(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面を参照しながら、本発明に係る監視カメラを具体的に開示した実施形態(以下、「本実施形態」という)を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0013】
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態の監視カメラ100について説明する。
【0014】
図1は、第1の実施形態の監視カメラ100の斜視図である。なお、本明細書において、上下前後左右の方向は、
図1に示した矢印の方向に従うものとする。
【0015】
本実施形態の監視カメラ100は、ベース部の一例としてのアングルベース11と、パン回転部の一例としてのパンアングル13と、チルト回転部の一例としてのチルトアングル15と、カメラ部17と、リブの一例としての挿入抑制リブ19(
図2参照)と、塞ぎ壁21(
図2参照)と、リブ進退溝23(
図2参照)と、を有する構成である。
【0016】
図1に示す監視カメラ100は、例えば店舗や建物等の出入口(自動ドア等)の上方又は斜め上方の壁面等を被固定面として設置される。但し、監視カメラ100は、被固定面を前述した壁面に設置されることに限定されず、例えば天井を被固定面として設置されても構わない。監視カメラ100は、店舗や建物等の出入口部分も確実に監視カメラ100の撮像範囲に含めること等を考慮して配置される。
【0017】
つまり、監視カメラ100は、後述するパン回転及びチルト回転がともに可能に構成され、例えばチルト回転の角度範囲を90°よりも大きくできる(例えば0°〜100°)。これにより、監視カメラ100は、例えば壁面を被固定面(例えば店舗や建物等の出入口の自動ドア等)の上方又は斜め上方に固定された場合に、出入口付近を広範かつ詳細に撮影することができ、セキュリティの確保を支援できる。
【0018】
図2は、
図1に示した監視カメラ100の下面図である。
【0019】
監視カメラ100は、カメラ部17が水平方向(例えば
図1の前後方向又は左右方向)に向いた状態で、パンアングル13の凹部25が下側に配置される。なお、凹部25の向きは、
図2においては下側であるが、パンアングル13の回転向きによっては下側以外となり得る。凹部25は、塞ぎ壁21により覆われる。塞ぎ壁21には、リブ進退穴の一例としてのリブ進退溝23がコの字状に切り欠かれて形成される。リブ進退溝23には、チルトアングル15に形成された挿入抑制リブ19が進退可能に配置される。
【0020】
図3は、
図1に示した監視カメラ100の分解斜視図である。
【0021】
ベース部の一例としてのアングルベース11は、例えば四角形の板状に形成される。アングルベース11は、背面が被固定面(例えば壁面又は天井)に固定される。アングルベース11の前面は、ベースカバー27(
図1参照)に覆われる。ベースカバー27には、パン軸貫通穴29が形成される。アングルベース11の前面の中央部には、被固定面に垂直なパン軸31が前方に突出して一体に設けられている。パン軸31は、アングルベース11の前面を覆うベースカバー27のパン軸貫通穴29から前方に突出する。パン軸31は、パン軸外周面33に、周溝35が形成される。周溝35には、チルトアングル15に螺合する後述のパン回転固定ネジ45が係合する。
【0022】
アングルベース11の前面には、パン軸31の同心円で、パン軸31の半径方向外側に、刻み形成円37が形成される。刻み形成円37は、円周方向の複数の刻みが、ローレットにより形成される。刻み形成円37は、ローレットによるクリック機構の一部を構成する。ローレットによるクリック機構は、所謂、節度機構となる。
【0023】
パン回転部の一例としてのパンアングル13は、略筒形状に形成される。パンアングル13は、軸線を含む面で半割にした一対の左パンアングル39と右パンアングル41とからなる。左パンアングル39と右パンアングル41とは、パンアングル結合ネジ43により一体に結合される。一体に結合されたパンアングル13は、パン軸31を中心にパン回転自在にアングルベース11により支持される。左パンアングル39と右パンアングル41のそれぞれの側面には、前述したパン回転固定ネジ45が螺合される。パン回転固定ネジ45は、パン軸31の周溝35に締め付けられることにより、パン軸31に対するパンアングル13の回転を固定する。
【0024】
パンアングル後端面47には、刻み形成円(図示略)が環状に設けられている。この刻み形成円は、パンアングル13がパン軸31に取り付けられ、パン回転固定ネジ45が適度に締め付けられることで、アングルベース11の刻み形成円37に押圧される。押圧された刻み形成円同士は、所定の回転力が加えられることで、刻みごとに段階的な回転を許容することが可能となる。刻み形成円同士は、撮像範囲の調整後にパン回転固定ネジ45を増し締めすることで、パン軸の回転を固定することができる。この刻み(1ピッチ)は、例えば1.8°毎に設けられており、パンアングル13のパン回転における角度分解能に相当する。例えば1.8°毎に刻みが形成される場合、200回転すると1周(つまり、360°)のパン回転となる。一対の刻み形成円37は、節度機構であるローレットによるクリック機構を構成する。
【0025】
チルト回転部の一例としてのチルトアングル15は、一端にカメラ取付部49を有する。カメラ取付部49は、前方が大径側、後方が小径側となる円錐の側面を有する。カメラ取付部49は、一端である前方が開口し、他端である後方に首部51を有する。首部51は、チルト軸53を中心とした円弧状の外周面55を後端に有して形成される。首部51は、カメラ取付部49の軸線を左右から挟む一対の平行な面の首部側面57を有する。左右の首部側面57には、チルト軸貫通孔60(
図7参照)が、首部側面57に垂直に貫通する。チルト軸貫通孔60には、パンアングル13に右方向から挿入される(言い換えると、右パンアングル41から挿入される)チルト軸53が貫通する。右パンアングル41のチルト軸貫通孔59(
図6参照)に挿入されたチルト軸53は、チルトアングル15のチルト軸貫通孔60を貫通する。チルト軸貫通孔60を貫通したチルト軸53は、挿入先端が左パンアングル39のチルト軸固定孔58(
図5参照)に螺着されて抜け止め固定される。これにより、チルトアングル15は、首部51が、パン軸31に直交するチルト軸53を中心に、チルト回転自在にパンアングル13に支持される。
【0026】
カメラ部17は、撮像素子(図示略)に光を集光するレンズ61を有し、レンズ61と反対側の後端面が、チルトアングル15のカメラ取付部49に取り付けられる。カメラ取付部49には、直径方向の両端にカメラ固定ネジ63を挿通するための固定ネジ用穴65(
図7参照)が形成される。カメラ部17は、カメラ取付部49に挿入した後端突出部(図示略)が、カメラ固定ネジ63に螺着されてカメラ取付部49に固定される。言い換えると、カメラ部17は、レンズ61と反対側の後端面のカメラ取付部49への取付により、チルトアングル15と連結される。
【0027】
図4は、チルトアングル15の回転範囲を表す要部拡大図である。
【0028】
監視カメラ100は、チルトアングル15のチルト回転の角度範囲θが例えば最大100°に設定される。このチルト回転の角度範囲θは、チルトアングル15とパン軸31の中心が一致した位置を0°とし、そこからチルトアングル15を下向きに100°回転させた範囲となる。これにより、監視カメラ100は、アングルベース11が例えば鉛直方向の壁面に取り付けられた場合、真下よりも更に壁面寄りが撮像可能となる。
【0029】
図5は、左パンアングル39の内側を見た側面図である。
【0030】
左パンアングル39の内面には、チルト軸53の挿入先端が螺着されるチルト軸固定孔58が形成される。チルト軸固定孔58は、有底であり、左パンアングル39の外面には貫通しない。左パンアングル39の内面には、チルト軸固定孔58の同心円で、刻み形成円67が形成される。刻み形成円67は、円周方向の複数の刻みが、ローレットにより形成される。本実施形態において、刻みは、前述したように例えば1.8°の角度で、チルト軸53を中心とした放射方向に形成される。この刻み形成円67は、ローレットによるクリック機構の一部を構成する。ローレットによるクリック機構は、上記同様の節度機構となる。
【0031】
図6は、右パンアングル41の内側を見た側面である。
【0032】
右パンアングル41は、左パンアングル39と合わせられチルトアングル15を構成する。つまり、左パンアングル39と右パンアングル41とは、パンアングル13を構成するハーフ体としてそれぞれが形成されている。右パンアングル41には、チルト軸貫通孔59が形成される。チルト軸貫通孔59には、チルト軸53が貫通する。このチルト軸貫通孔59を貫通したチルト軸53は、上記のように挿入先端が左パンアングル39のチルト軸固定孔58に螺着される。
【0033】
図7は、チルトアングル15の斜視図である。
【0034】
チルトアングル15の首部51には、縮径部68が形成される。縮径部68は、塞ぎ壁21側となる首部51の外周を半径方向内側に凹ませることにより形成される。縮径部68は、首部51の外周を凹ませることにより、チルト軸53のチルト回転に応じて、塞ぎ壁21との干渉を低減する。
【0036】
チルトアングル15の首部51は、一対の左パンアングル39と右パンアングル41とにより挟まれる。左パンアングル39と右パンアングル41とにより挟まれた首部51には、チルト軸53が貫通する。この状態で、チルトアングル15の首部51は、左側の首部側面57が、左パンアングル39の刻み形成円67に接する。
【0037】
図9は、チルトアングル15の左側面図である。
【0038】
チルトアングル15における左側の首部側面57には、刻み形成円67が環状に設けられている。この刻み形成円67は、左パンアングル39と右パンアングル41がチルトアングル15を挟持し、チルト軸53を適度に締めると、左パンアングル39の刻み形成円67に押圧される。押圧された刻み形成円同士は、所定の回転力が加えられることで、刻みごとに段階的な回転を許容することが可能となる。チルトアングル15は、撮像範囲の調整後に、チルト軸53を増し締めすることによりチルト回転を固定することができる。一対の刻み形成円67は、節度機構であるローレットによるクリック機構を構成する。
【0039】
図10は、チルトアングル15の下面図である。
【0040】
チルトアングル15は、首部51の下面側に、挿入抑制リブ19が形成される。挿入抑制リブ19は、チルト軸53に直交する面に平行となって首部51に形成される。この挿入抑制リブ19は、凹部25に配置される。言い換えると、挿入抑制リブ19は、チルトアングル15が例えば100°チルト回転すると、パンアングル13に形成された凹部25に接近する。
【0041】
図11は、パンアングル13の下面図である。
【0042】
左パンアングル39と右パンアングル41の下面には、首部収容開口部69が形成される。首部収容開口部69は、チルトアングル15の首部51を収容する。この首部収容開口部69の後方は、凹部25となる。凹部25は、パンアングル13に形成され、チルト回転されたチルトアングル15の首部51との干渉を回避する開口形状となる。
【0043】
本実施形態において、この凹部25には、塞ぎ壁21がパンアングル13の内方に形成されている。塞ぎ壁21は、チルト回転されたチルトアングル15の首部51と干渉しない位置に設けられている。つまり、塞ぎ壁21は、パンアングル13の内方を覆う塞ぎ部となっている。この塞ぎ壁21には、上記の挿入抑制リブ19の進退するリブ進退溝23が形成される。
【0044】
図10は、チルトアングル15が略90°回転されたときの
図1に示す監視カメラ100の斜視図である。
【0045】
監視カメラ100は、首部51に、仮に縮径部68を設けない構成とした場合、凹部25と首部51との隙間が塞ぎ壁21により塞がれる。このとき、首部51は、塞ぎ壁21側の外径が縮径部68の無い分大きくなるため、チルト回転したときに塞ぎ壁21に早く干渉する。例えば、チルトアングル15は90度以上(例えば100度)のチルト回転をできなくなる。このときのチルト回転範囲の限界角度は略90°となる。これに対し、本実施形態の監視カメラ100は、塞ぎ壁21との干渉を低減する縮径部68を設けているので、チルト回転したときに塞ぎ壁21に干渉するまでのチルト回転可能範囲を拡大させることができる。本実施形態では、縮径部68を首部51に設けることにより、チルト回転可能範囲を略10°拡大させることができる。すなわち、チルト回転範囲の限界角度を略100°にできる。
【0046】
また、監視カメラ100は、略90°(例えば100°)回転されると、挿入抑制リブ19がリブ進退溝23からほぼパンアングル13の内方に進入した状態となる。この際、凹部25は、塞ぎ壁21と挿入抑制リブ19とにより人の手指の入り込みが抑制される。一方、監視カメラ100は、チルトアングル15が
図2に示した0°の位置になると、挿入抑制リブ19がリブ進退溝23からパンアングル13の外側に移動される。首部後端で開口する凹部25は、リブ進退溝23があったとしても塞ぎ壁21により手指の入り込みが抑制される。更に、塞ぎ壁21と首部51の外周面55とにより、手指の入り込みが抑制される。
【0047】
また、監視カメラ100は、縮径部68に挿入抑制リブ19を設けることにより、縮径部68によって細径となった首部51を補強し、強度を確保することができる。
【0048】
次に、本実施形態の監視カメラ100の作用を説明する。
【0049】
本実施形態の監視カメラ100では、チルトアングル15の首部51が、チルト軸53を介してパンアングル13にチルト回転自在に支持される。首部51は、チルト軸53を中心とした円弧状の外周面55を有して形成される。監視カメラ100は、鉛直方向の被固定面にアングルベース11が固定された場合、チルトアングル15が90°チルト回転されると、真下にカメラ部17のレンズ61が向く。この場合、パンアングル13に形成した凹部25は、首部51との間が大きく開く。
【0050】
また、監視カメラ100は、チルトアングル15が90°以上(例えば100°)のチルト回転の角度範囲で回転を可能とした場合、凹部25は、首部51との干渉を回避するために、90°の場合よりも回転方向に大きく確保する必要がある。その結果、確保した空間の増大分だけ凹部25が大きくなる。チルトアングル15が0°の水平方向に向けられたときにも、凹部25は、首部51との間が大きく開く。首部51の外径にもよるが、ローレットの刻み幅等を考慮した首部51の外径では、その隙間は、手指が入り込みやすい面積となる。
【0051】
そこで、監視カメラ100では、凹部25に、首部51に形成された挿入抑制リブ19が配置される。この挿入抑制リブ19は、チルト軸53に直交する面に平行となって形成され、凹部25に配置される。つまり、挿入抑制リブ19は、チルトアングル15が例えば100°チルト回転すると、パンアングル13に形成された凹部25に接近する。
【0052】
また、本実施形態では、
図12に示すように、凹部25が塞ぎ壁21により覆われ、この塞ぎ壁21に挿入抑制リブ19の進退するリブ進退溝23が形成される。これにより、監視カメラ100は、塞ぎ壁21と挿入抑制リブ19とが、凹部25に配置され、凹部25に手指が入り込みにくいようになされている。
【0053】
これに加え、監視カメラ100は、チルト回転方向を細かなチルト回転角度で設定できる。すなわち、手指の入り込みを抑制しつつ、チルト方向における撮像範囲の設定分解能を高めることができる。
【0054】
監視カメラ100は、レンズ61を望遠レンズに交換できる。望遠レンズを使用した場合、チルトアングル15の角度が少し(例えば3.6°程度)変わると、被写体の撮像範囲が大きく変わる。このため、監視カメラ100における角度設定用の節度機構(例えばローレットによるクリック機構)は、調整幅を小さくすることが好ましい。ところが、ローレットの刻みは、製造上の制約から小さくするのに限界がある。また、ローレットによるクリック機構の刻みは、小さくなりすぎると、設定角度に保持しておくための保持力が低下する。このため、刻みは、ある程度の大きさとなる。刻みがある程度の大きさを有し、且つ分解能を高める場合には、円周方向に多数の刻みを配置しなければならない。すなわち、節度機構の刻み形成円37の半径が大きくなる。このことは、首部51のチルト軸53を中心とした円弧状の外周面55の半径が大きくなることに繋がる。首部51の外周面55の半径が大きくなれば、凹部25の面積は大きくなる。つまり、手指が入り込みやすくなる。
【0055】
言い換えれば、凹部25がある程度大きくなることを許容できれば、撮像範囲の設定分解能を高めることができる。監視カメラ100は、挿入抑制リブ19を備えることにより、手指の入り込みを抑制できる。従って、凹部25の拡大に制約されることがないので、首部51の外周面55を所望の半径で形成し、刻み形成円67を大きくできるので、結果的に、撮像範囲の設定分解能を高めることができる。
【0056】
また、この監視カメラ100では、凹部25に、塞ぎ壁21が形成される。塞ぎ壁21には、挿入抑制リブ19の進退するリブ進退溝23が形成される。挿入抑制リブ19は、リブ進退溝23に配置される。凹部25は、挿入抑制リブ19とリブ進退溝23とにより、手指の入り込みを確実に抑制できる。
【0057】
また、この監視カメラ100では、チルトアングル15のチルト回転の角度範囲が100°となる。これにより、監視カメラ100は、例えば出入口上方の壁部等に設置した場合、角度範囲が90°であったときに含めることのできなかった出入口部分も確実に撮像範囲に含めることができる。
【0058】
次に、第1の実施形態の変形例を説明する。
図13は、チルトアングル15が略90°回転されたときの変形例の監視カメラ100Aの斜視図である。
【0059】
変形例の監視カメラ100Aは、チルトアングル15Aの首部51に、挿入抑制リブ19が形成されていない。従って、首部51には、縮径部68のみが形成されている。また、パンアングル13Aは、左パンアングル39A、右パンアングル41Aのそれぞれの塞ぎ壁21Aに、リブ進退溝23が形成されていない。パンアングル13Aの塞ぎ壁21Aは、前縁22がチルトアングル15Aの縮径部68に近接配置される。
【0060】
ここで、監視カメラ100Aは、塞ぎ壁21Aを、パンアングル13Aの外壁の一部分として連続して成形される。このため、外観上は、凹部25と塞ぎ壁21Aとの境(図中の破線)は、見えない。監視カメラ100Aは、凹部25と塞ぎ壁21Aとの境を無くすこと又は塞ぎ壁21Aによって凹部25と首部51との隙間を狭めることによりスッキリとした外観デザインで形成することができる。他の構成は、監視カメラ100と同様である。
【0061】
図14は、チルトアングル15Aがチルト回転していないときの変形例の監視カメラ100Aの側面図である。
【0062】
監視カメラ100Aは、チルトアングル15Aが
図14に示す水平姿勢において、縮径部68の下端が首部収容開口部69に一致して配置される。この状態において、首部51の外周面55(
図10参照)は、塞ぎ壁21Aの前縁22に近接して配置される。つまり、外周面55と前縁22との間には、手指が入り込みにくくなっている。
【0063】
図15は、チルトアングル15が略100°回転されたときの変形例の監視カメラ100Aの要部斜視図である。
【0064】
監視カメラ100Aは、チルト回転されると、塞ぎ壁21Aの前縁22に縮径部68が当たり、それ以上のチルト回転が規制される。この時のチルト回転角度は、水平状態の0°から略100°となる。
【0065】
この監視カメラ100Aによれば、パンアングル13Aに凹部25を設け、凹部25に塞ぎ壁21Aを設け、チルトアングル15Aに縮径部68を設けたので、チルト回転したときに塞ぎ壁21Aに干渉するまでチルト回転可能範囲を拡大させることができる。すなわち、縮径部68を首部51に設けることにより、縮径部68を設けない場合に比べチルト回転可能範囲を略10°拡大させることができる。また、挿入抑制リブ19やリブ進退溝23を形成しないので、構造を簡素にできる。
【0066】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態の監視カメラ200について説明する。
【0067】
図16は、第2の実施形態の監視カメラ200のチルトアングル71が略90°回転されたときの斜視図である。なお、本実施形態において、第1の実施形態で示した部材・部位と同一の構成には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0068】
本実施形態の監視カメラ200は、パンアングル73の凹部25に、一対の平行な挿入抑制リブ75がチルト軸53に直交する方向に起立して形成される。すなわち、挿入抑制リブ75は、パン軸31に沿う方向に延在してパンアングル73の凹部25に形成される。
【0069】
図17は、
図16に示したチルトアングル15の下面図である。
【0070】
一方、チルトアングル71は、首部51の下面に、一対のリブ進退溝77が形成される。このリブ進退溝77には、凹部25に形成された一対の挿入抑制リブ75が進退する。
【0071】
図18は、
図16に示したパンアングル73の一部分を切り欠いた下面図である。
【0072】
一対の挿入抑制リブ75は、凹部25のチルト軸53に沿う方向の幅を、略三等分する位置で形成される。他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0073】
この監視カメラ200では、凹部25に、挿入抑制リブ75が形成される。挿入抑制リブ75は、チルトアングル71の回転に伴って、首部51に形成されたリブ進退溝77に進退する。この挿入抑制リブ75は、チルト軸53に直交する方向に起立して凹部25に配置される。その結果、凹部25は、挿入抑制リブ75により、手指が入り込みにくい大きさの複数の隙間に仕切られることになる。
【0074】
これに加え、監視カメラ200は、上記同様の理由により、手指の入り込みを抑制しつつ、チルト方向における撮像範囲の設定分解能を高めることができる。
【0075】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態の監視カメラ300について説明する。
【0076】
図19は、第3の実施形態の監視カメラ300のチルトアングル79が略90°回転されたときの斜視図である。なお、本実施形態において、第1の実施形態で示した部材・部位と同一の構成には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0077】
本実施形態の監視カメラ300は、チルトアングル79の首部51に、挿入抑制リブ81を有する。
【0078】
図20は、
図19に示したチルトアングル79の左側面図である。
【0079】
挿入抑制リブ81は、チルト軸53に直交する面に平行となって首部51に形成される。本実施形態において、挿入抑制リブ81は、略楕円を長軸で分割した湾曲板状に形成される。
【0080】
図21は、
図19に示したチルトアングル79の下面図である。
【0081】
一対の挿入抑制リブ81は、首部51の下面から垂下して形成される。挿入抑制リブ81は、チルトアングル79のカメラ取付部49から、首部51の後端に渡って連続して形成される。
【0082】
図22は、
図19に示したパンアングル13の下面図である。
【0083】
本実施形態において、パンアングル83の凹部25には、上記の塞ぎ壁21等は形成されない。チルトアングル79には、一対の平行な挿入抑制リブ81のみが配置される。挿入抑制リブ81は、凹部25を三分割して仕切る。
【0084】
この監視カメラ300では、凹部25に、一対の挿入抑制リブ81が配置される。この挿入抑制リブ81は、チルト軸53に直交する面に平行となって形成され、チルトアングル79に配置される。その結果、凹部25は、挿入抑制リブ81により、手指の入り込みを抑制する大きさの複数の隙間に仕切られる。
【0085】
これに加え、監視カメラ300は、上記同様の理由により、手指の入り込みを抑制しつつ、チルト方向における撮像範囲の設定分解能を高めることができる。
【0086】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態の監視カメラ400について説明する。
【0087】
図23は、第4の実施形態の監視カメラ400のチルトアングル15が略90°回転されたときの斜視図である。なお、本実施形態において、第1の実施形態で示した部材・部位と同一の構成には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0088】
本実施形態の監視カメラ400は、凹部25に、門型の挿入抑制リブ85が設けられる。
【0089】
図24は、
図23に示したチルトアングル87の下面図である。
【0090】
監視カメラ400は、首部51に、挿入抑制リブ85の進退するリブ進退穴89が、第2実施形態のリブ進退溝77の代わりに形成されている。
【0091】
図25は、
図24に示したチルトアングル87をカメラ取付部側から見た正面図である。
【0092】
監視カメラ400は、チルトアングル87のリブ進退穴89に、挿入抑制リブ85と当接するストッパ壁91が奥側に設けられる。
【0093】
なお、このストッパ壁91は、第2実施形態において、リブ進退溝77を開口とした場合、チルトアングル71におけるリブ進退溝77の奥側にも設けることができる。これにより、監視カメラ400又は監視カメラ200は、チルトアングル15が例えば100°チルト回転した時、挿入抑制リブ85がリブ進退穴89に必要以上に入り込むことを防ぐことができ、合わせてチルトアングル15内を通るケーブル類を保護することができる。更に、チルトアングル15がチルト回転していない状態(例えば
図1参照)でも、人の手指がストッパ壁91に当たることで、リブ進退穴89又はリブ進退溝23の内部に深く入り込むことを抑制できる。ストッパ壁91は、監視カメラ200についても同様の効果を得ることができる。
【0094】
図26は、
図23に示したパンアングル93の一部分を切り欠いた下面図である。
【0095】
挿入抑制リブ85は、第2実施形態の一対の平行な挿入抑制リブ75の突出先端同士を、連結部95により連結して門型に形成することができる。
【0096】
この監視カメラ400では、首部51に、リブ進退穴89が形成される。リブ進退穴89には、凹部25に設けられた挿入抑制リブ85が進退する。この挿入抑制リブ85は、チルト軸53に直交する方向に起立して延在して凹部25に配置される。すなわち、挿入抑制リブ85は、パン軸31に沿う方向に延在してパンアングル93の凹部25に形成される。その結果、凹部25は、挿入抑制リブ85により、手指が入り込みにくい大きさの複数の隙間に仕切られることになる。
【0097】
これに加え、監視カメラ400は、上記同様の理由により、手指の入り込みを防止しつつ、チルト方向における撮像範囲の設定分解能を高めることができる。
【0098】
また、この監視カメラ400では、凹部25に設けられた一対の挿入抑制リブ85の突出先端同士が連結部95により連結され、門型となる。これにより、挿入抑制リブ85の強度を高めることができる。
【0099】
更に、この監視カメラ400では、チルトアングル87がチルト回転されると、凹部25に形成された挿入抑制リブ85が、チルトアングル87のリブ進退穴89に進入する。挿入抑制リブ85は、チルトアングル87が、チルト回転の角度範囲に達すると、ストッパ壁91に当接し、それ以上のチルトアングル87のチルト回転を規制する。従って、監視カメラ400は、挿入抑制リブ85を利用して、部品点数を増やさず、且つ比較的簡素な構造で、チルトアングル87におけるチルト回転の角度範囲を規制することができる。
【0100】
従って、本実施形態の監視カメラによれば、パンアングルにチルトアングルの首部51を回転自在に支持したチルト回転部において、首部51との干渉を回避するためにパンアングルに設けられる凹部25への手指の入り込みを防止できる。