(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態である車両用灯具について図面を参照しながら説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴を分かり易くするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0015】
本実施形態では、ハイビーム用配光パターンを形成するように構成されたリフレクタ型の車両用灯具を例示する。本実施形態の車両用灯具は、例えば、通常のハイビームの高照度帯に追加で点灯することにより、遠方視認性を向上させるために用いられる。
【0016】
図1は本実施形態の車両用灯具100の構成を示す斜視図である。
図2(a)は車両用灯具100を上方から視た平面図であり、
図2(b)は車両用灯具100を示す側面図であり、
図2(c)は車両用灯具100の構成を示す正面図である。
【0017】
本実施形態で説明に用いる図面では、3次元直交座標系としてXYZ座標系を用いる場合がある。以下、XYZ座標系において、Z軸方向とは車両用灯具100の光軸と平行な方向であり、X軸方向は車両用灯具100を搭載する車両の左右方向と平行な方向であり、Y軸方向とはZ軸方向及びX軸方向とそれぞれ直交する方向である。また、Z軸方向を車両前後方向、X軸方向を車両左右方向、Y軸方向を車両上下方向、+Z側を車両前方側、−Z側を車両後方側、+Y側を単に上方側、−Y側を下方側と称す場合もある。
【0018】
図1、2に示すように、本実施形態の車両用灯具100は、光源装置10と、リフレクタ15と、遮光部材19と、ヒートシンク(放熱部材)20と、送風ファン30と、ダクト40(
図5参照)と、光検出装置50と、制御装置60とを備えている。なお、制御装置60は、例えば、ECU等の制御回路から構成され、車両用灯具100の各構成要素(例えば、光源装置10、光検出装置50)を後述のように制御する。
【0019】
図3は光源装置10の概略構成を示した断面図である。
図3に示すように、光源装置10は、レーザー光を射出する半導体レーザー(レーザー光源部)10aと、半導体レーザー10aからのレーザー光Lの少なくとも一部を吸収して波長変換する波長変換部材10bと、レーザー光Lを波長変換部材10bに集光させる集光レンズ10cとを含む。なお、本実施形態においては、波長変換部材10bと集光レンズ10cとを近づけて配置することで光源装置10の小型化を図っている。そのため、集光レンズ10cとして焦点距離の短いものを採用している。
【0020】
半導体レーザー10aは、例えば、レーザー光を射出する半導体レーザー素子を含む。半導体レーザー素子としては、例えば、発光波長が青系(450nm程度)のレーザーダイオード等を用いることができる。なお、半導体レーザー素子の発光波長は、青系(450nm程度)に限定されない。
【0021】
波長変換部材10bは、例えば、蛍光体層を含む。蛍光体層は、例えば、セリウムCe等の付活剤が導入されたYAGとアルミナAl
2O
3との複合体(焼結体)から構成される。
【0022】
半導体レーザー10aから射出されたレーザー光Lの一部は波長変換部材10bに吸収されることで黄色の蛍光YLに変換される。半導体レーザー10aから射出されたレーザー光Lの残りは波長変換部材10bを透過し、青色光BLとして射出される。波長変換部材10bは青色光BLを透過させる際、拡散させる。拡散された青色光BLは蛍光YLと合成されることで白色の光WLを生成する。波長変換部材10bの上面は白色の光WLを射出する光射出部9を構成する。
【0023】
光源装置10は半導体レーザー10aを用いるため、発光ダイオードを用いた光源に比べて発熱によって高温となる。そのため、光源装置10の熱を効率的に低減させる必要がある。本実施形態の光源装置10は、後述するヒートシンク20により光源装置10で発生した熱を放熱することで半導体レーザー10aの熱を低減させるようにしている。
【0024】
光源装置10から射出された白色の光WLは、リフレクタ15に入射する。リフレクタ15は光源装置10からの光WLを車両前方側に向けて反射する。リフレクタ15から射出された光WLは前方に照射され、仮想鉛直スクリーン上に基本配光パターン(ハイビーム用配光パターン)を形成する。
【0025】
図4は車両用灯具100の分解斜視図である。
図4に示すように、光源装置10は取付プレート(取付部材)11を介してヒートシンク20に取り付けられている。取付プレート11は、2つのネジ部材12により光源装置10とともにヒートシンク20に固定される。
【0026】
取付プレート11は、平面形状が矩形の板状部材からなる。取付プレート11は、中央に設けられた貫通孔11aと、両端に設けられた貫通孔11bとを有する。貫通孔11aは、光源装置10を挿通させるものである。貫通孔11bは、上記ネジ部材12を挿通させるものである。
【0027】
本実施形態において、矩形状の平面形状を有する取付プレート11は、その長辺方向を車両左右方向(Y軸方向)に向けるようにヒートシンク20に取り付けられる。
【0028】
リフレクタ15は、ネジ部材16によりヒートシンク20に取り付けられている。送風ファン30は、ネジ部材31によりヒートシンク20に取り付けられている。送風ファン30は、ヒートシンク20に対して送風することでヒートシンク20の冷却性能を向上させるためのものである。送風ファン30は、例えば、軸流型のファンから構成される。送風ファン30は、制御装置60と電気的に接続され、その駆動が制御される。
【0029】
図5は車両用灯具100を車両後方側から視た図である。なお、
図5では送風ファン30の図示を省略している。
図5に示すように、車両用灯具100は、送風ファン30によって生じた風(送風)が流れるダクト40を備えている。ダクト40は、光源装置10と送風ファン30との間に設けられ、送風ファン30による風を車両後方側から車両前方側に向かって供給する。
【0030】
ダクト40における送風ファン30との接続部の外形は、送風ファン30の外形と同じ或いはそれ以上の大きさとするのが望ましい。ダクト40における送風ファン30との接続部とは
図5の領域Sで示される部分である。本実施形態では、接続部40aの外形を送風ファン30の外形とほぼ同じ大きさとしている。
【0031】
この構成によれば、送風ファン30により発生させた風のほぼ全てをダクト40内に取り込むことができるので、送風ファン30で発生させた風を無駄なく利用できる。
【0032】
本実施形態のダクト40は後述の通風口41(
図4参照)を有している。通風口41は、ダクト40内を流れる風の一部を後述のように上方空間(リフレクタ15の内側の空間)へと導くためのものである。通風口41は、ダクト40の車両左右方向において、光源装置10が配置される中央部分に位置している。
【0033】
本実施形態において、ヒートシンク20の一部はダクト40の構成部品を兼ねている。
つまり、本実施形態のダクト40は、ヒートシンク20の一部で構成されている。なお、ダクト40の詳細については後述する。
【0034】
図4に戻り、ヒートシンク20は、第1部材21と、第2部材25とを含む。第1部材21及び第2部材25は、例えば、アルミニウム等の放熱性の高い金属材料から構成されている。本実施形態のヒートシンク20は、複数の部材(第1部材21及び第2部材25)を用いることで上述のようにダクト40(
図5参照)を兼ねた複雑な形状を実現している。
【0035】
第1部材21及び第2部材25はネジ部材26により互いが固定される。第1部材21と第2部材25との間には熱伝導部材7が配置されている。熱伝導部材7は、例えば、グリス等から構成され、第1部材21と第2部材25との接触面積を大きくすることで両者の間の熱抵抗を低減する。これにより、光源装置10の熱は、第1部材21を介して第2部材25側に良好に伝達されるようになっている。すなわち、光源装置10の熱は、ヒートシンク20の全体に良好に伝達されるようになっている。
【0036】
図6(a)は
図2(c)のA−A線矢視による断面図であり、
図6(b)は
図2(c)のB−B線矢視による断面図である。
図4及び
図6(a)に示すように、第1部材21は、一対の側板部21aと、天板部21bと、光源装置10を保持する光源保持部分22と、光検出装置50を保持する検出装置保持部分23と、上記通風口41と、複数のフィン24と、を有する。
【0037】
車両左右方向において互いが平行に配置された一対の側板部21aは天板部21bを介して連結されている。一対の側板部21a及び天板部21bは上記ダクト40の構成部材である。
【0038】
光源保持部分22は、車両後方側において、一対の側板部21a及び天板部21bに接続される(
図4及び
図6(b)参照)。光源保持部分22における天板部21bとの接続部分に上記通風口41が位置する。
【0039】
検出装置保持部分23は、一対の側板部21aに挟持されており、下端部側において天板部21bと接続される。検出装置保持部分23における天板部21bとの接続部分に上記通風口41が位置する。
【0040】
本実施形態において、光検出装置50は検出装置保持部分23にネジ部材51により固定される。検出装置保持部分23は、ネジ部材51を取り付けるためのネジ穴部23aを有する。
【0041】
図6(a)、(b)に示すように、光源保持部分22は、水平面(XY平面)に対して所定角度だけ傾いており、光源装置10を水平面に対して車両後方側に所定角度だけ傾斜させた状態に保持することが可能である。検出装置保持部分23は、光源保持部分22に対して上方に配置され、下端部側に対して上端部側を車両後方側(−X方向側)に所定角度だけ傾けた形状を有する。
【0042】
このようにして、検出装置保持部分23上に保持された光検出装置50は、光源保持部分22上に保持された光源装置10から射出された光のうち所定角度の成分を良好に検出可能である。
【0043】
図4に示したように、複数のフィン24は、光源装置10で発生した熱を効率的に放出するための放熱フィンである。複数のフィン24は車両前後方向に沿って延びる板状の部材からなり、車両左右方向において一対の側板部21aと平行に配置される(
図5参照)。複数のフィン24の一部は、天板部21bと検出装置保持部分23とを連結する。
【0044】
光源保持部分22は、取付プレート11を固定する上記ネジ部材12を取り付けるためのネジ穴部22aと、光源装置10を保持するための凹部22bと、リフレクタ15を固定する上記ネジ部材16を取り付けるためのネジ穴部22cとを有している。
【0045】
光源装置10とヒートシンク20との間には熱伝導グリス13が配置されている。熱伝導グリス13は、光源装置10とヒートシンク20とを接触面積を大きくすることで両者の間の熱抵抗を低減する。これにより、光源装置10の熱がヒートシンク20側に良好に伝達される。
【0046】
図7は光源保持部分22における要部拡大断面図である。
図8は光源保持部分22の要部における平面図である。
図9は
図8のC−C線矢視による断面図である。
図10は
図8のD−D線矢視による断面図である。
【0047】
図4に示したように、光源保持部分22において、凹部22bは、上方(光源装置10の出射方向側)に開口するように形成され、熱伝導グリス13を介して光源装置10を保持する。つまり、
図7に示すように、熱伝導グリス13は光源保持部分22(ヒートシンク20)と光源装置10の底面10dとの間に配置される。
【0048】
図8に示すように、凹部22bは、平面形状が円形からなる。凹部22bの内径は、光源装置10の外径よりも大きい。凹部22bの内壁面には、光源装置10の位置決めに用いられる位置決め用凸部75が設けられている。
【0049】
本実施形態において、位置決め用凸部75は3つ設けられる。各位置決め用凸部75は、凹部22bの内周面の周方向において異なる位置に配置される。これにより、光源装置10は、外周面に3つの位置決め用凸部75が当接することで凹部22b内における位置決めがされる。よって、光源装置10は、凹部22b内に良好に位置決めされた状態で配置される。
【0050】
本実施形態の光源装置10において、下端部71の外径は上端部72の外径より大きくなっている。上端部72の外径は、取付プレート11に形成された貫通孔11aを挿通可能なサイズに設定される。本実施形態において、上端部72の外径は、貫通孔11aの内径と同等に設定される。
【0051】
一方、下端部71の外形は、貫通孔11aの内径よりも大きい。そのため、光源装置10において、上端部72は貫通孔11aを挿通するが、下端部71は貫通孔11aを挿通できない。つまり、取付プレート11は下端部71に当接する。
したがって、取付プレート11は光源保持部分22にネジ止め固定されることで、光源装置10の下端部71を凹部22bに良好に保持するとともに、凹部22bを閉塞する。
【0052】
図8に示すように、光源保持部分22は、溝35、36と、段差部37、38とを有する。溝35、36は、凹部22bの底面22b1における光源装置10の保持領域110の外側に配置される。溝35、36は、底面22b1に対して下方に窪んでいる(
図9参照)。
【0053】
溝35,36は、車両左右方向(X方向)において互いが対向するように、凹部22bの底面22b1に形成される。なお、保持領域110とは、光源装置10の下部と同等の径を有する円形状の領域である。
【0054】
段差部37、38は、車両前後方向(Z方向)において互いが対向するように底面22b1に形成される。段差部37、38は、凹部22bの底面22b1に対して上方に突出しており、底面22b1に対して段差を生じさせる。
【0055】
段差部37、38は、上記保持領域110に一部が重なるように配置される。段差部37、38は、光源装置10の下面5に当接することで下面5と底面22b1との間に所定の隙間Eを生じさせる(
図10参照)。
【0056】
本実施形態において、段差部37、38は、上記隙間Eの平面形状をスリット状とするように形成される。具体的に、段差部37、38は、
図8に示すように、隙間Eの長辺方向をなす内壁面37a、38aを車両左右方向(X軸方向)に向けるように形成される。また、本実施形態において、溝35、36は、スリット状に延びる隙間Eの両端にそれぞれ配置される。
【0057】
上記隙間Eは熱伝導グリス13の保持空間を構成する。本実施形態において、光源装置10と底面22b1とで挟まれた熱伝導グリス13(余剰グリス)は、スリット状の隙間Eを構成する段差部37、38の内壁面37a、38aに沿って、保持領域110の外側に排出されて溝35、36に収容される。
【0058】
このように本実施形態によれば、余剰分の熱伝導グリス13を溝35、36に収容することで、所定の厚さの熱伝導グリス13を光源装置10の下面5と凹部22bの底面22b1との間に配置することができる(
図7参照)。
【0059】
よって、最適な厚さに調整された熱伝導グリス13により良好な熱伝導性が発揮されるので、光源装置10の熱をヒートシンク20側(第1部材21側)に効率良く伝達することができる。
【0060】
また、本実施形態において、溝35、36は保持領域110の外側に位置するため、光源装置10と底面22b1との間に均一な膜厚で熱伝導グリス13が配置される領域を大きく確保することができる。よって、光源装置10の熱を底面22b1に効率良く伝達することができる。
【0061】
本実施形態において、位置決め用凸部75の一つは、
図10に示すように段差部37と一体に形成されている。これにより、位置決め用凸部75のうち光源装置10が配置されないスペースを有効利用することができる。なお、残り二つの位置決め用凸部75のうちの一方を段差部38と一体に形成するようにしても良い。
【0062】
本実施形態において、凹部22bの底面22b1には、貫通孔55が形成されている(
図8,9,10参照)。
図7に示すように、貫通孔55は、光源装置10の底面10dから延びるリード線(配線)6を挿通させるためのものである。貫通孔55には絶縁部材56が配置されている。絶縁部材56は、リード線6と金属からなる光源保持部分22(ヒートシンク20)との電気的な接続を防止する。なお、絶縁部材56は、例えば、貫通孔55に嵌合されることでガタツキを生じることなく強固に取り付けられている。
【0063】
絶縁部材56には貫通孔56aが設けられており、該貫通孔56a内にリード線6が挿通されている。貫通孔56aの内径はリード線6の外径よりも大きいため、光源装置10を凹部22bに配置する際、リード線6を貫通孔56a内に容易に挿通させることができる。
【0064】
貫通孔56aを介して凹部22bの下方に引き出されたリード線6は、光源制御用回路基板(回路基板)61に電気的に接続される(
図4、
図7参照)。リード線6は、例えば、光源制御用回路基板61の端子部に対して半田で固定される。
【0065】
本実施形態において、光源制御用回路基板61は、
図4に示したように、光源保持部分22の下面にネジ部材62により当接した状態で固定される。そのため、光源保持部分22の下面のうち光源制御用回路基板61が配置される部分には、複数のフィン24が形成されない。
【0066】
光源制御用回路基板61は、光源装置10に対して電力及び駆動信号を供給する。なお、光源制御用回路基板61には不図示のサーミスタが実装されており、光源装置10(半導体レーザー10a)の温度が計測可能である。光源制御用回路基板61は、制御装置60と電気的に接続される。制御装置60は、光源制御用回路基板61を介して光源装置10の駆動を制御する。
【0067】
ところで、熱伝導グリス13が乾燥すると、例えば車両の振動等によって灯具内で異物として飛散するおそれがある。熱伝導グリス13が異物としてリフレクタ15の反射面15aに付着すると、反射率が低下して射出される光の強度が低下し、灯具として所望の性能が得られなくなるおそれがある。
【0068】
本実施形態では、余剰分の熱伝導グリス13を保持する溝35、36が設けられた凹部22bを取付プレート11により閉塞している。これにより、凹部22bの上方からの熱伝導グリス13の飛散を防止することができる。
【0069】
また、本実施形態において、取付プレート11は、その長辺方向を車両左右方向(X軸方向)に向けるようにヒートシンク20に固定される。そのため、長辺方向を車両前後方向に向けるようにヒートシンク20に固定される場合に比べて、光源保持部分22、つまりヒートシンク20の車両前後方向のサイズを小さくすることができる。したがって、奥行方向(車両用前後方向)において車両用灯具100を薄型化することができる。
【0070】
また、本実施形態において、凹部22bは、光源装置10から延びるリード線6を底面22b1に挿通させる構造を採用する。そのため、凹部22bの底面22b1に形成された貫通孔55あるいは該貫通孔55に嵌合された絶縁部材56の貫通孔56aを介して、熱伝導グリス13が下方に漏れ出すおそれもある。
【0071】
これに対し、本実施形態では、光源制御用回路基板61を凹部22bの下面に当接させることで、上記貫通孔55及び貫通孔56aを閉塞している。これにより、凹部22bの下方から熱伝導グリス13が飛散することを防止できる。
【0072】
図4に戻り、ヒートシンク20を構成する第2部材25は、底板部27と、一対の側板部28と、連結部29とを有する。底板部27及び一対の側板部28は、第1部材21とともに上記ダクト40を形成する。連結部29は、一対の側板部28の車両前方側の端部28aに連結される。連結部29は、上述した熱伝導部材7を介して第1部材21の光源保持部分22の下面と接続される。連結部29には、ネジ部材26を挿通させるための貫通孔29aが形成されている。
【0073】
連結部29の下面には複数のフィン34が形成されている。複数のフィン34は光源装置10で発生した熱を効率的に放出するための放熱フィンである。複数のフィン34は車両前後方向に沿って延びる板状の部材であり、車両左右方向において一対の側板部28と平行に配置される。
【0074】
なお、本実施形態において、連結部29は凹部29cを有する。凹部29cは、第1部材21(光源保持部分22)に取り付けられた光源制御用回路基板61との干渉をさけるためのものである。上記複数のフィン34は凹部29cの下面にも形成されている。
【0075】
本実施形態のヒートシンク20では、第1部材21の下面に光源制御用回路基板61を配置する都合上、第1部材21の下面にフィン24を形成できないものの、連結部29の下面側に上記フィン34を設けることで光源装置10の下方における冷却性能を向上させている。
【0076】
また、本実施例の光源保持部分22において、送風ファン30側の端部から光源装置10の直下近傍に至るまでの位置には、傾斜部70が形成されている。この傾斜部70は、送風ファン30側の端部から光源装置10の直下近傍に至るまで、緩やかに下方に傾斜した形状を成している。また、この傾斜部70はX軸方向における光源装置10の幅と略同一の幅にて形成されており、光源装置10の存在しない位置(
図6(b)のB−B断面図参照)には設けられていない。この傾斜部70がもたらす効果については後述する。
【0077】
続いて、ダクト40の構成について説明する。
図6(a)、(b)に示したように、ダクト40の内面の一部(上面部)を構成する天板部21bは、光源装置10側から送風ファン30側に向かって斜め上方に延びる。一方、ダクト40の内面の一部(下面部)を構成する底板部27は、光源装置10側から送風ファン30側に向かって水平面となっている。
【0078】
本実施形態のダクト40は、リフレクタ15側(光源装置10の上方側)に向かって流路Rが拡大したテーパー状となっている。そのため、ダクト40はリフレクタ15の車両後方側に生じるスペースに設置可能となり、装置構成の上下方向のサイズが大型化するのを抑制できる。
【0079】
本実施形態においては、ダクト40内に複数のフィン24が配置される。そのため、ダクト40内には、フィン24、天板部21b及び底板部27により区画された複数の流路Rが形成されている(
図5参照)。
本実施形態において、フィン24は流路Rを構成しているため、該流路R内を流れる空気によって第1部材21の熱を効率良く放出することができる。
【0080】
ダクト40は、光源装置10側における流路Rの高さ(Z軸方向の高さ)が送風ファン30側における流路Rの高さ(Z軸方向の高さ)よりも小さくなっている。つまり、ダクト40は、光源装置10側における流路Rの断面積が送風ファン30側における流路Rの断面積よりも小さくなっている。また、光源保持部分22に設けられた傾斜部70も同様に、ダクト40が光源装置10側における流路Rの高さ(Z軸方向の高さ)が送風ファン30側における流路Rの高さ(Z軸方向の高さ)よりも小さくなるように形成されている。
【0081】
本実施形態において、流路Rはテーパー形状となっており、該流路Rの断面積が徐々に変化している。この構成によれば、流路Rの断面積を緩やかに変化させることによって、ダクト40内における圧損を減らし、空気をスムーズに流すことができる。
【0082】
ダクト40の流路R内に送り込まれた空気の流れは、天板部21bに沿って光源装置10側に向かう斜め下方の流れと、底板部27に沿って光源装置10側に向かう流れとを含む(
図6(a)、(b)参照)。
本実施形態において、光源装置10側へ向かって流路Rの断面積が小さくなるため、ダクト40内を流れる空気の流量が略一定であれば、流路R内の空気の流れは、光源装置10側に近づくにつれて風速が早くなる。また、ダクト40内を流れる空気は通風口41を介してリフレクタ15内(光源装置10の上方)に流れ込んで光源装置10の近傍を通過する(
図6(b)参照)。
【0083】
したがって、本実施形態の車両用灯具100によれば、ダクト40内を流れる空気の風速が光源装置10側に近づくにつれて早くなるため、ダクト40の出口である光源装置10の下方に風速の高い空気を供給することができる。光源装置10の下方には複数のフィン34が配置されるため、複数のフィン34を介して第2部材25の熱が効率良く放出される。第2部材25は、光源装置10を保持する第1部材21と熱的に接続されるため、光源装置10で発生した熱を効率良く放出することができる。よって、ヒートシンク20は、光源装置10で発生した熱を効率良く放熱することができる。
【0084】
また、通風口41によりリフレクタ15内に流れ込んだ空気が光源装置10を直接冷却するので、ヒートシンク20とともに光源装置10で発生した熱を効率的に低減させることができる。
【0085】
図11はリフレクタ15の周辺の要部構成を示す断面図である。
図11に示すように、リフレクタ15は光源装置10からの光を車両前方に向けて反射する反射面15aを有する。反射面15aは、光源装置10からの光を反射し、車両前面に正対した仮想鉛直スクリーン上にハイビーム用配光パターンを形成するように構成された反射面である。
本実施形態において、反射面15aは光源装置10からの光を光軸AXに平行な平行光として反射させる。
本実施形態において、光軸AXに平行なX軸方向がリフレクタ15による反射光(平行光)の光射出方向となる。
【0086】
ところで、光源装置10において、波長変換部材10bが例えば脱落又は欠損した状態となる場合もあり得る。この場合、光源装置10からレーザー光が直接リフレクタ15に入射し、外部に射出されるおそれがある。
【0087】
これに対し、本実施形態のリフレクタ15は、反射面15aのうち、上述のように光源装置10からのレーザー光が直接入射する部分に貫通孔Hが形成されている。なお、貫通孔Hの大きさは、波長変換部材10bが脱落(又は欠損)した状態の光源装置10から射出されるレーザー光の広がり角、波長変換部材10bからリフレクタ15までの距離、リフレクタ15や光源装置10の取り付け公差などによって適宜決定される。
【0088】
この構成によれば、光源装置10において波長変換部材10bが脱落(又は欠損)した場合、波長変換部材10bが脱落(又は欠損)した状態の光源装置10から放出されるレーザー光が反射面15aに形成された貫通孔Hを通過するようになる。よって、波長変換部材10bが脱落(又は欠損)した状態の光源装置10から放出されたレーザー光が反射面15aで反射されることで外部に射出されるのを抑制できる。
本実施形態では、反射面15aの外側に、貫通孔Hを通過するレーザー光を遮る黒金属製の遮蔽部材17が配置されている。
【0089】
本実施形態の車両用灯具100は、光源装置10から車両前方側に射出され、リフレクタ15に入射しない光を遮光するための遮光部材19を有している。ここで、車両前方側に射出されてリフレクタ15に入射しない光は、車両前方側に位置する人の眼に直接入射するおそれがある。つまり、遮光部材19は、光源装置10の光射出部9を車両前方側から直接視認されないようにするための機能を有した部材である。
【0090】
本実施形態において、遮光部材19はリフレクタ15と一体に形成されている。遮光部材19は、上方遮光部材19aと下方遮光部材19bとを含む。
【0091】
上方遮光部材19aは、リフレクタ15の反射面15aの車両前方側の端部に設けられる。上方遮光部材19aは、光源装置10の光射出部9から射出されて反射面15aに入射しない光(
図11の符号L1で示す光)を遮る位置、かつ、反射面15aからの反射光を遮らない位置に配置されている。
【0092】
下方遮光部材19bは、上方遮光部材19aよりも下方かつ車両後方側であって、光源装置10の近傍に配置される。下方遮光部材19bは、光源装置10の光射出部9から射出されて反射面15aに入射しない光(
図11の符号L2で示す光)を遮る位置、かつ、反射面15aからの反射光を遮らない位置に配置されている。
【0093】
光検出装置50は、リフレクタ15の車両後方側に配置された光検出部52を含む。光検出部52は、リフレクタ15に設けられた開口(第1の開口)15bを介して光源装置10から射出された光の一部を検出する。開口15bはリフレクタ15における光検出部52と対向する位置に形成されている。光検出部52としては、例えば、フォトダイオードを用いることができる。
【0094】
本実施形態では、リフレクタ15の車両後方側に配置された光検出部52により、光源装置10から射出された光の一部を直接検出するため、リフレクタ15の車両前方側にフォトダイオードを配置する場合のようにリフレクタ15に反射面等の光学系を形成する必要がない。よって、リフレクタ15のサイズを抑えることができるので、車両用灯具100を小型化することができる。
【0095】
光検出装置50は、制御装置60に電気的に接続され、検出結果を制御装置60に送信する。制御装置60は、光検出装置50の検出結果に基づいて、光源装置10の駆動を制御する。
【0096】
図11に示したように、光検出部52は、リフレクタ15による光射出方向(光軸AX方向)において下方遮光部材19b(遮光部材19)よりも光源装置10の車両後方側に配置されるとともに、遮光部材19よりも下方側に位置する。
【0097】
ここで、光源装置10において、光射出部9から射出された光はランバーシアン配光となるため、光射出部9の法線方向に対する角度θ(以下、光射出角度θと称す場合もある)が大きくなる程、光量が低下する。つまり、光射出部9から射出される光は、法線方向(光射出角度θ=0°)において光量が最大となり、光射出角度θが大きくなるに従って光量が減少する。
【0098】
本実施形態において、光検出部52は、光射出部9から射出された光のうち光射出角度θが75°〜85°の光(
図11の符号L3で示す光)を検出する。本実施形態では、例えば、光射出角度θが80°の光を検出する。
【0099】
本実施形態において、リフレクタ15の反射面15aは光軸AXと略平行な方向に光を反射させる。しかしながら、本実施形態においては前述の通り、光源保持部分22が水平面(XZ平面)に対して所定角度だけ傾いており、光源装置10を水平面に対して車両後方側に所定角度だけ傾斜させた状態に保持されている。
【0100】
そのため、上述のような光射出角度θの光(75°〜85°の光)は仮に反射面15aで反射させたとしても光源保持部分22と共に傾斜している遮光部材19によって遮光されてしまうため、所望な光(光軸AXに略平行な光)として前方に照射することができず、基本配光パターン(ハイビーム用配光パターン)として活用することができない。
【0101】
つまり、上述の光射出角度θの光を光検出部52の検出に利用することで、基本配光パターンの光量に影響を与えることなく、基本配光パターン(ハイビーム用配光パターン)として活用できない光を効率良く利用できる。
【0102】
また、本実施形態では、ヒートシンク20の第1部材21(検出装置保持部分23)に光検出部52を保持することで、光検出部52をリフレクタ15から離れた位置に配置し、光源装置10から射出された光以外の光(例えば、太陽光や対向車からの光などの外乱光など)の影響を抑制している。
【0103】
さらに、本実施形態において、下方遮光部材19bは、リフレクタ15の光射出方向(光軸AX方向)において開口15bの車両前方側に位置するとともに、上下方向において開口15bよりも上方に位置する。そのため、下方遮光部材19bは、外乱光が光検出部52に直接入射することを抑制できる。
【0104】
光検出装置50は、光検出部52を覆うカバー部材53をさらに備えている。カバー部材53は、光源装置10からの光の一部を透過させて光検出部52に入射させる開口(第2の開口)53aを有する。カバー部材53は外乱光を遮光するので、フォトダイオード(光検出部52)のS/N比を向上させることができる。
【0105】
なお、光検出装置50は開口53aと光検出部52との間に光学フィルターをさらに備えていても良い。光学フィルターとしては、例えば、開口53aを通過した光源装置10からの光の一部(波長変換部材10bで波長変換された黄色の蛍光YL)だけを透過させ、それ以外の光を透過させないバンドパスフィルターを用いることができる。このようにすれば、蛍光YL以外の光(例えば、太陽光や対向車からの光などの外乱光など)が光検出部52に入射するのを抑制できるので、フォトダイオード(光検出部52)のS/N比をさらに向上させることができる。
【0106】
また、光検出部52として、受光角が狭角に設計されたフォトダイオードを用いてもよい。このようにすれば、外乱光の影響を低下させることができ、光検出部52の検出精度を向上させることができる。
【0107】
続いて、本実施形態の車両用灯具100の動作について説明する。
【0108】
以下の処理は、ECU等の制御回路から構成された制御装置60によって行われる。
制御装置60は、光源制御用回路基板61を介して光源装置10を駆動する。これにより、光源装置10は、光射出部9から白色の光WLを射出する。光射出部9から射出された光WLは、リフレクタ15の反射面15aで反射されて、前方に照射されて、仮想鉛直スクリーン上に基本配光パターン(ハイビーム用配光パターン)を形成する。
【0109】
このとき、半導体レーザー10aが発熱することで光源装置10の温度が上昇する。光源装置10の熱はヒートシンク20(第1部材21)に直接或いは取付プレート11を介して間接的に伝達される。
【0110】
本実施形態によれば、光源装置10と第1部材21(光源保持部分22)との間に均一な膜厚の熱伝導グリス13が配置されるので、光源装置10の熱は第1部材21側に効率良く伝達し、第1部材21に伝達された熱は第2部材25へとさらに伝達する。
【0111】
このようにして、光源装置10の熱はヒートシンク20の全体へと拡がる。第1部材21は複数のフィン24を介して熱を放出し、第2部材25は複数のフィン34を介して熱を放出する。
【0112】
本実施形態において、制御装置60は光源装置10の駆動に合わせて送風ファン30を駆動する。送風ファン30による送風はダクト40に形成された流路Rを通って光源装置10の下方へと流れる。本実施形態の流路Rは複数のフィン24で区画されるため、流路R内を流れる空気はフィン24に良好に接触する。よって、第1部材21の熱を効率良く放出することができる。
【0113】
ヒートシンク20のうち光源装置10の近傍は非常に高温となる。本実施形態において、流路Rは光源装置10側に向かうにつれて断面積が小さくなるため、流路R内を流れる空気の流速は光源装置10側ほど早くなる。よって、ダクト40の出口である光源装置10の下方(近傍)に配置された複数のフィン34の間には、流速の高い空気が供給される。よって、複数のフィン34を介して第2部材25の熱は効率良く放出される。第2部材25は、光源装置10を保持する第1部材21と熱的に接続されるため、光源装置10で発生した熱を効率良く放出する。光源装置10で発生した熱は、ヒートシンク20により効率良く放熱される。よって、光源装置10を効率良く冷却することができる。
【0114】
本実施形態において、ダクト40内を流れる空気の一部は通風口41を介してリフレクタ15内に流れ込み、光源装置10を直接冷却するので、光源装置10の熱を効率的に低減させることができる。
【0115】
光源装置10の光射出部9から射出された光の一部(蛍光YL)は光検出部52により検出される。光検出部52は検出結果を制御装置60に送信する。制御装置60は、光検出部52から送信された結果に基づき、光源装置10における光照射状態を判定する。制御装置60は、例えば、光検出部52による検出結果が正常である場合(すなわち、蛍光YLを検出した場合)、光源装置10が正常であると判定して、レーザー光Lを継続して放射するように半導体レーザー10aの駆動を制御する。
【0116】
ところで、半導体レーザー10aがレーザー光Lを放出中、波長変換部材10bが脱落(又は欠損)することもあり得る。以下、半導体レーザー10aがレーザー光Lを放出中、波長変換部材10bが脱落(又は欠損)した場合の車両用灯具100の動作例(半導体レーザー10aの制御例)について説明する。
【0117】
波長変換部材10bが脱落(又は欠損)した場合、光検出部52には、蛍光YLが入射しなくなる。光検出部52が蛍光YLを検出しない場合、制御装置60は、波長変換部材10bが脱落(又は欠損)或いは光検出部52が故障したと判定して、レーザー光Lを放出しないように半導体レーザー10aを制御する。
【0118】
これにより、波長変換部材10bが脱落(又は欠損)した場合、波長変換部材10bが脱落(又は欠損)した状態の光源装置10から放出されるレーザー光Lがリフレクタ15の反射面15aで反射されて外部に射出されるのを抑制することができる。よって、車両前方に位置する人の眼にレーザー光が直接入射することが抑制される。
【0119】
また、波長変換部材10bが脱落(又は欠損)した場合、波長変換部材10bが脱落(又は欠損)した状態の光源装置10から放出されるレーザー光Lは、
図11に示したように、反射面15aに形成された貫通孔Hを通過する。そのため、仮に、レーザー光Lを放出しないように半導体レーザー10aが制御されるまで時間を要したとしても、波長変換部材10bが脱落(又は欠損)した状態の光源装置10から放出されるレーザー光Lが、反射面15aで反射されて、前方へ照射されるのを抑制できる。
【0120】
なお、レーザー光Lを放出しないように半導体レーザー10aを制御するまでの時間を、求められる安全性のレベルを超えない短い時間とすることができる場合には、反射面15aの貫通穴を省略してもよい。
【0121】
以上説明したように、本実施形態によれば、余剰分の熱伝導グリス13をスリット状の隙間Eを構成する段差部37、38の内壁面37a、38aに沿って溝35、36に収容することができる。これにより、所定の厚さの熱伝導グリス13を光源装置10の下面5と凹部22bの底面22b1との間に配置することができる。
【0122】
また、溝35、36を保持領域110の外側に配置することで光源装置10と底面22b1との間に均一な膜厚で熱伝導グリス13が配置される領域を大きく確保できる。よって、光源装置10の熱をヒートシンク20(第1部材21)に効率良く伝達できる。
【0123】
また、余剰分の熱伝導グリス13を保持する溝35、36が設けられた凹部22bを取付プレート11により閉塞するため、凹部22bの上方からの熱伝導グリス13の飛散を防止できる。さらに、光源制御用回路基板61を凹部22bの下面に当接させることで凹部22bの下方からの熱伝導グリス13の飛散を防止できる。
【0124】
これにより、熱伝導グリス13が乾燥して異物として灯具内で飛散することが防止される。したがって、リフレクタ15の反射面15aに異物が付着することで反射率が低下し、射出光の強度が低下することで灯具として車両用灯具100として所望の性能が得られなくなるといった不具合の発生を防止できる。
【0125】
本実施形態では、取付プレート11の長辺方向を車両左右方向(X軸方向)に向けるようにヒートシンク20に固定されるため、光源保持部分22、つまりヒートシンク20の車両前後方向のサイズを小さくできる。したがって、車両用灯具100における奥行方向(車両用前後方向)のサイズを薄型化することができる。
【0126】
また、光源装置10をヒートシンク20(第1部材21の光源保持部分22)に形成された凹部22bに対して上方から取り付けることができるので、光源装置10の組み立て性を向上させることができる。
【0127】
本実施形態において、光検出部52は、リフレクタ15で反射させたとしても基本配光パターンとして活用することができない光(光射出角度θが70〜85°の光)を検出に利用するので、基本配光パターンの光量に影響を与えることなく、光を有効利用することができる。
【0128】
本実施形態では、光検出部52をカバー部材53で覆い、該カバー部材53に設けた開口53aを介して光検出部52による検出を行うので、光検出部52のS/N比を向上させることができる。
【0129】
また、本実施形態の車両用灯具100によれば、ダクト40により光源装置10の下方(近傍)に高い風速で空気を供給できるので、半導体レーザー10aを備えることで高温となる光源装置10を効率良く冷却することができる。
ダクト40は流路Rの断面積が徐々に変化するため、流路R内において空気がスムーズに流れるので、光源装置10を効率良く冷却できる。
本実施形態のダクト40は、光源装置10の下方に加え、通風口41により光源装置10の上方に対しても送風することができる。これにより、光源装置10を直接冷却することができる。よって、本実施形態では、ヒートシンク20による冷却に加えて送風による冷却を行うので、光源装置10を効率良く冷却することができる。
【0130】
また、本実施形態では、送風ファン30で発生させる風のほぼ全てをダクト40内に供給するため、送風ファン30で発生させた風を効率良く利用できる。
【0131】
また、本実施形態の車両用灯具100によれば、送風ファン30をヒートシンク20の車両後方側配置しているため、光源装置10に対して送風ファン30を鉛直方向下側に配置する場合に比べて、装置構成の鉛直方向のサイズを小型化できる。
【0132】
また、本実施形態では、ヒートシンク20の一部がダクト40を兼ねるため、部品点数を削減することで低コスト化及び小型化を図ることができる。本実施形態のヒートシンク20は複数の部材(第1部材21及び第2部材25)を用いて構成されるため、ダクト40を兼ねた複雑な形状にも対応可能である。
【0133】
また、本実施形態のヒートシンク20は複数のフィン24、29aを備えるため、送風ファン30からの送風によって光源装置10の熱を効率良く放出することができる。
【0134】
また、本実施形態では、光源装置10から光源装置10から後方斜め上向きに放出される光(基本配光パターンとしては活用できない光)をフォトダイオード(光検出装置50)に入射させるようにしているため、光源装置10の光利用効率を高めることができる。
【0135】
また、本実施形態では、光検出装置50の検出結果に基づき、レーザー光を放出しないように半導体レーザー10aを制御するため、波長変換部材10bが脱落(又は欠損)した場合、波長変換部材10bが脱落(又は欠損)した状態の光源装置10から放出されるレーザー光がリフレクタ15で反射されて、外部に射出されるのを抑制できる。
【0136】
本実施形態によれば、仮に、レーザー光を放出しないように半導体レーザー10aが制御されるまで時間を要したとしても、波長変換部材10bが脱落(又は欠損)した状態の光源装置10から放出されるレーザー光が貫通孔Hを通るので、該レーザー光が反射面15aで反射されて外部に射出されるのを抑制できる。
【0137】
また、本実施形態では、カバー部材53により光源装置10から射出された光以外の光(例えば、太陽光や対向車からの光などの外乱光など)を遮光するので、フォトダイオード(光検出部52)のS/N比を向上させることができる。
【0138】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0139】
例えば、上記実施形態では、取付部材として取付プレート11を用いて光源装置10をヒートシンク20に固定する場合を例に挙げたが、光源装置10と一体に形成されたものを用いても良い。例えば、光源装置10の外周面から径方向外側に延びるフランジ部を取付部材として利用し、光源装置10をヒートシンク20に固定するようにしてもよい。このとき、フランジ部は、凹部22bを閉塞可能なサイズに形成されることで上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0140】
また、上記実施形態では、光源装置10として下方にリード線6が引き出されたものを例示したため、凹部22bの底面22b1に貫通孔55が形成されていたが、光源装置10として上方からリード線を引き出したものを用いてもよい。
この場合、底面22b1の貫通孔55が不要となるので、凹部22bは取付プレート11のみで閉塞することができる。なお、リード線は例えば凹部22bの上端面に形成した切欠を介して外側に引き出せばよく、該切欠は取付プレート11で閉塞することができる。
【0141】
また、上記実施形態では、絶縁部材56が貫通孔55に隙間なく嵌合する場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、絶縁部材56がリード線6に嵌合した状態に設けられており、絶縁部材56と貫通孔55との間に所定の隙間が生じていても良い。この場合、光源装置10を凹部22bに配置した際に、貫通孔55と絶縁部材56との隙間内にも余剰分の熱伝導グリス13が流れ込むことになる。
【0142】
さらに、
図12に示すように、貫通孔55の下方側端部にテーパー部55aを形成しても良い。このようにすれば、貫通孔55と絶縁部材56との隙間に流れ込んだ余剰分の熱伝導グリス13をテーパー部55aにも保持することができる。よって、溝35、36に加え、余剰分の熱伝導グリス13をテーパー部55aにより保持することができる。
【0143】
また、上記実施形態では、溝35、36が凹部22bの底面22b1に形成される場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、溝35、36の形成位置は保持領域110の平面視外側であればよく、凹部22bの内周面22b2(
図8,9参照)に形成されていても良い。