(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について具体的に説明する。なお、本明細書において、「〜」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。
【0016】
本発明に用いられる成分(a)アスタキサンチンとしては、魚類、甲殻類、植物類、藻類及びバクテリアや菌類のいずれのものから抽出、精製されたものも含まれる。また天然由来のものに限定されず、常法に従って得られるものであればいずれのものも使用できる。
【0017】
狭義でのアスタキサンチンは、476nm(エタノール)、468nm(ヘキサン)に吸収極大を持つ赤色の色素で化学構造は3,3’−dihydroxy−β,β−carotene−4,4’−dione(C40H5204、分子量596.82)である。アスタキサンチンは、分子の両端に存在する環構造の3(3’)-位の水酸基の立体配置により3S,3S’-体、3S,3R’-体(meso-体)、3R,3R’-体の三種の異性体が存在する。さらに分子中央の共役二重結合のcis-、trans-の異性体も存在する。例えば全cis-、9-cis体と13-cis体などの如くである。本発明においてはいずれのものであっても用いることができる。
【0018】
ここで3,3’-位の水酸基は脂肪酸とエステルを形成することができる。オキアミから得られるアスタキサンチンは、脂肪酸二個結合したジエステル体 、H. pluvialisから得られるものは3S,3S’-体で、脂肪酸一個結合したモノエステル体が多く含まれている 。Phaffia Rhodozymaより得られるアスタキサンチンは、3R,3R’-体で通常天然に見出される3S,3S’-体と反対の構造を持っている。本発明においては、特に断らない限り、成分(A)のアスタキサンチンはアスタキサンチン及びアスタキサンチンエステル等の誘導体を含む。さらに、誘導体とは上記の天然由来アスタキサンチンエステル以外にも、適宜合成したアスタキサンチンの塩、酸化体、還元体、幾何異性体、光学異性体、配糖体、エステル体などが挙げられ、これらを含めて「アスタキサンチン」と称し、いずれのものも使用することができる。
【0019】
本発明に用いられるアスタキサンチンは例えば、オキアミ、サケ、マス、福寿草、赤色酵母、ヘマトコッカス藻等の天然物から抽出したものや合成品を用いることができるが、ヘマトコッカス藻から抽出されたもの(以下、ヘマトコッカス藻抽出物ともいう)が、品質、生産性の点から入手しやすい。天然物からアスタキサンチンを得る場合の抽出溶媒については、水系溶媒でも有機溶媒であってもよい。有機溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸エチル、エーテル、ヘキサン等を用いることができる。また、超臨界状態の二酸化炭素等を用いることもできる。これらの溶媒は単独で用いてもよいし2種類以上を混合して用いてもよい。
【0020】
本発明に使用できるヘマトコッカス藻抽出物の由来としては、具体的には、ヘマトコッカス・プルビアリス(Haematococcus pluvialis)、ヘマトコッカス・ラキュストリス(Haematococcus lacustris)、ヘマトコッカス・カペンシス(Haematococcus capensis)、ヘマトコッカス・ドロエバゲンシス(Haematococcus droebakensis)、ヘマトコッカス・ジンバビエンシス(Haematococcus zimbabwiensis)等が挙げられる。また、広く市販されているヘマトコッカス藻抽出物を用いることができ、例えば、武田紙器(株)製のASTOTS−S、同−50、同−100等、富士化学工業(株)製のアスタリールオイル50F、同5F等、オリザ油化製のアスタキサンチン−5C、同20C、バイオジェニック社製のAstabio(登録商標)AR1、AR5等が挙げられる。
【0021】
本発明において、成分(a)中におけるアスタキサンチンの含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.01〜50質量%であり、(以下単に「%」で示す)さらに好ましくは0.1〜30%であり、特に好ましくは1〜20%である。
また、固形化粧料中のアスタキサンチンの量は好ましくは0.00000001〜1%であり、より好ましくは0.000001〜0.5%であり、特に好ましくは0.001〜0.1%である。
【0022】
本発明に用いられる成分(b)部分架橋型乳化性シリコーンエラストマーは、オルガノポリシロキサンを架橋結合させて得られる、一部に三次元架橋構造を有し、分子中にポリオキシアルキレン基やポリグリセリン基を含有する重合物である。本発明における部分架橋型乳化性シリコーンエラストマーには、例えば米国特許第5,412,002号、同第5,837,793号及び同第5,811,487号に記載されるものが挙げられる。
【0023】
ポリオキシアルキレン基としては、ポリオキシC2〜8アルキレン基が好ましく、ポリオキシC2〜4アルキレン基がより好ましい。具体的には、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基等が挙げられる。また、オルガノポリシロキサン鎖に残基(分岐鎖)を有するものが好ましい。
【0024】
また、本発明に用いられる成分(b)部分架橋型乳化性シリコーンエラストマーは、分子中にさらにアルキル基を有することが好ましい。上記アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。該アルキル基の炭素数は、好ましくは8〜20であり、より好ましくは10〜16、更に好ましくは10〜14である。具体的には、カプリル基、ラウリル基、ミリスチル基等が挙げられる。
【0025】
また、本発明に用いられる成分(b)部分架橋型乳化性シリコーンエラストマーにおける親水基は、ポリオキシエチレン基であると後述の成分(c)とのなじみが良く、製造しやすい傾向があり好ましい。
ポリオキシエチレンの重合度としては2〜50が好ましく、5〜30が特に好ましい。
【0026】
このような成分(b)部分架橋型乳化性シリコーンエラストマーは、通常の化粧料に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、(ジメチコン/(PEG−10/15))クロスポリマー等の部分架橋型ポリエーテル変性シリコーン、(PEG−15/ラウリルジメチコン)クロスポリマー等の部分架橋型アルキル・ポリエーテル共変性シリコーン、(ジメチコン/ポリグリセリン−3)クロスポリマー等の部分架橋型ポリグリセリン変性シリコーン、(ラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3)クロスポリマー等の部分架橋型アルキル・ポリグリセリン共変性シリコーンが挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。
【0027】
このような成分(b)部分架橋型乳化性シリコーンエラストマーは、混合物の形態で市販されており、部分架橋型ポリエーテル変性シリコーンとジメチルポリシロキサンとの混合物としてKSG−210(固形分20〜30%)、部分架橋型アルキル・ポリエーテル共変性シリコーンと油剤との混合物としてKSG−310(固形分25〜35%)、KSG−320(固形分20〜30%)、KSG−330(固形分15〜25%)及びKSG−340(固形分25〜35%)、部分架橋型ポリグリセリン変性シリコーンとジメチルポリシロキサンの混合物としてKSG−710(固形分20〜30%)、部分架橋型アルキル・ポリグリセリン共変性シリコーンと油剤との混合物として、KSG−810(固形分25〜35%)、KSG−820(固形分20〜30%)、KSG−830(固形分15〜25%)、及びKSG−840(固形分25〜35%)(以上、信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0028】
本発明の固形化粧料に用いられる成分(b)の含有量は、0.1〜5%が好ましく、0.5〜3%がより好ましい。成分(b)がこの範囲であると、べたつきがなく、さらにはメイク前に使用しても化粧崩れをしない化粧料を得ることができる。
【0029】
本発明に用いられる成分(c)IOB値1.80〜3.50の多価アルコールは、特定のIOB値を有する多価アルコールで、本固形化粧料において保湿性を付与するものである。ここで多価アルコールとは分子内にヒドロキシル基を2つ以上有する構造を指す。本発明においては、通常化粧品に使用できるものであればいずれも使用できる。
【0030】
なお、IOB値とは、Inorganic/Organic Balance(無機性/有機性比)の略であって、無機性値の有機性値に対する比率を表す値であり、有機化合物の極性の度合いを示す指標となるものである。IOB値は、具体的には、「IOB値=無機性値/有機性値」として表される。ここで、「無機性値」、「有機性値」のそれぞれについては、例えば、分子中の炭素原子1個について「有機性値」が20、同水酸基1個について「無機性値」が100といったように、各種原子又は官能基に応じた「無機性値」、「有機性値」が設定されており、有機化合物中の全ての原子及び官能基の「無機性値」、「有機性値」を積算することによって、当該有機化合物のIOB値を算出することができる(例えば、藤田著、「化学の領域」第11巻、第10号、第719頁〜第725頁、1957年参照)。
【0031】
このような成分(c)IOB値1.80〜3.50の多価アルコールとしては、特に限定されないが、具体的には、ブチレングリコール(IOB=2.50)、プロピレングリコール(IOB=3.33)、ジプロピレングリコール(IOB=1.83)、ジグリセリン(IOB=3.50)、ポリエチレングリコール200(IOB=2.66)、ポリエチレングリコール300(IOB=2.40)、ポリエチレングリコール400(IOB=2.27)、ポリエチレングリコール1000(IOB=2.03)、ポリエチレングリコール1500(IOB=1.97)、ポリエチレングリコール2000(IOB=1.95)、ポリエチレングリコール20000(IOB=1.88)、ポリエチレングリコール200000(IOB=1.88)等)が挙げられる。
【0032】
本発明の成分(c)は、IOB値1.80〜3.50のものであるが、IOB値1.85〜2.70の範囲がより好ましく、IOB値1.85〜2.45の範囲とすることが特に好ましい。この範囲であればより保湿性に優れた固形化粧料を得ることができる。
【0033】
本発明の成分(c)1.80〜3.50の多価アルコールは、平均分子量が300〜20000であるものがより好ましい。この範囲であれば、よりべたつきがない固形化粧料を得ることができる。
【0034】
本発明の固形化粧料に用いられる成分(c)1.80〜3.50の多価アルコールの含有量は、0.1〜20%が好ましく、1〜15%がさらに好ましい。この範囲であればべたつきがなく、保湿性に優れた固形化粧料が得られる。
【0035】
本発明の固形化粧料は、常温(25℃)で流動性を有さず一定の形状を保持する化粧料であり、固形組成物及びゲル組成物が含まれる。剤型としては特に限定されず、油性型、粉末型、油中水型、水中油型等の何れでも良い。その製品形態としては、例えば、クリーム、美容液、日焼け止め、アイスティック、クレンジング、コロン等の基礎化粧料、口紅、リップクリーム、リップグロス、チーク、アイライナー、アイカラー、アイブロウ等のメイクアップ化粧料、ヘアスティック、ヘアワックス、ヘアカラー等の頭髪化粧料、等が挙げられ、その形状としては容器充填、棒状(スティック状)、ケーキ状、皿流し込み型等が挙げられる。
【0036】
中でも本発明の固形化粧料においては、携帯性に優れ、簡便に使用できるという観点からは棒状(スティック状)であることが好ましい。また、アスタキサンチンを高濃度、かつ安定に配合できるという観点からは水分量は30%以下が好ましく、5%以下がより好ましく1%以下が特に好ましい。このような剤型としては油中水型や油性型が好ましく、油性型が特に好ましい。
【0037】
本発明の固形化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記成分の他に通常化粧料に配合する成分を加えることができる。このような成分としては、例えば油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、保湿剤、皮膜形成剤、粉体成分、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料等を挙げることができる。
【0038】
本発明においては固形としての形態を維持するために固形油をさらに加えることが好ましい。固形油としては炭化水素系固形油、エステル系固形油、高級アルコール系固形油、シリコーン系固形油等が使用できる。例えばパラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素系固形油、水添ホホバ油、ミツロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、エイコセン/ビニルピロリドン)コポリマー、α−オレフィン・ビニルピロリドン共重合体、トリベヘン酸グリセリル等のエステル系固形油、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール系固形油、(アクリレーツ/アクリル酸ベヘニル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)等のシリコーン系固形油が挙げられる。
【0039】
高温での形状保持の観点からは固形油の融点が70℃以上であることが好ましく、90℃以上であることが特に好ましい。配合量も特に制限されないが1〜20%が好ましく、3〜15%が特に好ましい。
【0040】
本固形化粧料においては寒天、ゼラチン、カラギーナン、ジェランガム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、スクレロチウムガム等のように水と硬いゲルを形成するゲル化剤を配合して固形化粧料としての形態を維持しても良い。
【0041】
本発明の固形化粧料の製造方法は、特に限定されないが、例えば、液状油の一部に成分(a)、(b)を分散し、そこに成分(c)に添加し、分散したのち、固形油等のゲル化剤を加えることにより得ることができる。
【実施例】
【0042】
次に実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれによってなんら限定されるものではない。
【0043】
本発明品1〜7および比較品1〜5:固形スティック状化粧料
下記表1に示す組成の固形化粧料を下記製造方法により調製し、「べたつきのなさ」「アスタキサンチンの定着度」「塗布部位のテカリ」「塗布部位の化粧崩れのなさ」の各項目について以下に示す評価方法により評価・判定し、これらの結果を合わせて表1に示した。なお、成分(b)を配合しない比較品3は成分(c)を均一に分散できなかったため、評価の対象外とした。
【0044】
(製造方法)
A:成分(2)〜(6)を70℃に加温し、均一に混合した。
B:成分(1)、(7)〜(14)を100℃に加温し、均一に分散した。
C:BにAを徐々に加え分散した。
D:成分(15)〜(19)を90℃まで加熱し、均一に溶解した。
E:DにCを均一に分散後、充填、冷却し、固形スティック状化粧料を得た。
【0045】
【表1】
【0046】
評価方法1:「べたつきのなさ」
専門評価者20名にをパネルとし、本発明品1〜7および比較品1〜5の固形スティック状化粧料を頬の一部に使用してもらい、塗布後の「べたつきのなさ」について、官能評価を行い、以下の基準で評価した。
【0047】
「べたつきのなさ」
5段階絶対評価
(評点):(評価)
5点:全くべたつきを感じない。
4点:ほとんどべたつきを感じない。
3点:わずかにべたつきを感じる
2点:べたつきを感じる。
1点:非常にべたつきを感じる。
【0048】
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎:4点を超える(非常に良好)
○:3点を超え、4点以下(良好)
△:2点を超え、3点以下(やや不良)
×:2点以下(不良)
【0049】
評価方法2:「アスタキサンチンの定着度」
人工皮革を用いて、本発明品1〜7および比較品1〜5の固形スティック状化粧料の「アスタキサンチンの定着度」について、以下の方法で評価を行った。
【0050】
固形スティック状化粧料を合成皮革(小松精練社製)に1.5mg/cm2になるように塗布し、初期のサンプル重量を測定した。同様の合成皮革を上からかぶせ、その上に板を乗せ、0.2kg/cm2となるように一定に圧力をかけた後、合成皮革を剥がし、化粧料の残量を測定した。化粧料の初期重量に対する残量の割合を求め、以下の4段階判定基準に従い判定を行った。
【0051】
4段階判定基準
(判定):(初期重量に対する残量の割合)
◎:70%以上(非常に良好)
○:60%を超え、70%未満(良好)
△:50%を超え、60%未満(やや不良)
×:50%未満(不良)
【0052】
評価方法3:塗布部位のテカリ、塗布部位の化粧崩れ
専門評価者20名にをパネルとし、本発明品1〜7および比較品1〜5の固形スティック状化粧料を右頬の一部に使用後、メイクをしてもらい、左右対称な左頬の一部と比較した「塗布部位のテカリ」について、官能評価を行い、以下の基準で評価した。また、その後室温25℃、湿度50%の環境試験室中で5時間過ごしてもらい、その時点での「塗布部位の化粧崩れ」について官能評価を行い、以下の基準で評価した。
【0053】
4段階絶対評価
(評点):(評価)
4点:左右での差が全くない。
3点:左右での差がほとんどない。
2点:左右の差がある。
1点:右側は化粧膜として許容外
【0054】
4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎:3.5点を超える(非常に良好)
○:2.5点を超え、3.5点以下(良好)
△:2点を超え、2.5点以下(やや不良)
×:2点以下(不良)
【0055】
本発明品1〜7の固形化粧料は、いずれの評価も優れていた。
これに対して、成分(c)のない比較品1ではべたつき、アスタキサンチンの定着度に劣っていた。成分(c)の代わりにIOB値が範囲外である多価アルコールを含有した比較品2では、べたつき、塗布部位のテカリの評価が低かった。
成分(b)の代わりに、非乳化性の部分架橋型シリコンエラストマーを配合した比較品3は上述のように均一な化粧料を得ることができず、、非架橋型のポリエーテル変性シリコーンを含有した比較品4では、アスタキサンチンの定着度に劣っていた。成分(b)、(c)を含まない比較例5はいずれの評価も劣っていた。
これらの結果から、本発明において成分(b)及び成分(c)が必須であることがわかった。
【0056】
連用試験:上記固形スティック状化粧料のうち、発明品1と比較品5について、35〜55歳の健常人20名を被験者とし、二重盲験法により、半顔に発明品1、もう一方に比較品1を1日2回塗布し、連用4週間前後に評価を行った。
【0057】
評価:水分量向上
全顔を洗顔料で洗い流し、湿度55%室温20度の部屋で20分馴化し、水分量をSKICON−200EX(株式会社ヤヨイ製)を用いて、頬の固形化粧料使用予定部位を左右それぞれ5回ずつ測定した。その後、片方の頬に本発明品1を、もう一方の頬に比較品1を、1日2回(朝、夜)使用してもらった。4週間後、前回測定時と同様の方法で馴化し、両頬の固形化粧料使用部位の水分量を左右それぞれ5回ずつ測定した。初期水分量の平均値に対する4週間使用後の水分量平均値の割合を求めた。
【0058】
評価:シミ改善、シワ改善
被験者に、連用4週間後の左右の肌状態(シミ、シワ)について、試験開始前と比較して、どのように変化したかを回答してもらった。各項目について5段階評価(5:良くなった、4:やや良くなった、3:変わらない、2:やや悪くなった、1:悪くなった)をしてもらい、全体の被験者の中から5、4のいずれかを回答した被験者を、「塗布サンプルが有効と実感した群」として、割合を算出した。
結果を表2に示す。
【0059】
【表2】
【0060】
また、本発明品1の固形化粧料は、4週間連用することにより、皮膚の水分量向上が非常に高く、使用部位のシミ、シワに対して高い効果があった。成分(b)、(c)を含有しない比較品5では、水分量向上が劣り、使用部位のシミ、シワが改善したと感じる割合が低かった。
【0061】
実施品8:目元用クリーム(油中水性固形)
(成分) (%)
1.KSG−210 ※3 5%
2.KSG−16 ※5 10%
3.ジメチルポリシロキサン(6CS) 10%
4.2−エチルヘキサン酸セチル 3%
5.アスタキサンチン ※1 0.0005%
6.精製水 残量
7.ジプロピレングリコール 10%
8.ポリエチレングリコール1500 5%
9.ローズマリーエキス 0.1%
10.ヒアルロン酸ナトリウム 0.1%
11.加水分解コラーゲン 0.01%
【0062】
(製造方法)
A:成分1〜5を均一に分散する。
B:成分6〜11を均一に混合する。
C:AにBを加え均一に混合した後、器に充填し、目元用リームを得た。
【0063】
実施品8のクリームは、べたつきがなく、塗布部位の化粧崩れのなさに優れるものであった。
【0064】
実施品9:クリーム(水中油性固形)
(成分)(%)
1.モノステアリン酸グリセリル 2.5%
2.モノステアリン酸ポリオキシエチレングリコール 2.0%
3.流動パラフィン 15%
4.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 13%
5.ワセリン 8.0%
6.メチルポリシロキサン 2.0%
7.KSG−310 ※2 1.0%
8.セトステアリルアルコール 2.5%
9.ベヘニルアルコール 2.5%
10.シア脂 1.0%
11.防腐剤 適量
12.香料 適量
13. アスタキサンチン ※1 0.0003%
14.精製水 残量
15.1,3−ブチレングリコール 2.5%
16.ジプロピレングリコール 2.5%
17.ポリエチレングリコール20000 5.0%
18.アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10−30)クロスポリマー
0.15%
19.水酸化ナトリウム 0.04%
20.ショウガ根エキス 0.1%
21.シャクヤク根エキス 0.1%
【0065】
(製造方法)
A:成分14の一部及び成分18を70℃に加熱し、均一に混合する。
B:成分1〜13を70℃に加熱し混合する。
C:成分14〜17、19〜21を70℃に加熱し混合する。
D:BにCを加えて均一に撹拌混合し、乳化する。
E:DにAを加えて混合し、冷却後、ジャー容器に充填し、クリームを得た。
【0066】
実施品9のクリームは、べたつきのなさ、塗布部位の化粧崩れのなさ、保湿性及びアスタキサンチンの定着性のいずれの項目においても優れるものであった。
【0067】
実施品10:コンシーラー(油性型)
1.マイクロクリスタリンワックス 2.0%
2.ポリエチレンワックス 2.0%
3.キャンデリラロウ 3.0%
4.ラウロイルグルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)
5.0%
5.トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2 10%
6.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 8.0%
7.2−エチルヘキサン酸セチル 残量
8.パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 3.0%
9.メチルフェニルポリシロキサン 5.0%
10.KSG−810 ※2 2.0%
11.流動パラフィン 3.0%
12.アスタキサンチン ※1 0.00005%
13.テトラヘキシルデカン酸アスコルビル 0.1%
14.マンゴー種子油 0.1%
15.ジプロピレングリコール 1.5%
16.ポリエチレングリコール20000 0.5%
17.雲母チタン ※6 2.0%
18. 酸化チタン ※7 8.0%
19. 球状粉体 ※8 5.0%
20.タルク 5.0%
21.シリカ 5.0%
22.ベンガラ 1.0%
23.黄酸化鉄 2.5%
24.黒酸化鉄 0.5%
※6 チミロンスーパーシーン MP-1001(メルク社製)
※7 TIPAQUE CE-50(石原産業社製)
※8 サンスフェア NP-100(旭硝子社製)
【0068】
(製造方法)
A:成分10を11に分散する。
B:A及び成分1〜9を100℃に加熱し均一に混合する。
C:Bに成分17〜24を加え、混合する。
D:Cに成分12〜16加え、均一に混合する。
E:Dを冷却し、スティック容器に充填し冷却固化し、コンシーラーを得た。
【0069】
実施品10のコンシーラーは、べたつきのなさ、塗布部位のテカリ、化粧崩れのなさ、保湿性において優れるものであった。