特許第6654885号(P6654885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6654885
(24)【登録日】2020年2月4日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】孔版印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41L 13/04 20060101AFI20200217BHJP
【FI】
   B41L13/04 X
【請求項の数】5
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-242934(P2015-242934)
(22)【出願日】2015年12月14日
(65)【公開番号】特開2017-109308(P2017-109308A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年11月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】椎名 健介
【審査官】 中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−307835(JP,A)
【文献】 特開昭62−142677(JP,A)
【文献】 特開2012−145746(JP,A)
【文献】 国際公開第01/076874(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41L 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿孔画像を形成した孔版原紙を回転可能な円筒状の版胴の外周面に巻回させ、且つ、前記版胴の外周面から滲み出したインクで用紙上に前記穿孔画像と対応してインク画像を印刷する印刷部と、
前記印刷部で印刷した印刷済みの用紙の先端部をエアーにより前記版胴側から剥離する剥離ファンと、
前記印刷部よりも用紙搬送方向の下流側に設置され、前記剥離ファンにより剥離された前記印刷済みの用紙を排紙方向に向かってガイドする排紙ガイド板と、
前記排紙ガイド板よりも用紙搬送方向の下流側に設置され、前記剥離ファンで剥離されて前記排紙ガイド板を通過した前記印刷済みの用紙を排紙台に向けて搬送する排紙搬送手段と、を少なくとも備えており、
前記排紙ガイド板は、前記剥離ファンから送風された前記エアーが前記排紙ガイド板の上方で滞留しないように通気手段が設けられており、
前記通気手段は、前記排紙ガイド板に、前記剥離ファンから送風された前記エアーを該排紙ガイド板の下方に向けて通過させる複数の通気孔を形成し、且つ、前記複数の通気孔の下方に前記排紙搬送手段内に設けた用紙搬送ガイド部材の用紙搬送方向の上流端に斜め下方に向かって傾斜させた傾斜片をオーバーラップさせたこと
を特徴とする孔版印刷装置。
【請求項2】
穿孔画像を形成した孔版原紙を回転可能な円筒状の版胴の外周面に巻回させ、且つ、前記版胴の外周面から滲み出したインクで用紙上に前記穿孔画像と対応してインク画像を印刷する印刷部と、
前記印刷部で印刷した印刷済みの用紙の先端部をエアーにより前記版胴側から剥離する剥離ファンと、
前記印刷部よりも用紙搬送方向の下流側に設置され、前記剥離ファンにより剥離された前記印刷済みの用紙を排紙方向に向かってガイドする排紙ガイド板と、
前記排紙ガイド板よりも用紙搬送方向の下流側に設置され、前記剥離ファンで剥離されて前記排紙ガイド板を通過した前記印刷済みの用紙を排紙台に向けて搬送する排紙搬送手段と、を少なくとも備えており、
前記排紙ガイド板は、前記剥離ファンから送風された前記エアーが前記排紙ガイド板の上方で滞留しないように通気手段が設けられており、
前記印刷済みの用紙の先端部を前記剥離ファンから送風された前記エアーにより前記版胴側から剥離させるために設定した用紙剥離ポイントを計測する用紙剥離ポイント計測手段を更に備え、
前記通気手段は、前記印刷部よりも用紙搬送方向の下流側に前記排紙ガイド板を可動可能に設置して、前記印刷済みの用紙の先端部が前記用紙剥離ポイント計測手段で計測した前記用紙剥離ポイントに至る際に、前記印刷済みの用紙の先端部が剥離するまでは前記剥離ファンから送風された前記エアーが前記排紙ガイド板の下方に向かって通過するように前記排紙ガイド板の用紙搬送方向の上流端側を移動させる一方、前記印刷済みの用紙の先端部が前記用紙剥離ポイントに到達した際には前記排紙ガイド板の用紙搬送方向の上流端側を元の位置まで戻すこと
を特徴とする孔版印刷装置。
【請求項3】
穿孔画像を形成した孔版原紙を回転可能な円筒状の版胴の外周面に巻回させ、且つ、前記版胴の外周面から滲み出したインクで用紙上に前記穿孔画像と対応してインク画像を印刷する印刷部と、
前記印刷部で印刷した印刷済みの用紙の先端部をエアーにより前記版胴側から剥離する剥離ファンと、
前記印刷部よりも用紙搬送方向の下流側に設置され、前記剥離ファンにより剥離された前記印刷済みの用紙を排紙方向に向かってガイドする排紙ガイド板と、
前記排紙ガイド板よりも用紙搬送方向の下流側に設置され、前記剥離ファンで剥離されて前記排紙ガイド板を通過した前記印刷済みの用紙を排紙台に向けて搬送する排紙搬送手段と、を少なくとも備えており、
前記排紙ガイド板は、前記剥離ファンから送風された前記エアーが前記排紙ガイド板の上方で滞留しないように通気孔を形成したこと
を特徴とする孔版印刷装置。
【請求項4】
前記通気孔は、前記排紙ガイド板に閉曲線で形成された孔であり、前記剥離ファンから送風された前記エアーを前記排紙ガイド板の下方に向けて通過させること
を特徴とする請求項3に記載の孔版印刷装置。
【請求項5】
穿孔画像を形成した孔版原紙を回転可能な円筒状の版胴の外周面に巻回させ、且つ、前記版胴の外周面から滲み出したインクで用紙上に前記穿孔画像と対応してインク画像を印刷する印刷部と、
前記印刷部で印刷した印刷済みの用紙の先端部をエアーにより前記版胴側から剥離する剥離ファンと、
前記版胴から前記印刷済みの用紙を剥離させる剥離爪と、
前記印刷部よりも用紙搬送方向の下流側に設置され、前記剥離ファン及び前記剥離爪により剥離された前記印刷済みの用紙を排紙方向に向かってガイドする排紙ガイド板と、
前記排紙ガイド板よりも用紙搬送方向の下流側に設置され、前記剥離ファン及び前記剥離爪で剥離されて前記排紙ガイド板を通過した前記印刷済みの用紙を排紙台に向けて搬送する排紙搬送手段と、を少なくとも備えており、
前記排紙ガイド板は、前記剥離ファンから送風された前記エアーが前記排紙ガイド板の上方で滞留しないように通気手段が設けられており、
前記通気手段は、前記排紙ガイド板に、前記剥離ファンから送風された前記エアーを該排紙ガイド板の下方に向けて通過させる複数の通気孔を形成したこと
を特徴とする孔版印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転可能な円筒状の版胴の外周面に巻回させた孔版原紙に用紙をプレスローラで押圧しながら用紙上にインク画像を印刷して、印刷済みの用紙を剥離ファンから送風されたエアーによって版胴側から確実に剥離できる孔版印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、孔版印刷装置は、回転可能な円筒状の版胴(ドラム)の外周面の一部に開閉可能に設けたクランプ板により製版済みの孔版原紙(マスタ)をクランプさせて、この孔版原紙を版胴の外周面に沿って巻回させている。
【0003】
そして、給紙部から送られた用紙を版胴側に対して接離自在に設けたプレスローラで孔版原紙側に押圧しながら版胴内に供給したインクを孔版原紙に感熱穿孔した穿孔画像を通過させて、孔版原紙の穿孔画像と対応したインク画像を用紙上に印刷している。
【0004】
この後、インク画像を印刷された印刷済みの用紙を版胴の外周面に接近して設置したエアーナイフ(剥離ファン)と剥離爪とにより版胴側から剥離して排紙部に排出することで、1版分の孔版原紙により同一のインク画像を多数枚印刷することができるので多用されている。
【0005】
この種の孔版印刷装置において、孔版原紙(マスタ)の穿孔画像と対応したインク画像が印刷された印刷済みの用紙をエアーナイフと剥離爪とを用いて版胴側から剥離して、剥離した印刷済みの用紙をプレスローラよりも用紙搬送方向の下流側に設置した排紙ガイド板と排紙搬送装置とを経て排紙トレイ上に排紙する孔版印刷装置がある(例えば、特許文献1,2参照)。
【0006】
まず、特許文献1に開示された孔版印刷装置では、ここでの図示を省略するが、マスタ(孔版原紙)の穿孔画像に対応したインク画像を用紙上に印刷するにあたって、印刷時に印刷済みの用紙を版胴側から剥離するエアーナイフのファンの風量を温度によって可変させ、高温≧常温>低温と制御して、印刷済みの用紙に対して剥離性を維持できるように構成されている。
【0007】
次に、特許文献2に開示された孔版印刷装置では、ここでの図示を省略するが、マスタ(孔版原紙)の穿孔画像の絵柄にべた画像部があると、用紙に対するインクの粘着力が極端に上昇して剥離爪によって印刷済みの用紙が剥離することができず、印刷済みの用紙がマスタに貼り付いたままになるとか、又は、印刷済みの用紙が剥離爪に引っ掛かるなどの巻き上がりの発生を防止できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−116913号公報
【特許文献2】特開2003−25703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1,2に記載の孔版印刷装置では、前述したように、印刷済みの用紙をエアーナイフと剥離爪とにより版胴側から剥離し易いようにそれぞれ改善が図られている。
【0010】
しかしながら、特許文献1,2に記載されたような従来例の孔版印刷装置において、印刷済みの用紙をエアーナイフと剥離爪とを用いて版胴側から剥離するときに、下記に示すような問題点が発生する。
【0011】
図9は従来例の孔版印刷装置において、印刷済みの用紙をエアーナイフと剥離爪とを用いて版胴側から剥離するときに発生する問題点を模式的に示している。
【0012】
図9に示す如く、従来例の孔版印刷装置100では、円筒状の版胴101が中心軸102を中心にして反時計方向(矢印方向)に回転可能に設けられている。そして、円筒状の版胴101の外周面101aに製版済みの孔版原紙(マスタ)Mが開閉可能なクランプ板103にクランプされた状態で巻回している。
【0013】
また、版胴101の下方には、用紙Pを孔版原紙Mを介して版胴101側に押圧するプレスローラ104が回動可能なアーム105を介して版胴101側に対して接離自在に設置されている。
【0014】
また、プレスローラ104よりも用紙搬送方向の下流側で版胴101の外周面101aの右下方近傍に、印刷済みの用紙Pの用紙搬送方向の先端部Paを版胴101側から剥離するエアーナイフ(剥離ファン)106と剥離爪107とが設置されている。
【0015】
更に、プレスローラ104よりも用紙搬送方向の下流側には、版胴101側から剥離された印刷済みの用紙Pを排紙方向にガイドする排紙ガイド板108が固定設置されている。また、排紙ガイド板108よりも用紙搬送方向の下流側には、排紙ガイド板108を通過した印刷済みの用紙Pを排紙トレイ110に向けて搬送する排紙搬送装置109が設置されている。
【0016】
上記のように構成した従来例の孔版印刷装置100において、印刷済みの用紙Pをエアーナイフ106と剥離爪107とを用いて版胴101側から剥離するときに、エアーナイフ106から送風されたエアーARが固定設置された排紙ガイド板108の上方に滞留する。
【0017】
そして、エアーナイフ106からのエアーARと剥離爪107とで印刷済みの用紙Pの先端部Paを版胴101側から剥離させる際、印刷済みの用紙Pの先端部Paを剥離させるための用紙剥離ポイントHPがプレスローラ104と剥離爪107の先端部との間の略中間部位に設定されているが、排紙ガイド板108の上方でのエアーARの滞留によりこのエアーARが用紙剥離ポイントHPまで届かない。
【0018】
これにより、印刷済みの用紙Pの先端部Paの剥離が遅くなり、この用紙Pの先端部Paが版胴101側に貼りついたまま版胴101側と剥離爪107との間に進入して舞い上がり(巻き上がり)が発生したり、あるいは、印刷済みの用紙Pの先端部Paが剥離爪107に引っ掛かるなどの問題点が生じてしまう。
【0019】
とくに、特許文献2に記載されたように、用紙P上に印刷される絵柄にべた画像部があると、印刷済みの用紙Pの先端部Paの剥離がより遅くなり舞い上がりが顕著に発生する。
【0020】
そこで、本発明は、回転可能な円筒状の版胴の外周面に巻回させた孔版原紙に用紙をプレスローラで押圧しながら用紙上にインク画像を印刷して、印刷済みの用紙を剥離ファンから送風されたエアーによって版胴側から剥離する際に、剥離ファンからのエアーがプレスローラよりも用紙搬送方向の下流側に設置した排紙ガイド板の上方で滞留することなく、剥離ファンからのエアーで印刷済みの用紙を版胴側から確実に剥離できる孔版印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、第1の発明は、穿孔画像を形成した孔版原紙を回転可能な円筒状の版胴の外周面に巻回させ、且つ、前記版胴の外周面から滲み出したインクで用紙上に前記穿孔画像と対応してインク画像を印刷する印刷部と、
前記印刷部で印刷した印刷済みの用紙の先端部をエアーにより前記版胴側から剥離する剥離ファンと、
前記印刷部よりも用紙搬送方向の下流側に設置され、前記剥離ファンにより剥離された前記印刷済みの用紙を排紙方向に向かってガイドする排紙ガイド板と、
前記排紙ガイド板よりも用紙搬送方向の下流側に設置され、前記剥離ファンで剥離されて前記排紙ガイド板を通過した前記印刷済みの用紙を排紙台に向けて搬送する排紙搬送手段と、を少なくとも備えており、
前記排紙ガイド板は、前記剥離ファンから送風された前記エアーが前記排紙ガイド板の上方で滞留しないように通気手段が設けられており、
前記通気手段は、前記排紙ガイド板に、前記剥離ファンから送風された前記エアーを該排紙ガイド板の下方に向けて通過させる複数の通気孔を形成し、且つ、前記複数の通気孔の下方に前記排紙搬送手段内に設けた用紙搬送ガイド部材の用紙搬送方向の上流端に斜め下方に向かって傾斜させた傾斜片をオーバーラップさせたことを特徴とする孔版印刷装置である。
【0022】
また、第2の発明は、穿孔画像を形成した孔版原紙を回転可能な円筒状の版胴の外周面に巻回させ、且つ、前記版胴の外周面から滲み出したインクで用紙上に前記穿孔画像と対応してインク画像を印刷する印刷部と、
前記印刷部で印刷した印刷済みの用紙の先端部をエアーにより前記版胴側から剥離する剥離ファンと、
前記印刷部よりも用紙搬送方向の下流側に設置され、前記剥離ファンにより剥離された前記印刷済みの用紙を排紙方向に向かってガイドする排紙ガイド板と、
前記排紙ガイド板よりも用紙搬送方向の下流側に設置され、前記剥離ファンで剥離されて前記排紙ガイド板を通過した前記印刷済みの用紙を排紙台に向けて搬送する排紙搬送手段と、を少なくとも備えており、
前記排紙ガイド板は、前記剥離ファンから送風された前記エアーが前記排紙ガイド板の上方で滞留しないように通気手段が設けられており、
前記印刷済みの用紙の先端部を前記剥離ファンから送風された前記エアーにより前記版胴側から剥離させるために設定した用紙剥離ポイントを計測する用紙剥離ポイント計測手段を更に備え、
前記通気手段は、前記印刷部よりも用紙搬送方向の下流側に前記排紙ガイド板を可動可能に設置して、前記印刷済みの用紙の先端部が前記用紙剥離ポイント計測手段で計測した前記用紙剥離ポイントに至る際に、前記印刷済みの用紙の先端部が剥離するまでは前記剥離ファンから送風された前記エアーが前記排紙ガイド板の下方に向かって通過するように前記排紙ガイド板の用紙搬送方向の上流端側を移動させる一方、前記印刷済みの用紙の先端部が前記用紙剥離ポイントに到達した際には前記排紙ガイド板の用紙搬送方向の上流端側を元の位置まで戻すことを特徴とする孔版印刷装置である。
【0023】
また、第3の発明は、穿孔画像を形成した孔版原紙を回転可能な円筒状の版胴の外周面に巻回させ、且つ、前記版胴の外周面から滲み出したインクで用紙上に前記穿孔画像と対応してインク画像を印刷する印刷部と、
前記印刷部で印刷した印刷済みの用紙の先端部をエアーにより前記版胴側から剥離する剥離ファンと、
前記印刷部よりも用紙搬送方向の下流側に設置され、前記剥離ファンにより剥離された前記印刷済みの用紙を排紙方向に向かってガイドする排紙ガイド板と、
前記排紙ガイド板よりも用紙搬送方向の下流側に設置され、前記剥離ファンで剥離されて前記排紙ガイド板を通過した前記印刷済みの用紙を排紙台に向けて搬送する排紙搬送手段と、を少なくとも備えており、
前記排紙ガイド板は、前記剥離ファンから送風された前記エアーが前記排紙ガイド板の上方で滞留しないように通気孔を形成したこと
を特徴とする孔版印刷装置である。
第4の発明は、第3の発明の孔版印刷装置において、前記通気孔は、前記排紙ガイド板に閉曲線で形成された孔であり、前記剥離ファンから送風された前記エアーを前記排紙ガイド板の下方に向けて通過させることを特徴とする孔版印刷装置である。
第5の発明は、穿孔画像を形成した孔版原紙を回転可能な円筒状の版胴の外周面に巻回させ、且つ、前記版胴の外周面から滲み出したインクで用紙上に前記穿孔画像と対応してインク画像を印刷する印刷部と、
前記印刷部で印刷した印刷済みの用紙の先端部をエアーにより前記版胴側から剥離する剥離ファンと、
前記版胴から前記印刷済みの用紙を剥離させる剥離爪と、
前記印刷部よりも用紙搬送方向の下流側に設置され、前記剥離ファン及び前記剥離爪により剥離された前記印刷済みの用紙を排紙方向に向かってガイドする排紙ガイド板と、
前記排紙ガイド板よりも用紙搬送方向の下流側に設置され、前記剥離ファン及び前記剥離爪で剥離されて前記排紙ガイド板を通過した前記印刷済みの用紙を排紙台に向けて搬送する排紙搬送手段と、を少なくとも備えており、
前記排紙ガイド板は、前記剥離ファンから送風された前記エアーが前記排紙ガイド板の上方で滞留しないように通気手段が設けられており、
前記通気手段は、前記排紙ガイド板に、前記剥離ファンから送風された前記エアーを該排紙ガイド板の下方に向けて通過させる複数の通気孔を形成したこと
を特徴とする孔版印刷装置である。
【発明の効果】
【0024】
第1の発明の孔版印刷装置によると、印刷部内に設けた回転可能な円筒状の版胴の外周面に孔版原紙を巻回させ、この孔版原紙の穿孔画像に対応したインク画像を用紙上に印刷して、印刷済みの用紙の先端部を剥離ファンから送風されたエアーにより版胴側から剥離する際、印刷済みの用紙を排紙方向にガイドするために印刷部よりも用紙搬送方向の下流に設置された排紙ガイド板は、剥離ファンから送風されたエアーが排紙ガイド板の上方で滞留しないように通気手段がけられている。
【0025】
この結果、通気手段により剥離ファンから送風されたエアーが排紙ガイド板の上方で滞留しない。これにより、剥離ファンから送風されたエアーが版胴の下方近傍で版胴側と印刷済みの用紙の先端部との間に効率良く入り込めるようになるので、この印刷済みの用紙の先端部が版胴側に貼りついたまま舞い上がることがない。従って、剥離ファンからのエアーによって印刷済みの用紙の先端部を版胴側から確実に剥離することができ、孔版印刷装置の信頼性向上に寄与できる。
【0026】
また、第の発明の孔版印刷装置によると、通気手段は、印刷部よりも用紙搬送方向の下流側に固定設置された排紙ガイド板に、剥離ファンから送風されたエアーを排紙ガイド板の下方に向けて通過させる複数の通気孔を形成し、且つ、複数の通気孔の下方に排紙搬送手段内に設けた用紙搬送ガイド部材の用紙搬送方向の上流端に斜め下方に向かって傾斜させた傾斜片をオーバーラップさせている。
【0027】
この結果、剥離ファンから送風されたエアーが排紙ガイド板に形成した複数の通気孔を下方に向かって通過するので、このエアーが排紙ガイド板の上方に滞留しないために、印刷済みの用紙の先端部を版胴側から確実に剥離することができる。
【0028】
更に、印刷済みの用紙の先端部が排紙ガイド板に形成した複数の通気孔を通過するときに、印刷済みの用紙の先端部は複数の通気孔の下方にオーバーラップして形成した用紙搬送ガイド部材の傾斜片によってスムーズに用紙搬送ガイド部材上に搬送される。
【0029】
また更に、固定設置された排紙ガイド板に複数の通気孔が形成されているために、通気手段の構造が簡単であり、安価に提供できる。
【0030】
また、第の発明の孔版印刷装置によると、印刷済みの用紙の先端部を剥離ファンから送風されたエアーにより版胴側から剥離させるために設定した用紙剥離ポイントを計測する用紙剥離ポイント計測手段を更に備え、通気手段は、印刷部よりも用紙搬送方向の下流側に排紙ガイド板を可動可能に設置して、印刷済みの用紙の先端部が用紙剥離ポイント計測手段で計測した用紙剥離ポイントに至る際に、印刷済みの用紙の先端部が剥離するまでは剥離ファンから送風されたエアーが排紙ガイド板の下方に向かって通過するように排紙ガイド板の用紙搬送方向の上流端側を移動させる一方、印刷済みの用紙の先端部が用紙剥離ポイントに到達した際には排紙ガイド板の用紙搬送方向の上流端側を元の位置まで戻している。
【0031】
この結果、排紙ガイド板の移動によって剥離ファンから送風されたエアーが排紙ガイド板の下方に向かって通過するので、このエアーが排紙ガイド板の上方に滞留しないために、第1の発明の効果と同様に、印刷済みの用紙の先端部を版胴側から確実に剥離することができる。
【0032】
更に、印刷済みの用紙の先端部が版胴側から剥離した後に、排紙ガイド板が元の位置に戻るので、印刷済みの用紙を排紙ガイド板に沿って排紙方向に確実に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明に係る孔版印刷装置の全体構成を示した全体構成図である。
図2】本発明に係る孔版印刷装置において、印刷部,用紙剥離部,排紙ガイド板に設けた第1実施形態の通気手段,排紙部内に設けた用紙搬送ガイド部材を拡大して示した側面図である。
図3図2に示した排紙ガイド板に設けた第1実施形態の通気手段,排紙部内に設けた用紙搬送ガイド部材を拡大して示した上面図である。
図4】(a),(b)は本発明に係る孔版印刷装置において、第1実施形態の通気手段を上面側,下面側からそれぞれ見た状態を示した斜視図である。
図5】本発明に係る孔版印刷装置において、印刷部,用紙剥離部,排紙ガイド板に設けた第2実施形態の通気手段,排紙部内に設けた用紙搬送ガイド部材を拡大して示した側面図である。
図6】(a),(b)は図5に示した排紙ガイド板に設けた第2実施形態の通気手段の動作を示した側面図である。
図7】本発明に係る孔版印刷装置において、印刷部,用紙剥離部,排紙ガイド板に設けた第3実施形態の通気手段,排紙部内に設けた用紙搬送ガイド部材を拡大して示した側面図である。
図8】(a),(b)は図7に示した排紙ガイド板に設けた第3実施形態の通気手段の動作を示した側面図である。
図9】従来例の孔版印刷装置において、印刷済みの用紙をエアーナイフと剥離爪とを用いて版胴側から剥離するときに発生する問題点を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に本発明に係る孔版印刷装置の一実施形態について、図1図8を参照して詳細に説明する。
【0035】
図1は本発明に係る孔版印刷装置の全体構成を示している。
【0036】
図1に示す如く、本発明に係る孔版印刷装置10では、この装置10の外観を形成する装置筐体11が箱状に形成されている。
【0037】
上記した孔版印刷装置10は、この装置10を操作する操作パネル部15と、画像や文字などの画像情報が記載された原稿(図示せず)を読み取る原稿読取部20と、原稿読取部20で読み取った原稿の画像情報に基いて1版分の孔版原紙(マスターとも呼称する)Mを製版する製版部25と、後述する印刷部50内に設けた版胴51の外周面51aの一部に開閉可能に取り付けたクランプ板56を開閉するカム駆動部30とを備えている。
【0038】
また、孔版印刷装置10は、未印刷の用紙Pを1枚ずつ給紙する給紙部40と、回転可能な円筒状の版胴51の外周面51aにクランプ板56を介して1版分の孔版原紙Mを巻回させて未印刷の用紙Pを印刷する印刷部50とを備えている。
【0039】
更に、孔版印刷装置10は、印刷済みの用紙Pを版胴51側から剥離する剥離ファン66及び剥離爪68を有する用紙剥離部65と、用紙剥離部65で剥離された印刷済みの用紙Pを排紙方向に向かってガイドする排紙ガイド板71の上方に剥離ファン66から送風されたエアーARが滞留するのを防止する通気手段70と、用紙剥離部65で剥離されて排紙ガイド板71を通過した印刷済みの用紙Pを排紙する排紙部80と、使用済みの孔版原紙Mを排版する排版部90と、孔版印刷装置10を全体的に制御する制御部95とで概略構成されている。
【0040】
ここで、孔版印刷装置10内の各部について順を追って具体的に説明する。
【0041】
まず、操作パネル部15は、装置筐体11の天面11aの左方(又は前面)に設置されている。この操作パネル部15は、詳細な図示を省略するが、印刷ジョブを行うための各種の機能釦と、テンキーと、液晶表示パネルなどを備えている。
【0042】
そして、操作パネル部15では、ユーザが各種の機能釦を操作することにより、各部を動作させている。
【0043】
次に、原稿読取部20は、装置筐体11の天面11a上に設置されている。この原稿読取部20は、画像や文字などの画像情報が記載された原稿を読み取るスキャナを備えており、読み取った画像情報は製版部25に送られている。
【0044】
次に、製版部25は、装置筐体11内の右上方部位に設置されている。この製版部25は、ロール状に巻回された孔版原紙(マスタ)M上に原稿読取部20からの画像情報に応じて穿孔画像を感熱穿孔するサーマルヘッドと、感熱穿孔した孔版原紙Mを所定の長さの1版分に切断するカッタ刃とを備えており、カッタ刃により最大サイズとなる例えばA3サイズ(420mm×297mm)の用紙Pと対応するサイズに切断されて1版分の孔版原紙Mを製版した後に、製版済みの孔版原紙Mを印刷部50内の版胴51に向けて搬送している。
【0045】
次に、カム駆動部30は、印刷部50内の版胴51の上部及び製版部25の下流に接近して設置されており、1版分の孔版原紙Mを版胴51に着版させるときに版胴51の外周面51aの一部に取り付けたクランプ板56を開くためのカム(図示せず)を駆動している。
【0046】
次に、給紙部40は、装置筐体11の左側面11b側に設置されている。この給紙部40は、未印刷の用紙Pを複数枚積層する給紙台41と、給紙台41上に積層された用紙Pを給紙するために給紙モータ42の回転をギア列43により減速して用紙給紙方向に回転する給紙ローラ44及び捌きローラ45と、捌きローラ45と対向して設置された捌き板46とを有する。
【0047】
更に、給紙部40は、捌きローラ45及び捌き板46よりも下流に配置されたレジストローラ対47と、レジストローラ対47よりも下流で且つ印刷部50内のプレスローラ61よりも上流に配置された用紙先端部検出用光センサ48とを有する。
【0048】
そして、給紙部40では、給紙台41上に積層した複数枚の用紙Pのうちで最上層の用紙Pに給紙ローラ44が回転しながら圧接して上層の用紙Pを取り出している。
【0049】
この後、給紙ローラ44で取り出された用紙Pは、捌きローラ45と捌き板46との間で挟持搬送される際に1枚ずつに分離され、下流のレジストローラ対47に向けて給紙されている。ここで、レジストローラ対47は、回転停止中に用紙Pを突き当ててループLを形成することで用紙Pの斜行を補正した後に、所定のタイミングで回転している。この後、用紙Pの先端部Paを用紙先端部検出用光センサ48で検出して、この用紙Pを下流の印刷部50に送っている。
【0050】
次に、印刷部50は、装置筐体11内の略中央部位に設置されている。この印刷部50では、版胴51が最大サイズとなる例えばA3サイズの用紙Pの長手方向の寸法420mmに対応して外径φDが180mm程度に円筒状に形成され、且つ、A3サイズの用紙Pの短手方向の寸法297mmに対応して軸方向が長尺に形成されている。
【0051】
そして、版胴51は、中心軸52を中心にして版胴モータ53によって反時計方向(矢印方向)に予め設定した所定の速度で回転駆動されるようになっている。尚、版胴51の中心軸52の一端面側には、インクIKを挿入するためのインク挿入口52aが形成されている。
【0052】
上記した版胴モータ53は減速ギアを内蔵したギアードモータであり、この版胴モータ53の後端軸部(図示せず)にエンコーダ54が取り付けられており、このエンコーダ54によって版胴51が回転したときの回転角度を示すパルスが順次出力されている。
【0053】
また、版胴51の外周面51aの一部には版取付台55が固着されており、この版取付台55上に1版分の孔版原紙Mをクランプするクランプ板56が開閉可能に取り付けられている。
【0054】
この際、版胴51の外周面51aは、版取付台55の前後の一部分がインクIKが滲み出さない部位であり、この版取付台55の前後の一部分を除いてインクIKが滲み出るように多孔性を有している。
【0055】
また、版胴51の外周面51aのうちで版取付台55よりも回転方向下流側でこの版胴51の軸線方向の略中央部位に反射材57が取り付けられている。
【0056】
また、版胴51上の版取付台55が上方に至ったときの反射材57の位置と対応して版胴51の外周面51aの外側には、光反射型センサ58が設置されている。そして、反射材57と光反射型センサ58とにより版胴51の外周面51a上での孔版原紙Mの有無を検出可能になっている。
【0057】
また、版胴51内の下方には、ドクターローラ59とインクローラ60とが互に添接しながら回転自在に設けられている。また、ドクターローラ59とインクローラ60と間に版胴51のインク挿入口52aから供給されたインクIKが溜まっており、このインクIKはドクターローラ59とインクローラ60との隙間を通過してこのインクローラ60の外周面から版胴51の外周面51aに巻回された孔版原紙Mの穿孔画像に供給されるようになっている。
【0058】
また、版胴51の下方には、プレスローラ61が不図示のプレスローラ接離機構部により版胴51の外周面51aに対して所定の押圧力で接離自在に設けられている。
【0059】
上記したプレスローラ61は、版胴51の回転に伴って外周面51aの一部に設けたクランプ板56が下方に至って通過するときに、版胴51の外周面51aから離間するようになっている。
【0060】
そして、印刷部50では、版胴51が右上方部位に設定した版胴基準位置から反時計方向に回転を開始して、版胴51の外周面51aの一部に開閉可能に取り付けたクランプ板56が上方の着版位置に至ったときに、カム駆動部30によりクランプ板56を開いて製版部25から送られた製版済みの孔版原紙Mをクランプしている。
【0061】
この後、孔版原紙Mをクランプしたクランプ板56がプレスローラ61を通過した後に、プレスローラ61で給紙部40から送られた未印刷の用紙Pを版胴51の外周面51aに巻回した製版済みの孔版原紙Mに押し当てて、用紙Pを下流側に向けて搬送しながら版胴51の外周面51aから滲み出したインクIKで孔版原紙Mの穿孔画像に対応したインク画像を用紙P上に印刷している。
【0062】
次に、用紙剥離部65は、版胴51の外周面51aの右下方に接近して設置されている。
【0063】
この用紙剥離部65では、ダクト66a内にファン66bが内蔵され、且つ、ファン66bからのエアーARを版胴51の外周面51aの右方に向かって送風する剥離ファン(エアーナイフ)66と、剥離ファン66から送風されたエアーARを版胴51の外周面51aの下方に向かってガイドするエアーガイド板67と、印刷部50で印刷された印刷済みの用紙Pの先端部Paを版胴51側から剥離する剥離爪68とを有する。
【0064】
この際、剥離爪68は、版胴51の軸線方向の略中央部位に略5mm程度の横幅を持って取り付けられており、且つ、この剥離爪68の先端部は版胴51の外周面51aの下方に向いている。
【0065】
また、印刷済みの用紙Pの先端部Paを版胴51側から剥離させるための用紙剥離ポイントHPが、版胴51の外周面51aの下方でプレスローラ61と剥離爪68の先端部との間の略中間部位に設定されている。
【0066】
また、版胴51の外周面51aの左下方に設置した用紙先端部検出用光センサ48と、用紙剥離ポイントHPとの間を用紙Pが通過する用紙通過時間が、後述する制御部95内に予め格納されている。
【0067】
そして、用紙Pの先端部Paが用紙先端部検出用光センサ48で検出された後に、上記した用紙通過時間の経過を後述する制御部95内のタイマ95dで計測して、この計測時間が制御部95内に予め格納された用紙通過時間と一致したときに、印刷済みの用紙Pの先端部Paが用紙剥離ポイントHPに至ったことを確認できるようになっている。
【0068】
従って、用紙先端部検出用光センサ48と制御部95とが、印刷済みの用紙Pの先端部Paを剥離させる用紙剥離ポイントHPを計測する用紙剥離ポイント計測手段となっている。
【0069】
上記から、剥離ファン66から送風されたエアーARがエアーガイド板67を介して版胴51の外周面51a側に沿いながら版胴51の外周面51aの右下方に設定した用紙剥離ポイントHPに向かう。そして、版胴51の外周面51aに巻回した孔版原紙Mから印刷済みの用紙Pの先端部Paの略中央部位を剥離爪68で剥がして、この剥離爪68で剥がすきっかけをつくり、その後最終的にエアーARにより用紙Pの先端部Paを用紙剥離ポイントHPの近傍で剥離するようになっている。
【0070】
次に、通気手段70は、版胴51の外周面51aの下方で印刷部50内に設けたプレスローラ61よりも用紙搬送方向の下流に設置されている。
【0071】
この通気手段70では、用紙剥離部65内に設けた剥離ファン66から送風されたエアーARがプレスローラ61よりも用紙搬送方向の下流に設置した排紙ガイド板71上に滞留しないように対策を施している。
【0072】
上記した通気手段70は、本発明の要部を構成するものであり、これについては(第1実施形態の通気手段),(第2実施形態の通気手段),(第3実施形態の通気手段)の順に後述するが、装置筐体11内では第1〜第3実施形態の通気手段のうちいずれか一つの通気手段が適用されている。
【0073】
次に、排紙部80は、通気手段70内の排紙ガイド板71よりも下流で装置筐体11の右側面11c側に設置されている。
【0074】
この排紙部80では、用紙剥離部65で剥離されて排紙ガイド板71を通過した印刷済みの用紙Pの搬送をガイドする用紙搬送ガイド部材81が排紙ガイド板71よりも下流に固定設置されている。この用紙搬送ガイド部材81は、上面が平板状に形成され、且つ、この上面に複数のエアー吸引孔が貫通して形成されていると共に、用紙幅方向の両端が下方に折り曲げられている。
【0075】
また、用紙搬送ガイド部材81の上面上には、複数のエアー吸引孔を形成したエンドレスベルト82が用紙排紙方向に向かって回転自在に設けられている。この際、エンドレスベルト82は、モータ83によって反時計方向に回転駆動する駆動プーリ84とこれに従動する従動プーリ85との間に掛け渡されている。
【0076】
更に、用紙搬送ガイド部材81内には、印刷済みの用紙Pを用紙搬送ガイド部材81に形成した複数のエアー吸引孔及びエンドレスベルト82に形成した複数のエアー吸引孔を通ってエアー吸引するエアー吸引ファン86が設けられている。
【0077】
上記から、排紙部80内に設けた用紙搬送ガイド部材81,エンドレスベルト82,モータ83,駆動プーリ84,従動プーリ85,エアー吸引ファン86は、排紙ガイド板71を通過した印刷済みの用紙Pを排紙台87に向けて搬送する排紙搬送手段(81〜86)として構成されている。
【0078】
そして、排紙ガイド板71を通過した印刷済みの用紙Pはエアー吸引ファン86で吸引されながらエンドレスベルト82の回転によって排紙台87上に排出されている。
【0079】
次に、排版部90は、装置筐体11内で版胴51の左上方部位に設置されている。この排版部90では版胴51の外周面51aから剥された使用済みの孔版原紙Mが不図示の排版箱内に収納されている。
【0080】
次に、制御部95は、装置筐体11内の適宜な位置に設置されている。この制御部95は、用紙Pの先端部Paが前述した用紙剥離ポイントHPに至ったか否かを判断したり、各種の判断を処理するCPU95aと、孔版印刷装置10の動作プログラムなどを格納したROM95bと、孔版印刷装置10内で変更可能な各種の情報や、用紙先端部検出用光センサ48と用紙剥離ポイントHPとの間を用紙Pが通過する用紙通過時間を一時的に記憶するRAM95cと、上記した用紙通過時間を計測するタイマ95dとを内部に有している。
【0081】
そして、制御部95は、操作パネル部15と、原稿読取部20と、製版部25と、カム駆動部30と、給紙部40と、印刷部50と、用紙剥離部65と、通気手段70と、排紙部80と、排版部90とをそれぞれ制御している。
【0082】
更に、制御部95は、タイマ95dで計測した用紙通過時間がRAM95cに格納した用紙通過時間と一致したときに印刷済みの用紙Pの先端部Paが用紙剥離ポイントHPに至ったと判断している。
【0083】
ここで、上記のように構成した孔版印刷装置10において、本発明の要部を構成する通気手段70について、第1実施形態,第2実施形態,第3実施形態の順に説明する。
【0084】
(第1実施形態の通気手段)
図2は本発明に係る孔版印刷装置において、印刷部,用紙剥離部,排紙ガイド板に設けた第1実施形態の通気手段,排紙部内に設けた用紙搬送ガイド部材を拡大して示している。尚、図2中では図示の都合上、版胴の外周面に巻回させた孔版原紙の図示を省略している。
【0085】
また、図3図2に示した排紙ガイド板に設けた第1実施形態の通気手段,排紙部内に設けた用紙搬送ガイド部材を拡大して上面側から示している。また、図4(a),(b)は本発明に係る孔版印刷装置において、第1実施形態の通気手段を上面側,下面側からそれぞれ見た状態を斜視的に示している。
【0086】
図2に示した第1実施形態の通気手段70A(70)では、第1実施形態における排紙ガイド板71A(71)の上方に用紙剥離部65の剥離ファン66から送風されたエアーARが滞留しないように、装置筐体11(図1)内に固定設置した排紙ガイド板71AにエアーARを逃がす対策を施している。
【0087】
即ち、図2及び図3に示す如く、第1実施形態の通気手段70A(70)では、印刷部50で印刷された印刷済みの用紙Pを排紙方向にガイドする排紙ガイド板71Aがプレスローラ61よりも下流に固定設置されている。
【0088】
上記した排紙ガイド板71Aは、この上流端がプレスローラ61に接近しており、且つ、下流端側の用紙幅方向の両端側が排紙部80内に設けた第1実施形態における用紙搬送ガイド部材81A(81)の上面81uの上流端側に搭載されて、不図示の固定手段により装置筐体11(図1)内に固定設置されている。
【0089】
また、図3及び図4(a),(b)に示す如く、排紙ガイド板71Aは、用紙搬送方向が短尺で且つ用紙幅方向が最大サイズの用紙Pの幅より一回り幅広く長尺で、この上面71uが平板状に形成されている。
【0090】
また、排紙ガイド板71Aの上流端には、曲げ片71mが下方に向かって僅かに折り曲げ形成されているので、この曲げ片71mにより平板状の上面71uへの剛性を得ている。
【0091】
また、排紙ガイド板71Aの下流端側は、用紙幅方向の中央部近傍が用紙幅方向の両端側よりも上流側(内側)に向かって少し凹んでおり、且つ、用紙幅方向の中央部を挟んで略対称な位置に複数の通気孔71hが貫通して形成されている。これらの複数の通気孔71hそれぞれは、用紙搬送方向が長く、且つ、用紙幅方向が用紙搬送方向よりも幅狭く矩形状に切り欠き形成されており、ここでは例えば合計で4箇所形成されている。
【0092】
そして、複数の通気孔71hは、用紙剥離部65内の剥離ファン66から送風されたエアーARを排紙ガイド板71Aの上方に滞留させることなく、この排紙ガイド板71Aの下方に向けて通過させる機能を有している。
【0093】
従って、固定設置された排紙ガイド板71Aに形成した複数の通気孔71hが、第1実施形態の通気手段70Aとなっている。
【0094】
一方、排紙部80の用紙搬送ガイド部材81Aは、用紙幅方向の両端に一対の曲げ片81m,81mが互いに対向して下方に向かって折り曲げ形成されているので、これら一対の曲げ片81m,81mにより平板状の上面81uへの剛性を得ている。
【0095】
また、用紙搬送ガイド部材81Aの上流端には、一対の傾斜片81k,81kが用紙幅方向の中央部を挟んで略対称の位置に斜め下方に向かって形成されている。
【0096】
更に、用紙搬送ガイド部材81Aに形成した一対の傾斜片81k,81kは、排紙ガイド板71Aの下面に対向しており、且つ、排紙ガイド板71Aに貫通して形成した複数の通気孔71hの下方でオーバーラップするように配置されている。
【0097】
従って、印刷済みの用紙Pの先端部Paが排紙ガイド板71Aに貫通して形成した複数の通気孔71hを通過するときに、この用紙Pの先端部Paが用紙搬送ガイド部材81Aに形成した一対の傾斜片81k,81kによって用紙搬送ガイド部材81Aの上流端側で引っ掛かることなくスムーズに通過できるようになっている。
【0098】
更に、用紙搬送ガイド部材81Aの上面81u上で用紙幅方向の中央部位の近傍には、印刷済みの用紙Pを排紙搬送する3本のエンドレスベルト82がそれぞれ駆動プーリ84とこれに従動する従動プーリ85との間に掛け渡されている。そして、3本のエンドレスベルト82は、用紙搬送ガイド部材81Aの上面81u側から下面側に向かって排紙方向に回転しながら巻回している。
【0099】
尚、第1実施形態の通気手段70Aでは、第1実施形態における排紙ガイド板71A(71)が固定設置されているために、先に説明した用紙剥離ポイントHPを計測する用紙剥離ポイント計測手段48,95(図1)を機能させる必要はない。
【0100】
上記のように構成した第1実施形態の通気手段70A(70)によれば、印刷部50よりも下流側に固定設置された排紙ガイド板71Aに複数の通気孔71hを形成することで、剥離ファン66から送風されたエアーARが排紙ガイド板71Aに形成した複数の通気孔71hを下方に向かって通過する。
【0101】
これにより、剥離ファン66から送風されたエアーARが排紙ガイド板71Aの上方に滞留しないために、剥離ファン66からのエアーARが版胴51の下方近傍で版胴51側と印刷済みの用紙Pの先端部Paとの間に効率良く入り込めるようになるので、この印刷済みの用紙Pの先端部Paが版胴51側に貼りついたまま舞い上がることもなく、更に、印刷済みの用紙Pの先端部Paが剥離爪68に引っ掛かることもない。
【0102】
従って、剥離ファン66から送風されたエアーARによって印刷済みの用紙Pの先端部Paが版胴51の下方近傍で版胴51側から離れて確実に剥離することができ、孔版印刷装置10(図1)の信頼性向上に寄与できる。
【0103】
更に、印刷済みの用紙Pの先端部Paが排紙ガイド板71Aに形成した複数の通気孔71hを通過するときに、印刷済みの用紙Pの先端部Paは複数の通気孔71hの下方にオーバーラップして形成した用紙搬送ガイド部材81Aの一対の傾斜片81k,81kによってスムーズに用紙搬送ガイド部材81A上に搬送される。
【0104】
また更に、固定設置された排紙ガイド板71Aに複数の通気孔71hが形成されているために、第1実施形態の通気手段70Aの構造が簡単であり、安価に提供できる。
【0105】
(第2実施形態の通気手段)
図5は本発明に係る孔版印刷装置において、印刷部,用紙剥離部,排紙ガイド板に設けた第2実施形態の通気手段,排紙部内に設けた用紙搬送ガイド部材を拡大して示している。尚、図5中では図示の都合上、版胴の外周面に巻回させた孔版原紙の図示を省略している。
【0106】
図5に示した第2実施形態の通気手段70B(70)では、印刷済みの用紙Pの先端部Paを剥離ファン66から送風されたエアーARにより版胴51側から剥離させるために設定した用紙剥離ポイントHPを計測する用紙剥離ポイント計測手段48,95(図1)を有効に機能させている。また、第2実施形態における排紙ガイド板71B(71)の上方に用紙剥離部65の剥離ファン66から送風されたエアーARが滞留しないように、可動可能に設けた排紙ガイド板71Bの上流端側をプレスローラ61から大きく離間するように直線移動させてエアーARを逃がす対策を施している。
【0107】
即ち、図5に示す如く、第2実施形態の通気手段70B(70)では、印刷部50で印刷された印刷済みの用紙Pを排紙方向にガイドする排紙ガイド板71Bがプレスローラ61よりも下流に可動可能に設置されている。
【0108】
上記した排紙ガイド板71Bは、この上流端がプレスローラ61に接近しており、且つ、下流端側が排紙部80内に設けた第2実施形態における用紙搬送ガイド部材81B(81)の上面81uの上流端側にスライド可能に搭載されている。
【0109】
また、排紙ガイド板71Bは、用紙搬送方向が短尺で且つ用紙幅方向が最大サイズの用紙Pの幅より一回り幅広く長尺で、この上面71uが平板状に形成されている。
【0110】
また、排紙ガイド板71Bの上流端には、第1実施形態と同様に、曲げ片71mが下方に向かって僅かに折り曲げ形成されているので、この曲げ片71mにより平板状の上面71uへの剛性を得ている。
【0111】
そして、第2実施形態の通気手段70Bが動作していない初期時又は用紙印刷中の通常印刷時に、排紙ガイド板71Bの曲げ片71mはプレスローラ61に対して僅かの隙間を隔てて接近している。このため、初期時又は通常印刷時には、排紙ガイド板71Bの上方に剥離ファン66から送風されたエアーARが滞留し易い状態になっている。
【0112】
また、排紙ガイド板71Bの下流端側は、第1実施形態と同様に用紙幅方向の中央部近傍が用紙幅方向の両端側よりも上流側(内側)に向かって少し凹んでいるものの、第1実施形態で説明したような複数の通気孔は形成されてなく平坦面のままである。
【0113】
上記に伴って、第2実施形態における用紙搬送ガイド部材81Bは、上流端に第1実施形態で説明したような一対の傾斜片が形成されていないが、その他の部分は第1実施形態と同様に形成されている。
【0114】
そして、排紙ガイド板71Bは、モータ72の回転を直線移動機構部73で減速しつつ直線移動に変換して、用紙搬送ガイド部材81Bの上面81u上をスライドしながら矢印X1,X2方向に往復移動可能に設けられている。
【0115】
ここで、第2実施形態の通気手段70B(70)の動作について、図6(a),(b)を用いて説明する。
【0116】
図6図5に示した排紙ガイド板に設けた第2実施形態の通気手段の動作を示しており、(a)は排紙ガイド板の上流端側がプレスローラから大きく離間した状態を示し、(b)は排紙ガイド板の上流端側がプレスローラに接近した状態を示している。尚、図6(a),(b)中も版胴の外周面に巻回させた孔版原紙の図示を省略している。
【0117】
まず、排紙ガイド板71Bが図5に示した通常印刷時の状態のときに、印刷済みの用紙Pの先端部Paが、版胴51の外周面51aの下方とプレスローラ61との間を通過する。
【0118】
このときに、図6(a)に示す如く、印刷済みの用紙Pの先端部Paが用紙剥離ポイント計測手段48,95(図1)で計測した用紙剥離ポイントHPに到達する前に、制御部95(図1)の指令によりモータ72を正転して直線移動機構部73を介して排紙ガイド板71Bを用紙搬送ガイド部材81B上に沿って下流側(矢印X1方向)に移動させる。
【0119】
上記に伴って、排紙ガイド板71Bの上流端に形成した曲げ片71m側がプレスローラ61から大きく離間するので、剥離ファン66から送風されたエアーARがプレスローラ61と排紙ガイド板71Bの曲げ片71mとの間を下方に向かって通過する。
【0120】
これにより、剥離ファン66から送風されたエアーARが排紙ガイド板71Bの上方に滞留しないために、剥離ファン66からのエアーARが用紙剥離ポイントHPの近傍で版胴51側と印刷済みの用紙Pの先端部Paとの間に効率良く入り込めるようになるので、この用紙Pの先端部Paが版胴51側から離れて剥離爪68により確実に剥離することができる。
【0121】
次に、図6(b)に示す如く、印刷済みの用紙Pの先端部Paが用紙剥離ポイントHPに到達して版胴51側から剥離された直後に、制御部95(図1)の指令によりモータ72を逆転して直線移動機構部73を介して排紙ガイド板71Bを用紙搬送ガイド部材81B上に沿って上流側(矢印X2方向)に移動させる。
【0122】
上記に伴って、排紙ガイド板71Bの曲げ片71m側がプレスローラ61に接近して通常印刷時と同じ状態に戻る。これにより、版胴51側から剥離された印刷済みの用紙Pは、排紙ガイド板71Bの上面71uに沿いながら排紙方向に確実に搬送される。
【0123】
上記のように構成した第2実施形態の通気手段70B(70)によれば、印刷済みの用紙Pの先端部Paが用紙剥離ポイントHPに到達する前に、排紙ガイド板71Bの用紙搬送方向の上流端側をプレスローラ61から大きく離間するように直線移動させることで、剥離ファン66から送風されたエアーARが排紙ガイド板71Bの下方に向かって通過するために、排紙ガイド板71Bの上方にエアーARが滞留しない。
【0124】
一方、印刷済みの用紙Pの先端部Paが用紙剥離ポイントHPに到達した際には、排紙ガイド板71Bの用紙搬送方向の上流端側を元の位置まで戻している。
【0125】
この結果、剥離ファン66から送風されたエアーARによって印刷済みの用紙Pの先端部Paが用紙剥離ポイントHPの近傍で版胴51側から離れて、この後、剥離爪68により用紙Pの先端部Paを確実に剥離することができ、孔版印刷装置10(図1)の信頼性向上に寄与できる。
【0126】
更に、印刷済みの用紙Pの先端部Paが版胴51側から剥離した後に、排紙ガイド板71Bが通常印刷時の元の位置に戻るので、印刷済みの用紙Pを排紙ガイド板71Bに沿って排紙方向に確実に搬送することができる。
【0127】
(第3実施形態の通気手段)
図7は本発明に係る孔版印刷装置において、印刷部,用紙剥離部,排紙ガイド板に設けた第3実施形態の通気手段,排紙部内に設けた用紙搬送ガイド部材を拡大して示している。尚、図7中では図示の都合上、版胴の外周面に巻回させた孔版原紙の図示を省略している。
【0128】
図7に示した第3実施形態の通気手段70C(70)では、印刷済みの用紙Pの先端部Paを剥離ファン66から送風されたエアーARにより版胴51側から剥離させるために設定した用紙剥離ポイントHPを計測する用紙剥離ポイント計測手段48,95(図1)を有効に機能させている。また、第3実施形態における排紙ガイド板71C(71)の上方に用紙剥離部65の剥離ファン66から送風されたエアーARが滞留しないように、可動可能に設けた排紙ガイド板71Cの上流端側をプレスローラ61から大きく離間するように回動させてエアーARを逃がす対策を施している。
【0129】
即ち、図7に示す如く、第3実施形態の通気手段70C(70)では、印刷部50で印刷された印刷済みの用紙Pを排紙方向にガイドする排紙ガイド板71Cがプレスローラ61よりも下流に可動可能に設置されている。
【0130】
上記した排紙ガイド板71Cは、この上流端がプレスローラ61に接近しており、且つ、下流端側が回動軸75に固着されて回動可能に支持されている。
【0131】
また、排紙ガイド板71Cは、用紙搬送方向が短尺で且つ用紙幅方向が最大サイズの用紙Pの幅より一回り幅広く長尺で、この上面71uが平板状に形成されている。
【0132】
また、排紙ガイド板71Cの上流端には、曲げ片71mが下方に向かって僅かに折り曲げ形成されているので、この曲げ片71mにより平板状の上面71uへの剛性を得ている。
【0133】
そして、第3実施形態の通気手段70Cが動作していない初期時又は用紙印刷中の通常印刷時に、排紙ガイド板71Cの曲げ片71mはプレスローラ61に対して僅かの隙間を隔てて接近している。このため、初期時又は通常印刷時には、排紙ガイド板71Cの上方に剥離ファン66から送風されたエアーARが滞留し易い状態になっている。
【0134】
また、排紙ガイド板71Cの下流端側は、第3実施形態における用紙搬送ガイド部材81C(83)の上流端に接近しているがこの用紙搬送ガイド部材81Cから離れており、且つ、この裏面側に回動軸75が取り付けられているために上面71uは平坦面のままであり、第1実施形態で説明したような複数の通気孔は形成されていない。
【0135】
上記に伴って、用紙搬送ガイド部材81Cは、上流端に第1実施形態で説明したような一対の傾斜片が形成されていないが、その他の部分は第1実施形態と同様に形成されている。
【0136】
そして、排紙ガイド板71Cは、モータ76の回転を回動機構部77で減速しつつ回動運動に変換して、回動軸75を中心にして矢印R1,R2方向に回動可能に設けられている。
【0137】
ここで、第3実施形態の通気手段70C(70)の動作について、図8(a),(b)を用いて説明する。
【0138】
図8図7に示した排紙ガイド板に設けた第3実施形態の通気手段の動作を示しており、(a)は排紙ガイド板の上流端側がプレスローラから大きく離間した状態を示し、(b)は排紙ガイド板の上流端側がプレスローラに接近した状態を示している。尚、図8(a),(b)中も版胴の外周面に巻回させた孔版原紙の図示を省略している。
【0139】
まず、排紙ガイド板71Cが図7に示した通常印刷時の状態のときに、印刷済みの用紙Pの先端部Paが、版胴51の外周面51aの下方とプレスローラ61との間を通過する。
【0140】
このときに、図8(a)に示す如く、印刷済みの用紙Pの先端部Paが用紙剥離ポイント計測手段48,95(図1)で計測した用紙剥離ポイントHPに到達する前に、制御部95(図1)の指令によりモータ76を正転して回動機構部77を介して排紙ガイド板71Cを回動軸75を中心にして下方(矢印R1方向)に向かって回動させる。
【0141】
上記に伴って、排紙ガイド板71Cの上流端に形成した曲げ片71m側がプレスローラ61から大きく離間するので、剥離ファン66から送風されたエアーARがプレスローラ61と排紙ガイド板71Cの曲げ片71mとの間を下方に向かって通過する。
【0142】
これにより、剥離ファン66から送風されたエアーARが排紙ガイド板71Cの上方に滞留しないために、剥離ファン66からのエアーARが用紙剥離ポイントHPの近傍で版胴51側と印刷済みの用紙Pの先端部Paとの間に効率良く入り込めるようになるので、この用紙Pの先端部Paが版胴51側から離れて剥離爪68により確実に剥離することができる。
【0143】
次に、図8(b)に示す如く、印刷済みの用紙Pの先端部Paが用紙剥離ポイントHPに到達して版胴51側から剥離された直後に、制御部95(図1)の指令によりモータ76を逆転して回動機構部77を介して排紙ガイド板71Cを回動軸75を中心にして上方(矢印R2方向)に向かって回動させる。
【0144】
上記に伴って、排紙ガイド板71Cの曲げ片71m側がプレスローラ61に接近して通常印刷時と同じ状態に戻る。これにより、版胴51側から剥離された印刷済みの用紙Pは、排紙ガイド板71Cの上面71uに沿いながら排紙方向に確実に搬送される。
【0145】
上記のように構成した第3実施形態の通気手段70C(70)によれば、印刷済みの用紙Pの先端部Paが用紙剥離ポイントHPに到達する前に、排紙ガイド板71Cの用紙搬送方向の上流端側をプレスローラ61から大きく離間するように回動させることで、剥離ファン66から送風されたエアーARが排紙ガイド板71Cの下方に向かって通過するために、排紙ガイド板71Cの上方にエアーARが滞留しない。
【0146】
一方、印刷済みの用紙Pの先端部Paが用紙剥離ポイントHPに到達した際には、排紙ガイド板71Cの用紙搬送方向の上流端側を元の位置まで戻している。
【0147】
この結果、剥離ファン66から送風されたエアーARによって印刷済みの用紙Pの先端部Paが用紙剥離ポイントHPの近傍で版胴51側から離れて、この後、剥離爪68により用紙Pの先端部Paを確実に剥離することができ、孔版印刷装置10(図1)の信頼性向上に寄与できる。
【0148】
更に、印刷済みの用紙Pの先端部Paが版胴51側から剥離した後に、排紙ガイド板71Cが通常印刷時の元の位置に戻るので、印刷済みの用紙Pを排紙ガイド板71Cに沿って排紙方向に確実に搬送することができる。
【符号の説明】
【0149】
10…孔版印刷装置、11…装置筐体、
15…操作パネル部、20…原稿読取部、25…製版部、30…カム駆動部、
40…給紙部、41…給紙台、44…給紙ローラ、45…捌きローラ、
47…レジストローラ対、48…用紙先端部検出用光センサ、
50…印刷部、51…版胴、51a…外周面、52…中心軸、52a…インク挿入口、
53…版胴モータ、54…エンコーダ、55…版取付台、56…クランプ板、
59…ドクターローラ、60…インクローラ、61…プレスローラ、
65…用紙剥離部、66…剥離ファン(エアーナイフ)、67…エアーガイド板、
68…剥離爪、
70…通気手段、71…排紙ガイド板、71m…曲げ片、71u…上面、
70A…第1実施形態の通気手段、
71A…第1実施形態における排紙ガイド板、71h…通気孔、
70B…第2実施形態の通気手段、
71B…第2実施形態における排紙ガイド板、72…モータ、73…直線移動機構部、
70C…第3実施形態の通気手段、
71C…第3実施形態における排紙ガイド板、75…回動軸、76…モータ、
77…回動機構部、
80…排紙部、81…用紙搬送ガイド部材、81m…曲げ片、81u…上面、
81A…第1実施形態における用紙搬送ガイド部材、81k…傾斜片、
81B…第2実施形態における用紙搬送ガイド部材、
81C…第3実施形態における用紙搬送ガイド部材、
82…エンドレスベルト、83…モータ、84…駆動プーリ、85…従動プーリ、
86…エアー吸引ファン、87…排紙台、
82…エンドレスベルト、90…排版部、95…制御部、95a…CPU、
95b…ROM、95c…RAM、95d…タイマ、
48,95…用紙剥離ポイント計測手段、
AR…エアー、HP…用紙剥離ポイント、IK…インク、M…孔版原紙(マスタ)、
P…用紙、Pa…用紙搬送方向の先端部。
図1
図2
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図5
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図7
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図9