたって加熱時間の延長が繰り返された後においても、前記第2判定部によって前記電気的特性が前記加熱繰り返し条件を満たすと判定された場合には、前記ガス検出部は、前記検出対象ガスが検出されたと判断する、
ガス警報器。
【請求項3】
前記ヒータ部は、印加される電圧に応じて温度が変化し、
前記第1判定部による判定と、前記第2判定部による判定とは、前記ヒータ部に同一電圧を印加した状態で行う、
請求項1または2に記載のガス警報器。
【請求項4】
前記加熱延長開始条件と前記加熱繰り返し条件とは同じ条件であり、
前記感知部の電気的特性は、前記感知部の電気抵抗値であり、
前記加熱制御部は、前記第1判定部によって前記電気抵抗値が閾値以下であると判定された場合に、前記ヒータ部による加熱時間を延長し、前記第2判定部によって、前記加熱時間の延長後における前記電気抵抗値が前記閾値以下であると判定される限り、予め定められた回数または予め定められた駆動時間を上限として、前記加熱時間の延長と、前記第2判定部による判定を繰り返し、
前記上限の回数または前記上限の駆動時間にわたって加熱時間の延長が繰り返された後においても、前記第2判定部によって前記電気抵抗値が前記閾値以下であると判定された場合には、前記ガス検出部は、前記検出対象ガスが検出されたと判断する、
請求項に記載のガス警報器。
【請求項5】
前記感知部の電気的特性は、前記感知部の電気抵抗値であり、
前記加熱制御部は、前記加熱時間の延長後における前記電気抵抗値が閾値を超えると前記第2判定部によって判定される場合、前記ヒータ部による加熱を停止する、
請求項1または2に記載のガス警報器。
【請求項6】
前記ヒータ部による前記感知部の加熱開始後の前記感知部の電気的特性の変化率、または、2以上の時点における前記感知部の電気的特性によって、前記閾値を設定する閾値設定部を更に備える、
請求項に記載のガス警報器。
【請求項7】
前記加熱延長開始条件と前記加熱繰り返し条件とは異なる条件である、
請求項に記載のガス警報器。
【請求項8】
前記感知部の電気的特性は、前記感知部の電気抵抗値であり、
前記加熱制御部は、前記第1判定部によって前記電気抵抗値が第1閾値以下であると判定された場合に、前記ヒータ部による加熱時間を延長し、前記第2判定部によって前記加熱時間の延長後における前記電気抵抗値が、前記第1閾値より低い第2閾値以下であると判定される限り、予め定められた回数または予め定められた駆動時間を上限として、前記加熱時間の延長と、前記第2判定部による判定を繰り返し、
前記上限の回数または前記上限の駆動時間にわたって加熱時間の延長が繰り返された後においても、前記第2判定部によって、前記加熱時間の延長後における前記電気抵抗値が前記第2閾値以下であると判定された場合には、前記ガス検出部は、前記検出対象ガスが検出されたと判断する、
請求項に記載のガス警報器。
【請求項9】
前記感知部の電気特性は、前記感知部の電気抵抗値であり、
前記加熱制御部は、前記第1判定部によって前記電気抵抗値が第1閾値以下であると判定された場合に、前記ヒータ部による加熱時間を延長し、
前記加熱制御部は、前記加熱時間の延長後における前記電気抵抗値が前記第1閾値より低い第2閾値を超えると前記第2判定部によって判定される場合、前記ヒータ部による加熱を停止する、
請求項1または2に記載のガス警報器。
【請求項10】
前記ヒータ部による前記感知部の加熱開始後の前記感知部の電気的特性の変化率、または、2以上の時点における前記感知部の電気的特性によって、前記第1閾値及び前記第2閾値の少なくとも一方を設定する閾値設定部、もしくは、
前記ヒータ部による前記感知部の加熱開始後の前記感知部の電気的特性の変化率、または、2以上の時点における前記感知部の電気的特性によって、加熱時間を延長する延長時間を設定する延長時間設定部を更に備える、
請求項に記載のガス警報器。
【請求項11】
検出対象ガスとの接触により電気抵抗値が変化する感知部と、前記感知部を加熱するヒータ部と、を含むガスセンサと、
前記感知部の電気抵抗値に基づいて前記検出対象ガスを検出するガス検出部と、
前記ヒータ部による加熱を制御する加熱制御部と、
前記感知部の電気抵抗値第1閾値以下であるか否かを判定する第1判定部と、
連続する2つの時点での前記電気抵抗値が増加傾向を示すか否かを判定する第2判定部と、を備えており、
前記加熱制御部は、前記第1判定部によって前記電気抵抗値が前記第1閾値以下であると判定された場合に、前記ヒータ部による加熱時間を延長し、前記第2判定部によって、前記加熱時間の延長後における連続する2つの時点での前記電気抵抗値が増加傾向を示すと判定される限り、予め定められた延長回数または予め定められた駆動時間を上限として、前記加熱時間の延長を続け、
前記上限の延長回数または前記上限の駆動時間にわたって加熱時間の延長が続けられた後においても、前記第2判定部によって、前記加熱時間の延長後における連続する2つの時点での前記電気抵抗値が増加傾向を示すと判定された場合には、さらに前記第2判定部は、前記加熱時間の延長後の最後に取得された電気抵抗値が、第2閾値以下であるか判定し、最後に取得された前記電気抵抗値が前記第2閾値以下であると判定された場合には、前記ガス検出部は、前記検出対象ガスが検出されたと判断する、
ガス警報器。
【請求項12】
検出対象ガスとの接触により電気抵抗値が変化する感知部と、前記感知部を加熱するヒータ部と、を含むガスセンサと、
前記感知部の電気抵抗値に基づいて前記検出対象ガスを検出するガス検出部と、
前記ヒータ部による加熱を制御する加熱制御部と、
前記感知部の電気抵抗値が第1条件を満たすか否かを判定する第1判定部と、
前記感知部の電気抵抗値が第2条件を満たすか否かを判定する第2判定部と、を備えており、
前記加熱制御部は、前記第1判定部によって前記電気抵抗値が前記第1条件を満たすと判定される場合には、前記ヒータ部による加熱時間を延長し、前記加熱時間の延長後における前記電気抵抗値が前記第2条件を満たすか否かについての前記第2判定部による判定結果に応じて、前記ヒータ部による加熱時間の延長を続け、延長時間後における前記電気抵抗値に応じて、前記ガス検出部は、前記検出対象ガスが検出されたと判断し、
前記加熱制御部は、前記ヒータ部による前記感知部の加熱開始後の前記感知部の電気抵抗値の変化率、または、2以上の時点で取得された電気抵抗値が、予め定められた関係を満たすと判断される場合に、前記ヒータ部による加熱時間を延長し、前記第2判定部によって前記加熱時間の延長後における前記電気抵抗値が前記第2条件を満たす限り、予め定められた延長回数または予め定められた駆動時間を上限として、前記加熱時間の延長を続ける、
ガス警報器。
【請求項13】
検出対象ガスとの接触により電気的特性が変化する感知部と、前記感知部を加熱するヒータ部と、を含むガスセンサを備えるガス警報器を用いたガス検出方法であって、
前記電気的特性が加熱延長開始条件を満たすと判定される場合には、前記ヒータ部による加熱時間を延長し、前記加熱時間の延長後における前記電気的特性が加熱繰り返し条件を満たす限り、予め定められた回数または予め定められた駆動時間を上限として、前記加熱時間の延長と、前記加熱時間の延長後における前記電気的特性が加熱繰り返し条件を満たすか否かについての判定を繰り返し、
前記上限の回数または前記上限の駆動時間にわたって加熱時間の延長が続けられた後においても、前記電気的特性が前記加熱繰り返し条件を満たすと判定された場合には、前記検出対象ガスが検出されたと判断する、
ガス検出方法。
【請求項14】
検出対象ガスとの接触により電気的特性が変化する感知部と、前記感知部を加熱するヒータ部と、を含むガスセンサを備えるガス警報器を用いたガス検出方法であって、
前記電気的特性が加熱延長開始条件を満たすと判定される場合には、前記ヒータ部による加熱時間を延長し、前記加熱時間の延長後における前記電気的特性が加熱停止条件を満たすまで前記加熱時間の延長を続け、予め定められた延長時間後における前記電気的特性が前記加熱停止条件を満たさないと判定された場合には、前記検出対象ガスが検出されたと判断する、
ガス検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス警報器およびガス検出方法に関する。
【0002】
ガスを検知するときにヒータ層をパルス駆動するガス警報器が知られている。メタンガス等の出力応答特性の遅いガスを検出する場合に、加熱時間を延長して、ガス濃度の検出を継続するガス検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開平10−283583号公報
【解決しようとする課題】
【0003】
検出対象ガスが存在しない場合であっても、検出対象ガス以外のガスが存在すると、センサの電気的特性が変化する場合がある。存在するガスが検出対象ガスか否かの判別を容易にするために加熱時間を長く延長すると、消費電力が大きくなる。
【0004】
ガス警報器においては、検出対象ガスを非検出対象ガスと区別して検出することができるとともに、消費電力を低減することが望ましい。
【一般的開示】
【0005】
本発明の第1の態様においては、ガス警報器を提供する。ガス警報器は、ガスセンサを備えてよい。ガスセンサは、感知部とヒータ部とを含んでよい。感知部は、検出対象ガスとの接触により電気的特性が変化してよい。ヒータ部は、感知部を加熱してよい。ガス警報器は、ガス検出部を備えてよい。ガス検出部は、感知部の電気的特性に基づいて検出対象ガスを検出してよい。ガス警報器は、加熱制御部を備えてよい。加熱制御部は、ヒータ部による加熱を制御してよい。ガス警報器は、第1判定部を備えてよい。第1判定部は、感知部の電気的特性が第1条件を満たすか否かを判定してよい。ガス警報器は、第2判定部を備えてよい。第2判定部は、感知部の電気的特性が第2条件を満たすか否かを判定してよい。加熱制御部は、第1判定部によって電気的特性が第1条件を満たすと判定される場合には、ヒータ部による加熱時間を延長してよい。加熱制御部は、第1判定部によって電気的特性が加熱延長開始条件を満たすと判定される場合に、加熱時間の延長後における電気的特性が第2条件を満たすか否かについての第2判定部による判定結果に応じて、ヒータ部による加熱時間の延長を続けてよい。延長時間における電気的特性に応じて、ガス検出部は、検出対象ガスが検出されたと判断してよい。
【0006】
第1条件は、加熱延長開始条件であってよい。第2条件は、加熱停止条件であってよい。第1判定部は、感知部の電気的特性が加熱延長開始条件を満たすか否かを判定してよい。第2判定部は、感知部の電気的特性が加熱停止条件を満たすか否かを判定してよい。加熱制御部は、第1判定部によって電気的特性が加熱延長開始条件を満たすと判定される場合には、ヒータ部による加熱時間を延長してよい。加熱制御部は、第1判定部によって電気的特性が加熱延長開始条件を満たすと判定される場合に、第2判定部によって、加熱時間の延長後における電気的特性が加熱停止条件を満たすと判定されるまで加熱時間の延長を続けてよい。第2判定部によって、予め定められた延長時間後における電気的特性が加熱停止条件を満たさないと判定された場合には、ガス検出部は、検出対象ガスが検出されたと判断してよい。
【0007】
第1条件は、加熱延長開始条件であってよい。第2条件は、加熱繰り返し条件であってよい。第1判定部は、感知部の電気的特性が加熱延長開始条件を満たすか否かを判定してよい。第2判定部は、感知部の電気的特性が加熱繰り返し条件を満たすか否かを判定してよい。加熱制御部は、第1判定部によって電気的特性が加熱延長開始条件を満たすと判定される場合には、ヒータ部による加熱時間を延長してよい。加熱制御部は、第1判定部によって電気的特性が加熱延長開始条件を満たすと判定される場合には、第2判定部によって、加熱時間の延長後における電気的特性が加熱繰り返し条件を満たすと判定される限り、加熱時間の延長と、第2判定部による判定を繰り返してよい。第2判定部によって加熱時間の延長後における電気的特性が加熱繰り返し条件を満たすと判定された場合には、ガス検出部は、検出対象ガスが検出されたと判断してよい。
【0008】
加熱制御部は、第2判定部によって、加熱時間の延長後における電気的特性が加熱繰り返し条件を満たすと判定される限り、予め定められた回数を上限として、加熱時間の延長と、第2判定部による判定を繰り返してよい。加熱制御部は、第2判定部によって、加熱時間の延長後における電気的特性が加熱繰り返し条件を満たすと判定される限り、予め定められた駆動時間を上限として、加熱時間の延長と、第2判定部による判定を繰り返してよい。
【0009】
ヒータ部は、印加される電圧に応じて温度が変化してよい。第1判定部による判定と、第2判定部による判定とは、ヒータ部に同一電圧を印加した状態で行ってよい。
【0010】
加熱延長開始条件と加熱繰り返し条件とは同じ条件であってよい。感知部の電気的特性は、感知部の電気抵抗値であってよい。加熱制御部は、第1判定部によって電気抵抗値が閾値以下であると判定された場合に、ヒータ部による加熱時間を延長してよい。加熱制御部は、第1判定部によって電気抵抗値が閾値以下であると判定された場合に、第2判定部によって、加熱時間の延長後における電気抵抗値が閾値以下であると判定される限り、予め定められた回数または予め定められた駆動時間を上限として、加熱時間の延長と、第2判定部による判定を繰り返してよい。上限の回数または上限の駆動時間にわたって加熱時間の延長が繰り返された後においても、第2判定部によって加熱時間の延長後における電気抵抗値が閾値以下であると判定された場合には、ガス検出部は、検出対象ガスが検出されたと判断してよい。
【0011】
加熱制御部は、加熱時間の延長後における電気抵抗値が閾値を超えると第2判定部によって判定される場合、ヒータ部による加熱を停止してよい。
【0012】
ガス警報器は、閾値設定部を更に備えてよい。閾値設定部は、ヒータ部による感知部の加熱開始後の感知部の電気的特性の変化率、または、2以上の時点における感知部の電気的特性によって閾値を設定してよい。
【0013】
加熱延長開始条件と加熱繰り返し条件とは異なる条件であってよい。加熱制御部は、第1判定部によって電気抵抗値が第1閾値以下であると判定された場合に、ヒータ部による加熱時間を延長してよい。加熱制御部は、第1判定部によって電気抵抗値が第1閾値以下であると判定された場合に、第2判定部によって加熱時間の延長後における電気抵抗値が、第1閾値より低い第2閾値以下であると判定される限り、予め定められた回数または予め定められた駆動時間を上限として、加熱時間の延長と、第2判定部による判定を繰り返してよい。上限の回数または上限の駆動時間にわたって加熱時間の延長が繰り返された後においても、第2判定部によって、加熱時間の延長後における電気抵抗値が第2閾値以下であると判定された場合には、ガス検出部は、検出対象ガスが検出されたと判断してよい。
【0014】
加熱制御部は、第1判定部によって電気抵抗値が第1閾値以下であると判定された場合に、ヒータ部による加熱時間を延長してよい。加熱制御部は、前記加熱時間の延長後における電気抵抗値が、第1閾値より低い第2閾値を超えると第2判定部によって判定される場合、ヒータ部による加熱を停止してよい。電気抵抗値が第2閾値を超えるか否かは即時に想定されてよい。設定された加熱延長時間に比べて短い時間周期で感知部の電気抵抗値が抽出されて、第2閾値と比較されてよい。電気抵抗値が第2閾値を超えると判定される場合は、加熱時間が延長されている途中であっても、ヒータ部による加熱が即座に中止されてよい。
【0015】
ガス警報器は、閾値設定部を更に備えてよい。閾値設定部は、ヒータ部による感知部の加熱開始後の感知部の電気的特性の変化率によって、第1閾値及び第2閾値の少なくとも一方を設定してよい。閾値設定部は、2以上の時点における感知部の電気的特性によって、第1閾値及び第2閾値の少なくとも一方を設定してよい。
【0016】
ガス警報器は、延長時間設定部を更に備えてよい。延長時間設定部は、ヒータ部による感知部の加熱開始後の感知部の電気的特性の変化率によって、加熱時間を延長する延長時間を設定してよい。延長時間設定部は、2以上の時点における感知部の電気的特性によって、加熱時間を延長する延長時間を設定してよい。加熱延長回数に応じて第2閾値を変化させてよい。加熱時間延長後の電気抵抗値と第2閾値の差分が予め定められた値より小さい場合には、加熱延長時間が前回の加熱延長時間より短く設定してよい。
【0017】
加熱制御部は、第1判定部によって電気抵抗値が第1閾値以下であると判定された場合に、ヒータ部による加熱時間を延長してよい。加熱制御部は、第1判定部によって電気抵抗値が第1閾値以下であると判定された場合に、第2判定部によって、加熱時間の延長後における連続する2つの時点での電気抵抗値が増加傾向を示すと判定される限り、予め定められた延長回数または予め定められた駆動時間を上限として、加熱時間の延長を続けてよい。特に、加熱制御部は、加熱時間の延長後における連続する2つの時点での電気抵抗値が増加傾向を示すと判定される限り、予め定められた延長回数または予め定められた駆動時間を上限として、加熱時間の延長と、第2判定部による判定を繰り返してよい。上限の延長回数または上限の駆動時間にわたって加熱時間の延長が続けられた後においても、第2判定部によって、加熱時間の延長後における連続する2つの時点での電気抵抗値が増加傾向を示すと判定された場合には、さらに第2判定部は、加熱時間の延長後の最後に取得された電気抵抗値が、第2閾値以下であるか判定してよい。最後に取得された電気抵抗値が第2閾値以下であると判定された場合には、ガス検出部は、検出対象ガスが検出されたと判断してよい。第2閾値は、第1閾値より低くてよい。
【0018】
加熱制御部は、ヒータ部による感知部の加熱開始後の感知部の電気的特性の変化率が、予め定められた関係を満たすと判断される場合に、ヒータ部による加熱時間を延長してよい。加熱制御部は、ヒータ部による感知部の加熱開始後の2以上の時点で取得された感知部の電気的特性が、予め定められた関係を満たすと判断される場合に、ヒータ部による加熱時間を延長してよい。加熱制御部は、ヒータ部による感知部の加熱開始後の感知部の電気的特性の変化率、または、2以上の時点で取得された電気的特性が、予め定められた関係を満たすと判断される場合に、第2判定部によって加熱時間の延長後における電気的特性が第2条件を満たす限り、予め定められた延長回数または予め定められた駆動時間を上限として、前加熱時間の延長を続けてよい。加熱制御部は、ヒータ部による感知部の加熱開始後の感知部の電気的特性の変化率、または、2以上の時点で取得された電気的特性が、予め定められた関係を満たすと判断される場合に、第2判定部によって加熱時間の延長後における電気的特性が第2条件を満たす限り、予め定められた延長回数または予め定められた駆動時間を上限として、加熱時間の延長と、第2判定部による判定を繰り返してよい。
【0019】
本発明の第2の態様においては、ガスセンサを備えるガス警報器を用いたガス検出方法を提供する。ガスセンサは、感知部を備えてよい。感知部は、検出対象ガスとの接触により電気的特性が変化してよい。ガスセンサは、ヒータ部を備えてよい。ヒータ部は、感知部を加熱してよい。電気的特性が加熱延長開始条件を満たすと判定される場合には、ヒータ部による加熱時間を延長してよい。電気的特性が加熱延長開始条件を満たすと判定される場合には、加熱時間の延長後における電気的特性が加熱繰り返し条件を満たす限り、加熱時間の延長と、加熱時間の延長後における電気的特性が加熱繰り返し条件を満たすか否かについての判定を繰り返してよい。加熱時間の延長後における電気的特性が加熱繰り返し条件を満たすと判定された場合には、検出対象ガスが検出されたと判断してよい。
【0020】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態のガス警報器1の概略を示す図である。
図2】ガスセンサ100の概略構成を示す断面図である。
図3】制御部200の概略を示す図である。
図4】各種雰囲気でのヒータ加熱時間とセンサの電気抵抗値との関係を示す図である。
図5】第1実施形態のガス警報器1におけるセンサの電気抵抗値と第1閾値及び第2閾値との関係を示す図である。
図6】第1実施形態のガス警報器1による処理の一例を示すフローチャートである。
図7】本発明の第2実施形態のガス警報器1における制御部200の概略を示す図である。
図8】抵抗比率と設定される閾値との関係の一例を示す図である。
図9】第2実施形態のガス警報器1による閾値設定処理の一例を示すフローチャートである。
図10】抵抗比率と設定される延長時間との関係の一例を示す図である。
図11】第2実施形態のガス警報器1による延長時間設定処理の一例を示す図である。
図12】第3実施形態のガス警報器1による処理の一例を示すフローチャートである。
図13】第3実施形態における処理を説明する図である。
図14】第4実施形態のガス警報器1による処理の一例を示すフローチャートである。
図15】第5実施形態のガス警報器1による処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態のガス警報器1の概略を示す図である。本例のガス警報器1は、検出対象ガスを検出した場合に警報を発報する。検出対象ガスは、可燃性ガスであってよい。検出対象ガスは、メタンを主成分とする都市ガスであってよく、プロパンおよびブタンを主成分とするLPガスであってもよい。また、ガス警報器1は、CO(一酸化炭素)の検知機能が搭載されていてもよい。この場合は、COも、検出対象ガスに含まれる。
【0024】
ガス警報器1は、ガスセンサ100、制御部200、電源300、表示部400、警報発生部500、及び外部インタフェース600を備える。ガスセンサ100は、検出対象ガスの有無を検出する。ガスセンサ100は、ガス警報器1が設置されている雰囲気中の検出対象ガスを検出する。本例のガス警報器1は、検出対象ガス以外のガス(非検出対象ガス)が存在する場合であっても、センサの加熱時間を延長する回数または時間を適宜に変更することで、必要以上に加熱時間が延長されるのを防止して、消費電力を抑える。
【0025】
制御部200は、マイクロコンピュータであってよい。制御部200は、CPU及び周辺回路を備えてよい。制御部200は、ガスセンサ100、表示部400、警報発生部500、及び外部インタフェース600と接続されており、これらの各部を制御する。
【0026】
電源300は、ガスセンサ100及び制御部200と接続されている。電源300は、ガスセンサ100及び制御部200に電力を供給する。電源300は、例えば、電池である。電池は、一次電池または二次電池であってよい。但し、電源300は、電池の場合に限られず、AC100V等の商用電源と定電圧回路とにより構成されてもよい。
【0027】
表示部400は、制御部200と接続されている。表示部400は、ガスセンサ100により検出対象ガスが検出された場合に、検出結果の情報を表示する。検出結果の情報には、検出対象ガスの種類及び濃度が含まれてよい。警報発生部500は、制御部200と接続されている。警報発生部500は、ガスセンサ100により検出対象ガスが検出された場合に、警報音を発する。警報発生部500は、ガス警報器1の異常を検知した場合にも、警報音を発してよい。
【0028】
外部インタフェース600は、制御部200と接続されている。外部インタフェース600は、ガスセンサ100により検出対象ガスが検出された場合に、予め定められた電圧等の電気信号を外部に出力する。
【0029】
図2は、ガスセンサ100の概略構成を示す断面図である。本例のガスセンサ100は、薄膜マイクロセンサである。本例のガスセンサ100は、シリコン基板20と、熱絶縁支持層25と、ヒータ部として機能するヒータ層30と、電気絶縁層40と、ガス検知層50とを備える。シリコン基板20には、貫通孔21が設けられている。ガス検知層50は、接合層51と、ガス検知層電極52と、感知部53と、選択燃焼層54とを備えている。
【0030】
感知部53は、例えば、SnO、In、WO、ZnO、TiO等の金属酸化物を主成分とするセンサ抵抗として形成される。感知部53の電気的特性は、検出対象ガスとの接触により変化する。具体的には、感知部53が検出対象ガスと接触することにより、感知部53の電気的特性として電気抵抗値が変化する。ヒータ層30は、感知部53を加熱する。ヒータ層30によって、感知部53を加熱したときの感知部53の電気抵抗値を用いて検出対象ガスが検出される。
【0031】
選択燃焼層54は、例えば、Pd、PdO、及びPt等の少なくとも一種の触媒を担持した焼結体である。一例において、選択燃焼層54は、触媒担持Al焼結体であり、Cr、Fe、Ni、ZrO、SiO、ゼオライト等の金属酸化物を主成分として形成されてもよい。シリコン基板20はシリコンウェハーから構成される。
【0032】
メタン(CH)センサのようなガスセンサ100の設置環境の雰囲気において、検出対象ガスと、非検出対象ガスとが存在し得る。非検出対象ガスとしては、酸素、窒素、炭酸ガス、水蒸気、及び低沸点の炭化水素系ガスなどのガス種が共存し得る。非検出対象ガスには、劣化原因ガスと、干渉ガスとが含まれる。劣化原因ガスは、ガスセンサ100にとって特性劣化を引き起こすガス種である。干渉ガスとは、ガスセンサ100の感知部53の電気抵抗値を変動させて、あたかも検出対象ガスが存在するかのように誤検出を誘発するガス種である。
【0033】
選択燃焼層54は、低沸点の炭化水素系ガス、例えば、アルコール等の揮発性有機化合物(VOC)を選択的に燃焼することによってガスセンサ100の出力への影響を低減している。また、ガスセンサ100へのガス導入口に活性炭吸着層を設けて、劣化原因ガスを吸着除去している。しかしながら、ガスセンサ100の設置環境によっては、干渉ガス及び劣化原因ガスを除去しきれない場合がある。例えば、活性炭吸着層に吸着した低沸点の炭化水素系ガスが、吸着してからの時間経過及び周囲環境の変化によって脱離及び再放出され、ガスセンサ100のパッケージ内に、再放出された炭化水素系ガスが高濃度に存在する状態が発生し得る。
【0034】
本例のガス警報器1は、非検出対象ガスを選択燃焼層54で除去しきれずに、感知部53の電気抵抗値が影響を受ける場合であっても、検出対象ガスを検出対象ガス以外のガスと区別して検出することができるとともに、消費電力を低減することができるように制御する。
【0035】
図3は、制御部200の概略を示す図である。制御部200は、ガス検出部2、加熱制御部4、第1判定部6、第2判定部8、及び記憶部10を備える。したがって、本例のガス警報器1は、これら各部を備えている。制御部200は、表示制御部12、警報制御部14、及び出力制御部16を備えてよい。表示制御部12は、ガス検出部2から入力される信号に基づいて表示部400が検出結果を表示するように制御する。警報制御部14は、ガス検出部2から入力される信号に基づいて、警報発生部500が警報音を発するように制御する。出力制御部16は、ガス検出部2から入力される信号に基づいて、外部インタフェース600が検出内容に応じた電圧等の電気信号を出力するように制御する。制御部200の各部の機能は、マイクロコンピュータ及び記憶素子で実現されてよい。
【0036】
ガス検出部2は、ガスセンサ100の感知部53の電気的特性に基づいて検出対象ガスを検出する。ガス検出部2は、感知部53の電気的特性としての電気抵抗値に基づいて検出対象ガスを検出してよい。加熱制御部4は、ヒータ層30による加熱を制御する。第1判定部6は、感知部53の電気的特性が第1条件を満たすか否かを判定する。第1条件は、加熱延長開始条件であってよい。第1判定部6は、感知部53の電気的特性が加熱延長開始条件を満たすか否かを判定してよい。第2判定部8は、感知部53の電気的特性が第2条件を満たすか否かを判定してよい。第2条件は、例えば、加熱繰り返し条件である。第2判定部8は、加熱繰り返し条件を満たすか否かを判定してよい。記憶部10は、各種の判定に用いられる加熱延長開始条件及び加熱繰り返し条件を記憶してよい。例えば、記憶部10は、各種の判定に用いられる閾値を記憶する。また、記憶部10は、ガス警報器1が警報を発したときの履歴を履歴データとして記憶してもよい。記憶部10は、加熱時間を延長した履歴についても加熱時間延長履歴データとして記憶してよい。
【0037】
本例のガスセンサ100においては、予め定められた周期Tにおいて、ガスを検知するときのみヒータ層30がパルス駆動される。すなわち、加熱制御部4は、一定のパルス幅の時間において、ヒータ層30に電圧を印加する。本例のガスセンサ100においては、加熱制御部4は、30秒以上60秒以下の周期Tにおいて、50m秒以上500m秒以下のパルス幅でヒータ層30をパルス駆動して、ヒータ層30の温度を400°C以上500°C以下まで上昇させる。
【0038】
加熱制御部4は、第1判定部6によって感知部53の電気的特性が加熱延長開始条件を満たすと判断される場合、ヒータ層30による加熱時間を延長する。本例のように、ガスを検出するときのみヒータ層30をパルス駆動して、残りの時間を休止させる間欠駆動型のガス警報器1の場合には、ヒータ層30をパルス駆動している駆動時間が加熱時間である。そして、加熱制御部4は、第1判定部6によって感知部53の電気的特性が加熱延長開始条件を満たすと判定される場合には、ヒータ層30による加熱時間を延長してよい。加熱制御部4は、加熱時間の延長後における感知部53の電気的特性が第2条件を満たすか否かについての第2判定部8による判定結果に応じて、ヒータ層30による加熱時間の延長を続けてよい。ガス検出部2は、延長時間後における感知部53の電気的特性に応じて、検出対象ガスが検出されたと判断してよい。本例において、加熱制御部4は、第2判定部8によって電気的特性が加熱繰り返し条件を満たすと判定される限り、加熱時間の延長と、第2判定部8による判定を繰り返す。加熱制御部4は、第2判定部8によって電気的特性が加熱繰り返し条件を満たすと判定される限り、予め定められた回数または予め定められた駆動時間を上限として、加熱時間の延長と、第2判定部8による判定を繰り返してよい。
【0039】
上限の回数または上限の駆動時間にわたって加熱時間の延長が繰り返された後においても、第2判定部8によって電気的特性が加熱繰り返し条件を満たすと判定された場合には、ガス検出部2は、検出対象ガスが検出されたと判断する、本例では、加熱延長開始条件と加熱繰り返し条件とは異なる条件である。本例では、加熱延長開始条件として、感知部53の電気抵抗値が第1閾値以下であることが定められている。一方、加熱繰り返し条件として、感知部53の電気抵抗値が第1閾値より低い第2閾値以下であることが定められている。第2閾値は、検出対象のメタン等のガス警報濃度の下限に相当する値であってよい。第2閾値は、警報を発するか否かの判定するための警報判定閾値であってよい。第1閾値は、警報判定閾値より高い抵抗値に設定されてよい。
【0040】
なお、加熱制御部4は、感知部53の電気抵抗値が第2閾値を超える場合には、加熱停止条件を満たすとして、加熱を中止するように制御してもよい。加熱停止条件は、第2条件の一例であってよい。この場合は、第2判定部8は、感知部53の電気的特性が加熱停止条件を満たすか否かを判定する。記憶部10は、各種の判定に用いられる加熱停止条件を記憶してよい。加熱制御部4は、第1判定部6によって感知部53の電気的特性が加熱延長開始条件を満たすと判断される場合、ヒータ層30による加熱時間を延長する。
【0041】
そして、加熱制御部4は、第1判定部6によって感知部53の電気的特性が加熱延長開始条件を満たすと判定される場合には、第2判定部8によって、加熱時間の延長後における電気的特性が加熱停止条件を満たすと判定されるまで加熱時間の延長を続け、予め定められた延長時間後における電気的特性が加熱停止条件を満たさないと判定された場合には、ガス検出部2は、検出対象ガスが検出されたと判断してよい。
【0042】
加熱停止条件として、感知部53の電気抵抗値が第2閾値を超えることが定められてよい。この場合、加熱制御部4は、第1判定部6によって電気抵抗値が第1閾値以下であると判定された場合に、ヒータ層30による加熱時間を延長し、第2判定部8によって加熱時間の延長後における電気抵抗値が、第2閾値を超えるまで加熱時間の延長を続け、予め定められた延長時間後における感知部53の電気抵抗値が第2閾値を超えないと判定された場合に、ガス検出部2は、検出対象ガスが検出されたと判断してよい。
【0043】
制御部200は、加熱停止条件を満たすか否かについて、リアルタイムに測定および判断してよい。感知部53の電気抵抗値が第2閾値を超えるか否かが即時に測定されてよい。ここで、リアルタイムの測定には、設定された加熱延長時間に比べて短い時間周期で感知部53の電気抵抗値を抽出する場合が含まれる。一例として、制御部200が、マイクロコンピュータの仕様によって定められる最短サンプリング時間で感知部53の電気抵抗値を抽出して、第2閾値と比較してよい。これに代えて、第2判定部8は感知部53の電気抵抗値と第2閾値との比較のためにコンパレータを用いてもよい。この場合、コンパレータが、電気抵抗値に応じた電流値または電圧値と第2閾値に応じた電流値または電圧値とを比較する。コンパレータは、感知部53の電気抵抗値が第2閾値を超えたときに出力信号を切り替える。
【0044】
このような構成によれば、一旦、加熱延長時間が認められて加熱時間が延長されている途中であっても、加熱停止条件を満たす場合には、即座に、加熱が中断される。感知部53の電気抵抗値が第2閾値を超える場合には、検出対象ガスが存在しないと判断できるので、もはや加熱を継続する必要がない。したがって、即座に加熱を打ち切ることによって、省電力化を実現することができる。
【0045】
図4は、各種雰囲気でのヒータ加熱時間とセンサの電気抵抗値との関係を示す図である。具体的には、図4は、500m秒のパルス幅でヒータ層30を駆動して感知部53を加熱した場合における感知部53の電気抵抗値の変化を示している。図4では、検出対象ガスがメタンであり、非検出対象ガスがアルコールである。一例において、感知部53が350°C以上450°C以下に加熱されてよく、特に、感知部53が400°C程度に加熱されてよい。
【0046】
メタン雰囲気の場合、感知部53の電気抵抗値が極小値を示す温度は、400°C程度である。このため、図4に示されるとおり、検知対象ガスであるメタン雰囲気の場合には、ヒータ層30の通電時における加熱時間と、感知部53の電気抵抗値との関係において、時間が経過するにつれて感知部53の温度が400°Cに近づくので電気抵抗値が漸次減少し、所定の値に近づいて安定化する軌跡を描く。一方、非検出対象ガスの場合には、感知部53の電気抵抗値が極小値を示す温度は、400°Cより低い。このため非検出対象ガス雰囲気では、後述するように、ヒータ層30への通電時における通電時間と電気抵抗値との関係において、時間が経過するにつれ電気抵抗値が漸次減少し、所定の極小値を経て緩やかに増加に転じる軌跡を描く。例えば、加熱開始後0m秒以上40m秒の範囲では、加熱時間の増加に伴って、感知部53の電気抵抗値が減少する。加熱開始後40m秒以上500m秒の範囲では、加熱時間の増加に伴って、感知部53の電気抵抗が増加する。一例において、感知部53の電気抵抗値は、加熱開始後20m秒以上40m秒の範囲の何れかの時点において極小値を持つ。
【0047】
特に、高濃度のアルコール雰囲気における感知部53の電気抵抗値は、加熱開始後の所定の時間の間、検出対象ガスであるメタン雰囲気における感知部53の電気抵抗値を下回っている。しかしながら、図4に示される例においては、ヒータ層30をパルス駆動している通電時間である加熱時間を延長することによって、非検出対象ガス雰囲気における感知部53の電気抵抗値を増加させることができる。一方、検出対象ガス雰囲気の場合には、加熱時間を延長しても、感知部53の電気抵抗値は、それほど増加しない。このように、検出対象ガス雰囲気と被検出対象ガス雰囲気とでは、加熱開始後の時間に応じた電気的特性の変化の違いがある。したがって、加熱時間を延長することで、検出対象ガスを非検出対象ガスと区別して検出することができる。
【0048】
アルコール等の非検出対象ガスのセンサ近傍濃度が高いほど、アルコール等の雰囲気中での感知部53の電気抵抗値が増加するまでに必要な加熱時間が長くなる。したがって、検知対象ガス(メタン)とアルコール等の揮発性有機化合物との区別が可能になるまでの加熱時間が長くなる。本ガスセンサ構成によれば、フィルタでの拡散制限と、選択燃焼層54での燃焼反応がバランスすることによって、アルコール等の揮発性有機化合物のセンサ近傍濃度が最大400ppm程度となることを見出した。そして、センサ近傍濃度が最大400ppm程度の場合には、500m秒の加熱時間であれば、検知対象ガス(メタン)とアルコール等の揮発性有機化合物との区別が可能であることが見出された。ここで、フィルタは、ガスセンサ100が設けられるキャップの開口部に設けられる活性炭吸着層であってよい。選択燃焼層54は、ガスセンサ100に設けられるセンサ触媒層である。センサ近傍濃度は、ガスセンサ100が設けられるキャップの内部空間における濃度である。
【0049】
図5は、第1実施形態のガス警報器1におけるセンサの電気抵抗値と第1閾値及び第2閾値との関係を示す図である。図5の横軸は、パルス駆動している通電時間である加熱時間を示す。本例では、ヒータ層30による加熱時間の初期値は100m秒であり、100m秒単位で加熱時間を延長し、延長回数の上限は4回であるとする。
【0050】
図5には、非検出ガスの特性のサンプルが4つ(A1、A2、A3、A4)と、検出対象ガスの特性のサンプルが1つ(B1)が示されている。加熱制御部4は、常時駆動として、100m秒のパルス幅でヒータ層30を駆動して感知部53を加熱する。ガス検出部2は、加熱開始から100m秒経過後の時点、すなわち、パルス駆動の最終時点における感知部53の電気抵抗値R100を取得してよい。但し、ガス検出部2は、この場合に限られず、加熱開始後の任意に定められた時点での感知部53の電気抵抗値を第1閾値との比較対象として検出してよい。第1判定部6は、電気抵抗値R100が第1閾値以下であるかを判定する。加熱制御部4は、第1判定部6によって電気抵抗値R100が第1閾値以下であると判定された場合に、ヒータ層30による加熱時間を100m秒から200m秒に延長する。
【0051】
図5の例では、サンプル(A1)は、電気抵抗値R100が第1閾値より大きいので、加熱延長開始条件を満たさないため、延長されない。一方、サンプル(A2、A3、A4)及びサンプル(B1)は、電気抵抗値R100が第1閾値以下なので、加熱延長開始条件を満たすため、加熱時間が100m秒から200m秒に延長される。
【0052】
加熱制御部4は、第1判定部6によって電気抵抗値R100が第1閾値以下であると判定された場合に、第2判定部8によって、加熱時間の延長後における電気抵抗値が第2閾値以下であると判定される限り、予め定められた回数を上限として、加熱時間の延長と、第2判定部8による判定を繰り返す。加熱時間の延長後における電気抵抗値は、延長された加熱時間である200m秒の最終時点における電気抵抗値R200であってよく、その他の任意の時点での電気抵抗値であってもよい。
【0053】
図5の例では、サンプル(A2、A3、A4、及びB1)は、100m秒から200m秒に延長された後の延長加熱時における電気抵抗値、例えば、加熱開始後200m秒後の電気抵抗値R200が、第2閾値以下であるので、再度、加熱時間が100m秒だけ延長されて、加熱時間が200m秒から300m秒に延長される。サンプル(A2)は、300m秒に延長された後の延長加熱時における感知部53の電気抵抗値、例えば、加熱開始後300m秒後の電気抵抗値R300が、第2閾値より大きい。したがって、サンプル(A2)における感知部53の電気抵抗値の低下は、非対象ガスによる一時的な影響にすぎないと判断され、加熱時間は300m秒から400m秒へと延長されない。
【0054】
但し、例えば、サンプル(A2)に関して、必ずしも、加熱開始後300m秒後を待って、感知部53の電気抵抗値が第2閾値より大きいか否かを判断する必要はない。例えば、サンプル(A2)について、感知部53の電気抵抗値が第2閾値より大きいか否かについて、リアルタイムに測定および判断してよい。リアルタイムの測定によって、感知部53の電気抵抗値が第2閾値より大きいと判断される場合には、加熱時間が300m秒まで延長されている途中であっても、即時に加熱を中断することができる。図5に示される場合、サンプル(A2)については、リアルタイムの測定によれば、加熱開始後220m秒の時点で、感知部53の電気抵抗値が第2閾値より大きくなる。したがって、加熱開始後300m秒まで延長を継続することなく、加熱開始後220m秒の時点で即時に加熱を中断することができる。これにより、さらに省電力化を達成することができる。
【0055】
サンプル(A3)については、300m秒に延長された後の延長加熱時における感知部53の電気抵抗値、例えばR400が、第2閾値より大きいと判定されるので、加熱制御部4は、加熱時間を400m秒から500m秒へと延長しない。
【0056】
サンプル(A4)及びサンプル(B1)については、加熱時間が100m秒から上限となる4回の延長を得て500m秒まで延長される。上限となる回数にわたって加熱時間の延長が繰り返された後においても、第2判定部8によって、加熱時間の延長後における電気抵抗値が加熱繰り返し条件を満たすか判定される。本例では、加熱時間の延長後における電気抵抗値が第2閾値以下であるかが判定される。上限の回数にわたって加熱時間の延長が繰り返された後においても、第2判定部8によって、加熱時間の延長後における電気抵抗値が第2閾値以下であると判定された場合には、ガス検出部2は、検出対象ガスが検出されたと判断する。一方、上限の回数にわたって加熱時間の延長が繰り返された後において、電気抵抗値が第2閾値を上回った場合には、ガス検出部2は、非検出対象ガスによる影響であると判断する。
【0057】
本例では、サンプル(A4)においては、上限となる回数にわたって加熱時間の延長が繰り返された後において、加熱時間の延長後における電気抵抗値、例えば加熱開始後500m秒での電気抵抗値R500が第2閾値より大きいので、ガス検出部2は、非検出対象ガスによる影響であると判断する。一方、サンプル(B1)においては、上限となる回数にわたって加熱時間の延長が繰り返された後において、加熱時間の延長後における電気抵抗値、例えば加熱開始後500m秒での電気抵抗値R500が第2閾値以下であるので、ガス検出部2は、検出対象ガスが検出されたと判断する。
【0058】
なお、ヒータ層30は、印加される電圧に応じて温度が変化する。本例では、第1判定部6による判定と、第2判定部8による判定とは、ヒータ層30に同一電圧を印加した状態で行う。したがって、第1判定部6による判定と、第2判定部8による判定とを異なる温度で実行する場合と比べて温度制御が簡略化できる。
【0059】
本例においては、加熱時間の初期値が100m秒であり、加熱時間を100m秒ずつ延長する場合であって、延長回数の上限が4回であったが、本例のガス警報器1は、これらの場合に限られない。また、延長回数の上限に代えて、駆動時間の上限を用いて制御してもよい。ここで、駆動時間の上限とは、加熱時間の初期値に最終的な延長時間を合算した時間の上限を意味する。加熱時間の初期値、延長時間、及び延長回数または駆動時間の上限についての情報は、予め記憶部10に記憶されてよい。本例では、第2閾値として一定の値が用いられる場合を説明したが、延長回数に応じて第2閾値を変化させてもよい。この場合は、延長回数に応じて第2閾値が予め定められる。また、加熱時間延長後の電気抵抗値を取得し、抵抗値と第2閾値を比べて差分が大きければ、延長時間を前回の延長時間より長く設定し、抵抗値と第2閾値の差分が小さければ、延長時間を前回の延長時間より短く設定することもできる。延長時間を任意に設定することで消費電力を抑えることが可能である。例えば、図5において、サンプル(A2)の加熱開始後200m秒後の電気抵抗値R200がR(A2)であり、サンプル(A3)の加熱開始後200m秒後の電気抵抗値R200がR(A3)である場合、R(A2)と第2閾値との差分が予め定められた値より小さい場合には、延長時間を前回の延長時間より短く設定することもできる。R(A3)と第2閾値との差分が予め定められた値より大きい場合には、延長時間を前回の延長時間より長く設定することもできる。
【0060】
図6は、第1実施形態のガス警報器1による処理の一例を示すフローチャートである。図6は、検出対象ガスとの接触により電気的特性が変化する感知部53と、感知部53を加熱するヒータ層30と、を含むガスセンサ100を備えるガス警報器1を用いたガス検出方法を説明する。
【0061】
加熱制御部4は、ヒータ層30を通常駆動する(ステップS101)。例えば、加熱制御部4は、45秒の周期Tにおいて、100m秒のパルス幅でヒータ層30をパルス駆動して、ヒータ層30の温度が400°C以上500°C以下である高温領域に含まれるようにする。加熱制御部4は、残りの時間においてヒータ層30の駆動を休止する(OFF)。しかし、通常駆動は、このようなHigh−OFF方式の場合に限られない。一酸化炭素についても検出する場合には、ヒータ層30の温度を、高温領域とした後に、100°C程度の低温領域に降温してから、ヒータ層30の駆動を休止するHigh−Low−Off駆動が採用されてよい。また、ヒータ層30の温度を、高温領域とした後に、ヒータ層30の駆動を休止し、その後に、ヒータ層30の温度を低温領域とした後に、ヒータ層30の駆動を休止するHigh−Off−Low−Off駆動が採用されてもよい。
【0062】
ガス検出部2は、検知時におけるガスセンサ100の感知部53の電気抵抗値を取得する(ステップS102)。例えば、ガス検出部2は、パルス駆動の最終時点における感知部53の電気抵抗値を取得する。但し、検知時は、この場合に限られず、任意の時点であってよい。第1判定部6は、取得された電気抵抗値が第1閾値以下であるか判定する(ステップS103)。ステップS103の処理は、感知部53の電気的特性が加熱延長開始条件を満たすか否かを判定する処理の一例である。取得された電気抵抗値が第1閾値より大きいと判定される場合には(ステップS103:NO)、加熱時間を延長することなく、処理がステップS101に戻る。
【0063】
一方、取得された電気抵抗値が第1閾値以下であると判定される場合には(ステップS103:YES)、第1判定部6によって電気的特性が加熱延長開始条件を満たす場合に相当する。したがって、加熱制御部4は、加熱時間を延長する(ステップS104)。例えば、加熱制御部4は、加熱時間を初期値の100m秒から更に100m秒分延長して、加熱時間を200m秒に延長する。第1閾値を警報判定閾値に比べて高く設定しておくことで、感知部53の電気的特性が警報判定閾値以下とまでは言えないが、ある程度の電気的特性の変動が現れる場合に、加熱時間を延長して慎重な判断を実行することができる。
【0064】
ガス検出部2は、加熱時間延長後の電気抵抗値を取得する。例えば、ガス検出部2は、延長された加熱時間の最終時点における感知部53の電気抵抗値を取得する(ステップS105)。但し、加熱時間延長後の電気抵抗値は、延長された加熱時間の最終時点における電気抵抗値に限られない。延長された加熱時間内でリアルタイムに感知部53の電気抵抗値を取得してもよい。
【0065】
第2判定部8は、ステップS105において取得された電気抵抗値が第2閾値以下であるか判定する(ステップS106)。ステップS106の処理は、加熱時間の延長後における感知部53の電気的特性が加熱繰り返し条件を満たすか否かを判定する処理の一例である。取得された電気抵抗値が第2閾値より大きいと判定される場合には(ステップS106:NO)、これ以上に加熱時間を延長することなく、処理がステップS101に戻る。したがって、ステップS106の処理は、第2判定部8によって、感知部53の電気的特性が加熱停止条件を満たすか否かを判定する処理の一例である。
【0066】
一方、取得された電気抵抗値が第2閾値以下であると判定される場合には(ステップS106:YES)、加熱制御部4は、記憶部10の履歴を参照して、既に上限回数または上限駆動時間まで延長しているかを判断する(ステップS107)。加熱時間の延長回数および駆動時間が上限に達していない場合には(ステップS107:NO)、加熱制御部4は、加熱時間を更に延長する(ステップS108)。例えば、加熱制御部4は、既に200m秒に延長されている加熱時間を更に100m秒延長して、加熱時間を300m秒とする。
【0067】
ステップS103からステップS108の処理は、電気的特性が加熱延長開始条件を満たすと判定される場合には、ヒータ層30による加熱時間を延長し、電気的特性が加熱繰り返し条件を満たす限り、予め定められた回数を上限として、加熱時間の延長と、電気的特性が加熱繰り返し条件を満たすか否かについての判定を繰り返す処理の一例に対応する。また、ステップS103からステップS108の処理は、電気的特性が加熱延長開始条件を満たすと判定される場合には、ヒータ層30による加熱時間を延長し、加熱時間の延長後における電気的特性が加熱停止条件を満たすと判定されるまで(ステップS106:NO)、加熱時間の延長を続ける処理の一例に対応する。
【0068】
既に加熱期間の延長回数および駆動時間が、上限回数または上限時間に達している場合には(ステップS107:YES)、ガス検出部2は、検出対象ガスを検出したと判断する(ステップS109)。警報制御部14は、警報発生部500に制御信号を送信する。制御信号を受けた警報発生部500は、警報を発する(ステップS109)。
【0069】
ステップS107及びステップS109の処理は、上限の回数または上限の駆動時間にわたって加熱時間の延長が繰り返された後においても、電気的特性が加熱繰り返し条件を満たすと判定された場合に検出対象ガスが検出されたと判断する処理の一例に対応する。また、ステップS107及びステップS109の処理は、予め定められた延長時間後における電気的特性が加熱停止条件を満たさないと判定された場合には、ガス検出部2は、出対象ガスが検出されたと判断する処理の一例に対応する。
【0070】
本例によれば、加熱制御部4は、必要に応じて加熱時間を延長するので、検出対象ガスを非検出対象ガスと区別して検出することができる。これにより、検出対象ガスが存在しないにもかかわらず、警報が発することが未然に防止される。
【0071】
本例によれば、加熱制御部4は、加熱時間を状況に応じて延長するか否かを決定するのみならず、加熱時間を延長する場合であっても一律の長さに延長するのではなく、状況に応じて延長回数を変更する。したがって、加熱時間を一律に長く延長する場合と比べて消費電力を低減することができる。
【0072】
以上のとおり、第1実施形態のガス警報器1においては、加熱延長開始条件として、予め定められた第1閾値を用い、加熱繰り返し条件として、予め定められた第2閾値を用いる場合を説明した。また、加熱時間を延長する延長時間として、予め定められた時間単位(例えば、100m秒)を用いて、加熱時間の延長が繰り返される場合を説明した。しかしながら、本発明は、この場合に限られない。
【0073】
図7は、本発明の第2実施形態のガス警報器1における制御部200の概略を示す図である。本例のガス警報器1は、制御部200の機能として、閾値設定部60と延長時間設定部70を備える。その他の構造は、第1実施形態のガス警報器1の場合と同様である。なお、図7の例では、ガス警報器1が、閾値設定部60と延長時間設定部70の双方を備える場合が示されているが、この場合に限れない。ガス警報器1は、閾値設定部60と延長時間設定部70のどちらか一方を備えてよい。
【0074】
閾値設定部60は、ヒータ層30による感知部53の加熱開始後の感知部53の電気的特性の変化率によって閾値を設定してよい。あるいは、閾値設定部60は、2以上の時点における感知部53の電気的特性によって、閾値を設定してよい。本例は、第1閾値及び第2閾値の双方を設定するために、第1閾値設定部62及び第2閾値設定部64を備える。第1閾値設定部62は、加熱開始後の感知部53の電気的特性の変化率によって第1閾値を設定してよい。あるいは、第1閾値設定部62は、2以上の時点における感知部53の電気的特性によって、第1閾値を設定してよい。一方、第2閾値設定部64は、加熱開始後の感知部53の電気的特性の変化率によって第2閾値を設定してよい。あるいは、第2閾値設定部64は、2以上の時点における感知部53の電気的特性によって、第2閾値を設定する。しかしながら、閾値設定部60は、この場合に限られず、第1閾値及び第2閾値の少なくとも一方を設定してもよい。
【0075】
延長時間設定部70は、ヒータ層30による感知部53の加熱開始後の感知部53の電気的特性の変化率によって、加熱時間を延長する延長時間を設定してよい。延長時間設定部70は、2以上の時点における感知部53の電気的特性によって、加熱時間を延長する延長時間を設定してよい。
【0076】
図8は、抵抗比率と設定される閾値との関係の一例を示す図である。閾値設定部60は、ヒータ層30による感知部53の加熱開始後の2以上の時点における感知部53の電気抵抗値の比率を算出する。特に、閾値設定部60は、非検出対象ガスの雰囲気において感知部53の電気抵抗値が極小値を示す時点における感知部53の電気抵抗値と、それより後の時点における感知部53の電気抵抗値との比率を算出してよい。
【0077】
本例では、加熱開始後40m秒後に感知部53の電気抵抗値が極小値を示す。閾値設定部60は、加熱開始後40m秒後の感知部53の電気抵抗値R40と、加熱開始後90m秒後の感知部53の電気抵抗値R90との比率にしたがって、第1閾値及び第2閾値の少なくとも一方の閾値を設定してよい。但し、加熱開始後40m秒後のタイミングにおける感知部53の電気抵抗値R40と加熱開始後200m秒後のタイミングにおける感知部53の電気抵抗値R200との比率であるR200/R40に対応して閾値が算出されてもよく、その他の電気抵抗比率が算出されてもよい。また、加熱開始後の2以上の時点における感知部53の電気的特性の比率を用いる代わりに、ヒータ層30による感知部53の加熱開始後の感知部53の電気的特性の変化率によって、第1閾値及び第2閾値の少なくとも一方の閾値を設定してよい。
【0078】
本例では、R90をR40で除した抵抗比率が1以下の所定の範囲に含まれる場合には、閾値が一定であってよい。抵抗比率が1を超える場合には、抵抗比率が高くなるにつれて、閾値が低くなるように設定されてよい。R90をR40で除した抵抗比率が1に比べて格段に高い場合は、極小値の付近での感知部53の電気抵抗値の落ち込みが検出対象ガス雰囲気の場合に比べて大きい場合に対応する。この場合には、非対象ガスによる影響があると考えられるため、閾値を低くする。特に、第2閾値を低く設定することによって、加熱時間が不必要に延長されることを防止することができる。
【0079】
図9は、第2実施形態のガス警報器1による閾値設定処理の一例を示すフローチャートである。ガス検出部2は、加熱開始後T1時間経過後における感知部53の電気抵抗値を取得する(ステップS201)。加熱開始後T1時間経過時は、上記のように、加熱開始後40m秒前後であってよい。更に、ガス検出部2は、加熱開始後T2時間経過後における感知部53の電気抵抗値を取得する(ステップS202)。
【0080】
閾値設定部60は、加熱開始後T1時間経過時での感知部53の電気抵抗値と、加熱開始後T2時間経過時での感知部53の電気抵抗値との電気抵抗比率(例えば、R90/R40)を算出する(ステップS203)。閾値設定部60は、算出された電気抵抗比率によって、第1閾値及び第2閾値の少なくとも一方の閾値を設定する(ステップS204)。電気抵抗比率と閾値(第1閾値及び第2閾値)との関係を示すテーブル情報または数式が記憶部10に格納されてよい。この場合、閾値設定部60は、記憶部10内に格納されたテーブル情報または数式を参照しつつ、電気抵抗比率に対応する第1閾値を設定してよい。
【0081】
図10は、抵抗比率と設定される延長時間との関係の一例を示す図である。延長時間設定部70は、ヒータ層30による感知部53の加熱開始後の2以上の時点における感知部53の電気抵抗値の比率を算出する。特に、延長時間設定部70は、非検出対象ガスの雰囲気において感知部53の電気抵抗値が極小値を示す時点における感知部53の電気抵抗値と、それより後の時点における感知部53の電気抵抗値との比率を算出してよい。
【0082】
図10に示される例では、抵抗比率(例えば、R90/R40)の値に応じて、延長時間が200m秒、300m秒、400m秒、及び500m秒という複数の候補のうちから設定される。抵抗比率(例えば、R90/R40)が大きくなるにしたがって、延長時間が長くなるように設定される。R90をR40で除した抵抗比率が1に比べて格段に高い場合は、極小値の付近での感知部53の電気抵抗値の落ち込みが検出対象ガス雰囲気の場合と比べて大きい場合に対応する。この場合には、非対象ガスによる影響があると考えられるため、延長時間を長くする。一方、抵抗比率が低い場合には、非対象ガスによる影響が小さいと考えられるため、延長時間を短く抑えて、消費電力を軽減する。また、加熱開始後の2以上の時点における感知部53の電気的特性の比率を用いる代わりに、ヒータ層30による感知部53の加熱開始後の感知部53の電気的特性の変化率によって、延長時間が設定されてもよい。
【0083】
図11は、第2実施形態のガス警報器1による延長時間設定処理の一例を示す図である。ステップS301からステップS303の処理は、図9におけるステップS201からステップS203の処理と同様である。したがって、繰り返しの説明を省略する。延長時間設定部70は、算出された電気抵抗比率によって、延長時間を設定する(ステップS304)。電気抵抗比率と延長時間との関係を示すテーブル情報または数式が記憶部10に格納されてよい。この場合、延長時間設定部70は、記憶部10内に格納されたテーブル情報または数式を参照しつつ、電気抵抗比率に対応する延長時間を設定する。
【0084】
第1判定部6によって電気的特性が加熱延長開始条件を満たすと判定される場合には、ステップS304で設定された延長時間だけ延長してよい。例えば、電気抵抗値が第1閾値以下であると判定される場合には、ステップS304で設定された延長時間だけ延長される。同様に、第2判定部8によって、加熱時間の延長後における電気的特性が加熱繰り返し条件を満たすと判定される限り、予め定められた回数を上限として加熱時間が延長される場合にも、ステップS304で設定された延長時間だけ延長してよい。延長回数の上限は、延長時間の長さに応じて変更されてよい。一回あたりの延長時間が短く設定される場合には、延長回数の上限を多くし、一回あたりの延長時間が長く設定される場合には、延長回数の上限が少なくなってよい。
【0085】
図12は、第3実施形態のガス警報器1による処理の一例を示すフローチャートである。図13は、第3実施形態における処理を説明する図である。上述した第1実施形態及び第2実施形態におけるガス警報器1では、加熱延長開始条件及び加熱繰り返し条件が、閾値との比較関係として与えられる場合を説明した。しかしながら、本発明はこれらの場合に限られない。例えば、加熱延長開始条件は、第1閾値との比較関係として与えられる一方、加熱繰り返し条件は、閾値との比較関係としてではなく、感知部53の電気抵抗値の増加傾向を示すか否かによって規定されてもよい。
【0086】
図12において、ステップS401からステップS404の処理は、図6における第1実施形態のステップS101からステップS104の処理と同様である。ガス検出部2は、加熱時間延長後の連続する2つの時点での感知部53の電気抵抗値を取得する(ステップS405)。第2判定部8は、ステップS405で取得した連続する2つの時点での電気抵抗値が増加傾向を示すかを判定する(ステップS406)。連続する2つの時点としては、加熱時間の延長前における感知部53の電気抵抗値と今回の加熱時間の延長後における感知部53の電気抵抗値とを比較してもよい。ステップS406の処理は、加熱時間の延長後における電気的特性が加熱繰り返し条件を満たすか否かを第2判定部8によって判定する処理の一例である。
【0087】
例えば、加熱時間の初期値が100m秒であり、ステップS404で100m秒から200m秒に加熱時間が延長された場合であれば、加熱開始100m秒後の感知部53の電気抵抗値R100と、加熱開始200m秒後の感知部53の電気抵抗値R200とを、連続する2つの時点での電気抵抗値とする。但し、本例の処理は、この場合に限られず、加熱時間が長くなるにしたがって感知部53の電気抵抗値が増加傾向を示すか否かを判定できる処理であればよい。
【0088】
第2判定部8が、連続する2つの時点での電気抵抗値が増加傾向を示さないと判定する場合には(ステップS406:NO)、これ以上加熱時間を延長しない。したがって、ステップS406の処理は、第2判定部8によって、感知部53の電気的特性が加熱停止条件を満たすか否かを判定する処理の一例である。連続する2つの時点での電気抵抗値が増加傾向を示さずに、減少傾向または一定を示す場合には、ガス検出部2は、検出対象ガスを検出したと判断してよい(ステップS410)。なお、連続する2つの時点での電気抵抗値が増加傾向を示さずに減少傾向または一定を示すのみで判断せずに、更に、電気抵抗値が予め定められた警報判定用の閾値以下である場合に、ガス検出部2は、検出対象ガスを検出したと判断してもよい。警報制御部14は、警報発生部500に制御信号を送信する。制御信号を受けた警報発生部500は、警報を発する(ステップS409)。
【0089】
一方、第2判定部8によって、連続する2つの時点での電気抵抗値が増加傾向を示すと判定される場合には(ステップS406:YES)、加熱制御部4は、記憶部10の履歴を参照して、既に上限回数まで延長しているかを判断する(ステップS407)。加熱時間の延長回数または駆動時間が上限に達していない場合には(ステップS407:NO)、加熱制御部4は、加熱時間を更に延長する(ステップS408)。加熱制御部4は、既に200m秒に延長されている加熱時間を更に100m秒延長して、加熱時間を300m秒としてよい。
【0090】
既に加熱期間の延長回数が、上限回数に達している場合には(ステップS407:YES)、さらに、第2判定部8は、ステップS405において加熱時間の延長後の最後に取得された電気抵抗値が第2閾値以下であるか判定する(ステップS409)。加熱時間の延長後の最後に取得された電気抵抗値が第2閾値より大きいと判定される場合には(ステップS409:NO)、これ以上、加熱時間を延長することなく、処理がステップS401に戻る。一方、加熱時間の延長後の最後に取得された電気抵抗値が第2閾値以下であると判定される場合には(ステップS409:YES)、ガス検出部2は、検出対象ガスを検出したと判断してよい(ステップS410)。以上のように、ステップS405からステップS408の処理は、第2判定部8によって、加熱時間の延長後における連続する2つの時点での電気抵抗値が増加傾向を示すと判定される限り、予め定められた延長回数または予め定められた駆動時間を上限として、加熱制御部4が、加熱時間の延長を続ける処理の一例である。また、ステップS409の処理は、上限の延長回数または上限の駆動時間にわたって加熱時間の延長が続けられた後においても、第2判定部8によって、加熱時間の延長後における連続する2つの時点での電気抵抗値が増加傾向を示すと判定された場合に、さらに第2判定部8は、加熱時間の延長後の最後に取得された電気抵抗値が、第2閾値以下であるか判定する処理の一例である。ステップS410の処理は、最後に取得された電気抵抗値が第2閾値以下であると判定された場合に、ガス検出部が、検出対象ガスが検出されたと判断する処理の一例である。
【0091】
図14は、第4実施形態のガス警報器1による処理の一例を示すフローチャートである。ステップS501の処理は、図6のステップS101の処理と同様である。ガス検出部2は、ヒータ層30による感知部53の加熱開始後の2以上の時点で感知部53の電気抵抗値を取得する(ステップS502)。電気抵抗値は、電気的特性の一例である。第1判定部6は、ヒータ層30による感知部53の加熱開始後の2以上の時点で取得された感知部53の電気抵抗値が予め定められた関係を満たすか否かを判定する。例えば、第1判定部6は、2以上の時点で取得された電気抵抗値の比率が所定の値以上であるかを判定する。第1判定部6は、加熱開始後40m秒後の感知部53の電気抵抗値R40と、加熱開始後90m秒後の感知部53の電気抵抗値R90とが、(R90/R40)>1の関係を満たすか否かを判定する。ステップS503の処理は、感知部53の電気的特性が加熱延長開始条件を満たすか否かを判定する処理の一例である。
【0092】
加熱開始後の2以上の時点で取得された感知部53の電気的特性が、予め定められた関係を満たさない場合には(ステップS503:NO)、加熱制御部4は、加熱時間を延長することなく、処理がステップS501に戻る。一方、加熱開始後の2以上の時点で取得された感知部53の電気的特性が、予め定められた関係を満たす場合には(ステップS503:YES)、第1判定部6によって電気的特性が加熱延長開始条件を満たす場合に相当する。したがって、加熱制御部4は、加熱時間を延長する(ステップS504)。なお、加熱開始後の2以上の時点で取得された感知部53の電気的特性に代えて、加熱開始後の感知部53の電気的特性の変化率を取得してもよい。この場合、2以上の時点で取得された電気抵抗値の比率に代えて、電気的特性の変化率を予め定められた値と比較することによって、延長開始条件を満たすか否かの判定(ステップS503)を実行してもよい。
【0093】
ガス検出部2は、加熱時間延長後の電気抵抗値を取得する。例えば、ガス検出部2は、延長された加熱時間の最終時点における感知部53の電気抵抗値を取得する(ステップS505)。但し、加熱時間延長後の電気抵抗値は、延長された加熱時間の最終時点における電気抵抗値に限られない。
【0094】
第2判定部8は、ステップS505において取得した1または複数の電気抵抗値が、加熱繰り返し条件を満たすか否かを判定する(ステップS506)。加熱繰り返し条件は、図6のステップS106に示されるような第2閾値との比較関係で与えられていてもよく、感知部53の電気抵抗値の増加傾向を示すか否かで規定されていてもよい。電気抵抗値が、加熱繰り返し条件を満たさないと判定される場合には(ステップS506:NO)、これ以上に加熱時間を延長することなく、処理がステップS501に戻る。したがって、ステップS506の処理は、第2判定部8によって、感知部53の電気的特性が加熱停止条件を満たすか否かを判定する処理の一例である。換言すれば、ステップS506の処理は、第2判定部8によって加熱時間の延長後における電気的特性が第2条件を満たす限り、予め定められた延長回数または予め定められた駆動時間を上限として、加熱時間の延長を続ける処理の一例である。
【0095】
一方、電気抵抗値が、加熱繰り返し条件を満たすと判定される場合には(ステップS506:YES)、ステップS507からステップS509の処理に進む。ステップS507からステップS509の処理は、図6のステップS107からステップS109の処理と同様であるので、繰り返しの説明を省略する。
【0096】
図15は、第5実施形態のガス警報器1による処理の一例を示すフローチャートである。図1から図14を用いて説明した第1から第4実施形態のガス警報器1は、加熱延長開始条件と加熱繰り返し条件とは異なる条件である場合を説明した。しかしながら、本発明は、これらの場合に限られない。加熱延長開始条件と加熱繰り返し条件とは同じ条件でああってよい。
【0097】
図15のステップS603において、第1判定部6は、取得された電気抵抗値が閾値以下であるか判定する(ステップS603)。閾値は、予め定められて記憶部10に記憶されていてもよい。また、第2実施形態として図8及び図9で説明したとおり、本例のガス警報器1も、閾値設定部60を備えてもよい。この場合、閾値設定部60が、ヒータ層30による感知部53の加熱開始後の感知部53の電気的特性の変化率、または、2以上の時点における感知部53の電気的特性によって、閾値を設定する。
【0098】
取得された電気抵抗値が閾値より大きいと判定される場合には(ステップS603:NO)、加熱時間を延長することなく、処理がステップS601に戻る。一方、取得された電気抵抗値が閾値以下であると判定される場合には(ステップS603:YES)、第1判定部6によって電気的特性が加熱延長開始条件を満たす場合に相当する。したがって、加熱制御部4は、加熱時間を延長する(ステップS604)。ガス検出部2は、加熱時間延長後の電気抵抗値を取得する(ステップS605)。第2判定部8は、ステップS605において取得された電気抵抗値が閾値以下であるか判定する(ステップS606)。ステップS606において用いられる閾値と、ステップS603において用いられる閾値とは同じである。取得された電気抵抗値が閾値より大きいと判定される場合には(ステップS606:NO)、これ以上に加熱時間を延長することなく、処理がステップS601に戻る。すなわち、加熱制御部4は、加熱時間の延長後における電気抵抗値が閾値を超えると第2判定部8によって判定される場合、ヒータ層30による加熱を停止する。したがって、ステップS606の処理は、第2判定部8によって、感知部53の電気的特性が加熱停止条件を満たすか否かを判定する処理の一例である。一方、取得された電気抵抗値が第2閾値以下であると判定される場合には(ステップS606:YES)、ステップS607からステップS609の処理が実行される。ステップS606の処理は、加熱時間の延長後における感知部53の電気的特性が加熱繰り返し条件を満たすか否かを判定する処理の一例である。
【0099】
ステップS607からステップS609の処理は、図6に示されるステップS107からステップ109の処理と同様である。したがって、繰り返しの説明を省略する。本例のように、加熱延長開始条件と加熱繰り返し条件とは同じ条件である場合にも、検出対象ガスを非検出対象ガスと区別して検出することができるとともに、消費電力を低減することができる。
【0100】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本明細書における各実施形態は、適宜組み合わせることができる。本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0101】
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0102】
1・・・ガス警報器、2・・・ガス検出部、4・・・加熱制御部、6・・・第1判定部、8・・・第2判定部、10・・・記憶部、12・・・表示制御部、14・・・警報制御部、16・・・出力制御部、20・・・シリコン基板、21・・・貫通孔、25・・・熱絶縁支持層、30・・・ヒータ層、40・・・電気絶縁層、50・・・ガス検知層、51・・・接合層、52・・・ガス検知層電極、53・・・感知部、54・・・選択燃焼層、60・・・閾値設定部、62・・・第1閾値設定部、64・・・第2閾値設定部、70・・・延長時間設定部、100・・・ガスセンサ、200・・・制御部、300・・・電源、400・・・表示部、500・・・警報発生部、600・・・外部インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15