(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、実施形態の開閉装置を適用した保冷箱について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
(保冷箱)
図1に示すように、実施形態の保冷箱100は、前後方向よりも左右方向に長く形成された直方体状の箱である。
保冷箱100は、上部開口10が形成された箱本体1と、箱本体1の上部開口10を閉塞する蓋部材2と、開閉装置3と、を備えている。
開閉装置3は、閉状態の蓋部材2が意図せずに開方向に移動することを防止するためのものである。
開閉装置3は、蓋部材2の閉状態をロックするロック機構4(
図2参照)と、ロック機構4によるロックを解除する操作プレート(操作部)5と、を備えている。
【0018】
なお、本実施形態の保冷箱100は、前後対称な構造になっている。つまり、箱本体1と蓋部材2とが前後対称に形成され、開閉装置3が前側と後側の両方とに設けられている。よって、以下の説明では、前側の構成を説明し、後側の構成の説明を省略する。
【0019】
(箱本体)
箱本体1は、上部開口10とその上部開口10から投入された物を収容する収容空間11とが形成された有底矩形筒状の樹脂製容器であり、底壁部、前壁部、後壁部、右壁部及び左壁部を備えている。
図2に示すように、各壁部は、樹脂製の外壁12及び内壁13と、その外壁12と内壁13との間に介在する断熱材(例えば、発泡ウレタン、発泡スチロールなど)14と、を備える3層構造であり、断熱性に優れている。
【0020】
図1に示すように、箱本体1の前壁部の上端面には、下方に凹み蓋部材2の一部が上方から入り込む下凹部15(
図2参照)と、その下凹部15内に設置され互いに左右に離間する2つの被係合部16と、が設けられている。
被係合部16は、左右方向に延びる棒状の棒部16aを備える金属製部品であり、ロック機構4を構成している。
【0021】
(蓋部材)
蓋部材2は、平面視で矩形状に形成されている。
蓋部材2の上面2aの上面2aの前端側には、下方に窪み内部に操作プレート5を収容する操作部用凹部20と、蓋部材2の前端部を開方向(上方)に移動させる場合に手指により把持可能な把持部21と、が設けられている。
なお、蓋部材2は、平面視略矩形状の蓋本体30と、蓋本体30の前端側及び後端側に設けられるカバー部材40と、により構成されている。
よって、最初に蓋本体30とカバー部材40とを説明し、その後に操作部用凹部20と把持部21とを説明する
【0022】
(蓋本体)
図3に示すように、蓋本体30は、樹脂製の外壁31及び内壁32と、その外壁31と内壁32との間に介在する断熱材33と、を備える3層構造であり、断熱性に優れている。なお、特に図示しないが、断熱材33は、上方から視て矩形状を呈し、箱本体1の上部開口10と相似形になっている。
また、断熱材33の外周端33aは、上部開口10よりも外側に位置し(
図2、
図3の補助線N参照)、断熱材33が上部開口10の全てを覆っている。
【0023】
図4に示すように、蓋本体30の前端面34aは、中央部が両端部よりも後方に窪んでいる。このため、蓋本体30の前端部34とカバー部材40との間に、後述するロックプレート6を配置できるようになっている(
図3参照)。
また、蓋本体30の前端面34aの左右両側には、前方に向って突出する突起35が設けられている。
【0024】
そのほか、蓋本体30の上面36は、左右の端縁及び前後の端縁よりも中央部が上方に膨出している。このため、蓋本体30の上面は、上方からの荷重を受けても変形し難くなっている。
【0025】
(カバー部材)
カバー部材40は、左右方向に延在して蓋部材2の前端部を構成する部品である。
図2,
図5(a)に示すように、カバー部材40は、蓋部材2の上面2aの一部を構成するカバー上壁部41と、カバー上壁部41の前側から下方に延びて蓋部材2の前側面を構成するカバー前壁部42と、カバー前壁部42の左右の端縁に沿って上下方向に延びて上端がカバー上壁部41に連続するカバー側壁43(
図5参照)と、を備えている。
なお、
図5(a)では、構成の見易くするため、カバー部材40において後方に突出する部分にドットを塗っている。
【0026】
また、
図5(a)に示すように、カバー前壁部42の後面には、カバー前壁部42から後方に突出するリブとして、左右のカバー側壁43から左右方向内側に延びる水平リブ46と、水平リブ46の左右方向内端から上方に延びてカバー上壁部41に連続する上下リブ47と、上下リブ47から左右方向内側に延びる内側リブ48と、が形成されている。
そのほか、カバー前壁部42の後面には、被係合部16の棒部16a(二点鎖線参照)に係合して棒部16aを支持する複数の棒支持部44と、左右方向に延在する軸部材45と、軸部材45に回動自在に設けられたロックプレート6と、付勢部材7と、が設けられている。
なお、ロックプレート6と付勢部材7は、ロック機構4の構成であるため後述する。
【0027】
水平リブ46と上下リブ47とは、カバー部材40の強度を向上させるためのものである。また、水平リブ46と上下リブ47とカバー上壁部41とにより、矩形状の矩形枠部47cが構成される。
この矩形枠部47c内には、蓋本体30の突起35が嵌合しており、蓋本体30とカバー部材40とが一体に結合されている(
図2参照)。
また、特に図示しないが、水平リブ46を下方から貫通するねじが突起35に螺合し、矩形枠部47c内から突起35が抜けないようになっている。
【0028】
内側リブ48は、上下リブ47の上下方向の中間部に連続している。このため、
図5(b)に示すように、内側リブ48と上下リブ47とカバー上壁部41とにより略C字状の壁部を構成している。以下、略C字状の壁部をガイド部49と称する。なお、ガイド部49の説明は後述する。
【0029】
図2に示すように、棒支持部44の下端には、切り欠き44aが形成されている。そして、切り欠き44aに対し下方から被係合部16の棒部16aが入り込み、棒部16aと棒支持部44とが係合している。
【0030】
図5(a)に示すように、軸部材45は、左右方向に配置された棒支持部44を貫通し、両端部が左右のカバー側壁43に固定されている。
【0031】
(操作部用凹部)
図1に示すように、操作部用凹部20は、蓋部材2の上面2aよりも下方に操作プレート5を配置するためのものである。これによれば、蓋部材2の上面2a上に、他の保冷箱100を載置しても安定する。
図4に示すように、操作部用凹部20は、蓋本体30の前端部34の上面を下方に窪ませることで形成され、底面25と、後側面26と、左側面27と、右側面28と、を備えている。
【0032】
左側面27と右側面28の間の幅L1は、前方から後方に向うにつれて次第に狭くなっている。
この幅L1は、前後方向の中間を境として、前側が操作プレート5の幅よりも大きく、後側が操作プレート5の幅よりも小さくなるように形成されている。言い換えると、幅L1は、操作プレート5の幅よりも大きく形成された幅広な領域と、操作プレート5の幅よりも小さく形成された幅狭な領域とを有している。
このため、操作部用凹部20の前側に操作プレート5を配置できるようになっている。
一方で、操作部用凹部20の前側に配置された操作プレート5は、後方へ移動することができず、操作プレート5の後端部が操作部用凹部20の後側面26に当接しないようになっている。
この結果、後側面26と操作プレート5との間には、常時、手指を挿入できる隙間S2が形成される。
【0033】
図3に示すように、底面25は、カバー部材40のカバー上壁部41よりも下方に位置しており、操作部用凹部20の底面25とカバー部材40のカバー上壁部41との間には、開口部S1が形成されている。
なお、蓋部材2において、操作部用凹部20の下方に位置する部分には、断熱材33が充填されている。
【0034】
(把持部)
把持部21は、操作部用凹部20の底面25よりも上方に突出し、断面視で凸状を成している。このため、手指で前後方向から挟持することで把持可能になっている。
把持部21は、前方を向く前把持面22と、操作部用凹部20内において前把持面22と相反する方向(後方)を向く後把持面23と、上方を向く上把持面24と、を備えている。
【0035】
後把持面23は、操作部用凹部20内に収容された操作プレート5の後端面(操作面53a)により構成されている。詳細については後述する。
【0036】
前把持面22は、カバー前壁部42の中央面42a(蓋部材2の前端面の中央)により構成されている。
図1、
図4に示すように、カバー前壁部42の中央面42aは、カバー前壁部42の左端面42bや右端面42cよりも内方に窪んでいる。
これによれば、保冷箱100の前側に他の保冷箱100が隙間なく並べられ、保冷箱100の前側面と他の保冷箱100との間に手指を挿入する隙間がない場合であっても、中央面42aと他の保冷箱100の側面との間にスペースが形成される。
よって、そのスペースに手指を上方から挿入し、前把持面22(カバー前壁部42の中央面42a)に手指を当て、把持部21を把持することができる。
【0037】
上把持面24は、上方から掌を当てるための面である(
図6参照)。上把持面24は、カバー部材40のカバー上壁部41により構成されている。また、この上把持面24によれば、手と把持部21との接触面積が増加し、しっかりと把持することができる。
【0038】
つぎに、開閉装置3を構成するロック機構4と操作プレート5とを説明する。
図5に示すように、ロック機構4は、前記した被係合部16(
図1、
図2参照)と、ロックプレート6と、付勢部材7と、を備えている。
【0039】
(ロックプレート)
ロックプレート6は、左右方向に延在する樹脂製の板状部材である。
ロックプレート6は、上下方向中央部が軸部材45により貫通され、軸部材45周りに回動自在になっている。
ロックプレート6は、左右方向中央部に位置し軸部材45から上方に延びる被押圧部60と、左右方向両側に位置し軸部材45から下方に延びる爪部70と、被押圧部60と爪部70とを連結する連結部80と、を備えている。
なお、本実施形態のロックプレート6は、被押圧部60と爪部70と連結部80とが樹脂成形により一体に形成されている。
ここで、2つの爪部70において、軸部材45の右端側に配置されている爪部70を第1爪部75、軸部材45の左端側に配置される爪部70を第2爪部76と称する場合がある。
なお、付勢部材7は、一端が水平リブ46に係止し、他端が爪部70の後面に係止し、カバー前壁部42の後面に向って(保冷箱100の前方に向って)爪部70を常時付勢している(
図2の矢印参照)。よって、爪部70と一体な被押圧部60は、保冷箱100の後方に移動(回動)するように付勢されている(
図3の矢印参照)。
【0040】
被押圧部60は、左右の上下リブ47の間に位置し、操作部5の後述する押圧面52aに押圧される部位である。
被押圧部60は、右側部分を構成する第1被押圧部61と、左側部分を構成する第2被押圧部62と、被押圧部60うち中央部分を構成する中間被押圧部63と、備えている。
なお、
図5において、第1被押圧部61と第2被押圧部62と中間被押圧部63の領域を明確にするため、2点鎖線Mを引いている。
被押圧部60は、左右方向に長く形成されている。このため、第1被押圧部61と第1爪部75との左右方向の距離(
図5のL4参照)が比較的近くなっている。同様に、第2被押圧部62と第2爪部76との左右方向の距離が比較的近くなっている。
図3に示すように、被押圧部60の上端60aは、カバー部材40のカバー上壁部41の近傍まで延び、操作部用凹部の底面25よりも上方に位置している。
なお、上端60aは断面半円形状に形成されている。
【0041】
図2に示すように、爪部70は、軸部材45から下方に延びる板部72と、板部72の下端から前方に突出する突起73と、を備えている。
板部72は、付勢部材7により前方へ付勢されていることから、前面が被係合部16の棒部16aに当接し、ロックプレート6が回り止めしている。
【0042】
突起73は、棒部16aの下面に当接している。このため、蓋部材2の前端側を上方に移動させるように力を加えても、突起73が棒部16aに係止し、蓋部材2の前端側が上方に移動しないように規制(ロック)される。これにより、蓋部材2の閉状態が維持される。
また、棒部16aの周囲を棒支持部44と爪部70とで囲っていることから、蓋部材2は棒部16aを中心として回動自在に連結している。
なお、本実施形態では、爪部70の板部72が棒部16aに当接することでロックプレート6が回り止めするようになっているが、本発明は、突起73の先端がカバー前壁部42の後面に当接することで、ロックプレート6が回り止めするようにしてもよい。
【0043】
連結部80は、筒状を呈し、軸部材45に貫通されている。
連結部80は、第1被押圧部61と第1爪部75と連結する第1連結部81と、第2被押圧部62と第2爪部とを連結する第2連結部82と、を備えている。
また、上記したように、第1被押圧部61と第1爪部75との距離が小さいことから、第1連結部81の左右方向の長さも短く形成されている。同様に、第2被押圧部62と第2爪部76との距離が小さいため、第2連結部の左右方向の長さも短く形成されている。
【0044】
(操作部)
図7に示すように、操作プレート5は、平面視で略矩形状を呈し、左右方向に長く形成された部品である。また、操作プレート5には、前端面である押圧面52aと、後端面である操作面53aとが形成されている。
操作部5の押圧面52aは、第1爪部75と第2爪部76の回動軸方向、つまり、軸部材45が延びる左右方向に幅広に形成されている。
また、押圧面52aの左右方向の長さは、被押圧部60と同じとなるように形成されている。このため、押圧面52aは、被押圧部60の中央部に位置する中間被押圧部63のみならず、被押圧部60の両端部に位置する第1被押圧部61及び第2被押圧部62も押圧するようになっている。
【0045】
図3に示すように、操作プレート5は、操作部用凹部20の前側に収容され、操作部用凹部20の底面25上に載置されている。
操作プレート5の後側の角部55,55は、操作部用凹部20の左側面27,右側面28に当接し(
図4において後側に配置された操作プレート5を参照)、後方への移動が規制されている。
操作プレート5の操作面53a(後端面)は、操作部用凹部20内において、後方を向いており、把持部21の後把持面23を構成している。
【0046】
操作プレート5の前端部は、操作部用凹部20とカバー部材40との間に形成された開口部S1に挿入されている。
操作プレート5の前端部は、左右の上下リブ47(
図5参照)の間に配置されている。
また、操作部5の押圧面52aは、ロックプレート6の被押圧部60に当接している。言い換えると、押圧面52aにおける右端側(一端側)は、第1被押圧部61に当接し、押圧面52aの左端側(他端側)は、第2被押圧部62に当接し、押圧面52aの中央部は、中間被押圧部63に当接している。
そして、操作プレート5に対し、前方に向う荷重であり、かつ、付勢部材7の付勢力よりも大きい荷重が作用すると、被押圧部60を押圧しながら操作プレート5が前方にスライド(水平移動)する。なお、操作プレート5の詳細な構成については後述する。
【0047】
つぎに、蓋部材2の開操作方法について
図6を参照しながら説明する。
蓋部材2を開ける方法は、把持部21を把持する工程と、把持部21を上方に持ち上げる工程と、からなる。
【0048】
図6(a)に示すように、把持部21を把持する工程は、まず、把持部21の上方に手を配置し、掌を下方に向ける。
つぎに、前把持面22(カバー部材40の中央面42a)に親指を当て、上把持面24(カバー部材40のカバー上壁部41)に掌を当てる。
さらに、親指以外の手指を、操作部用凹部20の後側面26と操作プレート5の操作面53aの隙間S2に挿入し、後把持面23(操作面53a)に当てる。
【0049】
なお、後側面26と操作面53aの隙間S2における左右方向の幅L1は、操作プレート5よりも幅狭に形成され(
図4参照)、操作面53aの左右の端部に手指を当て難くなっている。このため、操作面53aの中央部に手指を当てるように誘導される。
【0050】
つぎに、親指とそれ以外の4本の手指とが近接するように、各手指を折り曲げ、把持部21を把持する。
これによれば、
図6(b)に示すように、操作面53aが押圧され、操作プレート5が前方に移動し、被押圧部60が回動する。
ここで、実施形態によれば、操作面53aの中央部に手指を当てるように、言い換えると、操作面53aの中央部を押圧するように誘導されていることから、片当たりするおそれがない。このため、押圧面52aは、被押圧部60の第1被押圧部61、第2被押圧部62、及び中間被押圧部63のそれぞれを均等に押圧する。
【0051】
また、被押圧部60の回動運動は、連結部80を介して爪部70に伝達し、爪部70が回動する。ここで、爪部70には、付勢力により逆方向への力が作用しているため、連結部80には、ねじれ方向の力が作用する。
しかしながら、前記したように、連結部80(第1連結部81及び第2連結部82)には、左右方向に短くねじれ難い。このため、左右の爪部70の回動量は、被押圧部60の回動量と略同じとなる。
これにより、左右の爪部70と被係合部16の棒部16a(
図2参照)との係合が確実に解除され、蓋部材2の前側が上方に移動(回動)可能となる。
なお、被押圧部60は、カバー前壁部42に当接すると、ロックプレート6が回り止めする。よって、操作部5は、前方に移動することが規制され、把持部21を左右方向から挟持(把持)することができる。
【0052】
つぎに、把持部21を把持した状態を維持しながら、手を上方に移動する。これによれば、
図6(c)に示すように、蓋部材2の前端側が上方に持ち上がる。そして、引き続き手を上方に移動させると、蓋部材2は、後側の開閉装置3における被係合部16の棒部16aを中心に回動し、箱本体1の上部開口10が開放される。
【0053】
以上が蓋部材2の開操作方法である。また、前側の把持部21と後側の把持部21に対し、上記操作を同時に行うと、前後両側に設けられたロック機構4のロックが解除され、箱本体1から蓋部材2を取り外すことができる。
【0054】
つぎに、操作プレート5の詳細について説明する。
図7に示すように、操作プレート5は、平面視略矩形状の本体部50と、本体部50の下面の中央近傍で前後に延びる操作部用リブ51と、本体部50の前端に沿って下方に延び、前面が押圧面52aを構成する前壁52と、本体部50の後端に沿って下方に延び、後面が操作面53aを構成する後壁53と、後壁53の上端面から斜め上方に延出する延出部54と、本体部50の後側の角から下方に延びる角部55と、本体部50に左右の端縁に沿って下方に延びる側壁56と、を備えている。
【0055】
図7(a)に示すように、本体部50の上面の前縁側には、上方に突出する上摺動部50aが形成されている。
図7(b)に示すように、操作部用リブ51の下面には、操作部用リブ51よりも幅狭に形成された下摺動部51aが形成されている。
図3に示すように、上摺動部50aは、カバー上壁部41の下面に摺動自在に当接している。また、下摺動部51aは、操作部用凹部20の底面25に摺動自在に当接している。そして、この上摺動部50aと下摺動部51aによれば、操作プレート5の上下動が抑制される。また、本体部50の上面及び操作部用リブ51の下面が当接する場合よりも接触面積を減らすことができ、操作プレート5のスライドをスムーズとすることができる。
【0056】
図7(c)に示すように、前壁52は、左右方向に直線状に延び、押圧面52aが平坦な面になっている。
後壁53は、湾曲しており中央部が前方に窪んでいる。また、延出部54も後壁53に対応するように湾曲しており中央部が前方に窪んでいる。
このため、
図4に示すように、操作部用凹部20の後側面26と操作プレート5との隙間S2は、左右側よりも中央部が最も大きくなり、中央部寄りに手指を挿入するように誘導できる。この結果、操作面53aの中央部に手指を当てる確率が増え、操作プレート5による被押圧部60への片当たりを防止することができる。
【0057】
図3に示すように、延出部54は、操作面53aの上端縁から上側後方へ斜めに延びている。
この延出部によれば、
図6(c)に示すように、把持部21を把持して蓋部材2の開操作を行っている場合、手指から操作面53aが滑り落ちたとしても、手指に延出部54が引っ掛かる。よって、蓋部材2の開操作を行う際の操作性を高めることができる。
一方で、蓋部材2が閉状態において、利用者が誤って延出部54に手指を引っ掛けて持ち上げるという操作を行っても、延出部54が傾斜していることから、手指が外れ易くなっている。よって、操作プレート5に必要以上の荷重が作用して破損する、ということを防止できる。
【0058】
図7(b)に示すように、左右の側壁56は、前壁52及び後壁53よりも上下方向の長さが短く形成されている。
また、側壁56の上面には、上摺動部50aが形成され、側壁56の下面には、下摺動部51aが形成されている。
図5(b)に示すように、左右の側壁56は、カバー部材40に形成されたガイド部49内に挿入されている。
【0059】
側壁56の上摺動部50aは、ガイド部49の上壁(カバー上壁部41)の下面に摺動自在に当接している。側壁56の下摺動部51aは、ガイド部49の下壁(内側リブ48)の上面に摺動自在に当接している。
また、側壁56の外面56aには、上下リブ47からガイド部49の内に突出する横摺動部49aが摺動自在に当接している。
なお、横摺動部49aは前後方向に延在しており、常時側壁56の外面56aに当接している。
上記構成によれば、操作プレート5の側壁56とガイド部49との接触面積を減らすことができ、操作プレート5のスライドをスムーズとすることができる。
さらに、横摺動部49aによれば、操作プレート5の押圧面52aを被押圧部60と平行に保持することができ、操作プレート5の片当たりを防止することができる。この結果、左右両側の爪部70と被係合部16との係合が確実に解除される。
【0060】
以上、実施形態によれば、操作プレート5の押圧面52aが傾くことなく、被押圧部60を押圧するようになっている。また、第1被押圧部61と第2被押圧部62とを中間被押圧部63が連結している。このため、第1被押圧部61と第2被押圧部62の回動量は、均等となっている。
そして、第1連結部81(第2連結部82)の変形(捻じれ)が抑制されていることから、第1爪部75(第2爪部76)の回動量は、第1被押圧部61(第2被押圧部62)の回動量と均等となり、第1爪部75(第2爪部76)と被係合部16との係合が確実に解除する。
このため、操作プレート5を操作したにもかかわらず、ロック機構4によるロックが解除されないということが生じないようになっている。
【0061】
また、実施形態によれば、蓋部材2の側面(カバー部材40の中央面42a)に手指を当てて蓋部材2の側面を把持しているため、蓋部材2を持ち上げる際に操作プレート5に作用する荷重が低減し、操作プレート5の変形・破損が抑制される。
また、操作面53aが後把持面23を構成しているため、把持部21を把持することで、ロック機構4のロックが解除される。よって、把持部21を把持する動作にロック機構4のロックを解除する動作が含まれるため、操作性が良く利便性が高い。
【0062】
また、実施形態によれば、掌を当てることができる上把持面24が形成されているため、しっかりと把持することができ、蓋部材2の開操作が安定する。
さらに、上把持面24は、蓋部材2の上面2aの一部であるカバー部材40を利用しているため、蓋部材2の製造の複雑化を招くおそれがない。
【0063】
また、実施形態によれば、操作プレート5が操作部用凹部20の底面に沿って移動する。言い換えると、従来技術のように、操作部の下面に手指を引っ掛けて持ち上げるようになっていない。
このため、操作プレート5の下方に手指を挿入するためのスペースを形成する必要がなく、操作部用凹部20を浅く設計することができる一方で、操作部用凹部20の下方に位置する蓋部材2の厚み(
図3のL2参照)を大きく設計できる。
この結果、操作部用凹部20の下方に断熱材33を配置することができ、断熱性の低下が抑制される。
この結果、本実施形態のように操作部用凹部20の底壁を構成する蓋部材2の内部に断熱材33を設けたり、若しくは、外壁31と内壁32との間を空洞とすることなく外壁31、内壁32を形成する例えば樹脂材料で充填し中実に形成したりすることが可能となり、断熱性の低下を抑制できる。
【0064】
また、蓋部材2において操作部用凹部20の下方に位置する部分は、蓋部材2において最も肉薄となっている部分である。
このため、本実施形態のように、操作部用凹部20の底壁を構成する蓋部材2の内部に断熱材33を設けると、蓋部材2の断熱性が効果的に向上させることができる。
【0065】
さらに、操作部用凹部20の底壁を構成する蓋部材2の内部に断熱材33を設けることで、断熱材33が上部開口10の全てを覆うように構成されている。このため、収容空間11内の冷気が蓋部材2を介して外部に逃げ難くなっており、蓋部材2の断熱性が飛躍的に高い。
【0066】
以上、実施形態について説明したが、本発明は実施形態で説明した例に限定されない。
本実施形態では、ガイド部49を構成する上下リブ47に横摺動部49aを形成しているが、本発明は、横摺動部49aが形成されていなくてもよい。つまり、上下リブ47の側面自体に、操作プレート5の側壁56の外面56aが摺動自在に当接してガイドされるようにしてもよい。
【0067】
または、操作部用凹部20の底面25やカバー上壁部41の下面に、前後方向(スライド方向)の延びる凸部を形成し、一方で、操作プレート5の下部や上部に凸部に対応する凹部を形成することで、操作プレート5をガイドしてもよい。
具体的には、
図9に示すように、変形例のガイド部149は、操作部用凹部20の底面25から上方に向って突出し、前後方向に延びる凸部150と、操作プレート5の後壁53の下部を切り欠いてなる凹部151と、から構成されている。このような変形例によっても操作プレート5がスライド中に傾くことを防止することができる。
【0068】
また、本実施形態では、被押圧部60と爪部70とが一体に形成されたロックプレート6を用いているが、本発明はこれに限定されず、例えば、
図8に示すように、被押圧部60Aが形成された第1回動部材110と、爪部70Aが形成された第2回動部材120と、により構成されてもよい。
【0069】
なお、第1回動部材110は、第1軸131に回転自在に支持されて上下に延びる一対の連結部111,111と、連結部111,111の上方に固定された被押圧部60Aと、連結部111,111の下方に固定された第1棒112と、を備えた部品である。
また、第2回動部材120は、第2軸132に回転自在に支持されて上方に延びる上板部122と、第2軸132に回転自在に支持され上板部122と連結する爪部70A,70Aとを備えている。また、上板部122は、第1棒112の後方に位置し、第1棒112に当接している。
上記構成によれば、図示しない操作部が前方に移動すると(矢印A参照)、被押圧部60Aが押圧されて第1回動部材110が回動する(矢印B参照)。また、第1棒112が上板部122を押圧するため、第2回動部材120が回動し(矢印C参照)、爪部70Aは図示しない被係合部との係合が解除される。
【0070】
また、本実施形態の被押圧部60は中間被押圧部63を備えているが(
図5参照)、本発明は、
図10に示すように、被押圧部60Aが中間被押圧部63を備えていなくてもよい。このような変形例によれば、ロックプレート6Aは、2つの部材からなるものの、ガイド部49により操作プレート5が傾かないようになっているため、第1被押圧部61Aと第2被押圧部62Aとの回動量が均等となる。
よって、第1爪部75及び第2爪部76の回動量も均等となり、被係合部16との係合を確実に解除することができる。
【0071】
また、実施形態において、操作プレート5が延出部54を備えているが、本発明は延出部54を備えていなくてもよい。
【0072】
また、実施形態の操作面53aは、中央部が押圧方向に窪み湾曲しているが、本発明は特に限定されず、平面であってもよい。
また、把持面(操作面及び蓋部材の側面)には、左右方向に延びる複数の溝や、複数の突起を形成してもよい。
これによれば、手指が操作面等から滑り難くなる。また、夜など視界が悪い場合であっても、手指を当てて溝部等の有無を認識することで、把持面の位置を把握することができる。