【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成27日4月26日に、トヨタ産業技術記念館(愛知県名古屋市西区則武新町4−1−35)で実施された週末ワークショップ「キラキラ光る☆星座早見を作ろう」において、発明者及び出願人である間瀬康文(愛知県知多郡武豊町字西門29番地の1)により公開
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。なお図中の符号は、他の図面において同じ構成のものは同じ符号で表示する。また特許請求の範囲に記載の要素に対応する要素については説明の途中で逐次対応を説明する。
【0022】
まず
図1にもとづき、星座早見盤の全体構成を説明する。星座早見盤は、バックライト機能を有する本体(1)と、本体(1)に装着される星座早見ユニット(2)と、星座早見ユニット(2)に装着される星座早見円盤(3)と、星座早見ユニット(2)の代わりに本体に装着可能な星座ユニット(4)と、星座ユニット(4)に装着される星座シート(5)と、星座早見ユニット(2)の代わりに本体に装着できる星雲星団ユニット(6)と、星雲星団ユニット(6)に装着される星雲星団円盤(7)と、星座名や星座線などの表示要素を表示させる時に使用する紫外線ランプ(8)と、学校の授業で明るい教室で星座早見盤を使用する時に星座早見ユニット(2)に装着して使用する遮光フード(9)と、で構成され、使用目的に応じて適宜組み合わせて使用される。ここで星座早見ユニット(2)は、請求項1に記載の第1の保持ユニットに相当し、星座ユニット(4)や星雲星団ユニット(6)は、請求項1に記載の第2の保持ユニットに相当する。識別
【0023】
図2から
図9に基づき本体(1)に星座早見ユニット(2)と星座早見円盤(3)を装着して星座早見盤として使用する場合の星座早見盤ならびに本体(1)の構造を説明する。
【0024】
本体(1)は、略平板状の中空構造体に組み立てられる本体段ボール(11)に、複数の要素が取り付けられて構成されている。本体段ボール(11)は、
図5に示す本体段ボールの展開図のように、前板部(111)、背板部(112)、側壁部(113)、ポケット前板部(114)、電池蓋部(116)などの主要な部分が形成された平面状の段ボールであり、折り曲げ工程を経て立体的に組み立てることで箱状の立体形状となる。
【0025】
前板部(111)の中央付近にはライトボックス側板部(1111)が4か所形成され、それぞれが折り曲げられることで前板部(111)の中央部に四角形の開口窓(1112)が形成されるようになっている。また前板部(111)の上部には、電池蓋部(116)が形成され、組み立て後に電池入れ替え窓(1121)のふたを形成する。また前板部(111)の下部には、背板部(112)が連結形成され、組み立て後に本体の背面を構成する。
【0026】
背板部(112)の両側には側壁部(113)が形成されていて、組み立てられると両側に側壁(1131)を形成するようになっている。この側壁(1131)の内側壁には前板部(111)に形成された差し込み部が差し込まれるスリットが形成されており、組み立て後に前板部(111)の位置が正しい位置に固定されるようになっている。
【0027】
背板部(112)の、前板部(111)が連結する側と反対の側には、ポケット前板部(114)が連結している。このポケット前板部(114)は、ポケット底面部(1141)とポケット前面部(1142)とポケット側面部(1143)とポケット差し込み部(1144)で構成されている。またポケット前板部(114)は組み立てられると、ポケット底面部(1141)を底面、側壁(1131)を両側面、ポケット前面部(1142)を前面、前板部(111)を構面として、上面が開口したポケット部(115)が構成され、後述する星座早見ユニット(2)や星座ユニット(4)や星雲星団ユニット(6)の下部が装着される空間を形成する。
【0028】
ポケット前面部(1142)には後述するつまみ(18)が貫通する穴が形成されている。ポケット差し込み部(1144)は、側壁(1131)の外側に形成されたスリットに差し込まれる。これによりポケット前板部(114)全体は所定の位置に固定される。ポケット前板部(114)と背板部(112)の連結部分には、電池入れ替え窓(1121)が形成されていて、組み立て後に電池蓋部(116)が電池入れ替え窓(1121)を挿通し電池入れ替え窓(1121)を塞いで蓋になるようになっている。
【0029】
電池蓋部(116)には、磁石(1161)が取り付けられていて、組み立て後に電池のケースと磁石が吸着する吸着力によって、電池蓋部(116)が電池入れ替え窓(1121)に密着して蓋がむやみに開かないようになっている。
【0030】
開口窓(1112)の側面を構成するライトボックス側板部(1111)の内側には発光体組(12)が固定されている。発光体組(12)は、テープLED(121)が表面に取り付けられたテープLED取り付け板(122)が四角形に曲げられて構成されている。
また、電池(15)を装着した電池ホルダー(16)と電子制御基板(17)が本体段ボールの前板部に固定されている。
【0031】
電子制御基板(17)は、基板(171)にスイッチ付き可変抵抗(172)とシート検出センサー(173)と環境光検出センサー(174)と赤外線検出素子(175)と、LED駆動素子(176)と、CPU(177)が配置され、電池ホルダー(16)から電池(15)端子を通じて電力が供給される。この電子制御基板(17)の各要素は
図6に示すように電気的に接続されている。
【0032】
また、LED駆動素子(176)とテープLED(121)は電気的に結線されている。このうち、スイッチ付き可変抵抗(172)の回転軸にはつまみ(18)が圧入されていて、利用者はテープLED(121)の明るさを調整する目的でつまみ(18)を回して電気抵抗を変更したり、左方向にいっぱい回すとスイッチが切れ、少し右に回すとスイッチが入るようになっている。
【0033】
また、シート検出センサー(173)は、後述する星座早見円盤(3)が星座早見ユニット(2)の正しい位置に装着されかつ星座早見ユニット(2)が本体(1)の正しい位置に装着された場合、あるいは、星座シート(5)が星座ユニット(4)の正しい位置に装着されかつ星座ユニット(4)が本体(1)の正しい位置に装着された場合、あるいは、星雲星団円盤(7)が星雲星団ユニット(6)の正しい位置に装着されかつ星雲星団ユニット(6)が本体(1)の正しい位置に装着された場合に、星座早見円盤(3)あるいは星座シート(5)あるいは星雲星団円盤(7)の裏面の高い反射率の白色状態が検出され(装着状態)、正しく装着されていない場合は星座早見ユニット(2)あるいは星座ユニット(4)あるいは星雲星団ユニット(6)の低い反射率の黒色状態が検出される(非装着状態)ような適切な位置に取り付けられている。これにより後述するCPU(177)の動作により、装着状態ではテープLED(121)を点灯させ、非装着状態の時はテープLED(121)を消灯させるような制御が可能となり、非装着状態の時にテープLED(121)の光が漏れて観察者がまぶしくなることを避けることができる。
【0034】
また、環境光検出センサー(174)は、CPU(177)に接続され、周囲の明るさを検出可能で、かつ、後述する遮光フード(9)が取り付けられた時には遮光フード(9)の内部の明るさを検出可能な位置に取り付けられている。これにより、後述するCPU(177)の動作により、明るい時にテープLED(121)を点灯させる無駄をなくし、電池の意図しない消耗を避けることができる。また、星座早見ユニット(2)、星座ユニット(4)、星雲星団ユニット(6)にはそれぞれ、環境の光が環境光検出センサー(174)に導入されるように環境光検出穴(26)(46)(66)がそれぞれ形成されている。
【0035】
また、赤外線検出素子(175)は、CPU(177)に接続され、星座早見盤にむけて発信された赤外線を検出できるような位置に取り付けられている。これにより、後述するCPU(177)の動作により、例えば教師が赤外線リモコンを操作して星の明るさを調整したり、例えば屋外で天体望遠鏡から離れた位置に設置した星座早見盤の星を天体望遠鏡で観察する時などに天体望遠鏡の位置から赤外線リモコンを用いて星の明るさを調整することができる。また、ポケット前板部(114)、星座早見ユニット(2)、星座ユニット(4)、星雲星団ユニット(6)にはそれぞれ、赤外線リモコンからの光が赤外線検出素子(175)に導入されるように赤外線検出穴(1145)(27)(47)(67)がそれぞれ形成されている。
【0036】
またLED駆動素子(176)は、CPU(177)に接続され、後述するCPU(177)の動作により、テープLED(121)の点灯時の輝度を制御可能になっている。
【0037】
CPU(177)は、後ほど説明するフローチャートにしたがって動作するようなプログラムが記録されていて、電源が投入されると所定の動作を行うようになっている。
【0038】
また開口窓(1112)の、組み立て後に背板部と対向する方向の窓には、テープLED(121)から発せられた光を効果的に反射するようにアルミ等の反射層が表面にラミネートされた背面反射板(13)が取り付けられ、ライトボックスの背面反射面を構成している。
【0039】
また開口窓(1112)の、4つのライトボックス側板部(1111)の折り曲げ部分で構成される窓には、入射する光を拡散しながら透過する前面拡散板(14)が取り付けられている。この前面拡散板(14)には、テープLED(121)から発せられた光が直接、または背面反射面を反射して入射するが、その入射光が拡散・透過することによって表面から観察される輝度が、前面拡散板(14)の表面の位置によらず一定の輝度となるように、♯前面拡散板の表面には濃度調整印字が印刷されている。
【0040】
この濃度調整印字は、次のような方法で決めるのが良い。すなわち、濃度調整印字を行わない前面拡散板(14)を用いてテープLED(121)を点灯させた時の前面拡散板(14)の表面をデジタルカメラ等で撮像し、輝度むら対策前の状態として記録する。
図7はその撮影結果の例を示す図である。
【0041】
次に撮影画像から前面拡散板(14)の表面の輝度を読み取り、中央付近の暗い場所の輝度を基準輝度とする。次に、前面拡散板(14)の表面それぞれの位置において、基準輝度にするために必要な減光率を計算する。次に、その減光率となるように前面拡散板(14)の表面それぞれの位置における濃度調整印字の濃度を定める。次に、その濃度調整印字を前面拡散板(14)の表面に印刷する。
図8は輝度むら対策のための濃度調整印字を示す図である。
このような方法で濃度調整印字の濃度を定めることで、前面拡散板(14)の表面を観察した時の輝度は
図9に示すように一様となり輝度むらが解消される。
【0042】
背面反射板(13)と前面拡散板(14)の距離が小さくなって、前面拡散板(14)に入射するテープLED(121)の光にムラが生じても、前面拡散板(14)の表面から観察される表面輝度は一定に保たれるため、本体を薄く設計することができ、持ち運びの際に邪魔にならず、また使用時に小さな手の子どもが本体の左右を手でつかんで持つことが出来るし、学校や科学館などで多数の星座早見盤を使用する場合でも格納スペースが少なく済む等の効果がある。
【0043】
次に
図10を参考にしながら、星座早見ユニット(2)について説明する。星座早見ユニット(2)は、星座早見ユニット台紙(21)と星座早見ユニット厚さ調整板(22)と星座早見ユニット窓板(23)から構成される。これらの素材は低い表面反射率(黒色等)の素材でできている。
【0044】
また星座早見ユニット台紙(21)には、後述する星座早見ユニット窓板(23)の窓よりも少し大きな略楕円状の窓が形成されている。また星座早見ユニット台紙(21)には、星座早見ユニット(2)が本体(1)の正しい位置に装着され、かつ後述する星座早見円盤(3)が正しい位置に装着された時に、前記シート検出センサー(173)が星座早見円盤(3)の高い反射率の表面を検出できるような位置に装着検出穴(25)が形成されている。星座早見ユニット(2)が本体(1)の正しい位置に装着されていない時や、後述する星座早見円盤(3)が正しい位置に装着されていない時は、前記シート検出センサー(173)は星座早見ユニット台紙(21)や星座早見ユニット窓板(23)の低い反射率(黒色)の表面が検出される。
【0045】
また、星座早見ユニット台紙(21)の上部には、磁石(211)が取り付けられていて、本体の対向する位置には鉄板(19)が取り付けられていて、星座早見ユニット(2)を本体(1)に装着した際に吸着して固定されるようになっている。
【0046】
星座早見ユニット台紙(21)と星座早見ユニット窓板(23)の間には、星座早見ユニット厚さ調整板(22)によって隙間が形成され、後述する星座早見円盤(3)が装着される。星座早見円盤(3)は、星座早見ユニット厚さ調整板(22)の端面によって下部が、本体に装着された際に側壁(1131)の壁面に左右がそれぞれ支持されることにより、星座早見円盤(3)の中心を回転中心として回動可能に保持される。
【0047】
星座早見ユニット窓板(23)は、その日時に観察される星空を示す略楕円状の窓(28)が形成されている。この形状は、一般の星座早見盤の原理と同様に形成されているので詳細は省略する。また、星座早見ユニット窓板(23)の上部の円弧部分には、時刻目盛が印刷されており、後述する星座早見円盤の外周部に印刷された月日目盛との組み合わせで、その日時で観察できる星の状況を再現できるようになっている。なお、時刻目盛は、紫外線で発光するUVインクでも印刷されている。
【0048】
なおこの窓の形状と開口位置、ならびに窓の位置と時刻目盛の位置関係は、使用する星座早見円盤が同一の場合、使用者が観察する緯度と経度によって異なる。したがって、使用者が使用する緯度と経度に適した星座早見ユニットを選択的に使用するのが望ましい。
なお、星座早見ユニット(2)の下部は、前述のポケット部(115)の空間に挿入され、星座早見ユニット(2)が隙間なく保持されるようになっている。
【0049】
また星座早見ユニット窓板(23)には、後述する遮光フード(9)の磁石(93)と対向する位置に鉄板(24)が取り付けられていて、遮光フード(9)を吸着固定できるようになっている。
【0050】
次に、
図11から
図17に基づいて、星座早見円盤(3)について説明する。本説明では、比較的少ない数の星を再現すれば良い場合に適した第1の星座早見円盤の実施例と、より多くの星を再現する場合に適した第2の星座早見円盤の実施例を示す。まず、4等星までの星を再現する第1の星座早見円盤の実施例を示す。
【0051】
第1の星座早見円盤は、
図11及び
図15に示すように、観察者側から見て、表面紙(31)、遮光紙(32)、フィルター紙(33)の順番に積層構造を有し、それぞれが接着剤で貼りあわせされている。
【0052】
表面紙(31)は、紫外線を当てた際に発光しないように蛍光物質を含まない紙を素材としており、その表面には月日目盛(313)、星(314)、星座線(315)、星座絵、星座名(316)、天体名(317)、赤道・黄道(318)、銀河(319)などの表示要素が、可視光線で視認可能なインク(311)と、紫外線を当てると視認可能なUVインク(312)を用いて、
図16に示すような方法でそれぞれ印刷されている。ここで、星(314)と銀河(319)は、インク(311)のみで印字されている。このうち星(314)は通常の星座早見盤と同様に明るい星は大きな丸で、暗い星は小さな丸で表現されている。また、星座線(315)や星座名(316)、星座絵、天体名(317)、月日目盛(313)、赤道・黄道(318)は、それぞれインク(311)とUVインク(312)との両方で印刷されている。また、好適には、星座早見円盤(3)を示す識別情報(38)が表面に印刷されていると良い。これは、観察する星座や天体の解説情報を音声や画像で携帯情報通信端末を介して提供する解説情報提示システムを利用する際に、識別情報(38)の情報を入力することで、利用者が使用しているのが星座早見円盤(3)であることが判断され、かつ、識別情報(38)を提示した時刻によって解説する星空が特定されて、適切な星空解説情報が提供されるからである。
【0053】
遮光紙(32)の、表面紙(31)側に面する表面には、黒色のインク(311)により、天の川や明るい星雲状天体以外の部分が真黒印刷(321)としてほぼ光を遮断するような高い濃度で印刷されており、天の川や明るい星雲状天体の部分が一部透過印刷(322)として真黒印刷(321)に比べ低い遮光率となるような濃度で印刷されている。また遮光紙(32)の裏面には、天の川や明るい星雲上天体の色彩を付与するように所定の着色印刷(323)が施されている。また表面紙(31)と遮光紙(32)の2つの層を貫通するように、それぞれ所定の直径からなる複数の透過孔(34)が形成されている。この透過孔(34)は、穴の位置合わせを必要としないように、表面紙(31)と遮光紙(32)を貼りあわせた後に、手動または加工装置を用いて形成されるのが望ましい。
【0054】
フィルター紙(33)の遮光紙(32)に面する表面には、対応する星の等級に応じてフィルター紙(33)を通過する光線を減光するための減光印刷(331)が施されており、フィルター紙(33)の素材による減光の作用に加えて所定の減光作用が付与されるようになっている。またフィルター紙(33)の裏面には、主に1等星以上の明るい星に対してその星の色に応じてフィルター紙(33)を通過する光線に色を付与する着色印刷(323)が施されており、フィルター紙(33)の素材による着色の作用に加えて所定の着色作用が付与されるようになっている。ここでフィルター紙(33)の表面ないしは裏面に、減光と着色を同時に付与する印刷を施しても良い。
【0055】
図17は、各等級に応じた透過孔(34)の直径と減光印刷(331)の減光等級の組み合わせを示す図である。本実施例では、表示する最微光星を4等星としたが、フィルター紙(33)の減光印刷(331)によって異なる最微光星に設置できることは言うまでもない。
【0056】
なお、暗い星を再現しようとすると星と星の間隔が狭くなるため、それに対応して減光印刷(331)の間隔を狭くする必要がある。しかしながら、透過孔(34)の加工位置のずれ、フィルター紙(33)の減光印刷(331)の印字位置のずれ、表面紙(31)とフィルター紙(33)の収縮によるずれ、そしてフィルター紙(33)を遮光紙(32)へ貼りあわせる際の位置ずれがあるため、減光印刷(331)の半径はそれらの合計よりも大きくする必要がある。近接する位置に明るさの異なる星が存在する場合、それぞれ別の減光率を付与する減光印刷(331)が必要になるが、上記条件と背反するため、正しい星の明るさを再現するために星の位置をずらす等の煩雑な対応が必要になる等の課題がある。したがって第1の星座早見円盤の構成では4等星の星を再現する程度に留めるのが良く、これ以上の暗い星を再現するのには向いていない。
【0057】
次に、より暗い星まで再現できる第2の星座早見円盤の実施例を
図18から
図20に基づいて説明する。第2の星座早見円盤は、
図18及び
図19に示すように、観察者側から見て、表面紙(31)、遮光紙(32)、第1減光紙(35)、第2減光紙(36)の順番に積層構造を有し、第1の星座早見円盤と同様に、それぞれは例えばスプレーボンドなどで貼りあわせされている。表面紙(31)ならびに遮光紙(32)の表面や裏面に施されている印刷は、第1の星座早見円盤の表面紙(31)と遮光紙(32)とそれぞれ同様なので説明を省略する。
【0058】
また表面紙(31)と遮光紙(32)を貼りあわせた後に手動または加工装置を用いて透過孔(34)が形成されることは同様であるが、ここで形成される透過孔(34)は第1透過孔(351)と称し、
図20に示すように5等星と6等星の星のみについて形成されている。
【0059】
第1減光紙(35)は、素材が一定の減光率を有しており、第1減光紙(35)を通過する光線に一定の減光作用を付与する。第1の星座早見円盤のフィルター紙(33)と異なり、表面に個別の星に対応した減光印刷は施されていない。したがって、第1減光紙(35)を遮光紙(32)へ貼りあわせる際に位置が多少ずれても減光作用に変化はなく再現される星の等級に影響は出ない。
【0060】
次に、第1減光紙(35)を貼りあわせた後に手動または加工装置を用いて第2透過孔(352)が形成される。これは
図20に示すように、3等星と4等星の星に対して形成される。
【0061】
次に、第2減光紙(36)が貼りあわされる。第2減光紙(36)は第1減光紙(35)と同様に、素材が一定の減光率を有しており、第2減光紙(36)を通過する光線に一定の減光作用を付与する。また表面には減光印刷は施されていない。したがって、第2減光紙(36)を第1減光紙(35)へ貼りあわせる際に位置が多少ずれても減光作用に変化はなく再現される星の等級に影響は出ない。
【0062】
次に、第2減光紙(36)を貼りあわせた後に手動または加工装置を用いて第3透過孔(353)が形成される。これは
図20に示すように、2等星とそれより明るい星に対して形成される。
【0063】
次に、1等星よりも明るい星に対しては、第2減光紙(36)の裏面に、着色シール(37)が貼りつけられる。この着色シール(37)は、貼り付け作業が容易なように例えば直径8mm 程度の大きさの円形透明シールの中心付近に、星の色に対応した円形の着色シール印刷(371)が施されたシールであり、第3透過孔(353)の開口部を覆うような位置に貼り付けられる。この着色シール(37)印字の直径はシールの貼り付け精度に対応して設定するが、第1の星座早見円盤のフィルター紙(33)に施される減光印刷(331)が透過孔(34)の加工位置精度やフィルター紙(33)への減光印刷(331)の印字精度やフィルター紙(33)の収縮やフィルター紙(33)の貼りあわせ精度を合計した余裕を必要とするのと比べ、貼り付け精度のみを吸収する余裕を付与すれば良いため、より小さい直径にできる。また近接する星に重ならないように星毎に位置を調整しながら貼りあわせることが可能なので、意図しない星に色が付与されることを高い確率で排除できる。
【0064】
第2の星座早見円盤は上記のような構造を有しているため、第1の星座早見円盤が有する位置合わせの課題を有していない。そのため異なる等級で近接する星を再現することが可能である。すなわち、より暗い星まで再現することが可能であるという特徴がある。
【0065】
次に
図21にもとづき星座ユニット(4)を説明する。星座ユニット(4)は、特定の星座をより詳細に再現する際に使用する。星座ユニット(4)は、星座ユニット台紙(41)と星座ユニット厚さ調整板(42)と星座ユニット窓板(43)から構成される。これらの素材は低い表面反射率(黒色等)の素材でできている。
星座ユニット台紙(41)と星座ユニット窓板(43)には、それぞれ前面拡散板(14)の形状とほぼ同じ大きさの四角形の窓が形成されている。
【0066】
また星座ユニット台紙(41)には、星座ユニット(4)が本体(1)の正しい位置に装着され、かつ後述する星座シート(5)が正しい位置に装着された時に、前記シート検出センサー(173)が星座シート(5)裏面の高い反射率の表面を検出できるような位置に装着検出穴(45)が形成されている。星座ユニット(4)が本体(1)の正しい位置に装着されていない時や、後述する星座シート(5)が正しい位置に装着されていない時は、前記シート検出センサー(173)は星座ユニット台紙(41)や星座ユニット窓板(43)の低い反射率(黒色)の表面を検出する。
【0067】
また、星座ユニット台紙(41)の上部には、磁石(411)が取り付けられていて、星座ユニット(4)を本体(1)に装着した際に本体(1)の鉄板(19)に吸着して固定されるようになっている。
【0068】
星座ユニット台紙(41)と星座ユニット窓板(43)の間には、星座ユニット厚さ調整板(42)によって隙間が形成され、後述する星座シート(5)が装着される。また星座ユニット(4)の下部は、前述のポケット部(115)の空間に挿入され、星座ユニット(4)が隙間なく保持されるようになっている。また星座ユニット窓板(43)には、後述する遮光フード(9)の磁石(93)と対向する位置に鉄板(44)が取り付けられていて、遮光フード(9)を吸着固定できるようになっている。
【0069】
次に、
図22にもとづき星座シートについて説明する。星座シート(5)の基本的な構造は、第2の星座早見円盤の構成とほぼ同様であるが、外形が四角形であることと、第2減光紙(36)の外側に第3減光紙(51)が追加された積層構造を有している点が異なる。
【0070】
また再現する星空の領域が星座早見円盤(3)は全空であり、カメラレンズで言うと「魚眼レンズ」で撮影するような領域であるのに対して、星座シート(5)は特定の星座、たとえばオリオン座の領域のみを再現するように「標準レンズ」で撮影するようなより狭い領域を再現している点が異なる。
【0071】
より好適には、星座早見盤を手で持って腕を伸ばした距離で観察した際に、星座シート(5)で再現される星座が実際の星空の星座と同じ大きさで観察できるように星座シート(5)で再現する星空の領域が設定されていると、実際の星空で星座を探す際により理解しやすい。
【0072】
また、より狭い範囲を再現するということは、同じ暗さの星を再現しても星座早見円盤(3)に比べて星と星の間隔が大きくなることを意味し、逆に星と星の間隔を同じ程度とした場合、星座早見円盤(3)に比べて星座シート(5)はより暗い星を再現できることを意味する。そこで本実施例の星座シート(5)は、オリオン座の領域の10等星までの星を
図23のような構成で再現した。
【0073】
すなわち、1等星から4等星の明るい星は、第3減光紙(51)まで貫通する第4透過孔(52)で構成される。また、5等星と6等星の星は、第2減光紙(36)まで貫通する第3透過孔(353)で構成される。また、7等星と8等星の星は、第1減光紙(35)まで貫通する第2透過孔(352)で構成される。また、9等星と10等星の微光星は、表面紙(31)と遮光紙(32)のみを貫通する第1透過孔(351)で構成される。また、遮光紙(32)の一部透過印刷(322)によって、オリオン座の東側に広がる冬の天の川や、オリオン座にあるオリオン大星雲が再現される。また4等星よりも明るい星に対しては、第3減光紙(51)の裏面に、着色シール(53)が貼りつけられる。
【0074】
なお、星座早見円盤(3)は1種類で任意の日時の全空の星空を再現できるが、星座シート(5)は特定の星座のみを再現するため、必要に応じて観察したい星座毎に星座シート(5)を準備するとともに、観察したい星座の星座シート(5)を星座ユニット(4)に装着して使用する。たとえば、冬の星座を観察する際には、オリオン座、おうし座、ふたご座、ぎょしゃ座、おおいぬ座などの星座シート(5)を準備し、観察する星座毎に星座シート(5)を交換・装着して使用する。この際、星座ユニット(4)まで交換する必要はない
なお、好適には、星座シート(5)の種類を示す識別情報(58)が表面に印刷されていると良い。これは、観察する星座や天体の解説情報を音声や画像で携帯情報通信端末を介して提供する解説情報提示システムを利用する際に、識別情報(58)の情報を入力することで、利用者が使用しているのがどの星座シート(5)であることが判断され、その星座シート(5)で表示される星座に対する適切な解説情報が提供されるからである。
【0075】
次に、
図24にもとづき星雲星団ユニット(6)について説明する。星雲星団ユニット(6)は、特定の星雲や星団をより詳細に再現する際に使用する。星雲星団ユニット(6)は、星雲星団ユニット台紙(61)と星雲星団ユニット厚さ調整板(62)と星雲星団ユニット窓板(63)から構成される。これらの素材は低い表面反射率(黒色等)の素材でできている。星雲星団ユニット台紙(61)と星雲星団ユニット窓板(63)には、それぞれ前面拡散板(14)の形状とほぼ同じ大きさの四角形の窓が形成されている。
【0076】
また星雲星団ユニット台紙(61)には、星雲星団ユニット(6)が本体(1)の正しい位置に装着され、かつ後述する星雲星団円盤(7)が正しい位置に装着された時に、前記シート検出センサー(173)が星雲星団円盤(7)の高い反射率の表面を検出できるような位置に装着検出穴(65)が形成されている。星雲星団ユニット(6)が本体(1)の正しい位置に装着されていない時や、後述する星雲星団円盤(7)が正しい位置に装着されていない時は、前記シート検出センサー(173)は星雲星団ユニット台紙(61)や星雲星団ユニット窓板(63)の低い反射率(黒色)の表面が検出される。
【0077】
また、星雲星団ユニット台紙(61)の上部には、磁石(611)が取り付けられていて、星座早見ユニット(2)を本体(1)に装着した際に本体(1)の鉄板(19)に吸着して固定されるようになっている。
【0078】
星雲星団ユニット台紙(61)と星雲星団ユニット窓板(63)の間には、星雲星団ユニット厚さ調整板(62)によって隙間が形成され、後述する星雲星団円盤(7)が装着される。星雲星団円盤(7)は、星雲星団ユニット厚さ調整板(62)の端面によって下部が、本体に装着された際に側壁(1131)の壁面に左右がそれぞれ支持されることにより、星雲星団円盤(7)の中心を回転中心として回動可能に保持される。
【0079】
なお、星雲星団ユニット(6)の下部は、前述のポケット部(115)の空間に挿入され、星雲星団ユニット(6)が隙間なく保持されるようになっている。また星雲星団ユニット窓板(63)には、後述する遮光フード(9)の磁石(93)と対向する位置に鉄板(64)が取り付けられていて、遮光フード(9)を吸着固定できるようになっている。
【0080】
次に、
図25にもとづき星雲星団円盤(7)について説明する。星雲星団円盤(7)の基本的な構造は、星座シート(5)と同様である。形状が星座早見円盤(3)と同様に円形であるのと、再現する星空の領域が特定の星雲や星団、たとえばオリオン座の三ツ星の下にあるオリオン大星雲を拡大して再現するように「望遠レンズ」で撮影するようなより狭い領域を再現している点が異なる。
【0081】
星雲や星団などの天体は、一般的に星座のように広い領域を再現する必要はない。したがってより好適には
図25のように星雲星団円盤(7)の複数の位置に複数の星雲星団を再現するとともに星雲星団円盤(7)を回動して前面拡散板(14)の部分に観測したい星雲星団を位置づけさせるように使用すると、複数の星雲星団を観察する場合でも星雲星団円盤(7)を交換する手間が無く望ましい。
【0082】
また、より狭い範囲を再現するということは、同じ暗さの星を再現しても星座シート(5)に比べてさらに星と星の間隔が大きくなることを意味し、逆に星と星の間隔を同じ程度とした場合、星座シート(5)に比べてより暗い星を再現できることを意味する。そこで、本実施例の星雲星団円盤(7)は、オリオン大星雲、M78星雲、馬頭星雲の3つの星雲星団について、それぞれ14等星までの星を
図26に示すような構成で再現した。
【0083】
すなわち、5等星から8等星の明るい星は、第3減光紙(51)まで貫通する第4透過孔(52)で構成される。また、9等星と10等星の星は、第2減光紙(36)まで貫通する第3透過孔(353)で構成される。また、11等星と12等星の星は、第1減光紙(35)まで貫通する第2透過孔(352)で構成される。また、13等星と14等星までの超微光星は、表面紙(31)と遮光紙(32)のみを貫通する第1透過孔(351)で構成される。また8等星よりも明るい星に対しては、第3減光紙(51)の裏面に着色シール(53)が貼りつけられる。また、遮光紙(32)の一部透過印刷(322)によって、オリオン大星雲やM78星雲、馬頭星雲のガス雲が再現される。
【0084】
なお、全天に星雲星団は多数存在するため、必要に応じて観察したい星雲星団が含まれる星雲星団円盤(7)を準備するとともに、使用の際には観察したい星雲星座が含まれる星雲星団円盤(7)を星雲星団ユニット(6)に装着して使用する。この際、星雲星団ユニット(6)まで交換する必要はない。
なお、好適には、星雲星団円盤(7)の種類を示す識別情報(78)が表面に印刷されていると良い。これは、観察する星雲星団の解説情報を音声や画像で携帯情報通信端末を介して提供する解説情報提示システムを利用する際に、識別情報(78)の情報を入力することで、利用者が使用しているのが複数種類ある星雲星団円盤(7)のうちどれであることが判断され、その星雲星団円盤(7)で表示される星雲星団に対する適切な解説情報が提供されるからである。
【0085】
次に、
図27に基づき紫外線ランプ(8)について説明する。紫外線ランプ(8)は、ランプ本体(81)と電池(82)とスイッチ(83)と紫外線LED(84)と可視光カットフィルター(85)によって構成されている。紫外線LED(84)は、約370nmの中心波長からなる紫外線を発する。可視光カットフィルター(85)は、紫外線LED(84)が発する光の中にわずかに含まれる可視光領域の光を吸収するようになっている。
【0086】
このように構成された紫外線ランプ(8)で、星座早見円盤(3)や星座シート(5)や星雲星団円盤(7)の表面紙(31)を照らすと、UVインク(312)によって印刷された表示要素が発光して所定の表示が視認できる。この際、可視光カットフィルター(85)によって可視光線がカットされるので、表面紙(31)の表面が照らされて明るくなることが無く、暗闇の中にUVインク(312)による表示が浮き上がるように表示される。またプラネタリウムの中で使用する場合でも同様に、ドーム壁面が照らされて明るくなることが無い。
【0087】
また
図28にもとづき、学校の授業等で明るい教室で星座早見盤を使用する時に使用する遮光フード(9)について説明する。遮光フード(9)は略円錐状の形状で、覗き部(91)と開口部(92)を有し、開口部(92)には磁石(93)が固定され、星座早見ユニット(2)の対向する位置に固定された鉄板(24)に吸着することで、星座早見円盤(3)で再現される星空を覗き部(91)から視認できるような位置に遮光フード(9)が固定されるようになっている。
【0088】
また遮光フード(9)の側面には、外光を内部に導くための採光窓(94)が形成されている。内部に導かれた光は遮光フード(9)の内面に反射し、星座早見円盤(3)の表面を照らす。採光窓(94)には可動シャッター(95)が摺動可能に取り付けられていて、その位置を変更することによって採光窓(94)を通して内部に導く外光量がコントロールできるようになっている。内部に導かれる外光量が変化することで、星座早見円盤(3)の表面の照度が変化するので、星空の背景部分の明るさを調整することができる。
【0089】
また遮光フード(9)の側面には、紫外線ランプ装着部(96)が形成されていて、装着された紫外線ランプ(8)から発せられる紫外線が遮光フード(9)の内面に反射して星座早見円盤(3)の表面を照射し、UVインク(312)で印刷された表示要素を発光させるようになっている。
次に、CPU(177)の動作を、
図29のフローチャートと
図30の点灯制御判断条件を示す図を用いて説明する。
【0090】
まずつまみ(18)を一番左側から右に回すとスイッチ付き可変抵抗(172)のスイッチがオンになり、電子制御基板(17)に電源が印可され、CPU(177)の動作が開始し、フローチャートのS1へ進む。
【0091】
S1では、シート検出センサー(173)の値が読み込まれ、星座早見円盤(3)が星座早見ユニット(2)の正しい位置に装着されかつ星座早見ユニット(2)が本体(1)の正しい位置に装着された場合、あるいは、星座シート(5)が星座ユニット(4)の正しい位置に装着されかつ星座ユニット(4)が本体(1)の正しい位置に装着された場合、あるいは、星雲星団円盤(7)が星雲星団ユニット(6)の正しい位置に装着されかつ星雲星団ユニット(6)が本体(1)の正しい位置に装着された場合には、星座早見円盤(3)あるいは星座シート(5)あるいは星雲星団円盤(7)の裏面の高い反射率の白色状態が検出されて装着状態と判断される。一方で正しく装着されていない場合は星座早見ユニット(2)あるいは星座ユニット(4)あるいは星雲星団ユニット(6)の低い反射率の黒色状態が検出されて非装着状態と判断される。
【0092】
次にS2へ進み、S2では環境光検出センサー(174)の値が読み込まれ、星座早見盤を使用している環境が「明るい」か「暗い」か検出される。ここで遮光フード(9)が装着されている場合は、明るい室内で使用していても遮光フード(9)の内部は暗いので「暗い」状態として検出される。
【0093】
次にS3へ進み、S3では赤外線検出素子(175)によって赤外線リモコン等からの明るさ設定コマンドが検出されたか否かが判定され、検出されている場合はS4へ進み、検出していない場合はS5へ進む。なお赤外線リモコン等からの赤外線信号を受信してその信号の中からコマンドを抽出する動作は、図示しないバックグラウンド動作で実施されるが、この動作は本発明に固有なものではなく一般的であるので詳細な説明は省略する。
【0094】
次にS4では、明るさ設定コマンドで設定された明るさが、明るさ設定値として採用され、S6へ進む。またS5では、スイッチ付可変抵抗の抵抗値が読み込まれ、抵抗値からつまみ(18)の回転位置が計算され、最も右方向に回転している場合は最も明るく、最も左方向に回転している場合は最も暗く、その間は回転位置に応じた明るさとなるように計算された値が、明るさ設定値として採用され、S6へ進む。
【0095】
次にS6では、S1で検出された装着状態と、S2で検出された環境の明るさと、S3〜S5で設定された明るさ設定値に基づき、
図34に示す点灯制御の判断条件にしたがって、テープLEDの点灯輝度が決定される。
【0096】
すなわち、装着状態でかつ環境が暗い場合には、明るさ設定値に示される明るさでテープLEDの点灯輝度が決定される。それ以外の場合には、テープLEDの点灯輝度はゼロ、すなわち非点灯として決定される。
【0097】
次にS7では、決定されたテープLEDの点灯輝度となるように、図示しないLED駆動ルーチンの設定値が設定された後にS1へ戻る。ここで、LED駆動ルーチンは、LEDを点灯する時間と消灯する時間をそれぞれ120分の1秒以下の短い時間の範囲でその比率を変化させることで、人間の眼が感じる明るさの変化を変化させるいわゆるパルス幅制御を行うバックグラウンドルーチンである。このパルス幅制御方式によるバックグラウンドルーチンは、本発明に固有なものではなくLEDの点灯制御技術においては一般的であるので詳細な説明は省略する。
【0098】
次に、本発明の星座早見盤の動作と効果について、プラネタリウムの中で使用した後に実際の星空の下で使用する場合と、学校の授業で日中の教室で使用する場合で、説明する。
まず、プラネタリウムの中で使用した後に実際の星空の下で使用する場合の動作について説明する。
【0099】
まず利用者はドーム内が明るいうちに解説員から星座早見の時刻と日時の合わせ方を説明を受けた後、星座早見円盤を操作する。すると星座早見円盤は星座早見ユニットと本体の側壁内部で支持されて回動され正しい位置にセットされる。本説明の例では、2月1日の21時に名古屋市で見る星空をセットする。
【0100】
次に解説者は室内を暗くして、プラネタリウムによって同時刻の名古屋市内で見た星を頭上に投影する。次に利用者は、解説員の指示に従ってつまみ(18)を回してスイッチを入れる。するとCPU(177)が動作を開始する。スイッチが入った直後のつまみ(18)の位置は、テープLEDを消灯状態とする設定であるため、星は表示されない。
【0101】
次に利用者は、解説員の指示にしたがって、頭上に見えている星空と同じような数の星が見えるようにつまみを調整する。するとCPU(177)の動作により、テープLED(121)の点灯輝度が変化し、肉眼で観察できる星の数が調整される。例では名古屋市内の星空なので2等星より明るい星のみが見えるように調整される。その後、利用者は星空に星座早見盤をかざして、星空と星座早見盤の星を対比して観察する。
【0102】
次に利用者は、解説員の指示にしたがって、紫外線ランプ(8)を点灯して星座早見円盤に照射すると、星座名や星座線や天体名などの補助表示が表示される。例では、ふたご座のポルックスやオリオン座のリゲルやベテルギュースなどの1等星の名前やふたご座やオリオン座の星座線などが表示されて、冬の代表的な星座であるふたご座とオリオン座の位置や星の名称を学習する。この際、必要に応じて紫外線ランプの位置を変化させて補助表示の明るさを調整しても良い。
【0103】
次に利用者は、個別の星座を詳細に観察するために、解説員の指示にしたがって、星座早見ユニット(2)を星座ユニット(4)に交換する。この際星座早見ユニット(2)がわずかに移動すると、シート検出センサー(173)がこれを検出し、CPU(177)の動作によりテープLED(121)は消灯される。そのため明るいバックライトの光が目に直接入って目がくらむことはない。例では、星座ユニット(4)にはあらかじめふたご座を表示する星座シート(5)が装着されている。
【0104】
次に利用者は、星座早見盤を手で保持して手をいっぱい伸ばして、プラネタリウムの星座と対比して観察する。この時、星座シート(5)に表示される星座の大きさは、腕を伸ばして星座早見を保持した際に実際の星座の大きさと同じ大きさとなるように製作されているので、利用者は、プラネタリウムの星座と星座早見盤の星座が同じ大きさで観察できる。
【0105】
次に利用者は、解説員の指示に従って、装着されている星座シート(5)を、異なる星座の星座シート(5)に交換する。例では、ふたご座の星座シート(5)から、オリオン座の星座シート(5)に交換する。この際星座シート(5)がわずかに移動すると、シート検出センサー(173)がこれを検出し、CPU(177)の動作によりテープLED(121)は消灯される。そのため明るいバックライトの光が目に直接入って目がくらむことはない。
【0106】
次に、解説員は、星の美しい山奥の星空を再現する旨を説明して、プラネタリウムで等星する星をより暗い星まで投影するとともに、天の川も同様に観察できるように投影する。
【0107】
次に利用者は、解説員の指示に従って、つまみ(18)を中間くらいまで回す。するとテープLEDはより明るく光り、星座シート(5)で表示されている6等星までの星と、冬の天の川の部分が確認できるようになる。
【0108】
次に解説員は、オリオン座の写真をドーム壁面に投影し、オリオン座の三ツ星の南側に位置するオリオン大星雲(M42)の解説を行い、利用者につまみ(18)をいっぱいに右に回すように指示する。するとテープLEDは最大に明るく光り、星座シート(5)で表示されている10等星までの星やM42の淡いガス雲まで表示される。必要に応じてルーぺ等で観察してもよい。
【0109】
次に解説員は、天体望遠鏡を用いて星雲や星団を観察する旨を利用者へ伝え、利用者は星座早見盤を持って屋外へ移動する。
利用者は解説者の指示に従って、星座ユニット(4)を星雲星団ユニット(6)に交換するとともに、複数の星雲星団円盤(7)のなかから観察する星雲星団が掲載されている星雲星団円盤(7)を選択して星雲星団ユニット(6)に装着し、観察する星雲星団が観察される位置に回動してセットする。例では、オリオン大星雲とM78星雲が掲載されている星雲星団円盤を選択し、オリオン大星雲が観察できる位置にセットする。
【0110】
星雲星団円盤(7)は、第2の星座早見円盤と同様な構造であり、8等星から14等星までの星が再現されているので、利用者は肉眼やルーペなどを用いながら、天体望遠鏡で観察できる暗い星についても星雲星団円盤の表示で確認することができる。また利用者は必要に応じて、紫外線ランプ(8)を使って補助的な情報を参照しながら観察を行う。
【0111】
こうした屋外での天体観測は、天候の影響を受ける時がある。説明の例では、M78星雲の観察を行おうとした時に厚い雲が出てきてしまい、天体望遠鏡での観察は行えないこととなった。
【0112】
そこで利用者は解説員の指示に従って、星座早見盤を天体望遠鏡から10mほど離れた位置に設置し、星雲星団円盤を回動してM78星雲が観測できるようにセットする。そして実際の星を観察するのと同様に、天体望遠鏡で星雲星団円盤(7)に表示されるM78星雲を観察する。この際、天体望遠鏡からの距離を調整して実際のM78星雲と同じ大きさで観察できるようにしても良いし、実際に天体望遠鏡で観察した明るさと同様に観察されるようにつまみ(18)を調整しても良い。この際、天体望遠鏡から離れた位置のつまみ(18)を調整するのが困難な場合は、利用者は赤外線リモコンを操作して明るさの調整コマンドを発信すると、赤外線検出素子(175)がこれを受信しCPU(177)の動作により明るさが設定され、つまみ(18)を操作するのと同様に、表示される天体の明るさが調整される。
【0113】
また、星雲星団円盤(7)には複数の天体が掲載されているので、星雲星団円盤(7)を交換する必要が少なく、回動することで簡単に観察する天体を切り替えることができる。
【0114】
次に、デジタルカメラ等で天体写真を撮影する体験を行う時には、星や天の川を表示して、微光星まで撮影する。その場合も。星座線や星座名の補助的な表示要素は、星や天の川と独立して輝度や点灯時間をコントロールできるので、星や天の川と、星座名や星座線の写り具合を最適に調整できるという効果がある。
【0115】
本発明の星座早見盤は、上記のような構成で、上記のような動作をするので、次のような効果を奏する。
まず、本発明の星座早見盤は、星がバックライト等の照明によって光る従来の自発光式の星座早見盤と同様に、以下の効果を有している。すなわち、本発明の星座早見は、星が自ら光るので可視光で光るペンライト等で星座早見円盤の表面を照らす必要がなく、プラネタリウムの星の投影を邪魔せず、プラネタリウムの中で多数の児童生徒が参加する授業でも星座早見盤を使用できるという効果がある。
【0116】
また、プラネタリウムでは暗い星が見えない都会の星空と暗い星や天の川まで良く見える山間地域の星空をそれぞれ再現して光害などの学習を行うが、本発明の星座早見盤は、つまみを回すと星の明るさを調整できるので、星空の状態に合わせて見える星の明るさを調整でき、プラネタリウムの星空と連携した学習が効果的に行えるという効果がある。これは利用者が自宅に戻って実際の星空の下で星座早見盤を利用する際にも、利用者の住む地域の星の見え方に合わせて同様に調整ができるので、星座を見つけやすいという効果も期待される。
【0117】
こうした従来の星座早見が有する効果に加え、本発明の星座早見盤は、天の川を遮光紙(32)の一部透過印刷(322)を用いて再現しているので、星と天の川がテープLED(121)の輝度変化とともに同じように変化し、暗い星や天の川が見えない都会の星空の状態から、暗い星や天の川が良く見える山間部の星空の状態まで、正確に再現することができるという効果がある。特に、本発明の星座早見盤の実施態様のうち、第2の星座早見円盤を用いた場合には、肉眼で観察できる最も暗い星(6等星)まで再現が暗い星を再現できるのでこの効果はさらに有効である。
【0118】
さらに従来の星座早見盤では、実際に見える星や銀河と、学習のために必要な星座名や星座線などを、それぞれ独立して点灯制御することができないため、星や天の川だけを表示させたくても星座名の表示が邪魔になるという課題があった。また星の明るさを暗くすると星座絵や星座の名称などの他の表示要素も同時に暗くなってしまい、表示が見にくくなるという課題があった。しかしながら本発明の星座早見盤は、星座名や星座線などの補助的な表示の態様を、紫外線ランプを用いて紫外線を照射することで、星や天の川の表示と独立して制御できるので、星や天の川のみを表示さたり補助的な表示を重ねて表示させたり等選択できるし、観察地の星の見え方に合わせて星の明るさを暗くしても星座絵や星座の名称などの他の表示要素の明るさは変化しないため、星空を理解しやすいという優れた効果を奏する。
【0119】
さらに、本発明の星座早見盤は、バックライト機能を実現するために、窓枠の4辺にテープLEDを用いて、背面反射板による光の導光作用と前面拡散板による拡散作用によって面状の発光面を構成しているので、全面にLEDを配置する方式や面発光する有機ELランプを用いる方式や側面からの光を導く導光板を用いる方式に比べ、構造が簡単で、安価であり、軽量化が図れるという優れた効果がある。この際、前面拡散版の表面の発光輝度にむらが生じるという原理的な欠点を有するが、前面拡散板に輝度むら対策のための濃度調整印字が施されているので輝度むらを改善でき、星が正しい明るさで表示できるという優れた効果がある。すなわち、本発明の星座早見盤は、薄く、軽くできるので、手が小さな非力な児童生徒でも持ちやすく疲れないので、長時間の授業でも有効に活用できるという優れた効果を奏する。
【0120】
また、星座早見ユニット(2)や星座ユニット(4)を交換する際や、自動生徒がいたずら等でずらしてしまった時でも、シート検出センサー(173)とCPU(177)の動作により、星座早見円盤(3)や星座シート(5)や星雲星団円盤(7)が所定の位置に装着されていないことが検出され、テープLED(121)の点灯輝度をゼロ(非点灯)とするように動作するので、星座早見ユニット(2)等の窓から明るい光が直接照射されることによるプラネタリウムの星空への影響や、暗闇に慣れた目が明るい光で見えなくなってしまう問題も発生しないという優れた効果を奏する。
【0121】
また、星座早見円盤(3)は地平線に相当する縁からなる全空を示す楕円形状の窓でバックライトの光を規制する必要がある一方で、星座シート(5)はバックライトの全面を広く活用してより広い範囲の星座を表示する必要があるが、従来の星座早見盤では星座早見円盤(3)を使用するのみであったため、星座シート(5)を使用する場合には他の装置を使用する必要があった。しかしながら本発明の星座早見盤では、星座早見ユニット(2)と星座ユニット(4)を交換できるので、星座早見円盤(3)と星座シート(5)とそれぞれに適した状態でバックライトで背面から照らすことができる。そのため星空全体を観察する場合と、個別の星座を詳細に観察する場合の、両方の目的に使用できるという優れた効果を奏する。なお、星座早見ユニット(2)と星座ユニット(4)と星雲星団ユニット(6)を交換する際にも、マグネットの作用でワンタッチで交換が可能であるため便利である。
【0122】
また例えば星座早見ユニット(2)を取り外してテープLEDが消灯した後でも、星座ユニット(4)を正しい位置に装着すれば自動的にテープLEDが点灯するので、いちいちスイッチをオンオフする手間が無く便利である。
【0123】
また、異なる星座を観察する際には、星座ユニット(4)はそのままにして星座シート(5)を所定の星座のものに入れ替えるだけで良いので操作が簡単である。その時にも星座シート(5)が装着された時には自動的に点灯するので便利である。
また、目では見えない微光星や淡い天の川やガス雲などの天体を、写真撮影等で観察する場合でも、星座線や星座名の補助的な表示要素は、星や天の川と独立して輝度や点灯時間をコントロールできるので、星や天の川と、星座名や星座線の写り具合を最適に調整できるという効果がある。
【0124】
なお、星座早見円盤(3)や星座シート(5)、星雲星団円盤(7)の表面に、識別情報(38)(58)(78)がそれぞれ表示されているので、複数の利用者が星座早見盤を使用して、利用者毎に観察する星座や天体が異なる場合には、利用者が持つ携帯情報端末を介して図示しない解説情報システムにアクセスして、サーバーからの入力要求に対して識別情報を入力することで、サーバーはあらかじめ記録された複数の解説音声情報の中から、入力された識別情報に基づき該当する解説情報を検索し、携帯情報端末に解説情報を提供するように動作する。そうすると、星座早見盤を使って観察している星座や天体に関連した解説情報が、音声で提供される。そのため、従来の星座早見盤のように、学習の補助のための解説者が複数必要になることはなく、また、従来の星座観察用学習用図鑑のように、利用者が暗闇の中でページをめくったりする手間もない。また図鑑を照らすライトなどにより目が眩しくなることはなく、イヤホン等を使えば、隣の利用者に解説音声が紛らわしいということもないなど、効果的な学習が行えるという効果がある。なお、識別情報によって検索される解説情報は、インターネットラジオのように解説者がリアルタイムで解説を行う音声解説であっても良い。
【0125】
次に、本発明の星座早見盤を、日中に部屋を暗転可能な設備を有していない教室での授業で使用する場合について動作を説明する。
まず教師は、星座早見円盤(3)本体を星座早見ユニット(2)に装着した上で、遮光フード(9)を星座早見ユニット(2)に装着した状態で本発明の星座早見盤を児童生徒に与える。この際、本体を使用する場合と、使用しない場合が想定される。
【0126】
本体を使用しない場合、児童生徒は、星座早見ユニット(2)の星座早見ユニット台紙(21)の面を窓の方向や室内の照明など、明るい方向に向けた上で覗き部(91)に顔面を密着して星座早見円盤(3)を覗きこむ。すると星座早見ユニット(2)の星が観察できる。この際児童生徒は、明るさの異なる方向、例えば明るい窓の方向や、やや暗い室内の方向へ選択的に向けることで、観察される星の明るさを調整できる。
【0127】
本体を使用する場合では、遮光フード(9)を装着すると環境光検出センサー(174)は遮光フード(9)の内部の明るさを検出するようになるので、児童生徒が覗き部(91)に顔面を密着して星座早見円盤(3)を覗きこむと、CPU(177)の動作によりつまみ(18)の操作にもとづいてテープLED(121)の輝度は変化し、観察する星の明るさを調整できる。
【0128】
なお、学校の授業では、本体を使用しない使用方法を採用するのが望ましい。なぜなら、本体(1)を使用しないと授業の準備が簡単であるということと、遮光フード(9)を持って使用しても重量バランスが良いということと、児童生徒が本体のつまみをいじるなど余計な操作をする心配がなく授業に集中ができるという利点があるからである。
【0129】
次に、児童生徒は可動シャッター(95)を操作して採光窓(94)から遮光フード(9)に入射する室内光の量を増加させると、街灯からの灯りが空へ漏れることで明るくなってしまった都会の空と同じように、星座早見円盤(3)の表面がやや明るくなり、暗い星や天の川は見えなくなる。次に、児童生徒が可動シャッター(95)を操作して室内の光が採光窓(94)から遮光フード(9)に入らないようにすると、星座早見円盤(3)星空の背景部分は、街灯りが少なく美しい星空が残る山間地域の空と同じように暗くなり、天の川や6等星に近い微光星も視認され、美しい星空が観察できる状態になる。また紫外線ランプ装着部(96)に紫外線ランプ(8)を装着してスイッチを入れると、星座名などの補助情報が表示される。
【0130】
このように本発明の星座早見盤は、遮光フード(9)を使用することにより、星の明るさの調整と星空の背景部分の明るさの調整を独立して行うことが出来るため、授業で光害(ひかりがい)の原理を学習するための優れた教材として活用できるという優れた効果がある。また、本体から星座早見ユニット(2)が分離できるので本体を使用しなくても学習の目的が達成できるので、児童生徒が本体のつまみをいじるなど余計な操作をする心配がなく授業に集中ができるという優れた効果がある。