特許第6654892号(P6654892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6654892
(24)【登録日】2020年2月4日
(45)【発行日】2020年2月26日
(54)【発明の名称】電気冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20200217BHJP
【FI】
   F25D23/02 305Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-254714(P2015-254714)
(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公開番号】特開2017-116234(P2017-116234A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】501214524
【氏名又は名称】双日マシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】西岡 弥吉郎
【審査官】 田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】 実開平03−129680(JP,U)
【文献】 実開昭54−002866(JP,U)
【文献】 特開2000−346540(JP,A)
【文献】 特表2004−514816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被貯蔵物を収容する、一部が開口している中空の箱体と、前記箱体の開口部を塞ぐように取り付けられて開閉可能な扉部とを有する電気冷蔵庫であって、
前記箱体の前記開口部の下方には、閉じられた状態の前記扉部の下方に位置して前記扉部を支持する支持部が設けられており、前記支持部は、閉じられた状態の前記扉部の下面に接する回転自在な回転体と、前記回転体を回転自在に保持するフレームと、前記フレームに取り付けられている、高さ調節可能な調節脚とを含み、
前記扉部は、一方の側部が開閉機構によって前記箱体に取り付けられており、該一方の側部を回転中心として回転することにより開閉し、前記支持部は、前記扉部が閉じられた状態で前記扉部の前記一方の側部と反対側の側部を支持し、
前記回転体が前記フレームの前部に回転自在に支持され、前記フレームの後部に前記調節脚が取り付けられており、
前記支持部のうち前記回転体のみが前記扉部の下面に接し、前記回転体は、電気冷蔵庫が設置される床面には直接接触せずに浮いた状態で前記フレームに支持されており、前記フレームに取り付けられた前記調節脚が前記床面に接している、電気冷蔵庫。
【請求項2】
前記回転体はローラである、請求項1に記載の電気冷蔵庫。
【請求項3】
前記扉部は多層の耐熱ガラスを含むガラス扉部である、請求項1または2に記載の電気冷蔵庫。
【請求項4】
ワイン貯蔵庫である、請求項1からのいずれか1項に記載の電気冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワイン貯蔵庫等の電気冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
ワインは葡萄果汁のアルコール発酵による醸造酒であり、蒸留工程がないため、原料の味わい、香り、風味等が直接反映される飲料である。また、ワインは、穀物を原料とする醸造酒とは異なり、酵母添加や澱粉糖化や加水を行うことなく製造されるため、味や香りが貯蔵時の環境に大きく影響を受ける。そのため、ワインを適切な環境下で保存するためにワイン貯蔵庫等の電気冷蔵庫が用いられている。ワイン貯蔵庫等の電気冷蔵庫は、日本酒、焼酎、果汁等のワイン以外の飲料の保存にも利用可能である。一般的な電気冷蔵庫は、一部が開口している中空の箱体と、箱体の開口部を塞ぐように取り付けられて、蝶番等の開閉機構によって開閉可能な扉部とを有する。箱体は、断熱性を有する壁部で構成された断熱箱体である。
【0003】
特許文献1には、庫本体の出入口用開口部の上部側に、水平な案内レールが配設され、出入口用開口部を開閉する扉の上部に、案内レールに転走可能に係合する吊り車輪が装着されている電気冷蔵庫に関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−2717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ワイン愛飲家は、扉を閉めた状態でもワインボトルのエチケットラベルやコルク栓のキャップシールが視認可能であることを望む場合が多いため、ワイン貯蔵庫の扉部はガラスを主要部とするガラス扉部である。このガラス扉部を介して貯蔵室の内外で熱が伝達して貯蔵室内を予め設定された温度に維持できなくなることを防ぐため、および使用者の安全確保のために、ガラス扉部は多層(例えば3層)の耐熱ガラスと金属製(例えばアルミニウム製)のフレームとからなる。その結果、ガラス扉部は重量がかなり重い。通常の扉部は、蝶番等の開閉機構によって箱体に取り付けられていることと、閉じた状態で磁石等によって箱体の開口部の周囲に固定されることによって支持される。しかし、これらの部分のみで、ワイン貯蔵庫のガラス扉部のような重量の重い扉部を十分に支持することは困難であり、特に箱体に取り付けるための蝶番等の開閉機構に加わる負荷が大きく、長期間使用するとガラス扉部が自重で垂れ下がってくるおそれがある。ガラス扉部が垂れ下がってくると、完全に閉じられていない状態(半ドア状態)になり易くなる。その結果、ワイン貯蔵庫の内部に外気が流入して、十分に冷却することができず、設定温度に維持することや適切な湿度に保つことが困難になる。また、霜が発生し易くなる。このような問題は、ガラス扉部を有するワイン貯蔵庫に限らず、比較的重い扉部を有する電気冷蔵庫において広く発生する可能性がある。
【0006】
特許文献1に記載されている構成では、出入口用開口部と扉の上部に案内レールや吊り車輪が設けられており、扉の支持が上部から補助される可能性がある。しかし、このような構成による扉の支持の補助は、ワイン貯蔵庫のガラス扉部のように重量の重い扉の支持にはさほど効果がなく、扉が自重で垂れ下がってきて不具合を生じる危険性を無くすことはできない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、扉部の自重による垂れ下がりを抑え、完全に閉じられていない状態になる危険性が小さい電気冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気冷蔵庫は、被貯蔵物を収容する、一部が開口している中空の箱体と、箱体の開口部を塞ぐように取り付けられて開閉可能な扉部とを有する。箱体の開口部の下方には、閉じられた状態の扉部の下方に位置して扉部を支持する支持部が設けられている。支持部は、閉じられた状態の扉部の下面に接する回転自在な回転体と、回転体を回転自在に保持するフレームと、フレームに取り付けられている、高さ調節可能な調節脚とを含む。扉部は、一方の側部が開閉機構によって箱体に取り付けられており、該一方の側部を回転中心として回転することにより開閉する。支持部は、扉部が閉じられた状態で扉部の一方の側部と反対側の側部を支持する。回転体がフレームの前部に回転自在に支持され、フレームの後部に調節脚が取り付けられている。支持部のうち回転体のみが扉部の下面に接し、回転体は、電気冷蔵庫が設置される床面には直接接触せずに浮いた状態でフレームに支持されており、フレームに取り付けられた調節脚が床面に接している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、扉部の自重による垂れ下がりを抑え、完全に閉じられていない状態になる危険性を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の電気冷蔵庫の一実施形態であるワイン貯蔵庫の、瓶が収容された状態を示す正面図である。
図2図1に示すワイン貯蔵庫の、瓶が収容されていない状態を示す正面図である。
図3図1に示すワイン貯蔵庫の、瓶が収容されていない状態を示す側面断面図である。
図4図1に示すワイン貯蔵庫の扉部が開いている状態の、箱体の下部の拡大斜視図である。
図5図1に示すワイン貯蔵庫の下部の拡大側面図である。
図6図1に示すワイン貯蔵庫の底面図である。
図7】本発明の電気冷蔵庫の一実施形態であるワイン貯蔵庫の変形例の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の電気冷蔵庫の一実施形態であるワイン貯蔵庫1に瓶Bが収容された状態を示す正面図、図2はワイン貯蔵庫1に瓶Bが収容されていない状態を示す正面図、図3はその側面断面図である。図4はワイン貯蔵庫1の箱体の下部の拡大斜視図、図5はその拡大側面図である。図6はワイン貯蔵庫1の底面図である。このワイン貯蔵庫1は、一部が開口している中空の箱体2と、一方の側部が蝶番等の開閉機構15(図6に模式的に図示)によって箱体2に取り付けられて、開口部を塞ぐことができるとともに開閉可能である扉部4とを有する。箱体2は、断熱性を有する壁部で構成された断熱箱体2であり、扉部4は、例えば3層の耐熱ガラスを主要部とするガラス扉部4である。
【0012】
図4〜6に示すように、本発明の断熱箱体2の下部、すなわち開口部の下方には、前方(扉部4側)に突出する支持部8が設けられている。本実施形態の支持部8は、回転体の一例であるローラ8aがフレーム8bの前部に回転自在に支持され、そのフレーム8bの後部(奥側)に調節脚8cが取り付けられた構成である。支持部8は、閉じられた状態のガラス扉部4の他方の側部(開閉部材15によって断熱箱体2に取り付けられている側と反対側の側部)の下方に位置してガラス扉部4を支持するものであり、ローラ8aが、閉じられた状態のガラス扉部4の下面に接する。ローラ8aは、ワイン貯蔵庫1を設置する床面に接しておらず、ガラス扉部4の開閉方向(図5の矢印方向)に実質的に平行な方向に回転自在である。図5には、僅かに開いた状態のガラス扉部4を実線で示し、閉じた状態のガラス扉部4を2点鎖線で示している。
【0013】
本実施形態では、ガラス扉部4が閉じられている状態では、そのガラス扉部4は、一方の側部が蝶番等の開閉機構15によって断熱箱体2に取り付けられ、かつ図示しない磁石等によって断熱箱体2の開口部の周囲に固定されることに加えて、支持部8の上に載せられて下方から支持される。このようにガラス扉部4が支持部8によって下方から支持されることにより、蝶番等の開閉機構15に過大な負荷がかかることがなく、長期間の使用後であっても、ガラス扉部4が垂れ下がってくるおそれが小さい。従って、ガラス扉部4が完全に閉じられていない状態(半ドア状態)になることが防止でき、ワイン貯蔵庫1内の温度や湿度の変動を抑えることができる。支持部8は、ガラス扉部4が閉じられている時にのみガラス扉部4を支持するが、ワイン貯蔵庫1のガラス扉部4は大半は閉じられた状態にあるため、ガラス扉部4が開いている時の負荷によってガラス扉部4が垂れ下がってしまう可能性は非常に低い。従って、本発明の支持部8が、閉じられた状態のガラス扉部4を支持することによる効果は非常に大きい。
【0014】
支持部8には回転自在なローラ8aが設けられており、ガラス扉部4の下面に直接接するのはこのローラ8aであり、ローラ8aが回転することによって、ガラス扉部4の開閉動作(図5の矢印方向の動作)は円滑に行える。ガラス扉部4の円滑な回転のためには、図5に示すように、支持部8のうちローラ8aのみがガラス扉部4の下面に接し、そのローラ8aは、ワイン貯蔵庫1が設置される床面には直接接触せずに浮いた状態で支持部8のフレーム8bに支持されていることが好ましい。そして、フレーム8bに取り付けられた調節脚8cが床面に接している。支持部8は、ワイン貯蔵庫1の前部(開口部が設けられている部分)の、蝶番等の開閉機構15の反対側(図1〜2,6の左側)に配置されている。開閉機構15が設けられている一方の側部(図1〜2,6の右側)は、ガラス扉部1が開閉機構15を介して断熱箱体2に取り付けられている側であるので、重力による垂れ下がりが生じることはなく、特別な支持部8を設ける必要はない。しかし、蝶番等の開閉機構15の反対側(他方の側部)は、ガラス扉部1の自由端部であり、開閉機構15によって取り付けられている部分から離れているので、自重によって垂れ下がる可能性がある。そこで、本実施形態の支持部8によって、蝶番等の開閉機構15と反対側でガラス扉部4が垂れ下がらないように支持することが有効である。なお、ガラス扉部4を一旦取り外して、開閉機構15を左右入れ替えて配置することにより、ガラス扉部4の回転中心と自由端部とを入れ替えることができる。その場合、左右を入れ替えたガラス扉部4の回転中心側には本発明の支持部8は必ずしも必要ではなく、自由端部側に支持部8を設ければよい。
【0015】
断熱箱体2の、支持部8が存在しない、開閉機構15が設けられている回転中心側と後部とには、それぞれ調節脚16,17が設けられており、調節脚8cおよびフレーム8bと、調節脚16,17によって、ワイン貯蔵庫全体1が支持されている。本実施形態の調節脚8c,16,17はねじ込み式の脚部であって、回転させることにより、高さ、すなわち断熱箱体2の底面から床面までの距離を調節することができる。この調節脚8c,16,17を適宜に調節することによって、ワイン貯蔵庫全体1をバランス良く支持することができる。ただし、開閉機構15が設けられている回転中心側と断熱箱体2の後部とには、調節脚16,17に代えて、高さ調節不能な固定脚(図示せず)を設けてもよい。
【0016】
図7には、ローラ8aに代えて、他の形態の回転自在な回転体を有する変形例が示されている。具体的には、図7に示す変形例では、ローラ8aに代わる回転体である球体19aを含む支持部19が設けられている。この支持部19は、球体19aがフレーム19bの前部に回転自在に支持され、そのフレーム19bの後部に調節脚19cが取り付けられた構成である。支持部19のうち球体19aのみがガラス扉部4の下面に接し、その球体19aは、ワイン貯蔵庫1が設置される床面には直接接触せずに浮いた状態で支持部19のフレーム19bに支持されている。それ以外の構成は、前述した構成と同様であり、ローラ8aを含む支持部8を有する構成と同様の効果が得られるので、説明を省略する。
【0017】
以下、主に図1〜3を参照して、ワイン貯蔵庫1の詳細な構成の一例について説明する。以下の説明は、図1〜6に示す構成と、図7に示す変形例の構成のいずれにも当てはまる。
断熱箱体2は、仕切壁7によって2つの貯蔵室、具体的には上室5aと下室5bとに区画されている。上室5aと下室5bにはそれぞれ棚6が設けられており、各棚6にワイン等の飲料の瓶Bを載置することができる。本実施形態の棚6は板状ではなく、ワイヤを折り曲げることによって形成された粗いネット状の部材である。
【0018】
上室5aと下室5bの背面側(ガラス扉部4の反対側)には、ヒータ11a,11bと、冷却器(蒸発器)12a,12bと、送風機(ファン)13a,13bと、通気孔3がそれぞれ設けられている。一般的には、冷却器12a,12bおよびヒータ11a,11bは整流板14a,14bによって覆われて、ガラス扉部4側、すなわち使用者側からは見えない。断熱箱体2の背面側の下部には機械室9が設けられており、この機械室9内に、圧縮機10が収容されている。
【0019】
図示しないが、機械室9内の圧縮機10が弁(例えば電磁弁)を介して、上室5aの冷却器12aと下室5bの冷却器12bにそれぞれ接続されて、一部が合流している2系統の冷却サイクル(冷媒循環サイクル)が構成されている。すなわち、圧縮機10によって圧縮された液相の冷媒が、電磁弁を介して、上室5aの冷却器12aと下室5bの冷却器12bにそれぞれ供給される。そして、各冷却器12a,12bにおいて冷媒が蒸発(気化)して周囲の空気から気化熱を奪って空気を冷却する。冷却された空気は、ワイン等の飲料の瓶Bが載置される棚6を通って瓶Bを冷却させる。それから、空気は送風機13a,13bによって吸引されて、整流板14a,14bの背面側に送られる。一方、蒸発した冷媒は圧縮機10に戻って圧縮されて液相に戻る。冷媒の一例は、可燃性炭化水素(イソブタン、冷媒番号R600a)である。温度の調節は、上室5aおよび下室5bにそれぞれ設けられている図示しないサーミスタによって温度を検出して、圧縮機10や電磁弁を制御することと、過冷却の場合にはヒータ11a,11bを作動させて室内の温度を上昇させることによって行う。このワイン貯蔵庫1では、電磁弁を調整することによって、上室5aの冷却器12aへの冷媒の供給量と、下室5bの冷却器12bへの冷媒の供給量とを変えることができ、それによって上室5aの内部と下室5bの内部とを異なる温度にすることができる。
【0020】
上室5aと下室5bには、整流板14a,14bよりも下方の位置に水受け皿18a,18bがそれぞれ設けられている。上室5aの水受け皿18aは、仕切り壁7の背面側に取り付けられている。下室5bの水受け皿18bは、少なくとも部分的に、上室5aの水受け皿18aと平面的に重なる位置にあり、2つの水受け皿18a,18bの間は遮断されておらず連通している。そして、上室5aの水受け皿18aには、所定量以上の水が溜まったら下方に向けて水を落下させるように、取り入れ口20aを有する中空の突起部20が設けられている。また、上室5aと下室5bには、送風機13a,13bと対向する位置と、冷却器12a,12bに近接する位置に、ワイン貯蔵庫1の外部に開口する通気孔3(例えば直径2〜5mmの円孔)がそれぞれ設けられている。整流板14a,14bは、送風機13a,13bおよび通気孔3の前方を開放させるように、送風機13a,13bおよび通気孔3に対向する位置をある程度避けた形状に形成されている。
【0021】
冷却器12a,12bは、上室5aおよび下室5bの背面と整流板14a,14bとの間に配置され、水分を含む空気を冷却して結露させる。整流板14a,14bと水受け皿18a,18bの間には、空気の循環に十分な大きさの隙間が設けられている。さらに、整流板14a,14bの下部には、空気の循環を促進させるためのスリット26a,26bまたは孔部(円孔または楕円孔など)が設けられている。その結果、送風機13a,13bによって安定的な空気の流れ(サイクル)が生じ、ミストや水滴が水受け皿18a,18bに落下する。
【0022】
このような構成であるため、上室5aと下室5bにおいて、通気孔3から取り込まれた外気中の水分が冷却器12a,12bによって冷却されて結露し、それがミスト状になって、室内に収容されている瓶Bの周囲を通って冷却および加湿し、送風機13a,13bによって吸引される。送風機13a,13bによって吸引された空気は、一部が通気孔3から外部に排出されるとともに、一部が整流板14a,14bの背面側を下方へ向かって流れる。瓶Bを濡らした後の水滴は、棚6や整流板14a,14bに沿って水受け皿18a,18bに導かれる。
【0023】
前述したように、上室5aにおいて、通気孔3から取り入れられた空気中の水分が結露してミスト状になって、棚6に載置された瓶Bの周囲を通った後に水受け皿18aに導かれる。そして、水受け皿18aに溜まった水分の水面が取り入れ口20aの高さまで上昇すると、取り入れ口20aから中空の突起20の内部に流入して、突起20の中空部から下方に落下する。落下した水分は、上室5aの水受け皿18aと平面的に重なる位置にある下室5bの水受け皿18bに受けられる。一方、下室5bにおいて、通気孔3から取り入れられた空気中の水分が結露してミスト状になって、棚6に載置された瓶Bの周囲を通った後に水受け皿18bに導かれる。このようにして、上室5aの水受け皿18aから落下した水分と、下室5b内の水分とが、下室5bの水受け皿18bに溜まる。下室5bの水受け皿18bは、機械室9内の圧縮機10に近接している。圧縮機10は熱を放出するため、この圧縮機10の熱により、下室5bの水受け皿18bに溜まった水分は蒸発(気化)して通気孔3から外部に放出される。その結果、上室5aおよび下室5bの内部での過剰な結露や水溜まりの発生を防止することができる。なお、図示しないが、圧縮機10にさらに近接する蒸発皿を設け、下室5bの水受け皿18bから蒸発皿に水分を移動させて、蒸発皿において圧縮機10の熱によってより効率良く水分を蒸発させて外部に放出する構成にしてもよい。
【0024】
図1〜3に示す例のように複数の貯蔵室5a,5bを有するワイン貯蔵庫1は一般に大型であり、それに伴ってガラス扉部4も大型で重い場合が多いので、本発明の回転体(ローラ8aや球体19a)等を含む支持部8,19を設けることによる効果が大きい。ただし、ワイン貯蔵庫1に限らず、単一の貯蔵室のみを有する電気冷蔵庫や、小型の電気冷蔵庫においても、本発明の回転体(ローラ8aや球体19a)等を含む支持部8,19を設けることにより、ガラス扉部4の支持機構をさほど強度が高いものにしなくてもよく、構成の簡略化や製造コストの低減等の効果が得られる。また、ガラス扉部4以外の、透光性を持たない扉部を有する電気冷蔵庫においても、本発明は有効である。圧縮機10を用いない、他の冷却方式を採用した電気冷蔵庫においても、本発明は有効である。
【符号の説明】
【0025】
1 ワイン貯蔵庫
2 断熱箱体
3 通気孔
4 ガラス扉部
5a 上室(貯蔵室)
5b 下室(貯蔵室)
6 棚
7 仕切壁
8 支持部
8a ローラ(回転体)
8b フレーム
8c 調節脚
9 機械室
10 圧縮機
11a,11b ヒータ
12a,12b 冷却器(蒸発器)
13a,13b 送風機(ファン)
14a,14b 整流板
15 開閉機構
16,17 調節脚
18a,18b 水受け皿
19a 球体(回転体)
19b フレーム
19c 調節脚
20 突起部
20a 取り入れ口
26a,26b スリット
B 瓶
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7