特許第6654740号(P6654740)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6654740工作機械、工作機械の加工プログラム編集方法、及び工作機械の加工プログラム編集のためのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6654740
(24)【登録日】2020年2月3日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】工作機械、工作機械の加工プログラム編集方法、及び工作機械の加工プログラム編集のためのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/409 20060101AFI20200217BHJP
   G05B 19/4093 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   G05B19/409 C
   G05B19/4093 H
【請求項の数】15
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2019-567393(P2019-567393)
(86)(22)【出願日】2019年7月19日
(86)【国際出願番号】JP2019028560
【審査請求日】2019年12月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000114787
【氏名又は名称】ヤマザキマザック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142871
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 哲昌
(74)【代理人】
【識別番号】100094743
【弁理士】
【氏名又は名称】森 昌康
(74)【代理人】
【識別番号】100175628
【弁理士】
【氏名又は名称】仁野 裕一
(72)【発明者】
【氏名】松澤 洋明
(72)【発明者】
【氏名】山本 祐生
(72)【発明者】
【氏名】片山 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】木村 守邦
【審査官】 武市 匡紘
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/051544(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/051543(WO,A1)
【文献】 特開平2−259808(JP,A)
【文献】 特開2018−101401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18−19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械に装着可能な工具の工具情報を取得し、
前記工作機械を制御するための加工プログラムのプログラムコードを表示するプログラム編集画面と、それぞれが前記工具の前記工具情報と前記工具の制御方法とを選択可能に表示する少なくとも1つの補助画面とを並べて表示し、
前記プログラムコード中において、新たにコードを挿入する挿入箇所を指定し、
前記少なくとも1つの補助画面において前記工具情報と前記制御方法のいずれが表示されても、前記少なくとも1つの補助画面に表示されている情報のうちの少なくとも1つの情報が選択されると、前記少なくとも1つの情報に対応する命令を前記プログラムコードの前記挿入箇所に挿入する、
工作機械の加工プログラムの編集方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの補助画面に表示する情報を、前記工具情報、前記制御方法、並びに、前記工具情報及び前記制御情報以外の他の情報の中から選択するために、前記工具情報、前記制御方法、並びに、前記他の情報に対応する項目を同じウィンドウの内部に表示した表示情報選択画面をさらに表示し、
前記表示情報選択画面において選択された表示情報を前記少なくとも1つの補助画面に表示する、
請求項1に記載の工作機械の加工プログラムの編集方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの補助画面として、第1補助画面と第2補助画面とを表示し、
前記第1補助画面と前記第2補助画面とのいずれかを指定するための切替設定画面を表示し、
前記切替設定画面にて指定された補助画面に、前記表示情報選択画面において選択された前記表示情報を表示する、
請求項2に記載の工作機械の加工プログラムの編集方法。
【請求項4】
前記他の情報は、前記プログラムコードにおいて規定するマクロ変数、及び、プログラミングにおいて利用される文字セットの少なくとも1つを含む、
請求項2または3に記載の工作機械の加工プログラムの編集方法。
【請求項5】
前記制御方法はGコードと、Gコード以外のカスタマイズドコードとを含み、
前記少なくとも1つの補助画面のうちの1つの補助画面に、前記Gコードと前記カスタマイズドコードとのいずれか一方のコードを表示する、
、請求項1から4のいずれかに記載の工作機械の加工プログラムの編集方法。
【請求項6】
前記1つの補助画面に、EOBを入力するためのキーボタンをさらに表示する、請求項5に記載の工作機械の加工プログラムの編集方法。
【請求項7】
前記工具情報は、前記工具に対応するT番号、前記工具の名称、前記工具の寸法、並びに、切削加工における誤差を補正するためのパラメータの少なくとも1つを含む、請求項1から6のいずれかに記載の工作機械の加工プログラムの編集方法。
【請求項8】
前記工具情報は前記プログラムコード中のT番号に関連づけされる第1工具情報と、前記プログラムコード中のH番号とD番号とのうちの少なくとも1つに関連づけられる第2工具情報とを含み、
前記少なくとも1つの補助画面のうちの1つの補助画面に、前記第1工具情報と前記第2工具情報とのいずれか一方を表示する、
、請求項1から7のいずれかに記載の工作機械の加工プログラムの編集方法。
【請求項9】
前記第1工具情報は前記工具の使用により累積した累積摩耗量を含む、請求項8に記載の工作機械の加工プログラムの編集方法。
【請求項10】
前記第1工具情報を表示する補助画面に、M06指令を前記プログラムコードに入力するためのM06指令入力ボタンをさらに表示する、請求項8または9に記載の工作機械の加工プログラムの編集方法。
【請求項11】
前記第1工具情報を表示する補助画面に、前記工具を指定しないT番号を前記プログラムコードに入力するためのT00入力ボタンをさらに表示する、請求項8から10のいずれかに記載の工作機械の加工プログラムの編集方法。
【請求項12】
前記第2工具情報は、工具長補正を行うためのパラメータ、工具径補正を行うためのパラメータ、ノーズR補正を行うためのパラメータのいずれかであって、
前記第2工具情報を表示する補助画面に、前記第2工具情報と関連付けられた参照番号と、前記参照番号を前記プログラムコード中にH番号として入力するためのH番号入力ボタンと、前記参照番号を前記プログラムコード中にD番号として入力するためのD番号入力ボタンと、をさらに表示し、
前記第2工具情報を表示する補助画面において前記参照番号が指定された状態で、前記H番号入力ボタンが操作されると、前記プログラムコード中の前記挿入箇所に前記参照番号を含むH番号を挿入し、
前記第2工具情報を表示する補助画面において前記参照番号が指定された状態で、前記D番号入力ボタンが操作されると、前記プログラムコード中の前記挿入箇所に前記参照番号を含むD番号を挿入する、
請求項8から11のいずれかに記載の工作機械の加工プログラムの編集方法。
【請求項13】
前記プログラム編集画面と、前記少なくとも1つの補助画面は、1つのディスプレイ中に表示される、請求項1から12のいずれかに記載の工作機械の加工プログラムの編集方法。
【請求項14】
工作機械に装着可能な工具の工具情報を記憶するメモリと、
前記工作機械を制御するための加工プログラムのプログラムコードを表示するプログラム編集画面と、それぞれが前記工具の前記工具情報と前記工具の制御方法とを選択可能に表示する少なくとも1つの補助画面とを並べて表示する少なくとも1つのディスプレイと、
前記プログラムコード中に新たにコードを挿入する挿入箇所を指定するためのインタフェースと、
前記少なくとも1つの補助画面において前記工具情報と前記制御方法のいずれが表示されても、前記少なくとも1つの補助画面に表示されている情報のうちの少なくとも1つの情報が選択されると、前記少なくとも1つの情報に対応する命令を前記プログラムコードの前記挿入箇所に挿入するプロセッサと、
を備える工作機械。
【請求項15】
工作機械に装着可能な工具の工具情報を取得し、
前記工作機械を制御するための加工プログラムのプログラムコードを表示するプログラム編集画面と、それぞれが前記工具の前記工具情報と前記工具の制御方法とを選択可能に表示する少なくとも1つの補助画面とを並べて表示し、
前記プログラムコード中において、新たにコードを挿入する挿入箇所を指定し、
前記少なくとも1つの補助画面において前記工具情報と前記制御方法のいずれが表示されても、前記少なくとも1つの補助画面に表示されている情報のうちの少なくとも1つの情報が選択されると、前記少なくとも1つの情報に対応する命令を前記プログラムコードの前記挿入箇所に挿入する、
処理を実行する、工作機械の加工プログラム編集のためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械、工作機械の加工プログラム編集方法、及び工作機械の加工プログラム編集のためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、プログラムと補助画面を近接して表示し、タッチ操作で補助画面のデータをプログラムに反映させる加工プログラム編集装置を開示している。特許文献2は、補助画面にプログラムに入力可能なコードのGUI(グラフィックユーザインタフェース)画面を表示し、GUI画面にて選択されたコードをプログラムコードに挿入することが可能なNC (Numerically Controlled) プログラム入力装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017−111516号公報
【特許文献2】特開2010−003187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願に開示される技術の課題は、工作機械の加工プログラムの編集に必要なコードを、プログラマが見つけることを容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1態様に係る工作機械の加工プログラム編集方法は、工作機械に装着可能な工具の工具情報を取得し、工作機械を制御するための加工プログラムのプログラムコードを表示するプログラム編集画面と、工具の工具情報と工具の制御方法とのうち少なくとも1つを表示する少なくとも1つの補助画面とを並べて表示し、プログラムコード中において、新たにコードを挿入する挿入箇所を指定し、少なくとも1つの補助画面において、工具情報と制御方法とのうちの少なくとも1つの情報が選択されると、少なくとも1つの情報に対応する命令をプログラムコードの挿入箇所に挿入する。
【0006】
本開示の第2態様によれば、第1態様による工作機械の加工プログラム編集方法は、少なくとも1つの補助画面に表示する情報を、工具情報、制御方法、並びに、工具情報及び制御情報以外の他の情報の中から選択するための表示情報選択画面をさらに表示し、表示情報選択画面において選択された表示情報を少なくとも1つの補助画面に表示する。
【0007】
本開示の第3態様によれば、第1態様または第2態様による工作機械の加工プログラム編集方法は、少なくとも1つの補助画面として、第1補助画面と第2補助画面とを表示し、第1補助画面と第2補助画面とのいずれかを指定するための切替設定画面を表示し、切替設定画面にて指定された補助画面に、表示情報選択画面において選択された表示情報を表示する。
【0008】
本開示の第4態様によれば、第2態様または第3態様による工作機械の加工プログラム編集方法は、他の情報は、プログラムコードにおいて規定するマクロ変数、及び、プログラミングにおいて利用される文字セットの少なくとも1つを含むように構成される。
【0009】
本開示の第5態様によれば、第4態様による工作機械の加工プログラム編集方法は、文字セットは、数学関数を規定する関数コード、外部出力コマンド、及び演算子の少なくとも1つを含むように構成される。
【0010】
本開示の第6態様によれば、第4態様または第5態様による工作機械の加工プログラム編集方法は、文字セットを表示する補助画面に、文字セットと組み合わせて利用される記号の入力ボタンをさらに表示する。
【0011】
本開示の第7態様によれば、第1態様から第6態様のいずれかによる工作機械の加工プログラム編集方法は、制御方法はGコードと、Gコード以外のカスタマイズドコードとを含むように構成され、当該加工プログラム編集方法は、少なくとも1つの補助画面のうちの1つの補助画面に、Gコードとカスタマイズドコードとのいずれか一方のコードを表示する。
【0012】
本開示の第8態様によれば、第7態様による工作機械の加工プログラム編集方法は、1つの補助画面に、いずれか一方のコードの制御内容をさらに表示する。
【0013】
本開示の第9態様によれば、第7態様または第8態様による工作機械の加工プログラム編集方法は、1つの補助画面に、EOBを入力するためのキーボタンをさらに表示する。
【0014】
本開示の第10態様によれば、第1態様から第9態様のいずれかによる工作機械の加工プログラム編集方法は、工具情報は、工具に対応するT番号、工具の名称、工具の寸法、並びに、切削加工における誤差を補正するためのパラメータの少なくとも1つを含むように構成される。
【0015】
本開示の第11態様によれば、第10態様による工作機械の加工プログラム編集方法は、工具情報は、工具の使用により累積した累積摩耗量をさらに含むように構成される。
【0016】
本開示の第12態様によれば、第10態様または第11態様による工作機械の加工プログラム編集方法は、切削加工における誤差を補正するためのパラメータは、工具長補正を行うためのパラメータ、工具径補正を行うためのパラメータ、及びノーズR補正を行うためのパラメータの少なくとも1つを含むように構成される。
【0017】
本開示の第13態様によれば、第1態様から第12態様のいずれかによる工作機械の加工プログラム編集方法は、工具情報はプログラムコード中のT番号に関連づけされる第1工具情報と、プログラムコード中のH番号とD番号とのうちの少なくとも1つに関連づけられる第2工具情報とを含むように構成される。当該加工プログラム編集方法は、少なくとも1つの補助画面のうちの1つの補助画面に、第1工具情報と第2工具情報とのいずれか一方を表示する。
【0018】
本開示の第14態様によれば、第13態様による工作機械の加工プログラム編集方法は、第1工具情報は工具の使用により累積した累積摩耗量を含むように構成される。
【0019】
本開示の第15態様によれば、第13態様または第14態様による工作機械の加工プログラム編集方法は、第1工具情報を表示する補助画面に、M06指令をプログラムコードに入力するためのM06指令入力ボタンをさらに表示する。
【0020】
本開示の第16態様によれば、第13態様から第15態様のいずれかによる工作機械の加工プログラム編集方法は、第1工具情報を表示する補助画面に、工具を指定しないT番号をプログラムコードに入力するためのT00入力ボタンをさらに表示する。
【0021】
本開示の第17態様によれば、第13態様から第16態様のいずれかによる工作機械の加工プログラム編集方法は、第2工具情報は、工具長補正を行うためのパラメータ、工具径補正を行うためのパラメータ、ノーズR補正を行うためのパラメータのいずれかであるように構成される。当該加工プログラム編集方法は、第2工具情報を表示する補助画面に、第2工具情報と関連付けられた参照番号と、参照番号をプログラムコード中にH番号として入力するためのH番号入力ボタンと、参照番号をプログラムコード中にD番号として入力するためのD番号入力ボタンと、をさらに表示し、第2工具情報を表示する補助画面において参照番号が指定された状態で、H番号入力ボタンが操作されると、プログラムコード中の挿入箇所に参照番号を含むH番号を挿入し、第2工具情報を表示する補助画面において参照番号が指定された状態で、D番号入力ボタンが操作されると、プログラムコード中の挿入箇所に参照番号を含むD番号を挿入する。
【0022】
本開示の第18態様によれば、第1態様から第17態様のいずれかによる工作機械の加工プログラム編集方法は、プログラム編集画面と、少なくとも1つの補助画面は、1つのディスプレイ中に表示される。
【0023】
本開示の第19態様に係る工作機械は、工作機械に装着可能な工具の工具情報を保存するメモリと、工作機械を制御するための加工プログラムのプログラムコードを表示するプログラム編集画面と、工具の工具情報と工具の制御方法とのうちの少なくとも1つを表示する少なくとも1つの補助画面とを並べて表示する少なくとも1つのディスプレイと、プログラムコード中に新たにコードを挿入する挿入箇所を指定するためのインタフェースと、少なくとも1つの補助画面において、工具情報と制御方法とのうちの少なくとも1つの情報が選択されると、少なくとも1つの情報に対応する命令をプログラムコードの挿入箇所に挿入するプロセッサと、を備える。
【0024】
本開示の第20態様によれば、第19態様に係る工作機械は、ディスプレイが、少なくとも1つの補助画面に表示する情報を、工具情報、制御方法、並びに、工具情報及び制御情報以外の他の情報の中から選択するための表示情報選択画面をさらに表示し、表示情報選択画面において選択された表示情報を少なくとも1つの補助画面に表示するように構成されている。
【0025】
本開示の第21態様によれば、第19態様または第20態様による工作機械は、少なくとも1つの補助画面として、ディスプレイが、第1補助画面と第2補助画面とを表示し、第1補助画面と第2補助画面とのいずれかを指定するための切替設定画面を表示し、切替設定画面にて指定された補助画面に、表示情報選択画面において選択された表示情報を表示するように構成されている。
【0026】
本開示の第22態様によれば、第20態様または第21態様による工作機械は、他の情報は、プログラムコードにおいて規定するマクロ変数、及び、プログラミングにおいて利用される文字セットの少なくとも1つを含むように構成される。
【0027】
本開示の第23態様によれば、第22態様による工作機械は、文字セットは、数学関数を規定する関数コード、外部出力コマンド、及び演算子の少なくとも1つを含むように構成される。
【0028】
本開示の第24態様によれば、第22態様または第23態様による工作機械は、ディスプレイが、文字セットを表示する補助画面に、文字セットと組み合わせて利用される記号の入力ボタンをさらに表示するように構成される。
【0029】
本開示の第25態様によれば、第19態様から第24態様のいずれかによる工作機械は、制御方法はGコードと、Gコード以外のカスタマイズドコードとを含むように構成され、当該工作機械は、ディスプレイが、少なくとも1つの補助画面のうちの1つの補助画面に、Gコードとカスタマイズドコードとのいずれか一方のコードを表示するように構成される。
【0030】
本開示の第26態様によれば、第25態様による工作機械は、ディスプレイが1つの補助画面に、いずれか一方のコードの制御内容をさらに表示するように構成される。
【0031】
本開示の第27態様によれば、第25態様または第26態様による工作機械は、ディスプレイが1つの補助画面に、EOBを入力するためのキーボタンをさらに表示するように構成される。
【0032】
本開示の第28態様によれば、第19態様から第27態様のいずれかによる工作機械は、工具情報は、工具に対応するT番号、工具の名称、工具の寸法、並びに、切削加工における誤差を補正するためのパラメータの少なくとも1つを含むように構成される。
【0033】
本開示の第29態様によれば、第28態様による工作機械は、工具情報は、工具の使用により累積した累積摩耗量をさらに含むように構成される。
【0034】
本開示の第30態様によれば、第28態様または第29態様による工作機械は、切削加工における誤差を補正するためのパラメータは、工具長補正を行うためのパラメータ、工具径補正を行うためのパラメータ、及びノーズR補正を行うためのパラメータの少なくとも1つを含むように構成される。
【0035】
本開示の第31態様によれば、第19態様から第30態様のいずれかによる工作機械は、工具情報はプログラムコード中のT番号に関連づけされる第1工具情報と、プログラムコード中のH番号とD番号とのうちの少なくとも1つに関連づけられる第2工具情報とを含むように構成される。当該工作機械は、少なくとも1つの補助画面のうちの1つの補助画面に、第1工具情報と第2工具情報とのいずれか一方を表示するように構成される。
【0036】
本開示の第32態様によれば、第31態様による工作機械は、第1工具情報は工具の使用により累積した累積摩耗量を含むように構成される。
【0037】
本開示の第33態様によれば、第31態様または第32態様による工作機械は、ディスプレイが第1工具情報を表示する補助画面に、M06指令をプログラムコードに入力するためのM06指令入力ボタンをさらに表示するように構成される。
【0038】
本開示の第34態様によれば、第31態様から第33態様のいずれかによる工作機械は、ディスプレイが第1工具情報を表示する補助画面に、工具を指定しないT番号をプログラムコードに入力するためのT00入力ボタンをさらに表示するように構成される。
【0039】
本開示の第35態様によれば、第31態様から第34態様のいずれかによる工作機械は、第2工具情報は、工具長補正を行うためのパラメータ、工具径補正を行うためのパラメータ、ノーズR補正を行うためのパラメータのいずれかであるように構成される。当該工作機械は、ディスプレイが第2工具情報を表示する補助画面に、第2工具情報と関連付けられた参照番号と、参照番号をプログラムコード中にH番号として入力するためのH番号入力ボタンと、参照番号をプログラムコード中にD番号として入力するためのD番号入力ボタンと、をさらに表示するように構成され、プロセッサが第2工具情報を表示する補助画面において参照番号が指定された状態で、H番号入力ボタンが操作されると、プログラムコード中の挿入箇所に参照番号を含むH番号を挿入し、第2工具情報を表示する補助画面において参照番号が指定された状態で、D番号入力ボタンが操作されると、プログラムコード中の挿入箇所に参照番号を含むD番号を挿入するように構成される。
【0040】
本開示の第36態様によれば、第19態様から第35態様のいずれかによる工作機械は、プログラム編集画面と、少なくとも1つの補助画面は、同じディスプレイ中に表示されるように構成される。
【0041】
本開示の第37態様に係る工作機械の加工プログラム編集のためのプログラムは、工作機械に装着可能な工具の工具情報を取得し、工作機械を制御するための加工プログラムのプログラムコードを表示するプログラム編集画面と、工具の工具情報と工具の制御方法とのうち少なくとも1つを表示する少なくとも1つの補助画面とを並べて表示し、プログラムコード中において、新たにコードを挿入する挿入箇所を指定し、少なくとも1つの補助画面において、工具情報と制御方法とのうちの少なくとも1つの情報が選択されると、少なくとも1つの情報に対応する命令をプログラムコードの挿入箇所に挿入する、処理を実行する。
【0042】
本開示の第38態様によれば、第37態様による工作機械の加工プログラム編集のためのプログラムは、少なくとも1つの補助画面に表示する情報を、工具情報、制御方法、並びに、工具情報及び制御情報以外の他の情報の中から選択するための表示情報選択画面をさらに表示し、表示情報選択画面において選択された表示情報を少なくとも1つの補助画面に表示する処理を実行する。
【0043】
本開示の第39態様によれば、第37態様または第38態様による工作機械の加工プログラム編集のためのプログラムは、少なくとも1つの補助画面として、第1補助画面と第2補助画面とを表示し、第1補助画面と第2補助画面とのいずれかを指定するための切替設定画面を表示し、切替設定画面にて指定された補助画面に、表示情報選択画面において選択された表示情報を表示する処理を実行する。
【0044】
本開示の第40態様によれば、第38態様または第39態様による工作機械の加工プログラム編集のためのプログラムは、他の情報は、プログラムコードにおいて規定するマクロ変数、及び、プログラミングにおいて利用される文字セットの少なくとも1つを含むように構成される。
【0045】
本開示の第41態様によれば、第40態様による工作機械の加工プログラム編集のためのプログラムは、文字セットは、数学関数を規定する関数コード、外部出力コマンド、及び演算子の少なくとも1つを含むように構成される。
【0046】
本開示の第42態様によれば、第40態様または第41態様による工作機械の加工プログラム編集のためのプログラムは、文字セットを表示する補助画面に、文字セットと組み合わせて利用される記号の入力ボタンをさらに表示する処理を実行する。
【0047】
本開示の第43態様によれば、第37態様から第42態様のいずれかによる工作機械の加工プログラム編集のためのプログラムは、制御方法はGコードと、Gコード以外のカスタマイズドコードとを含むように構成され、当該加工プログラム編集のためのプログラムは、少なくとも1つの補助画面のうちの1つの補助画面に、Gコードとカスタマイズドコードとのいずれか一方のコードを表示する処理を実行する。
【0048】
本開示の第44態様によれば、第43態様による工作機械の加工プログラム編集のためのプログラムは、1つの補助画面に、いずれか一方のコードの制御内容をさらに表示する処理を実行する。
【0049】
本開示の第45態様によれば、第43態様または第44態様による工作機械の加工プログラム編集のためのプログラムは、1つの補助画面に、EOBを入力するためのキーボタンをさらに表示する処理を実行する。
【0050】
本開示の第46態様によれば、第37態様から第45態様のいずれかによる工作機械の加工プログラム編集のためのプログラムは、工具情報は、工具に対応するT番号、工具の名称、工具の寸法、並びに、切削加工における誤差を補正するためのパラメータの少なくとも1つを含むように構成される。
【0051】
本開示の第47態様によれば、第46態様による工作機械の加工プログラム編集のためのプログラムは、工具情報は、工具の使用により累積した累積摩耗量をさらに含むように構成される。
【0052】
本開示の第48態様によれば、第46態様または第47態様による工作機械の加工プログラム編集のためのプログラムは、切削加工における誤差を補正するためのパラメータは、工具長補正を行うためのパラメータ、工具径補正を行うためのパラメータ、及びノーズR補正を行うためのパラメータの少なくとも1つを含むように構成される。
【0053】
本開示の第49態様によれば、第37態様から第48態様のいずれかによる工作機械の加工プログラム編集のためのプログラムは、工具情報はプログラムコード中のT番号に関連づけされる第1工具情報と、プログラムコード中のH番号とD番号とのうちの少なくとも1つに関連づけられる第2工具情報とを含むように構成される。当該加工プログラム編集のためのプログラムは、少なくとも1つの補助画面のうちの1つの補助画面に、第1工具情報と第2工具情報とのいずれか一方を表示する処理を実行する。
【0054】
本開示の第50態様によれば、第49態様による工作機械の加工プログラム編集のためのプログラムは、第1工具情報は工具の使用により累積した累積摩耗量を含むように構成される。
【0055】
本開示の第51態様によれば、第49態様または第50態様による工作機械の加工プログラム編集のためのプログラムは、第1工具情報を表示する補助画面に、M06指令をプログラムコードに入力するためのM06指令入力ボタンをさらに表示する処理を実行する。
【0056】
本開示の第52態様によれば、第49態様から第51態様のいずれかによる工作機械の加工プログラム編集のためのプログラムは、第1工具情報を表示する補助画面に、工具を指定しないT番号をプログラムコードに入力するためのT00入力ボタンをさらに表示する処理を実行する。
【0057】
本開示の第53態様によれば、第49態様から第52態様のいずれかによる工作機械の加工プログラム編集のためのプログラムは、第2工具情報は、工具長補正を行うためのパラメータ、工具径補正を行うためのパラメータ、ノーズR補正を行うためのパラメータのいずれかであるように構成される。当該加工プログラム編集のためのプログラムは、第2工具情報を表示する補助画面に、第2工具情報と関連付けられた参照番号と、参照番号をプログラムコード中にH番号として入力するためのH番号入力ボタンと、参照番号をプログラムコード中にD番号として入力するためのD番号入力ボタンと、をさらに表示し、第2工具情報を表示する補助画面において参照番号が指定された状態で、H番号入力ボタンが操作されると、プログラムコード中の挿入箇所に参照番号を含むH番号を挿入し、第2工具情報を表示する補助画面において参照番号が指定された状態で、D番号入力ボタンが操作されると、プログラムコード中の挿入箇所に参照番号を含むD番号を挿入する処理を実行する。
【0058】
本開示の第54態様によれば、第37態様から第53態様のいずれかによる工作機械の加工プログラム編集のためのプログラムは、プログラム編集画面と、少なくとも1つの補助画面は、1つのディスプレイ中に表示される処理を実行する。
【0059】
第1態様に係る工作機械の加工プログラム編集方法、第19態様に係る工作機械、及び第37態様に係る作機械の加工プログラム編集のためのプログラムによって、加工プログラムのプログラムコードの編集に必要な工具の工具情報と工具の制御方法の参照及び挿入を容易とすることができる。その結果、加工プログラムのプログラミングが効率化される。
【0060】
第2態様、第20態様、第38態様によれば、工具情報、制御方法、並びに、工具情報及び制御情報以外の他の情報といった多くの情報を少なくとも1つの補助画面に表示することができる。
【0061】
第3態様、第21態様、第39態様によれば、工具情報、制御方法、並びに、工具情報及び制御情報以外の他の情報といった多くの情報を少なくとも1つの補助画面に切り替えながら表示することができる。
【0062】
第4態様、第22態様、第40態様によれば、マクロ変数、及び、プログラミングにおいて利用される文字セットは、プログラミングにおいて頻繁に利用されるので、さらに加工プログラムのプログラミングが効率化される。
【0063】
第5態様、第23態様、第41態様によれば、関数コード、外部出力コマンド、及び演算子は、文字セットの中でも工作機械の加工プログラミングにおいて特に頻繁に利用されるので、さらに加工プログラムのプログラミングが効率化される。
【0064】
第6態様、第24態様、第42態様によれば、文字セットと組み合わせて利用される記号の入力ボタンがさらに表示するため、加工プログラムのプログラミングがさらに一層効率化される。
【0065】
第7態様、第25態様、第43態様によれば、加工プログラムのプログラミングにおいて頻繁に利用されるGコードと、Gコード以外のカスタマイズドコードとが補助画面に別々に表示されるため、加工プログラムのプログラミングがさらに効率化される。
【0066】
第8態様、第26態様、第44態様によれば、プログラマは、Gコードと、カスタマイズドコードの制御内容について、マニュアルを参照することなく知ることができるので、加工プログラムのプログラミングがさらに一層効率化される。
【0067】
第9態様、第27態様、第45態様によれば、Gコードやカスタマイズドコードの前後には、改行文字(「;」(EOB))が挿入される頻度が高く、当該1つの補助画面からEOBを入力できるようにすることによって、特に工作機械のタッチパネル付きディスプレイにおいてEOBを入力するために別途のスクリーンキーボードを表示させなくて済む。その結果、特に工作機械でのプログラミングが効率化される。
【0068】
第10態様、第28態様、第46態様によれば、工具の名称、工具の寸法、並びに、切削加工における誤差を補正するためのパラメータは、プログラムコードに入力するT番号を選択する上で重要な情報である。したがって、これらの情報が工具情報として含まれることによって、加工プログラムのプログラミングがさらに効率化される。
【0069】
第11態様、第29態様、第47態様によれば、累積摩耗量を確認することによってプログラマが工具の使用の適否や交換時期を把握することができる。このため、加工プログラムに適した工具を選択することが容易となる。
【0070】
第12態様、第30態様、第48態様によれば、工具長補正、工具径補正、及びノーズR補正は、頻繁に利用される切削加工における誤差を補正する方法である。このため、加工プログラムのプログラミングがさらに効率化される。
【0071】
第13態様、第31態様、第49態様によれば、第1工具情報と第2工具情報とは、切削加工における誤差を補正するための共通のパラメータを含む場合もあり、同一の補助画面で管理すると、プログラマは混同しやすい。このため、第1工具情報と第2工具情報とを別々の補助画面で管理できるようにすることによって、当該パラメータの管理を容易とすることができる。
【0072】
第14態様、第32態様、第50態様によれば、累積摩耗量は、工具の選択、つまり、T番号の選択の際に利用される。このため、第1工具情報として補助画面に表示させることによって、プログラマの利便性がさらに向上する。
【0073】
第15態様、第33態様、第51態様によれば、M06指令はTコードと関連性が高いため、第1工具情報を表示する補助画面からM06指令を直接入力できるほうがプログラミング上の利便性が高い。このため、M06指令入力ボタンが第1工具情報を表示する補助画面に表示されることによって加工プログラムのプログラミングがさらに効率化される。
【0074】
第16態様、第34態様、第52態様によれば、工具を指定しないT番号は、M06指令と組み合わせて利用する頻度が多い。このため、T00入力ボタンがM06指令入力ボタンと同じ画面に表示されることによって加工プログラムのプログラミングがさらに効率化される。
【0075】
第17態様、第35態様、第53態様によれば、D番号・H番号に係るパラメータを1つの補助画面で管理しているため、補助画面の数を減少させることができる。さらには、第2工具情報を表示する補助画面には、D番号入力ボタン、H番号入力ボタンが表示され、これらのボタン操作によって参照番号をD番号・H番号に変換してプログラムコードへ挿入することができる。これによってプログラマは、選択したパラメータをプログラムコードに簡単に入力することができる。
【0076】
第18態様、第36態様、第54態様によれば、プログラム編集画面と、少なくとも1つの補助画面は、加工プログラムの編集上密接に関係するために別々のディスプレイに表示されないことが好ましい。プログラム編集画面と少なくとも1つの補助画面とが1つのディスプレイ中に表示されることによって、加工プログラムのプログラミングがさらに効率化される。
【発明の効果】
【0077】
本願に開示される技術によれば、例えば、工作機械の加工プログラムの編集に必要なコードを、プログラマが見つけることを容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1図1は、実施形態に係る工作機械及び工作機械の加工プログラムを編集するためのコンピュータを含むシステムの概略構成を示す図である。
図2図2は、制御装置のハードウェアブロック図である。
図3図3は、コンピュータのハードウェアブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る加工プログラム編集プログラムの表示画面の一例である。
図5図5は、Gコード一覧画面の一例である。
図6図6は、Gコード一覧画面の別の一例である。
図7図7は、Mコード一覧画面の一例である。
図8図8は、Mコード一覧画面の別の一例である。
図9図9は、工具データ画面の一例である。
図10図10は、工具データ画面の別の一例である。
図11図11は、工具長オフセット補正の概念を説明するための図である。
図12図12は、工具長オフセット補正の概念を説明するための図である。
図13図13は、工具径補正の概念を説明するための図である。
図14図14は、ミル工具での工具径オフセットを示す図である。
図15図15は、ノーズR補正の概念を説明するための図である。
図16図16は、刃先方向の概念を説明するための図である。
図17図17は、工具オフセット画面の一例である。
図18図18は、工具オフセット画面の別の一例である。
図19図19は、マクロ変数画面の一例である。
図20図20は、マクロ入力画面の一例である。
図21図21は、工具データ画面の変形例である。
図22図22は、加工プログラム編集プログラムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0079】
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。なお、図中において同じ符号は、対応するまたは実質的に同一の構成を示している。
【0080】
図1は、本発明の実施形態に係るシステム10の概略構成を示す。システム10は、工作機械100、工作機械の加工プログラムを編集するためのコンピュータ200、及び、工作機械100とコンピュータ200とを接続するネットワーク290とを含む。ネットワーク290は、例えば、工場内に設置されるLAN(ローカルエリアネットワーク)である。図示されているネットワーク290は有線ネットワークであるが、ネットワーク290は無線ネットワークであってもよい。なお、図1に示すX軸は、工作機械100の高さ方向に沿い、Y軸は、工作機械100の奥行方向に沿い、Z軸は、工作機械100の幅方向に沿っている。本実施形態では、JIS規格に基づいて、ワークを保持するワーク主軸122の回転軸線A3に平行な軸をZ軸としている。本実施形態では、この座標系をワーク座標系と呼ぶ。
【0081】
工作機械100は、ワークW1に対する切削加工(machining)を行う。切削加工は、旋削加工(turning)とミル加工(milling)とのうちの少なくとも1つを含む。切削加工は、さらに削孔加工(drilling)を含んでもよい。図1に示すように、工作機械100は、コラム110と、ワーク主軸台120と、工具交換装置130と、を備えている。コラム110、ワーク主軸台120、及び工具交換装置130は、基台140の上に配置されている。
【0082】
コラム110は、基台140上において、Y軸方向およびZ軸方向に移動可能である。コラム110には、工具主軸台112が取り付けられている。工具主軸台112は、コラム110に対して、X軸方向に移動可能である。工具主軸台112は、コラム110に対して、Y軸方向に沿う旋回軸線A1周りに旋回可能である。工具主軸台112には、工具主軸114が取り付けられている。工具主軸114は、工具主軸台112に対して回転軸線A2回りに回転可能である。回転軸線A2は、旋回軸線A1に直交する。工具主軸114には、切削工具(machining tool)である第1工具T1が保持されている。切削工具とは、旋削工具とミル工具とを包含する概念である。本実施形態では、削孔加工に用いるドリルは、ミル工具の1つとみなす。
【0083】
本実施形態では、軸線A1と軸線A2との交点を機械原点Omと呼び、回転軸線A2をZm軸とし、旋回軸線A1をYm軸とし、Zm軸とYm軸との夫々に対して垂直な軸をXm軸とする座標系を機械座標系と呼ぶ。機械原点Omから第1工具T1の先端に向かう方向をZm軸の正方向とする。ワーク座標系のZ軸の正方向を機械座標系のZm軸の正方向と同じ方向に向かうように、ワーク座標系のX軸をY軸回りに回転させたときのワーク座標系のX軸の正方向を、機械座標系のXm軸の正方向とする。ワーク座標系のY軸の正方向を機械座標系のYm軸の正方向とする。
【0084】
ワーク主軸台120は、ワーク主軸122を備えている。ワーク主軸122は、回転軸線A3周りに回転可能である。回転軸線A3は、Z軸方向に沿っている。ワーク主軸122には、ワークW1が装着されている。
【0085】
工具交換装置130は、工具主軸114に装着される切削工具を交換する。具体的には、工具交換装置130は、マガジンアーム132とストッカ134とを備えている。マガジンアーム132は、Z軸方向に沿う軸回りに旋回可能である。マガジンアーム132は、ストッカ134に対してX軸方向に移動可能である。ストッカ134は、X軸方向に複数の切削工具Tsを並べて収納している。ストッカ134に収納される複数の切削工具Tsは、第1工具T1と交換可能な第2工具T2を含む。
【0086】
工具交換装置130による切削工具の交換は次の手順で行われる。コラム110は、回転軸線A2がZ軸方向に沿う状態で、Z軸方向において工具交換装置130に近づく。マガジンアーム132は、マガジンアーム132が延びる方向の一端に第1グリッパを有し、当該延びる方向の他端に第2グリッパを有している。第1グリッパは、工具主軸114に装着された第1工具T1を取り外すために、工具主軸114に装着されている第1工具T1を把持する。より詳細には、マガジンアーム132がZ軸方向に沿う軸周りに所定旋回角度だけ旋回すると、第1グリッパは第1工具T1を把持し、同時に、第2グリッパは、ストッカ134に収納された第2工具T2を把持する。コラム110がZ軸方向において工具交換装置130から離れると、第1工具T1は工具主軸114から取り外される。マガジンアーム132は、工具主軸114に第2工具T2を装着するために、Z軸方向に沿う軸回りに旋回し、第2グリッパに把持された第2工具T2を工具取付位置に移動させる。コラム110がZ軸方向において工具交換装置130に近づくと、工具主軸114に第2工具T2が装着される。
【0087】
工作機械100は、各回転軸線回りの回転、各旋回軸線回りの旋回及び各軸方向における移動を制御するために、制御装置150を備えている。制御装置150は、基台140に接続されている。ここで、制御装置150は、工作機械100の他の箇所に接続されてもよく、制御信号の送信や検出結果の受信ができれば、基台140とは別に設置されてもよい。
【0088】
図2は、制御装置150のハードウェアブロック図である。図2に示すように、制御装置150は、プロセッサ151と、メモリ152と、通信回路153と、タッチパネル付きディスプレイ154と、を備えている。プロセッサ151と、メモリ152と、通信回路153と、タッチパネル付きディスプレイ154は、バス155を介して互いに接続されている。メモリ152は、加工に必要なプログラム及びデータを記憶している。プロセッサ151は、メモリ152に記憶されたプログラムを読み出して、読みだしたプログラムを実行する。これにより、制御装置150の各機能は、実現される。制御装置150が実現する各機能には、旋削加工の実行の制御が含まれる。具体的には、メモリ152は、加工プログラム157を記憶している。加工プログラム157は、旋削加工を実行するための制御命令を含んでいる。通常、加工プログラム157は、コンピュータ200において編集され、ネットワーク290を介して制御装置150に送信され、メモリ152に記憶される。通信回路153は、ネットワーク290を介してコンピュータ200と通信するための、通信パケットからデータへの変換機能とデータから通信パケットへの変換機能と通信パケット送受信機能とを有している。
【0089】
本実施形態では、メモリ152は、工作機械100に装着可能な工具Ta(例えば、第1工具T1、及び、ストッカ134に収納される複数の切削工具Tsのうち、第2工具T2のように工作機械100に装着可能な全ての切削工具)の工具情報158を記憶する。工具情報158は、通信回路153によって、ネットワーク290を介してコンピュータ200に送信される。また、工具情報158は、後述する加工プログラム編集プログラム159の実行時に、メモリ152から読み出される。工具情報158の詳細な説明は、後述する。
【0090】
メモリ152は、加工プログラム157を編集するための加工プログラム編集プログラム159を記憶してもよい。通常、加工プログラム編集プログラム159は、加工プログラム157の一部を修正する場合に実行される。しかし、加工プログラム編集プログラム159を実行することによって、加工プログラム157が最初から作成されてもよい。
【0091】
タッチパネル付きディスプレイ154は1つのディスプレイ154でなくてもよく、複数のディスプレイの集まりであってもよい。なお、タッチパネル付きディスプレイ154のディスプレイは、ディスプレイの一例であり、タッチパネルは、インタフェースの一例である。なお、タッチパネル付きディスプレイ154は、タッチパネルのないディスプレイと、ディスプレイ周辺に設けられたボタン・スイッチ・レバー・ポインティングデバイス等の入力機器との組み合わせによって代替されてもよい。その場合、当該入力機器は、インタフェースの一例である。
【0092】
図3は、コンピュータ200のハードウェアブロック図である。図3に示すように、コンピュータ200は、プロセッサ210と、メモリ220と、通信回路230と、ディスプレイ240と、入力インタフェース250と、を備えている。プロセッサ210と、メモリ220と、通信回路230と、ディスプレイ240と、入力インタフェース250は、バス260を介して互いに接続されている。入力インタフェース250は、インタフェースの一例であって、例えば、キーボード、マウスなどのポインティングデバイスを指す。なお、コンピュータ200は、タッチパネル付きディスプレイを有するタブレットコンピュータのように、ディスプレイ240と入力インタフェース250とが一体化されたものであってもよい。また、ディスプレイ240は複数のディスプレイの組み合わせであってもよい。
【0093】
メモリ220は、上述する加工プログラム157を編集するための加工プログラム編集プログラム221と、当該プログラムを実行するにあたり必要なデータ及びオペレーティングシステムなどのプログラムと、を記憶している。加工プログラム編集プログラム221は、加工プログラム編集プログラム159と実質的に同じ機能を有する。ただし、加工プログラム編集プログラム221の画面表示方法が加工プログラム編集プログラム159の画面表示方法と部分的に相違してもよい。メモリ220は、加工プログラム編集プログラム221によって編集された加工プログラム157をさらに記憶してもよい。プロセッサ210は、メモリ220に記憶されたプログラムを読み出して、読みだしたプログラムを実行する。通信回路230は、ネットワーク290を介して制御装置150と通信するための、通信パケットからデータへの変換機能とデータから通信パケットへの変換機能と通信パケット送受信機能とを有している。
【0094】
コンピュータ200は、通信回路230を利用して、加工プログラム編集プログラム221を利用して編集された加工プログラム157を制御装置150に送信する。さらに、コンピュータ200は、加工プログラム編集プログラム221が実行されると、通信回路230を利用して、制御装置150から上述する工具情報158を取得し、メモリ220に工具情報158を記憶する。
【0095】
次に、加工プログラム157の内容について説明する。本実施形態において、加工プログラム157は、工作機械100を数値制御するためのプログラムコードによって記述されている。また、当該プログラムコードは、アルファベットと数値とからなる文字列で構成されており、例えば、以下に示すようなコードが用意されている。
【0096】
Gコード:加工を行うための準備機能(例えば、工具の移動態様等)を指定するコード
Mコード:Gコードの補助的役割を果たすコード
T番号:切削工具を指定する番号
S番号:工作機械の主軸回転数等を指定する番号
F番号:旋削工具の送り速度等を指定する番号
X,Y,Z,U,V,W,A,B,C:座標軸を指定する記号
N+数値:シーケンス番号。プログラム内のジャンプ位置を指定する。
Gコードは、ISO6983として標準化されている。Mコードは、工作機械メーカーが独自に定めたカスタマイズドコードを含む。Mコードは、標準化されたコードをさらに含んでもよい。
<全体の表示画面>
図4は、実施形態に係る加工プログラム編集プログラム221の表示画面(display screen)30の一例である。当該表示画面30は、ディスプレイ240に表示される。なお、制御装置150のタッチパネル付きディスプレイ154に表示される加工プログラム編集プログラム159の表示画面も、後に述べる例外を除いて表示画面30と実質的に同じ画面である。表示画面30は、プログラム編集画面(program editing window)300と、少なくとも1つの補助画面(assistance window)310とを含む。好ましくは、プログラム編集画面300と、少なくとも1つの補助画面310は、1つのディスプレイ240/154中に表示される。
【0097】
プログラム編集画面300には、工作機械100を制御するための加工プログラム157のプログラムコード302が表示される。図4では、プログラム編集画面300にプログラムコード302の位置を示す行番号308も併せて表示されているが、行番号308は省略されてもよい。タッチパネル付きディスプレイ154のタッチパネルでのタップ、入力インタフェース250のうちのマウスによるクリックや入力インタフェース250のうちのキーボードによるカーソル移動によって、プログラム編集画面300中においてGコードを挿入する挿入箇所を指定することができる。したがって、タッチパネル付きディスプレイ154のタッチパネルや入力インタフェース250のポインティングデバイスは、プログラムコード302中に新たにコードを挿入する挿入場所を指定するためのインタフェースである。
【0098】
少なくとも1つの補助画面310には、プログラムコード302を編集するにあたりプログラマが参照する情報が表示される。図4では、少なくとも1つの補助画面310として、第1補助画面312と第2補助画面314とが表示されている。しかし、図4の例に限らず、少なくとも1つの補助画面310は、1つの補助画面もしくは3つ以上の補助画面が表示されてもよい。図4を参照すると、プログラム編集画面300と少なくとも1つの補助画面310は並んで表示されている。図4の例では、プログラム編集画面300は、表示画面30の左側、第1補助画面312と第2補助画面314は表示画面30の右側に表示されている。しかし、プログラム編集画面300と少なくとも1つの補助画面310の表示態様はこれに限らず、プログラム編集画面300と少なくとも1つの補助画面310の位置が左右逆であってもよい。また、プログラム編集画面300と少なくとも1つの補助画面310が上下もしくは斜めに並んで表示されてもよい。
【0099】
また、少なくとも1つの補助画面310(例えば、第1補助画面312と第2補助画面314)がプログラム編集画面300の片側に固まって表示されてなくてもよい。例えば、少なくとも1つの補助画面310の一部(例えば、第1補助画面312)と、少なくとも1つの補助画面310の残り(例えば、第2補助画面314)とが、プログラム編集画面300を挟み込むように、プログラム編集画面300と少なくとも1つの補助画面310とが表示されてもよい。
【0100】
また、プログラム編集画面300と少なくとも1つの補助画面310とが一方向に並んで表示されていなくてもよい。例えば、第1補助画面312がプログラム編集画面300の右側、第2補助画面314がプログラム編集画面300の下側に表示されてもよく、少なくとも1つの補助画面310がプログラム編集画面300を取り囲むように表示されてもよい。つまり、少なくとも1つの補助画面310の各々がプログラム編集画面300に並んで表示されていればよい。なお、プログラマの便宜のため、少なくとも1つの補助画面310の各々がプログラム編集画面300の近傍に表示されることが好ましい。さらに、図4では、少なくとも1つの補助画面310は、プログラム編集画面300と重畳しない態様で表示されているが、図4では、少なくとも1つの補助画面310は、プログラム編集画面300と一部重畳してもよい。
【0101】
本実施形態において少なくとも1つの補助画面310に表示される表示情報は、工作機械100に装着可能な工具Taの工具情報と当該工具Taの制御方法とのうち少なくとも1つである。つまり、ディスプレイ240(154)は、工作機械100を制御するための加工プログラム157のプログラムコード302を表示するプログラム編集画面300と、工作機械100に装着可能な工具Taの工具情報と当該工具Taの制御方法とのうち少なくとも1つを表示する少なくとも1つの補助画面310とを並べて(side by side)表示する。ディスプレイ240(154)が複数のディスプレイから構成されるときは、並べて設けられたディスプレイのうちの一方に、プログラム編集画面300が表示され、他方に、少なくとも1つの補助画面310が表示されてもよい。工具情報とは、例えば、工具Taに対応するT番号(T number)、工具Taの名称、工具Taの寸法(dimension)、並びに、切削加工における誤差を補正するためのパラメータの少なくとも1つを含む。当該工具Taの制御方法とは、上述するGコード、Mコードを含む。つまり、当該制御方法は、Gコードと、Gコード以外のカスタマイズドコードとを含む。したがって、ディスプレイ240(154)は、少なくとも1つの補助画面310のうちの1つの補助画面で、Gコードと、Gコード以外のカスタマイズドコードとのいずれか一方のコードを表示する。
【0102】
図4では、使用したい切削工具に対応するT番号を入力することを主目的とする工具データ画面(Tool Data window)340が第1補助画面312として、Gコードを入力することを主目的とするGコード一覧画面(G-Code List window)320が第2補助画面314として表示されている。しかし、図4の例において、第1補助画面312においてGコード一覧画面320が表示されてもよく、第2補助画面314として工具データ画面340が表示されてもよい。
【0103】
また、第1補助画面312、第2補助画面314として表示される画面はこれらの画面に限られない。後述するように、第1補助画面312の第2補助画面314の夫々には、工具主軸114の基準点に対する切削工具の切刃位置の位置ずれ量を入力するための工具オフセット画面(Tool Offset window)360、Mコードを入力するためのMコード一覧画面(M-Code List window)330、マクロ変数をプログラム中に入力するためのマクロ変数画面(Macro Variables window)380、プログラミングにおいて利用される文字セット(character set)を簡単に入力するためのマクロ入力画面(Macro Input window)390のうちのいずれかが代わりに表示されてもよい。つまり、少なくとも1つの補助画面310に表示される情報は、上述する工具Taの工具情報と工具Taの制御方法以外の他の情報を含んでもよい。当該他の情報は、プログラムコード302において規定するマクロ変数、プログミングにおいて利用される文字セットの少なくとも1つを含む。当該文字セットは、数学関数(mathematical function)を規定する関数コード、外部出力コマンド(external output command)、及び演算子(operator)の少なくとも1つを含む。
【0104】
表示画面30は、少なくとも1つの補助画面310に表示する情報(この情報を、以下表示情報と呼ぶ)を、上述する、工具情報、制御方法、並びに、他の情報の中から選択するための表示情報選択画面(displayed information selection window)316をさらに含む。つまり、ディスプレイ240(154)は、少なくとも1つの補助画面310に表示する情報を、上述する、工具情報、制御方法、並びに、他の情報の中から選択するための表示情報選択画面316をさらに表示する。図4では、表示情報選択画面316は、プログラム編集画面300と少なくとも1つの補助画面310との間に表示されている。しかし、表示情報選択画面316の表示位置は、これに限られない。例えば、図4において、表示情報選択画面316は、プログラム編集画面300の下側や左側に表示されてもよい。しかし、プログラマの視認性の観点から、表示情報選択画面316は、プログラム編集画面300と少なくとも1つの補助画面310との間に表示されることが好ましい。
【0105】
図4では、表示情報選択画面316に、工具データ画面340、工具オフセット画面360、マクロ変数画面380、マクロ入力画面390、Gコード一覧画面320、Mコード一覧画面330のそれぞれに対応する文字列がセレクトボックス内に表示されている。プログラマがこれらの文字列のうちの1つをタップもしくはクリックすることによって、少なくとも1つの補助画面310に表示する情報が選択される。なお、表示情報選択画面316では、セレクトボックスに代えて、ラジオボタンやチェックボックスなどの他の入力手段が表示されてもよい。図4の例では、工具データ画面を表す「工具データ」の文字列が選択された状態になっている。表示情報選択画面316の下方には、第1補助画面312と第2補助画面314とのいずれかを指定するための切替設定画面318が表示される。つまり、ディスプレイ240(154)は、第1補助画面312と第2補助画面314とのいずれかを指定するための切替設定画面318を表示する。図4では、切替設定画面318において、第1補助画面312、第2補助画面314の夫々の模式化した位置がアイコン化されていて、どちらかのアイコンで選択するとそのアイコンがアクティブとなる。図4の例では、第1補助画面312を示す「1」のアイコンがアクティブになっている。
【0106】
この状態で、表示情報選択画面316の下側に表示されているOKボタン317をクリックもしくはタップ等で操作されると、第1補助画面312の表示が工具データ画面の表示に切り替えられる。つまり、ディスプレイ240(154)は、表示情報選択画面316において選択された表示情報を少なくとも1つの補助画面310に表示する。より具体的には、ディスプレイ240(154)は、切替設定画面318にて指定された補助画面に、表示情報選択画面316において選択された表示情報を表示する。図4は、上記切替操作によって第1補助画面312に工具データ画面が表示された状態を示している。以降に、Gコード一覧画面、Mコード一覧画面、工具データ画面、工具オフセット画面、マクロ変数画面、マクロ入力画面の詳細について説明する。
<Gコード一覧画面>
図5及び図6は、Gコード一覧画面320の表示例である。図5及び図6を参照すると、Gコード一覧画面320の画面左側にGコード321が表示される。Gコード321の右隣りには、Gコード321の属するグループ番号321Gが表示される。同じグループ番号の複数のGコードが1つのブロック(プログラムコード中の「;」(EOB:End of Block)と「;」との間)に記載されると、最後に記載されたGコードのみが実行される。グループ番号321Gの右隣りには、Gコード321の制御内容322が表示される。お気に入りのGコード321の左側には、お気に入りのマーク323が付加的に表示される。
【0107】
Gコード一覧画面320の上端には、お気に入り表示ボタン324が表示されている。図5は、お気に入り表示ボタン324がオフの状態のGコード一覧画面320を示している。図6は、お気に入り表示ボタン324がオンの状態のGコード一覧画面320を示している。図5に示すように、お気に入り表示ボタン324がオフの状態では、すべてのGコードが番号順に表示される。Gコード一覧画面320の右端にはスクロールバー320Sが表示されている。プログラマは、スクロールバー320Sを動かすことによって、所望の範囲のGコードをGコード一覧画面320に表示させることができる。図6に示すように、お気に入り表示ボタン324がオンの状態では、お気に入りのGコードのみがGコード321として表示される。図6では、全てのお気に入りのGコードの数がGコード一覧画面320の最大表示行数よりも少ないため、スクロールバーが表示されていない。しかし、お気に入りのGコードの数がGコード一覧画面320の最大表示行数よりも多い場合、スクロールバーが表示される。なお、図5及び図6では、Gコードの番号順に表示されているが、過去の使用回数の多い順、または、過去の所定期間内において使用回数の多い順にGコード321が表示されてもよい。
【0108】
Gコード一覧画面320の右下端には、お気に入りの登録・解除に係るボタン325〜326が表示されている。Gコード321、グループ番号321G、制御内容322、及び、マーク323は、行ごとに対応づけされて管理される。このため、Gコード321、グループ番号321G、及び、制御内容322のどれか1つがクリックまたはタップされると、クリックまたはタップされた項目と同じ行に係るGコード321、グループ番号321G、及び、制御内容322が選択され、白黒反転表示などがされる。その状態でお気に入り登録ボタン325がクリックまたはタップされると、選択されているGコード321の左側に、お気に入りのマーク323が表示され、選択されているGコード321がお気に入りとして管理される。逆に、お気に入りとなっているGコード321の行のGコード321、グループ番号321G、制御内容322、及び、マーク323のどれか1つがクリックまたはタップされ、お気に入り解除ボタン326がクリックまたはタップされると、選択されているGコード321がお気に入りから解除され、選択されているGコード321の左側のお気に入りのマーク323が消滅する。お気に入り全解除ボタン327がクリックまたはタップされると、全てのお気に入りを解除するかどうか確認するポップアップウィンドウが表示され、プログラマが解除を承諾すると、すべてのお気に入りのGコード321においてお気に入りの管理が解除され、すべてのマーク323が消滅する。
【0109】
Gコード一覧画面320の下端左端には、入力ボタン328が表示される。プログラマは、プログラム編集画面300と、Gコード一覧画面320を参照して、以下のように、Gコードをプログラム中に入力することができる。(1)プログラム編集画面300中においてGコードを挿入する挿入箇所をタップ・クリック・カーソル移動等の操作で指定する(以下、このように指定される箇所を挿入箇所と呼ぶ)。(2)Gコード一覧画面320を参照し、入力したいGコード321の行をタップまたはクリックで選択する。(3)入力ボタン328をタップまたはクリックする。これによって、プログラムコード302中の(1)によって指定された挿入箇所に、(2)で選択されたGコード321が挿入される。
【0110】
Gコード一覧画面320の下端には、さらに、改行キーボタン329が表示されている。プログラムコード302中の改行文字(「;」(EOB))を挿入する挿入箇所がタップ・クリック・カーソル移動等の操作で指定された後に、改行キーボタン329がクリックまたはタップされると、改行文字(「;」(EOB))がプログラムコード302中の挿入箇所に挿入される。改行キーボタン329を利用した入力においては、入力ボタン328への入力は不要である。Gコードの前後には、改行文字(「;」(EOB))が挿入される頻度が高く、Gコード一覧画面320に表示される改行キーボタン329からEOBを入力できるようにすることによって、特に工作機械100のタッチパネル付きディスプレイ154においてEOBを入力するために別途のスクリーンキーボードを表示させなくて済む。その結果、工作機械100でのプログラミングが効率化される。
【0111】
なお、図5及び図6に示されたGコード一覧画面320の表示態様は、単なる一例であって、他の表示態様であってもよい。例えば、ボタンやテキストの表示位置は、図5及び図6に示されたものでなくてもよい。また、入力ボタン328はテキストではなく、記号や図柄によって表されてもよく、改行キーボタン329は他の記号や図柄、テキストによって表されてもよい。お気に入りに関わるマーク・ボタン323〜327は、他の記号や図柄、テキストによって表されてもよく、削除されてもよい。
<Mコード一覧画面>
図7及び図8は、Mコード一覧画面330の表示例である。図7及び図8を参照すると、Mコード一覧画面330の画面左側にMコード331が表示される。Mコード331の右隣りには、Mコード331の制御内容332が表示される。お気に入りのMコード331の左側には、お気に入りのマーク333が付加的に表示される。
【0112】
Mコード一覧画面330の上端には、お気に入り表示ボタン334が表示されている。図7は、お気に入り表示ボタン334がオフの状態のMコード一覧画面330を示している。図8は、お気に入り表示ボタン334がオンの状態のMコード一覧画面330を示している。図7に示すように、お気に入り表示ボタン334がオフの状態では、すべてのMコードが番号順に表示される。Mコード一覧画面330の右端にはスクロールバー330Sが表示されている。プログラマは、スクロールバー330Sを動かすことによって、所望の範囲のMコードをMコード一覧画面330に表示させることができる。図8に示すように、お気に入り表示ボタン334がオンの状態では、お気に入りのMコードのみがMコード331として表示される。図8では、全てのお気に入りのMコードの数がMコード一覧画面330の最大表示行数よりも少ないため、スクロールバーが表示されていない。しかし、お気に入りのMコードの数がMコード一覧画面330の最大表示行数よりも多い場合、スクロールバーが表示される。なお、図7及び図8では、Mコードの番号順に表示されているが、過去の使用回数の多い順、または、過去の所定期間内において使用回数の多い順にMコード331が表示されてもよい。
【0113】
Mコード一覧画面330の右下端には、お気に入りの登録・解除に係るボタン335〜336が表示されている。Mコード331、制御内容332、及び、マーク333は、行ごとに対応づけされて管理される。このため、Mコード331、及び、制御内容332のどれか1つがクリックまたはタップされると、クリックまたはタップされた項目と同じ行に係るMコード331、及び、制御内容332が選択され、白黒反転表示などがされる。その状態でお気に入り登録ボタン335がクリックまたはタップされると、選択されているMコード331の左側に、お気に入りのマーク333が表示され、選択されているMコード331がお気に入りとして管理される。逆に、お気に入りとなっているMコード331の行のMコード331、制御内容332、及び、マーク333のどれか1つがクリックまたはタップされ、お気に入り解除ボタン336がクリックまたはタップされると、選択されているMコード331がお気に入りから解除され、選択されているMコード331の左側のお気に入りのマーク333が消滅する。お気に入り全解除ボタン337がクリックまたはタップされると、全てのお気に入りを解除するかどうか確認するポップアップウィンドウが表示され、プログラマが解除を承諾すると、すべてのお気に入りのMコード331においてお気に入りの管理が解除され、すべてのマーク333が消滅する。
【0114】
Mコード一覧画面330の下端左端には、入力ボタン338が表示される。プログラマは、プログラム編集画面300と、Mコード一覧画面330を参照して、以下のように、Mコードをプログラム中に入力することができる。(1)プログラム編集画面300中においてMコードを挿入する挿入箇所をタップ・クリック・カーソル移動等の操作で指定する。(2)Mコード一覧画面330を参照し、入力したいMコード331の行をタップまたはクリックで選択する。(3)入力ボタン338をタップまたはクリックする。これによって、プログラムコード302中の挿入箇所に、選択されたMコード331が挿入される。
【0115】
Mコード一覧画面330の下端には、さらに、改行キーボタン339が表示されている。プログラムコード302中の改行文字(「;」(EOB))を挿入する挿入箇所がタップ・クリック・カーソル移動等の操作で指定された後に、改行キーボタン339がクリックまたはタップされると、改行文字(「;」(EOB))がプログラムコード302中の挿入箇所に挿入される。改行キーボタン339を利用した入力においては、入力ボタン338への入力は不要である。Mコードの前後には、改行文字(「;」(EOB))が挿入される頻度が高く、Mコード一覧画面330に表示される改行キーボタン339からEOBを入力できるようにすることによって、特に工作機械100のタッチパネル付きディスプレイ154においてEOBを入力するために別途のスクリーンキーボードを表示させなくて済む。その結果、工作機械100でのプログラミングが効率化される。
【0116】
なお、図7及び図8に示されたMコード一覧画面330の表示態様は、単なる一例であって、他の表示態様であってもよい。例えば、ボタンやテキストの表示位置は、図7及び図8に示されたものでなくてもよい。また、入力ボタン338はテキストではなく、記号や図柄によって表されてもよく、改行キーボタン339は他の記号や図柄、テキストによって表されてもよい。お気に入りに関わるマーク・ボタン333〜337は、他の記号や図柄、テキストによって表されてもよく、削除されてもよい。
<工具データ画面>
図9及び図10は、工具データ画面340の表示例である。図9及び図10を参照すると、工具データ画面340では、左端に工具Taの各々に対応するT番号341が表示される。T番号341の右隣りには、工具Taの各々を模式的に表したシンボル342が表示される。シンボル342は省略可能である。シンボル342の右隣りには、工具Taの各々の工具名343が表示される。旋削工具(本例では、T06)などの一部の工具については、加工部位を示す名称344が工具名343の右隣りに表示される。工具名343(名称344がある場合は名称344)の右隣りには、工具Taの各々の呼び(size)または呼び径(nominal diameter)の数値345が表示される。数値345の最後には小数点が記載されているが、小数点以上がmm単位であるという意味である。図9及び図10の例では、旋削工具(T06)のみにおいて呼びが表示されており、残りの工具においては呼び径が表示されている。呼びまたは呼び径のいずれが数値345として表示されるかは、工具の種類に依存する。
【0117】
数値345よりもさらに右側には、複数のパラメータが表示される。工具名343と数値345とのいずれかによってT番号341に対応する工具の対応が容易である場合、これら複数のパラメータは表示が省略されてもよい。図9及び図10の例では、エンドミル(T01)のパラメータ表示が省略されている。また、工具データ画面340の右下隅には、矢印ボタン349a、349bが表示されており、矢印ボタン349a、349bのクリックまたはタップによって、工具データ画面340に表示されるT番号341の範囲を変更することができる。
【0118】
図9を参照すると、数値345の右隣には、工具長または軸方向オフセットの数値346が表示される。工具長とは、工具Taが工具主軸114に取り付けられた状態での回転軸線A2に沿う向き(以下、軸方向と呼ぶ)の工具Taの長さである。別の言い方をすれば、工具長とは、機械座標系での工具TaのZm軸方向の長さである。軸方向オフセットとは、工具Taが工具主軸114に取り付けられた状態での、工具Taの基端点から工具Taの切刃先端部(tool tip)までの軸方向の距離である。工具Taの基端点とは、工具Taが工具主軸114に取り付けられた状態での工具Taの軸方向に沿う2つの端点のうち、工具主軸114に把持される工具Taの部分に属する端点である。別の言い方をすれば、軸方向オフセットとは、機械座標系での工具Taの基端点から切刃先端部までのZm軸方向の距離である。図9の例では、旋削工具(T06)のみにおいて軸方向オフセットが表示されており、残りの工具においては工具長が表示されている。工具長または軸方向オフセットのいずれが数値346として表示されるかは、工具の種類に依存する。
【0119】
図9を参照すると、工具データ画面340の右端に工具半径(tool radius)または径方向オフセットの数値347が表示される。なお、本実施例では工具半径が表示されているが、工具半径の代わりに工具直径が表示されてもよい。工具半径(tool radius)とは、摩耗のない(新品の)工具Taが工具主軸114に取り付けられた状態での回転軸線A2に対して垂直な向き(以下、径方向と呼ぶ)の工具Taの半径である。径方向オフセットとは、摩耗のない(新品の)工具Taが工具主軸114に取り付けられた状態での、工具Taの基端点から工具Taの刃先(cutting edge)までの径方向の座標値である。この座標値は、工具主軸台112が図1に示される姿勢であるときに、工具Taが工具主軸114に取り付けられた状態での工具Taの刃先のXm座標の値である。図9の例では、ドリル(T03)の工具半径(tool radius)は、呼び径から算出できるため、数値347の記載が省略されている。旋削工具(T06)においては径方向オフセットが数値347として表示されており、フェイスミル(T08)においては工具半径が数値347として表示されている。工具半径または軸方向オフセットのいずれが数値347として表示されるか、数値347の表示が省略されるか否かは、工具の種類に依存する。
【0120】
図10を参照すると、数値345の右隣には、軸方向累積摩耗量の数値351が表示される。軸方向累積摩耗量とは、工具Taの切刃先端部(tool tip)の軸方向の累積摩耗量である。累積摩耗量は、工具Taの使用により累積した摩耗量であって、工具Taの使用態様や使用時間から工作機械100が算出することが可能である。あるいは、プログラマもしくは作業者が工具Taの使用態様を見ながら累積摩耗量を入力してもよい。累積摩耗量を確認することによってプログラマが当該工具Taの使用の適否や交換時期を把握することができる。なお、累積摩耗量の表示は省略されてもよい。図10の例では、エンドミル(T01)やドリル(T03)においては数値351の表示が省略されている。さらに、工具データ画面340の右端に径方向累積摩耗量の数値352が表示される。径方向累積摩耗量とは、工具Taの刃先(cutting edge)の径方向の累積摩耗量である。図10の例では、エンドミル(T01)やドリル(T03)においては数値352の表示が省略されている。工具データ画面340には、上述する以外の工具情報も表示可能であるが、後段の工具データ画面の変形例340aにおいて詳細に説明する。
【0121】
T番号341、シンボル342、工具名343、加工部位を示す名称344、数値345〜347、351、352は、行ごとに対応づけられ、プログラムコード302中のT番号に関連づけられる。このように、プログラムコード302中のT番号341に関連づけられる工具情報158を第1工具情報と呼ぶ。工具情報は、第1工具情報を含み、第1工具情報は、後述するように、参照番号361、X値362、Y値363、Z値364、R値365、T番号341、シンボル342、工具名343、加工部位を示す名称344、数値345〜347、351、352のうちの少なくとも1つを含む。第1工具情報は工具の使用により累積した累積摩耗量351、352を含む。
【0122】
工具データ画面340の下端左端には、入力ボタン348が表示されている。プログラマは、プログラム編集画面300と、工具データ画面340を参照して、以下のように、プログラム中に加工に適した工具に係るT番号をプログラム中に入力することができる。(1)プログラム編集画面300中においてT番号を挿入する挿入箇所をタップ・クリック・カーソル移動等の操作で指定する。(2)工具データ画面340を参照し、加工に適した工具が表示されている行をタップまたはクリックで選択する。(3)入力ボタン348をタップまたはクリックする。これによって、プログラムコード302中の(1)によって指定された挿入箇所に(2)で選択された工具に対応するT番号が挿入される。なお、本実施形態ではT番号としてT番号341にある数字2桁の後ろに「00」を追加挿入してもよい。
【0123】
さらに、プログラマは、工具データ画面340において表示される値のうち、軸方向オフセット・径方向オフセット・摩耗量を工具データ画面340で編集可能である。この編集は、例えば、以下のような手順で行うことができる。(1)工具データ画面340上で編集する箇所をタップ・長押し・クリックなどで選択し、編集可能な状態(例えば、フォームタグとして表示)とする。(2)工作機械100の制御装置150のようにタッチパネル付きディスプレイで表示している場合、スクリーンキーボード、スクリーンテンキーボードのような入力インタフェースを追加表示する。(3)キーボードもしくは(2)で示されたスクリーン上の入力インタフェースで値を入力する。なお、上述するタップ・クリックは、それぞれ、シングルタップ・シングルクリックでも、ダブルタップ・ダブルクリックでもよい。また、編集方法は、上記の方法に限らず、別のGUI・音声入力などの他の手段が用いられてもよい。また、加工プログラム編集プログラム221(159)以外のプログラムによって、軸方向オフセット・径方向オフセット・摩耗量などが編集されてもよい。
【0124】
工具データ画面340の下端には、さらに、M06指令をプログラムコード302に入力するためのM06指令入力ボタン353が表示されている。M06指令とは、工具交換指令である。プログラムコード中では、
<交換される工具のTコード> <次に交換する予定の工具のTコード> M06;
と記述される。プログラムコード302中のM06指令を挿入する挿入箇所がタップ・クリック・カーソル移動等の操作によって指定されている状態で、M06指令入力ボタン353がクリックまたはタップされると、指定された挿入箇所にM06指令のコードが挿入される。M06指令入力ボタン353を利用した入力においては、入力ボタン348への入力は不要である。M06指令をMコード一覧画面330から入力することも可能であるが、M06指令はTコードと関連性が高いため、工具データ画面340からM06指令を直接入力できるほうがプログラミング上の利便性が高い。このため、M06指令入力ボタン353が工具データ画面340に表示されることによってプログラミングが効率化される。
【0125】
工具データ画面340の下端には、さらに、工具を指定しないT番号をプログラムコード302に入力するためのT00入力ボタン354が表示されている。T00は、工具主軸114に工具を装着しないことを指定する、または、マガジンアーム132に工具を装着しないことを指定するためのT番号である。例えば、工具交換時に次に交換する予定がないときに、上述の<次に交換する予定の工具のTコード>にT00を示すコードがプログラムコード中に記述される。プログラムコード302中のT00を挿入する挿入箇所がタップ・クリック・カーソル移動等の操作で指定されている状態で、T00入力ボタン354がクリックまたはタップされると、指定された挿入箇所にT00を示すコードが挿入される。T00入力ボタン354を利用した入力においては、入力ボタン348への入力は不要である。T00は、他の入力手段(キーボード(入力インタフェース250の1つ)、もしくは表示画面30に別途に表示されるスクリーンキーボード)から入力することも可能であるが、M06指令と組み合わせて利用する頻度が多い。このため、T00入力ボタン354がM06指令入力ボタン353と同じ画面(工具データ画面340)に表示されることによってプログラミングが効率化される。
【0126】
図9及び図10において示された工具データ画面340の表示態様は、単なる一例であって、他の表示態様であってもよい。例えば、ボタンやテキストの表示位置は、図9及び図10に示されたものでなくてもよい。また、入力ボタン348はテキストではなく、記号や図柄によって表されてもよく、矢印ボタン349a、349bは他の記号や図柄によって表されてもよい。なお、図9及び図10では、工具データ画面340において工具TaがT番号順に表示されているが、過去の使用回数の多い順、または、過去の所定期間内において使用回数の多い順に工具Taが表示されてもよい。さらに、数値346、347については、後述する工具長オフセットの1つとして利用することもできるが、これについては後段の工具データ画面の変形例340aで説明する。
<工具オフセット>
次に、工具オフセット画面360を説明するにあたり、工具オフセット画面360で指定する工具長補正、工具径補正、ノーズR補正の概念について説明する。工具長補正(tool length compensation)とは、基準点Psと工具Taの切刃先端部の位置ずれ(オフセット)を補正することをいう。図11図12に示すように、基準点Psは、機械原点Omを通るZm軸に位置し、上述する、工具Taが工具主軸114に取り付けられた状態での工具Taの基端点に一致する。機械原点Omに対する工具Taの切刃先端部の位置は、工具Taの種類、摩耗状態によって千差万別である。このため、加工プログラム157では、あたかも機械原点OmがワークW1の切削位置を通るかのようにプログラムコードが記述されるが、機械原点Omに対する工具Taの切刃先端部の位置は工具長オフセット(tool length offset)としてプログラムされる動きとは別に管理され、工作機械100は、工具長オフセットを補正して加工プログラム157を実行する。
【0127】
具体的には、図11図12に示すように、工具長オフセットは、機械座標系での機械原点Omに対する工具Taの切刃先端部Egの位置(Xf,Yf,Zf)で定義される。Xfは、工具Taの切刃先端部EgのXm座標である。Yfは、工具Taの切刃先端部EgのYm座標である。Zfは、工具Taの切刃先端部EgのZm座標である。Xfは、工具主軸114内の基準点Psを機械座標系の原点としたときの切刃先端部EgのXm座標Xsdと一致する。Yfは、当該基準点Psを機械座標系の原点としたときの切刃先端部EgのYm座標Ysdと一致する。Zfは、当該基準点PsのZm座標Zpと、当該基準点Psを機械座標系の原点としたときの切刃先端部EgのZm座標Zsdとの和である。Zpは、工作機械100の仕様によってあらかじめ定められている。
【0128】
(Xsd,Ysd,Zsd)は、形状オフセットと摩耗補正パラメータの2つの和によって求められる。形状オフセットとは、摩耗のない(新品の)工具Taが工具主軸114に取り付けられた状態での、工具Taの基端点(工具主軸114内の基準点Ps)を原点としたときの、切刃先端部EgまでのXm座標、Ym座標、Zm座標(Xs,Ys,Zs)である。Zsは、上述する工具Taの軸方向オフセットと一致する。ドリルのような径方向の形状が略円形である工具においては、Xs及びYsは、上述する径方向オフセットと一致する。摩耗補正パラメータは、工具Taが摩耗したことにより、上述する形状オフセットからずれたずれ量を機械座標系で表現したものである。摩耗補正パラメータのXm座標の値、Ym座標の値、Zm座標の値を、それぞれXd、Yd、Zdとするとき、工具長オフセットXf,Yf,Zfは、以下の式により表される。
Xf=Xsd=Xs+Xd
Yf=Ysd=Ys+Yd
Zf=Zp+Zsd=Zp+Zs+Zd
つぎに、工具径補正(tool radius compensation)の概念について説明する。工具径補正とは、ミル加工・削孔加工において、基準点Psと工具Taの刃先(cutting edge)(工具Taの回転軸A2方向からみた工具Taの最大径をなす周縁部(periphery))の位置ずれ(オフセット)を補正することをいう。機械原点Omに対する工具Taの刃先の位置は、工具Taの種類、摩耗状態によって千差万別である。このため、加工プログラム157では、あたかも機械原点OmがワークW1の切削位置を通るようにプログラムコードが記述されるが、機械原点Omに対する工具Taの刃先の位置は工具径オフセット(tool radius offset)として別に管理され、工作機械100は、工具径オフセットを補正して加工プログラム157を実行する。
【0129】
図13は、目標外形(target contour)Ctの外側をミル加工する場合に、工具径補正を行った場合の工具の経路Lcの一例を示す。図13では、工具径オフセットDfは、工具Taの回転軸A2方向から見た機械原点Omと工具Taの刃先との間の距離である。工具径補正によって、工具Taの機械原点Omが、目標外形Ctから工具径オフセットDf以上離間した経路Lcを移動するように制御される。目標外形Ct内側と目標外形Ct外側のどちら側に補正するか(NCプログラムではG41指令またはG42指令のいずれを用いるかによって切刃進行方向の左右どちら側かで規定する)を与えれば、経路Lcを公知の方法で数学的に求めることができる。
【0130】
図14は、ミル工具における工具径オフセットDfを示す図である。図14では、ミル工具の工具径オフセットDfを例示しているが、削孔加工に利用されるドリルにおいても同様に考えてよい。工具半径(tool radius)をRsとし、工具Taの回転軸A2に対する径方向の摩耗量Rdとするとき、工具径オフセットDfは、以下の式により表される。
Df=Rs+Rd
つぎに、ノーズR補正(nose radius compensation)の概念について説明する。工具の刃先(nose)は、一般に丸みをもっているため、工具長オフセットから規定される仮想刃先点(imaginary tool tip)EgvがワークW1と接触せず、仮想刃先点Egvとは別の曲率半径Rの円弧によって形状が定義された刃先(cutting edge)EgがワークW1と接触することとなる。このような状況で、仮想刃先点Egvを工具の先端とみなしてプログラミングすると、図15に示すように目標外形Ctとずれた外形Crに加工されてしまう。図15は、仮想刃先点Egvが刃先Egの外部にあるために、曲率半径Rの円弧の中心Eoが目標外形Ctから曲率半径Rよりも大きく離間する経路Loを通ることにより目標外形Ctとずれた外形Crに加工されてしまう例を示している。ノーズR補正は、ワーク座標系における刃先Egの形状を規定する円弧の中心Eoから仮想刃先点Egvに向かう方向(刃先方向(nose direction))、及び、当該円弧の曲率半径Rに基づいて、当該円弧の中心Eoの経路が目標外形Ctから曲率半径Rだけ離間する経路Lcとなるように仮想刃先点Egvの移動経路を補正することをいう。これにより、図15に示すように、仮想刃先点Egvの経路は、目標外形CtよりもワークW1内側を通る経路Lvcとなるように補正される。なお、仮想刃先点Egvの経路Lvcから機械原点Omの移動経路を求めるのは、工具長補正を用いて行うことができる。
【0131】
図16は、刃先方向を例示したものである。図16は、8通りの刃先方向に加えて、ワーク座標系のY軸に垂直な全ての刃先方向に対応した特殊な刃先を刃先方向[0](及び、刃先方向[9])とした合計9つの刃先方向を図示している。刃先方向[1]は、ワーク座標系のX軸正方向且つZ軸正方向に向かう方向である。刃先方向[2]は、ワーク座標系のX軸正方向且つZ軸負方向に向かう方向である。刃先方向[3]は、ワーク座標系のX軸負方向且つZ軸負方向に向かう方向である。刃先方向[4]は、ワーク座標系のX軸負方向且つZ軸正方向に向かう方向である。刃先方向[5]は、ワーク座標系のZ軸正方向に向かう方向である。刃先方向[6]は、ワーク座標系のX軸正方向に向かう方向である。刃先方向[7]は、ワーク座標系のZ軸負方向に向かう方向である。刃先方向[8]は、ワーク座標系のX軸負方向に向かう方向である。
【0132】
ワーク座標系での円弧の中心Eoの座標を(Xo,Yo,Zo)とするとき、ワーク座標系における仮想刃先点Egvの座標(Xgv,Ygv,Zgv)は、以下のように定められる。
刃先方向[1]:(Xgv,Ygv,Zgv)=(Xo+R,Yo,Zo+R)
刃先方向[2]:(Xgv,Ygv,Zgv)=(Xo+R,Yo,Zo−R)
刃先方向[3]:(Xgv,Ygv,Zgv)=(Xo−R,Yo,Zo−R)
刃先方向[4]:(Xgv,Ygv,Zgv)=(Xo−R,Yo,Zo+R)
刃先方向[5]:(Xgv,Ygv,Zgv)=(Xo,Yo,Zo+R)
刃先方向[6]:(Xgv,Ygv,Zgv)=(Xo+R,Yo,Zo)
刃先方向[7]:(Xgv,Ygv,Zgv)=(Xo,Yo,Zo−R)
刃先方向[8]:(Xgv,Ygv,Zgv)=(Xo−R,Yo,Zo)
刃先方向[0]、[9]:(Xgv,Ygv,Zgv)=(Xo,Yo,Zo)
目標外形Ct内側と目標外形Ct外側のどちら側に補正するか(NCプログラムではG41指令またはG42指令のいずれを用いるかによって切刃進行方向の左右どちら側かで規定する)を与えれば、該円弧の中心Eoの経路Lcを公知の方法で数学的に求めることができる。そして、刃先方向が与えられると、上述の(Xo,Yo,Zo)と(Xgv,Ygv,Zgv)との対応関係から仮想刃先点Egvの経路Lvcが求められる。経路Lvcが求められると、仮想刃先点Egvを切刃先端部Egとみなした工具長補正によって経路Lvcから機械原点Omの移動経路を求められる。
【0133】
また、ノーズR補正においても摩耗の概念を導入することができる。この場合、摩耗のない(新品の)工具Taの工具長に工具長補正で使用される摩耗補正パラメータを加えることによって工具長オフセット(Xf,Yf,Zf)を求め、摩耗がないときの曲率半径Roから、摩耗量Rdを減じることによって曲率半径Rを求めればよい。
<工具オフセット画面>
図17及び図18は、工具オフセット画面360の表示例である。図17及び図18を参照すると、G43指令/G44指令(工具長補正)でのオフセット値を参照するためのH番号、G41指令/G42指令(工具径補正)でのオフセット値を参照するためのD番号のいずれかとして参照される参照番号361が、工具オフセット画面360の左端に表示される。この参照番号361は、工具Taと直接関連づけられない。図17図18とは、図示しない切替ボタンによって切り替えられる。
【0134】
図17において、参照番号361の右隣には、工具長補正の際に利用される摩耗のない(新品の)工具Taが工具主軸114に取り付けられた状態での切刃先端部EgのXm座標、あるいは、ノーズR補正の際に利用される摩耗のない(新品の)工具Taが工具主軸114に取り付けられた状態での仮想刃先点EgvのXm座標を表すX値362が表示される。X値362の右隣には、工具長補正の際に利用される摩耗のない(新品の)工具Taが工具主軸114に取り付けられた状態での切刃先端部EgのYm座標、あるいは、刃先丸み補正の際に利用される摩耗のない(新品の)工具Taが工具主軸114に取り付けられた状態での仮想刃先点EgvのYm座標を表すY値363が表示される。Y値363の右隣には、工具長補正の際に利用される摩耗のない(新品の)工具Taが工具主軸114に取り付けられた状態での切刃先端部EgのZm座標、あるいは、ノーズR補正の際に利用される摩耗のない(新品の)工具Taが工具主軸114に取り付けられた状態での仮想刃先点EgvのZm座標を表すZ値364が表示される。工具オフセット画面360の右端には、工具径補正の際に利用される工具半径Rs、あるいは、ノーズR補正の際に利用される摩耗がないときの刃先Egの形状を規定する円弧の曲率半径Roを表すR値365が表示される。
【0135】
工具オフセット画面360の右下隅には、矢印ボタン369a、369bが表示されている。矢印ボタン369a、369bのクリックまたはタップによって、工具オフセット画面360に表示される参照番号361の範囲を変更することができる。
【0136】
図18において、参照番号361の右隣には、工具長補正あるいはノーズR補正の際に利用される摩耗補正パラメータのXm座標を表すXd値371が表示される。Xd値371の右隣には、工具長補正あるいはノーズR補正の際に利用される摩耗補正パラメータのYm座標を表すYd値372が表示される。Yd値372の右隣には、工具長補正あるいはノーズR補正の際に利用される摩耗補正パラメータのZm座標を表すZd値373が表示される。Zd値373の右隣には、工具径補正あるいはノーズR補正の際に利用される径方向の摩耗量Rdを表すRd値374が表示される。工具オフセット画面360の右端には、上述する刃先方向[0]〜[9]に対応する方向値375が表示される。工具径補正のとき、方向値375は0として表示される。
【0137】
参照番号361、X値362、Y値363、Z値364、R値365、Xd値371、Yd値372、Zd値373、Rd値374、及び方向値375は、行ごとに対応づけられ、プログラムコード302中のH番号とD番号とのうちの少なくとも1つに関連づけられる。このように、プログラムコード302中のH番号とD番号とのうちの少なくとも1つに関連づけられる工具情報158を第2工具情報と呼ぶ。工具情報は、第2工具情報を含み、第2工具情報は、参照番号361、X値362、Y値363、Z値364、R値365、Xd値371、Yd値372、Zd値373、Rd値374、及び方向値375のうちの少なくとも1つを含む。1つの参照番号361は、工具長補正、工具径補正、ノーズR補正のいずれか1つのオフセット値を管理する。つまり、第2工具情報は、工具長補正を行うためのパラメータ、工具径補正を行うためのパラメータ、ノーズR補正を行うためのパラメータのいずれかである。このような管理方法が採用されているため、工具長補正に対応する参照番号361と同じ行にあるR値365、Rd値374、及び方向値375には0が表示される。工具径補正に対応する参照番号361と同じ行にあるX値362、Y値363、Z値364、Xd値371、Yd値372、及びZd値373には0が表示される。
【0138】
工具オフセット画面360の下端には、D番号入力ボタン367、H番号入力ボタン368が表示されている。工具長補正を行う場合、(1)Gコード一覧画面320、キーボード(入力インタフェース250の1つ)等で先にG43指令又はG44指令をプログラムコード302に入力した後、プログラム編集画面300中においてH番号を挿入する挿入箇所をタップ・クリック・カーソル移動等の操作で指定する。(2)工具オフセット画面360を参照し、工具長補正に適したX値362、Y値363、Z値364、Xd値371、Yd値372、及びZd値373が表示されている行をタップまたはクリックで選択する。(3)H番号入力ボタン368をタップまたはクリックする。これによって、プログラムコード302中の(1)によって指定された挿入箇所に、(2)で選択された列の参照番号361の先頭に文字Hが付加されたH番号が挿入される。例えば、参照番号361として「3」が選択されている場合、H03もしくはH003がプログラムコード302に入力される。このように入力された参照番号361を参照するG43指令/G44指令は、G49指令が呼ばれて工具長補正がキャンセルされるか、追加のG43指令/G44指令によってオフセット値が変更されるまで有効となる。
【0139】
工具径補正を行う場合、(1)Gコード一覧画面320、キーボード(入力インタフェース250の1つ)等で先にG41指令またはG42指令をプログラムコード302に入力した後、プログラム編集画面300中においてD番号を挿入する挿入箇所をタップ・クリック・カーソル移動等の操作で指定する。(2)工具オフセット画面360を参照し、工具径補正に適したR値365、Rd値374、及び方向値375が表示されている行をタップまたはクリックで選択する。なお、工具径補正とノーズR補正とのいずれの場合においてもG41指令またはG42指令が利用されるため、方向値375が参照される。このため、工具径補正においては、方向値375が0または9である行が選択される必要がある。一般的には、方向値375は0に指定される。最後に、(3)D番号入力ボタン367をタップまたはクリックする。これによって、プログラムコード302中の(1)によって指定された挿入箇所に、(2)で選択された列の参照番号361の先頭に文字Dが付加されたD番号が挿入される。例えば、参照番号361として「5」が選択されている場合、D05もしくはD005がプログラムコード302に入力される。このように入力された参照番号361を参照するG41指令/G42指令は、G40指令が呼ばれて工具径補正がキャンセルされるか、追加のG41指令/G42指令によってオフセット値が変更されるまで有効となる。
【0140】
ノーズR補正を行う場合、まず、(1)仮想刃先点Egvに係る工具長オフセットを上述する工具長補正によって補正する。工具長補正は、G43指令/G44指令によってなされてもよいが、T番号によってなされることもある。これについては後段の工具データ画面の変形例340aで説明する。つぎに、(2)Gコード一覧画面320、キーボード(入力インタフェース250の1つ)等で先にG41指令またはG42指令をプログラムコード302に入力した後、プログラム編集画面300中においてD番号を挿入する挿入箇所をタップ・クリック・カーソル移動等の操作で指定する。(3)工具オフセット画面360を参照し、ノーズR補正に適したR値365、Rd値374、及び方向値375が表示されている行をタップまたはクリックで選択する。ノーズR補正では、仮想刃先点Egvと円弧の中心Eoとの位置ずれを、工作機械100が方向値375を参照して補正するため、(1)に係る補正においては、仮想刃先点Egvに係る工具長オフセットをプログラマは考慮すればよい。最後に、(4)D番号入力ボタン367をタップまたはクリックする。これによって、プログラムコード302中の(2)によって指定された挿入箇所に、(3)で選択された列の参照番号361の先頭に文字Dが付加されたD番号が入力される。例えば、参照番号361として「8」が選択されている場合、D08もしくはD008がプログラムコード302に挿入される。このように入力された参照番号361を参照するG41指令/G42指令は、G40指令が呼ばれて工具径補正がキャンセルされるか、追加のG41指令/G42指令によってオフセット値が変更されるまで有効となる。
【0141】
工具オフセット画面360は、このように、参照番号361、X値362、Y値363、Z値364、R値365、Xd値371、Yd値372、Zd値373、Rd値374、及び方向値375を表示し、D番号・H番号に係るパラメータを1つの補助画面で管理しているため、補助画面310の数を減少させることができる。さらには、工具オフセット画面360には、D番号入力ボタン367、H番号入力ボタン368が表示され、これらのボタン操作によって参照番号361をD番号・H番号に変換してプログラムコード302へ挿入することができる。これによってプログラマは、選択したパラメータをプログラムコード302に簡単に入力することができる。
【0142】
なお、図17及び図18において示された工具オフセット画面360の表示態様は、単なる一例であって、他の表示態様であってもよい。例えば、ボタンやテキストの表示位置は、図17及び図18に示されたものでなくてもよい。また、D番号入力ボタン367、H番号入力ボタン368はテキストではなく、記号や図柄によって表されてもよく、矢印ボタン369a、369bは他の記号や図柄によって表されてもよい。なお、図17及び図18では、工具オフセット画面360において参照番号361順にパラメータが表示されているが、過去の使用回数の多い順、または、過去の所定期間内において使用回数の多い順にパラメータが表示されてもよい。
<マクロ変数画面>
図19は、マクロ変数画面380の表示例である。マクロ変数画面380とは、加工プログラム157で使用されるマクロ変数の数値、及び、マクロ変数の内容を表示する画面である。マクロ変数とは、プログラムコード中において、繰り返し利用される数値に対応づけられる変数である。マクロ変数によって、プログラムコード中において繰り返し利用される数値の変更を容易とすることができる。マクロ変数には、工作機械100で実行される全ての加工プログラム中で共通に利用できるコモン変数(100番台、500番台が多く用いられる)と、1つの加工プログラム内で利用できるローカル変数(一般的に、#1〜#33が用いられる)と、工作機械100のシステムパラメータを管理するシステム変数(一般的に、1000番台以降が用いられる)がある。
【0143】
図19では、マクロ変数画面380は、コモン変数の数値、及び、内容を表示している。マクロ変数画面380は、ローカル変数、システム変数についても同様に表示してもよいが、ローカル変数・システム変数の表示例については説明を省略する。マクロ変数画面380では、左端に変数名381が表示される。変数名381の右隣りには、変数名381で示されるマクロ変数に入力される数値382が表示される。
【0144】
マクロ変数画面380の右端には、変数名381で示されるマクロ変数に対応するコメント383が表示される。変数名381、数値382、コメント383は、行ごとに対応づけられている。マクロ変数画面380の右上隅には、コメント表示切替ボタン384が表示される。コメント表示切替ボタン384のクリックまたはタップによって、マクロ変数画面380中のコメント383の表示/非表示が切り替えられる。また、マクロ変数画面380の右下隅には、矢印ボタン389a、389bが表示されており、矢印ボタン389a、389bのクリックまたはタップによって、マクロ変数画面380に表示される変数名381の範囲を変更することができる。
【0145】
マクロ変数画面380の下端左側には、変数入力ボタン385、及び、コメント入力ボタン386が表示される。変数名381、数値382、及び、コメント383は、行ごとに対応づけされて管理されるため、変数名381、数値382、及びコメント383のうちのどれか1つがクリックまたはタップされると、クリックまたはタップされた項目と同じ行に係る変数名381、数値382、コメント383が選択され、白黒反転表示などがされる。その状態で変数入力ボタン385がクリックまたはタップされると、選択されている変数名381に係るマクロ変数が、プログラムコード302中の挿入箇所に挿入される。また、その状態でコメント入力ボタン386がクリックまたはタップされると、選択されているコメント383の両側に丸括弧を追加した文字列が、プログラムコード302中の挿入箇所に挿入される。具体的には、図19において例えば、#100が選択されているときに、コメント入力ボタン386がクリックまたはタップされると、文字列(WORK−NUM)がプログラムコード302中の挿入箇所に挿入される。
【0146】
さらに、特定の変数名381、数値382、コメント383がクリックまたはタップされると、選択された変数名381、数値382、コメント383を編集するためのポップアップウィンドウが表示される。プログラマは、当該ポップアップウィンドウ中で数値382、コメント383を編集したり、まだ数値382が割り当てられていないマクロ変数を設定したりすることができる。
【0147】
図19において示されたマクロ変数画面380の表示態様は、単なる一例であって、変数名381と数値382とが表示されていれば他の表示態様であってもよい。例えば、ボタンやテキストの表示位置は、図19に示されたものでなくてもよい。また、コメント表示切替ボタン384、変数入力ボタン385、コメント入力ボタン386はテキストではなく、記号や図柄によって表されてもよく、矢印ボタン389a、389bは他の記号や図柄によって表されてもよい。また、コメント383、コメント表示切替ボタン384、コメント入力ボタン386は省略されてもよい。さらに、図19では、マクロ変数画面380においてマクロ変数の番号順に変数名381が表示されているが、過去の使用回数の多い順、または、過去の所定期間内において使用回数の多い順に変数名381が表示されてもよい。
<マクロ入力画面>
図20は、マクロ入力画面390の表示例である。マクロ入力画面390とは、マクロをGUIによって簡単に入力するための画面である。本実施形態においては、マクロとは、プログラミングにおいて利用される文字セット(character set)のことを指す。当該文字セットは、汎用的もしくは頻繁に用いられる文字セットであることが望ましい。マクロは、プログラムコードにおいて制御構造(control structure)を規定するための演算子391(以下、制御命令(control command)391と呼ぶ)、数学関数を表す関数コード392、比較演算子(comparative operator)393、及び、外部出力コマンド394を含む。
【0148】
ここで、関数コード392のうち、BCDとは、バイナリデータをBCD(Binary-Coded Decimal)データに変換する関数である。BINとは、BCDデータをバイナリデータに変換する関数である。FIXとは、小数点以下切り捨ての関数である。FUPとは、小数点以下切り上げの関数である。ROUNDとは、四捨五入によって整数を出力する関数である。比較演算子393のうち、EQは"equal"を表し、NEは"not equal"を表し、GTは、"greater than"を表し、LTは"less than"を表し、GEは"greater than or equal to"を表し、LEは"less than or equal to"を表す。外部出力コマンド(external output command)394のうち、POPENはRS232Cポートオープンのコマンドである。POPENは、外部データ出力の前に呼び出される。PCLOSはRS232Cポートクローズのコマンドである。PCLOSは外部データ出力が完了した時点で呼び出される。DPRNTは引数(文字列及び/又は数値)をISOコードで出力するコマンドである。BPRNTは引数(文字列及び/又は数値)をバイナリ形式で出力するコマンドである。BCD・BIN・FIX・FUP・ROUND以外の関数コード392及び制御命令391については、汎用的なプログラム言語でも用いられており、広く知られているため説明を省略する。
【0149】
マクロ入力画面390の下端には、入力ボタン395が表示される。制御命令391、関数コード392、比較演算子393、及び、外部出力コマンド394のどれか1つがクリックまたはタップされると、クリックまたはタップされたコードが選択され、白黒反転表示などがされる。その状態で入力ボタン395がクリックまたはタップされると、選択されているコードがプログラムコード302中の挿入箇所に挿入される。
【0150】
マクロ入力画面390では、さらに、上述する文字セット391〜394と組み合わせて利用される記号(symbol)の入力ボタン―算術演算子(arithmetic operator)キーボタン396、スペースキーボタン397、及び改行キーボタン398が表示されている。つまり、当該記号とは、算術演算子、空白文字、改行文字を含む。NCプログラムにおいて、改行文字とは、「;」(EOB)を含む。なお、図20には表示されていないが、マクロ入力画面390には、0から9までの数字キー(numeric key)ボタン、小数点キー(decimal key)ボタンが付加的に表示されてもよい。マクロ入力画面390は、上述のマクロを表示するばかりでなく、マクロと組み合わせて利用される記号の入力ボタン396〜398も併せて表示しているため、プログラミング補助画面(programming assistance screen)と称してもよい。
【0151】
算術演算子キーボタン396がクリックまたはタップされると、クリックまたはタップされたボタンに対応する演算子がプログラムコード302中の挿入箇所に挿入される。スペースキーボタン397がクリックまたはタップされると、スペースがプログラムコード302中の挿入箇所に挿入される。改行キーボタン398がクリックまたはタップされると、改行文字(「;」(EOB))がプログラムコード302中の挿入箇所に挿入される。算術演算子キーボタン396、スペースキーボタン397、及び改行キーボタン398を利用した入力においては、入力ボタン395への入力は不要である。なお、加工プログラム編集プログラム221は、入力ボタン396〜398以外に、コンピュータ200に接続されているキーボード(入力インタフェース250の1つ)、もしくは表示画面30に別途に表示されるスクリーンキーボードから算術演算子・スペース・改行の入力を受け付けてもよい。加工プログラム編集プログラム159は、入力ボタン396〜398以外に、表示画面30に別途に表示されるスクリーンキーボードから算術演算子・スペース・改行の入力を受け付けてもよい。
【0152】
数学関数を規定する関数コード392、外部出力コマンド394、及び演算子391、393の少なくとも1つを含む文字セットを表示する補助画面(プログラミング補助画面)であるマクロ入力画面390では、当該文字セット(マクロ)391〜394と組み合わせて利用される記号の入力ボタン396〜398も併せて表示される。このため、特に工作機械100のタッチパネル付きディスプレイ154において別途のスクリーンキーボードの表示を行った上で入力する手間を省くことができる。その結果、工作機械100でのプログラミングが効率化される。
【0153】
関数コード392の引数、比較演算子393の比較対象値、及び、外部出力コマンド394の引数には、上述のマクロ変数が入力される場合も多い。このような場合、マクロ変数画面380を第1補助画面312と第2補助画面314とのうちの一方、マクロ入力画面390を第1補助画面312と第2補助画面314とのうちの他方に表示することによってプログラムをより効率的に行うことができる。
【0154】
なお、図20において示されたマクロ入力画面390の表示態様は、単なる一例であって、他の表示態様であってもよい。例えば、ボタンやテキストの表示位置は、図20に示されたものでなくてもよい。入力ボタン395、スペースキーボタン397はテキストではなく、記号や図柄によって表されてもよい。スペースキーボタン397は、無地のスペースバーボタンとして表示されてもよい。改行キーボタン398は、テキストまたは、他の記号や図柄によって表されてもよい。また、算術演算子キーボタン396、スペースボタン397、及び改行キーボタン398の少なくとも1つは省略されてもよい。制御命令391、関数コード392、比較演算子393、及び、外部出力コマンド394は、図20に表示されたコードの以外のコードを含んでもよく、図20に表示されたコードの一部が省略されてもよい。
<工具データ画面の変形例>
基本的な表示画面30の説明は以上である。しかし、拡張的な機能として、工具データ画面340において工具オフセット画面360で管理されるパラメータ361〜365、371〜375を、T番号に紐づけて管理することも可能である。この場合、T番号にかかる工具Taに交換される際に、プログラムコード302中のG43指令、G44指令の有無に関わらず、T番号に紐づけられて管理されたパラメータ361〜365、371〜375に基づいて工具長補正が実行される。工作機械100の設定によって、G43指令及びG44指令による工具長補正のみを有効にしたり、T番号による工具長補正のみを有効にしたり、両方の指定による工具長補正を有効にしたりすることが可能である。両方の指定による工具長補正が有効であるとき、T番号による補正値と、G43指令及びG44指令による補正値が合算されて、工具長補正が行われる。なお、工具径補正及びノーズR補正は、工具データ画面340の表示の有無に関わらず、プログラムコード中にG41指令またはG42指令を記載する必要がある。
【0155】
工具Taによっては異なる刃の端面を利用して異なる切削加工を可能とするものもある。そのような工具における工具Taの端面のそれぞれは、異なるパラメータ361〜365、371〜375を有することとなる。このような端面を管理するにあたり、T番号341の整数部分(もしくは上から所定桁分)で工具Taを特定し、小数点以下(もしくは上記所定桁分以降)で異なる端面を指定することができる。このような端面を規定する符号をサフィックスと呼ぶ。T番号341の数値とサフィックスとを組み合わせて1つの工具Taを指定する場合もあるが、そのような場合については説明を省略する。
【0156】
図21は、工具データ画面340の変形例340aを示す。図21では、複数の用途で用いられるT番号が3であるドリルと、T番号が5である旋削工具とが表示されている。これらの工具については、数値345の右隣にサフィックス341aが表示されている。サフィックス341aはアルファベットで表記されているが、プログラムコードにT番号として入力される際には、ABC…Zが「01」「02」「03」…「26」に変換されるか、ABC…Zが「61」「62」「63」…「86」に変換される。サフィックス341aが表示されていない工具については、プログラムコード302に入力されるT番号の最後には、サフィックスとして00が付加される。以降の説明において、図21の工具を説明する際には、プログラムコード302にて出力されるT番号を利用して説明する。例えば、旋削ドリルについては、T番号が3.08といった形で説明する。なお、サフィックス341aがアルファベットで表示されるのではなく、数字で表示されてもよい。また、サフィックス341aの表示位置は他の場所(例えば、T番号341とシンボル342との間)であってもよい。
【0157】
本変形例では、T番号341とサフィックス341aとの組み合わせから参照される情報として、工具オフセット画面360で管理されるX値362、Y値363、Z値364、R値365、Xd値371、Yd値372、Zd値373、Rd値374、及び方向値375の少なくとも1つに相当する数値を含む。また、数値345は、R値365またはX値362に相当するものであるとして、数値346は、Z値364に相当するものとして、数値347は、X値362またはR値365に相当するものとして管理されてもよい。
【0158】
T番号が3.00のドリルと、T番号が3.08の旋削ドリルは工具としては同一である。しかし、T番号が3.00のドリルは、削孔加工に用いられるため、加工においては工具径補正が必要となる。一方、T番号が3.08の旋削ドリルは旋削加工に用いられるため、加工においては工具長補正(もしくはノーズR補正)が必要となる。このように同じ工具であっても別の補正が必要であるパラメータを管理するのにサフィックス341aは有効である。T番号による工具長補正、工具径補正、及び、ノーズR補正が有効である場合において、T03.00(T003.00)がプログラムコード302において指定されると、例えば呼び径5.0mmを考慮した工具径補正が設定される。T03.08(T003.08)がプログラムコード032において指定されると、例えば工具長オフセットが(5.0,0.0,123.0)となる工具長補正が設定される。工作機械100のプロセッサ151は、加工プログラム157の実行時には、G41指令、G42指令、G43指令、G44指令の代わりに、加工部位を示す名称344、サフィックス341aの範囲などを参照し、工具長補正、工具径補正、及び、ノーズR補正のいずれの補正が適切か判定してもよい。
【0159】
プログラマは、プログラム編集画面300と、工具データ画面340を参照して、以下のように、プログラム中に加工に適した工具長補正、工具径補正、及び、ノーズR補正に係るT番号をプログラム中に入力することができる。(1)プログラム編集画面300中においてT番号を挿入する挿入箇所をタップ・クリック・カーソル移動等の操作で指定する。(2)工具データ画面340を参照し、加工に適した工具及び切削加工における誤差を補正するためのパラメータが表示されている行をタップまたはクリックで選択する。(3)入力ボタン348をタップまたはクリックする。これによって、プログラムコード302中の(1)によって指定された挿入箇所に(2)で選択された工具に対応するサフィックス入りのT番号が入力される。
<加工プログラムの編集方法、加工プログラム編集プログラムの処理の流れ>
次に、本実施形態における旋削加工を説明する。図22は、本実施形態における加工プログラムの編集方法、及び、加工プログラム編集プログラム221(159)の処理を示すフローチャートである。プロセッサ210(151)は、加工プログラム編集プログラム221(159)を実行すると、図22に示す動作を行う。まず、プロセッサ210(151)は、工作機械100に装着可能な工具Taの工具情報158を取得する(ステップS1)。工具情報158とは、例えば、工具Taに対応するT番号341、工具Taの名称(工具名)343、工具Taの寸法345〜347、並びに、切削加工における誤差を補正するためのパラメータ362〜365、371〜375の少なくとも1つを含む。切削加工における誤差を補正するためのパラメータは、工具長補正を行うためのパラメータ362〜364・371〜373、工具径補正を行うためのパラメータ365・374・375、及びノーズR補正を行うためのパラメータ365・374・375の少なくとも1つを含む。
【0160】
工具情報158は、工具Taの使用により累積した累積摩耗量351、352をさらに含むことが好ましい。工具情報158は、加工プログラム編集プログラム221(159)を実行する機械中のメモリ220(152)に保存されているものを読み込んでもよいが、工作機械100のメモリ152に記憶されている最新の工具情報158を取得してもよい。特に、累積摩耗量351・352は、工作機械100が工具Taの使用態様や使用時間から工作機械100(プロセッサ151)によって算出され、メモリ152によって記憶され、プロセッサ210によってネットワーク290経由で読みだされてもよい。これによって、様々な加工プログラム157に利用される工具Taの累積摩耗量351、352を一元的に管理することができる。
【0161】
つぎに、プロセッサ210(151)は、工作機械100を制御するための加工プログラム157のプログラムコード302を表示するプログラム編集画面300をディスプレイ240(154)に表示する処理を実行する(ステップS2)。プログラムコード302が編集中である場合、プロセッサ210(151)は、編集中のプログラムコードをメモリ220(152)から読み込んでディスプレイ240(154)に表示する。つぎに、少なくとも1つの補助画面310(第1補助画面312及び第2補助画面314)に表示する最初の表示情報を指定する(ステップS3)。表示情報とは、工具データ画面340、工具オフセット画面360、マクロ変数画面380、マクロ入力画面390、Gコード一覧画面320、Mコード一覧画面330のいずれかから選択される。ステップS3においては、デフォルトであらかじめ選択された表示画面、プログラマの利用頻度の高い表示画面、または、プログラムコード302が編集中である場合前回の編集終了時に表示されていた表示画面であることが好ましい。
【0162】
つぎに、プロセッサ210(151)は、少なくとも1つの補助画面310を表示する処理を実行する(ステップS4)。より具体的には、プロセッサ210(151)は、少なくとも1つの補助画面310として、第1補助画面312と第2補助画面314とをディスプレイ240(154)に表示する処理を実行する。プロセッサ210(151)は、ディスプレイ240(154)に、プログラム編集画面300と少なくとも1つの補助画面310とをディスプレイ240(154)に並べて表示する処理を実行する。ステップS4においては、プロセッサ210(151)は、少なくとも1つの補助画面310に表示する情報(表示情報)を、工具情報、制御方法、並びに、工具情報及び制御情報以外の他の情報との中から選択するための表示情報選択画面316をディスプレイ240(154)にさらに表示する処理を実行する。当該他の情報は、プログラムコード302において規定するマクロ変数(マクロ変数画面380で表示されるマクロ変数)、プログミングにおいて利用される文字セット391〜394(マクロ入力画面390で表示される文字セット)の少なくとも1つを含む。さらに、プロセッサ210(151)は、第1補助画面312と第2補助画面314とのいずれかを指定する切替設定画面318をディスプレイ240(154)に表示する処理を実行する。
【0163】
つぎに、プロセッサ210(151)は、表示情報の切替要求があるか否かを判定する(ステップS5)。プロセッサ210(151)は、表示情報選択画面316のOKボタン317が操作されたイベントを検出することによって当該切替要求の有無を判定することができる。表示情報の切替要求があるとき(ステップS5でYes)、プロセッサ210(151)は、切替設定画面318において指定されている補助画面の情報を取得して、当該情報に基づいて表示情報を切り替える補助画面を指定する(ステップS6)。そして、プロセッサ210(151)は、表示情報選択画面316において選択された表示情報をメモリ220(152)から読み込む(ステップS7)。そして、ステップS4に戻り、プロセッサ210(151)は、表示情報選択画面316において選択された表示情報を少なくとも1つの補助画面310に表示する処理を実行する(ステップS4)。より具体的には、プロセッサ210(151)は、切替設定画面318にて指定された補助画面に、表示情報選択画面316において選択された表示情報を表示する。
【0164】
ここで、ステップS3においてマクロ変数画面380とマクロ入力画面390とが指定された直後のステップS4においては、第1補助画面312及び第2補助画面314は、工具Taの工具情報と工具Taの制御方法とのうちのいずれも表示しない。しかし、仮にステップS3において、マクロ変数画面380とマクロ入力画面390とが指定された場合であっても、上述したステップS7において工具データ画面340、工具オフセット画面360、Gコード一覧画面320、Mコード一覧画面330のいずれかが表示されることとなるため、その後再び実行されるステップS4においては、少なくとも1つの補助画面310は、工具Taの工具情報と工具Taの制御方法とのうち少なくとも1つを表示することとなる。なお、工具Taの制御方法の表示とは、Gコード一覧画面320とMコード一覧画面330とのうちのいずれかの表示を意味する。
【0165】
以上により、ステップS4においては、プロセッサ210(151)は、工具データ画面340、工具オフセット画面360、マクロ変数画面380、マクロ入力画面390、Gコード一覧画面320、Mコード一覧画面330を少なくとも1つの補助画面310(第1補助画面312及び第2補助画面314)に表示する処理を実行することが可能である。プロセッサ210(151)、ディスプレイ240(154)は、それらを表示するにあたり以下のような特徴的な動作を行う。
(1)プロセッサ210(151)は、少なくとも1つの補助画面310のうちの1つの補助画面に、Gコードと、Gコード以外のカスタマイズドコード(Mコード)とのいずれか一方のコードを表示する処理を実行する。ディスプレイ240(154)は、少なくとも1つの補助画面310のうちの1つの補助画面に、Gコードと、Gコード以外のカスタマイズドコードとのいずれか一方のコードを表示する。
(2)プロセッサ210(151)は、当該1つの補助画面に、当該いずれか一方のコードの制御内容322、332をさらに表示する処理を実行する。ディスプレイ240(154)は、少なくとも1つの補助画面310のうちの1つの補助画面に、Gコードと、Gコード以外のカスタマイズドコードとのいずれか一方の制御内容を表示する。
(3)プロセッサ210(151)は、当該1つの補助画面に、EOBを入力するためのキーボタン329、339をさらに表示する処理を実行する。ディスプレイ240(154)は、少なくとも1つの補助画面310のうちの1つの補助画面に、EOBを入力するためのキーボタン329、339を表示する。
(4)プロセッサ210(151)は、少なくとも1つの補助画面310のうちの1つの補助画面に、第1工具情報(プログラムコード302中のT番号341に関連づけられる工具情報158:341〜347、351、352の少なくとも1つ)と第2工具情報(プログラムコード302中のH番号とD番号とのうちの少なくとも1つに関連づけられる工具情報158:361〜365、371〜375のうちの少なくとも1つ)とのいずれか一方を表示する処理を実行する。ディスプレイ240(154)は、少なくとも1つの補助画面310のうちの1つの補助画面に、第1工具情報と第2工具情報とのいずれか一方を表示する。
(5)プロセッサ210(151)は、当該第1工具情報を表示する補助画面(工具データ画面340)に、M06指令をプログラムコード302に入力するためのM06指令入力ボタン353をさらに表示する処理を実行する。ディスプレイ240(154)は、当該第1工具情報を表示する補助画面(工具データ画面340)に、M06指令をプログラムコード302に入力するためのM06指令入力ボタン353をさらに表示する。
(6)プロセッサ210(151)は、当該第1工具情報を表示する補助画面(工具データ画面340)に、工具Taを指定しないT番号をプログラムコード302に入力するためのT00入力ボタン354をさらに表示する処理を実行する。ディスプレイ240(154)は、当該第1工具情報を表示する補助画面(工具データ画面340)に、工具Taを指定しないT番号をプログラムコード302に入力するためのT00入力ボタン354をさらに表示する。
(7)プロセッサ210(151)は、当該第2工具情報を表示する補助画面(工具オフセット画面360)に、当該第2工具情報と関連付けられた参照番号361と、当該参照番号361をプログラムコード302中にH番号として入力するためのH番号入力ボタン368と、当該参照番号361をプログラムコード302中にD番号として入力するためのD番号入力ボタン367と、をさらに表示する処理を実行する。ディスプレイ240(154)は、当該第2工具情報を表示する補助画面(工具オフセット画面360)に、当該第2工具情報と関連付けられた参照番号361と、当該参照番号361をプログラムコード302中にH番号として入力するためのH番号入力ボタン368と、当該参照番号361をプログラムコード302中にD番号として入力するためのD番号入力ボタン367と、をさらに表示する。
(8)プロセッサ210(151)は、文字セット391〜394を表示する補助画面(マクロ入力画面390)に、文字セット391〜394と組み合わせて利用される記号の入力ボタン396〜398をさらに表示する処理を実行する。ディスプレイ240(154)は、文字セット391〜394を表示する補助画面(マクロ入力画面390)に、文字セット391〜394と組み合わせて利用される記号の入力ボタン396〜398をさらに表示する。
【0166】
つぎに、表示情報の切替要求がないとき(ステップS5でNo)、プロセッサ210(151)は、プログラムコード302中において、新たにコードを挿入する挿入箇所を指定する(ステップS8)。制御装置150においては、プロセッサ151は、タッチパネル付きディスプレイ154のタッチパネルによるタップによって挿入箇所を指定することができる。コンピュータ200においては、プロセッサ210は、入力インタフェース250のうちのマウスによるクリックや入力インタフェース250のうちのキーボードによるカーソル移動によって挿入箇所を指定することができる。
【0167】
つぎに、少なくとも1つの補助画面310において、プログラムコード302に挿入される少なくとも1つの挿入情報が選択される(ステップS9)。少なくとも1つの補助画面310に工具データ画面340、工具オフセット画面360、Gコード一覧画面320、Mコード一覧画面330が表示されている場合、上述の工具情報と上述の制御方法とのうちの少なくとも1つの情報が選択される。例えば以下のように挿入情報が選択される。
(1)Gコード一覧画面320において、Gコード321の行がタップまたはクリックで選択される。
(2)Mコード一覧画面330において、Mコード331の行がタップまたはクリックで選択される。
(3)工具データ画面340において、工具(及び切削加工における誤差を補正するためのパラメータが表示されている行)がタップまたはクリックで選択される。
(4)工具オフセット画面360において、切削加工における誤差を補正するためのパラメータが表示されている行がタップまたはクリックで選択される。
(5)マクロ変数画面380において、変数名381が表示されている行がクリックまたはタップされる。
(6)マクロ入力画面390において、制御命令391、関数コード392、比較演算子393、及び、外部出力コマンド394のどれか1つがクリックまたはタップされる。
【0168】
つぎに、プロセッサ210(151)は、選択された挿入情報のプログラムコード302への挿入要求を受け付ける(ステップS10)。挿入要求とは、入力ボタン328・338・348・395、D番号入力ボタン367、H番号入力ボタン368、変数入力ボタン385、または、コメント入力ボタン386が操作された(クリップまたはタップされた)イベントである。また、挿入要求は、改行キーボタン329・339・398、M06指令入力ボタン353、T00入力ボタン354、算術演算子キーボタン396、または、スペースキーボタン397が操作された(クリップまたはタップされた)イベントを含んでもよい。
【0169】
挿入要求を受け付けると、プロセッサ210(151)は、挿入情報をコードへ変換する(ステップS11)。入力ボタン328・338・348・395、及び、変数入力ボタン385が操作されたとき、それぞれ、選択されたGコード321、選択されたMコード331、選択された工具に係るT番号、選択された制御命令391・関数コード392・比較演算子393・外部出力コマンド394のいずれか、選択された変数名381がプログラムコードとなる。D番号入力ボタン367が操作されたとき、プロセッサ210(151)は、選択された参照番号361を、その先頭に文字Dを付加したD番号に変換する。H番号入力ボタン368が操作されたとき、プロセッサ210(151)は、選択された参照番号361を、その先頭に文字Hを付加したH番号に変換する。コメント入力ボタン386が操作されたとき、プロセッサ210(151)は、選択されているコメント383を、その両側に丸括弧を追加した文字列に変換する。
【0170】
つぎに、プロセッサ210(151)は、変換したコードをプログラムコード302へ挿入する(ステップS12)。ステップS8からステップS12によって、プロセッサ210(151)は、少なくとも1つの補助画面310において、工具情報と制御方法とのうちの少なくとも1つの情報が選択されると、少なくとも1つの情報に対応する命令をプログラムコード302の挿入箇所に挿入する。例えば、プロセッサ210(151)は、上述する第2工具情報を表示する補助画面(工具オフセット画面360)において参照番号361が指定された状態で、H番号入力ボタン368が操作されると、プログラムコード302中の挿入箇所に参照番号を含むH番号を挿入する。プロセッサ210(151)は、上述する第2工具情報を表示する補助画面(工具オフセット画面360)において参照番号361が指定された状態で、D番号入力ボタン367が操作されると、プログラムコード302中の挿入箇所に参照番号361を含むD番号を挿入する。プロセッサ210(151)は、マクロ変数画面380においてコメント383が指定された状態で、コメント入力ボタン386が操作されると、プログラムコード302中の挿入箇所にコメント383を含む文字列を挿入する。
【0171】
つぎに、プロセッサ210(151)は、プログラム終了要求を待つ(ステップS13)。プログラム終了要求とは、加工プログラム編集プログラム221(159)の終了イベントである。プログラム終了要求がない(ステップS13でNo)と、ステップS4に戻る。プログラム終了要求がある(ステップS13でYes)と、プロセッサ210(151)は、編集したプログラムコード302をメモリ220(152)に保存して(ステップS14)、終了する。
<実施形態の作用及び効果>
本実施形態に係る工作機械100、工作機械100の加工プログラム作成編集方法、及び、工作機械の加工プログラム編集のための加工プログラム編集プログラム221(159)においては、工作機械100に装着可能な工具Taの工具情報158が取得される。そして、プログラム編集画面300と、工具Taの工具情報158と工具Taの制御方法とのうち少なくとも1つを表示する少なくとも1つの補助画面310とが並べて表示される。プログラムコード302中において新たにコードを挿入する挿入箇所を指定し、少なくとも1つの補助画面310において工具情報と制御方法とのうちの少なくとも1つの情報が選択されると、少なくとも1つの情報に対応する命令がプログラムコード302の挿入箇所に挿入される。これにより、プログラムコード302の編集に必要な工具Taの工具情報158と工具Taの制御方法の参照及び挿入を容易とすることができる。その結果、加工プログラム157のプログラミングが効率化される。
【0172】
図22におけるフローチャートにおける各ステップの実行順序は、処理結果が変わらない範囲で変更可能である。また、図22において、ステップS13,S14は省略されてもよい。この場合、ステップS12の処理後、ステップS4に戻る。少なくとも1つの補助画面310が1つの補助画面のみを有する場合、ステップS6は省略可能である。また、本実施形態において、工具データ画面340、工具オフセット画面360、マクロ変数画面380、マクロ入力画面390、Gコード一覧画面320、Mコード一覧画面330の一部が省略されてもよい。ただし、工具データ画面340、工具オフセット画面360、Gコード一覧画面320、Mコード一覧画面330の少なくとも1つが省略されないことが望ましい。
【0173】
表示情報選択画面316、切替設定画面318は、省略されてもよい。この場合、工具データ画面340、工具オフセット画面360、マクロ変数画面380、マクロ入力画面390、Gコード一覧画面320、Mコード一覧画面330のうち少なくとも1つの補助画面310に表示されるものが切り替えられることなく表示されることになる。この場合、図22においてステップS3、S5〜S7が省略されてもよい。
【0174】
本願においては、「備える」およびその派生語は、構成要素の存在を説明する非制限用語であり、記載されていない他の構成要素の存在を排除しない。これは、「有する」、「含む」およびそれらの派生語にも適用される。
【0175】
「〜部材」、「〜部」、「〜要素」、「〜体」、および「〜構造」という文言は、単一の部分や複数の部分といった複数の意味を有し得る。
【0176】
「第1」や「第2」などの序数は、単に構成を識別するための用語であって、他の意味(例えば特定の順序など)は有していない。例えば、「第1要素」があるからといって「第2要素」が存在することを暗に意味するわけではなく、また「第2要素」があるからといって「第1要素」が存在することを暗に意味するわけではない。
【0177】
程度を表す「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言は、最終結果が大きく変わらないような合理的なずれ量を意味し得る。本願に記載される全ての数値は、「実質的に」、「約」、および「およそ」などの文言を含むように解釈され得る。
【0178】
本願において「A及びBの少なくとも一方」という文言は、Aだけ、Bだけ、及びAとBの両方を含むように解釈されるべきである。
【0179】
上記の開示内容から考えて、本発明の種々の変更や修正が可能であることは明らかである。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、本願の具体的な開示内容とは別の方法で本発明が実施されてもよい。
【符号の説明】
【0180】
100 :工作機械
151,210 :プロセッサ
152,220 :メモリ
154,240 :ディスプレイ
154,250 :インタフェース
157 :加工プログラム
158 :工具情報
159,221 :加工プログラム編集プログラム
300 :プログラム編集画面
310 :少なくとも1つの補助画面
312 :第1補助画面
314 :第2補助画面
316 :表示情報選択画面
318 :切替設定画面
【要約】

工作機械の加工プログラム編集方法は、工作機械に装着可能な工具の工具情報を取得し、工作機械を制御するための加工プログラムのプログラムコードを表示するプログラム編集画面と、工具の工具情報と工具の制御方法とのうち少なくとも1つを表示する少なくとも1つの補助画面とを並べて表示し、プログラムコード中において、新たにコードを挿入する挿入箇所を指定し、少なくとも1つの補助画面において、工具情報と制御方法とのうちの少なくとも1つの情報が選択されると、少なくとも1つの情報に対応する命令をプログラムコードの挿入箇所に挿入する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22