特許第6654777号(P6654777)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6654777酸化反応と還元反応が分離されて起こるようにする還元用バーナー及びこれを用いた合成ガスリサイクリングシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6654777
(24)【登録日】2020年2月4日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】酸化反応と還元反応が分離されて起こるようにする還元用バーナー及びこれを用いた合成ガスリサイクリングシステム
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/22 20060101AFI20200217BHJP
   C10J 3/50 20060101ALI20200217BHJP
   F23D 1/00 20060101ALI20200217BHJP
【FI】
   F23D14/22 C
   C10J3/50
   F23D1/00 A
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-518552(P2018-518552)
(86)(22)【出願日】2016年4月25日
(65)【公表番号】特表2018-527547(P2018-527547A)
(43)【公表日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】KR2016004277
(87)【国際公開番号】WO2016204393
(87)【国際公開日】20161222
【審査請求日】2018年1月15日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0085098
(32)【優先日】2015年6月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517440276
【氏名又は名称】チャン,ヨン
(73)【特許権者】
【識別番号】517440195
【氏名又は名称】キム,サンウォン
(73)【特許権者】
【識別番号】517440209
【氏名又は名称】ダブリューアール システム カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ヨン
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−069768(JP,A)
【文献】 特開2005−325337(JP,A)
【文献】 特開昭58−179710(JP,A)
【文献】 特開平07−293822(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0126172(US,A1)
【文献】 韓国登録実用新案第20−0434845(KR,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 1/00
F23D 14/20
F23D 14/22
C10J 3/02
C10J 3/46−3/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料供給孔(210)と複数の酸素供給孔(220)を備えた還元用バーナー(200)を反応炉(100)の壁体(101)に複数設置して反応炉(100)の内部温度を1200℃以上の高温に加熱する反応炉のバーナーの構成において、
前記還元用バーナー(200)は、補助バーナーヘッド(301)及びスパークプラグ(302)を備える火点用補助バーナー(300)をさらに備え、
還元用バーナー(200)のヘッド(201)の先端には、ヘッド(201)に供給される酸素を全て無くすことができるようにバーナー内に十分に深く形成された燃焼室(202)を備えることで、酸素供給孔(220)を通じて供給される酸素が燃焼室(202)の内部で、前記燃料供給孔(210)を通じて供給される燃料ガス及び粉炭の酸化燃焼作用のために充分に消費されるようにし、
反応炉(100)の内部では不完全燃焼した燃料(C、CO、H2)と放射熱と還元用バーナー内で酸化によって発生したH2O分子又はCO2分子が流入して1200℃以上の高温に加熱されることによってH2O分子又はCO2分子による還元反応のみが起こるようにし
前記反応炉(100)は温度センサー(110)を備えることを特徴とする、酸化反応と還元反応が分離されて起こるようにする還元用バーナー。
【請求項2】
還元用バーナー(200)のヘッド(201)の先端に備えられる燃焼室(202)は、燃料供給孔(210)の燃料点火後に供給される酸素を還元用バーナー内で全て無くすことができるように、十分な深さで形成されることにより、酸素供給孔(220)を通じて供給される酸素が供給される燃料(C、CO、H2)を燃やすときに燃焼室(202)内で完全に消費されるようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の酸化反応と還元反応が分離されて起こるようにする還元用バーナー。
【請求項3】
酸素供給孔(220)を通じて燃焼室(202)に供給される酸素量は燃料供給孔(210)を通じて燃焼室(202)に供給される燃料より充分に少なくすることにより、酸素が還元用バーナー(200)の燃焼室(202)内で全量消費されるようにし、少なく供給された酸素によって不完全燃焼した燃料の一部が残ることを特徴とする、請求項1に記載の酸化反応と還元反応が分離されて起こるようにする還元用バーナー。
【請求項4】
炭素を含む有機物(CnH2n)を1200℃以上の高温で還元させ、上部に混合ガス排出孔(120)を備えた反応炉(100);
反応炉(100)の壁体(101)に設置され、燃料ガス及び粉炭を供給するための燃料供給孔(210)と、酸素を供給するための複数の酸素供給孔(220)と、補助バーナーヘッド(301)及びスパークプラグ(302)を備える火点用補助バーナー(300)を備えた複数の還元用バーナー(200);
前記反応炉(100)に設置される少なくとも1つの温度センサー(110);
酸素供給孔(220)を通じて供給される酸素を全て消費することができるように、還元用バーナー(200)のヘッド(201)の先端に一定深さで備えられ、酸化(燃焼)反応しながら、反応炉(100)に、不完全燃焼した燃料(C、CO、H2)と放射熱と還元用バーナー内で酸化によって発生したH2O分子又はCO2分子が流入することによって1200℃以上の高温に加熱された後、H2O分子又はCO2分子による還元反応が起こるようにする燃焼室(202);
混合ガス排出孔(120)と連結された混合ガス回収ライン(121)を通じて捕集されたガスを冷却及び圧縮させる冷却圧縮機(400);
冷却圧縮機(400)で冷却圧縮された混合ガスを受けて保存してから前記反応炉(100)の還元用バーナー(200)に供給する貯蔵タンク(500)
捕集された混合ガスが所定の量より多い場合に、前記冷却圧縮機(400)で冷却圧縮された混合ガスの一部を受けて保存するための第2燃料貯蔵タンク(510);及び
酸素供給孔(220)に酸素を供給する酸素発生器(600);を含んでなり、
反応炉で生成された合成ガスを捕集して保存してから還元用バーナーに燃料として供給して再使用するようにしたことを特徴とする、酸化反応と還元反応が分離されて起こるようにする還元用バーナーを用いた合成ガスリサイクリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は焼却炉などのあらゆる酸化反応炉と現在の石炭ガス化装置のように酸化と還元反応が混合して起こるあらゆる混合反応炉で還元反応のみが起こるようにすることができる還元用バーナーに関するもので、互いに隔離しなかった単一空間で酸化反応と還元反応を完全に分離して、反応炉内では還元反応のみ起こるようにし、これを用いて各種の有機廃棄物又は石炭を完全に還元させることによって酸化による毒性副産物がないので、その2次処理を行わなくても石炭や有機廃棄物から純度の非常に高い合成ガス(Synthesis gas)(H2とCOの混合ガス)を得ることができる、酸化反応と還元反応が分離されて起こるようにする還元用バーナー及びこれを用いた合成ガスリサイクリングシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、現代産業で使用する全ての種類の酸化反応炉(燃焼炉)(産業廃棄物焼却炉、複合火力発電、病院ごみなどの焼却炉)は1200℃以下の低温酸化環境に耐えられる断熱材とバーナーを主に使っており、還元に対する認識が不足して全ての産業廃棄物などを焼却炉のような燃焼炉で火で燃やして体積を減らす酸化処理方法を採択している。
【0003】
ところが、PVCのように塩素を含む物質は焼却時に人体に有害物質であるダイオキシンが多量発生し、ダイオキシンのうち枯葉剤や除草剤に使われるテトラクロロジベンゾジオキシン(TCDD)は1gで50kgのヒト2万名を殺すことができるほどで、青酸カリウムより1000倍も強い毒性を有する。
【0004】
すなわち、PVCは都市廃棄物のうちダイオキシンの最大の発生源と見なされており、PVC廃棄物の焼却時にダイオキシンのみ発生するものではなく塩化ビニル単量体、クロロベンゼン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタリンのような芳香族発癌物質を含めて最小で75種の燃焼副産物が発生する。また、廃PVCは、焼却する場合、分解抑制のために添加された鉛、カドミウムなどの重金属安定剤と環境ホルモンと疑われているフタレート類の可塑剤のような有害な成分も排出される。特に、重金属が安定剤として多量処方されるため、PVCは都市廃棄物のうち鉛、カドミウムが一番多く発生するものと知られていた。
【0005】
そして、食品医薬品安全庁の有害物質叢書によると、塩素を含む有機化合物(PVC原料物質)の焼却時、原料気体の不完全燃焼又は冷却ゾーン(cooler zones:250〜450℃)の飛散灰非均質反応によってダイオキシンが生成され、焼却炉工程を外れた運転温度が250〜300℃程度に冷却される後燃焼(post−combustion)段階で飛散灰中の金属塩化物の触媒効果によって再びダイオキシンが生成されることができると記載されている。
【0006】
このように、事実上高温1200℃以上でダイオキシンを2次処理すると言っても温度が低くなるにつれてまた生成される可能性が高く、事実上焼却において酸素が及ばない内部は焼却が不可能であり、一部酸素が及ばない境界点は低温で処理されるしかない環境であるので、焼却においてダイオキシン生成を全て防止することは不可能であると言える。
【0007】
このような各種の廃棄物焼却時の問題点を研究したところ、徐々に酸化による多様な2次化合物が生成されることが分かった後には、酸化後に2次化合物を処理する方法を研究して来た。
【0008】
また、石炭ガス化複合発電(IGCC)などの石炭ガス化装置では、特定温度(約1200℃)以上で還元反応が起こるという事実を認知し、この温度に到逹するために処理対象物質である石炭の粉末形態である粉炭を単一空間で酸化させ、酸化反応の熱によって1200℃以上の高温に到逹すれば酸素を遮断することで、酸化して残った粉炭がその温度で還元反応を引き起こすようにする、同じ空間内で酸化還元が混合して起こる方法を発展させて来た。
【0009】
その石炭ガス化装置の還元化学反応は次のようである。
還元反応式Reactor:(H:positive)1200℃以上
C+H2O CO+H2+122.6kJ/mol
C+CO2 2CO+164.9kJ/mol
(−CH2−)+H2O CO+2H2+206.2kJ/mol
(−CH2−)+CO2 2CO+H2+247.3kJ/mol
【0010】
この還元反応は前記のように吸熱反応であり、図8の実験グラフで示すように、炭素を含む全ての物質は1200〜1300℃以上で全ての炭素がCOに、全ての水素はH2に変換されるという理論である。
【0011】
前記反応は、粉炭と酸素の発熱反応によって温度を1200℃以上上げる酸化反応(高温のスチーム(H2O)も一緒に注入してスチーム(H2O)も1200℃以上に加熱することで、反応炉の内部が1200℃以上となるようにする)と酸素の供給を止めてその温度での還元反応、そしてその化合物が比較的低温での2次化合物を生成する反応である。
【0012】
前記のように酸化とガス化反応(還元反応)が同時に起これば、合成ガス(Synthesis gas)(H2とCOの混合ガス)以外に酸化反応物質である亜硫酸ガス(SO2)、浮遊微粒子、窒素酸化物(NOx)、各種の有機化合物(ダイオキシン、炭化水素(hydrocarbon)、揮発性有機物(VOC)など)、水銀、ヒ素、鉛、カドミウムなどが生成される。
【0013】
ここで、図1は従来の一般的なバーナーが設置された高温酸化炉の燃焼状態を概略的に示す断面図、図2図1のバーナー燃焼状態を拡大した図である。
【0014】
これに示す燃焼炉10は、燃料供給孔22と第1酸素供給孔23を備えた一般的なバーナー20が取り付けられ、燃焼炉10の一側には別途の第2酸素供給孔11が備えられることで、酸素が第1酸素供給孔23と第2酸素供給孔11を通じて燃焼炉10内に充分に供給される状態で燃焼するようになっている。
【0015】
そして、前述したような従来のバーナー20はヘッド21そのものに備えられる燃焼室がヘッド21の先端によほど短く(浅く)形成されているとか点火できないため、バーナー20を点火すれば、ヘッド21の火炎が燃焼炉10の内部空間で処理対象物質に直接触れて処理対象物質を焼却させるようになっている。
【0016】
このような従来のバーナー20が使われる燃焼炉10は、酸素が反応炉の内部に存在し、処理対象物質に火炎が直接触れて一緒に燃えながら焼却する酸化バーナー方式のもので、炭素を含む有機物(CnH2n)に酸素を供給して燃焼させるものであるので、酸化と還元(非常に部分的に1200℃以上の温度に到逹した部分では還元反応も起こる)が同時に起こりながら各種の酸化物と2次化合物が発生することになる。
【0017】
すなわち、ダイオキシンの外にも、トルエン、ナフタリン、ベンゼン、塩化ビニル単量体、キシレン、クロロベンゼンのような芳香族発ガン物質(PAHS)と亜硫酸ガス(SO2)、二酸化窒素(NO2)、二酸化炭素(CO2)なども発生するから、これらをそのまま大気中に放流する場合、深刻な大気汚染と環境汚染が発生するので、綺麗に濾過するために相当な処理コストがかかる問題点がある。
【0018】
また、良好な燃焼のために多量のバーナー用燃料を使い、対象物質を直接酸化させるための酸素が常に燃焼炉に投入されなければならないので、これによるコスト負担が非常に高いと言える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本発明は前述した従来の問題点を改善しようと開発されたもので、本発明の目的は、互いに隔離されていない単一空間において酸化と還元反応を分離するとともに還元反応を用いて各種の有機廃棄物又は石炭を完全に還元させることにより、2次処理を行わなくても純度が非常に高い合成ガス(Synthesis gas)を得ることができる、酸化反応と還元反応が分離されて起こるようにする還元用バーナーを提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、前記還元用バーナーが設置された反応炉で合成ガスを生成する過程とその生成された合成ガスを還元用バーナーに燃料として供給して再活用する過程を繰り返すことができる酸化反応と還元反応が分離されて起こるようにする還元用バーナーを用いた合成ガスリサイクリングシステムを提供することにある。
【0021】
すなわち、この還元反応を用いて各種の有機廃棄物や石炭などの有機物を完全に還元させることにより、燃料を消費するものではなく、むしろ合成ガス(Synthesis gas)である燃料を生産するので、この燃料を再使用して連続処理することができる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
このような本発明の目的は、燃料供給孔と複数の酸素供給孔を備えた還元用バーナーを反応炉の壁体に複数設置する還元反応炉を構成するとき、還元用バーナーのヘッドの先端には、還元用バーナーの点火後に燃料と一緒に供給される酸素を還元用バーナー内で全て無くすことができるように十分な深さに燃焼室を形成する。
【0023】
すなわち、供給される燃料の酸化に必要量より酸素を充分に少なく供給することによって不完全燃焼するようにし、供給孔を通じて供給される酸素が還元用バーナー燃焼室の内部で酸化(燃焼)反応によって完全に消費されるように燃焼室を充分に長くすれば、酸化反応は還元用バーナーの内部でのみ起こる。この還元用バーナーを用いて反応炉の内部を1200℃以上に加熱すれば、反応炉の内部では還元用バーナーから出た放射熱と未燃焼燃料(C、CO、H2)、還元用バーナー内で酸化によって発生したH2O分子又はCO2分子による還元反応のみが起こるようになり、酸化反応と還元反応が分離された還元用バーナーによる還元反応炉を構成することができる。
【0024】
この還元反応の代表的反応式は次のようなものである。
CnH2n+nH2O+CO+H2+熱(1200℃以上)→(n+1)CO+(2n+1)H2
CnH2n+nCO2+CO+H2+熱(1200℃以上)→2nCO+nH2
【0025】
本発明の他の目的は、反応炉の壁体に複数設置される前記還元用バーナー;反応炉の混合ガス排出孔と連結された混合ガス回収ラインを通じて捕集されたガスを冷却及び圧縮させる冷却圧縮機;冷却圧縮機で冷却圧縮された混合ガスを受けて保存してから前記反応炉の還元用バーナーに供給する貯蔵タンク;及び酸素供給孔に酸素を供給する酸素発生器;を含んでなり、反応炉で生成された合成ガスを捕集して保存し、その保存された燃料の一部又は全部を反応炉の還元用バーナーに燃料として供給して再使用するように合成ガスリサイクリングシステムを構成することによって達成することができる。
【発明の効果】
【0026】
このような本発明は、例えばPVCを分解処理するときに塩素の処理のために消石灰(CaO)を入れながら反応させれば次のように反応する。
2(C2H3Cl)+3H2O+CaO→6H2+4CO+CaCl2
2(C2H3Cl)+3CO2+CaO→3H2+7CO+CaCl2
(:n(C2H3Cl)はPVC、6H2+4CO:通常合成ガス(H2とCOの混合ガス)という)
【0027】
還元用バーナーから出る高温の水蒸気(3H2O)又は二酸化炭素(3CO2)と還元反応して合成ガス(H2とCOの混合ガス)を生成し、消石灰(CaO)と還元反応して中性塩である塩化カルシウム(CaCl2)を生成するので、ダイオキシン(Dioxin)のような2次汚染なしにPVCを効果的に処理することができるようになる。
【0028】
そして、PVCを含む全ての有機廃棄物を2次化合物がほとんどない還元状態への処理が可能であり、このような本発明の還元用バーナーを石炭ガス化装置に用いれば混合反応炉内では還元反応のみ起こるので、酸化による2次化合物の処理が不要であり、高濃度の合成ガスを大量で得ることができるので、石炭を新しい清浄エネルギー源として易しく使うことができる効果がある。
【0029】
特に、酸化と還元が分離されて起こるので、酸化による毒性の強い以外の和合物質(PHAs、Dioxinなど)が発生せず、石炭を含めた悪性有機化合物廃棄物(廃油、廃タイヤ、PVC、PCBS、病原性ごみなど)を還元反応で合成ガス(Synthesis gas)に分解して処理することができ、副産物として清浄合成ガス(Synthesis gas)を得ることができ、高温還元環境が必要な全ての高温炉に適用することができる。
【0030】
また、還元用バーナーが稼動されるうちに還元が連続的に起こるので、清浄合成ガス(Synthesis gas)を絶え間なく常に生産し、生成されたガスの一部を還元用バーナーで再使用し、残りは保存するとかメタンに作って(SNG:Synthetic Natural Gas−CH4)一般の炊事及び暖房用に使うことができる。
【0031】
また、還元を用いた中低準位放射能物質(主に有機化合物である被覆など)の分解処理で量を減らすことによって放射能物質の処理を容易にする方法となるであろう。すなわち、被覆又は装具類が放射能(U、Ce)に汚染されていれば、大部分が有機物からなった中低準位廃棄物は還元ガス化して、合成ガスは処理してフィルタリングし、ウラニウム塩とセシウム塩を2次処理すれば、中低準位廃棄物の体積を画期的に減らし、容易に保存することができる。
【0032】
主要化学反応式は
4(C2H3Cl)+6H2O+U+熱(1200℃以上)→12H2+8CO+UCl4又は2(C2H3Cl)+3H2O+2Ce+熱(1200℃以上)→6H2+4CO+2CeCl である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】従来のバーナーが設置された高温酸化炉の燃焼状態を概略的に示す断面図である。
図2図1のバーナーの燃焼状態を示した拡大図である。
図3】本発明の還元用バーナーが設置された反応炉の内部を示した横断面図である。
図4図3の反応炉に設置された還元用バーナーの燃焼状態を示した拡大図である。
図5】本発明において還元用バーナーのみを抜粹して燃焼状態を示した横断面図である。
図6a】本発明において火点用補助バーナーが設置された還元用バーナーにガスと粉炭が燃料として供給される状態を区分して示す横断面図である。
図6b】本発明において火点用補助バーナーが設置された還元用バーナーにガスと粉炭が燃料として供給される状態を区分して示す横断面図である。
図7】本発明の還元用バーナーで生成された合成ガスを燃料として繰り返し循環させて再使用するリサイクリング装置図である。
図8】炭素を含む全ての物質は1200〜1300℃以上で、全ての炭素がCOに、全ての水素はH2に変換される理論として広く知られた実験グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では本発明の前記目的を達成するための技術構成及び作用を好適な実施例として添付した図面に基づいて具体的に説明する。
【0035】
図3は本発明の還元用バーナーが設置された反応炉の内部構造を示した横断面図、図4図3の反応炉の還元用バーナー燃焼状態を示した拡大図、図5は本発明においてヘッド先端に燃焼室が十分な深さに形成されて火炎が燃焼室内部でのみ作用する還元用バーナーヘッドの構造を示した横断面図である。
【0036】
これに示した本発明の構成において、ガスや粉炭が燃料として注入される燃料供給孔210と複数の酸素供給孔220を備えた還元用バーナー200を反応炉100の壁体101に複数設置して反応炉100の内部温度を1200℃以上の高温にする反応炉100の還元用バーナー構成は一般的であると言える。
【0037】
本発明の特徴は、燃料供給孔210の燃料ガスの点火時、還元用バーナー200のヘッド201の先端に備えた燃焼室202内でのみ酸化燃焼作用するように前記燃焼室202をヘッド201の先端に一定深さで形成して、燃料より少ない量の酸素を供給することにより、酸素供給孔220を通じて供給される酸素が燃焼室202内で完全に消費されるようにし、反応炉100の内部では1200℃以上に維持された状態で還元用バーナーから出た放射熱と不完全燃焼された燃料(C、CO、H2)、還元用バーナー内で酸化によって発生したH2O分子又はCO2分子による還元反応のみが起こるようにしたことにある。
【0038】
これをより具体的に説明すれば、前記ヘッド201の先端に備えられる燃焼室202は、還元用バーナーの点火後、燃料と一緒に供給される酸素を還元用バーナー内で全て無くすように十分な深さで形成されなければならなく、酸素供給孔220に供給される酸素が燃料供給孔210の燃料を酸化させることができる量より充分に少ない量であれば、酸素供給孔220を通じて供給される酸素が深い燃焼室202内で完全に消費されることができる。
【0039】
特に、酸素は燃焼室202内でのみ完全に消費され、これによって還元用バーナー内の燃焼室202から反応炉100の内部には放射熱と不完全燃焼された燃料(C、CO、H2)、還元用バーナー内で酸化によって発生したH2O分子又はCO2分子のみが流入するようになる。すなわち酸素がない。
【0040】
ここで、図6は本発明の還元用バーナーに点火器が設置された状態を示した図である。同図において、未説明符号300は酸素が補助バーナーヘッド301に供給される火点用補助バーナーであり、302は火点用補助バーナー300のスパークプラグであり、反応炉100には炭素を含む有機物(CnH2n)が燃焼のために投入される。
【0041】
そして、前記反応炉100の外壁は高温の熱と還元雰囲気によって分解されない熱衝撃に充分に耐えられる素材(一例として、酸化アルミニウムを纎維に作った後、これを樹脂に混合した素材)から製造されることが好ましく、高温還元雰囲気で使用する温度センサーは白金と白金ロジウム合金を用いた温度センサー110を使うかこれより良い合金の温度センサーを使っても良い。
【0042】
このように形成された本発明は、燃料供給孔210を通じて供給される燃料ガス量に比べて酸素供給孔220を通じて供給される酸素量を少なく投入しなければならない。このようにすれば、燃料供給孔210に噴射されるガス量を最大にしても還元用バーナー200のヘッド201に備えられた相当な深さの燃焼室202内でのみ燃焼(酸化反応)するから、ヘッド201の燃焼室202に供給された酸素は燃焼(酸化反応)によって還元用バーナー内の燃焼室で完全に消費され、放射熱と不完全燃焼された燃料(C、CO、H2)、還元用バーナー内で酸化によって発生したH2O分子又はCO2分子は反応炉100に流入する。
【0043】
すなわち、還元用バーナー200の燃焼室202内でのみ酸化反応が起これば、燃焼室202内の反応は、
カーボン、すなわち粉炭を酸化させれば、C+O2→CO2
一酸化炭素を酸化させれば、2CO+O2→2CO2のように反応し、
水素を酸化させれば、2H2+O2 2H2Oの発熱反応が起こることになる。
【0044】
それで、反応炉100内に放射熱と酸化によって生成されたCO2、2H2O、そして酸化しなかったCO、H2ガスが流入する。
【0045】
この時、酸素は還元用バーナー200のヘッド201の燃焼室202内で全量消費され、反応炉100内では1200℃以上を維持すれば酸素がないから、還元用バーナーで生成された水分子(2H2O)と二酸化炭素分子(CO2)によって、
(H2Oによる一般有機物の還元反応式)
CnH2n+nH2O+熱(1200℃以上)→nCO+2nH2、C+H2O CO+H2、
(CO2による一般有機物の還元反応式)
CnH2n+nCO2+熱(1200℃以上)→2nCO+nH2、C+CO2 2CO
の還元反応のみ起こり、合成ガス(Synthesis gas)と塩類以外の反応物質はほぼ生成されなくなる。
【0046】
したがって、このような本発明の還元用バーナー200の還元反応を用いて各種の有機廃棄物又は石炭を完全に還元させれば、2次処理をほとんどしないながらも純度が非常に高いH2とCOの合成ガスを得ることができる。
【0047】
すなわち、言い換えれば、本発明は、前記合成ガス(H2とCOの混合ガス)を特定の閉鎖空間であるヘッド201の燃焼室202内に供給し、供給される燃料ガス量より少量の酸素(O2)を供給して、酸素が不足した状態で還元用バーナー内で不完全燃焼させれば、その結果物である水蒸気(H2O)と二酸化炭素(CO2)、そして一部の残った合成ガス(H2とCOの混合ガス)と熱源である放射熱がこの還元用バーナーを使う反応炉を還元反応炉に作るものである。
【0048】
ここで、前記結果物である高温の水蒸気(H2O)と高温の二酸化炭素(CO2)そして一部の残った高温の合成ガス(H2とCOの混合ガス)と熱源である放射熱が反応炉100の内部にそのまま伝達されることにより、反応炉100の内部では還元作用のみが起こる。また、不完全燃焼によって流入した合成ガス(H2とCOの混合ガス)は再び捕集して再使用するので問題となるものはない。
【0049】
その結果、本発明は、還元用バーナー200と反応炉100で酸化と還元が分離されて起こるから、酸化による毒性の強い和合物質(PHAs、Dioxinなど)が発生しないので、石炭を含めた悪性有機廃棄物を清浄処理することができ、副産物としてH2とCOが混合された清浄合成ガス(Synthesis gas)を得ることができる。
【0050】
PVCを処理するときは、
2(C2H3Cl)+3H2O+CaO→6H2+4CO+CaCl2
2(C2H3Cl)+3CO2+CaO→3H2+7CO+CaCl2
(:n(C2H3Cl)はPVC、6H2+4CO:通常合成ガス(H2とCOの混合ガス)という)
高温の水蒸気(3H2O)が高温の二酸化炭素(3CO2)と還元反応してH2+CO(通常合成ガス(H2とCOの混合ガス))を生成し、消石灰(CaO)との還元反応によって中性塩である塩化カルシウム(CaCl2)を生成するので、ダイオキシンのような2次汚染なしにPVCを処理することができる。
【0051】
このような本発明の還元用バーナーは、既存の酸化還元が混合して起こる混合炉である石炭ガス化装置(IGCC)の完全還元装置化をなすため、付随的な2次化合物処理装置が不要であり、効率を極大化することができる。
【0052】
このような本発明の加熱装置にPVCのようなプラスチック、廃タイヤなどを投入するとき、反応炉又は還元用バーナー200で発生した廃熱を用いて800℃以下で熱分解して低分子に分解した後、気体又は液体状態で還元炉に投入すれば、還元反応がもっと早く起こることになり、これによる熱損失も減らすことができ、このように液体又は気体として反応炉100内に投入されれば、固体が反応炉100の壁に衝突することによる損傷も防止することができる。
【0053】
このような本発明の高温還元炉を新たに作るときは、反応炉100の底に空気供給孔を初めから形成せず、還元用バーナー200に備えられた酸素供給孔220を通じてのみ酸素を供給すれば良い。
【0054】
そして、既存の高温酸化炉を高温還元炉に作ろうとするときは、既存の反応炉(酸化炉)の底に備えられた酸素供給孔220は遮断して酸素が反応炉の内部には全然流入することができないようにし、還元用バーナー200に備えられた酸素供給孔220を通じての酸素が燃焼室202に供給されて消費されるようにすれば良いものである。このようにすれば、既存の一般高温酸化炉を本発明の高温還元炉として作ることができる。
【0055】
図7は本発明の還元用バーナーによって生成される合成ガスを燃料タンクに保存してから本発明の還元用バーナーに燃料として供給して再使用するリサイクリングシステム過程図である。
【0056】
これに示した本発明の還元用バーナーを用いた合成ガス再使用システムは、上部に混合ガス排出孔120が備えられ、還元用バーナーから送られる放射熱と不完全燃焼された燃料(C、CO、H2)と還元用バーナー内で酸化によって発生したH2O分子又はCO2分子が伝達されて1200℃以上に到達すれば、供給される炭素を含む有機物(CnH2n)をH2O分子又はCO2分子によって還元反応のみさせる反応炉100;反応炉100の壁体101に複数設置され、燃料供給孔210と複数の酸素供給孔220を備えた還元用バーナー200;及び酸素供給孔220を通じて供給される酸素を全て消費することができるように還元用バーナー200のヘッド201の先端に一定深さで備えられ、酸化燃焼作用しながら反応炉100に放射熱と不完全燃焼された燃料(C、CO、H2)と還元用バーナー内で酸化によって発生したH2O分子又はCO2分子を供給する燃焼室202;からなる。
【0057】
そして、混合ガス排出孔120と連結された混合ガス回収ライン110を通じて捕集されたガスを冷却及び圧縮させる冷却圧縮機400;冷却圧縮機400で冷却圧縮された混合ガスを受けて保存してから前記反応炉100の還元用バーナー200に供給する貯蔵タンク500;及び酸素供給孔220に酸素を供給する酸素発生器600;をさらに備える。
【0058】
このような本発明のシステムには、温度による合成ガス及び酸素調節器、補助バーナー自動挿入排出装置、排出ガス測定システム、これらの統合コントロールシステムなどがさらに設置されるが、これらの構成は一般化したものなので、これらについての詳細な言及は省略する。
【0059】
前述した本発明の混合ガス再使用システムは、前述したように、還元用バーナー200のヘッド201に一定深さで形成した燃焼室202内でのみ火炎が酸化燃焼作用して酸素を全て消費させ、このような還元用バーナー200が動作するうちに不完全燃焼した燃料ガス(C、CO、H2)と放射熱と還元用バーナー内で酸化によって発生したH2O分子又はCO2分子が反応炉100に流入しながら1200℃以上の高温に加熱されれば、H2O分子又はCO2分子による還元反応によってH2とCOの合成ガスを常に生成することになる。
【0060】
このように生成された混合ガスが混合ガス回収ライン110を通じて捕集されると、冷却圧縮機400で所要温度に圧縮させ、その後、貯蔵タンク500に保存させてから前記還元用バーナー200の燃料供給孔210に供給する過程を繰り返して、還元用バーナー200の稼働によって多量の混合ガスが発生するので、最初の稼働時以外には燃料コストがかからなく、むしろ有機廃棄物から燃料を生産することができる。
【0061】
そして、還元用バーナー200が稼動されるうちには合成ガスを絶え間なく常に生産することができ、捕集される混合ガス量がよほど多い場合、その混合ガスを一定温度に冷却圧縮して保存する時、前記貯蔵タンク500の外に第2燃料貯蔵タンク510をさらに備えて第2燃料貯蔵タンク510にも保存すれば、これを一般の家庭又は店で暖房又は炊事用燃料として使うことができる。
【0062】
また、従来のIGCC石炭ガス化装置は、酸化と還元が同じ空間で起こり、燃焼してから冷える過程を繰り返す非能率的な間欠的な方法で合成ガス(H2とCOの混合ガス)を生産し、2次工程で酸化によって生成された副産物を処理する煩わしさと処理コスト上昇の問題点があるが、
【0063】
本発明の還元用バーナーを用いた合成ガスリサイクリングシステムは、酸化と還元を分離して、副産物がほとんどない(H2S、FeSのような化合物が生成され得るが、有用な化合物であり、フィルタリングは難しくない)清浄合成ガスを連続的に得ることができる利点がある。
【0064】
したがって、これまで焼却炉は酸化による副産物(PHAs、ダイオキシンなど)によって地域住民、政府との法的摩擦があって来たが、本発明の還元用加熱装置を使えば、副産物を無くして清浄処理することができるので、地域住民又は政府との摩擦を避けることができる。
【0065】
新都市周辺の焼却機能を喪失した複合火力において、燃焼されるごみを還元清浄処理して副産物の合成ガス(H2とCOの混合ガス)を燃料として発電機を稼動することができ、ごみを清浄エネルギー源として使うことができる。
【0066】
特に、変圧器絶縁油、廃油、廃エンジンオイル、廃PVC、廃タイヤ、廃プラスチック類などの廃有機物の還元処理によって合成ガス(H2とCOの混合ガス)を生産することによって悪性廃棄物をエネルギー源に変えることができる。
【0067】
そして、病院ごみの焼却ではない高熱還元処理によって全ての菌類(ウイルス又は菌類なども化学的には有機化合物である)などを清浄合成ガス(H2とCOの混合ガス)化することができ、既存の酸化によるダイオキシンなどの猛毒性2次有機化合物を生産したごみ焼却炉をごみ還元炉に変化させることができ、動物死体及び植物を含めた全ての有機和合物の還元処理及び清浄合成ガス化が可能である。
【符号の説明】
【0068】
100 反応炉
101 壁体
110 温度センサー
120 混合ガス排出孔
121 混合ガス回収ライン
200 還元用バーナー
201 ヘッド
202 燃焼室
210 燃料供給孔
220 酸素供給孔
300 補助バーナー
302 スパークプラグ
400 冷却圧縮機
500 貯蔵タンク
510 第2燃料貯蔵タンク
600 酸素発生器
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8